1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月六日(火曜日)
午後一時四十二分開会
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本日の会議に付した事件
○農業災害補償法第十二條第二項の規
定の適用を除外する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
○農林漁業資金融通法案(内閣送付)
○派遣議員の報告
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/0
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001・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それではこれより農林委員会を開きます。
本日は農業災害補償法第十二條第三項の規定の適用を除外する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。なお本法律案については、先日の当委員会で大体質疑は終つたものと考えられますので、本日採決するようお諮りして御了承を得たわけでありますが、なお、この機会に御発言がございましたらお願いいたします。……それでは別段御発言もないようでありますから、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/1
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002・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/2
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003・岡村文四郎
○岡村文四郎君 今上提されております農業災害補償法第十二條第三項の規定の適用を除外する法律の一部を改正する法律案を決定いたしますことに賛成いたしますが、前からも申上げておりますように、これは毎年のようにこういう法律を出すようになることはいかんのであつて、もう削除すべき時期に来ていると思いますから、これを又一年後にこういう法律を出さないように処理してもらいますということと、今論議の的になつております地方の連合会の不足金の問題でありますが、これも法の不備のためにかような二十億余りの不足金が出るようなわけでありまするから、これも早急に、政府ができる限り早い機会にこれを改正して、又こういうことを繰返すことのないようにしてもらいますことを申上げまして、この案に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/3
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004・羽生三七
○委員長(羽生三七君) ほかに御発言もないようでありますので、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/4
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005・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それでは御異議がないものと認めて採決をいたします。農業災害補償法第十二條第三項の規定の適用を除外する法律の一部を改正する法律案に原案通り賛成のかたの御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/5
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006・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 全会一致でございます。よつて本法案は原案通り可決することに決定いたしました。なお先例によつて諸般の手続は委員長において然るべく取計らいますことに御一任をお願いいたします。なお順次御署名をお願いいたします。
多数意見者署名
江田 三郎 赤澤 與仁
岡村文四郎 三浦 辰雄
三橋八次郎 溝口 三郎
瀧井治三郎 白波瀬米吉
宮本 邦彦 平沼彌太郎
飯島連次郎 小林 孝平
鈴木 強平 池田宇右衞門
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/6
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007・羽生三七
○委員長(羽生三七君) ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/7
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008・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 速記を始めて。それでは引続き農林漁業資金融通法案の提案理由を政府からして頂きたいと思います。なおこれは予備付託でありますので、御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/8
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009・島村軍次
○政府委員(島村軍次君) 只今議題となりました農林漁業資金融通法案提出の理由を御説明申上げます。
最近における国際情勢の推移を見まするに、食糧の自給態勢を確立し国民生活の安定を図るために、緊急の施策を講ずる必要があると考える次第であります。而して農林漁業の生産力の増進を現在以上に図りますためには、土地改良、造林、漁港修築等の固定的生産設備の改修に対し公共事業費による助成を図りますほかに、これらの目的に対しまして別途長期且つ低利の資金を融通する制度を確立する必要があります。かかる意味におきまして、今回政府におきましては、一般会計及び米国対日援助見返資金特別会計から六十億円の資金を得まして、これを農林漁業者に融通することを適当と考えますので、この法律案を提出した次第であります。
その内容の概略を御説明申上げますと、政府は、農業、林業、漁業若しくは塩業を営む者又はこれらの者の組織する法人に対し、毎年度予算の範囲内におきまして、土地改良、造林、林道の開発、漁港の修築、塩田の改良、共同利用施設等に必要な資金を貸付けることができることとしております。そして、その貸付金の利率は、融資の対象となる事業ごとに最高及び最低の率を定め、その範囲内で具体的に政令で定めることになつておりますが、いずれも事業の採算性により極力低利となるよう考慮した次第であります。なお一方貸付の資金として資金運用部からの借入も予定いたしておりますので、その借入金の返済及び委託金融機関の手数料等も含めて貸出利率を決定しなければならないわけであります。償還期限は最高二十年で業種別に主務大臣が定めることとなつております。又、この貸付の実務は、農林中央金庫その他主務大臣の指定する金融機関に委託することになつておりますが、政府の基本施策に沿つて所期の効果を十分に挙げ得るよう指導いたす所存であります。その他、貸付の條件といたしまして、割賦償還の方法によると共に、担保をとることを原則といたしておりますが、災害その他特別の事情がある場合には、貸付の條件を緩和することができることとして、借受人の立場も十分考えている次第であります。
何とぞ、御審議の上、速かに御賛成あらんことを御願い申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/9
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010・羽生三七
○委員長(羽生三七君) この法律案に関しての資料がまだ手許に揃つておりませんので、誠に遺憾でありますが、この際塩見官房長、それから富谷農林金融課長も出ておられますので、口頭でこの問題に関する御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/10
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011・富谷彰介
○政府委員(富谷彰介君) それでは資料は追つてお手許に差上げることといたしまして、大体の融資の計画、それから法律の内容につきまして御説明を申上げます。
この融資の対象として考えておりますものは、法律の第一條で言つておりますように、農林漁業の生産力の維持と、更に将来の増進を目的といたしまして、農林漁業を営む者及びこれらの者の組織しております法人に対しまして長期、且つ低利な資金を融通することを計画しております。然らばその融資対象はどういうものであるかと申しますと、第二條の一号乃至六号に出ておりますように、第一が農地の改良、造成又は復旧に必要な資金でございます。でこの場合の農地の中には、当然そこに植わつておる植物が桑でありましようとも、或いは柿でありましようとも、更には家畜の放牧のためにいたします放牧採草地でありましようとも、等しく第一号の農地の中に入つて参るというように考えております。第二号で考えております造林と申しますのは、これは幾ら土地の改良をいたしましても、樹木が伐採されつ放しになつて、ますます国土が荒廃するということでは困りますので、造林に必要な資金というものをここから融通して参りたい。第三号の林道も同様でございまして、里山ばかりが過大に伐採されることを防ぎまして、奥地の林道がこの融資によつて開発されるように、過伐、濫伐を防止いたしたいと考えておるわけであります。それから第四号の漁港の修築、復旧でございますが、これは漁港法によりまして、こういう復旧事業に対しましては補助金が出るのでございます。併しながら地元負担分を当然農民が醵出せねばならん、この金が現在の漁民の経済状況ではなかなか調達が困難なので、それに対する融資の途を考えたわけであります。それから第五号の塩田は、御承知のように塩の需給が非常に逼迫しておりまして、国内産のみでは我々の食用塩を賄うにも足りないという状況でございますので、塩の増産のために塩田の改良についても融資の途を図りたい。それから第六号の農林漁業者の共同利用施設でございますが、これは農業政策上必要と考えられますような共同施設、例えば小型水力発電でございますとか、その他いろいろの共同施設に対しましてこれの設備或いは復旧、そういうものに対する必要な資金を貸出したいというふうに考えております。
