1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年五月二十八日(月曜日)
午後一時五十一分開会
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本日の会議に付した事件
○森林法案(衆議院提出)
○森林法施行法案(衆議院提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/0
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001・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。
先日の委員会で森林法案並びに同施行法案についてなお質疑のおありのかたは月曜日にということを申上げてありますので、本日時間の関係で一時間半くらいだと思いますけれども、質疑を続行いたしたいと思いますのでどうぞよろしく……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/1
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002・門田定藏
○門田定藏君 日本の食糧問題その他の現状から考え度して、将来必ずこの林野の開墾が必要であると考えられます。これにつきまして本法案が若し実施された場合に、そういう適地によつて開墾の希望が各地方から出た場合、こういう場合にいろいろと所有者その他希望者の間に問題が起るのじやないかと考えられます。その場合に当つて当局はその処置について何かお考えがあるのですか。それをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/2
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003・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) この森林法案は開拓地の開拓、適地の開墾というようなことについて何らの制限をいたしてございません。御承知のように今農林省では開墾適地の基準を作つておりまして、基準に当てはまるものは協力しまして開墾を進めて参るというふうに考えておるのでありまして、この法案では何らその仕事を進めますのに制限をいたすようなことはございません。又そういう考えもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/3
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004・門田定藏
○門田定藏君 我々が従来林野の開墾等に当つて農地委員会その他が開墾の要求をしておるために、林野の所有者が殊更に林野の開墾の適地であつても提供を拒んでいろいろと問題が起つておる事実を見ておるのでありますが、若しこの林野に指定された所がその地方においていろいろそういう問題が将来起るのじやないか、たとえ林野であつてもその地方においてはその地方の人口問題、開墾の適地であるというようなことを林野であつても農地委員会等において認めた場合、その場合にいろいろな問題が起つて来ておるのは従来の事実に徴して我々の実験しておるところであります。そういう林野に対する問題が起つた場合に、適当なこれが開墾地と地方で認められた場合に、当局はそういう問題が起つたときにどういう処置をおとりになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/4
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005・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) 従来非常に問題が紛糾して参りましたときには、農地局の係官と私どもの係官と参りまして、共同調査をいたしております。土地の総合的な考え方から利用度の高い農地にいたすのが適当であるというような林野につきましては、快く御協力を申上げまして、開墾をすることをお奨めしておるような事情で、従来も今後とも少しも変りがない取扱をいたす考えでいるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/5
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006・門田定藏
○門田定藏君 もう一つお尋ねしたいと思うのですけれども、森林の所有若といえども数十町歩、或いは大きなのは数千町歩、小さいのは一町歩以内のがあるのですが、この法案が施行された後、或いは自家用として間伐等僅かな伐採を要する場合、こういう場合に一本切つても二本切つても、これをこの法案から言えばそれだけ届出をせねばならんが、こういう場合にどういうお考えでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/6
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007・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) 一応さような点を考慮いたしまして、一戸当りにつきまして五反歩ずつの自家用林というのを認めておるのであります。そこにおきましては自由にいつでも何の届出も何もなしに勝手に用材も薪材も伐れる途を開いてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/7
