1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月九日(金曜日)
午後一時五十四分開会
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本日の会議に付した事件
○地方行政の改革に関する調査の件
(警察法改正に関する件)
○公職選挙法の一部を改正する法律案
(衆議院提出)
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001・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。
本日は最初に大橋法務総裁から警察法の一部改正問題につきまして、この前お話を承わつた以後の経過、只今どういうふうな法案になつておるか、そういう点について承わりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/1
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002・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 警察法改正の問題につきましては、当委員会におきましてもかねてよりいろいろ御心配を煩わしておりまして、利どもといたしまして常に感謝をいたしておる次第でございます。前回御報告申上げました後におきましては、大体政府といたしまして、六、七点の改正を要すべき重要なる個所というものを確定いたしまして、これについて関係当局と打合中である。こういうことを申上げたのであります。その後関係当局との間におきまして、一応の話合いを終えたのでございますが、その結果といたしまして、政府といたしましてはこれはもとより未だ法案というような形のものではなく、要綱と申しましようか、箇条書と申しましようか、項目的なものでございまするが、第一には国家警察の定員を現在三万と相成つておりまするが、これを約二万増加いたしまして五万にいたしたい。それから第二点は、主として共産党に関連いたしまする集団的暴力事件、このうちには内乱外患等に関する国家的な重大な犯罪もございまするから、これらの事項を重点といたしまして原則的には自治体警察がその責任においてこれに対する警察権を持つのでありまするが、その自治体警察の行いまするところの警察権の行使が微力であるというような場合におきましては、これに対しまして一定の条件の下に国家地方警察の出動するということを認めるようにいたしたい。それから第三といたしましては、自治警察の定員は現在十万五千と相成つておりまするが、この全体の枠を撤廃いたしまして、これに対しまして地方財政の事情に従いまして、各自治体が自主的にその定員を決定するようにいたしたい。それから第四点といたしましては、地方におきまする自治体警察の警察力を、必要なる場合におきまして他の自治体警察に出動させる必要がある。これは大綱におきましてさような点を願いまして、その運用につきましてはなお確定的な意見を定めるに至つておりません。それから国家警察が自治体警察に応援をいたす場合、或いは国家警察の要請によりまして自治体警察が他の自治体警察に応援をいたした場合の費用は、国庫の負担にいたしたい。この国庫負担の方法も、警察費において負担をいたすか、或いは地方財政交付金において支払をなすか、この点も未だ最後的には決定はいたしておりませんが、国家地方警察が自治体警察に対しまして監督的な地位に立つたり、或いは不当なる支配力を持つことを避けまするように、この支払の機関並びに方法等についても十令考慮をいたす必要があると考えております。それから犯罪情報につきましては、これはもとよりすべての警察官の活動は十分な情報を基礎にいたす必要がありまするので、国家警察、自治体警察相互において交換の義務を規定するようにいたしたい。こういうふうに考えておるのでございます。なお公安委員会の公安委員の資格でございますが、これにつきましては、最近十年間におきまして公務員の経歴がないかたは、過去において警察、検察というような特に警察と密接な関係にありまする公務員の職にあつたかたを除きまして、その他の公務員ならば過去十年間に公務員の経歴がなければ府県自治体の公安委員たる資格を認めるようにいたしたい、こういうことに相成つております。この点は国家公安委員につきましては暫らく現状のまま参りたい、こういたしておるのであります。これらの項目につきまして関係当局の了解を得まして、警察に関し特に重要なる関係ありと認められるかたがたに対しましてこの大綱の内容をお示しいたしまして、これについていろいろな意向を伺うことにいたしたのであります。で私といたしましては、先ず府県知事の二、三のかたがたに御参集を願いまして、この案についての意見を求めたのでございまするが、府県知事の御意向といたしましては、これはもとより公式のものではなく、私的に会合いたしましたるその際におきまするそれらのかたがたの意見を総合いたしたところでございまして、決して都道府県知事の会議におきまする正式の決議であるとか、或いはこれらのかたがたかその機関に諮つてお決定になつた御意向ではないのでございまして、お集まりを願いました三、四の知事のかたかたのその際に私的に漏らされましたる御意向を総合いたしましたところを申上げますると、只今申上げましたる政府案の大綱につきましては、格別反対的な御意見を承わりませんでした。ただ併しこれらの知事のかたがたは警察機構の問題につきましては特に現在のごとき市町村單位の自治体警察を廃して、むしろ府県單位の自治体警察を以て現在の国家地方警察、自治体警察と総合いたしたい、こういう御意向が多かつたのでございます。この点につきましては、政府といたしましては元来現在におきまする警察法の考え方か、警察権というものも又自治体の自治権の一作用である、こういう根本的な考え方に発足をいたしておるものであり、そして自治体といましましては、府県よりも市町村という自治体のほうがより原始的と申しますか、そうしたものでございまするので、自治体警察という観念を本当に自治体の自治権というものと結び付けて考えまする場合におきましては、これは市民生活に直接いたしておりまする市町村の機能として考えることが適切なのでありまして、市町村の複合体的な間接的な立場にありまする府県に自治体警察とその警察権を認めるということは必ずしも適切でないように考えておる次第でございます。殊に又自治体警察といたしましての府県警察を考えましたる場合におきましては、これはややもしますると、形式的な自治体警察にとまりまして、往年の内務省を中心といたし、府県警察部長の指揮を受けておりましたるところの旧警察制度と外形的に余り異なるところがない。ただ府県警察が自治体警察であるという観念的な差異だけであつて、真に自治体警察の自治体警察たるゆえんが確実に保障されるかどうかという点についても相当の疑いを持つておりましたようなわけであります。併し府県知事の府県行政に即しての御意見でございまするから、政府といたしましては、決してこれを等閑に附することなく、今後におきましても十分誠意を持つて研究をいたしたいと存ずるのでありまするが、当時私がお話を伺つておりましたる際におきまする所感といたしましては、さような感想を持つたことを附加させて頂きます。
