1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年五月十七日(木曜日)
午後三時八分開会
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本日の会議に付した事件
○警察法の一部を改正する法律案(内
閣送付)
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001・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。
本日は警察法の一部を改正する法律案予備審査を続行いたします。御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/1
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002・西郷吉之助
○西郷吉之助君 法務総裁に伺いますが、今度のこの法案によりますと五千人に限つて定員外に置くようになつておりますが、最初説明になつたときは二万人が必要だというお話だつたと思うが、それで二万人が必要だというお話を聞いたのですが、その予算面で大蔵大臣と折衝した結果五千人に切られて、而も聞くところによりますと、これを以て大体警察制度はこれ以上手を加えない、今後においては根本的な改革をなさるのかと思つておつたところが、そうでなくこの程度にとどめるのだというような御意向のように聞くのですが、こういうような治安関係のものは二万人必要であるというような見地を持たれたのは相当の研究の結果だろうと思いますが、それを単に財政面からだけで五千名に区切つて、後は手を付けないということになりますと、何故に二万人を主張されたか、その根拠が非常に稀薄なものではなかつたのかというふうなことも考えられるのですが、財政面だけでそういうふうなこういう五千名に落して、そうして治安上は差支えがないものかどうか。又二万人の予算は大体どういうふうにお考えになつたのか。そういうふうな点について御説明を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/2
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003・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) この点は従来からのいきさつを御存じの委員会とせられましては、誠に御不審は御尤もと存じます。実は二万名が五千人になつたという点は非常に根拠なくして数が減つたような感じを与えますが、いきさつは次のごときことでございます。即ち当初の考えといたしまして先ず国家警察の現在の定員三万を二万増加して五万人にする。即ち国家警察の定員の純粋な増加と申しましようか、これを二万にする。その代り自治体警察が廃止せられました結果、国家地方警察がその自治体警察を引受けるために、自治体警察の定員を承継しなければならん。その承継いたします際にこれを半数以内という程度で間に合うであろう、こう見たわけでございます。これを計数を以て申上げますると、今回の法律におきまして廃止を認められておりまするのは町村だけでございまするが、町村だけの警察官の総数は現在約一万九千ということに相成つております。そこでこのうち半数以内が国家地方警察に移管されたときに、国家地方警察の定員を増加する。こういう計算になりますると、二万人の純粋増加の人数のほかに一万九千の約半数、約九千ぐらい、両方、全部の町村警察が廃止された場合を予定しますと、約二万九千の国家地方警察の増加、こういう計算であつたわけでございます。今回の改正案におきましてはその考え方を変えまして、町村警察が廃止された場合においてはその全員を国警の定員に附加をいたすことにいたしました。即ち仮に一万九千が廃止された場合においては一万九千全体を附加定員として増加いたします。それでそのほかに純粋の増加の定員を五千人、これを合計いたしますると、二万四千ということに相成るわけでございまして、当初の考え方から比べますると、総数におきまして町村警察が最大限度廃止された場合を仮定いたしまして、約五千人の減少ということに相成つたわけでございます。この五千人の減少を認めました理由は、最近におきまして政府といたしましては、一般的に公務員の待遇を改善いたすと同時に、できるだけこれの能率化を図りまして、そうしてその半面において行政整理をやつて行きたいというような考えもあるわけでありまして、この一般公務員につきましての行政整理というような下心と考え合せますと、この際徒らに定員を増加するというよりはやはり将来の行政整理の行われる際においては当然警察官についても待遇の改善というような点を考慮しなければならんし、そういう際にはどうしても能率的な警察ということを、数よりもこの装備その他の点において能率を挙げて行くという点も考えなければならん。特に只今警察といたしまして車輌とか、通信機関、こういつたような面につきましてはなお改善の余地が多大でございますので、これらの面にできるだけ経費を廻すということによりまして、人員の増加は最小限度にとどめるほうが適当ではなかろうかと、こういう意見に相成りまして、その結果この案のようなことになつたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/3
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004・西郷吉之助
○西郷吉之助君 今法務総裁のお話を伺いましたが、私は失礼ですが、率直に言うと、もう止むを得ずこういうふうな結果になつたから今のような説明に切替えられたと私は思うのです。最初はそうでない。飽くまでも法務総裁としては最初の案を最善の案として主張せられたと思うのです。然るに今の御説明だと、結果からそういうふうな説明に切替えたものと私は思いますが、その点等につきましては、いろいろお考えもあると思うので、更にその点は追及いたしませんが、まあこういうふうな治安の関係のものは単に財政面からだけで変更されるというようなことは、私は余りいいことではないのじやないか。そういうふうなことで以て若し不測の禍いが起きたときは大蔵大臣がそういう責任を負えるものでもないのであつて、その点は我々は与党でありませんから、もう少し大蔵省も大局の上から考える必要があるのじやないか。而も国警長官の説明を待つまでもなく、直ぐ募集したから使えるのではなくて、相当の訓練期間というものを必要とするということはわかつておるのでありまして、そういうふうな見地から申しますと、なお且つ現在の国際情勢等から考えてもやはり国家の治安がなくしては政治も教育もないのですから、私は必要なものは大所高所から考えて準備すべきものではないかと思うのです。その点今御説明ありましたが、私は非常に遺憾に思うのです。今の私の最初の質問に予算のことを伺いましたのですが、その御説明がなかつたのですが、最初と今回、こういうふうになさつたのでどういうふうな予算上の変化があるのですか。その点を更に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/4
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005・鈴木直人
○鈴木直人君 それに関連して、こういうふうに解釈してお聞きしていいのですか。最初二万人だけを新たに増員する。その二万人分については全部新らしく国が経費を支出する。次に一万九千人の町村警察の半分に当る九千人というものについては平衡交付金、すでに予算として通過をした二十六年度の平衡交付金を九千人分だけを減らして、そうしてそれを国の費用に切替えをしてそれで賄つて行く、こういうような話を聞いたわけなのです。そうしますと、大蔵省が新らしく追加予算を必要とするものは二万人の増員の分である。従つて地方から見ますというと、九千人は平衡交付金、すでにもう予算が通過しておるにかかわらず九千人はそれのうちから減らされるという処置が行われる。ところが今度の案によりますと、五千人は新らしく国が予算を追加してとる。それから一万九千人は全部これは国警で吸收するということにすれば、その分も平衡交付金を減らさないで全部国が新らしく予算的措置をする、即ちその合計二万四千人については全部平衡交付金を削ることなくして、全部新らしく国におきまして経費をとる、こういうふうにこの前聞いたんでありますが、そうしますと最初の案よりは、いわゆる二万人は新らしく経費をとるとしますれば、今度は二万四千人を新らしく経費を追加するのであるから国の財政から見ますと、四千人分について前の案よりも多く経費がかかるようになるのだと、こういうふうに解釈していいのか。
次に第二は、一万九千人全部をとるというけれども、これは自治体の一般投票によつてきめることであるからして、或いは一般投票の結果半分くらいしか自治体を廃止しないかも知れない。こういうことに仮になつたとするならば、五千人の新らしい増加のほかに九千人程度の結局新らしい増員になるわけであるからして、結局一万四千人くらいしか実際においては増員しないのだということもあり得る。こういうふうになるならば、先ほど西郷委員から質問があつたように、実際におけるところの増員というものは、実際は五千人程度である。あとは自治体の一般投票の結果によつて増加した分だけしか国警としては増加しないものであるということになるので、ここにおいては実際には一万五千人、或いは一万人程度が最初よりも人数が減少するかも知れんということも考えられる。こういうふうに思うのですが、その点についての見解もお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/5
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006・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 最初の案におきましては、自治体警察が廃止になりまして、国家地方警察に切替えられる際の国家地方警察の新らしい費用負担、費用支出、これにつきましては国の予算といたしましては、平衡交付金の予算を警察費のほうに移用するという規定を置こう、こういう考えであつたわけでございます。この場合は当然に自治体警察のために交付せられる警察費のうち、廃止せられる自治体に対する分を減額いたしまして、そして大蔵大臣の移用の措置によりまして、これを警察費の支出に充てるという方法を考えておつたわけでありまするが、今回の案におきましては、この条項は全然削除いたしてあります。従いまして新らしく増員になります五千人はもとよりでありますが、地方自治体警察から切替えになりますために、国家地方警察において増員しなければならないところの何がしかの人員というものも、すべて補正予算その他新たなる予算的措置を必要とするということに相成つたわけであります。そしてこれがために自治体警察の経費に充てられるべき平衡交付金を半面において減額をするかどうかという問題につきましては決定をいたしておらんわけでございます。で当初は当然移用の手続をとることになりますから、それだけを当然に減らす。こういう考えであつたのでございますが、併し今日の平衡交付金の総額というものは必ずしも十分とは言えないからして、警察費の支出が減つた場合において、それだけを必ず減らすということは必ずしも適当ではないであろう、こういう考慮に基きまして、この条項を削りましたために、必ずしも減らすとは限らないわけであります。併し必ずしも減らさないということも、只今決定いたしたわけではございませんが、併し現在予算がきまつているのでございまするから、特別の措置を講じない以上は、現行予算の通りにされるべきものと期待いたしております。なおその他の予算の数字の点につきましては、加藤政府委員から御説明申上げることをお許し願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/6
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007・西郷吉之助
