1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十月二十二日(月曜日)
午前十時五十七分開議
出席委員
委員長 夏堀源三郎君
理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君
理事 西村 直己君
大上 司君 川野 芳滿君
佐久間 徹君 島村 一郎君
清水 逸平君 苫米地英俊君
三宅 則義君 宮幡 靖君
宮腰 喜助君 深澤 義守君
政府委員
大蔵政務次官 西川甚五郎君
大蔵事務官
(銀行局長) 河野 通一君
委員外の出席者
日本輸出銀行専
務理事 山際 正道君
日本輸出銀行理
事 高橋 一君
日本輸出銀行総
務部総務課長 二村 辰男君
日本開発銀行副
総裁 太田利三郎君
日本開発銀行理
事 中村 建城君
日本開発銀行総
務部長 正宗猪早夫君
日本開発銀行総
務部総務課長 岡田 豊君
専 門 員 椎木 文也君
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八月九日
委員高橋權六君及び淺利三朗君辞任につき、そ
の補欠として有田二郎君及び苫米地英俊君が議
長の指名で委員に選任された。
同月十七日
委員深澤義守君辞任につき、その補欠として山
口武秀君が議長の指名で委員に選任された。
九月十日
委員竹村奈良二君辞任につき、その補欠として
木村榮君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十五日
委員山口武秀君辞任につき、その補欠として田
代文久君が議長の指名で委員に選任された。
十月十一日
委員木村榮君及び田代文久君辞任につき、その
補欠として高田富久君及び深澤義守君が議長の
指名で委員に選任された。
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十月十日
農林中央金庫法の一部を改正する法律案(夏堀
源三郎君外四十七名提出、第十国会衆法第二三
号)
同月二十日
日本輸出銀行法の一部改正する法律案(内閣提
出第三号)
同月十八日
重要文化財保存のための寄附金に対する免税の
請願(世耕弘一君外四名紹介)(第二一号)
戦災復興土地区画整理に伴う清算金及び用地補
償金に対する免税の請願(上林山榮吉君紹介)
(第二二号)
粗製しよう脳及びしよう脳原油收納価格引上げ
に関する請願(井上知治君紹介)(第二三号)
たばこ小売人の利益率引上げに関する請願(遠
藤三郎君紹介)(第二四号)
同(平野三郎君紹介)(第二五号)
同(田嶋好文君紹介)(第二六号)
同(宮幡靖君紹介)(第二七号)
同(岡村利右衞門君紹介)(第二八号)
同外二件(西村直己君紹介)(第二九号)
同外四件(江崎真澄君外二名紹介)(第三〇
号)
同外二件(江崎真澄君紹介)(第三一号)
同外十七件(辻寛一君紹介)(第三二号)
同(淺香忠雄君紹介)(第九八号)
葉たばこ收納価格引上げに関する請願(岩川
與助君紹介)(第六五号)
石川町に松川葉たばこ試験場設置の請願(圓
谷光衞君紹介)(第六六号)
勤労所得に対する所得税軽減に関する請願(
池見茂隆君紹介)(第六七号)
調整金附送金小切手の処理に関する請願(田
中不破三君紹介)(第九六号)
水あめ、ぶどう糖に対する物品税撤廃の請願
(小平忠君紹介)(第九七号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
所得税総所得額の公正決定に関する陳情書
(第五
号)
着色めのう、編めのう並びにその製品に対す
る物品税率変更の陳情書
(第七号)
在外公館貸付金の評価等に関する陳情書
(第一一号)
旧軍港市転換法適用範囲に関する陳情書
(第一二号)
消防費用に対する寄付金、負担金の課税免除
の陳情書(
第二四号)
水銀の関税撤廃に関する陳情書
(第三六号)
輸入円滑化に関する陳情書
(第四一号)
輸入物資取引資金に関する陳情書
(第四二号)
同
(第四六号)
同
(第四七号)
家具に対する物品税廃止に関する陳情書
(第六六号)
織物消費税、物品税等撤廃に伴う損失補償に
関する陳情書
(第七四号)
未復員者給與法の適用患者に対する療養期間
延長に関する陳情書外六件
(第
九九号)
を本委員会に送付された。
―――――――――――――
本日の会議に付した事件
国政調査承認要求に関する件
日本輸出銀行法の一部を改正する法
律案(内閣提出第三号)
日本開発銀行の運営状況に関し説明
聽取の件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/0
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001・夏堀源三郎
○夏堀委員長 これより会議を開きます。
国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。本委員会におきましては、税制及び金融制度に関し、ほとんど毎会期調査をいたして参りましたが、本会期におきましても、右要件について調査を進めて参りたいと存じます。これに関し議長の手元に国政調査承認要求書を提出いたし、その承認を求むるに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/1
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002・夏堀源三郎
○夏堀委員長 御異議ないようでありますので、さよう決定いたします。
なお議長の手元に提出いたします国政調査承認要求書の文案及び提出手続等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/2
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003・夏堀源三郎
○夏堀委員長 次に、一昨二十日本委員会に付託と相なりました日本輸出銀行法の一部を改正する法律案を議題といたします。まず政府当局より提案理由の説明を聴取いたします。西川政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/3
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004・西川甚五郎
○西川政府委員 ただいま議題となりました日本輸出銀行法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
政府はさきに輸出振興の重要性にかんがみまして、機械輸出等いわゆるプラント設備の輸出の伸張をはかるため、日本輸出銀行を設立したのであります。しかして本年九月末現在における日本輸出銀行の融資承諾額は五十四億六千万円、融資実行額は四十六億三百万円となつておりまするが、最近における東南アジアその他の地域からのプラント輸出の引合いは相当の額に上つており、それに伴い日本輸出銀行の融資も漸次累増する見込みであります。ことに最近の契約事例に徴しますと、諸種の事情により、その契約期間は漸次長期化する傾向にあり、この点をも考慮いたしますと、この際日本輸出銀行の資力の充実をはかることが、必要であると考えられるのであります。政府はこれらの諸点にかんがみまして、日本輸出銀行の資本金を二十億円増加し、百七十億円といたし本年度補正予算において二十億円の追加出資をいたすこととし、この法律案を提出した次第であります。
何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/4
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005・奧村又十郎
○奧村委員 日本輸出銀行の業務方法書を資料として出していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/5
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006・宮腰喜助
○宮腰委員 これを借り入れた各会社、氏名、金額をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/6
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007・河野通一
○河野(通)政府委員 これは資料で出すのでなくて、御説明申し上げるのではいけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/7
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008・宮腰喜助
○宮腰委員 よわしゆうございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/8
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009・夏堀源三郎
○夏堀委員長 次に日本開発銀行の運営状況に関し説明聴取の件を議題といたしまして当局より説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/9
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010・太田利三郎
○太田説明員 私は開発銀行の副総裁の太田でございます。開発銀行の大体の基礎と、どういうふうにやつておりますかということ、それから最近までの運営上の経過について御税明申し上げます。
開発銀行は御承知のように本年四月二十日に設立されまして、五月十五日から業務を開始しておりまするが、現在役員が十名、それから職員が官名ばかりで業務の運営に当つております。
この銀行の性格並びに運営方針でございますが、この銀行は、まず第一にもつぱら国家資金を資金の源といたしまする政府の金融機関であることでございまして、次にこの銀行は名前の通り銀行としての性格を持つております。そうして一般の金融機関の行う金融を補完するという機関でございまして、従つて銀行あるいはその他の金融機関と競争してはならないということが、開発銀行法の二十二條にも定められておりまして、ほぼこういつた性格を持つて誕生した銀行でございます。従いましてこの最初の性格から見まして、本行運営の方針といたしまして、まず政府の産業、交通及び金融に関する総合的な政策、並びにこれに基く基本計画に順応して行くということが、これは当然でございまして、そのため大蔵省なり、経済安定本部なり、その他関係当局とは密接に連絡いたしまして、政府の基本的な施策に沿つて、本行業務の運営を行うようにいたしております。しかしこの銀行は独立した銀行でございますので、個々の貸付の決定にあたりましては、これは別に開発銀行法の十八條にも、貸付や社債の応募にあたりましては、この貸付金の償還が確実と認められる場合に限るという一條がございますが、こういう條項をまつまでもなく、これは銀行でございますので、その償還が確実なものでなければならないということは当然でございまして、個々の融資にあたりましては、銀行としての立場で考え、銀行の自主的な判断によりまして運営を決定いたしておるのでございます。