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008・門田定藏
○門田定藏君 五反歩ということはわかりましたが、或いは五反歩以上でありましても、そういう場合が、農家としては或いは六反とか、八反とか、一町内外の所有者がたくさん自家用として山林を所有しておるのがあるのでありますが、これらがそういう場合法律によつて届出をする性質のものであるかないか。又もう一つ僅か数本の木を伐つた場合でも、これを価額に加算して計算して税金の対象とするようなことは私どもよくないと思います。それらについてどういうお考えでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/8
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009・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) その面積は五反歩以内ということになつておりまするので、五反歩で間に合わないような場合が起きましたときには、適正伐期齢級以上でございますれば届出をして頂くということになります。差当り五反歩の中で間に合わせて頂きまして、それよりもたくさん要る場合には届出をして頂くという取扱をいたしたいと思います。なお一本、二本自家用に伐りましたものを税金の対象にみなすかどうかということは、地方の税務署の判断でございますけれども、でき得ますれば、私ども自家用に使いますものを税金の対象にするというようなことがないように一つお取扱い願いたいというふうに税務署と話合いをいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/9
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010・江田三郎
○江田三郎君 今の門田委員の質問に関連するわけですが、門田委員が最初質問されたのは植林或いは治山ということと開拓というようなものが将来競合関係が起りやしないかということに対しまして、開拓のほうは一定の基準があるわけであるからして、そういう虞れがないというように言われましたが、併し現実には今日までそういうような競合関係が起き、或いはトラブルが起きておつたと思うのでありまして、又開拓の適地として開放された所が、その後は立木だけは伐られたけれども一向に開拓されないで、それが原因となつて荒廃を来したというような所もあつたわけです。私はそこでこの際お尋ねしたいのは、治山計画というようなものの根本方針なんであります。これは先だつてちよつとお尋ねしましたところが、中央の森林協議会とか、森林審議会というような所で根本方針を立てられるということでありましたが、併し中央審議会がどういう答えを答申したところで、林野庁として、或いは農林省としては今日まで治山計画というものをしばしば発表された以上は、そこに根本的な方針があると思うのでありまして、どうも我々が今日まで林野庁或いは農林省あたり全体から発表された資料を見ますと、開拓については傾斜度が幾らで日当りがどうでというようなそういうようなことだけが出て来る。治山計画についてはただ面積がこういうことになつて、それに対する予算がこうでというようなことだけが出て来て、一体そういうような治山計画というものを進めて行く根本方針は何であるかということが我々にはよくわからんわけでありまして、その点をもう少しはつきりとお答え願いたいと思います。即ち一体そういうものを将来利用するというものに対しまして、いろんな利用の方法というものがあるわけでありまして、例えば将来その食糧生産というもの、勿論これはただ澱粉質というだけでなしに、畜産関係の蛋白資源の問題もありましようが、そういうような食糧というような問題を中心にして行く考え方も出て来ると思う。或いは又そこから出て来る木材の生産量としいうものを論議にする考え方も出て来ると思う。或いは又治山ということを中心にする考え方も出て来ると思うのです。そういうものを全部うまく調整してやるのだいう答えを恐らくされると思いますが、そういう答えはいつでも出て来るのでありますけれども、実際にはなかなか調整できない。調整できないということは同じ農林省の中にあつても農地局関係と林野庁関係とはしばしば意見が対立し、現地においてもトラブルが出て来ておる。農林省関係だけでなしに、農林省と建設省と比べて見ると、そこにやはり意見の食違いがあるわけなんでありまして、そういう点で今度の基本計画というようなものが、流域別に立てられるということはこれは私は大きな進歩だと思うのでありますが、流域別ということは私の解釈によるというと、従来の治山計画というものは治水計画と結付いておらない、治山治水というものがはつきり結び付いて来たものと私は解釈するのでありますけれども、この解釈は違つておるかも知れません。そういうことにつきまして、もう少し林野庁としては治山計画を立てられるのに、大体年々の伐採量は幾らであつて今造林面積が幾らであるということでなしに、その根本をどこに置かれるのかということをお尋ねしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/10
