1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月十五日(木曜日)
午前十時五十五分開会
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本日の会議に付した事件
○教科書の発行に関する臨時措置法の
一部を改正する法律案(衆議院送
付)
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001・加納金助
○理事(加納金助君) それでは只今から本日の委員会を開きます。
本日は教科書の発行に関する臨時措置法の一部を改正する法律案、これにつきましての引続き御質疑のあるかたはどうぞ一つ御質問を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/1
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002・荒木正三郎
○荒木正三郎君 この法律の趣旨は、三分を一分に減額するというところにあると思うのですが、今まで三分というものを保証金として積立てて置く、こういう理由はどこにあつたのか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/2
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003・佐藤重遠
○衆議院議員(佐藤重遠君) 細かい数字に関係しておると思いますから、説明員をして説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/3
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004・近藤唯一
○説明員(近藤唯一君) 只今のお尋ねは三分で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/4
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005・荒木正三郎
○荒木正三郎君 そういう保証金を積立てて置く必要があつたのかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/5
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006・近藤唯一
○説明員(近藤唯一君) どうも失礼いたしました。御承知の通りに教科書は非常に教育上重要な教材でありまして、これはよい教科書を比較的廉価に必要の時期までに、各学校が御必要とお認めになりました教科書を必要の数量だけ確実に供給いたしまして、御授業に差支えないようにするということが一番大切なことであろうと存じまして、これに基きまして法律的な措置をいたしましたものが教科書の発行に関する臨時措置法の建前と存じております。従いまして供給を確実にするという建前を堅持いたしまする必要から、発行者に義務を負わせてございますのでございます。それは各学校、教育委員会等から採択のありました教科書の所要部数を文部大臣が発行を指示いたしまして、発行者はこれを製造して所定の時期までに所定の数量を学校までお届けするというところまで発行者に強い義務を負わせてあるわけでございます。その義務を履行させる一つの手だてといたしまして保証金を積むという考えが生じて参つたものと考えておる次第でございます。その立案当初におきましては、三分の保証金と言いますのは、丁度定価の三割に当りますのが用紙代でありましたので、その用紙代の一割という計算から三分がその当時としてはよろしくはないかということで、この線を以ちまして発行供給が終るまで保証金を積みまして、発行、供給の義務が完遂された曉におきまして、この保証金を発行者の請求によつてお返しするというこういう手だてをなされたものと考えている次第でございます。これによりまして、発行者は今日までその義務を滞りなく果して参りまして、これまで保証金の沒収というような処置を受けたものはない状況でございます。簡單でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/6
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007・荒木正三郎
○荒木正三郎君 今の問題に関係して、発行者にこういう保証金を積み立たせるということは、相当発行者に対する負担になると思うのですがね。これは一方で国定教科書として発行しておつた時分にいろいろ業者に対する恩典保護政策とか、それに関連してこういう措置がとられたのであつて、検定制度になつた今日なお保証金を積み立てなければならないという理由は依然として存在しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/7
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008・近藤唯一
