1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月八日(木曜日)
午前十時五十二分開会
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本日の会議に付した事件
○電信電話料金法の一部を改正する法
律案(内閣送付)
○放送法第三十七條第二項の規定に基
き、国会の承認を求めるの件(内閣
提出、衆議院送付)
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001・寺尾豊
○委員長(寺尾豊君) これより会議を開きます。前回に続いての問題と電信電話料金法の一部を改正する法律案についての審議をいたします。先ず最初に電信電話料金法の一部を改正する法律案についての大臣より提案理由の御説明があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/1
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002・田村文吉
○国務大臣(田村文吉君) 今回政府より提出いたしました電信電話料金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明いたします。電話に関する料金のうち装置料等を引上げると共に、一般放送事業者が専用する場合の市外専用電話料を引下げて、新聞社、日本放送協会等と同額にする等の必要がありますので、これがこの法律案を提出する理由であります。
次にこの法律案の要点を申述べます。先ず加入電話の装置料は加入者の宅内への引込線工事及び電話機取付工事に要する労務費及び消耗品費でありますが、加入電話の取消又は移転などにより不要になる性質のものでありますから、その工事の都度一時に実費を回収することが必要であります。然るに現在の装置料は、実費に比して甚しく低廉でありますので、これを実費まで引上げる必要があるのです。
右と同様の理由によりまして、構内移転附属物品、増設機械、災害電話復旧臨時電話の場合の装置料をそれぞれ引上げたのであります。
この改正に伴いまして、これと同一の性質を有する市内専用電話及び市外専用電話の端末設備の移転料につきましても、同様の理由によりまして引上げたのであります。
又近く業務開始を予想せられる一般の放送事業者の用に供する専用については、日本放送協会の用に供するものと同一に取扱うのが適当と思われますので、これと同様の料金にすることといたしたのであります。
以上を以ちまして、本法案の提出の理由を御説明いたしました。十分御審議の上、速かに可決せられんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/2
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003・寺尾豊
○委員長(寺尾豊君) なお本法案に対しまする審議は一応あと廻しにし、放送法第三十七條第二項の規定に基く国会の承認を求むる件の審議を先にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/3
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004・寺尾豊
○委員長(寺尾豊君) さよういたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/4
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005・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 電波監理委員会の委員長にお尋ねいたしたいと思うのでありますが、前回に私からお尋ねをいたしまして委員長からの御答弁があつたのでありまして、その承認要求の件を審議いたしますに当わまして、国会がこれに対して修正権があるとか、或いはないとかいうことでありますが、委員長と多少意見の違いがあつたように記憶いたしております。その後私も更に研究をいたしまして、又この前の委員会で寺尾委員長から報告がありましたように、委員会ではございませんが、委員会のあとで御報告がありましたが、衆議院の電通委員長も同じような見解をとつておられました。又これは非公式ではありましようけれども、CCSの当路者も大体同じような見解をとつておられます。なせ私が国会のほうで修正することができるという意見を持つたかと申しますと、これは法律的に考えますると、両方に議論があると思います。併しこの放送法だけを見ますると、要するにその内容がやはり国会において修正をしなければならん場合を予想しておるように條文ができ上つておるというふうに考えるから申上げておるのであります。極く簡単に申上げますると、単に日本放送協会の事業計画、資金計画等につきまして国会に提出して承認を受けるということだけでありました場合には、私もその内容からいたして飽くまで国会に修正権があるということを主張しなくてもいいのでありますけれども、この収支予算の中で一番大きな問題、即ち国民一般に関係のありまするところの聴取料、受信料の問題が包含されておるのでありまして、これが国会が収支予算を承認いたしますることによつて、聴取料が初めて決まるのだということに相成つております。この聴取料は法律の原案におきましては立法事項として従来も考えられておつたのであります。その点は国会におきましても立法事項でやつて然るべきであろうという見解も非常に有力にあつたのであります。それが国会において法案の一部修正をいたしました結果、收支予算の承認によつて聴取料がおのずからきまつて来るというような條文に変つたことは御承知の通りであります。この聴取料の問題につきましては、例えば五十円が高いかどうか。或いはそれをもう少し上げるほうがいいかというような問題。或いは下げたほうがいいという問題、これは国会におきまして内容的に審議をして行くべき問題であります。これは非常に不当に高かつたり或いは又不当に安くつても、そのために日本放逸協会が仕事が殆んどできないというような状態になりました場合には、これを適当なところに是正して行く必要があることは言うまでもないのでございます。恐らく政府側ではその場合には、更に収支予算の出し直しをして、そうして国会の承認を求めるべきじやないかということを言われますけれども、この法律によりますと、国会で不承認になつた場合の規定が何にも書いてないのでございます。恐らく三月一ぱいに、そういうふうにして出し直しをいたしておりまして何回もおやりになりました場合に、間に合うかどうかわからない。そうしますと国の予算でありますと、財政法等の規定によりまして前年度の予算を踏襲するとか、いろいろの規定がありますので、予算が通りませんでも、或る程度国の財政はどうにか動いて行くという便法はあるのでありまして、これに関しましては何らそういう規定がないのであります。そういう点から見ましても、私はこれは国会において修正して、国会の責任において妥当と認めるところできめて行くことを法律では予想して、そういう規定を置いておるのではないかと、こういうふうに考えておるのであります。併し結論といたしましては、先般申上げましたように、私はやはり衆議院の委員長が言われた修正権ありという意見、又司令部の係官が非公式に言われた修正権があるのが当り前だという意見に、私も全然同感なんでありまして、これは修正するとかしないとかという現実の問題を離れまして、法律解釈として、今後国会はこういつた協会の予算、事業計画、資金計画を受領いたしました場合には、その議案に対しまして適当な修正を加える権限を持つておるという解釈をとつて行かなければならんと考えるのであります。で、ほかの委員の御意見もありましようが、私はそういう意見を持つておりますので、重ねて委員長にこの点に関しまして結論的な御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/5
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006・富安謙次
○政府委員(富安謙次君) お答えを申上げます。この国会の承認という意味につきましては、前会にも私より私どもの存じような一応は申上げた次第であります。併しだんだん御意見を承わつてみますると、又その後におきまして電気通信委員会の委員長の御報告にありました両委員長の御意見、又関係の向きの係の人の意見というようなもりもありましたそうで、それらのことをだんだんと伺いまするというと、なおこの放送協会の予算の承認という意味につきましては考究をする余地があるように、だんだんと考えざるを得なくなつておるのであります。ただこの問題につきましては、放送法の国会を通りました当時におきましても、随分と詳しく質疑応答も重ねられたようでありまするし、当時その法案の政府委員として御説明を申上げた政府委員もおりますので、この際にその立法の当時の経緯等につきても申上げることをお許しを願いまして、もう少しこの問題を明らかにする助けにいたしたいと存じます。御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/6
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007・網島毅