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011・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) 只今の御質問大変むずかしい問題でございますがお話のうちにございましたように、各種の重要な産業を総合的にいろいろ勘案いたしまして、それぞれの現地について具体的に決定をして行かなければならない問題がたくさんあると思うのでありますが、御承知のように森林の持つておりまする国土保安の機能を十分発揮させますように、保安林の整備というものを只今五カ年計画で実施をいたしておるのであります。先般も御質問がございまして、提案者からお答え申上げておつたのでありますが、只今保安林の面積が民有林、国有林を合せまして約二百万町歩でございます。それを約四百万町歩にいたしまして、国土保安の骨をそこに作つて参ろうという考えを一つ立てておるのであります。なお御承知のように、濫伐をいたしました結果、荒廃いたしておりまする林地が約三十万町歩、二十九万六千町歩ほどあるのでありますが、そのほかにまさに荒廃林に移行しようというような態勢のものが二十万町歩ございます。これを十カ年で全部回復をして参りたいと考えまして、過半のものを五カ年計画で計上いたしておるのでありますが、先ほど御質問のございました治山の根本計画はどういうところに置いておるかというお話でありますが、私どもといたしましては、できるだけ森林の造成によつてその森林の持つ国土保安の機能を十分活用することによつて国土保安の万全を期して参りたい、さように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/11
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012・江田三郎
○江田三郎君 まあそういうような答弁をされるだろうと思つておつたのでありますけれども、そういうような答弁だけでは一向にわからんのであります。もつと根本的な、イデオロギーというわけではありませんが、基調をどこに置くかということを私はお尋ねしたいのでありまして、例えば今回別の法案になりますけれども、国土調査法というものが出ておるわけでありまして、この国土調査というものは私は水というものを大きく取上げておると思うのであります。水というものを中心にして、治水というものからしでいろいろなものを見付けて探究して行こうというのが国土調査法ではないかと私は解釈しておるのでありますが、これは将来の森林計画に当りましてもやはり治水ということが中心にならなければならないのではないか、そういう点はどうも林野庁ということになると、水の問題でなしに、ただ木の問題を第一に考えられて、何でも国土が欝蒼とした森林で蔽われてしまえばいいというようなお考えになりがちだと私は思うのでありまして、そういう点は実際にはそんなことを言つたつてできるものではないのでありまして、いろいろな農業の要請もありますし、或いは建設関係の災害防止という要請もありますし、いろいろな要請が出て来まして、なかなか国の予算のないときに山を欝蒼として生い繁らすということはできるものではないのでありましてやはり一定の予算というもの、一定の国民の資力というものを効率的に使つて行かなければならない。それにはやはり流域ごとにもつと緻密に水の流量調査をやられ、或いは又土地の崩壊の状況なり土質の状況なりその他を調査して、一体この流域についてはどことどこを保安林として設定したならば、治水面というものがやつて行けるのであるかということが私は中心ではないかと思うのでありまして、そういうようなことで一つの保安林というものができて来れば、ほかのものについてはこれをできるだけ農業関係に開放して行く、その農業というものは必ずしも先ほど申しましたように澱粉質を作るのでなしに、或いは食用林産物という意味での広い農業もありまし上うし或いは放牧関係の畜産というものもありましようし、やはり狭い国土というものを効率的に使つて行かなければならないのでありまして、それにはどうしても基調になる考え方というものは水でなければならんということを常々考えておるわけでありまして、そういう点について一体林野庁あたりはそうではない別なお考えでやつておられるのがどうかということ、又水というものを中心にして考えるならば、そういうことについて建設省あたりと一体うまく連繋がどれておるのか、或いは又それに必要なところの基礎的な水調査、或いは土地の崩壊の調査とか、そういうものができておるのか、やろうとしておるのか、そういうことをお尋ねしたい。
それから又例えば松食虫の跡地の問題にしても、ただ松食虫の跡には植えなければならないというようなことは盛んに言つておりますけれども、将来の松食虫の跡をどういう山にしたらいいのか、そういうことについても今申しました水というような観点から、松食虫山の跡ももう一遍再検討いたしまして、又治水面に障害のないことならば、木を植えないでもほかのことをやつてもいいし、土地の高度利用が図られるのではないかと思うのでありまして、そういう点があえて林野庁第一主義、セクシヨナリズムに促われておるのではありませんけれども、どうもはつきりしないように思うのでありまして、お答え願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/12
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013・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) 水を中心としていろいろの施策を特に林政などは考えるべきではない、なかんずく国土保安ということについては考えなければならないのではないかというような御意見、私どもも水は最も大きな調査すべき対象であるというふうに考えておるのでありまして、昭和十四年から群馬県の室川という所に水の試験地を作りまして、これは世界でも二番目に古いしつかりした基礎を持つた試験地でありまして、この結果によりますと、降りました水は七五%が流れ出す、有林地であつても無林地であつても共に七五%は流れ出す。