1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年五月八日(火曜日)
午前十一時三分開会
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委員の異動
三月三十日委員波多野鼎君辞任につ
き、その補欠として岡田宗司君を議長
において指名した。
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本日の会議に付した事件
○連合委員会開会の件
○国立大学管理法案(内閣送付)
○産業教育法案(衆議院提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03119510508/0
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001・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それではこれより本日の会議を開きます。
先ず皆様にお諮りいたしまするが、本国会に提案になつて外務委員会に付託になつておりまする国際連合教育科学文化機関憲章を受諾することについての承認を求めるの件でありまするが、文部員委会としても相当の関心を持たねばならず又必要なことでありまするので、連合委員会の開催を外務委員会に申入れをしようと思いまするが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03119510508/1
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002・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それではさように取計らうことにいたします。
それからいま一つ戸籍法の一部を改正する法律案が法務委員会に付託になつておりまするが、これも事の起りは当用漢字から起つた漢字制限の問題に関連してのことでありまするので、我我としても非常に関係の深いことでありますから、法務委員会に連合審査を申入しては如何かと思いますが、さように取計らいをいたしてもよろしうございましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03119510508/2
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003・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) じや、さように取計ることにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03119510508/3
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004・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それでは本日はお手許に差上げておりまするスケジユールによつて、午前中は大学管理法案の総括質疑を行いたいと思いますが、先ず国立大学管理法案の総括質問を行うことにいたします。ちよつと速記を止めて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03119510508/4
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005・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 速記を始めて下さい。
それでは午前中はこれで休憩いたしまして、午後から再開することにいたします。
午前十一時六分休憩
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午後一時五十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03119510508/5
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006・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それでは休憩前に引続き本委員会を再開いたします。
先ず産業教育法案について長野衆議院文部委員長の提案理由を承わることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03119510508/6
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007・長野長廣
○衆議院議員(長野長廣君) 産業教育法の御審議を願いますに当りまして提案者を代表いたしまして、私から本法案の立案の趣旨を御説明申上げますと共に、これが目的及び内容の概略について申上げたいと存じます。
国民の大きな希望と期待のうちに軒教育制度が実施せられ、今日漸くその完成を見ようとしております。その結果に対しましては軽々しく即断は下し得ないのでありますが、ただ併し、甚だしく我々の失望を感じ、憂慮に堪えない事実が明らかになつて参りました。と申しますのは、職業教育の全面的な萎靡低下の傾向であります。我が国は、目下産業経済の再建を急がなければならない状態に置かれております。然るに次の時代に、その中堅者たらねばならない青少年層は、この要請に逆行しているのでありまして、今日急速にこれが対策を講じなかつたならば、近い将来におきまして、産業の発展を阻む大断層となるであろうことは必然であります。成るほど眼前の事実としては、我が国現在の産業界は活発な回復を見ておるのでありますけれども、これはは戦前における産業技術者の復活であつて、即ち壯年者以上の者の奮闘によるものと見なければならないと思うのであります。
この欠陥の原因についてはいろいろ考えられるのでありますが、先ずその重要な一つの盲点は新教育制度の中に含まれております。即ち中学卒業後直ちに社会に出る者でありまして、戦前にはこれらの者は青年学校、その以前には実業補習学校において「働きつ学ぶ」体制がとられておつたのでありますが、新制度においては全然置き去りとなつたのであります。一カ年およそ百六十万の中学卒業者中の大約百万に及ぶ数を占めております。これらの者は職業的には殆んど丸腰のまま社会に出まして、而も卒業後二カ年は労働基準法に制約せられまして正規の就職も不可能なのであります。これがいわゆるテイーン・エツヂの層として徒衣徒食のまま氾濫いたしまして、近時の社会悪の温床たるかの観を呈しているのであります。二十歳前のこの層においては、その総数は大よそ五百万を超えているのであります。次は新制度による「普通科偏重」の傾向による現われと見られる高等学校職業課程入学者の減少で、これは新制大学においても同様の傾向が見られるのでありまして、戦前に比しまして大体半減しております。その上に戦時中からの各種の悪条件の圧迫による学力の低下でありまして、これも戦前に比して約半ば程度に低下しております。その原因の主なるものは、施設設備の不充分、教師の不足、職業教育に関する教科書発行の困難、実業教育費国庫補助金の消滅等であります。