○政府委員(網島毅君) この承認不承認の問題につきまして、先般の当委員会におきましていろいろ御質問がございまして、その後我々電波監理委員会の内部におきましてもいろいろ研究いたしましたし、又放送法立案当時からいろいろ関係されておりましたところの法律の専門家の御意見をいろいろお聞きしたのでありまするが、法律的にはこの問題につきましてはいろいろな意見がございまして、要するにその事柄によつて考えるのが適当ではないかというふうに結論を持つた次第でございます。勿論この承認不承認という言葉の中にもいろいろな場合がございまして、例えば先般新谷委員が御指摘されましたように、国会の承認を得ていろいろな委員会の委員その他を任命するような場合には、これは同意、不同意という意味に解釈されているのが通例でございます。ところで本問題は、これは国会の内部の手続、或いは議案処理の問題でございまするので、最終的には国会の決定になることと思うのでございまして、その国会の御決定に対して私ども決して異議を申上げるわけではございません。併しながらこの機会に私どもの考えも申上げまして、十分御参考にして頂きたいと存ずるのであります。と申しまするのは、日本放送協会は法律によりましてできている機関でございまして、他の一般の政府の監督下にあるところの民間の機関と若干趣きを異にしているのでございまするが、これは民間団体をそもそも改組してできたものでございまして、国の資本というようなものは一つも入つておらないのであります。従いまして政府或いは国の資本によつてできておりまするところの国鉄でありますとか、或いは専売公社というものと趣きを異にいたしておりまして、財政法或いは会計法というようなものの適用も受けておらないのでございます。又この機関は御承知のように非常に文化的な色彩の強い機関でございまするし、又言論機関として成るべく国の統制は受けないようにという趣旨もございまして、政府の監督範囲も法律によつていろいろ除外されている。政府の監督自身も或る程度制肘を受けているというような状態でございます。例えば放送法の第三條にありますところの番組の編集の自由でありますとか、或いは收支予算につきましても、これは政府としましてはただ単に意見書を付けて国会にお出しするというような状態でございます。その代りに、この日本放送協会には国会の承認を得て任命されたところの経営委員会というものがございまして、全国各地各層を代表してこの経営委員会が協会の経営に当りましては全責任を以て、最も公平に公共の福祉に副うようにこの経営をやつて行くという責任を背負わされているのでございます。又その経営委員会のきめましたことに対しましては、電波監理委員会はいろいろ検討いたしまするが、直接その予算なり計画を修正するという権能は持つておらないことは只今申上げた次第であります。従いましてその趣旨を考えまするならば、協会の中の個々の経営につきましては、成るべく協会に自主性を持たしてやるというのがこの法律の趣旨ではないかと私どもは考えているのでございます。勿論最終的には国会の承認を得るのでございまするが、これは包括的なそういう考え方がいいか悪いかということのいろいろな御審議をお願いしまして、若しも悪いということでありまするならば、その悪い点を是正いたしまして、改めて国会の趣旨に副うように経営委員会が考え直すという行き方をとりたいものだと私どもは考えておるのであります。然らば先ほど御指摘になりましたように、国会の会期が切迫して、そういうような手続をとるのが間に合わない場合はどうするかというような問題が起りまするが、この点に関しましては、第七国会におきましてこの法案が上程されましたときに、いろいろ御質疑がございまして、当時の政府委員からは、そういうことはないように飽くまでこの国会の承認を得るように、而も又国会の御意思によつて改めて考え直さなければならない場合には、そういう期間も十分あるように、この収支予算の提出はできるだけ早く、国会の開会されると間もなくこれをお出しするようにいたしますということも申上げておる次第でございます。今年はいろいろな事情、殊に最初の収支予算でございましたので、若干遅れましたが、今後は開会劈頭できるだけこういうものをお出しいたしまして、十分御審議を願い、又御趣旨に副つて訂正もできるようにというふうに私どもは考えておるのでございます。要するに私どもといたしましては、包括的な点に対しましては国会の御趣旨を体しまして個々の問題につきましてはできるだけ協会の経営委員会の自主性に委ねたほうがよろしくはないかというふうに考えておるのでございまして、先般委員長からも申上げましたように、できるだけ同意不同意ということでお願いしたいということを申上げたのでありまするが、最初に申上げましたように、ことは国会の手続、或いは議案処理の問題でございまして、国会の御決定によりまして、私どもはそれに従つて処理することにいささかも、異論はないのでございます。ただ国会におきまして御決定される場合には、只今申上げました私どもの趣旨を十分お含み下さいまして、今収支予算の御検討をお願いできれば非常に幸いと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/7
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008・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 電波監理委員会の御意見なり御希望は私もよくわかつたのでありますが、併し今お話の中でも、こういうふうに協会に自主性を持たしたい、持たしたほうがいい、私もそう考えますが、でありますから協会のきめた予算、事業計画、資金計画、その中に含まれておる聴取料というようなものは協会のきめた通りに動いて行くということではいけないから、恐らく最終決定を国会のほうに任しておるという制度だろうと思います。従つて国会は相当これは大きな責任を持つておると思うのであります。その意味におきましても、私はやはり国会が見る以上は、それに対する修正を或る程度なし得るという権限は当然持たせるべきだ、持つて然るべきだと思うのであります。併しこの修正、承認はなし得るということがあるからといつて、国会が徒らに修正をするという意味ではないのです。とにかく国民の利益のために必要とあれば、国会としては最終的には修正をしてでも国民の福利を図るのだ、こういう意味で私は考えておるのであります。根本的には果して国会がこういつた特殊の機関の収支予算なり、事業計画なりを具体的に承認することがいいかどうか、これにつきまして私は根本的には違つた意見を持つておるのでありますが、この法律構成の中から考えをまとめて見よということになりますと、どうしても今申上げたような意見になるのであります。監理委員会の御意見もわかる点がありますけれども、私たちはこの委員において御異存がなければ、場合によつては修正し得るのだという態度を以て進みたいのであります。この点は国鉄の裁定につきまして参議院がとつた態度と揆を一にするものだと思いますので、この点は他の機会に委員長からも委員にお諮り願つて、一応委員会としての意見もおまとめ願つて置いたほうが結構かと思います。
それから内容について二つだけお尋ねしたいりであります。大体は前の委員会で放送協会の会長や経営委員長から御説明がありましたので、了承したのでありますが、一つはこれは非常に形式的な問題かも知れませんが、今度提出されました予算の編成の仕方を見ますと、実は非常に我々にはわかりにくいのであります。勿論官庁会計と違いますから、予算項目なんかも非常に違つた形になることは止むを得ませんけれども、併しもう少しこれはこの次にお出しになるときには、まとめてわかりいいようなものにされないと、これを国民に示すというお話もありましたが、国民のほうでもこれを見まして本当によくわかるかどうか非常に疑問だと思うのであります。例えばこの給与費のごときものも、今度これは恐らく放逸協会の局といいますか、部といいますか、そういう組織別にまとめておられるというような感じのする項目になつておるのであります。こういつたものはもう少し全体的に協会の予算がわかりいいようにまとめられて、予算編成の技術をもう少し研究される必要があると考えますので、今回はこれをどうしてくれということは申しませんが、更に検討して頂いて、もう少しわかるような予算の編成をいつもとつて頂きたいと思うのであります。
それからもう一つは、非常にこれは全般的な問題でありますけれども、前回の委員会でも会長や経営委員長からこれに関する御意見の御開陳がありましたので、非常に結構だと思いますが、今日の日本放逸協会はこの法律のできます前の協会とは非常に性格も変つたものになつておるのであります。従つて私は日本放送協会が今現に担当しておる仕事、それを円滑にやつて行くというだけでは済まないという性格を一面において持つておる。つまり言い換えると、もつと公共的な性格を非常に強く持つておるということを考えるのであります。こり意味におきましては、一方日本全体の放送事業の中核体として協会はあらゆる活動をするようにしなければならない。直ちに今現に日本放送協会がやつておる仕事に直接の重大な影響がなくても、放送事業全般のために貢献し得るような事柄でありますれば、日本放送協会は率先してそれに対して最大の努力をしなければならんと考えるのであります。近く民間放送会社も発足するということでありまするから、そういう民間放送会社の関連におきましても、日本放逸協会は放送事業全体の中核体をなすものであるという意識の上に立つて、そうしてそういう民間の事業でありましても、国民がそれによつて非常に電波による利益を受けるということでありますならば、進んでそれに対して最大限の努力をせられるというような態度であつて欲しいのであります。この点はあの委員会は大分、会長や経営委員長からそういうふうな方向に進みますという御意見でありましたので、私満足しております。電波監理委員会におかれましても、日本放送協会に対するいろいろの援助、或いは指示等を与えられます場合に、今申しましたような方向で、協会に対しまして本当に協会が公益によつて公共的な面で放送事業の発達に力を尽すのだというようなことを十分に意識されて、御指導願いたいと思うのであります。これは御異論はないと思いますけれども、この点は非常に重要な問題でありますから、委員長から一つ御意見を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/8
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009・富安謙次
○政府委員(富安謙次君) 只今の御発言になりました二つの点について、私より申述べたいと思います。先ず第一の予算の形式が見て分りにくいようなふうにできておる。これをもつと一見してわかりやすいように編成の方法を考えてはどうかというお言葉だつたように拝聴いたしました。誠に御尤もだと存じます。何分にもこの放送協会より予算書の御承認を得まするということは初めてのことでありまして、予算の形式を初め、御承認を得まする案の立て方、書き方、組み方、等におきましても十分に御満足の行きまするようにということが届いていないかも知れませんです。いろいろ協会におきましても考えまして、努めてわかりやすいように御承認を頂くのによろしきようにということを考えたのではありまするけれども、そうしてその結果、かようなものが先ず本年は出た次第でありましたけれども、なおお言葉のように十分に根本の立て方、書き方、組み方等について考究をいたしまして、いろいろな角度から眺めて、これよりもああしたほうがよくはないかというような諸点を十分に考えました上に、この次に出しますときには、なおその考究の結果を十分に取り入れまして御覧を願うということにいたしたいと、さように協会のほうとも私どものほうといたしましては、始終連絡をいたしたいと存じておりますから、今回は一つこの程度にお許しを願いまして、次回にということに御了承を願いたいのであります。それから次のお言葉の放送協会としてはただ単に今までいたしたことを忠実にその通りにということでなく、もつと進んで積極的に日本の放送協会、日本の放送事業というものの中核としての使命に鑑みて、日本の放送のためによきことならば進んでいろいろの計画も立て、積極的に進めるという考えを心のかまえを持たなければならんのではないかというお言葉につきましては、誠に私どもも新らしく生れた放送協会の使命に鑑みて、尤ものことだと思うのでありまして、協会自身におきましても、そういう点につきまして十分考えていることとは存じまするけれども、私どもといたしましても、なおそういう点につきましては、この後協会を監督して行くという上におきまして、十分に御趣旨に副うように、そうして法律の使命に基く日本の放送協会としての心のかまえというものを、只今のお言葉のありましたような線に沿つて万全を期したいということを委員会といたしましても、最善を尽したい、何とぞさような心がまえであることを御了承願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/9
