1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十一月十五日(木曜日)
午前十一時四分開議
出席委員
委員長 田中伊三次君
理事 田中 重彌君 理事 藤枝 泉介君
理事 淵上房太郎君 理事 平川 篤雄君
理事 松澤 兼人君
小川原政信君 尾関 義一君
加藤隆太郎君 上林山榮吉君
佐藤 親弘君 塩田賀四郎君
瀬戸山三男君 高橋 權六君
中馬 辰猪君 二階堂 進君
吉川 久衛君 竹山祐太朗君
中曽根康弘君 柄澤登志子君
岡田 春夫君 稻村 順三君
八百板 正君
出席政府委員
内閣官房長官 岡崎 勝男君
内閣官房副長官 菅野 義丸君
人事院総裁 浅井 清君
人事院事務官
(事務総局給与
局長) 滝本 忠男君
地方財政委員会
委員 木村 清司君
総理府事務官
(地方財政委員
会事務局財務部
長) 武岡 憲一君
大蔵事務官
(主計局長) 河野 一之君
大蔵事務官
(主計局給与課
長) 岸本 晋君
委員外の出席者
専 門 員 安倍 三郎君
十一月十五日
委員大野伴睦君、小澤佐重喜君、田中豊君、西
村久之君、藤井平治君、星島二郎君、本間俊一
君、渡邊良夫君、芦田均君及び今井耕君辞任に
つき、その補欠として中馬辰猪君、佐藤親弘君、
高橋權六君、上林山榮吉君、小川原政信君、二
階堂進君、瀬戸山三男君、尾関義一君、竹山祐
太郎君及び吉川久衛君が議長の指名で委員に選
任された。
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本日の会議に付した事件
昭和二十六年度における国家公務員に対する年
末手当の額の特例に関する法律案(内閣提出第
一九号)
一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第二六号)
特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第四五号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/0
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001・田中伊三次
○田中委員長 これより人事委員会を開きます。
議事に入る前に御報告を申し上げます。昨十四日特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、内閣提出、第四五号、この審査を当委員会に付託になりましたので、御報告を申し上げます。
これから昭和二十六年度における国家公務員に対する年末手当の額の特例に関する法律案、及び一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の二案を一括議題として質疑を続行いたします。まず淵上君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/1
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002・淵上房太郎
○淵上委員 この機会に政府にお尋ね申し上げます。このたびの給与法改正のこの法案につきましては、政府におかれましては給与改善のためにいろいろ御研究の結果、施策を講じていただきまして、まことに私どもはこの点におきましては敬意を表するのでありまするが、なおこれで私どもは決して満足しているものではありません。私どもは官庁能率を上げるという建前からいたしまして、あるいは機構の改革も大いにやるべし、あるいは定員の縮減、淘汰もまことにけつこうであります。しかしながら同時に一面におきましては公務員の能率の増進のためには、少くとも公務員が安んじて、一応は食うだけのことはやつて行けるという程度にまで、これを遇しなければならぬということが当然でありますので、この点から特に政府におかれましては、格別の御配慮をお願い申し上げたいと思うのであります。人事院におかれまして、理論生計費の調査なり、あるいは民間給与との比較などの御研究の結果、去る八月に勧告が出たのでありますが、どうも財政の都合上、この勧告に対してもなお千二百円ばかり足りないような実情であるのであります。私はむしろ大いに首切るものは首切つて、そうして人事院勧告以上の給与をなすという御方途をお講じくださることを、切に政府に希望するのでありますが、この際お伺いいたしたいことは、政府におかれまして、財政の都合がつき次第、すみやかなる機会にさらにこの給与改善としてこれ以上の改訂をなさいます御計画があるかどうかを、この機会にお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/2
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003・岡崎勝男
○岡崎政府委員 政府は元来人事院の勧告をできる限り尊重する建前をとつておりまするから、ただいまは財政上困難でありますけれども、でき得るならば勧告通りにもいたしたいと、今でも考えておるくらいであります。この点は今御希望として述べられたような線でもつて進みたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/3
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004・淵上房太郎
○淵上委員 ただいまの政府の御説明で満足いたします。どうか財政の方途を十分御考究、御検討の結果、すみやかなる機会にさらに給与改善に一段の措置を講じていただくように切望してやみません。
地域給の問題につきまして、さらにこの機会にお伺いいたしたいと思うのであります。人事院総裁にお伺いいたしますが、人事院におきましては、近く再勧告をされるやに伺うのであります。それは給与のいかなる点につきまして再勧告をされる御方針でありまするか、なおまたいつごろに、いかなる時期に再勧告される御方針でありますか、まずこれをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/4
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005・浅井清
○浅井政府委員 お尋ねの再勧告云々の話はいわゆる勤務地手当、地域給に関することのように存じております。人事院といたしましては、現在の地域給に対しまして、種々各方面にも御論議のあることをよく存じておりますし、陳情等も十分に聴取いたしております。そこで人事院といたしましては、近い機会にさらにこれを補正をいたす考えでおりまして、ただ現在提出いたしておりまするものは、できまするならば、このままお通しを願いたい。つまりこれはこの案をもちまして公務員の約七十五、六パーセントが地域給を得るように相なつておりましてこれはベースの金額にも影響することでございます。なお補正すべきものはできるだけすみやかにこれをいたしたい、かように考えております。ただいまお尋ねの再勧告云々はこのことであろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/5
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006・淵上房太郎
○淵上委員 ただいまの御説明でよくわかりましたが、この地域差の問題につきましては、今春第十国会におきまして、予備審査の形で当委員会において、繰返し広範囲にわたつて質問応答が重ねられたのであります。今これを繰返すことを省略いたしますが、たとえば一つの例として考えますのに、この法案の内容にあるこの表によりますれば、たとえば東京都におきまして三鷹市が五級地であり、立川市が三級地である。三鷹と立川とのこの二箇所について比較研究すると、ここに一〇%の地域差を認められておるのでありますが、どうも私どもこの問題に関しましても、十分納得が行かないのであります。これにつきまして、いろいろ御説明の理由もあると思いますが、こういう事態が全国的に各地にあるのでありまして、市町村間のアン・バランス――不均衡がかなりあるやに拝見しているのであります。人事院月報の御発表によりますれば、今日なお全般的に妥当であるということを御説明になつておりまするが、部分的には妥当でない点があるというふうに、お示しになつていることだろうと解釈しているのであります。どうかすみやかにただいま御説明の再勧告をお出しいただきたいと思うのであります。人事院自身ですでに妥当でない点を含むという趣旨で、再勧告をされる必要を感じられておりまするこの地域区分表を内容としたる法案を、政府は御提出になつておられるのでありまするが、もし再勧告があり、さらに検討の上現在出されておりまするこの地域区分が改訂されました場合においては、政府におかれましてはできるだけすみやかにその趣旨に沿い、なお当委員会の審議の結果を尊重されて、それに伴う法案並びに予算措置を講じていただきたいと思うのでありますが、この点に関する政府の御所見を伺つておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/6
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007・岡崎勝男
○岡崎政府委員 ただいまの地域給につきましては、すでに各方面からいろいろ陳情等もあるのであります。そこで人事院の方では、これらの実情も研究の上、さらに勧告を出されるつもりでおられるようでありますので、政府としては、そういう勧告が出ましたときは、――むろんこれは内容を検討し、かつ財源を検討しなければならぬわけでありまするが、その新たなる勧告が出ました場合は、財源の許す範囲で、できるだけすみやかにこれを実施するように善処する考えでおるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/7
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008・淵上房太郎
○淵上委員 ただいまの政府並びに人事院の御説明、御答弁でよく了承いたしました。私どもはただ窮極するところ考えるのは、公務員の能率の増進であるのであります。どの役所に行きましても、中央官庁といわず地方官庁といわず、多くは非常に非能率の状態にあることはごらんの通りであります。かつまた食えないから超過勤務というものが非常に多い、こういう変な状態をすみやかに直すためには、あくまでも給与の改善をお考えくださることを切に希望いたしまして、私はただいまの御説明を一応了承しまして、質問を打切ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/8
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009・田中伊三次
○田中委員長 それではこれに関連して中曽根君。ごく簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/9
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010・中曽根康弘
○中曽根委員 今の地域給の補正と申しますか、再勧告に関連して人事院総裁に二点だけお尋ねいたしたいと思います。
再勧告の原案というものは、もうすでにできているものでございましようか。できておるならばなぜ今度の議会にそれが提案されなかつたのであるか。これが一つ。
それから第二点は、なるたけ早くというお答えでございましたけれども、次の通常議会に間に合うように勧告される予定であるかどうか、国会との関係において、これはたいへん大事な問題でありますので、その関係において御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/10
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011・浅井清
○浅井政府委員 お答え申し上げます。第一点はまだ原案は人事院会議の議決を経ておりません。従つてこの席上ではまだ結論に達していないと申し上げるほかはないと存じます。
第二点は、お説の通り通常国会に間に合うように、勧告をいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/11
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012・田中伊三次
○田中委員長 次に加藤君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/12
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013・加藤隆太郎
○加藤(隆)委員 私もこの際一点だけ簡単にお尋ね申し上げたいと思います。
今般一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の中で、企業官庁の職員の給別俸給表を取上げられましたことは、まことにけつこうでありまして、これによつて作業能率が一段と高揚することを、私どもは期待いたしておりますが、ただこの第六条のうの「左の各号に掲げる職員」という五の項でありますが、ここに郵政省の所管と思われるものがあります。郵政省にはこのほかに、郵政省の資材部に印刷工場、工作工場があることを聞いておりまするが、これらは貯金局、保険局あるいは郵便局に勤務する職員と何らかわらない、よりまさる現業に従事しておる職員でありまして、かように列記された各種の職種のほかに、この印刷工場あるいは工作工場を落されている点は、どういうお考えであつたか。また六の項は電気通信省所管のそれぞれの職員でありますが、これは地方出先機関の職場でありまして、電気通信省の本省には建設部がありまして、この建設部の中には伝送無線工事課あるいは線路課あるいは機械課、こういう現業職場がありまして、これらの各課においては直営工事あるいは直接工事監督の衝に当つている現業の職員がおりまして、これらのいわゆる職務を地方電気通信部その他管理所その他の職種と何らかわらない職場に従事している方々でありまして、さような職員の適用がここに漏れているということは、いかにも不公平の感があるように感ぜられるのであります。政府といたしましては、これらの職員に対するこの適用をいかにお考えになつておられるか、ちよつとお尋ね申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/13
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014・河野一之
○河野(一)政府委員 現業俸給表を適用する職種をどうするかということは、実は非常にむずかしい問題であるのであります。そういう企業会計所属の職員全体をそういうふうにする考えもありますし、そのうちのいわゆる企業だけに特殊な職種であり、人事や給与の制度についても特別の形態として、考慮すべきであるという考え方もあるわけであります。現在提案申し上げております現業俸給につきましては、後者の考え方で行つておるのでありまし、たとえば印刷関係の職員はどうかという話もございますが、一般会計におきましても、印刷工場も印刷庁以外に相当持つております。そういつた関係、また庁務自体に従事しているいわゆる管理職員といつたものは、一般の官庁の職員と何ら異ならないのでありまして、そういつた権衡を考慮いたしまして、企業能率を直接増進することに関係のある第一線の職員、こういう関係で職種を選びました結果、そういうふうなことに相なつておるわけであります。もちろん一般職員との権衡は考慮いたさなければなりませんが、さしあたり現業俸給の適用の問題としてはそう考えて行きたい。また今後の問題として御趣旨の点は考慮して行きたい、こう考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/14
