1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月二十四日(土曜日)
午前十時五十三分開会
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本日の会議に付した事件
○農業協同組合法の一部を改正する法
律案(池田宇右衞門君外五名発議)
○農林水産業施設災害復旧事業費国庫
補助の暫定措置に関する法律の一部
を改正する法律案(内閣送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X02319510324/0
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001・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。
本日は先日提案理由を聴取した農業協同組合法の一部を改正する法律案について質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X02319510324/1
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002・赤澤與仁
○赤澤與仁君 先般発議者からのお話によりまして、都合の上で一応政府委員のかたに代つて伺つておきたいと思います。役員の任期及び選任方法の三十一条の改正に関しまして、先ず第一番にお尋ねをいたしたいと思います。この任期の点につきましては、本法成立当時におきまして、問題になつておつたわけなんでありまして、何らかの事由によりまして、今日まで延び延びになつて来た事項でございまするので、これには異議はないわけなんでございまするが、その第二項によりまして三分の一ずつ任期を変えるという点につきましてお伺いをいたしたいと思います。先ず第一点は、この三分の一に相当する理事、監事を毎年改選しなくちやならんという事柄に対しまする立法の理由を先ず御伺いいたしたい。第二点は定款で別段の定めをなします場合におきましては、これが排除されるということになりまするので、任意規定に考えられるわけであります。併し実際の農業協同組合の実態におきましては、恐らく定款に別段の規定を設けまして、この規定を排除することになろうかと考えるわけでありまして、従つて法律上の実効は、実益は余り起らない結果になろうと思うわけであります。強いて申しますならば、実態から考え、又その結果を見ました場合におきましては、死文になる慮れのある条項であろうとも考えられるわけでありますが、むしろ除けちやつたほうがいいのではないかとも考えられるわけであります。又結果におきまして、排除するというような結果が各農協において出て参りました場合には、将来これを廃止する考えがあるかどうかということも併せてお聞きをいたしたい。第三点といたしましては、近くやはり議員立法で発議者は異なるわけでありますが、農林中央金庫法の改正法律案が上程に相成るように承知をいたしております。今日の農林中金というものにつきましては、政府出資をやめちやつて、この農業協同組合と同じような性格になつておると思うのであります。併しその法律案の内容を伺つて見ました場合におきまして、この任期なり選任の方法につきましてはこういうような規定がないのであります。勿論発議者も異なりますわけでありまするが、併しこういう法律案を国会に上程して参ります場合の手続としては、同じ筋を一度通つて来なければならないように承知いたしますわけであります。そこでこれを提案するに至りますまでのその筋との折衝、その他につきまして、何らか手落ちがあつたのではなかろうかとも考えられるわけでありますが、この三点につきまして先ずお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X02319510324/2
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003・池田宇右衞門
○池田宇右衞門君 只今赤澤さんの御質疑の点につきましては、立案に当りましてお知りの通り、現在の二年ということでありましては、最初のこの法案の立案のときにも任期につきましてとかくの問題がございましたのでありますが、農業協同組合の現状から見まするときに、頻繁に役員を交代するというようなことであつては、現在お知りの通りに、農業協同組合の内容に対しまして民主的の組合として運営する、その運営の上にとかく堅実性を失うというような関係から、これを三年とするというように、定款の変更によりましては三年ということに延長するような方針を定めたのでございます。併しこの法案につきましては、同じアメリカにおきますところの役員の方針は、専ら役員は政策方面、これを決定するような役目をとりまして、あとの事務処理においては参事がこれを取扱つておる。こういうような実例を見まして、役員の交代を毎年三分の一ずつ代えて行く。こういうように法案の立案をいたしたのでございますけれども、日本の実情から申しまして定款に定めるときにおきましては、毎年役員の一部を改選しなくても、役員は三年間その職にあつてこれを執行するということにいたして、一層組合の強化拡充、民主的、自主的の組合たらしむるというように立案の方針を定めた次第でございます。なお二、三の問題につきましては政府と直接関係があり、今後これが農林中央金庫その他の法案との関係もございますから、説明員から答弁させることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X02319510324/3
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004・打越顯太郎