○西郷吉之助君 今法務総裁の御説明があつたのですが、今の鈴木委員の御質問の中に平衡交付金と言われたのですが、今の平衡交付金の点も私の問題の一つなんですが、御承知のごとく前議会において平衡交付金の金額の妥当かどうかを特別に小委員会を作つて予算委員会でもやつたわけですが、その際にも国警の御説明がありました、その際減らすようなことを言われましたから、それでは困るじやないか、現に予算委員会においても審議の過程にあるが、平衡交付金は不十分だ、大蔵大臣の認定によつて削除したのはそれは妥当でないというような結論を出しつつあつたのです。その際の説明で平衡交付金を減らすようなお話があつたので、それは困るじやないかというので、国警長官としては減らすのじやない、そういうふうなことはしないつもりであるというような大体の御説明を得たわけなんですが、今の法務総裁のお話を聞くと、どつちにもきまつてないというようなお話なんですが、それが非常に問題でありまして、理論上行くとそれは人員が移管したのですから、移管し得ると思いますが、実際に考えないと困るので、平衡交付金は総額において少いのですから、更にその後年度の経過途中において人員が移動したから平衡交付金を減らすのだということは、理論的には言えますけれども、実際に財政面のやりくりをやつておりますから、それが完全で誤まつておりませんでも、その点は法務総裁は責任を持つてなさらないと、更にこの法案に関連して地方自治体は財政上新たな問題を引起す虞れが十分あるので、いやしくも治安に関することですから、少い平衡交付金の中から僅かでも取上げるというようなことはして頂かないように、厳として我々は希望したいと思います。そうでありませんと、百九億を減少したために、又その他起債の百八十五億を削つたために地方財政は二十六年度予算の編成に非常に困つておるのです。そういう実態を余ほど考えて頂かないと、単に警察官を作つても財政面から国警と衝突するようなことがあつては非常に遺憾だと思うのです。それですから法務総裁としてはこれを担当しておられる以上、単に人員ということでなく、それに関連するところの地方財政平衡交付金の移管の問題について、地方団体と国警が衝突するようなことがあつては私は非常に遺憾だと思うので、今はまだきまつていないというので、責任を持つて滅らさないというような考えを堅持して頂かないと、又大蔵大臣の意見によつては法務総裁はがらつと変つて、どつちにもきまつていないと言うが、減らすというふうに賛成されるかも知れない。そういう弱腰であり、地方財政を無視されるということをおとりになると、我々はこの案の審議というものに対して非常に重要な考えを持たなくちやならないと思いますので、そういうような点は平衡交付金を減らさないと、法務総裁は絶対そういうことをやらないのだということを言つて頂きたいと思う。そうでないと、予算面もはつきりしていない、而もこの法案によりますと、投票で維持しないということに決定して国警にこれを入れると言いまするのは、これは警察官として置くことができるということになつて、置かなければならんということにはなつていない。その点は非常に問題だと思う。池田大蔵大臣は余り信用できないのであつて、これは置くことができるということは、結局平衡交付金を減らさない以上は予算措置をしなければならんということになるのであつて、廃止はしたが、予算措置をしなければ実際上はその移管された自治体から来た警察官は首になるという結果になると思う。私はその点をはつきりして頂かないと、置かなければならんともなつていないし、置くこともできるとなつている。而も平衡交付金を減らさんのだということを言われるのですが、大蔵大臣は減らすべきである、こういうふうな見地に立たれると思うが、そうすれば十分な予算がないために定員を全部国警に移管することができないで、首になるということが必ず起ると思うのです。そういう点は今まで法務総裁に我々は非常に強く要望しておつたのです。而も自治体が一番不安に思つたのは首になるということなんですから、そういう点は一に予算面から来るのですから、法務総裁としては断じて平衡交付金は削らないという気持を持つて当らないと、大蔵大臣と又ぶつかつて法務総裁の腰が折れるということでは、自治体はその点を非常に不安に思つておつたのですから、これは第一の問題なんです。その点法務総裁において非常な決意を以てやつて頂きたい。今の御説明ではどつちにもきまつていないということですが、そういうことでは法案をお出しになるが、予算面において法務総裁は無責任だということを言わざるを得ないと思う。その点についてお考えをはつきりして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/7
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008・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 平衡交付金を減さないということにきまつておらないということを申しましたのは、減さないということについて特別に閣議決定その他正式にきまつておらないという事実を申上げたのであります。この警察法におきまして、平衡交付金から移用するという条項を削りました趣旨は、これは全く平衡交付金の問題には関係なしに、この国家地方警察への切替えを行うべきものであるという趣旨を明らかにしたわけでございます。現在までの大蔵省との折衝の経過につきましては、すでに事務当局相互の間におきましては、この自治体警察を国家地方警察へ切替えするための新らしい国家地方警察の費用というものは、別途財源による補正予算というものによつて増額すべきものである。そうしてその際においてその財源を捻出する方法として既定の平衡交付金の予算額を減少するような措置はとらないという趣旨で了解をいたしておるわけであります。私といたしましてはもとよりそうなくてはならないことと考えるので、これが実施に際しましては、もとよりこの線を堅持いたして参りたいとかように考えておるのであります。従いまして、国家警察のほうの財源というものは当然大蔵省としては別途に考えてもらえるものという期待を持ち、又その前提のもとに御説明をいたしておるわけでございます。それから御心配を頂きました自治体警察からの警察官は定員外に置き得ることができるという、このできるというのは、これは権限を示したものでございまするが、併しこれは同時にこれが定員外の別途の定員として扱うべきものであるという趣旨を明らかにいたしたわけでございまして、これはすべて定員というものはさような性質を持つておるものでございまして、予算措置がなければそれは定員を置くことは無論予算上の点からできなくなつて行く、これは当然のことでありまするが、併しこのできるという書き方は、左のものを定員とするという書き方と法律上の考えとしては全く同じでございまして、これは当然新らしく附加された定員である。予算措置に当りましては、当然これだけの定員はあるものという前提の下に予算を編成せらるべきものである、こういう根本的な考えを持つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/8
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009・西郷吉之助
○西郷吉之助君 今の法務総裁の御説明でまあわかるんですが、法務総裁は今のようにできるというふうなことが予算の面も法務総裁のお考えはそれでわかるんですが、果して大蔵大臣はそう考えておるかということですね。そこが非常に私は念を押して伺つておきたい。大蔵大臣は又別個の考えで平衡交付金等を強く考えておられるのじやないかと私は思うのです。そういう点は法務総裁はどうなんですか、法務総裁のお考えはそういうことですが、大蔵大臣は成るべく金のかからんように考えておると思うのです。ですから補正予算にどうしようというようなことは、この法案に対して大蔵大臣の考えはどういうふうな考えか、お聞き及びになつたかどうか、全然聞いておらないのかどうか、この点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/9
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010・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 当初の二万人の増員という計画を今回の計画のように切替える、この結果は当然少くとも五千人程度の定員になつたのでございまするが、これは大蔵大臣の考えによつてかようにいたしたわけでございまして、私といたしましては、これらの交渉の経緯から考えまして、当然大蔵大臣の主張によつてかように取上げました五千人なり、又その他の新らしい自治体警察の増員につきましては、大蔵大臣が当然これが新らしい財源をお考え下さるものとこう確信をいたしておるのでございまするが、併しこれは何分にも大蔵当局の見解を責任を以てお販調べになるということでございまするからして、私といたしましてはこれ以上申上げかねます。この上は大蔵当局にお確めを頂ければ仕合せと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/10
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011・西郷吉之助
○西郷吉之助君 法務総裁にしつこいですが、一番重要な点ですから重ねて念を押して置きたいのですが、法務総裁は飽くまでも予算の点においては現在の平衡交付金からは減らさない、それを持つて来ないというようなふうに考えておられると、そういうふうな決定的な意見であるというふうにとつていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/11
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012・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 只今までこの予算折衝につきましては、国家公安委員会の事務当局と大蔵省の事務当局との間において数字的折衝の段階でございまするが、その間におきましてはこれは当然新たな財源によつて処理されるものであつて、平衡交付金を減額するということは全然問題になつておりません。従いまして、私は今のところでは当然そういうふうに処理されるものであるという確信を持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/12
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013・西郷吉之助
○西郷吉之助君 国警のほうにお伺いします。今と同様なことなんですが、国警の事務当局で只今折衝中であるという法務総裁のお話ですが、この法案は今審議中ですが、この審議の結果はどうなるかわかりませんが、そのあとで事務当局の考えがひつくり返つて、平衡交付金から減額しますというようなことはないという確信があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/13
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014・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) 今のお尋ねにつきましては、私どもといたしましては当初は平衡交付金の一部を移用することもいたし方ないのではないかというふうに考えておつたのでありますが、その後各方面の意見を承わり、いろいろ研究いたしました結果、これは平衡交付金に手を付けるべきでないという確信を以ちまして、その方針を以て大蔵事務当局とも話合いを進めて来ております。今更改めて平衡交付金に手を付けてもよろしいというような結論にはならないと堅く信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/14
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015・鈴木直人