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010・平林太一
○平林太一君 只今放送法第三十七條第二項の規定によりまして、国会の承認を受けなければならない。この適用に対しまして新谷君の御意見の御開陳があり、委員長から又網島副委員長から、これに対する質疑応答があつたのでありますが、私はやはりこの機会に私の見解をこれに対して明らかにいたしまして、この処置に対して、又将来に対する一つの規範になるのでありますから、極めて慎重にこれは述ぶべきところを述ぶべきものと痛感いたしますので、あえて申上げます。御承知のように承認の項に対して修正意見ありという結論を特に先般委員長が衆議院の電気通信委員長と懇談なされた結果、衆議院の委員長の結論として、修正意見ありということである。従つて委員長自体も又同感である、これを最高司令部の意見を聞いて見た。この意見に対しましては私はこの衆議院の委員長等が修正意見ありといつたような性格に対しては、若干常識的に批判をいたすべき余地があると思うのであります。この修正意見ありということに対しまして、衆議院の委員長がそういう見解を明らかにいたしたということに対しましては、参議院の委員会といたしましては、その場合は参議院の性格、特質というものをもつと考慮に入れて、これに対する同意不同意をいたすことの見識を持たなければならないと思います。衆議院におきましては御承知の通り、議院内閣制を採用いたしておりますから、おおむねややもしますれば国会専制になり易い傾きを参議院といたしましては常に一応考慮に入れなければならんと思います。いやしくも議決行為に対しまして、国会が議決いたしまする権限及び性格の範囲内におきまして、修正意見、或いは否決権のありますことは、これは実に国会の特質であることは申すまでもないのであります。たまたま第三十七條を見ましても、いわゆる電波監理委員会は内閣を経由して、そうして国会の承認を求めることということでありますから、承認は恐らく議決と承認とのこの性格においては、国会としては高度の人格、常識を以ちまして、いやしくも議会専制になるようなことを避けることが、却つて国会の権威ではないか。かようにそのことを憂慮いたすのでありますが、さような見解を以ちまして、考えられるのでありますが、衆議院に常に同調の行為をとるというようなことが参議院において行われて参りますれば、やはり二院制の特質というものが失われる。現に極めて私はこれに関連して重大でありますから、この際速記録にもとどめたいのでありますが、最近公益委員会の電力再編成に対する問題、又数日前の高検の次長検事の進退の問題に対する問題、これらが非常な無理から無理の行為によつて行われたということが、又そういうような感覚が国民感情として今日ありますことは申すまでもありません。かようなことがどうして行われたか、その背後に政府の強力なる、つまり畏怖というようなものが背景になつておる。それから政府の強力な背景の議院内閣制によつて、いわゆる絶対多数によつて衆議院の特色を問わずして、これが最終結論に効力を発生するというところに、私はあのような暗い感じを国民の上に起こさしめると思うのです。私はそれと同様の意味におきまして、この承認に対しましては極めて高度のつまり常識と参議院の特質というものを考えて、これを処理すべきだと思うのであります。そこで御承知の通り、承認に対しましては、先般私も前回監理委員長に対する、又当局に対する、性格に対しこの見解を求めたのであります。小沢国務相は承認に対する見解は、承認は承認である。だから承認ということ以上には考えない。いわゆる承認があつて、非承認はないものであるというような御意見であつたということでありますから、これに対しまして、私はきつくこれに対する専制を反駁いたしまして、その結果それなら国会が承認しないときはどうなるかということに対して、これは電波監理委員長は後刻これを御検討なされて、あとで是正して御答弁になつたのでありますが、そのときのお話にも承認を若し国会がせられない場合は、改めて又承認を求めてり、納得の行く取扱いをいたします。これが承認に対する性格であるということであつたのであります。私もそれに対しましては誠にその取扱いというものが妥当であると認めて安心をいたしておつたのであります。安心をいたすということは、いわゆる再度承認を求めて来るときには、国会の承認すべからざりし理由を修正して、いわゆるその当事者である、例えばこの問題に対しましては、日本放送協会が第一回において承認を求めることのできなかつた、その事柄を協会自体が、或いは監理委員会が、高度の指導の下にその国会の意思を体して、そうしてこの承認の第二回には、承認をされるような修正を、いわゆる監理委員会が指導してこれを出して行くということに私は解釈をいたすのであります。でありますからそういたしますれば、承認を国会がすることを字句とか形の上で拘泥することなく、それを極めて品格を以てその提出者に承認を求めて、そうして修正をせしめて、そうして修正したものを二度目にはこちらでその意思によつて修正されるのであるから、承認するということも極めてなごやかに、いわゆる承認と議決行為とをおのずから分けて、国会としては承認のことに対しては承認としての、それに対する修正の意思というものがそこに全く完備して、そうして修正されたそのことが承認ということによつて、取扱い方が国会に、二度目にそれが送付されて来る。そこで国会が承認すればみずから国会自体手を下して修正しなくても、その修正の行為が誠に円満裡に解決せられる。私はこの行き方が参議院といたしましても、衆議院はしばらくおきまして、参議院といたしましても、委員会といたしましても、極めて高度の承認に対する取扱い方である、又見解である。かように考えるのでありまして、でありますから、このことに対しましては、いわゆる昨日来の国会として修正をしなければならないということは、大よそ一昨日の委員会におきましても、その具体的なものは、尤も放送料金の値上げに対しまする集金の取扱いを如何ようにするかということは、極めて明確になつておりますから、これを一ついわゆる今回は監理委員会が十分に国会の意思を承認いたしまして、みずから修正をせられまして、この二十六年度の収支予算に対する一部の修正をいたしまして、早急に再度当委員会にその承認を求める行為をいたされるということによりまして、私はその承認に対する行為というものは、今後もその方向で行くことが、極めて大変平和的であり、又参議院としても参議院らしい品格を備えるものではないか、かように考えるのであります。私の意見を申上げたのでありますが、監理委員長これに対しまして、何かお考えがありますればお話を願つて差支えないと思います。どうぞ一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/10
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011・富安謙次
○政府委員(富安謙次君) 放送協会の承認のことにつきまして、だんだんと御意見を伺いましたが、只今の平林委員のお述べになつたことは当委員会といたしましては、若しさような御趣旨を以ちまして、御審議を願うということでありまするならば、大変仕合せであつて、さように参ることは望ましいのであります。併しこの問題につきましては、法律問題といたしまして、いろいろ御意見を伺い、考究をしなければならんことであるということを考えておることは、先ほど新谷委員のお説に対しまして申述べた通りであります。只今の御意見は私といたしましては、さようのお取扱いは大変望ましいように存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/11
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012・尾崎行輝
○尾崎行輝君 NHKのかたがどなたかお出でになりましたらいささか伺いたいのでありますが、実は私昨年十一月九日付を以て矢野委員長に対して大体かような質問を出したのであります。その全体の趣意としては、今の受信機では放送の発展は期しがたい。どうしても徹底的に改善して操作も簡単にして容易に第一、第二、民間等分離して聴取できるようなことにしたい。そうすれば自然聴取者も増加し、従つてNHKも発展されるなり、一方民間放送も健全に育成され、一石二鳥ではないかという趣意で出しました。それを少し説明しまして、又研究に要する経費は聴取料の値上げの分をこれに充当するならば、聴取者もやがて自分自身の利益になることであるから納得すると思います。それを今度のを見ますと聴取料を値上げしてそのほうに充てるということになつておりますが、一体この聴取料を十五円でありますか、値上げする、そうすると年にどれだけ大体入るのか、そのうちのどれだけを受信機の改良に充てるのか、ごく概算でよろしいですが、全体としての数字も承わりたいと思います。それが一つ先ずそれについてのお答えを願いたいと思います。十五円増収するについてどれだけの金が入るか、そのうちのどれだけを受信機の改善に使うか。それをごく概算でよろしいのですが…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/12
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013・富安謙次
○政府委員(富安謙次君) NHKの会長、それから経営委員長は前回お見えになつたようでありますが、今回はお見えになつていないようであります。只今のお尋ねに対しまして、私どものほうで極く大ざつぱな数字等につきましてならばお返事いたしますけれども、さようなことでよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/13
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014・尾崎行輝
