1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月二十二日(木曜日)
午前十一時三十九分開会
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本日の会議に付した事件
○教育職員免許法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
○教育職員免許法施行法の一部を改正
する法律案(内閣提出)
○宗教法人法案(内閣送付)
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001・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それでは本日の会議をこれより開きます。
日程第一の教育職員免許法の一部を改正する法律案、教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案、この二案を一括して上程いたします。二案関連いたしておりますので、主として教育職員免許法の一部を改正する法律案を審議に上せまするが、同時に施行法の一部を改正する法律案も並行して審議するとお考え頂いて、先ず総括的な質問をいたしまして、次に逐條に入りたいと思いますが、簡單でありますから、総括質問及び逐條を同時におやりになつても結構でありますが、順次質疑を始めます。先ず免許法の一部を改正する法律案を中心にして質疑を始めます。総括がなければ逐條に移りますか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/1
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002・荒木正三郎
○荒木正三郎君 教育職員免許法の一部を改正する法律案のうちで御質問申上げたいのは附則第七項だけでございますが、この点について若干お尋ねしたいと思います。それは第七項におきまして、臨時免許状については、当分の間、都道府県の教育委員会規則又は都道府県規則でその有効期間を二年にすることができる。中のほうは省きましたが、この措置はいわば非常に実情に即した適切な措置である。かように考えておるわけでございますが、併し現在いろいろの実情を見ますると、特に北海道、或いは鹿児島県等におきましてはなかなか教員に志願する者が少くて、その採用に困つておるような実情であります。殆んど大部分が臨時免許状を持つておる程度のかたが多いようでございます。これは一、二年では容易に解消しないのではないかというふうに考えておるわけでございまして、多少こういう特殊な地域、特に教職員の得られにくいそういう特殊な地域においては、この二年を更に多少期間を緩和するというような措置をとられてもこの趣旨には反しないし、むしろ趣旨に副うゆえんでないかというふうに考えておるわけなんですが、そういう点について、文部省のほうでは私どもの質問しておる趣旨についてどういうふうにお考え下さるか、御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/2
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003・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) かような改正案を提出いたしました理由につきまして一応お答えいたしたいと考えております。免許法第五條第三項によりまして、この臨時免許状は普通免許状、或いは仮免許状を持つている者を得がたい場合に限つて発行するものでありまして、第九條第三項で一年間といたしましたのも、毎年々々こうした仮免許状、或いは普通免許状を有する教員の需給状況を勘案いたしまして、臨時免許状を発行する。そうしてそのときに応じて適宜な処置をとるようにまあこういう趣旨で原案があつたわけであります。只今お話のように、現在府県の状況を見ますると、相当この臨時免許状を有する者に頼らなければならない実情であるのでございまして、まあ全体として一七・九%というようなパーセンテージにも上つておるわけでございます。で、この問題につきましては、一面お話のような実情に即応しつつ便宜な措置を講ずるという観点からも考えなければならないのでありまするが、又他面この免許法を設けました本旨と申しまするか、教員の実質向上という観点からも考えて参らなければなりません。そういうような両観点からこれを考えました場合に、余りにこの臨時免許状授與の期間を長くいたしますると、ともすれば易きに付くと申しまするか、優秀な教員の充実というような点よりもむしろ臨時免許状所有者を以て当面を糊塗するという傾向が付きましては、免許法制定の趣旨にも反することであり、又ときどき耳にいたしまするが、とかく新らしい教育養成学部の卒業者すらも就職に困難だというような、却つて逆な面を呈するような状況もございますので、一応ここの案といたしましては、二年といたしまして、そのときどきの充実工合を勘案いたしましてこの臨時免許状は新らしく再発行することもできるのでございまするから、この程度にいたしますることは、両方の要求を一致させることだと考えて、こういたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/3
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004・荒木正三郎
○荒木正三郎君 只今の御説明は私も了解するところでございますが、併し教員の需給関係はは相当地方において差違があると思うのです。所によつては新らしい学芸大学を卒業する者すら採用しにくいというような所もありますし、又所によつては全然それでは足りないで、多数の臨時免許状を與えた者を採用しなければならない、こういうような実情にもありますので、多少こういう点を勘案して、そうしてそういう困難な事情にある所ではこの期限を延長するというような措置もこの趣旨に反していないと、そういうふうにまあ我々は考えているわけなんです。勿論できるだけ早く有資格者を以て充てるということは私どもも望んでおるところではありまするけれども、今日の経済事情、その他の事情においてなかなかそうい希望通りには実現しないというような現状にある点から見て、これには多少のゆとりを持たす必要があるというふうに考えておるわけなんです。そういう点について特別にこの第七項の趣旨がそういうところにあるのではないかと私は考えておるのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/4
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005・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 重ねて、原案を提出いたしました考えについて申上げますれば、勿論或る地域におきましては教員の供給という点につきましても不十分でございます。こういう点につきましては将来教育学部の定員を増強するとか、或いは現地の養成施設をその地方の人々と御協力の上で設けて行くというような点に努めるのが第一であろうと考えておりまして、それらにつきましては極力努力いたす考えでおるわけでございます。で、お話のように或る地域につきましては、多少或る程度の緩和でもなお嚴しいというような向きもあろうかと思いまするけれども、当分といたしまして、特殊の地域のみを考慮いたしまして規定いたしますことも困難でもあり、又ここ一年以上いたしますれば、その間において多少そうした事務処理なり、或いは又将来免許状再発行のついての準備なり、養成施設の充実なり、ゆとりもあることだと考えまして、こうした原案を提出いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/5
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006・荒木正三郎
○荒木正三郎君 この項についての質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/6
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007・若木勝藏
○若木勝藏君 今のに関連して……。今の荒木委員の質問事項につきましては私も全く同感なんでありますが、殊に北海道の事情を申述べますと、これは文部当局でもよく御存じのことであろうかと思うのでありますけれども、昭和二十五年の四月三十日の現在で、小学校における無資格者は六千八百九十五人あるのです。で、これは率にいたしますと、現在教員に対して四三・七%になります。それから中学校のほうにおきましては、数において二千六百五十、率において二八・七%、合計いたしまして九千五百四十五人で、パーセンテージでは四八・一%というふうな状態になつておるのであります。これらに関しましては今お話がありました通り、教員の臨時養成とか、そういう方面において、或いは学芸大学、或いは教育委員会のほうでも相当考えておりますけれども、併しこれは早急になかなか解決ができない。その問題を解決して行くためには、やはり今の臨時免許状というような方面に対しての二カ年というのに加えまして、何か一つ特殊なそういう地域に対する方法を勘案するということが私は急務でないかと考えるのであります。その辺についての文部当局の御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/7
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008・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 誠に御尤もな御心配でございまして、北海道につきましては、現状におきましても教員の需要とそれに対します供給面につきまして非常に困難な問題がございます。又極く近い将来におきましても、非常に入植計画その他におきまして教員を多数供給しなければならん。こういうような点につきましては、我々といたしましても、明年度におきましても多少教員養成学部の定員は増加いたしておりまするけれども、もつともつと北海道の総合開発計画等と勘案いたしまして、養成、或いは臨時養成施設というような面についても努力いたしたいと考えております。で、お話のこの附則第七項の問題でございますが、これは先ほど荒木委員にお答えを申上げましたような考えでこういう案を提出いたしたわけでございまして、或る地域について特殊な規定を法文で表わしますことも非常に困難な関係がございますし、かたがた一応ここで二年といたしまして、その間におきまして一面事務上の配慮も北海道庁に願う。又臨時養成というような点についても努力する。ここで一年延長いたしましたゆとりの間において、そうした点について万全の策を講じて参るのが差当つての考え方だと、こういうようなことでこういう案を提出いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/8
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009・若木勝藏
○若木勝藏君 御趣旨はよくわかりますが、更にそれに急場を救うというふうな建前から北海道あたりについては……或いは北海道ばかりでなしにまだ他にもあるだろうと思いますが、特別の措置を講ずるというふうな文部省の御意図があれば伺いたいと、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/9
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010・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 或る地域につきまして特別の措置を講ずるということは、事態に即応いたしまする適当な考えだという点につきましては全く御同感でございます。ただそれを法文に或る地域を指定いたしますることが非常に困難であるという点も御了承頂きたいと思います。そういう場合に又一般に広くなりますれば、この教育職員免許法の本来の精神がややもすればぽかされて行くという心配を一応持たなければならないので、我々といたしましてはそういうような点を考えまして、こういうお目にかけたような案を立案したような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/10
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011・高橋道男
○高橋道男君 今度の改正によつて免許状を授與される科目に宗教科を取上げられたことは誠に結構なことでございますが、これは私立の学校にのみ適用するということになつておりますが、国立或いは公立の学校に適用されないということは、これは憲法のあの禁止條項によつて来ておるのか、或いは又国立、公立学校において教授となるべき適当な人を得られにくいということによつておるのか。この点を先ずお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/11
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012・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) お話のように憲法の條章が根本であるわけでございまするし、又二面連合国軍の指令の精神もあるわけでございまするが、国立或いは公立学校におきましては、特定の宗教というものを目途とする教科を高等学校にも、中学校にも現在設けてないわけでございます。勿論宗教の社会に対しまする非常に大きな影響でありまするとか、或いは又社会党達の歴史において宗教が成し遂げました役割というような点につきまして、十分知識、理解、認識を與えるということにつきましては、一般社会科で教育いたすわけでございます。従いまして国立、公立の学校におきましては、宗教に関しまする教育につきましてもこれは社会科としていたしますので、社会科の免許状を持つている人に頼るわけでございます。これに反しまして私立学校におきましては、中学校、高等学校の段階において特定の宗教というものを中心といたしまして現に宗教の教科がございまするので、それに対しまする教員の活動を十分ならしめる意味においてここで改正いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/12
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013・高橋道男
○高橋道男君 私はこの法律に表わされておるところの宗教という表し方、この表し方ならば、別に或いは国立、公立学校に適用されても弊害は起らんと私は思うのでありまするけれども、殊に今の禁止條項となつておる憲法なり、或いは教育基本法ですか、あれの趣旨によりますると、特定の宗教のための宗教教育というような文句で表わされておりますが、これは特定の宗教の信仰を強要するような宗教教育という意味であつて、特定の宗教を紹介する、或いは講義するというようなことはむしろそのほうが妥当であるのではないか。單に宗教情操教育、或いは宗教教育と言われましても、形式上の知識を、この宗教はこういうようなものだというような表面的な知識を供給するだけのものであるならば、私は教育上効果がないのではないかということを思つておるのでありますが、そういう点をどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/13
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014・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) これは申上げるまでもないことでございまするけれども、免許状の科目が高等学校或いは中学校のための教科の立て方に照応いたしまして設ける以外にないわけでございます。お取上げになりました問題は、結局これは高等学校或いは中学校の学習指導要領の基準によつております。指導要領において如何なる教科を立てるかという問題に帰着いたすわけであると思いますが、御承知の通りに、中学校、高等学校におきまする教科の立て方は、いわゆる広範囲教科目の立て方をいたしておりまして、おおよそ社会科学、或いは又人文系統におきましても歴史を含めまして社会科という教科を立てておりまして、その間におきまして只今御指摘の宗教と人生と申しまするか、又人間と申しまするか、相当重要な問題につきまして、決して等閑視はいたしませんけれども、国、公立の学校におきまして設された立場において、大いにこの方面について單に知識ばかりでなく、理解或いは態度、習慣というような点にも留意いたしまして教育いたすわけでございますが、科目がそうした広範囲の社会科という科目において教授いたしまする以上、従来の細かい専門科目に分れておりましたような宗教という科目が、普通の場合今の行き方といたしましては立てにくいということは御了解頂けるだろうと思つております。私立学校につきましては、又そのほかに特殊の私立学校の存立の意義から申しまして、特別に宗教という面を強調いたしまして取出し、特別な教科を立てるという学校もあるわけでございますが、それに対応いたしまして、私立学校に対してのみこの免許法においては考慮いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/14
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015・高橋道男
○高橋道男君 次にお伺い申上げたいのは、この宗教の科目が加えられることについて、教員の養成機関において欠乏が予想されるのですけれども、そういう点がありますれば、それをお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/15
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016・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 現在大学関係におきまして、宗教に関しまする課程を持つておりまする大学が国立大学一校、私立大学において十七校、合計十八、それから短期大学において私立大学八校まああるわけでございます。これらの学校において宗教を修めました者が免許状を取得いたしまするためにまあ教職課程をとるわけでございます。で、その教職課程をとります場合に、この免許法の改正案にも御覧頂けまするように、当分の間そうした免許状をとり易くするという観点において、教職課程としてとらなければならない單位数のうち五単位までは専門課程においてとり得るということにいたしましたので、将来こうした宗教に関しまする学部或いは短期大学に在学いたすかたがたについても免許状がとり易くなるだろうとこういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/16
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017・高橋道男
○高橋道男君 今のお話によりますと、特にこの科目が設けられるために、国立学校などにおいて宗教学或いは宗敬史学科というようなものを單位科目に増設されるような御計画はないわけでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/17
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018・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 特別にこの免許法改定のために講座を増設するという計画は持つてないのでございまするが、これはすべて免許状取得に関しまする一般法則でございまするが、専門課程につきましてはそれぞれ各種の学部或いは学科で修得いたしまして、教職課程だけをかたわらとれば免許状が参るようなことになつておりますので、将来一般の傾向としてこの宗教に関しまする大学の課程が充実して参りますれば、自然教育職員たるべき人もまあ殖えて来るというようなことを期待いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/18
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019・高橋道男
○高橋道男君 将来期待しておられるのは誠に結構でございますけれども、この宗教観念を一般的に普及助長せしめる意味において、成るべく早い機会に国立学校などにおいても宗教に関する單位科目を増設し、且つ一般の公立、国立学校において社会科の教員が宗教に関する教育をするという意味において、その社会科の教員たるべき人が宗教に関する單位科目を必修しなければならんというようなことについての御計画はないかどうかお教え頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/19
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020・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 御承知のようにこの人文系統の課程を置いておりまする大学においては、一般の宗教学或いは比較宗教史というものを設けておるわけでございます。勿論国立大学におきましては、或る特定の宗教を中心といたしましての課程はないわけでございます。まあ相当宗教関係の教育と申しますか、研究をやるという点につきましての便宜は一応あるわけでございまするが、お話のように非常に重要な領域でございますので、将来各大学の充実というような問題の場合に、そうした点につきましても十分考慮いたして参りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/20
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021・若木勝藏
○若木勝藏君 私は盲聾学校の教員の二級普通免許状から一級普通免許状に変る場合の單位の増加についてお伺いしたいのです。現在でも盲聾学校の教員を獲得するということは非常に困難たと称せられております。実情はそうなつておると聞いておるのであります。というのは、盲聾教員の場合においてはこの基礎免許状、即ち小、中、高等学校の教員免許状を持つたほかに特殊教育に関するところの専門科目の單位と、それから経験年数が必要であります。こういうことから自体非常に盲聾教員の取得が困難な実情になつておるのであります。現行法においても非常に困難である。ところが今度の改正案につきましては、二級から一級になる場合に更にこの困難な実情に加えて六單位の取得が行われなければならん、こういうふうな実情になつておるわけでありますが、これらはどういうところの観点からこういうふうに改正したのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/21
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022・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 先般提案の理由補足説明についても申上げましたように、今日この盲聾教員の養成或いは再教育という点につきましての施設充実に非常にまあ努めて参つて来ておるわけでございます。御承知のように東京教育大学におきましては、四年課程のこうした特殊教育に従事すべき養成施設を来年から発足させることになつておりまするし、その外全国四カ所の国立大学におきましては、二カ年課程の臨時養成課程も設けてあるわけでございます。その定員といたしましても、四年課程の二十名、二年課程の二百十名、そのほか高等学校程度の特殊教科の教員養成、現職教育課程等を考えますると、全部で三百三十名程度の養成をいたすわけでございます。現在の教員総数約二千九百名におきまして、三百三十名を養成すると申しまするのは、これは決して不足する養成数ではないと考えております。そのほかIFELでありますとか、或いはワークシヨツプでありますとか、いろいろな方法によりまして現職教育の方も充実して参りましたので、特にこの特殊教育の教員養成につきまして、こうした専門的な教員を獲得するのに困難な状況はすでにないと考えます。他の教員との権衡も考えまして、ここに新たに六單位を要求することにいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/22
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023・若木勝藏
○若木勝藏君 それで私の先ほどから伺つておる要点は、実情はどうなんですか。実際私の聞いておる範囲では盲聾学校の教員の人が非常に困難だということを聞いておるのでありますが、実際においては充たされておるのですか、その点伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/23
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024・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 特殊教育の、義務教育の年限新更に伴いまして、前々から只今申上げたような養成課程の充実という点を努めておりまするし、数字におきましても、二千九百名に対して三百二十名の養成と申しまするのは、決して不足な計画ではないと考えております。ただ現状におきまして無資格教員がまあ相当多いわけでありますから、それらにつきましては特別に認定講習、或いはワークシヨツプその他の方法によりまして、十分資格の獲得及び実力の充実というような点について現職教員の充実に努めて参りますれば、お話になりまする懸念はないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/24
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025・若木勝藏
○若木勝藏君 今のお話で、認定講習等によつて資格を與えて相当充実を図つて行くということのお話がありまするが、これは普通のいわゆる小学校、中学校の教員と比べまして、その認定講習に出かけるということが非常に困難な実情にあるのではないでしようか。すぐ直ちに自分の近所のいわゆる講習所に行つて講習を受けるとか、そういうふうなことができなくて、相当のいわゆる学校をあけて遠い所に出かけてやらなきやならんというような実情から、なかなかそういう講習に出られないというようなことになるのではないでしようか。そういう点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/25