○鈴木直人君 私は実はその点について質問しようと思つて今までおつたのです。大体西郷君の質問でわかつたのですけれども、念のためにもう少し質問して置きたいのです。私の漠然とした考え方では最初二万人を全部国費で増員するという方針であつたが、大蔵省においては財政的の関係からして二万人分の金の捻出は困難だ、だからして五千人に一つ減らそうというようなことで、いわゆる主として財政上の観点から二万人を五千人に大蔵省が主強して、そうして国警当局はまあこれを了承した、止むを得ず納得せざるを得なかつたというのが現実ではないかと思うのです。それを想像して見ますると、あとは一つの説明、口実であつて、大体五千人程度のものが常時警察大学乃至警察学校に入つて、そうしてそのために国警が第一線においで弱体化されておるから、丁度その五千人と合致しておるということから五千人というものを、大学乃至学校に入つておるものの五千人は定員外とするのだというような条文をそのあとからまあ辻褄を合せるように作つたのではないか、こういうふうに想像しておる。こういう想像から見るとどうしても二万人という金は出ない。五千人程度しか金が出ないというのが大蔵省当局の本当の肚でないかと、こう考えます。そこで今法務総裁又は説明員から聞いておりますと、いやそうじやないと思う。平衡交付金から差引ということはないと思う。自治体警察から国家警察に移管されるところの一万九千人は新らしく国で以て経費を出すであろうと思うというようなわけでありますが、そこで私ははつきり答弁を得ておきたいと思いますのは、これは法務総裁としてでなく、政府の国務大臣としての見解を聞いておきたいのであります。平衡交付金の予算というものは平衡交付金法によりまして、これは特別会計に組入れるようになつておるはずでありますが、あの法律乃至あの予算は大蔵大臣自身の行政的な措置によつてのみは平衡交付金以外の国の経費に移用するということはできないんだ。或いは若し他の方面の国費にそれを移用するという場合においては法律の解釈を必要とする。行政処分だけではできない。もう一度国会に法律上の解釈をして、別の法律を以てそうして平衡交付金を移用するというような条文か何かなければ、それは実際にはできないんだと、こういうふうに解釈をしておると思うのですが、その解釈について国務大臣としてはつきり聞いておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/15
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016・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 前回警察法の立案の過程におきまして、自治体警察のための平衡交付金を国家地方警察に移用するという便法を考えました際においては、警察法の中にそれを許すところの法律上の条文を置くという考えをいたしておつたのでありまして、恐らくこれから考えまするというと、この条文がなくなれば当然そういう措置は許さるべきでないと、こうなることは至当であろうと思います。従いまして、お説の通り一旦平衡交付金と定められたる金額を他に流用し移用するということは行政的な措置を以て許さるべきものではないと、それがために予算上の措置が必要であるとこう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/16
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017・鈴木直人
○鈴木直人君 次に先ほどお聞きしました点についてもう一度お聞きするのですが、まだ答弁がありませんから……。先ほど法務総裁の説明では五千人を新らしく増加すると、併しながら今度自治体警察から大体一万九千八程度のものが国警に移管されるという見込になるからして、合計すると二万四千人程度の人員になる。これは今の説明によりまして平衡交付金を移用するということは何らかの法律的処置を講じなければ行政処置だけではできないのであるというような御解釈でありまするから、それはいいといたしまして、実際には一万九千人がいわゆる市町村警察の全部の定員でありますが、それが全部が自治体警察の方面から国家警察の方面に転換されるという説明なんでありまするが、これも又先ほどの狗肉の説明でありまして、二万人を五千人に減らされた結果一万九千人を加えるというと大体二万四千人になる。そうすると最初の二万九千人の増員から五千人減るだけであるというような説明であると思うのですが、ここの説明のうちにも私は不安の点がある。それはやつぱり二万人を五千人に減らされて一万五千人というものが少くなつたものだから、それを効率的にうまく説明するために一万九千人というものを出したのであつて、実際に一般投票によつた場合には一万九千人が果して国警の増員になるかどうかわからない。こういうふうにまあ考えられるのでありますが、この見通しについて全部が一般投票によつて自治体警察のほうから国警のほうにそれが移るという見解を政府側はとつておるものですか、その点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/17
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018・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) この点はお説の通り、全く今のところは見込みが立たないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/18
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019・鈴木直人
○鈴木直人君 そうすると、先ほどの財政的処置は、大蔵大臣が新らしくすべてについて国費を以て賄うということであり、而も今の点から見るというと、一万九千人が果して国警に編入されるかどうか見通しは付かないということであるならば、いわゆる国警の定員を増加するという点から見るならば、私はやはり二万人分をこの際新らしく増員するということをはつきりしたほうがいいのではないか、どうせ国が新らしく出す経費は同じことでありますから、それならば、そういうふうな不安な状態に置かないで、新らしく二万人のこの際予算を責任を持つて取ることにして増員したほうが、やはりこの際はつきり警察力の強化になるのではないかというふうに考えます。そうして自治体警察から国警に移つた分については二万人の範囲内にある、二万人の範囲内に入れる、これはこの前そういうふうに説明を聞いたのです。二万人だけは新らしく経費を取る、併しながら国警に自治体から移つた分についてはその二万人の定員の中に入るという説明を聞いたように実は記憶しておつたのですが、念のためこの前の書類を見ますと、政府から曾つて示された書類を見ますと、附加するということになつておつたから私の記憶の間違いであつて、法務総裁の説明のほうが正しいと、こう思いますけれども、どうせ二万四千人程度のものが殖えるとするならば、二万人を新らしく取つて、そうしてあとのものは国警のほうに転換されたものがその定員に入るというふうにしても、二万人だけは新らしく予算的措置ができるのだから、そのほうがむしろ確実じやないかというふうに考えられるのであります。どうも西郷君から話があつたように財政的な観点から大蔵省に押されて五千人を増員した。あと一万九千人というものの実際はそれも一体どうなるかわからないというような状態で、新らしく警察力を強化するということは多分に治安上も不安に私は考える、この点について二万人をどうしてもつと頑張らなかつたかという点について一つ法務総裁に聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/19
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020・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 公安委員会の当初の考えといたしましては、たしか二万人を新らしく増加したい、そうしてそのほかに自治体警察が廃止された場合におきましては、その自治体警察の人員の全数は必要でないけれども、併しその中の何割かを附加定員として附加したい、こういう考えであつたわけであります。併しこの点につきましては、警察力の強化という面は、ひとり人員ばかりに限つたことではないわけでありまして、国警として人員の点も無論不足いたしておりますが、それより更に急いでやりたいと考えておりますものといたしまして、車両或いは通信施設こういつた面もあるわけでございまして、これらの経費は人件費と違いまして一時に多額の支出を要しまするが、併し一旦施設をいたしますと、あと非常に減つて行くが、人件費はこれに反しまして経営的に要するものでございますから、それらを睨合せまして財政当局と相談いたしました結果、人員の増加をこの程度にとどめて、そしてその代りにこういつた装備、施設という面を強化して、人的、物的双方の力の合計をできるだけ大きくして行こうではないか、こういうような話もありまして、かような案に落着ことになつた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/20
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021・鈴木直人
○鈴木直人君 それでは事務的方面から一つお聞きしたいのですが、最初に大蔵省と折衝した場合には人的方面については二万人だけの増員を必要とする。又科学的、物的方面についてはXだけの金を必要とする、こういうような折衝があつたと思うのですが、従つてその折衝の結果二万人から五千人になりましたから、一万五千人の分の予算を、曾つて国警が考えておつたの物的予算に一万五千人分の予算分をプラスをして大蔵省と折衝されて結論になつているかどうか。今法務総裁の説明によると人的だけでは面白くない。物的方面を強化するのだということで話が付いたということであるから、最初にXだけの物的予算を大体国警では考えていた。ところが人的一万五千人減らしたのだから、その分を更に従来考えておつた物的施設のほかに附加えた予算を一万五千人分附加えた予算を取れる、こういうような話合いで了承しておるかどうか。それを事務的折衝段階の経過をお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/21
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022・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) お尋ねの予算の事務的な折衝の面でございますが、これにつきましては、当初我々のほうからは二万人の増員、それから自治体のほうから取れまするものの町村の警察員が一万九千でありますが、この中の相当数が来るものとしてこの人件費、それと装備の強化、警察力の増強のための装備の強化ということを主眼といたしまして、長短波無電の整備計画を短縮いたしますとか、或いは機動力を強化いたしますとかそういうようなその数字の内訳は只今持つておりませんが、後ほど申上げたいと思いますが、その総計六十数億の予算を要求をいたしたのでございます。これに対しまして、先ず第一に定員は幾ら増加するかという問題で事務的な折衝が困難に逢着をいたしまして、そのままずるずると法案の提出の時期まで来てしまつた。装備のほうの点につきましては、殆んど大蔵省のほうでは査定を加えて来て参つておらないのであります。私どもの聞きましたところでは、今大臣がおつしやつた通り大蔵大臣との間に話がおきまりになつたようでございますから、補正予算の際に改めて装備の点は今鈴木委員からおつしやつたような意味合を持ちまして、当初考えておりましたもの以上の要求をしたいと実は考えております。只今人員の点につきましては純増の五千人、それから自治体のほうから来ますもの、これは大蔵事務当局との間では自治体の定員全部を国警の予算に追加するということが事務的には話は付いております。幾ら来るかはわかりませんけれども、来るもの全部を国警の定員に追加する。予算的にもそういう措置をするという話合が付いております。これらを以ちまして、若しこの法案が成立をいたしますれば、それに伴ないまして自治体のほうからこちらに移つて来る職員の数もわかることと思いますから、具体的な予算の折衝が進むつもりでおります。只今のところは一応当初出しました予算に対しまして、まだ向うのほうから査定が来ておる段階になつていないということで御承知願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/22
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023・鈴木直人
