1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十一月二十一日(水曜日)
午前十一時九分開議
出席委員
委員長 夏堀源三郎君
理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君
理事 西村 直己君 理事 内藤 友明君
淺香 忠雄君 川野 芳滿君
佐久間 徹君 島村 一郎君
高間 松吉君 苫米地英俊君
三宅 則義君 宮幡 靖君
松尾トシ子君 八百板 正君
高田 富之君 深澤 義守君
中野 四郎君
出席政府委員
大蔵事務官
(主税局長) 平田敬一郎君
大蔵事務官
(主税局税制課
長) 泉 美之松君
大蔵事務官
(理財局長) 石田 正君
国税庁長官 高橋 衛君
大蔵事務官
(国税庁次長) 正示啓次郎君
委員外の出席者
大蔵事務員
(理財局外債課
長) 上田 克郎君
大蔵事務官
(国税庁直税部
長) 原 純夫君
大蔵事務官
(国税庁間税部
長) 原 三郎君
大蔵事務官
(国税庁徴収部
長) 田所 正幸君
専 門 員 椎木 文也君
専 門 員 黒田 久太君
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十一月二十一日
委員永井要造君及び宮原幸三郎君辞任につき、
その補欠として大上司君及び清水逸平君が議長
の指名で委員に選任された。
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十一月二十一日
租税特別措置法の一部を改正する法律案(第十
回国会内閣提出第一六〇号)(参議院送付)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
物品税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
三五号)
旧外貨債処理法による借換済外貨債の証券の一
部の有効化等に関する法律案(内閣提出第四七
号)
租税特別措置法の一部を改正する法律案(第十
回国会内閣提出第一六〇号)(参議院送付)
租税特別措置法の一部を改正する法律案に関す
る件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/0
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001・小山長規
○小山委員長代理 ただいまより会議を開きます。
物品税法の一部を改正する法律案、及び旧外貨債処理法による借換済外貨債の証券の一部の有効化等に関する法律案を、一括議題として質疑に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/1
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002・奧村又十郎
○奧村委員 私はこの際本年度の申告所得税の非常な不振の状態について、その原因をただして、なお国税庁のこれに対する今後の対策についてお伺いしてみたいと思うのであります。所得税においても、源泉徴収が非常に予算よりもふえて収入しておるし、また法、人税が未曽有の増収を期待せられるのであるが、申告所得税は遺憾ながらおそらく終戦後予算と比較して、今年ほど成績の悪い年はないと私は承知しておる。昨年も申告所得税の成績が悪いということが問題になつたが、昨年よりなお歩合が悪い。現在最も新しい資料に基いて、申告所得税の収入額及びその歩合、昨年度との比較、これをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/2
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003・原純夫
○原(純)説明員 お話のありました通り、申告所得税は非常に不振であります。本年度の状況といたしましては、去る七月の予定申告の成績を申し上げたらよろしかろうと思います。これが予定申告に基きまして、年間の税額を計算いたしましたものが、わずかに五百十四億ということに相なつております。もちろんこれには、単作地帯の農家のように、十一月になつて新たに十一月予定申告というもので、税額が出て参るのがありますが、大した額ではございません。予算の千億を越える数字と比べて、非常に懸絶があるのであります。昨年の数字も非常によろしくないということは、先般の国会で奥村委員から御指摘のありました通り、また当時その事情をいろいろ申し上げた通りでありますが、二十五年度の年度内課税がわずかに八百億、収入は前からの繰越しがありましたために九百二十三億まで参りましたが、それにいたしましても、予算に比べまして三百億近い減収を見ておるような状況であります。ただいま数字のお尋ねでございますから、一応数字だけお答えして、あとのお尋ねをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/3
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004・奧村又十郎
○奧村委員 私のお尋ねしたことと、いささか方向が違つております。最も新しいと申しますのは、十月末の申告所得税の収入実績、その予算に対する歩合、これを昨年度と比較してどうなつておるか、この点をお尋ねしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/4
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005・原純夫
○原(純)説明員 十月末の速報によりますと、申告所得税の収入済み額が二百六億円であります。当初予算千百七十六億円に比較いたしますれば、一七・六%、だたいまお願いいたしております補正予算千二十二億円に比べますと、二〇・二%ということになつております。前年同期におきます同様の割合は二八・五%であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/5
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006・奧村又十郎
○奧村委員 前年同期と比べても約八%幾ら歩合が悪い。そこで十月末でわずかに二百六億収入した。そうすると補正予算で補正減を見込んでも千億余り、そうするとあと年度末までに八百億を徴収しなくちやならない、こういうことになるのであります。そこでどうしてこの徴収歩合が悪いのかということであります。その点相当国税庁においても御検討なさつたと思うが、少し専門的に詳しく納得の行くように御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/6
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007・田所正幸
○田所説明員 本日は数字を持つて来ておりませんので、あとから数字をお届け申し上げたいと思います。予算に対しましては、確かに御指摘のように数字が非常に低位にあります。ただ本年度の徴収決定額に対する本年度の収入歩合ということで見て参りますと、二十六年十月下旬までの成績をとつておりますが、これでは二十六年分の徴収決定に対します収納歩合は、昨年よりも上まわつております。これはつまり三期分にわかれますが、徴収決定は五百十四億であります。それの納期到来分は、今のところ一期分だけで、百七十億程度であります。それに対します入つて来た金額の歩合は正確に覚えておりませんが、七八%くらいだと思つております。これは前年同期の歩合に対しまして、一〇%弱上まわつておあます。ただ絶対額の総額といたしましては、徴収決定額が去年は本年よりも上まわつております関係上、去年は本年よりも徴収額は多い、こういう関係になつております。もう一つの申告所得税の収入の内訳をなしております繰越し滞納に対する収入金、これは予算に比較いたします場合は、本年度分の収入と繰越分に対する滞納整理で出て来た収入と、二つが重なるわけであります。今申しましたように本年度に対する分は、歩合がよろしゆうございます。繰越分に対します収納は、遺憾ながら前年に比べまして、申告所得税で約百億くらいの減収であります。これはどういう理由かと申し上げますと、昨年の四月から十一月にかけまして、現金収入を中心にして血みどろの滞納整理をやつたわけであります。本年度は御承知と思いますがICSというやり方にかえまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/7
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008・奧村又十郎
○奧村委員 ちよつと。数字の基礎のない話は何もならない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/8
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009・田所正幸
○田所説明員 ではこまかい話はのけます。繰越分が百億、それが響いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/9
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010・奧村又十郎