○説明員(打越顯太郎君) 役員の任期の問題につきまして、三分の一交代の期限につきまして、只今御説明がございましたので、重ねてお話申上げる必要もないと思いますので、あとの点につきまして、中金法の一部改正の結果、役員の任期の改正その他につきまして、中央金庫、協同組合の関係の法律の改正の点はどういうふうな関係方面との折衝の過程においてあるかというような御質問でございます。その点につきまして中央金庫法の改正によりまする役員の問題につきましては、私直接折衝いたしておりませんのではつきりしたお答えを申上げることはできませんのでありまするが、協同組合法の役員の改選の場合とは必ずしも同一でないということは申上げられるのではないかと思うのであります。農業協同組合法によりまするところの役員の改選につきましては、これは全く新らしい農業協同組合法によりまする徹底した民主化の線に沿つた役員の改選の規定でありますし、中央金庫法の法律のほうは漸次民主化の線に沿つて改選されつつある過程にあるということが考えられるのでございまして、必ずしも農業協同組合法で考えております点とぴつたりするところまでまだ今日の段階は参つておらないのではないか、かように考えられるのであります。さような点から申しまして、協同組合法の役員の改選の問題につきましては、徹底した民主化の線によつて改選されておりまする関係上、今申上げましたような突き進んだ民主化の線によつて選挙を行うような規定になつておると思うのであります。さような意味で御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X02319510324/4
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005・赤澤與仁
○赤澤與仁君 任期を三年に定められることにつきましては勿論結構なことであるわけなんであります。ただ参事の制度を設けました場合に、一年に三分の一ずつを交代せしめなければならんという理由は薄くなつておるのじやないかと考えるわけであります。ただこの場合にもう一点お伺いいたしておかなくちやならんのは、民主的な選出方法といたしまして、この手段をお取りになることは結構なことだと思うわけでございますが、定款に別段の定めをいたしまして、この規定の適用を排除することができるということになつて参りますと、恐らく現在の実態から考えまして、この規定を排除するような定款が各農協において作成されるであろうと思うわけであります。そういたしました場合においては、これはあつてもないと同じような死文に属する条項になろうかと思うのであります。民主化のために是非やらなければならんものでありまするならば、むしろ強行規定とすべきものであろうと思うわけなんであります。その点は現実の問題として、今後各農協におきましては、これを排除する定款の成立が予想せられまするので、そういうような実態が起つて参りました場合におきましては、こういうような死文はむしろ削除してしまつたほうがいいのではないかというような考え方から、一応お尋ねをいたしておるわけなんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X02319510324/5
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006・打越顯太郎
○説明員(打越顯太郎君) お答え申上げます。役員の任期を三年以内に延長
いたしました場合に毎年三分の一ずつ更新するという規定は、死文に属するということになりはしないかという御意見でございまするが、私は必ずしも死文にならないのじやないかと考えておるのであります。先ほど申上げましたごとく、役員の改選ということにつきましては、一面役員が責任を持つて協同組合の事業を運営するという建前は大切でありますると同時に、清新な空気を組合のうちに反映せしめるということが非常に大切なことでございまして、殊に農業協同組合の事業を民主的に運営する線から申しますれば、その点が非常に大切になるということに考えられるのでございます。そんな点から申しまして、毎年三分の一ずつ更新するということは、必ずしもこの民主化の線に沿つて、又経営を健全にやつて参りまする上において適当でないということは申されないのじやないか、むしろ農業協同組合の役員の選挙の建前からいたしますれば、むしろそのほうが民主化の線に沿うのではなかろうかと、かように考えられるのであります。併しながら今日の現状からいたしまして、直ちにさようなことを強行規定に入れまするということは、必ずしも今日の段階におきましては適当でないさような点から申しまして現状から考えまして、漸進的に参りまする上におきまして、定款に別段の定めがありまする場合には、さような毎年三分の一ずつ更新することも、更新する制度をとらなくてもよろしいというふうなことにいたしたほうがむしろ現状に印し、又役員選挙の根本原則にも適当するのではないかと、かように考えております次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X02319510324/6
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007・赤澤與仁
○赤澤與仁君 お説はその通りでありまするが、現状の認識について相違があるわけなんでありますが、一応定款に別段の定めをなした場合におきましては、この条項の実益というものはないわけなんでありまするので、これ以上この問題についての押問答は差控えたいと思いまするが、ただ事実がこれを証明するであろうと存じます。