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015・加藤隆太郎
○加藤(隆)委員 御説明はごもつともでございますが、御承知の通り郵政省とか電気通信省は企業官庁でございまして、その中で特に管理関係の方々は除いた真の現業職場に対する適用をお考えであると思うのでありますが、それでけつこうだと思うのであります。ここに明らかに列記してあるように、郵政省においては印刷工場、作業工作工場というような明らかな現業職場があり、また電気通信省におきましても、本省でも管理部門ばかりでなく、地方現業と何らかわらない直営工場をやつておるのです。本省の建設部の中でも、これらの申し上げました各課におきましては、直接その現業に直営工事を担当しておる職員があるのでありまして、こういうような職員がこの適用から漏れるということは、非常な障害を及ぼす原因となるということをおもんばかるのでありまして、従つて私はかように明らかにここに各課の職種を列記された以上は、当然ここに挿入すべきであるということを考えておるものであります。しかもかような幅のあるお考えをもつて対せられるならば、これはここへ一々列記されぬでも、あるいはこの各項の中にか、あるいはまた第六条の5に「企業官庁職員級別俸給表は、左の各号に掲げる職員」という下に、並びにこれに準ずる職員に適用するとかいうような一項を挿入して、これらの真に現業に携わる者をして、この適用を受けしめるようなお扱いを願うことに御理解をいただきたく存じまして、一応そのお考えを承つておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/15
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016・河野一之
○河野(一)政府委員 これはバランスの問題でございまして、非常にむずかし問題なのでございますが、われわれれといたしましてこの案を考えましたのは、いわゆるその企業本来の事業であつて、その企業の能率を増進するという建前に、実は立つておるのであります。そういつた建設関係の仕事に従事している者が本来のものであるかどうか。この点については御判断がいろいろあると思うのでありますが、たとえば電気通信省において建築関係の仕事をやつているといつた場合、電話局の建物をつくるといつた場合に、すぐそのものが企業会計に属しておるということで、すぐに現業俸給を適用するということになりますと、これは建設省の営繕工事の職員も同じじやないかという議論も出て参ります。また河川、土木等の工事をやつている者も同じじやないかということで、そこのところのけじめがなかなかつけにくいのでございます。つまり現業という解釈もいろいろ議論があるのでありますが、企業自体に直接してその企業の能率を増進するといつた見地から考えますと、ほかの方との関連も考えて、その企業の特色であるという職種だけに限つて参りたいというのが、われわれの考え方でございます。もちろんこの現業俸給の適用につきましては、なおいろいろ検討を要する点もございますが、御趣旨のような点につきましては十分今後検討して参りたい、こう考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/16
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017・加藤隆太郎
○加藤(隆)委員 過ぐる委員会に藤枝委員からも御質問があつて、私もまことに適切な御質問だと考えておりましたが、この級別俸給表を取上げられる範囲が現業官庁に限られて、一般官庁に及んでおらないようでありまして、従つて今の御説明によりますと、いわばこの各項以外には適用しないようなお考えのように承つたのでありますけれども、しかし私は郵政省とか電気通信省とか、ここに明らかに級別俸給表を取上げられる対象の最も重点を置かるべき事業官庁の中で、しかもこういうようにはつきり同じような現業に携わつておる者が、その省の中において差別的になるおそれがあるような規定では、これはまことに省の運営に当事者は困るのではないかと思うのであります。従つて本省でありましても、建設部のごときは、課によりまして実際に現業に携わつて直営工場をやつておる。この直営工場をやつて同じようなことをしておる者に、これが適用を受けないということになりますと、まことに困りはしないかと私は考えるのでありまして、そこにまた脱法的ないろいろなことも考えるようなことを、かえつて生ずるおそれがあるということを考えるときに、私は五号なり六号なりの職員の末端にでも、これに準ずる職員はこれの適用を受けるというようにでもして、幅を持たせておいていただかなければ、これは扱いしたいへん困るじやないか、こう考えておるのでありまして、政府におかれましては、どうかその点実際の企業官庁として――もちろん企業官庁の中にも管理部門、現業部門ということははつきりしておりますので、その職場によりまして、現業と管理との明らかな判別はつくのでありますから、その点はもつと幅を持たせていただきますようにお考え置きをいただきたいと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/17
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018・田中伊三次
○田中委員長 柄澤君、きようの質問場の順序は松澤君、平川君、あなたという順序でありますが、両君はちよつと外へ出ておりますので、帰るまであなたの質問を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/18
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019・柄澤登志子
○柄澤委員 人事院総裁と副長官にお伺いしたいと思います。実は昨日当委員会といたしまして参考人を呼び、私どもの審議が公正妥当であるべき準備を十分重ねたいという意図から、いろいろ御意見を聴取したわけでございます。委員長が指名されました五大市長その他中小都市の市長等もお招きいたしまして、御意見を伺つたのでありますが、いずれもただいまの給与ベースではとうていやつて行けない、国家公務員並の給与ベースはいただきたいというような御意見が、圧倒的であつたのでございます。そのときに同じ参考人として呼ばれました官公労、並びに自治労関係の労働組合の諸君からの御意見も承つたのでございますが、たまたま人事院の勧告案はもちろんでございまするが、政府の給与ベースについての疑義あるいは不満というものが、るる述べられたのでございます。私どもとしてもその間に出て参りましたいろいろな疑問の点で、ぜひただしておきたいと思う点につきまして、きのう実は続いて質問したかつたのでありますが、一般の質問ということでありまして、最後に多少混乱いたしまして、質疑ができなかつたことを非常に遺憾に思つているわけであります。今日は実はそれとも関連いたしまして、ぜひ質疑の時間をいただきたい、かように思つている次第でございます。
一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、これに関連いたしまして、俸給月額の改訂の中で、一番私どもが疑問に思つておりました点、また従事しております公務員が熱望しております点は、いわゆる職階制のべースの上げ方の不公平の問題でございます。この点につきましては、民間から招きましたところの方々の御意見にもございまして、官公庁の仕事の中核をなして、一番多数を占めております五級から八級の給与の上げ方というものが、非常に少いではないか。大体一五%しか上げていない。しかし高級官僚になると、三五%くらい上つている。この点がどうも不当ではないかということを言われたと思うのでございます。その点につきまして政府並びに人事院総裁の御意見を承りたいと思います。
それに関連いたしましてよく申されることは、生活が困るので超過勤務をやるのだ、こういうことであります。実はさつきの御質問の、いらない者は首を切つて、公務員が安心して働く態勢をつくることは賛成であるという御意見に続きまして、食えないから超過勤務をやるのだというような御意見が漏れております。これはひとりこの委員会の同僚委員の御意見ではなく、政府側の御答弁の中にも、勤務時間中には遊んでいる者があるが、その労働を強化すれば、もつと圧縮して十分働かせれば、超過勤務もいらないし、定員も少くすることができるということが見えます。これが今度のいわゆる天引き首切りと申しますか、行政機構改革をやらずに首を切るという、天引き首切りの一つの根拠になつておると思うのでございます。その点につきまして、未払いの超過勤務手当が、大体支払いずみの九十一億の超過勤務の約倍ある。九十一億というのは、総額の三分の一だそうでございます。そのほかに支払われないところの超過勤務手当というものがその二倍ある。でございますと、約その三倍、二百数十億円にあたる超過勤務を、現在の公務員がやらなければ業務がやれない。もし困つてやるものでございましたならば、支払われないところの超過勤務をやるわけがない、かように私どもは考えるのでございます。ですから、超過勤務をやるのは、困つているのでわざわざ時間を延ばしてやるというような御見解が、政府に多少なりともあるとするならば、たいへんこれは問題だと思うのでございまして、その点につきましての御意見を、ひとつ承りたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/19
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020・菅野義丸
○菅野政府委員 お答え申し上げます。今回の改正法の俸給表のカーブでございますが、お説の通り下級職員と上級職員では、その増加の割合が違つております。しかしこれは人事院の勧告にもはつきり説明してありますように、二級三号のところにいわゆる標準生計費を置きまして、それからあとは民間の各級別の実際の調査をいたしましたものと調和を合したのでありまして、政府の俸給表のカーブも、その傾向を尊重いたしまして、財源の関係上一割強低くなつておりまするが、それは全般として低くして、そのカーブの傾向に沿つてやつておるような次第でございます。それから各級ごとの生計費に及ぼしまするところのいろいろの物価の値上り等の関係と、それから減税の関係を見きわめまして検討いたしました結果につきましては、先般資料を提出しておきましたが、これで一向さしつかえないという結論になつております。
次に超過勤務手当のことでございまするが、超過勤務手当はもちろん生活の困窮を救うというような趣旨ではございません。実際に正常なる勤務時間の間にできなかつた仕事を、その時間を超過して勤務を命じました場合に支払われる手当でございまして、その点につきまして、いわゆる未払いの超過勤務手当ということがございましたが、正当に権限あるものが命令をいたしまして、超過勤務をいたしたものにつきましては、未払いということはないわけでございます。しかしながら実際におきましては、そういう正当な手続を経ないで、事実上残つて仕事をするというものもございますが、これは超過勤務手当を支給する正当な手続を経ておらないものでございまして、いわば命令によつて超過勤務をしているものとは、認められないものであると私どもは考えております。従いまして御質問の、生活の困難を救うために、超過勤務手当をやるということは決してございません。また平生遊んでおつて、超過勤務手当をとるために、勤務時間以外に特に居残りをして、働くということはないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/20
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021・浅井清
○浅井政府委員 ただいまお尋ねの給与のカーブの問題及び超過勤務の問題はすでに官房副長官からお述べになつたのと、少しも違わないのでありますから、あらためて繰返すことはないように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/21
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022・柄澤登志子
○柄澤委員 今度の人事院勧告の中で、ただいまのカーブの問題の点だけが、非常に高く評価されて政府がお取入れになつた点だと思うのであります。その点につきまして、事務的にこれをこういうふうにきめたから、こう上げたというのではなしに、なぜ四級――八級が一五%で、上の方が三五%になるということで妥当な給与、公務員らしい生活ができるとお考えになるかということの御意見を承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/22
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023・菅野義丸
○菅野政府委員 御承知の通り国家公務員法によりますと、公務員の給与は、民間の給与あるいは生活費等を考えてきめることになつておりまするが、従いまして、人事院の勧告におきましても、生活費及び民間給与の実態調査をいたしまして、それを根拠に置いて勧告が出されておるわけでございます。従いまして、私どもといたしましては、財源の関係上額におきまして、あるいはそのままのめない場合におきましても、その原理その傾向等につきましては、非常なる手数と時間をかけて調査した結果でございまするから、これをさらに検討したり、あるいはそれをかえるということは、国家的にもむだがありますし、法律的にもまつたく法律に従つた調査でございますので、尊重いたしまして、それに沿つた俸給表をつくつておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/23
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024・浅井清
○浅井政府委員 私から一言つけ加えまするが、ただいま柄澤さんの御質疑で、人事院の勧告の中で給与カーブのところだけを内閣がとりまして、その他は何も尊重されてないかのごときお尋ねがありましたが、決してそうではございません。奨励手当を除きましては人事院の給与の体系は、ほとんど全部内閣によつて承認されておるのでございまして、その限りにおきまして、人事院は満足の意を表しておるのであります。ただ国家財政全般の立場から金額に相違ができておるわけでございまして、それが一番大切なところだと仰せられればそれまででございまするが、ただいまのお尋ねは少し違つておるように存じております。
それから次に給与の曲線について中だるみになつておるところを御指摘になつたのでございますが、これは民間の給与におきましても、おそらく給与はすべてこのような曲線を引いて上昇傾向を持つのでございまして、これは民間におきましてもさようでございまするから、国家公務員におきましてこれを特に直線で結ぶというようなことはいたしかねる、これはかえつて給与の正常な上昇の傾向を害するもののように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/24