ただ木のあります場所は流れ出すのに非常に時間がかかる、ゆつくり流れ出して来る、それが木のないところですと一度にどつと流れ出して参りまして、非常な災害を及ぼすこともある、そういうような結果が出ておるのでありますが、残念ながらお話にございました無林地の土地の土砂の流出状況、或いは崩壊状況というようなものを併せて調査をすればよかつたのでありますが、施設の関係でやつておらないのでありまして、今後それを併せまして水の調査をいたしたいと考えておるのであります。宝川の試験地の結果につきましては、いずれ本委員会にも報告を申上げたいと考えておつたところであります。又それに関連いたしまして、松食虫の跡地というようなものに対する復旧等もどう考えるかというようなお話でございましたが、兵庫、岡山等に非常に跋扈いたしました松食虫の被害もようやく本年度あたりから猖獗の度が低まつて参つたようでありますけれども、この跡地を農地にいたすのでありますれば格別、或いは更に高度の利用を考えるのであれば格別でありまするが、なお林地として将来松食虫が起きないようにすると、それによつて国土保安の効果を挙げようという場合には、松の純林仕立というようなものをやめまして、松と適当な濶葉樹を混入させて成立させることによりまして、松食虫の被害を従来のようなことにならないように施策をして参りたい。又松食虫の天敵を林内に誘導することによりまして、松食虫を絶やすというようなことも考えておるのであります。いずれにいたしましても、お話のように水ということは決して私ども軽視しておるわけではありません。山を作りますにも水の流出の状況というようなことを常々頭に置いて森林を仕立てておるつもりであるのでありまして、今後もお話のような点を十分考慮をいたしまして、森林の育成を図るということを指導して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/13
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014・江田三郎
○江田三郎君 今の問題は、たまたま外の委員の皆さんの出席が少かつたんで、ちよつと時間を利用して言つたんでありまして、これは今三十分やそこらやつたところで片が付く問題でないので、改めてお教えを頂きたいと思つておりますが、ただちよつと最後の松食虫の跡地の問題ですね、この問題についてはこれはまあ松だけでなしに、或いは針濶混淆というか、いろいろ指導方針としてお考えになつておられるようでありますが、それならば一体そういうような苗木の供給ということについて十分の措置ができておるのかどうか、まあ私は不幸にいたしまして、そういうようなことについて昨年でありましたか、アカシヤの苗を探して見たところが、一本のアカシヤの苗が百円から百五十円する、県のほうにも無い、苗木商のほうへ行つたら百円から百五十円するというので、えらい高いものだと思つたのですが、そういうようなことについて積極的な施策は実際行われておるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/14
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015・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) 苗木のことについて申上げますが、一本のアカシヤ、多分江田先生のお探しになつたのは「とげなしアカシヤ」でないかと思います。あれは一本の木から十数本の苗木ができるようなつておるのでありまして、岡山の県庁ではたしかあそこにございます試験場と連繋いたしまして、一本四円くらいでお分けをしておるはずでないかと思います。それを一年置きまして二十センチくらいに切りまして、それを挿しますと、すぐに新らしい苗木ができるという特別な生活力の旺盛な木でございまして、たまたまそれは不当な苗木商に交渉された結果でないかと思いますが、只今全国的に「とげなしアカシヤ」というものは非常に広まつて参つておりまして、現在はさようなことがないと思いまするし、それから全体の造林面積に間に合います苗木というものは、十分只今確保されておる状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/15
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016・江田三郎
○江田三郎君 なかなかそれがそうおつしやるようにまだ行つておらんのでして、それと一体「とげなしアカシヤ」というものについては、将来再びとげのあるようなものにはならんというはつきりした実験的な、或いはまあ学術的な結論というものが出ておるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/16
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017・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) 大体において「とげなしアカシヤ」は何代も更新いたしましても、とげが出ないということになつておるのでありまするが、たまたま先祖がえりいたしまして、とげの出て来るようなものもあるようであります。その率は非常に少いように私ども考えております。大分全国的に「とげなしアカシヤ」というものが殖えて参りましたが、大体においてとげが無くて何代も進んでおるのでございます。ただ少し老齢木になりますると、幹の下のほうにとげが出て来るような現象はありますようですが、只今御心配のように全部とげを持つて参るというようなことは、私ども現在の状態ではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/17
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018・江田三郎