次にお尋ねいたしたいことは、第八国会におきまして政令に委任されまするあの財務基準に関する事柄でありますが、一応あの当時にお示しを頂いたわけなんでありますが、今日政令で公布されておりまする内容につきましては、その当時と非常に隔りのあるものであります。そうして又その時期におきましても、百日以上経過してそれが公布になつたというこの二つの事実につきましては、私どもは将来お考えを願わなくちやならんと思いまして、この事実に対しましては遺憾の意を表せざるを得ないのであります。併し財務基準それ自身につきましての内容につきましては、非常に立派にできておりまするものでありまして、この内容についてとやかく言うわけではありませんが、一応この点についての今後政府当局として法律案を出されまする場合の、委任事項の政令案の内容というようなものにつきましては、それまでによく検討をされて違つたものにならないように、我々の審議の参考に提出されたものが違つて来るということにつきましては、審議する者といたしましては非常に迷惑に相成りまするので、この点につきましては御善処を願わなければならんと存じておるわけであります。この点につきまして一、二お尋ねをいたしたいと思うわけでございますが、自己資本の充実というような事柄と、もう一つは系統団体の事業資金という問題につきまして非常に立派にできておるわけでございますが、現状がこれになかなかついて参らんと思うわけであります。従つてその間経過規定といたしまして、暫定的にこの方向に向うように規定付けられておるように承知いたしますわけでありますが、従いましてこれが指導監督ということにつきましては十二分に政府当局においてお考えを願わなければならんと思うわけであります。従いまして現在農林省におきましては検査課を新設されまして力を入れられることになつておるようでございまするが、私どもはこれでは満足ができないと思うわけであります。従いまして農協の運営を全たからしめるための指導督励ということにつきまして国或いは地方庁のこれに関しまする機関を拡充、整備するお考えがあるかどうかということをお尋ねいたしたいことと、農協の性格からいたしまして自主的にやらなくちやならん面が多々あるわけなんでありまして、その点からいたしますると指導事業を行いまする農業協同組合の連合会の拡充整備も又、当然取上げなければならんと思いますわけでありますが、これに対しまする政府のお考え方を併せてお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X02319510324/7
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008・打越顯太郎
○説明員(打越顯太郎君) 財務基準をきめておりまするところの政令につきまして、国会で御審議頂きました法律制定の当時から非常に遅れましたことにつきましては私ども非常に遺憾の意を表する次第であります。財務基準の政令を愼重に関係方面と折衝いたしました関係上、以外に遷延いたしました次第でございまして、私どももその点非常に遺憾に存じておる次第であります。なお財務基準の政令につきまして実際は非常に現状から申しますればやや実施に対しましてむつかしい点もあるようでございまするけれども、私どもは協同組合の健全なる発展を図りまするためには、やはりさような方法で進んで参ることが必要であろうと、かように考えておる次第であります。
なお特に不振な経営にありまするような組合につきましては、現在の財務基準の政令に適合するということが困難な関係もございますので、さような点につきましては別途に政令の緩和のことにつきましても目下検討をいたしておるような次第であります。
なおこの協同組合の指導育成につきまして政府といたしましてどういう将来対策を持つておるかというふうな御質問でありまするが、これに対しましては飽くまでも農業協同組合の健全なる自主的な発展を図る、殊に今日の経済自立の態勢に即応いたしまするためには何と申しましても協同組合の健全な発達に待たなければならんということは申上げるまでもないのでございますので、さような点からいたしまして協同組合の実態につきましてこれを把握いたしますると同時に、実態に即応いたしました将来指導政策を持つて参るような方向に進んで参りたいと考えておる次第であります。検査課におきまして毎年一回定例といたしまして検査をいたすことになつておりまするけれども、この検査につきましても飽くまでも協同組合の立派な将来の健全な発達を促進する意味におきまする検査、育成助長の意味におきまして検査をいたすことにいたしておるのでございまして、さような検査の結果出ましたデータによりまして新らしい協同組合の将来の行政につきましてもそこからいろいろの点を引張りだして参りたいと、かように考えております次第であります。なお政府の指導強化に対しまする施策のみならず飽くまでも自主的に協同組合自体の指導育成強化を図つて参りますことも当然のことでございまして、今日指導連を中心といたしまして、自主的な指導助長の対策につきましていろいろと指導連当局等とも御相談申し上げまして、その拡充強化の方向に進めて参りたいと考えておりまして、目下いろいろと検討いたしておりますような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X02319510324/8
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009・小林孝平
○小林孝平君 本案の内容についてはなお幾多質疑を行わなければならない点もありまするし、又不満の点も一、二あるのでございますけれども、先日の提案理由の説明の際にも申された通り急速に本案の成立を図らなければならない事情がありますので、質疑をこの程度に打切り、速かに採決されんことを望みます。
〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X02319510324/9