○奧村委員 ただいま徴収部長の御答弁によりますと、徴収成績は非常によろしい、こういうことであるが、私はただいま徴収成績のことをお尋ねしておるのではない。徴収部長はそれを自慢にされるかしらんが、その話じやない。申告所得税の予算に対する成績の歩合が非常に悪いということで、徴収決定額に対する徴収歩合の話をしておるのじやない。徴収の決定額が、七月の予定申告によれば五百十四億、これが全部入つたところで、予算に対して五〇%にもならぬ。そういうことを私はお尋ねしておるのじやない。それからそういう御答弁があつても、少くとも徴収部長がここへお越しになるのに、数字をあげずに、ただ漠然と百億減つた、そんな話はこの大蔵委員会の専門的な質疑においては何にもならぬ。少くともここへ来ていただく以上は、数字を用意していただきたい。これも三日前に要求してある。それではお尋ねしますが、申告所得税の予定申告の実績が悪い。これに対する質疑があるが、これはあとまわしにしまして、それでは今年度の繰越し滞納分の徴収がどのくらい現金収入が見込めるか。その点の見通しをつけたいと思うが、今年度に入つて繰越し滞納分の現金収入額は、最近の資料で幾らになつておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/10
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011・田所正幸
○田所説明員 お答え申し上げます。十月下旬までの申告所得税につきましては、たしか四十五億だつたと記憶いたしております。これが先ほど前年同期に比して、約百億少いと申し上げた数字であります。それで年度内の見通しでございますが、これは期間が相当短かくなつておりますし、新年度に重点を置きまして、収入の確保をしなければならぬということになりますので、私は今までの経験から推しまして、大体百億程度が精一ぱいではあるまいか、こういうように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/11
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012・奧村又十郎
○奧村委員 それじや予算において、申告所得税の今年度の税収見積り、その中での繰越し滞納分の収入を幾ら見積つておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/12
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013・泉美之松
○泉政府委員 お答えいたします。さきに御配付いたしました「二十六年度租税及び印紙収入補正予算の説明」の十一ページにございますように、百六十四億四千四百万円の収入を見込んでおります。これは前年度繰越額の四百七十二億七千百万円に対しまして、この程度の収入はあるものと見込んだ次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/13
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014・奧村又十郎
○奧村委員 ただいま徴収部長の御答弁によりますと、現在までに約四十五億の現金収入があるが、なお予算に対してすでに百億の赤字が出る、こういうことでありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/14
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015・田所正幸
○田所説明員 予算ではありません。前略同期に比して約百億円です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/15
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016・奧村又十郎
○奧村委員 それではななお尋ねしますが、今審議中の補正予算において、繰越し滞納分の現金収入を百六十四億見積つて、現在までに四十五億、あと百十数億が年度末までにとれるかどうか。この問題であります。そこで過年度滞納の処理の今日までの実績をひとつ申していただきたい。どれだけとれて、どれだけ現金収入があつたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/16
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017・正示啓次郎
○正示政府委員 奥村委員から前もつて数字を御要求になつておられたそうでありますが、本日はまだ間に合つておりませんで、まことに申訳ございません。ただたいへん成績が悪いということは、お話の通りでございます。前年に比べまして百億減つております。この点につきまして、原因だけを申し上げて御了承いただきたいと思うのであります。
まず第一に、去年は御承知のように、過年度の繰越分の収入ということに非常に力を注いだことは、よく御承知のことと思います。実は前年度の二十五年度におきましては、五月まで期間を延期いたしまして徴収をやりました。これにあまり力を注いでも、とうてい予算は確保はできない、こういう根本方針に基きまして、本年度は主力を該当年度すなわち二十六年度の所得税の徴収確保に注いだ。これが第一点であります。
それから第二といたしましては、御承知のように税務が昨年は非常に混乱をいたしておりましたが、これをまずもつて部内を建て直さなければならぬ、こういう基本方針に基きまして、先ほど徴収部長がちよつと発言いたしましたような新しい方法、われわれはこれを部内統制方式と呼んでおりますが、こういう方式に切りかえまして、この実施のために相当期間がずれております。しかしこれは幸いにして部内の態勢が確立いたしました。今後はこの方式によりまして、きわめて科学的、組織的に、過年度の繰越分の整理もいたしたいと考えております。従いまして、今後これから年度末までは、われわれは繰越分も相当収入を上げ得るもりと信じておるわけであります。現在までの実績がどうなつておるか、それから過年度の計画はどういうふうになつておるかということにつきましては、追つて正確な数字を本委員会に提出いたしたいと思いますから、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/17
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018・小山長規
○小山委員長代理 奥村君にお諮りしますが、あなたの御質問は数字を基礎として進展して行くようでありますが、数字に関する資料は、きよう午後取寄せることにいたしまして、それ以外のことについて御質問をお進め願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/18
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019・奧村又十郎
○奧村委員 委員長のおとりなしで、そう言われるので私も了承いたしますが、少くとも徴収部長が大蔵委員会にお出ましになるのに、数字を用意せずに国会にお出ましになつて何を答弁なさるつもりか。国会においでになれば何を尋ねられるかということは、おそらく想像がつく。徴収部長が数字を持たずしては、これは何にもならぬ。その点についてはなはだ私は遺憾に思う。数字がなければ質疑してもしかたがありませんから、それでは午後に私の質疑を延ばします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/19
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020・淺香忠雄
○淺香委員 関連してお伺いいたします。先ほど来奥村委員の質問に対して、政府委員の方からそれぞれ御答弁がありました。今、申告所得税が非常に成績が芳ばしくない、このことについて科学的、組織的に今後整理して行きたい、こういう御答弁がありましたのですが、私非常に案じますことは、実は私の選挙区は大阪でありますが、過日大阪へ所用で帰りまして、中小商工業者の方々とお会いいたしましたが、近ごろ税務署の方から署員が来られるというと、どうも成績が悪い、また政府としても今後の自然増収を相当多額に見積つておつて、今後は六割方一律に増徴して行く、この指令に基いて今後やるのだ、こういう話があつたとかで、非常に中小商工業者が脅威を感じておるわけです。そこでそういうような指令を出されたものか、または本省からそういう指令が出ないにもかかわらず、出先の局がかつてに各税務署に対してそういう指令を与えたものか、この点をお聞きしたいと思います。今の正示次長のお話では、抽象的でありますけれども、科学的、組織的に整理して行くということについての一連の関連事項ではないかと考えますが、その点ひとつ率直にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/20
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021・正示啓次郎
