1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十月二十七日(土曜日)
午前十一時一分開議
出席委員
委員長 夏堀源三郎君
理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君
理事 西村 直己君 理事 内藤 友明君
有田 二郎君 川野 芳滿君
佐久間 徹君 清水 逸平君
高間 松吉君 三宅 則義君
宮幡 構君 宮腰 喜助君
高田 富之君
出席国務大臣
法 務 総 裁 大橋 武夫君
出席政府委員
大蔵政務次官 西川甚五郎君
大蔵事務官
(主税局長) 平田敬一郎君
大蔵事務官
(理財局長) 石田 正君
大蔵事務官
(管財局長) 内田 常雄君
委員外の出席者
大蔵事務官 佐藤 寿実君
大蔵事務官
(理財局次長) 酒井 俊彦君
大蔵事務官
(理財局外債課
長) 上田 克郎君
大蔵事務官
(管財局外国財
産課長) 佐々木庸一君
専 門 員 椎木 文也君
専 門 員 黒田 久太君
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十月二十六日
台湾における外地資産補償に関する請願(坂口
主税君・外一名紹介)(第三四六号)
豊平町地内旧陸軍用地を無償払下げの請願(河
口陽一君紹介)(第三四七号)
冷蔵器に対する物品税撤廃の請願(三宅則義君
紹介)(第三四八号)
終戦後外地における被接収船舶の国内補償に関
する請願(岡田五郎君紹介)(第四一八号)
在外公館等借入金返済実施に伴う現地通貨の換
算率に関する請願(塚田十一郎君紹介)(第四
一九号)
同外二件(若林義孝君紹介)(第四二〇号)
未復員者給与法の適用患者に対する療養期間延
長に関する請願(花村四郎君紹介)(第四二一
号)
同(池見茂隆君紹介)(第四二二号)同外二件
(苅田アサ君紹介)(第四二三号)
回外十三件(畠山鶴吉君紹介)(第四二五号)
未復員者給与法の一部改正に関する請願(眞鍋
勝君紹介)(第四二六号)
同(金子與重郎君紹介)(第四二七号)
陶磁器製タイルに対する物品税撤廃の請願(塩
田賀四郎君紹介)(第四二八号)
鏡に対する物品税撤廃の請願外一件(高橋英吉
君紹介)(第四二九号)
たばこ小売人の利益率引上げに関する請願(吉
田吉太郎君紹介)(第四三〇号)
旧陸軍共済組合員に年金交付に関する請願(辻
寛一君紹介)(第四四一号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会犠に付した事件
参考人招致に関する件
連合審査会開会に関する件
所得税法の臨時特例に関する法律案(内閣提出
第一〇号)
財産税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一一号)
法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二一号)
在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案
(内閣提出第一四号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/0
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001・夏堀源三郎
○夏堀委員長 これより会議を開きます。
本日は、まず所得税法の臨時特例に関する法律案一財産税法の一部を改正する法律案、及び法人税法の一部を改正する法律案の、三法律案を一括議題として質疑に入ります。三宅君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/1
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002・三宅則義
○三宅(則)委員 私はただいま議題となりました所得税法の臨時特例に関する法律案、法人税法の一部を改正する法律案等々につきまして、質疑をいたしたいと存じます。
今度の所得税の改正によりまして、なるべく零細なる商工業者あるいは少額勤労所得者等に対しまして、政府当局も軽減しようという意思が現われたことは、了承するにやぶさかでございません。私は物価の上昇等を考えまして、基礎控除を三万円から五万円に引上げなすつたことも了承するわけでありまするが、この際抜本的にもう少しく基礎控除を高めまして、十五万円以下の者は扶養控除等を引きますと、かからないようにいたしたいというのが私の根源でありまするが、ただいまの構想では、基礎控除で五万円、扶養控除で一万五千円から二万円になりました関係上、大体三人の扶養控除で六万円、それ以下の者は一人について一万五千円ぐらいでありますから、十二、三万円までは免税になると思うのです。この点について、十五万円以下の者は免税いたしたいというのが私の根源でありまするが、政府といたしましては、どこに限界点を置かれたか。その限界点に対しまする構想を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/2
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003・平田敬一郎
○平田政府委員 実は私どもは、普通の世帯でありますれば、十五万円ぐらいの程度までは所得税がかからないという点も考えているわけでありまして、今回の改正によりますと、ほぼそれに近くなる。お手元に税制改正の要綱という書類をお配りしまして、その六ページに給与所得に対する課税最低限という表がございますが、この表をごらん願いたいのであります。基礎控除は独身者の場合の免税点でございまして、家族のある人の場合におきましては、扶養控除額を加えましたのが免税点になる。給与所得の場合でございますと、そのほかに勤労控除がございますので、この三つの関係で免税点がきまる。その関係を示しましたのが六ページの一番しまいの段に掲げておりまする、給与所得に対する課税最低限の表でございます。すなわち扶養親族が四人、つまり奥さんと子供三人、これは普通相当多い世帯だと思う。お子さんが二人から三人、扶養親族が三ないし四人の世帯が一番多いのでありますが、四人の世帯になりますと、現在は十万五千八百八十三円までかからないのが、改正案によりますと、十四万七千五十九円まで免税になりますので、三宅さんの理想に大分近づいておるということを申し上げておきたいと思います。
それから事業所得の場合は勤労控除がありませんので、それより若干低くなります。同じく本人も含めまして五人世帯、つまり扶養親族が四人の世帯におきましては、現在九万円であるのが改正後は十二万五千円になります。農家の場合はもつと多い場合がございますが、扶養親族が五人の場合でありますと、現在十万五千円までかからないのが、改正後は十四万円までかからなくなる。従いまして実際の免税点は十二万円から十五万円前後に世帯の場合においてはなる、こういうことに今度の改正で相なりまするので、基礎控除ということだけにあまりとらわれないで、免税点を見ていただきたいということを、特に強調いたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/3
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004・三宅則義
○三宅(則)委員 ただいまの主税局長のお話は了承するにやぶさかでありません。私は地方税等も勘案いたしまして、基礎控除並びに扶養控除を合算いたしまして、十五万円以下のものは全部免税、こういう線を堅持いたしたいと思つておるのであります。つきましては勤労所得者と事業所得者とは総合になつておると思いますが、勤労は勤労で別にして、総合に合算しないという線を堅持いたしたいと思うのです。たとえば農業所得者で役場の吏員になつたり、協同組合の勤人等をいたしておりますと、家族の者の勤労でありまするけれども、事業所得と一緒になるという場合もあるのでありまして、これは商人等においてもさようなことが言い得られるのでありますから、これを分離するということを堅持したいと思いますが、主税局長はどういうように考えておられるか承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/4
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005・平田敬一郎
○平田政府委員 その点も大分二、三度の改正でよくなりまして、以前は同居親族の所得は全部合算いたして課税しておつたのでありますが、二十五年度の改正で一部合算をやめ、それから本年度の改正で資産所得も全部合算をやめまして、所得者ごとに課税することにいたしたのでございます。一昨々年、二十四年度あたりは、御指摘のような非難が大分ございましたが、最近はそういうことはよほどなくなつております。ただ同じ人が事業もやつておる、勤労もやつておるという場合におきましては、それを分離して課税するということは、所得税の理論上あまりにも不合理に相なるかと考えまして、その点はやはり合算すべきものだと考えております。合算と申しましても、同一人の所得を総合するというわけでありますので、それは所得税としては堅持いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/5
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006・三宅則義
○三宅(則)委員 この点も了解いたすために明確にいたしたいと思います。本人は確かに名義人でありまするけれども、実際に他に勤労をしている関係上、その事業に携わつていないというのが往々にある。実際は自分は役場の村長をしておつたり、あるいは協同組合の理事をいたしておつて、仕事はやつていない。家族がやつている。こういうものについてはよほど考慮する必要があると思いますが、ひとつ正確にお話願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/6
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007・平田敬一郎
○平田政府委員 今申し上げましたように理論的にはきわめて明らかでありまして、その所得が同一人の所得である限りにおいてはすべて総合して課税する。この線は動かすべきではないと思います。ただ今お話のようにある所得がその人の所得であるかどうか。事実認定がむずかしい場合があるだろう、こういうことかと思いますが、これはやはり現実に、たとえば農業所得でありますと、不動産の所有がだれになつているか、従いまして農業経営からの実際の収入が何人に帰属しておるか、そういう点をよく調べまして、その人の所得なりやいなやを判定すべきものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/7
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008・三宅則義
○三宅(則)委員 今回の改正によつて不具者控除、老年者控除、寡婦もしくは勤労学生控除等が、最初は一万五千円引くということであつたのが、今度は税額の方で四千円ということになつたのですが、取扱い上便利であるということでそういうふうになさつたのですか。その辺の構想を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/8
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009・平田敬一郎