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025・田中伊三次
○田中委員長 これに関連して高橋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/25
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026・高橋權六
○高橋(權)委員 総裁その他当局に簡単に質問しますから御答弁願います。
今俸給その他について議せられておりますが、私はもう少しくその方面から調べていただいて、今日行政整理でもしようというそれこともに、先ほど淵上委員が言われたように、善良なる人にはより以上の俸給の増俸をしてもいいと思う点があります。私はほかの方と違つた観点から伺いたいのでありますが、どういううことであるかというと、公職に従事している人間が、労働運動のために出張をしたり時間をつぶしていることは、私は実際目撃している。そういうことを上位におられるあなた方は注意されておるか、われわれ国民に対していろいろ特に煽動するような連中は、俸給を上げ、上げ、べース・アップなどとんでもないイングリッシュで、やつておるようであります。その反面怠けることは大いに怠けて宣伝している、こういうことが言えると思う。そういうふうなことをやつている者に、私は超過勤務をやる必要はないと思う。それからよく本省その他をまわつていると、時間が来ても碁、将棋にふけつているような人間がたくさんおる。またわれわれがそういう部屋に入つて行くと、テーブルの上に足を上げて行儀の悪いもはなはだしい連中を再三再四日撃するのであります。そういうことから、私は第一に俸給の上げ下げよりも、働いて金とるというような指導をしてもらいたい。人気とるような連中は、ただこの次の選挙のことのみ考える。衆議院議員は年がら年中しなくてもいい。そういう考えから私は特に人格者であるところの浅井人事院総裁に、当局がもう少しくそういう点に留意することが必要だ、首切るならば、そういう労働運動のために出張したり、時間をつぶしておる者をリストにあげておいて、一番最初に槍玉にあげて、そういう者の俸給をまじめに働く者により以上に与えるということが、ほんとうにふさわしいことではないかと思うのであります。その点についてちよつとお伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/26
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027・菅野義丸
○菅野政府委員 お答え申し上げます。公務員の能率を上げることにつきましては、人事院の指導のもとにいろいろやつておりまして、この給与方面にこれを反映したらどうかというような御意見でございまするが、その点につきましても、政府は今慎重に考えておりまして、超過勤務手当につきましても、ことに管理部門の仕事をしておる者につきましては、これをさらに能率給的な面から見て考えたらどうかということも、今検討中でございます。まじめに働く者には給与を厚くしてやるというようなことは、今後の給与体制としては考えなければならぬことじやないかと考えております。それから労働運動でありますが、これは現在のところはおおむね休暇をとりまして、そうして自分の休暇の範囲内でやつておるように聞いておりますが、もし勤務時間中にそういうことをやつておる者がありますれば、厳にこれを取締りたいと存じております。また官紀の粛正につきましては、十分今後も留意いたしまして、監督を厳重にいたす考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/27
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028・浅井清
○浅井政府委員 高橋さんにお答えいたしますが、お尋ねの点はまことに御同感でありまして、官庁の綱紀紀律を粛正するということは御同感でございます。私どもも及ばずながらそのつもりでやつておる次第でございます。ただお尋ねの中で、あるいは誤解が生ずるといけないかと思う点がございまするが、それは組合運動云々のお話がございましたが、これは公務員法においても認められておるのでありまして、九十八条の第三項に職員はこの職員団体のために何かをやつても、そのために不利益は受けない、こういうことが書いてございます。但しそれは決して勤務時間を犠牲にしたり、他人の勤務を妨害したりしてやつてはならないということも、十分人事院規則で書いてございまするから、ただ御質疑のあれが組合運動をやつたからいかぬということでございますれば、それはちよつと御了承いたしかねるのでございます。それからなお組合運動のために必要なる者は、組合の専従者というものが認められておるのでございます。これは休暇の制度で認められております。また当局との交渉は、これは勤務時間中でもよろしいというのが現行制度になつております。その点はどうぞ悪しからず御了承を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/28
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029・高橋權六
○高橋(權)委員 そう言えば、あながち出張のみじやない。不在ばかりでなく、現在われわれが用があつて質問に行つても、きようは労働運動のために行つているからというようなことでいつたら、われわれ全国の代表である――選出の際には一都道府県のある部分から選挙されているけれども、当選のあかつきは八千数百万人の代表であるところのわれわれ議員である。その人間がまじめなるところの研究その他質問をするために行つたときに、そういうことに行つておるということを発見したらば、幾時間はずしたか、俸給のうちからそれを削減してもいいと思う。なおそういう抜け道があるからといつて、それを濫用するような者があつてはいけないと私は思う。われわれは血と汗をもつて納税をしておる。まして納め得ざる人間もあるが、納め得る資格がありながら納めないような不都合な者もある、しかし大部分はまじめな人間で、日本の国をまかなつてもらうために、忠実に納税をしている。その大切なる納税によつてまかなうところの公職の者が、そういう都合のいい法律が設けられておるにしたところが、私はもしわれわれ職務上質問に行つて、それが満足することができないということは、はなはだいけないと思う。私これから時間と名前も――そういう点にぶつかつた場合には、厳然として世の中を善導するためにも私はやつていただきたいのであります。今浅井総裁から御答弁いただきましたが、その点が私は抜け道に使つておりはせぬかと思う。現在本省あたりに行つても、そういうことがあるのです。このごろの人間は、昔の人間を少しく学んでもらいたい。昔は大工、左官のごときは、建築してその建築はだれそれの作だと後の世に残すために、技術を熱心にして賃金のことを考えていなかつた。今の人間は遊んで金をとることばかり考えている。またそういうことを煽動しているような連中がある。われわれ政治家の名を汚すような人間が出て来て宣伝しておる。これは事実だ。そういうことのないように私はしていただきたい。人間は名を残すということを考えなければならぬ。私のような考えの人間がおつたら、裁判所も警察もいらなくなる。いろいろ心配しておる連中があるが、警察予備隊もいらなくなるはずだ。そういう点からもう少し私はほんとうにいかに労働組合のために動いていいというようなところも、私は勤務時間中においては遠慮してもらいたい。上官に対して質問をしたいことがあつたならば、退庁後でもいい。そういうことを考えないと、私は全部とは言わぬが、特に女のごときは月に一回の何かあるからということで、欠勤届をするような方法を講じて、その実は熱海やいろいろなところに行つて、静粛にしていなければならない人間が活動していることを、私は目撃しておる。こういうこともほんとうにまじめなるところの衆議院議員ならば考えているはずだ。笑いごとではない、笑つておるやつはヒステリックだ。そういうことを考えて、私はあなた方に、もしそういう勤務時間は絶対やらせないような方法をしてもらわないと、屋外稼働者は雨が降つたならば休まなければならぬ。賃金はもらえない。こういう建物の中に入つて勤務しておる人間は、雨の日風の日、ちやんと賃金をいただける。屋外で働くところのあの稼働者のことを考えたときにおいて、私はこれは許すべからざることだと思うのであります。そういう点で、もう一つ当局の御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/29
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030・菅野義丸
○菅野政府委員 お答え申し上げます。お話の通り、法律の規定とかその他の規定は、単なる規定でありまして、これを実際に運用するのはむずかしいのでございますが、お話の点よく了承いたしまして、今後この法律の運用につきましては、十分御意見を尊重して慎重にいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/30
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031・田中伊三次
○田中委員長 松澤君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/31
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032・松澤兼人
○松澤委員 先ほど地域給の問題について御質問があつたのでありますが、なお念のためにお伺いしたいと思います。お伺いいたしたいことは大体先ほどのお話でわかりましたのですが、この中で人事院の勧告にありました字指定が省かれまして、官署指定をしたのでありますが、この官署指定の場合に、近接の市町村で地域給を受けている者と関連して指定することになつておりますが、この方式ははたしてうまく運用できるかどうかという点、多少疑点があるのであります。特に従来官署があるために、今までの既得権を尊重して、地域の指定があつたというところが、比較的高く指定されているというところがあつたわけでありますが、こういうところがその官署指定になるとするならば、当然指定のし直しをしなければならないのじやないかと思われるところがあると思うのです。こういう点につきまして、官署指定を実際にどういうふうにして人事院規則で定めるかという点について、お考えをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/32
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033・滝本忠男
○滝本政府委員 官署指定につきましては、われわれが五月に勧告いたしました際に、別表に載つておりました字、この字にありまする官署、国の官署でございますが、こういうものを指定するということが、今われわれが考えておることなんです。従いまして官署指定という方法によりまして、今後どんどん地域給をつけるとか、ふやして行こうということを別に考えておるわけではございません。今後もし必要があるといたしましても、これは最小限度にいたしたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/33
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034・松澤兼人
○松澤委員 一例をあげますと、先ほどもちよつとその近所まで話が及んだのでありますが、三鷹市の場合お話があつたのでありますが、たとえば国立はそこに一ツ橋大学がありましたということで、高くつけたという御説明を私聞いたことがあるのでありますが、もし官署指定にするならば、当然この官署だけ指定すればそれで済むということで、是正をしなければならないところが起つて来るのではないか、その点を考えるわけですが、この政府の案によりますと、その辺のところはどうなつておりますか、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/34
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035・滝本忠男
○滝本政府委員 国立の例が出たのでございますが、国立は仰せのように一ツ橋大学が従来から地域給を持つておりましたので、これを認めるということによりまして、一応指定しておつたわけであります。しかし今回は国立にありまする一ツ橋大学というものを大体対象に考えますので、そのほかの部分につきましては一応全体的にバランスを見まして、国立を格付いたしてあるのでございますが、われわれが五月の勧告の別表に出ました地域内にある官署につきましては、これはバランス上やはり官署指定ということをする必要があるというふうに考えております。なお先ほどからお話がございましたように、今回出ております別表によりますと、その後事情の変化したものもございますし、なお今後検討いたしまして調整をはかる必要があるというふうに考えております。その際にある程度の調整をはかつて参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/35
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036・松澤兼人
○松澤委員 そういたしますと、一ツ橋大学は既得権尊重の意味から申しまして、従来のように五級をつける、しかし国立にある郵便局は三級であるということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/36
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037・滝本忠男
○滝本政府委員 ただいまも申し上げましたように、国立にありまする一ツ橋大学というものを対象に考えまして、これを従来五級というふうに考えておつたのでありますが、そのあとにあります国の官署につきましては、やはりバランスをとりまして考えなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/37
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038・松澤兼人
○松澤委員 そういたしますと、この点は非常に重要だと思うのでありますが、以前には国立全体が五級に指定されておつた。今回は官署指定によつて一ツ橋大学は当然五級である。しかし郵便局はそのバランスをとるために五級にしなければならない。それ以外の地方公務員は三級の取扱いを受けるということになりますと、非常にそこで混乱が起るのじやないか、こう思うのであります。たとえば国立の場合に一ツ橋大学ばかりでなくて、そこにある官署は全部五級にする。そしてそのほかの国立町全体としては三級地というふうになる、こう解釈してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/38
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039・滝本忠男
