1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月十二日(月曜日)
午後一時四十二分開会
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本日の会議に付した事件
○本委員会の運営に関する件
○小委員の選任の件
○地方税法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/0
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001・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/1
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002・吉川末次郎
○吉川末次郎君 議事進行並びに委員会の運営に関して一、三分間発言をお許し願いたいと思います。
この国会に、いろいろの案がこの委員会に付議されておるのでありまするが、まだその運びに至つておりませんけれども、先般来、当委員会において調査を開始いたしておりまする警察制度の改正は、当面の問題といたしまして、当委員会が本国会或いは次の国会になるかも知れませんが、最も重大な問題ではないかと考えるのであります。それにつきまして我々も従前の調査研究に基いて、この問題に対処いたす義務があるかと考えるのであります。ところが皆さんと共に我々日常非常に多忙でありまして、そのことに十分の時間を費す余裕がありません。かくて専門員を如何に我々の仕事に役立たすようにしてもらうかということは、国会全部の問題であると考えるのでありますが、専門員二人のうち、一人は地方財政及び自治制度の問題を主眼とし、又他の一人は警察行政及び消防行政の問題を中心に研究を願つておりますような手配になつておると、今日まで大体承知しておるのであります。殊にお二人のうちのその一人であるかたに、我々のそうした余裕のない立場に鑑みて、我々の職務を完うすることができるような完全な一つの調査を完了してもらいたいと思うのであります。これは私見が多少加わるかと思うのでありますが、私といたしましても、特に福永専門員に個人的にも御依頼をしておるようなわけなんでありますが、今度の警察制度の改正といたしまして、只今まで大橋法務総裁及び非公式の会合等において、齋藤国警長官等から政府の案を今日まで聞いて来たのでありますが、その案は説明のたびごとに若干の相違はあるのでありますけれども、只今まで公表されました範囲内におきましても、国警の警官数を現行制度によりまして、三万とあるのを五万に増加するということも改正の主要点になつているかと考えるのであります。そういう問題につきましては、我々今日なおにわかに賛否を表明するの段階に達しておりませんが、そういう政府が公式及び非公式の会合において今日まで発表いたしておりまするところの案を基準といたしまして、それよりも先立つてその前提として私は基本的に考えて見るべき問題がありはしないかと思われるのでありまして、それを先ず福永君に第一に勉強し、研究してもらつて、我々に御教示をお願いしたいと考えておるものであります。と申しますのはこの委員会におきまして、私たびたび大橋法務総裁にもお話しておることでありますが、基本的に日本の法律学というものの研究は、新憲法の制定発布に副うようないろいろな制度的な改正が部分的に行われましたけれども、併しながら、憲法の研究におきましても、新憲法と旧憲法とは全く基本的精神が異なるものである。にもかかわらず各大学等においても旧憲法の先生が依然として引続いて新憲法の講義をしている。それで註釈法学的な立場から文理解釈はもとより法律家としてできます。けれどもこれは一つの註釈法学的な法律家、ローヤーの立場において文理解釈がせられているだけでありまして、その基本的な、法律学者的な思想的な理解というものが非常に不十分であるように思われます。これはたまたま憲法の研究に際して、日本の憲法学界が当面しているところの一つの基本的な欠陥であると考えるのでありますが、憲法と非常に不可分の関係にありますところの地方行政の研究についても同様なことが考えられる。又そのほかの公法及び私法の研究につきましても同様な基本的な考え方の欠陥というものがありまして、そうしてそういう研究に沒頭しているところの学者の教授をオーソリテイとして、その説に従つていますところの国家公務員或いはその他の諸君というものが、やはりそうした欠陥を持つたところの、当面している日本の法律学、公法学及び私法学を通じての、全面的な欠陥の悪影響を受けているとかうところに、今日日本の政治全般の、法律全般の非常な欠陥があるのではないかということに、そういう懐疑的な眼を以て私は望んでいるわけなんであります。警察制度の改正の問題につきましても又同様なことが考えられるのでありまして、警察制度の改正は新憲法の精神に基いてアメリカからいろいろのアドバイザーが来まして、あの制度ができ上つたのでありますが、全般を通じて今言うような基本的な未成熟の段階に、日本の法律、政治制度がありますがために、同様なるやはり矛盾、撞着に逢着いたしておるのではないかということを非常に私は憂うるのであります。で、たびたび大橋法務総裁等にも申しましたように、例えばその名においても全国農村警察と飜訳すべきものが国家地方警察と飜訳されている、或いは都市警察と飜訳せらるべきところの言語が、自治体警察と飜訳せられて、そしてその訳語を基本にして考えている人が、英語で示されたところの言葉を通じての制度的精神から全く遊離した昔の警察制度的な見解に誤つて陥つている。即ちミス・コンセプシヨンに階つているというようなことがあるということもたびたび申したのでありますが、これは一例でありますが、併しこれも私は研究の十分なる余裕を持つておりませんから、今のこと等についても、一つ福永専門員が非常に根本的な研究をして、その結果を我々に示して頂きたいものと思うのであります。それで右のようなことから大橋法務総裁に私は質問いたしまして、十分な答弁を得ることができなかつたのでありますが、新らしい警察制度というものと旧憲法時代の旧警察制度とは基本観念の上においてどういう相違があるのであるかということを一つフアンダメンタリーに研究して明らかにされたいということが、福永君に要求いたしますところの第一点であります。
それから地方行政の全部についても同様なる私は矛盾があると考えておるのでありまして、その一つの例は最近の議員数減少の自治庁の通牒にも私は表示されておると考えるのでありますが、そういう点からして当然に日本の地方行政の研究及び憲法の研究、並びに私法の研究というようなものも、私が今まで申しましたような動向へ、新憲法に沿うてこれから日を追うて私はその方向へ、大学の法律学の教授の研究等もその方向へ、私は自然に行くと思うのであります。で、地方行政の研究につきましてもやはり頭の切換えが完全にできておらんものでありますから、何かこれを学者にその説を求めるならば、旧憲法の精神と不可分であるところの昔の行政法学者石ある例えば京都大学の佐々木惣一であるとか或いは東京大学の美濃部達吉というような古い先生の本でも引つ張り出して、何かその中から自分たちの得ようとするものを求めようとするような傾向からまだ一〇〇%脱却していない。併しながら当然、そういうものに求めたところで新らしい地方行政の精神がそれから得られそうなことはないのでありますから、自然にそういう方向へ変つて行きましよう。で、古い先生はもう年取つた人は駄目でありますから、学界におきましても、私はよく存じないのでありますけれども、そういう話をいたしまするというと、若い助教授階級のゼネレーシヨンの間から私が平素申しまするような萌芽が、芽が吹出ておるということも聞いておるのであります。警察制度問題につきましても昔でありまするならば、或いは松井茂であるとか、或いは高橋雄豺であるとかいう人がそういう研究の権威者とされていたのでありますが、何か京都大学の、やはり行政のほうのことを研究している人でそういう新らしい研究をしている人がある。