○正示政府委員 淺香委員の御質問につきましてお答えいたします。私先ほど組織的、科学的と申しましたのは、いわゆる徴収の滞納整理につきまして申し上げたのであります。しかしながら課税標準の調査につきましても、実は同様に考えております。その点御質問の御趣旨でありますが、前年度に比較いたしまして一律に六割ふえたという指令を出したか、どうかというお話でございますが、そういう指令は出しておりません。ただしかしこの機会にまことに恐縮でありますが、申告所得税の不振ということは、これは先ほど来奥村委員からも御指摘の通りであります。また淺香委員のお話の通りであり、輿論でございます。われわれはそれにつきましても、制度的な問題もございますが、要するにこれは個々の納税者につきまして、的確に実情を捕捉することが最も大事だ、こういうふうな考えを持つております。同時にしかし、いわゆる木を見て森を見ざるあやまちを犯してはならぬということも考えます。そこで個々の実額調査に専念いたしますとともに、経済全体の動き、あるいは所得全体の趨勢ということにつきましても、いろいろ資料を集めておるわけであります。そういう資料といたしまして、この物価なり、生産の動き、これが昨年六月の朝鮮動乱以来の動きを見ると、相当増加しております。こういうことはこれはもういまさら申し上げるまでもないことと思うのであります。そういう一つの見方としまして、六割というふうな数字もあつたことは事実であります。しかしわれわれは、これをもつて最終的なものと考えておるわけではございません。御承知のように、まだ年度は進行中でございます。そこで先ほど申しましたように、個々の実額を的確に捕捉いたしますとともに、大勢につきまして常に各方面の資料を総合いたしまして、これを税務職員の判断の資料に供したいと考えております。しかしそういうことをあまり中央から一本で指令いたす。すなわち先ほど淺香委員のおつしやつた一律ということは、われわれは極力避けなければならぬ。往年いわゆる割当課税の非難をこうむつたのも、こういうことがあまり強く響いた結果かと考えておりますので、われわれはあくまでも地方々々の実情、また個々の納税者の実情ということをよく見まして、今後はさらに調査を徹底いたしまして、申告の慫慂なり、あるいは慫慂に応じていただけないような場合には、やむを得ずして更正決定をいたすのでありますが、この場合も一律課税ということは絶対に避けまして、個々の納税者の具体的実情に即応してやつて行きたい、こういうことを基本方針にしておりますから、この点は御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/21
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022・淺香忠雄
○淺香委員 非常に御親切な答弁をいただきましたが、今の御答弁のあなた方の気持が、はたして下部の税務職員まで浸透しているかどうかということは、きようまでのいろいろな問題を考えました場合に、私非常に不安を感ずる一人でありまして、従つて今後の指令などにつきましては、細心の注意をしていただいて、あやまちのないように、格別の御留意を希望いたしまして、関連質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/22
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023・三宅則義
○三宅(則)委員 私はただいま議題になつております物品税法の一部を改正する法律案につきまして、関連質問を先にいたしますから、御了承を願います。ただいま奥村委員並びに淺香委員から、国税の徴収状況について質問があつたのでありますが、私は今回の物品税法の一部を改正する法律案というものは、特に輸出に重きを置いておると考えておるのであります。最初お伺いいたし事が、実は名古屋の税関におきまして輸入いたさるべきもので、いわゆる密輸入でありますが、南京虫と言われる小さい婦人持ちの時計について、これが横流しになつておるということでありまして、すでに一万人以人もこれを利用しておる者があるというわけでありますが、これを見つけたものはただちに現品を取上げるというような指令が出たという話であります。輸入業者あるいは密輸入いたした者に対しましては、当然それは必要であると思いますが、善意にこれを利用いたしておる者については、それは少し行き過ぎじやないかと思います。こういうことにつきまして、国税庁もしくは大蔵省においては関心を持つておられるか。その点をまず第一に、関連でございますが、先に質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/23
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024・原三郎
○原(三)説明員 御説明申し上げます。ただいま御指摘になりましたようなことにつきましては、国税庁から特別の指令は出ておりません。一般的に見まして、輸入品につきましては、税関官吏が調査に当るわけであります。ただ一般の国内の間税官吏としましては、一般の店頭に出ておるものについて、まず調査してみるというようなことはあり得るわけであります。十分調査をしてみなければ、それが国犯法に基く現行犯であるかどうか、そういうこともわからぬわけであります。ただちにその場において罰金をとるとか、あるいは没収するというようなことはないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/24
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025・三宅則義
○三宅(則)委員 ただいまの御説明によりまして、もちろん密輸入いたしたものに対しましては、厳重な罰金あるいは没収に当然なると思いますが、善意の第三者については、ただちにこれを没収するとかあるいは取上げるというようなことはない、こういうふうに了承してさしつかえないのですか。一応もう一ぺんお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/25
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026・原三郎
○原(三)説明員 その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/26
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027・三宅則義
○三宅(則)委員 今度は正示さんにお伺いしたいと思います。この輸出物資、これにつきましては米国におきましては、いわゆる日本国内において物品税をかけた値段か、あるいは市価か、どちらか高い方を中心に考える、こういうふうに提案理由に書いてあります。われわれといたしましては、今まで輸出品については全部物品税なしでやつておつたのですが、その辺の顛末、これは将来に関係いたしますから、いきさつをひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/27
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028・正示啓次郎
○正示政府委員 三宅委員にお答え申し上げますが、これは私よりもむしろ主税局から御説明した方がいいと思います。ただ主税局長と一緒に私も行つたときから、このことが問題でございまして、御承知のように、イギリスがバーチヤス・タックスというものを非常に高いものをかけております。これにつきまして非常な問題がありました。それとの関連において、日本との話もできて来たものと思つております。詳しいことは泉さんがおられますから、泉さんからひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/28
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029・泉美之松
○泉政府委員 お答えいたします。アメリカの関税法の規定によりますと、アメリカにおきまして、輸入物品に対しまして関税を課税いたします場合には、フォーリン・ヴアリユー、外国価格と申しますか、または工タスポート・ヴアリユー、輸出価格と言いますか、そのいずれか高い方を課税標準にして、課税するということになつておるのでございます。それで日本の商品がアメリカに輸出されますときには、御承知の通り、日本の物品税は輸出品に対しましては免除いたしております。従つて輸出価格の中には物品税額が含まれておらないのであります。しかしこのフオーリン・ヴアリユー、外国価格というものは、アメリカの関税法の解釈によりますと、外国つまり輸出国の卸売市場において、一般的な価格というふうに解釈されておるのであります。日本の場合におきますると、御承知のように物品税が製造業者に課せられておりますので、卸売段階において一般的な価格というものの中には、現在の物品税法によります物品税額が含まれるという解釈が成り立つわけなのであります。米国の関税当局は、かねてから日本の輸出物品に対しましては、そういう解釈のもとに、物品税込みのものを課税標準にして、課税したいということを言つて来ておつたのであります。しかし日本といたしましては、そういうふうになりますと、わが国の米国に対する輸出が振興上打撃を受けるものが少くありませんので、現在の段階においては、日本は占領下にあるわけでありますから、外国価格はないのだという解釈をとつてもらいたいということで、実際に米国の税関に輸入業者が輸入を申請いたします際におきましては、日本において同種の物品は販売されておらないという申告をいたしまして、輸出価格しかないのだという取扱いで、今日まで物品税額を含めないところの課税標準にして、関税を課税するということにしてもらつて来ておつたのであります。しかし御承知のように、講和条約が締結されまして、近くその効力の発生を見ることになると思うのでありますが、そうなりますと、いつまでも日本に外国価格がないということにしておくわけには参らないのであります。米国の関税当局としましては、すでに昨年一月及び四月当時から、物品税額を含めたところで課税ししたいということを言つて来たのであります。そこでそれでは困る。従つて関税の課税にあたつて、物品税を含めないところで課税してもらうように、交渉を進めて参つたのでありますが、それによりますと、日本の物品税というものは、終局的に消費者において負担される建前のものであつて、卸売段階においては、単に物品税を前取りしておるのだという観念のものにかえるならば、日本の輸出品に対して物品税を含めないところで、関税を課税してもよろしいという返事が参りましたので、今回提案いたしましたような物品税の改正を行うということによつて、現在通り物品税額を含まないところを課税標準にして、関税が課税されるということで、向うで取扱つてもらうことになつておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/29