○滝本政府委員 今回人事院から意見の申入れをいたしまして、政府が法律案の別表として出されております地域区分というものは、主といたしまして国家公務員を対象に考えておるものでございます。従いまして、地方公務員の場合におきましては、地方自治体がそれぞれの判断によりましてこれはお考えになる、こういうことになろうがと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/39
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040・松澤兼人
○松澤委員 そういたしますと、国立にあります官署はすべて五級地に指定される、それ以外の地方公務員は、ここで三級地であると指定されておれば、三級地としての地域給をつけるであろう、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/40
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041・滝本忠男
○滝本政府委員 地方自治体でやられますることを、われわれが想像して申し上げるということは、なかなかむずかしいものがあると思うのであります。ただ国の機関を考えまする際には、これはバランスをとつて考える必要がある、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/41
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042・松澤兼人
○松澤委員 その手続でありますけれども、そうしますと一ツ橋大学でなくてすべての――郵便局にいたしましても、あるいは国警がありますなら国警の場合にも、すべての政府職員は一ツ橋大学と同じような地域給を受ける、この点をもう一度はつきりさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/42
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043・滝本忠男
○滝本政府委員 バランスをとります上におきまして、一ツ橋大学と同じ地域給をつけるということに全部なるかどうかという点につきましては、なお十分検討を要するというふうに考えるのであります。とにかくバランスをとる必要がある、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/43
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044・松澤兼人
○松澤委員 私はそれは相当重大な問題だ思うのですが、そうしますと、国立は前にどれだけ地域給がついていたかよく存じませんけれども、一ツ橋大学の関係であるいは全部の官署が五級地の指定を受けていたかもしれません。そうなつて参りますと、この際バランスをとるということだけおつしやつても、一ツ橋大学と同一にするということでなければ、たいへん変なことになると思うのです。実際の実情はどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/44
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045・滝本忠男
○滝本政府委員 人事院が勧告いたしましたときに出しました別表というものにおいて、字指定をやるのでありますが、その字指定をやります際に、その字に含まれておるすべての官署を指定するということでやつたのではないのであります。たまたま従前地域給をもらつておりましたところの官署、その官署を従前扱つておりました方法、すなわち官署指定という方法によりませんで、すべてこれを別表にあげるという趣旨であげたものでございます。従いまして今回そういう字を一応落すということになりますれば、われわれが考えておりますのは、当時調査してわかつておりますもの、すなわち当時において地域給をもらつておりましたものは、当然官署指定の対象になるのであります。しかしながらそのほかのものについては目下調査中でありますが、十分バランスをとつてやりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/45
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046・松澤兼人
○松澤委員 もう少しはつきりおつしやつていただいたらいいと思うのであります。一ツ橋大学だけでなく、すべての官署を同等に取扱うという御答弁が得られれば、非常にけつこうだと思うのであります。実際どういうふうに国立においては地域給がつけられ、そして今後どういうふうにするかということを、はつきり言明していただけばけつこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/46
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047・滝本忠男
○滝本政府委員 官署指定を今回やるという趣旨は、われわれが現在やつておりまする勤務地の支給区分というものは、勤務地によつておるわけであります。この勤務地によつておりますものを、若干居住地主義と調整をはかるということが趣旨であります。国立におきまする。一ツ橋大学の職員、教授、そのほかの学校教員というものは、ほとんど大部分東京都内から通つておられる。これは一ツ橋大学が元神田にございまして、それが向うに移りました関係上、多くの職員が東京都内から通つておられるということが、この一ツ橋大学が現在五級の特地の地域給をもらつているという原因であるようにわれわれ考えております。従いまして国立に居住いたします人々が国立に勤めまする場合とは、若干そこに違いがあるのではなかろうかと考えておる次第であります。かようなわけでございますから、そういうことが一つの判断の原因になろうと考えるわけであります。従いまして個々の官署をよく見ましてそうしてこの問題はバランスをとつて参りたいというふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/47
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048・松澤兼人
○松澤委員 そういうことを言い始めたらきりがないと思うのです。一ツ橋大学が東京にあつたとき、東京に居住している人が比較的多かつたかもわかりませんが、しかし中野であるとか何とかいうところから通つておる人もあるでしよう。中野はもちろん五級地でしようが、それ以外のところから通つている人もあるでしようし、国立にたとえば郵便局があつて、その国立の郵便局に通つておる人は、必ずしも国立から通つていない。もつと生活程度の低いところから、物価の安いところから通つている人もある。そうすると官署指定ではなくて、居住地指定というようなことになつて来るのではないか。そういうところまでここで給与局長が言い始めたら、この問題はまた根本から議論し直さなければならぬと思う。そこで国立において、一ツ橋大学が五級の官署指定を受けるということであれば、そのほかの官署もこれとバランスをとる上からいつて、やはり五級の官署に指定しなければならない、こういうことなら話がわかるのです。その住んでいるところがどうのこうのなんということを言い始めたら、それは住んでいるところに地域給をつける、勤務地主義でなく居住地主義の方が適当だということになつて来ると思う。そこまで話をもどさないで、これから先国立にある官署は、同一の町の中にある高い指定を受ける官署に右へならえをするのだ、あるいはそういう方針であるのだということを言つていただければ私はいいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/48
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049・滝本忠男
○滝本政府委員 今後の取扱いはおおむね今松澤委員の言われたようにいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/49
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050・松澤兼人
○松澤委員 国立の問題はそれで大体片がついたと思いますが、そのほかにもそういうところがあるのじやないですか。ざつくばらんにお話くださつて、そういう官署の関係で、字でなく市という場合は割合にそういうことはないと思いますけれども、特にそういう意味で変更になつたという箇所がほかにもございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/50
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051・滝本忠男
○滝本政府委員 今の御質問の趣旨が十分了解いたしかねるのでございますので、もう一ぺんお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/51
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052・松澤兼人
○松澤委員 国立の問題は事情が大体わかりましたが、そういう所は、たとえば小金井でありますとか、あるいは府中でありますとかいう所は、御存じのような農業大学でしたか何かでいろいろ問題があつたと思うのですが、そういう所、府中もこれは一級下つているのじやないですか、そういう箇所がほかにもありますかということ聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/52
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053・滝本忠男
○滝本政府委員 今御指摘のような点につきましては、各方面に照会を発しまして調査中であります。今御指摘の府中のような地点がほかにあるかどうかという点につきましては、ただいま的確な資料を持つておりませんが、そういう点は十分調査いたしまして、遺憾のないようにいたしたいと目下照会中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/53
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054・松澤兼人
○松澤委員 官署があるかないかということでなくて、この勧告の場合には、その官署があるということのために、今言つた国立のように五級の指定をしていた。ところが官署指定になつたのだから国立自身は三級になつた、そういう所がほかにもあるのじやないかというのです。おわかりじやないですか。国立のように人事院が勧告したときよりも著しく下つている。五級に指定してあつたのでしよう。それが今度は三級になる。しかし町自体は官署指定で一ツ橋大学は五級を支給するというお考えである。他の官署もそれにならわせたいつもりであるというふうに、あなたの方の勧告と政府の出しました地域の指定とが著しく違つている所はほかにございませんかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/54
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055・滝本忠男
○滝本政府委員 ほかにはないように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/55
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056・松澤兼人
○松澤委員 そうすると国立だけと了解いたしてようしゆうございますね。それじやその問題はそれでけつこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/56
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057・平川篤雄
○平川委員 地域給の問題で、ちよつとお伺いしておきたいのですが、この前の五月の勧告は、昨年の五月の資料に基いてやられたということは、前々からよくお話になつておることでありますが、その後内閣の統計などを見ますと、ずいぶん地域差というものが変動して来ておる。ほかの委員からもお話があつたように、もうそろそろこれはやめることを段階にして考えて行かなければならぬ問題だと思うのです。ところが私は非常に心配をいたしておるのでありますが、たとえば一級の一号の者が、東京都の地域給をもらうということになりますと、これは非常にわずかなんです。ところが十五級の最高の五万円でありますが、ここらになると幾らになりますか、五万円に対する二割五分というものをもらうということになる。ひどく言えば最も低い給料をもらつておる十人前くらいのものをもらうようなことになる。そういうようなことが今後だんだん累積せられて参りますと、事実問題としてこの最高給を、地域給を含めたものよりか下げてはならないという事態が来わしないか。現在のままで行きましても、結局最後のところは地域給を含めたところを一番上の給料に定めて行かなければならないというような事態が起つて来るように思われる。これは私は考えてみなければならないと思う。そこでここらの考え方に非常にずさんな点があつたと思うのでありますが、一体地域給というものは、生活をして行く上の物資の価格というものに直接ではないにいたしましても、関連はあるのであります。そういうことになれば、これは生活給的のものであつて、五万円も月にとつておる者が二割五分も地域給をもらうということは、私はりくつが立たぬと思う。やはり地域給の違いは給料の低い者に対して非常に大きいものを与えて、だんだんカーブを下にして行くというような試みがなされなければいかぬ。そういうようなことにおいて次第に均霑せしめて、地域差をなくして行くというような方向をとらなければ、最後には政府自体が行詰まつてしまうのではないか。給与体系の上から申しましても、千五百円アップであるとか、あるいは二千七百円アップだとか申しましても、その中の相当大きな部分が地域給の部分を占めておつて、基本的なものがだんだん狭められて行くということは、これは不自然なことで、こういうような点をお考えになつて行くと、今でもこれはむずかしいのではないか。私は先に対する見通しを、どういうふうにお考えになつておるか、この一点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/57
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058・浅井清
○浅井政府委員 ごもつともの御質疑でございますが、なるほど仰せのように地域給は生活給的なものであつて、俸給体系を二つにわけますれば職務給と生活給とになるのでありますが、われわれはだんだんと職務給的なものに持つて行きたいと考えております。しかしながら現状におきまして、現状の給与水準の程度では、まだこの地域給を廃止するに至りません。ただしただいまお示しのように、将来はまたできるだけすみやかに地域給というものは廃止すべきもののように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/58