そういう人の著書も最近出ておるというようなことも、関西の或る大学の教授から聞いておりますので、そういう若い新らしい学者の著書、或いは研究のプロダクトというようなものについても、一つ福永さん十分に研究して頂きたいと思う。我々もしたいと思いますけれども、時間がありません。それからなお今度の警察制度改正について、要するに全国的な犯罪というものを検挙、捜査するというようなことについて、こまぎり的に、地域的に区分されたいわゆる地方分権的な警察組織ではその成果を挙げることができないということが政府側の一つの重大な理由になつておると思うのでありますが、ところがアメリカではFBIでありますか、フエデラル・ビユーロー・オブ・インヴエステイゲーシヨンでありますか、そういう一つのフエデラル・ガバメントを通じての横断的な警察の制度がある。それは国警のほうでもアメリカへ出張された…、よくここに見える、名前は忘れましたが、よく太つた部長の人が調査に行かれて、調査報告を出しておられる。で、国会でこの話を一度聞くというようなことになつておりまして、鈴木直人君も賛成されたのでありますが、報告書は私の手許へ頂いておりますけれども、これ文多忙のため折角頂きながらまだ読まずにおるというようなわけで、これも一つ福永君のほうで十分よく研究して、そして又そういう新らしい学者や、既存のいろいろな政府側から出しておりますところの印刷物等も十分よく研究して、そうしてその結果を御報告願いたいと思うのでありますが、又オリジナリーにはいつか申しましたように、ロックフエラー・フアウソデイシヨンから日本のそういう研究者のために広く読んでもらいたいというので、日比谷の市政調査会館のライブラリーに多数の地方行政に関する書物を寄贈して来ております。それは向うの人が読むばかりでなしに、いろいろ我々にも読んでくれという希望なんだそうでありまするから、ポリス・アドミニストレーシヨンについてもそういうアメリカの本が多数来ておりますから、福永君は英語も上手なんでありますから、そういうことをよく研究して頂きたい。それから政府のほうからも今のFBIの説明を聞くという話でありましたが、これは役人のかたがいらつしやる前で失礼でありますが、立法府としましてはそういうふうに行政府から来てもらつて話を聞く、或いはレクチユアを聞くということは形式的に無見識な話なのであつて、立法府それ自身でそれを凌駕するところの研究をしなければならん。努力をしなければならん。その衝に当る人としては、これは福永君でなければならんのでありますから、そのつもりで一つ福永君がその問題についても、FBIの問題についても十分に政府の研究を凌駕するところの基本的な研究をして我々に一つレクチュアをしてもらうようにして頂きたいと思います。それとなお議員としては国会を中心にしてそういう調査研究をやらなければならん、我々がやらなくちやならんのでありますが、我々は十分なタイムがないのでありますから、我々の補助として福永君や、なおほかに立法考査局もあります。立法考査局にもそういうエキスパートがたくさんおられるのでありますから、立法考査局でも一つ委員長からもお話を願つて、そのために動員をして頂く。特に私の近付きの範囲内におきましては藤田という法学博士がおりますが、憲法や公法のことが専門でありまして、なお私が平素申しておりまするような日本の公法学の研究が当面しておるところの基本的な矛盾ということについては、私の言うことに非常に賛成もしてくれているのでありまして、同じような気持で了解してくれるだろうと思うのでありますから、藤田君等にも一つヘルプして、藤田君も又独自的に、同様の警察制度の改正の問題について研究を願つて、福永君と相並んで我々に御教授を願うようにしてもいいのじやないかと思います。これは私の私見も大分加わりましたが、一委員としての要求であります。
恐らく右のことにつきましては、ほかの委員のおかたの御共鳴を願えるのじやないかと思うのでありまして、若し御賛成が願えまするならば、右のように一つ委員会においてお取計らいを願いまして、そうして右の警察制度が新らしくこの委員会に付議されまするまでに、例えば一ヵとか或いは一カ月半とか期間を切りまして福永君非常に忙がしいと思いますが、一つ我々の要求を満足さすような調査を完了しまして、調査書をプリントにしてでも出してもらうと同時に、一時間くらいかかつて我々にその結果を報告してもらう、こういうふうに一つ願いたいと思うのですが、皆さんの御賛成がありましたら一つおきめを願うようお取計らいを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/2
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003・竹中七郎
○竹中七郎君 吉川さんの今の御質問に対しまして私もちよつと意見が違う点もあるのであります。ということは、日本が敗けまして━━━━━━━━━━現在の情勢におきましては、そうではいかないというふうになりまして、非常に緩和されつある。そうして今の冷たい戦争が起つている。こういうときにおきまして警察制度の問題でございますが、理論的には吉川さんは学者でいらつしやいますから、そういうふうにお考えになりまして、今の憲法並びにアメリカの警察制度というものは、日本では解釈が違うというようなお話になりました。現実の日本の状態を我々考えまして、アメリカにおきましても今のような農村警察或いは都市警察というようなふうにばらばらになりておりますから、FBIというようなものができまして全般的な調査その他をやつている。こういうことを考えますときにおきまして福永さんに私としてお願いして置きたいことは、どういうわけでそういうものを作らなければならなかつたかということと、それからもう一つは日本は軍隊がない、こういうような点は現在のアメリカと日本の状態とは非常な差異がある。この点を今の吉川さんの御提案の点もお調べになると同時に、この半面に、逆の方面も考えて一つお調べになつて頂きたい。そうしませんと、日本の現実というものに対してどうかというような感じも持ちます。これは私の私見でありますが、この点も一つ専門員のかたがたも双方を調べる。片方の逆のほうもお調べになつて、如何に日本の治安がうまく行くか、こういうことに対する一つの我々の参考になるようなふうなお調べを願わないというと、うまく行かないのじやないかと私は考えますので、この点を一つお願いして置きたいと思います。こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/3
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004・吉川末次郎
○吉川末次郎君 竹中さんのおつしやることには多少考えの違う点がありますが、御趣旨にそういうことを含んでの調査をしてくれとおつしやることについては全く賛成であります。引くるめて、とにかく我々が十分に調査するだけの時間がないのでありますから、一つそのためにいらつしやる専門員でありますから立法考査局の藤田君、その他の一切の機関を一つ動員して、そうして我々の職務を十分果たすことができるように、右のような調査に一つ着手して頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/4
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005・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) ほかに御意見ございませんか……。それでは福永享門員の力の及ぶ限り、只今吉川委員並びに竹中委員から御発言になつた警察制度に関する問題について御調査を願いたいと思います。なお藤田博士というような御推薦もありますが、これはもう少し調べさして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/5
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006・吉川末次郎
○吉川末次郎君 当然もう立法考査局もできるだけのことは、こういうことをするための調査機関でありますから、絶えずいろいろ私個人としては部屋に来てもらつたりして話はしているのです。藤田嗣治という洋画家の弟さんなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/6