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030・三宅則義
○三宅(則)委員 もちろんこれは輸出に関係がありますからして、日本の産業の開発、講和後におきますところの経済の進展等を考慮に入れまして、ぜひ物品税抜きの価格でもつて外国に輸出いたしまして、わが国の貿易を振興しなければならぬことは当然であります。しかし今までの観点からいたしますると、物品税というものはもちろん前取りしておるわけでありますが、往往にいたしまして市場価格──これは私正直に申しますが、大体物品税というものは、製造者の二割もしくは一割、はなはだしきに至つてはそれ以下というふうに言われておりますが、大体物品税を納める者は二、三割程度を越えておりません。納めない者が半分以上、こういうのが通例であるというふうに聞いておるのでありまして、国税庁あるいはその他におきましても、相当強く要求されておりますが、実際面におきましては、そういうふうに物品税はほんとうに課税されている額が少い。こういうことを考えますと、よほどこの問題については考慮を要さなければならぬと思いますから、この物品税を実際取扱つております政府当局のあり方といたしましては、どちらかと申しますと、当局から見ると手ぬるい、業者から見ると迷惑である、こういうふうに言われておるのでありますから、物品税に対しては、われわれは生活必需品もしくは農産物というようなものは、全面的に廃止をいたしたいという構想を持つておりますが、政府は一体どういうふうに今考えられておりますか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/30
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031・泉美之松
○泉政府委員 お答えいたします。物品税につきまして、いろいろ脱税しておりまして、正規に物品税を納めておらない業者がおるというお話は、われわれもよく承るのでございますが、ただいま三宅委員のおつしやいましたように、正規に納めておる者が一割か二割で、あとの者が全部脱税しておるというふうには、私どもは見ておらないのであります。若干脱税しておる者があるとは思いますが、さような割合ではないと考えております。国税庁におきましても、織物消費税もなくなりました今日、物品税につきましては相当力を入れて、脱税の検挙、摘発に当つていただいておる次第でございまして、さような脱税者がおるとは考えておらないのであります。物品税がそういうふうに脱税されるについては、物品税の税率が高いからだという御意見かとも承るのであります。またある物品に対して、脱税せざるを得ないような苛酷な課税をしておるのじやないかというような御意見かとも拝聴するのでありますが、物品税を将来どういうふうにもつて行くかということについては、われわれとしましても、いろいろ検討はいたしておるのでございますが、特に顕著な課税の不公平、あるいは苛酷と思われるようなものがない限りは、一般的に申し上げると、御承知の通り来年度以降財政需要が相当増加いたしますので、物品税を大幅に軽減するということは、とうていできないのではないかというふうに考えております。ただ苛酷な税のものにつきましては、若干の検討はいたすべきものと考えておりますが、まだその詳細をお話するまでの段階には至つておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/31
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032・三宅則義
○三宅(則)委員 あとで主税局長が来られたときに、詳しく質問することにして保留をいたしますが、正示さんに一つだけお伺いいたしておきます。正示さんはすでに外国に行かれまして、事情をよく了承せられたわけでありますが、われわれといたしましては直接税、いわゆる法人税等につきましても、今度税率が上つたわけでありまして、これと関連をいたしますからひとつお漏らし願いたいと思います。法人税が倍額以上に徴収できるであろう、こういうふうに考えておられるわけでありますが、これについてはあまりに苛酷にならぬようにしていただきたいと思いますけれども、それについて、実際面を担当しておられる正示さんの心持を承つて、その次に主税局長から承ることにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/32
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033・正示啓次郎
○正示政府委員 三宅委員の御質問は、法人税収入が予算上非常にふえたようだが、徴税についてむちやをやらないか、こういう御趣旨のようですが、われわれは法人税その他いずれの税につきましても、無理な徴収ということは考えておりません。法人税につきましては、御承知のように非常に法人の収益の状況がよくなつておりまして、その結果当然に見積りがふえたわけであります。法人につきましても、われわれとしてはどこまでも、先ほど淺香委員にお答え申しましたように、合理的な科学的な調査によつてやつて行くということについては、何ら考えをかえておらぬので、一層その点は徹底して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/33
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034・高田富之
○高田(富)委員 関連して税の徴収の問題を御質問したいと思います。過年度の滞納処理でありますが、一昨年度、つまり昭和二十四年度あたり、あるいはそれ以前よりあるかもしれませんが、二十四年度あたりは、相当当時の税務行政も混乱しておつた。その当時の滞納に対して、最近相当強硬な取立ての方針をとつているところもありまして、すこぶる非常識な徴収をやつている。しかも経済情勢も非常にかわつておりますが、相当まじめな納税者で、良心的にやつており、その後昭和二十五年度あたりには完納しておるというような者についても、古いもので、すこぶる不合理な押しつけがあつて、それに対する異議の申請等も、当時混乱しておりましたから、あるいは適法にやつていなかつたかと思いますけれども、そういうふうな古いもので、相当考慮の余地のあるものが、かなりあると思われます。こういうものも、いつまでもほつておくというわけにも行かぬでしようし、といつて強行処分というわけにも参らぬので、相当これは何かはつきりとした処理方針をお示しになつて、大して経験のない第一線の吏員が非常識なことをやるようなことのないように、合理的に処理してもらつて、先ほどもちよつと御説明がありましたが、過年度分にはむしろ力の入れ方も従属的にして、今後の合理的な課税の方向に行くというお答えでありましたので、この際そういう古いものにつきまして、特に昨年あたりあるいはそれ以前のものにつきましては、何とか事情をよく調べて善処するようにして、差押え等は原則としてやらないで、その後の当該業者の態度、納税に関する考え方等を考慮して過年度のものを穏かに処理して行くというような方針を明確にして、下部に徹底されるお考えはないかどうかということを、お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/34
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035・田所正幸
○田所説明員 お答えいたします。二十四年度以前の分の申告所得税につきましては、御指摘のように課税につきましても、相当今となつて振り返つて念査しなければならぬ問題があります。従いまして先ほどちよつと言いかけましたが、新しい滞納整理の方法に七月から切りかえております。これはすべてそういう滞納者に税務署においで願いまして、不服のある点、たとい審査請求を出す期間が経過いたしておりましても、これはすなおにその納税者の事情を聞きまして、そうしてこれは課税があやまちである、今となつてみればそう思われるというようなものについては、税務署長、直税課長、総務課長、それぞれ適任者が協議いたしまして、すみやかに処理する、こういう方針を確立してやらしております。
なお新年度分の納税と古い税金の徴収の関係でございますが、現在新年度分を納めることが一ぱい一ぱいである、二十四年度分以前のものについて、その滞納を納めて行くのは困難だというものにつきましては、その人の実情に応じまして、新年度分を納めていただきまして、古いものは法規に照しまして、一年以内の徴収猶予をする、そういうふうな方法をとらせまして、なしくずしに古いものを納めていただくように、一線には十分指示いたしております。なお御懸念がありますれば、年度末も近づいておりますし、あらためてその点が十分徹底するようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/35
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036・小山長規
○小山委員長代理 物品税は午後にまわして、外貨債を午前中に上げたいと思うのですが……。高田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/36
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037・高田富之