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059・平川篤雄
○平川委員 今のはポイントが少しずれておるのであります。私が申しますのは、非常に低い給与の人たちには、二割五分であつても、ほんとうにわずかである。しかるに大きな大人が二人も三人も養えるような額の地域給を今でももらつておる人がある。そういうところをどういうふうに始末をして行かれるかということです。それからまた地域給がついておるもの、これはもらつていない者からいえば、一つの既得権のような気持になつておるのであります。それを今度は基本給の中に繰入れて行くという場合に、どういうふうな措置をとつてやられようとしておるか、これが一つ心配なんです。私としては、そこで提案は、だんだんカーブをゆるめて、上に行くほど下げて行くということで、下を厚くして行く、あるいは今後の再勧告などの時期においては、今までついていないところに――これは非常に政治的な考え方でありますけれども、総花的に、ついていないところを一級地に引上げて、だんだんその差を縮めて行く。とにかくこれは資金なしにはできないのでありまして、そういうような点について政府は、ある時期においては相当な資金をかけても、この妙にゆがめられつつある地域給の改善によつて給与体系を改めて行く意思があるか、その見通しがあるかということをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/59
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060・浅井清
○浅井政府委員 もちろん人事院としては国会及び内閣に勧告をするだけでございますが、その問題の原動力になつておる人事院としての立場を申し上げるわけでありますが、お示しのように将来は直して行きたいと思います。しからば問題はどのようにしてこれを直して行くかということは、ただいま申されましたようにいろいろ考え方があるわけでございますが、実はわれわれもその点で悩んでおるのでありまして、そのうちまたどれによるかということは、まだ考えがきまつておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/60
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061・田中伊三次
○田中委員長 これは大切な問題ですから、内閣からもお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/61
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062・菅野義丸
○菅野政府委員 内閣からお答え申し上げます。ただいまの第一点の下級な者で少額の給与を受けておる者は、生活給的な色彩が強いから、それにはいいけれども、たとえば十四級とか十五級とかいう上の者が、同じように地域給をもらうのはおかしいじやないかという御質問でございますが、これは俸給表の立て方が全部地域給を全然なくした額でもつてつくつておるわけでありまして、標準生計費におきましても、たとえば東京の実数を調べましても、全部地域給を除いて換算した数字でもつて計算しておるのでございます。従いまして、この俸給表の全部の数字は地域給がないものと仮定した数字でございますので、かりにその人が東京にしかないような職名でありましても、やはりそれに二割五分というものを加算しないと、バランスがとれないということになりまして、現在は上級者も下級者もつけておるような次第でございます。
なおまた地域給をどうするかという問題につきましては、これはお話の通り現在の給与体系から申しますると、まつたくアブノーマルなものでありまして、でき得ればこれは一日も早くなくしてしまいたいと考えております。しかし各地の地域差というものは永久に残るでありましようから、これを一般の給与体系の中にのみ込めるような給与の額がきまるときが来なければ、なかなか実現は困難だと思いまするが、そういうふうにいたしましてこの具体的の方法については、人事院等の指示を受けたいと思つておりまするが、なるべくすみやかにこれをなくしたいと考えております。
なおまことにかつてでございますが、この機会に先般平川委員からお尋ねになりました、今回の政府案によつて、二十六年度においてどれだけの給与の予算がふえるかというお尋ねがございまして、御答弁を保留してございましたが、今お答え申し上げます。この前国家公務員につきまして一般会計七十三億、特別会計七十八億、合計百五十二億ということを申し上げたのでありますが、この数字は表面的な数字でございまして、その後この一般会計、特別会計の入り乱れているものを差引をいたしまして精算いたしますと、一般会計七十億、特別会計五十七億で、合計百二十七億の増加になります。そのほか政府機関といたしまして百七億、地方公務員がこれは推定でございますが、八十三億ばかりになりますので、合計いたしますと三百十七億、政府案によりますと、二十六年度の増加が三百十七億というふうに推定されますので、この点もお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/62
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063・平川篤雄
○平川委員 今副長官からお話がございまして大体了承できるのでありますが、この点につきましては、私は早急に根本的な対策をお立てにならぬと、非常に将来禍根を残す問題ではないか思います。われわれ国会の方の側にいたしましても、人事院、大蔵省、官房そういうところと、ほんとうにこれは懇談会を持つてでも、対策を研究して行かなければならぬ事態となつておるのではないかというふうに思うのであります。また特にさような体系の乱れから、何か高級官僚だけよくして、下の給与をわれわれ薄くしておるというような印象を給与全体が与えておるという、あちらこちらにそういう証左があるのでありますが、こういうことも私は根本的に考え直して行かなければならぬ問題だ。こういうことに関連してでも、この地域給の問題をすぐ取上げて行かなければならぬように思うのであります。この前の国会のときに私申しました例の地域給に関する調査費のことでありますが、ただいま十一月にあつちこつちのほんのわずかな地点を選びまして、何か資料をお集めになつておるようであります。しかしこういうことをやりましても、この前の国会に私が指摘いたしましたような根本的な問題を解決するには至らぬのでありますが、やはり今までおやりになつたような大規模な調査をいたしてみられる必要があるのではないか。今度は今の地域給の問題ではなしに、ほんとうに僻陬地の問題、その他の問題を研究せられる上に、そういう点でこの前の国会ではもう予算は必要ではないから、要求はしないというようなお話であつたが、今度の来年度予算についてはお考えがかわつて、特別にまた御用意になつておるかおらぬか、その辺をお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/63
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064・滝本忠男
○滝本政府委員 地域給の今後の取扱いにつきましては、ただいま御指摘のように、われわれこれを慎重に考えておりまして、この問題は非常に大きな問題として研究しております。御指摘のように十一月中にわれわれの方から調査に出たということもございます。これは今後の問題のためでございます。しかし来年度予算として、たとえば従来行いました特別CPSのような調査をやるかどうかということになりますと、これはこういう調査をやつてみましても、今後得られる数字等の信憑性ということもございますので、こういう点につきましては、われわれとしましてはあまり望みをかけておらないのでございます。ただわれわれが現在までに研究しました結果、過去三回やりましたこの特別CPSというものは、個々に見て参りますると、ずいぶん違つたところもございまするが、地域給全体の問題を今後どういうふうに判断して行くかということにつきましては、これは非常に有力な資料として、今後使い得るというような研究をいたしております。それでこれをどういうふうに補正して使うかというような点につきまして、いろいろ検討しておりますが、そういうわけでございまして、直接特別CPS調査費のような予算は要求しておりませんが、今後の地域給の取扱い方等につきましては、十分慎重に検討いたしておるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/64
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065・平川篤雄
○平川委員 地域給の問題はそれで打切りますが、ひとつこの次の再勧告の際におきましては、今申し上げたような見地に立つて、将来やめるということを考えながら、少ししかついていない地域、あるいは低い方の給与をもらつておる人を厚くするというような方向へ、なるべく考えてみていただきたい、こういうふうに要望をいたしたいと思うのであります。
それから次にこれは地財委の方へお伺いしたいのでありますが、この前私地方公務員のべース・アツプの問題について、例の大蔵省から出ております地方公務員が、給与のもらい過ぎをしておるという結論について問いただしたのでありますが、どうもやはり納得が行かない。結局はある限られた部分について調べて、それを全般に推し及ぼすというような結論になつておるのではないかと思うのであります。従つて大蔵省から一定のそういう概念的な措置によつて、十分にその給与の増額予算というものは渡していない。そうなると結局は地財委の方ではそれを配分せられるという問題が出て来る。配分をするという場合には、必ずしも高いところ低いところということが、はつきりつかめるわけではないのでありますから、自然一律におやりになると、もらい過ぎておるところはよろしゆうございましようが、もらい過ぎていないところは、非常な気の毒な目にあわせるということになりはしないかというふうな点を私心配で、お答えを願つたわけでございます。ところがそれについてまだ何ら方法を考えてないというようなお話でありましたので、保留をいたしておつた問題があるのでありますが、ひとつ委員の方からお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/65
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066・木村清司
○木村(清)政府委員 われわれが平衡交付金を要求いたしております財源計算の基礎といたしましては、一応大蔵省の査定した地方公務員の基準を採用しております。しかしそれでもわれわれ地方財政委員会としては、百億不足という結論が出ておるわけでありますが、それはさておいて、いわゆる大蔵省の査定した地方公務員が高いということ自体につきましては、必ずしもあの金額には確信があるわけではありません。ただしかし現在のところ反対の根拠がない限りは、一応それによるということにいたしまして、ここでただいま一応大蔵省の言う限界を各公共団体に示して、実際にそれが正しいかどうかということを調査しておりますから、その調査の結果、給与ベースの切りかえの際には、なおさらその点について詳細に検討することになりますので、調査の結果によつては異つた数字が相当出るんじやなかろうかと思つております。異つた数字が出ましたならば、またわれわれの方の財源不足ということについて、政府に対してあらためてその数字に基いて要求するごとに相なることと思いますが、ただ平衡交付金の配分につきましては、現実に高いところがあつて――高いところというよりも、われわれは平均の標準的な単位費用を算出して配分いたしますから、従来切詰めてあるものとすれば余裕がある。また従来使い方が不当に――と申しますか、高過ぎているところは平衡交付金が、それだけ低いということに相なりますから、御質問の御趣旨の、何か高いところはいいが、低いところは困るというようなお話がありましたのとは、逆な現象を呈するということをお話申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/66
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067・平川篤雄
○平川委員 現実に個人にわたつて、その結論を将来にまた持ち越して見るというお考えなのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/67
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068・木村清司
○木村(清)政府委員 大蔵省の算定も一定の標準によつて、個人的な審査を集積した結果、全体を推定したわけでありますが、その個人的の調査の方法についても、必ずしも完全でないと思います。われわれといたしましては、完全な調査ができまして、大蔵省の調査と異つた数字ができましたならば、それに基いてあらためて政府と交渉することに相なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/68
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069・平川篤雄
○平川委員 個人々々にわたりました場合に、この前もちよつとそれに触れたのでありますが、一体平均々々と申しましても、平均というのは総額の平均があるだけであつて、いわゆる給与にはこれだけの財源があつて、この中であんばいするのであるから、高級者は何人でなければならぬ、三級の者は何人でなくてはならぬ、五級の者は何人でなくてはならぬというような定員をきめてから、計画的にやつておるのではない。だから自然若い者がいつでも入れかわるようなところは、いつでも平均は安くなるのであります。古い人がいつも残つているようなところは、いつも平均が高くなつて行くのでありますから、こういう点について、はつきりした基準を常に示されて、どこでもバランスがとれるような状態になつているなら話はわかると思いますが、現状をそのまま是認して行くということになりますと、やはりもらい過ぎるというところは、具体的にはどういうことになるかわかりませんが、給与を上げるのをしばらく待てとか、あるいは高い者を首切つて安い者にとりかえるとかいうようなことが起つて来るのではないかと思いますが、その点のお見通しはどうなんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/69
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070・木村清司
○木村(清)政府委員 これは各費目の標準単価のきめ方のときに、大体標準的な地方団体を選んで、そこにおける標準的な、たとえば土木とかあるいは衛生とかあるいは各費目にわたつて、何級職の者がどの程度というようなことを検討した上で、それについて一定の補正率を加えて推定して行くというふうに相なりますから、地方団体全体としては、つまり大量観察としては、大体妥当な線に行くだろうということで算出するわけでありますから、たまたまもし非常に高級な者がおりますれば、必ずしも現状に合うというわけに行きませんが、もしそれが団体として特に高級の者が必要だというならば、その団体の実際の必要に基いてやつておるというわけでありますから、平衡交付金のわけ方といたしましては、標準的な団体において必要とする財政需要というものを測定して、配分するということに相なります。ですから、標準的なものに、たとえば教育費とか、そのうちでも小学校とか、中学校とか、高等学校とかいうものに、それぞれ標準的団体において、どの程度の教員がいるということを測定いたしまして、それに対して一定の補正率をかけて配分するという考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/70
