1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年二月二十四日(土曜日)
午前十一時十八分開会
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本日の会議に付した事件
○皇室経済法施行法の一部を改正する
法律案(内閣提出・衆議院送付)
○日本国憲法第八條の規定による議決
案(内閣提出・衆議院送付)
○議員派遣要求の件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X00619510224/0
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001・河井彌八
○委員長(河井彌八君) これより内閣委員会を開会いたします。
皇室経済法施行法の一部を改正する法律案、日本国憲法第八條の規定による議決案、この両案はすでに予備審査を一回いたしたのであります。本日はいよいよこの委員会に本付託になつておりまするから、もう一回開催をいたします。先ず以て皇室経済法施行法の一部を改正する件律案、これを議題といたします。
前回においてすでに政府から提案の理由等につきまして説明がありましたから、改めて繰返す必要はないと思いますが、如何でございましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X00619510224/1
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002・河井彌八
○委員長(河井彌八君) それではさようにいたします。つきましては委員諸君かち御質疑がありますならば御質疑を先ず願います。別に御質疑もないようでありますから、この際御意見のありまするかたは御意見をお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X00619510224/2
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003・竹下豐次
○竹下豐次君 先ず結論から先に申しますというと、私はこの皇室経済法で定められておる現在の基準は、余りに金額が貧弱でありまして、皇室の体面を保持することに極めて不十分であるということを考えておるものでありまして、この改正案によつて多少の増額を要求しておられるのでありますが、これでもとても皇室の品位を保持するに十分ではないと思つておるのであります。新らしい憲法によりまして天皇及び皇室の性格というものが異なつたということは明らかでありますけれども、新らしい憲法によりまして、天皇は国の象徴として明らかにこれを認められておるのでありますので、我々国民といたしましても、どこまでもその象徴たる地位とその品位を保つに十分であるだけの予算を計上しなければならない義務があると、かように存じておる次第であります。現行法の基準によりまするというと、先ほど申しまするように非常に予算が貧弱でありまして、内廷費におきまして僅かに年額二千八百万円、皇族費といたしましても三百有余万円というくらいの少額でありまして、とてもこれで皇室の品位を保持されることはできないのであります。この法律ができまする際に私もその当時委員といたしまして一応これに賛意を表したのでありまするが、実は甚だ不満ながら止むを得ず賛成したような次第であります。なぜかと申しまするというと、恐らく昭和二十一年であつたかと思いまするが、その頃の内外の情勢、皇室に対する外国の考え方、又日本国民の思想の動揺というような点など誠に混沌たる状態でありまして、この際はできるだけ節約するという形をとらなければ止むを得ないというふうに考えまして、甚だ遺憾と思いながらこの少額の予算に賛成いたして法律の制定を見たということに相成つたのであります。その後数年経過いたしまして、今日の情勢を見まするというと、よほど世態も変りまして、外国の我が皇室に対する認識も相当に違つて来たのじやないかと想像される筋がありますし、又我々国民の多数の間における考え方も誠にいい方面に落着いて来たようにも存じておりまするので、成るべく早く我々の希望、元から持つておりましたその希望を達成するに十分であるだけの相当多額の予算を計上する時期が到来しておるのじやなかろうか、かように考えておる次第であります。外国の風などは私よく存じませんけれども、英国の皇室費の予算などを仄聞いたしまするというと、我が国の皇室経済法に定められておりまするその基準とはまるで比較にならないほどの多額の経費が計上されておるようであります。然るにもかかわらず英国の皇室におきましては、なおそれでも不足でありまして、相当の節約を重ねておられるということを承わつておる次第であります。日本の皇室も、国の富が非常に懸隔のありまする英国の皇室のようにというわけにはいかないことは、これはむとより申すまでもないことでありまするが、国の財力に応ずるだけ、そうしてその品位を保つにふさわしいだけの予算を計上することが絶対に必要であると思うのであります。
なおこの問題は見ようによりましては、皇室が余りお苦しみになりますのはお気の毒であるからというような一種の私情であるかのように誤解される向きもないとも限らないと思うのでありますが、私はそうではないのでありまして、決してこれが私情にとどまるような問題ではなく、日本の皇室の品位を保持し、従つて国家の体面を保つ上において最も考慮を要する重大なる法的の大問題であると、かように私は考える次第であります。従つて私は皇室経済法の根本的の改正を必要と認めるのでありますが、この点につきましては我々議員におきましても、早急にこれが研究を進めねばならないと考えておりまするし、又政府においても、二十七年度の予算編成の時期までには、是非私が今申上げましたようなことが実現するような大きい予算の準備を進めてもらわなければならないと、かように考えておる次第であります。
只今提案されておりまする案は、甚だ姑息な改正案でありまして、私はこれに心から賛意を表するということはもとよりないのでありますが、併し今急に根本的の改正案を作り直すというようなことにいたすことも、これは時間的に間に合わない問題でありまするで、この際は私はこの改正案に賛成の意思を表したいと思いまするが、ただできるだけ早い機会において、根本的の改正が行われるということを前提といたしまして、ここに賛意を表する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X00619510224/3
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004・梅津錦一
