1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月十三日(火曜日)
午前十時四十七分開会
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本日の会議に付した事件
○国家行政組織法の一部を改正する法
律案(内閣送付)
○新聞出版用紙の割当に関する法律の
一部を改正する法律案(内閣提出)
○経済安定本部設置法の一部を改正す
る法律の一部を改正する法律案(内
閣送付)
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001・河井彌八
○委員長(河井彌八君) ではこれより内閣委員会を開会いたします。
都合によりまして国家行政組織法の一部を改正する法律案予備審査でありますが、これを議題といたします。前回に引続きまして、何か御質疑がありますれば、この際お願いいたします。
国家行政組織法の一部を改正する法律案につきまして御質疑等もまだ出ませんから、便宜他の問題に移ります。
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002・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 次に新聞出版用紙の割当に関する法律の一部を改正する法律案、これを議題といたします。
昨日政府から、用紙の生産の状況等について調査書が出ておりますが、その内容につきましてこの際政府から説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/2
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003・鈴木政勝
○政府委員(鈴木政勝君) 昨日新聞出版用紙割当に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申上げた次第でございますが、なお若干詳細に亘りまして最近の用紙の需給状況とか、そういつたような点につきまして御説明申上げたいと存じます。
最近におきまする新聞出版用紙の需給関係を申上げますると、先ず新聞用紙につきまして申上げますれば、昨今御承知の通りに日刊新聞は四頁の回数が逐次増加して参りまして、只今では週五回という回数に達するような、終戦直後と比べまして生産状況も非常によくなり、新聞の質的な向上ということが著しくなつて参つたわけであります。
これを生産関係の数字から申上げますると、大体最近では月の生産量が三千万ポンドというような状況に達しております。これは終戦直後の状態に比べますと大体五割以上の増産という状況になつておるわけであります。ところで御承知の通り新聞用紙は割当統制と価格統制、両方を統制いたしておるわけでありますが、なお統制外の新聞用紙というものが、相当量新聞用に使用されておる。こういう状況に相成つております。これは御承知の通り一昨年の暮から始まりました大新聞の夕刊の発刊という状態におきまして、統制外の紙が相当量新聞に使われるということになりまして、その量は大体只今新聞が使つております全体の量の四分の一程度がこの非統制紙、統制外の紙で賄われておるという状況になつておりまして、逐次非統制紙、統制外の紙の使用量というものが増加しておるような状態になつておるわけであります。その量を大体申上げますと、統制をしておる紙の、現在新聞が使つております統制紙の量は月二千七百万ポンド程度が大体の量でありますが、非統制紙、夕刊とか或いは増部数に使つております量は、これは統制しておりませんので、明確な、的確な数字はわかりませんのですが、大体月五、六百万ポンド程度の紙が使われておるというように私どものほうでは見込んでおるわけであります。そうしますと合計いたしまして三千二、四百万ポンド程度が新聞に使われておるというような状況でございます。
ところで日刊新聞につきましては、先ほど四頁の回数が週五回という程度になつたということを御説明申上げましたが、私どもの目標といたしましては、昨年来この三月末を以ちまして日刊新聞が毎日四頁の新聞が発行できるようなふうにいたしたいという目標を以て今日まで進んで参りましたが、用紙の事情等からこれが実現できませんので、只今のところ週五回という程度にとどまつておるような状態でございます。一方印刷用紙つまり私どものところで扱つておりまする紙のまあ種類といたしまして、大きな分け方は、新聞用紙と印刷用紙というふうに分けてございますが、この印刷用紙、これは主として書籍、雑誌に使われる紙でございますが、これも終戦後著しく生産量が増加いたしまして、殆んど終戦当時の倍以上の生産量に相成つておる。その数量を申しますと大体月によつていろいろと、電力その他の事情で消長がございますけれども、大体月平均いたしまして五千万ポンド程度の生産量が、現在のところ確保されておるというような、こういつた状態であります。ところでこの印刷用紙の内容的な問題でございますが、この印刷用紙の種類といたしましては、つまりいろいろな紙があるわけでありまして、まあ常識的に下級紙、中級紙、上級紙とこういつたような種類がございまして、現在統制をいたしております紙は、いわゆる下級紙という紙だけが統制されておるのでありまして、印刷三十五号、三十六号並びに教科書用紙、この三つが統制の枠の中に入つております。で、この全体の、印刷用紙全体の生産量の五千万ポンドのうちそれではどういうふうにこの生産ができておるのかということでございますが、平常の状態でございますれば、大体いわゆる下級紙と上級紙との生産の比率というものは大体半々ぐらいで、従来生産されておつたものでありまして、又需要関係からいつても、そういつたような程度のものが妥当なところのものなのでございます。ところが昨今いろいろ、後ほど申上げまするけれども、紙の輸出の問題とか、価格統制の問題等に関連いたしまして、下級印刷紙の生産というものが著しく減つて参りまして、印刷用紙全体、四、五千万ポンドの数量のうち、下級印刷紙である三十五、三十六号という紙が一千万ポンドを少し超えた程度しか生産が確保されてない。こういつたような非常に印刷用紙の生産のアンバランスの状態が現在現われております。従いまして非常に何と申しますか、雑誌とか、下級の紙を使います書籍の面が、非常に困つておると、こういつたような状況がまあ昨今の状況でございます。それに加えまして、最近昨年の暮くらいから、国内的に紙が非常に足りないという実情が現われて参りました。従来昨年の九月頃まではむしろ紙が非常に国内的に過剰と言つていいくらい市場に現われまして、むしろ紙屋さんが売りに来るというような実情にありまして、むしろ統制を撤廃したほうがいいんではないかというふうな実態が出たのでありますが、昨年の暮あたりからむしろ私のほうで発行いたしております割当切符を持つて行きましても、それが現物化しないというような、こういつたような実態も若干現われておるというような次第でございます。この原因はどこから来ておるかということでありますが、これは先ず第一に昨年の九月頃から非常に紙の海外輸出が活溌になりまして、相当量の紙が海外に出た。これは主として国際価格が非常に国内価格よりも高いために相当量の紙が自然に流れて行く。こういつたような実態、それからもう一つは、これは時期的な、季節的な問題でありますが、教科書用紙がこの新学期を控えまして相当需要が集中しておるといつたようなこと。それからもう一つ最近行われまする地方選挙のために使いまする用紙、これが相当量の紙でありますが、この選挙用紙の手当という面が相当響きまして大体この三つの原因が相当国内的な現在の紙飢饉の原因になつておる。こういつたようなことで只今のところ市場に紙が相当不足しておる。従いまして紙のいわゆる闇値というものも再び相当大幅な値上りをしている。而も統制していない紙の価格も一時と比べまして倍以上に上つておる。こういうような状況に相成つた次第であります。そこで最近政府といたしましては、先ず輸出に関する何らかの制限措置を考える必要があると認めまして、最近紙の輸出制限に関する措置を法的に講じました。これは最近官報にも告示されましたところでございまするが、これは外国為替及び外国貿易管理法第五十一条の規定に基きまして通商産業省令を以ちまして紙の船積みを禁止するという措置を取りあえずとつたわけでありまして、この効果がどういうふうに現われますか、従来のような、勝手に紙が輸出できないという建前をとつた次第でございますので、かなり国内的に紙が或る程度出廻つて来るのではないかというふうに私ども考えておる次第でございます。なお又教科書用紙につきましても、これは季節的な問題でございますので、この需要期を過ぎれば、かなり紙も豊富になるりではないか。又選挙用紙につきましても大体の手当も終つたようでございますので、この問題も一応解消する。従いまして四月或いは五月以降におきましては、かなり印刷用紙の需給のバランスというものがとれて来るというふうに考えておる次第でございます。以上申上げましたように、輸出に関する何らかの制限措置、計画的な輸出というものが実現せられますれば、国内的に新聞用紙、印刷用紙を通じまして紙の全体の量と需要というものはそう著しいアン・バランスというものはないのでありまして、従つて或る程度統制を撤廃しても十分にやつて行ける、混乱なしに自由経済に移行できると、こういつたようなことも十分考えられるわけでありまして、政府におきましても、飽くまでこの言論機関である新聞出版用紙というものを本来の自由な姿に返すという目標の下に、生産関係を飽くまで増強いたしますと同時に、需給のバランスが少しでもとれるようにいたしまして、できるだけ早く統制を撤廃したいという努力を今日でも続けておる次第でございます。併しながらこの法律、只今議題になつております法律は三月末を以て失効いたすことになつておりますので、四月一日からこの統制撤廃ができるかどうかということは非常なこれは懸念がございますし、なお今後の推移に待たなければならないというふうでございますので、取りあえず一年期間を延長する。こういう法律案の改正を考えた次第でございます。なお今後の紙の生産の問題につきましては、これは或いは私が申上げる立場でないかも知れませんけれども、いろいろと木材パルプの関係というものがまあ非常に国内的にも問題になつておりますし、今後木材パルプの需給というものがどういうふうになりますか、或いは巷間いろいろ噂が飛んでおりまして、或いは木材パルプの関係から紙パルプが再統制される。従つて紙の統制もこれは再統制されるというような噂も飛んでおるやうに聞いておるんでありますが、この点につきましてはまだ何ら結論も出ておりませんし、私の聞いておる範囲におきましては、少くともまあ紙の生産という面につきましては、差し向き懸念はないというふうに承わつておるのでございますが、これはむしろもう少し森林その他木材全般の政策の問題でございますので、この法律とは直接関係はございません次第でございます。次に今回の法律の改正の第二の点でございますが、今回まあ政府におきまして、現在政府にありまする審議会の性格、職務、権限等につきまして全面的に検討を加えました結果、行政の責任を明確にするという建前から、この審議会の職務、権限につきまして必要な改革と申しますか、調整をする方針を最近閣議決定を以て決定いたした次第でございますが、それに伴いまして新聞出版用紙割当審議会につきましても、この方針に準拠いたしまして、従来新聞出版用紙割当審議会はかなり強い強力な決定機関という性格を持つておつた次第でございますが、今回これを諮問機関にするというふうな性格の改組をいたす法律の改正を企図いたした次第でございます。以上簡単でございますが、今回の法律改正の概略の御説明をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/3