○平田政府委員 これは理由が二つございまして、一つは取扱い上便利であるということと、いま一つはこういう特別控除の性質にかんがみまして、むしろこの方がいいのではないかという二つの理由からであります。取扱い上の便宜という点を申し上げますと、今までは御承知のように、扶養親族の控除もこういう控除も、無制限に一万五千円にいたしていたのであります。従いまして、簡易税額表を適用する際におきまして、非常に簡単に適用できていたのでありますが、今回の改正によりまして、扶養親族三人まで二万円、それ以上一万五千円というようにいたしました関係上、その扶養親族のほかにこういう所得者がいた場合に、どういうふうに簡易税額表をつくるか、非常にめんどうなことになるのであります。それで私ども、ためしにいろいろつくつてみたのでございますが、相当厖大なものになりますのみならず、実際にそれを当てはめまして源泉徴収義務者が計算いたします場合に、非常に複雑になる。それを排除する意味におきまして、税額控除の方がよろしい、こういう点であります。
それからいま一つは、実はこういう控除は、非常に担税力の少いものに対します、一種特別の救済的な控除だと私どもは考えておるのでございますが、そういう控除の性質からいたしますと、税額で同額を軽減するというのも、これはこういう控除の性質上妥当ではないか、むしろその方が、あるいは今までよりも、理論的に考えても、より妥当ではないかという点を考えたのでございます。この結果、低額所得者は、実は今までよりもよけいに減税になり、それからある程度以上の所得者は、今までよりも少い控除しか受けなくなる。四千円でございますので、課税所得が八万円以下の場合は、今度は百分の二十の税率となりますが、百分の二十で四千円を所得に直します。と、二万円の控除に相当する。今の一万五千円を二万円に上げましたのと同じ結果になります。それから二十五の適用を受けるところにおきましても、今の一万五千円の控除よりも額が増額されたことになる。ただ三十以上の税率の適用を受けるところにおきましては、今よりも若干不利になる。そういうことになるわけでございますが、こういうものは、比較的所得の低い、担税力の低い方面に対して最も意味のある税だと考えますので、一律税額控除の方が、むしろこういう税の趣旨に即するのではないかということも考えまして、このように改正いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/9
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010・三宅則義
○三宅(則)委員 ただいまの御説明でわかるところもありましたが、私はこういうことを思つておるので、主税局長によく納得していただきたいと思うのであります。確かに零細なる農民あるいは中小以下の企業者等につきましては、大減税であります。ところが中の、たとえば三十万円以上とか、五十万円内外のところがまだ割合に高いと私は思う。地方税等を勘案いたしますると、国税が高くて、地方税が前の二倍、三倍になつておる部面もありまするから、往々にして三十万、五十万という線が割合に負担が重い。こういうことを実際痛感いたしておるのであります。その辺についてもう少し考慮する必要があると思うのですが、主税局長はどういう構想でやられましたか。三十万ないし五十万の線をもう少し低くするということがよろしいと思うのです。一般大衆並びに納税者諸君の気持を代表いたしまして、申し上げるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/10
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011・平田敬一郎
○平田政府委員 今のお話の点は、たびたび私も御同感である趣旨をもつて、三宅さんと応答をかわしたことを記憶しておるわけでございまするが、今回も実はそういう趣旨を織り込みまして、税率を若干上にずらしたわけであります。税率の表をごらん願いますとわかりますが、ある所得がふえた場合に、そのふえた部分に対して何%所得からとられるか、いわゆる限界税率と申しますか、上積み税率と申しますか、その税率が、三分の一程度の税率を適用するのは、一体どのくらいの所得からが妥当であるかという点について、常に研究いたしておるのであります。今回の税率は三分の一若干強になつております。その百分の三十五の税率の適用を受けますのは、課税所得で二十万円を越える金額になつております。これは課税所得でございますから、基礎控除と扶養控除をした残りでございます。その残りの所得が二十万円でありますから、さつき申しましたように、奥さんと子供三人の給与所得者の場合でありますと、二十万円に十四万三千円を加えました三十四万五千円、約三十五万円の給与所得者の場合に、それから賞与でももらいまして所得がふえますと三五%かかるというわけであります。もちろん、その人の平均税負担は、それよりもはるかに低いのでございますが、ふえた場合の負担は三五%ぐらいになる。従いまして、家族の多寡にもよりますが、三十万から四十万前後、その辺の所得者の所得が増加した場合の、いわゆる上積みの限界税率が三五%ということでありますれば、どうも今の財政事情からいたしますと、所得税としてはまだいたし方なかろう、こういうふうに考えておるのでございまして、今回の改正によつてその点はさらに一段と従来よりも改善されるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/11
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012・三宅則義
○三宅(則)委員 今のところは中心でありますから、今後ともひとつ研究を重ねまして、十分その減税に邁進したいと存じます。
次に退職所得者、これは今度の行政整理等におきまして問題になる点でありますが、退職金につきましては昔はかけなかつたのでありますが、戦後かけることになつたのであります。十五万円を基礎控除されておりまして、あとの方に半額かけるというわけでありますが、十五万円というのは、私の先ほど言つたような最低の基準という意味合いでありましようか。三十万円も四十万円も受けた人に対しましては、十五万円ではむしろ少な過ぎる、こういうふうにも考えられる。私どもとしては、五十万円以下の退職金はみな免税してやりたいというような気分もあるわけでありますが、その辺の構想について率直なところを政府としてお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/12
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013・平田敬一郎
○平田政府委員 退職所得につきましては、実は今度の改正は二つの点をねらつております。一つは負担を大幅に軽減するということと、課税の簡素化をはかる。この二つを中心にして考えておるのでございます。純理論的に考えますと、私どもはやはり今の制度の方がよい点が相当多いと思う。と申しますのは、今の制度でございますと、退職後に所得が非常に減つた人と、所得がふえた人とで負担が非常に違つて来る。所得の減つた今の場合は非常に軽くなる。反対に所得がふえる、あまり減らないような場合は、やはり退職所得から相当の負担をしてもらう。それを五箇年平均して課税する。こういう制度を採用しておりまして、課税の純粋理論から行きますと、現行制度は実はなかなか捨てがたいところがあるのであります。ただ、いかにも所得税の一般の分が重いために、退職所得をある程度もらいますと、上積みでかかりまして、相当負担が重くなるという点が一つ。いま一つは、徴税手続と申しますか、納税手続が相当複雑である。この二つの点から行きまして、今の制度は日本の現状には即しないじやないかという点を考えまして、今回相当大幅な実は負担緩和をはかることにいたしたわけでありまして、現在の負担に比較いたしますと相当減るのであります。十五万円を分離課税して控除しますので、今まではわずか三、四万円もらいましてもかかつておつたのが、今度は全部かからなくなつて来るわけでありまして、相当な負担緩和と考えているのであります。十五万円にした理由といたしましては、これはいろいろ考えられますが、独身者の場合でありますと、三年分の基礎控除になるかと思います。扶養親族がさきに申しましたように四人程度いる場合でありますと、これはおよそ一年分の基礎控除及び親族の控除ということになるわけでありまして、その程度の控除をいたしますれば、今のところといたしまして、退職所得の課税上相当な配慮を加えたということになるのではないかというふうに考えまして、十五万円にいたした次第であります。さらにその十五万円を除きまして、残りの所得の半分にいたしますので、相当まとまつた退職所得を受取る人の場合におきましても、今に比べますと今度は相当負担が軽減になるというわけでありまして、退職所得の性質からいたしましても、一般の所得税が相当高い現状のもとにおきまして、このような改正を行うことは、今としては妥当である、かように考えたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/13
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014・三宅則義
○三宅(則)委員 今の退職につきましても了承する点もありますが、こういう点は考慮せられなかつたかどうか。三十年勤めて三十万円もらつた人と、一年や二年で三十万円もらつた人と同様に考えるということもどうかと思うのですが、三十年も四十年も勤めて三十万円、四十万円もらつたものはほとんど免税してやりたいというのが、われわれの信念であります。その期間等を考慮の中に入れられたかどうか。ただ漫然と、退職金はこれだけかけるという御構想でありますか、承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/14
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015・平田敬一郎
○平田政府委員 期間の点をどうするかは、研究いたしてみたのでありますが、非常に複雑なんです。それで現実問題といたしましても、事実において調査がはたして何十年という長いのを調査できるかどうか、むずかしい問題もございますし、それから源泉で差引いていただく場合におきましても、非常にめんどうであるし、あとで役所で調べます場合におきましても、非常にめんどうになる、やはりこの種の所得におきましては、課税の簡素化ということをあわせて考えなければならぬのじやないか。そのかわり負担は相当大幅に軽減するという趣旨にいたしましたので、むしろそういつた方法は採用しない方がいいのではないかという考え方で、採用いたさなかつたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/15
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016・三宅則義
○三宅(則)委員 今般の改正におきまして、配当所得に対しましては、源泉で百分の二十をとるということになつております。これはまことに簡素化といたしまする点でありますが、それは普通の所得と合算した方がよろしいとも私は思うのですが、その限界点を源泉が簡便であるからそうしたという、こういう趣旨でございましようか。どういうところに根拠がありますか承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/16
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017・平田敬一郎
○平田政府委員 配当所得につきましては、二〇%源泉課税するわけでございますから、これは当然配当は総合いたしまして、税額を出して、その税額から源泉でとられた二〇%は差引いて、申告して納めるということになるわけであります。このような制度にいたしましたのは、最近までの申告及び総合の実績を見ますと、どうもなかなかうまく行つていない。一つは名義書かえをしませんで、会社等の名義でそのままにしている者が非常に多い。その結果配当の総合漏れと申しますか、正しい課税ができていないものが相当あるようであります。これはひとつ徹底的に調べ上げてやりますれば不可能ではございませんが、まず源泉で二割程度課税いたしておきまして、あと申告によりまして正しい税額を計算するということになりますれば、今に比べますと、よほど適正化ができるのではないか。納税者といたしましても正しい納税者の場合は、それだけ源泉で納めておきますれば、あとで申告で納める際に税額が少くなりますから納めやすい、そういう点を考えまして、むしろ源泉課税にした方がいいという趣旨で、源泉課税にいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/17