第三條で貸付の條件をきめておりますが、貸出の金利はこれはそれぞれ各業種が負担し得る最高限度でございます。例を農地にとつて申しますと、土地改良を行いますと、当然これによつて生産物の増收が得られるわけであります。その総收量のうちから必要経費を取去りました残り、つまり農家の余剰と申しますか、農家の余剰を償還財源とみなしまして、これによりまして必要経費の償還をいたす。そういたしますと機械的に利率が何ぼの場合には、何年で償還ができるということが計算上出て参ります。そういうことで貸出利率を検討いたしたわけでございます。更にもう一点附加えて申上げますと、ここにございますいろいろな貸出利率の総平均は六分一厘強になります。この六分一厘強がこの特別会計の收入となるわけでございます。一方特別会計の支出といたしましては、後ほど申上げまするが、この融資実務はすべて既存の金融機関にお願いいたしますので、その既存の金融機関に対しまする支払手数料、これを最高三分と考えております。更にそのほかにこの特別会計は、預金部資金からの資金の借入を計画いたしております。その借入の最高限度は、特別会計法によりまして資本金と同額ということになつております。従いまして、この特別会計の資本金は予算書で示しております通り六十億でございますので、六十億を借入れる場合、預金部資金に対しまして年利六分の利子を支払うことになつておりますので、丁度百二十億の資本に対しまして六十億の六分を支払いますから、平均いたしますと三分となります。そこで金融機関に対する支払手数料の三分と預金部資金に対する支払利息の三分を合計いたしました六分、それから更に特別会計自身の事務費、これは極く僅かでございますが、これを加えました六分何がしというものが支出になります。従いまして収入財源としては、ここにあります利率によつて六分一厘強の収入を挙げ、支出といたしましては、只今申上げたような支出を予定いたしておるわけでございます。それから据置き期間は、各事業の工事の竣功するまでの最大限を見込んでおります。従いまして、土地改良事業で公共事業費の補助があるようなものは、継続事業がいろいろございますので、その最長をとりまして五年、そういうふうにきめたわけでございます。利率はここに最高と最低と両方規定してございますが、これは大体予想され得る将来における金利の異動、変動ということを考えまして、一分見当の幅を持たしておけば金利水準の変動に対応博きるであろうという考えでございます。具体的には、この中ほどで政令できめて参りたいと考えております。それから償還期限と据置き期間は主務大臣がきめることになつておりますが、これは個々の貸出につきまして、一つ一つ個別的なケースによつて据置き期間を何年償還期限を何年というふうにきめることにいたしております。
同じく第三條の二項で事業の融資総額を規定しておりまするが、これは或る事業にかかりまする総費用の中から、国の補助金が出ます事業は国の補助金を差引きました残りの八割、国の補助金の出ないものにつきましては全事業費の八割を、それぞれ最高限として融資することにいたしております。それから償還方法は第三項に規定してございますが、割賦償還でございますので、元利を均等に償還いたします。利率はこれは申上げるまでもないと思いますが、単利計算になつております。但し据置き期間中は、利息だけを徴収いたしますが、元本の徴収はいたしません。それから第四項は、借受者側で遅滞があつた場合の制裁規定でございますが、一時償還の請求が政府としてできるような規定がございます。第五項は、政府が貸付を行います場合、担保を取ることを原則と考えておるわけであります。但し担保が取れないような場合、これは担保の提供を免除する考えでございます。ここで申上げます担保は、物的担保及び人的担保の双方を含んでおります。それから第六項では、借受人が災害を受けたとか、或いは又非常な不景気が来たというわけで、元利金の支払に困難するような場合が生じた場合には、政府は貸付條件の変更、又は支払方法の変更をいたします。この支払方法の変更の中には、第三條の冒頭に申上げました償還期限の延長、例えば土地改良事業の場合、十五年が更に二十年になるとか、そういうふうなことも含んでおります。但し貸付金の免除ということはこれはできませんことになつております。
第四條では、貸付を受けた者は貸付金をその目的に使うようにということを規定しておりまして、第二項で申しておりますことは、例えば土地改良事業について、工事の請負人に政府から紐付で金を支払つて融資することがあるというようなことになつておるわけであります。
それから第五條は、この特別会計が融資を行う実務は、すべて既存の金融機関に委託すると、法文上直接貸付の途が開かれておりまするが、政府といたしましては、僅かの職員しか持つておりませんし、又実際上信用調査その他の手続ができかねますので、すべて農林中央金庫その他の主務大臣が指定いたしまする機関が貸付に関する業務をいたす考えでございます。併しその貸付の最後の諾否に関しましては、特別会計がみずからいたすことといたします。それで金融機関と政府との間の業務の委託の取決めは、省令で定めることといたしております。現在ここで考えておりますことは、貸倒れが生じました場合には、その二割を受託金融機関に負担して頂く、残りの八割は特別会計で引受けるというつもりでおります。二割というリスクの負担をきめました理由は、全部特別会計でこれを負担いたしますと、金は成るほどスムースに出るかも知れませんけれども、金融機関側として信用調査その他がおろそかになりがちで、資金の償還も適正に確保できないということが考えられます。そこで他のいろいろなこういう政府資金の貸出の例を参考といたしまして、二割の負担を受託金融機関にやつて頂くというふうな考え方をいたしております。それからこれに対しましては、当然金融機関に手数料を支払うわけでございますが、先ほど申上げました通り、最高三分以内という手数料を支払うつもりでございます。第三項は、これは罰則の適用上、受託金融機関の職員は政府職員とみなされるという規定でございます。四項は、農林中央金庫に対しましては、農林中央金庫法という特別法で、法律に書いた業務しかできないことになつておりますので、この融通法によりまする政府業務の委託をできるような可能規定をこしらえたわけでございます。
第六條は、報告、検査に関する條文でございます。
第七條、八條も同様でございます。
肝腎の資金計画を本日お届けいたしませんで失礼いたしましたが、土地改良事業につきましては、総額六十億中三十九億円を土地改良事業に考えております。それから地方水力発電事業に対しましては二億四千万円、林業に関しましては、造林に対して六億九千万円、それから林道は五億二千万円、合計いたしまして十二穂一千万円となります。それから水産関係は、漁港と、北海道におきまする漁田開発、漁田開発と申しますると、千島、樺太からの引揚漁民のために新らしい漁村を建設する事業でありますが、これを含めまして合計三億二千万円、それから塩田に対しまして三億円、合計いたしまして六十億の融資計画を現在やつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/11
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012・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それからこの点も併せて御説明願いたいのですが、この貸付金の利率が対象によつて皆違うわけでありますが、どういう角度でこの差をつけられたのか、その点を併せて御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/12
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013・富谷彰介
○政府委員(富谷彰介君) この貸出利率は、それぞれ事業によりまして、挙りまする経済効果は違うわけであります。その経済効果を金に換算いたしまして、それを十五年以内に償還できるような方法で逆算いたしますと、利率が出て参るわけでございます。で例えば漁港のごときものは、これは漁港設備をよくすることによりまして、水産物の鮮度の維持ができます。その鮮度の向上によりまする経済効果を金に換算いたしまして、総事業費を今申上げましたその金で割るわけであります。その場合に十五年で償還するという目標できめますと、何分の場合には十五年、それが更に下がれば十四年とか、そういう表が出て参るわけであります。それぞれその負担し得る最高限というものを考えておるわけであります。最高限を考えました理由としては、先ほど申上げました通り、預金部資金からの借入れを考えておりますので、借入利息をペーし得るという限度のつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/13
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014・白波瀬米吉
○白波瀬米吉君 それではお伺いいたしますが、これは大臣じやないといかんのかも知れんが、折角こういう融資法ができたんですが、それに農業、林業、漁業、塩業とありますが、それ以外のこれに類したような業のものは一切これは適用されないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/14
