1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十一月十五日(木曜日)
午後二時三十二分開議
出席委員
委員長代理 理事 岡田 五郎君
理事 原 彪君
稻田 直道君 大西 禎夫君
岡村利右衞門君 尾崎 末吉君
黒澤富次郎君 畠山 鶴吉君
木下 榮君 木村 俊夫君
江崎 一治君 飯田 義茂君
石野 久男君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 山崎 猛君
出席政府委員
運輸事務官
(鉄道監督局国
有鉄道部長) 石井 昭正君
委員外の出席者
日本国有鉄道職
員局長 吾孫子 豐君
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十一月十三日
日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣
提出第三四号)
同月九日
四国循還鉄道全通促進の請願(川端佳夫君紹
介)(第八六〇号)
自動車運送事業免許制度廃止反対に関する請願
(川野芳滿君紹介)(第八六一号)
同外二件(塚田十一郎君紹介)(第九一二号)
日の影、高森間鉄道敷設促進の請願(渕通義君
紹介)(第九一〇号)
川南駅移転に関する請願(渕通義君外一名紹
介)(第九一一号)
同月十日
本渡、瀬戸間運河開「さく」の請願(原田雪松
君紹介)(第九六〇号)
下呂、飯田間鉄道敷設の請願(岡村利右衞門君
紹介)(第九六一号)
三河島、南千住間に三の輪橋駅設置の請願(野
村專太郎君紹介)(第九六二号)
御徒町駅南口乗降場開設の請願(野村專太郎君
紹介)(第九六三号)
金田一駅改築等に関する請願(山本猛夫君紹
介)(第九六四号)
金田一、久慈間鉄道敷設の請願(山本猛夫君紹
介)(第九六五号)
自動車運送事業免許制度廃止反対に関する請願
(亘四郎君紹介)(第九六六号)
同(風間啓吉君紹介)(第九六七号)
同(西村直己君紹介)(第九六八号)
同(大森玉木君紹介)(第一〇一三号)
菓子に対する貨物運賃等級引下げの請願(江崎
真澄君紹介)(第一〇一四号)
矢作町に停車場設置の請願(千賀康治君紹介)
(第一〇一五号)
魚沼線全通促進の請願(田中角榮君紹介)(第
一〇一六号)
只見線全通促進の請願(田中角榮君紹介)(第
一〇一七号)
通山駅設置の請願(二階堂進君外一名紹介)(
第一〇一八号)
美深、枝幸間鉄道敷設の請願(佐々木秀世君紹
介)(第一〇一九号)
白棚線復活促進の請願(圓谷光衞君紹介)(第
一〇二〇号)
愛国、帶広間に乘降場設置の請願(高倉定助君
紹介)(第一〇二一号)
長崎海洋気象台に観測船配置に関する請願(田
口長治郎君紹介)(第一〇二二号)
同月十二日
岩船港修築に関する請願(渡邊良夫君外一名紹
介)(第一〇五五号)
佐川、高岡間に国営自動車運輸開始の請願(長
野長廣君紹介)(第一〇八一号)
松前より江差を経て瀬棚に至る間に鉄道敷設の
請願(山崎岩男君紹介)(第一〇八二号)
久慈港修築工事促進の請願(山本猛夫君紹介)
(第一〇八三号)
自動車運送事業免許制度廃止反対に関する請願
(關内正一君紹介)(第一〇八四号)
同(平井義一君紹介)(第一一三七号)
新小岩、金町間の貨物專用線に乘客輸送併用に
関する請願(中島守利君外一名紹介)(第一〇
八五号)
木材に対する貨物運賃軽減の請願(内藤隆君紹
介)(第一一三六号)
瀬棚港修築工事促進の請願(川村善八郎君紹
介)(第一一三八号)
旧糸田駅復活等の請願(平井義一君紹介)(第
一一三九号)
江差瀬棚線鉄道敷設促進の請願(川村善八郎君
紹介)(第一一四〇号)
同月十三日
掛川、御前崎間鉄道敷設の請願(神田博君外一
名紹介)(第一一七五号)
日本海の浮流残機対策確立に関する請願(渡邊
良夫君紹介)(第一一七六号)
津屋崎に燈台設置の請願(守島伍郎君紹介)(
第一一七七号)
我孫子、成田及び千葉、成田間電化促進の請願
外三件(竹尾弌君紹介)(第一一七八号)
京阪地上線延長工事を地下線に変更の請願(高
木吉之助君紹介)(第一二二七号)
中央線中野駅拡張に関する請願(黒澤富次郎君
紹介)(第一二二八号)
生橋線敷設促進の請願(小澤佐重喜君紹介)(
第一二二九号)
磐越東線及び水郡線に二等客車連結の請願(大
内一郎君紹介)(第一二三〇号)
福岡県下の国鉄電化促進の請願(平井義一君紹
介)(第一二三一号)
我孫子、成田及び千葉、成田間電化促進の請願
外八件(竹尾弌君紹介)(第一二三二号)
舞鶴港に特別救難司令所設置の請願(大石ヨシ
エ君紹介)(第一二六四号)
八王子に鉄道管理局設置の請願(栗山長次郎君
紹介)(第一二六五号)
同(並木芳雄君紹介)(第一二六六号)
木材に対する貨物運賃軽減の請願(内藤友明君
紹介)(第一二六七号)
の審査を本委員会に付託された。
十月十八日
モーターボート競走地指定に関する陳情書
(第二八
号)
十一月八日
阪神四国連絡路実施に関する陳情書
(第六〇八号)
観光事業審議会建議事項の早期実施に関する陳
情書(第六〇九
号)
同月十二日
海上犯罪の絶滅に関する陳情書
(第六九八号)
鉄道貨物運賃引上げ反対に関する陳情書外二件
(第六九九号)
自動車運送事業免許制廃止反対に関する陳情書
(第七〇〇号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣
提出第三四号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/0
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001・岡田五郎
○岡田(五)委員長代理 これより会議を開きます。
委員長不在でありますので、私が委員長の職務を行います。