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007・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 藤田何という……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/7
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008・吉川末次郎
○吉川末次郎君 藤田嗣雄ですか、憲法の本を書いております。何か陸軍大学の教授なんかしておつたようですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/8
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009・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) それではこの問題はこれで終りといたします。
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010・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 次に前の委員会におきまして地方財政の緊急対策に関する小委員会を作ることが御決定になりました。それで各会派から小委員になられるかたを御推薦を願いまして、自由党から安井謙君、高橋進太郎君、それから社会党から小笠原二三男君、中田吉雄君、緑風会から岡本愛祐、西郷吉之助君、民主党から竹中七郎君、第一クラブから石川清一君、以上八名でございます。以上のかたに小委員をお願いすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/10
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011・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) それじやさように決定いたします。小委員会はいずれ別にお開き願いまして、小委員長の互選を願いたいと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/11
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012・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 次に、地方税法の一部を改正する法律案につきまして予備審査を行います。御質問ございませんか……。それでは地方税法の一部を改正する法律案の趣意説明は願いましたが、まだ各條と言いますか説明を願つておりませんから、要点を説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/12
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013・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 委員長にお伺いしたいのですが、この記載要綱について申上げたほうがいいでしようか、或いは各條文について申上げたらよろしいでしようか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/13
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014・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 両方引くるめておつしやつて頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/14
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015・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) それでは地方税法の一部を改正する法律案の新旧対照表を差上げてございますので、それに基きましてお話をさして頂きたいと思います。
第三條の二は、新らしく附加えた條文でありまして、地方団体の長の権限とされております事項につきましても、当該地方団体の議会の議決を経て條例を定めますれば、これを税務に関する事務所の長に委任することができるということなのであります。地方自治法の一般原則によりましても、地方団体の長の権限を地方団体の吏員に委任することはできるわけであります。併しながら地方税法では事柄の重要性等に基きまして、各種の権限を、或いは地方団体の権限にし或いは地方団体の長の権限にし、或いは地方団体の長から吏員の権限にする等区分をしているわけであります。にもかかわらず地方団体の長の権限とされている事項を、地方団体の人たちで勝手に吏員に委任されることは好ましくないと考えますので、そういう場合にはやはり議会の議決を経て條例の定めるところによつて特定の人にだけ委任を認めよう、かようにいたしたわけであります。
第五條は、国民健康保険税を改正しました関係上生じました改正であります。
第九條は、納税義務の承継につきまして、当該義務にかかる申告又は報告の義務の承継をも行わせることが適当であると考えられますので、四項を追加したわけであります。
第十五條は、国税と地方税の徴収の順位に関する改正規定であります。現行法では差押に着手いたしました場合には、先に着手したほうの税が優先する、併しながらそれ以外に、例えば破産の宣告を受けた人がありまして、その際に破産管財人に対しまして、国税の側からと、地方税の側からと両方から税金の交付を要求をいたしました場合には、先ず国税の債権を充足いたしまして、余りがあつた場合に第二次的に地方税の債権を充足する、こういう方針をとつて来ておるわけであります。併しながら国税と地方税との間にそのような優先順に差等を付すべき当然の理由はないわけでありますので、交付要求をいたしました場合におきましても、国税と地方税との間においては同順位という原則を立てたいと考えるわけであります。同順位でありますから、国税と地方税の債権額に按分して徴収されるということになるわけであります。
第十八條は、税金の納め過ぎがありました場合は、納め過ぎになりました税金を還付いたしましたり、或いは未納の税金に充当したりするわけでありますけれども、その際には税金を納めるのが遅れました場合には、延滞金等を徴収いたします場合、地方団体が仮します金につきましては地方団体の側からそれに若干の加算金を付けることにいたしております。その加算金の計算につきまして二以上の納期において、又二回以上に亘つて納付されますところの徴収金等につきましては、いつから加算金をつけて来るか、又金の計算をどうするかということにつきまして若干複雑な問題があるわけであります。明文の規定を欠いておつたわけでありますけれども、法人税や所得税の方式に合せまして、第十八條の二項にその計算方式に関する規定を設けたわけであります。
第二十九條は、「異議の申立は、文書をもつてしなければならない。」ということを明確に規定することにした点であります。現在でも異議の申立は文書を以て扱うように取扱われておるわけなんでありますけれども、口頭による異議の申立の場合には、三十日を経過いたしましてなお決定のありません場合に、異議の申立が斥けられたものといたしまして、或いは訴願をする、或いは訴訟を起すというふうに、第二次の争いの手段をとろうといたしましても、異議の申立をいたしましてから三十日以上を経過しておるかどうかということが、必ずしも明らかでございませんので、やはりこういうことに鑑みましても、異議の申立は文書を以てしなければならないということを明確にして置いたほうがよろしいというふうに考えたわけであります。