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015・島村軍次
○政府委員(島村軍次君) 農地の改良の中には、勿論只今説明申上げました通り、桑園、牧野等を含んであるわけであります。それから恐らく白波瀬さんのお尋ねは、畜産及び養蚕等に関する問題ではないかと思うのでありまするが、この問題は、長期金融という建前をとりましたのは、まあ主として固定設備に関するものを主体に置いたわけであります。そこで固定設備の中では、最後に挙げておりまするように、共同利用施設というものも当然含むのであります。これらに関しましては、できるだけ枠を拡げまして、そうして各種の共同利用施設に及ぼしたいという考えを持つておりまするが、現在の六十億、二十億の政府資金と四十億の見返資金との範囲におきましては、困難な事情にあると思うのであります。そこで只今金融課長が説明を申上げましたように、預金部の資金を本特別会計の六十億と同額の六十億を前提といたして、本法律案を作つておるのであります。只今のところでは、その六十億に関する内訳の事業別を大体考えておるのでありますが、最後の共同利用施設につきましては、預金部の資金等の見合いにおきまして、これらの問題も併せて政令で定めるという予定で目下考慮をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/15
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016・白波瀬米吉
○白波瀬米吉君 それではお尋ねいたしますが、今のお話によると、その他も考慮するということですが、実はこの案の作られるときに、大臣は蚕糸も一緒にしたらという考えを持つておられたが、それは各金融業者の意見として蚕糸は別にしたいという意向のために、そういうふうになつたと聞いておりますが、それは私は蚕糸そのものの実体をよく認識されない考え方であるし、又農林省もそういうふうに考えておるのだと思うのですが、蚕糸と言えばいわゆる生糸を造ることだという観念で考えられると、そういう考え方になると思いますが、併し養蚕というものはこれはまさしく農業の一部であつて、蚕糸と言いましても、本当に製糸を見る蚕糸と養蚕を見る蚕糸とは非常に違う。そこで蚕糸はああいう危険な仕事であるし、又非常に厖大な資本が要るし、その資本の大部分は運転資本であるから、それでこれを入れないとかいうようなふうに、そういう経過があるというように聞いておりますけれども、養蚕というものはそういう考え方でなく考えてもらわなければいかんと思うのです。要するに、最近において数人の養蚕家が寄つて共同で稚蚕飼育場を作るとか、或いは多数の養蚕家が寄つて共同稚蚕桑園を作るというようなことは、これはもう当然私はこれの中で扱わるべきものだと思うのですが、今次官の話では、枠を拡げるとかいう話がありましたが、そういうふうに使われるということに考えて、それで差支えないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/16
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017・島村軍次
○政府委員(島村軍次君) 第二條の六号にありまする農林漁業者の共同利用に供する施設の造成、復旧、又は取得に必要な資金というのは、これは勿論法律の上に規定しておりますから、その中には当然それらの共同施設というものを含むのが前提であるということは、只今申上げた通りであります。ただ実際の資金が六十億の範囲におきまして……、経過的におきまして、最初二百億を考え、その後折衝の段階において百五十億の資金を予定して、関係方面との折衝、大藏省との折衝を進めたのでありますが、予算その他の関係で、先ず第一号から第五号に至る固定的な設備についての資金融通を第一の段階において行う。併しこれは説明を加えた通りに、預金部からの資金を得まして、農林漁業者の共同施設中には、お話のような共同加工場、或いは乾繭倉庫、稚蚕共同飼育の飼育場等の設備を含めるよう、政令で規定をいたすために、関係方面との折衝を進めておるのでありまして、現在の段階では、現実問題としてこの六十億の範囲では困難でありますが、この法律案と併行いたしまして六十億のプラスが行われる場合におきましては、勿論さような問題は当然考え得るのでありまして、おのずから段階のあるという前提で御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/17
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018・白波瀬米吉
○白波瀬米吉君 違わないといいのですが、実際において違うと困るのですが、大臣は曾つてこの問題に対して、この六十億は上半期だけに使つてもらつたら非常に結構だというようなことを言つておられたわけですが、それは農林省として今日の段階においては今質問した……要するにここには農業、林業、漁業、塩業とはつきり書いてありますが、養蚕というものは農業の範囲内であつて、今お尋ねしておる共同稚蚕飼育とか、或いは共同稚蚕桑園とか、或いは今半公共的な乾繭倉庫というものが認められておるが、これらの資金とか、つまり設備資金とかいうものに対してはこれはまあ一定の期間を過ぎれば使い得るのだと申して差支えないのですか、一般に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/18
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019・島村軍次
○政府委員(島村軍次君) 農業の範囲には勿論養蚕、畜産を含んでおることは、農林省の設置法等からも御承知の通りでありますし、普通の常識ではやはり当然養蚕家なり、それから畜産業は含んでおるという解釈には間違いないと思います。ただ繰返して申上げるように現在の六十億の範囲においては、その中につまり配分方法を変えて養蚕や畜産の共同施設をこの中に最初から考えるということは、関係当局との折衝の上から困難であります。併し法案の前提は預金部を入れて六十億を加えた平均利率を六分一厘に見たということは、これは預金部の資金を予定した利率である。こういう前提から考えますというと、その預金部資金の得られた場合においては当然只今お話のような施設はその枠内に加わるものだと、かような解釈で御了解を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/19
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020・白波瀬米吉
○白波瀬米吉君 これ以上お尋ねする必要はないのでありますが、重ねてお尋ねして置きますが、あの何ですか、蚕糸局はそういうふうに承知されておるわけですか。それからいま一つは、私は非常にもつとこう徹底して考えてもらいたいと思うことは、よく何だかいわゆる通産省に入るべき部面と農林省に入るべき部面とが一緒になつた形が、蚕糸業の今日のあり方になつておるために、いつでもこういつたようなことになつて、こう埒外に置かれておるようなことになつておるのですが、それでもう製糸から先は通産省に行つたほうがいいとか、或いは養蚕部面だけは農林省に残つて、これはもう全然二つになるべきだとかいう議論が常に出るわけですが、これはどうしても今のお話のように養蚕部面は、これは普通の農業なんであるという考えで考えて頂きたいと思うのですが、蚕糸局あたりはこれはどうも入れてもらえんの泥というような観念のように見受けるのですが、これはもう少し徹底してお考えを願いたいものだと私は思うので、特に要望いたして置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/20
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021・羽生三七
○委員長(羽生三七君) ちよつと今の点で私からもう一つお尋ねして置きたいのですが、この第二條の第六号のこの共同利用に供する施設の造成に関する融資の問題ですが、これは六十億の枠内で若し融資するという場合には、一から五までを優先して残りがあつたら、六を見てやるということなんですか。それから六十億以外に百二十億というような余分な枠が取れなければ、これは全然問題にならんということなんですか。その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/21
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022・島村軍次
○政府委員(島村軍次君) 過渡的に考えますと、只今申上げたようにいろいろ議論もあり、且つ折衝の段階におきましては只今お話のような意見が相当話題にも上り、研究も進めて参つたのでありますが、共同利用施設ということは六号に上がつておりますが、現実には塩田その他として三億四百万円の予定を立ててあるのであります。従つてこれは現在の段階におきましては六十億の範囲では実際の融資は困難だ、さように一つ御承知をお願いいたします。但し小水力は、この共同利用の中に大体二億四千万円あります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/22
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023・白波瀬米吉
