1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年二月一日(木曜日)
午後一時三十七分開会
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委員の異動
十二月十六日委員吉田法晴君辞任につ
き、その補欠として椿繁夫君を議長に
おいて指名した。
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本日の会議に付した事件
○特許法の一部を改正する法律案(内
閣送付)
○実用新案法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○意匠法の一部を改正する法律案(内
閣送付)
○弁理士法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○商標法の一部を改正する法律案(内
閣送付)
○通商及び産業一般に関する調査の件
(昭和二十六年度通商産業省関係予
算に関する件)
(通商産業省所管事項に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/0
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001・栗山良夫
○理事(栗山良夫君) 只今から委員会を開会いたします。委員長がちよつと用事でお見えになつておりませんので、暫く理事で代行いたします。
先ず予備審査のため付託されておりまする特許法の一部を改正する法律案等、一連の法律案五件につきまして、政府側から提案趣旨の説明を求めます。特許庁総務部長松永幹君より説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/1
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002・松永幹
○政府委員(松永幹君) 特許法の一部を改正する法律案、実用新案法の一部を改正する法律案、意匠法の一部を改正する法律案、商標法の一部を改正する法律案及び弁理士法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を一括して御説明いたします。
今般、最近の経済事情や、他の法令における諸料金の引上率や、又当局の予算上における收支のバランス等を比較、考慮いたしして、特許法、実用新案法、意匠法及び商標法の特許料及び登録料を、発明奨励を妨げない程度で適当に増額いたし、又これらの法律の罰則中の過料や、弁理士を登録する際の登録料及び弁理士を懲戒する場合の過料の額をそれぞれ引上げるため、必要な改正を行なおうとするものであります。
以下本改正案の要点につきまして御説明いたします。
その第一点は、特許料及び登録料を、現行額の約三倍に増額いたしたことであります。元来特許庁はその開設以来、工業所有権制度による諸收入で支出を賄い、なお且つ相当の余裕があつたのであります。然るに終戰後はインフレの昂進に伴いまして、子の支出予算額は急激に暴騰いたしまして、他方收入はこれに伴わず、終戰後二回に亘りまして増額の改正をいたしましたにかかわらず、なお收入と支出の均衡がとられず審査事務の促進、発明奨励諸施設の遂行上も支障が少くなかつたのでございます。他方過去におきます物価の変動に伴いまして、他の法令におきます諸料金も適当に増額されておりますので、これらとの均衡を保ち、且つ出願関係の件数の平常状態への復帰状況をも考えまして、料金値上の権利者に與える圧迫等を考えまして、おおむね現行額の約三倍程度といたしまして、その範囲内で負担の均衡合理化を勘案しまして決定いたしたのであります。これによつて財政上收支の均衡と物価の変動に伴う調整を図ろうとするりであります
その第二点は、罰則中の過料及び弁理士の懲戒の過料を、現行額の五倍に引上げまして五千円以下といたしたことであります。これは先に改正されました民事訴訟法のそれに倣つたのであります。
その第三点は、弁理士登録の登録料を、現行額の二倍に引上げまして三千円といたしたことであります。これも弁護士及び公認会計士等のそれとの均衡を図つたもりでございます。
以上申上げました点が、本法律案を提出いたしました理由でございます。何とぞ愼重御審議の上、速かに可決されんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/2
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003・栗山良夫
○理事(栗山良夫君) 本日は只今の提案理由の説明を求めました程度にいたしまして、一般質疑並びに詳細な質疑は次回に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/3
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004・栗山良夫
○理事(栗山良夫君) ではさよう決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/4
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005・栗山良夫
○理事(栗山良夫君) 次に通商及び産業一般に関する調査に入りたいと存じます。ちつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/5
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006・栗山良夫
○理事(栗山良夫君) 速記を始めて下さい。横尾大臣から発言を求められておりますから許可いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/6
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007・横尾龍
○国務大臣(横尾龍君) 初に委員会が開かれますので、御挨拶を申上げたいと思います。
昨年中はいろいろと通産省の行政面に対し御配慮と御指導、御鞭達を頂きまして、一先ず年を越すことができました。有難くお礼を申上げます。本年は又相変らず御指導を頂きたいと思いますが、特に二十六年度の予算案を審議して頂きます上において、通産行政に関し幾多の問題も生ずることと存じます。これの諸問題に関しましては、各位の御意見を拜聽いたし、又省としての考え方もお語いたしまして、御指導の下に通産行政を振興さして行きたいと考えております。何分ともよろしくお願いをいたす次第であります。初めての機会でありますから、簡單ながらお礼とそうしてお願いをいたしまして御挨拶に代えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/7
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008・栗山良夫
○理事(栗山良夫君) 引続きまして通商産業の一般に対する調査をいたすわけでありますが、その前に昭和二十六年度通産省の一般会計予知につきまして、当局の識別を求めたいと思ひます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/8
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009・永山時雄
○説明員(永山時雄君) 二十六年度の通産省の一般会計予算につきまして概略御説明申上げます。お手許に資料をお配りしてございますので、それによりまして便宜御説明いたしたいと思います。
大体通産省の予算の規模は、毎年五十億前後がその規模でございまして、表で御覧を頂きますように、昨年の予算は、補正を含めまして四十八億であるのでございます。二十六年度はそれが百十四億九千万円ということで、その間六十六億ばかり殖えているのでございますが、但しこれはいろいろ費目の食い違い等がございまして、その関係でかような大きな開きになつているのでございますが、実際の増加は二番目に出ておりますように、純増は八億五千万円程度というように見られるのでございます。特にこういうように大きな変化が出て来ました関係は、貿易特別会計が、昨年の一月から輸入につきましても民間貿易の体制をとりまして、大体現在の原則的な形態は、輸出入共に民貿の形態に還元をしておりますので、政府貿易をプリンシプルといたしました従来の行き方をやめるという意味で、貿易特別会計を廃止するのでございまして、それに件う経費が約三十二億ばかりあるのでござまして、この関係が主たる違いになつております。なおそのほかには、後ほど御説明申上げたいと思いますが、貿易特別会計に加えまして新たに緊要物資輸入基金特別会計を作りまして、これで、どうしても政府貿易でなければ工合いの惡いものがな若干残つておりますし、予想もされますので、従つてその関係で新らしく二十五億を入れまして、一般会計から繰入れまして、これで廻転資金を動かしまして、約百億ばかりのボリユームで政府貿易の形態をやつて行こうというのが、主たる違いの一つであります。それからなお中小企業信用保險特別会計に十億の出資をする。結局そういうものをすべて絞つて見ますと、八億五千万円ばかりの増加になるのでございます。