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018・三宅則義
○三宅(則)委員 私はしばしば平田主税局長にも申し上げておるのでありますが、国会がかわりましたから、もう一ぺん繰返すことになるのでありますが、今の配当所得に関連いたしましておよそ日本国民は全部納税者である、こういう観点を堅持いたしたいと私は思つております。たびたび質問したことでありますが、税籍簿というものを各府県にあるいは町村に備えておいて、国民であります以上は、たとえ移転いたしましても、二十歳以上の者は、成年になつた以上は納めるという線を堅持したいと思うが、今の政府の方では御実行になつていない。米の配給と同様に、愛知県において東京に来た場合には東京に持つて来る、あるいは東京の日本橋におりましても、品川に移転した場合には品川についてまわる、こういう線を堅持してこそ国民の負担の公平が期せられる、こういうことを堅持していただけば必ず漏れがない、こういうふうに考えますが、これに対して政府はどう思つておりますか。率直に承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/18
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019・平田敬一郎
○平田政府委員 税籍簿の御議論はたびたび承りまして、私ども一つの雄大なプランだと考えますが、なかなかそれはまともに実行いたしまして、その手数と実益というような点を考えますと、まだ実行案をつくります段階には参つていないのでございますが、将来ともよくひとつ研究してみたいと思います。ただ所得税の納税者は、改正によりまして累年大分減つて参つているのでありまして、今回の改正でも、現行法で行きます場合に比べまして、約二百万人程度所得の納税者が減る。昭和二十四年分の所得税が、例の超均衡予算で所得税が非常に重かつたわけでありますが、その当時の納税者の数に比べますと、六百七十万程度減るというようなことになつておりまして、所得税はよほど二、三年前に比べますと改善が加えられつつありますので、その点御了承願いたいと思います。しかし所得税の全面的適正な実行ということになりますと、なかなか問題は多うございますので、今の三宅さんの御意見もそれに関する一つの有力な御意見でありますが、具体案をにわかにつくりにくい点もありますので、研究してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/19
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020・三宅則義
○三宅(則)委員 その税籍簿は、税制の改革には必要欠くべからざる大問題であると考えますから、ぜひひとつ御研究を願います。
次に法人税につきまして、二割の値上げによつて三五%が四二%になつた。これは朝鮮動乱以後相当認識を深めておりますから賛成する一人であります。ただ特別法人、公益法人等につきまして、これが百分の三十五を堅持せられております。これはむしろ百分の二十くらいに下げて、この法人税の一般の法人税の方を四五%くらいに上げた方が税収も多いし、また地方の農業協同組合とかあるいは公益法人等は楽になる、こういう線を持つておるわけですが、どうして四二%でとめられたか。むしろ私は四五%くらいにして、公益法人等を二〇%に下げた方が妥当であると思いますが、どうでしようか。承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/20
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021・平田敬一郎
○平田政府委員 御議論の方向は、三宅さんの御意見と一致しているわけでありますが、今の御意見ですと、両方とも少し行き過ぎではないかと思います。法人税は今相当納税がよくなつておりますので、ある程度の増税をはかつた方がいいと思いますが、やはりある一面におきましては、事業の拡張という点も考慮する必要がございますので、そう一躍して引上げますのもどうかと考えまして、現在の税率を二割引上げまして、四二にいたしたのであります。一方特別法人につきまして、一昨年の改正でこれも理論に徹しまして一律にいたしたのでございますけれども、やはり日本の現状からいたしますと、若干の差はついた方が実情に即するのではないかという意味で、今回引上げを見合わすというので、その差をつけることにいたしたのであります。今の情勢から行きますと、まず政府の案が常識的な妥当なところではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/21
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022・三宅則義
○三宅(則)委員 今度の改正によりますと、法人税におきまして、昭和二十六年九月一日以降終了年度に対しては、税額の半分を納めてあとは三箇月間猶予を持つということにいたしておるのでありますが、むしろ法人税等は、過去の業績によつての納税でありますから待つ必要はないと思いますが、どこにそういう根拠を置かれたか。たとえば金融難等があるからそういうふうにされたのかもしれませんが、この点はどういうところに根拠を置かれたか、承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/22
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023・平田敬一郎
○平田政府委員 私ども三宅さんのお話になりましたような点も、大分考えてみたのでございますが、ただ事業年度が過ぎましても、二箇月日に全部一ぺんに納めるということになりますと、やはり企業の金繰りと申しますか、それがなかなかうまく行かないのが実情でございます。従いまして今度の制度は、金繰りにあまり困らないような事業は納めていただきたいという意味から、四銭の利子税を徴することになつております。但し金融の都合その他がなかなかうまく行かないので、どうしても二箇月内に納めにくいものは利子税を拂うということを条件にして、申請があれば無条件に半分だけは三月延ばす、こういうふうにいたしたのでありまして、今の企業の実情からいたしますと妥当ではないか。ことにわが国の会社の決算は、三月と九月に非常に片寄つております。従いましてそのころ一時に納税資金が金融機関等に殺到しまして金融の調節にもおもしろくない影響を与える。従いましてこれを若干納期を年に分散いたしますと、よほどその点もよくなりまして、かえつて円満な納税が期し得るのではないかということを考えて、三月ほど半分だけは延ばす。但し何でもかんでも一律に延ばすという趣旨ではなくて、四銭の金利を払うということになると、やはり金繰りにあまり困らない法人は、二箇月でも全部納めてもらうということになるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/23
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024・三宅則義
○三宅(則)委員 私は政府の考えも同情あることはけつこうでありまするが、そのために納税者が金繰りの都合上、これを延ばしてもさしつかえないという意味におきまして、堂々と延ばすことを主帳する、こういう点等を考えますと、これはよほど考慮する必要があると思うのであります。
次に青色申告書に対しましては、退職手当等につきまして、積立金に繰入れた場合でもこれを損金と見る。青色申告書以外のものは見ない、こういう構想のように承るのでありますが、むしろ私は青色申告者以外でも正しい計算をいたした者につきましては、同様の恩典を与えるのが当然であると思いますが、この構想はどうですか。承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/24
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025・平田敬一郎
○平田政府委員 大体青色申告をいたしまして不利になることは実はないのです。従いまして帳面がちやんとあつて、青色申告に該当するような記帳をしておられるところは、みな青色申告をしていただけばかえつて有利になる。従いましてお話のように、記帳がはつきりしている人の場合は、私は結果は同じになると思います。これに反しまして、記帳がはつきりしないので青色申告をするに値しないような人、こういう人の場合は、やはりこういう制度は相当技術的に複雑でございますので、やはり認めるわけには行かぬのじやないか。そういう意味からいたしまして、青色申告をする者に限つて認めたい、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/25
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026・三宅則義
○三宅(則)委員 今青色申告について、大分同情あるお答えでありましたが、むしろ青色申告に対しましては、青色申告会等に出席しまして陳請を聞きますと、せつかく青色申告をしたにもかかわらず、何ら特典がない、むしろ一割くらいは減税してもらいたい、こういうことをしばしば聞くのでありますが、青色申告者には、今お話になりましたような、積立金に対しまする繰入れを認めるという程度のものでありましようか。今私の申したような、一般の輿論でありまするところの、幾らか税金の面において引いてもらい先い、こういう線がありまするが、政府はどう考えておりますか承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/26
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027・平田敬一郎
○平田政府委員 青色申告者なるがゆえに、一般の税金を軽減するということは、大分要望もありますが、私はやはり行き過ぎじやないかと考えます。そのかわり所得の計算に関しましては、青色申告の場合でございますと、非常に計算がはつきりなりますので、普通の場合認められないいろいろな計算の特例を、青色申告者につきましては認めておるのでございます。従いまして合理的に処理していただく限りにおきましては、青色申告の納税者の場合が、一般の人よりも非常に有利になるわけでありまして、この退職金の積立てを損金に算入するという制度も、一つの有利な条件になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/27
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028・三宅則義
○三宅(則)委員 今の主税局長のお話によつて了承いたしましたが今後とも青色申告につきましては、大特典を構想の中に入れまして、立案をせられんことを希望いたします。
次に重要産業に関しまする固定資産、たとえば重要産業の精巧な機械等について、その年に半額を減価償却する、こうなつておるわけでありますが、それは普通の機械と関連いたしましてどうでありましよう。少し行き過ぎのようにも考えられますし、また精巧なる機械等については、そういうようなことも考えなければならぬと思いますが、その構想はどういうところに根拠がありましたか、ひとつ承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/28