第三十一條の改正は、新たに附加価値税の計算におきまして加算法を採用することができるようにいたしました関係上、言葉の使い方を、控除方式による場合におきまして若干改めたほうがよろしいと考えました関係上、そういう意味合いにおいて修正することにしたわけであります。即ち「支出金額に算入する。」と言いましても、改正案のように「附加価値額から控除する。」と言いましても同じことでありますが、加算方式との関連上、言葉の使い方を改めただけのことであります。
第三十一條の二は、附加価値額の計算につきまして、従来の控除法による方式のほかに、新たに加算法による計算方式を認めようとする点であります。で加算法によりますところの附加価値額の計算は、第三十一條の二の第一項に書いておりますように、各事業年度の所得と、当該事業年度中において支払うべき給与、利子、地代及び家賃の額の合計額によろうとするわけであります。大体において長い眼で見ました場合には、控除方式によりましても、加算方式によりましても、附加価値額の計算は大体同様な結果が得られるわけであります。そこで附加価値額の計算は控除法によつてやろうとする原則はそのままにいたしておきまして、ただ控除法によりましては附加価値額の計算の困難なものにつきまして、加算法の採用を認めよう、こういうような考え方をここでしたわけであります。従いまして個人の場合には、控除法によつて計算することは困難であるということは余り考えられませんので、法人についてだけ、このような方式を認めようと考えているのであります。半面に法人でありましたならば、青色申告書の提出を認められております限りにおいては、自由な選択によつて加算法を採用させようと考えているのであります。ただいつでも勝手に加算法を選べるということにいたしましては、企業が固定資産の拡張をやりましたときなど、自分が有利なときにのみ加算方式を採用するというようなこととなりましても、却つて不公平になりますので、加算法を採用するかしないかということを決定するのについては、一定の期限を置くことにしたわけであります。即ち第五項に書いておりますように、「加算法によつて附加価値額を算定しようとする法人は、昭和二十六年十二月三十一日までに、当該道府県の條例の定めるところによつて、あらかじめ、事務所又は事業所所在地の道府県知事にその旨を届け出なければならない。」届け出さえすれば自由に加算法を採用することができる。併しながらそれは一定の期限を置くという建前をとることにしたわけであります。その後において控除法から更に加算法に移りたいと思いましても、原則的にはそれを許さないことを建前にいたしております。併しながら六項に書いておりますように、「青色申告書の提出を認められている法人で控除法によつて附加価値額を算定しているものは、その事業の内容を変更したことに因り控除法によつて附加価値額を算定することが著しく困難である場合においては、その事務所又は事業所所在地の道府県知事の承認を受けて、加算法によつて附加価値額を算定することができる。」ということにいたしておるわけであります。即ち事業の内容でも変更しない限りにおいては、控除法によつて附加価値額を算定することが困難となることはあり得ないという考え方であります。第二にはそのように事業の内容を変更するという條件を加えておりますので知事の承認がなければならないという建前をとつたわけであります。なお選択を認めますところの最終の期限以後に、新たに事業を開始いたしました法人につきましては、やはり同様その企業の自由な選択によつて加算法をも採用させようといたしております。又青色申告書の提出を認められている法人に限つておりますのは加算法によりますと、所得の計算をしなければならないわけであります。所得の計算につきましては、損益の計算がかなり複雑であるわけであります。損益の計算になつて参りますと、控除法の場合以上にやはり青色申告をしておりますことが大切なことになつて参るわけであります。そのような意味合いの下に、青色申告書の提出を認められている法人に限ろうとしているわけであります。なお、加算法の採用をする法人につきましては、道府県知事はこれを公けに告示いたしまして、そのような特別な計算方法をとろうとする企業というものを一般に明らかにして置こうと考えております。その趣旨の規定が以下に書いてあるわけであります。
第三十一條の三は、附加価値額の算定方法に変更があつた場合にどういう計算の仕方をするかという問題であります。例えば控除法から加算法に移ります場合には、控除法でありますと固定資産を取得いたしました場合には、まるまる総売上金額から控除してしまつておるわけであります。ところが加算法に移りました場合には、所得の計算に当りまして、又減価償却の済んでおりません固定資産につきましては、更に減価償却額だけを損金として益金から控除が認められて所得が計算されるわけであります。そういたしますと、控除法をとつておつた時代にすでに固定資産の取得額がそれぞれ総売上金額から控除されておるにかかわらず加算法に移りまして、更にその同じ固定資産につきまして減価償却額が更に控除されて行くということになるのであります。二重に控除される不合理が生じて参りますので、こういう問題の処理を明らかに規定して置かなければならないわけであります。そこでこういう場合にはすでに控除をしてしまつた部分でありまして、将来所得の計算においては減価償却額がなお控除されて行くというふうな部分は、一応附加価値額に計算してしまう、それから後は本来の加算法の方針によつて計算をして行く、こういう建前をとろうとしておるわけであります。半面に加算法から控除法に移ります場合にも、それに似通つた問題があるわけであります。なお棚卸資産等についても同様な問題が生じて来るわけでありますが、そういうことを三十一條の三に規定いたしておるのであります。
第三十三條には附加価値税の税率の年度区分の規定があるわけでありますが、概算納付或いは概算申告納付の場合には、どの年度の税率を用いるのかということが必ずしも明確ではございまんでしたので、ここに概算期間の末日の属する年度の税率によるのだということを書いて置こうといたしておるわけであります。
第三十三條の二は、二種以上の事業を合せて行う場合における附加価値税の算定につきまして、やはり同様に明確な規定を置こうとしておるのであります。水産業の場合と製造業の場合においては税率が違うわけであります。併しながら水産業を行い、且つ製造業を行なつておる事業につきまして、これは水産業の附加価値がある、これは製造業の附加価値があるということを個々に計算をすることは不可能であります。そこで同じ事業を営んでおります場合は、製造業と水産業を通ずる附加価値額を計算いたしまして、その上でこの附加価値額を水産業に属するものと、製造業に属するものと、それぞれ総売上金額に按分して分けたいと考えたわけであります。その結果出ました水産業なり、製造業なりの附加価値額に対しまして、それぞれの税率を計算しまして、附加価値額を算定して行きたいというふうに考えておるわけであります。