大体通産省の従来の考え方は、ここに出ておりますように貿易振興、それから技術振興、中小企業対策、資源開発で、これらを通じていずれもそれぞれに入つておる問題ですが、なお一つの問題を取上げますと、産業の合理化といいますか、産業の近代化、大体これを入れた五つの問題を重点に置いて考えておるのでありますが、これを費目別に見ますると、
〔理事栗山良夫君退席、委員長着席〕
そこに書いております。ような貿易振興で約六千万円ばかりの増加になる。技術振興で約六億、中小企業対策で一億三千五百万円、資源開発で千四百万円、なお自転車及び自動車関係で、これは例の競輪或いは自動車競争の收入を、国庫收入を一部これに充てておるのでございますが、これが約三億、こういうような内訳で、八億五千万円ばかりの増加になつておるというのが、大体の全貌であるのでございます。
以り下それぞれの項目につきまして、特に重要な主だつた問題だけを拾い上げて御説明を申上げたいと思いますが、貿易振興といたしましては約六千万円ばかりの増加でありますが、その第一はジエトロといいますか、海外市場調査会を作りまして、これで海外の市場調査をして行こう。これはイギリスのジエトロに倣つたものでございまして、これを従来、まあ三井とか三菱とか大きな商社がありまして、これが十分海外の市場調査その他をやつておつたのでございますが、現状におきましては、日本の商社一つ一つがそういうものを自己の力でやつて行くということが非常に困難でございますので、従つてこういうものを今後も引続き育てて行きたいという趣旨でございます。昨年、二十五年度一千五百万円の補助金を計上いたしましたが、来年度はそれを増加して三千万円にいたしたい。これは過般大阪で発会式をいたしましてスタートをすることに相成りました。まだほんの一週間ほど前にスタートをしたばかりで、大変設立が遅れておつたのでございますが、できるだけ早くこれを擁立して参りたい。地方の公共団体、或いは民間の貿易商社等からも寄附金を集めましてできるだけ有効な活動をするようにして参りたい、かように考えているのであります。
それからつ第二は、海外見本市の参加でございまするが、これは昨年は六百六十万円の予算であつたのでありますが、結局これが非常に足りなかつたものですから、ほかの経費を流用をしてどうやら済まして参つたのでございますが、来年度は増額をいたしまして四千万円ということで、積極的に海外の見本市の現地開催をするということで進めて参りたい、こう考えております。大体これは実費の二分の一程度を補助するという趣旨で、四千万円の金額を計上したものでございます。
それから在外事務所の陳列室のことで、これは在外事務所が現在約十五万所設置をされつあるのでありますが、貿易振興の趣旨から見本品の展示をしようということで、展示品の收集なり或いは輸送費なり、そういうものの予算をここに計上いたしたのでございます。
それから貿易特別会計廃止に伴う経費二十二億でございますが、これは貿易特別会計から三十二億の赤が出て来たということで、一見非常に大きな欠損が出たかの感じを受けるものでございますが、実はこれは、歳出の関係は歳出として立て、別箇に歳入があるのでございまして大体歳出はここに出ておりますような数字でございますが、歳入は六千億あるのでございます。これは例の鉱工品貿易公団或いは繊細貿易公団、そういうものを清算をいたしまして、それぞれ歳出歳入を立てて参るのでございますが、従つて差引約三十三億ばかりを、絞つた後は歳入超過になるのでございますが、これは一応予算の技術上、ここに歳出として三十二億が出ているということに御承知を願いたいと思います。
それから緊要物資交易資金特別会計基金の繰入二十五億、これは先刻もちよつと申上げましたソ連関係の取引、或いはどうしても政府形態でなければ輸入の困難な物資、そういうようなものを新らしい基金で運用して参ろうということで、二十五億計上いたしたのでございますが、これは従来の貿易特別会計の行きかたと違いまして、従来の貿易特別会計はそれぞれバジエツト・システム、予算制度になつておりまして、歳出は歳出、歳入は歳入ということにして立つておつたのでございますが、この基金は回転式にいたしまして、結局これが約四回転、百億ばかりに動くということで、大体百億程度の規模を現在のところは予定をして予算を計上してあるのでございますが、ただ今後政府形態で、特に輸入の面におきましては政府形態で運用して参らなければならない輸入物資が、相当に現在の情勢を反映して殖えて参るだろう、かように考えるのでございまして、目下それに対する対策は研究中でございます。従つて或いは場合によつては更に予算補正というような恰好で、父御承認をお願いをするというようなことに或いは相成ろうかと、かように考えております。
それから技術振興でございますが、技術振興では総額において約六億ほど昨年より増加をいたしておるのでございます。この第一は、国立の試験研究部門の整備拡充といいますか、これの内容を充実をして行こうという予算が、昨年度は八億七千万円に対しまして、二十六年度は十一億ということで、相当にこの点は増加をいたしたのでございます。大体従来から人間の割合に試験費といいますか、研究費といいますか、というものが不足をしておる。従つて折角の貴重な個人々々の能力が、十分活用されていないという憾みが多分にあつたのでございますが、その点は必ずしも十分な解決は見ておりませんが、若干改善を示したという状況になつております。研究費は二十五年度に比較しまして四三%ほど増加をいたしたのでございます。大体研究費のこの種の予算では、基準を人件費と研究費との割合によつて一応見るのでございますが、昨年の予算におきましては、人件費と研究費との比率が、人件費一に対して研究費一・二という程度であつたのでございますが、二十六年度の予算ではそれを人件費一に対し一・五という程度に若干の改善を見られたという状況になつております。只今申上げたのは国立関係でございますが、民間試験研究の関係におきましては、技術研究の補助金と、それから工業化試験費の補助金とをそれぞれ相当額増加をいたしたのでございます。この鉱工業技術研究補助と申しますものは、工業化の一歩手前、試験室的な学理的な研究から工業化に移る、その中間の過程における研究に対して補助金を出そう、いわゆる応用化試験に対する補助金でございます。これは従来から非常にこの種の希望が多うございまして、二十五年度の実績は、約千二百件あつたのでございますが、予算の関係からその約一割、百十七件しか採用ができなかつた。一件当りの補助金は、大体平均して二十五万円程度しか出せなかつたのでございまして、甚だ現在の民間の研究を奨励する上におきまして不十分な憾みを免れなつたのでございます。それをこの予算におきましては、大体百六十件程度を対象にいたしまして、一件当り百万円程度の補助金を出したいということで組んであるのでございます。
それから工業化試験の補助は、それから更に一歩進んだところでございますが、これ又従来から非常に少なかつたのでございます。申請が約二百十件に対しまして実際に補助金を出すことに決定をいたしましたのはその一つ割、十八件ほどで、平均して五百五十万円程度しか出し得なかつたのでございます。これは相当厖大な設備をそれぞれするわけでございますので、従つて本年度におきましては、対象を二十五件くらい殖やしまして、平均して一千万円くらいのものを出そうというのがこの予算の規模でございます。
それから中小企業の問題でございますが、これは第一には、中小企業の協同組合の共同施設の補助金でございます。昨年一億円に対しまして本年度二億円、これは、昨年の一億円の中には自転車関係のものが七千万円入つておりまして、従つて純粋に自由に使い得る補助金は、実質的には三千万円しかなかつたのございます。二十六年度におきましては二億円のうち、自転車関係として縛られておりますものが一千万円でありまして残り一億九千万円は、これはどの産業、どの施設にも自由に補助金を出し得るということでこの点は三千万円が一億九千万円でございますから、相当左増増加になつておるという状況でございます。
それから中小企業の振興、指導のために、都道府県に従来から補助金を出しておるのでございますが、これは従来通り継続をする。ほかに新らしく中小企業の相談所を主要都市に設置をするということで、この補助金を大体一千万円計上いたしたのであります。
それからこの前の国会で御承認を受けました中小企業信用保險特別会計基金繰入の千億というものをここに計上してあるというのが、大体中小企業関係の予算の概要でございます。
それから資源開発でございますが、これは第一には、記載してあります埋蔵炭量と炭質を調査する、昨年四千九百万円計上して、昨年度からスタートして、五カ年計画で実行いたしておるのでございますが、それの第二年目として、御覧のように約七千四百七十万円という金額を計上いたしたのでございます。
それから次は採炭方式の改善補助これは産業の近代化といいますか、合理化の一つの経費でございますが、カツペ式の採炭方式を普及をするという意味の補助金でございます。大体設備費の半額を補助しようということで、二千八百万円計上するというわけであります。
それから次の重要鉱物探鉱試掘補助、これが昨年の一億五千万円に対しまして若干減少いたしましたが、一億四千万円計上いたしております。これは従来は探鉱奨励金、探鉱奨励ということを專ら重点に置いて行なつて参つたのでありますが、来年度からは探鉱奨励のほかに、新らしい鉱床の探査を奨励するという意味で、新らしく探査という観念をこれに広く入れて参つたのであります。大体予定としましては、一億四千万円のうち、六千万円を探鉱奨励金に使用し、それから只今申上げた新鉱床のほうの関係に八千万円ほど使つて参るという考えでございます。