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029・平田敬一郎
○平田政府委員 これは確かに税だけの見地から申しますと、実は少し行き過ぎをやろうということでございます。それで重要産業の合理化と近代化を促進するために、税だけの見地から申しますと、少し行き過ぎたことをひとつやつたらどうかという意味でございます。産業といたしましては、そのかわり日本の経済全体に重要な意義を持つような、たとえば鉄鋼業、非鉄金属の製造業、それから石炭その他の鉱業、それから化学肥料の製造業といつたような重要産業につきまして認めたい。こういう産業につきましては、特に近代化、合理化をはかる必要がございますし、またはかつた結果が国民経済全体に相当な好影響を及ぼす、こういう産業の場合におきましては、これは私今の段階におきましては、相当大幅の減価償却を認めまして、そういうことを促進するという方向に持つて行つた方がいいじやないかということで、全体の政策から考えまして、それを採用することにいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/29
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030・三宅則義
○三宅(則)委員 本日は国税庁がおいでになりませんが、主税局長がすべて立案をせられ、監督をせられておりますから、これに関連して申し上げます。私どもはこの所得税並びに法人税の改正等は、大体において賛成です。むしろ私の考えるところは、零細なる企業、たとえば物品税等につきましても、少しばかりの収入のある者を税務署が大いに騒ぎまわつて、納税者を苦しめたり、あるいは申告者に対して迷惑をかけることが往々ある。むしろこの際大幅に、零細なる商工業の物品税等は、これを免除する構想がよろしかろうと考える。一例を申し上げますと、冷蔵庫というものにつきましては、食品衛生法というものがあつて、厚生省あるいは農林省等からやかましくいわれて、衛生設備上必ずつくらなければならぬことになつている。業者はもちろん、またわれわれ国民といたしましても、夏などはこれは特に必要です。しかるにこれに対してわずかな金額の税金が残つている。一億足らずの三千万か四千万か残つておりますが、こういうものは政府も保健衛生上要望しており、国民もまた要望しておりますから、むしろ大幅にやめちやつた方がよろしい、こういうふうに思うのです。これも零細な企業の一つでありますが、金庫等においてもその通りです。これは大部分官庁がこれを使用している。それに官庁が税金を賦課してとつております。一般の書類を入れますケース等においては免税になつている。しかるに銀行あるいは会社、官庁等におきましては、相当金庫を使つておりますが、これには税金をかけている。それはおもしろくないと思いますから、物品税の改正等も今後お出しになると思いますが、小さい企業、まためんどうくさいもの等については、大幅にやめてしまう、こういうことを堅持することが必要であると思いますが、主税局長はどう考えておられますか承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/30
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031・平田敬一郎
○平田政府委員 物品税につきましては、最近二回ないし三回相当な減税をいたして参つたのでございますが、今後は若干情勢がかわつて参りましたので、物品税について、一般的な軽減はむずかしかろうと考えております。従いまして物品税の中で、なお検討すべき余地がないとは私は申し上げないのでありますが、しかし大体物品税とい参うものは、お話のようなものが相当多うございまして、そういうものが集まつて結局全体の物品税ができ上つておるということになりますので、一つはずしますと、これもはずさなくちやならぬということになりまして、なかなか問題の解決がむずかしかろうと考えます。しかしなお著しく不合理な面等がございますれば、これはよく検討して合理化するということは、やぶさかじやないのでございますが、全体として物品税に対する考え方が、前回、前々回と同じような考え方では行きにくい財政事情の点も、御了承願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/31
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032・三宅則義
○三宅(則)委員 あなたの監督になる国税庁、その次が国税局、その下が税務署でありますが、これらが一般企業の調査にあたりまして、税務署は二百万円以下の会社、法人を調査している。その上は国税局がやつている。私はむしろ、二百万円という限度は昔の二万か三万の小さい会社であるから、そういうもののみを税務署がやつておつて、上の二百万以上のものは国税局がやるというのはどうかと思う。確かに戦後、昭和二十二、三年ごろまでは、税務署もふしだらなことも多かつたのですが、あなたの御努力、国会議員の誠意等によりまして、大分税務署もよくなつて来た。しからばこの際二百万円以上なんというようなところに限界を置かないで、むしろ五千万円以上のものを国税局でやり、あとのものは税務署の方でやるという方が、手取り早いと思いますが、あなたの御監督されている国税局に対して、どういうように考えておりますか、この際承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/32
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033・平田敬一郎
○平田政府委員 国税局に一昨年から調査官をつくりまして、比較的大きな会社、中以上の会社、及び大きな個人の納税者、これをよく調査してやるということの趣旨で、国税局所管に移したわけでございますが、その資本金の額を具体的にどうするかというような問題は、これは実際問題としまして、そのときの情勢に応じまして、よく研究する必要があるかと思います。なお目下どうするか、そういう問題につきましても検討中でございまして、妥当な仕事の配分をきめまして、全体として能率が上るようにいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/33
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034・三宅則義
○三宅(則)委員 これは大事なことです。一般の納税者、何十万、何百万人というものが、非常に心配していることです。国税局の方にも大分いい人もおりますが、この二百万円に限度を置くというようなことは、昔の一万、二万というような会社を調べておることになり、税務署はくずばかりやつて、上のいいところは局がやる、こういうことになると、税務署の官吏自身にも勉強にならない。同族会社もしくはこれに毛のはえたような小さい会社ばかりやつて、重箱のすみをようじでつつつくようなことばかりやつておつて、むしろ大きな魚を逃がしておる。こういう点があると思いますので、ひとつ構想を練つて、国税局の方には五千万円以上というような高い線を引いて、その下は税務署がやる、こういう方がよろし、いと思います。
もう一つつけ加えて申し上げておきますが、税務署あるいは国税局の官吏等の素養等も、大いに研究してもらいたいと思います。だんだんよくなつては参りましたが、なお部下の中には、越権行為をして納税者を苦しめている。たとえて申しますと、何日に調査に行くというようなことを言つて参るから、税務代理の都合もあり、あるいは納税者の都合もありまして、二、三日待つてもらいたい、こういうふうに言つても、待てぬと言つて、飛んで行つて納税者を苦しめるという場合もあります。法の最高権威である裁判においても、弁護人の都合等から、場合によりましては、一回、二回は延期される場合がある。しかるに税務署、国税局の調査等におきましては、単刀直入に、照会もせずして強引に押し込んで調査するということもありますが、そういうことは納税者の敵ではない、味方である、お得意樣であるという観点から、よく打合せをいたしまして、一日か二日前に向うの意向も聞きまして、しかして出張したり調査する、こういう穏健妥当なる税務行政をやつていただきたいと思いますが、主税局長はどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/34
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035・平田敬一郎
○平田政府委員 税務行政の運営の仕方につきましては、目下国税庁が非常に努力しまして、大体三宅さんのお話のように、よく納得の行く納税という趣旨でやつておりますので、最近はよほど改善されつつあると思います。非常に具体的な事項になりますと、あるいは国税庁から来ましたときにさらに御質問願いたいと思います。方向は大体同じような方向で、最近努力しておるようでありますから、漸次よくなつて行くものと私ども期待いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/35
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036・三宅則義
○三宅(則)委員 しからばこまかいことは国税庁長官にお伺いいたします。が、立法に参与しておられ、われわれと協同して立案しておられます平田主税局長にお伺いしたい。十四条二の変動所得というものはなかなか見にくい。税務署でも変動所得はわからぬと言つておる。これだけは簡素化する必要があると思いますから、立案に携わられる平田局長は、何とかもう少し簡便な方法に立案してもらいたいと思いますが、これに対します政府の御見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/36
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037・平田敬一郎
○平田政府委員 やつてみましてそういう議論も大分ありますので、実は退職所得はさつき申しましたように、まさにそれを実現したのであります。その他の所得につきましてもいろいろありますので、これは通常国会の問題として目下検討いたしております。ただ原稿料とかたとえば漁業所得等になりますと、これはなかなかめんどうでもやはり変動所得的な課税をしないと、負担の実際に即しない、こういうこともありますから、これは全体としてやめるわけには行かないのではないかというふうに考えております。ただ仕事のやり方といたしましては、今税務署で知らぬとおつしやいますが、全部知つておく必要はない。税務署でもそういうものの専門家を少数つくつておきまして、そういう事項は数が少いのでありますから、そういう人が行けばすぐ何でもわかるというふうにしておけばいいので、私どももだんだん今後税務行政が改正されまして、こまかいところに手が届くようになりますと、そういうことにつきましても十分配意いたしまして、納税者に納得の行くようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/37
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038・三宅則義
○三宅(則)委員 時間も参りましたから大体もう一点にしてやめたいと思います。今主税局長がお話になりましたが、私は次に国税庁長官をお呼び願いまして、大胆率直にお伺いしたいと思いますが、最後に一つ念を押しておきたい事柄は、所得税の改正とともに、今後税法の改正は当然行わなければならぬ。私はむしろ毎国会現状をよく認識して、それに即するように改正しなければならぬ点があろう、かように思います。たとえば税率のごとき、あるいは比例のごとき、歩合のごときにつきましては、相当考慮する必要があると思います。つきましては今後も税務行政を担当しておられる平田主税局長の明敏に信頼するわけであります。