○江田三郎君 今日はこれでやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/18
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019・片柳眞吉
○片柳眞吉君 私の質問は或いはダブつておりますればお答えは要りませんが、先ず第一点は適正伐期齢の問題でありまするが、この場合に、従来からも経済的な理由で早く伐るというよりも、特殊の用途に当てる意味で、或いはここに書いてありまする適正伐期に達せぬものもまあ慣行的に伐つておるものが私はあるのではないかと思う。といいますのは、例えば私の郷里の奥多摩地方あたりでは、主として特殊の丸太を供給しておるわけです。恐らく二十年も過ぎますれば相当伐つておるのではないかと思います。これは細い長い丸太を供給する、かような観点から余り太くなると却つて用途に合致しないと、こういう地方があるのであります。その他の方面にも特殊の用途に充てる意味で、もう慣行的に或る程度客観的に見た一般的な適正伐期に達せぬものも伐つておる。これは大抵すぐ植えておると思うのでございますが、そういう場合に、そういう総体的な適正伐期といいまするか、そういうものをお認めになる御方針かどうか、一つその点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/19
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020・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) お話のような特殊の林産物を生産いたしておりまするものは、特殊な伐期齢で扱つて参りたいと考えております。
只今お話の四谷丸太とか或いは北山台杉とか、その他ステツキ用に櫻の密植をいたしまして、細いものを出しておりまするが、さようなものは特別に扱つて参る考でございます発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/20
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021・片柳眞吉
○片柳眞吉君 それからその次に森林組合のことで二三お聞きしておきたいと思いますが、これも或はもう御質問が出ておるかも知れませんが、第八十六條の第一項で組合員たる資格を規定しておりまするが、この場合に法人が加入できまするかどうかという点。それから第二号の「組合の地区内において林業を行う者」、この中に薪炭の生産者が入つておりまするかどうか、この二点を先ず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/21
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022・武田誠三
○説明員(武田誠三君) 今の森林組合の組合員でありますが、施設組合のほうには法人も加入することを考えております。それから生産組合のほうは、ここにございますように個人に限定をいたしております。それから施設組合のほうの組合員であります第二号のこれは準組合員に相当するものでありますが、新炭業者等も必要がありますれば、これは認めてよろしいかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/22
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023・片柳眞吉
○片柳眞吉君 そうすると、この薪炭の生産者はこの第一項第二号の「林業を行う者」という解釈に入るわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/23
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024・武田誠三
○説明員(武田誠三君) この林業は薪炭生産まで含めたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/24
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025・片柳眞吉
○片柳眞吉君 その次に今度の法案によりますると、協同組合的な色彩が濃くなつて参りまして、従いまして加入脱退が自由である、こういうことになつておりまするが、併し組合の資金なり或いは借入金を固定する部面が相当出て来るわけでありまするが、そうしますると、例えば生産組合で森林の長期間の育成途上にどんどん組合員が脱退をするという場合に持分の払戻しに実は相当私困りはせんかと思うのです。例えば伐期適齢に達しない前に組合員が脱退した場合には、一応脱退は認めるけれども伐期が来てそれが処分できるまでは払戻しを待つてもらうというような考えがないと、結局大部分の資金は山林なり林道等に資金を固定をしてしまうわけでありまして、さような場合にどんどん脱退の自由を認めて行きますると、これはまあ観念上の心配かも知れませんが、脱退者が多い場合には非常に借金でもして来んと持分の払戻しができないと、こういうことが心配されるわけでありますが、その辺に対してどういうようなお考えを持つておられますか、お聞かせを頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/25
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026・武田誠三