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004・カニエ邦彦
○カニエ邦彦君 只今の御説明でございますが、政府が統制を撤廃してそして自由な元の形に返すことに努力しておる、併しながらなお四月一日からはそうは行くまいということで一年延期をする、こういうお話であつたのでありますが、直接の関係はないということをおつしやつておつたのですが、現在我が国におけるところの紙の消費量というものは年間どのくらいのものでしようか。先ずそれを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/4
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005・鈴木政勝
○政府委員(鈴木政勝君) 先ほどちよつと簡単に申上げましたように、新聞用紙と印刷用紙に分けて御説明申上げますと、新聞用紙につきましては、現在私どものほうで割当てている紙の量は月二千七百万ポンドでございます。なおそのほかに先ほど申上げましたように夕刊その他の非統制紙を使つておるものは月五、六百万ポンド使つております。現在使つておる量であります、新聞界がですね。然らば新聞界として今後その消費量が殖えるものなのか減るものなのか、或いは現状を以てずつと続くものなのかという点でございますが、いわゆる有効需要の算定という問題でございますが、私どもの考えといたしましては、新聞界は今後仮に統制を撤廃した場合にはどの程度の需要が起きるかということを一応研究いたしましたのでございますが、それによりますると、今後新聞界としては先ず第一に現在週五回の四頁発行が、毎日四頁の状態になるということが先ず考えられることである。その点が一つと、それからもう一つは御承知の通り現在大きな新聞の夕刊紙というものが独立した夕刊の発行の形態をとつております。これが昔のような、つまり朝夕刊が連繋したような形の夕刊が発行されることになりますると、若干紙の量が殖えるわけです。そういつたような二つの条件を加味いたしますと大体全体として新聞用紙の今後の有効需要というものは三千六百万から七百万くらい大体必要じやないだろうかと、この数字も非常に推定的な基礎でございますので、或いは見方によつては三千五百万ポンドでいいというような見方をする面もあるようでございますが、まあいずれにしましても現在の生産数量からしましてあと二、三百万ポンド紙があれば十分新聞界として賄えるんじやないか。ただ問題は昔のように新聞が十何頁というような、万一新聞を出すようなことになりますと、これは到底そういつた程度の量では賄えないということになるわけでございます。その点統制撤廃をいたしましても或る程度の用紙制限といいますか、むしろ建頁制限というような形の統制といいますか、制限というものは残らざるを得ないじやないか。これはまあ民間の自主統制というような形で四頁を守るというような形をとりますか、これはむしろ今後の問題だと考えられます。次に印刷用紙の問題でありますが、大体印刷用紙を使います消費の面というものは非常に広いのでございます。主なものは雑誌、書籍、教科書、それから官庁需要とか、そのほかいろんな印刷用紙を使う面がございまして、なかなか一体どの程度の有効需要があるものかという算定は、非常にむずかしい問題でございます。先ず私どもが扱つておりまする書籍、雑誌の面を先ず申上げますると、大体月四千万ポンド程度の紙が現在市場に現われておる、書籍の紙の量でございます。それから推算いたしまして、官庁需要とか教科書その他の一切のものを算定いたしますと、年間にいたしまして大体四億ポンド程度のものが、大体印刷用紙の有効需要ではないかというふうに考えております。従つて月にいたしますと四千万ポンド程度が印刷用紙の有効需要じやないか。そういたしますと、先ほど申上げましたように、生産は大体印刷用紙は月五千万ポンド程度の生産というものができる、そこで印刷用紙のほうでむしろ生産過剰というような数字に実はなるのでございます。そこで新聞用紙は足りない、印刷用紙は余る、こういつたような状況から、一体相互の融通というものができるのかどうかという点でございます。従来は新聞巻取紙というのは、新聞巻取紙以外は新聞社が高速輪転機にかけて使えないというような実は考え方でもあるし、実態でもあつたのでありますが、最近夕刊が使つておりますような紙の程度で考えますれば、或る程度印刷用紙が巻取のような状態になれば新聞にも十分使える。現に新聞社も印刷用紙に転化したような紙を、いわゆる非統制紙を新聞が使つておるような次第でございますので、先ほど私が御説明申上げましたように、いわゆる新聞用紙、印刷用紙全体を通じて見るならば、需給のバランスというものは或る程度とれるということが言えると思うのでございます。その点多少技術的に高速輪転機にかけまして、正規の新聞巻取紙よりも印刷用紙の転化した、いわゆるレギュラーでない新聞巻取紙というものは、現在のところ技術的にも不利の条件にありますし、値段にも不利な点がありますので、現在のところそう簡単には割切れないという問題があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/5
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006・カニエ邦彦
○カニエ邦彦君 そういたしますと、新聞印刷関係の用紙の年間の所要量というものは、その他一般家庭等に使われる紙の全体の量から見ると、大体何%ぐらいになるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/6
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007・鈴木政勝
○政府委員(鈴木政勝君) 只今的確な資料を持つておりませんのですが、紙の全体の種類から申しますと、いわゆる和紙、主として家庭で使いますのは和紙、それから印刷に使われますのは洋紙でございます。というふうに大きな分類ができるわけでございます。ところが内容的な分類になりますと、和紙と申しましてもいろいろな種類がございますし、洋紙といたしましても、上級紙、下級紙、中級紙、その他セロフアンとか、たばこの巻紙とか、いろいろな種類が、実はあるわけでありまして、全体としてどういうことになりますか。ちよつと今、和紙、洋紙全体を通じての数字をちよつと持合せておりませんのでございますが発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/7
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008・カニエ邦彦
○カニエ邦彦君 そうしますると、そういう資料を政府がないと言われるのですが、先ほど、お話になつた政府の基本的な方針として紙の統制を撤廃して、そうして自由にやつて行くという計画でおるということでありましたが、統制をやめて自由にやりたいという考え方はその基本的な根拠なるものが、一体どういうものであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/8
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009・鈴木政勝
○政府委員(鈴木政勝君) 結局、新聞出版用紙というものは、終局において憲法に保障されております言論の自由という問題に関係する。そこで現在我々で統制をいたしておりますのは、憲法に保障されておりまする言論、出版の自由、こういうことをできるだけ阻害しないというように考慮いたしまして、特に割当審議会とかいろいろな観点から、特殊なつまり割当統制の機構を作りまして、慎重にやつておる。こういつたようなわけでございますが、結局そういつた統制そのものが、憲法に保障されておりまする言論出版の自由を何らかの形で或いは阻害するという廃れが多分にある。具体的に申上げますれば、或る新聞なり、出版物なりから割当の申請が来る。それをいけないという場合には若干そういう疑念が当事者としては起きるという関係から、できる限りこういつた統制は廃止したい。併し、紙が不足するとい条件の下に撤廃をいたしますると、言論の自由が又逆に奪われるという結果に相成りまするので、その点は十分気を付けて撤廃する場合には、資本の小さいものといえども、紙が手に入らないために、その出版物が潰れるとか、不利な条件に陥るというような条件においては統制は撤廃してはいけない。かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/9
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010・カニエ邦彦
○カニエ邦彦君 そうすると新聞等の言論機関の十二分な発言を阻害しないということで、成るほどこういつた種類のものに対しては統制をしない、自由にするのだというような御意思であると至極尤もであると思うのですが……。そこでお尋ねしたいことは成るほど撤廃ができればいいのでありますが、それを自由にやるという決意をなされておることは結構であるが、でき得るというところの自信が、どういう点にあるかということ。と申しますのは私が先ほどお伺いしたように、大体我が国の紙の全体の消費量がどれだけ使われるか、そうしてその生産量は、生産力はどれだけあるか、従つてそれらに要するところのパルプ資源が、年間どのぐらい使われるか。現在我が国にあるところの森林資源は何石あるか。そういうものが年々に、これが伐採され、そして潰されて行くということになると、治山、治水の上において大きな影響を持つて来る。私の考える範囲では、とても我が国の戦後の濫伐されておる現状において、我が国の紙の使用量を満足せしめるだけの資源はとてもないと思う。そこでそういつた現状であるにかかわらず、一体どういうような見通しの下に自由に紙の統制を外して行けるのかどうか。この点について非常に疑念を持つわけなんで、成るほど政府の御趣旨は結構ではあるが、それを実現して行くという自信が、根拠が一体どこにあるのか、そういうことを承わりたい、こう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/10