○鈴木直人君 それでは法務総裁にお聞きしたいのですが、只今の御説明によりまするというと、国警のほうから最初出しました装備方面につきましては、大体その通りであつたのであると思う。ただ一万五千人だけ減らされたのだということであるならば、先ほど法務総裁が大蔵大臣と折衝の結果人を殖やすだけが能でない、装備を更に殖やしたほうがいいじやないかという、いわゆる警察制度の根本のあり方に触れての折衝のようでありましたから、一万五千人分はそれに更に装備のほうにそれを振替えるということに話合がなつておるのでありますか、それをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/23
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024・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 大蔵大臣との話合は、これは別に計数に即したものではなくして、実は警察予算全体につきまして一昨年以来特に国家公安委員会におきましては、その装備並びに施設といたしまして、特に車両及び有線、無線の通信施設の完備ということを非常に要望しておつた次第であります。併しいろいろな財政上の理由によりまして、年々極めて節約せられた範囲においてのみ承認を受けておりまして、公安委員会といたしましては、この点非常に苦慮いたしておられるような次第でございますので、かような時期におきまして多少の増員を減じましても、そうした面において急速に解決の方法が講じられ得るならば、そういう急を要する面に力を入れるということも必要であろうというふうな考えを以ちまして、大蔵大臣は今後の警察予算の編成に当つてはそういう方面にできるだけ優先的に取扱うという考えで予算の処理をいたした、こう言われまするので、これを了承いたしておるという次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/24
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025・鈴木直人
○鈴木直人君 まあその折衝過程についてはそのくらいにしてお聞きしませんが、もう一つお聞きしておきたいと思うのは、これは法務総裁の御決意を聞いておきたいのですが、この九月末日までだつたと思いますが、全国の地方自治体を通じまして一般投票が行われる、そうしますと、十月になりますと、自治体警察から国家警察に移行されるところの人員が本年度においてははつきりわかるということになる。今法務総裁の大体の見通しによりますと、更に説明によりますというと、一万九千人程度の人員がとにかく国警のほうに行くという目通しで以て二万四千人の数字を出しておられる。そこで十月になりまして一万九千に達しなかつた、こういう段階が現われて来たということを想像した場合に、法務総裁はどうされるかということを一応聞いておきたいのであります。それは例えば五千人だけであつたという場合には恐らく定員法が改正されると思います。法律にははつきりしておらんようですけれども、警察官を置く限りにおいては定員法のなかに五千人なら五千人というものを、定員外の定員が加わると思うのです、従つて定員法の改正が行われて来ると思うのですが、その際に一万九千に足りなかつた、そうしてその定員法が通つた限りにおいてはその分について大蔵省は予算的措置をしなければならんと、こういうことになることがはつきりしておるのです。そこで定員の達しなかつた分について、いわゆる法務総裁が説明せられた二万四千人に不足を来すことになるわけでありまするから、その際に達せざる部分について定員法をもつと殖やす、いわゆる五千人をもつと殖やすというような措置をとられようとするか、そうして大蔵大臣とその間において折衝しておられたかどうか、又その足らざる部分については物的施設の方面に金を出すとかそういうようなことになつておつたかどうか、その点をお聞きしたい。要するに一万九千人に足りなかつたという現実が十月以降に起きて来た場合に、一万九千に達せしめる程度のいわゆる増員というものを今後やるつもりであるかどうか、若しやらないとするならば警察力の弱体が来されるということになるし、若しそのままであるとするならば物的施設のほうに振替えなければならんというふうになるわけでありまするから、そういう方面についてのお考えを聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/25
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026・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 私は現在の町村警察の一万九千が全員国警に切替えられるだろうという見通しは立てておりません。この見込は全く今のところわからない、こう考えております。従いまして今年の九月末日を以ちまして廃止せられる町村警察から国警に移動いたしまする人員の数、これも一万九千より相当下廻るということも十分にあり得ることであると考えておるのでございますが、その場合におきましては、それは警察力が弱体になるのではないか、こういう御趣旨のお言葉もあつたように拝承いたしますが、併しその際におきましては、その警察官というものはそれは自治体警察としてやはり警察に当つておるわけでありまして、ただこれが国家地方警察に入つて来ない結果として、より有効に使うという上から申しますると遺憾の点もあるわけでございますが、併しそれだけ来なければ完全にそれだけの警察力の不足になるというふうには考えてはおらないのでございます。その場合におきましては、国家地方警察に入つて来た定員をできるだけ活用するために、できるだけ装備その他の面に力を入れることによりまして警察力の補いを付けて行きたい。かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/26
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027・鈴木直人
○鈴木直人君 只今一万九千人のものが国家警察の方面に全部が移行されないで、その一部が移行されたという場合には、移行されない分は自治体のほうに残つて行く、これはまあ当然のことでありますが、先ほどから私がいろいろ聞いておりますのは、自治体警察のことを聞いておるのではなくして、国家警察として二万人を必要とする。国家警察として新らしく二万人を必要とするというのに五千人きり国家警察が新らしく増員されていない、従つてその補充としては一万九千人を以てこれに充てて、そうして国家警察の部面において二万四千人程度の人員の増加ができるから、最初の計画の二万九千人に比較すると五千人程度のものであるから、従つて最初の計画とは殆んど違つておらない、国家地方警察方面の人員の点については違つておらないという説明を二、三回聞きましたから聞いておるのでありまして、自治体警察の方面は問題にしておらないのであります。従つてこの二万九千人が……、例えば一万九千人が全部国家警察のほうに移行されなかつたということに仮になつたといたしましたならば、国家警察は五千人の増員しか行われないということになるわけでありますから、従つて最初の二万人の増員というものの考え方から比較いたしますと、非常な懸隔になつて来る、こういうふうに考えられる。それでその点を非常に憂うるのでありますから、そこで法務総裁に、(「心配ない」と呼ぶ者あり)二万四千人ということを何回も言うておるから、若しそれに足らなかつた場合はもつと殖やす必要はないかということをお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/27
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028・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 誠に御尤もな御質問と思いますが、実は当初二万人の増員を図りたいという際におきましては、自治体警察から来るものの半数以内、こういう考え方で基礎定員を二万としたい、こういうふうに考えておつたのであります。その後考え方を変えまして、自治体警察から引取る場合においてはその数の全員を附加定員として増加をする、それがために基礎定員としては二万人増加するのを減らそう、これをどこまで減らし得るかということが問題になるわけでありまして、厳格に申しますというと、前と同じような数になる程度までは減らし得るが、それ以上は減らし得ないのではないか、こういうことも一つの考え方でございますが、併しこの自治体警察から来まする警察官というものは、これは全く国家警察に全然新規に来たものではなくして、それは自治体警察のほうをそれだけ減らして国家警察にそれだけ殖やすという数になるわけでございまして、この人員は先ほども申上げました通り、どの程度になるかは只今のところ見通しとして立てるわけには参りませんが、現在の国家地方警察の拡充の方策といたしましては、基礎定員において差当り五千人だけ増加しよう、そうしてこのほかにできるだけ車輌、通信等の装備を強化して行く、これによつてできるだけ国家地方警察の強化を図つて行く。そしてそのほかに地方の自治体警察が廃止された場合に、それから入つて来る定員は当然国家警察に肩代りをいたしまするというと、人員の活用の上から余裕を生じまするから、その余裕力を以て国家地方警察の警察力全体の増強に充てて行きたい、こういう考えであるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/28
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029・鈴木直人
○鈴木直人君 私は最初聞きましたときにはですね、自治体警察が国家警察に移りましても、実際において警察署は現案にあるので、人員予算は切替えられるに過ぎない、能率的に見ましても、人員の減少はありまするけれども、実際の仕事はちつとも変わらない。ところが二万人殖やすというのは、まあ五千人程度は駐在所が空いたりしておりますから、警察学校等に行つてる分の駐在所が空いたりいろいろしておりますから、それを埋めることはできましようけれども、あとの一万五千人程度は大都市の周辺に駐屯しているのでありまして、学校に入れるとか、そういうふうにして警察予備隊とは全然別個な役割を持つのでありますけれども、警察予備隊のようないわゆる予備隊的な警察力を都会の周辺なりそういう必要な所に、学校にもつと入れておいて、そしていざという場合にはこれを出動せしめるというようなことで二万人を使うように実は聞いておつたのです。ところがそれが五千人になりましたから、今までの警察学校のものがただ定員が変つただけであつて、あとは自治体警察が国家警察に移つた分は従来と同じ仕事を続けて行くに過ぎないのであるから、従つて非常時になつたときの警察力というものの予備的なものは全然保有することができないということになるのではないか。そういうことになるからやはり二万人というものを確保しておくということが必要なのではないか。従つて治安上単なる大蔵大臣との折衝だけによつて五千人に減らされて、一万五千人の予備的な警察隊を置くことができないという現実が生ずるということは、非常に治安上遺憾になりはしないかということを考えているわけなんです。その点はどういうふうに警察の配置が行われるかということを聞くわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/29