それからその後におきまして自治体公安委員の代表のかたがたをお招きいたしまして、この項目をお示ししてその御意見を伺うことにいたしたのであります。これらのかたがたの御意見といたしましては、自治体警察というものが今後の日本の警察の根幹にならなければならんものであるという根本的な考えの上に立たれまして、自治体警察を拡充し、これを強化するという一切の考え方は必要であり、賛成するけれども、併しながら国家地方警察をいささかでも強化し、或いは拡充をするという考え方は、その相対的な立場にあるところの自治体警察の相対的な地位を低からしめるという点があるので、これについては賛成いたしかねるというふうなお考え方でございます。それでその具体的なお話といたしましては、例えば自治体警察の定員を撤廃するということは、これはよろしい、又自治体警察が他の自治体警察に応援するということも、これはよろしい。そしてこれらの応援の場合における費用を国庫において負担することも、これはよろしい、併し自治体警察が他の自治体警察の応援をする場合におきまして、国家地方警察の指揮の下に、又その要請によつて動くということは、これは自治体警察の自主権を拘束するゆえんであるから、好ましくない、又現在地方自治体警察のうちには大きな自治体警察と小さな自治体警察がありまして、そうして当初私が申上げるときにこの点を申し落したのでございまするが、自治体警察のうちの小さな自治体警察をどうするか、この問題につきましては政府の考え方といたしましては、市の自治体警察は現状のままとし、町村につきましては町村自治体の自発的意思によつてこれを返上することを認める、又将来必要の場合においては復活することも認める、こういうことにいたしておつたのでありまするが、特ににこの点につきましては自治体公安委員の諸君が市町村の当局者、或いは住民が自治体警察を返上しようと考えることは、これは自治体が財政負担に困却いたしておるという動機から来るのであるから、政府といたしましては、地方財政平衡交付金のうちにおきまする警察費関係の部分をできるだけ十分に殖やすことによつて、地方財政の問題を解消する必要がある。そしてこれが解消が行われるならば、もはや自治体警察の存否の問題については何ら考慮する必要がなかろう。こういう御意向であつたのでございます。又かくのごとくに、自治体警察をできるだけ強化するという線を極力主張せられまする結果といたしまして、犯罪情報を国家警察に提供するというようなことは必要はない。それから又国家警察の定員を殖やすというようなことも面白くない。こういうような御意向が述べられたのでありますが、尤も自治体公安委員会の委員のかたがたの御意向というものは、必ずしも共通的なもののようには見受けられませんでした。主として十大都市程度の大都市、当時は大都市よりは仙台の公安委員長がお出でになつておられましたが、この程度の大都市になりまするというと、非常にはつきりと、今申上げましたような自治体警察を強化することはいいけれども、その半面において、国家地方警察の定員を増加したり、或いは権限を拡張したりするということは、その半面において自治体警察を相対的に低い地位に置くというそのために反対である。こういう御主張は主として大きな都市の公安委員会が強く主張せられておつた。小さな自治体の公安委員のかたがたは一、二の例外は別といたしまして、大体のかたがたといたしましては、おおむね政府案に対して格別の意見はない。どちらかと言えば賛成であるといつたような口吻を漏らされておつたようにお見受けいたしたのでございます。それからその後におきまして、又地方自治体の警察長諸君の代表者諸君と私的に会合いたしましたことがございまして、この際におきましても先ほど申上げました政府案の大綱について説明をいたしたのでございまするが、これらの諸君の御意見は、大体において大都市の自治体警察長が主として出席しておられました関係上、公安委員のかたがたと殆んど同じような点を問題にせられたのであります。併しながらこの警察長の諸君はもとより警察について長い経験者でございまするので、私といたしましても実際的な実情というものをよく申上げまして、そして国家治安上におきまする今日の必要性というものを、御説明いたしましたので、結局におきまして、根本的に政府案を否認するというような態度ではなく、できるだけ政府案の線に沿うて、ただ国家地方警察と自治体警察の間におきまして、無用な将来の紛議の起る虞れのあるようなことのないような線において、できるだけ、自治体、国家地方警察一体となつて将来の日本の警察力の能力を発揮する、こういう方針の下に具体的な事項を国家地方警察の代表者と会合して研究して見よう、こういうことになつたのでございます。
その後国家地方警察本部長官と、東京の田中警視総監、大阪の鈴木警視総監その他のかたがたの間におきまして、技術的な点において、いろいろな話合いを持たれておられます。それから又自治体の公安委員長と、国家公安委員会の委員長との間におきましても、お話合いの機会があつたことと存じておるのでございまするが、只今の段階といたしましては、大体政府の考えております各項目に亙りまして、自治体警察と国家地方警察とが、それぞれ現在の実情を話合いまして、治安の現下の要請に即応いたしまして、如何にすれば警察力を向上せしむることができるかという根本的な線に沿いまして、その具体案について話合いを進めておるという状況でございます。
実は私他のいろいろな所用に追われておりまして、最近におきまするその辺の技術的な話合いがどの程度まで進んでおるかということにつきまして、正確に調べをいたしておりませんが、丁度今日齋藤長官が見えておられまするので、その辺の詳細は齋藤長官から御説明を申上げたいと存じます。私といたしましては、この話合いというものによりまして、或る程度の具体的な案というものが作成せられつつありまするし、そうしてこの具体案の作成の過程におきまして、国家地方警察と自治体警察の当事者におきまして、意見が合致しない点がありまするならば、如何なる点において如何なる差異があるかということを明確にいたしてもらいたい、そうして合致できる点は合致せしめ、合致できなかつた点は合致せざるまま、私の手許に提出して頂きまして、そこで関係者相寄りまして、最後的な結論を出し、これを以て最後の政府案を確定いたしたい、かように考えておる次第でございます。
そうして国会提案の時期でございまするが、これにつきましては、予算的措置もございまするので、只今いつになるということは申上げかねるような状況でございまするが、ここ一カ月ぐらいのうちに提案するということは先ず困難であろう、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/2
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003・相馬助治
○相馬助治君 国警長官より技術的な、詳しい説明があるという今の総裁のお話ですが、是非承わつて置きたいと思うのです。併しその前にこの長官の説明が終つてまだずつと総裁はここで我々の質問を受けて、十分そういう時間があるのでしたならば委員長にその取扱を任せるのですが、そうでない場合には私ども基本的な問題でこの際総裁に二、三質疑したいことがありますものでありますから、その辺委員長どうぞよろしく取計らつてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/3
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004・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) それでは法務総裁はほかの委員会に出られるようでありますから、この際法務総裁に対する御質問をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/4