○梅津錦一君 皇室経済法の問題は、これは相当研究を要する問題であるし、なお日本の皇室に対する正確なる国史的顯彰がまだしてないという点も相当研究の余地がある。ただ憲法上日本の皇室は国の象徴であるという漠然とした見方しか現在されておりませんが、日本人民の上の象徴であるという点から、もう一応全日本の学者の総意を集めて、知識を集中して日本の歴史を顕彰し、然る後に日本の皇室がどういう位地に過去にあつたか、どういう真実の姿で過去にあつたか、又将来どういう形で日本の皇室が存置されなければならないかという点が、非常に大きな問題であり、又根本の問題であると私はこう考えるわけです。併しながら現在そうした皇室の問題を歴史的に顕彰しているいとまもありませんし、なお皇室経済法を改正するという問題もひとしくそれにかかつておると考えられますので、そうした根本問題はさておきまして、この皇室経済法施行法の一部を改正する法律案の提案理由をずつと読みますと、当然増額さるべきような現在日本の経済状態がそこまで来でおると、そういう点から、特に公務員の給與も引上げられて、それに並行して皇室経済費の一部が増額されることは、又これも当然の形であると思いますので、現在においてはこの皇室予算をこの原案通り承認することに賛成するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X00619510224/4
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005・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 別に御発言がないようでありますから、採決をいたします。皇室経済法施行法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の挙手を願います。
〔総員挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X00619510224/5
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006・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 総員挙手と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X00619510224/6
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007・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 次に日本国憲法第八條の規定による議決案、これを議題といたします。何か御質疑があれば御質疑を願います。なければ御意見を御発表願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X00619510224/7
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008・梅津錦一
○梅津錦一君 これはもう予備審査のときにも相当いろいろの話が出ましたが、これはすでにこういう議決は必要があつてすべきものであり、なおこれに対する詳しい内容というものは、これから出て来る、派生して来る問題に対してのこの決議が必要であつて、将来を予測するということはなかなかむずかしいということで、これは当然であり、而もなさねばならないものであるという議決でありますので、これはそのまま政府原案の通り承認することに賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X00619510224/8
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009・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 他に御発言ありませんようですから、これを採決いたします。日本国憲法第八條の規定による議決案に賛成の諸君の挙手を願います。
〔総員挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X00619510224/9
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010・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 総員挙手と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。つきましては、両案に賛成の諸君の御署名を願います。
多数意見者署名
竹下 豐次 中井 光次
林屋亀次郎 松平 勇雄
梅津 錦一 吉田 法晴
尾山 三郎発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X00619510224/10
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011・河井彌八
○委員長(河井彌八君) なお本会議に報告することにつきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが。
〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X00619510224/11
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012・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。速記をとめて。
午前十一時三十四分速記中止
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午前十一時五十四分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X00619510224/12
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013・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 速記を始めて下さい。そうすると議員派遣の件につきましては、愛知のほうに竹下さんと私、宮城のほうに松平さんと梅津さんが行くと云うことと、期間は大体本月末頃から三月の上旬頃までの間の五日間ということにきまりました。議員派遣要求書の提出については委員長にお任せ願います。
それでは本日はこの程度にとどめて置きまして散会いたします。
午前十一時五十五分散会
出席者は左の通り
委員長 河井 彌八君
理事
梅津 錦一君
尾山 三郎君
委員
松平 勇雄君
吉田 法晴君
竹下 豐次君
中井 光次君
林屋亀次郎君
政府委員
宮内庁次長 宇佐美 毅君
皇室経済主管 近藤 直人君
事務局側
常任委員会專門
員 杉田正三郎君
常任委員会專門
員 藤田 友作君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X00619510224/13
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