○白波瀬米吉君 まあ政務次官はよく養蚕ということ、蚕糸業ということは御承知ですが、私は甚だ遺憾だと思うのですこの間から……。というのは農業委員会の中に、改良委員会が加わつてあるのに蚕糸は別です。あれなども片柳さんからもこの間からお話があるし、私も痛感するのですが、ああいうような下部組織ができて、そこで民主的に計画を立てて行くというのに、養蚕がその中に入らない。又これも実際そういう心持ちを持つておるくらいでは実際はなつていない。これはどうしてももう少しはつきりしてもらわないと私はいかんと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/23
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024・島村軍次
○政府委員(島村軍次君) これは第一條に上つておりまするように、長期且つ低利の資金というこの前提があるわけであります。この場合においては農地の中には勿論桑園とか或いは牧野等を含んでおることは勿論でありますが、さような長期の固定設備というものを主体において、而もこれらの仕事が相当実質的には多額の経費を要し、資金を要する。こういう前提から考えますというと、結局枠が少くなつたということが一つの理由であると思います。それから第二には蚕糸業についてはこれらの十年なり十五年の据置き期間を要するものと、蚕糸業のうち殊に養蚕については御議論はあろうと思いますが、おのずから性質も異なつておる。併しそれかといつて必要でないということは言えないので、共同利用によつて、そしてこれらの施設、つまり畜産であれば加工場であるとか、或いは農業倉庫、或いは乾繭倉庫というようなものについて考えますというと、土地或いは造林等の仕事に比しまして、資金の回転が早いと見るべきではないか。併し共同利用についてはまあこれらの行き方もいろいろありましようが、総額の六十億というものから考えられた結果、第六号でこういうものも是非取上げたいということで、特に上つて場おるのでありますが、第一段階については第五号までのものにつきまして考え、漸次第六号に及んで行く、こういうふうな考え方でありまして、共同利用施設については現在のところ資金的の裏付けがない。そこで養蚕だけを軽く見たというのでなしに、共同利用施設全体を通じて費目には上つておりますが、共同利用施設にはこれは全体が現在の段階では裏付けがない。こういうことであつて何も養蚕だけを軽視したということではない、かように一つ御承知願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/24
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025・白波瀬米吉
○白波瀬米吉君 軽視ではないということは、これは御承知願いたいというが、それはしにくいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/25
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026・赤澤與仁
○赤澤與仁君 資料が出て参りまして、根本的にお尋ねをいたしたいと思うのですが、只今富谷課長の説明について私聞き洩したかとも思いまするので、一言お伺いいたしておきたいのは、第三條の利率決定の場合の必要経路として、支払手数料を三分預金部よりの借入金六十億の利子六分というものを一応必要経費としてこの利率が出て来たんだと、そういたしますと、この自己資本の六十億と預金部の資金の六十億と、百二十億というものの枠内においてこの利率がきめられたのじやないかと思うのでありますが、先ほどの枠の説明については六十億の枠しか配分のお示しがなかつたわけなんであります。そういたしますと、この必要経費の六分というものは一応今枠として与えられる六十億については必要経費の中に入らんように思われるわけなんです。従つて預金部の借入金の利率六分を入れて必要経費を考え、この利率を考えたのであれば、この資金の枠というものは百二十億についての枠のお示しがなければならんのではないかと、かように考えるわけでありますが、その点私が聞き洩したかとも思いますが、一つ富谷課長からお話を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/26
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027・富谷彰介
○政府委員(富谷彰介君) 預金部資金の六十億を導入することにつきましては、只今も折衝中でございますが、何分地方債を幾ら引受けるとか、或いは金融債を幾ら引受けるとか、そういつた預金部資金全体の運用計画というものがまだコンクリートなものにはなつておりません。そのために利率に触れるところまで至つておらんのでありますが、法案制定の交渉のときにも預金部資金を同額入れるということでやつておりますので、恐らく近い機会に具体的な金額がわかると思うのでございます。そういたしますと、どうせこれは予算の補正を要しますので、その際に改めて百二十億円の資金計画を組んでお出しするということにいたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/27
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028・赤澤與仁
○赤澤與仁君 そういたしますと、一応わかりましたわけですが、その預金部の資金の大分というものを入れてこの利率ができておるといたしますと、特別会計では相当な利潤と申しますか、剰余の分が出て参るのではないかと思うのですが、六十億という多大の金についてやはり何がしかの利息というものを必要経費として考えられておるように我々は聞かされるわけなんですが、従いましてその点につきましては、一応預金部の資金の六十億がきまつて、あとでなければはつきりしないということはお話の通りなんでございますから、一応それはそういたします。従つて一つ資料をお出し願います場合に、預金部の資金十億を入れた百二十億の資金で運用する場合の必要コストがこれでありまするならば、それによりまする一つの資料と、預金部資金が全然ない場合、いわゆる自己資本六十億の枠内で融資をする場合の必要経費は幾らになるか、その場合の各ケースごとの利率はどういう工合になるかという、この二つを併せて参考資料として御提出をお願いいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/28
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029・岡村文四郎
○岡村文四郎君 資料が提出されてからいろいろ質問いたしたいと思いますが、この法律だけ見てもわかることだけお伺いいたしたいと思います。貸付の本旨といいますか、目的の事業の利率よりその他というものの利率が低くなつているのは、これはどういうものを指いてその他と言われておるのかということを聞きたい。それから今蚕糸のことで共同利用にいろいろなお話がありましたが、実は共同利用というのを非常に高くといいますか、希望を多く見ておるものが非常に多いように見受けられますが、この六十億の枠では非常に少い金額で、あとから預金部の金が六十億出まして百二十億の枠になりますと、まだわかりませんが、相当な共用利用に対する枠ができて来ると思うのですが、政府は一体この平均利率のコストの出し方を見ても、もう六十億は大体当てになつて預金部から入るのだろう、こういうのだろうと思うのですが、十中八、九入る見通しをつけておやりになつておるように見えるが、そうかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/29
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030・島村軍次
○政府委員(島村軍次君) 岡村さんがいつも駄目を押されるので、実は私も答弁に困るのですが、勿論この法律はお話の通りに前提にいたしております。そうして農林省としてはそのためには全力を注いで今やつておるわけでありますが、金額の点とそれから大蔵省との折衝、予算化の問題が、差当り六十億ということで、あとは残つておるわけでありますが、我々としては今お話のような点を期待をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/30
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031・富谷彰介
○政府委員(富谷彰介君) 公共事業費によります利率と公共事業費の補助のないものの利率と分けておりますが、公共事業費の補助がありますのは、御承知のように総事業量のうちで最低五割、事業によりましてはそれ以上の国庫の補助があるわけであります。そういたしますと、勢い事業によりまして利益を受ける農民なら農民の負担というものは軽いわけでございますので、そこで全然補助のないその他のものの利率と差等をつけたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/31
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032・岡村文四郎
○岡村文四郎君 その点はわかつたのですが、これは希望といいますか、実は事務屋の富谷課長にお願いいたしたいと思うのですが、共同利用の中の病院というのを盛んに言つておる場所があります。これをどうしてもものにするように努力をせいと言われておるのですが、これを共同利用と見ることは当然なんですが、そういうことを考え得られるかどうかということを聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/32
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033・島村軍次
○政府委員(島村軍次君) 現在のところでは予定いたしておりません。希望のあることは承わつておりますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/33
