1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年二月七日(水曜日)
午前十時三十三分開議
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議事日程 第十号
昭和二十六年二月七日
午前十時開義
第一 行政書士法案(衆議院提出)(委員長報告)
第二 社会教育法の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015254X01119510207/0
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001・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015254X01119510207/1
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002・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。
この際お諮りいたします。人事委員長から、新船與法の勤務地手当支給地域の区分に関し実地調査のため、福岡県、佐賀県及び広島県に、木下源吾君、重盛壽治君を二月中八日間、富山県、石川県及び宮城県に、千葉信君、森田豊壽君を二月中七日間の日程を以て派遣いたしたい旨の要求がございました。これら四名の議員を派遣するごとに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015254X01119510207/2
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003・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて議員派遣の件は決定いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015254X01119510207/3
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004・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第一、行政書士法案(衆議院提出)を議題といたします。
先ず委員長の報告を求めます。地方行政委員長岡本愛祐君。
〔岡本愛祐君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015254X01119510207/4
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005・岡本愛祐
○岡本愛祐君 只今議題となりました行政書士法案につき、地方行政委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。
本法案は衆議院提出のものでありまして、第八国会及び第九国会にも同様の内容のものが提出せられましたが、本院において審議未了に終つたのであります。よつて衆議院においては、今国会開会の劈頭、即ち昨年の十二月十一日に本法案を本院に提出いたしで参りましたので、憲法第五十九條第四項の規定によりまして、一両日を以て本院の審議期間が満了するのであります。そこで本日この法案の上程をお願いいたした次第であります。
先ず法案の提案理由と内容の概要を御紹介いたします。
従来行政書士は代書人の名称の下に内務省令代書人規則によつて規制されておりましたが、終戦後右規則が失効して以来、都道府県においてこれを規制する條例を定めた場合を除いては、いわゆる野放しの状態に置かれており、一面、行政書士の業務が国民の利益に対し少からぬ影響があることに鑑み、法律を以て業務執行の適正を期する必要があるというのが本法案の提出理由であります。
次に本法案の内容の概略を申上げますと、先ず行政書士の業務は、他の法律で制限されているものを除き、他人の依頼を受け、報酬を得て、官公署に提出する書類等を作成することであるとしております。行政書士となる資格を持つ者は、学校教育法による高等学校を卒業した者、国又は地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間が通算して三年以上になる者、及び都道府県知事がこれらの者と同等以上の智識及び能力を有すると認めた者につきまして、知事が毎年一回以上試験を行い、これに合格した者であるとしております。そうして未成年者、禁治産者等は行政書士になることができないとしております。次に、行政書士となる資格を有する者が行政書士となるには、その資格を有する都道府県において備える名簿に住所・氏名等の事項について登録を受け、且つ登録手数料を納めなければならないとしております。行政書士でない者は報酬を得る目的で行政書士の業務を行うことができないと定めております。なお経過規定を以て、この法律施行の際、現に引続き一年以上行政書士の業務を行なつている者で、その年数が通算して三年以上になる者は、本法による行政書士とみなすこととしております。同じく経過規定で、右に掲げた以外の者で、本法施行の際、現に行政書士の業務を行なつている者は、本法施行後一年を限りまして行政書士の名称を用いてその業務を行うことができるものとしております。その他、登録の抹消、取消等の処分、事務所報酬、帳簿の備付及び保存、依頼に応ずる義務、秘密を守る義務、立入検査、行政書士会、同連合会、総理府令への委任罰則、それから二三の経過規定を定めまして、併せて地方自治庁設置法の第五條を改正して、地方自治庁の権限に行政書士に関する事項を加えたものであります。
