1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年五月十一日(金曜日)
午後一時四十一分開会
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本日の会議に付した事件
○産業教育法案(衆議院提出)
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001・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それではこれから本日の会議を開きます。
前回に引続き、産業教育法案の総括質問を行うことにいたします。提案者の衆議院側並びに文部省、大蔵当局もお見えになつておりますから、各自御意見があるかたはお述べ頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/1
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002・岩間正男
○岩間正男君 昨日も私は局長に説明をお願いしたのでありますが、この産業教育法案がすぐこういう形で出されまして、突如我々の前に提案されたのであります。ここでやはり一番基本的に問題になるのは、日本の教育体系の中で、いわばこの産業教育法案は提案の説明を聞きましても、これは現在の教育の欠点と、そうして而も中学を卒業してそれから二年ぐらい遊んでおる子弟が非常に多い。こういう者にまあ何とかここで技術を授けて産業の方面にこれは組織しなくちやならないというような観点から作られているのでありますが、我々のやはり教育をもつと総合的に考える立場からするというと、大体産業教育という言葉そのものは言葉としては妥当かどうかわかりませんが、我々としては生産ですね、生産に教育を関連させる。而も教育を生産と本質的に結びつけるということは基本的には重要だ、これは私が今までもたびたび自分たちのそういう主張をして来たところでありますが、併しそれは枠外に出して、今度のように対症療法的に或る実業学校、そういうようなところでやる。そうしてその組織を見ましても国家ではその一部を負担しますが、足りないところはまあ今度は地方並びに産業陣、そういうところにも応援を仰ぐ、こういう形ではいわば対症療法的にこういうものだけの解決が付くので、却つてこういうことによつて基本的に生産を教育の中に大きく取入れて発展させなければならないというその教育体系に混乱が起らないか。こういう点について文部省としては日本の教育改革の非常に大きな基本的な問題になるのでありますから、今まで検討されたかどうか、こういう点について文相としましてはどういうような見解を持たれるのであるか、この点昨日ちよつと伺いかけたところなんであります。もつと要約しますと、現在のこの産業教育というような形で考える方向でなくて、もつとこれを総合的に基礎的な教育をやる。それからそれと生産というような技術的な教育というものを根本的にこれは教育体系の中にはつきり組織する、こういう方向こそが望ましい方向じやないか。今までのような方向は非常にまあ対症療法的でどうもそういう点で統一が足りないのじやないか、こういう点なんでありますが、こういう点についての御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/2
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003・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) 今の岩間さんの御議論は私も非常に御尤もな御議論だと思います。ただこの六三制というのを実施した結果、高等学校というようなものが何か大学へ進むときの予備的な準備というようなことにのみ重きが置かれてしまつて、そうしてそういう職業教育とか、産業教育というような面が非常に隠されてしまつたということがこういう問題を起して来た発端だと思うのです。でありますから、今度のこの法案というものは本質的に今までのものを変えるというよりも、これを補充する補充的なものだというように私解釈しておるのです。だからこの法律そのものの良し悪しよりはこれを運用して行く仕方にかかつて行くのじやないか。教育の基本的な考えをはつきり持つておる者がこれを運用して行けば、今の対症療法的な効果を十分現わして、而もこの体系を乱さないということになつて行くので、この運用に問題がかかつて来るということなんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/3
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004・岩間正男
○岩間正男君 無論運用の面もあると思うのでありますが、やはり一つの教育体系としてこれははつきり組織されておるということが非常に重要じやないかと思うのです。これは昨日もほかの委員からいろいろ質問されたと思うのですが、どうもこういう産業教育法案ということになりまして、それのほうがいろいろ重点的になつて来るだろうと思います。当然これはなると思います。又そういうことになるような機運が非常に現在動いておる機運の中でもこれは見られます。又日本の置かれているこの産業経済的な立場、こういうような面からみましても、勢いそういうところに行くのじやないか。そうすると何かそこに変形的なものが起るのじやないか。非常に崎形なものが多くなつて来るのじやないか。そこで私心配するのは、そうしますと基礎的な方面の教育、こういうものがどうなるかということなんです。でこれはくどく申上げる必要もないことですが、六三制が非常に不完全な形で現在設備の面、それから内容の面でこれが行われていることは言うまでもないことです。その結果何が起つて来るかと言いますと、学力の低下ということが招来されていると思います。これは今までも申上げましたから、ここでは詳しく一々申上げませんけれども、非常にこれは学力の低下が始まつていると思います。そうしますとそういう基礎的な知識が十分に養われない、そうして一方におきましては産業教育というものが課せられますところから、それを十分に消化するだけの能力がない。この法案によりますというと、創造力を重んずるとか、そういうことを言つていますけれども、創造力とか何とかいうことはやはり基礎的な能力ですね。これが十分にあつて始めてできると思うのでありますが、併し現在のこの六三制の実態をみますというと、非常にこれは問題になる。戦争前よりもこれは遥かに学力の低下ということが問題になつているのであります。そうすると当然そこで課せられて来るところの産業教育というような形のものは非常に技術的なものにこれは陷つて行くのじやないか。その技術を本当に理解し、発展させ、それを成長させるというような基礎的な面が非常に欠けておるのですから、そうしますとこれは片ちんばになるのじやないか。もつとこれか極言しますと、何というか、技術工を養成するような形のものがそこに発生して来るのじやないか。そしてまあ今の日本の置かれておる立場から考えますと、そういうような一つの生産拡充、もつと詳しく言いますと、軍国経済的な生産が非常に国際的にもだんだんとそういうものが日本に要請されておるのでありますが、そういうものにも充足させる、いわゆる技術工を養成するというような卑近な目的のためにだけこれが非常に使われておる面が出て来るのであります。で私は憂うるのは、基本的なもつとそういうような学力というものが、十分にここで基礎的な知識、科学、そういうようなものが啓培されて、その中で同時にこういうものが総合的に取入れられるというのであつたならば、それは教育の体系としては効果を発揮すると思うのでありますが、現在の形では非常にそれは片ちんばなものが起つて来て、その結果は今言つたような卑近なものだけにこれは手段化されてしまう。ここから教育の根本的な欠陷というものが再び現われて来るのであります。その点を思うるのでありますが、文部省としては当然今の六三制の教育体系に欠点があるということは、これは大臣の先ほどの御答弁でも感じておられると思うのですが、これをその中にもつと生産教育というようなものを入れて、そして総合的に発展させる、こういう体系について検討する必要はなかつたかどうか。どうも私は突発的にこういうことが起つて、そうして止むを得ずこういう形について一応の説明をされておるようでありますけれども、この対症療法的なやり方では我々どうもこの点納得行かない。この点はどういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/4
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005・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) 今の御意見は私も非常に同感な点が多いのです。私もこういう産業教育ということが、仮にあなたの言われるような技術工を作る。ただ使い易い人間をここに作つて行くのだということになつてはこれは非常に困る。だからしてそういうふうにならないようにこれは取扱つて行かなければならないけれども、一方考えて見るというと、高等学校が殆んど全部産業教育というようなものに向うべき設備もなければ教師もないというような状態にある。ところで高等学校を出たものは直ちに実業に就いて働くというような者が多いのですから、そういう人に対する準備を高等学校においてやるということはこれは結構なことではないだろうか。ところが現在のままでは到底できないと思うのです。それを補足するという意味で、原理的に六・三制をどうこうするというのじやなくして、その補足の意味でこういう一つの部門を作るということも現在の日本の置かれておる位置、又学校の整備というようなことも非常にむずかしい時に当つてはこれも一つの行き方ではないか。ただ私は今も申しましたように、教育の精神から言つてこれはただの技術工を養うとか、便利な役に立つ者を養うというものではなくして、どこまでも根本的な教育というものの上に立つてこういう職業を媒介として常に人間を作つて行くということを忘れないでやれば、これでいいんじやないか、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/5
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006・岩間正男
○岩間正男君 私の言わんとする趣意は文相も大いに認められておるようでありますが、そうして現在の一番問題になるのは教育予算の問題だと思います。予算が足りなくてそういうところに落ちて行つて、止むを得ず一つの補足としてこれを認めざるを得ない。これは第二義的な意味になると思うのでありますが、私もそういう点の存在することは現状としてあるとは考えます。併し現状としてあるのですが、これは解決の仕方の問題としまして、もう少しやはり基本的なものをここで我我は確実にやはり根を下して行かなければ、先に行つて大きな欠陥が現われることが考えられるのじやないかと思います。例えば補足的にこれをやるのだ、そういうことを言われますけれども、それによつて何が起るかというと、どうしても予算の面から言いますというと、予算が一応そういうような当面した産業教育という面に割かれて来る、そのために基礎的な六三制のほうの予算というものはどうしても総体的に削減せざるを得ない。これは今までも文部省の予算執行面を見ますと、国家が出しておりますところの教育費
というものは或る程度枠があります。パーセンテージできまつております。これを殖やすといつても実に蓼々たるものである。新らしい名目ができまして総体的の枠が殖やされておるかというと、実は枠は殖やされていない。この例はこの前の六三制の校舎建築の問題が起つておりますときに、同時に災害復旧の問題が起りました。当面六三制もやり、災害復旧もやれば当然総体的に枠が殖えなければいけない。ところが一方において六三制をやるのだから災害復旧は仕方がない。大幅に削減されるということになりまして犠牲になつた、こういうことを見ましても、やはりそういう形がはつきりこれは教育財政の執行面に現われておると思うのです。こういうことを考えますときに、産業教育に対しまして一応これは一年三十億という枠が取られることによつて、果して六三制の面の基礎的な教育予算の面においてこれは削減を見ることが起るだろう、そうしますと、これは結局三十億程度は産業教育そのものもこれは非常に不完全な摘み食い程度のものにしかならない、基礎的な面も不十分であり、それからこういうような当面した問題についても不十分である。やはり根本的にこの問題を解決するために我々はここに一つの何といいますか、転期に立つて大きくこの問題をやはり我々としては決定する必要があるのじやないか、こういうふうに考えるのでありますが、この予算執行の面から見てこういう法案ができて、それからこういうものがいわば時代の要求、或いは日本教育の欠陷の是正として現われて来た場合に、それによつて一方基礎的な問題の教育予算の削減ということが起らないだろうか、どうも私たちは起らないというふうに考えたいのでありますが、今までの実例が今申しましたようにあらゆる場合に起つておる、そこでもつと苛烈な決心をして全体の予算の枠を拡大する、教育予算を取る、この要請をすることなしには私はどつちも駄目になる、こういう事態をはつきりここ四、五年の日本の政治のなかに見ておるのであります。こういう点についてこれは文相はどういうふうにお考えになりますか。文相並びに長野衆議院文部委員長の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/6
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007・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) 私は岩間さんの御心配も誠に御尤もな御心配だと思います。全般的に申しまして、あなたの言われることは同感する点も多いのです。けれどもとにかく今産業教育というようなことをすることは、日本の現状にとつては非常に必要だということは産業人も又一般社会も認めておる。これをこのままにしておいたのでは、やはり日本の学校の教育というものに欠陥があるという事実はそれは岩間さんも認めざるを得ないと思います。ただこれをどうして欠陥を埋めるかということなんです。それには今こういうふうに特別な産業教育法というものを設けて、今考えておるような組織でやることも私は一案ではないかと思うのです。岩間さんの言われるようなことも確かに私は一つの考え方で、決してそれにまつ向から反対するものではありません。けれどもこういうやり方でやるというのも一つのやり方なんですが、予算のことは確かにそういう危険がありますが、この産業教育法の予算というものも、私は若しこれを全国的にただどの学校にも設備をするというようなやり方は到底それはできない。岩間さんのたびたびのお使いになる言葉で言えば、つまみ食いのようなことになるのですが、それではどうも工合が悪い。私も岩間さんからたびたびつまみ食いということを言われましたので、肝に銘じて覚えておりますが、そういうつまみ食い程度ではどうにもならない。そこでやはりこれには一つの工夫を要することであつて、多くの学校が共同してどこかの工場を使わせてもらうとか、そういうようなまだ考え方はいろいろあるように思うのです。やはりそういう点ではまだ非常にこれは考慮しなければならない、ただ平盤にどの学校にも皆作るというような考えでは到底これは駄目だ。そういうやり方を工夫して行けば、これも一つのやり方として焦眉の急である産業教育を充実させるということができるのではないか。併しどこまでも教育は人を作るのにある、これが新教育の理念なんですから、それを忘れてただの技術者を作るというのではいけませんが、そういうことを忘れないで、これに創意工夫を以てすれば目的を達し得るのではないか。又予算に関しては本来のほうの予算は是非ともこれを確保したい。このために本来の予算が食われるというようなことは是非ないように私も全力を傾ける考えでおります。そういう意味で私はこれに同意をいたすものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/7
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008・長野長廣
○衆議院議員(長野長廣君) 私も大体今文相のお答えになつた通りの考えでございます。これは過去の実例から見ましても、実は昨年度において本年度六三制の予算を通すために私も文部省側と協力をして努力した一人でありますが、その体験からしましても、決して六三制というものに御迷惑をかけるような、つまりそのほうに悪い意味の影響をするようなことをさせないという方針で進めば決してそういうことはないと思います。のみならず却つて私は六三制の立場からしましても内容が充実することになりはしないか、例えて申上げますと、家事教育というようなこととか、或いは産業上の各種の農工商等の教育設備を整えますることには特別教師とか何とかいうものも現にこの中に考えられておるわけでありまして、むしろこのこと自体が非常なプラスになつて行く、六三制に対してプラスになつて行く、こういうことを私確信をいたしておるのであります。私の今までの予算に関する体験からしましても、又只今、申上げました性質からいたしましても、この点については極力努力をいたしまして、我々が過去に体験し、収穫し得たところのもの以上のものを得るように折角努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/8