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005・相馬助治
○相馬助治君 先ず私は法務総裁に伺いたいことは、先の国会におきまして、本委員会において、法務総裁は秘密会を以て警察制度改正に対する政府の心組みを我々に発表せられました。事極めて重大でありますので、いち早く法務総裁は我々委員会に向つて忌憚なき胸のうちを披瀝されたという意味で、我々は大いに敬意を払つていたものです。と同時にこの問題については十分これは考えなくちやならないという我々は覚悟を持つていたと共に、この問題は未だ秘密に属するというので、実は私どもは党に帰つても、このことを、社会党といたしましても、国会対策委員会その他にも持ち上げずに、我々地方行政委員だけが胸にしまつて置いたわけです。ところが御承知のように突如として国家警察側からその全貌が新聞に出た。それはどういう経緯を以て出たのであるかということを我々は問題にする前に、何やら法務総裁が秘密であると言つて我々に話したことが、一体如何なる意味合を持つていたのであるかということで、甚だ不満に我々として思つたということを率直にこの際私は法務総裁に申上げて置きたいと思うのです。これらの経緯について、一つ法務総裁からこの際忌憚のない御意見を聞きたいということが第一点、第二点はこの問題は今日どういう形で国民の間に論議されておりますかと申しますと、国家警察と自治警察の縄張り争いであるというような印象を与えておる。これについては政府側は重大なる責任なしとしない。何故ならば最初の新聞における発表が、国警側の意見として出ていて、従いましてあの警察制度改正案を見たところの自治警察の人たちは、非常に驚いて、そうしてこれはえらいことになつたというので、法務総裁のお耳にも到達していると思うのでありますが、自治警察側なんかは、今日、政府並びに自由党頼むに足らずとして、非常に地方において、多くの問題を起し、今日あのようにおとなしい警察官が、とにかくこの段階においては、何とか組織を以て国会にも陳情しなくちやならない、そうして我々の意思も一つ各方面に向つて訴えなくちやならない、連日に亙り、委員会、総会、大会というようなものを招集して地方の治安維持上甚だ重大なる支障を來たしているということも、これは私ははつたりで申しておるのでなくて、実情を、総裁は認識されておると思う。従いまして、私はこの際お聞きしたいことは、先ほど申しました問題にからんで、つい四、五日前も、やはり今度は警察法はこうなるのだ、こういうふうな形で新聞に出ておる、総裁のお話を聞くというと、さきさきと話を我々に漏らして、一つ愼重なる御意見を承わりたい、こういう態度で參つていて、我々は了承するのであるか、そのうしろにおいてああいう新聞発表等を見るというと、何のことやらさつぱりわからない。従いましてこれらのことに関しまして、特にこの際法務総裁の立場から一つそれらの経緯について御説明をお聞きして置きたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/5
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006・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 警察法の問題につきましては、特にこの改正に関する案の取扱につきまして、私どもは当初から次のように考えておつたのであります。それは従来の経緯に鑑みまして、警察法の改正につきましては、ひとり我々が国内問題として重視いたしておりまするばかりでなく、総司令部におきましてもこの問題は、占領地の治安の問題として、極めて重大なる関心を払つておられる。殊に又過去におきまする我が国の警察制度が、ややもすれば警察国家的な動きを見せておつたということから見まして、日本の民主化ということを目的とせられまする占領軍当局から見まするというと、事極めて重大なる問題である、こういうふうな考えを持つておられるのではないかと推察をいたしておつたのであります。従いまして、この改正の案につきましては、私どもといたしましては、できる限り現在の警察権運用の実情を調査いたし、できるだけ各方面の御意向を参酌いたしまして、最善の案を作りたいとは思つておるのでございまするが、併し司令部当局が、司令部としての側から御覽になつておられるところと、我々の考えておるところが、必ずしも一致するかどうかはわかりません。従いまして我々といたしましては、一応の項目につきましてできるだけ早い機会において、関係当局と十分に懇談をいたしまして、我々の構想というものが、司令部の考えておられる線から余り隔つたものでないといことを確かめる必要があると思つておつたのであります。
そこで昨年あたりから、この問題につきまして、私どもとしましてはいろいろ研究も重ねて参りました。特に警察法につきましては、一昨年以来いろいろと各方面の改正意見もあり、国家地方警察の公安委員会といたしましても、その立場において研究をせられた改正意見もあり、又自治体警察におかれましても、自治体警察連合会とか、或いは公安委員会連合会、そういう会合におきましても、しばしば特別な研究機関を持たれ、そうしてその結論として、大会、総会その他の会合の総意によつて、決議をせられて、政府に提出せられてあるものもございます。これらの事項から総合いたしまして、大体差当り改正すべき項目を決定をいたし、これらの事項につきまして、司令部と自由な話合いの形で研究、共同研究を開始いたして参つたのであります。そうしてその結果といたしまして、或る項目につきまして、考え方が或る程度にまとまりましたので、これに基きまして、先ほど私の申上げましたるごとく、約一カ月前より地方の知事、或いは公安委員長、或いは警察長の諸君と話合いまして、そうして結論を得るように努力をいたしておるところなのでございます。
この間におきまして、新聞紙にいろいろと報道せられておるようでございまするが、政府といたしましては、これらの項目を持つておるということにつきましては、いろいろな機会に断片的に語つたところはありまするが、併しこれらの項目について、かくかくの具体案があるということは、未だ発表いたしたことはございません。又事実これらの項目についての政府の具体案というものは、未だ作成せられたこともないわけなのでございます。私といたしましては、ただこれらの項目についての具体案を確定する準備といたしまして、関係者といろいろ話合つておる次第でございます。これに関連いたしまして、自治体警察の側の諸君からいろいろ政府の意見に対して反対であるというような運動が出ておる。これは私も十分に承知いたしております。併しながらこれらの運動の始められましたる動機といたしましては、ただこれらの項目につきまして、未だ確定せざる政府の意見を或る程度想像いたしまして、その自治体警察の側において想像しておられる事柄について反対いたしておられるというような事項が多いのでございまして、政府といたしましては、まだ反対をされるような内容を持つた案を持つておらん、具体案を作成する手続中であるという状態でございます。最近におきまして政府のかような事情にあるということが、漸次自治体警察の諸君にも了解を得らるるに至りましたので、今日におきまして自治体警察の諸君が、治安維持を忘れてこの問題に東奔西走しておられるという事実は全くないと確信をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/6