教育は何と申しましても、教師にその人を得ることにあります、且つ職業教育は実験実習に待たなければならないのであります。
以上の趣旨に鑑みまして、本法案を立案いたしましたが、その狙いといたします重要な点は国と設立者とが協力いたしまして、公私立を問わず大学以下中学校までの学校教育を通じ、産業教育に要する施設設備を充実し、実業教員の養成を図り教科用図書の円滑を期し、其他この教育を阻むあらゆる物的人的原因を取り除くことに努めまして、これら青少年乃至一般公衆にまで産業教育の充実向上を図ろうとするものであります。
これが具体的な方法、計画等を適切ならしめるため、中央と地方とに産業教育審議会を設けまして、昭和二十七年度から実施に移そうとするものであり、これに要する経費は国が予算の範囲内で補助することにいたしてあります。但し設立者にこれを義務付けるものではないことを附言いたします。かくして青少年をして単に教養のある人格者たるに止めさせないで、積極的に技術の向上を心掛け、これが改善の能力と勤労意欲の旺盛な、働くことによつて自らの住むよりよき郷土の建設から、延いては国家の経済的再建に敢闘する、真になすあらんとする青少年を育成しようとするものであります。更にこの法案の内容につきましては、専門員から御説明申上げることにいたしますが、何とぞ以上の趣旨に応せられまして、皆さんの十分なる御審議を願いますと共に、これが成立の一日でも早くなりますよう併せてお願いする次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03119510508/7
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008・横田重左衞門
○衆議院専門員(横田重左衞門君) 只今委員長から御説明申上げましたことにつきまして、内容について極く大略御説明させて頂きたいと思います。この法案全般についての特色について概略申上げさせて頂きたいと思います。第一に、この法案では地方の特殊性と自主性を尊重いたしまして、国の立場は奨励的な立場に立つているという建前でございます。第二には、この法律案の対象といたしておりますところは、学校教育法の第一条によります公立、私立の学校が学校教育として行う産業教育と、それからもう一つはそういう学校が中心となつて行う社会教育、この両面を対象といたしておる点でございます。それから第三には、地方公共団体との関係でございますが、この関係は一種の任意規定とでも申上げましようか、補助を受けた地方公共団体に対してだけ、多少の義務付けをいたしてあるのでございます。第四番目といたしましては、産業教育としての教育的な内容の意味で申上げますと、義務教育を終りました大多数の青少年に自主的な生活能力の基礎を培いたいというところに重点を置いてございます。そのために短期の教育を充実して、できる限り多くの青少年に教育の機会を与えることに留意いたしたのでございます。又実験実習を重んじまして、知識と実生活との直結した形で教育を行いたいというような意図を含めてございます。第五番目といたしまして、地方の特殊性を重んじまして、その特殊性の上に立つたところの実生活の自主的な能力というところに重点を置きまして、その実生活の自主的能力を更に地方の住民の生活体形としてその地方の特殊性と共に現実に活かし得るような能力、そういつた能力を培いたいというのが目的でございますので、それを活かすために地方に審議会を置いたような次第でございます。そうして審議会はできるだけその地方の特殊性の上に則つた地方住民の生活体形というものを基本として総合計画を立てて行くというようなことで地方審議会を入れまして、中央審議会との関係は、中央においては国の全般的な経済上の海外或いは国内を睨み合せての総合計画と、地方の特殊的な自主能力というものとが互いにマツチして国の歩みが一つになるというところを狙いましたので、中央審議会と地方審議会との関係は、上下命令系統の関係ではないのでありまして、地方が徒らに分散にならないように中央審議会を置いたというような意味合でございます。甚だ簡単でございますが、以上がこの法案の内容の大略でございます。
以上で補足の説明を終らせて頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03119510508/8
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009・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それでは総括的の質問に入りますが、如何でございますか、本日はこの程度でとどめて、法案をよく御覧頂いて次回から始めることにいたして如何でしようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03119510508/9
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010・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それでは次回から総括質問に入ることにいたしまして、本日はこれで閉会いたします。
午後二時四分散会
出席者は左の通り。
委員長 堀越 儀郎君
理事
加納 金助君
成瀬 幡治君
若木 勝藏君
木内キヤウ君
委員
川村 松助君
木村 守江君
工藤 鐵男君
平岡 市三君
荒木正三郎君
梅原 眞隆君
高良 とみ君
高橋 道男君
山本 勇造君
大隈 信幸君
矢嶋 三義君
岩間 正男君
衆議院議員
長野 長廣君
政府委員
文部省初等中等
教育局長 辻田 力君
文部省大学学術
局長 稲田 清助君
事務局側
常任委員会専門
員 竹内 敏夫君
衆議院事務局側
常任委員会専門
員 横田重左衞門君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03119510508/10
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