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009・岩間正男
○岩間正男君 大体私が問題視したいのは、六三制の予算は本来の予算というふうに文相はおつしやつたのですが、本来の予算をとつてない、現在は本来の何分の一しかとつてない、六三制そのものは非常に不完全で、予算の面から見まして充足されていない。そこへ持つて来ましてこういうものに予算が割かれるということになれば当然影響を受ける。努力をする、こうおつしやつても、これは大蔵省が現在とつておるような国家予算の分配方式においては恐らくこの枠は私は打開できないと思う。そういう点から非常に心配しているのであります。どうしてもこれはいろいろ御説明はあつたようでありますけれども、これを本当にそういう基礎教育の犠牲なしにこういう方面の教育を同時にやれるという保証はなかなか得られないのではないかというふうに思うのであります。これは議論になりますから、後ほどにすることにいたします。
次にお聞きしたいのは、定時制高校というものが一つ六三制の中に作られたわけでございますが、定時制高校の最初の発足は働きながら教育を受けるという形でああいうものが出されたわけなんです。ところが非常にこれは殆んど現在だんだん盲腸的な存在になつて来ている。文部省はこういうような一つの今まで立てた教育体系というものをどういうふうに今度の産業教育法案と今後関連して推し進められるのか。或いはもう定時制高校というようなものはおやめになるのであるか。それとも非常に不完全であつたのだが、こういつたものの充足ということをしないで産業教育のほうに乗換えるのでありますか。こういう関連はどうでありますか。この点を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/9
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010・辻田力
○政府委員(辻田力君) 定時制の高等学校の問題ですが、定時制の高等学校のあります趣旨から考えまして、今後一層この制度を拡充しなければならんというふうに考えております。今回の産業教育法案を拝見いたしましても、この点については特に産業教育としてその特殊性につきまして、その補助その他について考慮いたしておられるように拝見するわけであります。我々といたしましては、今後この点を一層内容外観共に充実いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/10
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011・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) ちよつと申上げますが、主計局長が二時半頃にほかへ出られますので、先に主計局長に御質問願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/11
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012・岩間正男
○岩間正男君 今の問題少し保留しておきまして……それからお伺いいたしますが、今私が問題にした点は、産業教育法案で新しい予算案が七年計画で約二百億以上というものがどうしても必要だ、最低限度必要だ、併しそれによつて一般の教育予算、今までの教育予算というものは影響を受けるか受けないか、こういう面なんです。つまり同時にその枠をも拡大してそういう方式がとられるかどうか。而も我々の要求からすると、もつとこれは推し進めて、ということは従来の教育予算が非常に不満足である。今も申しましたように、実際必要の三分の一くらいしか国家予算としては出ていない。こういう形においてこの面をもつと拡充しなければならないという要請が一般的に大きく出ている。そこへ持つて来て新らしくこういうような産業教育法というものが追加される形になつて来るのでありますが、この点でこれは予算執行面において、一体どういうふうに大蔵省としてお考えになつておられる
か。この点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/12
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013・河野一之
○政府委員(河野一之君) 産業教育の非常に重大なることは私どもよく存じておる次第でございまして、折角国会におきまして、こういうような法案が御提出になりまして、可決になりますに当りましては、この面を国会において特に御重視になつて出された次第でありますので、従来にも増してごの面に多大の、多額の国費を計上いたすのが我々としての責任であろうと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/13
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014・岩間正男
○岩間正男君 そうすると 枠は殖えるというわけですか。教育全体の枠は、産業教育も含めた教育予算としては何%かの枠を殖やすという、そういうことはまあすぐできる、こういうような御意見、そういうふうにとつていいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/14
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015・河野一之
○政府委員(河野一之君) 教育費に予算の枠があろうとは私は考えておらないのでありまして、予算の何%とか何とかというようなことをよくおつしやられますが、決して予算に枠というものはあるのでなしに、その予算を組む時期において何が一番重点であるかというその重点の範囲だけの問題でありまして、教育費につきまして二百億なら二百億以上は出せないとかという問題ではないのであります。殊に教育費というものは固定的な経費でなく、又将来伸びて行かなければならん経費でありますので、私どもとしては一定の枠を立てて、産業教育が殖えるから一般の経費を削つて押込むのだという考えは毛頭持つておらない次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/15
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016・岩間正男
○岩間正男君 いつもそういう説明をされておるのでありますが、今の実際の予算編成の状況を見ますと、簡単にそう言い切れないですね。これは一番河野主計局長はわかつておられることだと思う。いざとなるとそういうことなんですが、実際一番必要な面で、例えば六三制が最低百二十億必要だというのだけれども、どうしてもこれは国家予算の建前から、いろいろの建前というものから出て来る。だから我々どうも今の説明だけでは納得が行かないのです。そういう面においてこういう新らしい要求に従い臨んで行く、こういう点を検討されておるのですか。大蔵省としましてはこれは検討済でありますか。この法案との関連において今まで省議か何かで正式に検討されたかどうか知りませんが、意向は正式にきまつておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/16
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017・河野一之
○政府委員(河野一之君) 私もこの法案を長野委員長から頂戴いたしまして拝見いたしております。時局柄非常に大切なことであると前々から考えておつた次第でありまして、国会においてこの点を非常に重要なるものとしてお考えになりまする以上、予算の配分その他においても重点的に考慮すべきものだという考え方に変りないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/17
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018・岩間正男
○岩間正男君 そうすると、例えば六三制を執行するに当つて全額国庫負担がなくても、大幅国庫負担をしてもらいたいという要求は、例えば日本国民の半分の四千万くらいの大きな請願として国会両院にも陳情されておる。こういう実情に対しては今まで殆んどこれは要求は満足させられなかつたのだと思うのですが、こういうものを同時にこれは取上げる考えを持つておられるのですか。成るほど産業教育というものは非常に現存院の内外におきまして騒いでおられることは我々も承知しておる。併し教育の基本的な立場に立つて、もつと先の、やはり日本の何年か先の基本をここで打出すのだという点から考えるときに、どつちが重大だということはこれは軽々しく判定できない、当面のいわば腹を減らさせておいてそこに肉をぶら下げて見せる、こういう形においては成るほど緊急性はありましよう。併し国家の文教計画の百年の大計から行きますときに、そういう基本的の線を打出すということは何十倍も重要性を持つと私は思う。併しこういう要求においては今まで大蔵省は殆んど頬かぶりであつた。こういうことはどういうことになりますか。そういう要求でうんと騒いで、そういう運動が大きくなつたらこつちのほうは何とかやらざるを得ないだろう。而ももつとこれを我々の考えでしますと、そういう時代的要請もそこにくつ付いているわけですね。そういう要請もやる。併し基礎的な問題について、これは天野文相なんかは随分その点で大蔵省にも今まで要求されたと思うのですが、そういう点は余り解決されなかつた。こういう点はどうなんですか。こういう点について大蔵省としてはどういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/18
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019・河野一之
○政府委員(河野一之君) 教育の文教行政の基本的計画なり或いは問題等につきましては、我々予算当局として直接タッチすべきものではありませんので、この点は文部大臣の御所管であり、十分お考えを持つて進んでおられることと拝察いたしておるのであります。今年度我々政府当局としまして、文教の問題について非常に関心を持ち、予算上も十分配慮しておるということにつきましては、これは岩間さんよく御存じの通りで今年度の予算は五十億から殖えておるのであります。六三制について全額国庫負担というような声も中にはあるやに拝承はいたしまするが、これはまあ金をもらう、或いは出すという立場から考えますれば、これも非常に結構なことで、決して悪いことではないと存じますが、一方これを負担する国民の納税者たちの立場をいろいろ考えねばならんことでありますので、こういつた点は両方勘案して、これがいいからそれに飛びついてその通りすぐなるというものではない。全般的の状況を考え、又時期もあり、程度もあり、規模もあり、そういつたすべての問題を総合勘案してきめるべき問題であり、少くとも財政問題としてはそうであるというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/19
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020・矢嶋三義
○矢嶋三義君 局長にお伺いいたしたいのですが、この予算の問題について昨日専門員並びに発議者にお伺いいたしましたときには、六三制教育予算その他に関しては迷惑をかけないで、枠外に予算的考慮を大蔵当局がして下さるやに話が若干通じているような口吻を承わつたわけです。なおそれに対しては努力するということを承わつたわけでございますが、その点について大蔵当局の御意見を承わりたいのですが、天野文部大臣は天野文政の筋金として義務教育の振興ということを掲げられておりますし、例の〇・七ではどうしても不十分だ、あの惨憺たる状況から〇・九までどうしても持つて行きたい、と常々大蔵当局に交渉されておるところは大蔵当局としても御承知だと思うのですが、更に天野文政の一つの筋金として科学教育の振興のための予算は増加されましたが、なお我が国の科学というものは実験なんかが不十分の状態にある、或いは義務教育の無償配付推進という立場が天野文政の一つの筋金でありますから、本年度から一年生に二億八千万円の教科書を供與するということになつた。これを進めたいという意向であり、これらの予算的措置についての交渉は常に文部当局から大蔵省にされておるわけでありますが、そういう文政の推進の方向も了承され、更にこの産業教育振興が大事だから画期的な予算を組むような肚でおられるのか、或いはそういう交渉を発議者から受けられておられるのかどうかという点について承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/20
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021・河野一之
○政府委員(河野一之君) 文教の振興について国民全部が、勿論政府も非常に意図しておるということはこれは申すまでもないことでありまして、この一環として産業教育というものが、従来いろいろな欠陥があつたということは私どももよく存じております。従いまして国会の御提案によりまして、こういうような法案でこれを推進されるということにつきまして、我々として原則的に異議があろうはずがないのであります。従いまして国会の御意思によりましてこの法案が生れ通過いたしますれば、その面については政府としては渾身の努力をすべきであると私は考え、枠とか何とかという問題はこれは一般的に言われておることではありますけれども、私としてはそういうことは考えて実はいないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/21
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022・矢嶋三義
○矢嶋三義君 生計局長にお聞き願いたい点は、常々文部当局からも、我々からも訴えておることでございますが、教育財政の貧困ということは、我が国の教育にいろいろ支障を来たしておる。その現在の我が国の教育の不自由なる面がその氷山の一角としてこの産業教育の不振となつておるということを言つておる。私は局長に是非耳に入れておきたいと思うのですが、今の御答弁で私は重ねてお伺いいたしたい点は、産業教育に対する局長のお考えはわかつたわけでありますが、今まで不十分だとして天野文政の筋金から進めて来たこの方向をこの産業教育法を重視する余りに、そちらのほうの推進をとめられるという事態が起つては私は困ると思うのでございますが、今も大蔵当局に交渉されて参りました天野文政の推進方法というものをお認めになつていらつしやるかどうか、その点を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/22
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023・河野一之
○政府委員(河野一之君) 天野文部大臣の考えておられます方向に全面的に賛成いたしておればこそ五十億の予算を本年度殖やしたわけでありまして、その考え方に別に変りはない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/23
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024・矢嶋三義
○矢嶋三義君 次にお伺いいたしたい点は、この法案の予算的裏付として七カ年計画で二百億を予定しておるのです。そのうち百億が国庫でやる、こうなりますというと、残り百億は地方財政にかかつて来るわけでございますが、現在の地方財政の実情は局長十分御承知の通りでございます。となりますというと、結局この残りの百億というものはやはり平衡交付金制度のある以上は平衡交付金にかかつて来ると考える。かからせなくちやならない。こう私はまあ考えるわけでございますが、それらの点につきまして局長はどういう御見解を持つておられますか、見通しなりを承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/24
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025・河野一之