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026・玖村敏雄
○政府委員(玖村敏雄君) お説のごとく盲学校、聾学校或いは養護教員の免許教員は人数の点から非常に少うございますから、或いは都道府県でやるわけに参りませんので、勢いまあブロック別という程度になつて参ります。その点では確かにこの盲聾の教員の現職教育は先生がたには負担が多いということは言えると想います。ですが、それはやはり都道府県の教育委員会のほうに文部省も補助しております。国からの補助もあります。旅費や何かのやり繰りもやつて頂かなくてはならないだろうと思います。なお併し私どものほうでは、この盲聾学校のさつき局長の申しましたワークンヨツプのような場合にさえも單位を與えようと、そしてできるだけその單位の修得を容易にしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/26
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027・若木勝藏
○若木勝藏君 どうしてもこの六單位の案を加えなければですね、勢い免許状を與えることができないというような本当に実情にあるのでしようか、その点を伺いたいと思います。何とかそういうことをしなくてもできるのじやないかというような考えを持つのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/27
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028・玖村敏雄
○政府委員(玖村敏雄君) 別表第七を御覧下さいますと、盲聾学校の一級教員というのが、実は普通の場合だつたら小学校、中学校の一級教員でなければならないのに二級でよいことにしてあるのです。そこを二級でよいということにしておいて、そうしてただ在職三年だけで一級にいたしますと、御承知のように他の小学校、中学校の一級の人たちが二十三單位を得なければならないというのに対して著しく不均衡だということがありますので、これは是非この均衡上そうしなければならないと思うのであります。で、二級普通免許状はすでに終身免許状になりまして、その人々は決してその地位に対する不安を感ずることはないのでありますので、特にこの盲聾教育の重要性に鑑みて、せめて六單位の専門的な一層高い教育を要求したほうがよいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/28
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029・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 他に御発言ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/29
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030・高田なほ子
○高田なほ子君 もう一つ聞かして下さいね、非常にこの質の向上ということについて深いお考えをお持ちになつていらつしやることはよくわかるのですが、まあいろいろこれについては量というような問題について考えなければならないことは勿論でありますが、先ほど荒木さん、若木さんの御質問に関連いたしまして伺いたいことは、非常に不便な交通に恵まれないような僻陬の地域では、教員の量の確保ということが極めて困難な実情にあるということは、あなたの方でもお認めになつていらつしやる、先ほど北海道という特定な地名を挙げられての御答弁であつたと思うのですが、私が伺いたいことはこの日本の特定なこの地形であります。島嶼が非常に多く、或いは東北あたりでは非常にその県によつて山脈が県の中央を縦走しておるというような所が非常に多くて、そういうような所では今でさえもこの教員の定数の確保ということが極めて過少であつて、このために非常に教育上の欠陥が多く現われておるわけであります。そこでこの二年に延したから、その一年間だけ延長した期間において量の問題も解決するであろうというようなお考えを先ほどお漏らしになつたのですが、はつきり私伺いたいことはですね、そういう僻陬地のような区域の中にですね、臨免の先生がどのくらいおられるかということを伺いたい。先ほど全国的な平均を一七・九%という数字で表わされましたけれども、これは平均された数字であつて、特定な地域に極めて臨免の教員が多いということはですね、これはもう現実に出ておる、そういう数字を知りたいわけです。平均数字ではなくて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/30
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031・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 都道府県別の数字につきましては報告を受けておるわけでありますが、御承知のように、特定の山間或いは離島等においてのパーセンテージにつきましては、文部省におきまして詳細な数字を承知いたしてないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/31
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032・高田なほ子
○高田なほ子君 そこが一番問題なんじやないかと思うのです。特定な地域の中に教員の需給が極めて困難であるということから考えた場合に、この一年間だけ延ばしてそれで量の問題、質の問題がです、解決できればそれで結構でございますけれども、そういう特定な地域に臨免が多いということから考えて、その特定な地域の中に住む臨免の先生の数ですね、そういうようなものから考えて、この法案というものがですね、妥当に修正されなければならない、こういうふうな考えで私は質問しておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/32
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033・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 非常にまあ教育上重要な問題でありまして、私どもといたしましても心配しておる問題でございますが、ただ、この離島或いは山間部であるから教員の質が悪くていいというようなことは決してまあ考えられないので、その点につきましては、各都道府県の教育委員会当局も非常に御配慮だと考えておりますけれども、ともかくそういう離島或いは山間地等におきましても、成るべく資格のいい先生を配置して頂くことが教育上の問題ではないかと思うのであります。仮に制度といたしまして、離島、或いは山間部に限つて臨時免許状を持つておる者が相当歩合が高くていいのだ、或いは又それを予想するということをはつきりいたしますことは、我々の念願とするところとは逆な効果を生ずる心配を考えておるわけでございますが、これにつきましては、やはりそうした離島或いは山間部に対します特別地域に勤務する手当等を増強するというような点につきまして、まあ中央も地方も将来の問題といたしましては十分考慮する、又そういう点について特別に優秀な教員が行つて頂くような施設について各都道府県でお考えを願う。我々といたしましては、日本国如何なる地域におきましても、数において教育の質のいいということを前提としての制度は考えられないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/33
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034・高田なほ子
○高田なほ子君 山間僻地に質のいい教員を配置しなければならない、これはもとより当然のことでございます。併しその前に山間僻地に先生の来てがないというようなこの現実を私は無視することはできないと思います。特に岩手県のあの北上山脈の縦走しておる山間僻地においては殆んど教員をとることができない、又折角とつた臨免の先生でさえも、一年経つともうこれもとてもやり切れないからやめてしまうというような状況で、どんどん先生がやめて行つておると、こういうような実情を伺いますとですねを、そういう所の十分な調査というものの上に立つた対策というものが考えられて、この法案が修正されなければならない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/34
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035・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) その点につきましては、我々が都道府県教育委員会に要望するまでもなく、教育の機会均等という本旨に立つて、その職にある教育委員会としては当然御考慮の問題だと考えております。離島或いは山間僻地といえども、十分優秀な教員を配置して頂くという点において、都道府県当局において善処せられることを我々は期待しておるわけでありますが、更に我々制度として問題を考えまする場合には、そうした地域において臨免所有者を残存するというような方法でなくて、むしろそういう方面にいい人が行き得るようにいろいろ手当なり、その他の所遇等を考えるべきものではないかと存ずるわけであります。それからお話のように、一年経てばやめてしまわなければならんというような性質のものでなくて、臨時免許状は他に適当な教員を得がたい場合は、又そこで再発行できるわけでございますから、そうした心配はないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/35
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036・荒木正三郎
○荒木正三郎君 教育職員免許施行法の一部を改正する法律案の二頁に表がありまして、七の三、七の四というのがございます。この七の三と七の四について若干御質問したいのですが、この七の三というのは、国民学校専科教員の免許状を持つている者で、五年以上中学校の教員として良好な成績で勤務した旨の所轄庁の証明があるものについては、中学校の教員の二級普通免許状を與えるこういうふうになつておると思うのです。ところでこの国民学校専科教員の免許状を持つておる者の中には、中学校に務めておる者とそれから小学校に務めておる者と二様あると思うのですが、中学校に務めておる者だけ中学校の教員の普通免許状を與える、で小学校に務めておる者には小学校教員の普通免許状を與えるという規定はないわけなんです。そうすると私の考えでは、これは片手落ちのような感じがするわけです。こういう点についてどういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/36
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037・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 案の理由につきまして一応お答え申上げたいのでありますが、申上げるまでもなく、元の国民学校の制度におきましては、芸能或いは職業、或いは体育等につままして専科教員の制度があつたわけでありますが、従つてそれらの免許状を有するかたがあつたわけでありますが、新らしい学校制度におきましては今更申上げるまでもないのでありますが、小学校につきましては、全科担任制度をとりまして、その免許法全体もその精神を以て動いておるわけでございます。従いまして、そうした専科教員の免許状を持つておられるかたは従来高等小学校程度に多かつたと思うのでありますが、それらのかたがたは大抵中学校のほうに転出せられまして、それぞれ狭い領域の教科の担任をやつておられるというような状況等を考えまして、中学校の教員としては適当であるけれども、全科担任を建前とする小学校の教員たるには多少距離があるというような関係からいたしまして、中学校についてのみこのたびの改正を行なつたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/37
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038・荒木正三郎
○荒木正三郎君 その趣旨はよくわかるのですけれども、例えば国民学校の専科教員といたしましては、音楽とか、或いは裁縫というような免許状を持つておる者があるわけであります。この中には中学校に行つた者もあると思うのですが、又小学校におつてですね、この人たちははつきり知らないのですけれども、仮免になつているのではないかと思うのです。そういう人たちは中学校に行つた場合は、五年勤続して成績がよければ中学校の二級普通免許状を貰える、小学校に務めておる人も相当あると思うのです。その人たちについては将来の道が開かれていないということになると、私はやはり若干片手落ちだという感じがするわけなんです。それで小学校ではですね、こういう教員が不向きであるとこういつてしまえば、その人たちを全部追い拂つてしまうような考えに立てば、それはいいかと思うのですが、そういう人たちが相当ある現状においてはこういう人たちを活かして行く道を考えないと、多少私はここに差が出て来るのではないかというふうに考えておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/38
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039・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 同じことを繰返すようで大変恐縮でありまするが、決して追い出すわけでなく、只今のお言葉にありましたように、仮免許状は小学校においても與えて存続できるわけでありますが、従来音楽或いはお話の裁縫と申しましても、今の行き方から見ますれば、従来歌唱中核の音楽と、今日作曲から器楽に亘つての広い音楽とでは非常に相違がございまするが、裁縫という科目が立つておりましたのも家庭科、そこも中学校の段階においても相当に広狭に差がありますけれども、それでもまだ中学校の教科の領域には多少近い道もありまして、優遇の道もあると考えるのでありますけれども、それが非常に広い各教科間の総合連関が非常に大切である全科担任を必要とする小学校先生といたしましては、非常に距離が大きいというような点を考慮いたしまして、中学校に対しまして三級を與える、小学校に対しては仮を與えるというような程度にいたしたことを御了承頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/39
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040・荒木正三郎
○荒木正三郎君 次に七の四の表について質問いたしまするが、この七の四の内容は、国民学校初等科教員免許状を有する者で、五年以上小学校の教員として良好な成績、これについては小学校の教員の二級普通免許状を與えると、いわゆる初等科教員に対して五年勤務しておれば、成績がよければ二級免許状を與える、こういうふうになつておる、ところが幼稚園のほうですね。幼稚園のほうは、これは初等科といいますか、僕はよくは知らないけれども、勤めておつて五年以上成績のいいもの、これもですね、私は同様に扱つてやつたらいいんじやないかと、かように考えるのですが、幼稚園のほうが省かれている理由ですね、どういうところから来ておるか、伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/40
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041・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 小学校と幼稚園と一緒に扱つておる部面も非常に多いのでございますけれども、この七の四というような特殊な例外を考えまする場合に、実際問題といたしまして、小学校の教育、幼稚園の教育、こういうものを考えますると、事実において新らしい制度における幼稚園教育というものは非常にむずかしく、内容が複雑である。それに反して従来低い資格で幼稚園の教育に従事しておられた方々は実力が非常にそこに差があるという実際問題を考慮いたしまして、例外をここに開きまする場合におきましては、内輪に考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/41
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042・成瀬幡治
○成瀬幡治君 前のですね、免許法の一部を改正する法律の第七項ですが、稻田さんの説明によりますと、山間僻地の教員の差違をなくするということは、都道府県の教育委員会の問題である、従つてそちらの方で考慮すればいいという建前で話を進められておると思う。私の方としては、そういう山間僻地、いわゆる僻陬地に勤務するような人たちに臨免を持つておる人たちが非常に多い。言葉尻をとらえるわけじやないのですが、あなたがそういうことに対して、都道府県が何かそれを僻陬地手当というものをやつて行きさえすればそういう心配はないのだということを言われるのでありますが、都道府県教育委員会がそういうことをやればいいのだというので、制度はこれでいいのだという突つぱね方では、都道府県は山間僻地で教育を探つて行くということが非常に困難だと思います。その対策を私はどんなふうに、あなたは僻陬地手当だとかおつしやつたのですが、予算的に本当に考えてるかどうかということをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/42
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043・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 先ほども御質問に対しましてお答え申上げたわけでございますが、私どもの気持といたしましては、県内如何なる地域といえども教育の機会均等という観点からいたしまして、十分充実した教員を配置すべきものだと考えております。その配置は県教育委員会当局で考えらるべきだ、こう申上げたのでありまして若し制度として国会において、或いは中央行政府において、こうしたものを考えるといたしますれば、むしろそうした山間僻地に臨時免許状を有する者が多いという現状に即して、これをその状態を保存するというような行き方でなくて、むしろ根本的にそうした配置を適正ならしめるというような方途を講ずるのが第一ではないか、こういう見解を申述べたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/43
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044・成瀬幡治
○成瀬幡治君 だからですね、そのことについて、あなたのほうとして具体的に何か立案されておるものがあるのか、あなたが言葉の上において都道府県が僻陬地に手当を出したらいいのだということを言われたについては、何かあなたが考えを持つておつて言われたのが、單なる思付きで言われたのか、あなたのほうとして近い将来においてそういうことを考えておつて言われたのか、それをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/44
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045・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 第一は教員、これは養成の問題かも知れませんけれども、養成の過程において十分出て行かれる教員が教職の尊さということをお考えになつて、進んで若い又資格のある立派がそうした島嶼なり、山間に勤務するという気持を起させる、單に物質的な面でなく、教育者としてのそうした資格と尊さというものを考えて頂くといつた問題もございましようし、又そうした地域において或いは住宅を提供するとか、或いはそのほか快く立派な方々を迎えるというような物心両面に亘つての迎え方もあるだろうと思います。もつと根本的に考えますれば、一般に教員の待遇の問題になりまするが、僻陬地手当等につきましても、財政の許す限り改善して行くことが我々といたしましては必要だと考えております。或る一つの方策を以てそうした適正配置が解決すると私どもは考えておりませんけれども、いろいろな観点においてそうしたことを考えることが第一であつて、そうした地域の不均衡を温存するような方角に制度が改正されたということがおかしいのじやないか、されることがおかしいのじやないか、こういう気持でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/45
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046・木村守江
○木村守江君 この附則第七項の臨時免許状の期限を延ばされたことは、恐らくは僻陬地の実情も考えた極めて親切な法案だろうと考えます。併し僻陬地の教職員の質の向上と、それから資格の獲得というような問題が免許状の有効年限を延ばすことによつて解決すべき問題ではないと思うのであります。結局は僻陬地にあるものに一年の有効期限を二年とするというようなことと同時に、その二年の間に資格を獲得せしむるというような裏付が伴わなかつたならば、この法案も單に臨時免許状の期限を延期するというような外形的な問題で、教育の向上にはならないと考えますが、これに対して何か問題……これほど親切な法案を作つておるのですから、これに対して何か裏付かありますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/46
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047・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 差当りの問題といたしましては、現職教員認定講習の問題であろうと考えるのでありますが、今度提出いたしました案におきましても、認定講習受講の期間を延期いたしましたりいたしまして、認定講習が余り苦痛なく広く教員のかたがたに受けられるというような法的措置を講じますると共に、予算におきましても、二十五年度において一億九千三百万円、二十六年度において一億五千五百万円程度の補助金も計上いたしまして、認定講習受講者の便宜を図りつつあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/47
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048・木村守江
○木村守江君 私は有効期限の延長をこれ以上延すということは、却つて僻陬地の教職員のいわゆる向上心というものを抑えるような恰好になつて、或いは妥当ではないのではないかというような考えを持つものでありまするが、少くとも僻陬地の教職員ということを考えました場合に、こういうような期限を二年に延長したのですから、その間に少くとも資格の獲得のできるような、或いは通信教育の優先権を與えるとか、或いは特別な僻陬地に対する認定講習の費用も優先的に分配するとか、そういうことを考慮して行くべきではないかと考えるのですが、それに対して御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/48
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049・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) お話のように通信教育につきましては、都道府県教育委員会等にもお願いいたしまして、そうしたかたがたに対して優先権を與えておるわけでございます。又認定講習につきましても、都道府県教育委員会で適当に御配慮頂きますれば、そうした向きのかたがたが適当な時期に受けるというような方策は講じられるかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/49
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050・高田なほ子
○高田なほ子君 表中七の三のところでちよつと一つ質問したいことがありますが、專訓の教務内容については小学校でありましようとも中学校でありましようとも大体同じであると考えますが、教育の本質から考えてそう違うことではないのでありますが、これはこういうふうに中学校に勤務した者が小学校に勤務している者よりも優先的な待遇を受けるということになりますと、場合によりましては小学校から中学校のほうに專訓のかたが流れていつてしまつて、小学校の專訓の質というものに動揺を来すのではないかということが一つと、もう一つはこの小学校と中学校の專訓の先生の比率についてお伺いしたい、この二点。
次に七の四のほうについても質問があるのですが、それは今の幼兒教育に対して根本的な考え方というものを立てて頂かなければならないのでございますが、それについては触れませんが、幼稚園の先生も職員の免許状を受けておる、小学校の職員も同じわけでありますが、やはりこのままに同じ職員であつても小学校に勤めていた人だけに優先的に資格を與えるということになりますと、幼稚園の先生の質というものが、或いは量というものがどういうふうに変つて来るか、その動揺がないかということ。それからその小学校と幼稚園の先生の数の比率です、職員の免許状を持つておる者の、それをちよつと伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/50
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051・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 先ず第七の三のような方法を以てすれば、こうした專訓の免許状を持つておるかたがたが小学校から中学校に流れはしまいかという御懸念でございますが、我々としては流れたほうがいいのじやないかと思います。そういう性質のかたがたでありますから、こうした專訓のかたは成るべく中学校のほうに行つて頂きたい、或いは又中学校に従来專訓のかたがおりますれば、それは又逆に小学校のほうに行つて頂いたほうが、教科の広い狭いというような面から見ました教育的効果を挙げる意味においてむしろ適当な流れ方ではないかと考えております。
