1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月二十日(火曜日)
午前十一時十九分開会
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本日の会議に付した事件
○少年院法の一部を改正する法律案
(宮城タマヨ君外三名発議)
○不動産登記法の一部を改正する法律
案(内閣提出)
○犯罪者予防更生法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
○派遣議員の報告
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001・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 只今より委員会を開きます。
少年院法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑のおありのかたは御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/1
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002・須藤五郎
○須藤五郎君 私はこの前の委員会におきましてこの少年院の改正で、保護鑑別所の設備を一部刑務所の設備を利用することをもう二年間延ばして欲しいというその件に関しまして、この前御質問申上げたのですが、それは曾つての第五国会においてこの問題があつたときに、梨木委員がこういう質問をしておるわけなんです。少年院法の一部改正のところで昭和二十六年の三月三十一日までということになつておるのでありますが、これは恐らく予算関係などを睨み合わせての改正なのだろうと思いますが、やはりこういう拘置監に特別の場所を拵えて、そこへ少年を保護処遇するということは、成るべく短期間にして貰いたいと思うのでありますが、何故二十五年一ぱいにできなかつたのか、という質問に対しまして、佐藤行政長官はこう言つておるのであります。予算等の関係がありまして、到底今年中には整備する見込が立ちませんので、更に一年間延ばしまして、明年度の予算で完備いたしたい、かような考えの下に昭和二十六年三月三十一日まで暫定的な応急措置を講じようというのが、本改正案の理由でございます。こういうふうになつておるのであります。こういうことを前に私質問いたしましたところが、それはそういうことでなかつた。それは年齢引上の問題を一年延ばして貰いたいという話であつたのだという御答弁であつたと思うのですが、私は帰りまして速記録を調べましたら、ちやんとこういうことがあるわけなのです。そしてこれは二十五年にやるべきものを一年延ばして二十六年の三月三十一日まで延ばして貰つたらできるということをここでちやんと述べていらつしやいます。然るに又その上二年間延ばせという、そのお考えはどういうところから出て来ておるか、その根本的な考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/2
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003・古橋浦四郎
○政府委員(古橋浦四郎君) 速記によりまして調査いたしましてから、正確にお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/3
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004・須藤五郎
○須藤五郎君 その速記は法務委員会の二十四年の四月二十六日です。それじや、今調べて頂いておる間に次のことをちよつと……。
私たちは二十四年の四月二十六日のこの委員会の記録から照らしまして、今年度二年間延ばすという、この二年後に必ずするという熱意が果してあるのかないのかという点に非常に大きな疑いを持つことと、それから二十五年にやるべきものを二十六年一年延ばしながら、なおその処置がとられていないという点、それに対して非常な大きな不満を持つものなのでありますが、今度又二年延ばすということはどこから問題が起つたことか。即ち十八歳の年齢が二十歳まで延ばされたために、容れものがないからそういうふうに二年延ばすというのか。依然として十八歳までであればもう今日延ばす必要なしにちやんと立派に行い得るだけの施設ができておるのかどうか、その点一応お伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/4
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005・古橋浦四郎
○政府委員(古橋浦四郎君) 実は年齢引上にならなくとも少年鑑別所の分につきましては、今日の竣工状態ではどうしても延ばして頂かなければやつて行けない状況であります。なお少年院のほうにつきましては、十八歳以下でございましたならば、或る程度それは既存施設の準用というような方法をとりますれば、相当緩和されますのでその点は何とかなるのでございまするけれど、鑑別所に至りましては、今日なお未着手のところがございまするし、なお完成していないところも相当ございます。先般お手許に差上げました調書に載つておるような状態でございますから、どうしても延ばして頂かなければならんと思います。で十八歳以上になりましたために、少年院のほうにつきましては、これは非常に大きな施設を必要とすることになりまして、そこでどうしても更に二年延ばして頂きたいということに相成つたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/5
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006・須藤五郎
○須藤五郎君 そうすると法務府のかたにはうんと予算をとつて、そしてどんどん施設をするという御意思があるにもかかわらず、大蔵省のほうで予算をはたいておるからできないというのでしようか。あなたのほうにそれだけの熱意がないということになるのでしようか、どういう点なのでしようか、それがうまく行つていないという点は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/6
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007・古橋浦四郎
○政府委員(古橋浦四郎君) 二つに分けて申上げます。頂いておりまする予算がまだ十分に消化できないという点が多少残つておりまするのは、私どもの責任であります。それからなおそれらをすべて消化いたしましても足りないというのは、これは国家財政の立場から私どもの熱望も遂げられないという事情になつておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/7
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008・須藤五郎
○須藤五郎君 あなたのほうから大蔵省に予算を求めて、大蔵省がその予算を出さないというならば、私たちは大蔵省に対しまして大いに要求しなければならん。むしろあなたたちをお助けして大蔵省に対して強硬に予算を出すように要求しなければならない。大蔵省が若しもそういう予算がないというならば、私たちは大蔵省に対して、いろいろな例を挙げて申したいことがたくさんあるのですが、大蔵省が出した予算をあなたたちがうまく消化していないというならば、これはもうあなたたちの責任であり、そこを追及しなければならないのですが、今年の予算を見ましても、法務府の所管の予算で十四億円ばかり増額されておるわけですね。今年度は昨年度に比べて……。然るに少年保護鑑別所の施設整備費の面におきましては、どんどんやるべきはずのものが、前年度は一億四千万円余りになつておりますが、今年の予算を見ますと三千七百万円なのです。どうも私たちは腑に落ちないのです、こういうところを見ると……。今年の予算表の中にあるのです。四百一頁にあります。少年鑑別所施設整備費として三千七百万円です、今年は……。去年は一億四千万円。どうも私は皆さんの熱意が足りないように思われて仕方がないのですが、これはどういうわけなのですか。口でやらなくちやならん、やらなくちやならんと言つておつて、そうして予算面を見るとこういう逆のことになつておる。こういう精神で果して二年後にあなたたちの思うようなことがちやんとできるのかどうか。どうも二年延ばすということは、私は単なる方便、口実に過ぎなくて、全然やる意思がないのじやないかという疑いを私は持つのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/8
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009・古橋浦四郎
○政府委量(古橋浦四郎君) 少年保護鑑別所の施設の充実につきましては、実は大蔵省のほうでは、三千人の收容少年があるものとしての予算を今までに組まれたということになつておるのでございます。そうして、それによりまして私どものほうでは三千人の收容施設を建築することになりまして、或る程度それは実現して参つたのでございます。来年度の予算につきまして、大蔵省におかれましてのこの少年保護鑑別所の建築に対する建前は、この三千名の収容を見越して予算を立てておるのであるが、実際に現在入つておる少年の数がそれを遥かに下廻つておるというのが、この昭和二十五年度の実績であるので、将来三千名以上になつた場合には、少年保護鑑別所の施設は拡充する、こういうことを向うでは申されておるのでございます。それから少年院につきましては、七万二千五百名というものが大体の大蔵省で考えておられる少年の数ということになつておりまして、そしてそれにほぼ応じ得るだけの建築費その他を現在見て下さつておると言われるのであります。そして更にそれが殖えて来ることになつた場合には、それについてのいろいろな費用も見る、職員も見る。こういう工合に申されておるのでございます。そういたしましてこの少年院の收容の見込につきましては、大蔵省側と私どものほうとの間に相当な開きがございまして、私どもの予定では、来年末に相当多くなる予定でございますが、大著はいろいろな点からさような工合に見ておられるのでございます。なおこの鑑別所につきましては、鑑別所の施設そのものと、それからその設備の点という点が二つにして考えなければならんと思うのでございます。一応三千名を容れる目的で発足して、そういうような構想の下に建築を急いで、或る程度出来上つておるのでございますが、併しながらその三千名を容れるのにふさわしいいろいろな設備とか、職員の点になりますると、これは私ども法務府側の考え方と、大蔵省側の考え方と必ずしも合致いたしておりません。従いまして直ちに三千名を私どものほうでそれを受入れるということには非常な困難が出て参るのであります。御質問の要点に触れなかつたかもわかりませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/9