日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。まず政府より提案理由の説明を求めます。山崎運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/1
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002・山崎猛
○山崎国務大臣 ただいま提案になりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案について、御説明申し上げます。
今般政府におきまして、行政事務の刷新をはかり、国民負担の軽減に資することといたし、人員整理を実施することにいたしたのでありますが、その際同時に、従来長期欠勤者の取扱いにおいて欠くるところのあつたのを改め、これを定員外とし、一定の年限内は、所定の給與を受けさせることといたしたのであります。
国有鉄道は公共企業体として、その性格は一般行政官庁とはおのずから異なるものがありますが、この際一般公務員の人員整理にならつて、企業の合理化を進めることといたしました。つきましては長期欠勤者の取扱いは、これを一般公務員に対する改正と同様に実働人員より除外して、療養に専念せしめることといたしたいと存ずる次第であります。この法律案はこのような趣旨をもつて提案いたしたわけでありますが、その内容の概略を申し上げますと、次のようになります。
従来休職の期間は一年、給與は本俸の三分の一ということとなつておりましたが、今回の改正案で、休職の期間は、公傷による場合を除いて三年、給與は、公傷の場合はその全額、それ以外で結核の場合は二年間だけ、結核以外の場合は一年間だけ、本俸、扶養手当及び勤務地手当の八割を支給する等に改めることといたしました。
以上簡單ではございますが、法案を提出いたしました理由とその内容のあらましについて、これを御説明いたした次第でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/2
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003・岡田五郎
○岡田(五)委員長代理 これより質疑に入ります。石野久男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/3
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004・石野久男
○石野委員 ただいま提案理由の説明を承りましたが、全般としてこの法案改正の趣旨は了とされるのですが、二、三この説明に関連してお尋ねをしたいのでございます。
まず今回の人員整理と長期欠勤者との関係がどのようになるか、それからこの法案を施行される以前において、それがどのような関係に置かれておるかということについて、詳細な説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/4
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005・石井昭正
○石井(昭)政府委員 今回の整理人員は、先般御説明申し上げたかと思うのでございますが、昭和二十六年の三月末現在人員四十七万三千四百六十二人に対しまして、二万六千五百四十三人という人数に相なつております。しかしながらこの二万六千五百四十三人のうちには、すでに四月から九月までの間に退職いたした者四千三百十一人がございます。結局九月以降に整理の対象になる人員は二万二千何がしになるわけであります。今般改正法案でもつて御了承いただきましたならば、この休職という措置にいたします予定の長期欠勤者が、約一万三千五百二十一人ただいまのところございます。従つて実際に人員縮減の数は、約九千人足らずということになるだろうと思います。それからただいままでどういう扱いをしていたかというお話でありますが、もちろん公傷の場合とそれ以外の場合と異なるわけでがす、公傷の場合においては、療養を続けている間給與も全額支給していたわけであります。それ以外の場合については、必ずしも一定の基準はございません。従つて状況によつては退職という取扱いをいたしたこともございますし、ある場合には定員のうちでもつて休養をいたさせている場合もございます。そういう場合は他の職員が病気の人にかわつて、労働の負担を負うというかつこうになつておるわけであります。過剰人員でもありますときには、そういうやり方も一つのやり方であつたでありましようが、最近のように過剰人員もなく、かつ一層能率的な人員配置をして参るということになりますと、どうしても定員からはずすという措置をとらなければ、他の職員との労働負担の均衡を得ないことになると思います。ただいままではそういう便宜な扱いをしていた場合もございますが、これはもちろん病状の見通しによつて、ごく短期間で回復するという場合は、そういうふうにいたしておつたわけでございます。それ以外はやはり休職ということになりますと、一年でもつて満期になりましてその間中は本俸の三分の一しか給與を受けられない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/5
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006・石野久男
○石野委員 ただいまの説明によりますと、この改正法律案によつて給與を受ける長欠者というものは、今予定されておる行政整理の一応の跡始末をした後の者に適用されるということになつて、今日の長欠者は、一応行政整理の対象になる率が多いというふうに考えられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/6