○尾崎行輝君 結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/14
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015・富安謙次
○政府委員(富安謙次君) では予算のことでありますので、政府委員から報告いたさせて頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/15
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016・長谷愼一
○政府委員(長谷愼一君) 只今の御質問につきまして私どもの手許で明瞭な点を申上げたいと思います。今回の承認をお願いしております放送協会の收支予算の中では、従来の月額三十五円の受信聴取料金を五十円に値上げするようにお願いしてあるのでございますが、その割合は四二%増加する形になります。その結果、協会といたしまして、二十六年度中に実際に増加される聴取者の増加率等も考えに入れました結果、年間といたしまして約十六億七千万円の経費が、従来よりも余計必要になつて来る。その埋合せとして値上げの点をお願いをしておるわけなんでございますが、その十六億七千万円のうちで最も大部分を占めますのは放送番組の改善の費用として約八億七千万円を見ている。それから放送局を新たに設置されます結果といたしまして放送局の技術関係の費用、それから電力料その他の値上りのために機械を維持するために必要ないわゆる技術関係の費用が約一億六千万円、それから一般の業務関係でやはり一億三千万円、そのほか御指摘になりました技術研究等につきましては約三千四百万円の増加を見込まれて曲るわけであります。そのうちで特に御指摘になりました受信機の改善につきましては、技術研究所におきまして約四百二十六万円の増加を見込んでございますが、そのほかにこれらの受信機の改善についての技術研究所の成果を実際に具現するために、実現するためのいろいろな対策費といたしまして二千百五十万円見込んでございます。この二千百五十万円は、只今申上げましたように研究所におきまして性能のいい、而も比較的低廉な受信機の研究結果が出ました暁において、これを大量生産に移し、或いはその生産を実現化するための費用でございまして、それが約二千百五十万円見込んでおる次第でございます。そのほかにいろいろ管理費、或いは諸物価の値上り等も含めまして約四億五千万円見込んでおるわけでございます。総額約十六億七千万円の増加という形になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/16
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017・尾崎行輝
○尾崎行輝君 只今のお答えによりますると、十六億七千万円ほど増収になるが、その中でいわゆる受信機の改善に直接充てるのは一億に足りないもののように拝聴しましたがそうでありますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/17
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018・長谷愼一
○政府委員(長谷愼一君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/18
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019・尾崎行輝
○尾崎行輝君 それでは私の念願するところと余りかけ違うのでございまして、私はその聴取料を値上げすることは結構だと思いますが、値上げをして増収する分を全部そのほうに、全部というのは極端かも知れませんが、テレビジヨンのほうにも大いに使つて頂きたいと思います。大体その方面に十五億ぐらいは使つて頂けるものと思つていましたが、ところが一億にも足りないというのではどうも私の考えておるところと余りに違い過ぎておるので、遺憾ながらこの案には賛成することは私としてはできません。もう少しお考えを願いたいと思います。これはなお同僚諸君にもよくお考えを願いたいと思います。こういうことは何かNHKをこの際……、そのほかに放送債券というようなものを頻りに募集して盛んにやつておられるのじやありませんか。私はNHKを今そういうようにして、大体強力な者をますます大きくしてしまえば、私はNHKに何の含むところもないのでありますが、民間放送は非常に困つてしまうのであります。要するに民間放送の発達を阻害してしまうのじやないかと思うのでありなぜNHKをそういうふうに大きくします。なければならないのか。むしろNHKはこの際よく辛抱して、むしろ受信機をよくすれば、NHKは自然増収になるのでありますから、それでNHKに対して決して悪いことはない。一方受信機がよくなれば民間放送もよく聞えるのじやないかと思うから両方にいいのじやないかと考えたのであります。それ以外に私は考えられないのであります。NHKをそういうふうにして大きくするということは、いわゆる放送法の一番初めに書いてあります一般の福祉を増すということにならない。NHKの福祉を増すことはできますが、実は私はそれもならんと思うのであります。本当は協調をして民間放送のためにもよくしてこそNHKはますます繁栄するのだろうと思います。一時はNHKがますます非常に強力になるということは事実であります。このことはよくない。放送法の趣旨に反すると思いますから、これはどうしても私は賛成することはできないのであります。この点をどうか一つよくお考え願いたい。なせこういうふうにして……今ここのところ何年かの間ずつと我慢して、そうして受信機のほうを頻りと改良されたならば、どんどんとNHKは増収又増収ということになつて非常に繁栄するのではないかと思えるので、私はそれ以外にはどうしても結論は出て来ないのでありますが、非常に不思議なのであります。これは私の意見でありますが、そのことを申上げて置きます。
なお私が昨年の十月九日に質問したのは、一二とそれから第三に、今日の受信機の八割乃至九割のものは近く誕生せんとするところのいわゆる民間放送と混信問題を起して、聴取者はNHK民間放送共に聴取困難となる恐れがある。私は飽くまで聴取者本位でありまするが、両方で争つてしまうと聴取者が非常に困ると思います。その点を一番心配しているのでありますが、NHKの出力を更に強めれば、いよいよ民間放送を圧迫する虞れがあるということを書いて、それに対して意見を聞いておりましたところが非常に案外な答えがありまして、何かこの民間放送ができると、今度はいわゆるブランケツト・エリアが非常にできるから民間放送の責任じやないかという大変犬上段に振りかぶつた御答弁を得て私はびつくりしたのであります。一番大きなNHKという木がある、今度は小さな民間放送の苗を植える、NHKは今まで自分が余り大き過ぎて、強過ぎるので、大きな蔭ができるので民間放送に気の毒だと思つてくれると思いましたところが、NHKはあべこべに小さな蔭ができるので、そこに蔭ができるというので威張つている。これは私としてはどうしても理解できない精神状態であります。少し錯覚に陥つておられるのではないかと思います。或いは非常に肥つた人が座敷を占めてこうやつている。その脇に小さな男が坐つて、邪魔で邪魔でしようがないというので大きな男から苦情を言つている。この点をどう考えればいいのか。現にブランケツト・エリアで逆襲しておられるのでありますが、これはおかしなことであります。ブランケツト・エリアはNHKが一番たくさん作つているのであります。この点極く率直なお答えをどなたから頂ければ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/19
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020・網島毅
○政府委員(網島毅君) 今日は放送協会のかたが見えておりません。電波監理委員としましていろいろ論議され、又研究した点を申上げたいと思います。受信機の問題につきましては、只今御指摘ありましたように、今後の日本の放送行政にとりまして非常に大きな問題であると私どもも存じております。従いまして電波監理委員会としましてもこの点につきましては今後相当の努力を続けて行きたいと思つておるのでありまするが、私どもといたしましてこの日本の受信機をよくする段階といたしまして大体三つの段階を考えておるのであります。
その第一は先ず性能のいい受信機を、而も安くできるようにする。こういう技術的な研究を先ず改善する必要があるのではないかと考えております。この性能のいいと申しまするのは、音質その他の問題もございまするが、なかんずく私どもといたしまして選択度のいい受信機という点に注目しておるのでありまして、現在の受信機のいろいろな型のうちでそれに最も適合いたしまするのは、スーパー・ヘテロダイン方式のものが最も目的にかなつておるように存じておりまするが、何分にも現在のスーパー・ヘテロダイン方式は相当高価なものでありへ又複雑であるのでありますが、先ずそれを簡易化して、安く、いいスーパー・ヘテロダインを作り出すという問題であります。この問題は現在日本放送協会におきましても着々研究を進めておられるのでありまして、すでに御承知かと思いまするが、第一次の試作品もできておりまするし、逐次更に改善を加えられることと存じております。
次にこのようにできた一つのモデルを大量生産方式に移すという問題でございます。これはNHKのみの力を以てはできるわけではないのでありまして、これにはどうしても受信機の製造業者の協力がなくてはならんかと考えております。このようにして量産化された曉におきまして、これを一般に普及させるという問題が次に起つて参るのであります。