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010・須藤五郎
○須藤五郎君 少年院のほうの予算を見ますると、昨年の收容人員は五千五百五十人という予定で、それで二億一千四百五十九万八千円という予算が昨年立つておるわけでございますが、今年は一万人の予定で三億八千三百五十万一千円という予算が立つておる。まあ人数が約倍になつて一億七、八千万の増加、これは大体人数の殖えただけ予算も殖えておるように一応考えられるわけなんですが、この少年保護鑑別所のほうでございますね、昨二十五年度は三千人の收容予定で、そうして予算が一億一千八百四十九万七千円ということになつておつて、今年やはり三千人の予算を立てていらつしやるのですね、それで一億一千八百五十八万円という予算になつておる、約十万円だけ去年より増加ということになつております。年齢が十八歳から二十歳まで上つて、実際は検挙数は倍になつておるように私は方々廻りまして考えるのです。非常な増加を来たしておるのでございますが、去年も三千人、今年も三千人というような、こういう見積で果してあなたのほうでやつて行けるのかどうか、どういうところからこういう数字が出たのでございますか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/10
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011・古橋浦四郎
○政府委員(古橋浦四郎君) 少年保護鑑別所の昭和二十五年度におきまする收容状況は、最高が千百九十五人でございまして、それが、平均九百七十九人になつておるわけでございます。それはこの前に差上げました書類に載つておりまするが、そうして来年度それがどの程度参りますかということは、同じ表の六のところ以下に書いて差上げてありまするが、それがまあ三千四百九十五人というのが年齢引上の場合におきまする数字になつております。そうしまして僅かにまあ今日の收容力の不足するところは千八十六という工合に考えておるのでございます。従いましてすでに出来上つておりまする鑑別所をフルに使いますれば、或る程度これはできる。なおそれから建築途上におりまするものの工事を済ませれば、鑑別所に限りましては或る程度補充ができるという工合に申上げ得られるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/11
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012・須藤五郎
○須藤五郎君 昨年は三千人の予定で予算を組んで一億一千八百万円という予算が立つておる。ところが実数はそうじやなかつた。平均九百人くらいで済んだという御返事ですが、そうすると昨年の予算で相当額は残つておるわけなんですね。今年は三千人の予算で十一億八千万円という予算を立てられておるならば、その予算が去年は三千人の予算をとつて実際は九百人くらいだつたとすれば三分の一くらいで済んだということになつて、去年の予算からは非常な余剰が出ておるということになるのですが、そういうように考えていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/12
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013・古橋浦四郎
○政府委員(古橋浦四郎君) 食糧費その他、收容しない場合には、必要のない予算につきましては、御質問の通り不要になつておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/13
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014・須藤五郎
○須藤五郎君 それはどのくらい残つたんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/14
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015・古橋浦四郎
○政府委員(古橋浦四郎君) まだはつきり計算いたしませんとわかりませんのですが、それらの費用は年末までにいろいろ整理されて参るわけでございます。細かいことでございましたら追つて調査して……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/15
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016・須藤五郎
○須藤五郎君 私は予算のことは余りわからないのですが、その場合昨年度の予算が相当額残つた場合、それはどういうふうにお使いになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/16
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017・古橋浦四郎
○政府委員(古橋浦四郎君) 三千人の予算を頂きましても、それが年度末において必要のない予算というものが出ましたときには、それはその他の必要のある場合におきまして、どうしてもそれをその金から頂きたいというような場合に、大蔵省へ流用をお願いしまして他に振り向けて使うということもできまするので、本年度につきましては、或る程度さようなことをお願いしてやりましたのです。そしてそれらの費目の流用につきましては、私ども法務府で勝手にできませんので、大蔵省へお願いしてやつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/17
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018・須藤五郎
○須藤五郎君 私の質問で心配する点は、昨年度二十五年度の予算が三千人の予定で予算が組まれておる。そして今年も三千人の予算で組まれている。そして全額において去年より十万円しか増加してないという点なんです。今インフレーシヨンが相当起つているときに、十万円の増加で立てていることが、すでに私はおかしいような気がするのと、それから今伺いますと、去年三千人の予算で立てたけれども、実際は平均九百人余りだつたということを伺うわけなんです。それでは三分の一しか予算が要つていないことに大体なるんですが、それではその残つた予算をどういう方向に流用していらつしやるか、それを伺いたいと思うことなんです。本当に少年保護のためにこれが流用されているのか、どういう方向に流用されておるかという点を私は一つはつきりと伺つておきたいと思う。この二つなんです。今年果してこの予算でやつて行けるのか、去年予算が残つたというならば、その予算はどういう所へ流用しているのか。それは鑑別所を新築するとかそういう所へ流用されておるのか、とんでもない所へ流用されているんじやないかということ、この二つが私はこの予算をめぐつての質問の要点なんです。そこをはつきり伺えばよいわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/18
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019・古橋浦四郎
○政府委員(古橋浦四郎君) 三千人の予算につきましては、これは建築のほうの予算とは全然別でございまして、それは建築その他には使つておりませんです。三千人に対する問題としましては、その費用のうち收容費その他については或る程度余るものがあるのでございまして、そういうものにつきましては、勿論工事費のほうには渡しておりませんです。それらのうちから一部を割いて、先般は鑑別器具などに振り向けたものもございます。鑑別器具の購入費にたしか廻したようになつておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/19
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020・須藤五郎
○須藤五郎君 これは何でしよう、食糧費と被服費、炊事用燃料費、衣料費及び鑑別に必要な費用となつておりますね。ですからそういう鑑別の器具などに廻つておればいいようなものですが、私たちがちよつと歩いた点を見ましても、鑑別の器具など殆んどないですね。そこでどうもこれがそういうふうに廻つたように私には受取れないのです。若しも本当に廻つておるのならば、それを具体的に示されたいと思うわけなのです。どうも言葉の上でそうおつしやつても、私たち見た上では何ら器具がないという鑑別所がある。而も一億何千万円で、それが三分の一になるのですから、約何千万円かの金が余つて来るはずなんですが、それが果してそういう器具に廻つておるのでしようか、どうでしようか、ちよつと信用をしかねるのでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/20
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021・古橋浦四郎
○政府委員(古橋浦四郎君) 正確な数字は私ここで申上げられませんですけれども、鑑別器具を年度末に余つた金のうちから買うことにして頂きまして、そうして現に買つておるのでございまするから、これは間違いございませんです。今東京において買つて、向うへ送りたいというので、この間やりました発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/21
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022・須藤五郎
○須藤五郎君 それならば私は又質問から外れるような感じがしますが、そういう金が昨年度残つているならばこの前申しましたようなピアノの問題なんかも、その残つた費用の中からちやんと私は設備ができるものだと思うのです。僅か五百万円、六百万円の金なら、何千万円と金が残るのならば、そういうほうへすぐにでもやろうというお考えがあるならば、すぐできることだと思いますので、是非若しもそういう流用が許されるならばやつて頂きたい、そういうふうにお願いしたいと思うのです。それから数字を挙げての御答弁でないのでどうかと思いますけれども、いずれ若しそういうことがちやんとしましたら私どもに数字を挙げて一つ資料を頂きたいと思うのであります。それから先ほどのいわゆる二年延ばす問題に対しまして、もう御調査は済みましたでしようか。
なお大蔵省のかたが見えていられるでしようか。大蔵省のかたにちよつとお尋ねしたいのですが、私たちは少年法の精神を非常に進歩的な法案として飽までも尊重して行きたいと思つているのですが、これは今度の戦争で非常に被害を受けた子供たちのために、将来の立派な青年に仕立てるためにこの法案が考えられていると思うのでございますが、これに対して大蔵省は積極的ないわゆるお考えを持つていらつしやるのでしようか。国家の予算が許さんかもといつて、こういう少年保護の方面に出す予算が少し少な過ぎるのじやないでしようか。どういうお考えでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/22