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071・平川篤雄
○平川委員 関連してちよつと御意見をお聞きしておきたいのであります。今度の地方公共団体の行政整理の案が、新聞紙上などで最近出ているのであります。ああいうものに対して地財委としては、どういうふうなお考えを持つておられるかということが一つと、もう一つは退職手当がまだ本年度の平衡交付金の中には見込まれておらないそうでありますが、一体行政整理というわくの中に入つて、退職手当を将来もらえるというものは、何月以後にやめた者に適用せられることになるのか、その辺のお見通しを聞かせてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/71
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072・木村清司
○木村(清)政府委員 実はまだ当委員会としては、地方団体の行政整理に関する政府の方針がどの程度決定し、どういう方式で、どういうようにするかということは、まだ正式には承つておらぬものですから、それに対する措置は、まだ決定しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/72
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073・平川篤雄
○平川委員 地財委としては、当然この問題は平衡交付金の算定等に関連をして来ると思うのでありますが、国家公務員と地方公務員との間には、いろいろ民衆に直接接しているだけに、あらゆる分野で減員をすべき程度もかわつて来る点があるかと思うのでありますが、一つ実状に即した考え方をもつて、将来この点についても臨んでいただきたいと思います。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/73
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074・田中伊三次
○田中委員長 休憩に入りたいと思いますが、その前に特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由の説明を聴取いたします。河野政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/74
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075・河野一之
○河野(一)政府委員 別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
特別職の職員の給与については、従来一般職の職員の給与との権衡において、その職務の内容に応じた給与が定められて参つたのでありますが、今般人事院の勧告に基き、一般職の職員の給与が改訂ざれることとなりましたので、特別職につきましても、一般職と同様、特別職の職員の給与に関する法律に所要の改正を加え、一給与の改訂を行いたいと存ずるのであります。
次に改正の要点を簡単に御説明申し上げます。第一に、内閣総理大臣等の給与につきましては、一般職の職員の給与改訂と権衡を図り、かつ、その職務内容に応じて俸給月額を現行の二割ないし三割程度増額することとしました。
第二に、首都建設委員会委員等の給与は、従来日額千八百五十円の範囲内で、手当が支給されていたのでありますが、これも一般職の非常勤職員である委員、顧問、参与等と同様、日額二千二百円に改めようとするものであります。なお、その他若干の規定の整備を行つております。
以上がこの法律案を提出いたしました理由並びにその内容の概略であります。なにとぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/75
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076・田中伊三次
○田中委員長 これにて休憩をいたしたいと存じますが、審議中の三案について、その取扱いを協議するために、ただちに理事会を開きたいと思います。
午前中はこの程度で休憩をいたします。午後正一時三十分より、まことに恐縮ですが、御参集を願います。
午後零時三十九分休憩
――――◇―――――
午後二時十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/76
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077・田中伊三次
○田中委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。
ただいまより昭和二十六年度における国家公務員に対する年末手当の額の特例に関する法律案及び一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括議題として質疑を続行いたします。平川君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/77
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078・平川篤雄
○平川委員 一言大蔵当局にお尋ねをいたしたいのであります。昨年末やはり年末手当の法律案が出ました際に、林野庁関係のいわゆる日雇い労務者、常勤的な労務者に対して、これに順じて年末手当の措置をとらるるように要望いたしまして、幸いそういう措置をとられたのでありますが、本年も同様の措置を引続きおとりになるものと了承いたしておるのでありますが、その点はどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/78
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079・岸本晋
○岸本政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/79
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080・藤枝泉介
○藤枝委員 議事進行について……。動議を提出いたします。ただいま議題となつております給与関係の二つの法案につきましては、去る十日本委員会に付託以来、連日同僚委員各位と政府との間に質疑応答が行われ、しかも昨十四日は参考人の陳述を終日聞く等、十分審議を尽したものと思われますので、この程度で質疑を打切り、ただちに二つの法案の討論採決に入られんことを望みます。
〔「反対々々と」呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/80
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081・田中伊三次
○田中委員長 藤枝君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/81
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082・田中伊三次
○田中委員長 起立多数。それでは質疑はこれにて終了をいたしました。
これより討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。まず藤枝泉介君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/82
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083・藤枝泉介
○藤枝委員 私は自由党を代表いたしまして、ただいま議題となつております給与関係の二つの法案に賛成をいたすものであります。
公務員諸君の生活の現状が相当に困難でありますことは、われわれも十分認識はいたしておるのでありまして、これが改善にあたりましては、最善の努力をいたしたいと考えておつたのでございます。しかして今回米価その他の値上りといわゆる所得税の減税とをにらみ合せまして、現行の八千円べース、現実には八千五百数十円、になつておりますベースを約二割方引上げまして、一万円平均といたします今回のこの処置はまさに妥当なりと考えるのでございます。もちろん公務員の給与が多ければ多いほどいいということもいえるのでありますけれども、一面これを負担いたしますところの国民負担も考えなければならぬと思うのでありまして、今回の減税によりましても、なお相当の負担過剰を訴えられるときにあたりまして、今回三会計を通じまして二百数十億円の給与改善費を計上いたしますということは、まさに国民負担からいたしましてこの程度が限度と考えられるのでございます。しかも内容的に申しましても、国民生活の水準の維持ということに努めておるのであります。またこれを一般労働者の賃金に比較いたしましても、毎月勤労統計に現われますところの労働者の平均毎月きまつて支給されるものが、一万六百余円というこの金額と、今回の公務員の平均とを比べますならば、まさに妥当な点であろうと私は考えるのであります。かような意味におきまして今回のこの法案に賛成をいたしたいと思います。
ただ地域給の問題につきましては、午前の質疑にもありましたように幾多問題を残しておるのでありまして、この際人事院におきましてはすみやかに調査を遂げて、再び勧告をされることを望むとともに、その勧告がありました場合には、内閣においても十分その勧告の趣旨を尊重いたしまして、すみやかにこれが実現方に努力されるよう要望するものでございます。またこの地域給の区分につきましては、国家公務員本意に考えられておるのでありまするから、地方公務員にこれをそのまま引写しにすることなく、十分地方の実情を考えた地域区分というものを、別途に考えることが妥当であろうと思うのでありまして、この点につきましても政府の努力を要望いたす次第であります。これらの要望を付しまして、以上二法律案に賛成をいたすものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/83
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084・田中伊三次
○田中委員長 平川君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/84
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085・平川篤雄
○平川委員 国民民主党を代表して、両案に反対の意を表明する次第であります。
その反対の理由を申し上げます。第一に給与の体系についてでありますが、人事院はさきに四千二百円を十八歳成年男子の標準としてとつておるのに対し、今回減税分等を見込みまして三千九百九十九円と政府が見込まれ、この点は大体人事院と政府の間に意見の一致があるようであります。この限りにおきましては私どもなるほどと思わざるを得ないのでありますが、実際の生活実態を考えてみますときに、とても十八歳男子が四千円で生活はできない実情である。従つてこの人事院案においても、あるいは政府案におきましても、いずれの案における基準も、これは低過ぎるというのがわれわれの見解であります。かつその上に組み上げられましたカーブというものを検討いたしてみまするのに、人事院の案は一応民間給与の実態というものに即してやつておられるのであるが、政府の方は、その最終の帰結点としていわゆる取締役級の平均給というものを出されまして、そこにおいてそれを大体等比級数的につないでおられる、そこらに何らの理論と実態の裏づけが見られないのであります。大体このようなことは当初から千五百円というものを固定して予想しておられて、それに合せたような数字、つまり人事院案よりも一割二分だけ少いものを出すようなカーブを、人為的におつくりになつたとしか、われわれは了解できないのであります。ただいま藤枝委員から民間給与の一万六百円におおむね一致しておるように言われておるのでありますが、これは政府当局がお話になりましたように、この民間給与の実態というものは、数字のとり方で違うということを、明らかに政府当局も言つておられるのであります。一万六百円というのが必ずしもこれは確実な数字とは、われわれは思わないのであります。でともかくも今度の補正予算におきまして、いまだかつてない千五百九十二億七千万円に達する大膨脹が行われたのでありますが、それに対して一般会計に関係する給与引上分というものは、わずかに八十七億円であつて、これは全体の六一四%にすぎないのであります。他の政府機関等におきましても、大体これは同様なことが言えると思う。一体このような状態で財政的な理由をもつて、このような給与にすえ置かなければならないのだといわれるのは、私どもはりくつが立たないと思う。予算案の批判のようなことになりますから多くはこの際申しませんが、ともかくも六・四%のみ与えるということでは、私はもつと余裕があるのではないかというふうに思うのであります。かような点から申しまして、この政府案の給与体系というものは、生計費とも見合わないし、民間給与との均衡も十分にとれておらないように思うのであります。ことに重大に考えなければならないことは、公務員の大多数を占めております五級、六級、七級というようなところが非常に低位に置かれて、上級者に行くほど急激にカーブが上昇しておる。これは人事院案におきましても同じ傾向なのであります。現在私どもは、ただいまのごとき経済事情、一般の国民の生活の水準にあつては、かようなカーブをとることはやはり間違つておると思うのであります。生活給と同時に能率給というものを、漸次見込んで行かなければならぬことはわれわれも同感なのであります。しかし現在におきましては、生活給的な考え方というものが、もつと行われなければならない、こういうふうにわれわれは考えるのであります。この点につきまして、人事院においては最低の給与一級一号、最高の十五級四との開きが約十五倍である。それから政府案においては十四倍であつて、人事院の案より低いということを、政府当局は呼号せられるのでありますが、これは目くそ鼻くそを笑う程度であつて、決して私どもの納得し得ないところであります。