この三つの段階におきましてどこまでをNHKが受持つかという問題になるわけでありまするが、勿論この三つの段階を全部NHKに行わせるといいましても、現在の聴取者が九百万以上、而もそり八〇%以上がストレイト式の余り性能のよくない受信機であるということから考えまして、これを全部スーパーに置き換えることに聴取料を向けるということは不可能でございます。従つて先ず第一段階といたしまして、いわゆる受信機の研究をやるということ、これを量産化する上におきまして、NHKといたしましてもできるだけこの製造業者に協力するという点に先ず重点を置いでおるのでございまして、私どももこういう行き方につきましては同感でございます。この二つの問題につきまして、先ほど説明がありました程度の金額では私どもといたしましても十分であるとは考えておりません。併しながらこの我が国の放送全体という点から見ますると、受信機以外に番組の面でありますとか、或いは地方のまだ十分聴けないところに電波を普及するというような問題、それから今後当分の間民間放送のできそうもないようなところに第二放送網を作つて行くという問題もございまして、これらも私どもとしては等閑に付せられないりという見解を持つておるのでございまして、そのためにやはり相当の経費を必要とするということに相成りまするので、不十分ながら一応受信機の面につきましてはこの程度の金額しか盛込めなかつたのでございます。併しながら先般申上げましたように、若干の予備金もございまするので、今後不測の受信機関係の問題が起りました場合にこの予備金を使うことも考えております。その不測の事柄と申しまするものの中には、次のようなことを私どもは考えておるのでございまするが、それは今後民間放送が漸次できて参りまする場合に、民間放送との混信の問題が起つたような場合、これはやはり民間放送に任せるべきものじやなくて、NHK自身がこの問題を解決すべきものだと私どもは考えておるのであります。従いましてそのための経費も必要になるかも知れません。
それからもう一つは現在我が国で使われておりまするところの放送の周波数は五百五十キロ・サイクルから千五百キロ・サイクルの間でございます。ところが国際條約の上におきましては千五百から千六百KCで、更に標準放送として使えるようになつておるのでございまするが、従来の受信機ではその辺までバンドがございません。従いましてこれを今直ちに割当てるということはいろいろな困難を生じて参ります。殊にこのバンドを民間放送に使うということは現在私どもは考えておりません。と申しますのは、そこに民間放送を持つて行けば波長の面からは楽にはなりまするが、一般の国民は自分の受信機では聴けない。そういう聴けないバンドの民間放送を織込むということは民間放送の発達を助成する意味から適当ではないというふうに考えておるのでありまするが、然らばこれを将来いつまでも放置しておくということが日本の放送の普及の上から好ましくはございません。従いましてこういう方面の新しいバンドの開発は是非これは日本放送協会にやつて頂きたいというふうにも考えておるのでございまして、このための受信機の費用というものも若干NHKはみなければならないのではないかというふうに考えておる次第でございまして、今後NHKの受信機に対して受持つ分野は相当広く且つ重いものがあるように私どもは考えておるのであります。
ところで第三の一般の普及の問題でございまするが、これは国民大衆が相手でございまするからして、これはNHKのみならず政府も、それから国民も一体となつてこれは努力しなければならないのではないかと考えております。幸い新谷委員が主張されまして現在その受信機の月賦販売というような問題が着々進行中でございます。このお考えにつきまして私ども全く敬意を表し、又同感でございまして及ばずながらできるだけ御協力申上げて一日も早くこの月賦その他の方法によりまして、いい受信機が十分に普及するようにということを考えておるのでございまして、勿論これにもNHKは十分協力する義務と、それから又協力する熱意が私どもはあると考えておりまするが、こういう三つの点を一つ一つそれぞれ解決することによつて今お説の国民大衆にいい受信機を普及させるという問題が解決できるのではないかと私どもは考えておるのでございます。
そういうふうに考えますると日本放送協会の受信機に対する責任は相当重いわけでございまして、御指摘のようにこの予算に盛られた程度の金額では到底それを果し得るとは私どもも考えておりませんが、先ほど申上げましたように予備金の点もございまするし、又どうしても予備金その他で間に合わないということでおりまするならば、次の国会に修正予算を提出して御承認願うという途もございまするので、私どもとして今回この予算は大体妥当なものであるとして国会に御提出した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/20
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021・尾崎行輝
○尾崎行輝君 只今の御説明でよくわかりましたのでありますが、どうも数字的にはつきりしておらないで、大いにやるというだけでは私どもどうも納得できない。もつとはつきり数字で言つて頂きたいと思うのであります。要するに私ども希望いたしますることは、ここに十六億七千万円入る。それを大体十五億くらいまではそのほうに使つてしまうということにして……、それではNHKが困るのじやないか。永久にそうしろとは申上げるのではありません。大体受信機がスーパー級のものが三千円から五千円くらいまでで手に入る。今の新谷委員の月賦販売は非常にいい。これなども併し非常な補助をしなければ月賦販売はできない。月賦販売で聴取者がいずれにしても三千円から五千円くらいで手に入る、而も月賦で楽に入るという段階にまで行つてから、それからNHKのほうのいろいろ設備の拡充や何かにお使いになる場合は結構だと思うのでありますが、そういうふうに数字で以てはつきりして、それまでは大体十五億ぐらいは毎年そのほうに使うというふうに一つお考えを改めて頂きたい。私がこの質問をしまして向うの、いつか皆さんにお見せしましたアメリカから持つて帰つたものは、これはたつた向うで五日ほど働くと買えるものだということをお示ししました。そのこともここに書いて質問しましたところが、こういう返事が来ております。二、三日分の給料で受信機が買えるということは受信機が安いというよりは収入が多いからでありましてというような御返事で、又高いとか安いというのは、他の物価と比較して受信機が特に著しく安いとは考えられません。私は他の物価に対して受信機が安いなどということは曾て一度も言つたことはありません。つまりこれは顧みて他を言うのであつて甚だ意に満たない。それで安いとか高いとかいうのは結局収入に対して、自分の収入に対して考える以外にはないのでありますが、要するに三日なり五日なり働いたなら、それで買えるという程度まで受信機を引下げて頂きたい。それまではどうかNHKはじつと我慢してやつて頂きたい。それがNHKのためになるということを飽くまで信ずるということを申上げまして私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/21
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022・鈴木恭一
○鈴木恭一君 只今受信機の問題が出ましたのでございまするが、この受信機の改善につきましては当委員会におきまても又いろいろ議論が従来出ております。又只今電波監理委員会におきましても副委員長から受信機の改善についての御意見が出たのであります。いちいち御尤もと拝聴いたすのでございまするが、何としてもこの放送法によつて日本放送協会の放送というものをあまねく全国に聴かせるという重大な使命を持つておるということは、ラジオの持つこの文化的意味というものが非常に重要に評価されておるところの結果であることはこれは言うまでもないのでありまして、その受信機をどうするかという問題は、我々が今日第一第二の放送を聴いておつて痛切に感じておるばかりでなく、今後起る民間放送というものが出て来ました場合に、現在のような受信機では到底一般国民は非常な迷惑をするのではないかという心配がお互いの間にあるからであります。そこでこの前も放送協会の御意見を聞けば全国の第一放送は九五%九ですか、第二放送で八八・幾つというふうな普及率になつて電波が拡充されておるが、是非一〇〇%にしようというふうな御意見もありました。ところがこれを拡充するというのに、今の受信機を以ていたしますれば、恐らく数億円かかるのではないかと私思うのであります。又一方只今尾崎さんのお話のように、この受信機を改善するために或いは研究費を十六億出せ、こういう御意見も実に尤もな御意見であると思うのでありまするけれども、こうした非常な受信機の改善の場合は困難な問題がたくさんございます。そうした場合に、一方政府はラジオの物品税というものをかけておる。このラジオの物品税は、漸く一割になりましたが、恐らく收入としては三億数千万円程度になるのじやないかと思うのでありまするが、物品税をかける基礎、これはまあ大藏省としましても十分お考えになつておるのでありましよう。併しラジオというものが単に国民の感というような見方、或いは娯楽的なものだというふうな見方はこの際是非揚棄されまして、どこまでもラジオの持つ文化性というものに着眼されて、新聞というものが文化の眼であれば、ラジオというものは文化の耳なんでありまするから、そこでこういうふうな放送法というふうなものができ、日本放送協会というものができて、我が日本の文化の向上に国家というものが挙げて努力をいたしておるこの際に、而もラジオの受信機というものが過去の物品税のために非常に困難な発達をいたしておる。これは一度ラジオの受信機の実態というものを考えれば直ぐわかることなんでありまして、ラジオの聴取者が毎月五、六万人殖えて行きますが、受信機というもの、恐らく徴税の対象になる受信機は二、三万しか出ておらない。六、七割というものは殆んど無税のものが出ておる。これはラジオのセツトをするのに簡単に自分ができる。又闇に流れる傾向が非常に多い。殊に電蓄のごときは銀座の街並を歩いて見れば殆んど電蓄のないカフエーやバーはないと思うのでありますが、恐らく課税の対象になつておるのは殆んどない、百分の一くらいしかないと我々は考えるのであります。そういうふうなことで、今本当にまじめにラジオの生産をしようとする人は税金に非常に困難を来しております。そうして悪い受信機がどんどん市場に溢れておるというふうな状態が今日ありまして、こういうふうな状態を続けて行つたならば、恐らくラジオの受信機の性能を良くするというふうなことは、折角電波監理委員会で考えられ、或いは放送協会で考え、或いは又ラジオ受信機改善委員会なんていうのが民間、或いは放送協会で作つて一生懸命考えておられまするが、皆そういう尻から抜けて行くんじやないかと思うのです。実際問題としては……。そういうふうな意味もありまして、私はラジオの物品税というものは一日も早く撤回せられたい、そういう念願であります。これは単に私は徴税の対象としてのラジオというものを考えておるのじやなくて、広く日本の折角文化というものを向上させる、このものをそうしたことによつて僅かに三億か四億の税金を取るために、大きな文化の進展を妨げておつるということに対して、非常に心配いたすのでありまして、そういうふうな意味において大藏省としてどうしてこのラジオの物品税というものを御撤回なさらないのか。その辺の御事情を一つ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/22