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023・志賀清二
○説明員(志賀清二君) お答えいたしますが、少年保護の施設等につきまして、非常に重要であるということは我我十分認識しておるつもりでございまして、でき得るだけそういうふうな線にまあ十分になるように努力はいたしております。現在のところ激増の見通しというものにつきまして、いろいろ議論もございまして、我々意見と法務府の意見と多少食い違う点もございますが、実情には成るべく副うようにということを我々常に念願いたしております。そういう意味で予算の積算のときに当りましても、成るべく保護の目的を達成するように、又できるだけ予算も入れて頂きたいというふうには考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/23
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024・須藤五郎
○須藤五郎君 併し現実としまして、私たちがほうぼう調査して歩きますと、少年院にしましてもすべての建物が非常にお粗末なわけです。一応暇があつたら皆さんも見て来られたらよくわかると思うのですが、この間四国の東光少年院などは実にひどい、ああいう所へ少年を入れて置いて少年院の精神がどこにあるかと私は言いたいところなんです。若し大蔵省の皆さんが予算がないからといつて子供をああいう所へ入れて置くならば、これは実に非人道極まること寿、僕は大蔵省の役人の頭を疑いたくなるのですが、ただ数字を弾くだけでなく、やはり少年法の精神を汲んで、そうして予算を立てられる場合も、その少年法の精神に合うような予算を立てられなければ意味がないと思います。もう実にひどいのです。道路一つ隔てて警察予備隊があります。そうしてこちらは前の敵前上陸をやる部隊の倉庫であつた。その倉庫を改造して、それに縦格子を入れてやつておる。実に陰惨なぼろぼろの建物で、そこで少年たちを定員数の倍以上も入れて、そうしてこれが少年院でござるというような顔をしておる。こんな馬鹿げたことはないと思います。こんなみつともない少年院というものはあり得ないと思います。それを新築改造するのにどれだけ費用が要るか、大したことはない。又ほかから予算をたくさん組直してよそから持つて来てやる精神さえあれば、あのくらいのことはそれは十分できる程度の予算だと思います。それが一つもされないということは、やはり大蔵省の諸君に少年法に対する理解が僕は足りないんじやないかと思います。どうぞ一遍四国の少年院を見て下さい。あなたが見に行つたらもう明日からでも予算を組んで、一刻も早くあれを建替えなくちやならんと思われると思います。若しそう思われなかつたら人間じやない。是非大蔵省の人も一度あれを見て少年法をもつと理解してもらいたい。私はそう思うのであります。それから今も伺つておりますと去年余剰金が出たということですが、その余剰金はさつきの答弁のように、その範囲ならば何に使つてもいいわけですか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/24
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025・志賀清二
○説明員(志賀清二君) 今の流用の問題でございますが、それはできるだけ目的に副うような流用には使つて差支えないというふうに考えております。できるだけその施設の保護の目的を達成するような効果を挙げるような方向に使つて頂く、こういうふうに考えております。ただそういう物品を購入するに当りましても、現実にさほどまだ必要に立至つていない面のほうには、将来買うということは別といたしましても、差当りはそういうふうな点はできるだけ控えて、今真先に必要な面にできるだけ向けて行きたいというふうに我々考えております。その点につきましては、法務府ともよくその流用の申込れのありましたときに協議いたしまして、その趣旨には副うて行きたいと考えております発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/25
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026・須藤五郎
○須藤五郎君 この法務委員会におきまして、委員の皆さんの御意見を伺いますと、各少年院にピアノを一台ずつ置いてやろうという意見に対しまして皆さん御賛成していらつしやる。少年を感化するためにはやはり情操教育から入るのがいいという御意見、できることならばピアノ一台ずつ少年院に備えてやろうじやないか、そうして彼らたちの殺風景な生活に潤いを持たして、そこから善導するのがいいんじやないかという意見は皆さん御賛成のようなんです。今年度の余剰金の中からピアノを各少年院に一台ずつ買うことに対してあなたは御賛成ですか、どうですか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/26
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027・志賀清二
○説明員(志賀清二君) その点につきましては、現在どのくらい残るかという点につきましてもまだはつきりした見通しもありませんので後刻法務府とも十分相談をいたしまして、善処したいと考えております発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/27
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028・須藤五郎
○須藤五郎君 是非そういうことにして上げて頂きたいと思います。若しも大蔵省が、けちけち言つて、そういうことの重要なことの理解がなくて、どうしてもやらんというならば、又私たちは別の考えをしなくちやならんと思いますが、是非その必要性を理解されてそういうふうに一つ運んで頂きたいと思います。これは私はお願いして置く次第なんです。なおどうぞ少年保護の立場に立つて、少年保護を立派に行えるように早く建物を建てるように、そうして設備も完備するように、明るい少年の生活がどうぞできるように大蔵省のほうも予算を組むときに、どんどんと予算を出して立派に少年法の精神を活かすようにして頂きたい。これは法務委員の皆さんの御希望だろうと思いますので、私からお願いする次第です。
それでは先ほどの件について御答弁頂きましたら私はこれで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/28
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029・古橋浦四郎
○政府委員(古橋浦四郎君) まだ実は立法経過につきまして、細かく正確に調べてからお答えしたいと思つて、実は連絡中でございますから、ここでは簡単に私が只今までわかつた程度で申上げます。この法律ができました当時には、少年院の一つの区別した場所だけを観護所に使うことができるという條文が立法当時にありまして、それが昭和二十五年三月三十一日までは少年院の一部を使うということができたのであります。それで発足いたす。同時に予算を得て、新築して行くという形画でやつて参つたのでありまするが、その当時の情勢は非常に少年犯罪が多くなりまして、殊に悪質少年が、そういうような分画した少年院の特に分画した場所、例えば東京少年観護所、杉並でございましたが、あそこらでいろいろな事故を起しましたので、到底そういうような場所だけで収容して行くことができないということで、昭和二十四年の五月三十日になりましてから、これは法律の実施が二十四年一月一日でございますが、その年の五月三十日で更に代用観護所ということを考えまして、それによつて、私どもの記憶では二年間、一年余りでございますが、二年少し欠けまする間にすべての予算的措置も講じ、建築準備その他も完了するという見込で発足したわけでございます。たまたまその年には翌年度の予算というものはすでにわかつておりまするので、どうしても頼むところはその次の年ということになりまして、約二年に近い年を見た、それを延期することになりましたのは、私今回が初めてだと考えておるのでございますが、勿論その当時二年と申しましても一年しか実際は頼ることができなかつたのでありまして、そのあとの一年間で十分獲得するという希望で、政府委員から只今お読みになつた陳情をしたと思うのでございます。その後私どもは年齢引上に対処いたしますためにも特に努力して参つたのでございまするが、なお時日を約二カ年頂きたい、そうしたならば完全にできるという工合に考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/29
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030・須藤五郎
○須藤五郎君 二十五年にやるべきものを一年延ばしてくれたら完備できるというふうに佐藤さんがお答えになつておる。ここにちやんと抜書して参つたのでありますが、そうして果してその結果を見ると何らされてない、而も十八歳から二十歳まで年齢が延びたことによつて設備が走りなくなつたかというとそうでない。延びなくても結局足りない状態であつた、こうおつしやるわけですが、今度はそれが二年延びた、勿論延びて非常に数が多くなつた、それで又二年延ばしてくれというお説なんですが、私たちはこれをなぜ問題にするかというと、ただ政府は年限は延ばせ延ばせということだけで、実際にやる意思が本当にあるのかないのかという、そこなんです、そこを私たちは疑うわけなんです。これは大蔵省のほうにもよく聞いて置いて頂かなければならんことなんですが、果してその罪が大蔵省が金を出さぬからというそこにあるのか。当局者の誠意がないということになるのか。その弊害をこうむるのは、かわいそうな子供たちのために私たち法務委員として一日も早くちやんと完備したものを作つて頂きたい、作つてやつて欲しいという親心から申上げるわけなんですが、今度二年延ばせということに関しまして、それでは延ばしましよう、あなたのおつしやるように二年たつたら必ずやりますね、と言つて、無條件で二年間ということを鵜呑にするということは、こういういきさつから考えますとなかなかできないわけなんです。それで二年間ということは多いから、政府に警告を発する意味で一年間延ばせということにしようじやないかという、そういう意見も出て来る原因はここにあると私は考えるわけなんで、政府委員のはつきりした熱意ある答弁を伺わないと納得できないわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/30
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031・古橋浦四郎