地方行政委員会におきましては、右法案に幾多の不備のあるのに鑑み、慎重審議を行い、提案者側との間に質疑応答を重ねましたが、その内容の詳細は速記録によつて御承知を願いたいと存じます。二月六日討論に入りましたところ、緑風会の西郷吉之助君外三名より修正案が提出されました。
修正案の主な点は、第一に、原案の試験制度を緩和いたしまして、弁護士となる資格を有する者、弁理士となる資格を有する者、公認会計士となる資格を有する者、及び国又は地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間が、これを通算して八年以上、高等学校の卒業者は五年以上になる者は、試験を受けないで、当然いずれの都道府県においても行政書士となる資格を有すること、即ち同等以上の能力者又は一定期間行政事務を担当した経験者には、無試験で且ついずれの都道府県においても行政書士になれる途を開きました。
第二に、本法施行の際、現に引続き一年以上行政書士の業務を行なつている者で、通算して三年以上になるものは、本法の規定による行政書士とみなすと、こう原案にありますのを、これも緩和いたしまして、「引続き一年以上」の條件を創つてしまいまして、現に行政書士である考は、引続いて一年以内の者でありましても、過去三年以上行政書士の業務を行なつた経歴があれば行政書士といたすことになりました。
第三点は、行政書士でない者が報酬を得る目的で行政書士の職務を行うことができないと原案にありますのを、これは嚴格に過ぎまして、社会の実情に副わない場合が生ずるので、これを緩和いたしまして、行政書士でない者は行政書士の業務を「職業として」行うことができないことに改めました。
第四点は、建築代理士というものがございまするが、建築代理士が現在都道府県の條例によつて行う業務と行政書士の業務との間の関係を調整するために、建築代理士に関しては、この法律施行後でも、当分の間、條例の定めるところによつて、その業務の範囲内には行政書士が立ち入ることができないといたしました。その他なお若干の点に修正を加えんとするものであります。
これに対しまして、社会党の相馬助治君より、我々は官公署の民主化、即ち官公署は何よりも先ず国民の利便を考えて、特に窓口事務を成るべく簡易化すると共に、その親切な処理に努める必要がある点を主張するものであつて、本法案も又この趣旨に副うように立案され、運用されなければならないと思う。只今の修正案はこの精神を一段と明らかにしたもりであつて、この意味において修正案及び修正部分を除く原案に対し賛成する旨の意見が述べられました。
かくて採決に入りましたところ、右に述べました修正案及び修正部分を除く原案につきまして、それぞれ全会一致を以て可決すべきものと決定いたした次第であります。
以上御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015254X01119510207/5
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006・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015254X01119510207/6
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007・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015254X01119510207/7
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008・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第二、社会教育法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
先ず委員長の報告を求めます。文部委員長堀越儀郎君。
〔堀越儀郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015254X01119510207/8
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009・堀越儀郎
○堀越儀郎君 只今議題となりました社会教育法の一部を改正する法律案の審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。
本法案を提出した理由について政府の説明によりますると、社会教育の法制的措置が漸時整備されつつあり、その効果を発揮するためには、もとより各種の施策が必要であるといたしましても、そのうち社会教育に携わる專門職員に関する法制的の措置を十分整備いたしまして、学校教育の助言指導に携わる指導主事とおおむね同じような取扱をすることに法律の改正をいたしまして、以て社会教育の振興を図ることが急務であるというのであります。本法案の主なる点を挙げますると、次のような事項であります。
第一点は、社会教育主事及び社会教育主事補は、従来教育委員会法施行令に基いていたものに過ぎなかつたのでありまするのを、新たに法律に直接根拠を持つ職員として設置するということであります。第二点は、その職務に関する事項であります。従来はその職務内容が明確に法律に規定されておらなかつたのでありまするが、新たにその職務内容を明確にするのであります。即ち社会教育主事は、社会教育を行う者に対する專門的、技術的な助言と指導を行い、社会教育主事補は社会教育主事の職務を助けるということにいたしたのであります。第三点は、社会教育主事となるために必要なる資格を新たに規定いたしたのであります。