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023・田中黙宗
○説明員(田中黙宗君) 主税局長と調査課長があいにく司令部関係のほうへ行つておられますので、代理といたしまして只今の御質問に対してお答え申上げます。ラジオに何故物品税を課税しなければならないかということ、まあアメリカにも例もありますし、又イギリスにも例もあるのでありますが、その点は或る程度の娯楽性というものをかねておる。又物によりましては相当高級のものもあるだろうというような見方から現在七十三品目ほどの課税対象を擁しておるところの物品税といたしましては、その中にラジオを入れなければ非常に不公平な課税になる。物によりましてはむしろラジオより文化的であり、或いは必らず使わなければならんような紙の類までも財政収入を得るために課税せられるというようなこともありまして、現在直ちにラジオの物品税を外すというようなことは、却つていろいろ消費の状況を考えた場合に不公平を生ずるのではないかというような点から、ラジオに対する物品税の廃止ということとラジオになせ物品税を課するかということの問題も重ねて考えているのであります。又只今お話のありましたことでございますが、簡単に部分品を売りまして、それを脱税品で売るというような関係から、正規の業者が非常に苦しむというような点は、第一回のシヤウプ税制勧告により、又第二次の去年の勧告によりまして私どもといたしましては、こういうような事情によつて税の転嫁が困難であるということ、言い換えますと脱税品になることによつて正規のものの納税品がその脱税品によるところの価額に押されてしまつて、却つて売れなくなり、税の転嫁が非常にむずかしいという点につきましては、極力税の軽減を図るという意味合におきまして、この前の第九国会におきまして皆さんの御審議を経たもので、一月一日から税率を二割を一割に引下げている次第であります。又高級ラジオでありますが、特に高級電蓄のようなものにいたしましても、従来は六割の税率でありましたけれども、これをこの一月一日からはやはり三割に下げておりまして、できるだけそういうふうに文化的に使う面の多いものは軽減したいという意味をとつている次第でありまして、ただ今度の問題といたしましてそれを更に軽減することができるかということは、予算的の問題もありましようし、又物品税全般の考え方といたしまして、本来の昭和十二年、或いは十五年当時の奢侈的、高級的消費物資のみに課税するという段階に至りますならば、それの廃止とかいうことも検討されるかも知れませんけれども、今の段階におきましては、又この二十六年度の予算の中におきましては、先ほどのラジオ全般を通じて、或いは電蓄を通じましたところの電気器具関係、送信機関係というものにつきましての全廃ということはちよつと至難じやないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/23
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024・鈴木恭一
○鈴木恭一君 只今一応の御回答を願つたのでございまするけれども、アメリカとかイギリスとかはラジオの受信機に税金をかけている。これは事実かけておりますが、併しこれはよく事情をお調べになる必要があると思うので、日本のラジオというものとアメリカやイギリスのラジオの機械というものがどういう状態であるかということがわかる。アメリカのごときは、このラジオにしようが、あのラジオにしようが、どのラジオを買つてもこれは皆非常に性能としては同じなんで、どういうキヤビネツトのものがいいかというところまで進んでいる。日本にはもう並四で、何とかして今スーパーにしなければ聞けない。而も非常に悪い、そういう場合に而も我々はラジオを是非聞かなければならないということは、そんな娯楽とか趣味でやるようなものじやない、殆ど日本では一般大衆から見ればラジオの選択ということはとてもできません。従つてたまたまアメリカやイギリスでそういうふうな物品税をかけているから、日本でもかけなければならないのだというふうなことは、私は再考をお願いいたしたいと思うのであります。それからラジオには高級なものもあるのだというお話でございます。これも電蓄のほうで六割が三割になりました。これは承知いたしておりますが、これは私は或る点まで考えてもよろしいと思います。高級なものは……、併し一般に使えるようなもの、使わなければならないようなものさつきも副委員長から言われましたようなスーパー・ヘテロダインのものを今実際七千円するのでありますが、到底二日や三日の給料じや日本じや買えないのです。そういうものを何とか安くしたい。それからやはり課税收入の点で相当の額に上るからとおつしやいますが、この点も私はよく考えてもらいたい。これはさつきも申しましたように、ラジオをどうして聞かせるか、或いは又どういうふうにしたらラジオの機械が改善せられるか、こういう点でやはり電波監理委員会或いは通産省等はずいぶん金を使つているのですね。なお民間でそのために使つている金も相当な額なんであつて、結局租税收入の三億や四億というものは、これは、それを撤廃することによつて得ることが非常に大きいのじやないかと私は考えます。まあそこらの点は意見の相違になるのでありますが、どうか現在の極めて文化的に重要な又特に今日放送法案ができ、民間放送も始まろうとするときでありまして、従来の考えを一掃せられまして考え直しを願いたい。
そこでお聞きしたいのですが、従来ラジオの受信機はミシン、アイロンと一緒だつたのです。ところが、ミシンやアイロンははずされてしまい、ラジオは依然として残つているこういうふうなことはどうしても、これはあなたは不公平になるとおつしやるが、これは私がラジオ機械を、受信機のことを言うから、その上から見ると不公平になるかも知れないが、むしろ逆ですね。自転車なんかもこれも恐らく受信機やなんかと一緒でした。これもとうの前に免税になつております。そういうことから考えて見ましても、どうもラジオというものに対しては大藏省が多少認識を改められる必要があるのじやないかと思うのですが、そういうふうに区別せられたのはどういうわけでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/24
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025・田中黙宗
○説明員(田中黙宗君) 只今の御質問によりまして、アメリカの例やイギリスの例を引きましたのはちよつと見当外れのことがあるかも知れませんが、私のほうで物品税の一つの対象として考えた場合に、一番最初課税するのは奢侈的なもの、或いは高級的なもの、次には文化的系統のもの、生活においてもなおゆとりのある人が購入するものであつて、それは文化的に相当高級な生活状態の人が利用するものだという見方をする。もう一つはあまり家庭の、必需的でなくそのもの自体では価値はないかも知れませんけれども、必需的でないというものの課税も考えてよろしいという見方が出て来るのじやないかと思います。そのうちでもラジオにつきましては非常に文化的のものでもあり、又家庭的に必需ということも十分承知しておるのでありますが、ただその場合に物品税の体系をしつくりした問題として考えられるかも知れませんけれども、いろいろな課税物品を考えるにつきまして、個々のものについて検討するということになりますと、相互の問題を起つて来て、その場合に何を最も先に廃止すべきかということになりますと、一番必需的なもの、或いは生産的なものというものについて課税廃止を行うのが至当ではないか。それは專ら事務用に使われておるもの、或いは家具のような必需的なもの、こういうようなものを廃止すべきであると思うということを言われたのも当然であると思いまして、その意味におきましてミシン、アイロンは私のほうから見ても、又誰から見てもそれは必需的なもの、或いは生産的なものと見て差支えないであろうという見方から廃止したのでありまして、それ以上にラジオが特別に違つておるという意味合を持たしたのではなく、たまたまその状態においてラジオの物品税は廃止できないという状態にあつたということを考えた次第であります。もう一つは高級的なラジオ、そういうものと一般の最も大衆が多く使つておるところのラジオ、そういうものについて区分して課税をする、価格の安いものは免税してしまうというようなことはどうかということもいろいろ検討したのでありますけれども、それはそうなりますと、スーパー以上の課税は不合理である、むしろその際オール・ウエーブ、電蓄を課税する、スーパー以下のものは非課税にしなければならん、こういう意見も出て来るでありましようし、又検討した結果、家具として免税点を設ける。高級なものは課税する。併しラジオにおいてはその点はちよつと無理ではないかという見方が多いのでありまして、その見方も各個人個人によつていろいろ差異があるかも知れませんけれども、私どものほうといたしましては、先ず一般の状況から見てどういう判断を持つのが正しいかという、又財政收入の見方から見た場合の物品税の体系におけるラジオのあり方から見たときには、最低の一割にとどめて置いて免税点なしというほうが、むしろすつきりしたものになるのじやないかというような見解をとつております。まあいろいろ立場も違いまして、私たちの見解とそれぞれの御意見とも異るかも知れませんけれども、ただ将来において物品税自体が従来の昭和十二年程度になつたときと、現在の状態におけるものとは相当差違があるというような点において、止むを得ず課税する向もあることと御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/25
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026・鈴木恭一
○鈴木恭一君 政府の事務当局の御意見はわからないわけじやないのですが、又その御意見はやはりこれは意見になりますので、それをどうこう私から今申上げる筋でもないのであります。事務当局であるあなたも本日この委員会にラジオの受信機の改善ということに対して非常に真摯な態度であるということを徴税当局といたされましても、十分御勘考願つて、今後ラジオの物品税というものは、廃止すべきものであるというふうな一つのお考えの下に善処願いたい、これは私お願いでございます。
ところで一言お聞したいのですが、今日では最高限を置くというような手段はできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/26
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027・田中黙宗