○政府委員(河野一之君) 物には程度と均衡その他がありまして、まあ二百億というお話も私は実は伺つております。おりますが、これをどの程度において実現するかという、この二百億を七年間に実現する、結局まあこういう点につきましては、これは予算の問題でありますが、予算の問題でもあり、十分そういう財源的措置については考えねばならんと存じます。併し只今私がここで七年間に一貫億出せるんだというようなお約束はできるわけのものでもないし、そういう立場にあるわけでもありませんので、これをどうするかということについて決定的なことを申上げるわけには行かないのでありますが、併しこの法案が提出されて、最高機関である国会の意思として出される以上、それに従つて十分努力しなければならん責任を持つているというふうに私は考えるのであります。まあ予算というものは要するに財源の問題であり、その財源というのは国民がその租税負担を納得するかどうかの問題でありますので、そういつた総合的な点をきめて、以て決定さるべき問題だと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/25
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026・梅原眞隆
○梅原眞隆君 今の大蔵当局の考え方は大体私はわかるのであります。私がお尋ねしようというのは、国会がこれを決定したら、つまり財務当局が全力を賭してそれをやるべきことはこれは私非常に明断だと思う。それを尋ねておるのじやない。今私の問おうとするのは、現政府におきまして、これだけの予算を要するものをこれまでの他の文教の上の、これは今までの文教の財政におきましても、累年的に増加すべき傾向を持つておることはあなたの知つておられる通り、その累年的に増加して行くべき一方の財政を予想しつつ、今ここに画期的な一つの新らしい財政を要する法案が出る、これに向つて画期的に大蔵省が教育予算に対して考慮を拂われるようなさつきからの口吻であつて、その点は私ども非常に満足している。ただ、今私のお伺いしようとするのは、国会がきめたから十分努力するというのでなくて、国会がきめるまでに、私が聞いたいことは現状において果してどれだけの見通しが立ち得るかということを伺おうとしておる。そこで今矢嶋君の言われた今出た法案の地方における財政もこれは相当に考慮すべき問題であつて、その点に関しても今数字的にこれをこうだとか、引受けるというようなことを問うておるのでなくして、見通しとして果してこれが受けられ得るかどうかということを財務当局にお伺いしたい。そういう観点で一つ打割つたお話を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/26
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027・河野一之
○政府委員(河野一之君) なかなかむずかしい御質問であるのでありますが、七年間に二百億となりますと、一年間に三十億でありましよう。まあ国と地方との関係というものは、この法案は地方の殆んど補助費でありまして、地方でおやりになるべき性質のものでありますが、そうした国に対して地方が地方自治の立場からどういうふうに……まあ法案として成立したのだからほかのものに優先して、ほかのものをカットしてこれをやるという考え方もありましようし、それはそれとして別の観点で考えるという行き方もいろいろありましようけれども、そういつた地方財政の問題と、地方における考え方の問題ともあるのでありまして、すぐ地方にそれが行つたからその分の財政を国で見るのだ、面倒を見てやるのだという考え方には私は直ちに参らんと思います。産業教育について従来も補助金は実はあるのでありますが、教育の方向としてどういうふうに今後お考えになりますか、私どもとしてそういうことについて知識もありませんし、又そういう能力もないわけでありますが、そういう点につきまして、従来の方向との調整ということについては文部当局が十分お考えになりまして、合理的な予算の御要求があるものだと私どもは思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/27
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028・梅原眞隆
○梅原眞隆君 これは衆議院の専門員に対してお伺いしますが、この予算で地方のほうの財的負担というものがどういう工合になつておりますか。私立と公立の場合がありますね。その場合に地方財政の根本にどういう関係を持つているか、一つお伺いしたい。なお進んでは若しも地方で公立で一般の地方財政に関係を持つとすれば、その辺の交渉があなたがたのほうでできているかどうかというこういう点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/28
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029・石井つとむ
○衆議院専門員(石井つとむ君) 只今の御質問について申上げます。ここに公立学校につきましては確かに地方費で立つております学校でありますから、結局各地方の公共団体が負担すべきことになるのであります。けれどもそれは義務付けでなしに、そこの地方公共団体がみずから必要を認めた場合に準備をして来ましたものと睨み合せて国庫が補助金を出してやろうと、向うのヴオランタリーな活動を前提とするということになつております。なお私立学校につきましても、これはその学校法人が負担する立場でございまして、直接地方公共団体には関係を持つておりません。これもひとしくそちらのことで、準備のできた、自発の希望を前提として国庫が補助を考慮しようと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/29
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030・梅原眞隆
○梅原眞隆君 もう一つお伺いしますが、つまりこういうふうに理解してよろしいか。つまりこれは私立のほうは自分で支弁する。公立の場合でもその地方がそれを認めたら寄附金とかいろいろなものが出て来て、一般の地方財政の枠の中にはこれは余り関係を持たないと、こういうふうに理解してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/30
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031・石井つとむ
○衆議院専門員(石井つとむ君) 地方財政の細かいことは私は全然素人でよくわかりませんが、仮に寄附金で成り立つても、それが校費として地方団体が取扱うものでその学校の校費の中に充当されて来るということがあれば、当然そういう解釈になつて然るべきものであろうと私は想像いたします。なお地方公共団体におきまして、仮に府県全体の予算の経費の中で、いずれへどれだけの支出を優先して廻すかということは、各地方公共団体の事情に応じて知事を中心として自由に行われることでございましよう。そこの割振りで学校のほうに廻されて行きましたそれが産業教育に充当されます部分がきまれば、それに応じて国庫のほうがそれに援助をするということで、どこまでも向うの自発を前提として考えて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/31
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032・梅原眞隆
○梅原眞隆君 その自発はわかりますが、その自発の金が集まる場合に、地方財政の関係はどうなるかと、こういうのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/32
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033・石井つとむ
○衆議院専門員(石井つとむ君) それが只今申上げましたように、土木その他に県としては幾多の金が要りましよう。その中から特定の学校に対して経費は割振りされる、予定される、それを睨み合せまして国庫のほうはやるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/33
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034・梅原眞隆
○梅原眞隆君 そこで私は質問しようとする点はそれです。そうなれば地方財政との交渉を持つわけです。だからして地方財政は担い切れないほどの金を担うておるわけです、次々に……今これを担うというに当つては地方財政との間によく話合ができておらないと、そこに一つの困難が起つて来る。この問題について経済措置の上で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/34
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035・石井つとむ
○衆議院専門員(石井つとむ君) 地方財政委員会とこの法案をお示してのお話はいたしてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/35
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036・梅原眞隆
○梅原眞隆君 ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/36
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037・石井つとむ
○衆議院専門員(石井つとむ君) いたしてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/37
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038・梅原眞隆
○梅原眞隆君 大体それで地財委のほうで了解できておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/38
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039・石井つとむ
○衆議院専門員(石井つとむ君) 了解はできております。義務付けるものでないという理由をよく御存じで、大変結構であると。さもなくばその実状を見るに忍びざる実状が多いのでございますから、それをどうせ地方では何年間かかつても補充しなければならない。それを国庫で相当額補助してもらえるということは、むしろ地財委としては感謝する立場である、こういう言葉で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/39
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040・梅原眞隆
○梅原眞隆君 それは衆議院のほうで、あなたのほうで地財委と交渉してありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/40
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041・石井つとむ
○衆議院専門員(石井つとむ君) いたしてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/41
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042・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 主計局長は退席されますから、御質問ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/42
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043・成瀬幡治
○成瀬幡治君 ちよつとここでお尋ねするのは筋違いであるのですがね、意味のおかしいことになるかと思いますが、例えば〇・七坪に対して負担分があつて、そしてなお単価が昨年なら昨年、或いは今年なら今年の予算において単価がずつとして来た。六三建築の問題、それについて主計局長のほうとしては補正予算を組んでそういうものをやるような意思がないのかどうか、六三の問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/43
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044・河野一之
○政府委員(河野一之君) 今年補正予算はいつ出すか、まだきめておりません。又別に補正予算の問題が具体的に起つておるわけではございません。大体予算について当初の計画がいろいろな事情でできなくなつたからといつてすぐ補正予算を出すという建前のものでは原則的に私はないと思います。只今どういうお約束はいたしかねますけれども、特にこの問題について補正予算を今用意しておるかと言われますと、そういうことは今考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/44
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045・成瀬幡治
○成瀬幡治君 何をつまみ食いとか、何を先するとかといういろいろな論争もあつたわけですけれども、少くともあなたのほうで予算を計上されて、そして各県が六三校舎の建築に入つたわけです。ところが単価が上つてしまつて非常に地方は困つておる、そういうようないろいろな陳情があなたのほうにはたくさん来ておるわけですが、そういうものをなおざりにして……なお産業教育に対して年間十五億なら十五億の金をみて行くというような余裕があるやに受取れる。あなたのほうは十五億だけみて行こうという意思があるのならば、そういうものは当然考慮されて然るべきものである、こういうふうに考えるわけですが、あなたはそれに対してどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/45
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046・河野一之
○政府委員(河野一之君) これはたしか私法案をよく拝見しておらない点があるかも知れませんけれども、二十七年度からの問題のように聞いております。それにいたしましても、その金額がどの程度になりますか、これは二十七年度の予算のときに総合的に検討して決定すべき問題でありまして、これをやるから六三制のほうは削るとか、或いは減らすとか、こういう筋合のものではなく、相両立してどういうふうにバランスをとつて行くか、こういうふうな問題であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/46
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047・成瀬幡治
○成瀬幡治君 バランスと言わなくて、私のお聞きしたい点は、折角校舎を造りかけてみた、そうしたら単価が上つてしまつてできない、こういうふうな実状にあるわけです。そういう問題を今後二十七年度からどうして出して行くのか、そういう肚のところをしつかりお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/47
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048・河野一之
○政府委員(河野一之君) 昨年の十月、十一月を基礎といたして編成いたしました予算でありまするので、その後においてこの物価の騰貴等がありまして、予定の計画ができなくなるものも相当あると存じます。併しこれは六三のみでなしにすべてに通じた、例えば公共事業なんかについてもそうでありまするので、これを或いは單価が上つたから、予算が足りなくなつたからと言つて、それを補つて行くということには方針的には私は適当でないと考えておりますので、只今のところそういつた物価高に基く補正予算を提出するつもりはないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/48
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049・成瀬幡治
○成瀬幡治君 それでは〇・七坪に満たないものを校舎の建築については全面的にみて行く、こういう意思はあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/49
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050・河野一之