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034・岡村文四郎
○岡村文四郎君 そこで問題になると思うのです。病院が共同利用でないが、あるかという見解の問題なんです。これは強く主張をして成り立つと思うのですから……、そういう途も開くことを願つておくことが、金額は別ですが、都合がいいのじやないか。私どもは本当に無医村の村が共同して病院を作る、本当の共同の病院、これを共同利用でないということはどうしても言い得られないのじやないか。だが攻めて来られると困るから……、お考えなかつたら、これも考慮に入れてやつてもらうことが……あとから困るようになつてはいけないから、お願いして置きますから、一つ考慮に入れてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/34
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035・島村軍次
○政府委員(島村軍次君) 御希望の点は一つ承わり、且つそれは一つ研究を進めることにいたしますが、GHQとの交渉の段階においては共同施設を入れることに、六号を加えることに非常に苦労をしたわけです。それはよく御了解を願つておきたいと思います。そこで先ず農業倉庫くらいから……、その結果漸次拡大をして行きおるというのが今の段階でありますから、これは少しかすに時日を以てして頂かんと、GHQとの間の了解がどこまで得られるが、前提は長期で土地改良というような仕事、たびたび申上げるように長期の土地資本に対する融資というもりがまあ主体に考えられたと一つ御了解願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/35
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036・三浦辰雄
○三浦辰雄君 この法案に関係してでありますが、御承知の通りに、今政府側が用意されておる森林法の改正問題、それが議員のほうの提出に形としてはなるということから、自由党の関係のかたがた及び衆参両院の関係の議員のかたがたで森林法の問題をやつておりますが、その成否の最もポイントとなるのは、結局今度の森林法で示すところの計画施業をやるか、やらないかというところ、而もそのポイントとというものは、更に言えば、計画の中に入つていない山だが、金が欲しくてどうしても伐らなきやならん、そういつた場合に或る程度或る限定を付け許可制か何か設けて伐らせるかどうかという問題に当つて、関係方面は絶対に伐らしちやいかんという問題があるわけであります。従いましてそれがいよいよ大きな問題になりまして、何かにおいて融資をするのでなければ、その法律というものは作つても結局行われないということにさえなるのではなかろうか。併し今日の日本の土地の状況、殊に山林の状況から言えば、日本のすべての産業の屋根のような形であるのだから、この際何としてもこの法律というものは、精神は通したいけれども、この融資の一点というものが伴わなければ、これは通しても何にもならないという、非常にあの法律の中では大きな問題になつております。そこでお伺いしたいのでありますが、まだ預金部資金の加わるべき六十億という問題もあるようでありますが、この中から運用して、およそ三十億と推定されるのでありまするけれども、それに対して、そのうちのどうしても止むを得ないものについては、この金融というものを適用して頂けるかどうか。聞くところによると、或いは政府は止むを得なければ利子補給はしなければなるまいという説もあるとか聞いておりますけれども、利子補給だけを約束されるが、その財源はない。ただ農林中金等の資金の融通のできる際、或いは市中銀行中特殊な興味を持つておる金融機関にでも頼めばどうだと言つても、そういう特殊な金融機関は絶対にないと考えられます。そこで今一部で非常に問題になつておる森林法の死命を制するその成否の鍵となつておる金融問題について、どうお考えになられますか、一つ大体のところをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/36
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037・島村軍次
○政府委員(島村軍次君) 伐採制限をやらなければ撫育なり、造林の目的を達成することはできない、こういうことはお話の通りでありまして、そのために別途に伐採制限に関する資金をどうするかということは、従来においても相当研聖を進めて参つたのでありますが、どうもこの金融の措置を講ずるということは、現在のところでは関係方面との間の了解がまだ得られん段階にあります。そこで然らば利子補給をするか、或いはその他の方法をとるかということは、現在研究を進めておりますが、まだ本日はつきりここで申上げる段階に至つておりませんことを誠に遺憾に思います。さように御承知置きを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/37
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038・三浦辰雄
○三浦辰雄君 いろいろとこの問題について研究して頂いていますことは、この際感謝申上げるわけでありますが、関係方面のほうの了解を得られないというお言葉もありましたが、若し関係方面がこの中から出してよろしいということでありますれば、如何でございましよう、六十億加わつた場合、更に加わらない場合、若し向うで日本の土地利用或いは荒廃の事情から見て、この中から出してやつたらいいじやないかという言葉があつたとしたら、如何でございますか、一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/38
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039・島村軍次
○政府委員(島村軍次君) どうも金が少くて希望者が多いというのが現在の段階でありまして、おのずから軽重があり、どれにウエイトを持つて行くかということは、先ほども説明申上げました通りに、はつきりしたことが…、順次に取上げて行きたいという希望なり熱意は持つておりますが、併しこの六十億の範囲では現在のところ困難だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/39
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040・江田三郎
○江田三郎君 この法案の第二條に「毎年度予算の範囲内において、」と書いてあるわけですが、これは本年六十億というだけでなしに、毎年引続いてこういう金をお出しになるということなんでありましようが、その際にまあ大体五カ年間くらいに計画は立てておるわけですか、どうですか。それからそういうような毎年出されるときにやはり毎年預金部資金を借入れるというのは併行して行くわけですか、そういう点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/40
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041・富谷彰介
○政府委員(富谷彰介君) この資金は、御承知のように非常に長期のものでございますので、我々の目標としましては、大体十カ年くらい継続いたしますと、あとは自分で回転して行くのじやないかと思つております。従いまして最初は無論五カ年でございますが、それ以上継続して自分で回転するまでのことを考えております。それから予算の問題でございますが、これは毎年最低限少くとも一般会計及び見返からの出費六十億は確保いたしたい。その場合に預金部資金の借入れもこの特別会計の収支の許す範囲において、最大限に借りたいという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/41
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042・岡村文四郎
○岡村文四郎君 取扱をする本元が書いてありますが、中央金庫その他大臣り指定する金融機関となつていますが、これは直接金庫なり他の金融機関がするのか、その扱い方をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/42
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043・富谷彰介
○政府委員(富谷彰介君) 金融機関が窓口になりまして貸付の申請書を受理いたしまして、そして信用調査或いは必要な技術審査等を関係者に頼んでやつてもらう。そして金融機関が貸してよろしいという決定をいたしましたものが特別会計に上つて参ります。特別会計が最後の判定を下すというわけでございます。先ほども申上げました通り、特別会計としては人員も揃つておりませんし、又信用調査その他の事務も不馴れでありますので、特別会計が直接申請者から申請書をとつて貸付けるということはいたさないつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/43
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044・岡村文四郎