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007・石井昭正
○石井(昭)政府委員 理論的に申しますと、あるいは石野委員のおうしやつたことに相なるかとも思いますが、実際上の取扱いとただいま申し上げました人員の計算などについては、むしろ逆に、ただいま長期欠勤をしておられる方を休職制度に当てはめたい、それで人員がなお超過する者だけが整理の対象になる、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/7
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008・石野久男
○石野委員 そこのところでちよつとわかりにくい点があるのですけれども、とにかくいま一度くどいようですが、現在長欠になつている諸君は、この法案の規定によつて取扱いを受ける、そうしてその取扱いを受けない者の中から整理が行われるというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/8
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009・石井昭正
○石井(昭)政府委員 大体おつしやる通りでありますが、整理が行われるというお言葉が、多少気になるのでございます。結局整理が行われるか、行われないかということは、俗な言葉で出しますれば、出血があるかどうかということに相なるかと思うのであいまいが、それは現在長期欠勤をしている出を対象にいたさないということに相なるのでございます。ただ現在長期欠勤をしておられて、この制度によつて休職の措置をとられた残りの人員が、不幸にして予定しているところの定員よりも多ければ、整理が行われるわけでございます。それがその定員の中にはまれば、いわゆる実際上の出血はないということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/9
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010・石野久男
○石野委員 大体趣旨は了解できるのでございますが、そういう場合に、大体実際の整理の数はどのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/10
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011・石井昭正
○石井(昭)政府委員 先ほど申し上げましたように、一応現在の長欠の一万三千人の方が、全部この休職制度の処置をとりますと、定員外という計算に相なります。また今度予定いたしました約九千人くらいの方が、全部私は整理の対象になるとは思えないのでございます。と申しますのは、鉄道業務はたくさんの人間を抱えておりますので、不幸にして死亡される方も毎月必ずあるわけでございますし、それからまた、これは比較的若い職員でございますが、他産業等へ転職をみずから希望する人もないではないのでございます。その他自然減耗と申しまするか、それが大体半年の間にはやはり七、八千の数はあるのが普通でございます。ただ今回のような退職によつて、手当上相当有利な扱いをされるということになりますると、一応現在のところは自発的な退職というものは、この手続がきまるまでは申出がないのでありますが、しかし退職金の法案その他が国会の承認をいただいて本ぎまりになれば、その面からも自発的な退職という方も相当あり得ると思う。そういたしますと、この九千人がはたして何人ほんとうに整理を行うべき数として残るかということは、見通しの問題にかかつて来るわけでありまして、率直に申しますれば、あまりたくさんの数にならないのではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/11
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012・石野久男
○石野委員 改正法案の中の二、三の点についてお尋ねいたします。法律案の二、六、七、このいずれの項にも、たとえば2の項には、「三年をこえない範囲内において、」ということがあります。それから六のところに、「その休職の期間が満二年に達するまでは、」七のところに、「休職の期間が満一年に達するまでは、」こういうふうにいろいろ規定されているのでありますが、これらの期限を越えた場合のことが全然ここではわからないように思うのですが、それはどういうような処置がなされることになるのでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/12
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013・石井昭正
○石井(昭)政府委員 同じ事由でもつて休職が継続いたしております場合は、休職期間は三年までの範囲内において総裁がきめるわけでございますが、総裁がきめると申しますことは、事実問題といたしましては、その局長とかあるいは課長とか所長とか、上長がきめることではないかと思うのであります。それは病状のいかんによつておそらく決定すると思うのであります。それがかりに三年といたしますと、給與の支給期間は二年に相なつております従つて残る一年間は無給で身分が継続する、こういうかつこうになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/13
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014・石野久男