○政府委員(河野一之君) おつしやる意味がわかりかねますが、四十三億という金でどの程度できますか、これはまあ補助率は二分の一でありますが、いろいろやり方もありましようし、できるだけ予算の節用或いは効率的使用によつて目的を達して頂きたい、單価が上つたからといつて直ぐ補正予算を出してその予算を増額するというようなことは原則的には考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/50
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051・成瀬幡治
○成瀬幡治君 いやそうでない、わからないとおつしやるのはそうでない、〇・七坪にまだ満たないところの校舎がたくさんあるわけです、それに対してあなたのほうとしては二十七年度なら二十七年度にそれを出して行く、こういう意思があるのかないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/51
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052・河野一之
○政府委員(河野一之君) 〇・七坪にするということは今年の予算でそういうふうに今まで考えて来ておるのでありまして、どの程度できまするか、私どもとしては今年度の予算で完成して頂きたいというふうに考えておるのでありますが、又これは実情をみまして考えてみたいと思います。(「とんでもないことだ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/52
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053・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 主計局長はすぐ帰られますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/53
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054・高田なほ子
○高田なほ子君 主計局長でもよい、どちらでもいいのですが、先ほどの産業教育費の問題と地方財政費の絡み合せは極めて重要な問題であります。先ほどの御質問ではまだ十分納得ができない点が一つあります。これはこういうことになると思うのですが、先ほどの御答弁では地方の自発を前提として国庫補助をするというような御答弁であつたと思います。併しこれはですね、非常に一面合理的のようにも考えられますけれども、併しこの法文と照らして見たときは矛盾がある、例えば市町村の産業教育、これは市町村の要請そのものによつてやるのではなくて、これと共に各都道府県或いは国の産業経済の状況に即して行うという条項がここにあるわけです。そうだとすると、あなたが言うように地方の自発を前提とするというような、そういうような言葉では納得ができない。これはどういうふうに一体解釈すればよろしうございますか。地方だけの要請では駄目だということなんですね。それは都道府県或いは国、そういうものの産業経済に即したものでなければならないという条文があるわけですから、あなたが言うように地方の実情に即してというようなことはちよつとこれははまらない。この条文を適用して行けばあなたの言うことなんか一遍にすつ飛んでしまう。国に補助がないから出さんと言えばそれだけになつてしまう。それはどういうふうになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/54
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055・石井つとむ
○衆議院専門員(石井つとむ君) 只今の点は私先刻の御質問に対してその面だけを申上げましたから、意を盡さなかつた憾みがあつたようでございまして、その点遺憾に存じます。確かに国或いは都道府県全般との連関において総合計画の下に物を育てて行こうというこれが根本に勿論ございます。これは産業を振興する。それがために産業教育を前提として振興しようというお考え方から、そういう考え方になつております。従つて最低基準を作りまして、照し合して見まするときに、恐らく全国の到る所のその関係の学校の施設その他は不十分なものばかりと言つていいほどであろうと思います。そうすると各地方で準備して要求して来られるというものは、財政力の関係その他でおのずから順序がございましよう。仮に早く来られましても、その全体の都道府県なり、或いは国全体から見まして、仮にその重点的の濃度が薄いとしますれば、そこへお上げすべき国からの補助金が薄くなるということになつて行く問題として噛み合されて来ることと存じております。それで仮に非常に財政の都合、或いはその他の方面などへ廻す金が急であつて早く出して来られないというような所があるとしますれば、そこはちつともその都市自体の産業教育の準備をせられないとすれば、遺憾ながらそちらはあと廻しになつて参ります。どうせ何年計画かのことだけしかできませんから、併し国全体としてどうしてもそこに必要がある、或いは都道府県に必要があるとすれば、そこだけが順序が遅く行くだけのことである、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/55
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056・高田なほ子
○高田なほ子君 結局そうすると今の御答弁を要約して行きますと、地方というものの実情が前提となるということそれ自体よりも、この法案の精神を率直に汲めば、あなたの今の御答弁のように、国全体の要請というものによつて、地方の産業教育の振興の度合というものがこれは左右される、こうなりますと、非常に問題が起つて来るのでありますが、この法案の精神から見まして、地方の産業教育の自主性を尊重するということよりも、むしろ国全体の産業教育によつて地方というものの産業教育がどういうふうにでもなる。これを財政的に把握して行きますと、国全体の産業教育のあり方、又やり方、考え方、そういうものによつて地方の財政が極度に圧迫されるという危険性が非常に多い、むしろ地方の実情を前提とすることでなくて、国の産業経済を前提として地方の財政経済を圧迫して来るという危険性が非常に感じられる。あなたの御答弁によつても、この法文によつてもこれを感じられる、この点どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/56
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057・石井つとむ
○衆議院専門員(石井つとむ君) 私の申上げようが不十分と申しましようか、不徹底で、いろいろ誤解を生じましたようで恐縮でございます。総合計画ということは、仮に空間的な、場面的な問題で申しましても、決して国だけが、或いは国が、最優先をしてということを意味しておるのでございませんで、都道府県なり、或いは同じ府県のなかでも西のほうとか、或いは東のほうとかいうような問題で全般に来る問題であります。
それからなおいろいろ空間の問題でなしにほかの問題とも相互連関さして、物を無理なく考えて行こうという次第でありまして、地方の実情というものを、殊に都道府県というものが多分に一単位をなしておるという現情は勿論十分それを尊重いたします。その意味において地方審議会というものも原則としてそれぞれの県に置いております。決して只今おつしやいますような国の要請によつて地方を圧迫するというようなことにはならない仕組を法案に盛つたつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/57
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058・高田なほ子
○高田なほ子君 あなたは総合計画というものをどういうように把握されておられるか知りませんけれども、これは單に地方財政で以てこれが総合計画が末端まで樹立して行くということはどうしても考えられない。例えば農業教育の振興については農林省、或いは工業の教育の振興については労働省、商業のほうはやはりそれぞれ国と直結しておる形をとつておる。而も中央審議会の権限というものは非常に大きいのです。こういう非常にそういうような国家的な機構に立つたところのこの産業経済というものの発展が、あなたがお考えになるそれほど地方財政は圧迫しないとはどうしても考えられない。結局国の産業経済の振興を図るということのために十二分の予算が国家として組まれない場合には、これはどうしても地方財政を極度に圧迫して行く。このために六三制の破綻ということは現在ですらもう破綻しつつあります。而も物価の値上りによる補正予算を組まないとすれば、六三制の圧迫というものはもう今よりも何層倍というほど圧迫されて来る。これは産業経済振興のためにも、或いは六三制完遂のためにも、どちらにも私は非常にこの点不安を感ずるのですが、あなたの総合計画を樹立して地方財政で以てそれが賄つて行かれるというような甘い考え方に対しては納得ができない。もう一遍説明をして頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/58
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059・長野長廣
○衆議院議員(長野長廣君) 私のほうからお答えをいたします。あなたのおつしやる通り、これはその通りであります。それから私はあなたのおつしやるような心配をいたしまして、関係各方面に説明いたしましたが、私の説明をしたところで、あなたと同じような心配の下に本法案は考えられなければならんという指摘も受けました。ところでです、そこが私どもが最も留意をしてそういう心配のないようにいたしたところでございますが、その点を御説明するとよくわかると思います。つまり地方、中央ということを先き申しますと、そういう誤解が起りますが、本来はこれは地方審議会というものもありまするし、又これは市町村においてもそういうこと、又それに準じた一切の事情、総合的ないろいろのその事情から勘案をいたしまして、そうしてこの村ではこうすべきである。この市ではかくあるべしと、こういうちやんと案が出て来るわけであります。そうすると、それを地方庁の関係のほうではやはり、材料にいたします。そうして都道府県においても案ができる。又そのできたものを更に国においては資料といたしまして、極めて圧迫のない、地方民衆のむしろ自主的計画に基くものを国がこれを認容して行こうというような意味においてやつて行くのが今日のここに差上げました国及び地方審議会の存在しておるゆえんでありまして、決して国が国家の大局より必要だから地方に向つて云々というのではない。全くそれは逆でありまして、地方の実情から漸次に築き上げたものが中央としての大局からの案になる。こういう次第でございますから、そこで私どもも安心をしまするし、関係各方面の御心配も解消いたしまして、そうして本法案が各方面において受入れられた、こういう次第でございます。御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/59
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060・高田なほ子
○高田なほ子君 もう一遍長野さんにお伺いいたしますが、大体御説明をまあ承わりましたが、一つまた重大な問題が残つておりますが、最後に一つ私の心配な点は、この産業界との協力を促進させて行くというこの問題と、今の問題とくつ附いて来るのですが、これがこの青年学徒諸君が産業経済振興のためのサービスをさせられるというようなこと、これはこの条文の中にもありますが、実験、実習よりの収益によつて云々というような条文も明らかにここに出て来るわけですけれども、そういうような学徒たちの労働力を提供しながら地方財政の圧迫を緩和して行くというような考え方もひがみようによつては一応考えられますけれども、これはあの戦争時代にこういう弊風が非常に起つて、そういう反省に立つての質問ですが、そういうようなことが地方財政緩和のために青年学徒の労働力が搾取され、教育の本旨から離れて行くような危険性の招来は絶対ないかどうかという点なんです。その点について一つ長野さんから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/60
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061・長野長廣
○衆議院議員(長野長廣君) 御心配は御尤もでありますし、私どもも或いは彼らの労働が搾取せられはせんかということを心配いたしておる一人であります。そこでこの条文を作り出した根本から申上げますと、我が国の現役の下は小学校よりの実習から上は大学の実習でも、つまり学校において模型的な作業実習をやつて来たわけであります。現在の小学校は別といたしましても、昔は小学校にも実習がありました。ところで、これはいわゆる模型的でありまして、稻を作る、或いは機械をこしらえるなりなんなりといういろいろの仕事、或いは海に出て「かつを」を釣る、「かつをぶし」を製造する、いろいろの実習をやります。ところがその実習によつて得たものは直ぐ自治団体若しくは国に取上げられてしまいます。そこで学徒、生徒というものは一体それがはつきりした経済的な計画の下に、そうしてその結末も又経済的にこれを解決しているかどうかということについての認識は殆んどないのでありまして、理窟からいうと、そういうことをさせてはいかんじやないかとはいうものの、事実やることが単なるまあ有効だから実習をやつておいて、できたものはそのまま学校で以て生徒の品物は売られている。県の会計課から来てこれを公売に付するというようなことになりましては、産業というものは御承知の通り経済的根拠に立てられる、学校が一つの経済主体になる、そうしてやつた結果というものが経済的に打算が出て、これならば自分らが外へ出て行つても大丈夫仕事ができる、「かつをぶし」の製造ができる、我々がやれば遠洋漁業をやつても大丈夫だという確信ができなければいかんのであります。ところが今までの我が国の実習というものはそういう点が非常に欠けている。だからその点についても考えるべきじやないかという点が一つです。
それから今一つは、生徒が、学生いうものが学校で勤労することについては随分経費がたくさん要ります。或いは衣服にしても地下足袋にしても莫大な金がかかるというようなわけで、而もそういう状態は今日アルバイトまで外でしなければならん学生に、そういうことを今日のままでやること自体がすでに搾取じやないかと思います。御心配頂く搾取は、これが一つの搾取になりはせんか、それで外国でもだんだんやられているように、生徒のその收益した一部を生徒の学習の例えば実験費に充てるとか、薬を買うとかいうようなことにすることは実体的から見て搾取でない。又これは教育の充実を図るゆえんでありまして、さような点から考えても安当ではないか。ただこれは我が国たけのことでなく、先進諸国においても行われていることであると信ずるのであります。かような意味でございますから、どうぞ一つ御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/61
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062・荒木正三郎
○荒木正三郎君 私この提案を長野委員長から説明を聞いた際に、大体七カ年計画で二百億円ぐらいの予算を考えているのだ、これについては大蔵当局といろいろ話合いをして、そのくらいの金を出すことに了解ができているのだという説明があつたのであります。ところが先ほど聞くと、その点があいまいなんです。果して二百億という金を、或いは百億円になりますか、そのくらいの金を出す約束をしてあるのかないのか、明瞭に伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/62
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063・長野長廣
○衆議院議員(長野長廣君) ちよつと、それは私はきちんとこういう金額を約束してあるとは申しませんが、本法案の裏付にこれだけの予算がある。その予算のあるこの法案を出して、大蔵当局としてはこれに順応して努力ができるかどうかということは、これは当然聞かなくちやなりませんが、又この以外にもそれぞれそういうことの打合せをしなければならん場合があろうと思います。かくした経過においてこの法案が提出されるに至つた次第であります。金額を必ずどうする、そういう意味ではございません。又それは言われようはずもないわけでございますから、来年度において……これは打合せをしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/63
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064・荒木正三郎