○説明員(近藤唯一君) 新らしい教科書制度になりましてからは、従来のように特定会社が国定教科書をやつているというものと根本から違いまして、只今お話のありました通り誠に自由にそして誰もが検定出願ができるような制度になりまして、御承知と思いますが、僅か三、四年ならずして検定教科書が千六百点を超すというような状況になりまして、これは法案の建前も検定助長、又行政上の方針も検定を助長する、そうしてたくさんによい教科書が自由に編成されて、各学校が御希望なさる教科書がたくさんに教育の場に提供されるということに対しまして助長をなして参つたのでございますが、只今の御意見のように、なおそれでも保証金を積み立てることによつて保証する事情がまだあるか、こういうことでございますが、この点につきましては、只今三年の経験によりまして、十分に検討いたしながら参つておりますけれども、何分やはり何らかの形におきまして、使用者即ち学校、生徒、父兄、児童等の保証というような意味合におきまして、何らかの形におきましてこの保証金を積む制度は、現在の制度におきましても残す必要があるのじやないか、併しながらできるだけこれを軽減して、而もなお保証の意義が続けられるようにというようなことが適当ではないかと只今考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/8
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009・荒木正三郎
○荒木正三郎君 この提案理由を読みますと、一分に減額する。こういう理由の中には教科書の定価の騰貴、教科書製造資金の融資の逼迫等の理由で発行者に対する過重な負担となり、教科書の製造の円滑化を阻害しているという理由で三分の保証金を一分に減額する。こういう措置でありますが、要するにこの趣旨は教科書の定価の高騰を防ぎたいというところに一つあると思います。それから教科書制度に必要な資金の運営を図つて、できるだけ教科書の製造が円満に行くようにしたい、こういう考えからこういう減額の措置が講ぜられるというふうな法律案になつておると思うのですが、この問題に関連して、最近こういう措置をとつてもその他の理由によつて教科書の定価が非常に高騰するというような事情にあると思います。その一つの問題は用紙の統制撤廃に基いて用紙の非常な値上りが来る。その値上りによつて教科書が非常に騰貴する。それから又用紙の統制撤廃によつて教科書製造会社が果して十分な用紙を獲得できるかどうか。教科書発行に必要な用紙を獲得できるかどうかという問題が起つておると思うのです。この趣旨から言えば、それらの問題についてもこの趣旨に副うような措置が講ぜられなければならないと私は考えておるのですが、この点についてこれは提案者のかたにお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/9
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010・佐藤重遠
○衆議院議員(佐藤重遠君) 紙の割当配給の問題が重点であろうと思うのでございますが、用紙を確保するという根本の方針を文部当局は持つておることになつておるのであります。なお説明員から詳細につきまして説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/10
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011・荒木正三郎
○荒木正三郎君 それでは更に明確にしておきます、この措置だけでは私は教科書を何らの心配なしに必要量を供給するということは困難であると思います。それに対してどういう措置をとるか、例えば教科書製造に必要な用紙をどういう方法で確保するかという問題です。それから教科書をできるだけ安い値段で供給するためにどういう措置を講ずるか、こういう問題について丁度今教科書用紙の統制を撤廃するということが政府において考えられておる現状において、特に私はこの問題が必要であると思う。そのことの対策なくしてこの問題だけ通しても、保証金の三分を一分に減額したところで何の役にも立たないのじやないかということを心配するために、その措置がどういうふうになつておるかということをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/11
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012・近藤唯一
○説明員(近藤唯一君) 只今の誠に御適切な御質疑を伺つたのでありますが、只今文部省で大事な今の二点につきましてとつておりまする措置について、私の存じておりまする範囲内で御説明を申上げたいと思います。一つは何と申しましても先ほど一番初めに申上げましたように、いい教科書をできるだけ安くということでございます。この線は常に堅持して参らなければならないと存じておりまして、たまたま只今御指摘になりました用紙の問題が非常に重要になつて参りまして、今日までのところは御承知のように用紙割当制がございましたために、各四四半期ずつ年間の所要量をそれぞれ生産割当を受けておりました。併しながら最近の用紙事情から非常に入手に困難を来たしながらも会社のほうにおきましては、又関係官庁とも連絡、協力を頂きまして、この新学期から使いまする教科書につきましては、御心配なく学校のお手許までお届けできる態勢に今日のところあると存じます。併しながら今後につきましては、統制撤廃というようなお話もあるし、非常に心配いたしておりまして、文部省といたしましては用紙資材の所管局でありまする監理局を中心にいたしまして、文部省は挙げまして教科書用紙の確保ということに只今一生懸命になつておる次第でございます。