それから次にお尋ねの専訓のパーセンテージでございますが、もうすでにこれは仮免に切替えられておりますので、一般の統計なり報告におきましては我々は仮免として受取つておりますので、どれだけということを詳かにいたさないわけであります。それから次の幼稚園の問題はこれは実際問題として非常に少数な問題だと思つております。お話のように需給に影響するような問題は起らないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/51
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052・若木勝藏
○若木勝藏君 もう一つ私伺いたいと思いますが、認定講習につきましては、前々国会においてもよほど問題になつたのでありますが、いわゆる予算の裏付がないと、そういうところで全国的に非常な問題をかもして、文部省でも随分苦労されたと思うのです。それが今回五カ年間更に延長された、三十六年三月三十一日まで。そういうふうに五カ年更に延ばしたという根拠、それについてどれたけの人間が一カ年にどういうふうに講習を受けて予算が地方財政に対してどういうふうに影響を及ぼすか。こういう一つの案が立てられたのですが、それについて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/52
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053・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 二十丑年度予算及び二十六年度予算に計上しておりまする補助金算定の規準が、只今お話になりました我々の認定講習五カ年計画に基く数字であるわけでございます。私どもといたしましては、二十五年の実績及びそれ以前のいろいろな講習で、單位に換算いたしましたものによつて取得した単位等をみんな勘案いたしまして、更に平均二二・四單位を取得いたしますためにはこの五十八方ばかりの該当者があと何年かかれば全体軍位が取得できるかというような計画でいたしております。それらの詳細な單位の計算はお目にかけることができるわけでありまか、ここ十年延長いたしましても別に来年度予算をそれだけ少く使わなければならんとは私ども考えてないのでございます。一応差当りのところは五カ年計画でそれだけの施設を以て出発いたします。ただその間に非常に無理をしてもその計画に合致させるというようなことがこのたびの年限延長においてなくて済む、成るべく早くこういう認定講習によつての切替えは了したいのでありますが、そういうようなわけから行きますと、ここに法案によりまして十年延長いたしましても、別にその五カ年計画による計算を変える必要はなかろうと思つているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/53
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054・若木勝藏
○若木勝藏君 そうしますというと、五カ年計画によつて今後認定講習によつて免許状の切替えが全部できるという見通しで以てやられておるわけですか、そういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/54
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055・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 該当教員五十八万四千人余りにつきまして、一つ上の免許状を取得いたしますための一人平均が二十二・四單位くらいでありますが、三十四年以前に三・三單位取つた、二十四年に三・三單位、二十五年に一人平均二單位程度取つたといたしますれば、あと十四單位程度まあ残つているわけであります。五カ年間にこの十四單位取るとなれば一年三單位弱でありますが、まあ夏休みに講習を受ければこれを取れるわけであります。でそう苦痛なく五カ年でも取れるだろうとは考えられまするけれども、併し全般的な問題でありまするから、無理をして五カ年に修めてしまうということは、又教育上いろいろ弊害があるので、ここに更に延長いたしまして、そのゆとりのある間において無理なく残りの單位数を取つて頂きたい、又旧制師範学校最後の卒業者から出発して考えたほうがいいというような考えもありまして、附則第五項を御覧のように改正いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/55
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056・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それでは午前の会議はこれで終了いたしまして、午後二時から再開いたしまするが、今朝ほど論議しておりました特例法のOKが若し参りましたら、又各派の態度がきまりましたら討論採決に入ることにいたします。それが延びるようでありましたら、文部大臣は二時から出席されるそうでありますから、宗教法人法の総括質問をお願いいたします。そうしてこの免許法は大体もう一回くらいで質疑を打切りたいと思つております。
じやこれで休憩いたします。
午後零時四十二分休憩
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午後二時三十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/56
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057・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それでは午前に引続き委員会を開会いたします。宗教法人法案に関する質疑を行いまするが、文部大臣がお見えになつておりまするので、大臣に対する総括質問を開始します。御意見のあるかたは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/57
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058・高橋道男
○高橋道男君 我が国においては今まで宗教政策というものが幾たびもとられて来ておつたと思うのでありまするけれども、私の見るところでは確たる宗教政策と称すべきようなものがなかつたように観察するのでありますが、私は、この日本のようにたくさんの宗教団体がある国においては、その政策を立てることは非常にむずかしい点があるとは思うのでありますけれども、その政策を立てることは非常に重要であり、且つ必要であるように考える立場からお尋ねを申したいと思うのであります。国民精神を振興して行く上において、教育と宗教ということは、その土台となるべき大事なものであると思うのであります。ところが教育に関しましては、論ずる人も多うございまするし、又教育のために一身を捧げておる人も非常にたくさんございまするし、その関係しておられるかたがたのレベルと申しまするか、基準も一応でき上つて来ておりまするので、教育の面については非常な熱意を持つてその政策が確立されて行くのでありまするが、一方宗教につきましては、私も宗教に深い関係を持つ一員として見た場合に、無論中には高識有能の宗教教師のかたも多いのでありまするけれども、半面においては必らずしもそうじやなしに、極論いたしますれば、低俗なる能力しかないというような教師も又相当たくさんおるのであります。併し、その実情の如何にかかわらず、宗教の影響するところは極めて大きいことは今更申すまでもないことでございます。その宗教について正邪曲直というような判断は、これは勿論軽々しくできるものではありませんけれども、現存の日本における宗教界を眺めた場合に、果して今のままでよいだろうかどうかということについて私は危惧を持たされる一員でございます。自分で深く宗教に関係を持ちながらこういうことを言うことは、甚だ苦い過ぎかも知れませんけれども、そういう見方をしておるのでありまするが、これは大臣として、或いはこの政教分離の建前からそういうところへの批判は避けられるかも知れませんけれども、若し御見解が伺えれば誠に結構だと思うのであります。その点もお尋ね申して、若しいけない、何とかしたほうがいいという御見解ならば、現在現状における責任という言葉は当らんかも知れませんが、既成宗教の側に現在に至つておるような責があるのか、或いは世間の宗教に対する理解などが薄くてこれを現状のような状態にしておるのか、或いは又政策に妥当なるものを得られなくて、為政者のほうにそういう責があるのか、そういう点を先ずお伺いいたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/58
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059・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) 私も今の社会には、非常に如何わしいという言葉を用いると少し過ぎるかも知れませんが、そういつた信仰もあるのではないか、又そういうものが起る危険も非常にあるのではないか、こう思つております。そういうものを是正する意味でもこの宗教法人法案が役に立つ。それはどういうことかというと、審議会というふうなものが宗教という名前を持つていても非常に非倫理的なものに対しては認証を與えないとか、いろいろそういう点においても役立つのではないかと思つております。私もそういうものがあるという認識を持つておりますので、それならその責任がどこにあるかと、こういう御質問でございますが、その第一は、私はやはり一般民衆の教養程度が低いことだと思うのです。そこに重要な根拠がある。併し同時に他の二つの挙げられた点も、それが重要な理由ではないけれども、幾らかの理由にはなつておるだろう、けれども一番重要な理由は、一般国民の教養程度の低いということであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/59
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060・高橋道男
○高橋道男君 次にお伺い申したいのは、憲法において政教分離の方針をきめられておりまするが、この宗教法人法案も政教分離を具体化する一つの目標として提案されるものであるかということをお伺い申したいのであります。只今大臣のお話において、宗教審議会にお触れになりましたが、そういう審議会とか、或いは裁判所とか、そういうものが、この法が成立したのちにおいて宗教と深い関係を持つようになる機関であるのでありまするが、その宗教に対する触れ方が非常に慎重に過ぎるようなふうに私は観察するのであります。例えば宗教法人に対する認証を與えるとか、或いは認証を與えないという場合には、次に再審査の請求をする、なおそれで飽き足らん場合には訴願をするというような段階をとつておる。これは宗教法人を非常に尊重する形式だと思うのですけれども、そういうような愼重に過ぎるような態度を私は感じるのでありまするが、これは一つの見方からすると、成るべく宗教には触れぬほうがいい、触れないほうがいいというふうに見るのでありますけれども、宗教法人法そのものがそういう宗教触るべからずというような態度で以て立案されたものであるかどうか、これをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/60
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061・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) 私はこれはやはり慎重のほうがよいのじやないかと思つております。信教自由という原理から言えば勿論のこと、実際問題としても、或る宗教が発達するという初めなどは、ややもすれば非常に素朴であつて、こういう宗教はどうかというように言われた宗教が、後には立派な宗教になつたということも考えられるのですから、これが愼重に過ぎるということは私はこの法案の程度においては考えないので、やはり慎重がよいのだという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/61
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062・高橋道男
○高橋道男君 それでございますならば、その愼重なる態度をこの法案に盛られておると考えまするが、非常に消極的な行き方のように見るのであります。そういうような態度のものを盛られておるものを現在の宗教政策と見ていいのであるかどうか。或いはこれは宗教政策の一つとしてであつて、別に又考えらるべき宗教政策があるというようなふうに考えてよいかということをお伺い申したいのであります。と申しますことは、敷衍して申上げますると、教義とか信條というものは、無論政治の立場から触れるべきものではないと思うのであります。曾つて戦前、戰時中におきましては、当局において或る一つの型を予想されて、お前のほうの宗教はこういう行き方であつて、どんなにその宗教団体が自分の主張なり信條を主張しようとしましても、その本体は認められずに、当局において仮想された、仮構されたものを基準として、それに当てはめんとするような強制的な考え方があつたように思うのであります。そういうような教義、信條を当局において型を作つて、それに当てはめて考えなければならんというようなことは、無論行き過ぎでありますけれども、教義、信條自体においては、これは相当幅のあるものだと思うのであります。従つて国情が動くに従つて、教義、信條というものの現れ方も又発展し得るのだと思うのでありまするが、そういうことを考えまするならば、宗教政策としてもう少し積極的な面を考えてもいいのじやなかろうか、教義、信條に触れない限り、私は憲法の政教分離の精神に反するものではないというように考える上から、積極的な宗教政策についてのお考えがあるまいかということをお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/62
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063・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) この宗教法人法案というものが宗教政策の全部ではなくして、そのほかにも宗教情操の涵養であるとか、いろいろの点で考えられると思つております。学校とか家庭の教育とか、或いは思想、文化、道義というようなものを通じて、宗教というものの発達に参與するというような、そういういろいろな面がまだ残されておると思つております。併し差当つては、この宗教法人法案というものが、宗教の内容にはどこまでも立入らないで以て、その宗教団体が活動をするのに都合がよいように、これを取計らつて行くという趣意で、私はこういう宗教法人法案というものが必要だというふうに考えるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/63
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064・高橋道男
○高橋道男君 信教の自由ということにつきまして、これは絶対的なものではないということを本会議において御答弁も頂いておりまするが、無論私も憲法の精神、大前提となつておる民主主義に副わないというような行き方については、これは十分批判されなければならんと思うのでありますが、宗教団体なり或いは宗教人の一部では、政教分離ということの解釈の行き過ぎの上からだろうと思うのでありますけれども、政治体から或いは政府からこれは自分たちにはかまつて欲しくない、放つておいてもらつたほうがいいというような、これも極端に申せば少し思い上つたような考え方があるように私は観察するのでありますけれども、そういう点殊に講和ができてから後はなお更のこと信教は埒がないものであるというような見解、風潮があるように思うのでありますけれども、一面から考えますれば、この宗教団体自体がやはり相当多くの国家からの恩典を受けてこそ存続しておるとも考えられまするので、その間において考慮の上の矛盾があると思うのでありますが、そういう点については如何考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/64
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065・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) 信教の自由といつても、これは憲法上の自由、即ち法律の自由なんですが、法律の自由というものはいつも無制限な自由というものはあり得ない。だから信教の自由といつても、そこに或る制限があるということは当然の話だと思うのであります。非倫理的であるとか或いは非民主的であるとかいうようなこと、いろいろな制限があるということは、これは当然なことだと思うのです。ただ戦時中のように宗教というものの内容に立入つたり、甚だしきは宗教というものを政治によつて圧迫するというようなことがあつた反動として、只今のような考えを持つた集団も起つて来ているのではないかと思うのです。併しそういう集団を無理やりに何でも届出をして法人になれというわけじやないのですから、それを欲しないものは法人にならなくてもいいのじやないかと私は思います。そういう意味でそういう自由を主張するものが出るというのも自然ですけれども、併しそれを無理に法人にしようというわけじやないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/65
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066・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 高橋君に申上げますが、まだ続くでしようけれども、文部大臣いろいろ御都合がありますので、文部大臣に対する総括質問を次回に廻して、逐條に移りたいと思いますが。……ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/66
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067・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 速記をとつて下さい。それでは文部大臣に対する総括質問は次回に譲りましで、逐條に移りますが、如何でしよう。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/67
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068・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それでは第一章総則。
〔説明員荻野勉君朗読〕
第一童 総則
(この法律の目的)
第一條 この法律は、宗教団体が、礼拜の施設その他の財産を所有し、これを維持運用し、その他その目的達成のための業務及び事業を運営することに資するため、宗教団体に法律上の能力を與えることを目的とする。
2 憲法で保障された信教の自由は、すべての国政において尊重されなければならない。従つて、この法律のいかなる規定も、個人、集団又は団体が、その保障された自由に基いて、教義をひろめ、儀式行事を行い、その他宗教上の行為を行うことを制限するものと解釈してはならない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/68
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069・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 第一條について御意見ば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/69
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070・高橋道男
○高橋道男君 字句の解釈でありますが、業務と事業ということはどういうふうに違うか、ちよつとこの点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/70
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071・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 事業のほうば、公益事業その他の事業という意味で、現実の一定の目的のために一定の常識を以て人的、物的な施設を専らその目的のために用いられる、いわゆる公益事業その他の事業、そういう意味において使用されております。それからここで言う業務というのは、宗教団体自体の活動、或いは宗教団体が法人格を取得した場合における法人としての活動、宗教団体並びにそれが法人となつた場合における主たる目的のための活動、こういつた目的を遂行する上において営まれるところの種々の業務をここで業務というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/71
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072・高橋道男
○高橋道男君 第二項のほうで「倉重されなければならない。」という、この尊重の内容なりその具体的なものがありますれば、それをお示し頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/72
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073・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) ここで尊重という言葉を使つておりますが、これは憲法の言葉をここにまで流用をいたした次第でございまして、その実際的な現われといたしましては、この條以後におきまして、或いは手続関係、或いはその規則の作成、その内容、或いは活動の画に対する所轄庁或いは裁判所等の規定がございますが、これとの関係におきまする規定において、この法案においては尊重という内容を相当具体性を以て規定している次第でございます。従つてここで立法、司法、行政に亘つて倉重ということが言われる次第でございますが、専ら法案といたしましては、先ほど申述べたような経緯において直接の規定を盛つておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/73
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074・高橋道男
○高橋道男君 その尊重ということの適用される点につきまして、私はできれば労働省関係官の御列席を得て御質問を申したいことがございますので、その点の保留をして置きたいと存じます。
それからなお念のためでありますが、集団と団体との区別はどういうことになるか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/74
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075・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) ここで集団という文字を使用しておりますが、これは一定の目的を持つているか、或いは持つていないにしても、この両者を通じまして人的な団体と結合された団体、こういうものを一応予想している次第でございます。次に団体と申しますと、一定の目的を持ち、或いはその下に組織的にまとまつたいわゆる立体的な組織体、こういつたものを予想しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/75
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076・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 第一條、よろしうございますか。第二條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(出宗教団一体の定義)
第二條 この法律において「宗教団体」とは、宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする左に掲げる団体をいう。
一 礼拝の施設を備える神社、寺院、教会、修道院その他これらに類する団体
二 前号に掲げる団体を包括する教派、宗派、教団、教会、修道会、司教区その他これらに類する団体発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/76
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077・高橋道男
○高橋道男君 この本文の信者というものは、これは教師、教徒或いは檀徒、そういうもの一切を含んでおる言葉であるかどうか、それをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/77
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078・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) お説の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/78
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079・高橋道男
○高橋道男君 次に信者を教化育成するということがありますが、これはこの言葉をこのまま受取りますと、信者である者を教化育成するというように取られますが、信者でない者を強化育成するということも実際においては含まれておると思うのですけれども、それはどういうふうに考えたらよろしいか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/79