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007・相馬助治
○相馬助治君 一応そうであろうと思う。私たちの想像通りの発言でありまするので、法務総裁の立場はよく了解いたします。で、併しながらこの地方の自治警察等が反対しておりまするのもただ單に杞憂ではなくて、やはり齋藤国警長官が談話というようなことで或る一部の新聞が報じ、それから又別に各項目についてかなり詳しいものが出たので、それについて地方の自治警察側に騒ぎが起つたのであつて、私どもといたしましては、これは極めて問題であると思つていたわけです。で、今のお話でこれは後ほど齋藤長官にお聞きすることに相成るわけですけれども、その辺の関連はよくわかりました。それから地方の警察官が今日そのような騒ぎをして、保安維持上まずいようなことにはなつていないと、こういう法務総裁の言葉ですが、表面的には確かにそうなんですが、実際問題といたしますと、例の自治警察から国家警察に移管されるときの定員でですね、国家警察の定員からはみ出した者は、一年間その職にあるけれどもあとは自然退職というような形をとるのであるというような筆法は、著しく自治警察の下層警察官を驚かせておるのです。と同時にこの警察制度改正案が、自治警察の下のほうの警官を非常に喜ばしているのです。と申しますのは、自治警察の今までの制度から申しますと、昇進する途もない人事交流の面で極めて矛盾があるために、意気沈滯しておる。それから自治警察の持つ矛盾を彼ら自身よく知つておる。そのときに政府の発表と、これは我々の生きる途を与えるものであるというので、或る面では非常なる関心を以て今日自治警察の警察官がこれを見ておるわけです。問題はこの間に処して自治警察の署長であるとか公安委員長であるというような人は、これは一種の繩張り争いからやつきとなつて、恐らく法務総裁の耳になんか入る以上に事実はやつきとなつての反対が、今日感情的にも続けられておるわけです。私はそういうことをそうした場合、具体的に表面にどうこう現われているということを申したのではないのであつてこういう実情並びに本委員会における種々関係者の速記も総裁は大至急取寄せて御覽願いたい。私たちは今日一番恐れていることは、繩張り根性的な立場から本問題が論議されることを、現在の日本の状態から非常に恐れておるのであつて、何も私が申しておることは、その政府原案に真向にどれもこれも反対するというような意図でなくて、極めて悲しむべき条件の上に本問題が論議されていることを恐れておりますので、以上のことを申上げたのでありまするが、その辺は総裁一ついわゆる下部では問題になつているということを、そういう意味で御了解して置いて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/7
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008・小笠原二三男
○小笠原二三男君 只今までの御説明で経過はよくわかつたのですが、ちよつと質問して置きたいことは、未だ政府案というものは、手続中でないのだということでありますが、先ほど来たびたびの御説明によりますと、地方の警察長は政府案に副うて、而も紛争の生じないような調整の方法をとるように考える方向になつたとか、或いは中小都市の公安委員会側では、大体政府案に賛成のような意向もあつたというような御説明があつたのですが、その場合の政府案というのは新聞或いは非公式に我々が事情をお聞きしております警察法改正の要綱というものを法務総裁は承知いたしておつしやつておられるのかどうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/8
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009・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 私は各関係者のかたがたにお示しいたしました政府案というものは、これは前回におきまして申上げましたるような、各項目についての大筋の私の考え方を申したわけであります。そうして政府案がまだ出ておらないと申しましたのは、大筋を今度具体的にこれを規定いたしまして、そうして確定的な政府案といたしたい、そのものはまだできておらないというわけであります。つまり大綱について或る程度考えがまとまつておりまするが、その大綱は実際の運用において、或いは実際の規定の面においてどうすればいいか、これにつきましては、国警、自治警、各方面の意向を総合いたしまして、できるだけ調整を加えまして、いざこざの起らないようなものを作りたいと思つておりまするが、それはまだできておらない、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/9
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010・小笠原二三男
○小笠原二三男君 そうしますと、この間中流布されておる要綱なるものは、法務総裁の独自の見解としてあるものであつて、政府としてこの方向で行きたいという何らの確定をしたことはないのである。こう了解してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/10
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011・大橋武夫
○國務大臣(大橋武夫君) 私、閣議におきましても、まだ大綱等について提案いたしたことはございません。従つて政府の、閣議において警察法に関係いたしましては、まだ何ら決定いたしたことはございません。それから政府案と申しましても、そうした政府全体、或いは国家公安委員会、或いは法務府としての案というような法案的なものは、まだできておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/11
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012・小笠原二三男
○小笠原二三男君 そうしますと、昨日参議院予算委員会で国警長官の御答弁で、自治体警察のほうにまで亙つてこうしたいという一つの要綱に基いた考えを御発表になつておられるのですが、その国警長官の立場はどういう立場で御答弁なされたか、この際お尋ねしたい発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/12
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013・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) この警察法の改正の問題は、自然政府におきましては私が担任いたすことに相成つておりるわけでございます。私といたしましては、事務的な問題につきましては、国家公安委員会の事務当局に協力してもらう、そうしてその足らざるところは自治体警察の諸君の中からこれを補つてもらうというようなことで、相協力いたしまして只今構想をまとめつつあるわけでございます。その中間的な御報告をいたしたことと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/13