又この点につきましては、文部大臣の諮問機関でありまする教科用図書検定調査審議会、これは全国の各府県の代表のおかたがた集まられまして、更に中央の專門の学識経験者が集りまして構成いたしておりまする審議会でございますが、この審議会におきましても、いち早くこれを取上げまして、特に在京委員で組織いたしておりまする特別委員会におきましては、随時情報を私のほうからも提供いたしまして、その対策について調査御審議をして頂き、且つ文部省も又できるだけ努力をいたしまして、たとえ撤廃というようなことがありましても、教科書用紙の確保につきましては何とかここで御安心が願えるような手だてを講じたいと考えまして、目下その対策に鋭意努力中と承わつておる次第でございます。それから会社の紙の獲得につきまして、これも紙を獲得し、且つ教科書を供給するという一連の作業につきましては、大変な努力を要することでありまして、いろいろ困難な事情も参つております。例えば御指摘になりました金融の問題も御承知のように非常に窮屈になつておりまするために、やはり関係官庁でありまする大蔵省及び日銀当局の協力を得まして、これも文部省全省を挙げまして金融難の打開、それと打開による紙の獲得というようなことに努力いたしまして、その方面からでもできるだけ教科書の値段にふりかかつて来ない、即ち教科書の値段が上らないように、そうして而も円滑に教科書が供給できるようにという手だてを講じつつあります。
なおこの問題につきまして、先ほど申上げました教科用図書検定調査審議会におきましても、従来の制度につきましてなお調査研究を加えまして、何らかここに只今御指摘になりました用紙を獲得することから、比較的安く確実に供給できる何らかの組織、機構或いは方策とこういうものがないものか、只今丁度特別委員会及び教科用図書検定調査審議分科委員会のほうで鋭意御研究中と承わつております。これによりまして、文部省もできるだけ今御指摘になりました点につきまして、適切な方途が講ぜられるように努力いたしたいというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/12
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013・荒木正三郎
○荒木正三郎君 今の答弁は抽象的であつて、どうも私が希望しておる内容に触れていないのです。すでに用紙の統制撤廃を講ぜられようとしている段階において、教科書に必要な用紙をどういう方法で確保するのかというその具体的な方策を私は聞きたい。確保したい、適切な方法でやりたいということはおつしやつておりますけれども、この具体的な方策というものを聞かないとわからないわけです。それからできるだけ安い教科書を出したい、どういう方法によつて紙の値段というものを安く、教科用図書の必要な紙、値段をどういう方法によつて確保するかという具体的な方策についてお聞きしないと、余り抽象的であるとわからないわけです。そのことが我々は十分納得ができなければ、この法案をたとえ成立させても何の意味もないですよ。保証金を三分を一分に下げて見たところで、教科書が迅速に必要な量が配られるかどうかわからないし、教科書の値段は恐らく私は三割、五割、それ以上に値上りするんじやないかと思つておるが、そういうことが救えないのです。だからこの法案自体意味がなくなつて来るので、もつと大きな問題について具体策を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/13
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014・關口隆克
○政府委員(關口隆克君) お答えいたします。今参りましたので、或いは前のことを聞きませんと重複等するかも知れませんが、用紙の統制が外れるんではないか、若しさようなことかあると、教科書の供給について非常に不安である。又そういうことから値段も従つて上つて来るのではないかということについて、文部省としてどういうふうに具体的に処理するつもりか、こういう御質問だと思いますので、その点について簡單にお答えいたします。
用紙の事情が非常に困難になるということから考えまして、又、それは主としてパルプの関係からそういうことが起つておるということも窺えます。この点について大臣、政務次官もいろいろと御努力中であります。
なお、事務的に申しますと、これは監理局の所管になつておりまして監理局長もいろいろと研究をし、奔走をいたしております。私の監理局長から承知しておる点についてだけ申上げます。詳しいことは又監理局長から具体的にお話申上げる機会もあるかと思いますが、全般的に申しますと、目下研究中であり且つ奔走中であるということでありまして、できれば教科書に関しては統制を解かないようにしてもらいたいということが第一であります。どうしても止むを得ず用紙の統制を解くということがあつた場合には、実質的にその分量を、必要な所要量と所要の品質を確保するために特別の手配と申しますか、協定と申しますか、さようなことを準備したらどうか、これは最後案でありますが、この最後案についても目下研究中であります、併し最後案のもう一つ前に大臣、政務次官も頻りに御奔走中でありますので、その丁度経過の最中でありますので、細かくまだ対案等について私から申上げることができないのでありますが、なお目下努力中であるということだけ一応御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/14