次に本行は、申し上げました通り、一般金融機関の足りないところを補うというのが建前でございまして、また資金の分量も限られておりますので町本行の資金運用は、一般金融機関による資金調達が困難な、まことにやむを得ないというものを補填するものとしまして、なるべく必要最小限度にとどめることにいたしております。この一般金融機関によりまする調達を困難とする理由としましては、質的な面と量的な面の二方面がございます。量的に巨額である。そのために市中融資に乗りにくいものにつきましては、協調融資という形で、一般金融機関による調達分野を広げることが可能でございますし、また回収に署しく長期を要するため、市中銀行の融資に乗りにくい、こういうものにつきましては、開発銀行の分担金の償還を一定期間すえ置きますとか、あるいは期限を比較的に長くいたしますとかいう方法をとることによりまして、市中銀行の融資ができやすいように、その協調分野を広げることができるのであります。このようにしまして、市中融資に乗り得るものは、でき得るだけ一般金融機関の活動に期待しております。質的の面では、国家的に緊要であり、償還もできるとは思いまするが、市中からの資金調達がどうしても困難である、こういつたような分野はもちろん本行の融資の対象となるのでございます。
復興金融金庫の融資の仕方とわれわれの銀行との差異について、御参考までに申し上げますと、融資対象は、復興金融金庫の場合は、設備資金のみならず、運転資金の貸出しも行つたのでございますが、開発銀行は設備資金に限つております。それから資金の資金源といたしましては、復金は債券に大部分よつたのでございますが、開発銀行は債券発行は認められておりません。また融資決定の機構といたしまして、復金は委員会があり、また復金の当事者もありまして、責任の所在がややはつきりせぬ点もあつたのでございますが、この点は、開発銀行はまつたく銀行に責任を持たせられておるのでございます。
次に本行の資金の運用対象、どういつたものに運用すべきか、こういつた問題について申し上げますると、わが国現在の目標が経済自立の達成に置かれておりますることは、むろんのことでござまして、政府の国家資金を運用する計画も、またこれをねらいとして策定されております。従いまして本行の資金運用の対象も、まず第一にわが国の経済自立の達成に、特に寄与するものということは当然でございまして、国民の生活水準を維持向上させ、しかもこの生活水準の維持を、他国の援助なくして実現するというためには、どうしても国家資源の開発利用と、国際収支の改善をはからなければなりませんので、開発銀行の資金連中の対象としましては、国内資源の開発、それから貿易の伸張ということに、密接な関連を持つ企業がまず考えられるのであります。
ところで経済自立は、一時的な不安定なものでなくして、長期的に安定したものでなければなりせん。しかるにわが国の現状は、たとえば基礎産業でありまする電力の不足が、現在非常に落しというような現象にも現われておりまするように、産業間に相当大きなアンバランスが認められるのであります。それで均衡のとれた産業構造確立の観点からしまして、現在著しくアンバランスとなつている重要産業に、優先的に開発資金を投入しまして、その不均衡を是正しなければなりません。またその産業の増産、合理化、コストの引下げによりまして、他の多くの産業に影響を及ぼし得るような、そういつた基礎的な産業に主力を注ぐことが、適当であろうと思うのであります。前年度の見返り資金の継続事業も本年度相当ございますが、これは資金効率上できるだけこれを尊重する方針ではございますが、既往の実績をも検討いたしまして、態度を決定することといたしております。
なお本年度の政府資金によりまする長期資金の供給は、見返り資金と開発銀行が当ることになつております。むろんほかに農林漁業特別会計がございますが、一般産業、鉱工業等につきましては、見返り資金と開発銀行が当ることになつておりますが、本年度は電力と造船、それから中小企業は引続き見返り資金で扱いまして、その他を開発銀行で扱うことになつております。もつとも電力と申しましても、営業用でなく、各企業の自家発電につきましては、これは開発銀行で融資をいたすことになつております。
次に開発銀行の業務の種類でございますが、これは法律に次の三種類が規定されております。すなわち設備資金の新規貸付でございますが、これは経済の再建、産業の開発に寄与する設備の取得、改良または補修に必要な資金、これを開発資金と申しておりますが、それで一般金融機関から供給を受けることが困難な長期資金を新規に貸し付ける。これが一つの業務でございます。それから次に返済資金の貸付でございますが、これは一般金融機関の貸付にかかる開発資金の返済に必要な資金、いわゆる肩がわり資金でございまして、これを貸し付けるのがまた一つの業務となつております。それから第三に社債でございますが、開発資金または返済資金を調達するために発行される社債で、証券業者等が応募または引受をすることが困難なものに応募すること、これがもう一つの業務と相なつております。この三つの中で、開発資金の新規貸付と返済資金の貸付の二業務につきましては、新規貸付は、現在の資金需要のうち、市中ベースのみでは困難なものを貸し付け、また返済資金の貸付は、既往の融資で、市中金融のベースに乗りにくいにもかかわらず、やむを得ず市中銀行が出したといつたものを肩がわりするのでありまして、両業務をあわせて行うことによりまして、この銀行に課せられました市中融資の補完の使命を達成することができるわけでございます。
社債の応募につきましては、現在の情勢では、本行が直接応募するよりも、むしろ返済資金等の貸付を通じまして、市中銀行に資金の余力をつくり出しまして、これを社債消化にまわして、市中銀行の有価証券保有率を高め、その資産運用構成を良好ならしめるということによりまして、市中銀行の健全化に資しながら、一方この社債消化の促進をもはかる、こういつた間接的方法が良策であろうと思いますので、さしあたりは今のところやつておりません。
それから次に開発銀行の資金源でございますが、これは当初予定いたしましたところでは、見返り資金から出資が百億円、それから復金から—復金は本年度中に債権債務を引継ぐことになつておりますが、その復金の回収予算超過額が四十五億円、その剰余金が十五億円、合計百六十億くらいが本年度の運用可能金額と見ておつたのでございます。このうち見返り資金からの出資につきましては、現在七十五億円の拂込みが完了されております。しかし後に述べまする通りに、その後復金の回収が予想外に順調でございまして、現在の予想といたしましては、復金から約八十億円、すなわち元利金の回収が六十億円、余剰金が二十億円でございますが、八十億程度の繰入れが見込まれるに至りました。また政府においては、一般会計から七十億円程度の出資を現在お考えになつておるやに聞いておりますので、幸いにしてそれが実現し、国会の議決を得られますならば、本年度の資金運用可能は、全部で二百五十億程度と相なる計算でございます。
それから次に借入れの申込み、どういつたふうに融資しておるか、そういつた事情につきまして概略御説明を申し上げます。本行に対しまる借入れ状況につきましては、別紙お手元に差上げました表にございますように、九月末現在におきまして受付けましたものが二百二件、二百八十五億二千六百万円と相なつておりますが、これを開業以来月別に申し上げますと、五月が九十三件で百九十四億一千七百万円、六月が四十二件、四十二億九千八百万円、七月が四十二件、二十三億一千七百万円、八月が五件、十二億五千六百万円、九月が二十件、十二億三千八百万円、合計二百二件、二百八十五億二千六百万円となつております。すなわち五月十五日開業以来半月の間に、最近までの申込み件数の半分近くの申込みがあつたわけでございまして、その後は極月減少いたしております。これは設立と同時に、申込みが一挙に殺到したという事情によるものでございます。なおこれは本行が一応申込みを受けたもののみでございます。そのほか本行に相談がございましたが、本行の融資対象として適当でない、すなわち緊要度がそれほど高くないものでありますとか、あるいは計画がはつきりしないものでありますとか、あるいは開発銀行で出すまでもなく、市中で調達できそうなものだと思われるようなものもありまして、そういうものを全部ひつくるめますと、五百件で五百億円以上の申込みがあつたことになつております。この申込みの受付状況を業種別に見ますと、石炭、鉄鋼、自家発電、化学工業等のいわゆる軍化学工業関係におきまして、総申込受付金額の約七割を占めておりまして、こういう基礎産業の設備資金に対する需要の大きいことを物語つております。
さらに業種別に申込みの内容を申し上げます。まず石炭でございますが、これは九月末申込み件数四十件、五十三億八千万円と相なつております。このうち七割弱に当る十四件、三十六億九千八百万円が、前年度からの見返り資金による継続工事分でありまして、主として新しい坑道の開発資金でございます。
それから次に鉄鋼関係でございまして、これが十六件、四十六億六千八百万円でございましてうち二件は前年度からの見返り資金継続事業であります。用途はコークス炉、高炉の改修、修築工事貸でございます。その他の見返り資金継続分以外の十四件は、薄板、特殊鋼板異型—型の違つた特殊の型のもの、異型鋼等の生産設備の近代化、それから酸素発生製置の増設、砂鉄を原料とする特殊鋼の増産、そういつたものに要する設備資金がおもなものでございます。
それから非鉄金属でございますが、これは銅、亜鉛、鉛、ニツケル、マンガン、硫黄、金などの非鉄金属の増産に要する設備資金、あるいは選鍍設備、それから精錬設備の改良資金等の申込みでございます。このほかアルミの圧延設備の近代化資金の申込みもありまして、九月末現在で十二件、十二億八千万円となつております。
次に自家発電でございますが、これは電力供給事業会社の開発資金につきましは、先ほど申し述べました通り、見返り資金で直接投資いたしておるのでございますが、自家発電設備については、これを本行で取上げております。九月末現在で二十一件、五十四億千三百万円の巨額の申込みがあるのでございます。内訳は火力発電が十件、水力発電十一件となつております。これが全部完成いたしますと、最大出力約二十万キロワツト、年間約十二億キロワツト時の電力が増加する予定でございます。
化学工業でございますが、この関係で二十三件、四十四億千三百万円の申込みがございます。おもなものは肥料関係、これは主として硫安でございますが、この国内需要を満たしつつ輸出をも増加させよう、こういうことの増産設備でございます。
それから薬品関係、これは化学繊維、合成繊維等の増産に即応しまして、ポパール、石炭酸、染料、無水フタール等の可塑剤の増産をはかろうとするもの、それからソーダ部門の合理化のための設備資金でございます。
そのほかにさらしクラフト法によりますパルプの増産でございますとか、自動車の生産増加に対応するタイヤの増産でありますとか、あるいはガス工業におけるコークス炉の新設補修、ストレプトマイシンの増産等の設備資金の申込みもございます。次に繊維工業でございますが、この関係の申込みが六件ございます。これは強力人絹の増産及び輸入機械による染色加工設備の近代化に要する設備資金でございます。