それから国産原油試掘の補助金、それも昨年の一億三千三百万円に対しまして、若干減少いたしまして一億一千万円というわけでございます。これも従来通り国産原油、或いは天然ガス、そういうものについて試掘費の約二分の一、半額を補助しようというのがこの予算の内容でございます。
それから自転車及び自動車振興対策、これは御承知のように競輪関係の收入とそれから自動車競争関係の收入の経費をそれぞれの産業の振興に使おうという趣旨でございます。自転車関係におきましては、この売上見込から国庫納付等を予定いたしまして、総額四億二千万円を大体この関係に使つて参ろういうことで、この規模がこれに顔を出しておるのでございます。それで自転車で、三億五千万円でございますが、その内容は、海外の市場、或いは技術調査等を行う、或いは海外宣伝の経費の補助をする、或いは自転車の検査設備の補助をするとか、或いは合理化、近代化の施設費の補助をするという内容に使つて参るというものであります。
それから自動車関係では七千二百万円を国庫收入に見ておるのでありますが、そのうち二千六百円を自動車関係の振興に使つて参ろうというわけでございます。これ又内容的には自転車と殆んど同じような使途でございまして、海外市場の調査、或いは技術研究の補助、それから海外の宣伝用に使う経費孝補助するというような内容でございます。
大体主な項目につきましては、以上申上げました程度でございまして、電力事業の関係は公益事業参員会が発足いたしまして、そのほうに移りましたので、これは説明声省略させて頂きます。以上御説明を申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/9
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010・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 只今の予算関係につきまして、御質問のおありのかたは順次発言をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/10
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011・境野清雄
○境野清雄君 今の一番先の貿易振興対策のうちのジエトロは、一般から寄附金もらうというようなお話ですが、大体において二十六年度三千万円、昨年度の一千五百万円、計四千五百万円が現在残つていると解釈してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/11
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012・永山時雄
○説明員(永山時雄君) これは一千五百万円といいますのは、本年度の予算でございまして、従つて先般発足をいたしましたので、それに対して補助金を交付するということに相成ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/12
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013・境野清雄
○境野清雄君 これは寄附金や何か集めまして、大体政府の総括的た数字としては何千万円ぐらいを予定しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/13
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014・永山時雄
○説明員(永山時雄君) 現在一般の寄附金は、まだ確定していないものが相当多うございまして、従つてまだ全貌ははつきり申し上げる程度には至つておりませんが、大体国の一千五百万円に対しまして、民間としては、一億円足らず一般からは集めて参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/14
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015・境野清雄
○境野清雄君 そのジエトロは、大体一説に大阪商工会議所に大部分を委すとかいう話がありますが、その点は如何でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/15
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016・永山時雄
○説明員(永山時雄君) これは内容的に申上げますと、貿易振興、特に海外市場の調査を目的といたしたものでございまして、従つて業界としては、関西に非常に繋がりが多いのでございます。従つて寄附金その他におきましても、関西が相当大きな割合を占めるということに相成つておりまして、主たる事務所は、先般の理事会では大阪にこれを置くということに決定をいたしたように聞いております。大阪の、商工会議所には、便宜いろいろな関係でお手伝いを受けているのでございますが、ただこれはむしろ個人的な関係も手伝つているのでございまして、先般の発会式で理事長といいますか、それが杉道助さん、あそこの商工会議所の会頭に決定をいたしましたので、その関係で事務所等も便宜そこを使つていると、かように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/16
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017・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) ほかに御発言はございませんか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/17
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018・境野清雄
○境野清雄君 先国会で、何かこの国会に、できれば産業近代化法案というようなものを出したいというような通産省の御意向があつたのでありますが、企業局のほうから大体産業近代化法ですか、まあ内容は聞いたのですが、今度の予算の中には、産業近代化法に対する予算は、石炭の問題以外ないようですが、一般的なものは全然二十六年度予算にはないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/18
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019・永山時雄
○説明員(永山時雄君) 産業の近代化につきましては、当初は近代化法と言いますか、というようなものを作つてもらおうというような考え方を持つておつたのでございます。その内容としては大体税金の関係の負担軽減をする、輸入税或いは国内の税金の負担軽減をしよう、それから補助金を必要なものに対しては出してもらいたいというようなことがその主たる内容であつたと思います。無論近代化の大きな方策といたしましては、このほかに資金金融の問題があるのでございますが、これは近代化法というようなものに法律として盛るべき性質のものでございませんので、法律としては大体以上申上げた二点を内容とし考えておつたのでございますが、ところが補助金のほうは予算の最終的な折衝におきましてカツトされまして、結局数次の折衝の結果残つておつた六億円ほどの予算も遂に姿を消したというような状況に立至りましたので、従つて税金のほうの問題は税法の改正のほうで取上げるということにいたしまして、短期償却或いは輸入税の免除、軽減というようなほうは税制のほうにそれぞれ盛るということで法律として制定をするということは、独立法や制定するということは一応取りやめをいたしたのでございます。従つて予算の関係におきましては、御指摘の石炭の関係もございますし、それから中小企業の共同施設の補助というようなものも、これも産業合理化と言いますか、できるだけ中小企業を企業として合理化して行こうというような意味の補助金でございますし、或いは技術振興というような経費もその方面に相当に役に立つだろう、かように考えておりますが、近代化そのものとしては特別な経費は計上していないという内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/19
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020・栗山良夫
○栗山良夫君 この重要鉱物資源開発に要する経費でありますが、只今の説明を伺いますと、探鉱試掘に関する補助金に大体限られておると思うのですが、こういう時代になつたので、国内の重要鉱山ですね。戰時中相当活躍したようなので只今廃鉱になつておるのが相当ございます。もう設備なんぞも相当に補助をしなければ出鉱できないというようなものがあるわけでございます。こういつたようなものについて助成をせられるという意思はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/20