○岡村文四郎君 手前味噌になるから、はつきり言えんものですからちよつと弱るのですが、要は、関係のないものはと書いてありますが、関係のあるものは信連で扱わすことが非常にスムースに行くと思います。今まで例がありますが、実は中央金庫も御承知のようになかなか人手も十分でないし、窓口で非常にぼやぼやしているというので、いつですか農林大臣が、恐らく中央金庫はこれをこなす能力はなかろう、そこで他の金融機関に呼びかけて、そしてこれをつながりに協同組合の金融をつけるようになることを希望しているから、そういうふうに参りたいと、こういうふうに指示されておつたのですが、実際において各県の信連が利鞘だとか、いろんなことを考えないで、私はこれは無手数料でも一刻も早く下へ流すお世話をすべきであると思つておりますが、それをそういうふうにさす御意思がない。せり込んで行つてお世話をしなければならんとは申上げません。併しながらそうすることが、この金が最も急速に金庫の事務を助けると同時に、円滑に流れると考えておりますから、それを一応お聞きしたので、どうも手前味噌にすぐなるから言いたくなかつたのだが、ここまで言わんとわからんから聞くのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/44
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045・富谷彰介
○政府委員(富谷彰介君) 無論農林中央金庫一行では事業はスムースに参りませんので、その他の金融機関ということを考えているわけでございますが、信連に関しましては結局系統組織という大きい組織の中の一環でございますので、中央金庫の事務をスピーディーにやらせるという意味の審査をお願いすることになるのではなかろうかというふうに考えております。無論構成メンバーに対する融資は信連が審査をなさることについては非常に結構なことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/45
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046・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 他にまだ御発言があると思いますが、先ほど申上げた通り正規に資料が提出されてから、審議を開始することにしてこの問題に対する審議は本日はこの程度にしたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/46
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047・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 次に、先般議員派遣で御苦労願つたわけでありますが、その結果についての御報告を簡単にお願いすることにいたします。最初に福島県方面へ御出張願つた江田委員から御報告願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/47
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048・江田三郎
○江田三郎君 倉田専門員ほか調査主事と一緒に二月二十三日から二十六日まで福島県に参りました報告をいたします。
福島県は御承知のように非常に広く、北海道に次ぐ大県でありまして、奥羽山脈と阿武隈山脈の二山脈が南北に縦走しておりまして、山岳に富んで平野に恵まれない所であります。平野は阿武隈川と阿賀川、久慈川、夏井川等の河川及びその支流に沿つてあるのみであります。なお会津の積雪地帶はこれは特異の存在と考えます。産業は葉たばこ、こんにやく、果物、繭、木炭、石炭、緬羊、馬が多いのでございまして、未開発資源としましては電力、森林、地下資源がありまして将来性があると考えられます。県政のとる原則としましては産業の振興、民生安定、教育の振興に置いておられます。県財政は二十五年度予算で見ますというと、総額六十三億余円でありまして、うち県収入は二五%、平衡交付金三一%、国庫補助金が三四%でございまして、大部分を政府の手にすがつているという状態であります。
福島県の林業の概況につきましては、いわゆる浜通り地区というのは阿武隈山脈と太平洋岸との間の地区でありまして、丘陵山岳地帶で優良林業地帶でありますが、いわゆる過伐に陥つて、現在では蓄材は非常に過少になつております。それからいわゆる中通り地区というのは、阿武隈山脈と中央山脈との中間地帶で複雑な山型をなしている林業地でございますが、これ又浜通りと同じように蓄財は非常に過少になつております。会津地区は平坦会津と奥会津に分たれますが、平坦地区は只今申しました地区と同じように蓄材が減少しておりますが、これに反しまして奥会津は全然未開発林でございまして、県内唯一の将来資源を有しているということができるわけです。
県内の森林面積は針葉樹林が十三万七千町歩、潤葉樹林が六十六万三千町歩、針潤混交が十二万二千町歩、原野その他五万九千町歩、合計九十八万二千町歩ということになつております。
森林の所有形態は、国有林が全林地面積の四五%を占めておりまして、国有林過大地方であります。又奥会津に未開発林が約三十二万町歩、約七千万石の蓄積があることは非常な特徴であります。更に私有林の所有者十三万六千五十八人のうちで九二%のものは一町歩未満の所有者であることも注目すべきことであります。又森林の種類は用材林が二・七で、燃材林が七・二の割合であつて、私有林は殆んど薪炭林であることも注目すべきことであります。
よつて本県森林の施業とすべきことは、中通り、浜通りのような里山地区の休養をすると共に、奥会津の開発をすべきことでありまして、更に薪炭林を減じ、用材林を増加せしめて、その蓄積成長量を増大せしむることに重点を置かなければならんと思います。森林法改正の主眼といたしまする計画施業の必要性は、本県において特にその重要なることが知られるわけでありますが、県の林務部の職員は勿論、森林組合連合会の役員も又むしろ遅きに失するという意見を述べております。
森林組合は三百六十三町村中二百二十六町村にあります。森林所有者十三万六千五十八人中八万九千九百十九人、面積約八五%が組合に加入しておるわけであります。戦争中から統制等によつて組合本来の任務を離れていたことが多かつたので、そのために経済的にも損失を来たしておるものが若干ございますが、森林法改正によりまして森林組合本来の使命であります施業案の調整、編成その実行に主力を置き、経済行為はこれを避けることが正しいということが一般の識者の一致した見解でございます。
その他調査せる事項中参考となるものは、臨時造林措置法による要造林指定の状況、それから昭和二十六年度六千町歩指定の予定でありまして、その他順調に進んでおります。それから造林補助金は寒冷地帯に厚くする処置が本年からとられるということになつております。それから国有林中造林未済地があるので、部分林設定を願い出るが、なかなか許されない。森林組合には積極的に部分林を設定さしてもらいたいという意見がございます。それから木材引取税が村税となつて村財政は豊かになつたのでありますが、この税金は造林資金に補助なり奨励金として支出されるのが妥当であるという意見が出たのでございます。それから経営指導員等の職員の国庫補助が少いので、県では大変に困つております。それから木炭の生産、販売等に対する政策が何ら考えられていないのは遺憾であるということであります。木炭協同組合、森林組合等は統制時代の負債を背負い込んで弱つております。又協同組合から生産資金を借りながら生産品を出さないで、協同組合へ売らずしてほかへ売るものが多い状態であります。これは協同組合に出荷した場合、税金の対象にはつきりなることを免れんためだということでありますが、この点組合が脱退自由でありまして、これに対する罰則がないために如何ともしがたいということであります。戦争中の伐採で最も害を残しておるのは農地の防風林を伐つたことでありまして、今日季節風の被害を盛んに受けております。未墾地、開墾地状況は次の通りであります。買上地三万二千二百五十町歩、売渡済八千四百七十一町歩、残りが二万三千七百七十九町歩でありまして、今後買收見込は五万町歩、向う三カ年くらいの予定でございます。奥地林開発には年期特売を認めねばいかんという意見がございます。それから公共事業費が数カ所災害地に平等に分配されているためにどこもかしこも工事が完成しない嫌いがありまして、この点はもつと県も国も集中配分でやつたほうがいいという考え方を強く述べておられます。それから、国有林を解放して民有林とし、他府県同様民生安定の資とせられたいという希望、これは東北大県を通じてそういう希望でございます。なお、非常に強く感じますことは、どういたしましても寒冷地帶の林業対策としましては例の「いろり」というもの、これを何とかしなければどうにもならんのじやないかという気が強くするわけでありまして、これは従つて家屋の構造等につきましても、これは直接林業の問題ではございませんけれども考慮が払われなければ将来とも燃料に多くを取られてしまうのではないかということを強く感じました。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/48
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049・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 次に、愛知班の池田委員から御報告をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/49
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050・池田宇右衞門
○池田宇右衞門君 岡村委員、佐橋主事君と共に、去冬二月二十三日より四日間に亘り、愛知県において麥の作況、供出統制、配給統制、農業委員会並びに農業倉庫等の問題について調査いたすと共に、鳴海に決定いたしました国営競馬場の予定地を視察いたしました。以下各問題ごとに調査の概要を御報告いたします。