○高田(富)委員 今回一応無効になりましたものを有効とするという法案が出されておりますが、これは何か無効とされた外貨債の所持者あるいはその政府等から、特に最近になりましてから、わが国に対してそういうふうな要求が何らかの形であつて、それに基いてこういう措置をとつたのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/37
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038・石田正
○石田政府委員 これは外貨債処理法におきまして、現物がぴんぴん生きているものを、一方的に無効といたしたのでございますから、所有者の方では、そういうものについてはまだ支払いをいたしておりませんから、向うの方は、むしろ生きておるのが当然だ、こういうふうな頭の人が多いのではないかと思います。むしろそういう意味で、それを前提にして払つてくれ、こういう要求は個人からもございました。それからまたアメリカのことく日本の敵産管理をやりました場合に、その日本の外貨債というものは、日本人が持つておるものは敵産として押えられておるわけであります。その処理をどうするかという問題があるのでございまして、これは向う側としては、当然有効なのである、そちらの方で無効と言つても、ちやんと証明があるので、そういうわけには行かぬのだ、これは日本政府としても適当な機会において、そういうむちやをしたものは元へもどすという方がいいのじやないか、こういう話が前々からあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/38
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039・高田富之
○高田(富)委員 こういうふうに復活する以上は、外債の償還ということについての誠意を披瀝するということになるわけでありますが、外債の償還につきまして、講和条約締結の前から、いろいろとアメリカ等との間に、方針等については話合いある程度進んでいるのではないかと思いますが、現在の段階で、外債の処理につきましては、大体どの程度の方針がまとまつておるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/39
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040・石田正
○石田政府委員 外債の一般的な処理の問題につきましては、日本政府として考えなければならない点が二つ大きくあると思います。一つは、日本の財政負担の上からいつて、適当な額でなければならぬであろう、これが第一点でございます。それから第二点は、これは外貨で支払いをいたしますので、日本の外貨ポジシヨンと申しますか、国際収支一般との関連を考えなければならぬ。この二点を勘案して、日本の財政能力、国際収支状況をにらみ合せて、適当なところでなさなければならない、かように考えられるわけであります。そこで日本の財政の状況はどうであるかということでございますが、この点につきましては、われわれはおそらく本年度でなく、来年度の予算の問題として取上げるということに相なろうかと思つておるのでございます。来年度の予算の問題といたしましては、いろいろな問題がございます。それらの全般のにらみ合せからいたしましてどういうふうにするかということが、日本側として腹がきまると申しますか、そういうことに相なるのではなかろうかと思つております。従つて現在の段階におきましては、向うと交渉をするといいますか、話合いをするといいますか、そういうものにいたしましても、こちらといたしまして、大体この程度でいいであろうという確信のあるところのものは、率直に申してまだきまつておらないのであります。これはきまるであろう思いますが、現在の段階ではきまつておらないのであります。従いまして、これは外国のいわゆる債権者団体と申しますか、あるいはこの外債の元利払いを実施するところの機関等から、いろいろなアプローチが頻繁にございます。それに対して、一切われわれは、今そういう問題に入る時期には達しておらない、なるべく早い機会においていろいろお話合いをしたいと思うけれども、しかし今はそういう状況にはないのだというので、そういうアプローチに対して、こちらが応ずるということを避けてるような現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/40
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041・高田富之
○高田(富)委員 外国のそういう債権者団体のようなものは、アメリカ、イギリス、フランス、どこにもあつて、そういう方面から、個人の意思でなくて、相当まとまつた方針というようなものが出されておるのじやないかと、今の言葉では考えられますが、それは大体のところどういう要求が多いのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/41
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042・石田正
○石田政府委員 何と申しますか、いわゆる債権者ですね、債権者団体については、話合いをしようということを言つて来ております。どういうふうなことで行こうかということは、向うから具体的に言つて来ておりません。と申しますことは、これは一方においては、日本政府がどういうふうな態度に出るかということは、向うはわからぬわけであります。それからまた債権者団体を代表するようなものがありますけれども、それも債権者の意向というものを、一体どの辺で話をつけたら納まるかというふうなことについても、まだはつきりしたものを持つておらぬのではないか。要するに、とにかく日本政府をしてたくさん払わせたい、こういうのが債権者団体の立場であろうと思います。なお昔、債券の募集に携わりました外国のいろいろな証券会社、あるいは金融機関というものがございます。これにつきましても、こうやつたらいいだろう、ああやつたらいいだろうというようないろいろな案はございます。たとえて言うならば、全部借りかえたらいいじやないか、あるいは契約の条項通りすべからく実行すべきであるとか、いろいろな案が来ております。しかしこれは何と申しますか、好意的な案ともとられますし、また自分たちがそういう仕事をしよう、それがきまれば仕事ができるという面もあろうかと思いますので、これはわれわれがいろいろ交渉する相手ではない。従いましてそういうふうな案がございましても、われわれはただだまつて受取つておればよろしい、こういうふうに考えて処理しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/42
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043・高田富之
○高田(富)委員 借りかえればいいじやないかというようなことを、外国の銀行や債権者団体が言つている向きがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/43
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044・石田正
○石田政府委員 そういうことを言つている銀行がございます。ありますけれども、しかしこれは名前を申し上げることは避けた方がいいと思いますし、それからまたどういう真意であるかという点についても、いろいろ憶測されるわけでありますけれども、こういう場合に申し上げることは避けた方が適当でないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/44
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045・高田富之
○高田(富)委員 今度有効にする社債なんかは電力債がほとんどだという話がありましたが、特に電力関係では外債を相当入れなければならぬというのが、政府の方針だと思います。またアメリカあたりでもそういう方面に力を入れることが、期待されるのではないかと思いますが、そういうやさきでありますから、これを向うとの話合いによつて外貨で支払つて、向うへ持つて行つてしまうというのではなくして、再び何らかの方法で、外資導入の形で借りて行くというふうな話合いを進めようとするような方針ではないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/45
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046・石田正
○石田政府委員 外資の導入はむずかしい問題でありまして、日本側といたしますれば、外資の導入ができ、それから外債につきましても、償還はいたしましても、その償還した金をすぐ日本に投資してくれるということであれば、最も望ましいと思います。しかしいわゆるこれからの民間の外資の導入というものが、向うのどういう源泉からこちらに資金の提供があるだろうかということは、なかなかむずかしい問題であろうかと思うのであります。この外債を現に持つておるところの人が、たとえば個人であつたとする──発行したときには個人が多かつたわけでありますが、依然そういう所有者がかわつておらぬという状況でありますると、昔はイギリスとかアメリカとかいうところの金融マーケットにおきましては、相当民間の資金を集めて外国へ貸すということが行われておつたわけでありますが、現在ではそれがほとんど杜絶しておると思います。ちよいちよいありますけれども、そういうものはあまり多くを期待し得ないというのが実情ではないかと思うわけであります。従いまして外債の返還をいたしました場合に、その返還を受けたところの所有者が、要するに非常にたくさんの金を一ぺんにもらつたというような人でありますれば、あるいは投資ということも考えられるかもしれませんけれども、もし零細な人に数多くわたるというようなことに相なりました場合に、それを日本に再投資することを期待するいうことは、なかなかむずかしいのではないかと思います。もちろん外債処理をいたしますについて、そういう結論になることはけつこうかと思いまするけれども、しかしたとえば日本が交渉する場合において。日本に再投資するということを条件にしてこういう話をするのだということは、問題を紛糾させることに相なるのではないか、かように考えるもわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/46