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021・永山時雄
○説明員(永山時雄君) 御尤もな御質問でございまして、現在の情勢がだんだん進んで参りますと、輸入の面につきましてもいろいろ只今まで御説明申上げたような方策ばかりでなく、その他更に強力な手や打つ必要もございましようし、又国内資源の開発につきましても一段と有効な強い措置を打たなければならないというような事態に追追に或いはなつて参ろうかとかように考えるのでございますが、現在までの段階におきましては、御承知のような非常に非鉄金属に対する需要が旺盛になつて参つております。従つて現在の経済の、これは別段公定価格その他もございませんので、そうした経済の調節機能によつて増産が促進されて参る、かように考えて、現状におきましては探鉱奨励金、或いは鉱床探査奨励金という程度でやつて参ろう、事態の進行によりましてなおお話のような点も含めて必要な措置をとりたい、かように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/21
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022・栗山良夫
○栗山良夫君 只今のお話は時の推移の状況によると言われるのですけれども、もう現実に相当重要物資はこの輸入状態も跛行的になつて、見通しの非常に暗いものがあるわけであります。従つて国内で非常に採算制をするようなものもあろうかと思いますけれども、一応国内資源の尊重という意味からも、事業者だけに任して置いてはとてもものにならないこいうようなものにつきましては、少し見越生産のようなかつこうになりますけれども、もう少し早く政府側で態度をきめて、そういつたような重要物資を国内の資源で充てるというような決定をしてそうして施策をせられないと、非常に時間的に必要なときにズレが来るのではないかと私は心配しているのですが、その辺の見通しはどういうふうになつているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/22
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023・首藤新八
○政府委員(首藤新八君) お答えいたします。全く尤もな御質問でありまして、無條件にそれに賛意や表しているのであります。従つてこの問題につきましては、どうしても緊急に地下資源を開発いたしまして、以てこの輸入の面が仮に不自由になりましても、国内需要に、輸出に、何ら支障のない対策をとる必要があるということで、もろもろの構想を現在立てているのであります。従いましてその場合におきまして只今即下資源を開発いたします場合に、それは現実に国際相場と合致しない。国際相場よりも非常に割高になつて来るという面もだんだん出て来るかと思うのであります。只今御質問にありましたように、いわゆる貧鉱、或いは低品位等々の地下資源を開発いたしまする場合には、当然そういうことが予想されるのでありまして、こういう場合におきましては、別個に補助金を出すとか或いはそれを政府のほうで買上げるとか、適当な方法を以ちまして、以てこの地下資源の開発に万遺憾なき措置か講ずると同時に、積極的に開発する方途を講じたい、かように考えましてその施策を考究中なのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/23
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024・小野義夫
○小野義夫君 今栗山君の御質問に関連いたしまして、即下資源開発に対して特に石炭の面は若干景気をつけているというように見えるのだが、主として金属関係並びに石油、天然ガスについて、前年度より緊縮予算とは言いながら、非常に予算面の数字は低調なことを示しているのでありまして、今日地下資源開発ということは輸入の促進と相待つて非常に大きな経済政策の一環となつているのでありますが、これについてどうもこういう数字を出されたことは資源庁の長官並びに鉱山局長等の詳細なる説明がなければ納得行かないものがあるのですが、その点今日は質問は留保いたして置きましたが、どうぞ一つ御承知置きを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/24
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025・古池信三
○古池信三君 ちよつと細かい点ですけれども、二点ばかりお伺いいたしたいと思います。第五の自転車及び自動車振興対策の項目の中で、二十六年度は自転車関係が三億五千百万円、自動車関係二千六百万円計上されております。その備考欄を見ますと、このほかに中小企業庁或いは工業技術庁にそれぞれ七千万円或いは四千六百万円を計上してあると備考欄にありますが、そうしますとこの総額の百十七億五千万円のほかに更に通産省として予算があるのか、その点々ちよつとお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/25
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026・首藤新八
○政府委員(首藤新八君) 百十七億の予算の中に全部包括されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/26
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027・古池信三
○古池信三君 それですと今の三億五千万円或いは二千六百万円の中にそれらは含まれていなくちやならんと思うのですが、そのほかになつておるとこう備考欄にありますからその説明をちよつとお伺いしたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/27
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028・永山時雄
○説明員(永山時雄君) これはこの備考欄に載つておりまする工業技術庁或いは中小企業庁、その技術振興なり、中小企業の対策なり、そういうものにそれぞれ含まれておるのでございます。例えば中小企業の共同施設費の補助といたしまして、先ほど御説明をいたしましたが、二億円を今度計上いたしておるのでございますが、その中には一千万円は自転車関係のものが入つておる、こういいうようにそれぞれの経費の中に含まれておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/28
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029・古池信三
○古池信三君 わかりました。その次は第六の雑件のところですが、昨年度に比べまして二十六年度ほ人員減少に基きまして相当経費が激つておりますることはわかるのでありまするが、この一般というところにおきまして本省関係はむしろ二十五年度に比べて若干殖えておるようであります。それに反して通商産業局関係のほうでは減つておるのでありますが、この関係はどういうふうになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/29
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030・伊藤繁樹
○政府委員(伊藤繁樹君) 本省の関係のほうの一般のほうは人員といたしましては若干統制経済の縮小という問題に絡みまして人員減をいたしておりますが、ベース・アツプの関係その他でそう大した減少はないのでございますが、物資調整関係のほうはこれは本来割当業務のために採用した数でございますので、その点は止むを得ないもので、こういうふうになつておるものと考えております。通商産業局と一般が非常に不均衡であるというお尋ねでございますが、数学的には別にそう不均衡になつていないと考えておりましす。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/30
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031・古池信三
○古池信三君 私伺いましたのはこの一般と本省関係との違いは了解いたしまするが、同じ一般の中で只今のお話では本省関係はここに約三千万近く殖えておりますが、その原因はベース・アツプその他の関係であるという御説明であつたのですが、ベース・アツプの関係だつたのならば地方も同様なわけでございますから、地方の一般も本省並に行けば殖えるわけになつておると思うのです。然るに約六千五百万円くらい地方はむしろ減つておるのでございますが、その関係を一つお尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/31
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032・伊藤繁樹