○荒木正三郎君 私長野委員長にはつきりさしておきたいと思うのですが、この法案を出されるときに、大体そういう了解ができているのだ、こういうふうに聞いておるのです。私の聞き違いであるかも知れない。そうすればこの法案については予算が要るのだ、予算については十分努力してもらいたい、この程度ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/64
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065・長野長廣
○衆議院議員(長野長廣君) そういう意味ではございません。この法案に対して、つまり大蔵当局としてこれを議題に上して審議することにおいては賛成である、よろしい。これだけの意味を持つておりますから、その意味に御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/65
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066・荒木正三郎
○荒木正三郎君 どうも明瞭にならないのですが、金のほうは結局価どうなんですか。大体計画ぐらいは出そうというふうなお話になつているのですか、そこまで行つていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/66
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067・河野一之
○政府委員(河野一之君) 七年に亘っての計画は、七年に二百億でありますが、こういうような変転極まりない状況におきまして、私もそうでありますが、長野委員長もそういうようなことが確信を以て申上げられるはずはないと思うのであります。法案にもありますように、予算の範囲内、こうあるのであります。予算の範囲内でありますので、毎年の予算の状況において違うということも大分御了承願いたいのであります。併しこの法案を御提案になります際において、そういうようなお話がありましたことは十分了承いたしております。できるだけ努力はいたしたいというふうなことを申上げた次第でありまして、決して違つたことは申上げてはおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/67
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068・荒木正三郎
○荒木正三郎君 局長に対する質問はこれで打切つておきます。
次に長野委員長並びに文部大臣に質問をしたいと、かように考えているわけですが、長野委員長に質問したいことは、この法律が成立いたしました場合、相当地方の財政的負担が起るのではないかと思います。その際に現在地方財政が非常に窮迫しているということは、これは平衡交付金の増額というような事情から考えても明白であると思いますが、そのためにはどうしても地方財政を何らか援助してやることを同時に考えておかないと、実際上こういう法律ができても金が出ないのじやないか、こういう心配があるわけなんです。ただ産業教育を振興するのだ、それで地方で金を出すのだといつても、地方財政が窮迫している現状においては容易じやないと思うのであります。そういう点から地方財政をもう少し援助してやるというような面をこれは同時に考えないと、実際上効果が挙らないのじやないかということを考えるのですが、そういう点について何かお考えがあれば、一つ聞かして頂きたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/68
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069・長野長廣
○衆議院議員(長野長廣君) 地方財政を圧迫する虞れがあるという点につきましては、先ほど来だんだん雪げたように、極めて安全弁的なものが加えられている、弾力性を持つております。決して無理をしない、地方の自治の立ち得るものであるということで御了承願えると思うのでありますが、お説の通り相当これをやりたいということになれば、窮迫せる地方財政のほうには圧迫を與えると思います。そこで私どもといたしましては、もともとこの産業教育法の対象たる産業教育そのものが生涯教育でありまして、これをやることによつて今までの農村の農作物の品質も上れば、又生産も増大する、又貯蓄も殖えて参り青年が無駄使いもせんようになる。こういう意味においてつまり財政的に見ますると、一面においては金を多く使うというところの、費用の増大ということを意味しまするけれども、他面においては、これによつて只今申上げた品質の向上或いは生産の増加、更には貯蓄の増大、各種団体の運営の合理化、こういうことが行われることによつて、却つて収穫は殖えて来る、財力は増大して行く、経済力は増大して行く、私はかくのごときものを称していつも積極財政と申します。この見地においても先ず考慮する必要がありはしないか。成るほど金は要るけれども、もうすぐに目の前に見えて金が又殖えて行く、こういうこと、それが一つ。それから一つは、御心配の地方財政の意味におきましては、地方財政委員会、それから自治庁、こういう面が担当者でありまして、これの先ず意見を聞くことが必要でございますから、十分調査を願つて明確なる御返事を頂きましたが、地方財政委員会のほうは先ほどもお答えしたように非常に喜ばしいことである、好ましいことである。いろいろ無理が起る虞れがあるけれども、それはできるだけ一つ無理の起らんようにして行く、これは歓迎をする。それから地方自治庁関係の方面におきましても、本問題についてはよかろう、こういうことで御了解を得ておりますから、大体この地方財政に対する心配というものについては、一応私どもは解消いたしておるわけであります。併し今後におきましては、お互いに常に心配しておりますところの地方の平衡交付金等の中におきまして、できるだけ一つ金額を増してもらいまして、今後は特にこの点にも留意をいたしまして努力をする、こういう面で行きたい。その他はこれらの担当の官庁並びに委員会等において御考慮頂くものと思います。私の気持は全く荒木委員の御心配と同様でありまして、さような面からこの不安な点を解消するようにいたしたい、こういう考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/69
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070・荒木正三郎
○荒木正三郎君 この法案は、先ほども話をしたのですが、この法案の大体二百億、一年に三十億という考え方、そういうふうに産業教育の設備その他を充実して行くということになれば、地方で年額十五億円ばかり受け持たなければならん、こういうことになる。法案ではそれはフリーにしておる。だからやろうと思つた所だけやればよい、こういう話ですが、それではやはり一つの目的を達成することはできないのであつて、大体最低基準を設定するのに、まあ七カ年計画としても一年に大体十五億くらいは地方負担をしなければならん、こういうことが考えられるわけです。そうすると十五億という金は、何でもないといえばそれまでなんですが、なかなか十五億の金でも相当問題になる。前の国会においてもいろいろ七億円とか、五億円という問題がまあ問題になつているわけです。そういう点から考えるとやはり地方財政の窮迫しておる今日、何らかの膨でやはりそういう財政面を解決してやるという配慮がなければ、これは私は十分行かないのじやないか。これは意見になりますからとどめて置きますが、ただ先ほどの説明で私ちよつと了解できにくい点があるのですが、これをやると貯蓄も植えて行く、どんどん品物も作つて売るから楽になつて来る、そういう金をどんどん廻して行けば学校の運営もよくなると、こういう話なんですが、私はこういうふうにちよつと受取つたのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/70
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071・長野長廣
○衆議院議員(長野長廣君) いや、そうじやないのです。それではちよつと説明しましよう。これは根本的な問題でありまして、つまりこの産業教育を行いますと、被教育者たるところの青年学徒はつまり現在よりも一層産業上の能率が上つて行く、各家々によつて、つまり青少年の努力というものがあつてその能率が上つて行く、自然に家も富んで来る、これは事実であります。これは御承知の通りの事実であります。そういうふうに家が富んで来れば、自然に村も富んで来るということになる。それから随分青年暦がすさんで来まして、中学校を出るや直ちに野放しになつた形で……貯蓄というようなこと、貯蓄という言葉を挙げたのは私は具体的に挙げたのでありまして、そういうような意味で青年などは非常に産業経済生活というものがどうしても現在は心配の状態であります。いわんや農村における経済能傘というようなことは非常に低いですから、青年を教育することによつて青年自身もよくなる。青年自身のつまり努力によつて経済も発展するということになるから、金が成るほど要るようだけれども、村として考えて見ると収入が殖えて来るのであるから、生産が多くなつて来るのであるから、これは積極的な節約の意味になつて来るということも考えられるというのが、これは本質的な問題を述べておる。それからあなたの御質問に対しては、今言つたように地方自治庁並びに地方財政委員会その他の所からの共鳴と、安心をしてくれというお言葉も我々は感じているわけです。そういうことであります。そこの点をどうぞ一つ……。金は要るのであるが、併し生産が殖えて来るから結局これは単なる消費ではない。単なる消費ではなくて、却つてこれは積極的な節約の財政の意味になつているのだ、こういう意味です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/71
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072・荒木正三郎
○荒木正三郎君 今の点は非常に微妙な点があると思うのです。この法案では、学校で教育作業をして、それによつて上げた収益は学校で使うようにする。この点は一応私も納得している点なんですが、又半面非常に危険がある。作業をして金を儲けて、それを今度いろいろ使つて行くことになれば、これは教育の邪道といいますか、横道に外れる心配が多分にあると思うのです。そういうことを考えておるときに、先ほど委員長はどんどん貯蓄もできるし、なんかできる、こういうお話があつたですから、生徒を先ほど話があつた技術工にしてしまつて、そうして金儲けをやらすのだ、極端にそういう感じがしたのですが、今の説明で大体その点は、まだ問題が残つておるかと思いますが、私は一応これでとどめておきます。
次に文部大臣にお伺いしたいのですが、この法案直接にお伺いするわけではないのですが、この前新聞にリツジウエイ司令官が、かなり広汎に自主的な立場を認める、こういう声明があつて、その直後に職後におけるあらゆる問題について再検討する、政府のほうでも再検討したい、こういう意思の表示があつたわけです。その中に、新聞の報道なんですが、教育問題についても多少載つておつた。そこでやはりこの際私文部大臣に明らかにして頂きたいと思う点は、戦後の新学制ですね、あの新学制について従来はとかく意見があつたことを私も聞いております。併し今日我々はあらゆる困難を克服して新学制の完全実施のために努力して来たわけですが、このことについて文部大臣はどういうふうなお考えを持つておられるか。或いは再検討する中に入れておられるのか。そういう点について私も重大な関心を持つておりますので、この際御所見を明らかにして頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/72
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073・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) 新聞にそういうことが出たというのをつい見逃しておりましたが、人からもそういうことを注意されました。私はこの新学制というものは講和ができましても決して動かしてはいかん。この基本線を動かすということは、今までこんなに努力して来たことをただなくなすばかりでなく、教育界を混乱に陷れるから、これは断じて動かしてはいかんと私は信じております。ただ併しそれに附随したいろいろな国情に適しないような部分的な修正というものは、これは又大胆にやらなくちやいけないという考えでございます。だから要するにこの新学制は決して基本的に動かさないという私は考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/73
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074・荒木正三郎
○荒木正三郎君 大臣のその決意に対しては私も十分満足をするものであります。従つてこの問題についてはこれ以上御質問する必要がないと思います。
次に現在教育界においていろいろ問題があると思うのですが、やはりその一つには、教育財政確立の問題があるのじやないかというふうに考えておるわけであります。ここに法案が出ておりますが、やはりこの理由は、いわゆる産業教育と申しますか、従来の言葉でいえば、現在行われておる言葉でいえば、私は職業科というものといつていいと思います。職業科の教育が十分できない事情にある。特に施設とかそういう点においてなおざりにされている。このなおざりにされているという言葉は適当でないと思うのでございますが、いろいろ重要な面に相当費用が要り、国家財政も相当窮迫している。こういう点からそういう気持があつても、そこへ手が廻らなかつたのじやないかというふうに善意的に解釈するわけです。結局いろいろやつて行く上において、教育財政がどうも平衡交付金だけではしつかりしない、こういう感じを私ども持つているわけですが、この際教育財政確立の方途として何らかのお考えを持つておられるか、そういう点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/74
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075・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) その点全く同感でございまして、私も教育財政というものが確立しなければならないと思います。それにはいろいろ考えられるでしようけれども、差当つては、以前からたびたび申しておることを繰返すに過ぎませんが、標準義務教育費というものを是非確保したい。併し従来の形ではどうしても関係方面の了解が得られませんから、あれを変えた形を以て了解を得ようと思つて関係方面と話をしているわけでございますが、打ち明けた話をすれば、丁度それの一番の中心になつてやつていてくれた内藤課長がアメリカへ行くことになつたものですから、暫らくその点をなお一層アメリカの事情なども調べて来て研究しようかというような考え方で、交渉は続けていますけれども、同時にそういう一つの考えを持つております。併し何らかの形で以てこの点をはつきりさせなければならないということを私も強く考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/75
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076・荒木正三郎
○荒木正三郎君 やはりこの際教育財政を確立するという考え方に立てば、この問題もおのずから解決して行くのじやないかというふうに思つておるわけですが、その問題はそれは別といたしまして、更に私はまあここにこういう法案が出された、こういうことについては十分理由のあることだと思うのであります。この法案の内容自体は別として、いわゆる職業科の施設だとか、そういう点については非常に考えられておらなかつた、そういう点についてこれは文部省においてもかなり考えられておつたのじやないかと思うのです。それを今度は文部省提案にならないで国会議員の提案になつたということは悪いと思いませんし、非常に結構だと思います。併し文教の責任の立場にある文部省としてはこういう欠陷があつたと認められ、そういう方面に対して従来何らかお考えになつておつたかどうか、そういう点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/76