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011・鈴木政勝
○政府委員(鈴木政勝君) その問題につきましては、私新聞出版用紙割当局長といたしましては、かなり政府の農林その他全般的な政策の問題になりますので、先ほど申上げましたように、未だそういつた問題は今後検討される問題である。従つて私の今関係いたしております法律案といたしましては、そういつた問題がまだはつきりといたしていないという条件の下に一年間延長する。こういう御説明しかいたしかねるわけで、なおほかの担当の政府委員なり、政府の当局からの御説明を御聽取願いたいと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/11
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012・河井彌八
○委員長(河井彌八君) カニエ君に申上げますが、只今の御質疑に対しまして、あらかじめ政府に要求して置きました森林資源の関係におきましては、林野庁の林産課から内藤技官が見えております。それから通商産業省に対しましても出席を求めて置きましたが、今はほかの委員会に行つておりまして、今この席にはおりません。そこで林野庁の内藤技官から、これは政府委員ではありませんが、それらの森林資源の状態についてでも、何か御質疑があれば説明して頂こうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/12
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013・カニエ邦彦
○カニエ邦彦君 只今委員長から申されましたのですが、通産省なり、或いは林野庁から我が国の紙の需要の関係、或いは資源の関係、これを十二分に質して、その上において委員会としてはただ法案が一年々々と小刻みに出されることも事情上止むを得ないのでありますが、やはり根本的にそういつたものをよく質した上で検討したいと、こう思うので、一応林野庁のかたがお見えになつておりましたら、今私が申しましたような点について、一つ具体的に数字を以て、今後の見通しについてお話しを願いたい、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/13
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014・河井彌八
○委員長(河井彌八君) カニエ君、なお申しますが、通商産業省の通商雑貨局の紙業課長の武内君がこの席に見えましたから、その輸出等の面においても御質疑ができるだろうと思います。それでは両君は政府委員ではありませんが、両君の説明を伺うことに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/14
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015・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 御異議ないものと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/15
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016・内藤旭
○説明員(内藤旭君) 現在日本の森林資源の状況を申しますと、大体蓄積が全体で六十億石でございます。そうしてそのうち約十五億石というものは山岳林その他でこれは伐採ができません。大体そのその残りの四十五億石の蓄積が奥地の未利用林も含めまして四十五億、これが今後利用の対象となる利用可能林でございます。その四十五億を対象としまして用材がどれくらいの伐採ができるかと申しますと、厳正な補足をなして行くためには、年に丸太で四千八百万石程度が成長量でございましてこの程度を伐れば今後永久に現在の蓄積がそのまま保存されて行くという関係になります。併し、二十五年度、本年度の用材がどのくらいに使われておるかと申しますと、まだ三月末までができておりませんが、約八千八百万石が、全体として使われるのじやないかと思います。そのうち、パルプが大体一千一百万石程度になるかと存じます。なお二十六年度におきましては、このままの状態で木材が消費されるといたしますれば、大体九千二百三十八万石が使われるのじやないか。それからパルプの需要としては、一千二百万石乃至一千三百万石が、大体使われるのじやないかという気がいたします。これに対しまして自立経済対策審議会では大体木材の最低の圧縮需要量を七千八百二十万石と見ておりまして、この場合におけるパルプの原木の必要量は、一千十万石というふうに考えられております。先ほど申しましたように、約四千八百万石の成長量よりないのに対しまして、若しも九千二百万石程度が毎年今後伐られて行くといたしますれば、大体二十年を出でずして、日本の森林資源は枯渇するというような計算ができます。併しながら、成長量が四千八百万石であるといつて、これで若し、木材の需要を賄うとしますれば、日本経済とか、或いは、民生安定に影響がありますので、私どものほうとしては、最低、先ほど説明しました自立経済対策審議会できめられた七千八百二十万石程度は何とかして供給をしなければいけないと目下研究を進めておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/16
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017・カニエ邦彦
○カニエ邦彦君 只今の御説明の中で四千八百万石の成長量に行くものは大体何%くらいに見込まれておるのですか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/17
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018・内藤旭
○説明員(内藤旭君) 何%と申しますと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/18
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019・カニエ邦彦
○カニエ邦彦君 現在の我が国の総保有石数からしてどのくらいに、仮に二%とか或いは五%とか、大体成長率というものは場所によつて違うと思うのです。それは一概に言えないと思うのですが、例えば谷の非常に成育の悪い所であつたらそのパーセンテージも低いでしようし、又その反対にいい所はいいでしようから一概には言えないと思うのですが、大体平均どのくらいの年々パーセンテージで成長率があるというようなお見込でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/19
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020・内藤旭
○説明員(内藤旭君) 只今その算出の基礎を持つて参りませんのでちよつと申上げにくいのでありますが、闊葉樹とそれから針葉樹については違うのでありますし、それから特に奥地の天然林のごときは、すでに成長がとまつているという所もございますし、又造林木のごときは年の成長率が五%にも六%にもなつているという所がございまして、これらを齢級別に、齢級と申しますか、五年、十年成のものはこのくらいに成長するとか、或いは二十年成の場合にはこれくらい成長するというような大体標準がございまして、それによつて計算しりたものでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/20
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021・カニエ邦彦
○カニエ邦彦君 その点はそれじや結構でありますが、後ほどそういつた詳しい資料があれば参考までに頂いたら結構だと思います。それから六十億石のうち十五億石は殆んどこれはもう実際は利用のできない、搬出がとてもできないというものである。それで現在の搬出可能のものは四十五億石である、この四十五億石の中に紙の資源としてできるところのパルプ材は大体何石くらいあるようなことになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/21
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022・内藤旭
○説明員(内藤旭君) 現在使つておりますのは、大体松と、北海道とど松、えぞ松というようなものを使つておりますが、パルプは御承知の通りに大体、若しクラフト・パルプ等を今後やるとすれば、針葉樹、闊葉樹とも大体全部これはパルプに向ければ向けられんこともないというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/22
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023・カニエ邦彦
○カニエ邦彦君 大体建築材というものと、それから炭や薪にする用材と、それからパルプ等に使われる用材というものとは大体異つておるのじやないかというように思うのですが、そこで先ほど御説明のあつたように、全体として現状のままで進行して行くと、我が国の林野は二十カ年くらいにして裸になつてしまうというような結果になるということは、私今聞いて、非常に驚いておるわけなんで、こんな現状にあるということを果して全国民が知つておるのかどうか。知つていないとするならば、これは非常に大きな問題であろうと思われるのでありますが、その問題は先ずそれとして、一体パルプだけで考えて見たときに、用紙の材料というものは今計画で言われておる一千十万石使われるということになると、何年くらい経つと、我が国にはもう紙に使う材料がなくなつてしまうのであるかということです。これを大体知りたいと思いますが、どうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/23
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024・内藤旭