○政府委員(古橋浦四郎君) 政府としまして、重ねてお願いするということは、実は誠に不手際の至りを暴露することと存じまして、誠に汗顔に存じております。ただ少年法というものが、昭和二十四年一月一日から実施せられましたけれども、非常に理想的な大きな体系を持つておるものでございまして、この理想的な法律を実施するためには、私どもも勿論又財政のほうのことを御担任される向きにおかれましても同様に、まあ非常に大きな努力が必要であつたのでございます。それが少年法の実施ということが、二十四年の一月一日にも延期実施がならんということで突然にこのときから実施になりましたので、その当時政府といたしまして十分の準備ができませんで飛込みました。併しその後の努力によりまして必ずその態勢を作り上げなければならんと考えまして、その努力を続けて参つたのでございます。ところが今回再びそのことができないので、二年間の延期をお願いするということにつきましては、御指摘になるまでもなく大いに責任は感じております。私どもとしましては、今後二年間延ばして頂きまするなれば、全責任を持つてこの完全実施に必要な措置を講ずる考えでございます。その点は御了承願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/31
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032・須藤五郎
○須藤五郎君 最後にもう一つ、大蔵省当局におきましても、今政府委員のおつしやるように二年後には必ず実施するという決意をお持ちでしようか、どうでしようか、予算面に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/32
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033・志賀清二
○説明員(志賀清二君) お答えいたします。現在のところ、まあ増加の数がどういうふうになり得るかということにつきまして多少問題はあると思いますが、今までの調子で参りましたなら可能であろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/33
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034・須藤五郎
○須藤五郎君 私これで質問を終りますが、可能であろうというごまかしの言葉でなしに、可能にするという決意を一つ持つて頂きたいということを希望して質問は終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/34
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035・志賀清二
○説明員(志賀清二君) 是非……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/35
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036・羽仁五郎
○羽仁五郎君 どうも只今の質疑応答を拝聴してさつぱり腑に落ちないのですが、法務府のほうからお出しになつた少年保護鑑別所二年間の拡充計画概要というのを見ると、二十六年度の工事費三千七百万円ですが、そうですね、これによつて二百三十九名増加、併しこれは移転等の関係で実際收容力は九十三名に過ぎない。二十六年度末収容力の不足というのは、前の收容力不足から九十三名といつて九百九十三人ということになるのですが、この人数について法務府と大蔵省との間に意見が一致されないというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/36
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037・古橋浦四郎
○政府委員(古橋浦四郎君) 大蔵省との意見の一致しないということを申上げましたのは、そうではございませんので、少年院へ送られて参りまする少年が将来どの数になるかというので、私どもが考えておりまする一万名を突破するという数字に対しまして、大蔵省では大体一万名まで、正確にいえば七千二百五十名、こういうような数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/37
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038・羽仁五郎
○羽仁五郎君 少年保護鑑別に付さなければならない、人員の推定というものは、法務府の所管なんですか、大蔵省の所管なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/38
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039・古橋浦四郎
○政府委員(古橋浦四郎君) 大蔵省の所管ではございません発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/39
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040・羽仁五郎
○羽仁五郎君 そのことについて大蔵省から意見が出るというのは、法務府がなきに等しいのじやないですか。さつきからの大蔵省の政府委員はそういうことを言つているが、人数について意見が相違する、大蔵省がいろいろそういう少年保護鑑別に付すべき人数を制限するという権限を国会から与えられたのですか。私には全然腑に落ちない。大蔵大臣にでも聞いて見たいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/40
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041・志賀清二
○説明員(志賀清二君) お答えいたします。私どもの予算を積算いたしますときに、大体どのくらいの施設があつたらいいかということにつきまして法務府の御意見を伺いまして、その出して来たデータ等を一緒に検討いたしまして、それでまあ大体この辺に落ちつくのじやないかという御意見を申上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/41
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042・羽仁五郎
○羽仁五郎君 それはおかしいな、大蔵省が余り税金を取つているから不良少年はこれぐらい出るだろうということを推定しているのかな。(笑声)それは今の大蔵省のほうの政府委員の答弁も、依然として僕を納得させることができない。少年保護鑑別に付すべき人数がどのくらい出るかということは、法務府が全責任を持つて推定して計算すべきものであつて、それを大蔵省が信用しないということになるならば、法務総裁はやめるなり何なりされなければ情勢はちよつとも進行しやしない。いつまでここでこんにやく問答を繰り返したつて、二年後にできるかどうかわかりやしない。そうでしよう。だから法務府というのは、もつと少年保護という重大事業について、自分のほうで推定した人数について識見を持たなければならん、責任を持たなければならない。又大蔵省もそれを尊重されるのが当然だ。人数の点について意見が一致しなかつた、それはさつきの速記録にちやんと書いてある。今はそれを少し言葉を和らげて、どの辺のところへ落ちつくかなんということを言つておられるけれども、やはり同じだろうと思います。これは私は大蔵省は最近そういうふうな風があるだろうと思うのです。所管にあらざる、責任にあらざる他のいろいろの問題に対して意見を言う、或いは意見を立てるということが多少あるのじやないか。その点私は大蔵省に聞きたいのだが、この少年保護鑑別に関する予算は、予算の順位からどういうふうになつていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/42
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043・志賀清二
○説明員(志賀清二君) 予算の順位と申しますと、収容関係の関係経費というものは重要事項の中に入つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/43
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044・羽仁五郎
○羽仁五郎君 重要事項というのじやどうも甚だあいまい芝が、科学的にもう少し、近代的にどういう順位に置くのか説明してもらいたいのです。それで大蔵大臣とか、或いは政党とか、そのほうの関係者予算編成の順位が決定されるものじやないと思います。近代行政のウエイトというものが必ずそこにはつきりあるわけだ。だから少年保護鑑別法に関する経費というものは第何位に当つておるかということを説明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/44
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045・志賀清二
○説明員(志賀清二君) お答えいたします。只今のところ、私ども第何位ということを正確には今のところきめておりませんのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/45
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046・羽仁五郎