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015・荒木正三郎
○荒木正三郎君 それではこの問題については、文部省内において責任ある立場の人から私は答弁を求めたいとかように思います。従つてこの問題についての質問をやはり保留せざるを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/15
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016・若木勝藏
○若木勝藏君 先ほどのこの荒木委員の質問に対する御答弁で、私はこういうように見てとつて間違いありませんか。大体教科書の場合においては用紙代が三割を占めておる。その一割の三分である。こういうふうに保証金というふうなものが定められておる。こういうふうな御言明がありましたが間違いありませんか、その通りですか。そうしますと、今度まあ保証金の問題は三分を一分に改めるということの大きなところは、結局用紙代というふうなものに関係を持つて来るということになるのであります。そうしますと、これを三分を一分に切下げた場合においては、いわゆる発行会社の立場から見れば、在来と同じ程度に負担がおさまるのである、こういうふうな御見解でしようか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/16
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017・關口隆克
○政府委員(關口隆克君) お答え申上げます。三分ときめるときには、それが大体用紙代の一割に当つた関係であります。それを基準にして三分ということにきめたのであります。さて今回一分に下げるということが用紙代との関係はどうなるかということになりますと、その後用紙の値上りをしましたことと、教科書の種類が非常に殖えて、冊数も殖えたということから計算して参りますというと、現在の値段のままで行きますと、一割と二割の丁度中間頃に当るのではないかというふうに見ております。それで一割ぐらいに大体おさまつて行くのではないかと思います。なお統制の廃止如何にかかわらず用紙の値上りということは漸次起つておりますので、会社側の負担としては一割に減すことによつて負担は軽減されるけれども、併し若し契約が履行できないというようなことが起つたときの罰金という言葉はどうかと思いますが、保証としてはその金額は十分に金額が保証できるというふうに考えて一分ということにいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/17
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018・高田なほ子
○高田なほ子君 荒木さんの質問に関連するわけですが、教科書の発行に関する臨時措置法の施行規則の二十三条で以て、発行者に対しては教科書の供給というものに対する責任を負わせておりまして、入手状況、在庫量、使用量というものを明らかにするように法文できめられており、更に二十四条では、文部大臣は、この負せた義務に対して、これらの発行者の給供状況というものの報告を求め、そうしてこれを調査するということが明らかになつているのでありますが、只今のように用紙代の一割ということで保証金三分ときめたということになれば、用紙代が当然に値上りをした場合には、供給というものに対して非常な不安を持つて来ることが明らかでありますが、仄聞するところによると、新学期の教科書の供給についてはすでに準備されているというような先ほどの御答弁でありましたが、後期分の教科書については非常な不安があるということが流布されておるのでありますが、これに対して文部省は教科書の製造供給状況そういうものを当然調査しておられると思うのでございますが、その調査の状況についての資料がございましたならば、お見せを頂きたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/18
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019・近藤唯一
○説明員(近藤唯一君) 施行規則によりまして、発行者の業務のうちで、発行供給に関しまする重要な事柄につきましては、随時調査ができる根拠がございます。従いまして文部省といたしましては、実は毎月而も十日ずつに、どれだけ印刷許可になつて、どれだけ印刷され供給されたかという状況は随時調べるようになつております。只今御指摘になりました前期用につきましては、先ほど申上げましたように、実は昨年よりも早い速度で完了するところまでなつておりますことは、誠に御鞭撻の賜と存じます。なお後期用につきましてはいろいろ心配をいたしておる次第でございまして、只今の状況におきましては、心配する材料は数字の上では出て参つておりません。併しながら出て参つてはいけないと存じまして、できるだけそういうことが起らないように事前に手当をいたしておる状況でございます。この点は先ほどの荒木先生の御質問のときにもお答え申しました心構えと同じでございます。お尋ねの資料は只今丁度手許に持つて参つておりませんですが、数字の上からはまだ後期分に着手いたしておりませんので、確実な数字を以て申上げる段取りにはまだなつておらないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/19