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077・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) 一体この六三制というものを私どもがきめたときに、これは教育刷新委員会できめたことでございますが、そのときには高等学校というものにヴアラエティーを持たして、或る高等学校は專らリベラル・アーツの高等学校として大学へ進むもの、併し他のものには商業高等学校、農業高等学校、工業高等学校というようなヴアラエティーを持たして行こう、併しどの高等学校でも皆先をとめてはいけない、すべてどれに学んでも皆大学へ入れるようにしよう、そういうふうに私などは教育刷新委員会できめたのですが、併しそれが実際になつて見ると、そういう職業的な面というものが非常に影が薄くなつてしまつて、ただ皆が大学の予備校のような形になつてしまいました。又やり方に非常に不十分なところがあつて、一方、には大学へ進もうという生徒と、他方には農業なら農業をやろうという者を一緒にしておいても、成績が非常に上らなかつた。ここに何らかの改良を要するということは文部省においてもこれは強く感じておつたことでございますが、ありていに申せば、私どもはこれをシステムの中において何かやろうということを考えておつたのです。けれどもここに私どもがそういうことを考えても、まだそれで十分計画をここに提出するまでに至らないうちに、この点に対する世間の輿論というものが非常に強く、急速にこういう産業教育というものを要求して来て、そうしてここにこういう提案が出ることになつて来たのです。私は趣旨においては同じことなのです。ただシステムの中にそのまま入れてしまわないということだけのことで同じなのです。そうしてこれが法則的な意味を持てば、運用を誤りさえしなければ、自分らが考えた目的が到達できるというふうな意味で私はこれに同意したので、これが徹底的にシステムを破壊するというならば、私はこれにどうあつても賛成いたしませんけれども、先ほども岩間さんにお答えしたように、運営よろしきを得れば、私どもがまさに考えていたところに行くという考えで、これに賛成したものです。それだけに私はこれはよほど運用ということに注意をしなければならない。そうしないというと、ただすぐ役に立つ、基本的な教育ということがややもすれば忘れられて一種の技術工、というと甚だ言葉がひどうございますが、そういうことになつては困るから、運営よろしきを得ればいいという意味でこれに賛成しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/77
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078・荒木正三郎
○荒木正三郎君 私はこの法案全体から相当危惧を感じておる一人なんです。或いは現在の新学制全体に相当ひびを入れる結果を招来するのではないか、こういう危惧を持つておるわけでありますが、そういう点について文部大臣は運用よろしきを得れば大して心配がない、こういうお話のようなんですが、従つてこの問題については、文部大臣に対する質問は私はこの程度で終つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/78
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079・成瀬幡治
○成瀬幡治君 第一点としまして今地方財政が非常に逼迫しておるときに、或る程度の予算を出さなければならぬ、そこで産業界の協力を求めるということがこの中に一部入るわけです。この協力の求め方なんですけれども、例えば学校に対して一つの機械器具を購入する金を寄附してもらうというような、そういう協力のしてもらい方もあると思うのです。ところが実習を、子供が根本的に言うと高等学校を出た、それが一つの技術屋ではないのだ、或る工場に雇われて来ると、その工場で例えば一年なら一年、或いは平年なら半年養成されて、その会社で実際一人前というか、大体一人前のような技術屋になれるような子供を学校だけで養成するのが。工場へすぐ行つたならもう二月もたてばその工場で間に合うような生徒をここで養成されようとしておるのか。その考え方がどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/79
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080・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) それは私がお答えしたほうがいいんですか。それでは私の考えで申せば、私は実は今成瀬さんが先ほど言われたような、工場で本当の技術を授けてくれる、学校では基本的な知識を養う、併し今のように皆が何か予備校にでもおるような気持でなくして、本当に働くということに意味を認めて、正しく働いて正しく生きる人間というような精神をつぎ込んだそういう人間を養つて、そうして社会に出して、工場なら工場、銀行なら銀行、そこで以て実際にやらしてくれると、これは私の理想なんです。私は今現在皆さんが急にお考えになつておることは、そんなまだるつこいことでは駄目で、やはり学校におるときにもつと実際の知識を與えて行こう、こういう考えです。併し日本の現在置かれておる立場からすると、そういう考えは私は必ずしも無理とは言えないけれども、私はこれは本来の考えではございません、そこに私は非常に危険性があるということを考えておる。下手にやりますと、新学制という意味を没却して、以前の職業学校と同じにしてしまうという虞れがあるので、そこに私運営において非常に注意を要すると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/80
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081・成瀬幡治
○成瀬幡治君 産業界の協力を求めるというのですが、これは長野さんにお尋ねしたいと思いますが、例えば大きな都会の学校に一つの、いろいろの旋盤なら旋盤、そういう一つの考え方もあると思います。工場なり産業界の協力を得まして、そういう大きな一つの実習場みたいなものを産業界の協力によつてそこにフライス盤もあれば何でもあるというようなものを作つて、そこに生徒を出して実習をやつて行くという、そういうやり方もあると思うのです。もつと細分化して行きますと、工場に一つのそういう大きな機械を備え付けて、そこに生徒を出す、それに対して国家から或る程度補助して、工場の機械までも、そういうものを作るというならば国家が或る程度見てやる、その代り学校に対してそういう施設を提供してやらしてくれる、そこまで協力の限界を……軍に学校に対して機械を購入する、或る程度寄附してくれる、そういう協力の仕方をどんなふうにお考えになつているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/81
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082・長野長廣
○衆議院議員(長野長廣君) それは学校本来の教育目的を十分達し得る弊害の生じない程度のものだと思います。併しこれは法律の運営に関する行政面を受持つところの文部大臣の指導監督によつて、一つ欠陥に陥らず……、極めて微妙なことでございます。先ほど来御心配になつておるような極めて愼重な御態度を持つて行政上て頂きたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/82
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083・成瀬幡治
○成瀬幡治君 もう一つ文部大臣にお尋ねしたいと思います。教育委員会と地方審議会というような関係なんですが、法律で地方教育委員会の下に地方審議会というようなものを設けようというようなことは、私は今度の法律が初めてだと思うのです。教育委員会の一つの自主的な教育委員会法ができたということにつきまして、こういうものを法律で中央で作つて、そうして各地方の教育委員会では必ずこういうものを持たなければならん、こういうふうに考えて行くことが、私は少し教育委員会乃至教育基本法等の立法精神とずれて来やしないか、こういうことを考えるのです。その点について文部大臣はどういうふうに考えでおられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/83
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084・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) 成瀬さんの前の問からお答えします。その前に学校に皆寄附してしまつてやるとか、或いは工場なら工場へやつて、学校がそこへ行つてやるということについては、私はどこかに共通の所があつて、そこへ皆行く、そういう方式を非常に考えるべきだと思います。一つ一つの学校に作りますと、第一ろくな設備はできないということが一つ、第二にそれを作つたつて、それを利用する期間というものは実に短いものではないか、非常に利用の期間が短いと思うのです。学校に作ると……そういう不十分な、利用期間の少いものを作るというよりも、私はどつかに或る工場なら工場と約束をして、或る工場に元戦時中に出動させたような仕方で出動させるとか、或いは銀行等に関係をつけてやる、そういう工夫をすべきものだと思つております。
又法律のことについては、今までにそういうことはないけれども、それが基本の線を乱すということはないのではないか。審議会を作つたり、私はその点では別段差支えないのではないかという考えがありますが……、辻田局長に補足させるということをお許し願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/84
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085・辻田力
○政府委員(辻田力君) 教育委員会としては、全責任を持つて地方教育行政を担当して来たわけでございますが、地方にできます産業教育審議会は、單なる諮問機関でございましてその専門家が集まりまして、或いは又学識経験者が集まつて、専門的な立場から意見を言うということでございますので、その間に齟齬することはないと思います。結局最後の責任は教育委員会自身にあるわけでございます。又決定権も教育委員会自身にあるわけでございますから、その間に矛盾、撞着はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/85
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086・成瀬幡治
○成瀬幡治君 審議会のほうで教育委員会自体の諮問機関だといえばそれまでだと思いますけれども、審議会を作る、作らないということで、例えばまあここに産業教育なるものが、これを家庭科の方に細分化して一つの審議会を作らなければならん、いろいろなものを作れ作れと、こういつて上からやれば、これは一つならまあそうでもないと思うんですが、たくさん出て来たらとんでもないことになつてしまいはしないか、こういうふうに私は非常に心配しております。ですからこういうことは私は余り好ましい形じやない、こういうふうに考えるわけです。特にその間に中央にあつて中央の審議会によつて或る程度のものができ、そうして文部大臣からどういうルートでやれば地方に流れて行くか、或いは審議会に流れて行くかということになると、やはり何か昔のような一つの統制とか、何かこういう参謀本部化というようなことがなきにしもあらずというふうに私は非常に危惧しておるから、こういう点を質すわけなんですがね。ですから何とかここで、こう一本化して誠に形の上でいうならば私は非常に立派なものだと思います。ところがこれは使いようによつては非常に危険な方向に行くから、こういうようなものに対して私はむしろ歓迎しない一つの意見を持つておるわけなんであります、個人的なですね。ですから質問しておるわけです。これは質問にもならないが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/86
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087・矢嶋三義
○矢嶋三義君 大臣にお伺いいたします。新教育は職業教育を重視しておるとお考えになりますか、如何でございますか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/87
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088・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) 新教育は職業教育を重視しておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/88
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089・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私もその通りだと思います。その立場から現在の我が国の職業教育が振わない、これは何らか解決しなければならんという立場においては私は大臣と同じ意見を持つておりますが、更にお尋ねいたしますが、第一章の所の第一条、「この法律は、」云々と書いてありますが、こういう第一条を謳わなければならないとお考えになりますか、どうですか。と申しますのは、質問の意味がわからないかも知れませんから申上げますが、教育基本法から出たところの学校教育法、更に社会教育法、殊に学校教育法の中には小学校なり中学校、高等学校、それが私は極めてこの産業教育というものを重視した明文がはつきり出ておると思います。ここに出ておる文章というものは、全部その中に現われておると思いますが、殊更に今まで教育法を律するところの、出された教育基本法なり、学校教育法なり、社会教育法というものと別途にこういう明文を書かなければならないか。先ほど盛んに運用よろしきを得ればということがございましたが、私は、今の法律の運用よろしきを得れば立派にやつて行けるものではないか。更にもう少し極端に申上げますならば、さつきも教育財政の問題が出ましたが、予算を国が出さないためにこういう事態になつたので、教育財政を確立し、予算を出していたならば、何もこんな麗々しい文章を掲げて、こういう法律を作らなくても、現在の法規の運用よろしきを得れば十分やれるのではないか、こういうふうに考えるのですが、それに対する大臣の御所見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/89
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090・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) 私は従来の法文にもこの精神はみんなあると思つております。そうして又従来の体系においてもこれをやることができない、とは思つていないんです。この中においてもやつてやれないことはないけれども、併しいろいろの新制度によつてやることが好ましいために、こちらのほうが全体としてズレを来たして十分でなかつたということは、これは事実として認めざるを得ないのであります。今その欠陥を補うために、急に社会の非常な要求に応じてこういう制度が作られたのだということになると、これは一つのまとまつた産業教育法ということになれば、そこに大目的というようなことを掲げたからといつて何も差支えないと自分は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/90
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091・矢嶋三義
○矢嶋三義君 発議者並びに大臣、それから私も職業教育を振興いたしたいという気持では同じなんでございます。ただこういう法律を出すよりほかに方法がないか。先ほどからもいろいろ議論されておりましたが、教育体系を或いは乱すんではないかというような懸念もありますし、殊に運用を誤れば、單なるその技術工を養成する、昔のような中学校と職業学校というのと全く並立して考えたような考え方を私は世人に與えるのではないか。具体的に今度の法案の成立に当つて三十円からの運動資金を取つた。その運動資金を取るに当つて或る地区においてはPTAから出させないで実業界から出したということも聞いておる。或る地区では父兄が出しているのに、父兄は出さんでいい、私のほうでは実業界から出すというふうに実業界から出したのでありまして、そこには大臣がさつきから盛んに心配されておるところの昔の教育に逆転する。即ち職業学校というのは、ともかく技術を付ければいい。曾つて田中大臣が言われたように役に立つ教育というような感覚、この教育感覚は私は教育の感覚から相当ずれておると思うのでございますが、そういう観念が多分に……もう少し申上げますが、結局この職業教育の振わないというのは、施設が不十分であつた。教育のこともありましようが、それが一番大きな問題だ。そうなりますと、今度この法律を作つて、そうして職業教育に必要なる予算を紐をつけて国から流すことになります。こうなりますれば、何も今までに廃止したところの実業教育費国庫補助法、こういうものを私は廃止する必要はないと思う。この法律では職業教育に必要な金は国から紐をつけて流すことになるわけですから、実業教育費国庫補助法というものは何も廃止する理由はあるまいと思う。これを修正し、この補助法を修正し、そして国が理解あるところの金を、施設充実の費用を流せば高等学校設置基準という、ああいう立派な設置基準が出してあるから、それで運用よろしきを得れば何も産業教育法というような若干疑義があるこういう法律を出す必要はないのではないかと私には考えられる。