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030・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) お説の通り当初の計画は二万人の増員でございました。それが五千人の増員になりましたからして、一万五千人だけ減るわけでございまして、この減つた補いを今度の計画においてはどういうふうにして付けているかという点になると思います。自治体警察のほうの側からどの程度の人員が来るかということは、これは非常に今日見込みの立たんところでございまして、若し一万九千の全員が来ました場合におきましては、そのうちの半数以上というものは実際数の上は別といたしまして、従来の自治体警察の固有の事務には、そうたくさんの人は要らないわけでございまして、その人員のうちから相当部分が浮いて来る。で、これをまあ五割と見ますか、六割と見ますか、少くとも自治体警察、殊に町村の小さな自治体警察を国警に切換えました場合においては、五割、六割或いはそれ以上の人員が固有のその町村のための警察事務から浮いて来ると思います。この人数をまあ一万九千、全員が参りますれば、そのうちで一万程度はそちらへ廻し得るわけでございまして、若しこれが一万人くらいにとどまる場合におきましては、五、六千人分だけしか廻らないということになるわけであります。その五千人の増員のほかに、そうした面から実際警察力として浮いて来るところの数千人、その残りがやはり数千人残つて来ると存じますが、これは車輛或いは通信施設というものをできるだけ完備いたしますならば、非常の場合におきまして、警察官を必要の場所に移動せしむるということも容易になるのでございまして、取る程度はそういつた面において補いが付くことも十分に考え得られると思うのでございまするから、残りの数千人、これがまあ八、九千人と見ますか、一万人と見ますか、それに対して或る部分はそうした物的方面の施設の充実ということによつて補いが付き得る。その余の数千人というものが、どうしても補いの付かない部分もあろうと存じますが、これは一般の行政整理といつたような面も考えられまする折柄でございまするから、これはそうした問題と並行的に考えまして、一般的な給与の改善と、そういつた面からの能率改善ということによりまして、この部分の補いを付けることにしたい。かれこれ突き合せて考えまするならば、大体において支障なく治安の維持ができるのではないか、こう考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/30
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031・小笠原二三男
○小笠原二三男君 実は法務総裁には、この警察制度の底を流れる精神についてまだ疑問のある点をお伺いしたいのでありますし、特にこの定員の国家警察、地方警察における増員等の問題については、根本的に国の経済施策から発する民生の安定の問題と関連して政府側の所員を伺いたいのでありまするが、本日は時間がはんぱになりますので、昨日自治体警察側の意向を聞いたうち、この定員と平衡交付金に絡まる問題一つ、それから警察制度の基本的な地方分権のこの考えから来る組合警察の問題について伺いたいのでありまするが、委員長におきましては、予定の時間が来ましたら途中でも切つて頂いて結構ですから、明日続けたいと思うのであります。で、今鈴木さんは治安維持の問題から国家地方警察の増員の問題を縷々御質問になりましたが、私も又この問題だけに関しないで、自治体との関連において全体の国家的な立場に立つ治安維持の問題から、この定員の問題を考えたいのですが、昨日も国警長官にお問いしたのですが、先ず国家地方警察の定員増ということについては、法改正でも治安維持上具体的な計数を挙げてお考えになつておられまするが、然るに地方自治体側の警察については、地方自治の問題等も理由としまして、この定員の枠を外して自由にするというふうになつておるのであります。そこで私が今お聞きしたいのは、財政的な或いは地方の自治の問題からでなくして、治安確保という問題から考えて、この定員の枠を自由に片方はしてしまうということで、全体的に治安確保ということについてどういうお考えをお持ちになつておられるか、この点が第一点であります。それから第二点としましては、国家地方警察のほうは廃止され、自治体警察側から吸收される員数ははつきりしませんでも、少くとも五千人という増員だけははつきり見込むことができるのでありまするが、この枠を外された自治体側において、その警察官の人数というものは大体どういう方向に向いて行くかという推定がなされたろうと思うのでありまするが、一般的に言いまして、減らすところもあるでしようし、殖やすところもあるでありましようが、それらの総計においてどれほどの、どういう異動が行われるかという点について、御推定なさつておつた点があるなら、お伺いしたいのであります。それから関連しますので一回にお尋ねしますが、第三点としましては昨日もお尋ねしたのですが、減る分においてはかまわぬでしようが、治安維持という関係から言えば、当事者である公安委員会或いは自治体警察等、責任者である警視総監なり、警察署長のほうから言えば、財政問題を拔きにする場合には、どうしても増員して欲しいという要求が強いだろうと思いますし、又特殊な地域においては定員の増ということを否定する自治体警察も相当あるのじやないかと思うのでありますが、そうした場合に平衡交付金のほうは国が望むだけの警察官を増員する場合に、この警察法の施行令ですか、できまつております人口割による警察官を単位とする定員を確保することができるかどうか。この点について先ずお伺いして置きます。以上三つお伺いして置く次第ですが、混乱しますから、逐次御説明頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/31
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032・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 第一の御質問は自治体の警察の定員を、自治体の自主的の定めるところに任せて、治安上支障はなかろうかという御質問であつたと存じますが、市町村におきまする自治体警察もすでに三年を経過いたしておりまするし、この間におきまして、自治体警察というものについての一般の理解も漸くできて来たように存ずるのでありまするし、又市町村当局或いは市町村議会におきましても、おのずからこの自治体警察の任務なり或いは定数ということについての或る考えもできて来ておると思います。殊に又一面におきまして、従来から警察定員についての基準というものについての或る目安もあつたわけでございまするが、この自治体に委任をいたしましても、決して治安上憂慮するような、そうしたむやみな減員はなかろう、こう確信をいたしておる次第であります。次に第二の御質問の点は、自治体警察の定員を一任することになる結果、減るか殖えるか、こういう見通しはどうかという御質問でございますが、傾向といたしましては、現在大中の都市等は警察法施行当時から見ますると、相当人口が増加いたしており、或いは又犯罪等も増加いたしておるというような状況でございまするから、これらのところは大体において増加する傾向にありはしないか。それから非常に小さい自治体警察におきましては、これはそういつた面から見ますると警察を殖やす必要はない。むしろ減らしてもいいというような状況にあると思いますが、併し何分もともとそういう自治体では警察の現在の員数の七人とか、八八とか、十名以内というような少数でございますから、これらの自治体において、それ以上そう減らすということもないのではなかろうか、かたがた両方の事情を総合して考えますると、先ず全体としては多少の増加になるのではなかろうかと、こういうふうに推察をいたしておる次第であります。併しこれは全く推定に過ぎないのでございまして、特に関係当局として、これがための調査をいたしたこともございませんし、又自治体或いは自治体警察について見込を尋ねたこともございませんで、全く推測に過ぎないとうことをお断わり申上げます。それから第三の御質問は、将来自治体警察が定員を増加いたした場合におきまして、これに伴つて交付金というものが増額されるべきものであるかどうか、こういう点でございます。勿論警察、自治体警察の定員というものが全体として増加をするということになりますと、我々警察について関心を持つておる者の立場といたしましては、これがための平衡交付金というものは、総額において増加されることは切望いたしておるのであります。この各市町村についての分配ということは、それではどうなるか。増員されたところは増員されただけの増額が現実に行われるかどうかという点でありますが、この点は結局政府予算として組みました交付金の個々の市町村に対する分配の問題と相成りまするので、これは将来地方財政委員会におきまして、適当なる基準、適当なる方針によつておきめを頂く事柄であろうと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/32
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033・小笠原二三男
○小笠原二三男君 あとのほうから再度質問しますが、第三点については、どうも私法務総裁の意見は誠に総裁らしい御意見で、積極的な検察維持のための、この改正の法の趣旨というものから言えば熱意に欠けるのじやないかと思うのです。と申しますのは、大体見通しとしましては、自治体警察の定員は殖えるのじやないかというお見込みなのでありますが、殖えるという段取りになりますと、従来の定員による地方財政委員会が与えられた基準を以て、地方に平衡交付金を流すというだけではもう限界が来ておるのであつて、平衡交付金自体が警察関係の下において、従来以上国家予算としてプラスされなければ、これは維持できないということではないか、結局は自治体の負担において増員分は見てやれという結果になるような御説明になつてしまう。地方財政委員会は内部的にそれは如何ほど操作しようとも、従来与えられておる警察関係の平衡交付金以上の平衡交付金を配付することはできない。従つて全体として平衡交付金の増ということまで御努力になるという前提の上に立たなければ、これは実際自治体警察側なり、自治体側の意見というものを取入れてやるということができないのじやないかと思われるのであります。それでこの点についてもう一度私の誤解もあるかも知れませんから、総裁の御答弁を願います。それから第一のほうの点に戻りまして、今の御説明ですと、大体施行後三年も経つておる自治団体並びに警察側等においても、成る程度の警察に対する認識を持つて来ておるのだから、まあいいのじやないかという話でありまするが、そのことを理由としますならば廃止してもよろしいということで、現実の問題として、財政的な負担に堪えないから廃止したいという意向をそのまま肯定して廃止する、町村の警察を国家地方警察に吸收するという前に、その廃止したいという根拠になる部面を、国としてこれを積極的に排除して行くような強力な財政的な裏付けなりということは、その地域住民の今まで訓練され認識を深めて来た、この地方分権民主化のための自治体警察を維持して行く、こういう考え方になるのではないかと思いますが、この点もう一度お伺いいたして置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/33