○政府委員(伊藤繁樹君) この本省のほうの数字でございますが、人件費の関係だけでございませんで、共通経費が本省には相当載つております。例えば営繕費でありますとか、そういうものは本省に載つておりますので、従つて人員の関係から来るアンバランスはないんでありまして、そういう費用が本省のほうに一括されておるということからこういうふうになつておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/32
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033・古池信三
○古池信三君 わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/33
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034・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 只今順序を逆にして予算のほうから早く説明をお願いいたしましたが、元に帰りまして、通産行政一般についての方針を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/34
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035・首藤新八
○政府委員(首藤新八君) 御承知の通り昨年六月二十五日勃発いたしました朝鮮事変を動機といたしまして、その後アメリカを初め、各国の軍備の拡張はいよいよ軌道に乗つて参つたかのように感ぜられるのでありますが、それと同時に国際景気は急ピッチを以て上昇して参つたのであります。そうして我が国の経済に影響するところはいよいよ深く、いよいよ大きくなつて参りましたので、この際この緊迫した来るべき経済情勢に際しまして、通産政策の基本方針につきまして我々の現在考えております点を率直に申述べまして、以て各位の忌憚のない御批判と、更に格段の御協力をお願い申上げたい、かように存ずる次第であります。
御承知の通り、政府は昨年六月の朝鮮事変勃発と同時に、先ず第一にとらなければならん緊急の対策といたしまして、輸入の促進をやることである、かような構想の下に今日まであらゆる施策を以て輸入の促進に努めて参つたのでありますが、最近の情勢は先ほども申上げましたように、いよいよ国際的経済が活溌な上昇を始めて参りましたので、この輸入の問題はいよいよ緊急の課題と相成つて参つた、かように考えておるのであります。そこでこの輸入促進を一体どういう方向でやるかということが当面の問題だと考えるのでありますが、御承知の通り、昨年の上半期までは資金の面におきましても、或いは輸入の方法におきましてもいろいろの制約がありまして、その輸入には甚だ困難な点がたくさんあつたのであります。そこでこの輸入の促進を円滑に運びまする手段といたしまして、資金の面におきましても御承知の通りこれまでの貿易だけでは到底解決し得ないということから、ユーザンスの制度を新たに了解を得まして、三カ月乃至国によりましては四カ月のユーザンスの制度を作りまして、この面で相当の資金の融通を見たのであります。併しながらそれだけではなお且つ引取後の資金或いは輸入の資金に困難を来たしまするのと、更に又協定国の協定額を突破した場合の対策というような問題も残されておりますので、そういう面につきましては、いわゆる協定額を突破いたしましても一応輸入し得るというような方法をとりますと共に、輸入方式におきましてもこれまでは先着順の輸入であるとかその他非常に窮屈な面もありましたが、これらも自由輸入制度を確立いたし、更に又緊急物資に対しましては別個に緊急物資の輸入の枠を創設いたし、更に又パルプ或いは鉄鉱石等々長期資金を必要とし、或いは非常に長期の契約を必要とするものにつきましても、別個にそれに即応するような制度を打つて参つたのであります。そこで大体において今日まで非常に大きな隘路とされておりました問題は、一応解決いたしたのであります。特に最近は日銀におきましても、スタンプ手形を非常に拡充することになりまして、一層輸入の問題が促進しやすいような情勢に立至つたのであります。そこですでに新聞で御承知かと存じまするが、政府におきましては、昨年の二四半期におきましては大体四億ドル、それまでの輸入は一四半期で一億ドル乃至一億五千万ドル程度であつたものが、二四年期には四億、三四半期には三億八千五百万ドル、更に来るべき四四におきましては、できる限り巨額な輸入をいたしたい、およそ六億ドル程度になつて参るのじやないかというふうにも考えておるのであります。そこでどうしてもこの際、これら厖大な輸入を実行いたしまして、そうしてできる限り内地にこれを保留いたしたい、備蓄いたしたい、できるならば六カ月問くらいの原材料を備蓄いたしまして、そうして輸出する場合には、六カ月前に入つたものを加工して輸出する。現在の国際経済の歩調から考えますると、かくすることによつて、日本の貿易は巨額な黒字を獲得でき、そうして日本経済の自立がこれによつて短期間に目的を達成するという、実は基本的構想を持つておる次第であります。そこでそういたしまするためには、一応輸入上におけるもろもろの隘路は拂拭されたのでありますが、問題はこのユーザンス或いはスタンプ手形等々、期限の切れた後における金融を如何にするか、これは昨年来しばしば通産省といたしましては、その際における金融難に想到いたしまして、関係各省に金融の緩和を、又別個の金融枠設定をいろいろ交渉いたしたのでありまするが、容易に了解を得なかつたのであります、ところが最近になりまして、いよいよ客観的経済情勢が緊迫して参つた、又特にアメリカその他の軍拡によるところの物資の需要がいよいよ増大して参つたというようなことから、今日までとかく消極的でありました関係各省も、全面的に協力して頂くような態勢に変りまして、期限到来後におけるところの資金に対しましても、格別の措置が講ぜられそうなような情勢に立至つておるのであります。恐らくこの問題は近く解決すると存じておるのでありまして、これが解決いたしますれば、今後あらゆる物資に対するところの輸入が非常に安心してでき、且つ又量的にも相当大幅な輸入が実行できるものである、かように考えておる次第であります。ただ問題は、当面の最も関心を持たれまするのは船腹の問題であります。言うまでもなく船腹に対しましては、昨年夏頃までは日本船を是非とも外航に就航さして頂きたいということを関係先にしばしばお願いしたのでありまするが、容易に了解を得られなかつたのであります。幸い昨年九月頃から、南米その他にぼつぼつ了解を得まして、運航を始めたのでありますが、而もその後の国際経済の進展から、船腹が急速度に拂底いたしまして、どうしても日本船を全面的に使いましても、現在政府の計画しておりまする本年度の物資を輸送するためには、僅かにそれは三割前後に過ぎないという状態になつて参つたのであります。而も傭船料はこれ又日に日に急騰いたしまして、昨年の十一月乃至十二月のレートに比較いたしますると、現在僅か一カ月乃至二カ月間の間に三倍、甚だしきは五倍というふうな上昇をいたすと同時に、今後なお上昇する可能性が多分に見えて参つたのであります。言うまでもなくかような厖大な物資を契約いたしましても、この前提となるべきものは、何と言つても輸送であります。船腹の獲得でなければなりません。そこで運輸省に対しましては、極力造船の進捗乃至傭船等々の実はお願いをして参つたのでありまするが、併しいずれもいろいろの事情によりまして、特に新造船のごときは私が申上げるまでもないのでありまするが、時間的に相当長期間かかる。又傭船にいたしましても、この点を総理に特にお願いいたしまして、総理のほうから政治的な折衝をお願いしておるのでありまするが、併しいずれもが緊急の輸入に間に合わない。而も相場は日に日に高くなつていく。運賃も又いよいよ高くなつて行く。又物資によりましては、買付けがいよいよ困難になつて来るというような緊迫した情勢になりましたので、通産省といたしまして、いろいろこの点に苦労いたしたのでありますが、この際通産省といたしまして、貿易特別会計の面に実は五十億内外の、余裕金と申しては語弊がありまするし、これは今後商品を買わなければならん資金でありまするけれども、この差迫つた緊急措置といたしまして、一言も早く物資を輸送するという考え方から大乗的に考慮いたしまして、この特別会計の余裕金を一時買船に活用いたしまして、そうして少しでも輸入の円滑な促進に資したい、実はこういうような考えを以ちまして目下関係当局と打合せを進めておる次第であります。かようなことで資金の面或いは船の問題等々が解決いたしますれば、おのずから輸入は順調に進行すると考えておるのでありまして、特に昨年未実は通商監、通商局の次長並びに課長に、直接世界各国の重要なマーケットを調査させまして、そうしてどこにどれだけの余裕があるとかないとか、或いは買付けしやすいとか、しにくいとか、或いは契約できるとかできんとかというような検討をいたすために、三人を世界各国の主要地に派遣いたしまして、すでにアメリカ、南米を経過いたしまして、只今欧洲に滞在しておるのでありまするが、近く帰つて参りますと存じまするので、帰来いたしましたならば、相当又輸入促進上裨益する報告がもたらされるものであると期待しておる次第であります。