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020・高田なほ子
○高田なほ子君 数字の上では一応心配のないような状況である。こういうことで、私どももまあ胸をなで下す必要はあると思うのですけれども、昨日の文部委員会で、用紙のほうの管理の責任を持つていらつしやるかたからの御答弁によれば、当然教科用紙の撤廃はあり得ることであるということがはつきりされたわけでありますが、そうなりますと、現在立てておられる机上プランによる数字を基礎にした場合には、当然今後に大きな教科書の供給に対する危機が迫つて来るということは火を贈るよりも明らかでございますが、これに対する見通しの下に今度の三分を一分に減らすというようなことが立てられたものかどうか、その辺のことについて伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/20
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021・關口隆克
○政府委員(關口隆克君) このたび三分の手数料を一分に下げるということについては、直接は統制の廃止ということを考慮してではございませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/21
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022・高田なほ子
○高田なほ子君 当然統制の廃止ということは、新聞用紙の統制も撤廃するということが昨日明らかになつておれば、これは全面的に用紙の統制撤廃が行われるということになれば、この法律の基準というもの、これが当然やはり変つて考えられて來なければならんと私は思うのですけれども、その点についてはどういうふうにお考えになつていらつしやるのですか、撤廃を考えないでこの案を立てたとおつしやる、撤廃後における用紙の値上り、教科書の供給というものに対するいろいろな齟齬蹉跌がそれによつて起つて来るそういつたような場合に、今私たちの前に出された法案の基準というものはこれで狂つて来ないか、狂つて来るものか、そこをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/22
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023・關口隆克
○政府委員(關口隆克君) お答えいたします。三分を一分に下げるときには撤廃ということを直接に考えていない、併し値上りということは国際的なパルプの値上りという趨勢上想像しておつたという、先ほどの答弁をちよつと補足しますとそういう意味でございます。今後、或いは最近急に統制廃止であるとかいう傾向が非常に強くなつた、若しそういうことになつたならば三分を一分にしたことで足りるか足りないかということでございますが、値上りの程度というものがちよつと予想が付きませんので、我々の今の考えで行きますと、三分を一分にしてあるというと、結局先ほど申上げましたように用紙代の一割というところに……一割から二割の間という見当ですが、一割というところに落着くくらいなところじやあるまいかと仮に想定しておるわけでありますから、実際そのことが起つたときにはどういうことになりますか、まだはつきりした見通しを立てるに至つておりません。大体そのくらいには行くのじやないかという想定はいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/23
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024・高田なほ子
○高田なほ子君 もう一つ、それでは概算で大体こういう法律を立てて行くということになるのですけれども、まあどの程度に値上りをするかわからない、これはいずれも……誰でもはつきりそれは数字を上げることは困難だろうと思うのですけれども、大事なこの教科書の供給がこの先き非常に不安にさらされているときに、あんまりおやすい見通しを付けて供給ができなくなつてしまうというようなことになれば、これは全く迷惑をこうむるのは子供であり父兄でございますので、この点などについても十分に今後の考慮を払つて頂きたいのですが、文部省の出します数字というものは作為的ではないにしても、常にこの基準というものが非常に科学的でないところにいろいろな問題を残していることが多いと私は思うのです。これに限つたことではございませんけれども、私は教科書の供給が本当に円満であるために、用紙の値上りの見通しというようなものについても、やはり文部省としては的確なこの見通しを持つておられることを切に要望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/24
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025・木村守江