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034・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 多少将来の見込といたしましては、自治体警察の現在の定員は、枠の撤廃によりまして増加するのではないかという見通しを持つておるわけでありますが、この見通しの立ちます限りにおいて、将来平衡交付金の警察費に充つべき総額というのを増加しなければならんということは、これは当然のことでございまして、私どもも警察の関係の者といたしまして、これに対しましては、今後努力をいたしたいという考えを持つておることは、先ほどの答弁にもちよつと触れたのでございますが、或いはお聞き落しではなかつたかと思いますが、この点については極力努力いたすつもりでございます。それからこの平衡交付金の各市町村に対する割当というものは、無論これは各市町村の警察の定員或いは警察のいろいろなかかり、費用、そういつた点を眼中におきまして、適当に地方財政委員会において将来おきめになるべきものである。そしてこれにつきましては、私どもも警察の関係者という立場におきまして、できるだけ御協力をいたしたい。そうして分配が各市町村について適正に行われるということのために協力し得る限り協力をいたしたいという考えを持つております。それから自治体の定員の問題でございまするが、自治体の定員が自主的になれば、治安上憂慮すべき程度にまで不当に減少するという御心配でございますが、これは私どもは先ほど先ず警察についての自治体関係者の認識というものも向上いたして参りましたので、そう不当な減少はなかろう。若し不当な減少をしなければどうしても行けないというような場合においては、恐らくは市町村住民におかれましても、むしろ国警にする、こういうふうな計らいをされるのではないか、かたがたこの自主的に定員を定めさせることによつて治安上憂慮すべき減員を作るということはなかろうと、こう考えておる次第であります。併しながら現実の問題といたしまして、財政面からいたしまして、町村が警察力の十分なる維持ということについて難渋をいたしておるということは事実でございまして、これが解決につきましては、私どももできるだけ努力はする。その方法といたしまして、財政的な措置によつてできる部分はできるだけそうした措置でこれを補助して行く。即ち交付金については、その総額において増額するように政府の一員として努力をいたしますると共に、このたびの警察法におきましては、特に国家警察に応援を求めました場合の費用は、これは一切国警において負担するということを明らかにいたしまして、これによつて平生は相当少数の人員に減少いたしましたところで、何か必要の場合においては十分なる国家地方警察の援助も受け得るというような措置をも併せて講じております。これらは地方自治体警察におきまして、やむを得ざれば相当思い切つた人員の減少をいたしましても、その際に安心して国家地方警察の協力を受け、治安の維持ができるという一つの保障とも考えるわけでございます。いろいろなかような措置を考え併せますると、自治体の定員を自主的にやらせましても、先ず大体そう大して治安の上に重大な影響を及ぼすような減員は行われないであろう。相当減員いたしました場合におきましても、国家地方警察の協力を受ける、或いは他の自治体警察の協力を受けるという措置が併せて講ぜられるということによりまして、治安上の心配はなしに済むであろうと、こう考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/34
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035・小笠原二三男
○小笠原二三男君 それでは治安上の問題とからんで、自治体警察制度の維持という問題から、今の御説明について又御質問したいのですが、不当に減らすということは、認識も深まり、経験も何年か重ねた自治体としてはなかろう。それを而も不当に減らそうというくらいの考えであるならば、国家地方警察にやつてもらおう、こういうような措置になるのではないかというような話であつたのでありまするが、私は不当に減らそうということを考え、自治体もそれを減らしたいが、それは警察制度の上からいかんと考えて、国家地方警察にこれを移したいと考えるものも、これは同様に結局は地方自治体警察を維持するということについて、財政的な部面からやり切れないという結果であつて、同じ考えに立つ立場のものであろうと私は考えるのでありまするが、そこでさつき質問していることは、それほど法務総裁がよくおわかりになつてお考えになつておられるくらいならば、どうして国家地方警察に吸收するということを避けて、あくまでもそれを存続せしむるがためのあらゆる手当をこれにやつて行くという方策をとらないのかということを私はお伺いしておるわけであります。それから先ほどの御説明の中には、そういうことについての財政的にも或いはその他の協力の部面でもいろいろ援助し考えて行きたい、努力して行きたいというお考えでありましたが、それならば具体的に現在自治体警察の大都市から小さな町村に至るまでの一人当りの警察官の一年間所要経費平均額が十九万一千円であるということでありまするが、法務総裁は一人当りのこの警察官というものの一年の単価が、治安維持或いは能率の強化等の面から考え、警察官の待遇或いは犯罪捜査その他あらゆるものを強化して行く点から考えて、どれくらいの単位費用を以つて保障せられて平衡交付金が流されるのか、先ず先ず今の警察制度として十全であるとお考えになつておられるのかお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/35
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036・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) この今回の改正案におきまして、小さな自治体警察というものを廃止という途を開いたわけでございますが、これは自治体警察の強化を図るということは無論十分に考えなければならんし、又考えてもおる事柄でございますが、非常に単位の小さい自治体警察というようなものを考えまするというと、これは如何に強化しようと思いましても、その強化できる限度というものが、単位の小さいということ自体から当然にあるわけでございまして、それがためにその部分は何としても今日の状況では救済しがたい面があるわけであります。例えて申しますると、同じ警警署というものを一つ考えましても、百人の警察署においても一人の署長が必要であり、一人の会計係が必要であり、一人の庶務係が必要である。これが七人の警察署においても、やはりそういうものが一人ずつ必要である。こう考えて参りまするというと、どうしても小さな自治体の警察力というものは、これを大きな警察力と同じようないろいろな施設の強化、そういうものをやつて行こうということになりますと、非常に不経済でありまして、今日においては先ず先づ不可能であるというふうに考えなければならん部分もあるわけでございまして、これらの点からいたしまして、町村の住民の多数がむしろ自治体警察を廃止して、国警に警察を運営してもらいたいという希望がありました場合においては、これを認めて行く、例外的な措置としてこれを認めて行くということを、やはり国の全体の警察力をできるだけ能率的に管理するという上から言つて必要であろうという趣旨で、このたびこの途を開き、廃止の途を開いたわけでございます。それから平衡交付金におきまして、一体警察官一人当りどのぐらいの金額をやれば適当であるか、こういうお話でございまするが、実は私も財政上の問題につきましては、特に十分な研究がございませんので、これは又自治体財政平衡交付金の精神なり、そういつた面からもいろいろの意見があると思いますし、併しただ我々警察の面だけという一方的な見方から考えまするというと、できるだけ警察において必要な費用、それも普通に必要と認められる最小限度の費用、それも相当の装備なり、施設なりというものも含めまして、濫に亘らない程度において合理的に必要とされる費用、これは従来の警察の沿革等から考えましても、できるだけその全額を交付金の中に入れるということが警察力を強化し、拡充するという上からいつて望ましいことと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/36
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037・小笠原二三男
○小笠原二三男君 そうしますと、少くとも現在の自治体警察の定員以上に総裁が推定するがごとく増員になる場合は、今のような総裁の精神が国務大臣として生かされて行く場合には、十分これは考えて頂ける、而も平衡交付金制度というものが存続する限りにおいては、この地方の自主的に増員された部分は、これは当然平衡交付金においても見られることである。而もまあこの総裁のおられる内閣においては見てやれるというふうに了解して置いてよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/37
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038・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 私といたしましては、できるだけそういうことの実現するように努めたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/38
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039・小笠原二三男
○小笠原二三男君 これは又逐条審査のときにお尋ねいたしますので、この関係も大蔵当局なり、或いは自治庁側との御相談の上、もつと地方自治団体を安心させて、自由に地域住民の意思によつて警察力を駆使できるように、定員が確保されるように一つお願いして置きたいと思うのであります。そこでもつと質問してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/39
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040・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) よろしうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/40
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041・小笠原二三男
○小笠原二三男君 皆さんいいですか……。それではついでのことですから、この二番目の問題になつた点についてお伺いしたいのですが、大阪市の警視総監である鈴木さんは、前回以来烈々たる意気を以て識見を強烈に述べられておるのでありまするが、昨日もお伺いし、又田中警視総監からも縷々伺つたのですが、その場合のこの理論と申しますか、私聞きまして、それが正しいんじやないかというふうに率直に伺つた点があるわけでありますが、それは自治体警察という制度なり、或いは地方分権の考え方なり、英米の警察法の精神という考え方なりでありますならば、地域住民のおのおのの持つ警察権と言いますか、こういう基本的な権利と義務とを成る警察官に委任して警察を維持するというような考え方に立ちますと、五千以下であろうが、何であろうが、その地域住民が即ち自治体における決議機関等が必要と認めろ場合には、国家地方警察の管内にある町村であろうとも、自治体警察を設けさせること、こういうことが法の体裁上筋が通り、その可能性を認めて置くということがいいのじやないか、こういうまあ意見なんであります。そこで法務総裁は、この点についてどういう考えを持つておるかお伺いしたいのでありますが、それに関連しまして、今自分、単独で警察を維持することは財政的な負担に耐えないということで、当該自治体警察が隣接の自治体警察を持たない、町村と組合を作つて警察を維持したいという場合には、これも認めて頂きたいということが、折衝の結果、今回の改正案には載ることができなくなつたということをお伺いしたのですが、総裁はこの点についてはどういうお考えを持つておられるか、この二点をお伺いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/41
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042・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 現行法におきましての根本精神というものは、地方分権、警察の地方分権、これによつて民主化を図つて行くということであることは間違いのないところでございまして、それがために自治体警察というものを設けられたのである。それから国家地方警察というものも、又その線に沿うて設けられたのであります。ところで現行法におきましては、自治体警察を如何なるところに設けるか、これは市街地というものには原則として設ける、但し市街地的な場合におきましても、それが市であれば必ず設けまするが、町村である場合においては、人口五千以上のものに設けるという、こういう趣旨になつたわけでございまして、この点は立法当時におきましても、いろいろ論議された点でありまして、果してかように五千というような小さな自治体にまで自治体警察を設ける必要があるかどうかというような点は、当時も論議されたのでありまするが、併し成るべく自治体警察を広く認めるという趣旨によつて原案が採用されたものと承わつておるのであります。かようなる意味でございまするかうして、現在五千以上の市街地の町村を、将来財政上の理由によりまして、独立の自治体警察を維持することが困難である、そういう場合におきまして、他の五千以上の自治体警察を持つておりまする町村と相談をいたしまして、そうして組合警察というものを持つ場合におきましては、これは現行法においても何ら禁止されておるところではなく、又自治体警察を維持するという趣旨の上から行きましても、当然それは許されるべきものであると考えておるのであります。併しながら独立して自治体警察を維持する能力を現行法において認められていない町村にまで、今日自治体警察を強いて作る必要があるかどうか、この点は只今までの私どもの考えといたしましては、そこまで自治体警察をこの際拡げて行くということは必ずしも考える必要はないのではなかろうかと、こう思つておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/42