○説明員(武田誠三君) 只今の御質問の脱退組合員に対する持分の払戻しでありまするが、これにつきまして法文上特にそれを延期するとかいうような規定は全然考慮いたしておりません。でこの生産組合でありますが、これにつきましては、差当りまして従来の部落の共有林みたいなものが、市町村有林にならずに個人の共有林に移りましたものが相当あるわけでありまして、そういうものを成るべく差当つては生産組合に切換えて参りたい、こういうような気持で実はおるわけでございます。生産組合におきましてお話のような事態が頻発して来るというようなことでありますれば、その際には特殊な考慮を払わなければならないかというように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/26
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027・片柳眞吉
○片柳眞吉君 その次にこれは或いは極めて陳腐な質問でありますが、出資をしない組合員には持分は当然ないと思いますが、さように解してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/27
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028・武田誠三
○説明員(武田誠三君) 出資組合につきましての持分でありますが、持分というものの解釈によると思います。出資組合から脱退いたしましたときの一般の持分関係というものは考えられないと思います。解散の場合におきましては、そういつた処分が考えられて来るかというように考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/28
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029・片柳眞吉
○片柳眞吉君 そこで若干の疑問といいまするか、出て参りまするのは、出資をしておる組合でも併行して賦課金でありまするか、経費を組合員に賦課できるわけであります。その出資制度をとつておる組合はこれは当然に出資額に応じて持分が算定されるということになると思うのでありますが、そうなつて来ますると出資額と賦課金とが平衡しておりますればこれは持分の関係は不均衡が起きて来ないと思いますが、出資が少い場合、少い組合員に或いは賦課金が非常に来ておると、その賦課金で林道なりその他の施設をするということで出資と賦課金とが不均衡になりますると、持分の計算に実体上に非常な不均衡が来るというようなことを一応心配するわけでありますが、その辺をどういうふうに或いは指導なり、実際の経費の賦課を大体出資に応じて賦課をするということでありますれば、私の心配は杞憂になるわけでありますが、その辺の一つ方針をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/29
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030・武田誠三
○説明員(武田誠三君) 一般的に只今の御質問のような形で指導はいたして参りたいと思うのでありますが、例えば林道を建設いたします場合に、組合員にその費用を一部負担させるというような場合が起つて参ると思いますが、かような場合にはむしろその受益関係といつたほうが強く出て来るような場合もあるかと思うのであります。従いまして、今御質問のような点が必ずしも出資額と、この点とが平衡的にならない場合もあると思います。その点につきましては、持分関係は実は私どももいろいろ研究をいたしておりますが、理論的にもむずかしい問題があるようにも考えております。お話の趣旨につきましては十分更に検討を進めまして、持分関係でいろいろなトラブルが起らないように指導なり運用を図つて参りたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/30
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031・片柳眞吉
○片柳眞吉君 それからこの生産組合は主として組合みずから森林の経営をすることが主な目的でありますが、組合で植林なりその他の森林の経営をする権限はどこからこれは出ておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/31
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032・武田誠三
○説明員(武田誠三君) 施設組合が植林その他をいたします場合には、委託乃至信託によつて組合員と組合との契約によつてやらせて参りたいと、かように考えております。
生産組合の場合にはこれは生産組合それ自身が一つの森林所有者でありますので、みずからの事業として植林をし、伐採をするというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/32
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033・片柳眞吉
○片柳眞吉君 ちよつとわからなかつたのですが、生産組合の場合にはみずから植林その他の経営をすることはわかつておりますが、例えば植栽をする土地は必らずしも組合の自由ではないと思うのであります。そうすると自分が所有をしておらない土地に植栽をするその権限が主として賃借契約で行くか、どういう権限でこれをやることになりますか、この質問であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/33
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034・武田誠三