更にもう少し申上げて大臣の意見を承わりたいのですが、この職業教育にしても、これは地方産業との関連性なんかから考えて決して無視していない。今の地方産業と全く無関係に教育を進めて来た、それが新教育においては大いに反省されておる。新教育におきましても、職業教育もこれは地方産業の建設なり、現在とマッチしたところの教育をやれという立派な方針が出されておる。そうなりますれば、現在地方教育委員会で職業教育振興協議会というものが持たれ、地方の産業にマッチしたところの教育行政をやつております。更に国としての一つの調整が必要となれば、今現に教育刷新協議会というものがあつて、これは国の全般の重要な教育政策について協議し、献言もするし、大臣から諮問するようになつておりますが、教育刷新協議会の中に、一分科としての職業教育に関する機関を設ければ、これを活かして使えば、何も私は産業教育法という麗々しい法律を作つてやらないでも、今の運用よろしきを得れば立派にできるものだと考えるのですが、その点についての大臣の見解を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/91
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092・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) 矢嶋さんの言われることも一つの見解として、私はそういう見解も確かに成り立つと思うのです。併しとにかく私たちの目指すところは、職業教育とか、産業教育とか、これを振興して今の時代の要求に応ずるということが必要なんです。その時代に応ずるのにはこれが成り立ちとか、この法案などにも幾多の欠陥があるかも知れませんけれども、この方法で以て職業教育を振興するということはできる。又これに対して、これを作つたら非常な弊害が出るかといつても、別にそういうこともない、運用よろしきを得れば。ですからそういう意味で私は時代の要求に応じた法案としてこれを盛り立てて行くのが文部当局としての私の責務だと、こういう私の考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/92
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093・矢嶋三義
○矢嶋三義君 確かにこの法律の運用よろしきを得れば、時代の要求に副うわけですが、而も時代の要求に応ずるというような教育行政をやるということにおいてはいささかも意見を異にするものではございません。併し先ほどからいろいろ質疑が行われましてように、この産業教育法というのによつて運営を誤れば、例えば財政の一点をとりましても、さつき申しましたように、地方財政を圧迫するような場合も起りますし、更にこの地方にできる審議会と教育委員会との関係、そういう点からも、更には発議者も決して六三教育とか、他の面には支障は来たさないというようなことを言われておりますけれども、やはり私は戦後我々が辿つて来たところの新教育制度、この体系というものの円満な発育を図る、円満な発展を図るという立場からは、私は同じ新教育の振興を図るに当つても、他の方法を選ぶほうがよろしいのじやないか。こういう立場から私は質問を申上げておるわけです。例えば具体的に申上げますが、この提案理由、これは長野議員と大臣に伺いたいと思うのですが、提案理由の中に、中学校卒業後二カ年は労働基準法に制約されて正規の就職も不可能なのであります云々と、こういうことがございますけれども、今の教育体系の中にちやんと高等学校の別科というものが立派にあつて、これは速成的に技能を授けるということになつております。而も修得期間は一年以上となつておるのでございますから、本当に私は政府が教育の重大性を把握して、殊に職業教育は振わないからその方面に予算を與える、予算的措置をすると、この誠意と熱意さえあれば、将来運営について懸念のあるようなこういう法案を作らなくてもできるんじやないか、この意見を述べて所見を承わつておるわけでございます。大臣の答弁並びに発議者に対しては、特に高等学校の別科というものをどういうふうにお考えになつておるか、その点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/93
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094・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) 私の考えは自分ではほぼ述べ盡したように思つておるのですが、矢嶋さんのようなお考えも一つの考えであつて、それではいけないと私は言うのじやないのですけれども、政府が自分で何でも指図するというのじやなくして、民間から澎湃としてこういうような産業振興という考えが起つて来たならば、それを捉えて、その民意にうまく適合した仕方で以て産業教育を盛んにするというのも一つの行き方ではないか。たまたまこういう法案が提出されることになつたならば、これの十分運用を誤らんようにして、そうして産業教育の振興ということをすればそれでよいのではないかという、そういう私は考えなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/94
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095・長野長廣
○衆議院議員(長野長廣君) 別科をどういうふうに考えるかということでありますが、この別科も今日の実情からしますると、一面においては内容、設備という点が頗る貧弱であります。殊に別科に通う者は家庭の実業ということに従事をしつつある者でございますから、非常に学校の実習施設に期待するところが大きいのであります。ところが一例を工業学校にとりましても、極めて織物の盛んな地帯、日本でいえばまあ第一流の地帯、そこの工業学校を二、三調べて見ましたが、驚くべきことは、明治三十何年かの創立当時作つたところの機械、それがそのままなんです。で、私はそこで非常に驚きましたことは、やはり二、三、殊に東京都内におきまして殆んど全然設備がないあで、同業者から機械を最近貸してもらつて漸く極く一部のものを動かしておるという状態であります。極めて設備が足りないのであります。これは代表的な学校と思われるものがこれであります。いわんやその他の多くのものの中には、相当この別科に入つて来て修養したいと思つておるところの学徒をして、実に彼らを唖然たらしめ、失望せしめるものが大だと言つてもこれは決して過言ではございません。従つて先生がたについても、なお増員とか質の向上ということもこれは必要になつて来るわけでありまして、別科においてこそ特に私はそういう点にもの足らんごとがあるために不振に陥つている面もあるのではないかと存じておりますので、その意味から本法案の実施をいたしますれば、別科方面の入学率もよくなるだろう上、又非常にそれが教育的に相成つて来るのではないかと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/95
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096・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は大臣並びに長野議員に申上げたい点は、大臣が教育振興のために非常に努力されている点には常々敬意を表しているわけでございますが、私たちがこの委員会において一般各学校については勿論でございますが、殊に実業教育については教員の確保はできないとか、施設が不十分であるから国の教育予算を増すべきであるということを常々私たちは力説して来たものでございます。ところが政府当局は教育に理解を持つと申しながら、予算というものは極めて貧弱である。そうしてやつて来たところが、学校を出て来た卒業者を使つて見ます。ところが役に立たない。そして初めて悟つて、教育全般に亘つて非常に不十分な点があるが、その一部だけが、差当つて使つた職業教育の面にできもののように出て来た。それだけに気付いて、それを対症療法的でなく、その一現象面を取上げて、これが教育の体系全般に亘つて解決すべきものを、そこだけに非常に強く気を引かれて、そして運営を誤れば、昔のような普通科と職業科とは全く別個になる、かような、いわば便利な直ちに役に立つ技術工を養成しようというような環境の下にこういう立法がなされたのではないかという点に非常に遺憾の意を私は感じておるものでございます。発議者についてはいろいろ御意見を述べられておるようでございますが、私はそういう点を非常に心配をいたしておるものでございます。それで幸いに発議者は現在の與党、自由党所属のかたでございますが、私は一般論として申上げますが、職業教育の今日の貧弱さというものは、我が国の基礎科学、科学方面にある。科学の振興ということを言つているけれども、こういう現在の科学教育の実情あたりからも、果して我が国の科学教育振興というものが期待されるかどうか。大体病気で言えば肋膜みたいなものでありまして、これが表面に出て来ない。職業教育は幸いにこれはできもので化膿したので、それで使つて見てすぐわかつた。私はそういう実情だと、こういうように把握をいたしているわけです。従つて私はどうしても職業教育は振興させなくちやならないという立場から、やはりこの今まで辿つて来た教育体系の中で、現在出されているところの法律なり、そういうものの運営よろしきを得て、この教育の運用についても理解を持つて頂いて解決すれば解決できる問題であるということを私は痛切に感ずるわけでありますが、そういう立場から私ども若干意見を申上げ、なお質問申上げたのであります。これで打切つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/96
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097・岩間正男
○岩間正男君 運用よろしきを得ればというような前提を置いて文相からしばしば御答弁があつたのでありますが、運用の面もでありますが、この法案そのものの、やはり構成の仕方そのものを我々は十分検討しなくちやなりません。そしてそれと実際法案を施行するために必要な予算の、教育予算の観念、これが非常に重要だと思います。そこで先ほどから問題になつているのは、地方財政との問題でありますが、この点の説明が非常にやはり私は不十分じやないかと思うのです。これは衆議院の専門員のかたの御説明だつたと思いますが、これは例えば国庫の補助の仕方、これについて地方のほうで要求があつて、そのような要求がまとまつて、或る程度のそれの裏付けができれば、これに対して国家的な負担をする、こういうふうに考えるのでありますが、今のお話をそのまま聞きますというと、こういうことが出ていないのじやないか。つまり地方財政とこれを関連して考えますと、地方財政の豊かな所には比較的そういう態勢がとれる。ところが地方財政が貧弱な所では、十五億の負担といえば非常に大きいのであります。そういう所ではやりたくてもやれない。ところがやりたいができないような所にやらせるのがこれが教育だと私は考える。そうしますと、貧しい地方ではできないで、富める地方ではできる。こういう形で、そういうところに審議会があつて或る程度の統制をするのだと思いますけれども、もつと今の形を具体的に言いますと、都市のような、而も非常に近代的の産業の発展した所においてはこういう態勢をとることが非常に楽になる。従つてそういう方面に流れる危険が出て来る。どうしたつてそういうふうに今の説明ではなるようでありますが、そこに産業教育というものに対する原簿という事態が起る。教育の機会均等というような面から見ると、これはどういうふうにこれを解決するか。これが一点。
次には当然或る種の審議会からの一つの統制された意見が出て来ると思う。そうしますとそれに対して地方に対して答えなければならん。そこで当然地方財政の裏付けをしなければならん。苦しい財政でこれをしようとしてもそれができない。できないからどうするかというと、現在の六三制のように、当然これは父兄に求める。父兄に求めることができないから当然どうなる生というと、地方の大きな産業に求めるということになつておる。而もこの法案においてはこの点を謳つておる。衆議院の自由党のかたがそういうことを言つておる。すでにそういう産業、民間の会社のそういう経済方面の重要な協力なしにはこの産業教育は成功しない。これは単なる経済的協力ばかりではないが、経済的な面が非常に大きな問題だ。そうしますと誰が一体教育の実権を握つて来るかという問題が起つて来る。協力はする。協力はするといいましても商売人であります。産業人はそろばんをはじかない産業人というものはない。そういう形から考えまして、当然そこに対してそういう会社とか経営体からそういうようなものを仰いで来れば、当然そこの言うことを聞かなければならない。こういう形で、いわゆる先ほどから心配されました技術工というものを急速に間に合わせる。卒業した時に重点的にその会社に入れるというような形でそことの関係が密接になつて来る。そういう形で果して本当に文相が心配されるような教育の機会均等の問題と、而も基礎教育と技術教育とを如何にしてマッチさせるかという問題が、私は恐らく現状においては崩壊されて行く、こういうふうに考えるのであります。こういう点からこれをやるとすれば当然全額国庫負担でなければ、而もやるとすれば三十億なんという予算では絶対できない。而もこれは切離してもつと統一された総合的な体系の中において国家予算を大幅にとつて解決をするより根本的な解決はないと思うのでありますが、こういう点に対してこれは長野委員長はどういう見解を持つていられるか、明らかに承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/97
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098・長野長廣
○衆議院議員(長野長廣君) 補助率の問題でありますが、只今の二分の一くらいの補助では財政貧弱な地方自治団体のみでは到底学校は作り得ないということになると、結局そういう村においては事実上それをなし得ないということになるのじやないかという御心配でありますが、この点につきましては、すでに地方審議会もありまして、それぞれその村なり或いはその地方なりの実情に立脚して審議をせられて行くわけでありまして、そうして仮に比較的貧弱な町村でありましても、補助率は必ずしも二分の一とはきまつていないのでありまして、基本的な標準予算としてはそうなつておりますけれども、実際運用面においては、即ち文部大臣のおつしやられます行政上各方面に斟酌を加えなければならんという点は、恐らく私はそういう面にも御考慮はなし得られるものと思うのであります。いろいろ関係各方面のお知恵を拝借したときにおきましても、只今岩間委員のおつしやられたような心配が非常にあります。ありましたが、この法規の中に二分の一などというはつきりとした数字を何も書き加えないで、そこら辺に緩急自在の按配を付けるようにしたらどうかという智惠を付けてくれた人もあります。
結局法文の中には数字は省いております。かような点は深くその点に考慮を拂つた次第であります。それから次にそういう次第であるから苦しい財政の中からやるということになると、父兄に寄附を求めるというようなことが起りはせんか。又そういうときには自然に父兄も堪えられないから地方産業に助力を求めて来る虞はありはせんか、こういうことでございまするが、ここが即ち先ほど文部大臣のおつしやられた点もあると思います。非常に運用よろしきを得なければならない。特にこの運用の点について、文部大臣としては、例えば費用を附興する、公共施設のごときものは、或いは農村において養鶏施設というものは数校が共同の施設を設けて、そうしてここで比較的経費を節約して行くということにしたらどうか。成るほどそういうことも一つの例と思うのであります。教員を多く雇い得ないものは、比較的協力者の中で規模の大きい町村はすでに財政も豊かでありますから、そこら辺に割合多くの経費の負担をさせることもできるでありましよう。いわんや共同施設をするということにおいて、絶対的に経費を節約できるものであります。そこが私どもの、地方審議会というものを特に設けまして、誤りなきを期せしめるように努力をしたゆえんでありまして、心配する点は岩間さんと同様であります。と同時に、その点について更にこれ以上よりよい問題があれば又皆さんから御指示を頂きまして、そういう欠陥に陥らないように努力をいたしたいと思います。