○木村守江君 先ほど来いろいろ教科書に関する用紙の問題で御質問があつたようでございますが、これはやはり質問の要旨は誠に同感でございます。紙がだんだん不足になり、又暴騰して教科書に支障を来たすようなことはないかということを心配するのは、文部委員として我々最もその一番考えなければならん問題だろうと考えます。それについてもいろいろ文部省から非常に心配しておる話を聞きまして、一応は了承しましたが、大体におきまして今までの文部省のやり方というものは非常に心配して、恐らくは小、中学校の兒童、生徒の使う教科書に事欠くようなことは文部省がやらないであろうということを信じておりますが、ややもすれば安本とか、或いは非常に政治的に卓越せる方面からの圧力によつていつでも文部省は置去りを食う、これはあとから非常に周章狼狽するような恰好が繰返されるのが文部省の行政だというような心配から、特に皆さんが質問をなさつたことと私は考えるのですが、私もそういうような考えを持つておりますので、今後はこの用紙は世界の経済情勢のパルプの値上りということから止むを得ないだろうということでありまするが、これは義務教育に要する教科書であるということを考えまして、一般の値が上るということと同一視さるべきものではなく、優先的にもつと考えを要するものだというふうに考えまして、そういう点から言つて、若しも統制を外さなかつたならばそれを保護することができるというような見通しがあつたならば、そういうふうな方向を以て教科書のいわゆる用紙の確保ということで以て、義務教育に支障を来さないような方向を教育にとつてもらいたいと私は考えるものであります。
それと、これは私はそれとはちよつと関係が違うと思うのですが、今度のこの提案されたいわゆる業者の負担を三分から一分にするということは、恐らくはその用紙の値上りということと、つまり金融の逼迫という面から業者を補助金を出して育成するというような積極的な擁護でなく、その負担金を一分にして消極的な援助をして、而して教科書の安全確保をするというのがこの趣旨ではないかと私は考えるのですが、そういう点からこれはやはり用紙の問題とは関係はあるようでありますが、やはり用紙の問題で心配すると同時に業者を保護し育成して、そうして義務教育の教科書の確保ということに邁進して行くのが我々のとるべき途ではないかと考えるのでありまして、私はそうですが、提案者並びに文部省のほうでどういうふうにお考えですか、お考えのほどを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/25
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026・佐藤重遠
○衆議院議員(佐藤重遠君) 妥当な御質問でありまするが、用紙の点でありまするが、私どもの支持しておりまする現内閣は原則として自由経済主義をとつておりまするけれども、これは決して絶対的なものでありませんで、必要に応じては例外を認め、又それを採用して行くことは食糧関係についても御承知の通りであります。教科書のごときは一面から言うと、精神的な面から見ましても一種の食糧と言つてもいいぐらいに私は重視しておるくらいであります。特にその点についてはこの統制を全然撤廃するというわけに行くまいと考えております。又形式上撤廃というようなことになりましても、実質的には配給その他を十分に確保するだけの方策を内閣としてこれは行わしめ、文部大臣は恐らく責任を持つてこれはやる、私どももそれをさせたいと考えておる次第でございます。
それから大体私どもは今のこの法案を提案いたしましたゆえんのものは、この発行者は非常に困難な現状の下に現に努力しておるのでありまして、大部分は中小企業者に属するように私も判断いたしております。中小企業者の今日の困難な事情は質問者もよく御承知の通りであります。これを適度に消極的に保護するということはやはり今の段階においては当然なすべきことではなかろうか、こういうふうな観点から、この保証金の減額、極めて消極的ではありまするが、さような趣旨からやつておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/26
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027・若木勝藏
○若木勝藏君 甚だどうもくどいようでありまするけれども、三分を一分にするという根拠につきまして、もう少し私は具体的に伺いたいと思います。その数字をこういうふうに出した点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/27
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028・佐藤重遠
○衆議院議員(佐藤重遠君) 提案者といたしましては、むしろこういう七面倒なところまで細かくきざまんでも、むしろ撤廃してもいいじやないかというようなことも考えたのでありますけれども、一面から言うと非常に責任のある発行者の義務を更に一段と強くさせたいという考えからしたのでありまして、何も一分でなくちやならんというのでもなかつたのでありまするが、大体この程度ならばという極めて通俗的な、常識的な考え方から一分ということにしただけなのでございます。別に深い科学的な、或いは学理上の理論という根拠はなかつたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/28