最後に申し上げたいことは、国民大衆諸君の信頼を得る税務行政は、確かに国会で審議しております。その国会で審議した通りが、税務署なり国税庁に浸透するという線を堅持したいと、今日も思つておる次第でありますが、ややともいたしますと、この法律は国会できめた、その取扱いのやかましい点等は、税務署あるいは国税庁の知つたことではないというようなことを言つて、逃げる官吏もあります。私どもはむしろ法をつくるときには、納税者をいじめるつもりでつくつたつもりはない。納税者にも納得していただいて、国策にも順応する、こういう線でつくつたわけであります。なお先ほどちよつとお話いたしました通り、零細な農業、商業、工業その他については、物品税については免除すると同時に、あるいは所得税についても一段と考慮をめぐらされまして、最後に中間階級、三十万、これらに対しては一段と軽減の措置を講ぜられんことを希望いたしまして、これで一応質問を留保してやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/38
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039・小山長規
○小山委員 ほかの都合もありますので、今日は一点だけお聞きしておきたいのであります。
退職手当について分離課税をせられる。それは来年一月一日から実施するのでありますが、なお過渡的手段として、今年度における退職者に対しては、従来の一・五の控除に対して、それを三〇%の控除をするという点が考慮されておるようでありますが、それにいたしましても十二月三十一日の退職者と、一月一日の退職者との問には、非常に負担の差が出て来るのであります。そこで承るところによりますと、これは公式の話ではないかもしれませんが、漏れ聞くところによりますと、行政官庁の退職者に対しては今日以後、あるいはこの法案発表以後において退職した者に対しては、来年の一月一日をもつて退職した者として取扱われるやに承つておるのでありまして、これは非常な善政であると思います。ついてはこれを民間会社で今年内に退職した者を、退職金はかりに、たとえば仮払金で払いまして、来年一月一日付でもつて退職の辞令を出すようなことは、税務当局としてこれを是認されるかどうか。これを一言伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/39
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040・平田敬一郎
○平田政府委員 退職の事実が来年になりまして、退職給与が来年支給されるということになりますれば、これは当然明年度の所得となりまして、新法の適用になる、そういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/40
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041・小山長規
○小山委員 この点はちよつと大事なところでありますから、しつかり聞いておきたいのであります。仮払金で処理したものを、退職手当として払つたと認定されたのではどうにもならない。仮払金で処理したものを退職金として正式に伝票に書くというのは、来年の一月一日であればそれは脱税であるとかいう意味に取扱のうか、取扱われないのか、この点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/41
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042・平田敬一郎
○平田政府委員 退職の辞令が出ない前に仮払金として払うということは、どうもこれは税務署が調査を丁寧にしなければならぬという理由になるかと思いますが、辞令も翌年二十七年一月一日以後になりまして、現金もそれ以後支給されるということでありますれば、大体来年度の所得になろうかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/42
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043・小山長規
○小山委員 大体私の言つているところに合致するようでありますが、大会社等になりますと、停年というものは実に厳格に行うのであります。停年の日は大体生年月日によりまして満五十五年なら満五十五年ということで当然停年になる。そうするとその会社には嘱託とか顧問制にするところもあるが、ないところもある。そういうことをやり得ないような地位の人が停年満期に達すると、どうしてもその日に内規上退職してもらわなければならぬ。ところがそれをくそまじめにそこで退職をいたしますと、当然にあとの一箇月か二箇月で非常に優遇になるべきところの退職金が、重課税になつてしまう。ここに各会社は非常な悩みを持つておるのであります。そこで非常に含みのある言葉を申しますが、竿頭一歩を進めて、そういう場合にも辞令が来年一月一日付になつておるならば、それを大目に見るのであるという方針を、ひとつこの際言明されんことを希望するのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/43
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044・平田敬一郎
○平田政府委員 退職事実が今年中のに発生しておることが明らかであり引す場合におきましては、明年度の所得に見るわけには参らないと思います。そういう人がありますから、実は三割の特別控除を認めるというようにいたしておるのであります。十月以前にやめられました人はもちろん今の税法で課税になつておりますので、今年から来年への橋渡しといたしましては三割の控除をするのが一番妥当じやないか。しかしこの事実を知りまして退職等も若干引延ばしまして来年になつてからやる、辞令も出す、退職金も来年まで延ばす、こういうことをやり得る余地はもちろんあり得るわけでありまして、そういうことをしてもらえれば新法の適用を受ける。そういうことができない場合におきましては、これはやはり三割の控除で行く、まあこういうことに解釈上はなるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/44
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045・有田二郎
○有田(二)委員 この際主税局長に聞きたいと思う。第三者通報制というものがありますが、もう日本の国もおちついて参つたのであります。日本の国民性に合わないやり方であります。かつての主人の裏を摘発する。しかもそれによつて五十万円の謝礼をとる。私の選挙区の大阪ではこういう第三者通報制によつて、株式会社までこしらえて五十万円を当てにして、他の非行をあばくというようなあり方が多いのでありますが、大阪局で調べましても、第三者通報制による脱税上の査察課による摘発の率は、非常に僅少であります。従つてこういうものは講和会議調印が済み、近く批准の運びになろう。しかも国会においてすでに昨日衆議院を通過したというような状態にありまする今日、これをでき得る限り近い将来に、政府としては廃止するようなお気持があるかどうか。これを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/45
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046・平田敬一郎
○平田政府委員 今第三者通報制の実績の資料を持ち合せておりませんので、後ほど申し上げますが、これは私ども最初つくりましたときは、今有田さんのお話の通り、日本の実情としてはどうかということで少し躊躇し、考えたこともあつたのでありますが、やつてみますと案外弊害の方はそれほどでもない。中には相当いい通報が出て参りまして、課税の適正に役立つというのもありまして、今の情勢でございますれば、今すぐやめた方がいい、やめなければならないという事態でもないのではないか。虚偽の報告をいたしましたり、悪意の報告をいたしたという場合におきましては、罰則の規定もありますので、その面を厳重にやりつつこの制度を運用いたしますれば、そう弊害の方が多くてやめなければならないというところまで今のところはまだ考えておらないのでございますがなおこれは戦後設けました新しい制度で、いろいろ問題の点もございますのでよく研究いたしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/46
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047・有田二郎
○有田(二)委員 何も第三者通報制という金をやるというやり方でなくとも、投書というものは以前からずつとあるわけです。脱税者に対する投書の奨励の方法はいかような道もつくと思う。ただその脱税を言うことによつて、それで五十万円の利益配当を渡すという、ここに私のいう難点がある。大蔵委員会の委員の中にも、この第三者通報制に対しては反対をされる向きが多い。今現状でやつておるのでありまするから、当局者としてまたはつきりした意見は述べられぬだろうけれども、ただいまの主税局長の御答弁の中に、戦後にできたものであるからして検討してみるというお話がありまするが、私はそれに絶大なる信頼をかけると同時に、いけなければ議員立法の処置をやつて、第三者通報制を廃止するということが考えられると思う。どうも大蔵省としては廃止しかねる、議員立法で廃止してくれというような御希望なら、その点で研究したいと思うし、主税局長の御答弁を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/47
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048・平田敬一郎
○平田政府委員 今私率直に意見を申し上げたのでございます。遠慮して申し上げているのではないので、今すぐ廃止した方がいいとは実は思つていないのであります。ただ施行後も間もたたないことでありまするし、制度自体がちよつとかわつた制度でございますので、今後も運用の実績等を検討いたしまして、よく研究してみたいということも考えておるのであります。今すぐ廃止するということはいかがであろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/48
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049・有田二郎
○有田(二)委員 それからさらに一点は、先般の国会のときにも問題になりました高級織物の物品税の問題であります。当時大蔵大臣が折れてしまつて流れたのですが、私は今三宅委員からもお話がありました通り、零細な物品税あるいは非常にとりにくい物品税、こういうものについては徴税技術の面から見ても、いろいろ検討すべき点がある。しかし高級織物につきましては、帯一本が三十万円というような例もありまするので、高級な織物については奢侈税的な意味を加味しまして当然課税さるべきものである、かような見解をとつて、この前の主税局においても一つの案ができてお出しになつたのでありますが、遂に通らなかつた。しかし間接税のあり方というものは考えて行かなければならぬので、ことしは千五百数十億という多額の自然増がありましたが、将来は自然減の場合も考えられる。間接税のあり方というものをはつきりしておかないと、日本の将来のために寒心にたえない点も起つて来るやに考えられまするので、その一つのあり方として、高級織物に対する主税局長個人としての見解でもけつこうでありまするから、御方針をひと、つ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/49
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050・平田敬一郎