更に、輸入の面は大体以上でありまするが、かように物資の獲得ができましたならば、内需の増大に十二分に応え得ますると共に、更に輸出を一層振興さしたい、幸いに最近殊にこの一月以来、各国からの纖維その他に対するところの引合いは非常な勢いで殖えて参つておるのでありまして、各貿易商とも実はこの引合いの余り大きいのに嬉しい悲鳴をあげておるというような状態になつておりまするし、又それだけに一層船腹の要望が強くなつて参つておるというふうな状態になつておるのでありまして、従つて昨年までにおける輸出振興に対する施策は必要とせなくても、今後ともこの上昇の線をできるだけ促進するような措置を講じて参つて行きたいと、かように考えておる次第であります。そこで先ほども御質問がありましたが、輸入が順調に行われ、そうして国内需要或いは輸出に対しまして十二分に供給し得まするならばともかくでありまするが、最近の各国のマーケットの実態から考えますると、今後も果して無難に要望するだけの資源が買付けできるかどうかという若干の疑問がありまするので、どうしてもこの際国内資源を思う存分に開発いたし、それでその面におきましても生産を増強しなければならん時期に来ておるのではないか。特に金属、鉱物或いは電力、又民生或いはこの一般産業の基礎物資であるところの石炭、これらの開発につきましては、更に今日まで以上の積極的な推進をいたす時期に立至つているのだとかように考えまして、極力その生産設備の拡充に努めますると共に国内資源を有効に利用しまして、以て仮に輸入が不円滑になるという場合にその不足物資の代替を可能ならしめる。そうしてこの日本の産業をいよいよ活溌ならしめまして、多年待望いたしておりまするところの経済自立を一日も早く実現いたしたいとかような強い念願を持つておる次第であります。そこでこれら生産を増強いたしまする上におきまして、これ又先ほど輸入面において申上げました通りに、資金がどうしてもつきまとうて参つて来るのであります。今日まで輸入上必要の資金或いはこの産業進展上の資金という莫大な資金を要するのでありますが、これらの資金を要求した場合、とかくそれがインフレになるというような観念の上に消極的な態度で迎えられたのでありまするが、併しながら我々の考え方は生産を増強することによつて、たとえこれによつて金融が緩和いたしましても、ものの供給が殖えることによつてインフレは解消できるという、実は根本的考え方の下に産業資金の確保につきましても、今後いよいよ力を注いで参りたい。そうして先ほど申上げました資源の開発、それから生産拡充用の設備、或いは又電力の開発等々に対しまして、これに適当するところの資金、或いは助成金の増額を図りまして、今後絶対的に確保せなければならんところの緊急物資の生産をいよいよ増強して参りたいというふうに考えておる次第であります。更にかねて久しい間問題となつておりましたいわゆるこの合理化でありまするが、先ほども本年度の通産予算の場合に御質問がありましたが、これは飽くまでも遂行しなければならんと考えておるのでありまして、ただ目前景気が非常によくなつた関係上価格が上昇いたして、従つてこの合理化ということが一応一時よりも下火になつたような傾きがありまするけれども、併しこの際にこそ合理化いたしまして、以てできる限り安いコストの製品を上げる。そうして他日に備える絶好の実は機会とかように考えておりまするので、そのためには生産技術の向上、生産方式の改善等主として技術の改良、試験研究、そういう面につきまして格段の努力をいたしますると共に、設備の改善につきましては実は昨年予算を組みまする場合におきましては六億数千万円の予算を計上いたしまして一応大蔵省の了解を得ておつたのでありまするが、いろいろの面からそれが削除されまして非常に遺憾に考えておるのでありまするが、それだからといつて、これをこのまま放任し得ませんので、最近再度これを取上げまして、この新らしい設備の代替、或いは輸入いたしまする場合におきましては輸入税を免除する、或いは附加価値税、国定資産税、それらを二年なり、三年なり減免いたしまして、少くとも租税上の措置によりましてその設備更新の半額以上はその面で補償するという実は考えを以ちまして只今関係省とその面の折衝をいたしておるのであります。同時に各企業体に対しまするところのいわゆる何と言いますか、内面の蓄積と言いますか、資本蓄積と言いまするか、できる限りこの際資本蓄積の面を指導いたしまして、そうしてこの自己資金におきましてもこれらの近代化設備が可能な方途に持つて行きたい。かように考えておる次第であります。更にこの産業の基本でありまする電源の開発でありまするが、これはどうしても厖大な資金を要しまして、近くできる新会社におきましてもとても賄い切れないだろう。従つてこの資金を賄いまするために別途に見返資金四十億、復金の償還利子八十億、合計百二十億を資本といたしまして開発銀行を創設いたし、それらの三倍の債券を発行することといたしまして、そうしてこの電源の開発、或いは増設、長期の資金の需要に応えると共に、一般市中銀行の金融に圧迫を加えないような方法をとつて行きたい、これ又関係省と現在折衝を続けておる次第であります。なおいつもの問題でありまするが、中小企業の対策でありまするが。これはすでに昨年本委員会におきましても御協賛を得ましたいわゆる信用保劍は、我々は画期的な措置だとこういうふうに考えまして現在ひたすらその円滑な金融を期待し、各銀行に対しましてもよくこの趣旨を徹底しまして、中小企業の金融に効果的な措置を講じてもらうよう極力お願いしておる次第であります。なお又見返資金が久しい間一カ月一億、一四半期三億であつたものが、昨年十月以降それが三倍に引上げられたということも御承知の通りでありますが、なお又別途におきましても信用組合、或いは協同組合、特に先ほど予算にも計上して置きましたが、本年度におきましても協同組合に対しまして格段の助成金を交付いたし、そうしてこの協同組合の健全な発達と十二分な活動を期待し得るような措置を講ずることにいたしておる次第であります。
もう一つこの機会に申上げて置きたいと思いまするのは、最近この国際商品の価格の上昇と並行いたしまして統制が近くあるのではないかというふうな関心が非常に強くなつて参つておるのでありますが、政府は只今のところできる限り統制を回避する。そのために輸入の促進に強力な措置を講ずる。或いは又金融面にそれに即応するような措置を講ずる。そうして統制経済は回避するという構想を続けておるのでありまするが、仮に不幸にしまして万が一統制を実行しなければ相成らんというような事態に立至りましても、各方面で考えておりまするような統制は断じてやらない決意をいたしておるのであります。と申上げまするのは、統制と言えば必ず価格統制である、或いは配給統制であるというような観念を持つておられるのでありますが、今日の日本経済は統制経済を実行した過去の場合と根本的に相違しておるのでありまして、当時は日本の経済が全く国際経済から遮断されておりましたが、今日は毫末も遮断されておらず、毎日各国の相場が日本の経済に反映いたし、又あらゆる物資が、たとえその量が少かろうとも、多かろうとも、輸入がスムースに行われておる状態でありまして、従つてかような場合に価格統制をやること自体が根本的に無理でありまするし、而も強いてこの価格統制をやろうといたしますれば、どうしても国家管理或いは国家がこれを手持するという結果に陷りまして、そのよつて来たる厖大な費用は到底国民の負担し得ないところでありますると共に、何としても国際相場でありまするがために、日本政府だけでこれをコントロールするということは到底至難であると考えるのであります。従つて価格統制をせず、又配給統制もせず、ただ不要不急と思われる、又は余り重要でないというような物資の生産を一応抑制いたしまして、これによつて調整して行くという程度の統制をいたしたい、かように考えておる次第であります。同時にこの統制でありまするが、仮にこの程度の調整をいたしましてもなお且つ過去に行われたような官僚の統制はできる限り排除いたしまして、経験の深い民間の各団体に委讓いたしたい、かような基本的考えを持つておりまする関係上、それがためにはどうしても事業者団体法或いは独禁法をこれに即応するような修正をしなければ相成らん、かように考えまして、それぞれ修正の準備をいたしておるのであります。仮りにこれらが希望する程度まで大幅に修正できないといたしましても、各業者が一応価格を協定するというような点までは認められるような修正をいたしたい。併しその場合全部の商品を協定をする、そうして政府の許可を得るというのではなくして、一応政府がこれらの物資が必要である、いわゆる供給が少いと思われるような物資特定の物資に限つてそれらの団体が許可を申請した場合は、政府のほうでその重要性をとくと検討いたした上、必要である場合にこれに認可を與えるという程度のことは、統制をすることによつて十二分に運営できるのではないかというふうな考え方を持つておるのでありまして、できるだけ民間の創意と熱意を活用いたしまして、かような万が一の場合にいたしましても遺憾のない運営を可能ならしめるような方途を考究しておる次第であります。
大体以上のような基本的方針につきまして今後も推進いたしたい、かように考えておるのでありまするが、何分にも今後アメリカを初め、ソ連或いは英国、フランス等々世界各国の軍備拡張熱はいよいよ白熱いたし、そうしてそれが直ちに物資の供給に重大な影響を及ぼす、そうして直ちにそれが日本の経済に又敏感に大きな影響を及ぼして来るということが期待されるのでありまして、かたがたさような急激な変化がありましても、それに即応して万遺憾なき措置や講じて行きたい強い決意を持つておる次第でありますので、何とぞ今後とも各位の格段の御協力と御支援をお願い申上げまして、私の挨拶々終りたいと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/35