○説明員(武田誠三君) どうも御質問の御趣旨を取違えまして失礼いたしました。生産組合が植林をいたします際の土地との関係でありますが、これは一つには森林組合の組合員からの現物出資がありました林地を一つ対象として考えております。それからなおその場合にその土地についての賃借権或いは地上権といつたようなものの権利の現物出資も一応考えておるのであります。そういつた林地を全然持たない生産組合が成立いたしました場合には、その生産組合におきまして他のものから新たに林地を購入いたしまするか、或いは賃借権契約を結んで行く、こういうことで考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/34
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035・片柳眞吉
○片柳眞吉君 最後に森林組合の今後の指導なり育成の観点でありますが、この新らしい森林組合が考え方を非常にイデオロギツシユに見て行きますと、まあ小さい山林を持つておるとなかなかこれは個人では経営ができない。従つて積極的に組合に経営を委託するなり、或いは信託するなり、或いはその土地を組合に提供して、組合でむしろ大規模な輪伐のできるような総合経営をして行く、こういう非常に強い意図の下にこれが出されておりまするかどうか、單なる組合員のためにやるというよりも組合でやはり総合的な或る程度毎年々々輪伐ができるような意味から積極的に組合の経営に移すというような方針を持つておりますかどうか、これは今後組合の育成にも関係すると思いますので、その辺のお考えを伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/35
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036・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) 御承知のように森林経営というものは大面積経営が最も望ましい姿であるのでありまして、個々の零細な森林所有者が個々に林業経営をいたしておりましたのでは林業経営の目的を十分達することはできない、さような考え方からこの組合を作りまして、組合の形において相当面積の所有者ということにいたしまして経営をいたそうと考えておるのでありまして、お話のようにできるかけ組合の地域内で保続的に合理的に森林経営ができるという姿が最も望ましいことと考えまして、将来さように指導をして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/36
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037・片柳眞吉
○片柳眞吉君 もう一つ忘れましたが、第七十九條の第二項の第九号でありまするが、それから八十四條両方に関係しておりますが、団体協約の締結というやつがありますが、これは大体労務を提供しておるような組合員との団体協約ということに解してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/37
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038・武田誠三
○説明員(武田誠三君) これは組合と組合員以外の、例えば取引関係にあります相手方との間に結びます協約というふうにお考えを頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/38
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039・片柳眞吉
○片柳眞吉君 ちよつとその具体的例が私には頭に浮んで来ないのですが、そういうような事例の場合が想定でさましたら一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/39
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040・武田誠三
○説明員(武田誠三君) これは農業協同組合、或いは水産業協同組合等にも同様の規定があると思いますが、一種の例えば組合からの出荷共同販売をいたしますものにつきまして、その買手のほうとの間に一定の価格の取りきめをする。その場合に組合員がそれ以下の価格で例えば相手方と販売の契約をしたというような場合に、団体協約をもつてした価格で契約があつたものとみなす、こういう運用をして参るのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/40
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041・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 他に御発言もなければ本日はこの程度にて散会いたします。
午後二時三十四分散会
出席者は左の通り。
委員長 羽生 三七君
理事
片柳 眞吉君
岡村文四郎君
委員
瀧井治三郎君
宮本 邦彦君
江田 三郎君
門田 定藏君
小林 孝平君
三橋八次郎君
飯島連次郎君
加賀 操君
三浦 辰雄君
政府委員
林野庁長官 横川 信夫君
事務局側
常任委員会専門
員 安樂城敏男君
常任委員会専門
員 中田 吉雄君
説明員
林野庁経済課長 武田 誠三君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014988X04119510528/41
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