○平田政府委員 前回物品税を高級織物に対して課税する案を私ども一応考えましたが、技術的にもなかなか難点がありました関係上、実現を見なかつたのでございますが、今後財政事情が巨大になつた場合に間接税をどうするかということは、将来とも研究して行かなくてはいかぬと思つております。ただ今すぐまた前回提案いたしましたようなものをやるかやらないかといえば、やるということにつきましてはあまり積極的ではないということを、申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/50
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051・有田二郎
○有田(二)委員 結局織物関係の代議士諸君とも先般話合いをしたりであります。奢侈税的のものであれば万やむを得ぬというところまで、いろいろ話しました結果折れられたのでありますが、今の物品税の中で大別して奢侈税的な物品税、奢侈税という文字を入れた一項を設けられた物品税のとり方——何もかも全部あげて物品税というような戦後の行き方で今日まで来ておりますが、幾つかに物品税をわけるべきではないか。奢侈税なら奢侈税としてあげて行く。消費税を一ぺんになくしてしまつて、国家の財源を減らしてしまつて、一体主税局も税制官も何をしておつたかとわれわれは考える。当時私は大蔵委員でなく通産関係におつたが、一ぺんに消費税を撤廃してしまつた。少くとも階段を置くべきであつたと思うのでありますが、その人なる失敗を主税局はおやりになつた。今度はひとつそれを元の通り、消費税ということはとうてい今日は不可能でありますから、奢侈税的な面についてさらに御検討をお願いいたしたいと思う。その点はお願いをいたしまして、また後日に譲ります。
実は今三宅委員からもお話がありましたが、税務署の機構の問題であります。大きな税務署へ行きましても総務課長、直税課長、間税課長とある。私は岐阜の武儀郡の税務署に参りましたが、わずかに年間八千万円しか税収入のないところが、これが同じく総務課長、直税課長、間税課長ということで、由来役所のやり方というものはこういうばかげたやり方が多い。もつと重点的に置かなければならぬ。重要な税務署には課長の数も相当置いて、税務吏員の数も相当配する。今度は源泉所得税の税法改正によつて、農村の税負担も相当軽減されますから、税務署の配置ということも考えて行く。同時に税務署それ自体の機構の面においても考えらるべきである。かように考えるのでありますが、これに対する御所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/51
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052・平田敬一郎
○平田政府委員 非常にごもつともなところがある御意見かと思いますが、今回大分納税者も減りますので、税務署も若干整理いたしたいというふうに考えております。ただ全部やめてしまいますと、また納税者が不便になりますので、その辺のところをいかように調整するか、これは一つの問題であろうと思います。お話のように非常に簡素化された機構のもとに、小さいものを置いておくか置いておかないか、それも一つの考え方だろうと思いますが、課の編成その他につきましても、なおお話のような点もよく研究いたして行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/52
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053・有田二郎
○有田(二)委員 ぜひひとつ御検討願いたい。いなかの税務署では署長一人、課長一人でけつこうであります。署長が総務課長を担当してそうして徴税並びに人事、そういう方面のことをやる。そうして直接税金をかける課長一人、いなかの税務署では署長一人、課長一人、都会の税務署では署長に対して課長が六、七人いるというような実際に即した機構に、主税局としても御検討あらんことを私はお願いする。
さらに今三宅委員のお話のあつた調査課の問題でありますが、調査課の機構につきましても、できました当時は非常にけつこうでありまするし、今日まで調査課のあげました功績というのは非常に私は偉大なものであると事えておりまするが、今日になりましてはよく検討する必要がある。若い二十二、三の税務吏員が何百万円、何千万円という税決定をする。一税務吏員の意思が国家全体の意思になるという点もあわせ考えなければならぬ。平田君のようなりつぱな人物が税務吏員であれば、万々間違いのない税の決定がなされるのでありますが、学校を出たばかりの若いしかも経験のない、人間も修養されてない税務吏員が何百万円、何千万円の税決定をなされるところにいろいろな行き過ぎができる。同時にまた最近では調査課ができまして相当の年限がたちましたので、誘惑の魔の手が相当伸びて来ているのであります。ごちそうになるとか、あるいはその他各会社の税務顧問のようなことをやつてみたり、あるいは賄賂をとつて税金を安くしたり、いろいろなことが全国的に行われており、われわれも仄聞し、また現実にそういう面をつかまえているのであります。そういう若い人にそういう非常な権限を与えており、しかもその監視が十分に行きわたつていない。税金をとるということに全能力があげられておつて、そうして納税者の基本的人権というものがとかく忘れられがちでありますので、私は調査課の存在はけつこうでありまするが、管内のことにつきましては税務署にも調査課の出先を設けて、税務署と調査課と合同で決定するというようにしておきますと、そういう弊害も非常に少い。先般も岐阜南税務署におきまして東海製紙という会社の公売の問題がありましたが、この公売が十日間表示をしなければならぬのに、その日に税務署で急に一日だけ張り出して公売した。これにはいろいろな疑惑の目を向けられるような事態も、たくさんあつたのでありまするが、これが局の徴収課と税務署と両方でこの公売をやりましたならば、こういう忌まわしい疑いをかけられるような余地はなかつた。それを税務署のみにやらしたところに、こういう間違いが起つて来たのでありまして、調査課といわず、徴収方面といわず、なるべく大きな問題につきましては税務署も監視し、そうして国税局も監視する。両々相まつて決定に持つて行くということになりますると、比較的誘惑の魔の手も、非常に目が多いからない。わずか二十二、三の税務吏員に全権をゆだねているがごとき、現状の徴税決定のあり方に非常に無理がある、かように私は思う。こまかい点はいずれ国税庁長官を呼んでやりますが、これは制度の問題でありまするが、調査課の現状に対して非常に誘惑の魔の手が伸びて来ておる。商人というものは一千万円の税決定を受けると、それを五百万円に安く値切れば五百万円もうかるわけです。贈賄とか収賄というところまで深く考えていないわけです。百万円使つて五百万円安くなれば四百万円もうかる、こういう感じを商人は持つのであります。従つて今日の薄給で困つておられる税務吏員並びに税務吏員の家庭においては、誘惑にかかるのはこれはもういたし方がない。これに対する誘惑にかからないあらゆる制度を、主税局において十分御検討なさつて、今日の調査課において、あるいは査察課においても——査察課の連中はどういうやり方をしているかというと、判事あるいは検事の令状を持つて犯罪調査をやる。その犯罪の事実を裏づけするために各会社あるいは飲食店を調べる。調べるとこれらの各会社もこれまた査察課の問題とならざるところはない。従つて今度はその連中は何とか査察の問題にならないように、それぞれ査察官のいろいろなところをまわつて、そうして査察の問題にならないように運動する。これを査察官というものは、判事の令状を持つて調べている会社の事実以外のことは、調べることはできないというような制度にしておきますると、誘惑の魔の手も伸びないし、また査察課で調べる仕事が非常に能率化される。今日は査察課の事件は三月、半年、一年、中には二年もかからないと決定しないというように、非常に仕事がルーズなことになつているのは、どこに基因しているかと申しますと、ただいま申しましたように、令状の出ている事柄よりも、それ以外の事柄を調べていじめる査察官が、その間においていろいろな問題を起すことに、重点が置かれているからであります。察査官のあり方と調査官のあり方というものを、はつきり決定すべきである。今日は査察官やら調査官やら、査察官のあり方がどういうあり方であり、調査官のあり方がどういうあり方であるかということが決定されていない。先般も大阪の調査課におきまして、調査官が査察官として官名詐称した事実を、私は摘発したのであります。そういうような調査官が、おれは査察官だと言つて相手をおどかして、すみやかなる税決定に持つて行く。あるいは行き過ぎな人権蹂躪的な行為が非常に行われる。それには調査官というものはこういうものであつて、こういう権限がある、査察官というものはこういう権限があるが、これ以上には伸びてはいけない、そういう官制の面、制度の面においての検討をひとつ十分願つて、間違いないようにしてもらいたい。これに対する主税局長の御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/53
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054・平田敬一郎
○平田政府委員 税務官庁の行政の動かし方につきましては、なかなかむずかしい問題が多くて、御指摘のような点は確かに、ごもつともなところが多いと思いますが、ただ一番の欠点は、御指摘のように一線を担当する税務官吏が若く経験が不十分であり、十分熟練されてないことが、わが国の最近まであるいは現在においてもそうでございますが、一番の欠点でないか。これはいかんせん戦後新らしく採用せざるを得なかつた、しかもインフレ時代でなかなかいい者が集まらないという時代でございましたので、そのようなことになつたわけでございますが、しかしこれがやはり今後一番改善を要する問題であろうと思います。やはり納税者に対して相当の権限を行使します税務官吏は、相当の経験と能力と常識を持ちました税務官吏が当るということでなければ、税務に対する評判はとりもどせない。少くともそれによつて初めて今後の税務行政がうまく行くということを、先般少しまわつて来ました結果からいたしましても、痛感いたしたのでございます。ただこれをいかんせん一挙に一ぺんにできないのは残念でございまして、一昨年あたりから専門学校出以上の相当な民間の経験者等も選考しまして、大分入れておりますが、こういう人々が少し勉強してくれますと、よほど今後はよくなるのじやないかというふうに考えております。これは一番私大事なことじやないかと思います。従いまして御指摘の通り査察官にし調査官にするということ、これはさらに重要な仕事でございますから、相当な経験と能力を必要とするのでございますが、遺憾ながら今まではそういう人が十分でないために、若干どうも不十分なものをせざるを得ない。その結果が御指摘のような弊害もなつて出て来ているというふうに感じますが、これは私は除々に改善されつつあるということも、有田さんもお認めくださると思います。一ぺんに一挙にはなかなか理想状態には達しがたいので、よく御意見等の点も承りまして、役所としてもう一層勉強したいと思います。
それから査察官と調査官の権限のことにつきましても、運用上非常に国税庁におきましても勉強してやつているのでありますが、やはり査察官で事件を扱う場合におきましては、私は少くとも直接査察官が手を下す前に、各般の予備調査を十分やりまして、そうしてから相当はつきりしたものを査察課でよく調べ上げる。そうでないものにつきましては、原則としまして調査課で調べて行く。調査課におきましても、調べの途中でどうもこれは悪質だというようなものがあります場合には、時機を逸せず査察課に移しまして、円滑な適正な進行をはかるという方向に行くべきで、調査官が途中から介入するというようなことは望ましくないことではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/54