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080・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 御意見の通り未信者に対してもその信者にまで、或いは信仰にまで教化育成するというように言葉を広く解釈する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/80
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081・高橋道男
○高橋道男君 次に第一号、第二号に掲げられておりまする字句につきまして、これは順位があるものであるかどうか、変なことをお伺いいたしますが、以前の例えば宗教団体法のごとき場合には、その順序が非常にやかましく言われておつたように思うのでありますが、同様に順序があつての御掲載であるかどうか、それをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/81
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082・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 我々はこの配列につきましては考慮いたしましたことは、この配列に順序というものを積極的に定めないのでございます。ただ一応この順序を規定したゆえんのものは、非常に公平に且つ平等でなければならない、宗教団体の性格から申しまして、配列をするとするならば、どういうふうにしたならばいいかということで我々のほうでは旧来用いていた慣例という観点と、もう一つは、宗教団体が日本における歴史的な団体として発生して行く、この現状などを考慮いたしましてかくのごとく配列した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/82
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083・高橋道男
○高橋道男君 第二号の教派、宗派などについては以前から用いられておる言葉でありまするが、これは従来のいわゆる教派神道十三派、仏教五十六派というようなものを意味するか。或いは今後新らしくできて来るものも何らかの範疇によつてそれぞれ教派或いは宗派という名前を呼称するのであるか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/83
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084・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) これはお説の通り教派の関係におきましては、教派神道十三派或いは仏教における宗液、同じように御意見の通りでございますが、この法文が直ちに、将来できて参りますところのかかる包括教団に、神道教派的なものは教派でなければならない、或いは仏教宗液的なものは宗派でなければならない、こういうふうな強い意味ではここは解釈をしておりません。併しおのずから歴史的な理由なり或いは沿革なりに徴しまして、仮に仏教でありますならば、かかる包括教団が新らしくできて来る場合においては、何々宗派とか何々宗という名称が取られることは一般かと存じますが、この法文から直ちにかかるものを名称によつて強制されるという趣旨のものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/84
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085・高橋道男
○高橋道男君 もう一つお伺いしたいのは、この第一号と第二号と相並べて見ますると、第二号のほうは当然この包括団体であります、包括団体である宗教法人と單位団体である第一号の法人と、法人という資格においては或いは同じであるかも知れませんけれども、私は内容から考えてどうしてもこの機構の異なるものがあるというように考えるのであります。そういう点はどういう御見解を持つておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/85
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086・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) お説の通り第一号の宗教団体でありまするところの神社、寺院、教会、修道院その他こういう団体と、二号に掲げまするところの教派、宗派、教団との性格は、厳密な意味において相異なつておるのでございます。併しながらその歴史的な理由とか或いは発生といつたものを考えて見ますと非常に共通な面が多い。なお且つ機能の面につきましても非常に共通な面があるのであります。併しながらここでも明らかに一号、二号と分けて、且つ二号におきましては包括団体というふうに心得ておりますが、従つて二つ以上のいわゆる一号の單位団体を包括している団体という限りにおきましては、その性格が單位団体である神社、寺院、教会とは非常に違つた色彩が生まれて来るのであります。性格上の両者の関係を見まするときに、御説のように必ずしも同じだということは言えません。場合によりますると、性格が非常に異なつているものもあり得る次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/86
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087・高橋道男
○高橋道男君 更にその点念を押して伺いたいのでありますが、発生的に見てそういうことはないと思いますけれども、單位団体二つあるその一つのほうが大きな勢力が出たために、もう一つのほうを包含してやろう、そういうようなこともこれはないとは言えんと思います。そういう場合に、包含しようとするほうの単位法人の性格は、包含するときには以前の性格と変つて来るものであるか、どうでありましようかということを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/87
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088・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) これが宗教団体として考えられる場合、それから宗教法人という角度から考えられる場合とややそこに又差異こあろうかと存ぜられまするが、宗教団体として実質的に現象的に眺めまする場合においては、両者の関係が非常に異なつておると私は考えております。それで宗教法人という角度から眺めます場合におきましては、非常に共通性がある。併しながら共通性を持つているけれども、主目的と申しますか、その教派、宗派、教団の根本的な性格がおのずから神社、寺院等の單位団体の目的とするところとは異なつている点が非常に多いということば考えられますが、実質上或いは形式上のいわゆる法人として考えられる、或いは宗教団体の実質を以て考えられる、こういう場合には多少観点の差異から異なつて解釈されなければならないのじやないか、こう考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/88
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089・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 他に御発言ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/89
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090・梅原眞隆
○梅原眞隆君 この第一号の礼拝の施設を備える神社という文句です、これを神社を宗教として認め、若しくは取扱われているということは戦争以後大分あるわけですが、これは御存じの通りそれ以前或いは宗教にあらずという特定な立場を以て存在をしておる、歴史的には……。従つてそれの国民の氏子という一つの信者が宗教としてそこに出たのじやなくて、宗教にあらざる神社として集まつたものもあるわけです。それからその経済的な基礎を保つ上におきましても、俗に言う宗教的神社として氏子が維持されておるのではなくして、宗教にあらざる神社の氏子として維持されておる。こういう現実と事実があるわけです。こういう規定があれば漸次そういう方向になると思いますけれども、やはりこの中にはそういう信者が宗教にあらざる神社を宗教団体として卒直にお認めになるということには、やはり相当にこういうことを認めると混乱が当然生起して来る事実があるのだから、こういう法令を行われるのには相当の啓蒙運動というか、そういうものがないというと、ややもすれば地方に行きますと今でも二つの宗教を信ずるような形になつて来る。而もその信者の金を集めるのに昔風な形で隣組の連中が集めているというような形を取つておるというところなど当然起り得る一つの混乱だと思いますが、このうちで今までほかのものは別として、神社だけは、神社は宗教にあらずという特異な存在であつたためにこれをこの中に包括をなされるということには私はやはりその辺の相当な、つまり啓蒙運動というか、一種の再編成というか、それをなし得る或いは公告の上においてとか、或いは信者名簿を作るとか、それのやり方というような上において相当に適正な運営を期するような考慮が必要であろうかというような感じを持つのです。立案者の間に何かそういうふうなことに関してお考えになつた点があるかどうか、一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/90
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091・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 只今この御意見でございますが、その終戰前におきましては神社は宗教にあらずといつた取扱を受けておりました。果して神社が宗教なりや否やとの判定というよりも、取扱においてそうあつた。それでなお御論のような信者であるところの氏子とか、崇敬者の啓蒙運動に関連いたしまして、これは我々も非常に注意いたし、特に終戰後におきましては神道指令下におきまして宗教法人となる途が開かれ、そして信者が宗教法人となつた。而してその氏子、崇敬者等に対する態度、或いは寄附金募集に対する取扱、こういう面につきまして神道指令その他の法令の関係から十分に宗教性としての取扱については特に文部省におきましても神社、本庁その他特定の神社につきましては十分連絡いたしまして、その趣旨の徹底を図ると共に、宗教団体としての機能を十分に果すように、この單なる地域的範囲としてその中にありますところの旧来の氏子は必ずしも氏子としてはいけない、いわゆる自発的に氏子たる意思がある場合に、その氏子に対しては寄附金募集の場合に考慮してもらいたい。強制的であつてはいかん、こういうような通知をすることも特に出たのです。従つて今後といえども神社の数の殆んど八、九割を占めるところの神社本庁などと共にこの面につきましては十分仰せのように徹底を図つて参りたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/91
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092・大谷瑩潤
○大谷瑩潤君 今のに関連しての問題でありまするが、我々実際の面において氏子であり又寺の檀徒であるというような二重の信者としての扱いを受けておるものが相当あるのじやないか。又日常生活の上にも町内会あたりから強制的に氏子としての寄附金を集めに来るというようなので、これを拒むわけに行かんような場合が相当ある。ですから私がお伺いしたいことは、信者というものの内容、これを一つ定義的にはつきり承わりたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/92
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093・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 神社、ここで用いられている意味内容についての御質問でございますが、ここでは神社の場合、或いはその包括団体である神社本庁、こういう神社関係の向きのものにつきましては、その信者の内容は氏子、崇敬者或いは神官、或いは神職のかた、こういうふうに概念しております。而して仏教の場合につきましては、檀徒或いは檀家或いは信徒こういつたようなものを考え、且つ又教師或いは非教師でありますところの僧侶、或いは教師たる僧侶、住職こういつたものを含めて考えております。それからその他キリスト教関係で申しますならば信徒とか信者とか或いは特殊な名称で会員とか、こういう名称を使われておるものもございます。いわんやそれの牧師資格を持つておるキリスト教におきまするところの教師或いはそれの補助者であるところの非教師、こういつたものを総括的に信者だ、こういうふうに概念している次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/93
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094・大谷瑩潤
○大谷瑩潤君 新憲法によつて家というものの存在を認められぬことになつたのでありますが、檀家というものに対する見解を一つお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/94
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095・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) いわゆる民法上におきますところの家、或いは戸主権、こういつた関係の概念ということ、それから宗教団体でよく唱えます檀家という概念とは必ずしも一致しないかとも思いますが、勿論その発生的に申しますならば、家族主義或いは戸主権、こういつたものから当然に檀家というようなものができて来ております。併し御時勢の推移とともにその意味内容も変つて来ようかと思いますが、現在におきましては、最初地方におきまして檀家といつたような言葉を使つておりましたものですから、最近そういう一般に使用されているものもこの意味に入る、檀家の意味の場合こういう意味に御説明もした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/95
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096・大谷瑩潤
○大谷瑩潤君 この法律で宗派というものの立場をどういう工合に考えていいかということをもう一遍承わりたいのでありますが、これはさつき高橋委員から質問がありました通りに、宗派も寺院も同じ宗教法人と一律に規定しておるので、その管理運営に関する規定も同一にしているのでありますが、その法律を作られた意思がどこにあるかということをもう一遍承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/96
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097・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 只今の御質問ですが、宗教団体の実質におきまして、寺院のごときは寺院と宗法の両者におきましては、現実の問題といたしましては異なつております。従つてここで形式的に取上げまして、曾つての法令を、現行法令もそうでございますが、所属する関係という関係で所属しているものが寺院、これを所属させてこれを一般的に包括している状態のものを宗派、こういうふうに概念しております。併しながら先ほど御指摘になりましたように、法案におきましては、宗教法人という一つの概念で以て総称しております。併しながらその実体関係を、同じような関係である、形式的に同じだと、こういうふうに我々はこの法案から直ちに推論し得ないのでございまして、その実質が問題でございます。従つて一つの事実がございますと、その事実につきまして仮にこれを任命形式、任命権と、こういつたものを具体的な例として申上げますならば、一つのかかる任命という事実につきまして、宗派的な角度から押える、取上げるならば、任命権者は誰だ、そうしてどういう手続であるか、こういうふうな規定が宗派のほうの規定の中に盛り上げられ、一方寺院のほうにおきましては、その任命される人が誰であるか、又任命された者はこの寺院についてはどういうふうな職能、権限、資格を持つか、こういうふうな規定になろうかと考える次第であります。従つて我々は一般的に申しまして、規則の上で考えるならば、一つの事実についても相互の関係からその実体に即した規定をして頂く、こういうふうに了解し、一般的に申しますならば相互規定制と同じく法人であるけれども、その実体が異つている関係で、その事実について相互の角度からその実体に即するように規定して頂く、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/97
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098・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君)(第二條御発言ございますか。第三條)。
〔説明員荻野勉君朗読〕
第三條 この法律において「境内建物」とは、第一号に掲げるような宗教法人の前條に規定する目的のために必要な当該宗教法人に固有の建物及び工作物をいい、「境内地」とは、第二号から第七号までに掲げるような宗教法人の同條に規定する目的のために必要な当該宗教法人に固有の土地をいう。
一、本殿、拝殿、本堂、会堂、僧
堂、僧院、信者修行所、社務所、
庫裏、教職舎、宗務庁、教務院、
教団事務所その他宗教法人の前
條に規定する目的のために供さ
れる建物及び工作物(附属の建
物及び工作物を含む。)
二、前号に掲げる建物又は工作物
が存する一画の土地(立木竹そ
の他建物及び工作物以外の定着
物を含む。以下この條において
同じ。)
三、参道として用いられる土地
四、宗教上の儀式行事を行うため
に用いられる土地(神せん田、
仏供田、修道耕牧地等を含む。)
五、庭園、山林その他尊厳又は風
致を保持するために用いられる
土地
六、歴史、古記等によつて密接な
縁故がある土地
七、前各号に掲げる建物、工作物
又は土地の災害を防止するため
に用いられる土地発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/98
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099・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 質疑のあるかたはどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/99
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100・高橋道男
○高橋道男君 第三條には、ほかの法律で見られない宗教法人特有の字句が並んでおりますので、その字句についての定義をお示し頂けば非常に結構だと思います。一号以下……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/100
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101・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 一号に掲げておりますところの字句でございましようか。いわゆるかがみのほうについて申上げるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/101
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102・高橋道男
○高橋道男君 宗教法人に独特な言葉、一号以下にずつと並んでいると思います。或いは五号、六号などはその関係は薄いかも知れませんが、そういう特異なテクニツクについての定義でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/102
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103・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) ここで先ず第一号から申しますれば、本殿、拝殿とございます。これは御承知のように神社関係で祀神等を奉祭しているこんな建物を本殿、それから拝殿はそれらの参拝のために專ら用いられている建造物、これは御承知と存じ上げます。本堂、会堂、これにつきましては仏教の御本尊をお祭りしてあるところの建物、これを本堂と申します。会堂につきましては、これは仏教関係にもございましよう。なおキリスト教あたりの中心的な礼拝堂と申しましようか、そういつた二つの面を考えている次第でございます。僧堂、これも仏教関係の、これは御承知と思いますので略しておきますが、僧院、これはいわゆるキリスト教関係のカトリツクなどにございますところの修道院の、導ら礼拜を中心とした建物を僧院、信者修行所と申しますのは、先ほど第二條に規定いたしますところの信者の教化育成という一つの目的のために掲げられておる次第でございまして、これらの目的を十全に果し得ますためのしつらえ、これを信者修行所こういうように了解しております。社務所は御承知のように神社の事務所、庫裏は御承知のごとく仏教におきますところの住職がそのお寺、寺院の教化能力を全うするため、或いは宗教財産を管理するために如上の目的のために止住しているところのその場所を、その建物を庫裏と一応概念しております。教職舎と申しますのは、專らこの用語でございますが、牧師館、祀祭館等を総称いたしておりますが、これにつきましてなお神社関係の向のものも考えられるわけでございます。宗務庁、これは御承知の仏教関係の包括教団の事務所に相当するものでございます。教務院などは、この実例はキリスト教関係の教団の事務所並びに教派、神道等の一部の宗派的な存在の宗教団体の事務所などがこれに入つております。教団事務所と申しますのは、キリスト教その他の団体に普通通例使われておりますところの宗教上の事務をとる所、こう考えております。それからここで第三号の参道と申しておりますのは、必ずしも「参道」と申しますもののみを意味しませんで、横に付いていたり或いは裏からその社寺に通ずるところのいわゆる裏参道、或いは表参道といつたようなものをこの参道として概念しておる次第でございます。四、ここで申しますところの神せん田というのは、御承知の神社関係で奉祭祀神等を祭るための神前の穀物、野菜、そういつたものを専用の田で作る、その田を申しております。仏供田につきましては同じように仏に差上げるものを栽培し、生産するところの田、それから修道耕牧地と申しますのは、キリスト教、特にカトリツク教団にありますところの修道僧が專ら瞑想に耽り、苦行或いは宗教上の行事をしながら、そこに一定の場所に生産をしつつ、且つ祈りの生活の中に自分たちの生活の糧を生産する。こういつた専らそういつた信者の、信者と申しますか信仰者のためにその信仰を続ける意味におきまして、又その農産をするそのこと自体の中に、宗教的な活動を、宗教的な信念を深めて行く、こういつたような関係から、そういうふうな主に黙祷のために用いられるところの土地をここでは修道地と概念しておる次第でございます。
それから第六号にあります「歴史、古記等によつて密接な縁故がある土地」と申しますのは、例えばここで開山がこういうふうなことをされた、或いはその社寺にとつて最も記録上におきまして大事な場所がよくございますが、そういつた特に或いは歴史上において直接にその当該社寺と密接な関係があるという土地をここで総称しております。なおその前の尊嚴保持のために必要な土地、この場合におきましては、必ずしも何と申しますか一般的な概念はございませんが、宗教団体の特性といたしまして、その建物、土地自体が一つの宗教の中心、或いは信仰の感情、こういうものをまとまつた一体としての土地というものとの関係におきまして受けるところの感情でございますので、そういつたような一体感を持つところのもの、神聖を保持せしめるに足るところの土地、こういうふうに我々は理解しておる次第でございます。なおそのほかの点につきまして、又個別的な事項につきまして御質問があればお答えしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/103
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104・大谷瑩潤
○大谷瑩潤君 宗教法人の教義及び社会事業経営について、その限度を説明して頂きたいと思いますが、これを伺うのは、宗教法人の境内、建物の中の工作物という点について今御説明を伺つた中には、教義や社会事業に対する建物に対しての何も規定が載つておらんわけであります。こういうものに対してはどういう工合に取扱われますか。それに対して御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/104