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010・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 只今の小林さんの動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X02319510324/10
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011・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それでは質疑は終了したものと認めます。
これから討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
〔「ないない」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X02319510324/11
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012・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 別段御発言もないようでありますので、討論は終局したものとして採決に入ります。
農業協同組合法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに御賛成のかたの御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X02319510324/12
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013・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決いたしました。
なお前例によつて諸般の手続は委員長に御一任をお願いいたします。なお恒例によつて多数意見者の御署名をお願いいたします。
多数意見者署名
岩男 仁藏 岡村文四郎
小林孝平 宮本 邦彦
白波瀬米吉 三輪 貞治
三橋八次郎 江田 三郎
加賀 操 赤澤 與仁
池田宇右衞門発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X02319510324/13
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014・羽生三七
○委員長(羽生三七君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X02319510324/14
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015・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 速記を始めて下さい。
それでは農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案についての内容の御説明を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X02319510324/15
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016・新澤寧
○説明員(新澤寧君) 御説明申上げます。改正法の第一点は第二条第三項第一号でございますが、これはこの農林水産業施設の災害復旧事業費国庫補助の法律のほかに、もう一つ一般の土木災害につきまして公共土木施設災害復旧事業費の国庫負担法、こういう法律が別途ございます。それでは一般に地方公共団体の維持管理いたします施設についての災害復旧に関する国庫負担の関係を定めております。でここに挙げてあります林地荒廃防止施設につきましても、そうした公共事業の維持管理する部面もございますので、その分につきましては別途ございます公共土木施設災害復旧事業費国庫負担の法律のほうの適用を受けるわけでございますので、その関係をここで明らかにしたわけでございます。
次は第二条第五項に、現行法の「原形に復旧すること」ということの下に「(原形に復旧することが不可能な場合において、当該農地等の従前の効用を復旧するために必要な施設をすることを含む。)」こういうことを加えたわけでございます。従来の現行法を御覧頂きますと、第二条の第六項に、災害によつて必要を生じた事業で、災害にかかつた施設を原形に復旧することが著しく困難又は不適当な場合についての規定が掲げられてございます。そうしてこの部分につきましては補助の関係は、原形復旧に必要な経費に相当する部分だけ補助がございまして、それを超過する分については補助がなかつたわけでございます。ところが、実際の現実の災害の現状を見ますと、原形に復旧するだけでは従前の効用を復旧することができない場合が多々ございます。そうしてそういうような場合に、單に原形復旧について補助費を認めるということは甚だ工合が惡いので、ここに掲げましたように、従前の効用を復旧するためにはどうしても原形復旧以上の点まで及ぼさなければならない場合には、その最小限度におきましては、やはり原形復旧と同じような観念で取扱をして行くのが至当であるということを考えまして、特に原形復旧という観念をここに掲げましたようにやや拡げたわけであります。但し拡げましても、現実の運用におきましては、こうした規定を広く今日解釈いたしまして改良事業に属するような部面が、この中に含まれて来て、本来の災害事業を由々しく逸脱するようなことのないように、運用において十分努めたいと考えておるようなわけでございます。