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043・小笠原二三男
○小笠原二三男君 私はこの強いて持つように法制化せよというのを申しておるのではなくて、それこそが地方自治体が国家地方警察のお世話にならない、私たちの町村は私たちの警察を以て維持したいと、こういう意向が容れられるようにこの法律で途を開いて置くということが、警察制度の地方分権という趣旨から言えば理論的には完璧でないだろうかと、こういうことを申上げて所見を承わつておる次第なんで、それからもう一つの点についてですが、自治体警察を持ち得る法律上認められる自治団体同士ではなくて、一或いは二の自治体警察が連合する場合もあるでしようが、一自治体警察と、隣接の自治体警察を持つことを現行法で許されておらない町村とが、その地域の特性から一緒になつて組合警察を持つほうが能率的であり、又その特殊な環境の治安の維持上望ましいことである、こういうような問題の場合に、政令なりその他において特に指定した地域においては、そういう組合警察を持ち得るというような法制的な建前にすることについて、どういう御所見をお持ちになつておられるか、こういうことを伺つておるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/43
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044・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 例えば甲の町におさまして自治体警察がある、そうして現在乙の村は自治体警察がない。従つて国家地方警察に属しておる、それが甲の町と一緒になつて自治体警察を持ちたいという希望があつたらば、それを認めてもいいではないかという御質問の趣旨と承わつたのでありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/44
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045・小笠原二三男
○小笠原二三男君 認めてもいいではないかではなくて、認めて欲しいという自治体警察側の所見について伺つている、私の意見は別にあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/45
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046・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) それについての自治体警察側の意見についての私の考え、これはいろいろ考え方もあり得ると思います。又自治体警察の諸君におかれましては、そうしたほうが実際上便宜ではなかろうかという趣旨でお述べになつておる理由もよくわかるのでございまするが、根本的な考えといたしましては、自治体警察というものは、やはり個々の自治体が、それぞれ自分の警察を持つということに意味があるのでございまして、自治体が集まつて一つの警察を持つということになりますというと、これは純粋な自治体警察というものではないのではないか、例えば現在国家地方警察というものができておりまするが、これは自治体警察を独立して持てないところの町村の区域を包括いたしまして、そこに共同警察的な一つの警察ができておるわけであります。勿論これは経費負担におきましては、自治体の共同の費用ではなく国家経費によつて運用されておりまするが、併しながらこの運営管理という実態から見まするというと、都道府県の公安委員会というものがございまして、やはり知事の推薦により県議会の承認を得てできております。こうした民主的な委員会によつて運営されておる。それで多数の自治体が相寄つて一つの自治体としての警察を持つというような場合におきましては、二或いは三ぐらいならば別といたしまして、相当数がまとまりまするというと、やはり公安委員の選出というようなことにつきましては、いろいろと実際上問題がございましようし、又それがために特別の組会議会とか、そういうようなものを持つということもなかなか面倒でございまするので、今日これらのいろいろな点を考えまして、国家地方警察という一つの民主的な運営管理に属する警察を国家地方警察として創設をいたし、そうしてこれがそういう地区についての警察の責任に当るという制度に相成つておるわけでございます。で、特に他の町村の自治体警察に入らなければならんというような必要は先ず一般的にはないのではないか、こう考えまして、このたびの改正案においては、この問題は別に取上げなかつたわけであります。併しこの問題につきまして、てんでそれは考え方として全く問題にならない考え方であるというふうな考え方を私としては持つておるわけではございませんので、非常に特殊の場合におきまして、特にいろいろ地理的に不可分の関係があるとか、或いは沿革上極めて密接な関係があるとか、そういうような町村がありまして、特に隣接しておる町村自治体警察と一緒になる。又一緒になるということが誰が考えても便利であり、実際的であるというような場合におきましては、これは相当研究の価値のある問題である、こう考えまして、只今におきましても、この問題は引続き研究を続けて参りたいと、こう考えておるわけでございます。ただ今回の改正案におきましては、この点は採用いたしてないのでございまするが、将来の問題といたしましては、十分に研究をいたして参りたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/46
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047・小笠原二三男
○小笠原二三男君 どうも今の話を発展させると、又根本的な話になるので、これ以上お話いたしませんが、ただ今の説明の中に、自治体が二つとか、三つとか一緒になる警察は自治体警察のそれとは違うというふうなお考え方を発表になられたのですが、これはどうも私聞きとれないので、然らば現行法通り自治体警察同士が組合警察を持つているものは、これは自治体警察とはやや趣きを異にすると、性格上違うというお考えであられるかどうか、そこらは私疑問とするところであります。而も国家地方警察といえども、成る主要なる面としては持ち得ない自治体のそれを引受けて強度の運営管理をする、而も中間的な自治機関である、都のほうはどうですか、府県のほうの議会が承認を与えて任命した公安委員会の指揮下に入つておる。だからこれのほうの、自治体の警察のほうの精神はあつて、そうして自治体警察同士の組合わせによるそれはないとか、或いは隣接の町村と組合わす警察は自治体警察でないとかいうことは、私は理論上どうもわからん。もう一度御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/47
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048・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 自治体警察の本来のあり方といたしましては、やはり一つの自治体に一つの自治体警察がある。こういうのが普通のあり方でございまして、多数の自治体を総合いたしまして、それらが組合を作つて警察を作るということになりますると、やはり自治体の住民と、そうしてその警察というものの関係が一自治体、一警察という場合とは、多少距離的に遠近の差がありはしないか。そういう意味において現在の警察法が予想しておる第一義的な自治体警察とは多少趣を異にしておるのではないかということを申上げた次第であります。併し実際におきまして、今回の案においてこの点を取上げなかつたことは、かようなことが原則になるということに相成りまするというと、これは国家地方警察というものの管轄区域が順次なくなつてしまいす。国家地方警察というものは現在の自治体警察を運用する上から申しますると、やはり補完的な作用を国家地方警察に求めておるわけでありまして、この国家地方警察の応援とか、協力ということが前提になりまして、今日の自治体警察というものが治安上支障なく運用できておるわけであります。それでこの国家地方警察というものは、結局自治体警察のない町村というものの基礎の上にでき上つた警察であり、かねてこれに必要な場合の自治体警察に対して補完的な機能を営ましておるという趣旨でございますから、できるだけ一個の自治体警察を持ち得ない単位の自治体というものは、これを国家地方警察に属さしめる。これによりまして、普通の小さな自治体警察というものでは同じ警察力というものを備えましても、これが非常に機能的に不経済な使い方になりまするから、できるだけそういうものは大きな単位にいたして置く。それによつて自治体警察全体に対する補完的な国家地方警察の余力というものを増加する。そういう線に持つて行くことが原則といたしましては適当である、こう考えたわけであります。但しさつきも申上げました通り、特殊の地理的、遠隔的、いろいろな関係によりまして、特殊の一、二の町村の間におきまして、どうしても一個の自治体警察を組合、共同で持つことが実際上も便利である、又住民も実際そうでないと困る、そういうような極めて特殊なケースがありましたならば、その場合については、一般原則というものを崩さない範囲において例外的な考慮を加えることは、これは差支えないと存じますので、この問題につきましては、将来とも研究を続けて参りたい、こう申上げたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/48
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049・小笠原二三男
○小笠原二三男君 今お言葉の中に、そんなことをすると国家地方警察が小さくなつてしまうのだというようなことを言つておるのですが、私は基本的な憲法上の考えから言い、国際的にも国内的にも、治安その他が取る安定性を得たときには、私は小さくなることこそが、日本の民主化と申しますか、近代的な国家に成長したものであると考えてもいいように思うので、その点御心配になられる法務総裁のお考えとは少し趣きを異にする。それは法務総裁のお考えは指揮統制というような部面から言つて、国家的に重要な犯罪であるとか、或いはその他のいわゆる一般犯罪でない警備その他の重要な問題に関して考えられて小さくなることは困るというふうにおつしやつておるのでありましようけれども、端的にそういう言葉の端に現われる、底に流れるものが、吉川先生ではないけれども、私たちは非常に問題にしたいと、こうなのであります。これ以上申上げませんが、明日なりに加藤さんにお伺いしたいのですが、衆議院における第七国会の委員会で、マ書簡が出るあたりの警察制度の問題が非常に関心が深まつたときに、警察制度はこうしたいという長い御説明があるのを読んで見ますというと、この改正法案になつて来て、いわゆる国家警察と申しますか、こういうものは絶対ほしい、地方分権と言つても、これこれの理由によつて国家警察を希望するという意見が縷縷述べられてあるわけでありまして、今やこの意見というものは、警察制度ができましたときにおいて解消したかと思いますが、こういう考えが相当底に流れておつて、この諸種の改正問題があるのじやないかという疑惑を持つ点があつて、私もしつこい質問をしておるところなのでありまするが、今はできない。今はできないが、将来においては警察制度の方向としては、そういう方向にあるべきものであろうというお考えなのか。これ以上はもう自治体警察というものを認め、細分化することはできないというお考えであるのか。根本的な考えの立て方をこの際お伺いして置きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/49