一、麥の作況について申上げますと、愛知県農業は元来零細経営であつたのでありますが、戦後の人口増加は特に著しく、現在の農家戸数二十一万四千戸、農家人口百二十三万人であり、一戸平均人口は五・八人であり、同じく一戸当り経営規模は田畑合計六反二畝となつております。かくのごとき零細経営の上に、米麥価格の低廉及び過去において冷酷であつた供出制度の緩和予想は、必然的に農民をしてより有利な換金作物への転換を意識せしめたことは否めない事案であります。愛知県としては、米麥増産が現国策上極めて緊要であるとの方針の下に、昨年麥類増産運動を計画し、これを指示いたしました。即ち最近における実積は、米八万六千町歩、目標二百万石、麥六万町歩、八十五万石に対し、本年度の目標といたしましては、米八方八千七百八十八町歩、二百六万五千石、姿六万三千六百町歩、九十六万五千石の増産目標を立て、これを指示いたしたのであります。これに対し播種状況は、本年一月末で五万五千町歩(麥)で、計画の八六・四%となつております。この計画不達成は県の興農運動に対する非協力を意味するものではなく、県の播付最盛期である十一月中旬より十二月上旬までの期間に降雨が多く作業が遅延したためと、低地帯が排水不良のため作付不能となつたためであるとのことでございます。なお、増産用農業資材の点については、肥料、農薬共に山村の極く一部の購入資金不足のものを除きましては、大部分がすでに農協より購入確保済でありました。右の資材確保と一月よりの天候回復、気温の平常化等が相待ちまして、作況は大体平年作が予想せられているのであります。
二、食糧統制について
一、供出統制、食確法は本年三月末を以て失効となり、現在麥に対して事前割当は行われていず、生産月標の指示が行われておるのでありますが、長年に亘る供出制度の結果、農民に対してこの生産指示が供出割当の基礎となるのではないかとの強い不安を与え、なかなか納得されていないようであります。このことは先に述べた県の麥類生産目標指示に関して、市町村二百十九のうち、部落まで指示したものが百九十六、個人まで指示したものが僅かに二十三であることがよく物語つておると思われます。更に政府は、本年度麥類の自由買入を計画しておるのでありますが、昨年「いも」類について県の買入目標は三千百方貫でありますが、実績は一俵もなしという事実よりして、又六四%という低い対米価比率よりして殆んど買入不能ではないかとの見通しが強いのでありました。従つて右のごとき事情に輸入食糧の見通し等を加味して考慮するならば、麥類の自由買入制度は時期荷早であろうとの意見が強かつたのであります。
次に、事前割当と事後割当の問題については、県側より次のような意見が述べられました。理論的には食確法による方法が最も望ましい。但し結論より道算しての、換言すれば、補正を正常に認めない割当に問題があり、このことが農民の供出意欲に悪影響を及ぼすと共に、元来事務的作業であつた割当事務を政治的作業たらしめた原因であつたことを考えるならば、次の條件を付しての事前割当が最も望ましいものと考えられるのであります。1、作付面積、推定実収高等を決定する場合は、食糧事務所、作報、県の三者が協議してなすこと。これは従来補正等に当つての基礎数字が作報を一とすれば事務所二、県三のごとく一致していなかつた点を是正するのが目的であるのであります。2、前年の実績に捉われることなく五—六%の余裕を見て割当を行うこと。3、超過供出報償金の制度を存続すると共に、これに対する課税を考慮すること。換金作物への転換を防止し、より不利なる作物を仰ることの絶対性を裏付けるためには、強力なる国家的措置が必要である。4、肥料、農薬等農作用必需物資を確保する措置を講ずること、等であります。
二、配給統制、新らしい主要食糧配給制度は、地方自治体、及び食糧事務所の事務量の増大をもたらし、従つて必要とする職員及びその経費の面において予想外の混乱が惹起されつあるようであります。
先ず県について述べますならば、一、卸、小売の登録事務、二、配給事務取扱等が挙げられるのでありますが、前者については卸小売の登録資格について、卸が僅か一日分の保証金、小売については前科の有無と、極めて簡単であり、而もその数が制限なしであつた(最低五の指示のみ)ため、卸十一、小売二千八十九と多数の業者ができるため、その登録事務量は相当量に達した。なお卸、小売の内訳は次の通りであります。卸十一(公団関係六、農協一、旧米穀商二、その他二)であります。小売二千八十九(公団関係千百五十、農協二百六十六、新規六百七十三)、次に後者については、新規の小売業者の教育の問題、小売が卸より主食を購入する場合、その都度行わねばならん当該市町村長の検印等、幾多の新規事務があるが、中区のごときは百カ所の小売業者について一々購入の都度所属消費者の年齢別、人口別による数量を計算し、検印せねばならず、更にクーポン券の交付を各家庭通帳に記入する等、相当の事務量増大があり、すでに数カ所の市町村よりその事務に堪え得る見込なしという通告があつたほどであります。而してこれらの事務遂行には県、市町村に相当数の職員を増加する必要があるにかかわらず、二十五年度においては公団機構切替の九月以後七カ月分として全国六千五百三十人分、五億一千四百九十一万八千円の平衡交付金が計上されたに過ぎず、二十六年度に至つては、全国に僅か千五百人分が交付金に含まれる程度のようであり、而も交付金は地方自治体の財政状況によつて予定の用途に使用されぬことも考えられ、ここに大きな問題を生じておる次第であります。公団よりは配給統制の責任を県に委ねられるならば不明瞭な交付金によらず、助成金等の方式によつて必要とする事務職員を確保し、この業務が完全に遂行し得るよう考慮せられたいとの要望があつたのであります。
次に食糧事務所について述べれば、(1)、市町村ごとの需給計画、(2)、卸ごとの売却数量の決定(卸に対する小売の、小売に対する消費者の結合状況を調査しなければならない。)(3)、運賃を考慮しての売却場所の選定(卸別十一通り、倉庫別数百通りに及ぶ卸の採算関係の調査が必要である。)(4)、卸ごとの供給計画、(5)、供給に当つての倉所別計画、等の調査を行う必要があり、これなくしては完全なる配給業務をなし得ないのみならず、これらの調査は三月十五日より配給実施の前提の下に行わねばならないのであります。而もこれら新規事務は全国の事務所職員千八百人、一事務所当り約四十名を以て行わねばならず、郡支所、市町村出張所の職員が曾つての検査員であつて、その事務能力が極めて小である実情も考慮するならば、これが調査の完遂は全く不可能視されざるを得ないわけであります。従つて三月十五日実施を強行するならば、腰だめ的計画を以て実施しなければならないところに問題があるわけでございます。更に又等級プールについても一乃至四等と五等のプール程度ならば可能であるとしても、小売にまで及ぶ完全等級別プールは殆んど不可能であり、又遅欠配の責任が事務所にあるとするならば、当然掛売の問題も考えられ、曾つて木炭会計に生じた問題が食管会計の場合に同様に生ずる危険性があるようであります。従つて配給統制の問題については、すでにその方式の変更が不可能であるとするにしても、その実施に当つての問題に更に愼重なる検討が必要であると考えられます。
三、農業委員会、食糧統制に関連して現在提出せられておる農業委員会法案について意見を聴いたのでありますが、主として供出面並びに農業改良の面に問題があるとの意見でありました。即ち(1)、従前の例によつて供出に責任を持たしめるためには、諮問機関であるよりも、むしろ議決機関であることが望ましいこと。(2)、選出方法が階層制であることは多分に現在の農地委員会的色彩を与えると共に、階級意識を醸成する因ともなる故、供出の円滑、農村の民主化のためにも階層別選挙は廃止すべきであること。(3)、近来農民に最も親しまれ、又農業の改良増産等によく貢献しておるものは改良普及員であるが、遺憾ながら予算的関係で現在その事業が十分行われない状態である。今改良委員会を農業委員会に合体することは、改良事業を更に弱体化するのではないかと考えられる。今後供出制度が存続され、主食の増産が必要であるならば、改良事業を切離して農家五百乃至三百戸に一人の普及員を置き得るよう補助金等の面で考慮すべきであること、等でありました。
四、農業倉庫、愛知県における農業倉庫の使用状況は、総収容能力に対し僅かに五〇%程度に過ぎぬ状況であります。その原因としては県の主要生産地帶に倉庫の収容能力が少い点もあるが、主たるものとして現有農業倉庫中完全使用に堪え得るものが極めて少いことが挙げられるのであります。即ち農協倉庫総数千八十八棟のうち、完全使用の可能なものは僅かに約五〇%、五百五十九棟であり、又米、麦の長期保管に絶対必要な煙蒸能力のないものが二〇%、百九十一四棟に達する実情であります。これに加えて食糧事務所の言によれば、責任者の倉庫管理に関する認識の不足が大きな因をなしているということでありました。右の理由によつて農協倉庫は一時的、短期間使用され、直ちに営業倉庫に転送されるため、農協の経営上予定利用率に達せず、收支償わず、経営不可能の状態であるのみならず、再度転送による輸送費の加重も相当あり、農協倉庫の育成は農協再建のためのみならず、完全なる食糧管理上よりしても、刻下の緊要問題となつております。これが対策としては生産地の倉庫増設、既設倉庫の改修が挙げられるのでありますが、なかんずく既設倉庫の改修は、配給制度の切替に伴う利用量の増加よりしても早急に実施する必要があると考えられます。これについて県よりは国による低利長期設備資金の融資(約一億円)及び利子半額補給の要望がありました。
農協倉庫利用状況(食糧事務所調)、棟数千八十八棟、坪数三万二千二百二十三坪、収容力二百四十七万俵、之十五年産麦の保管数量八十万俵、二十五年産米の保管数量百四十万俵。農協倉庫設備状況、棟数千八十八棟中、完全利用可能五百五十九棟、うち中修理を要するもの三百四十棟、大修理を要するもの、二百八十九棟、他にキュアリング倉庫五十七棟。
五、鳴海国営競馬場、名古屋市より十二キロ、愛知県鳴海町、同じく豊明村及び知多郡有松町の二町一村にまたがる丘陵地帶にあり、本委員会の皆様より申入れた農地潰廃は全くなく、交通も別紙「位置図」に見られるごとく極めて便利であり、将来競馬場のみでなく、各種の競技場を建設し、国際的な運動、観光、娯楽の中心地とするにも適当な土地であるように見受けられましたのであります。