その次は機械工業でありまして、この申込みが二十件ございます。おもなものは造船関係、これは大型デイーゼル・エンジンの製造設備の増設、それから溶接作業の近代化、このため設備新設改良、これが七件ございます。
それから自動車関係で、主として輸入機械によつて合理化しよう、こういうための申込みが四件ございます。そのほか通信機械、それから強電機械、軸受等の輸入機械を主とする設備の合理化資金の申込みがございます。
次に港湾の施設でございますが、港湾施設関係の申込みが三十七件ございます。それは主として戰災を受けました主要港湾の倉庫上屋の復旧横張、荷役機械の整備をはかろうとする申込みでございまして、そのほかに港湾荷役の強化に要するはしけの新造修理資金の申込みがございます。
それから最後に農林水産関係でございますが、この関係といたしまして、南氷洋の捕鯨のための捕鯨母船の改造及びキヤツチヤー・ボートの新造の資金、それから水産物高度利用のための製氷冷蔵設備、それから乳業酪農製品がございますが、乳業設備の合理化、それから木材の利用の合理化、これはハード・ボードというのでございますが、そういつたことに要する設備資金の申込みがすべてで八件ございます。以上が大体現在受付けました、どんな種類の申込みがあるかという御説明でございます。
次にそれに対しまして、どういうふうに融資をいたしておりまするかにつきまして、御説明申し上げます。融資を正式に承諾いたしましたものが九月末現在で五十六件、五十三億三千万円でございまして、このうち貸付を実行しましたものが四十四件、三十六億八千百万円となつております。これを当初から申し上げますと、五月はございませんで、六月は融資承諾は四件九億一千万円、貸付実行が三件、三億二千四百万円、それが七月が承諾が十六件の十七億二千五百万円、実行が七件の七億百万円、それから八月が承諾が九件の七億七千五百万円、実行が十一件の六億六千万円、九月が二十七件の十九億二千万円、実行が三十三件の十九億九千大百万円となつております。
これを業種別に申し上げます。まず新規の融資から申し上げます。最初に石炭でございますが、石炭関係の融資承諾は十件十二億一千五百万円でございます。この中にはいわゆる大手筋から中小炭鉱まで含んでおりまするが、この十件のうち七件までは前年度見返り資金の継続工事分でございます。このうち大手筋が七件十億五千五百万一円、中小炭鉱が三件一億六千万円となつております。
それから鉄鋼関係でございますが、この承諾いたしましたものが六件六億六千八百万円、うち二件は見返り資金の継続工事であります。これらは高炉の改修、それから酸素発生装置及び砂鉄関係の設備資金でございます。
それから非鉄金属でございますが、これに対します融資の承諾が三件、二億二千五百万円でございまして、本資金は硫黄、鉛、亜鉛、金等の増産のための設備資金でございまして、採鑛、選鑛、輸送その他の設備を増強しようとするものでございます。
それから自家発電でございますが、この関係が五件八億二千万円ございます。
それから化学工業、この関係が十件十億九千八百万円承諾いたしております。内訳は肥料、ガス、それからさらしクラフト法によるパルプ増産設備、それから薬品、可塑剤、ソーダ工業等であります。その中には可塑剤の新技術の工業化のための融資も含まれております。
繊維工業でありますが、これに対する融資が九月末現在で三件二億四千五百万でございます。本件は輸入機械によりまして染色設備を合理化する資金、並びに強力人絹をつくろうという設備のための資金でございます。
港湾施設でありますが、これは五件、一億八千七百万円、主として大阪、川崎、横浜等の港湾施設、倉庫の設備資金でございます。
農林水産関係といたしましては、三件五億一千万円でございまして、いずれも南氷洋捕鯨用のキヤツチヤー・ボート及び母船の建造、修理資金の融資でございます。
以上は新規融資でございますが、このほかに後に述べまする海運に対する返済資金の貸付承諾が、十一件三億五千二百万円ございます。なお承諾しましたもの以外につきましても、事業の重要性、あるいは時期的の問題を考慮いたしまして、現在検討いたしておる次第でございます。
次に返済資金の融資、いわゆる肩がわり資金の融資でございますが、これにつきましては、こういうふうに考えておるのでございます。この目的といたしましては、この開発銀行の業務にも、一般の金融機関が行う金融を補完して、または奨励する目的を達成するための手段として、この肩がわり融資を本行の主要業務の一つとしておるのでございまするが、この具体的なねらいといたしましては、現在の市中銀行の陷つておりまするオーバー・ローンの是正、むろんこれは運転資金の融資が多いのでございまするが、市中銀行が多額の長期設備資金を出しておることもまた事実でございまして、この方面の是正に役立つことによりまして、市中銀行の行う金融に弾力性を与えようとするものでございます。市中銀行の現在有しております貸出しの中で、資金量やそれから期限等の点でやや無理と思われる貸出し、たとえば海運関係の設備融資等でございますが、こういうものにつきまして本行に肩がわりしまして、オーバー・ローンの是正に幾分でも役立つということを考えておるのであります。むろんこれは肩がわりだけではございませんで、そのほかの施設も相まつてこれを是正することになるわけでございますが、本行の主要業務として認められました方法によりまして、これに寄与したい、こういう次第でございます。実施の方針としましては、本格的な肩がわりを実行するためには、相当巨額の資金を必要とするのであります。たとえば本年六月末の全国銀行の設備資金の融資残高は約千四百億円でございまして、とてもこういつたものを全部肩がわりするということは不可能でございます。本行の資金量に制限がございます以上、直接融資の必要性と兼ね合いの問題に相なるわけでございます。実施の方法としましては、個々の融資対象につきまして、特殊の個々の銀行について肩がわりを行うということは、オーバー・ローン是正の目的には沿うわけではございますが、公平を欠くおそれもございますので、本行の融資対象としても適当と思われるもの、そういつた企業の融資について、各銀行に対し一定の基準で金融政策的な肩がわりをするのが、適当ではないかと考えております。その場合に、今申しました緊要度、事業の性質を考え、それからなるべく多くの銀行にも関連のあるように事業ということも考え、また各銀行の個々の不良貸しや固定貸しを引継がないようにいう配慮をもちまして、実施いたしておるわけでございます。第一回の肩がわりといたしまして、第一次の買船融資を対象に取上げまして、約十億円を予定して実行いたしております。九月末現在でこの承諾額が十一件、三億五千二百万円となつております。なおこの肩がわりをいたしました資金につきましては、その趣旨からいつて、社債とか金融債の保有とか、または日本銀行の借入金返済に充てら必ることが望ましいのでございますが、これは金融政策になりますので、大蔵省並びに田本銀行にお願いをいたしておる次第でございます。今後の肩がわりにつきましては、今年度の資金量、それからその他に対しまする融資の金額等とにらみ合せの上、目下検討中でございます。大体説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/10
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011・夏堀源三郎
○夏堀委員長 質問を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/11
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012・宮腰喜助
○宮腰委員 先ほどのこの融資の問題についての御報告によりますと、これは政府とは関係なく、独自の見解でやるのだということを申されましたが、その場合に、たとえば大蔵大臣が金融政策についてこういう方法で行きたい、あるいは通産大臣が産業のためにはこういう金融方法でやつてもらいたいというような場合でも、独自の見解で行くのですか。それともこれは政府の力で、こういう団体にはぜひ貸してあげてほしい、そういう場合にもこれは交渉を受けないで、いかなる場合にも独自の見解で行くのですか。その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/12
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013・太田利三郎
○太田説明員 基本方針につきましては、政府で策定されておりまするし、またそれがかわりますると、政府におかれましてそれぞれ閣議等に持ち出された上で、新規の方針をお定めになるなり、あるいはそれをかえるなりしておられますが、これは政府といたしましては、あくまでも大体の計画でございまして、どの会社にどれだけ貸してくれということはおつしやらないのであります。またこれは私どもといたしましても、まつたく融資の責任を持たされておりまする以上、その御趣旨は十分尊重いたしまするが、どの会社にどれだけの金額を貸すか、あるいは貸さないかということにつきましては、これはわれわれの判断にまかせていただいておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/13
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014・宮腰喜助
○宮腰委員 ことし国政調査で八幡に参りまして、いろいろ金融状態などを伺つたのでありますが、そのとき、通産大臣のあつせんで八幡に融資されたようにちよつと伺つておつたのですが、そういう事実はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/14
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015・太田利三郎
○太田説明員 そういう事実は全然ございませんで、通産大臣から特にわれわれに、そういつた事業について御依頼があつたこともございません。従つて大体こういつた融資につきましては、政府の方で当初にこういつた融資をやるべきだ、こういう御計画を立てておられまして、それに従いまして自家発電につきまして融資をいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/15
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016・宮腰喜助
○宮腰委員 八幡製鉄によりますと、三箇年計画で設備の合理化をやるということを伺つておりますが、その当時私が伺つたときは、まだ三億円くらいの融資しかされておらなかつたのですが、その後融資をされましたかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/16
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017・太田利三郎
○太田説明員 まだいたしておりません。八幡製鉄に対しましては、西田発電所というところの火力自家発電につきまして融資はいたしたのですが、そのほかの製鉄関係の合理化資金につきましては、まだ検課も済んでおりません。従いまして、また融資は承諾を与えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/17