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055・有田二郎
○有田(二)委員 今の局長のお話で、ある程度納得できましたけれども、調査査察部という部があつて、部長が上人で、その下に調査課と査察課とある。部長が一人であるにもかかわらず調査課と査察課の連絡はてんでできておらぬ。しかも調査課には連絡官という制度まで置かれておる。ところが日本の役人というものは、自分がせつかく手なづけたものを査察課にまわしたくないという気持がある。結局部長の仕事のできない者が、部長になつておるということに尽きると私は思います。調査査察部長が調査課と査察課を両方見て、調査課の中で一定の者を査察課へまわす。査察課で手がけたものでも、これは査察の事件ではないというようなものは、すみやかに調査課に返す。この間の運営がうまく行けば非常にうまく行くのですが、査察課がつかまえたら最後おれの方でやる、調査課がつかまえたら最後おれの方でやるということになる。部長が上に一人おるのですが、これが巡査部長みたようなものでくそにもならぬ。この間の連絡が悪いから税法の運営がうまく行つていないということは、他の大蔵委員の方々もおそらく痛感しておられるところであろうと思う。調査査察部長にひとつ厳重に命じていただきたい。調査課と査察課、さらに各税務署においても、査察の事件というものはたくさんあると思う。ところが税務署がなるべく出さぬようにする。こういうあり方はいけないので、税金が多かろうが少かろうが、悪質なものはあくまでも悪質なんですから、税法を改めて国民に協力していただく方向に努力するのはもちろんでありますが、今日の税法においても、査察課の運営というものはもう少し考えられてしかるべきである。査察課の運営については、税務署並びに調査課において十分協力して行かなければならぬ。同じ部長をいただきながら、今日の調査課と査察課の間の連絡は一つもうまく行つていない。しかも査察官が非常に非能率である。事件をもつとすみやかに解決して、どんどん次から次へ渡つて行かなければならぬものが半年も一年も事件がかかる。そこに査察官が収賄を起しておるとか——先般もある人が、有田さん、査察官にひつかかつたら私のところに頼みに来い、一ぺんでぴたつと押える方法があるからというようなことをぼくの方に言つて来た。そういうようなデマが飛ぶだけでも非常に遺憾である。監督はもちろんでありますが、あくまでも税法上査察官はこういうものであるから、これ以外には行つてはいけないというように権限を縮小する。われわれは——他の大蔵委員の方々もそうでしようが、なるべく税務官吏に大幅な権限を与えて、そうしてその大幅な権限のうちでうまく運用をやつてもらいたいと思うのですが、今日のあり方では、法律で権限を圧縮して行くよりほかに方法はない。おまわりさんにピストルを持たしてありますが、ピストルを持つているから何ぼ撃つてもかまわないというのではない。ピストルを濫発する権限は与えられていないのと同じように、税務官吏にもある程度の権限は大蔵大臣が与えているけれども、それをめちやくちやに濫用していいという筋合いのものでは決してない。この点をよくお考え願いたい。どうしもて濫発するようであるならば、警察官にピストルの携帯を許さないように、税法の運用を圧縮して税務官吏の権限をうんと縮小する、こういう方向にわれわれは持つて行かざるを得ない。基本的人権というものは憲法で一番尊重されている点でありますが、日本人の基本的人権というものが、全国の税務吏員によつて今日非常に不当に圧迫を受けておる。私は全部調べ上げてあるから、ここで申し上げたら、二日も三日もずつと続けるくらい材料がある。今度国税庁長官をひつぱり出して、ゆつくり御相談を申し上げようと思つておりますが、全国の国民が非常な苦しみを受けておる。もつとも、心がけのよくない納税者もおりますけれども、しかし法律の下知というようなことのために、必要以上に税務署をこわがつているというような点もある。そのこわがつているのをたてにして、非常に横暴なことをやるところの税務吏員がおる。人権蹂躙の事実は枚挙にいとまがないという状態であります。今の主税局長のお話のように、漸次よくなつて行くというような、そんな手ぬるいことではだめであつて主税局長は雲の上の人間だから下々のことはわからないでしようけれども、ひとつよく検討し勉強していただいて、この運営に万遺漏のないようにやつていただきたいと思うのでありまして、御希望を申し上げて私の質問を保留いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/55
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056・夏堀源三郎
○夏堀委員長 在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/56
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057・奧村又十郎
○奧村委員 理財局長に、在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案のもう少し計数的な御説明を、お願いしたいと思います。一つ一つお尋ねすればいいようなことでありますが、しかしそれでは時間がかかるから、政府で進めて来られた確認事務のその確認の総額、それが関東州、満州その他の地区別に確認がどうなり、件数、金額がどのくらいになるか。それから五万円に打切つたというが、その五万円に打切つた数字上の説明がなければ、資料でも出していただきたいが、ここでひとつ計数的な御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/57
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058・石田正
○石田政府委員 御承知の通り在外公館の問題は、終戦後における非常に混乱した時代のもとに起つた問題でございまして、この処理の発端といたしましては、第五国会において通過いたしました在外公館等借入金整理準備審査会法というのがございまして、これの第一条におきまして、この借り入れましたところの公館借入金につきましては、法律の定めるところに従い、予算の範囲内において、国の債務として承認するという手続をとることに相なつたのであります。この確認の手続は目下進行中でございまして、まだ全部終つたわけではないのでございますが、大体在外公館等借入金に該当するものといたしまして、確認されると予想されるところの件数は、大体十三万二千八百件ほどだと考えておるのでございます。金額の点でございますが、これはいずれも現地通貨表示に相なつておるのでございます。この現地通貨表示のものをどういうような円に見るかということが、一つの問題になるのでございますが、この点につきましては、第十国会で通過いたしました在外公館等借入金の返済の準備に関する法律におきまして、審議会を設けまして、その諮問をまつて借入金返済の決定に資するということに相なつております。この審議会に対して諮問をいたしまして、いろいろと現地通貨の円評価問題について検討を願つたのであります。その結果、今回提出になりました法案についても見られまするような数字が得られたわけでございます。この数字に基いて計算をいたしますると、大体その総額は九億七千八百万円ほどに相なるわけであります。今回の法案におきましてその換算額に対しまして三割の加算をいたしますると同時に、他方において五万円を最高にするということになつております。この五万円に切るということと、三割の加算をする切いう両点を勘案いたしました結果、どういうことに相なるかと申しますると、件数で申しますると、先ほど申しました十三万二千八百件というのが、五万円以下の件数といたしまして十三万五百件、従いまして五万円を越えるものは二千三百件と、こういうことに相なろうかと存じます。これを金額で申しますると、総額といたしましては十二億七千二百万円、それから五万円以下切りました数字が七億九千九百万円ということに相なります。五万円以上を越えるところの金額は四億七千三百万円、かような数字に相なる予想でございます。なお各地域別にその件数、それからして換算いたしました金額、それから五万円を越えるものを——言葉が悪うございますが打切るという通俗語孝用いました金額は、どうなるかということにつきましては、今非常に見やすい数字を持つておりませんのでできましたら後刻資料をもつてお答えするということで御容赦を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/58
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059・奧村又十郎
○奧村委員 大体このくらいの数字の資料、われわれが要求せずとも、一応説明書の付録としてでも提出してもらうべきであると思うので、以上のお話のそうした地域別件数、金額をぜひこの次の委員会の日までに、ひとつ出していただくようにお願いいたしたいと思います。それから来る水曜日ごろには、この委員会で参考人を招致して調べるということになるかもしれませんのですが、それまでにわれわれとして十分調査もしておかなければならぬと思うのですが、確認件数は今お話の通りであるか。未確認はどういうことになつておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/59
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060・石田正
○石田政府委員 未確認の確認予想を申し上げたのでございますが、確認請求がございましても、公館等借入金に該当しないと思われるものは、これこれこういう理由でありますので、確認いたしかねますというお返事をすることに相なつておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/60
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061・奧村又十郎
○奧村委員 たしかわれわれこの前に審査会法の法律を審議したときに、大体申請件数が二十数万件あつたと思うのです。それが半分に減つておるということになると、未確認がずいぶん多いのであるが、それは単にあなたの言われるような事柄で拒絶なさつたのか、そのほかに何か理由があるのか、そういうことの何かもつと具体的な説明ができぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/61
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062・石田正
○石田政府委員 大体確認請求の受付をいたしましたものは二十万件だと思います。二十万件のうち大体今振りわけておりまして、そうして大体該当するであろうというふうに見ておりまする数字が、先ほど申しました十三万二千八百件というような数字でございます。しからばそのほかの現在までに確認書を発給した数字はどうかという問題があろうかと思いますが、この点につきましては、本年の九月末までにおきまして約五万七千件を出しておりまして本年度中にさらに六万八千件を出そうというふうに予想いたしておるのであります。多少この事務は来年にわたるかと思いますが、従いまして残りの数字は審査いたしました結果、該当いたさないという数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/62
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063・奧村又十郎
○奧村委員 この法案にあるように現地通貨と本邦通貨との換算の率が三割増しということ、あるいは五万円で打切る、その他申請件数に対する確認件数の比率とか、こういうことがおそらくこの評価審議会においていろいろ審議せられたことと思う。この審議会の答申によつて、その審議会の事情がわかると思うので、この答申の内容、これも厖大なものでなければひとつ資料として出していただきたいと思うが、その点できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/63