○説明員(内藤旭君) 先ほど申しましたように全体の消費量七千八百二十万石、それからそのうちパルプが一千十万ですか、その程度ですが、この程度の伐採で行きますれば、用材林といたしましては大体これは極めて大見当でございますが、三十年くらいは持つんじやないかと思います。従つてその伐採跡地に造林をいたして行きますれば、三十年後には少くとも三十年成の造林木ができて来るということになります。でありますから九千二百万石を少くともその程度でとどめて行くには、相当の木材の利用、合理化という問題を今後進めて行かなければならんというこことで、目下それぞれ所管官庁にもお願いするとしてそうしてこういう面を国民に呼びかけて協力を願うつもりでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/24
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025・カニエ邦彦
○カニエ邦彦君 林野庁のほうからは只今私が御質問を申しました点について後ほどでも結構ですが、数字にして出してその資料が頂ければ結構でありますから、委員長のほうから一つお願いして置いて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/25
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026・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 承知しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/26
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027・カニエ邦彦
○カニエ邦彦君 それから次に生産の面を担当せられておるところの通産省のほうに伺いたいと思いますが、お見えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/27
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028・河井彌八
○委員長(河井彌八君) おられます。紙業課長の武内君が見えております。説明員として説明を求めますから質問して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/28
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029・カニエ邦彦
○カニエ邦彦君 それでは通産省にお伺いするのですが、我が国の現在の紙の消費量というものは大体何ポンドくらい、年間……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/29
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030・河井彌八
○委員長(河井彌八君) それでは説明員として紙業課長の武内君に説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/30
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031・武内謙二
○説明員(武内謙二君) お答えいたします。只今の御質問になりました需要というものがどの程度あるかという点につきましては、その都度、その時期によりまして、いろいろと有効需要の変化によりまして一概に申上げにくいということは考えられますが、大体の消費量につきましては、現在二十億弱、これは本年度の生産額と大体マッチしておるものではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/31
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032・カニエ邦彦
○カニエ邦彦君 その三十億の生産量で現在のところいろいろ新聞、雑誌、或いは一般家庭等にも需要が十二分に足りておるという現状なのか。まだまだこれでは不足であるというようなお考えですか、どちらでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/32
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033・武内謙二
○説明員(武内謙二君) お答えいたします。只今の御質問によりますと御意向ですと、私は十二分とは存じておりませんが、併し今の、ほかの種々の産業なりその他とのまあまあとにかく需要のバランスがこの程度はとれるとみなし得る見当においては、現状においては、有効需要が先ず充たし得ておるということではないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/33
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034・カニエ邦彦
○カニエ邦彦君 現在戦争等によつて破壊された施設等もいろいろあろうと思いますが、現在の生産施設によつて年間どのくらいの生産が我が国ではできるということになるのですか、生産能力ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/34
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035・武内謙二
○説明員(武内謙二君) お答えいたします。要約して申上げますと昭和三十六年度の生産の予定量は、大体二十二、三億ということが推定できます。それから能力につきましてはそれよりもなお二割程度は余裕があると思います。それからなお、これはもう少し附加えて申上げますと、同じ紙の中でもいろいろな種類がございまして、そして同じ機械でも作り得るものもありますが、作り得ないものもあり、種類の別によりまして能力というものがおのずといろいろな変化をもたらして参ります。そういうことによりまして現在その種類別のアンバランスを補う意味におきまして、例えばパルプの関係、それから一部の紙の関係におきまして、これが新、増設を若干いたしておりますので、そういうものを加えますと更に二割以上の能力というものはこれに殖えて参るのではないかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/35
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036・カニエ邦彦
○カニエ邦彦君 そこで新聞用紙その他に使われるパルプでありますが、この原料パルプは二十億に対して大体どのくらい使われるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/36
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037・武内謙二
○説明員(武内謙二君) それは先ほど内藤技官のお話にも、ございましたように大体二十六年度におきましては千百万石程度と考えております。これは勿論同じ紙でありましても、できるだけ代替の資源を使うとか、古紙を回収して再使用するとかいう点がございますので、新らしい原木ばかりを使うといたしますともつと大きな数字になりますが、現実にはできるだけそういう消費の合理化という点、紙そのものを作る場合の合理化をやつておりますので、二十六年度は恐らく千百万石程度ではないかと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/37
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038・カニエ邦彦
○カニエ邦彦君 その千百万石のうち輸入されておる原料は何万石ぐらいあるのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/38
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039・武内謙二
○説明員(武内謙二君) 現状はできるだけ木材を輸入いたしたいということでいろいろ進めておりますが、特殊の南方材その他はほかの産業用になど輸入されておるように伺つておりますが、パルプ用材といたしましては現状これを輸入いたしますというと、邦貨に換算いたしまして大体二千五百円乃至三千円という高価につきまして、内地ものの八百円もの乃至千円級というものから見ますと、非常に差がありますので現状では輸入いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/39
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040・カニエ邦彦
○カニエ邦彦君 そういたしますると消費量といろものとそれから原材料というものから睨み合せて行つて、我が国のパルプ資源というものは先ほどの農林省のほうから説明があつたように、三十年経つとなくなつてしまうのだということになりますが、そうしますると現在のこのままで通産省としてはやつて行かれる、輸入をせずにやつて行くという方針なのが、二十六年度にはなんぼ紙の輸入をやるという方針なのか、この点はどうなのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/40
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041・武内謙二