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047・高田富之
○高田(富)委員 イタリアの場合などは全部借りかえさせられたというふうに聞いておりますが、今度のイタリア、ポーランドその他のたとえば第二次大戦のあとでの講和条約のできた国で、先例としてこの外債の問題はどういうふうに処理されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/47
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048・石田正
○石田政府委員 まあ戦後におきまして今度の本件に該当しますようなものは、イタリアの例がよい例だと思います。これは御承知の通りに全部借りかえまして、初めのうちは一分、しばらくたちましてから二分、最後に三分という利息を払うという条件のもとに借りかえたわけであります。これはイタリアの政府にとりましては非常に有利な条件であつたと思います。しかしこれに対しては、いわゆる所有者の方におきましては相当の不満がございます。それからまたイギリスとアメリカと扱いが多少違つておる点もございます。その関係もございますが、その所有者としては不満であるというので、この方式でやるということに対しては、相手はなかなか応じないだろうと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/48
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049・高田富之
○高田(富)委員 来年度の予算の中には外債償還に関する財政的な措置をとる方針ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/49
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050・石田正
○石田政府委員 これは私がお答えする能力の範囲外だと思いますが、私の気持を申しますれば、ある程度の外債償還ということを考えて、それに対する資金手当をある程度しておくべきではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/50
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051・高田富之
○高田(富)委員 大体そういうふうに考えておるのじやないかと思いますが、もしそうだとしますと、あまりいいかげんの額を計上しておくということになりますと、今後の折衝にあたつて、これが既成の事実を日本政府がつくつてしまつたということになりまして、交渉が相当制約されはしないかという気がいたします。そういうふうに予算を組むなら合理的なりくつをつけて、それだけの額はやらなければならぬのですが、一定の額を見積つた以上は、支払い方針というものが明確でなければならないということになるのではないかと思います。そういたしますと、来年度予算を近いうちに議会に出さなければなりませんが、それまでちやんとした方針について債権者団体、外国の銀行、その他の国々と一応の話合いを済ませてから、予算を組むという段取りになるかと思うのでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/51
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052・石田正
○石田政府委員 かりに講和条約が発効するということを前提といたしました場合に、いろいろとそういう点において相手方と話合いをしなければならぬ。しかし相手方との話合いもきまつておらないものはほかにもあろうと思います。その関係におきましてはつきりした額を、たとえば外債なら外債というような処理ということではつきり載せるということに相なりますか、あるいはかりに載せるということなら、それは他のものとあわせて一般的な金額を載せる場合にその中に入つておるというか、どういうふうになりますか、この点は私としてはちよつとお答えいたしかねると思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/52
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053・小山長規
○小山委員長代理 次に第十回国会内閣提出第百六十号、租税特別措置法の一部を改正する法律案が参議院より送付されまして、ただいま本委員会に付託されて参りましたので、この際本案を議題といたしまして審査に入りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/53
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054・奧村又十郎
○奧村委員 ただいま議題となりました法律案につきましては、すでに第十国会において、本委員会において十分慎重審議の上、原案の通り可決した法律案でありまして、またそのまま本日参議院より送付されたものでありますから、この際提案理由の説明、質疑、討論は省略し、ただちに採決に入られんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/54
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055・小山長規
○小山委員長代理 ただいまの奥村君の動議のことく決定するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/55
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056・小山長規
○小山委員長代理 御異議ないようでありますから、本案につきましては提案趣旨の説明、質疑、討論は省略して、ただちに採決に入ることといたします。
本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/56
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057・小山長規
○小山委員長代理 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
午後は一時から開会いたします。
これにて休憩いたします。
午後零時十分休憩
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午後二時二十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/57
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058・夏堀源三郎
○夏堀委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
物品税法の一部を改正する法律案、及び旧外貨債処理法による借換済外貨債の証券の一部の有効化等に関する法律案の両法案を、一括議題として質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/58
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059・松尾トシ子
○松尾委員 旧外貨債の処理法案について御質疑を申し上げます。この法案の提案理由を拝見いたしますと、アメリカ合衆国からの申入れを受けているというふうに書いてありますので、いたし方がないという感じもするのです。またポツダム宣言に連なるようなものでもありますし、戦争に勝りていたらこのようなものを出さなくても済んだのでしようけれども、敗戦をいたしましたので、その跡始末という感じがしますから、沈痛な思いで了承するというかつこうになりますけれども、ちよつとこれのいかんによつては、日本の経済復興並びに国民生活の安定に響ぐところ大だと思いますから、お尋ねをするわけであります。
一体この法律が効力を発生いたしまして、国際法的に支払いの義務を負わされましたときに、日本はその支払い能力があるかないかという問題と、またその時期と条件のこまかい内容はどんなものかということをお聞きしたいのです。これはドル支払いになるのだからという簡単なものでなくして、たとえばイタリアのごときは、これを書きかえをした。もつともその結果としては失敗に終つて、その他イタリアの援助資金なんかも相当削減されたとかいうことも聞いていますが、日本の場合にはどういうふうに処理なさるような見通しがあるかを、お知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/59