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105・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) お説のように寺院、或いは教会等につきましても同じでございますが、社会事業その他いろいろな社会の福祉のために貢献する事業を営んでおる現状でございます。我々の所管以外にも厚生省あたりの社会事業の中にその大半は宗教団体との関連性を持つているというのが実状でございます。或いは教育の面において、或いは児童の福祉の面において、或いは授産の面において、或いは医療施薬の面において、非常な大きな社会活動を営んでおる次第でございます。而してかかる社会事業、或いは公益事業と申しますが、こういつた面についての境内地或いは境内建物としての規定がこの中に包含されていない。この点につきましての御質問でございましたが、ここで第三條で規定いたしておりますのは、主目的が先ほど第二條で述べましたような目的に関連いたしまして、そういつた面からの活動を專ら中心に考え、ここで本文にあります宗教法人というのはこういうのを指すというので、一般の宗教団体の普遍的通性と申しますか、こういつた面についての境内建物、境内地を予想してここで一般的に規定いたした次第でございます。従つてこの境内地の上におきまして、先ほど申上げますような社会事業の営まれる場合におきましては、これはそのことによつて境内地がなくなる、或いは境内地でなくなる、資格の喪失というふうには考えないのでございます。かかる境内地に、かかる建物がありましても境内地として存続する。併しながら一般的に申しますれば、社会事業なり或いは生活保護法、児童福祉法等によりまして、かかる施設が法令の下における許可、認可を得たる場合におきまして、その取扱においては殆んど宗教法人の恩典と同じ形を取りますので、従つてここで改めてそのものを謳います重複を避けるという意味もございますので、かたがた先ほど申上げましたような意味合いから、境内地の性質を剥奪されるという意味ではないという限度において、かかる各法令におきまして営まれるところの社会事業以外の事業がたくさんございます。こういうものが境内地で行われておつても、境内地と我々は一応考えております。それはその法的根拠と申しますれば、いわゆる教化育成といつた面につきまして、その第一号に掲げますように、「宗教法人の前條に規定する目的のために供される建物」、この関係或いは工作物、或いはこれの第二号におきます土地という関係から、その寺域につきまして考慮されて然るべきではないかと、こういうふうに考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/105
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106・大谷瑩潤
○大谷瑩潤君 この神せん田、仏供田、修道耕牧地と、こういうのが出ておりますが、実は農地調整法と申しますか、あのために随分寺院なんかで田地を取上げられておりますものがたくさんあります。そのために聖道門系の寺社というものは、その財源を失つたというくらいに、殆んど経営の困難を来たしておりますが、そういう事柄から考えまして、この仏供田というものはどの程度までお許しになるか、その程度を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/106
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107・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) この問題は非常にむずかしい又デリケートな問題でございまして、御意見の通り、寺院側におきましても、農地の解放等の問題から、非常な経済的な問題も派生しておる次第でございますが、ここに我々の意図しておりますところの境内地の中に仏供田を挿入した趣旨のものは、宗教団体として、又信教の自由の立場から結成された宗教団体といたしましては、こういう仏供田といつたようなものが宗教本来の用に供されるものである。従つて農地法との関係におきまして考えて見ます場合におきましては、それは仏供田だから農地法の適用がないと、こういうふうにまでは言い切れないと思いますが、併しながら仏供田として境内地であり、專ら信仰方面の用に供されるものであるという趣旨の利用をここにおいて考慮されるのではないか。こういう趣旨において考えております。従つて農地法の適用を除外するというような強い意味ではございませんのでありますが、併し具体的な場合にこういうものも地方の農地委員会の判定の場合におきましては、宗教活動に必要であると肯定されているという関係から重々斟酌される余地があるのではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/107
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108・大谷瑩潤
○大谷瑩潤君 第五号にあります山林という問題でありますが、これも寺院の特殊のものになりますと、非常に大きな土地を領有すると申しますか、帰属されておるわけであります。その範囲をどの程度にまでお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/108
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109・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) これはいわゆる寺院で申上げますならば、本山格のものもございましようし、末寺格のものもございます。その間におきましてもいろいろと差等がございます。或いは歴史的な理由の関係、或いは祖師等の関係等から申しまして、いわゆる宗教的な意味合いの下に一応寺院と申しましても、内部的、歴史的、由緒的に申しますならば種々そこに差等がございます。従つてその規模についてもおのずから別個の問題が出て参ります。従つてこの山林の境内地である幅と申しますか、そういつた歴史的なもの、或いは由緒的なものを考慮して判定されなければならないと思います。併し厖大な山林を持つていて、その宗教法人がそれを所有するということによつて、これは境内地になるのだ、従つて免税等の恩典をこうむるのだと、こういうふうには言い切れない場合が多いのであります。多くの場合におきましては、実際の取扱い慣例等におきまして、その税務当局の取扱いには大体における基準なるものができておるようでございます。併しこれはここで形式的にかくかくの範囲でやるということは申上げるのに非常に困難であると思います。従つて税関係におきましてもかかる種々の事情を考慮し勘案した上で以て判定されるだろうと、こういうふうに考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/109
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110・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 私からも一、二お聞きしたいと思います。第一項ですね「当該宗教法人に固有の建物」、それからあとにも固有の土地ということがありますが、固有とはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/110
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111・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 固有と申します意味は、先ほどもちよつと触れましたように、宗教団体が大体特性として、普通普遍的に持つているところの性質と、こう申上げれば一番近いのではないか。従つてここで法律上に申しますところの所有権がある、従来から所有権を持つておつた、こういう意味合いのものでなく、本来境内地概念、或いは境内地建物概念というものは相当歴史的な意味合いを持つております。従つて甚だ一般的でございますけれども、或いは抽象的ではございますけれども、ここに掲げておりますような建物、土地というものは、従来から、又昔においてもこういうふうなものを境内地といつております。そういうような歴史的な意味合いにおきまして、且つ宗教団体の通性と考えられる意味におきまして、こういう固有という言葉を使用した次第でありまして、法律で言いますところの所有、或いは占有、或いは借りるとか、或いは使用するとか、この関係を固有という言葉で表示している、そういう意味合いのものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/111
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112・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それから四号の場合に、飛地のようなときにはどういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/112
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113・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) この飛地と申しまして、一定の境内地以外にある土地につきましては、それが宗教上の儀式、行事をその場所におきましてその宗教法人が行う場合におきましては、距離が遠い場合におきましても、飛地境内というものはこの関係から境内と我々は考えてよろしい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/113
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114・高橋道男
○高橋道男君 本文の「固有の」という言葉について、特に今政府委員からは歴史的な関連のことを言われたと思うのですけれども、これは歴史的というと非常に長い年限に亘つて使つているというような意味にとられるのですが、必ずしもそうでない、宗教目的以外には使わない、併し宗教目的だけに使つているのだというようなものも含まれるように私は思うのですけれども、そんなふうには行きませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/114
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115・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) その歴史的という言葉、或いは私が言い過ぎたかも知れませんが、そういうモメントもあつたという程度でございまして、御意見の通り私もそういうふうに了解している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/115
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116・高橋道男
○高橋道男君 なお字句についてお伺いいたしたいのでありますが、この本殿、拜殿という字句がありますが、神殿とか礼拜殿という字句はございません。従来ややともすればこの使われている字句を使つていないと、それは境内建物とか、構内建物とかいうふうに見なされなかつたことがしばしばあつたのでありますが、今おつしやつたこの本殿というのは、神社の奉斎主神を祀つてある所というような定義を言われましたが、そういうものに対して神殿という名前をつけた場合、同様境内建物というふうに考えていいかどうか。更にひつくるめて申しますれば、ここに掲げられていない字句でも、同様の内容を持つているものはそれに同じ、或いは等しいものとして考えていいかどうか、これをお伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/116
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117・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 只今の御質問でございますが、私言い洩らしましたのですが、この本殿、拜殿、本堂、或いは庫裏とか、社務所といつた言葉は、これは例示としてここに掲げたのでございます。従つてこれに相当する各宗教各派の建物がございますれば、その名称如何にかかわらず、当然境内建物並びに境内地と考えて然るべきと考えております。なおこれ以外におきましても、例えば講堂あり、或いは何と申しますか、神社の関係で申しますれば租霊殿があるとか、納骨堂があるとか、祭殿があるとか、種々その名称如何にかかわらず、そういつた宗教の活動のために必要な施設がたくさんございます。いわゆる寺で申せば七堂伽藍といつたようなものもございますので、そういつたものをここではその中からそういつた建物を理解するにふさわしいような、テイピカルなものをここに神道、仏教、キリスト教の例によりまして、例示としてここに掲げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/117
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118・高橋道男
○高橋道男君 重ねてお伺いいたしますが、この庫裏ということについて、住職が役向きの上で「しじゆう」すると言われたと思うのですが、「しじゆう」ということは私が住むという文字ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/118
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119・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 非常に特殊な言葉を用いて誤解を招いた次第でございますが、この「しじゆう」というのは私が住むじやなくて、止まり住するという言葉で、仏教関係で一般に使われていることでございます。これはその管理者である住職が專らその宗教の活動のため、自分自身の修養のため、又は財産管理のためにそこに止まり、そうして住しているという意味におきまして、仏教関係では止住という言葉を使つているので、私が住むというのじやございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/119
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120・高橋道男
○高橋道男君 それでは神社においては宮司、或いは教派神道などにおいては、従来から申せば主管者とか管長とかいう立場の者が役向の上でそういうように使つておる。この建物はやはり庫裏と同様の意味に解してよいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/120
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121・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 御意見の通り又我々はそういうふうに解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/121
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122・高橋道男
○高橋道男君 もう一点この信者修行所についてお伺いいたしたいのでありますが、天理教に信徒詰所というのがあるのですが、これは信者の修験訓練のためと申しますか、信仰上の修養の目的、或いは更に法文の言葉を以てすれば、信者の教化育成の目的を以て、対価を支拂うということには関連なしに、或いは集合し、或いは滯留する、或いは宿泊するというような施設であるのでありますが、当然ここには長く留まることもありまするために、生存上の食餌を給與する、食事をする、勿論これは宿屋とか料理屋とかいうようなものの種類のものとは違つて、單に食事をするというような施設でございますが、そういうものはこの信者修行所に該当するというように先ほどの御説明で感じたのでありますが、そういうことでよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/122
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123・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 私も御意見の通りと考えております。併しここで一般的に申しまして信者修行所であるとか、或いは庫裏であるとかという、形式上或いは名目上な問題よりも、実質におきまして、事実かかる向のものに実際に使用されているかどうかということが最も大事な点じやないかと思うのであります。これは必ずしも只今の信者修行所のみに関連せず、一般的な問題として同様に実質上の関係というのが非常に大きな問題だろうとこう思われる。お説の信者詰所につきましては私も信者修行所の一つの現われ、一つの形態、こういうふうに理解していいのではないかと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/123
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124・高橋道男
○高橋道男君 第二号のこの「一画の土地」とありますが、或る地方においては一筆、登記面の一筆の土地というように解せられる向があるのでありますけれども、それでは非常に窮屈になりまして、数筆の上に跨がつて建造されている工作物も当然ありますので、その一筆という工合に限ることができないと思うのであります。私はこれはそういう窮屈なことでなしに表面の或いは一区画と申しますか、客観的に見て認められる範囲の広い土地というように考えるのでありますけれども、その点は如何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/124
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125・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 我々も高橋委員と同様な見解の下にこの一画の土地を概念しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/125
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126・高橋道男
○高橋道男君 三号なり四号の参道或いは土地というものについては、先ほど縷々御説明がございましたが、何かこの標準というものがないと判定する側からも、又これを判定してもらおうとする側からも困難が起ると思うのですが、何か標準というようなものについてはお考えはないものでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/126
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127・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) これにつきましては、その判定すること自体が非常に困難であることは申すまでもないことでございますが、特に宗教上の儀式、行事という面に触れて参りますと、信仰自由或いは信仰という面につきまして、相当タツチする面が強いのでございます。従つて国の側或いは所轄庁の場合におきまして、それを判定するということが或いは却つて大きな故障を生ぜしむる慮れがあるというように考えます。勿論一般的に申しまして、すでに神社、寺院、教会等が、現実の問題として活動もしておる現状、従つて国家の恩典につきましても、かかる実情或いは今までの慣例上の関係から、一応基準的なものを考えまして、いわば実際問題といたしましては、取扱上或る種の標準と申しますか、基準において実地にやつておる次第でございます。併しながらそれにいたしましても、例えば地方或いは市町村等におきましても、まちまちな取扱をしてはならないという配慮から、一応ここでは一号から七号までに掲げまして、その一般的な共通事項としてここに取上げたという意味で、かなりその基準性の、大まかではありますが、画一性は大体において十分じやないか、こういうふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/127
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128・高橋道男
○高橋道男君 もう一点お伺いいたしますが、先ほど大谷委員から四号の土地について、農地法で買収された土地の返還ができるかというお尋ねがあつたと思うのでありまするが、同時に神社などにおきまして、例年神饌の御供米として或る一定量のお米が要る。そういうことのために、そのお米を得るために、幸いにしてここに神饌田というようなものが設けられましたこともあつて、新らしくそういう神饌田の用意をいたしたいというようなことも起つて来得ると思うのでありまするが、そういう場合に、農地を逆にというか、改めて買収して、その神饌田或いは仏供田というようなものにすることができるだろうか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/128
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129・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 先ほどもこの問題に関連いたしまして簡單な御説明を申上げた次第でございますが、農地法に基きましての買収があつた。それがたまたま将来仏供田、神饌田等に編入される、或いは境内地にしたいということによつて、その買収の効力が停止或いは効力を失うということの御質問でございますが、それまでにはこの法は授権しておりません。ここで神饌田、仏供田とこう申しましたそのこと自体が、土地の性質として当然に農地法の適用を排除するという強い意味のものではないのでございます。その農地法等の委員会等におきますところの判定の場合に、信教の自由を侵してはいけない、專らこのために神饌田、仏供田等が必要である、法の上においてもかくのごとく言われておるという意味合いの下に利用して頂けることは結構かと思いますが、法律上の効果として、仏供田になつた、神饌由になつたから直ちに農地法との関係において効力を発生せしめる、こういう意味合いのものではないのであります。従つて且つ又新らしい社寺、教会等を作られる場合におきまして、神饌田、仏供田に相当する土地を作られる、これもそれが当該宗教法人に慣例上或いは宗義上必要であるならば、やはりここの意味におきますところの神饌田、仏供田に当ろうかと存じます。併しながら飽くまでもやはりここで規定したゆえんのものは、一応歴史的な、従前からこういうふうに取扱われているもので、軍にこれを掲げることによつて、いわば行き過ぎな利用をするということは我々は望まない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/129
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130・大谷瑩潤
○大谷瑩潤君 簡單にお答え願えば結構でございますが、寺院の墓地は境内地に含むのでありますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/130
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131・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 一般的に申しまして含まれると解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/131
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132・大谷瑩潤
○大谷瑩潤君 礼拝の設備を備えるだけの借家の説教場とか教会というものがありますが、そういうものはやはり境内地、或いは境内の建物として認められるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/132
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133・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 説教場は宗教法人として申請され、認証された曉におきまして、それが借家でありましても、それが専ら第二條に掲げますような儀式行事を行い、或いは神社教会に専用するという主目的に副い得るものであるならば、当然これは境内建物並びに境内地として取扱うことに相成ろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/133
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134・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) これは我々の考えから言うと、寺院に附属した住職の用に供せられるところの、勿論宗教上の建物と解釈しておるのでありますが、或る地方行政官庁の一部の人でありますが、庫裏というのは、住職の用に供せられるものじやなしに、寺院が曾つて質屋営業をしたようなときがある。その場合に使つたのが庫裏であるから、庫裏という言葉はこれは住職の用に供せられる宗教上の建物ではない、こういうように解釈をする人がある、ということを聞くのでありますが、こういうことは我々は非常識だと思うのでありますが、政府委員はどういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/134
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135・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 我々のほうでは全然そう解釈しておりません。従つて庫裏という言葉自体も非常に仏教的に申しますならば、我々の知る限りにおきましては、昔から或いはインド、或いは支那からの古い言葉、サンスクリツト等からの派生的に出て来ました言葉だそうでございます。従つて只今のような説をなすものはこれは間違いであろうかと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/135
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136・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それでは第四條から第十一條まで一括して……。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(法人格)
第四條 宗教団体はこの法律により、法人となることができる。
2 この法律において「宗教法人」とは、この法律により法人となつた宗教団体をいう。
(所轄庁)
第五條 宗教法人の所轄庁は、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事とする。
2 他の都道府県内にある宗教法人を包括する宗教法人にあつては、その所轄庁は、前項の規定にかかわらず、文部大臣とする。
(公益事業その他の事業)
第六條 宗教法人は、公益事業を行うことができる。