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036・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 只今の政務次官の説明に対して御質問がございましたら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/36
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037・境野清雄
○境野清雄君 只今政務次官から大変結構な御挨拶を受けまして、通産行政として喜ばしいことだと思うのでありますけれども、大体今の輸入問題、これは又政府としては大変遅まきながらこの頃熱を入れておるわけでありますが、大変遅れておつたと思うのでありますけれども、輸入は円滑に行われておるというようなお話でありまするけれども、大体輸入に対して今備蓄問題も考えるというようなお話ですが、現在の輸入の状態といたしましては、もう業者は実際問題としてはユーザンスなり何なり非常にいい措置を講ぜられておりますけれども、むしろ輸入に最近業者が熱がないのではないかというように私は見ておるのでありまして、と申しますことは、輸入しますものが円資金の不足で、これがどうも自分のところの荷厄介になつてしまうというような状態で、次の輸入にどうも熱を入れていないというような状態が各所に見受けられるというような点がありますので、若し今のような備蓄方策をとるというのなら、政府が厖大な資金を出しまして、政府自体がこれを一応買取つて備蓄するとか、或いは民間の業者団体かにそういう備蓄方策をさせる、言い換えれば備蓄というのもには裏付に円資金の融通を図るということをやつてくれない限りは、いつまでも、輸入を旺盛にすると言われてもなかなか輸入が旺盛にならないのじやないか。又相当現在の国際物価の値上りを見ますと前途に不安を伴つている。一つの例を挙げれば、先般の濠洲のオークシヨンの価格を見ますと羊毛が遂に三百十三ペンス、去年の一月の百十ペンスに対しまして約三倍近いのじやないか、それから又原綿にしましても七十セント以上のものを今日買付けをしている。これは買付けをして置かなければ自分のところの工場の操業というようなものが相当困難になることと、日本が物資を確保しなくちやならんというような現状にあるので、これは犠牲的に私ども考えれば買つているのじやないか、こういうようなものが、例えば原綿にしましても前途の見通しというようなものをつけた場合には、相当業界としてはこれは不安を持つているのじやないか。そういうようなものに対しまして、何らかの補償制の措置というようなものは、さつぱり政府は考えておらないというので、ただただ物資が不足しておるから今日輸入をせなくちやならんということは、根本的に間違つておるので、業者自体のこの苦しい面も輸入問題に関しては相当考えなくちやならんのじやないか。只今の次官のお話では輸入を促進すると同時に輸出も大いに促進するというようなお話でありましたけれども、先々週あたりの東洋経済あたりを見ましても、今日の輸入の情勢で行つては、やがては輸出のものに対しても或る程度制限をしなくちやならないのじやないかというような議論が今日出ておりますので、もう少し掘下げて、輸入と輸出の問題を私は考えてもらわなくちやならないだろう、又例えば産業の近代化というようなお話にしましても、現実に金がなくては産業の近代化はでき得ない、企業の経営の合理化はでき得ないというのが現状なんであります。それに対してただただそのものの半分ぐらい固定資産税で免除するとか、或いは輸入税で免除するとかというようなことでは、なかなか産業の近代化なんというものは図れないのでありまして、いわゆる産業の近代化を図るのなら、その入れる構成に対する資金の融通をしてくれるというようなことでない限りは、これは歌に歌うだけで、現実の産業の近代化はできないのじやないか、こんなふうに私は思つているのであります。なお又例えば資本の蓄積というようなことを声を大にして只今も申されておるようでありますけれども、私の知つている範囲におきましても、資本蓄積は大体今日の預金が一兆二千八百億というようなものがある。これは戰前の物価基準に換算しますと僅か五十二億じやないか、それで昭和十年に見ましても、当時の預金は百七十億ありまして、大体発行通貨の十倍というものを当時持つておつた、それなのに今日は僅か三・九倍じやないか、こういうような資本蓄積を今年も四十億ぐらいのものをやりたいというような政府のお話でありますけれども、これとて通商産業省としては、是非大蔵省にもつと食つてかかつてもらいたい。言い換えれば今日のようにこの税金自体が五五%取られ、地方税その他で合せて六五%というものを取られ、残りの三五%で如何に資本蓄積をしろと言つても、これはなかなかできないのじやないか、こういう面に関して、むしろ通産省自体としては、大蔵省にもう少し強く出てもらいたい。中小企業の金融にしましても、只今見返資金が三倍になつたというようなお話で大変いいニユースなんでありますけれども、さて見返資金の放出状況はどうか。最近の状況は借手がないというような状態に相成つておる。これはなぜ借手がないのだというと、金があつても、借りたいのは山々だけれども、手続が、今の見返資金のようなうるさい手続では、到底中小企業はこの金を借入れするところのデーターができないというような状態になつておりまして、これは例えば保險法案にしましてもその他の問題にしても、殆んど手続で行き詰つておるというような現状なので、只今次官の昭和二十六年度に対する通商産業省としての方針は非常に結構なんでありますけれども、それをもう一睡掘り下げて頂きまして、例えば手続の簡素化のほうの問題にしましても、実際にでき得るように一つ通産省としてはやつて頂きたい。同時にもつと強く大蔵省に要望してもらいたい、こういうふうに私は考えておるのでありまして、厖大なお話を突然聞きましたので、一々に対してはもつと申上げるなり、又お考え直しえ願いたいと思うところがあるのですけれども、それは後日速記録を見てから申上げます。ただ今お聞きした中の三、四点にしましても、そういうような実際面とは相当食い違つておるので、こういう点をもう一歩一つ掘り下げて、実際に産業界に役立つような方策に活かしてやつて頂くことを強く要望したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/37
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038・首藤新八
○政府委員(首藤新八君) 只今の御意見によりますると、輸入後の金融が非常に困難であるから、輸入者が輸入に余り熱意を持つていないということが第一の御質問のようにお聞きしたのでありまするが、我々はさようには考えていないのであります。と申上げますのは、ユーザンスの最初の期限が大体今月から来月にかけて期限が到来するのでありまして、今日まで到来した金額は極く少いのであります。そうしてこの金融は大体ついておると見ておるのであります。一—三月のこのユーザンスの期限到来によつて必要とするところの金額は七百億でありまして、四—六の金融が大体一千億を必要とするであろうと、こういう今までの契約を基礎としました計算が出ておるのであります。そうしてその四—六はともかくといたしまして、一—三の七百億につきましては、借入金その他の措置によつて十二分に賄い得るという実は確信を持つておるのであります。同時に輸入が如何に増大したかという事例を挙げますると、昨年の四、五、六、これらの輸入金額は一カ月四千万ドル乃至五千万ドルでありましたのが、昨年の十一月は九千万ドル、十二月は一億二百万ドル、更に今月は、月でありまするが一億二千万ドル、かような当時に比較しまして倍以上の増加を示しておるのであります。無論価格は相当上昇いたしておりまするけれども、併しながら十一、十二、一月に入りましたものはおおむね昨年の八、九、十月当時の契約でありまして、朝鮮事変によつたところの影響は余りまだ現われていない。当時の買付品でありますから、結局これらの金額の急増は物資の量が殖えたものだとかように考えておる次第であります。同時に先ほど申上げましたごとく、備蓄その他の施策が今後進行いたしますれば、今後の輸入にいたしましても、何ら杞憂するところなく、民間の業者は十二分に協力して頂けるであろう、かように考えているのであります。更に買付後の期限或いは金利その他の負担という問題に対しての御意見もありましたが、これらも備蓄法が成立いたしまして、以て金利その他の負担をいたすために、又輸入者が備蓄法によるという意思表示をいたしたならば、この買付値段を報告する、これによつてその後の値下り等も政府のほうでこれを補償するという実は原案でありますので、この法案ができますれば、今後の輸入に何ら不安はないとかように考えておる次第であります。更に合理化の観点から設備の近代化に対しての措置でありまするが、成るほどこの点は御意見の通りでありまして、我々も別個の助成金を出しまして、そうしで緊急にこれを促進いたしたいという実は強い気持を以て、先ほども申上げましたごとく六倍数千万円の予算を計上いたしたのでありますが、どうもそれが他の一般財政の均衡上認められないということで、最後までこの点は頑張つたのであります。併しどうしても認められなかつたので、それに代るべき措置といたしまして、先ほど申上げましたごとく、租税の面において十二分に助成したと同様の効果を挙げる方向を実は考えた次第であります。