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060・石田正
○石田政府委員 先般御質問がございましたのに対しましてお答えいたしたのでありますが、今回の法律案によりまして、有効化が行われますところの対象となる証券、これは一応その最大限度は、二種類がございますが、元金、利札両方を合せまして、大体三千六百万ドル見当になろうかということを申し上げたのであります。それからこの法案に関係なく、従来生きておりますところの外貨債の額というものは、四億一千万ドル見当であろうかと思うのであります。従いましてこの法律案によりまして、どういうかうな影響があるかということは、今申し上げました数字で、御判断願つたらよろしいかと思つております。それからなお日本がこれから処理をいたさなければなりません外貨債の問題につきましては、結局今の数字を合せまして、大体四億四千八百万ドルというものが処理の対象に相なろうかと思うのであります。この外債の処理をいたすにつきましては、先ほども申し上げたのでありますが、われわれとして一番関心を持たなければならぬ点は、一つは国の財政能力からいつて、年々一体どれくらいの能力があるだろうかということが一つ、それからまた日本の将来における国際収支、外貨の受取り、支払いというものがどういうふうに相なるか、そういう見通しと関連いたしまして、どのくらいのところが一体適当な額であろうか、こういう二つの点があろうかと思うのであります。これはなかなかむずかしい問題でございまして、私といたしまして、まだ来年度の予算もきまりませず、それからして相手方との交渉もまだ始まつておりません現段階におきましては、どういうふうに相なるかということを、今日申し上げることはできません。
それからイタリアの例をお引きなさいましたけれども、これは皆様もよく御承知かと思うのでありますが、イタリアはたしか初めの三年間は全部借りかえまして、そして利子の点については、初めの三年間は一分、それからあとの二年間は二分、六年目からは三分というふうなぐあいに、非常な低利の借りかえが行われたという実例がございます。ただこれにつきましては、その当時の事情、それからまたイタリアと日本との相違というようなものも、いろいろ考えなければなりませんし、それからまた債権者の考え方というものも、参考にせねばならぬのでありますが、大体の感じから言いますと、この借りかえは債権者にとつてきわめて不満足なものである、こういうふうに相なつております。従いまして今申し上げましたような国の財政上の見地、それからまた国際収支上の負担というものを考えまして、日本といたしましては、負担できる範囲内において、最も負担の少い方法で処理するように努力いたすべきことはもちろんでございますが、どういうふうになるかということは、今日申し上げかねるような状況でございますので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/60
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061・松尾トシ子
○松尾委員 私はこれを考えますのに、経済上の処理はなかなかむずかしいと思いますので、外交交渉によつてこれをやるべきじやないかというふうに考えているのです。
それでもう一つお伺いしたいのは、こういう法律が出ることを契機にして、戦時中の預け合い勘定とかあるいは軍票をばらまいたその処理とか、そういつたようなものが法律として将来出て来るような傾向はありはしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/61
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062・石田正
○石田政府委員 これは今回の国会におきまして御承認に相なりました平和条約の条文の解釈の問題とも、関連いたします問題だと思います。私責任をもつてお答えすることはできませんが、今のお話のような案件は、いわゆる賠償処理の中に含まれておるのではないだろうか。これは非常に疑問の存する点でありますが、私たち事務当局としては、そういう解釈が通るようなぐあいに希望いたしますし、またそういうぐあいに関係国とまず第一に話をしてみたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/62
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063・松尾トシ子
○松尾委員 もう一点、そんなことはないと思うのですけれども、もしこの国会でこうした法律が否決された場合には、国内的の処理は終つているのですから、国内法では支払う権限はないけれども、国際法で支払わせられる義務を負わせられるのだと思いますけれども、もしこれを否決した場合に、諸外国としては法律上何か特別の手を打つようなことができるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/63
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064・石田正
○石田政府委員 この法律案の対象と相なつております外貨債は、みな無記名証券でございます。証券は現存しておるわけであります。日本は、これは無効であるというだけのことを国内法としてやつたのでありますが、向うの方では有効である、こういうことを主張するのだと思います。その点はお話の通りであろうかと思います。さてそれでは向うはどういう措置をとるであろうかという問題に相なりますと、これは特設の措置を講ぜぬで、そのままこちらに請求して来る、こういうようになろうと思います。結局日本側が国内法においてすでに無効にしたものであるから、外債処理のときに、あの分は除外して行くということを日本側が申しましても、それが通るか通らぬかという問題に相なろうかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/64
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065・高田富之
○高田(富)委員 無記名であつて転々流通しておるということでありますし、またこの前の深澤委員の質問に対しましては、所有者はほとんどわからぬというようなお話もありましたが、大体の見当で、外債所有者が応募当時においては、相当広範囲に零細な投資者が投資をしたのかどうかということと、その後戦争にもなり、特にこの問題のごときは、日本で無効にしてしまつているということからいたしましても、向うで零細なものを持つているということはちよつと考えられませんが、所有者の層の変化について想像できる範囲で──アメリカからも申入れがあつたというのでありますから、相当のまとまつた形で日本へ交渉して来る態勢になつていると思います。そうすると現在の大体の所有者、大まかに見ましてどういうふうなところが大量に持つておるかというような推定が、おそらくできておると思いますけれども、それをひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/65
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066・石田正
○石田政府委員 先日高田委員からお尋ねがありましたし、また今御質問がありまして、私あるいは御質問の趣旨を間違えて答弁をしておる、あるいは違つた面でお話している点があろうかと思いますので、この際もう一度その点について申し述べたいと思います。
今度有効化されますものを合せまして、相当大きな額に上るところの全体としての外貨債、これの所有者がどうかということにつきましては、私がこの間御答弁申し上げたのと同じように、わからぬと申さざるを得ないかと思います。ただ今回証券が有効化されますところの分、元金の方で申しますならば、ドルならば八百七十五万ドルでございますが、そのうち大体半分以上はアメリカ政府が現に敵産として保持している、こういうふうに推定いたしております。あと残りの分はどうなつているかということになりますと、残りの分につきましては、少額の個人のもので、早く払つてくれというような書類が来ておるので、そういう人が持つているかとも思いますけれども、何も日本政府にアプライズしていないものについては、現状はどうなつているかわからない、こういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/66
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067・高田富之
○高田(富)委員 そうしますと、これは大量に政府自身が持つているということになるとどういうことになるのですか。これはやはり一時ほとんどただみたいになつたものが、こういうふうな措置をとるとか、あるいは今後外債を償還するという意思表示をすることによつて、そうならなくてもすでに相当の値が出ているのじやないかと思いますが、そういう日本の公債を売買する、あるいは集めたことによつて、外国政府あるいは銀行が、相当巨額の利益を上げることができるというふうなことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/67
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068・石田正