それから次に、若し地方産業人その他の有力者がこれに援助をするということになると、実権がおのずからその方面にまで流れて行くのじやないかという御心配でありますが、これも先ほど来文部大臣が運用よろしきを得ればと言うて非常に御心配なされておる点でありまして、私どももこういうつまり産業団体、或いは経済力を握つておる者が学校のまあ或る意味においての生命を握つておるがごとき感を児童、生徒、青年に與えるということは由々しいことでありまして、さようなことは絶対あらしめてはならん。我々はこの法律を作るときに、この法律の運用においては議会本然の力において当然そういうことをさせないように努力したい。これは岩間さんも国会議員でありますから、御協力頂きまして、そういうことにならないようにいたしたいと存ずる次第であります。打算的な考えから産業面というようなことに少し片寄つた気持を持つのじやないかというそういう意味でございましようか、先ほどの点は……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/98
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099・岩間正男
○岩間正男君 はあ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/99
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100・長野長廣
○衆議院議員(長野長廣君) つまり打算的な考えがおのずから起つて来て、産業面に一種の力が……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/100
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101・岩間正男
○岩間正男君 協力すると言つてもやはり功利的なものがうしろから動いておるのじやないか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/101
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102・長野長廣
○衆議院議員(長野長廣君) これは前に申上げた通りでありますが、文部大臣の非常に広範な意味において御心配されておる、これは特にこういう点において平素御高見を承わつておる文部大臣とされては特に御心配される点と存じます。どうぞその点は十分に御了承頂いて、なおこの運用については、一つ衆議院、参議院ともに今後十分に監督をいたしまして誤りなきを期するようにいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/102
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103・岩間正男
○岩間正男君 それはまあ我々は努力を大いにしたいと思うのでありますが、そういう問題ではなく、例えば六三制の現状をとりましても、六三制で間に合わなくなつて、寄附が……大体寄附は教育予算の三分の一になつておる。そうすると田舎で金の多いものが動き出す。そうすると基本的な教育の中で、実際PTAの中では誰が実権を握つて来たか。こういうことについて具体的なものを見て来ますと、今後商業教育というものはもつと実利的なものにマッチして来るものと思われます。そうすればこれに協力せざるを得ない態勢に財政的になつて来る。だから我々は協力するとかしないとかいう問題ではなくて、当然そこに起る危険というものが現在の六三制よりも遥かに大きい。こういう点はやはり組織の面から考えなければ、我々がここでどんなに努力すると言つてもとても力が及ばないことだと思うのであります。こういう点を十分に……これは一体どうも今の御説明では私は納得できないのであります。それから又非常に産業教育に対する澎湃とした意見が起つておる。要求が起つておる。これはまあ私たちは認めます。併し先ほど矢嶋君その他からのお話がありましたように、この裏には実は今のお話の中で私は聞き捨てにならない問題が一つある。というのは、子供たちから寄附金を集めたこれによつて厖大な資金を作られて、この法案の新設が急がれておる。そうしていろいろな集会や運動がなされておる。この事実は文部省としては如何ようにこれは考えられておられるか。又こういう態勢についてはどういうふうな見解を持つておられるのですか。これは文相の御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/103
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104・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) 私はこの事実を十分つまびらかにしておりませんから政府委員からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/104
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105・辻田力
○政府委員(辻田力君) お答え申上げます。只今の御心配のようなことのないように、行政上極力警戒しなければならんと思いますが、先ほどのお話もございましたように……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/105
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106・岩間正男
○岩間正男君 子供の寄附金の問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/106
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107・辻田力
○政府委員(辻田力君) どうも失礼いたしました。寄附の問題につきましては、これは文部省は全然初めから関知しておりませんでした。その後国会で御質問がございましたので、関係者につきまして調査いたしたのでございますが、その調査の結果は、只今数字を持つて来ておりませんが、初め一般に噂されておつたような厖大な額じやなくて、その指数につきましては明細なものがありまして、不正なことが全然ないように見受けられておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/107
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108・岩間正男
○岩間正男君 そういう事実は全然ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/108
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109・辻田力
○政府委員(辻田力君) 今不正なことは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/109
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110・岩間正男
○岩間正男君 私はそれが不正だとかどうとか言うことではなくて、現在政治資金規正法というものがあつて、そういうものを成立させるときに、政治結社はそういうような資金を集めてなすことができると思います。然るに政治結社でないものがそういうことをやるということは、これは法務総裁の出席を求めて私は聞いて見たいと思うのでありますけれども、こういう形で現実的にそういう要求が六三制の欠陥からそういう事態が起つたことについては、我々は一応考えられます。併しなから同時にこれは今後の教育行政の問題として看過できない問題であると考えられる。実は先ほども申上げましたように、全額国庫負担の要求というものが実に澎湃として起つているのです。併しこれはそういうような方法をとつており、若しそういう方法がとられて、全国民から三十円という金を集めるということで、厖大な資金で、何億の資金を以てすればいろいろな産業運動の二十倍、三十倍も展開できる。そうした場合に輿論としてはそういうほうが大きいことになる。こういうことがいいのかどうかということについても、教育の観点から見て、文相としては一体どういうふうに考えられますか。これは法務総裁には法的なことを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/110
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111・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) 私は非常に好ましくないことだと思つております。けれども今我々が問題とすることは、世間が実際職業教育の振興ということを要求している、これは岩間さんもお認めになると思います。そういう要求に応ずるということは、我々その局におるものの任務ではないが。そこにたまたまこういう案が出て来たから、それを育成して、そうしてその要求に応ずるようにしよう、私は運営よろしきを得ればと言いましたが、それは少し言い方が不十分であるかも知れません、必ず運営よろしきを得させよう、そういう考えであります。間違いがないようにしよう、そうすればこの法案でよいのではないか、今の時代の要求に応ずる一つの策ではないか、けれども私はこれが唯一のやり方ではないと思います。諸君の抱いている考えは、私が本来抱いていた考えで、私はそういう考えを二途に排斥するのではないけれども、ここにこういう問題が現実に出て来たという現実に処するには、これを育てるのがいいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/111
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112・波多野鼎
○波多野鼎君 私今初耳なので事情を聞きたいのですが、産業教育法案の提案に至る経過において、学童から寄附金を集めたというようなことは、これは非常に重大な問題だと思うのです。で文部省においてもすでに調査が済んでいるのではないかと思いますが、どういう趣旨のものを学校に配つて集めたのか、どういうふうに成る県からどれくらいの額が集まつたのか、そういう点一つはつきりさして頂きないと思います。これは今岩間君が言つたように教育行政に関する非常に重要な問題だと私は思う。私は大体産業教育云々という問題につきましたは非常に賛成なんです。その趣旨は非常にいいと思うのです。ただ先ほど矢嶋君からも言われたように、今の六三制の体系内でもできるという面もあるということと関連いたしまして考うべき点があると思いますが、それは別といたしまして、そういうようなものが提案されるに至つた経過或いは国民運動と申しますか、そういつたような運動の中に学童までも捲込んでやつたということは、これは重大な問題だと思う。その点について文部省の調査をはつきり示して娘きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/112
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113・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この問題につきましては、休会に入る前にそういう噂が国会円に拡がつて非常にまずいと思いまして、私は第一回の委員会のときに大野又部大臣にお伺いしたところが、そういうことは承知していない、あつたとすれば遺憾である、文部省として調査して報告をして下さるように私から要求してそれを了承されたわけですが、それが今まで報告されていないものですから又蒸返すわけですが、調査して下さつたのか。又私の要求したように報告して下さるのですか。報告して下さる意思があるのかどうかはつきりお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/113
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114・辻田力
○政府委員(辻田力君) 只今のお話につきましては調査いたしました。で衆議院の場合におきましては、文部委員会において正式に説明いたしました。この参議院のほうにおきましても御説明したいと思いましたが、御承知の通り再開間もなくでございましたので、まだ御説明の機会がなかつたのでありますが、父適当の機会に二言御説明申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/114
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115・成瀬幡治
○成瀬幡治君 各県別に資料を面して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/115
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116・辻田力
○政府委員(辻田力君) それは調べておる範囲内において御説明申上げます。それについてちよつと御説明申上げますが、兒童一人当り三十円ということにつきましては、これは私のほうで調べました結果は、兒童一人当りから一人々々三十円取るというふうな形ではなくて、この産業教育法の推進委員会と申しますか、委員会のほうでそれぞれ運動費傘と申しますか、その資金をお集めにたるときに、その基準として兒童一人当り三十円程度というふうに、一つの集める基準をそういうようにおきめになつたように聞いております。従つて兒童一人々々から三十円取上げたというようなことではないと思いますが、詳しくは後刻御説明申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/116
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117・波多野鼎
○波多野鼎君 実際今話を聞いて驚くのですが、この法案の審議を進める前に、この法案が国会に提案されるに至つた経過を監督官庁としての文部大臣は責任を以てもつとはつきりさして頂きたい。それから御審議を進めたほうがいいと思います。私は提案しますが、今日はこの程度に打切つて、この資料が出て、それからにしたほうがいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/117
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118・岩間正男
○岩間正男君 只今の波多野委員の提案に私は賛成します。やはりこの問題は実は最初お聞きすればよかつたのですが、是非それを明らかにして頂きたい。資料を出して頂きたい。それから法務総裁の出席をこの次に要求いたします。こういう問題から入らないと、文相は運用よろしきを得ると言われておるのですが、この法案そのものがスタートから運用よろしきを得ない、こういう事態が起きておるのでありまして、我々はこういう点について、無論これは現実に動いておる要請、それから日本の現状、こういうものから日本の教育体系の中に生産教育といいますか、こういう技術教育というものが必要だということは人一倍に痛感しているもので、こういうものに対して自分としては妨げようとするものではないのでありますが、本当に文相の言われるような正常な、本当の学的の上からも、又体系の上からもしつかりしたものをこういうところに打立てて頂きたいという、こういう点から今のことをお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/118
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119・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 他に御意見ございませんか。それでは大体総括をこの程度にして、次回にその資料の提出を求め、更に審議を進めることにいたします
それでは本日はこれで閉会いたします。
午後四時八分散会
出席者は左の通り。
委員長 堀越 儀郎君
理事
成瀬 幡治君
委員
川村 松助君
木村 守江君
工藤 鐵男君
平岡 市三君
荒木正三郎君
高田なほ子君
波多野 鼎君
梅原 眞隆君
高橋 道男君
矢嶋 三義君
岩間 正男君
衆議院議員
文部委員長 長野 長廣君
国務大臣
文 部 大 臣 天野 貞祐君
政府委員
大蔵省主計局長 河野 一之君
文部政務次官 水谷 昇君
文部大臣官房会
計課長事務代理 相良 惟一君
文部省初等中等
教育局長 辻田 力君
事務局側
常任委員会專門
員 竹内 敏夫君
衆議院事務局側
常任委員会專門
員 石井つとむ君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03319510511/119
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