第三点は第三条でございます。補助率の問題でありますが、ここで変つて参りましたのは、第三条の前文のほうで、今申上げましたことに関連して第一項を若干超過事業費に関連して書き改めております。それから第二項におきましては補助率を林業用施設につきましては、特に奧地林の開発というものの将来における重要性ということを考えまして、従来林道に関しますものについての補助率が一律に十分の五でございましたのを特に分けまして、奧地幹線林道にかかるものについては十分の一・五だけ補助率を特に高めるように措置いたしたのでございます。それからもう一つは、漁港施設、第二項第四号でございます。漁港施設にかかるものにつきましては、従前は十分の五でございましたが、これは先ほど申上げました一般土木の災害復旧のほうの法律を見ますと、港湾施設に関するものにつきましては十分の六・五になつておりますので、漁港施設につきましても、これと歩調を一にいたしまして、十分の六・五というふうに上げまして、それらとの権衡を保つた次第でございます。それから第三項は先ほど申しました第一項の改正と関連しているわけでありますが、いわゆる原形復旧に関する部面につきまして、先ほど御説明申上げましたように、従来規定がなかつたのでありますが、原形に復旧する以上のものにつきましては、原形復旧をするに必要な分までは一般の補助率によりまして、それから原形を復旧する場合より以上にかかります部分につきましては、基本のペースよりも幾分引下げまして、特に今後は補助を加えて行ごう、こういう考えでございます。以上が改正点でございます。
それからもう一つ申し忘れましたが第五条九号を削つてございます。これは、国が補助金を出します場合には、地方公共団体もそのうち、幾分かの補助金を支出する義務負担があつたわけでございますが、これは現在の地方財政の現状に鑑みまして、法律でそういうような義務を、地方公共団体に負わせることが適当ではないだろうということで、削つたわけであります。併しながら現実におきましては、これによつて地方公共団体が、全然国の補助に加えて補助しなくてもいいのだということではありませんので、地方財政の現状、実力、その災害復旧事業の公共性、或いは受益者の負担能力、それらを勘案いたしまして、やはり従来と同じようなと申しますか程度には、地方公共団体のやはり負担もさせて行かなければならんということを考えておりますし、又地方財政の実情に応じて、そうした負担が今まで通り行かなければならない場合におきましても、一方受益者の自己負担分に対する事業費の低利金融の途というものも、別途考えられておりますし、それも今後できるだけ充実したいということで現実には農民その他の災害復旧事業の実際の受益者の負担が、過重にならないという配慮を十分して行きたいというふうに考えておる次第でございます。
以上が改正点の大体の内容であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X02319510324/16
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017・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 只今の点でちよつと私から一つお尋ねしたいのですが、第五条第九号は、只今御説明のように、地方公共団体の負担は軽減することになり、その義務を免除したことになりますが、その結果いわゆる個人負担と言いますか、受益者負担が増加するので、実際の事業分量というものは減ることになるように思うのですが、その点はどういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X02319510324/17
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018・新澤寧
○説明員(新澤寧君) 先ほど御説明申しましたように、一応地方財政の実情に鑑みまして、法律上の義務ということで、法律にはつきり規定いたしますことはどうかという意味合いで消したわけでございますが、実際においては公共性の大きなものについては、従前通り地方公共団体が補助金の支出をするように指導をして行きたいと思います。又事業費のほうは、国庫負担のほうのペースは従前と変つて来ておらないわけでありますので、事業分量は減ることにはならないと思います。受益者の負担軽減という問題に関しては、別途金融措置というようなことも考えるということで、事業分量につきましては、こうした規定を落したことによつて減らないものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X02319510324/18
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019・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それでは御質問は後日に譲りまして、本日はこの程度で散会いたしたいと思います。
午前十一時二十九分散会
出席者は左の通り。
委員長 羽生 三七君
理事
片柳 眞吉君
岩男 仁藏君
岡村文四郎君
委員
池田宇右衞門君
白波瀬米吉君
平沼彌太郎君
宮本 邦彦君
江田 三郎君
小林 孝平君
三橋八次郎君
三輪 貞治君
赤澤 與仁君
加賀 操君
事務局側
安樂城敏男君
中田 吉雄君
説明員
農林大臣官房総
務課長 新澤 寧君
農林省農政局農
業協同組合部長 打越顯太郎君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X02319510324/19
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