○羽仁五郎君 それじやそれを至急きめて……、そういうことがきまつてないからいろいろなことをまわりから言われると、落つこつちまつたり、或いは妙なものが上のほうへ飛び出して見たりするのですよ。それで、最近の日本の政府は頻りとアメリカの制度を模倣しておられるようだから、アメリカの予算局の制度でも十分研究されて、そうしてこういう少年保護鑑別に要する経費というものは、大体第何位ぐらいに当つておるものであるかということを最近の機会にお答え願いたい。そうでないと、ない袖は振れないという、実に十九世紀的な答弁で平気で議会を通そうとされる考えがあるように思う。勿論ない袖を振れとは言いやしない。併しその順位に相当するだけの予算が組まれておるかということが問題だと思う。それで、それを一向あいまいにして要領を得ないから、今須藤委員が言われたように、これが三年後にできるかできないか。できると言つたつて、できないと言つたつて来年のことは鬼が笑うのだから、再来年のことは何が笑うかということになつてしまう。ところがそういうこれこれの順位に置いてある、そうして今まではこういうふうにして組んで来た、今度はこういうふうにして組んで行くということが、見通しか与えられてなければ、我々この問題についていいとも悪いとも言うことは結局できないのじやないか。そういう点、法務府のほうも随分どうも少年保護鑑別につてどれだけの識見を持つておられるのか、実際伺つていて甚だ心さむざむとするのですが、大蔵省のほうも全く同様で、本日の質疑応答はどうも私を納得させない。それで少年保護鑑別は言うまでもなく、将来仮にここに収容されないで、代用鑑別所に收容されると考えられる九百九十三人の人、これらの人々は正当なる保護鑑別所に收容されないで、代用鑑別所に收容される結果は、国家としてはそれらの人々が必ず改善されるのに不十分な点があろうということを考えなきやならない。そうすればそれらの人々が十分改善されないで社会に出た場合に、社会がこうむるかも知れない損害というものは非常に大きなものがあると思うのです。そういう点から将来社会がこうむるかも知れない損害というものを防止するために、少年保護鑑別というものは予算編成のウエイトの上からも相当に重いものだということは、これは言うまでもないことなんだ。ところがこういうことが平気で放置されている。そしてまあここへ出された法務府のほうの資料も、実際どうもよく……、こつちの頭が悪いのか、書き方が余りに頭がよ過ぎるのか、よくわからないのですがね。私この総数四十九カ所、二千四百九人という收容人員が出ているわけですがね。でそのうち未着手及び未完成、全部引つくるめましても四十九カ所のうち十カ所ですから、その大小があるにしても、平均するということになれば、三十カ所くらいはできているから、四分の三はできているというふうに、四分の一だけまだできないので、四分の三くらいはできているものと考えなきやならない。そうすれば二千四百人のうちの四分の三ができているものというふうに、この書類だけから我我判断すると、私は頭が悪いのかも知れないが、判断すれば、少くとも千五百人の收容能力はあるものと考えなければならない。それでお話を伺えば、先ほどのように九百何人しか收容されない。定員がやはり多いときでも千二百人足らず。そうなれば少年保護鑑別所に收容できていいはずである。どうしてそれを二カ年延ばそうとするか。どうですか。一つ社会が将来に被害を受けないために、少年保護鑑別の仕事というものは実に責任の大きな仕事である、そういう意味の識見と熱情とを持たれて、そうして大蔵省もそれを了承されて、僕は今までの説明伺つたところじや二年延期という必要は全然認めない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/46
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047・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) ほかに御発言ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/47
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048・羽仁五郎
○羽仁五郎君 答弁はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/48
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049・古橋浦四郎
○政府委員(古橋浦四郎君) 少年保護鑑別所四十九カ所のうち、まあ十カ所ばかり以外は殆んど出来上つておるのでございまするが、そのほかに家庭裁判所といたしましては、相当数の地方支部がございまして、そうしてそこに家庭裁判所ができますので、そこに附属の代用保護鑑別所というものが必要になつて参るのでございますで二年間のうちにそのうちの主なるものに建築をいたしますると同時に、余りに小さい家庭裁判所の支部というものに一一本当の少年保護鑑別所の支所を作るということは、到底できないことでございまするから、その間の整理もしなければならんと思つております。併し大体大きな所の家庭裁判所の支部にはこれを作らなければならないと思います。それらの建築の点も考えますれば、どうしてもここで本年度の予算ではそれができませんので、来年度の予算に大支部に対応する鑑別所をも作らねばならんと考えておるのでございます。そういうような点がございまするので、ちよつとこの表でははつきりおわかりにならない点があるかとも思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/49
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050・羽仁五郎
○羽仁五郎君 私が今述べた点に誤りがあるならば、法務府及び大蔵省から指摘して頂きたいのです。指摘されないとすれば、私の言つておることは誤りでないと、むしろ私の言つておることが誤りでないならば、この問題をできるだけ早く解決するためにお願いしたいことは、法務府のほうでは、つまりこの二年間にどういう計画でこれが実現できるというはつきりした責任のあるお答えが、御説明ができるか。それに対して大蔵省がこの予算の全体の順位の上から、そうして国家財政の全体の見地の上から、そうした予算が、予算的な措置というものが決して不可能でない。これはどんな突発的な事件が起るとか、順位の上の変更が起るかもわからないけれども、そういう点の見通しというものをできるだけ早くお答えを願いたいと思うのです。これで僕の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/50
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051・古橋浦四郎
○政府委員(古橋浦四郎君) 現在未著手の所と、それからまだ未完成の所が約十カ所ばかりございますが、これを完成するためにはどうしても更に一年の必要があると思うのであります。そのほか、現在できております少年鑑別所の機構が十八歳以上の者を入れるのにつきましては、施設の点、整備の点等で非常に不安なものがございますので、それらの補強等の必要もございまするし、なお大きな家庭裁判所の支部に対する手当もしなければなりませんので、それらを含めまして二年間の工事計画を組みまして、それを大蔵省の御協力によつて作り上げたい、かように思つております。ただ職員の面につきましては、比較的増員の点は、三千名の収容少年に対する職員をもらつておりますので、その点についての心配は少いのでございますが、施設の点におきましてどうしても代用鑑別所なしで一人立ちするのには二年間必要な現状でございます、延期の必要がございまするので、その間におきまする施設の補強、或いは新たな建築ということを責任を持つてやつて参りたいと思うのでございます。なお先ほどちよつと申し忘れましたが、家庭裁判所の支部等につきましては、全部これを建てるということは困難でございますから、こういうことの建築ということは考慮しないで、代用鑑別所の問題を考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/51
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052・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/52
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053・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 御異議がないと認めて、これより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
別に御発言もなければ討論は終局したものと見倣して直ちに採決に入ります。少年法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のおかたの御挙手を願います。
〔挙手者多数〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/53
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054・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 多数と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて、あらかじめ多数意見者の承認を得なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとしまして、御承認を願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/54
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055・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 御異議ないと認めます。それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とせられたかたは順次御署名を願います。
多数意見者署名
伊藤 修 宮城タマヨ
長谷山行毅 山田 佐一
一松定吉 鬼丸義齊
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/55
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056・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/56
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057・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 速記を始めて下さい。次に不動産登記法の一部を改正する法律案の質疑に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/57
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058・一松定吉
○一松定吉君 本法案につきましては先般来他の諸君並びに私から登記簿の信用保持のために、今度改正のこのようなやり方では登記簿の信用保持ということについて障害がある、故にそういうような障害を取除くという何か新たなる施設でも設けられるならば、いわゆる信用保持ということができる意味において我々はあえて反対はしないのでありますが、法務府におきましては、その後この疑問について何らかの工夫を凝らされたでありましようか。若しありますならばそれを当委員会において明らかにして我々の審議の参考に供せられたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/58
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059・村上朝一