以上が主なる骨子でありまするが、現在勤務中の職員に対する措置を講ずること等の経過的規定が附蔕的に規定されているのであります。なお、本法案の実施は、必然的に別途政府から提案されました教育公務員特例法の一部を改正する法律案と関連しているのでありまして、即ち本法案によりまして、社会教育主事を専門的教育職員として扱うこととし、採用の場合におきましても、地方公務員法の一般原則の適用を受けることなく、選考任用を行うように措置されたことであります。この法律の狙つている点がそれによつて初めて全きを得るということができるのであります。従いまして、この法律案が可決されたにいたしましても、先に申しました教育公務員特例法の一部を改正する法律案が国会を通過し、その施行と同日を以て施行されることに附則が付けられているのであります。
本委員会は本法案を愼重審議いたしましたが、委員の質問及び政府の答弁の主なるものを挙げますると、おおむね次のようなものであります。
法律の改正のみならず、社会教育施設に対する国の予算的措置が甚だ不十分であるが、政府はどう考えているかという質問に対しまして、将来十分期待に副うよう最善の努力をする、こういう答弁があつたのであります。指導者に関する規定を明らかにすることは、ややもすれば官僚的統制のやり方に陥る虞れがあるのではないかという質問に対しまして、第九條において「命令及び監督をしてはならない」という規定がありまするし、懸念のないよう法律の運用に努めると答弁しているのであります。指導主事と同様に免許制度を何故採用しなかつたかという質問に対しまして、大学において社会教育関係り講座がまだ全般的には確立していないし、又請座の科目についても慎重な調査研究の結果を得ていないので、過渡的には本法案の程度によるほかはないということであります。資格をこのように規定しましても、待遇の改善がなければ意味がないのではないかという質問に対しまして、指導主事と同じ待遇を研究中であるということでありました。現行法第十一條においては、社会教育関係団体の求めがあれば、これに応じて教育委員会は指導又は助言ができると規定されておりまするが、本法案第九條の三においては何らさようなことは謳つていない、これは団体に対する場合以外は社会教育主事は求めがなくても指導助言ができるとの趣旨にとれるがどうかとの質問に対しまして、団体に対する場合は、特にこの自主性を尊重する意味で、指導又は助言発動の過程を明記したに過ぎないのでありまして、その他の場合でも、委員会は、社会教育を行う者に対し、助言又は指導を強制的に行わしめるようなことは決してしないのが根本の建前である、その間、指導又は助言の発動理念は差異を設けたのではなく、第九條の三は社会教育主事の職務内容を言つたのであるとのことであります。社会教育主事の各地方団体における数の増加等につき財政的措置を講じられる考えはないか、講習を受ける者の経済的負担の過重にならぬよう考慮すると共に、講習内容も十分吟味して有効適切なるものにする考えはないかとの質問に対し、政府は十分これも責任を以て善処すると答弁をしているのであります。
かくて質疑を終り、討論に入りましたが、委員中から、第一、本法案の実施に当り、社会教育が統制的、支配的に陷ることのないよう十分その運用に注意すること。第二現在勤務中の職員の失格することのないよう十分の措置を講ずること。第三、待遇の改善を図ること。第四、受講者の負担が過重に陷らないと共に、講習内容を十分研究して充実するようにすること。第五、社会教育施設の改善のため予算的措置をすること。これらが希望條項となりまして、大多数は賛成意見を述べられたのでありますが、一委員は、第一、財政的裏付けの少い本法案は力が弱い。次に、社会教育委員の活動促進に関する事項が盛られていない。第三、民主化の一般施策を先にすべきであつて、かくのごとき末葉的な改正は本末を誤まつておるという見解の下に、反対意見の開陳がありました。かくて採決の結果、一委員を除いて多数を以て可決いたしたのであります。
以上を以て本法案の審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015254X01119510207/9
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010・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔起立者多数〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015254X01119510207/10
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011・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午前十時五十三分散会
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○本日の会議に付した事件
一、実地調査のため議員派遣の件
一、日程第一 行政書士法案
一、日程第二 社会教育法の一部を改正する法律案発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015254X01119510207/11
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