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014・小笠原二三男
○小笠原二三男君 そういたしますと、昨日のあの御発表は、政府委員として法務総裁の意を体して御答弁になつた、こう了解してよろしいのですか。いわゆる政府側の意見として発表されたものと考えてよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/14
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015・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 政府委員として私と連絡の下に発言せられたものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/15
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016・小笠原二三男
○小笠原二三男君 先ほど相馬委員がお話になつた繩張り争いということもありましたが、私はそういう感情的なものは一分もないものであろうと、こういう公の機関と機関において、国家治安の確保を目的とするがために、公人としてお互いの意見を主張しているのであろうと私は考えておるのですが、先ほど来法務総裁のこの法案を具体化して行く手続として、国警側と自治体警察側と話合いをさせている。そうして調整をしているというのでありまするが、それは飽くまで国警長官であろうとも、或いは自治体警察の警視総監であろうとも、法の建前上対等な地位に立つてお互いの意見を交換し合い、一つの意見をまとめようと努力されていると思うのですが、一方国会内においては、国警長官として政府の意向というものを代弁する、そうして自治体に関することまで国警長官が意見を述べる、それが而も政府の考えであるというようなことになると、何となしに自治体警察側から見れば国警優先という感じを受けるのではないかと考えるので、そういう点から何となく私たちは新聞記事等を見て、困つたことではないかというふうに思つたのですが、どういう権限を国警長官に法務総裁として与えて、各関係筋の警視総監なり、或いは警察長なり、公安委員会等と話合いをさせ、案を練られているのか、この際誤解のないようにはつきりお説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/16
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017・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 国警長官が自治体警察の警視総監と話合いをいたしておるのは権限に基くというようなものではなく、事実上の行為といたしまして、責任者でありまする私が、この法案につきまして最後的な案を得べく努力をいたしております、それにつきまして事実上協力をいたして参つておるわけであります。そうしてその協力の方法といたしまして、自治体警察の警視総監の諸君には国警長官と話合いで私に協力してもらう、ひとり国警長官ばかりでなく自治体警察の警視総監の諸君も私に協力して頂いておるわけであります。これはもとより何ら権限に基くものではなく、全く事実上の協力であります。ほかに他意あるわけでございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/17
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018・小笠原二三男
○小笠原二三男君 それでよくわかつたように思うのですが、そうだとすると、昨日の御答弁のように法務総裁の意見を代弁するような形で、国警長官がおやりになると、やはり何かその間、別な考えを一般が持つのではないかと思われるので、こういう点……、私は何ら他意ないと思いますけれども、自治体警察のほうもいろいろ意見を持つているこの際、而も意見を調整しようとしてプライベートにお互いに話合うという一方の側のかただけの意見であるというような御答弁をすることは、これは困ることではないか、という意見をちよつと思い付きでお伺いしたわけです。
続いて、よく事情がわかりましたので申上げますが地方行政調査委員会議が、地方行政の事務配分の見地から警察法の改正等に基いて、警察制度そのものについて政府並びに国会に勧告するやの話を聞いておるのですがこの方面とはどういうふうに連絡をおとりになり、又意見をおとりになつておるか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/18
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019・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 神戸委員会のことと思いますが、神戸委員会に対しましては、私のほうも事実上の連絡をいたしておりまするが、神戸委員会におかれましても、警察法の問題を地方行政の立場から取上げて研究の上、必要があれば勧告をいたしたい。それについて現在におきまする警察制度の実情並びにその欠陷、これが改善の方途に関しまして、警察担当大臣としての私に対しまして意見の陳述を求められました。私この委員会に参上いたしまして、約三十分に亙つてお話を申上げたことがございます。併しその後におかれまして、委員会がどういう措置をせられたかを承知いたしておりません。
それから先ほど政府委員の答弁の問題につきましては誠に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/19
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020・小笠原二三男
○小笠原二三男君 もういいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/20
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021・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 御好意ある御注意を頂きまして、私といたしましては、御趣旨のほどをよく承わりましたので留意いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/21
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022・小笠原二三男
○小笠原二三男君 そうしますと、地方行政調査委員会議が勧告することは、大体確定的なように聞いておるのですが、勧告があるのを待つて、結局それも十分考慮の上確定改正案というものができて来るのだというふうに了解してよろしいでしようか。それとは別個に或る時期を画して国会に提案するというお考えでしようか。この際お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/22