○説明員(武内謙二君) お答え申上げます。勿論戦時中よりのいろいろ過伐の問題といたしましては、通産省といたしましてもよく知つておるわけでございますので、できますならば、できるだけ輸入をしたいということで、どういう地区から如何に安く持つて来るかということで、鋭意研究もいたしておりますし、それからその方法等につきましてもいろいろと考慮中でございます。ですからできますればできるだけ入れたいということを考えております。それと同時に先ほど来の、三十年経てば日本の木がなくなるということでございますが、これは全然現状のまま放置して伐つて行けば三十年経てばなくなる、そういう御説明のように伺つておりますので、勿論今から積極的な造植林ということをできるだけして頂く。最近は紙パルプの会社自体におきましても、みずからこれは殆んど政府の補助なしで自分で積極的な造植林を始めて参つておるような実情でございますし、今後もますます日本全体の治山、治水の問題を初めといたしまして、電力その他の関係もございますので、総合的に見ましてこれを是非始めねばならんということで、極力指導いたしておりますのが著々その緒について参りまして、すでに御承知の王子系の有力会社を初めといたしまして、積極的に造植林を始めたという形になつて参りますと、これは今なお伐つている程度に植えて行けば大体恐らくパルプ用材といたしまして二十年乃至三十年経ますれば、これはパルプ用の原木として役に立つということになりますので、その間にできるだけ積極的な造植林の方法を農林省のほうにも是非お願いしたいということでいろいろ協議会等搾りまして、そこでいろいろとお話を進めておるようなわけであります。それからそういうことでありますと同時に、又これがパルプ用に使われますし、絶対量というものが、例えば薪炭にして使われておりますものが、一億二千万石以上と言われておりますし、それから今まで用材を加えまして、二億二千万石も食われているような地位を占めておりまして、パルプ用材として使われております原料は一千万石程度から更にこれまで進んでも千五百万石程度におさまるのではないかと思つておりますので、これを考えますと、全体の量で見ますとこれは一〇%にも達しない、六、七%の量というものをパルプが占めておるような形でありまするので、それ以外の産業の動きがどうなるかということにもよつて非常にこれは影響されるのじやないか。パルプ自体といたしますと全体から見れば一割以下であるという点もあるのではないかというふうに考えられますが、なおこれにつきましてはパルプ自体もできるだけ消費の合理化をするなり、それから又いろいろな木材を使われます場合にも、いろいろの、例えば防腐処理をしてその寿命を三倍半も四倍も延ばすとか、包装用資材に木箱を使つておりますのを、これを段ボールとかいうようなものにいたしますと、これは原料として藁も使えますし、それから更に木を使いましても原料的に材木の四分の一で済むというようなことも考えられますとか、都会の薪炭用に使われておりますものをできるだけ煉炭とか豆炭とか亜炭、コーライト、更に進んでガスの普及とかいうような点を、いろいろと消費の合理化を考えますれば、あまたの合理化すべき方途というものがまだ残つておるのじやないかというふうに考えまして、通産省といたしましてもできるだけ内部で、そういう点の個々の具体化ということにつきまして、消費の合理化につきまして今推進をしつつあることでございますので、なお附加えて一つ申上げて置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/41
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042・カニエ邦彦
○カニエ邦彦君 今の説明によりますと、結論的に言うとパルプ材料については今後心配がない、何とかいろいろな手を尽せば行けるということに了承していいのですか。これで今後我が国のパルプ材は二十億ポンド余りの紙の製造をやつて行ける、そうして資源は保つて行けるといろ結論になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/42
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043・武内謙二
○説明員(武内謙二君) 勿論現状のままの事態で放置いたしますならば、先ほど来縷々御質問がございましたように、非常に心配が残ると思いますが、これを積極的に造植林の方面も農林省のほうにお願いし、それから又消費の合理化のほうにいたしましても、これは各省に亘る問題と思いますが、それを積極的にやり得れば何とか切り抜けて行けるのではないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/43
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044・カニエ邦彦
○カニエ邦彦君 それでは、まあ我々は何とか行けるのじやないかというようなそんなことで了承して、重要な我が国の森林資源をそのままに考えて置くということはできないので、そこで今申されましたような案が通産省にあれば、具体的に、ただ何とかという言葉でなくして、何を幾ら節減することにおいてどういう結果になり、どの点でどうすればどれだけのものが増産ができるという具体的な一つ自信のほどを資料にして、のちほどお出し願つたら結構だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/44
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045・竹下豐次
○竹下豐次君 鈴木さんにお尋ねしたいのですが、先ほど御説明のうちにあつたかと思いましたけれども、重ねて御質問を申上げます。現行法によりますというと、審議会というものと出版用紙割当局と二つが確り合体して一つのものとなつて事務をとつておられるようでありますが、これが今度の改正案によりますと、事務は大体事務局のほうでやり、一般的のことを審議会に諮問されるということになるのですね。それでこれは従来の経験によつて何かそうしないと都合が悪いという実績が挙つておるのだろうと思つておりますが、この点を少し詳しく御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/45
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046・鈴木政勝
○政府委員(鈴木政勝君) この点につきましては先ほども御説明いたしましたように、新聞出版用紙割当審議会のみについてこういう措置をとつたわけではないのでございまして、政府の審議会全般につきまして、つまり決定権を持つた審議会については余りに政府の行政権に拘束を加えるというような点につきまして、若干の改革を加えまして全般的に審議会そのものについてこういう改正をしたわけであります。用紙割当審議会について何か問題があつてしたというわけでは決してございません。結局問題は五条と六条の問題でございまして、現行法によりますれば、六条は所管大臣が、内閣総理大臣は割当に関して、審議会の決定に従わなければならない、こういうかなり強い何と申しますか、法律上の権限を審議会は持つておる。併し今回の改正によりますれば、必ずしもそれに拘束されないという建前になつたわけでありますが、併し私どもは運用といたしましては、結局これは法律上の問題ではなくて、審議会というものに従来通り新聞部会、出版部会というものがありまして、民間の業界からも委員が選出される。従つて一般的な方針、基準というものについて諮問をする、その答申に従つて政府が割当を決定する。従つて実態においてはそう著しい違いといいますか、そういうものは私はあり得ないというふうに観察いたしております。それから特に当初終戦後、新らしい新聞ができたり、新聞の割当自体が非常に問題であつた当時は、いろいろ問題があつたと存じますが、現在の状態から申しますと、実はもう新聞というようなものは新らしくできるという余地が殆んどない。新聞の経営自体が自由競争が激しくなりまして新規申請というものが殆んどなくなつておるような状態でもございますので、むしろ問題は今度の改正によりまする一般的な方針とか基準というようなものに割当の大体の重点というものが置かれているのじやないか。それから先ほど来いろいろ御質疑がありましたような、むしろ紙の生産とか価格という、そういつた大きな問題のほうが、むしろこの新聞出版用紙の割当という問題としては、取上げて行くような問題ではないかと思われますので、今度の改正はむしろ一般的な審議会の制度の改正に従つてこういう措置をとつたというふうに私どもは考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/46
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047・竹下豐次
○竹下豐次君 この改正案の第五条ですが、「新聞出版用紙の割当に関する一般的な事項について審議する。」という言葉がありますね。「内閣総理大臣の諮問に応じて、新聞出版用紙の割当に関する一般的な事項について審議する。」、この「一般的な事項」というのは何を睨んでおられたのか。今ちよつと出たのでありましたが、どのくらい生産したらいいのかという問題もあると思いましたが、そのほかのこの内容を、これは具体的にはつきりおつしやることはできないだろうと思いますが、大体睨んでおられる「一般的な事項」はどんなことを諮問されるというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/47
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048・鈴木政勝
○政府委員(鈴木政勝君) これは具体的に御説明申上げますと、例えば「一般的な事項」と申しますと、最近まあ問題になつておりますものに一段日刊新聞の四ページ建の回数を一体やるべきかやるべきでないか。或いは新らしく新聞を認める場合にはどういう部類の新聞に認めるべきであるとか。そういつたような問題が一般的な事項であつて、そういつたような一般的な方針、基準に基いて具体的に新聞社から割当の申請が参ります。何々新聞から幾らくれとか、こういう個々の割当をするということはもう今度の新らしい改正ではできない、かように考えておるわけでございます。従つてその先ほど申上げました用紙の生産量とか、そういう問題はこの用紙割当審議会としては従来もそうでございましたが、今後も何ら職務の権限にはないわけでございます。これは建前から申しますと、経済安定本部が全体に用紙の割当といいますか、枠を、つまり新聞出版部門に幾ら今期割当る、教科書には幾らというふうな大きな総枠は安定本部できめまして、そうして私どものほうにこの枠を持つて来るわけです。その枠内で新聞出版用紙にどういうふうに配給するか、こういうことを審議するわけであります。従いまして一般的な事項と申しましても、そういう意味の総枠がきまつた、その枠の中の一般的な事項と、かように解釈いたしております。ただその第二項に「前項に規定する事項に関し、内閣総理大臣及び関係各大臣に建議することができる。」、こういう条文を新らしく入れたわけでありますが、この第二項はむしろ多少生産とかそういうつまり総枠の問題につきまして、割当ということに関連して関係各大臣に建議ができるというふうに私ども解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/48
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049・竹下豐次
○竹下豐次君 この昭和二十六年三月の末で切れる、この前からいろいろ統制撤廃の問題についてはやかましかつたのですね。まあいろいろの問題もあつたでしようが、地方新聞などの小さい新聞と大新聞との対立が、或いはもうちよつと具体的に言うと、やはり統制を撤廃すれば大きな新聞が買占めちやつて、田舎の新聞は総潰れになつて潰れちやうだろうという必配がかなり強かつたと思います。又残して、撤廃はこの際されないのですか。まあ割当の問題もやはり同じような心配が伴うわけであつて、私地方新聞を自分でやつておるわけではありませんが、この頃詳しいことは少しも聞いておりませんけれども、一応懸念されることは、やはり余り簡単に行けるというようなことになるとどんなことになるかわからん。小さな新聞社はすることができない。こういうふうに想像されるのであります。大新聞はもとより大事でありますけれども、地方新聞には又地方新聞の特徴もありまして、これもなくてはならないわけでありますから、これも同時に困らないようにしなければならんことは当然なことであると思うのであります。その点もらすつかりこういうふうにお改めになりましても、地方新聞のほうから見る心配の事項というものは残さないでスムースに行ける確信があるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/49