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029・若木勝藏
○若木勝藏君 そうしますというと、その常識的なきめ方によりまして教科書の非常な値上りというようなものに対してはこれを十分抑制できると、こういうふうなお見通しでなされたのか、その点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/29
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030・近藤唯一
○説明員(近藤唯一君) 先ほどもちよつと一分の根拠につきましては、丁度初めの法律を御審議頂きましたときにおきましての状況においては、教科書の定価の約三割が用紙代になつておる。その一割というところで保証金の線を引くことが適切ではないかということで、この施行を見たわけでございます。それから三年たちまして、これはやはり実際を扱つて実情に合わせるということが最も必要ではないかと存じまするのですが、文部省といたしまして、この保証金を扱つておりましてこの三年間に感じましたことは、御承知のように法律によりますると、文部大臣が発行者に対しまして発行指示をいたしますると、十五日以内に三分の保証金を納めなければならないことになるわけでございます。ところが御承知のように丁度発行指示をいたしまして製造にかかりますると、製造資金の融資を受けなければなりません。従いましてこの資金が厖大な数になるわけでございます。丁度保証金と重なつて参るのでございますけれども、御承知のように保証金は供給を完了いたしますると発行者に返すわけでございます。その間の金利が問題になるわけでございますが、過去三年間この率によりまして実施いたしましたところによりますると、今日の金融状況及び発行者の負担能力その他から考慮いたしまして、丁度一分が適切ではないか。これによつて発行者に対する供給の義務の保証にも有効であるし、而も発行者に大きな負担をかけずに済む。従つて定価にさほど影響を及ぼさずに済むのではないかというふうな観点からいたしましてこの数字が出て参つたと、文部省のほうにおきましては解釈いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/30
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031・荒木正三郎
○荒木正三郎君 私はやはり原則としてはそんなものは要らんと思うのです。これは結局業者の負担は教科書の値に影響して来る。それは結局子供の負担、父兄の負担になるのです。だから原則として私は一分にしろ三分にしろ、こういうものは要らない。こういうものを設ける以上はやはり先ほど話があつたように、教科書発行に要する用紙は確保するとか、又金融の面については或る程度面倒を見てやるとか、こういう措置がしてあつて、こういうものを私は保証金を一分でも積立てるというなら筋が通つておると思う。ですから提案者は自由党だと思うのですが、自由党内閣ですから、用紙の統制撤廃ということについてはこれは阻止して頂くように僕は努力してもらいたいと思います。この問題はやはりそれと関連して審議しないと、別だ別だと言うけれども、教科書という一本の結果においては私はやはり同じだと思うのです。ですからそういう点を私は文部省は非常に努力しておられるということでありますが、文部省の努力では非常に覚束ないと思うのです。この間から割当局長の話を聞きましても、監理局長の話も文部委員会で聞いた。併しなかなか不安定な状態にあると思う。だから自由党の党のほうで非常に努力して頂いてやつてもらわなければ結局はもう困る結果になると思う。ところがそういうことが実現されるならば、私は三分を一分にしたが、その一分をなくしたつていいと思うのです。こんなものは結局父兄の負担になるのだから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/31
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032・佐藤重遠
○衆議院議員(佐藤重遠君) 了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/32
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033・加納金助
○理事(加納金助君) どうですか。大体この法案に対する今日の質問はこの程度で置きましようか。……それでは本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十九分散会
出席者は左の通り。
理事
加納 金助君
成瀬 幡治君
若木 勝藏君
委員
木村 守江君
荒木正三郎君
高田なほ子君
梅原 眞隆君
高橋 道男君
大隈 信幸君
矢嶋 三義君
衆議院議員
佐藤 重遠君
政府委員
文部省調査普及
局長 關口 隆克君
事務局側
常任委員会專門
員 石丸 敬次君
常任委員会專門
員 竹内 敏夫君
文部省調査普及
局刊行課長 近藤 唯一君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02019510315/33
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