2 宗教法人は、その目的に反しない限り、公益事業以外の事業を行うことができる。この場合において、収益を生じたときは、これを当該宗教法人、当該宗教法人を包括する宗教団体又は当該宗教法人が援助する宗教法人若しくは公益事業のために使用しなければならない。
(宗教法人の住所)
第七條 宗教法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
(登記の効力)
第八條 宗教法人は、第七章第一節の規定により登記しなければならない事項については、登記に因り効力を生ずる事項を除く外、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(登記に関する届出)
第九條 宗教法人は、第七章の規定による登記(所轄庁の嘱託によつてする登記を除く。)をしたときは、遅滞なく登記簿の謄本又はその登記した事項に係る抄本を添えて、その旨を所轄庁に届け出なければならない。
(宗教法人の能力)
第十條 宗教法人は、法令の規定に従い、規則で定める目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。
(宗教法人の責任)
第十一條 宗教法人は、代表役員その他の代表者がその職務を行うにつき第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
2 宗教法人の目的の範囲外の行為に因り第三者に損害を加えたときは、その行為をした代表役員その他の代表者及びその事項の議決に賛成した責任役員、その代務者又は仮責任役員は、連帶してその損害を賠償する責任を負う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/136
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137・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) ここまでのところで御質疑がありましたら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/137
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138・高橋道男
○高橋道男君 第五條の所轄庁の事務機構について構想がすでにできておるのでしようからそれをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/138
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139・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 大体におきましては、都道府県の総務部内における適当な宗教の係員が置かれることとなろうかと考えております。而してそれに関連いたしまして、従来からこの宗教関係の事務は戦前ずつと従来都道府県知事で專らその事務を専掌しておつた関係もありまして、引続きその事務の担当者も相当現状におきましてもある次第でございます。事務上支障のないように運び得るのではないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/139
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140・高橋道男
○高橋道男君 今度の法によつて教育委員会から外れて、県知事の事務として移される、これはこれで結構だと思うのでありますが、その県知事の下で扱われる場合も、宗教或いは宗教法人ということの理解がなしに扱われておつたようなことが従来非常に多かつたのであります。中には現在でも地方においては今回の法律を以て宗教の取締りだというようなふうに観念しておるところもあることをお伺いするのでありまするが、そういうようなふうに考えられておる人がある限りにおいては、私はこの法の運用が円滑にできない、そのためにはたとえ県知事のほうに事務が移されましても、その扱い者についてよほどの見解を深く持つてもらうことが必要だと思つておるのでありますが、そういうことについてのお考えなどは進めておいでになりましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/140
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141・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 我々もその点の虞れを十分に排除したいという気持から、この法案が成立いたしました曉におきましては、ブロツク会議を開き、或いは各都道府県の主任者会議を開く、そういう万全の用意はいたしております。而もその伝達につきましても、或いは講習会、或いは打合会、こういつた面につきましても、そのことことに宗教法人の本来の理解の仕方につきまして十分なる協議をいたし、この法案の実施の面について遺憾なきように、現在から予想してかかつている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/141
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142・高橋道男
○高橋道男君 その点について更に、この県知事の下に認証の手続をする、或いはその他の手続をするという場合に手数料を取ろう、それを地方の財源の一つに今から期待しているというようなことまで聞くのでありますけれども、そういう点は如何お考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/142
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143・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 手数料を取るということは、法律の授権がない限りはそれは行き過ぎであろうと考えております。なお法定されていないことと共に、この宗教法人は御承知のように民法三十四條によりますところの、慈善、学術、技芸その他公益を目的とする法人というので、この公益法人の一つの特別法に当つている関係で、各公益法人の取扱いにつきましておのおの手数料等を取つているなら格別、宗教法人のみにかかる措置に出るということは宗教団体自体に対して差別的な取扱いをするという慮れも考えられる次第でございまして、法の授権もなく、且つ又事柄の性質からさように了解している我々といたしましては、かかる考え方は行き過ぎではないか、こういうふうに了解している次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/143
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144・高橋道男
○高橋道男君 第五條の第二項のほうの説明に当つて、政府側からたしか原則として文部大臣とする、特に原則とするという言葉を言われたように思うのでありまするが、それは只今までありました岡山の不受不施派、ああいうものについての意味でおつしやつたのかどうか、それをお伺いいたいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/144
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145・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 現在の問題といたしましては、御意見の通り教主や教団の一つの例として岡山県にあります例でございますが、県内だけにとどまつている宗派といつたものは、これは文部大臣には来ないというふうに考えているのであります。併しながらこれはかかる同一府県内にあるという教団を一般的に申しまして、それを例外と心得ておるのでございまして、不受不施派の問題は、この附則のほうで現在文部省に届出てあるところの宗教法人は文部省の主管にする、こういう規定になつておりますので、従つて不受不施派も一応我々のところに参る予定で、この附則の規定から考えております。従つてここでは将来発生するであろうところの教主や教団がその包括される社寺、教会を同一府県内に持つている場合に、ここでは都道府県知事の所轄にするほうが望ましいのではないか、こういう趣旨で原則として先ほど申した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/145
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146・高橋道男
○高橋道男君 その御趣旨はよくわかりますが、宗教団体が最初仮に生まれると申しますか、最初できるときには、全国的に同じ信仰についてたくさんのものが同時にできるのではなしに、発生した後においてあちこちにできて来ると思うのであります。そういう場合に或る都道府県において特別にできた場合に、それが当然都道府県知事を所轄庁として認証を受けるでありましようが、それが更に乙の府県、丙の府県というように伸びて行つた場合に、その包括すべき所轄庁というものはどういうふうになるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/146
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147・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 只今のような場合におきましては所轄庁が、他の都道府県に社寺、教会等ができました場合、その事実関係から所轄庁の管轄の移転がある、かように我々了解しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/147
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148・高橋道男
○高橋道男君 その点私はまだ若干疑念があるのでありますが、ほかの点にも関連が生じて来ますので、質問を保留して置きたいと思います。
次に第六條の公益事業ということでありますが、これは私どもの解釈が甚だ狭いかも知れませんが、只今公益事業というてひよつと頭に浮ぶものは電気事業であります。公益事業委員会というものでやつております。そういうものは別にありますのですが、公益事業というものの内容は一般的に考えられる公益事業というように考えてよいものですかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/148
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149・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) この公益事業は、この公益事業という言葉それ自体又他の法令におきましても何を公益事業と言うかという概念規定といいますか、規定それ自体はないのでありまして、例えば一般に使用されておりますのは、公共の利益となるべき事業或いは、一般公衆の需要に応ずる事業とか、いろいろな言葉を使われておりますが、ここで公益事業と申しますのは、そういう意味合いの下に一般公共或いは公益、こういつた公益を主たる目的とする、その目的のために営まれる事業、具体的に申しますと、教育とか慈善とか博愛とか或いは宗教とか、そういう面を直接の目的とするところの事業、こういうふうに我々は了解しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/149
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150・高橋道男
○高橋道男君 先ほど大谷委員からのお尋ねがありましたが、病院とか、福祉事業など、ほかの法律で以て規制を受け得るものも、当然この宗教法人が経営益体になるということがあるのでありますが、その場合にほかの法律があるものはそれに依拠してやつたほうがよいのじやないか、こういうふうにも考えるのでありますけれども、事務当局としてはその辺宗教法人が依然として病院なり或いはその他の事業を法人の名において経営して行つたほうがよいとお考えになるか、或いはその他の法律によつてやつて行つたほうがよいとお考えになるか、又その宗教法人が経営を持続して行く場合にはほかの法律による、つまり厚生省その他の関係の了解がこの点について得られておるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/150
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151・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 只今の病院、その他いわゆる公益事業の経営の主体は宗教法人であることが望ましいかどうか、特に主務行政の上で、どういうふうに理解するか、こういう御意見のように考えますが、勿論社会事業或いは公益事業一般ですが、かかる事業を或いは社会事業或いは児童福祉事業、或いは生活保護法、こういう面からその各法令の基準によつてなす場合においては、その方面からするところの保護恩典という面もございます。併しその主体は宗教法人であるか、或いは特別な法人であるかということは、先ほど申しましたように法令では要請しておりませんので、従つて例えば財団法人でも結構でございましようし、公益法人でも結構でございます。而してその主体性から申しますれば、宗教法人がかかる向きの事業を営む場合におきましては、宗教との関連性におきまして、又その内容の発展と申しますか、拡充の意味から申しましても、宗教法人自体が名義人となり得る関係上、その宗教法人がその主体として営んだほうがよろしいのではないか、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/151
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152・高橋道男
○高橋道男君 公益事業以外の事業を行うと收益が生ずるということでありますが、例えば宗教法人が何か或る年限をおいて二年なり、三年の後に事業を行う。そういうために募金などが行われて相当の資金ができる。その資金を別途運用することによつてその資金自体が利益を生ずるというようなことがあると思うのであります。勿論それ以外にもいろいろ事業をすることもありましようけれども、そういう資金運用などによつて得る収益というものは、公益事業以外の収益と考えるかどうか。これは單なる運用でありますから、事業でも何でもない、当然資金面に付いたものであるというふうに考えるのですが、その点如何でありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/152
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153・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 御説のように、それが事業と言い得ないように我々も了解しておる次第でございます。なお、ここで公益事業以外の事業と申しますのは、必ずしも収益が伴いましても営利を主たる目的にするという意味合いにまで拡張するという趣旨ではございませんので、その点御了承をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/153
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154・高橋道男
○高橋道男君 第十條の「宗教法人は、法令の規定に従い、」その次にある「規則」というものはこれは宗教法人の規則だと解されますが、そうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/154
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155・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 御説の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/155
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156・高橋道男
○高橋道男君 十一條の「代表役員その他の代表者」というこの代表者というものは、代理する者という意味でしようか。それとも何か代表役員以外の代表者というものを指しているのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/156
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157・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 代表役員と申しますのは、宗教法人を代表し、事務を統轄する職能を持つております。この代表権の意味から申しまして、ここに言う代表者と申しますのは、具体的に申しますれば、代表役員以外の或いは代表役員の代理者、或いは場合によりましては清算人、或いは民法に規定されております特別代理人、こういつたものに相当いたします。ここで言う仮責任役員、そういつた機関を予想して、それを「その他の代表者」という言葉で総称しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/157
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158・高橋道男
○高橋道男君 その第二項に、宗教法人の目的の範囲外の行動により第三者に損害を加えたときに、ほかの役員が連帯責任を負うというような意味の規定がありまするが、この「法人の目的の範囲外の行為」というものは、これは法人の責任ではないのじやないか。従つてほかの人が連帶して責任を持つべき理由がないと思うのですけれども、その点如何でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/158
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159・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) その点につきましては、一応高橋委員の御意見の通りなのでありまして、これは公益法人一般の通則でありますところの民法におきましてもかかる向きの規定がございます。この点につきましては勿論この事柄の性質といたしましては、宗教法人自体の事務ではないし、従つてその機関がたとえそういう行為をいたしましても、宗教法人の責任にはならないことは当然でございます。従つてそういう場合には第三者の取引安全、いわば形式上代表役員とか或いは責任役員という地位においてなされた場合におきまして、第三者保護の立場、延いてはそのこと自体が宗教法人自体の尊重と申しますか、信用と申しますか、そういう面から来て、ここでは一般の政令に倣いまして、かかる向きのものにつきましても連帯して責任を負わせる。こういうような形式をとつた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/159
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160・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 他に御発言ございませんか。……それでは第二章、第十二條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
第二章設立
(設立の手続)
第十二條 宗教法人を設立しようとする者は、左に掲げる事項を記載した規則を作成し、その規則について所轄庁の認証を受けなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 設立しようとする宗教法人を包括する宗教団体がある場合には、その名称及び宗敬法人非宗教法人の別
五 代表役員、責任役員、代務者、仮代表役員及び仮責任役員の呼称、資格及び任免並びに代表役員についてはその任期及び職務権限、責任役員についてはその員数、任期及び職務権限、代務者についてはその職務権限に関する事項
六 前号に掲げるものの外、議決、諮問、監査その他の機関がある場合には、その機関に関する事項
七 第六條の規定による事業を行う場合には、その種類及び管理運営(同條第二項の規定による事業を行う場合には、收益処分の方法を含む。)に関する事項
八 基本財産、宝物その他の財産の設定、管理及び処分(第二十三條但書の規定の適用を受ける場合に関する事項を定めた場合には、その事項を含む。)予算決算及び会計その他の財務に関する事項
九 規則の変更に関する事項
十 解散の事由、清算人の選任及び残余財産の帰属に関する事項を定めた場合には、その事項
十一 公告の方法
十二 第五号から前号までに掲げる事項について、他の宗教団体を制約し、又は他の宗教団体によつて制約される事項を定めた場合には、その事項
十三 前各号に掲げる事項に関連する事項を定めた場合には、その事項
2 宗教法人の公告は、新聞紙又は当該宗教法人の機関紙に掲載し、当該宗教法人の事務所の掲示場に掲示し、その他当該宗教法人の信者その他の利害関係人に周知させるに適当な方法でするものとする。
3 宗教法人を設立しようとする者は、第十三條の規定による認証申請の少くとも一月前に、信者その他の利害関係人に対し、規則の案の要旨を示して宗教法人を設立しようとする旨を前項に規定する方法により公告しなければならない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/160
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161・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 本條について御発言ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/161
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162・高橋道男
○高橋道男君 この第一号の目的ということでありますが、これは大臣にもお尋ねしたいと思つておつたのですが、宗教法人であることを識別できるのはこの目的の項だけではないかと私は思うのであります。従つてこの目的ということに宗教法人に適合するようなものが掲げられなければその判定が困難になるのではあるまいか、そういう上から宗教法人が宗教法人たる識別を明らかにするためには、教義との結付きが必要であると思うのでありまするが、その目的といううちには教義というものを含んでいるのかどうか、或いはそれと全然別個のものであるかどうか、これをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/162
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163・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) この第一号の目的には御意見の通り宗教団体の特性を表示しなければならないのが主眼点でございます。従つて教義自体をここで掲げるという必要はないのでございまするが、併し仮に一例をとりまするならば、神社の関係で申します神社の宗教法人、仏教で申します宗教法人、寺院の法人と、おのずからその法人の実質を異にしております。従つてその限りにおきましては例えば法人の出資利得を善用するために、或いはこういう仏教の教義からこの宗教団体の利用或いは業務を運営させ、財産を管理する必要がある。こういう意味におきましてその宗教団体各種の特性を中心にいたしまして掲げることをここでは考えております。教義自体をここに掲げる、或いは教義をこれによつて要請するものである。こういうふうには我々は毛頭考えておらないのでございます。この点に関しましてはいわゆる宗教団体の認証との関連におきまして、その添附書類等につきまして多少その問題が宗教団体の特性との関係におきまして出て参ろうかと存じます。そのときに又お答え申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/163
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164・高橋道男
○高橋道男君 第四号でありまするが、包括団体が非法人である場合に、單位団体の法人を包括することができるのかどうか、私は法的根拠がはつきりいたしませんのでお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/164
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165・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 宗教法人でない宗派、教団というものがございまして、その下部に宗教法人である單位団体というものがある。この場合に非法人たる宗派或いは教団の力が、法規的に單位団体である宗教法人まで及ぶか、こういう御質問と了解いたしますが、この点につきましては法規的には権限がない、そこで四号で申します「非宗教法人の別」、こう申しますのは、この規則並びに登記事項との関連におきまして、例えばそのお寺が非宗教法人である特定の宗派の寺院であるということが規則並びに登記事項として第三者の関係において表示されるという意味合いの下に異議が出て来る問題でございまして、法規的に覊束性があるということのためにここで第四号を記載している次第ではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/165
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166・高橋道男
○高橋道男君 十一号の公告ということが今度の法人法案で初めて宗教関係では出て来たのですが、これは次の第二項によつても示されておりますけれども、この公告の内容について別の規則か何かで規定される必要がないのかどうか。これは先般あん摩、はり、きゆうですか、そういう法律の改正がありました場合に、特に公告ということについて公告の内容を規定する改正法律案が先般成立したと思うのでありますが、そういう公告の内容を項目として規定して置く必要があるのではないかと私は思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/166