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050・鈴木政勝
○政府委員(鈴木政勝君) 大新聞と小新聞の問題は従来からこの統制撤廃という問題をめぐりましてかなりデリケートな関係にあつたわけでありまして、私ども政府当局といたしましては、この用紙割当制度の運用によつていわゆる新聞政策というものを実はやつておるわけではないのでありまして、特に小新聞に有利にするような政策というものは、実は憲法の建前からもできませんし、飽くまで小新聞、中小紙といえども需要のあるもの、いいものには紙をやるといろ建前が本則になるべきであります。ただ統制撤廃という問題に関連しましては、用紙が多少でも不足するのじやないかというような状況の下に撤廃すると、小新聞に非常に強くその影響が響くというようなことは私ども十分考えまして、この統制撤廃という点につきましては中小紙に余りに不合理な結果にならないような考慮は十分従来もいたしておりますし、今後もいたすつもりでおります。今度の改正につきましては何らその点は従来と変りませんし、特に中小紙に今度の改正が辛くなるとかいう点は勿論ございません。御承知の通り最近新聞界は自由競争が非常に激しくなりまして、むしろこの用紙統制ということがあるために中小紙が有利だということは必ずしも言えない状況が実態ではないか。特に新聞経営という面から見ますると、例えば新聞の広告収入というような面から見ましても、新聞広告が大新聞に非常に集中して来てしまいまして、小新聞には広告が集まらないとか、それからいわゆる統制外の紙によつて大きな新聞が相当部数を伸ばして地方に進出して行つている。こういつたことから地方の新聞は相当部数が落ちて来るといつたようないろいろな自由競争が大分進行しておりますので、そういう面のむしろ圧迫が強く出て、むしろ用紙統制ということはもう余り中小新聞にとつてこの制度を残すことにさほどの価値といいますか、楯になるという点は従来ほどのあれはなくなつているのではないかというふうに考えます。併しやはり用紙統制があることによつて或る程度の中小紙が大新聞の攻勢の防壁になるということは十分これは認められるわけでありますが、併し私ども先ほど申上げましたように、そのために用紙統制で行くという立場はとりにくいということを申上げざるを得ないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/50
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051・竹下豐次
○竹下豐次君 統制撤廃の問題について、地方の新聞などが反対しておつたのでありますけれども、これは今お話のような見方もあるだろうと思います。併しあれほど強く反対をしておつたという事実から見れば、とにかく経済的に立つて行かなければならない新聞社の人たちが、あんなに強く反対をしておつた事実を見れば、どうしてもやはり今あなたのおつしやつたように、簡単に片付けるわけには行かないのでありまして、相当にやはり撤廃されたら困る事情があるのではないかと私は今のところ想像するのであります。併しこの後一年延ばされて、一年後にどうなつて行くかということは、今のところちよつと想像がつかない問題でありますが、この問題はそれでいいのですか。従来はどの新聞社に幾ら割当てるということもこの審議会でやつていたのではないですか。議に付せられておつたのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/51
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052・鈴木政勝
○政府委員(鈴木政勝君) これは毎月割当証明書、つまり割当切符というものが新聞社に交付されるわけで、従つて毎月どの新聞社に幾ら紙をやるということを建前としては決定いたして来たわけです。ただすでに割当を決定しておる新聞社については変動のない限り、機械的にしておりますので、特別な審議ということは省略をいたしておりますけれども、建前としては月々に各新聞社ごとに割当をきめて切符を発行しておる。こういう形をとつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/52
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053・竹下豐次
○竹下豐次君 そうすると、今度はその手続は規則の上でも要らなくなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/53
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054・鈴木政勝
○政府委員(鈴木政勝君) そういうことはありません。従来と変りはございません。ただ審議会が法律上の最終的の決定権を持たなくなつたというだけのことでございまして、私どもとしては依然として審議会にも法律に書いてあります一般的な方針は勿論、個々の場合も十分御意見を内々伺いながらやつて行きたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/54
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055・竹下豐次
○竹下豐次君 私のお尋ねしたいのは、ただこの新聞の問題に限らず、何でも小さいものは力が弱い、力のある者が、極く端的に言うならば、うまいことをするのじやないかという懸念を持合わせておつたのであります。そうした考えが今後この地方新聞に残つて行くものとするならば、これは一つ御考慮を要する問題じやないかと思うのであります。それがもう全くありませんで、スムースに行くのだということだつたら、それでいいわけであります。
それから一般的に云々という言葉が使つてありますので、何だか割当の量までもきめるというようなことは一般的なことじやないのです。小さいことだ、そんなことは諮問しないでもいいのだということで、もう諮問されるということはおやめになるようなきつかけが、この言葉でできるのじやないかという懸念をまあしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/55
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056・鈴木政勝
○政府委員(鈴木政勝君) その点につきましては、十分運用上、まあ新聞、出版という特殊な問題でもございますし、十分御趣旨のように運用して行きたいと、特に先ほど来お話のございましたような、中小新聞の、現在非常に苦しみ続けておるということは重々私ども存じておりますので、そういう点も十分考慮いたしましてよく運用して行きたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/56
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057・竹下豐次
○竹下豐次君 これは一つの希望でありますが、この機会に、今まで申上げましたところは、如何にも私は地方新聞の小さい新聞に力を入れておるように申しましたけれども、弱小新聞でないほうがいいものがたくさんあります。それは別に考えて頂かなければならんと思つております。そういうものは、私などは、民主主義の思想に反するとか何とかという御意見があるかも知れませんが、くだらない新聞は成るべくないほうがいいと思つて、これは御参考のために申上げて置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/57
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058・カニエ邦彦
○カニエ邦彦君 只今の竹下君の質問でもあつた、中小新聞が統制撤廃によつて不利益になるという議論は、これはまあ一応このままにして置いて、これが不利益になろうが利益になろうが別として、政府が表看板に掲げて来ておるところの統制撤廃をして自由にやるんだ、この大方針がどういう基礎の上に立てられたか、通産、農林の専門家から我々が聞きましても、我が国の資源の上から見て、とても消費を満足せしめるところのものがないという現状であるということは、これははつきりして参つたのでありますが、こういうものに対する具体的な措置が政府としてはつきりとなされずして、そうしてただその統制撤廃をして、そうして理想に向つて行くんだということだけでは我々は納得できないと思うのであります。で、そういう大方針を、看板をかけて進む限りにおいては、何かの根拠がなければならんと思うのですが、統制撤廃に対するところの具体的な根拠について、こうすればできるのだということが、御自信があれば承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/58
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059・鈴木政勝
○政府委員(鈴木政勝君) これは先ほど来申上げておりますように、まだ極めて抽象的なことしか申上げられないわけなんでございまして、統制を撤廃したいという政府の意思は従来から変つていない、ただ御指摘のような需給関係、つまり紙の需給関係、特に原木、パルプの関係等も十分考慮いたしまして、あらゆる角度から合理な妥当な結論が出ました暁に撤廃するこういつたような方針でございまして、まだ時期的にそれじやいつそういう状態になるのかという点につきましては、勿論最終的な結論には到達していないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/59
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060・カニエ邦彦