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064・石田正
○石田政府委員 お話の点におきまして審議会の方でやりました問題は、現地通貨をどういうふうに円に換算したら妥当であるかという点について諮問をいたしましたし、答申もあつたわけでございます。三割増し及び五万円という点は、政府におきまして妥当と認めるということにして、一応三割増すと同時に五万円ということで出したわけでございます。なおそういうことでございますので、五万円、三割増しという点については審議会の方の関係はございません。なお評価の方の問題につきましては、できるだけ御趣旨に沿うようにして提出いたしたい、こういうふうに思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/64
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065・奧村又十郎
○奧村委員 たとえば関東州から引揚げた人など、非常に今回の確認事務に不満があるように聞いておる。それはどういうふうなことでそういう不満が出るのか。内容にわたつて御想像のつくことを御返事願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/65
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066・石田正
○石田政府委員 この審議会におきましては、公館等借入金の発生いたしました地区というのは、相当広範囲な地区にわたつているわけでございます。審議会におきましては各地区のことについて御通暁の方をお願いいたしまして総括部会と各地区部会とにわけまして、いろいろやつたわけでございます。総括部会におきましては、各地区における御希望なり意見を全般的に調整いたしまして全体として権衡のとれるようにということで、答申ができておるわけでございます。従いまして各地区にそれぞれこうしてもらいたい、ああしてもらいたいという御意見はそれぞれあつたわけでありますが、総括部会におきましてまとめ、それからさらに委員会として答申するという場合におきましては、一本になつて現われて来る。その場合において各地区の御意見がそのまま通らなかつた、こういう部面が多いかと思います。なお関東州の問題つきましてはいろいろと問題がございますが、この答申あるいはこの法案といたしましては、満州と関東州というものを別にいたしてやつております。これは終戦後におきまして、満州は国府軍が入り、それからその後さらに中共に移つた。しかし関東州は初めからソ連軍が入りまして、ずつとそのままであつたというふうなことで、現地の通貨事情というものが、終戦後非常に違つて来ておるわけであります。借入れの問題は終戦後に起つた問題でありますので、借り入れる場合の実情を基礎にいたしまして、いろいろ評価等を考えたわけであります。その点におきまして一番御不満が関東州で多いと思われることは、戦前において関満一体であつたではないか、そうすると、関東州を満州と差をつける必要はない。戦前においては関東州の方があるいは満州よりも通貨事情はよかつたのではないか、日本に近かつたのではないか、こういう事実があつたことに疑いもないと思います。しかし終戦後におきましては、実情は逆であつて、関東州の方がひどくて、満州の方がよかつたというような結論に相なつて来ております。その点におけるところの不満がいろいろあるかと思つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/66
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067・奧村又十郎
○奧村委員 今の御答弁によりますと、審議会においては、あらかじめ各地区ごとに分科会と申しますか、そういうもので答申案をつくり、それを審議会一本にまとめて答申する。その一本にまとめて答申したその答申に対して、各地区ごとに不満があり得るのだ、こういうことであります。そうすると、審議会一本に答申して来たものを直さなければ、不満が治まらぬ、こういうことになつて来るわけであります。その審議会の答申というものをひとつ資料で出してもらいたいと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/67
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068・石田正
○石田政府委員 御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/68
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069・奧村又十郎
○奧村委員 それからその審議会の答申に基くが、それを訂正するという場合には、なお審議会に再びかけて訂正しなければならないのかどうかお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/69
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070・石田正
○石田政府委員 これは法律上申しますと、諮問委員会でございまして、政府が諮問しないでやつたから、あるいは諮問なしにほかの改正があつた。それゆえにそういう法案が通りました場合に、違法とかいうようなことはないと思います。妥当であるか妥当でないかという問題でなろうかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/70
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071・宮腰喜助
○宮腰委員 先ほど委員から質問があつたろうと思うのでありますが、この五万円以上。金は五万円に打切るということでありますが、こういう場合に、他の特別の法律をつくらないで、五万円以上を打切るということは、この法律でできるかどうかという憲法上の問題、民法上の問題に関連した問題として考えられるわけであります。この法律でそういうような民法、憲法の規定を変更することができるかどうか疑いを生じて来るのですが、その点ついてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/71
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072・石田正
○石田政府委員 大体この公館等借入金というものは、戦後の混乱時におきまして起つたものでございまして、その処理は先ほども申し上げたのでありますが、その具体的な解決の端緒は、在外公館等借入金整理準備審査会法でございまして、その第一条におきまして、借入金の確認ということが書いてあるわけでございます。そこには政府が現地通貨で借り入れました借入金を、将来返済する国の債務として承認するのにつきまして、条件がついておりまして、「法律の定めるところに従い、且つ、予算の範囲内において、」ということに相なつておるわけであります。従いましてこれは国の債務として承認いたします確定的な内容ではなく、不確定な債務として確認する、こういうことであります。債務確認といいますのは、発端からいいますと、これは国の債務であるということが、はつきりしておるものではないのでございましてこの法律によつて初めて国の債務として承認するということが出て来たわけであります。なおその承認の国の債務の具体的内容はどういうふうになるかということにつきましては、「法律の定めるところに従い、且つ、予算の範囲内において」ということに相なつておるのでありまして、その点をはつきりさせようというのが今回の法律であります。従いまして、憲法上の問題といたしましては、別に違憲ではないと考えておるわけであります。民法上の問題におきましても、別に違法したとかいうような問題は、起つて来ないと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/72
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073・宮腰喜助
○宮腰委員 引揚者の方々は悪戦苦闘して、今日生活をしておられるのでありまして、これはもう少し同情的に考えて、この五万円以上の債務を認めて、予算措置を講ずることができるかどうかという疑問があります。やろうと思えばできるじやないかと思いますが、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/73
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074・西川甚五郎
○西川政府委員 これはこの前の国会で御審議願いましたときに、在外公館等借入金の返済の準備に関する法律におきましてうたつておりますが、第二条に「借入金の返済の方法は、国民負担の衡平の見地から、公正且つ妥当な基準に基いて定められなければならない。」というのでありますから、すなわち今後問題になります在外の資産の問題、これに関連いたしまして、またあるいは内地におきまする戦災者の立場、こういうようないろいろの立場の均衡を考えまして、このような法案を提出した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/74
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075・宮腰喜助
○宮腰委員 それでは水曜日にまたお伺いします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/75
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076・夏堀源三郎
○夏堀委員長 この際本法律案の連合審査会開会の件についてお諮りいたします。本法律案につきましては、海外同胞引揚特別委員会より大蔵委員会に対し連合審査の申出でありましたが、右申出を受諾して、海外同胞引揚特別委員会との連合審査会を開会するに異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/76
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077・夏堀源三郎
○夏堀委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
右連合審査会開会の日時等につきましては、委員長に御一任願います。
なお本法律案につきましては、引揚同胞に対する経済的影響の大なるにかんがみまして、海外引揚げ関係者を参考人として招致し、種々なる意見を聴取して、本法律案審査の参考といたしたいと思いますが、この点御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/77
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078・夏堀源三郎
○夏堀委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定いたします。
なおお招きいたします参考人の選定その他の手続等につきましては、委員長に御一任を願います。
本日はこれをもつて散会いたします。
午後零時四十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X00519511027/78
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