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023・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 国会提案の時期につきましては、神戸委員会の勧告を待つておるということではなく、実はこれを実行いたしまするにつきましては、相当の予算的措置を必要といたしまするので、その予算的措置につきまして、何分の見通しを得たいとかように考えまして、目下時期を待つておるわけでございます。従いまして、神戸委員会の勧告がそれまでの適当なる時期において勧告せられました場合におきましては、もとよりこれを十分に参酌いたしたいと存じておるのでありまするが、若し勧告が遅れました場合においては、止むを得ないと存じます。尤もその場合におきましても、できるだけ最後案を確定いたします前におきましては、勧告案という形式的な文書が出ませんでも、できるだけ委員会の実質的意見を問合せまして、これを重要な参考資料といたすように努力はいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/23
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024・中田吉雄
○中田吉雄君 この法案提出の時期なんですが、総裁は今後一カ月以内に国会に提出することは困難であろうと言われたのですが、第十通常国会の期間はまだ大分あるのですが、どうなるでしようか。やはりこの会期中に出される予定でしようか。或いは予想されますような臨時国会でも召集された際に、予算的措置とからんで一緒に出される予定でしようか。その辺一つ法案の審議もありますので承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/24
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025・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 予算的措置の見通しでございまして、私どもといたしましてはできるだけ早い時期にと、従いましてでき得れば今会期中にと、存じておるのであります、併しながら予算的措置について何ら見通しなくして提案するということは避けたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/25
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026・中田吉雄
○中田吉雄君 そうなりますと、臨時国会になる公算が大ではないかと思うのです。如何でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/26
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027・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) その辺につきましては、まだ私といたしましては確答いたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/27
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028・中田吉雄
○中田吉雄君 これは改正法案が出てからいろいろ申上げたいと思うのですが、このたびの警察法の、警察の能率化、その他について問題になつています点は、私はこの総司令部との折衝における日本の主体性といいますか、そういうものが確立されておらないことから起きた点が非常に多いと思うのです。いつですか、ずつと前にこの自治体警察と国家警察に分けた際に、占領当初でもありますし、日本の実情を十分訴えて、それに即するような了解を総司令部に頂くということが極めて困難であつたことが、私は今日のような混乱を招いた非常に大きな原因だと思うわけであります。そこで特に希望して置きたい点は、総裁が先に、今大橋総裁のところで考えておられる改正内容と総司令部の意図されておるところとは必ずしも一致しないから、そのほうにマツチさせるために若干の調整が要るように申されたのですが、もう講和も近いとも称せられておりますし、私はむしろ総司令部の持つておられる意見を、日本の実情に即するように、十分マツチさせて頂くように引下して来ることが必要である。特に小さい市街地的な、人口五千というようなところまでこの自治体警察を持つて来たというようなことは、私は当時のこの警察法の成立の裏面の経緯を承わりまして、そういうふうに我々日本の警察制度についての十分な意見を吐露することができなかつたというようなことが私大きな原因だと思うのです。占領下でありまするので、非常に限界はあると思いますが、我々といたしましては総司令部の意見にこれをマツチさせるというよりかも、日本の実態を十分熱意を以て訴えまして、できるだけ日本の実情に適するような政府の持つている改正案に了解を得るということが私は必要だと思うわけであります。例えばそういうことにつきましては、この第八臨時国会におきまして、この地方税の改正案がシヤウプの勧告に基きまして、殆んどその勧告通りの改正がなされたわけであります。そこでそれを実施しました現在、非常なこの地方財政というものは一大混乱を来たしているわけであります。それは総司令部が非常に善意ではあるが、なかなか日本の実態に十分適するということはできない困難な実情が非常に多いと思うわけであります。そういう際に総司令部とされて大きな枠だけ示されて、それをこなす、占領政策に違反せん限界内で日本政府がこなすという形でありましたら、そういうような混乱はなかつたと思うのであります。我々がこの改正法案が地方税の出ました際に、シヤウプの意図される点は非常に画期的ないい点も多いが、なお竹に木をついだような実情に適しない点が極めて多い。そういう点を改正されたらより多く占領政策にマツチするではないかというようなことを申上げたのですが、政府職員は非常にこれが最善の法案であるという説明をされたわけであります。ところが地方財政委員会の職員が先般アメリカに行きまして、アメリカの地方自治体の実態を調査して来ましたところが、高い数百万の金が要つたと思いますが、そういう金を使つて、漸くアメリカのような非常に財政の豊かなところの改革を日本に杓子定規に適用いたしましたことは非常に重大な問題であるというふうに、第八国会に自分の説明したことに対して、高い出張旅費を出して漸く悟つたというような点もありますので、占領下でいろいろな限界はあると思いますが、大橋法務総裁が先に言われた日本政府の持つておる改正案が必ずしも総司令部の意図されておるところとマツチするとは限らないので、それに合すために調整すると言われましたが、前の改正の経緯に鑑みましても、限界のあることは十分わかりますが、むしろ日本の実態をよく熱誠を以て訴えて頂いて、合理性によつて、権威によつて押付けられるというようなことのないように、一つ特に大橋法務総裁に希望して置きたいと思います。そういうようなことがなされんと、又次々に一つの改革が新たな改革を必要とするという矛盾を次次に拡大すると思いますので、いろいろむずかしい事情はあると思いますが、その点を特に希望する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/28