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018・宮腰喜助
○宮腰委員 私どもが出張した場合にも、そういう陳情を受けて参つたのでありますが、今後融資の見込みはどうなりましうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/18
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019・太田利三郎
○太田説明員 これはまだ審査の結果につきまして、われわれは報告を受けておりません。大きな計画としてはむろんけつこうなことであろうと思うのでありますが、日本の製鉄関係の現在の計画というものは、非常に厖大なものになつておるやに聞いておるのであります。それらとにらみ合せて、審査の報告を聞いた上決定いたしたいと思つておりますので、今のところちよつと御返答申し上げかねる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/19
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020・宮腰喜助
○宮腰委員 先ほどの資料に農林水産の問題で、冷蔵設備の改善のために融資をするということが書いてございますが、これは農林省でもあつ席んをし、水産庁でもあつせんしまして、農中ですかから借りられるようになつております。そういうことは両方でもさしつえないのですか。あるいはまた漁業関係は一切除外しててあるのですか。一般の冷凍設備はどうなるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/20
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021・太田利三郎
○太田説明員 農林水産関係につきましては、農林漁業資金融通特別会計も、見返り資金から金を借入れまして融資いたします。われわれの方でも備資金を出すのでありますが、こういつたものは、今御説明にありましたものは、われわれの方の対象募るように、私どもは記憶いたしておるのでございますが、農林漁業資金融通特別会計の方は、私どもちよつとはつきりいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/21
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022・宮腰喜助
○宮腰委員 もう一つ。港湾の施設ということになつておりますが、この前、これは公共団体に融資しないというようにお話になつておつたのです。そうして港湾の施設の改設の改善は、大体起債によるか、国家の補助金によるか、そういうような形でするようにわれわれ伺つておつたのですが、公共団体のではなしに、個人の、ドックの会社だとか、そういう私法人に対する金融はどうですか。その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/22
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023・太田利三郎
○太田説明員 公法人は、われわれは全然融資の対象としておりませんで、全部普通のプラヴエートの企業体でございます。非常に大きな港湾設備ではありませんで、個々の会社の、ちよつとした埠頭を修理しますとか、あるいは台風で倒れたクレーンを直しますとか、あるいは倉庫の上屋を復旧しますとか、そういうものが主でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/23
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024・深澤義守
○深澤委員 御説明によりますと、政府の基本方針に基いて、経済自立の達成に寄与するものに重点を置くのであるということであります。そしてその経済自立のためには、国内資源の開発と、貿易の伸長という二つの項目をあげられて、これに対して融資すると説明されているのでありますが、今までの業務の実態を見ますと、輸出入関係に対してはほとんど出ていないように思います。これは開発銀行として、政府の経済自立達成の方針である、特に貿易関係を非常に重要な問題として取上げなくてはならぬのでありますが、その方面に対しは、ほとんど申込みもないような状況であるので、従つて貸出しもしていないのでありますそうなると、開発銀行の業務がびつこの状態になるのでないかと私ども考えておりますが、この貿易関係に対する需要のないということはどこに原因があるのか。どういう見解を特つておられるのか。その点をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/24
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025・太田利三郎
○太田説明員 直接貿易関係で来ておらないことはないのでございますが、みんな規模が割合小さいのでございます。それから非常に大きな規模のものでありますと、たとえば紡績会社でありますとか、あるいは人絹、スフ会社であるとかいうようなものになりますと、非常に資力を特つておりますから、市中銀行でも十分融資がつきますので、わざわざ開発銀行がそういつたものに対してまで融資する必要はない。それだから向うからも求めて参りませんし、われわれの方も対象として取上げない、こういう事情にあるのであります。今まで出しておりますものでも、直接貿易にやらなくても、たとえば特別の染色加工をいたしましたものが非常に従来よりも売れますし、去るいは鉄鋼関係の合理化資金によりましても、鉄鋼価格が下つて、従つ二次製品、三次製品が外国に売り易くたる。そういつたことも含めて、われわれは大きな意味の貿易伸張ということをねらいにししおるわけでございます。むろん個々につきましても、そういつたもので適当なものがありますれば、今後も考えて行くわけでありまして、現在なお審査いたしておるものもあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/25
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026・深澤義守
○深澤委員 そういたしますと、国事資源の開発という見地から融資する出にも、貿易を目的としてやるものと国内需要を目的としてやるものとは、融資なさるときに大体おわかりになると思うのですが、そういう点はやはり十分おきわめになつて融資するのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/26
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027・太田利三郎
○太田説明員 その通りでございまして、ある設備を改良するといたしますと、国内需要としてそれがどれくらい消化できるか。あるいは、これは一つの事業でございませんで、AB非常にたくさんありますので、業種の多いものにつきましては、そういつたように全部を見まして、設備の合理化が実行されればどのくらい生産量がふえるか、またそのコストの引下げにより外国にどれくらい売れるかということを考慮の上、融資の審査をいたしているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/27
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028・深澤義守
○深澤委員 国内需要と輸出関係との割合は、こまかくはおわかりにならないでしようが、概算で、あなたの方で融資される場合に、輸出向けの方にどれくらいの資金が行くか、それとも国内需要の方にどのくらい行くかという大体の見当はおわかりでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/28
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029・太田利三郎
○太田説明員 実はそれはちよつとわかりかねます。そういつた統計もございませんので、そのケースについてどのくらいということは計算をいたしておりませんので、数字的にはちよつと申し上げられないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/29
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030・深澤義守
○深澤委員 輸出あるいは輸入の関係の問題は非常に重要で、あなたのおつしやるほどそう楽観的な状態ではないという見解を、われわれは持つているのであります。従つて、この貿易関係に融資があまり行われていないではないかということからお伺いしたいのですが、それはまたあとで機会もございましようから、そのときにお伺いいたします。
第二の点はつまり返済資金の問題であります。肩がわり資金は大体どのくらい出ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/30
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031・太田利三郎
○太田説明員 これは先ほど申し上げました通り、一応買船資金、市中銀行で外国から中古船を輸入いたしました資金の半額程度、第一次の買船でございますが、これをわれわれとして約十億円と査定いたしました。それは興銀とか勧銀とか本来長期資金を出すところは一応省きまして、商業銀行の分だけ入れたのであります。そのうち十億を肩がわりしよう、こういうことにいたしまして、個々のケースについてはわれわれの方でまた審査いたしますが、現在承諾いたしておりますものが十一件、三億五千二百万円、そのうち九月末までに実行いたしましたものが六件、二億六千八百万円であります。しかしこれは年末までには十億くらいになる見込みであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/31
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032・深澤義守
○深澤委員 それから開発銀行の設立の趣旨、また運営の方針からいつても、市中ベースに乗らないものを扱うということになつており、同時に、これは相当な危険負担が伴うと思いますが、この危険負担の問題について、開発銀行としてはどういう見解を持つておられるか、この点ひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/32
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033・太田利三郎