第三十五條は、附加価値税の申告納付につきまして、例えば一事業年度を六カ月超えております場合に、六カ月を経過いたしましてからあとに又、事業年度を通ずる附加価値額は計算されていないわけでありますけれども、概算で附加価値税を納付する建前をとつております。その場合の概算納付につきましては、前事業年度の附加価値額の月割分だけを課税標準といたしまして、概算で納付するという建前をとつておるわけであります。前事業年度の附加価値額の月割を基礎として納付いたします以上、そこに見込み違いがあるとかないとかいう問題は生じないわけであります。従いまして府県知事に対しまして更正、決定の権限というものを認めないことにいたしております。若し違つた数字で申告いたしました場合には、それはむしろ虚偽の申告になるのではなかろうかというふうに思われるのであります。又納めない場合には滯納になるのではなかろうかというふうに考えられるわけであります。併しながら二十六年度から事業税の法人分につきましては、従来の附加課税の処分から申告納税の方式に変えようと思つております。自然二十七年度から行われます附加価値税については、概算納付につきまして今申上げましたような余りに型にはまり過ぎた方法をとらないでも、或る場合にはもつと大幅に当該事業年度の附加価値額の見込額に基いて、概算納付できる途を開いたほうがいいのではないかと思われるのであります。そこで概算納付を二つにわけまして、原則的には前事業年度の附加価値額の月割分を課税標準といたしまして、概算納付します場合につきましては都道府県知事の更正決定の権限を認めません。併しながら当該事業年度の附加価値額が前事業年度の附加価値額よりも著しく下廻ると認められますときには、当該事業年度の附加価値額の見込額に基きまして附加価値額を概算納付することにいたしてよろしいのでございます。これを従来は前事業年度の附加価値額の五割以下に下げる場合でなければ認めなかつた。併しながら七割以下になるという場合にも当該事業年度の附加価値額の見込額に基きまして概算納付をさせ得る、かように考えているわけであります。これは当該事業年度の見込額に基いて納めて行くわけでありますから、そこにはやはり見込み違いという問題もあるわけでありますので、府県知事に対しまして更正又は決定の権限を認めて置こうといたしているわけであります。そこで両者を使い分けする意味合いにおきまして、今申上げましたものは概算申告納付という意味であります。前事業年度の実績に基いて納めておりますものは、従来の概算納付、かように言葉の使い分けをしようとしているわけであります。前事業年度の実績に基いて納めておりますものを概算納付、当該事業年度の見込額に基いて納めましたのが概算申告納付であります。概算納付につきましては府県知事に対して更正、決定の権限は認めない。又概算申告納付につきましては府県知事に対して更正、決定の権限を与えようという趣旨の改正であります。
第三十六條の法人附加価値税の概算納付も申告納付も、同趣旨に基きますところの言葉の修正であります。
第三十七條の個人の附加価値税の概算納付、又は概算申告納付も同様の修正であります。従来なら当該年度見込額が前年の二分の一以下に附加価値額の見込額が下らなければ、その見込額を基礎にして納付できなかつたのでありますが、今度は十分の七以下にしか低下しない場合でありましても、言い換えれば低下する度合が少い場合でありましても、見込みによつて納めることを認めようとしております。
更に第三十八條は、個人の附加価値税の申告納付につきまして、やはり今申しました点の字句の修正であります。
第三十九條のほうは申告納付につきましては、常に修正申告納付の権限を納税義務者に認めているわけでありますけれども、概算申告納付の場合にもやはり修正という問題が起きますので、納税義務者に対しまして修正概算申告納付の権限も認めて置こうとするものであります。
第四十條の概算納付、概算申告納付、或いは修正概算申告納付の言葉使いの関係から生じました修正であります。
第四十三條は同様概算申告納付又は修正概算申告納付の制度をとりました関係上、それらにつきましても罰則の規定を五号と六号とに追加いたしているわけであります。
第四十四條も同様の趣旨の改正、三項の「異議の申立は、文書をもつてしなければならない。」という規定の挿入であります。
第四十七條は、附加価値税の更正及び決定の権限を書いたところでありますが、先ほど申上げましたように概算納付につきましては更正又は決定の権限を知事に認めておりませんけれども、概算申告納付、或いは修正概算申告納付につきましては更正、決定の権限を認めようとする趣旨の改正であります。
第四十八條は今申上げました関係上の字句の修正であります。四十九條も同様であります。第五十一條も同様であります。
第五十二條の青色申告書による申告手続につきまして、新たに設立した法人についての申請の期限を二項に挿入いたしたわけであります。そのほか五項に若干の言葉を附加えておりますが、法人税や所得税に関するものと言葉を合せている程度の修正であります。
第五十三條は、やはり先ほど申上げました概算申告納付の関係に伴つて生じましたところの言葉の修正であります。
第五十四條は、二以上の道府県において事務所又は事業所を設けて事業を行う場合の申告納付等に関する問題であります。今まで申上げましたほかに第三項は分割の基準に関する改正を行なつているわけであります。即ち従来二以上の道府県におきまして事務所又は事業所を設けて事業を行なつておりますものにつきましては、全事業所を通じて計算されましたところの附加価値額の総額というものを事業所の従業者の給与額に按分して、按分された附加価値額にそれぞれの道府県の税率を乗じまして、附加価値税というものを計算して参つたわけであります。併しながら市町村民税につきまして、新たに法人税割を設けまして法人割、この市町村間の分割につきまして従業者の給与額をとるといたしますと、市町村においてその分割の方式が正しかつたか、正しくなかつたかを判別することが非常に困難に思われるわけであります。そこで従業者の数でありましたら、その市町村にどれだけの従業者がいるか、その企業の全従業者は何人であるかということは割合に明確にわかるわけであります。従いまして、法人税割の分割が正しくないか、正しいかということを市町村長が判断しやすいわけであります。これと附加価値税の場合と歩調を合せたほうがよろしいと思われますので、それらの事由もありまして、従業者の給与額に按分しておるのを従業者の数に按分することにいたしたいのであります。なお又特定のものにつきましては従来も固定資産の価格の二分の一を従業者の給与額に按分しておつたのでありますが、この複雑な分割方法をとりますところの事業というものを更に限定をいたしたい、同時に従業者の給与額は従業者の数に改正をしたい、こういうふうに極めて簡素な方式によつて分割を行うことにいたしまして、成るたけ納税義務者の便宜にも即したいというふうに考えたわけであります。二種の分割方法を用いますのは、電気供給業、ガス供給業、地方鉄道事業、軌道事業及び倉庫業だけに限ろうとしているわけであります。これらは固定資産が非常に大きいものでありますので、従業者の数だけでは分割の基準として穏当ではなかろうと、こういうふうに考えたのでありますので、これだけを残したわけであります。
第五十七條の二は、外国法人の場合における主たる事務所又は事業所所在地の道府県知事の意義をここに明確に書いたわけであります。
第五十八條は、異議の申立について文書を以てしなければならないと定めた点であります。第六十一條も同じであります。
第七十條は、来年一月一日から附加価値税が実施せられるわけでありますけれども、今年の十二月三十一日以前に解散した法人につきまして、なお残品の処理でありますとか、或いは残業の整理というふうな意味合いにおきまして、物品を販売いたしましたり、製造業を継続したりする場合におきまして、これらの法人事業に対しまして、附加価値税を課すべきであるか、或いは事業税を課すべきであるか、多少問題があるわけであります。そこで二十六年十二月三十一日以前に解散した法人につきましては、清算が結了していませんでも、やはり将来に亘つては事業税を課することにいたしまして、附加価値税は課さないということにいたしたいために、この但書を加えたわけであります。
第七十一條は、昭和二十七年一月一日の属する事業年度にかかる附加価値税につきましては、今年の十二月三十一日以前の分につきましては事業税の計算方式をとります。来年の一月一日以後の部分につきましては、附加価値税の計算方式をとるわけであります。そこで税率をどの税率によるかということが必ずしも明確ではございませんので、四項に念のために昭和二十六年度の事業税の税率によるのだということを書いたわけであります。
第七十三條は、概算納付と概算申告納付との関係の修正であります。
第七十四條の二は、附加価値税に関する規定が適用される日以前に取得した固定資産の取扱いを書いたわけであります。附加価値税の場合には、固定資産を取得いたしましても、取得したときにその支払金額というものを一時に総売上金額から控除してしまうわけであります。そういたしますと、固定資産の整備の終つた企業につきましては、将来に亘つて総売上金額から控除されるものはないわけでありますから、来年の一月一日以後において、固定資産の整備を行なつて行きますところの企業につきましては、控除されるものが非常に多くて、たまたま固定資産の整備がいつ行われたかということによりまして、企業の附加価値税の負担に非常な不均衡を生ずるわけであります。この不均衡を是正する意味合いの下に、今年の十二月三十一日以前に取得された固定資産につきましては、まだ減価償却の済んでおりません部分だけは将来に亘つて控除を認めて行こう、こういう趣旨の改正規定であります。読ませて頂きます。