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167・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) ここで公告の方法という内容でございますが、只今どういう意味のことか、私もどの点までかはつきり理解しにくいのでありますが、この宗教法人法で掲げております公告という方法をとる事項につきましては、或いは合併の場合或いは設立の場合、或いは財産処分の場合というように特殊の事項を掲げて、その場合に公告をするようなことを規定しております。従つてその内容と申しますれば、合併ということの、或いは解散ということの、或いは規則の変更ということ自体からその内容が窺い知る程度のものだ、こういうふうに解釈されるので、あえて法規的なかなかかくの内容ということを規定しなかつた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/167
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168・高橋道男
○高橋道男君 どうも自分の危惧を申すのでありますけれども、公告ということの内容は或いは方法は、各宗教法人の規則できめられるのでありますが、それが悪用される場合が、この公けの公告でなしに広い広告がされる。その広い広告というのは、これは税金の関係が私は出て乗ると思うのでありますが、そういうように悪用されるようなことがないかということを恐れた上からのお尋ねであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/168
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169・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) この公告につきましては、一般に広い意味における広告ですね、あの広告と違いまして、こういう公けの法人という場合の公告のほうは、特殊事項或いは法定事項と申しますか、そういう場合に多く用いられておりまして、法が要請する場合でございます。広く告げる、あの広告のほうは、いわゆる広告に関する取締りの法律等がございますので、よく御了解して頂いていると思いますが、その場合にはそのほうの規制は受けますが、ここで公けに告げるほうの公告のほうは、法人の要請する事項でございますので、それにふさわしい意味の内容でなければならない、こういう了解の下に、御心配のいわゆる宣伝等に亘る悪用の場合のごときは、この法律は勿論目的ともしておりませんし、公けに告げるほうは異つた方面における取締りを受けることと思いますので、なおこの点につきましても、教団なり或いは地方庁なりとの関係におきまして十分趣旨を徹底して、かかることのないようなふうに取扱上注意して参りたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/169
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170・高橋道男
○高橋道男君 第二項の公告の方法に関する規定でありますが、これは当該宗教法人の機関紙、或いは当該宗教法人の事務所の掲示場というようなものを羅列してありますので、そのすべての方法を用いなければならんようなふうに解されるのですが、そうなんでしようか。この中の一つを用いればよいという意味なんでございましようか。この「又は」という文字の位置がずつと上のほうにありますので、少々解釈がむずかしくなつて来るように思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/170
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171・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) これは單に例示的な意味に解釈している次第でございまして、この「又は」というものは、「新聞に掲載」というところにかかつて参りまして、新聞紙と当該宗教法人の機関紙ということのために、「又は」で繁いだわけでありまして、一つ一つについて全部こういう順序でやらなければならない、或いはこれを二つ用いなければならない、こういう意味合いのものではないのでございます。又これすべてを利用しても結構でありますと共に、この中の一つでも結構であります。或いはこの方法によらずして、特に信者その他の利害関係人に周知せしむるに十分である、或いは適当な方法があるという場合におきましては、その方法によつて、ここで規定しておりますような方法によらないことも結構と考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/171
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172・高橋道男
○高橋道男君 そのお言葉によりますと、当該宗教法人の機関紙という点ですが、抱括団体の場合に、その單位団体となつている宗教法人も包括団体に機関紙があるならば、その機関紙で公告するということもこの第二項の中に含まれるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/172
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173・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) それが多くの場合はその方法で結構かと思います。併しそれがいわゆる信者その他の利害関係人に周知させるに適当な方法として、一般にそれが利用されていれば結構なのでございますが、例えば或る宗派の機関紙にそれを掲載する、併しその機関紙は特定の神社、寺院、教会の信者その他の利害関係人に及んでいない場合があり得るとしたならば、果してそれが周知させるに適当な方法なりや否やということで問題になろうかと思うのですが、多くの場合には機関紙がありますれば、信者その他のかたがたに配付されているという一般的な状況があるかと思いますので、多くの場合においては、お説の通りでよろしいかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/173
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174・大谷瑩潤
○大谷瑩潤君 今の公告の問題でありますが、これは勿論包括団体の所属のものに徹底して知らしむるということが目的でありますけれども、最小限度一回限りでいいものでありまするか、その点ともう一つは、公告の期間は法人規則で規定することができますかどうかお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/174
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175・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 後者の公告の期間等につきまして、必要であるならば規則で定めても結構かと思います。なお初めの問題でございますが、これにつきましては、実情如何によりましてはいろいろ考られるのでございますが、一般論的には申しにくいかと思いますが、機関紙等の利用につきまして、それが一回で済み得るかどうか、仮に機関紙でやつて、一回でなされて、周知したということになり得るかどうかという事実の問題でございますので、一般的に周知させるということが、この機関紙等の利用において、事実上の問題として理解される場合におきましては、実際にそれが利用されておるという場合におきましては一回で結構かと思います。ここでは我我はその回数を問いませんが、一回ということは相当期間的にも継続という意味合いを考えておりますので、單なる一片の例えば門前に紙を貼つた、今日貼つたと、そうしたら明日取つてしまつていいのたと、こういうふうには了解しにくいので、ここに周知させるというところに意味がございまして、そういうふうな利用の方法ならば、周知させるという目的を達成せしむるならば結構かと考えております。それで回数は問わないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/175
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176・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 他に御発言がなければ第十三條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
第十三條 前條第一項の規定による認証を受けようとする者は、認証申請書及び規則二通に左に掲げる書類を添えて、これを所轄庁に提出し、その認証を申請しなければならない。
一 当該団体が宗教団体であることを証する書類
二 前條第三項の規定による公告をしたことを証する書類
三 認証の申請人が当該団体を代表する権限を有することを証する書類
四 代表役員及び定数の過半数に当る責任役員に就任を予定されている者の受諾書発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/176
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177・高橋道男
○高橋道男君 第一号の「当該団体が宗教団体であることを証する書類」というのが先ほどの規則の目的のところと関連があると思うのでありますが、その関連があればその点をお伺いし、関連という意味は、教義ということが問題になるように思うのですが、その点を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/177
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178・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) この当該団体が宗教団体である、これを証する書面でございまして、一般的に所属教団の内部の單位団体である神社、寺院、教会等につきましては、その証する書面というものは教団の証明で足り得るものと思います。併しながら包括教団、或いはいわゆる単位の宗教法人、こういう場合におきましては、ここでいう宗教団体は第二條で宗教団体とは云々と規定しております関係上、かかる宗教団体である旨のことを表示して頂けば結構と思います。従つて教義の詳しい内容であるとか、よつて生まれるところの根拠であるとか、そういうことは我々のほうではこの法案では要求しておりません。ただ宗教団体、いわゆる宗教法人になり得る前提であります宗教団体であるということの表示が客観的になし得る程度において、この教義等につきまして御記載願えれば結構と、こういうふうに考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/178
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179・高橋道男
○高橋道男君 その点が明らかにならなければ、結局この教義までも君のところはどういうものかというようなことまでにも行き得ると思うのですが、どうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/179
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180・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) そこでその教義の調査或いは分析ということは考えないのでございまして、要するに宗教団体であれば法人になるという角度から、自分が宗教団体でござんすという意味合いのものを誰しも考えられる、その程度において表示して頂く。従つて教義という面が強く表示される必要もないと思います。一応我々のほうでは教義をひろめまして、信者を教化育成するという角度をとつておりますので、その度合いの濃淡はおのおのあるかと思います。一応社会人としてこういう宗教上の教義であるとか或いはそういう団体であるとかいうことが、一般人にわかる程度に御記載願うというのがこの趣旨でございまして、教義にまで立入つて分析、究明するということは我々の権能としてもできませんし、なお且つ本来的にかかる性質のものではないと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/180
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181・高橋道男
○高橋道男君 單位同体の場合には包括団体が証明するということをおつしやいましたが、單立の場合には誰が証明するのか、自分の自薦、自証でいいのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/181
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182・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 只今申しましたように包括団体である場合、或いは單位の宗教法人である場合におきましては同じように、みずからにおいてその宗教団体の性格を持つていることを文書において記載してもらうと、こういうふうに了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/182
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183・高橋道男
○高橋道男君 この第二号のこの項目ですね、規則ができてから、認証を受けてから後の公告は規則によつてできるわけですけれども、認証を受けない以前の公告というものは果して合法的のものであるかどうか、又その方法は同じものであるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/183
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184・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 従つてここでは公告の上に「前條第三項の規定による」と申しまして、第三項が一応その例示的なものとしてかぶつております。かかる意味の公告と、こういうふうに了解をいたしております。而して規則の公告の方法の記載の方法につきましても、やはりここで前條でいう二項を御斟酌くださいましてその方向を定めて頂く。従つて両者とも同一の内容或いは方法になろうかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/184
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185・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 他に御発言がなければ……、第十四條、第十五條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(規則の認証)
第十四條 所轄庁は、前條の規定による認証の申請を受理した場合においては、その受理の日を附記した書面でその旨を当該申請者に通知した後、当該申請に係る事案が左に掲げる要件を備えているかどうかを審査し、これらの要件を備えていると認めたときはその規則を認証する旨の決定をし、これらの要件を備えていないと認めたとき又はその受理した規則及びその添附書類の記載によつてはこれらの要件を備えているかどうかを確記することができないときはその規則を認証することができない旨の決定をしなければならない。
一 当該団体が宗教団体であること。
二 当該規則がこの法律その他の法令の規定に適合していること。
三 当該設立の手続が第十二條の規定に従つてなされていること。
2 所轄庁は前項の規定によりその規則を認証することができない旨の決定をしようとするときは、あらかじめ当該申請者に対し、相当の期間内に自ら又はその代理人を通じて意見を述べる機会を與えなければならない。
3 第一項の場合において、所轄庁が文部大臣であるときは、当該所轄庁は、同項の規定によりその規則を認証することができない旨の決定をしようとするときは、あらかじめ宗教法人審議会に諮問してその意見を聞かなければならない。
4 所轄庁は、前條の規定による認証の申請を受理した場合においては、その申請を受理した日から三月以内に、第一項の規定による認証に関する決定をし、且つ、認証する旨の決定をしたときは当該申請者に対し認証書及び認証した旨を附記した規則を交付し、認証することができない旨の決定をしたときは当該申請者に対しその理由を附記した書面でその旨を通知しなければならない。
5 所轄庁は、第一項の規定による認証に関する決定をするに当り、当該申請者に対し第十二條第一項各号に掲げる事項以外の事項を規則に記載することを要求してはならない。
(成立の時期)
第十五條 宗教法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることに因つて成立する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/185
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186・高橋道男
○高橋道男君 法文に直接のことではありませんが、第十六條において地方庁の所轄庁で以てその法人の認証その他の手続に関係して人員の配置がされると思うのですが、それの人員の予定数乃至その全体の予算はどうするかというような点についての配慮はすでに済んでおるのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/186
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187・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) この点につきましては、御承知のようにこの法が実際に施行されます場合には、事務増として結果する場合を予想しますと、明年、明後年が一番事務増として予想されるのであります。御承知のように規則におきまして、一年半の間に規則を新らしく作つて認証を申請するというふうになつております関係上、本年度は殆んど地方庁に対する認証申請数は少数のものと考えられるわけであります。従つて所轄庁は認証の申請があつたら一年半以内に認証して終ればよろしいのでございます。従つて実務関係としては明後年が予想されるので、その関係から文部省といたしましても、十分なそれへの用意はあらゆる政府部内におきまして打合せをして、それにふさわしい措置を講じて行ける用意をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/187
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188・高橋道男
○高橋道男君 第一項の三号ですが、これは第二号に含まれているように私は思うのですが、これはやはり含まれていずに、全然別なものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/188
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189・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) この第二号は專ら規則の内容自体が法令の規定に適合しているかどうかという点に関連しておりますので、この規則が作成されて設立の手続がされる、その場合における公告等の方法が考えられますので、その点を第三号で規定しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/189
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190・高橋道男
○高橋道男君 第三項において文部大臣が規則を認証することができないときには、宗教法人審議会に諮問するということがありますが、これは認証できるときには審議会に諮る必要はないのかということと、所轄庁が知事である場合には、認証をすることのできないような規定のときには、知事の独断でやれるか、この二点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/190
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191・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) この場合におきましては、認証することのできない場合においてのみ、いわゆる認証の拒否の場合にのみ宗教法人審議会の諮問に付し、又都道府県知事が所轄庁である場合におきましては、これは認証し得ないような場合につきましても、その第一次の場合に起きます認証拒否の場合につきましては宗教法人審議会に諮問するという方法はとらなかつたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/191
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192・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それでは第十六條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(規則の認証に関する再審査)
第十六條 第十四條第四項の規定による認証することができない旨の通知を受けた者は、これに対して異議があるときは、その通知を受けた日から二月以内に、再審査請求書にその理由を記載した書類を添えて、これを所轄庁に提出し、その再審査の請求をすることができる。
2 所轄庁は、前項の規定による再審査の請求を受理したときは、その受理の日を附記した書面でその旨を当該請求者に通知した後、左の各号の規定に従つて当該各号に掲げる決定をしなければならない。
一 当該再審査の請求が前項の期間の経過後になされたとき、又はその他の手続上の不備がある場合に相当の期間内にその不備の補正を求めたのにかかわらずなおその不備が補正されなかつたときは、当該請求を却下する旨の決定
二 当該請求者が異議を申し立てた事項を十分に考慮して、第十四條第一項の規定に準じ当該事案を再審査し、当該事案が同項各号に掲げる要件を備えていると認めたときは、あらためて当該規則を認証する旨の決定
三 当該請求者が異議を申し立てた事項を十分に考慮して、第十四條第一項の規定に準じ当該事案を再審査し、当該事案が同項各号に掲げる要件を備えていないと認めたとき、又はその受理した規則及びその添附書類の記載によつてはこれらの要件を備えているかどうかを確認することができないときは、当該規則を認証することができない旨の決定
3 第十四條第二項、第三項及び第五項の規定は、前項の規定による決定の場合に準用する。
4 第二項の場合において、所轄庁が都道府県知事であるときは、当該所轄庁は、同項第三号の規定による決定をしようとするときは、あらかじめ文部大臣を通じて宗教法人審議会の意見を聞かなければならない。
5 所轄庁は、第二項第一号の規定に該当する場合においては、その再審査の請求を受理した日から三月以内に、同号の規定による決定をし、且つ、当該請求者に対しその理由を附記した書面でその旨を通知しなければならない。
6 第十四條第四項の規定は、第二項第二号又は第三号の規定による決定の場合に準用する。この場合において、第四項の規定に該当するときは、同條第四項中「三月」とあるのは、「六月」と読み替えるものとする。
7 第二項第一号の規定により相当の期間内に不備の補正を求めたときは、所轄庁が同項の規定による決定をすべき期間は、前二項の規定による期間にその補正を求めた期間を加算した期間とする。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/192
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193・大谷瑩潤
○大谷瑩潤君 現在の宗教法人が新らしい宗教法人の認証申請をすることは、所属宗派が新宗教法人となる以前においてもできますか、どうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/193
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194・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) その新らしい宗教法人になろうとするものが、本法による宗教法人となることができるかと、こういうことですか、法文上できるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/194
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195・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 第十七條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(規則の認証に関する訴願)
第十七條 前條第六項の規定による認証することができない旨の通知を受けた者は、その認証することができない理由の全部について異護がある場合において、当該事案に係る所轄庁が都道府県知事であるときは、その通知を受けた日から一月以内に、訴願法(明治二十三年法律第百五号)の規定により文部大臣に訴願をすることができる。
2 文部大臣は、前項の規定による訴願を受理したときは、左の各号の規定に従つて当該各号に掲げる裁決をしなければならない。一 当該訴願が前項の期間の経過後になされたとき、又はその他の手続上の不備がある場合に相当の期間内にその不備の補正を求めたのにかかわらずなおその不備が補正されなかつたときは、当該訴願を却下する旨の裁決
二 当該訴願人が異議を申し立てた事項の全部についてその理由があると認めたときは、当該訴願を容認する旨の裁決
三 当該訴願人が異議を申し立てた事項の全部又は一部についてその理由がないと認めたときは、当該訴願を棄却する旨の裁決