○太田説明員 われわれも銀行でございますので、貸し出したものが返らないような非常に危険なものは、実はお断わりしておりますし、法律におきましても、償還の見込みの怪しいものについては、出してはいかぬという規定があるのであります。われわれとしても、銀行員がみな集まりまして審査いたしておりまして、その点はかなり厳格に査定いたしております。しこうして国家的にも重要であつて、多少リスクのあると考えられるものにつきましては、これは他の関連産業の保証をとりますとか、あるいは十分な担保をとりますとか、そういつた措置をとりまして、今のところでは、そういつた返らないというような危険が当初から考えられますものは、絶対にないと申し上げてよいと思つております。しかしながらこれは長期資金でございますので、非常に長い間に事業も、また客観情勢も変化するのでございますので、開発銀行の積立金というものにつきましては、これはやはり普通の銀行以上になるべく厚くするように、政府の方でもお認めいただくようにお願いいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/33
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034・深澤義守
○深澤委員 それから、ここに自家発電というのがありますが、大体自家発電はどういう種類のものでしようか。それをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/34
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035・太田利三郎
○太田説明員 これは先ほどちよつと御質問がございましたけれども、八幡製鉄が火力発電設備を補修したいということで、これは見返り資金の方でも出ておつたのでありますが、火力発電の設備、それから日本パルプがやはりさらしクラフト関係で発電を持ちたいということで、これにも行つております。その他銅、石油、炭鑛、そういつたものも大部分が火力発電でございますが、融資を与えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/35
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036・深澤義守
○深澤委員 それから融資対象の企業の規模でございますが、大体開発銀行としては、大企業、大手筋に融資をして、中小企業にはやらないという方針のように承つておるのでありますが、その点はどういうぐあいになつておりますか。その点をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/36
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037・太田利三郎
○太田説明員 中小企業を除外するという考えは持つておらないのでございますが、何せ今地方機構を持つておりませんし、組織から行きまして十分な活動はできかねるのでございます。ただもう一つは中小企業につきましては、見返り資金を引続きやることに本年度はなつておりますので、この余裕金が現在まだわくが三十九億円、四十億円近くのわくが余つておるわけでございます。それに対して市中が三割なり五割つけるのでございますから、本年度といたしましても、五、六十億の中小企業融資はできるはずでございます。地方銀行等の方がそういつた融資対象がよくわかるし、なるべくその地元でやつていただくという方がいいのではないか。しかも資金上には、今申しましたように、十分わくが余つておりますので、主としてそういう方の活動に期待いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/37
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038・深澤義守
○深澤委員 われわれが国政調査で地方へ参りますと、中小企業はのどから手の出るほど資金がほしいのです。見返り資金が余つておるといいましても、銀行自体も貸すことはあまり好まないし、同時にまた中小企業の方も、いろいろなやかましい制約がありますので、なかなかこれに乗つて来ないという事情がある。これは見返り資金の性格からいつて、そうならざるを得ないようになるわけです。従つて余つておるからといつて、必ずしも中小企業が必要でないんだということじやない。従つて開発銀行としては、この中小企業に対してやつて行くとすれば—中小企業の需要は相当多いのでありますが、中小企業はほとんど開発銀行の融資の対象にしないということが、巷間に伝えられているのであります。その点がはつきりしますれば、中小企業も開発銀行にたよつて行く可能性があると思うのであります。その点をひとつ明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/38
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039・太田利三郎
○太田説明員 これはお説の通りむろん融資対象にならないというわけではございません。現在の機構なりあるい正は資金量—資金は大したことはありませんが、それでも中小企業全体としましては相当の資金量になると思いますが、そういうことで今まだ十分なお手伝いができないのは残念でございます。なお実際にいろいろお話を聞いてみますと、融資対象にわれわれがしないというよりも、非常にリスキーというか、計画もはつきりしておらないし、従来の復金の中小企業の融資ぶりなどを見ましても、その取引がどうもおもしろくないというようなことで、銀行が融資するということになりますと、はなはだむずかしいという実例が実は非常に多いのであります。それからもう一つは、このくらいの資金量でなるべく早く効果のあるような産業開発をやりたいというためには、どうも割合はつきりわかつて、問題の少いところから取上げやすくなりますから、自然中小企業がある程度あとまわしになるということも、やむを得ないのではなかろうか、こういうふうに思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/39
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040・奧村又十郎
○奧村委員 いずれ復金の融資残高は、開発銀行へ肩がわりされることになるわけでしようが、現在融資なさつた貸付先に対して、今までにもすでに復金から相当に貸し付けてあるのがあるだろうと思うのです。復金の貸付の整理がつかないものに貸すということはないだろうと思う。たとえば農林水産について、水産関係の三社に融資してあるが、この三社はすでに復金から相当多額の借入れをしておるはずであります。その従前の復金の借入れの整理はついておるかどうか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/40
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041・太田利三郎
○太田説明員 その点はお説の通りわれわれも特に注意いたしまして、復金の融資の今までの状況、しぶりもわかつておりますので、整理のつかないもの、非常に延滞しておるもの、それも元金も返さないで、しかもその企業がもうかつておるにかかわらず、返さないというような悪質と思われますものについては、全然融資を控えております。今おつしやいました農林関係のものは、これはちよつと私はつきりいたしませんで、復金から全部融資を受けておりますかどうか疑問に思いますが、むろんその点は約束通り返済並びに利拂いをいたして、整理はちやんとついておるはずであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/41
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042・奧村又十郎
○奧村委員 同じく農林水産関係で申込みが八件あるうち、三件は南洋の捕鯨関係、あとの五件はいろいろありますが、その五件の内訳がわかりましたらお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/42
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043・太田利三郎
○太田説明員 これは南氷洋捕鯨関係三件、そのほかには製氷、冷蔵でございます。これは全国非常に多いのであります。北は北海道から南は鹿児島までの漁業関係の冷蔵設備でございます。比較的規模の小さいものでありますが、この申込みが非常に多うございます。そのほかには木材のくずれを固めまして非常にかたいものをつくりまして、いい木材の代用にしよう。木林の節約と申しますか、そういつた木材の利用の合理化、ハード・ボードという名前で呼んでおりますが、その方の申込みもかなりございます。そのほかにもう一つ乳業、酪農関係でありまして、バターをつくるこの関係の申込み、この四つ、乳業関係、冷蔵冷凍設備、木材関係、捕鯨関係、これがおもなものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/43
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044・奧村又十郎
○奧村委員 ただいまの御説明によりますと、製氷冷凍は北海道のはてから鹿児島のはてまで、非常に数が多いというお話でありますが、申込みの受付の件数というのは、借入人一人を一件とするのであるか。あるいは製氷、冷凍の業種一つを一件とするのか。今のお話によると、北海道の端から全国一般の製氷、冷凍ならその件数だけでも何十件に上るはずですが、その点をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/44
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045・太田利三郎
○太田説明員 これはちよつと私説明がまずうございまして失礼いたしました。製氷関係は非常にこまかいものでございますから、それでこのこまかいのを一つずつにせずに、製氷関係につきましては、一件として扱つておるわけでございます。その中で全体の重要性等を勘案して申請しておるということで、この件数一件の中はまた非常にこまかくわかれるわけです。便宜そういう扱いをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/45
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046・奧村又十郎
○奧村委員 どうもそれじやあなたの資料はよほど注意して見ぬと、誤解を生ずると思うが、そうすると農林水産だけでなしに、ほかの部門においても、件数というのは借入先を一名一件とするのではなしに、一括して処理してあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/46
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047・太田利三郎