○石野委員 二のところに「総裁が定める。」ということが書かれてある。この総裁がきめるということは、ただいま三年を越えない範囲においてというこの範囲を、総裁が再延長するというようなとり方もできるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/14
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015・石井昭正
○石井(昭)政府委員 三年以内を再延長という意味の解釈でありますが、一応休職の発令を一年間にいたしたい。ところが病気が一年間でなおらなかつた場合に、さらにもう二年間休職を延ばして、合計三年ということは考えられろと思うのでありまするが、三年たつてみてなおらなかつたから、また三年というような意味合いではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/15
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016・石野久男
○石野委員 法文の解釈によりますると、総裁がきめるということのとり方はいろいろあると思うのでございまするが、今石井部長からお話がありましたようなことは、法文のどこではつまりそのように規定することに書かれておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/16
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017・石井昭正
○石井(昭)政府委員 私が申し上げましたのは、この改正法案の二項の「三年をこえない範囲」、これはもちろん前に書いてございます公傷の場合は別でございますが、それ以外の場合は「三年をこえない範囲内において、休養を要する程度に応じ、総裁が定める。」というこの字句の解釈といたしましては、そういう意味だと申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/17
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018・石野久男
○石野委員 今の総裁がきめるということについては、私まだ疑義が残るのですけれども、それはあとにしまして、第八のところに「職員が第一項第二号の規定に該当して休職にされた場合においては、」とある。この場合の「休職にされた場合においては」ということは、これは刑事事件の場合でございますけれども、確定してからというふうに読まれるわけでございますか。それとも審理中とか何とかいうものは、全然別個のものだと思いますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/18
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019・石井昭正
○石井(昭)政府委員 この第三十條の第一項第二号は、「刑事事件に関し起訴された場合」となつておるのでございます。従いまして有罪と確定したときは、おのおのその刑の軽重によりまして、退職あるいはその他の措置がとられるわけだと思うのであります。休職はつまり有罪か無罪か確定するまでの処置であります。但し起訴にならない場合はもちろん問題でない。起訴が確定したときという意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/19
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020・石野久男
○石野委員 私不勉強でちよつとわからないのですが、もし第一項第二号によつて休職にされた場合、それの判決が無罪であつたというような場合には、その聞たとえば百分の六十以内を支給されて、あと四十というものは、この項によつて非常に不当な削減をされておるわけですが、それを保護するというような規定は何かはかにあるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/20
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021・石井昭正
○石井(昭)政府委員 休職というのは、ただいまのところは三分の一、これが今度は六割というふうになるのでございます。これは考えようでございますが、その給與は、いわゆる業務をいたしたことに対する報酬というものではないのであります。一応身分は継続しておりますが、休職にされた場合には、当然職務からはずされるわけでございまして、職務に従事しておらないのでございます。従つて百パーセントの報酬を要求するだけの理由があるかどうかという点は、これは別個の問題ではなかろうかと思うのであります。ただいまのところは、その間の差額というものを、お説のように補償するというような法文はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/21
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022・石野久男
○石野委員 ただいまの八の第一項第二号の規定に該当して休職にされた場合においては、確かにそれは職務についていないから、それに対守る報酬としての給與をとれないということは、一応りくつはわかるのです。しかし刑の確定が全然逆に無罪というようなことになつた場合は、本人にとつては、名誉毀損の問題もあり、いろいろな点で非常に問題が出て来るわけです。そういう場合は、俸給としてではなくして、別に救護規定というものが、何らかの形で考えられなければならないと私ども考えますが、当局としてはそういうようなことは今全然考えていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/22