昭和二十七年一月一日の属する事業年度又は昭和二十七年度の附加価値税について第五十二條第一項の規定によつて有色申告書を提出することの承認を受けた法人又は個人に対しては、その各事業年度又は各年の附加価値額の算定上、法人にあつては昭和二十七年一月一日の属する事業年度の直前の事業年度の末日以前、個人にあつては昭和二十六年十二月三十一日以前に取得した固定資産で、その購入代金が第三十條第七項の特定の支出金額に算入されるべきものであり、且つ、これらの日の後において当該固定資産について法人税法文は所得税法の規定による減価償却が認められるものは、当該固定資産のこれらの日における帳簿価額を政令で定める基準によつて調整した額をその残存耐用年数で除して得た額を同項の特定の支出金額とする。
ということにいたしたいのであります。即ち附加価値税が実施された場合には固定資産取得額がまるまる控除されるもの、それ以外の従前から持つております固定資産につきましてはまだ減価償却の済んでおりません部分の額を将来の残存耐用年数で除して得た額を毎年々々総売上金額から控除を認めて行こうとする趣旨であります。このように総売上金額から控除をいたします額を保障するのでありますから、附加価値額を算定するプラスになるものにつきましては明確な規定の行われておるものでなければならないと考えますので、青色申告書の提出を認められておるものに限ると考えておるのであります。なお又残存耐用年数が企業によりましては三十年、四十年に亘るものもあるわけであります。三十年、四十年に亘りまして毎年心々控除を認める額を計算して行くということにいたしましては、非常に複雑になりますので、一定の時期までに将来に亘る控除額というものを確定してしまいたい、かように考えているわけであります。その意味合いにおきまして、第七十四條の二の第一項の但書に「各事業年度又は各年において第三十條第七項の特定の支出金額に算入されるべき額については、法人にあつては昭和二十七年一月一日の属する事業年度の末日までに、個人にあつては昭和二十七年三月三十一日までに、地方財政委員会規則で定める手続によつて、それぞれ事務所又は事業所所在地の道府県知事の承認を受けなければならない。」ということにいたしておるわけであります。先に将来に亘る控除額というものを知事の承認を受けさせてしまつて置きたいというふうに考えておるわけであります。第二項は事業所が二つ以上の道府県に跨がる場合のことであります。第三項は、固定資産を売却いたしました場合に、又は控除未済の部分がありました場合には、その部分だけを売上金預から差引くと認めなければなりませんので、その趣旨の規定であります。
以上が、附加価値税の改正の規定であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/15
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016・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 以上総則並びに附加価値税について御質問ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/16
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017・小笠原二三男
○小笠原二三男君 ないわけじやないのですが、言われたからすぐ質問する、そういうことは困るわけなんで、その点委員長において十分御考慮願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/17
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018・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) それでは続いて一応都道府県税をやつてしまいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/18
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019・中田吉雄
○中田吉雄君 一言質問しますが、未だこれを実施しないうちに、改正するという問題ですね、そうするとこれはこの後出ざれたときには、甚だ自信のない、まあ総司令部がいるから仕方がなしに出したのだというふうになるのですか。これは一体我が社会党は反対したのですから、これに対する責任は負わないわけなのですが、どのような責任を一体政府は負うべきものなのですか。住民税や何かのいろいろな摩擦などがあるからこれを改正すると言うならいざ知らず、未だこれを施行しないのに……、これほど広汎な技術的な問題なのですけれども、我々その辺、立案者並びに提案者の責任の所在、確信の度合というようなものについて一言承わつて法案の審議の心構えにしたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/19
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020・小野哲
○政府委員(小野哲君) 中田さんが言われたように、未だ実施しないものについて改正をするということは、如何にも責任がないというふうなお話でありますが、地方税法案を最初提案いたしました際におきましても、或いは部分的には総司令部側との間において、なお検討を要する問題として残されておつたものもあるわけであります。又その後国会の審議の過程において、いろいろ論議された問題も生じております。更に第二次シヤウプ勧告によつて研究をいたさなければならないものも起つて参つたのであります。政府におきましては、これらの諸般の事情を考慮いたしまして、成るべくならば、実施前において相当研究をすべきものは研究をいたし、その上で実施をするようにすることが必要であろう、かような心組で今回相当技術的な問題が多いのでありますが、この際実施以前において成るべく整備をいたして実施をするようにするということがよいのではないか、かたかた国会においてもいろいろ御検討になつた点も取入れるように努めて参つたわけでありまして、さような心組であつたことを申述べて置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/20
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021・小笠原二三男
○小笠原二三男君 この附加価値税については、岡野大臣再三の御答弁で、最善にして最良なるものであるということがあつたわけですから、我々はそれを信ずる限り岡野大臣にこの点はよくお聞きして置く必要があると思うので、この程度で保留して置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/21
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022・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) それでは八十三條、入場税から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/22
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023・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 第八十三條の改正点も異議の申立に関する先ほど来申上げた点だけであります。