3 第十四條第二項の規定は、文部大臣が前項第三号の規定による裁決をする場合に準用する
4 文部大臣は、第二項第二号又は第三号の規定による裁決をしようとするときは、あらかじめ宗教法人審議会に諮問してその意見を聞かなければならない。
5 都道府県知事は、第二項第二号の規定による裁決があつたときは、遅滞なく当該訴願に係る規則を認証し、且つ、当該訴願人に対し認証書及び認証した旨を附記した規則を交付しなければならない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/195
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196・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 本條による御質疑ございませんか。それでは第三章第十八條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
第三章 管理
(代表役員及び責任役員)
第十八條 宗教法人には、三人以上の責任役員を買き、そのうち一人を代表役員とする。
2 代表役員は、規則に別段の定がなければ、責任役員の互選によつて定める。
3 代表役員は、宗教法人を代表し、その事務を総理する。
4 責任役員は、規則で定めるところにより、宗教法人の事務を決定する。
5 代表役員及び責任役員は、常に法令、規則及び当該宗教法人を包括する宗教団体が当該宗教法人と協議して定めた規程がある場合にはその規程に従い、更にこれらの法令、規則又は規程に違反しない限り、宗教上の規約、規律、慣習及び伝統を十分に考慮して、当該宗教法人の業務及び事業の適切な運営をはかり、その保護管理する財産については、いやしくもこれを他の目的に使用し、又は濫用しないようにしなければならつない。
6 代表役員及び責任役員の宗教法人の事務に関する権限は、当該役員の宗教上の機能に対するいかなる支配権その他の権限も含むものではない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/196
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197・大谷瑩潤
○大谷瑩潤君 この場合に本来役員が兼務ができますかどうかということであつて、寺と寺との役員を兼ねる、或いは寺と神社の氏子総代というような役員とを兼ねることができますか。それをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/197
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198・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 法文のほうではそれを排除する規定はしておりません。形式上できると思います。併しその宗教団体の特殊性がございますので、実務上できない場合があるかも知れませんが、法文の上から申しましてそめ兼務を禁止してはおらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/198
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199・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 他に御発言がなければ第十九條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(事務の決定)
第十九條 規則に別段の定がなければ、宗教法人の事務は、責任役員の定数の過半数で決し、その責任の役員の議決権は、各々平等とする。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/199
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200・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 別に御発言なければ第二十條、第二十一條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
第二十條 左の各号の一に該当するときは、規則で定めるところにより、代務者を置かなければならない。
一 代表役員又は責任役員が死亡その他の事由に因つて欠けた場合において、すみやかにその後任者を選ぶことができないとき。
二 代表役員又は責任役員が病気その他の事由に因つて三月以上その職務を行うことができないとき。
2 代務者は、規則で定めるところにより、代表役員又は責任役員に代つてその職務を行う。
(仮代表役員及び仮責任役員)
第二十一條 代表役員は、宗教法人と利益が相反する事項については、代表権を有しない。この場合においては、規則で定めるところにより、仮代表役員を選ばなければならない。
2 責任役員は、その責任役員と特別の利害関係がある事項については、議決権を有しない。この場合において、規則に別段の定がなければ、議決権を有する責任役員の員数が責任役員の定数の過年数に満たないこととなつたときは、規則で定めるところにより、その過半数に達するまでの員数以上の仮責任役員を選ばなければならない。
3 仮代表役員は、第一項に規定する事項について当該代表役員に代つてその職務を行い、仮責任役員は、前項に規定する事項について、規則で定めるところにより、当該責任役員に代つてその職務を行う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/200
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201・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 御質疑ございませんか……。第二十二條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(役員の欠格)
第二十二條 左の各号の一に該当する者は、代表役員、責任役員、代務者、仮代表役員又ば仮責任役員となることはできない。
一 未成年者
二 禁治産者及び準禁治産者
三 禁こ以上の刑に処せられ、その執行を終るまで又は執行を受けることがなくなるまでの者発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/201
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202・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 第二十三條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(財産処分等の公告)
第二十二條 宗教法人(宗教団体を包括する宗教法人を除く。)は、左に掲げる行為をしようとするときは、規則で定めるところ(規則に別段の定がないときは、第十九條の規定)による外、その行為の少くとも一月前に、信者その他の利害関係人に対し、その行為の要旨を示してその旨を公告しなければならない。但し、第三号から第五号までに掲げる行為が緊急の必要に基くものであり、又は軽微のものである場合及び第五号に掲げる行為が一時の期間に係るものである場合は、この限りでない。
一 不動産又は財産目録に掲げる宝物を処分し、又は担保に供すること。
二 借入(当該会計年度内の収入で償還する一時の借入を除く。)又は保証をすること。
三 主要な境内建物の新築、改築、増築、移築、除却又は著しい模様替をすること。
四 境内地の著しい模様替をすること。
五 主要な境内建物の用途若しくは境内地の用途を変更し、又はこれらを当該宗教法人の第二條に規定する目的以外の目的のために供すること。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/202
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203・高橋道男
○高橋道男君 第一行目の宗教法人、その次に括弧して包括団体を除いたのはどういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/203
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204・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) この規定の趣旨は、宗教財産の保全という点から、その前提となる特定の行為についての制限を規定した次第でございますが、現在の宗教法人令並びにそれ以前の宗教団体法につきましても、かかる向きの規定は、專ら寺院とか教会といつた点に限られている。併し本法が宗教法人と一般的に申しまして規定した関係で、旬括教団を先ほど申しました意味から踏襲するという関係と、一面におきましては教宗派、教団の包括団体に対しましては多くの場合に宗会或いは総会、或いは諮問、監査その他の機会がございまして、むしろそれ以上な監督と申しますか、そういつた手続を経た上でなければかかる処分その他の行為ができません。従つて一般的に包括教団の場合はこれを除くという趣旨です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/204
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205・高橋道男
○高橋道男君 只今の御趣旨だと、この法律において規定して置かなくても包括団体自体において規定されるから、その心配がないという意味ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/205
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206・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 結論を申上げればその通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/206
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207・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) ほかにございませんか。二十四條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(行為の無効)
第二十四條 宗教法人の境内建物若しくは境内地である不動産又は財産目録に掲げる宝物について、前條の規定に違反してきた行為は、無効とする。但し、善意の相手方又は第三者に対しては、その無効をもつて対抗することができない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/207
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208・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 三十五條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(財産目録等の作成及び備附)
第二十五條 宗教法人は、その設立(合併に因る設立を含む。)の時及び毎会計年度終了後三月以内に、財産目録を作成しなければならない。
2 宗教法人の事務所には、常に左に掲げる書類及び帳簿を備えなければならない。
一 規則及び認証書
二 役員名簿
三 財産目録及び貸借対照表文は収支計算書を作成している場合には、これらの書類
四 責任役員その他規則で定める機関の議事に関する書類及び事務処理簿
五 第六條の規定による事業を行う場合には、その事業に関する発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/208
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209・大谷瑩潤
○大谷瑩潤君 備附帳簿として法定外のもの、例えば檀信徒名簿というようなものを備附けることを、宗派又は寺院の規則中に規定することができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/209
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210・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 規則中にそれが役職員の関係とか、或いは職務権限の規定とか、或いは財産管理の関係として、檀信徒の関係が生ずるという関連からその規定が必要とするならば定めてもいいかと存じます。必ずそうなければならない。或いは関連のないのに定めるというのは、或いは行過ぎじやないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/210
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211・梅原眞隆
○梅原眞隆君 「財産目録及び貸借対照表又は収支計算書を作成している場合には、これらの書類」というのはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/211
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212・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 第三号の財産目録は必ず備附けなければならない。併し、及び以下の貸借対照表又は収支計算書を作成している、この「場合」というのは、宗教法人は公益事業その他の事業を行ない得ます。従つてそういつた収益等の伴う事業を行う場合におきましては、現在におきましては租税法上の関係から必ず貸借対照表又は収支計原書を備附けなければならないと、こういうふうに間接的に税法の関係からしております。従つてこれを明らかにしよう、こういう趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/212
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213・梅原眞隆
○梅原眞隆君 わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/213
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214・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 第四章第二十六條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(規則の変更の手続)
第二十六條 宗教法人は、規則を変更しようとするときは、規則で定めるところによりその変更のための手続をし、その規則の変更について所轄庁の認証を受けなければならない。この場合において、宗教法人が当該宗教法人を包括する宗教団体との関係(以下「被包括関係」という。)を廃止しようとするときは、当該関係の廃止に係る規則の変更に関し当該宗教法人の規則中に当該宗教法人を包括する宗教団体が一定の権限を有する旨の定がある場合でも、その権限に関する規則の規定によることを要しないものとする。
2 宗教法人は、被包括関係の設定又は廃止に係る規則の変更をしようとするときは、第二十七條の規定による認証申請の少くとも二月前に、信者その他の利害関係人に対し、当該規則の変更の案の要旨を示してその旨を公告しなければならない。
3 宗教法人は、被包括関係の設定又は廃止に係る規則の変更をしようとするときは、当該関係を設定しようとする場合には第二十七條の規定による認証申請前に当該関係を設定しようとする宗教団体の承認を受け、当該関係を廃止しようとする場合には前項の規定による公告と同時に当該関係を廃止しようとする宗教団体に対しその旨を通知しなければならない。
4 宗教団体は、その包括する宗教法人の当該宗教団体との被包括関係の廃止に係る規則の変更の手続が前三項の規定に違反すると認めたときは、その旨をその包括する宗教法人の所轄庁及び文部大臣に通知することができる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/214
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215・高橋道男
○高橋道男君 本條に規定する宗教法人は、この包括団体からの分離、分派を含んでおると思うのですが、少々これは乱暴じやないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/215
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216・梅原眞隆
○梅原眞隆君 これは宗教の自由を認めたのだから仕方がないでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/216
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217・高橋道男
○高橋道男君 そういう点から止むを得ない規定でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/217
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218・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 二十六條第一項の後段におきまして、今高橋委員のおつしやるような分派離脱に関する法的根拠をこれによりまして規定した次第でございますが、現行の宗教法人令の第六條の解釈におきまして同趣旨の解釈をとつておる次第であります。而してその理由とするところは、根本におきまして宗教自由という面からそれが出ておるのであります。併しながら現行の宗教法人令が、解釈において、かかる宗教自由のためにする分派離脱の問題は、規則において仮に定める、官庁の承認等がありました場合にも、それによらないでいい。これは解釈の仕方で違うわけでありますが、併しこれによりましてこれから派生する分派離脱を伴う諸般の紛争、紛議が宗教界にも非常に多かつたのであります。従つてその一つの解決策といたしまして、その宗教自由からは分派或いは脱退等の根拠をここに明らかにして、現行宗教法人令の不備を補正すると共に、なおかつこれに伴ういわゆる団体生活としてお互いの宗派内における秩序維持を守る、又はそういう紳士的な意味合いから或いは宗派のほうにその旨を通知する、或いは新らしく他の宗派のほうに所属する場合には、その新らしく所属しようとする宗教団体の承認を得るとか、或いは宗派のほうに一定の場合においては所轄庁及び文部大臣に通知させる。そういつた意味の規定をこの二十六條において用意しておるのであります。全体から考えまして、いわゆる宗派とその所属の人員との関係におけるバランスを取りつ、公正な宗派活動を自由に活動して頂きたい、こういう趣旨から用意されたのでありまして、現行の法令の立法的な解釈或いは立法的な措置に比しまして、宗教団体の実情を十分考慮しつなお且つこの点につきましては各宗教団体の要望をもここにまとめて規定した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/218
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219・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 二十六條ありませんか……。では二十七條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(規則の変更の認証の申請)
第二十七條 宗教法人は、前條第一項の規定による認証を受けようとするときは、認証申請書及びその変更しようとする事項を示す書類二通に左に掲げる書類を添えて、これを所轄庁に提出し、その認証を申請しなければならない。
一 規則の変更の決定について規則で定める手続を経たことを証する書類
二 規則の変更が被包括関係の設定に係る場合には、前條第二項の規定による公告をし、及び同條第三項の規定による承認を受けたことを証する書類
三 規則の変更が被包括関係の廃止に係る場合には、前條第二項の規定による公告及び同條第三項の規定による通知をしたことを証する書類発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/219
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220・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 二十八條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(規則の変更の認証)
第二十八條 所轄庁は、前條の規定による認証の申請を受理した場合においては、その受理の日を附記した書面でその旨を当該宗教法人に通知した後、当該申請に係る事案が左に掲げる要件を備えているかどうかを審査し、第十四條第一項の規定に準じ当該規則の変更の認証に関する決定をしなければならない。
一 その変更しようとする事項がこの法律その他の法令の規定に適合していること。
二 その変更の手続が第二十六條の規定に従つてなされていること。
2 第十四條第二項から第五項までの規定は、前項の規定による認証に関する決定の場合に準用する。この場合において、同條第四項中「認証した旨を附記した規則」とあるのは、「認証した旨を附記した変更しようとする事項を示す誓類」と読み替えるものとする。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/220
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221・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 二十九條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(規則の変更の認証に関する再審
査及び訴願)
第二十九條 第十六條の規定は、前條第一項の規定による認証することができない旨の決定に対して異議がある場合に準用する。この場合において、第十六條第二項第二号及び第三号中「第十四條第一項」とあるのは「第二十八條第一項」と、「当該規則」とあるのは「当該規則の変更」と、同項第三号中「その受理した規則」とあるのは「その受理した変更しようとする事項を示す書類」と読み替えるものとする。
2 第十七條の規定は、前項において準用する第十六條第二項第三号の規定による認証することができない旨の決定に対して異議がある場合に準用する。この場合において、第十七條第五項中「当該訴願に係る規則」とあるのは「当該訴願に係る規則の変更」と、「認証した旨を附記した規則」とあるのは「認証した旨を附記した変更しようとする事項を示す書類」と読み替えるものとする。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/221
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222・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 三十條、三十一條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(規則の変更の時期)
第三十條 宗教法人の規則の変更は、当該規則の変更に関する認証書の交付に因つてその効力を生ずる。
(合併に伴う場合の特例)
第三十一條 合併に伴い合併後存続する宗教法人が規則を変更する場合においては、当該規則の変更に関しては、この章の規定にかかわらず、第五章の定めるところによる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/222
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223・高橋道男
○高橋道男君 この登記との関係ですが、第三十條の規則の変更に限つては認証によつてその効力が生ずるのであつて、それ以外は公告しなければ効ヵを生じない、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/223
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224・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) その通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/224
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225・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) そでれでは逐條審議は第四章第三十一條まで終了いたしました。次回は第五章第三十二條より始めることにいたします。
本日はこれを以て散会いたします。
午後五時二十九分散会
出席者は左の通り。
委員長 堀越 儀郎君
理事
成瀬 幡治君
若木 勝藏君
木内キヤウ君
委員
大谷 瑩潤君
木村 守江君
工藤 鐵男君
平岡 市三君
荒木正三郎君
高田なほ子君
梅原 眞隆君
高良 とみ君
高橋 道男君
山本 勇造君
大隈 信幸君
国務大臣
文 部 大 臣 天野 貞祐君
政府委員
文部政務次官 水谷 昇君
文部大臣官房宗
務課長 篠原 義雄君
文部省大学学術
局長 稻田 清助君
文部省大学学術
局教職員養成課
長 玖村 敏雄君
文部省調査普及
局長 關口 隆克君
事務局側
常任委員会專門
員 石丸 敬次君
常任委員会專門
員 竹内 敏夫君
説明員
文部大臣官房宗
務課勤務 荻野 勉君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02419510322/225
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