○太田説明員 それはちよつと私説明を間違えまして、非常に申訳ございませんが、今の冷凍関係はこの中にもまだ入つておらぬそうです。これはどういうふうに扱うかということで、こちらのものを今一括検討しておりますので、それが整理次第こちらに正式に受付けるというわけであります。この中に入つておりませんので、今私が申し上げた点は間違いなのでございます。ほかにはそういうものはないそうであります。ないというのは、一括して一件の中にたくさん入つておるというのはないのです。今申し上げました中には冷凍とございまするが、全部入るというふうにはまだなつておらぬそうです。先ほど申し上げました五百件ですが、その中にはむろん入つておらぬわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/47
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048・奧村又十郎
○奧村委員 私どもこれをお尋ねいたしますのは、やはり一件当りの平均貸付金額というものを問題にしなければならぬ。そういうものを一括して書かれると非常に誤解を生ずると思うのです。そうすると、ほかの部門においては、さように一括記入してない。こういうことに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/48
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049・太田利三郎
○太田説明員 一括したというのは、私間違いでございまして、一括ではなしに、まだこの中には入つていないそうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/49
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050・奧村又十郎
○奧村委員 思い違いをなさつたわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/50
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051・太田利三郎
○太田説明員 ほかにはそういうものはないそうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/51
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052・奧村又十郎
○奧村委員 そういたしますと、五百何件、約五百億円ほどの申込みがあつた、こういう話である。そこで申込み受付は二百二件。そうすると申込み受付と、申込みがあつたが、あとまだ処理していないという、そういう区分はどういうことでつけておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/52
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053・太田利三郎
○太田説明員 これはまだ書類もはつきりしない、向うと交渉中のものでありまするから、あるいは業種によりましては必ずしも受付けるかどうか、官庁側と打合せをやつておる、こういうものもあるわけです。そうしたものが一括して五百件の中に入つておるわけであります。その中にはむろんお断りするものもあるわけでありますが、そうでない。まだ未整理のものもあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/53
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054・奧村又十郎
○奧村委員 この製氷、冷凍の貸付については、水産庁の方では約二月ほど前に準備して、たしか開発銀行では一月以上前に書類は提出してある。かなり折衝も進んでおる。そういうような考えでおるらしいのですが、あなたの方では九月末においても申込みの受付もしておらぬ、こういうわけなんです。それで銀行として貸さないということできめられるなら、それでもいいが、貸すの、貸さぬのか、受付けるのか、申込みの受付すらも、するのかしないのかはつきりせず、そのままに一月も二月もほうつておく。そいうことでは非常に困ると思うのです。実は国会関係でも開発銀行の事務の取扱いと申しますか、そういうやり方については非常に非難があります。半年も開発銀行へ通つたが、てんで誠意のある話はないということは、同僚議員からも聞いておる。それで開発銀行として自主的におやりになるのだから、貸さぬのなら貸さぬでよい。また全然貸したくないというのならそれでもよい。それを貸さぬでもない、貸すでもない、なま殺しでいつまでも扱われるとすると、結局ばかにしておるというふうなことになるのです。どうもそういうふうな事務の処理の仕方がずいぶんあると思うのですが、その点どう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/54
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055・太田利三郎
○太田説明員 それは先ほど申し上げましたように、何せ五百件も殺到したのでございますから、これをわずかな人数で全部こなして、イエス、ノーをきめるということはできないわけなんです。本来ならば見返り資金などは、一年間にぼつぼつその中から返してだんだん取上げて行く。融資は漸次遅れて、二十五年度にしても翌年の二十六年度になつて、年度近くになつて出るというような実情なのですが、われわれとしてはなるべく馬力をかけてどしくやると言つてやつて来たわけです。しかし何せ非常な金額でございますから、どれから研究するかということ自体が非常に問題でございます。しかも設備資金でございますから、簡單にこれはいい、これはいかぬというふうにできません。ことに冷凍、製氷関係となりますると、各地からいろんな規模のものが来ております。それではたしてそれだけのものが全部いるかどうか。限られた資金でございますので、いるとしたらどれから取上げたらいいのか、どれに重要性があるのか、そういうことにつきまして水産庁と実は折衝しておるのでございまして、水産庁から資料がまだ参つておりません。なるほどお話は承りましたけれども、根本方針についてまだはつきりとした御方針も承つておらぬわけでございます。その上で実は考えたい。すぐ断るのは何でもないのでございますが、よく見ずに断るということは申訳ないことでございますから、そこは十分手を盡した上で申し上げたいといことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/55
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056・奧村又十郎
○奧村委員 先ほど宮腰委員からも話がありましたが、製氷、冷凍の融資については、もちろん農林漁業特別会計から特有の金が出ることになつておりますが、それは共同利用の建前から、協同組合の共同施設に限つておる。従つて株式会社あるいは個人などの場合においては、開発銀行でめんどうを見てやつていただかねばならぬ、こういうことであります。しかしどうも開発銀行の方としては、どちらにしろ態度がいつまでもだらだらとはつきりしないということで、業者も、また官庁側も困つておるようでありますから、どうかさようなことのないように、はつきり断るなら断られた方がいいと思うのですが、あんまり延びるというと—われわれも延びる事情についても、なおこの上よくお聞きしなければならぬ。将来そういうことになりはしないかと思つておるのですが、どうかなるべく早くやつていただくように、お願いいたしたいと思うのであります。
それからこれはもう一つ元へもどりますが、先ほどの捕鯨関係の三件、この融資については、復金の時代においてもかなりこれは滞つていたものと思う。この融資をなさつたについては、この融資についての整理を、またあるいは整理の方法をはつきりお立てになつて、融資をせられたのだろうと思うのです。従つてその三件の融資について、復金融資はどういう整理、どういう返済になつておるかということについて、何かあとから書面でお出しを願いたいと思います。
それから銀行局長にお尋ねいたしますが、復金の融資残高の肩がわりは、いつごろ実施なさるおつもりでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/56
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057・河野通一
○河野(通)政府委員 今般の国会に補正予算として、今その関係の予算案が出ております。この予算案を通していただきましたら、法律的措置はもうすでに完備いたしておりますから、通り次第政令でもつてやることになつております。国会の期間等の関係もありまするので、今はつきりとは言えませんが、できるだけ早く実施して参りたい。開発銀行が今余つております復金の資金をできるだけ早く使えるようにしたい、かように考えております。おそくも年内には引継ぎを完了できるように持つて参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/57
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058・奧村又十郎
○奧村委員 復金の融資の開発銀行へ肩がわりする分は、開発銀行としては、出資金とするんじやなしに借入金として、また開発銀行から個々の借主に対して融資をする、そういうふうな経理の仕方をなさるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/58
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059・河野通一
○河野(通)政府委員 個々の債務者に対しては、結局融資を承継するわけでございますから、融資の主体は開発銀行になるわけでございます。その資金は結局政府が明らかにして出した資金を、そのまま引継ぐわけでありますから、これは出資という形でなくて、政下府からの借入金という形になる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/59
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060・奧村又十郎
○奧村委員 その融資を開発銀行が肩がわりして引受けた場合、それの焦げつきと申しましようか、全然返済は受けられない、そういう分については、経理上今後どうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/60
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061・河野通一
○河野(通)政府委員 これは個々の融資についていろいろ問題がございますが、結局包括的に復金が従来出しておりました貸出しを、そのまま引継ぐわけでございまして、その貸し出した主体が開発銀行になりますから、開発銀行自体として責任を持つてそのあとの回収をやり、あるいはこれを整理することになる、かようになると思います。復金自体としては、それによつて開発銀行に吸収されるわけでありますから、復金があとその責任をどうするという問題は起らないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/61