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023・石井昭正
○石井(昭)政府委員 刑事補償一般の問題としては、御承知のように国家補償法がございます。従いましてこの国家補償法に該当する場合は、国家に対して補償を請求し得ると思うのであります。お話のような、行政官庁あるいは国鉄——これは行政官庁ではございませんが、これに準干るような職務についております者が、不幸にして冤罪のためにそういうようなことになつたということになりましても、やはり給與法の建前から申しますと、今回御審議願う六割程度ということに相なるのではないかと思うのでありますが、その差額補償ということについては、ある意味におきまして一般の刑事補償全体の問題として考えるより方法はないのではないかと思います。
それから、申し落しましてたいへん恐縮でございますが、先ほど石野委員からお話がございました総裁がきめるという問題につきましては、御承知のように公労法の第八條で、休職の條件の基準などは団体の交渉の対象になつておりますから、一応やはり団体交渉によつて、客観的な標準というものができると思うのであります。それに基いて任命権者なり総裁から委任を受けました発令権者が、その期間で発令することになると思うのであります。一方的に、非常に窓意的に期間を創られるということはあり得ないのではないかということを申し落しましたので、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/23
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024・原彪
○原(彪)委員 先ほどの石野委員の質問に対する御答弁についてちよつと疑義がありますので、明快にお示しいただきたいと思うのです。整理の対象が二万六千五百四十三人に対して、自然退職が四千三百十一人、残るのが二万二千人、この二万二千人に対して長期欠勤者が一万三千五百二十一人、そうすると、残りの八千五百人の整理については、自然減耗というか、死亡、転職その他を充てるということになると、当局のお考えは、当初から自然減耗を見越さずに、残りの八千五百人を整理されるというお考えがあるのか、心構えはどういうお考えでおられるかを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/24
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025・石井昭正
○石井(昭)政府委員 九月末で見ますると、約九千人弱の整理人員になつておるわけであります。当然三月末までには自然減耗があり得るし、また自発的退職者も相当出て参ると思います。従いましてその結果を待つて、予定の定員よりも人員がなおオーバーするという場合のみ、いわゆる実質的な整理をやる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/25
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026・原彪
○原(彪)委員 何も私は根本的には整理を慫慂しているという意味ではないのですが、今の御答弁を承りますと、予算上は整理をせぬという結論になると思うのですが、いかがでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/26
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027・石井昭正
○石井(昭)政府委員 予算上はもうすでに整理されてあるのでございます。その整理に対しまして実人員をいかに合せるかというやり方について御答弁申し上げたと思うのでございます。どうも原委員に御了解いただけないでまことに残念でございますが、予算的にはすでに落してあるわけであります。国鉄は行政官庁と異なりまして定員法の適用はないのでございます。いわゆる定員法上の定員はない、結局予算的に定員を定めておるわけであります。その予算の定員は今おつしやるように四千三百十一人、年度当初に比べて落してあるわけであります。従つて率直に申せば、もし定員法がここにあるといたしますれば、定員法の定員に対してすでに現在人員がオーバーしておるということになるわけであります。ですから定員法の定員に合うまで人員を減らして参る、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/27
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028・原彪
○原(彪)委員 私は決してその整理を慫慂しておるわけではないのでありますが、そうすると長期欠勤者の一万三千五百二十一人も整理の中に入れるということになると、実際上は運輸省の予算面から見れば、長期欠勤者に対してもこの法律によりますと、それぞれ「三年間なり二年間給與を出しおるのですから、つまり予算上は整理しないで項目だけをかえたという形になりますが、こういうように解釈してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/28
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029・石井昭正