○カニエ邦彦君 最終的にはそういうところには達していないとおつしやるのですが、この法律案によりますと、差づめ一年間ということを謳つているのですが、一年経てばはつきり見通しが立つと、統制撤廃をやつて行けるというような見通しが立つというような御自信があるのですか。私は今、農林、商工の両省のかたから聞きましたことから考えて見まするなれば、とてもまだ一年や二年、三年や四年では我が国の用紙の統制を撤廃するような段階には至らないのじやないかと、こう私は考えているわけですが、政府においては一年経てばこれができるという自信のほどを一つ聞かして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/60
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061・鈴木政勝
○政府委員(鈴木政勝君) この一年の有効期限の問題ですが、この法律ができました当初から、これはつまり言論機関に関係する特殊な立法であるので、無期限にするより毎通常国会に少くとも法律案というような形で御審議願つて更新して行くと、こういつたことが一番妥当であるという意味において、一年限りの法律ということで実は継続しているように私従来から承わりもし、現在もそういう解釈で行つているわけでございます。従つて一年内に撤廃できるかどうかという問題は、先ほど来いろいろ通産省、農林省関係のかたがたの御説明にもありましたように、何ら懸念がないということが政府部内ではつきりいたしました暁にはこれは撤廃する。来年の三月末を待たずしても撤廃できるのじやないか。或いはその結論が出なければまだ或いは延びるかも知れません。その暁には来年の通常国会に又この法律案の延長の改正をすると、かように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/61
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062・カニエ邦彦
○カニエ邦彦君 こういうような事情から考えて見まして、一年間といいますと、又来年も今時分又一年間というようなことにお出しになるに殆んど私はきまつているのじやないかと、こう思うのですが、そうであればここで当分の間ということにして置いたほうがいいのじやないかと、こう思うのですが、その点は、そういう工合に国会が当分の間ということにするということについては、政府としては支障がないのですか、どういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/62
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063・鈴木政勝
○政府委員(鈴木政勝君) いろいろ細かい法律論の問題になるわけでございますけれども、大体現在の新聞出版用紙割当統制というその法律的な一つの根拠と申しますか、それからお話申上げませんと御了解願えないと思うのでありますが、この新聞出版用紙割当に関する法律というものは、現在の用紙の割当統制にどういう根拠になつておるかという点でございます。実は現在の用紙割当統制の根本の根拠法というものは、臨時物資需給調整法に実はあるわけなのです。臨時物資需給調整法に基いて指定生産資材割当規則というものがございまして、その別表に現在統制しております新聞用紙印刷三十五、六号許可用紙サルフアイド・パルプと、まあこういつたような関係の統制用紙が上つておる。従つてこの用紙割当に関する法律は、そういつた物資需給調整法に基いて切符を出す場合に言論機関というような特殊な、非常に内容のむずかしい慎重を期さなきやならないという建前から特別に法律を出して切符を出す場合には、こういうふうな基準でこういうふうに慎重に民間の意見も加えて慎重にやらなきやいかんという、いわゆる切符を出す場合の基準とか方法、手続というものを定めたのがこの用紙割当に関する法律であるというふうに私どもはまあ政府では解釈いたしておる。従つてこの統制を撤廃するという法律的な手続といたしましては、先ずこの臨時物資需給調整法に基く指定生産資材割当規則の別表からその紙なら紙という、新聞用紙というものを削除する。これは省令に出ておるわけなんですが、削除する。そうすればこの統制というものは撤廃される、仮にそうなつた場合には、この用紙割当に関する法律はどういうふうになるかというと、一応機能停止の状態に置かれるというふうに私ども政府の解釈としてはとつておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/63
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064・カニエ邦彦
○カニエ邦彦君 そこで先ほど竹下委員から質問がありました点でありますが、本審議会の性格が、今までは相当強い決定権を持つたものが、今度は単なる諮問機関になるそうすると割当に対する決定権というものは、今度は行政官庁が持つということになつて来るのでありますが、そういうことになり得れば、別にもろ何というか、形だけの諮問機関のようなこの審議会を置かなくても、もうそれは行政官庁のほうでおやりになつて、そうしてただその諮問的なものはいずれ任意団体が、用紙にしても、印刷のほうにしても、新聞のほうにしてもあるのでありますから、それらのものを呼んで適当に一つ諮問をすると、法律で規定せなくとも、そしてそれらの意見を民主的に運営の面で一つよくつかんでおやりになるということであればそのほうがいいんじやないか。実は我々はでき得る限りこういつた審議会とかそういつたその種類の複雑なものを廃して、そうして行政を簡素化し、能率化して行くということのほうが望ましいんじやないかという、まあ委員会はずつとそういう考え方で進んで来ておるのですから、そういうようなことにされるほうが却つていいんじやないか。ただこの際これを残されるということは、今までそういろ強いものがあつたものを一挙になくしてしまうということは、どうも他の方面の考え方も非常に風当りが強くなるから、だから先ず第一段階としては、そういう強い決定権を諮問機関に残して、そうして徐々にやろうというお考えのように想像されるのでありますが、そういつたような手数なことをされなくとも、はつきりとここでもう用紙割当の審議会をなくして、そうして行政官庁において適当にやると、こういう方針にされるほうがいいと思うのですが、その点についてはお考えはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/64
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065・鈴木政勝
○政府委員(鈴木政勝君) その点につきましては、まあこれは見解の相違ということになると思いますけれども、任意に私ども関係当局が、民間の意見を徴すると申しましても、いろいろ或いは見方によりますと、まあ偏頗な意見の聞き方をするとか、いろいろな実は問題が起きると思うのでございます。これは鍋釜を配給するのと違いまして、いやしくも言論機関の関係者に対する問題でもございますし、やはりはつきりとした意見を徴するなら徴するような、はつきりとした制度を作らないとできない。それから又民間の意見を聞く分野につきましても、実は現行法におきましてもこれは審議会令と政令できまつておるのですが、大新聞、中新聞、地方紙、週間紙というような、つまりいろいろな分野を分けまして、その方面から公平に業界の意見を代表するような人をつまりまあ選ぶような制度になつておるわけです。従つて御説のようにすることもまあ一つの方法でございますけれども、やはりそうしたほうがこの仕事の性質上政府としてはベターであるというふうに解釈いたします。それからなお只今の点につきましては、これは根本的な問題ですが、終戦のときの一九四五年の十月二十六日付の連合軍最高司令官から日本政府宛の正式なメモランダムによりまして、そういつた組織、審議会を作つて、民間の業界の人を入れて新聞出版用紙の割当をやれという指令が実は今日でも生きておるということによりまして、この審議会を廃止するということは不可能な状態でございますので、その点申上げて置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/65
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066・カニエ邦彦
○カニエ邦彦君 もう一点ちよつと、そうしますとやはりこういうものを修正するということのほうが間違つておるので、やはり強いものであつても現状のままの委員会をやはり置いておくということのほうが適当でないか、こう思う。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/66
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067・鈴木政勝
○政府委員(鈴木政勝君) これは先ほど来、再三申上げておりますように、審議会全体としての扱い方の問題から、余りに強い決定権を持つたものにつきまして、諮問機関という程度の改組をすることは、勿論全般的な方針をきめたわけです。これに従いまして用紙審議会もそういう改組をいたしたわけであります。ただ用紙割当審議会というような特殊性から、むしろそういう決定権を持つたほうがいいといろ意見も実はあり得ると私は思うのでございますが、ただ何と申しますか政府部内の審議会のうちでは、恐らくこの用紙割当審議会が最も強い決定機を持ち、業界との関係も非常に強く何と申しますか、代表されておる。こういつたようなことになつております。従いまして現状においては少くともこの程度、いわゆる諮問機関というふうな法律上建前にいたしまして、なおあとは運用によつてやつて行くほうがむしろ実情に合致すると、かようにまあ考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/67
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068・竹下豐次
○竹下豐次君 先の問題、ちよつと又疑問が起りました。先ほどの御説明で今後の新聞出版物に要する用紙割当は従来通りやはりこの審議会に諮問をするのだというように承わりましたが、実際の問題としては現行法の第六条に「左に掲げる事項については必ず審議会の議に附しその議決に従つて決定しなければならない」として、一番おしまいのほうに「個々の新聞及び出版物に対する用紙の割当」という文字がはつきり書いてある。これを殊更に区別して五条と六条に改められた、「一般的な事項について」という言葉で包括されたというところに何だか不安が残るような気がしますが大丈夫なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/68
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069・鈴木政勝
○政府委員(鈴木政勝君) その点につきましては法律的にはそういうことはできない、つまり個別の審議はできないという今度建前になるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/69