○説明員(田中黙宗君) お答えいたします。只今の物品税は一応百二十六億の予算を取つておりますけれども、これは各品目ごとにある程度の検討をいたしまして、それが課税最低限を引上げるべきもの、或いは政令によつて廃止すべきものというものも一月一日の改正によつたというものにつきまして、二十六年度の計算をいたしております関係上、更にそれを引上げて課税最低限度にいたしますと、その分が減つて来る。そうなりますと、百二十六億の予算を補正しなければならないのでありまして、今の段階においてはちよつと困難と考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/27
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028・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 今の課税問題ですが、主税局のお話では、私もちよつとおかしいと思うのです。電気アイロンとかミシンが生活必需品で、ラジオ受信機は生活必需品としてはそれ以下のものだというようなお考えは、我々は実に我々国民生活において現在の実体から言いますと、実におかしなことだと私は考えます。その意味において私今すぐ鈴木君の言われるように物品税の改正、税法の改正をやつてもらいたいと要求するものではありませんけれども、そういう考えで主税当局が物品税を扱つておられるのでは、余りにそのラジオというものに対する認識が足りないということを私は痛感するのであります。できますればこの次の委員会に主税局長を呼んで頂いて、もう少し計画的に検討してもらわんと、ただ今の御説明だけで、ラジオの税金の問題が簡単におさめられるわけにいかんと思いますからお願いして置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/28
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029・平林太一
○平林太一君 簡単に監理庁の電波監理委員長に一つお伺いしたいと思いますが、先日若干触れて置きましたが、聴取料の徴收方法につきまして三回を二回にすることによつて、予算をすでに提出いたしてありますが、收支予算に対しまして、二億以上の、それだけ余分に二回にすることによつて聴取料経費が増大するというようなことを私は仄かに聞いたのでありますが、それ故に困難の事情であるというようなことも聞き及んでおりますが、このことは何といたしましても、協会の経営の主体が全国一千万の聴取者より徴收する料金によつて経営されておるのでありますから、やはり聴取料金というものに対しまして、これは極めて重大の事柄でありますから、いやしくもそのようなことには拘泥することなく、やはりこの聴取者に対しましてできるだけ謙虚と親切と誠実を以つてしなければならない。そういう意味におきまして、三回の、三月分を一度に徴収するということは、非常に聴取者に対しまして不親切であり、又権力行為であるということを十分一つ御認識になりまして、二回の徴収によりまして、二回になりますれば幸いに五十円ずつ百円でありますから、支払うほうでも今までよりも、三十五円を三カ月で百五円出したのでありますから、それよりもよくはないかというような、回数の多いことは若干比率が下りますから、余り刺戟をすることがなく、非常に何かいい気分で、談笑の間に料金の徴収も行われる。それによりましてどのように地方の聴取料金を支払うほうの聴取者が大変それによつて仕合せだかわからんということを非常に考えておりますから、十分この点につきまして、一つ先般経営委員長は一応の何か若干余地を余されまして御答弁になりましたが、この際電波監理委員長におきましても、この点に対する一つ改めて見解を明らかにされて置きたいと思います。
それから私は承認問題に対して、この修正云々について、総司令部に対して、委員長がお尋ねになつたことに対して、総司令部の言つておることは、同感の意を表されたが、若干違うのではないかということに対してこれを申上げることを先刻これを落しておりますから、この際それを明らかにいたしたいと思いますが、このことは私は実は経営委員長がいやしくもこのいわゆる同意を与える、承認を与えるということに対して、国会に修正意見がありますかどうかというようなことを司令部当局の担当官にお尋ねになるということ自体が、これは私は国会の威信というものを非常に逆に低くお考えになつておるのではないかと思います。さようなことまで司令部に対しまして、いわゆる伺いを立てるというようなことは、今後こういうようなこともあり得るかも知れませんが、よほど一つ御注意を願いたいと思います。若しそういうことでありますならば、一応委員会にさようなことをお諮りになつて、司令部にそういうことをお尋ねになることがよろしい。向うでは腹では笑つておると思います。いやしくも国会が承認する、しなければならないという予算の対象というものは、大体その性格がきまつておるはずであります。それに対しまして、誰に議決権がありますかどうかというようなことは、余りにも我が国今日の国情に思いをいたしまして、総司令部に対しますみずからこの低さを露呈するものではないかというように心配をいたすのでありますから、先方では無論そのようなことを言われた場合には、まあ子供が大人に尋ねられたようなもので、やはり機嫌のいいときに、それはそうだろうというふうに向うは返答するのが常識だと思う。殊にアメリカのほうの性格を見て、上層の公務員の高いものを見ておりますと、そういう感が一しお深いのであります。でありますから国会におきましては、いやしくも総司令部に対しまして伺いを立てるということはしなければならないような必然の事態に対しましてそれを伺う。いやしくも便宜的な範囲内におけるような事柄に対しましても、一々さようなことをとるというようなことは考えなければならんことだと私は考えております。そういうようなことがつい国会自体がこの政府をして何事も総司令部の意見だ、総司令部の意見だというようなことを、国会が政府のそういうような行為を相当反省を求めなければならない。国会の機関がみずから国会自体がその渦中に入りまして、政府をしてますます言わさせるような便宜的な行為を与えはしないかというようなことに相成ることを私は深く憂うるのであります。でありますから私はそういう見解に基きまして、承認の問題に対しましてもいわゆる修正することは、我がほうの意思を修正というようなことにこちら側がこだわらずに、先方をして承認に対してはせしめるということこそ、むしろ当方が修正をいたした以上のこの権威を持つものであるというふうに考えるものでありますから、先刻これは言葉を落しましたことを併せて補足いたしたいのであります。
それから監理委員長から先刻私の質問に対しまする御所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/29
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030・寺尾豊
○委員長(寺尾豊君) 平林委員にちよつと釈明を申上げたいと思います。これは私が昨日懇談会の席上で、極めて和やかな会見の雑談的なことを御報告を申したことが、何かこう誤解をされてお聞きになつたように只今の御意見では感せられますから、その点をちよつと釈明を、訂正を私が申上げます。
この問題についての承認、不承認の問題につきましては、衆議院のほうの電通委員長も、又不肖私も先方に質問をしたものでもなければ、お聞きしたものでも何でもないのであります。ハイスナー氏からこの放送法の承認、不承認の問題についてはどう考えるかということを両委員長に聞かれたので、その聞かれたことに対して先ず最初に衆議院の委員長から、衆議院は修正承認をなし得るものであるという見解を持つておる。併しながら今回の場合は修正を必要としないという見解の下にこれを承認をした、こう答えられた。私はまだ参議院の委員会にはこれについてのまとまつた何らの意見はない。併しながら不省私は修正承認が可能であるものであると考えておりますとこう申上げたのであります。それに対してハイスナー氏はベリー・フアインをくり返して、手を挙げられて、あたかも我が意を得たりといつたような、自分の質問に対する、自分の考えに対する同じ答弁であつたという態度を示されたことは、これに寸分間違いございません。私が平林君のお話の徒らに国会の委員会等が司令部に対して事をかまえていろいろの点でイエスマンになる、或いは単に向うの意見を聞くといつたような不見識をしてはならないという御注意は万々同感でございます。但し実情は今申上げた通りでありますから御了承を願たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/30
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031・平林太一
○平林太一君 只今のお話を承わりまして少し私の誤解であつたということでありますることは、大変私は仕合せに思います。併しその間大同小異相似寄つたようなものが若干その匂いとしてとどまるようなものも相感ずるのでありますが、幸い私はこれに対しまして委員長から極めて識見の高い御答弁を承わりまして大変嬉しく思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/31
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032・富安謙次
○政府委員(富安謙次君) お答えを申上げます。受信料の徴収の方法の問題でございまするが、久しい間やつておりました三カ月の集金を、二カ月の集金に縮めるということにいたしたならば、大変聴取者のためにも負担を軽減するゆえんにもなるし、又受信料値上の際、聴取者と放送協会との間の何といいまするか、心持を軟らげるというようなことにも役立ち、よろしいのではないかという御発言のように拝聴いたしまして、さように参りまするならば誠に結構なことでありまして、そういうふうに是非ありたいと思うのは出なのでありまして、前回の御審議の際にもそういうようなことを承わりましたので、私どものほうといたしましても、放送協会の事務当局とも重ねてその問題につきまして、これがために増額を要する支出等についても調べてみたのでございまするが、何分にも年四回の集金を年六回に改めるという結果になりまするので、これを金額に見積つてみまするというと、集金のために要しておりまする今までの五億四千万円ですか、そういうような額に対しまして、二億五千万円というような増額と相成る計算なのでありまして、その枠はなかなか大きいのであります。と申しまして只今御意見のありましたように、そのことが望ましいということはその通りでありまするので、何とかそういうような、少しでも聴取者の負担を軽減するような趣旨に役立つならば、実現をいたしたいという心持は十分なんでありまして、前回に経営委員長からお答えがあつたのでありまするが、そういうような点につきましても、でき得るならばその御趣旨に副うように十分に考究をいたしたいというお言葉でもありましたので、この五億何千万円という金が要るために、直ちにこれを実現に移すということには相当困難が伴うとは存じまするけれども、なお放送協会の経営委員会側におきましても、いろいろ御趣旨に副うように考慮をいたしてくれることと思いまするし、私どものほうといたしましても御趣旨は十分に汲みまして、できるならばそういう御希望に副いたいようにはいたしたいと思うのであります。ただ何分にも金高が大きいので、どういうようなことになりますやら、その点につきまして是非一つするということのお約束を、今するというのは如何なものかと思います。御趣旨を十分に尊重いたしまして、そのようにできるだけの努力を払うということは、私どもといたしましても、放送協会に対しましてとくと申してみたいと存じております。何とぞさように御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/32