第九十九條も同様であります。第百二條も同様であります。百三十一條、百三十四條も同様であります
第百四十七條の自動車税についての改正点は、第二項に新たに「前項各号の税率は、その税率を標準として当該各号に掲げる自動車の種類によつて更に区分することができる。」といたしたのであります。従来からもこれを禁止いたしているわけではございませんけれども、自動車には、トラックと言いましても、いろんな型がございますので、むしろ標準的なトラックやバスについての規定、或いは、標準的な乗用車についての年額の定めであるといたしまして、その課税客体の如何によりまして、この標準税率より以下の税額を定め、或いは上の税額を定めても、全体としては、標準税率による課税であるというふうにいたしたのであります。
第百五十四條も異議の申立に関する修正であります。第百五十九條、第百六十四條、第百六十七條、第百七十三條、第百八十七條、第百九十七條、第二百條、第二百十七條、第二百二十二條、第二百二十七條、第二百三十條も同様異議の申立に関する修正点であります。
第二百四十二條の狩猟者税に関する改正は、これらの税金につきましては、罰則におきまして体刑は除外したいというふうに考えたのであります。第二百四十三條は、異議の申出に関する修正であります。
第二百四十五條、第二百四十六條は狩獵者税に関しまする罰則の中から体刑をやめてしまいたいというように考えた規定でありまする
第二百五十條、第二百五十三條、第二百六十八條、第二百七十三條、第二百八十二條、第二百八十五條はそれぞれ異議の申立に関する修正であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/23
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024・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 以上で都道府県税の一応の説明が済みました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/24
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025・小笠原二三男
○小笠原二三男君 あと大臣がおいでになりましたら、お伺いしたいのですが、この際当局者に伺いたいのですが、入場税、遊興飲食税というのは、根本的に法の改正をする必要がある段階ではないかというふうにも考えられる各種の陳情、請願等があつたわけですが、こういう技術的なほんの些細な点だけの修正にどどめられた経過について、詳しく司令部との折衝その他のお話を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/25
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026・小野哲
○政府委員(小野哲君) 私から御答弁いたしますが、入場税或いは遊興飲食税が税率において非常に高いということは、私どももよく承知しておるのであります。同時にこれらの税につきましては、従来からできるだけ軽減して参りたいという考えの下に、逐次軽減の方向に歩みを辿つておるようなわけでありまして、昨年の地方税法の改正に当りましても、相当これが減額をした。ただ問題は、税の高いのはわかつておるのですが、この二つの税が府県の重要な財源になつておる。かような関係から、これを将来府県の財政事情等と考え合せまして、更に軽減の方向に持つて参りたいという気持には変りがないわけでありますけれども、今回の改正においてこれに手を付けるという段階にまではまだ来ておらないのではないか、或いは財源をどこに求めるかというふうな点も考えなければなりませんので、関係方面との折衝に当りましても、かような点についてまで種種協議を進めるということはいたさなかつたわけでありましては、将来の研究に待ち、又情勢の推移によりまして適切な措置を講じて参りたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/26
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027・小笠原二三男
○小笠原二三男君 それならば二十五年度における地方の入場税、遊興飲食税等の徴収状況に鑑みて、現行法以下に税率を下げる場合には、予定税収額を得られないというふうにお考えになつておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/27
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028・小野哲
○政府委員(小野哲君) お説の通りでありまして、現行税率を下げるという場合においては、予定の税収額を確保することは困難であろう、他に代り財源等を持たない限りはなかなか困難ではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/28
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029・小笠原二三男
○小笠原二三男君 そういう点については資料を以て御説明できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/29
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030・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 現行税率に基く收入見込額というものを資料としても提出いたしておるわけでありますが、税率が下ればその資料の点につきましても当然変更を加えなければならないと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/30
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031・小笠原二三男
○小笠原二三男君 徴収方法なり、その課税対象の把握等において欠陥があるために予定の收入を得られないのではないかというふうな考え方もあるのですが、これも一つの原因として考えられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/31
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032・小野哲
○政府委員(小野哲君) 只今のような御意見もあり、又財務当局で研究いたしました結果、この前の地方税法の改正におきましては、徴税の方法等についても一段と整備するように改正をお願いしたわけであります。従つて二十五年度のこの地方税法の実施に伴うてどんなふうな工合になつたかということを的確に把握できます時期が参りました場合においては、なお相当正確な資料によつてお話ができるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/32
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033・小笠原二三男
○小笠原二三男君 そうですと、適当な財源が得られる措置が判明して来れば、この二つの税そのものの税率は引下げられるのが至当であろうと思う。現行法自体は最善にして最良のものではないというふうなお考えであるというふうに了解しておいてよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/33
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034・小野哲
○政府委員(小野哲君) 税率は低いほど納税者としては歓迎することになるわけでありますが、一面地方公共団体の財政の現況ということにつきましても関心を十分に持つて行かなければならない点であります。従つてこの間をどういうふうにすれば調整ができるかというところに、問題の帰着点が発見されると思うのでありまして、政府の考え方としては、できるだけこの種税率については、将来おいおいと軽減するような方向に持つて参りたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/34