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029・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 私の言葉が適切でなかつたために或いはお聞き誤りがあつたかと存じますが、私の申上げたいと存じました、又私がこの問題につきまして取運びたいと思つておりましたことは、政府案というようなものができて、そうしてそれがいよいよ食い違いがあつたというようなことでは非常に問題が紛糾いたしまするのと、それであらかじめ私どもの考え方と司令部の考え方と根本的な点においし調整して置くことが必要だという意味において大綱において先ず協議をいたし、そしてその範囲でこれを実施いたす面においていろいろ国内の関係の各方面と折衝をいたして、最後的な案を得たい、こういうふうにやりたいと思つて、そうやつたつもりなんであります。決してこれはあらかじめ司令部当局のお考えを聞いて、それに何でもかんでも合せるべきであるというのではないし、又そういうことであつたらば、司令部はあらかじめその意向を示されることはないと思います。司令部としましては我々の考えに対してこれを認めるか認めないかということの措置をされるのであろう。こういうふうに想像いたしましたが故に、あらかじめ大綱について、これならば司令部と政府の考え方がそう食い違つていないという確信を得て置きたい、こういうつもりでいたしたわけであります。決してこの司令部の意向にどうこうというふうな考え方ではなかつたということを御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/29
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030・中田吉雄
○中田吉雄君 もう一つ、これは一つ考えて頂きたいと思うのですが、国家地方警察の府県にある警察の民主化の点について、現在の三名ですかの公安委員会だけでは、実際運営管理について期待された使命を果すことが困難ではないか、そういう点で私は国家地方警察を全部自治体警察に一本にまとめてはというのは、一つの大きな考えだと思うわけであります。併しそれはともかくといたしまして、私は三名の国家地方警察の公安委員だけでは、実際小さい県でも六、七百人の警察官がおると思いますが、それらについて十分な運営管理をすることができない。我我の知つています公安委員の人のやつていることは、多くは国から頂くところの費用が足りないので、県から公安協力費というような名目で予算をたくさん取るというようなことが、公安委員会の大部分の使命であります。そうしてまあ悪口を言う人は、甚だ僭越ではありますが、駅に着いたら警察の自動車で送り迎えしたり、警察電話をもらつたりするのがせいぜいというほど、実際運営管理については無力であります。こういう点では私はやはり公安委員の数を五名にするとか、或いはその辺の改正がなされませんと、実際何らの、例えば管区本部その他の十分な手も届きませんし、非常に問題があつて、往年のような独善的な傾向が私は必ずしもないではないというふうに考えますので、一つ三名の公安委員で警察民主化の点について十分な機能が果されておるかどうかという点で特に一考をして頂きたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/30
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031・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 前回私この問題について御説明申上げましたる際におきましても、特に今日の府県公安委員の運用の実際ということについて中田委員から適切な御意見を伺つたのでございます。私の理解するところでは、今日の警察の民主化の根幹をなすものは公安委員会の制度であると考えておりまして、そうして警察法全体を眺めますると、公安委員会が警察の中心であり、その全権を掌握するという実をあげる必要があるし、又早くそういう状態にまで持つて行かなければ警察民主化ということは到底期待されない、こう考えておる次第でございまして、実は先般御説明申上げたる際におきましては、公安委員会の構成につきまして手を触れる考えはなかつたのでございまするが、中田委員の適切なる御好意等も参酌いたしまして、只今考えておりまする項目の中には、府県の公安委員については特にその任用資格を緩和するということにいたしてあり、これを以つて公安委員会の機能をより強力ならしめる一助といたしてみたい、かように考えておるのであります。この点につきましては中田委員に私といたしましては感謝をいたして置く次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/31
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032・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) ちよつと速記を止めて下さい。
午後三時五分速記中止
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午後三時二十九分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/32
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033・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 速記を始めて下さい。
次に公職選挙法の一部を改正する法律案を議題にいたします。
先ず衆議院側の提案理由の説明をお願いいたします。川本衆議院議員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/33
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034・川本末治
○衆議院議員(川本末治君) 只今提出いたしました公職選挙法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申上げます。
公職選挙法は昭和二十五年四月制定公布、同年五月一日から施行せられ、国及び地方公共団体の公職選挙法の基本法となつたのでありますが、選挙事務の執行に当つておりまする国及び地方の選挙管理委員会当局或いは各政党方面より本法施行の実際に徴し、且つは、本年四月行われることになつておりまする地方選挙即ち全国大多数の都道府県、市町村の議会の議員及び長の選挙を間近に控えまして、特に地方選挙の実際に即して更に本法の目的達成の完璧を期するためその改正が要望せられるに至つたのであります。
衆議院の地方行政委員会におきましては今国会の初め右の要望に応えるため選挙に関する小委員会を設置いたしまして、この小委員会は本年四月に行われる地方選挙に直接関係を有する事項についてのみ公職選挙法の改正を考究すること、且つこの地方選挙に間に合う時期に成案を得ることを目標とすることの基本方針の下に、幾度か小委員会を開き、政府の関係各当局も参加の上鋭意研究を続け改正試案を作成いたしましたが本委員会は更にこの試案を検討し修正を加えて地方行政委員会としての成案を得、これを院議に付しましたところ、大多数の賛成を得て可決せられましたので、ここに参議院の御審議を願うことになつたのであります。以下改正案の内容の概要を申上げます。