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062・小山長規
○小山委員 同僚議員からいろいろ出ましたので、補足的に二、三お尋ねしたいのですが、開発銀行の資金の運用の方針としましては、新規の貸付に重きを置かれるのか。あるいは市中金融機関が長期設備資金を出しておるものを、肩がわりするのに重点を置かれるのか。どちらでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/62
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063・太田利三郎
○太田説明員 現在の実情は、新規融資に対する申込みは非常に多くなりました。需要もまたもつともと思われるものが多うございますので、どうしてもこれは新規融資に重点を置かざるを得ぬと思つております。でございますが、肩がわりいたしましても、その資金が結局社債になり、何かそういつた形で開発資金に行くようにいたしたいと思つております。
〔委員長退席、奧村委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/63
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064・小山長規
○小山委員 そうしますと、肩がわりの部分は通貨の回収という意味で、市中金融機関が日銀から借りている分の回収という形でなしに、さらにまたそれは市中に放出される、そういう形になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/64
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065・太田利三郎
○太田説明員 そういう場合もあると思います。日本銀行の返済になることもあるので、日本銀行の返済あるいは社債、金融債の引受等に向けてもらうようにと、大体こういう気持でおる。今おつしやるようなこともあるし、それから日本銀行の回収になる場合もあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/65
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066・小山長規
○小山委員 これは銀行局長に聞いた方がよいのだろうと思うのですが、銀行局としては、開発銀行の肩がわり資金が市中金融機関から肩がわつたものは、回収するという趣旨でやられるのか。あるいは今太田副総裁から言われたように、場合によつては、さらにそれを新たなる貸出しにまわすという形でやられるのか。どういう方針でやつておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/66
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067・河野通一
○河野(通)政府委員 開発銀行が肩がわりをいたします基本的な理由は、先ほど太田さんから御説明のありましたように、市中銀行の設備資金に対するオーバー・ローンと申しますか、そういうことをできるだけ資金構成を是正して行くということに、基本的な理由があります。しかしながら具体的な問題といたしまして、しからば開発銀行において肩がわりされましたことによつて浮いて来た資金を、全部そのまま日本銀行の返済金に充てることがいいか悪いかは、そのときの具体的な事情によつて判断しなければならぬ場合があると思います。日本銀行へそのまま返すことがよい場合もありましようし、場合によりましては、さらに設備資金の貸付金としてはなくなるけれども、あるいは金融債を持つ。たとえば興業債券等を持つて、興業銀行のそういう方面への設備資金の融資の財源を供給するというふうな形にするのも、一つの手でありましよう。またさらに直接的には電力債でありますとか、そういう社債を持つことによつて、各市中銀行の資産の構成を是正して行くということも、一つの方法だ一と思います。現在のところでは、必ずしも一本で、出て来た金は日本銀行へ返せという方針はとつておりません。今申し上げましたようないろいろな方法、そのときどきの金融事情に対応しまして、処置をして参りたい、こういうふうに指導いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/67
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068・小山長規
○小山委員 そうすると銀行局長に伺いますが、今の肩がわりは、まず肩がわりをするという事情が起つて、その処置を考えられるのであるか。あるいは金融上の必要が起つて、これは開発銀行に肩がわりさせなければいかぬ。肩がわりさしてあと仕事をさせるというふうにするのか。どちらが先なのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/68
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069・河野通一
○河野(通)政府委員 これはどちらが先といいますると、なかなかむずかしい問題でありますが、開発銀行本来の使命から見て、市中銀行がそういうふうな資金を肩がわりする必要がある、した方が適当であるという判断に基きまして、開発銀行がまず肩がわりをいたす場合があると思います。その場合には、その肩がわりによつて市中銀行にできました資金を、どういうふうして運用するのが、その肩がわりの品的から見て適当であるかということが、第二の問題として判断される。私どもといたしましては、個々の問題について、先ほど開発銀行に対する一般経理方針の問題について、太田さんからもお話がありましたように、個々の出題について強く開発銀行に対して強制をいたすというようなことはいたしておりません。現実の問題として市中知行のこういうふうな種類の貸出金はひとつ開発銀行へ肩がわりした方がいいだろうというようなものができた場合に、それによつて浮いて来た金をどうするか、こういう問題になつて来る、思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/69
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070・小山長規
○小山委員 そういたしますとこういうふうに了解してよろしゆうございますか。肩がわりの問題は個々の産業会社がまず開発銀行と相談するのが原則である。つまり大蔵省の方から、これは肩がわりした方がよかろうというふうに指導することはしないのである、こういうふうに了解してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/70
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071・河野通一
○河野(通)政府委員 これは先ほどもちよつとお話がありましたように、開発銀行の運営は政府の産業なり、金融なり、交通なりに対する基本的な計画に順応して、運用することになると思いまするその基本的な計画のうちには、こういう種類の設備資金を融資されることが望ましいというようなものもありましようし、またこういう種類の肩がわりが行われることが望ましいというふうなことは、基本的計画として開発銀行にお示しはしております。従いましてその範囲においては、政府の基本的な政策と言いますか、計画と申しましようか、そういうようなものに順応して開発銀行で取上げていただく、こういうことに相なつておるわけでございます。しかし個々の場合に、たとえばAならAという市中銀行のどの貸出しを肩がわりするようにというような具体的な問題として、私どもはひもをつけるようなことはやつておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/71
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072・小山長規
○小山委員 太田副総裁に伺いますが、貸出しをする場合に、関係各省から個々問題としていろいろ注文があるだろうと思う。たとえば自動車産業に融資してくれとか、あるいは船舶にやつてくれ、あるいは電気にやつてくれというようなことがあるだろうと思いますが、それでは開発銀行がそれの貸出しをなさる場合には、まずそういうふうな各官庁からいろいろな申出があつて、そうしてそれにマツチする借入先が出て来たときにおやりになるのか。つまりこれは言葉を返して言うと、貸付の申込みがあつた場合に、官庁の方からそれに裏づけするような、何と申しましようか、認証というような言葉を使つていいかどうか知りませんが、そのような官庁側の裏づけがなければ、貸さないという方針なのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/72
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073・太田利三郎
○太田説明員 これは官庁からお話がありまして、初めて取上げるという建前にはいたしておりません。やはり個々の企業からお話があれば、われわれはお話を闘いで審査いたすわけでありますが、ただわれわれの方でよく事情がわからぬもの、たとえば先ほど申しました冷凍関係のように、非常に多くのいろいろなケースが出て来まして、しかも資金的にはわれわれの方は十分でない、それから常識的に考えてこういつたものは今急ぐのだろうか、どうだろうかというような点で、われわれ疑念を持つようなものにつきましては、官庁と相談いたしまして、その御方針の決定をまちましてきめる、こういうことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/73
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074・小山長規
○小山委員 そういたしますと、開発銀行の資金運用計画としては、全体の資金の分量のうち、何パーセントはたとえば電気に置くとか、あるいは造船に置くとか、車両に置くとかいう、そういうふうな大よその目安を持つておられますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/74
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075・太田利三郎
○太田説明員 実ははつきりとした目安は持つておらないのでございます。それは当初資金量も実ははつきりいたしておりませんでしたし、現在も、本年度の資金量もはつきりしないような状態でありますので、はつきりとした目安は持つておりませんが、大体の目安、今なら石炭ならこれくらいであるとか、あるいは自家発電にはこれくらいのものが向けられそうだというくらいな考慮は、いたしておるのでございます。それから今基幹産業は急ぐものでありますから、そちらの工事設備資金というようなものが、当初の予定よりだんだんふえるものでございますから、そういつた資金の需要増加というものとにらみ合わせて行くわれわれの心ずもりは、つくつておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/75