○石井(昭)政府委員 国鉄の予算につきましては、かねて御説明申し上げましたように、毎年度一定の率を人員にかけまして大体五%でありますが、それだけの圧縮をやつて参つたわけであります。二十六年度におきましても予算的にそういう措置を講じておるわけであります。従いまとてすでにこの行政整理の話がある前から、国鉄は実質上同じ整理を行つておるということを主張いたしまして、政府及び行政管理庁でもその趣旨を了として、今回のような措置の決定になつたのであります。従いましてすでに実際上行つておる人員整理の一環として認めていただいたと申し上げるのが、適当ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/29
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030・岡田五郎
○岡田(五)委員長代理 何かはかに御質問価ございませんか。——それでは私から一言御質問申し上げたいのですが、この改正法案の第五項の該当者の場合には、給與の全額を支給するということになつておりますが、この給與の内容につきまして、この機会に明らかにしておいていた定きたいと思いますのは、第六項によりますと、俸給、扶養手当及び勤務地手当の合計額の百分の八十ということになつておりまして、さような問題に対しまする給與の全額、こういうことになりますと、特別の勤務地手当とか寒冷地手当とか石炭手当その他の手当も含まれるかのように考えられるのでありますが、そういうように解釈してよいのかどうか、政府の御説明を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/30
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031・石井昭正
○石井(昭)政府委員 委員長のお言葉の通り、これはこの次の六なり七なりの給與とは内容を異にいたしておりまして、一応すべての手当も入るわけであります。しかし現実問題として勤務をいたしておらないのでありますから、たとえば超過勤務手当のように、一定の勤務時間を過ぎた勤務に対して與えられる手当とか、あるいは、作業時間に対して與えられる手当とかいうようなものは、作業をいださないから入り得ないのであります。実質問題としては入つて来ない、しかし建前としてはそのほかの手当、石炭手当、寒冷地手当も当然入るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/31
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032・岡田五郎
○岡田(五)委員長代理 それでは実働に伴う特殊な給與以外の一切の給與は、給與の全額という中へ含んでいるものと解釈していいですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/32
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033・石井昭正
○石井(昭)政府委員 お言葉の通りと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/33
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034・岡田五郎
○岡田(五)委員長代理 もう一つ御質問を申し上げますが、改正案第二項に休職期間三年を越えない範囲において総裁が定める云々とあるのですが、これは総裁が労働組合と団体交渉のような形でおきめになるのか、それとも総裁が経営者の立場で單独におきめになるのか、その辺のところを政府はどういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/34
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035・石井昭正
○石井(昭)政府委員 公労法の第八條の第二項に団体交渉の対象とできるという項目がございますが、五号に「懲戒規則並びに昇職、降職、転職、免職、休停職及び先任権の基準に関する規則」というものがございます。この休職の基準と申しますか、一般的な方針については、たとえばこういう程度の病気に対してはこの程度の期間というような趣旨のものは、団体交渉の対象としてきめてしかるべきだと思います。しかしながら個々の休職の発令にあたりまして、その基準のどれに該当するかの認定は、管理者側の一方的な行為できめられて、それに対して苦情処理その他の手続が行われることは当然と思いますが、一応一方的に発令されると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/35
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036・江崎一治
○江崎(一)委員 この法律案の提案理由の説明、並びに石野委員その他の委員の御質問によつて、大体了承したのでありますけれども、二、三御質問を申し上げたいと思います。第五項に「職員が公務上負傷し、又は疾病にかかり」云々とありますが、この公務上の負傷というものは、きわめて明らかに判定ができるのでありますけれども、疾病ということになりますと、非常にその判定がむずかしいことになると思います。もちろんこれは專門医の意見を聞くことになるのでありましようが、その判定はだれがすることになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/36
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037・石井昭正