改正項目は十九の多きに達し、その内容はおよそ選挙技術に関する事務的事項であつて煩瑣に亙りますので、極めて簡略にその要綱を列挙するにとどめ一々その理由を申上げることは省略いたしますが、これを要するに立候補については無用の制限を緩和し、選挙運動についてはその公正を図ると共に選挙公営の趣旨を推進し、選挙事務についてはその明確化と合理化を期し、更に選挙告示の時期については選挙期日までの期間の短縮乃至臨時特例を設けて経費労力の節減に資するなど專ら選挙技術に改善を加えて選挙特に今回の地方選挙の執行を合理的、経済的且つ適正ならしめようとするものであります。
先ず改正の第一点は都道府県の議会の議員の選挙は三十日前に告示することとなつているのを二十日前にすることに改めたのであります。なお都道府県の議会の議員の選挙と都道府県知事又は都道府県の教育委員会の委員の選挙を同時に行う場合は従来通り三十日前としたのであります。
改正の第二点は、投票所の開閉時刻は特別の事情のある場合に限り、都道府県の選挙管理委員会の承認を得て、二時間の範囲内において市町村の選挙管理委員会がこれを繰上げ又は繰下げることができるものとすること。
改正の第三点は、全国選挙管理委員会の指定する交通至難の島その他特別の事情のある地域については、同一都市の区域内において不在者投票ができるものとすること。
改正の第四点は、地方公共団体の選挙における不在者投票について、投票用紙の様式は当該選挙管理委員会が定める旨の原則を政令で例外を設け得ることとすること。
改正の第五点は、地方公務員法附則第二十項に規定する公営企業に従事する職員で、政令で指定するもの、並びに臨時又は非常勤の嘱託員その他これに準ずる職にある者で政令で指定するもの及び非常勤の水防団員に対し公務員の在職中立候補の禁止を解除すること。
第六点は、自動車拡声機及び船舶の使用制限を新たに都道府県の議会の議員、市の議会の議員、市長及び市の教育委員会の委員の選挙についても行うこととし、この場合において選挙運動用自動車(候補者が乗用するものを含む)のために要した費用は、五大市の市長の選挙の場合を除いて選挙運動費用に加算することとすること。
改正の第七点は、都道府県の議会の議員、市の議会の議員、市長及び市の教育委員会の委員の選挙についても、新たに一定枚数の通常葉書の頒布を認めることとし、その費用は有料とすること。
改正の第八点は、長の決選投票の場合のポスターの枚数を限定すること。
改正の第九点は、選挙管理委員会の行う選挙当日のポスターの撤去は、選挙の前日及び当日においてすることに改めること。
改正の第十点は、市町村長の選挙について、公営立会演説会を条例の定めるところにより開催し得る途を開くこと。
改正の第十一点は、五大都市の市長の選挙について条例の定めるところにより選挙公報を発行し得る途を開くこと。
改正の第十二点は、都道府県の議会の議員、市町村の議会の議員、市町村長、市町村の教育委員会の委員及び長の決戰投票の場合の選挙についても新たに候補者の氏名等の掲示を市町村選挙管理委員会において行うこととし、その場所は、一投票区につき、一カ所とすること。
改正の第十三点は、立候補を辞退した場合の燃料、用紙の返還義務の規定に、無料葉書を追加し、新たに葉書、乗用車券、燃料、用紙等の讓渡禁止の規定を設けること。
改正の第十四点は、葉書、乗車券、燃料用紙等の讓渡禁止の違反に対する罰則を設け、その他罰則規定中所要の整備を行うこと。
改正の第十五点は、五大市の選挙管理委員会とその区の選挙管理委員会との職務権限の限界を政令の定めるところにより明確化すること。
改正の第十六点は選挙に関する届出請求、申出、その他の行為は執務時間中にするために午前八時半から午後五時半までの間にすべきこととすること。
改正の第十七点は、鹿兒島県大島支庁管内(大島郡)十島村のうち黒島、竹島及び硫黄島の選挙区の所属についての特例を設けること。
改正の第十八点は、地方公共団体の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律の規定により行う地方選挙の期日の告示は、昭和二十六年四月三日に統一して行うこととすることでありまして、更に第十九点としましては、その他これらに関連する必要な規定の整備等を行なつたこと。
以上が本案の内容であります。
右本改正案の提案の理由及びその内容の概要を申上げました。何とぞ速かに御可決あらんことをお願い申上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/34
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035・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) これは衆議院の提案になつておりますが、全国管理委員会としてこの改正案に不都合なことがあるかないか、その点について意見を述べてもらいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/35
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036・吉岡惠一
○政府委員(吉岡惠一君) この衆議院の提案の法律案には全般的に大体において私のほうでは異存はございません。ただ一点申上げて置きたいのは、百四十七条第二項の但書の改正であります。その中で選挙の前日及び当日までに、投票所の近所の一定距離のポスターを取ることに改正しております。これはそのまま残すことを希望いたして置きます。その一点だけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/36
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037・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) それでは逐条審議並びに御質問は次回に廻したいと思います。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/37
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038・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) それではそのように取計らいます。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時三十九分散会
出席者は左の通り。
委員長 岡本 愛祐君
理事
堀 末治君
委員
石村 幸作君
岩沢 忠恭君
高橋進太郎君
小笠原二三男君
相馬 助治君
中田 吉雄君
西郷吉之助君
鈴木 直人君
衆議院議員
川本 末治君
国務大臣
法 務 総 裁 大橋 武夫君
政府委員
全国選挙管理委
員会事務局長 吉岡 惠一君
国家地方警察本
部長官 斎藤 昇君
事務局側
常任委員会專門
員 福永與一郎君
常任委員会專門
員 武井 群嗣君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02119510309/38
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