次に勤務地手当の問題でありますが、大体昨年五月の資料に基きまして、五月に勧告せられたものが、政府の不手ぎわから今日まで、これが延引いたしたことにより、実態からずれておるということが出て来ておるのであります。最近のCPSなんかを見ましても、非常に大きな変動がありまして、ところはさしませんが、たとえば五級地に指定をせられております所が、もうすでに級地の指定を危ぶまれるような状態で数箇月続いて来ておるというような例もあるのであります。このような点につきまして、何らかの改訂をして今度は政府が案を出されるものと、われわれは思つておつたのでありますが、人事院の勧告をそのままここに載せられたということは、非常に誤つたやり方であると思うのであります。昨年の五月のものがやつとこの十月から支給せられる、その間実際から非常に大きなずれがあるということを、指摘しなければならぬと思うのであります。それからこの勤務地手当が、最初は本俸に対して一割とか一割五分という比率をかけたことに、そう大した誤りはなかつたろうと思うのでありますが、最近の給与は、ただいま申しましたたように、下に薄く上に厚いような急激なカーブをとるような体系が、ずつと続いて参ましたために、このような比率を乗ずるやり方は、本来の生活給的な本質をなくいたしまして、今では奇妙なものになつてしまつておるのであります。また人事院の勧告は、過去に大蔵省の給与局にありました時代の地域給とそのまま妥協しておる点などから、きわめて合理性の乏しいものになつて来ているのであります。ことに給与総額のうち、おおむね二割を地域給、勤務地手当の額が占めるというに至つては、これは給与体系を混乱させ、遂には破滅させるものではないかと思うのであります。しかるの本委員会においてただしたところによりますと、そうした将来に対する計画がない。ご承知のように、与党、野党を含めまして、この勤務地手当の問題は、実はそれほど重大でないにもかかわらず、頭を痛めるほど政治的な問題になりつつあります。かような点から考えますときに、当然政府当局も計画を持つておやりにならなければならぬと思うのでありますが、勤務地手当の問題が、ますます給与体系を混乱させる状態を強めるだけの傾向にあると思われるのは、はなはだ遺憾にたえないのであります。年末手当につきましては、人事院は六月、十二月の両期に定期的に与えることを、はつりと給与法の中にうたおうといたしたのでありますが、政府はこれを十二月のみとし、かつ〇・八程度にこれを押えているが、私ども十分と考えることはできないのであります。
大体以上が各法案の重要な点についての反対の意見でありますが、ことに私は、政府の持つております給与政策というものについて根本的に疑惑を持ち、反対せざるを得ないのであります。先ほども申しましたように、今度の補正予算は、大蔵大臣の言葉によりますと、安定と能率と発展を目ざす、はなはだりつぱなもののように言われるのでありますが、この給与法を見、最近の米の問題なんかを思い合せますときに、政府がかりにも発展ということを考え、安定と能率ということを考えるならば、そのしわ寄せを低米価政策と低賃金政策へ持つて来ている、こうしか断定することができないのであります。かような給与政策は、私はとらるべきでないというふうに考えるのであります。ことにしばしば申し上げるように、最近公務員の素質の劣悪という問題があるのでありますが、特に給与の問題は重要視して行かなければならない。能率というものをこの点から考えます場合に、政府の現在とつておりますのは、ただ首切りがあるだけであります。能率ということについて、それを裏づけるだけの十分な給与政策というものが、どこにも見当らないのであります。かような意図を持ちましたところの給与政策というものについては、われわれは根本的に反対せざるを得ないのであります。
以上概略でございますが、われわれがこの給与法並びに年末手当の法律に反対をする理由のおもなる点をあげまして、ここに国民民主党は反対の意向を表明する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/85
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086・田中伊三次
○田中委員長 松澤君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/86
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087・松澤兼人
○松澤委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となつております二つの法律案に対しまして、反対の意思を表明いたしたいと存ずるのであります。
第一に、給与の改訂に関してでありますが、国家公務員が法律によつて基本的な労働三権を剥奪せられている、その不利益を救うために、人事院がベース改訂の勧告を出したのでありますから、公務員の特殊な性格にかんがみまして、政府は合理的な計算に基く人事院の勧告を全面的に実施すべきである、こう私どもは考えるのであります。そういう意味から人事院の勧告は、当面の給与政策として、ぜひとも実現しなければならない問題であると考えているのでありまして、私どもが主張しております一万二千円ベースということも、現在の物価値上りの趨勢から考えて、必ずしも妥当ではない、けれども当面の問題としましては、やはりせつかく人事院が勧告を出しておられるこの勧告を、即時全面的に実施することが、政府の責任であると考えているのであります。なお私どもは昨年の千円ベース・アップのときにも申し上げたのでありますが、政府のとつておられる方法は、常に一定の切りかえどきにおける給与平均というものをとられまして、それに千円なりあるいは千五百円なりのベース・アップをしているのでありまして、こういうこまぎれ的なベースの改訂でありますと、給与体系そのものが根拠の非常に薄弱なものとなり、今後こういうこまぎれ的な給与改訂をやつて行くに従いまして、従来から見られた、少くとも六三ベース以前に見られたところの、大蔵省の官僚によつて給与の実権が握られていた当時の給与というものが、また復活するのではないか、こういうことであるならば、人事院が公務員の福祉と利益を守るという立場から勧告しておりますところの公務員の生活の保障ということが、全然意味をなさなくなつて来ると思うのであります。こういう点から行きまして、根本的にいうならば、政府のとつております給与政策というものは、われわれはどうしても賛成ができないのでありまして、少くとも現在といたしましては、人事院の勧告を即時全面的に実施するという立場をとらなければならないと考えるのであります。内容の点につきましては、政府の計算によりますと、改訂後平均一万六十二円になるということでありますが、こういう平均をもつてして、しかも二級三号四千円ということでありますならば、公務員としての生活が十分守られない、こういうことで、は公務の能率的な運営ということが困難になるばかりでなく、公務員及びその家族は、わが身を削るような状態において、公務に従事しなければならない。そのために長期欠勤者、あるいは結核患者であるとかいうものが累増して参つておりますことは、すでに数字において明らかであります。こういう点を考えまして、私たち内容に入つて考えてみると、先ほど平川委員も申されたように、上下の幅がさらに大きくなり、またカーブにおいて中堅の人々が、非常に不利益を受けているという点や、あるいは人事院が勧告いたしました休職給の問題について、百分の百支給しなければならないところを、百分の八十ということに押えている点、あるいは奨励給の問題につきましても、勧告が無視せられているというような点を考えてみまして、私どもはその内容についても、やはり反対の意思表示をしなければならないのであります。また別表として掲げられております地域給の問題につきましては、われわれ人事委員会といをまして、各方面の実情を調査し、かつまた各方面からの陳情を受けて、本来ならば当然この委員会において、修正をしなければならない問題であります。これはおそらく与党の諸君といえども、同感であろうと考えるのであります。この点委員長に対して私ども多少不満に思いますことは、国会において修正しなければならないその審議権を放棄いたしまして、急速に本日法案を上げなければならない理由の了解に、私どもは苦しむのであります。私たちが地域給の問題について、さらにこの別表を検討して、それに対する十分なる修正の案をつくらなければならないのに、なぜこれを放棄したのか。先ほど淵上委員からお話があつて、人事院及び政府当局の答弁がありましたが、ただこれだけの答弁をもつてしては、私たちはこの地域給の問題をうのみにするというわけには行かないのであります。さらに私たちは地方公務員の問題につきましても、今後どういうふうにしてベース・アップをするのか、あるいはベースアップの財源がどうなるのか、これらの点については、はつきりとした見通しをだれも持つておらないのであります。私たちは少くとも地方財政平衡交付金を増額して、そして高いといわれている地方公務員の実態をよく調査されて、必ずしも大蔵省の計算によらないで、現状のまま千五百円のベース・アップをする、そういう方向に持つて行かなければならないのであります。この地方公務員の問題につきましても、われわれは今後いかようにして市町村はベース・アップをするのかということについて、非常に大きな危惧を持つているのであります。これらの問題も解決せられずに、このまま私たちがこの法律案を急いで審議し、また本会議にまわそうという、そういうお考えに対しましては、私たちは反対の意思を表明しなければなりませんし、こういう点を含めて私たちはこの法律案には賛成ができないのであります。特にこういう低賃金をもつてして、民間給与においてもまた右へならえということになりますならば、勤労者の生活というものは、将来ますます騰貴の趨勢をたどるところの物価の荒波にもまれて、非常に困難なる生活を続けなければならないであろうということをおそれまして、私たちはこの法律案に対しましては、反対の意思表示をするのであります。なお年末手当の問題につきましても同様であります。私たちは年間一箇月の年末手当を支給しなければならないという人事院の勧告の線に従いまして、やはり年末手当がこれまた〇・八という、例年よりは〇・三だけはふえているのでありますが、どこまでも人事院の勧告を即時実施するという立場から、年末手当の法律案につきましても、賛成できかねるのであります。
以上簡単にわれわれの立場を申し上げまして、両法律案に対して反対の意思を表明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/87
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088・田中伊三次
○田中委員長 八百板正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/88
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089・八百板正
○八百板委員 私は、日本社会党第二十三控室を代表いたしまして、両法案に対して反対の意見を述べるものであります。
先ほど来反対の意見の中にるる述べられましたように、この両案について考えてみますと、まず第一にわれわれが問題としたい点は、民間給与との均衡をはかると言いながら、何ら実際の民間給与との均衡をはかつておらないという点であります。まずわれわれはせめて一万二千円ベースの給与を実施したいということを主張して参つておるのでありまするが、かりに百歩譲つて、この際人事院の勧告を政府に採用すべきことを主張するといたしましても、まずここで問題としなければならない点は、人事院の勧告そのものが、すでにして民間給与との公平なる均衡をとるという考え方に基くものと、われわれは考えることはできないのであります。なるたけ安い賃金をきめようという方針のもとに、それに都合のいいような資料を並べ立てて、そして低賃金政策の政府のお手伝いをするようなやり方を、人事院がやつているということを、この際はつきり申し上げなければならないのであります。昨日参考人の証言によつても明らかなことく、人事院勧告は、まず四千二百円の標準生計費を出すにあたつてその基礎になつた有力なる理由として、まず一日の食糧の摂取カロリーを千九百三十七というふうに出しておりますが、厚生省の資料に基きましても、現にわれわれは二千五百三十カロリーの熱量を摂取しておるという事実が明らかになつておるにかかわらず、人事院が千九百三十七の数字をとつたということは、明らかに安く賃金を押えようとするために、数字をもてあそんだものであると、われわれは考えざるを得ないのであります。しかもこの人事院勧告よりも、さらに下まわつたところの標準生計費に基いて、政府案が出されておるという点につきましては、われわれは断じて承認することができないのであります。
さらに給与の上下の格差の点につきまして、先ほど来指摘せられましたように、一番かんじんな仕事を担当しておりますところの、数多い公務員に対する給与の引上げにつきましては、きわめてわずかにこれをとどめ、ほとんど名目だけであつて、少額の部分については二〇%程度にとどめ、上の方に至つては三五%も引上げるというような、上に厚く下に薄いというような方法をとり、実質的に公務員の中堅級にありては、ほとんどその恩恵に浴しないというような給与のきめ方をしておるという点は、とうてい納得することのできない点であります。この点につきまして政府は、今日給与体系について、生活給を能率給的に改める段階に達したのであるから、そういう考慮のもとに、上の方に厚くしたのであるというふうな説明をせられでおるのでありますが、もしそれそのようにして能率の向上を目的とすることを、給与体系の上に織り込む必要があるといたしますならば、人事院の勧告の中にうたわれておりますところの、たとえば奨励手当のごときものこそ採用せられなければならなかつたのではなかろうかと思うのであります。しかるにこの点について何らの考慮が、政府の案の中にはとられておらないという点は、考え方の上に大きな矛盾があるということを、私どもは申さざるを得ないのであります。さらにこの絵事体系は、一方において地方公務員の賃金の引上げを圧迫するかのごとき態度をもつて臨んでおるとい点であります。地方公務員が国家公務員に比して、今日待遇がよいというような、きわめてずさんなる一部の統計を悪用いたしまして、一面自治体の自由の意思によつて、地方公務員の賃金は決定することができると申しながら、実際において暗に国家公務員の給与の改訂を、地方公務員に及ぼすことをさせないように期待しているような態度を、政府がこの給与改訂にあたつて示したということは、われわれのまことに遺憾とするところであります。
さらに根本的に考えて参りまして、この政府の給与政策そのものが、今度の給与改訂の上に大きく現われているという点を、私は強く指摘しなければならないのであります。政府は常に口を開けば、賃金を上げることはインフレーシヨンのもととなつて、日本の経済再建のために好ましくないということを申しておるのでありますが、賃金を上げることによつて能率が向上し、やがて日本の経済的生産が高まつて行くというのでありますならば、賃金の引上げが決してインフレーシヨンの要因とはなつて行かないと、われわれは考えておるのであります。むしろ生産の要因に役立たないところの、治安費等の面にむだな国家支出をするというところに、生産の伴わない支出を政府がどんどん計上して行くところにこそ、憂慮すべきインフレーシヨンの根源があると言わなければならないのであります。今日政府は、先ほど平川委員によつても指摘せられましたことく、農村に対しては低米価政策をもつて、農民の生産費に償わないような値段をもつて農民の食糧を取上げ、さらにこの不景気な農村を背景として、低賃金政策を推し進めようとしておるのでありますが、こういうふうにして農村の生活を苦しめ、勤労者の生活を苦しめ、まず国家公務員の基準を安くきめることによつて、民間の給与をこれに準じて安くせよというような基本政策をとつて、そして低賃金政策をとつて行くということは、資本主義的方法によつて資本の蓄積をやつて行くという、自由党の言うところ、あるいは政府の考えるところの資本主義発展のための方法であるかもしれないりでありますけれども、それはやがて社会不安をかもす結果となり、日本の再建のために、政府も自由党も、とるべきものではないと、われわれは考えざるを得ないのであります。さらに人事院の勧告を無視して、政府は常に繰返して尊重したいけれども、今はやれないのだという態度を、今日まで給与改訂にあたつてとつておるのであります。このようにして人事院の勧告を無視するという態度を続けて行くことは、やがて、人事院を置いたところの趣旨を完全に無視するものであつて、われわれは断じて承服することのできない点であります。これらの点を根幹といたしまして組み立てられたところの両法案に対しては、とうてい賛成することができないということを、はつきり申し上げて、両案に対する反対の意見とする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/89