更に中小企業の金融問題でありまするが、成るほど見返資金が現在相当余つております。むしろ借手のないのをかこつというような状態にあつて、我々は非常に不可解に考えておるのでありまするが、これは一面手続上の煩瑣ということも原因しているかと存じますけれども、長い間この面の融資の額が非常に少かつた、先ほど申上げましたごとく、一—三が僅か三億だつた。従つて当初この見返資金の融資が発表されますると共に、全国の中小企業家が挙つて申込んだのでありますが、その殆んどが拒否された。目的を達しなかつた。そこで見返資金は申込んでも駄目だという一応観念になつておることがここに至つてかような余裕金を示しておる。この原因が大きいのだというふうに考えて、実は中小企業庁が中心となりまして、全国に現在の金融の余力のあること等々を徹底するような措置を講じまして、同時に又申込がありましたならば、できる限りその取扱を簡素にいたしまして、そうして十二分に希望に副うようた措置を銀行との間に中小企業岸が立ちまして、そうして斡旋しておるというような現状になつておるのであります。併しながらそれだからといつて、手続の問題をこのまま放任するということはどうかと考えますので、今後できるだけ簡素化に努力いたしたいとかように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/38
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039・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) ちよつと私からお尋ねいたしたいと思いますが、只今政務次官のお話で船腹が非常に不足を来たしている。輸入も促進したいし、又輸出も大いに二十六年度はやりたいが、船腹が非常に不足しているというお話で、この点につきましては、首相も政治的に動いているというようなお話がありましたが、私のお伺いしたいのは、従来海軍のいわゆる砲兵工廠その外造船所で、いわゆる元軍艦を造つておつた、そういう元の海軍の施設だつた工廠等が現在造船には役立つていない。現在では殆んど船の解体くらいにしているというような話をよく聞くのでありますが、それに対しては総理大臣などが政治的にいわゆる外交交渉として手を打つておられるかどうか。又将来少くともその砲兵工廠などは、造船所として日本の船舶を造るのに役立たせる意思があるのかどうかということをちよつとお伺いいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/39
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040・首藤新八
○政府委員(首藤新八君) 先ほど申上げました、総理にお願いして政治的な手を打つて頂きたいということをお願いした以上は、緊急に船腹を確保いたしたい、運輸省におきましてはすでに積極的な造船計画を進めておりますし、又それがために金融も格段な措置を講じて頂いたのでありますが、併しこれが予定通り進行いたしましても、本年中に増加いたします船腹は、僅かに三十万トンに過ぎない、来年三月まで待もましても、僅かに全量四十万トンに過ぎないというような工程でありまして、そういうことでありましては、到底目前の緊急事情に即応いたしかねる、そこでどうしてもその時間のかかる造船は、計画は計画として、進めてもいいけれども、別個に緊急措置を講じて、ここでできるだけ船腹を確保いたしたい、それには造船ということよりも、先ほど申しましたチヤーター、買船、すぐ間に合うという措置を講ずることが、今日緊急な対策だというふうに考えまして、総理にお願いいたしましたのは、主として傭船の問題をお願いしてありますから、恐らく過去における海軍の工廠を使用するということは、お考えになつていないのであります。同持に又我々の了解しておりまするところでは、呉にいたしましても、或いは又佐世保にいたしましても、今すぐそれが造船に寄する設備なりその他の條件を備えておるのがどうか、又これが役立つにいたしましても、その経営の主体、又それの構成というようなことを考えますると、相当時間がかかりますので、目下のところこれは恐らく御考慮になつていないのじやないかというふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/40
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041・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 重ねてお伺いしたいのでありますが、例えば佐世保の工廠なども、現在は民間に移管されておりまして、SSKという会社で今やつておりますが、そういつた民間の会社に移管されておるとか、又最近講和が迫つておるというような情勢から、成るべく早くこれは民間の、いわゆる商用に使う造船を、船腹を造るということには、当然これは政府としても努力すべきことだろろと私は考えるのでありますが、そういつた点に努力される意思があるかどうかということをお伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/41
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042・首藤新八
○政府委員(首藤新八君) できるだけその面は努力いたしまして、そうして船腹の増強に御協力いたしたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/42
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043・境野清雄
○境野清雄君 今次官のお話の備蓄費というのを出すというお話ですが、それは緊急に出すというお考えですか。それから又備蓄費というものは、予算の中にないので、その金の問題はどうなるかという点を一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/43
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044・首藤新八
○政府委員(首藤新八君) 先ほど申しましたごとく、相場は日に日に上つて来ておりますので、早く改訂したい、それがためにはどうしても備蓄を必要とするということから、時間的には非常に急いでおりますので、現在関係先と交渉を進めておるわけであります。その資金源は見返資金であるとか、或いは又その他の政府の事業資金等々を借入れたい。特に昨年の国会で認められましたインベントリー・フアイナンス、あの措置によりまして、外為に若干の余裕金がありますので、それらの金を融通してもらつて、そうして間に合せたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/44
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045・境野清雄
○境野清雄君 今の次官の輸入問題で、私ももつと突つ込んで聞きたい問題があるのですが、時間もありませんし、今日何かあとで寄合いがあると思いますから、後日に残しますが、輸入問題は、私は大体において輸入輸出共に、今次官の話は相当楽観論じやないかというふうに思いますので、もう一つ掘り下げて、まあ先ほど皆さんと打合せしまして、大体改めて輸入状況なり、輸出状況なりは、部門別にお聞きしたいというような話がありましたので、そのときに讓り、又是非そのときには、次官に出て来て頂いて、一つ輸入問題については後日に又質問をさせて頂きたいと思いますから、これだけ保留しますから、どうぞ御含み置き願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/45
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046・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) ほかに御質問ございませんか。それでは本日の通産委員会はこれで散会いたします。
午後三時三十六分散会
出席者は左の通り
委員長 深川榮左エ門君
理事
古池 信三君
廣瀬與兵衞君
栗山 良夫君
結城 安次君
委員
小野 義夫君
松本 昇君
小松 正雄君
下條 恭兵君
椿 繁夫君
加藤 正人君
高瀬荘太郎君
山川 良一君
境野 清雄君
西田 隆男君
国務大臣
通商産業大臣 横尾 龍君
政府委員
通商産業政務次
官 首藤 新八君
通商産業大臣官
房会計課長 伊藤 繁樹君
特許庁総務部長 松永 幹君
説明員
通商産業大臣官
房長 永山 時雄君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X00419510201/46
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