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070・竹下豐次
○竹下豐次君 諮問されれば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/70
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071・鈴木政勝
○政府委員(鈴木政勝君) 諮問自体も個々の新聞の割当につきましては諮問してはいけないということにまあ反面的になるわけでございます。審議会に諮問する事項は一般的なものに限る。そうして政府は必ず諮問しなければならないという事項は新聞出版割当に関する一般的な方針と基準に関しては必ず諮問しなければいかん。従つて個別的な、どの新聞に幾らやるとかいうことは法律上は今度の改正によりますとできないことになるわけです。併し左がらこの判断というものは非常にまあむずかしい問題も多々起き得るのでございます。従つて私が先ほど申上げましたのは、そういつた法律上の建前に違反しない限度において、よく委員のかたなり、民間の業界のかたなりの意見を十分聽取して、恐らく従来と変りのないような結果が起るような運営のいたしかたをいたして行きたいということを申上げたわけでございます。まあその点、いや信用ができないとおつしやれば、まあそれまでの話でございますが、いやしくも審議会というものが諮問、たとえ諮問機関であろうと存置される以上、これは法律問題は別といたしまして、政治的には審議会がきめたものに反することを政府がするということはこれは殆んどあり得ないことでございますし、又実情において新聞出版用紙割当の仕事というものはそれほど個別的な審査という段階を離れて、かなり大きな一つの基準とか方針という問題のほうがむしろ問題であるという実態から見て、御懸念の点は、決して御懸念になる必要はないと私はこう考えるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/71
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072・竹下豐次
○竹下豐次君 あなたはそうおつしやいますからあなたを疑うわけではございませんが、これは人によつていろいろやり方が違うものですから、そこでやはり不安が残ります。そして又役所の立場としても法律で以ていけないということにきまつておるのを、裏から妙なことをしてお聞きになるということはこれはよろしくない。そのお答えはどうかと思いますが、まあそれはそれにして、それに対する御答弁を要求するわけではございませんけれども、私はそういうふうなやり方は役所としては慎まなければならないことだと思います。でここに五条にはつきり「一般的な事項について」と書いてありまするので、今のようなお考えで運営されると、自縄自縛でお困りになるんじやないかとも思いまするので、一般的な事項についての本質的な、特に必要な事項というような言葉でも入りますれば今お話のような気持で運営されるのに大変都合がいいんじやないかとも考えますが、そんな言葉を使つて今修正案を作つて出すわけではございませんが、何か御都合の悪いことでもありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/72
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073・鈴木政勝
○政府委員(鈴木政勝君) これは一般的の審議会の職務権限に関する方針からいたしまして、ちよつとこれ以上法律上の表現としてはいたしかねると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/73
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074・竹下豐次
○竹下豐次君 それはほかのいろいろな審議会のものとの釣合い……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/74
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075・鈴木政勝
○政府委員(鈴木政勝君) 特に例外を設けるというような規定はいたしかねるという意味です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/75
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076・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 如何でしようか、まだ御質疑が残つておるようですが、ここで休憩いたしまして、二時から再開したいと思いますが御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/76
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077・河井彌八
○委員長(河井彌八君) それでは二時まで休憩いたします。
午後零時四十五分休憩
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午後二時四十四分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/77
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078・河井彌八
○委員長(河井彌八君) では午前に引続いて内閣委員会を開会いたします。
今度は都合によりまして経済安定本部設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、これを議題といたします。すでに前回提案の理由につきましては説明を伺つたのでありますが、なおその内容につきまして政府から詳しく説明を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/78
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079・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 物価庁の機構は、一応昭和二十六年四月一日から経済安定本部の内局に編成替えをいたすことになつておるのでありますが、次に申述べまするような理由によりまして、従来通り外局として存置することといたしたいのが、本法律案の骨子でございます。
その理由を申述べますると、昭和二十四年度にドツジ・ラインを実施しまして以来、価格統制は漸次これを解除いたしまして、現在は主要食糧である米、麦及びその加工品、砂糖、塩、国民衣料たる綿花及び綿製品、重要生産資材たる銑鉄、屑鉄、石油、又公益的な見地からいたしまして電力、ガス、水道等の料金、国鉄及び海上運賃、又財政上の点から存置することを必要といたしますたばこ、貴金属、酒等の重要な品目につきまして価格統制を行つておるのでありますが、これらはいずれも国民経済生活上極めて重要であり、その統制については万遺漏なきを期して参る必要があるのであります。
次に安定計画の実施以来、逐次大幅に統制の撤廃を行なつて参つたのでありますが、最近の内外の物価情勢の推移に鑑みまするに、すでに価格統制を撤廃いたしました物資につきましても、常時その動向を注視し、異常な値上りを示します物資については、即刻必要な手を打つて参らなければ相ならん状態にあると思うのであります。例えば最近におきまする生糸の基準価格の設定のごとき、或いは昨年行いました人絹糸、スフ及び梳毛糸について基準価格又は勧告価格を設定いたしましたように、有事即応の態勢を必要とする物価情勢にあるのであります。
右のような必要な措置をいたしますためには、過去及び現在におきまする物価、賃金、生計費、その他の関連いたしました経済指標を常時調査分析することが極めて必要なのであります、現在でも物価庁で、例えば一つの課の例をとつて申しますると資材課というような課があります。その課で扱つておりまする統制は極めて僅かなのでありまするが、むしろ糸並びに生糸、並びに木材の価格をトレースして参るというようなことに重点があるというふうでありまして、従いまして物価庁の事務の内容と申しまするものは、価格統制という面よりもむしろ価格の動向、経済、生産全体との調和という点に特に注目をして参らなければならんと思うのであります。さように考えますると、物価対策の企画立案でありまするとか、関係官庁はもとよりでありまするが、民間の業界等の折衝につきまして、物価事務について統一を保ち、又機密、迅速を旨といたしまするためには、従来の通り外局の組織を置いておきますることが適当と存ずるのであります。併しながら今後の物価の推移、又行政機構全般の改変等の問題とも考え合せまして一年以内の間従来通り外局といたして存置するということで法律を立案いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/79
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080・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 今日はこの程度において委員会の審議をとどめようと思います。御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/80
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081・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。それでは今日はこれで散会いたします。
午後二時四十九分散会
出席者は左の通り。
委員長 河井 彌八君
理事
楠瀬 常猪君
委員
郡 祐一君
松平 勇雄君
横尾 龍君
カニエ邦彦君
竹下 豐次君
林屋亀次郎君
政府委員
総理府新聞出版
用紙割当局長 鈴木 政勝君
行政管理政務次
官 城 義臣君
行政管理庁次長 大野木克彦君
経済安定政務次
官 小峯 柳多君
物価政務次官 郡 祐一君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
常任委員会専門
員 藤田 友作君
説明員
林野庁林産課勤
務 内藤 旭君
通商産業省通商
雑貨局紙業課長 武内 謙二君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014889X01019510313/81
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