○政府委員(村上朝一君) 登記簿をバインダー式に改めることによりまして、用紙が脱落したり或いは不正に拔取ることが容易にできるというような危険に対しましては、私どもいろいろ研究いたしたのであります。その対策といたしまして、先ずバインダーの装置に十分な工夫を加えまして、用紙の加除を厳重にすることにいたしたいと思うのであります。鍵を先ずかけることにしまして、登記官吏が鍵を保管いたしておりまして、登記官吏が鍵を保管しておる。登記官吏以外の者には、このバインダーを自由に開くことができないようにするということが一点であります。次に留め金をこれにはめ込みまして、用紙の大きさの長さの留め金をここにはめ込みまして、これで上から押さえまして、用紙がばらばらになることを防ぐことを考えたのであります。こうすることによりまして、使用中用紙が脱落する、或いは傷みやすいというような弊害も防ぐことができるかと思うのであります。次に各登記用紙ごとに、第一枚目の欄外に番号を印刷しておきまして、現在の用紙の数の所に登記官吏が捺印をする。用紙が最初二枚の場合には二の所へ捺印しておきます。その殖えるたびに三、四の所へ捺印する。これは減ることはありませんので、そこを見れば常に現在の用紙の数がわかるというふうにしたいのであります。なお一箇のバインダーの中に、どれだけの数の不動産の登記用紙が收められておるかということがはつきりいたしまするように、バインダーの冒頭に目録をつけまして、常にその用紙の数をそこに現わすようにいたしたい、かようなことを考えたのであります。これによりまして、使用中脱落し、或いは簡単に引抜けるという弊害に対しまして、これを防止することができると考えるのでありますが、なお登記官吏が、このバインダーになると勝手に不正に拔取つたりする危険がないかという点も考えたのでありますけれども、先ほど申しましたように、各登記用紙の冒頭に枚数を明らかにし、又バインダーの最初に目録をつけまして、不動産の箇数を明らかにしておきますと、抜取りますと直ちに発見されることになるのであります。なお又従来も登記官吏が不正の登記をいたしましたり、或いは当然やるべき登記をやらなかつたり、或いは登記簿を改ざんしたというような例は殆んどないのでありまして、登記に関する書類といたしまして申請書もあり、受付帳もあり、又当事者側には登記済証も渡つております。謄本も出ておるというような関係で、従来も登記簿自体に対する不正ということは殆んどなかつたのでありますので、登記官吏がこれを勝手に不正に抜き差しするということは先ず必配ないと、私どもかように考えております。なお装置をかようなふうにいたしまして、もとより登記官吏の登記簿取扱につきましては、十分登記簿の信用を傷つけることのないように、私どもとしても指導して行きたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/59
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060・一松定吉
○一松定吉君 大分信用保持の方法についての構想が練られたことは喜びに堪えませんが、若し登記官吏がですね、それを改ざんしたり、紙を取替えたりするようなことがあつたときには、直ちにこれを何か発見するような方法はお考えにならないのですか。今ではそういう不正な行為を防止することについての構想は、それで一通りわかりました。ところが改ざん等をしてあつたときに、これは改ざんであるということが直ちに発見することができるような方法があれば、一層完全だと思うのでありますが、その点について何か御研究なさいましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/60
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061・村上朝一
○政府委員(村上朝一君) 登記官吏が登記簿を改ざんいたしましたような場合には、当事者から閲覧の申請なり、或いは謄本下付の申請なり出ました場合、或いは新たなる登記の申請が出ました場合に、これは現在でも発見されるわけでありますが、その外現在もやつておりますけれども、この登記簿の整備状況につきましては、法務局長、地方法務局長、或いはその登記課長が、時々登記所を巡視いたしまして、登記簿の整備状況を検査いたしておるのであります。今後一層整備状況の検査を厳重に励行いたしたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/61
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062・一松定吉
○一松定吉君 それはそういう不正なことをさせないために厳重に指導監督をやるということはわかる。私の言うのは、改ざんだとか削除とかいうようなことをしたのが、すぐに利害関係者にわかるような方法は考えなかつたかと聞くんですが、一例を言いますがね、そういうことを防止するには、その登記権利者、登記に関係のある人が、その登記の完了と同時に直ちに謄本の交付を受けて、それを各人が皆保存して置くということであれば、その登記に変更のあつた事実は自分の手に保存しておる登記謄本と対照すればすぐにこれは改ざんされたとか、抜き差しされたとかいうことの発見が容易であると、こう私は思うんだが、そういうような何か附属法か何かこしらえるようなことがあればいいのではないかと思うんだが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/62
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063・村上朝一
○政府委員(村上朝一君) 当事者が謄本を持つておりますと、その謄本と対照すれば登記簿の改ざんの形は最もよくわかるわけでありますが、謄本を取りませんでも、一つ一つの登記をする都度、登記義務者の権利に関する登記済証が当事者の手に渡つておりまして、或る登記を改ざんしたという疑いがあれば、登記済証と対照すれば直ちにわかる。なお登記所に保管されておる書類でありますけれども、申請書が綴込帳の中にありますので、これと対照することに工つても発見し得るんじやないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/63
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064・鬼丸義齊
○鬼丸義齊君 従来その登記簿に綴つてあつたものを除かれたときには、戸籍簿でいうと除籍簿ですね。それは何か保管方について厳格な規定を作るんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/64
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065・村上朝一
○政府委員(村上朝一君) 現在の登記簿ですと、例えば建物登記簿につきまして、建物が滅失いたしますと、滅失の登記をいたします。滅失登記をいたしましても閉鎖の旨を登記簿に記載するだけで、そのまま登記簿に載つておるわけであります。今度はそういう場合には登記簿閉鎖になりますと、これから外しまして、別に閉鎖登記簿として同様な装置のバインダーに綴り込みまして、これを別に保管する、こういう構想であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/65
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066・鬼丸義齊
○鬼丸義齊君 それは閉鎖だけでなくて、やはりそういうふうな加除か何か、差し替えした場合の前に使つておつた登記簿を、やはり閉鎖登記簿の中に合わして、一緒に保管するわけですか。それは閉鎖の場合だけでなくてあなたのほうのは差し替えすることができるんでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/66
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067・村上朝一
○政府委員(村上朝一君) このバインダーから抜き取りますのは登記簿閉鎖の場合だけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/67
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068・鬼丸義齊
○鬼丸義齊君 ああそうですか。それから今度これを全国的にやり変えるとなれば、大体の予算というものはどのくらい要るんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/68
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069・村上朝一
○政府委員(村上朝一君) 全国やりますと、約一億二、三千万円のものでありますが、二十六年度において約二千万円足らずの予算を見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/69
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070・鬼丸義齊
○鬼丸義齊君 今の用紙の一番高いときに、用紙不足のために随分市場が悩んでおることは御存じの通りでありますが、このときにこの計画をするということは時期的にどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/70
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071・村上朝一
○政府委員(村上朝一君) 経過的には現在使つております登記簿の用紙を帳簿から外しましてこれに穴をあけて取りあえず綴り替えるわけです。全然新らしい用紙に写し替えるまで考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/71
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072・伊藤修
○伊藤修君 今政府委員の不正防止に関するところの御説明を伺つたのですが、御説明だけでとどまるのか、或いは本法にその旨を記載するのか、或いは先に出されたところの三十二年の五月十二日附の司法省令第十一号の施行細則にこれを明記するのが、法文上の点を明らかにして頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/72
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073・村上朝一
○政府委員(村上朝一君) 登記簿の様式の詳細につきましては不動産登記簿施行細則に、現在も規定しておりますので、施行細則を改正いたしまして、できるだけ詳細に、先ほど申上げましたような趣旨を施行細則の中に規定いたしたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/73
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074・伊藤修