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035・中田吉雄
○中田吉雄君 事務当局にお願いしたいのですけれども、私は税率を下げても、それに比例してこの入場税と遊興飲食税の額というものは減らんのじやないかという考えを持つておるのですが、入場税と遊興飲食税との相関関係ですね、どの辺まで下げれば脱税を奨励するようなことにならずに、同時に大体の予定する目的を達することができるかという限界があると思うのです。下げるのと徴税額との交叉点が……、その測定を一つお願いしたいと思うのですが、我々、映画業者なんかにいろいろ聞いて見ますと、映画業者はやはり入場税を下げると、政府が予定されておるのより少し下がるであろうというふうなことを聞いたのですが、遊興飲食業者のほうでありますと、下げても大体政府が予定されている額は納められるのではないかというようなことを言つていまして、私が自分の県でいろいろ調べたところによりますと、普通の遊興税を百分の四十正規にかけますと、あのうちは高いから行かないというので、うちは百分の二十にするから、うちは百分の二十五にするからというので、とても百分の四十という税率をやつては、遊興飲食業者自体として成立をしないのです。そこで皆或る線まで、一般のこの線、共通の線まで下つて来ているのです。ですからそういうふうな徴税の道義を殊更頽廃させるようなことはとらないほうがいいと思うので、その辺の測定を一つ、むずかしいと思うのですが、お願いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/35
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036・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) 大体中田さんのおつしやつたようなことだと思うわけでありますけれども、私の考えておりますのは、入場税につきまして税率を下げた場合には、下げた税率の半分くらいが減収になるというふうに思つております。と申しますのは、入場税につきましては遊興飲食税と違いまして、特別徴収義務者も非常に協力して頂いております。又徴収確保の方法につきましてかなり窮屈な義務を特別徴収義務者に課しておるわけであります。従いまして仮に入場税の税率を下げましても、必ずしも税収全体は下がらんのじやないだろうか……、自然減牧は、料金が変りませんから、税率の下げられた半分程度の減収にとどまるだろうというふうに思つております。遊興飲食税の面につきましては料飲停止の措置以来特別徴收義務者の協力が非常に得にくくなつております関係上、税金の徴收が円滑に行われていない面が非常に多いというふうに我々も思つているわけであります。この減税による減牧の問題は、税率の下げ方如何によつて私は非常に変つて来るだろうと思つております。併しながら入場税の場合においては、しばしば業界では入場税の従来の收入を保障したいというふうなことも言われておるわけでありますけれども、遊興飲食税につきましては税率を下げて、同時に收入見込額を下げることも希望しておられるようであります。こういう空気からいたしますと、税率を下げても従来通りの收入を確保できるということは、下げ方によりまして必ずしも言えないのではないかというふうに思つておるわけであります。そういう場合を御認識願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/36
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037・小笠原二三男
○小笠原二三男君 只今のお話ですが、これは後日詳しくやる問題ですが、入場税、奥野さんのお話のようですと、十割課税を五割にする、そうすると五割の半分分下がるというのですから、税牧を一〇〇%と見た場合には七五%くらいは取れるという勘定になるだろうと思いますが、そうですと、現行の、今度見込むように、シヤウプ勧告で見込んでおる以上にこれを考えておるのですから、丁度シヤウプ勧告くらいのことは充足できるのではないかという考えにもなるわけですが、この点如何でしようか。もう一つ遊興飲食税のことですが、中田委員のお話のように結局四割課税で行つても、各府県とも二割だけ出させておるというのが現状なのです。実際はもうお客さんからは四割取るか、三割取るか……二割取るかわからんですけれども、県は二割だけでやつておる、だから実際上の問題とは何ら関係なく、現実には二分の一徴収で大体賄つて行くようになつておるのですから、法律上の税率を下げたつて何ら税収そのものの捕捉には差支えないのではないかという考えも持つわけであります。そういう点について、全国的に実情を御調査なられた資料があるかどうか、そういうものからもう一度これをお話願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/37
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038・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 遊興飲食税、入場税の税率を下げても、例えば前にシャウプさんの予定されたような税収入額を得られるのではないか。現在の見積り見込額はそれ以上オーバーしておるから、やれるのじやないかというような点から、だんだんお話のようでございますが、入場税につきましては百三十三億ですか、それよりも確か若干増加して取れるような見込額に相成つておりますけれども、遊興飲食税につきましてはシャウプさんの出した数字の上では百二十四億という見込額であつたと思いますが、これは当時の実情から申しましても到底それだけ見込めませんので、これを九十八億ということに落して司令部側等ともいろいろ話をいたしました結果、そういう数字が一応地方財政委員会、地方自治庁として許すべき数字であるというようなことで落しているわけであります。そういうふうになつておりまするのみならず、一方財政需要のほうを見まするならば、御承知のごとく当時の情勢とは全く一変をいたしておりますし、又最近いろいろの物価高というような点を考えますると、やはり税率を落して参りまするならば、到底シヤウプ勧告のあの見込額を取つたにいたしましても全体が賄えない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/38
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039・小笠原二三男
○小笠原二三男君 予定の時間が来ましたので、この程度にとどめて置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/39
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040・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) それでは今日はこれで散会いたします。
午後三時四分散会
出席者は左の通り。
委員長 岡本 愛祐君
理事
堀 末治君
吉川末次郎君
竹中 七郎君
委員
石村 幸作君
岩沢 忠恭君
高橋進太郎君
小笠原二三男君
中田 吉雄君
政府委員
地方財政委員会
委員 木村 清司君
地方自治政務次
官 小野 哲君
地方自治庁次長 鈴木 俊一君
地方自治庁財務
課長 奥野 誠亮君
事務局側
常任委員会專門
員 福永與一郎君
常任委員会專門
員 武井 群嗣君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X02219510312/40
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