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050・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) これは根本的な考えといたしまして、現在の警察法の精神におきましては、国家地方警察というものを完全に抹殺するということはできないというふうに私は考えております。と申しますのは、自治体警察というものが非常に小さな単位の自治体警察まで許されておるわけであります。その警察能力として処理できないような案件というものは、現実の問題として起ることを免れない。こういう状態の下におきましては、これは何らかこれを補助して、そうして処理して行くところの第二義的な意味の警察力というものが必要である。これは到底警察予備隊のごときものでは不可能でありまして、やはり普通警察で、そうしたものが現実に必要である。そうすると、それは先ず現在の警察法の考えから申しまするというと、国家地方警察というものにその作用を営ましめるということに現行法でもなつておりまするし、又そうすることが適当である。そうなりまするというと、国家地方警察というものには、やはり少くともそういつた応援を要請されるというような場合において、応援し得るだけの力というものを絶えず持つていなければならないと思うのであります。そうして警察の性質といたしまして、警察の仕事というものは常に同じだけの人員を要するのではございませんので、非常の場合には要する人員というものは、これは極めて短期間に多数の人員が必要なのでありまして、これを全くそうした予備的な使命に専念せしめるということは、この人員の経済的な活用という面から申しまして、必ずしも有利ではないわけであります。勿論現在自治体警察におきましても、警視庁のごときにおかれましては、平時より予備的な人員を持つておりまするが、併しこれは東京のごとき、特に治安上いろいろの問題の多い所において可能でありまして、全国各府県について、そういつた特別の予備隊をいつでも間に合うように普通警察の中に蓄えて置くということはむずかしいのではないか、そうすると、その予備的な警察力というものは、できるだけ平生の警察事務をも兼ねて行くということが必要である。勿論政府といたしまして、各自治体に非常の場合にはこれだけ出せという責任を課しまして、そうしてそれだけのものを各自治体警察に保留させて置く、そうして非常の際にはそれを引上げて使うということも方法としては考え得られまするが、併し今日の警察法の建前は、それは国家地方警察においてそうした役割をできるだけやつて行くのが建前である。そうして而もなお足らざる場合におきましては、場合によつて自治体警察からもそうした警察力を供出してもらうという考えになつておるのでありまするから、やはり国家地方警察については現実の今日の警察制度を運営いたして参る。殊に自治体警察をも含めました意味において、現在の警察制度を運営して行く上から申しまするというと、国家地方警察というものが、或る程度のそういつた力を持ち得るだけの規模を持つということが必要ではなかろうか、こういうふうに考えたわけでございまして、これは国家地方警察、自治体警察というもの二本建で、そうしてそのおのおのについての役割を現行警察制度というものを基礎にして考えました場合においては、私は只今申上げたような考え方を持たざるを得ないわけなのでございます。もとよりこれは決して国家地方警察或いは自治体警察の間におきまする縄張りを争うとか、或いはどちらをひいきするといつたような個人的な感情から申上げておるのではなく、純粋な法解釈並びに法の運用といつた、純粋な技術的な又理論的な見地から申上げたのであるということを御了解を頂ければ仕合せと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/50
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051・小笠原二三男
○小笠原二三男君 一々そういう意をついた御説明があるところが問題のあるところだと考えますが、本日はこれだけにして置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/51
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052・西郷吉之助
○西郷吉之助君 法務総裁に一点伺つて置きたいのですが、この法案で、町村で自治警が国警に変つた市、村がその後市に昇格した場合、そのときは今度のこの改正では市はそのままということになつておりますから、市になつた場合には又自治警に戻るんですか。市になつてもそのものは依然として国警がやるんですか。そうなつて来ますと、成る市は国警がやり、或る市は自治警がやるというふうになつて来ると思いますが、その点はどうなつておるかというと、この点ここの法案の中に一度変更になつた場合には二カ年間は動かせないということがありますから、例えば市になつても一年経たなければそれを動かせないのか、今それらの点はどういうことになつておるか、この条文を見ますと、そういう場合が何ら書いてないように思いますが、そういう点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/52
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053・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) この点はお答え申上げますと、市というものは、これは如何なる意味においても完全なる自治体でなければならない。従つて自治体警察というものは必ず持たなければならないという頭で立案をいたしておるのでございます。従いまして一旦自治体警察を廃止しました町が市に昇格をいたした場合におきましては、人民投票によらずに法律上当然に市として自治体警察を持たなければならない、こうなるわけでございまして、勿論このことは二カ年間という期間には関係なく、市は必ず持たなければならない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/53
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054・西郷吉之助
○西郷吉之助君 それでわかりましたが、そういう考えでおられることはわかつたんですが、この法案だけでは、そういうことに必ずしもなるというふうにとれないんじやないかと思いますが、そういう点を、そういう今法務総裁の御意見のようなことが何らかこの規定の中にあつて然るべきものじやないのですか、その点はどうですか。今の法務総裁のお話ですと、市は必ず自治警を持つべきものであるというお話だつたが、そういうふうなことはどつかにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/54
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055・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 現行法の第四十条におきまして、市はその区域内において警察を維持し、法律及び秩序の執行の責に任ずる。第四十条の解釈といたしまして、市は必ず持たなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/55
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056・西郷吉之助
○西郷吉之助君 そうすると、それに市及び人口五千以上の市街的町村という言葉が入つておりますが、そうするとおかしいんじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/56
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057・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 第四十条には、第一項、第二項とございまして、市及び人口五千以上の市街的町村は警察を持たなければならない。そのうち市はもう当然にわかつておりますが、町村につきましては、前項に規定する市街的町村は政令で告示をするということに第二項でなつております。それから第三項に新らしく、「前項の規定により告示された町村は、第一項の規定にかかわらず、住民投票によつて警察を維持しないことができ、又、警察を維持しないこととした後再び警察を維持することができる。」、こういう条項を加えて参りたいという趣旨でございます。従いまして第三項に加えらるべき新らしい文案によりまするというと、町村だけが住民投票で警察を維持しないことができる、こう解釈いたしまするので、市は心ず持たなければならないということは、現在の第四十条の第一項でも当然出て来る解釈である、そう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/57
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058・西郷吉之助
○西郷吉之助君 重ねて伺いますが、そうすると、市になつたときには、もう自働的に自治警察に戻るわけなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/58
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059・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 市になりました場合には自働的に自治警察を持たなければならないということに相成ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/59
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060・西郷吉之助
○西郷吉之助君 二カ年間の期間もそれに関係ないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/60
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061・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 二カ年間の期間に関係なく、市制施行の時期から直ちに持たなければならない、こういう解釈でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/61
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062・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 今日はこの程度で散会いたすことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/62
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063・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) それでは散会いたします。
午後五時十九分散会
出席者は左の通り。
委員長 岡本 愛祐君
理事
堀 末治君
竹中 七郎君
委員
石村 幸作君
高橋進太郎君
安井 謙君
小笠原二三男君
相馬 助治君
西郷吉之助君
鈴木 直人君
石川 清一君
国務大臣
法 務 総 裁 大橋 武夫君
政府委員
国家地方警察本
部総務部長 加藤 陽三君
事務局側
常任委員会専門
員 武井 群嗣君
常任委員会専門
員 福永與一郎君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014720X03719510517/63
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