○伊藤修君 なお鍵の保管の責任者、これを雇に保管せしめるとか、他の登記官吏に保管せしめるというようなことでなく、いわゆるその登記所の最高の責任者、登記課長か何か存じませんが、そういうものに保管せしむるというような明文を置くのですか、鍵の保管責任者を法文に明らかにするかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/74
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075・村上朝一
○政府委員(村上朝一君) 鍵の保管者は規定を細則に置くということまで、実はまだ具体的に考えておりませんけれども、性質上、その登記簿の保管について全責任を負担すべき登記官吏が、鍵を保管すべきものでありますので、さような措置をとりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/75
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076・伊藤修
○伊藤修君 私のお尋ねしたいのは要するに加除責任者、加除し得る者、誰が加除し得るか、誰でも加除し得るのでは困るから、加除し得る者の責任を法規上明らかにして置いて、そうしてその責任を将来においてもわかるようにするということが必要じやないかと思うのです。細則にそれを謳うべきじやないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/76
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077・村上朝一
○政府委員(村上朝一君) 登記簿の保管責任者が登記簿の加除についての責任を負うべきでありまして、誰が保管責任者となるかということは、細則に規定いたしたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/77
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078・伊藤修
○伊藤修君 なお今一松委員からお尋ねがありましたが、いわゆる万一加除された場合において、それを証明し得る方法として一例をお挙げになりましたのですが、登記された場合に、必ず登記謄本をその登記権利者に同時に交付するということを、この際一つ考えたらどうですか。これは最もいいことじやないかと思う。今ちよつと伺つてそう思つたが、いわゆる登記されたときには、必ず附けるというふうにされたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/78
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079・村上朝一
○政府委員(村上朝一君) 現在のところ登記済証を交付することによりまして、どういう登記がなされたということは、登記権利者には証拠が残るわけでありますが、なお必ず請求がなくても謄本を交付することにすべきかどうか、これはいろいろな外に関連もございますので、よく研究いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/79
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080・一松定吉
○一松定吉君 今の研究するということは、私はもうあなたのほうでこれを一つ実行に移すというような意味において私は質問をやめたんだが、今伊藤君の御質問に対して、あなた研究じやない、やはりその通り一つするということについて更に方法を練るということでなければ……。それからその鍵の保管者もやはり法文に明らかにするというふうにして、どこまでも信用保持の方法を堅固にしておくということが私はいいと思うんです。研究は必要であるが、必ずこれを実行に移すような方法を御研究願いたい。それだけ申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/80
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081・村上朝一
○政府委員(村上朝一君) 請求がなくても直ちに登記があれば登記簿謄本を交付するという点は、予算及び登記所の事務能力とも関連いたしますので、なお今後研究さして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/81
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082・一松定吉
○一松定吉君 今後じやいけないんだ、これに我々が賛否の意見表示をするまでにそれが必要なんだから、今後じやいけない、予算の問題勿論関係がありますがね、それは場合によれば登記申請者に伺つて費用を徴してもいいわけなんだから、それは結局あなたのほうのお考えでそういうことを法文化するならするということであれば我々は納得が行くんだけれども、研究々々じやちよつと困るんだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/82
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083・伊藤修
○伊藤修君 それは今一松さんのおつしやるように、予算の必要はないです。登記所は当然それは金を取ればいいんですから、それは取ることを明記しておけばいいんです。別にあなたのふところが痛むわけではないですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/83
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084・村上朝一
○政府委員(村上朝一君) 必ず交付するということになりますと、手数料を取るということは困難じやないかと思います。手数料を納めて請求があつて初めて交付するという形になつておるんですから、若し必ず交付するなら無償、手数料を取らずに交付しなければならないんじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/84
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085・一松定吉
○一松定吉君 登記を申請する人から、登記申請に必要な費用を徴収しなければ登記しないということになれば、登記してもらいたいために費用を納めますがね、だから無償給付ということを考えなくても、登記に必要な費用として納めさせるということであれば、納めない人間はないわけです。納めない人間は登記ができぬはずであるということを考えれば、そう心配する問題じやないと思うから、まあ一つ晝からでも考えて御返事下さい。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/85
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086・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) それではこの案はこの程度にいたしまして、次に犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑のおありの方は御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/86
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087・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 私は一点だけ質問したいと思います。それは、犯罪者予防更正法の一部を改正する法律案が出ましたときに、一番期待しておりましたことは、それはこの少年法の第五十五條、これはなかなか妙味のある條文でございますけれども、実際は十八歳以上の少年が執行猶予になります前に、第五十五條で言うと、判事の決定によつて家庭裁判所に送られるようになつておるのでありますけれど、このことをもう殆んど判事さんがこの條文のあることさえ御存じなくて、折角の條文が有名無実になつておるのでございますので、実際は検事から起訴されまして、公判廷で執行猶予になりました者が、そのまま野放しになつておりますということについて、私ども非常に心配しておりましたのです。つまりこういう野放しの少年たちの再犯率は非常に高うございます。殊にこういう子供は非常に十分手当してやらなくちやならないものだつたのでございますが、その点が今までおろそかになつておりましたのに、今度は十八歳以上二十歳まで年齢が引上りましたから、当然これは執行猶予になりましても保護観察に付せられるものだと思つておりました。そのためにこの犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案にそれが出て来るだろうと期待しておりましたのでございますが、それが出ませんということはどういうわけでございましようか。ちよつと伺いたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/87
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088・齋藤三郎
○政府委員(齋藤三郎君) お答え申上げます。現行の犯罪者予防更生法の三十三條は原案で年齢に制限なく、裁判所が必要と認めるときは執行猶予の者について保護観察に付することができるようになつておつたのでございまするが、衆議院で修正になりまして、十八歳未満となつた次第でございます。今回少年法の適用の年齢が引上りまして二十歳になりましたについては、只今仰せの通りに確かに二十歳まで引上げることが当然でございます。ただ私どもは現在の刑務所の実情、と申しますると、刑務所の受刑者は約八万人ございまするが、その大体六割は初犯者でございます。而もその刑期を見ますると、一年未満の者が五〇何%でございます。二年未満の者が三分の二でございます。従いまして短期で前科で出て来るという人が非常に多いので、この保護観察でさようの者を賄うことが非常にいいのではないか。当初の犯罪者予防更生法の原案の趣旨を実現したい、こういうふうに考えておりまして、研究いたしておりまして、昨年末法務総裁から法制審議会に正式に御諮問がありまして、爾来数回、十回近く会議を開きまして、大体現在の執行猶予は大半は目的を達しまして、無條件で執行猶予にいたしまするが、そのうちの大半は無事に執行猶予の期間を終つておるという実情にございまするので、現在の執行猶予制度はそのままとして、ただ更にそれの要件を拡げまして、新たに現在刑務所に短期で入つておるような人もそのうちに当然何割か含まれると思いますが、さような人々を保護観察で賄う、こういうふうなラインで今法制審議会でほぼ要綱案が次の小委員会でまとまるものと私は考えておりまするが、私どもの考えでは、さようなことで実現いたしたい、こういうふうに感じておりましたので、その点は承知はいたしておりましたが、さような案が通りますると、結局重複いたしまするので、提案の中に入れてなかつた次第でございます。この案は私どもはできるだけ早く実行いたしたい、かように存じて、現在法制審議会で各方面の代表のかたがいろいろ御審議になつておつて、次の、二十六日でございまするが、次の小委員会で要綱案がまとまるだろう、こういう段階に達しております。その点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/88