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076・小山長規
○小山委員 おそらくそうであろうと思うのでありますが、その資金の配分をきめられる主たる理由、主たる目標と申しますか。それは開発銀行が自分の判断でやられるのか。あるいは政府のどちかの機関がそれを指導するのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/76
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077・太田利三郎
○太田説明員 資金の分量については、政府の御指示を受けないで、われわれの判断でやつておりますが、ただこういつたものが必要かどうか。たとえば鉄のこういつた種類の製品が、今どの程度に必要であるか、そういつた御説明を聞きまして、それによりましてわれわれの方の独自の判断で、計画を立てておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/77
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078・小山長規
○小山委員 次に伺いたいのは、この国内の開発資源の中には、山林も入るのであろうかと思うのでありますが、林道開発資金については、どういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/78
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079・太田利三郎
○太田説明員 それは実はわれわれの方で取扱う種目に入つておりません。おそらく農林漁業資金特別会計の方で取扱うことになつておるのではないかと想像いたしますので、銀行局長の方からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/79
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080・河野通一
○河野(通)政府委員 法律の建前から言いますと、開発銀行が林道の開発資金に出せないということはございません。しかし先ほどちよつと申し上げましたように、本年度開発銀行を中心として政府資金をつぎ込んでも、必ずその資金は確保しなければならないという事業の業種について、開発銀行が設立されました当時に内示はいたしてございますが、その中にはたしか林道の関係は、手元に持つておりませんが入つておらなかつたのではないかと思います。しかし法律上別にできないということはございませんので、政府の政策として、そういう方面の資金は、別のルートで出した方が適当であろう。具体的には今お話がありましたように、「農林漁業資金特別会計ですか、この方面の資金を使つて行くのが適当であろうという判断」になつております。なお農林漁業資金特別会計の運用といたしまして、林道の開発の関係の資金は相当程度出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/80
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081・小山長規
○小山委員 どういうものに出せという内示は、議会側に示されたことがありますか。まだなかつたらひとつあとで資料として出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/81
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082・河野通一
○河野(通)政府委員 これは実は内容といたしまして、ごく大ざつぱなたとえば鉄なら鉄の圧延施設とか、それかろ肥料なら肥料のどういう種類の肥料の増産施設というふうなことを、全体の産業計画として実は内示をしている程度でありまして、正式に範囲をきめてどうするという問題ではございません。お示ししていいかどうか、もう少し検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/82
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083・小山長規
○小山委員 議会でも示されないようなものが、開発銀行をどうして拘束するのですか。開発銀行の方では、あなたの方で内示したものでなければ貸さないと言うし、あなたの方で出せないようなもので、なぜ開発銀行が拘束されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/83
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084・河野通一
○河野(通)政府委員 拘束するという意味は、今申し上げましたように、政府の立てた基本的な政策に順応する、こういうことになつております。その計画の内容は、今申し上げましたように、ごく非公式のものができております。書面としてお出しできるかどうか、ちよつと研究させていただきたいと思います。別に隠してどうしようというつもりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/84
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085・小山長規
○小山委員 最後に銀行局長に一つ伺つてみたいのでありますが、先ほど深澤委員の質問のときに太田副総裁が申され、また深澤委員も申されておりますが、見返り資金の中小企業のわくは四十億ある。ところがこれは協調融資という建前になつております。ところが最近銀行局が出したか、あるいはこれから出すのか知りませんが、設備資金については、市中銀行金融機関は出してはいかぬという一般原則を立てられた。そうすと見返り資金は結局使いものにならぬという形になるのではないかと思いますが、そこのところはどういうふうに考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/85
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086・河野通一
○河野(通)政府委員 お示しのように先般の大蔵大臣の財政演説の中でも、市中銀行の出します設備資金につましては、ある程度規制を加えて行く方針を明らかにしております。それに基きまして、一昨日私の名前で各市中銀件には通達をいたしております。その内容は、最近におきまして過剰投資という言葉がよく言われますが、これに対しインフレーシヨンを押えながら限られた資金を最も効率的に、ことに設備資金に充てます場合には、どうしても必要なものを確保しますために、ある程度急がないものについては、特に設備資金については抑制することが必要であるという観点に立つております。それで通達をいたしました内容は、まず第一には、こういう種類の設備資金はぜひ確保したいということで、あがつておりますのは、第一は電源開発関係と申しますか、電力の供給を増加するための資金、それから船の関係の資金、石炭の関係の資金、鉄鋼の関係の資金、そのほかに中小企業の設備資金につきましては、見返り資金の中小わくで規定いたしておりますと同じように、生活必需需物資の生産輸出及び基礎産業の開発のために必要な中小企業の設備については、これはぜひ確保しなければならぬ。それから農林漁業につきましても、一定の非常に、需要度の高い設備資金については、ぜひ確保しなけければならぬ。そのほか開発銀行なり輸出銀行と協調して融資がされる場合の資金、これは市中銀行が出すものであります。その場合の資金も当然確保しなければならぬ、こういうふうなもの、その他経過的な規定はございますが、そういうものを確保するために、その他の設備資金については、この際抑制をはかつてもらいたい、こういう趣旨になつております。従つて今お示しの中小企業の見返り資金の対象といたしておりますものにつきましては、その必要性にかんがみまして、これを押えることは考えておりません。それからなおこの問題に関連いたしまして、今後輸出銀行につきましては、若干事情も違いますが、開発銀行におきましては、今後今申し上げましたような設備資金については、ある程度の規制を加えて参らなければならぬ一般的な要請に基きまして開発銀行の今後の運営も、ある程度再検討を要する点があるであろうということで、現在開発銀行にその点再検討をお願いいたしておるわけであります。まだ具体的な結論は伺つておりませんが、その趣旨に合うような開発銀行の融資方針というものを再検討いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/86
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087・小山長規
○小山委員 最後に開発銀行の運営方針で伺つておきたいことは、各種の従来の申込み、及び今後起るであろういろいろな申込に対して、おそらく開発銀行独自の立場から言えば、これは適格である、貸せる相手であるというものがあつて、しかも資金分量が足りないというふうな場合が出て来るであろうと思うのでありますが、現在のところ、どうも今までの説明を伺つておりますと、まず資金の分量がこれだけしかないのであるから、これだけしか貸せないというふうな、副総裁のお考えのように考えられるのでありますけれども、そうでなしに、資金の分量があればこれだけ貸せるのだというふうな基準で、どしどしその審査條件を進めて行かれる、ういうふうなことで行かれた方がいいのではないかと思うのでありますが、開発銀行としてはどういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/87
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088・太田利三郎
○太田説明員 お説の通りでございまして、われわれ資金分量がどうということで、特に審査を遅らせるとか、手遅れをしておるわけではないのでありまして、ただ問題のありますものについて、政府当局に連絡して、意見を伺つておるということでありまして、やり方としましては、審査をどんどん進めております。資金分量がふえれば貸せることに相なると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/88
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089・奧村又十郎
○奧村委員長代理 本日はこれをもつて散会いたします。
午後零時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00119511022/89
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