以上極めて簡単でありますが、御報告を申上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/50
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051・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 次に、長野県班の三橋さんに御報告を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/51
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052・三橋八次郎
○三橋八次郎君 瀧井委員のお許しを得まして、私から簡単に御報告申上げます。二月の二十三日から二十六日までの間、長野県における肥料並びに飼料事情に関する調査に参つたのであります。
先ず肥料について申上げますが、長野県におきます春肥の需要量は、窒素肥料は硫酸アンモニアに換算いたしまして約四万四千トン、燐酸質肥料は禍燐酸石炭に換算いたしまして約二万六千トン、加里質肥料は四〇%換算で約七千トンであります。その他雑肥といたしまして約百五十トンくらい要るのでありますが、一月末における入荷推定量は、窒素質肥料は僅かに需要量の二〇%、燐酸質肥料は一四%、加里質肥料は四%というような実情でございます。昨年の同期におきますところの入荷量と比較して見ますると、本年の入荷量は窒素質肥料で五六・六%、燐酸質肥料で三九・九%、加里質肥料で三二・六%というような状況であるのであります。先日の政府の説明とは、地方の事情はよほど開きがあるように思つたのであります。政府の説明では春肥の需給は大体均衡がとれておると、こういうようなことでありますが、地方の実情は非常な品がすれというような事情にあるようであります。これはこの先行き不安に伴う業者の買漁りと、消費者たる農家の買溜めというようなことが一般に言われておるのでありますが、勿論これは全国的に考えます場合におきましては、かようなこともあると思うのでありますが、長野県におきましては、特にこの耕作期間の関係で、この需要の不均衡が甚だしいように思われたのであります。その原因といたしましては、これは農家経済にもいろいろな事情があるわけでありますが、一番には農家が肥料の統制というものに非常に慣れ切つておりますから、使う時期にはどうせ肥料を廻してくれるだろうというように安心して、余り買漁つておらんというような関係から、やはり県全体としての入荷量にかような現象を示しておるのではなかろうかと思うのであります。それから又実際農家の実情を見ましても、春使う肥料を今から購入をするというほど農家経済は豊かではないのでありまして、非常に逼迫しておる実情にあるのであります。又一方におきましては肥料業者が現物を抱えておりまして、又貸金的に非常に行詰りを生じまして、肥料の流通というものは非常に不円滑になつておるようであります。第二番目は、更に生産地からの距離に比較いたしまして、長野県はこの肥料の……、あとでお手許まで届けます表を御覧願うとおわかりのように、肥料の値段が比較的安いのでありまして、そのために他の地方へ長野県から肥料が流れるというようなことも、これもやはり長野県で肥料が不足しておるという一つの原因になつておるようでございます。こういうことが考えられるのであります。長野県は主として気候の関係から、肥料を施します時期は五月遅くとも六月初めまででありますので、春肥といたしましては四月までに手当をしなければならない事情にあるにもかかわらず、かような現状にある上、肥料のメーカーがすでに三月分まで先売りをしておるというようなこと、又四月になつて来ますと需要期に入つて来ますから、非常に貨車事情が逼迫いたしまして、輸送の困難が予想されるのであります。県の調査によりますると、今後の入荷見込を計算に入れまして、四月末における不足見込量は窒素質肥料におきまして一方五千トン(需要量の三四%)、燐酸質肥料約一方八千トン(需要量の六八%)でありまして、加里質肥料約五千トン(需要量の六七%)ぐらいは、これは不足をするだろうというようなことで、今年の増産上極めて寒心に堪えない実情にあるのであります。
これに対しまして県当局は、その対策に腐心しておられるのでありまして、丁度私がこちらへ帰りますときに、経済部長も肥料手当に上京されたような実情でございます。従いましてこれに対しまして、次のような要望があつたのであります。先ず肥料価格の安定策を講ずること。第二番目には買溜めの起らぬよう、且つ農家が除々に買入れるような宣伝措置をとつて頂くこと。第三番目には貨車でありますが、優先的にこの需要期に間に合うように貨車を廻してもらうという特別の方法を講じて頂きたいこと。第四番目は公団の手持ちが県によつて異なつているが、これを平均化する措置を強力に講じて頂きたいこと。第五番目には公団手持ちの払下げを成るべく急いでやつてもらいたい。而もこれは実需団体を対象にして払下げて頂きたいということ。第六番目は農業手形を商社にも取扱わせ、且つ手続を簡単にいたすこと。その他金融措置を円滑にして頂きたいというような六項目の要望があつたわけでございます。
なお、最後に性質が多少異なりますけれども、長野県の特殊事情といたしまして、地域によつて小運送費の開きが非常に大きいのでありまして、一叺百八十円に達するところもあるそうでございます。山の奥のほうの生産力の低いところが却つて高い肥料を使い、そうして一方におきましては、供出農産物価格が同じというような事情が、長野県のような地勢のところでは非常にその例が多いそうでございます。従いまして肥料の運送費補助というようなことにつきましても、一応考慮を願えれば非常に仕合せであるというようなことを伺つたのであります。即ち肥料価格の均一化の措置をとられまして、かような農業経営に不便のあるところの救済をお願いしたい、こういうことであつたのであります。
次に、飼料の問題でございます。長野県は広大な牧野、採草地その他がありましてその粗飼料は年間三十一万トンくらいは確保できておるわけでございます。なお又濃厚肥料の相当の生産量があるのでありまして、濃厚自給飼料といたしましては六万五千トンあるのでありますが、そのほかどうしても県外から入れなければならん飼料というものは四万五千トンくらいあるのであります。このうち供給見込は三万一千トンでありまして、差引き一万四千トン、これが不足をしておるわけでございます。この間飼料の統制が撤廃されましたのは、丁度飼料の冬枯期というものと一緒になりましたので…、この飼料の統制撤廃ということは畜産の上から考えまして、非常な混乱を生じたという話であるのでありまして、三十二キロ一叺の糠並びに麥糠が八百円しておるそうでございます。こういうような状態でありまして、統制撤廃後におきましては、飼料の中間商人が非常に飼料の流通を妨げると同時に、値上りの原因をなしておるのであります。従いまして飼料の問題の対策如何ということは、延いては今年の食糧問題と重要な関係があるということは、見逃すことのできない事柄でございます。なお、長野県の畜産事情を調べて見ますると、国全体としての種畜の生産県でありまして、長野県の畜産が混乱されるということは、日本全国の畜産に影響があるということは見逃すことのできない実情であるのであります。かような情勢からいたしまして、次のような要望があつたのであります。政府所有の雑穀、五等麥等をできるだけ早く払下げて頂きたいこと、これもやはり紐付にいたしまして、実需団体というものを対象に払下げを行なつてもらいたいこと。第二番目は小糠、ふすま、大豆粕というような重要なものにつきましては、場合によつては再統制をお願いしたいということ。第三番目は実需団体に払下げ、中間業者をできるだけ排除しまして、飼料の値上りというものを抑えて頂くような措置を講じてもらいたいこと。第四番目は飼料の品質維持のため、相当厳重な検査制度を設けることが必要であります。飼料業者がたくさんできましたので、小糠の中に小石を混ぜましたり、或いは砂を混ぜましたりして販売するものがたくさんあるそうでございます。従いましてそういうようなものを取締る厳重な検査制度を設けて頂きたいこと。第五番目には、飼料を畜産を通じての蛋白資源と考え、いわゆる主食同様大量に輸入をする計画を立ててもらいたい。第六番目は畜産手形のような金融措置を講じて頂きたいというようなことであつたのでありまして、漸く農家の食生活が改善されようとしているとき、蛋白資源の根源であります畜産事情がかような状況になつておるということは、我が国の農業経営にも重要な影響があるわけでございますので、よろしく御配慮をお願いしたいと思うのであります。
以上極めて概要でございますが、御報告申上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/52
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053・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それでは本日はこれにて散会いたします。
午後三時三十八分散会
出席者は左の通り。
委員長 羽生 三七君
理事
岡村文四郎君
委員
池田宇右衞門君
白波瀬米吉君
瀧井治三郎君
平沼彌太郎君
宮本 邦彦君
江田 三郎君
小林 孝平君
三橋八次郎君
赤澤 與仁君
飯島連次郎君
溝口 三郎君
鈴木 強平君
三浦 辰雄君
政府委員
農林政務次官 島村 軍次君
農林大臣官房長 鹽見友之助君
農林大臣官房農
林金融課長 富谷 彰介君
事務局側
常任委員会専門
員 安樂城敏男君
常任委員会専門
員 中田 吉雄君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X01419510306/53
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