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089・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 どうぞできるだけ早い機会に実施して頂きたいと願つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/89
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090・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/90
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091・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 御異議ないと認めます。討論は省略いたし直ちに採決に入りたいと存じますが御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/91
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092・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 御異議ないと認めます。直ちに採択に入ります。本案を原案通り可決することに賛成のお方の御挙手を願います。
〔総員挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/92
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093・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて、あらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/93
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094・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 御異議ないと認めます。それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に報告する報告書について多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とせられたかたは順次御署名を願います。
多数意見者署名
伊藤 修 宮城タマヨ
須藤 五郎 鬼丸 義齊
羽仁 五郎 長谷山行毅
一松 定吉発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/94
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095・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 休憩いたします。
午後一時六分休憩
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午後三時五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/95
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096・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 只今より開会いたします。
午前に引続き不動産登記法の一部を改正する法律案を議題に供します。御質疑のあるかたは御発言を願います。速記をやめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/96
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097・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 速記を始めて下さい。では法案に対する質疑は続行することにいたしまして、本日は先般検察及び裁判の運営等に関する調査のため青森県に派遣になりました派遣議員のかたの御報告をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/97
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098・伊藤修
○伊藤修君 先般青森の八戸におけるところの裁判所及び検察庁並びに拘置所及び警察予備隊を視察して参りました。それについて御報告申上げたいと思います。詳細なる報告の内容につきましては、報告書を御一覧願うことで御了承を願いたいと思います。ただこの報告書に書かれてある以外につきまして、当時の感想について二、三附加しておきたいと思います。
八戸の拘置所を拝見いたしましたところが、非常に腐朽した家屋でありまして、当時十三名の収容人員であるにかかわらず、四十数名の被疑者が拘留されておりまして、而もその拘置所の構造と申しますのは、殆んど徳川時代におけるところのいわゆる牢屋式であつて、採光は勿論、内部の不潔さというものは極まりないものであり、日本にもかような拘置所が未だ存在するかと思うほどの実にあきれた設備であつたのであります。これでは全く今日の基本人権の保障などというようなことは無視されたところの設備であろうと考えられるのであります。殊にその拘置所と事務室との間におけるところのいわゆる逃亡の予防設備のごときは全く存置されていない。又事務所と外部の通路におきましても、何らの設備も行われていない。又外部の塀のごときも非常に不完全なものである。いずれにいたしましても、いわゆる拘置所としての設備をなしていないのであります。かようなものは速かに法務庁のほうにおいて先ず以て改廃すべきじやないか、かように考えるのであります。この点に対しましては、幸い古橋君がいらつしやいますから、最近において直ちに改廃されるかどうかの御意見を伺つておきたいと思うのであります。
なお警察予備隊に対するところの調査の結果といたしましては詳細は、報告書において御報告申上げてありますが、ただ一点注意しなくてはならん点は、現在の警察予備隊のあり方といたしまして、ただ訓練ということのみに重点をおかれまして、教養に対しましては何らの方策も立つていない。隊員は全く朝から晩まで訓練のみを行われまして、少しの学科の教養も施されていない。御承知の通り若しこのままで参りますというと、結局教養のない集団というものが、果して国家の一朝非常時の場合に役立つかどうか、いわゆる心の繋がりのない、心の糧を持つていないところの烏合の衆というような形が今日養成されておるのじやないかと思うのです。学科のごときも自由であつて、何らの強制もされておらないのです。従つて隊員は約五分の一くらいがいわゆる学科を自由に任意に受けておるというような程度であつて、又教養に対するところの一つの指針もなければ、又どういう観念で以てこの警察隊というものが今後維持されるかという中心の考え方もない。これでは折角警察予備隊というものを作り上げましても、国家本来の目的に副うべきところの設備機構の備えというものが全く空に帰するのではないか、かように考える次第であります。少くともこの点に対しましては、相当な費用を投じておるのでありますから、今後より以上強力なるものにするというならば、先ず以て隊員の教養ということに重点を置かなくちやならんと、かように考える次第であります。その他詳細の点につきましては報告書を御一読願いたいと思います。
以上御報告申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/98
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099・古橋浦四郎
○政府委員(古橋浦四郎君) 先ほどの御指摘の八戸拘置支所の改築につきまして申上げます。
八戸拘置支所の施設の腐朽等につきましては、当局もこれが早急な改善を必要と考えまして、差当り二十六年度の改築予算として二百三十九万五千五百円というものを考慮いたしておるのでございます。ただこの金額は、現在の施設をその場所において修理するという方針で立てたものでございまするが、なお現在の場所が裁判所の構内にございまして、裁判所から立退きを要求せられておるという事情もございます。従いまして最も理想的な方法といたしましては、早急に近くに適当な地所を求めまして、更に多額の費用をここに投ずるということでございます。東北地方の拘置監につきましては、比較的中央からの視察等が少いために忘れがちの点がございまして、私どももこの八戸支所につきましては、早急に改善しなければならんと思つております。只今本府の計画しておりまするところは、その程度でございまするが、なお近いうちにいま一度現地へ係官を派遣しまして、敷地の事情等を更に調査をいたしまして、でき得るならば新らしい土地に別の予算で建てたい、最悪の場合には現状の所に改築を施すつもりでおりますから、御了承願います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/99
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100・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 伊藤委員の御報告に対して御質疑のおありのかたはお願いをいたします。御質疑がないようですから、本日はこの程度にいたしまして散会いたします。
午後三時二十一分散会
出席者は左の通り。
委員長 鈴木 安孝君
理事
伊藤 修君
宮城タマヨ君
鬼丸 義齊君
委員
左藤 義詮君
長谷山行毅君
山田 佐一君
岡部 常君
一松 定吉君
羽仁 五郎君
須藤 五郎君
政府委員
刑 政 長 官 草鹿淺之介君
法務府矯正保護
局長 古橋浦四郎君
法務府民事局長 村上 朝一君
中央更生保護委
員会事務局長 齋藤 三郎君
事務局側
常任委員会專門
員 長谷川 宏君
説明員
大蔵省主計局主
計官 志賀 清二君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X00819510320/100
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