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090・田中伊三次
○田中委員長 岡田春夫君。
〔「簡単々々」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/90
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091・岡田春夫
○岡田(春)委員 反対の理由を申し上げます。自由党の諸君は簡単にやれということですが、私は十分皆さんの納得の行くまでやります。先ほどから民主党、社会党両派より反対の理由を申し述べられたのでありますが、われわれも同様に反対をいたします。
その第一の理由としては、今度の給与法案の内容というものは、明らかに民間給与とのバランスがとれておらない。この点は非常にはつきりしております。この点については、先ほど八百板君あるいは松澤君から具体的な数字を出してわりますので、私は省略いたしますが、ともかくも民間給与との間にバランスのとれていないということは、はつきりいたしております。それだけにこの給与法によつても、国家公務員法の精神に違反している。国家公務員法の違反であると、はつきり言わなければならないのが第一であります。
第二の点は、政府の給与法によると、官吏は最低生活を保障することが絶対にできない、この点が反対の第一の理由であります。これは私が言うまでもなく、人事院が言つてくれている。人事院が標準生計費の算定にあたつて、満十八歳の成年男子は四千二百円でなければならないと言つております。ところが四千二百円がなければ、最低の生活ができないという人事院の勧告を無視して、これよりも二百円低い四千円で食えということを政府は押しつけている。この点においても、人事院すらも政府のこれは食えない給与であることを明らかに暴露しているという戸とを、第二の反対理由として申し上げます。
第三の点としては、先ほども申し上げたように、上下の幅が非常に大きくなつている。ですから平均千五百円のアップであるといつているが、これはうそである。下級の職員は千五百円のアツプになつておらない。千五百円というのは平均の数字であつて、一級品号の場合においては、上林山君もごらんになればおわかりの通りに、六百円のアップであります。ところが十五級四号の場合には、一万三千円のアップなつている。従つて一級一号の六百円のアップの人の犠牲によつて、高級官僚は一万三千円をアップさせるという法律がここに出されているということ、この点おいてもわれわれは反対をいたします。
それからその次に、一応この原案の基準になつたと考えられる人事院の勧告の内容であります。これにつきましては、先ほど八百板君からもカロリー計算の点のお話がありたのでありますけれども、今度の人事院の勧告というものは、日ごろ浅井人事院総裁が科学的であるということを言いながらも、実際はこれは政治に奉仕するところの科学計算であるといわなければならない。言葉をかえて言うならば、自由党に奉仕しつつある計算が出ているということを、はつきり言つておかなければならないと思います。(発言する者あり)それではその基準を明らかにいたします。たとえばこの具体的な勧告の数字をごらんください。ごらんになればおわかりのように、一人一日成年男子の食費が八十二円二十銭になつておる。八十二円二十銭で成年男子が食つて行けるかどうか、この点を考えてみてもわかる。これをもつと具体的に言うならば、ここにカロリー計算が出ておりますが、この数字の計算の中に出ているところによると、牛肉が食べられるようになつている。牛肉がどれだけ食べられるかというと、一日五グラム食べられることになつている。五グラムの牛肉というのはどれだけかというと、これだけであります。人事院はどういうかつこうで五グラムの肉を買われるのか、この買い方をひとつ教えていただかなければならぬ。こういう点から参りましても、これはいかに正確妥当を欠いておるものであるかということを、はつきり裏書きしているとわれわれはいわなければなりません。
そればかりではございません。もう一度最後に申し上げますが、この数字の一番うしろに実体調査が出ております。人事院月報の四十三ページでありますが、この中に十五歳から十七歳の青年で八級職の人が二人いることになつております。八級職というと、地方の役所においては課長であります。中央の役所では係長であります。八級職は大体四十歳くらいの人でなければもらえない。ところがこの実態調査の中を調べてみると、十五歳から十七歳で八級職の人が二人いることになつている。どこにこんな数字があつたのか、日本の国内にあつたのか、空の上にあつたのか、世界のどこにあつたのか、こういう点が明らかになつておらない。こういう点を見ても、人事院の算定というものがいかにインチキなものであるか、この点が明らかになつておると思うのであります。私はこの点を先ほどから浅井人事院総裁にはつきり聞きたかつたのでありますが、浅井さんとしては、幸いに田中人事委員長が質疑を打切られたために、答弁をしなくてもいいことになつたらしいのでありますけれども、これはあとで私は委員会以外の機会に、ひとつ浅井さんにしつかりと伺つてみたいと思うのであります。
ともかくこういう点から見ましても、今度の人事院の勧告は、五月を基準にして計算されているといつているけれども、この計算自体がきわめて非科学的である。しかもこの五月の勧告が、十月の現在において政府の案として実施されようとしている。その以降におけるところの物価高というものはいうまでもないのであります。この物価高というものを考えないで、全然度外視してしまつて、この政府案が行われるということは、われわれは承服することが絶対にできない。そのような見地に立ちまして、吉田内閣はあくまでも低賃金政策を強行しつつある。この低賃金政策を強行する裏づけとして、人事院が奉仕しつつある。このような意味においてもわれわれは賛成するわけに行きません。低賃金政策の基礎は、低賃金の政策を強行するということは、戦争のための準備である。この点が明らかにこの給与法案において暴露されていると思うのであります。再軍備と戦争のためのこの給与法案には、われわれは絶対に反対をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/91
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092・田中伊三次
○田中委員長 最後に柄澤登志子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/92
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093・柄澤登志子
○柄澤委員 私は日本共産党を代表いたしまして、ただいまの法案に対しまする反対の意見を述べさしていただきたいと思うのであります。
当委員会におきましての審議のやり方につきましても、私は非常に不満をもつて来たものでございます。まず予算が通過いたしまして後に、給与法が出、定員法が出たのでございまして、この基礎になつているところの法案の審議もせずに、予算だけを通過するという不可思議な現象が、本会議では公公然として行われたのでございます。従いまして、それと同じように、給与のわくというものが、給与総額がきまつておりまして、その後におきまして実務の実体というようなことが割出され、それから首切りも、超過勤務も、非常勤の問題も、あらゆる労働者のすべての問題が割出されて来るというようなことが行われているのでございます。このことは日本のただいまの状態というものを露骨に現わしております。マッカーサー元帥が、日本人というものはまことに勝者にこびる卑屈な民族だということを報告されたそうでありますけれども、このような吉田内閣の態度が、今度の予算の審議におきましても、給与法におきましても、定員法におきましても、重大な国家公務員の身分を保障するあらゆるその経済的な裏づけの給与の問題に対する審議につきましても、露骨に現われたのでございます。私どもはそういう審議、国会の運営の態度に対しまして、まず不満を表明するものでございます。今日も質疑が続行される予定になつておりまして、確かにそのことについては理事も承認されておつたのにもかかわらず、私どもの留守を見はからつて、まるで抜討ちのように、だまし討ちのように、絶対多数をもつて質疑を打切られたのでございます。(「出席せぬから悪い」)
本論に入りたいと思うのでございますけれども、今度の給与法案は、各野党の代表からも反対がございましたように、日本の民主化を非常に逆行させるところの職階制が、非常に強化されているという点であります。これは今までの職階の倍率よりも、はるかに上まわるところの倍率が強化され、最高は一万三千円、最低六百円、しかも中核をなすところの四級、五級、六級という職員、大半の職員が非常に微々たるベースのアップしかないという点、こういう点から申しましても、これは日本国民全体をあざむくものであると私どもは断定するのでございます。つまり千五百円べース・アップということを申しますると、国民はすべての公務員が千五百円ベース・アップされるものというふうに心得ております。ところが実態はそうではなく、実際に苦しいやりくりをし、借金をしたり、血を売つたり内職をしながらやつているところの国家公務員の大半の人々は、千五百円は上らないのでございます。それが各野党の反対の理由の大きな原因になつているということは、皆様も御承知だと思うのでございます。
なおそのことによりまして、職場の中の職制の圧迫というものが非常に強くなり、いわゆる日本の民主化ということは、あの高級官僚を先頭にした日本の官僚制度を打破しなければならないというところにあつたにもかかわらず、それがさらに強化されまして、労働三権を剥奪されましたところの今日の官公吏の職場の中の空気というものは、まつたく暗澹たる状態を呈しているのであります。それをさらに強化しようとするのが、この法案だと思うのでございます。
それから第三点でございますが、第三点は、民間の給与を基準といたしますということを申されておるのでございますが、しかし民間の給与をはるかに下まわつており、その基準になつておりますところの民間給与というものは、戦後中小の、いわゆる時間外勤務あるいは諸手当を多くとつております、所得の七割以上を占めておりますような職場が基準になつておりまして、それを差引いた本俸のみを基準にして、当局は参考にされておるのでございます。従いまして実質賃金は、標準にしておりますところの中小企業の、民間企業ですらもより多くとつておるにかかわらず、その約半数の手取りの基本給を基準にして、しかもそれよりも下まわつたものを国家公務員に押しつけようとしておるのが、今度の基準になつておるということでございます。このことは、簡単に申し上げたいと思うのでございますが、いわゆる特需、新特需、新々特需というふうに、日本の労働者の加工賃というものが六十セントから四十八セントに下げられ、さらに三十六セントに切り下げられております今日、国家公務員におきましても、それ以下の低賃金を押しつけようとする、いわゆる政府の低賃金政策の一端が、ここにも明らかに現われておると思うのでございます。
以上、主たるこのような原因が、今後の日本の行政上において、いかに欠陥をもたらして来るかということは、昨日もすでに地方公務員の給与の問題に関連いたしまして、参考人を呼んだのでございますが、地方からおいでになりました市町村長は、口をそろえて国から委託されている業務は、われわれ拒否しなければならない事態が発生するということを申しておるのでございます。つまり国の行政を乱すものは私どもでもない、労働者諸君でもない、まさに吉田自由党内閣の方針が、これを破壊するものであるということが証明されておるのであります。その基礎になつておるところのこのような賃金二法案に対しましては、わが党といたしましては断じて賛成することができないのでございます。
さらに常勤、非常勤等の未払い、あるいはベース以下の待遇に処せられておりましたところの非常勤四十数万の給与につきましては、ただ最高を二千五百円に上げるということだけが、証明されておるのでありまして、予算の裏づけもなければ、何らそれに対する意思表示もないのでございます。これは今回の国会に提案されました悪法定員法と並びまして、まつたく無責任な、吉田内閣が第一次内閣以来やつて参りましたところの官吏に対する首切り政策、ひいては日本の低賃金政策、日本をいわゆる警察国家に導く――失業者、産業予備軍だけではなしに、戦争予備軍としての日本の官公吏に対する政策の現われにほかならないと思うのでございます。私どもといたしましては、そういう吉田内閣の基本的な政策が、最も露骨に現われましたこの法案に対しましては、反対をするものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/93
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094・田中伊三次
○田中委員長 これにて討論は終了いたしました。
採決をいたします。政府原案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/94
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095・田中伊三次
○田中委員長 起立多数。よつて両法案は原案の通り可決いたしました。
この際お諮りをいたしますが、この両法律案に関する委員会の報告書作成につきましては、前例によつて私委員長に御一任を願いたいと存じます。御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/95
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096・田中伊三次
○田中委員長 御異議なしと認めます。
それではこれで休憩をいたしまして、本会議散会直後から、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたしまして、質疑を夜おそくまで続行いたします。
これにて休憩いたします。
午後三時五分休憩
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〔休憩後は開会に至らなかつた〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00619511115/96
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