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033・平林太一
○平林太一君 それでは簡単にお尋ねして置きますが、これは今までの三カ月分の徴収は、いわゆる聴取者に対しまして、徴収前金制度をおとりになつておるか。これは経営委員長でなくて、監理委員長ではちよつとおわかりかどうかと思うが、つまり徴収後においての徴収後金として取つておるのか、その辺は如何ようなことになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/33
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034・富安謙次
○政府委員(富安謙次君) これは実際徴収の方法になるのでありますが、三カ月前と申しましても、無論一度に大勢全部の人がかかつて三カ月先のものを一度に取つてしまうということではないのでありまして、係の人が手を分けまして、全国に亙つてだんだんと集金をして行くということになるのでありまするから、これを結果から申しますると、一口に三カ月前金と申しましても、或る人は成るほど二カ月の前納ということになる、或る人は二カ月の前納になり、或る人は前納にはならんという言葉を用いてもいいでしよう。そういうことになるのでありまして、そのような結果を数字的に申しまするというと、一カ月目の人が二割八分、二カ月日の人が三割四分、三カ月日の人が三割八分と、こういうようなことになるのでありまして、全体の九百五万の人が全部一度に三カ月分を三カ月の一番劈頭に取つてしまうということではないのであります。この三分の一の人、三分の二の人が只今のような率でもつて、或る人は成るほど大変経済的に言えば少し気の毒なと申しますか、そういうふうになるわけで、全部はそうというわけではないのであります。さように御承知を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/34
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035・平林太一
○平林太一君 只今の御答弁は一応の方法論としてのことでお述べになりましたが、いわゆる徴収、いわゆる収納上の制度としてはやはり三カ月前を制度としてそういう方法でおやりになつておりますから、これはその後において徴収が一月なり二月なりになるということは協会自体の一つの、そうしなければならない事柄であつて、聴取者に対しましてはそのことはいわゆる制度の上においては極めて稀薄な問題だと思うのです。実際におきましてはやはり前金に三カ月取つておる、こういうわけでありますから、こういう方法につきましても先日私は申して置きましたが、もはや今日前金で取るということは非常に諸般の経済の実情がまいつて参りましたこの際、非常に御注意願わなければならないことだと思うのです。併しこれらのことは余りここで強く申上げることは、私は避けたいと思いますが、やはり結局するところ、一度に納めまする金額がこの際五十円に上つたのでありますから、その値上げをしたサービスの意味合でできるだけ一つ、値上げをしたのであるから三月分今の通りに徴収するのだということは、余りにも協会といたしましては、協会の性格からいたしましても高度のいわゆる品格を持つた態度ではないと私思いますから、できるだけ放送協会の持つておりまする品位というものを十分に尊重されまして、そうしてやはり値上げしたら一つそれに対するいわゆるサービスをするというような心持で二カ月にやられるということを、これは非常に大切なことだと思いますから、若しこの三カ月を断行いたしまするならば、私は相当聴取者は減るという見込みを持つております。恐らく今日農村の実情、地方の実情というものは、非常にここで私どもがこの国会の大きな建物の中におりましてそうしてこの案を立てるというような場合には、やはり田舎の、地方の人は非常に本当に貧賎な、そういう言葉は今日当りませんが、その日稼ぎで一日百円乃至百五十円の勤労をいたしまして生計を立てておるという家庭が地方の、対象であつて、いやしくもこれに対する考え方がなければならんと私は思うのであります。かの税金等におきましてももはや今日は相当分納を認めなければならない、分納制度をしなければならないというような状態であるのでありますから、いわんやこの一個の経営体としての日本放送協会でありますが故に、さようなことは更に何か謙虚な態度を以ちまして聴取者本位の徴収方法を樹立せられるということが極めて大切であります。この間におきまして、二億数千万円云々というようなものは私は決して理由にはならんと思います。この問題は……。むしろそれだけくらいは余分にかけても如何にして聴取者が気持良く楽に出せるかということをいたすことがますます聴取者を増大せしめると思う。逆にやはりそれだけの、二億何千万円に拘泥して、そうしていたしておりますことは、むしろ三億、四億の徴収増加を失つて、そうしてそこに固着してしまうという結果になるのではないかと私は思いますから、これは放送協会のいわゆる収入増加のためにも、却つて二億を失なつて三億なり四億を得るということに相成るのではないかと私は思うのであります。十分これは一つ御検討を煩わしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/35
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036・富安謙次
○政府委員(富安謙次君) お答え申上げます。値上げに対するサービスというお言葉、これは最もわかりよく問題の要点を衝いた感があるのでありまして、全くその点については御同感で、そういう点を忘れてはならないということは、そのつもりでおるということばはつきりと申上げるのであります。前金云々ということにつきまして、私の申上げ方は少し不完全であつたかも知れませんが、御熱心な質問でありますし、これが間違つて速記に載つたりしても悪うございますので、実際の徴収方法につきまして、なおよくはつきりと他の政府委員からこの際一言補足をさせて頂くことをお許し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/36
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037・長谷愼一
○政府委員(長谷愼一君) この料金の徴収のことにつきまして、補足いたしまして私からいささか御説明を申上げたいと存じます。この三カ月の徴収は昭和二十三年の七月から実施いたしておりまして、それまでは二カ月徴収でございましたけれども、徴収のために必要な経費というものが割合に多額を要しますので、この徴収のための経費を成るべく節約して、これが事業の生きた面のほうに使われる、従つてこれが受信契約者に還元して行くということを考えて、二カ月集金を三カ月集金に改めて現在まで来ておるのでございますが、これは三カ月分の料金を三カ月の間においてやる、一括料金徴収ということでございまして、必ずしも前払いというわけでもないのでございます。なお放送協会が直接集金をやつておるのと、それから郵便局に委託をしておるもの、そのほかに郵便振替貯金による方法とございますが、大体全体の七割程度が放送協会が直接、あとの三割弱が郵便局に委託をしておるという状態になつております。その中で大体三カ月間のうちにどういう具合に徴収しているかを見ますというと、直接集金の場合には最初の一カ月においては、一カ月のうちに大体四割程度のものが三カ月分の徴収をやつております。次の第二の月に約四割、最後の月に約二割程度でございます。一方委託による集金の場合には、最初の第一の月のときには全然徴収を行わないで、第二の月に約二割、最後の月に八割、最後の月に八割と申しますと、これは二カ月分は後納というような形になるわけであります。これは全部に平均いたしますと、先ほど電波監理委員会の委員長から御説明申上げましたように、最初の月が二割八分、その次が三割四分、最後の月が三割八分というような割合になる状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/37
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038・寺尾豊
○委員長(寺尾豊君) 本日はこの程度とし、次回は明後十日十時に開会をいたしたいと存じます。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/38
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039・寺尾豊
○委員長(寺尾豊君) それでは本日はこれで散会いたします。
午後零時五十一分散会
出席者は左の通り。
委員長 寺尾 豊君
理事
村尾 重雄君
新谷寅三郎君
委員
鈴木 恭一君
尾崎 行輝君
稻垣平太郎君
水橋 藤作君
平林 太一君
国務大臣
郵 政 大 臣
電気通信大臣 田村 文吉君
政府委員
電波監理委員会
委員長 富安 謙次君
電波監理委員会
副委員長 網島 毅君
電波監理長官 長谷 愼一君
電気通信政務次
官 加藤隆太郎君
事務局側
常任委員会専門
員 後藤 隆吉君
常任委員会専門
員 柏原 榮一君
説明員
大蔵省主税局税
制課勤務 田中 黙宗君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X00719510308/39
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