○石井(昭)政府委員 御説の通り疾病の場合は、職務に基くものであるかどうかという点は、非常に疑問の起るところでありますが、この点は国鉄といたしましては、長い間の経験事例もございますので、ただいまのところではすこぶる客観的な基準ができております。それに基いて処理いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/37
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038・江崎一治
○江崎(一)委員 長い間の経験でそういうことがわかつておるようにおつしやいましたが、それについて具体的な基準がおありになつたらお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/38
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039・石井昭正
○石井(昭)政府委員 ただいま手元にございませんので、すぐお届けするようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/39
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040・江崎一治
○江崎(一)委員 この疾病の種類でありますが、まずこれは一つの例をとつて御質問いたしますと、胃腸病で休職になつた、ところが途中で結核性の病気に移行したというような場合は、休職期間の問題をどう取扱いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/40
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041・石井昭正
○石井(昭)政府委員 最初に胃腸病で休職にされた。後に結核性疾患が出たという場合は、第六号の方の結核性疾患という方の適用を当然されることになると思うのであります。ただその人個人に対する休職期間は、三年という範囲で発令されるものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/41
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042・江崎一治
○江崎(一)委員 第二項の休職の期間は総裁が定めるとありますが、この総裁が定めた休職の期間に、疾病が始癒しなかつた場合には、どういう取扱いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/42
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043・石井昭正
○石井(昭)政府委員 不幸にして休職満期になりました場合においては、現在の規定では、当然に退職になるのでございますが、今度の場合は、あらためて日本国有鉄道法第二十九條によりまして、「心身の故障のため職務の遂行に支障があり又はこれに堪えない場合」との適用を受けて退職になることに相なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/43
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044・江崎一治
○江崎(一)委員 参考までに伺いたいが日本人は非常にカリエスが多い。脊髄カリエスに対してどういう判定を下されるか、ちよつと專門的になると思いますけれども、わかつていたらお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/44
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045・石井昭正
○石井(昭)政府委員 たいへん申訳ございませんが、そういう方面の專門家が参つておりませんので、お答えしにくいのでありますが、結核性のものは結核として処置をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/45
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046・岡田五郎
○岡田(五)委員長代理 これにて質疑は終了いたしました。
これより討論に入りますが、討論の通告がございませんので、これを省略いたしまするに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/46
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047・岡田五郎
○岡田(五)委員長代理 異議なしと認め、さように決定いたします。
これより日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につきまして、採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/47
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048・岡田五郎
○岡田(五)委員長代理 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
なお本案に対する委員会報告書につきましては、委員長に御一任を願います。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101203830X01019511115/48
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