○石田政府委員 多少今の答弁に明瞭でなかつた点があろうかと思うのでありますが、アメリカ政府が持つておりますところの証券、これは日本の敵産を管理するという意味で持つておるのでございます。その財産を処分いたしまして、そして日本の向うにおけるところの営業活動に伴いまして、この証券をもつてこれに充足しようというのが趣旨でございます。従つて政府が買いだめをしておるとかなんとかいうものではありません。それから金融機関等そのほか民間の人が買いだめをしておるという点でございますが、これは率直に申しまして、私たちはわからないのでございます。要するにこれらの証券と同じ銘柄のものにつきまして、外国において相場が立つている、取引が行われているらしいということはわかりますが、だれが買いだれが売つておるかということにつきましては、私たちのところでは遺憾ながらつかむことができません。従いましてある特定の大きな商社あるいは金融機関というものが、これを買いだめてもうけているということはあろうかと思います。しかしそれは結果から申すのでありまして、御承知の通り、外債の処理がどうなるかということはきまつておらぬのでありまして、日本がこれから債権者と相談をいたしまして、外債処理の方針がきまつた場合に、一体その条件のもとにおいてはこういう値ごろになるかということもまだ未定でございます。従いましてもうかることになるのか、そういう操作をした人が損をすることになるのか、そこのところもわからないというのが実情だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/68
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069・奧村又十郎
○奧村委員 ただいま議題となつております二法律案のうち、旧外貨債処理法による借換済外貨債の証券の一部の有効化等に関する法律案につきましては、すでに質疑も尽されたことと思いますので、本案については、質疑を打切られんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/69
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070・夏堀源三郎
○夏堀委員長 ただいまの奥村君の動議のことく決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/70
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071・夏堀源三郎
○夏堀委員長 御異議なしと認め、本案につきましては質疑を打切り討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。高田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/71
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072・高田富之
○高田(富)委員 日本共産党は、本案に反対するのであります。もとより戦時中軍閥政府の手によつて、一方的に不当な処置をとつたことに対して、こうした処置をとることは当然のことであつて、あらためて審議するまでのことはないのでありますが、今日この場合に、そうした措置を特に急いでとりますことの背景といいますか、全般的な政策との関連において考えます場合に、なおわれわれは相当これに対して疑問を持たざるを得ぬ。と申しますのは、やはり対外的な信義を重んずるという建前からしますならば、当然最大の戦争による犠牲国に対して、まず賠償の問題を解決しなければならないのでありまして、今回のように特にアメリカ、イギリス、フランスあたりを中心とします債権というようなものを重大視して、これに対して信義、誠実を披瀝するというふうなことをやることが、やはり全政策との関連において、はなはだへんぱなものであり、わが国の公正な立場を国際的に表明するゆえんではないというふうに考えざるを得ません。ことに外債の、直接処理に関する法律案ではありませんけれども、外債処理方針とも関連があつて、厖大な外債を償還するという意思表示の、これが最初の現われでもあります。もちろんわが国の経済状態その他からいいまして、実際的にもこれは相当困難であります。他のいろいろな債務を背負つているときでありますから、われわれは、わが国が今後平和的に経済の建設をやり、平和的に国際的な貿易等をやつて行くという、本来の正しい立場に立つ場合には、われわれはなお根本的にこのような政治の歩み方そのものに対して、反省しなければならないのでありまして、本法案も小さいながらも、そういつたへんぱな外交政策の現われ一つだという観点からいたしまして、賛成いたしがたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/72
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073・夏堀源三郎
○夏堀委員長 討論は終局いたしました。
これより本案を採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/73
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074・夏堀源三郎
○夏堀委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決せられました。
なお本案に関する報告書の件につきましては、委員長に御一任を願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/74
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075・夏堀源三郎
○夏堀委員長 次に、先日議案審査を促進する意味におきまして、あらかじめ政府当局より説明を聴取いたしました租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、さらに詳細なる説明をこの際聴取いたしておきたいと存じます。平田主税局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/75
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076・平田敬一郎
○平田政府委員 租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、補足しまして御説明申し上げたいと存じます。お手元に改正法律案新旧対照表をお配りしてございますので、それによりまして逐条的に御説明申し上げてみたいと思います。
まず最初は第三条の改正でございますが、この改正は、今回配当所得に対して二割の源泉課税を行うことにいたしました関係上、改正を加えんとするものであります。すなわち外貨をもちまして本法施行地以外に居住する人が日本の株式を取得し、それから配当所得を得るという場合におきましては、現在社債について特別の軽減をやつておりますのと同じように、その配当所得につきましても税額を軽減せんとするものであります。すなわち外資をもつて取得しました社債につきまして、二十を十に軽減いたしておりまするが、今回この配当所得につきましても、二十の源泉課税を、今申し上げましたような場合におきましては、十に軽減せんとするものであります。これはいずれも前回御説明申し上げました措置法による外資の導入と申しますか、そういう見地からしまする一つの改正でございます。第三条の関係はその通りでございます。
次は第五条と、それから五条の二、五条の三、及び五条の四、この四箇条の改正はいずれも同じ趣旨のものでございますので、一括して御説明申し上げますが、これは御承知の通り退職所得につきましても、現行法によりますれば、一定の日本に望ましい外国人につきましては、五割控除して課税するという特例を設けておるのでありますが、退職所得につきましては、今回相当大幅な軽減措置を講ずることによりまして、もはや外国と比べまして高くなるといことはほぼなかろうということになりましたので、退職所得に関する限りはそのような特例措置をやめることによりまして、外国人に対しまする給与所得の優遇措置だけ残そう、そういう趣旨で第五条から五条の四までの規定を、それぞれ修正を加えた次第でございます。いずれも同趣旨の改正でございます。
その次は四ページ目に参りまして、五条の五の改正規定でございます。これは一つは条文の体裁を、現在は五条の五で、個人法人を通じて一括して規定してございまするが、今回は個人の方は五条の五にいたし、法人の方は五条の六というふうに書きわけたのが一つでございます。実体的な点は個人の方は問題ございませんが、法人の場合におきましては若干変更を加えたのでございます。すなわち従来におきましては、一定の合理化に望ましい機械設備等を取得しました場合におきましては、取得後三年間普通の償却額に加えまして、五割増しの特別償却ができる。但しその五割増しは各事業年度においてそれぞれ償却しなければ、すぐ翌期に繰越すことはできない。三箇年たちまして償却不足がある場合に、その後二箇年内にまとめて繰越し償却ができる、こういう趣旨に規定いたしたのでございます。今回さらに重要産業こつきましては、二分の一程度の特別償却を別途認めるようなことに相なるかと思いますが、それとも関連いたしまして、今までの措置につきましても、償却不足額が生じました場合におきましては、その分はすぐ翌期から繰越して償却できるということにする、そういう趣旨の改正を加えようとするものであります。これによりまして、現在よりも相当償却の円滑化ができるものと考えるのであります。なお償却の不足額は、五箇年間は繰越しまして控除するということに、これは一般の償却の原則となつておりますので、償却不足額につきましては、随時五割増しの償却部分につきましても、翌期以後五箇年間に繰越して、この不足額を償却することができる、かように改正せんとするものであります。それが今回の五条の六の改正でございます。
それから次は五条の七の改正規定でございますが、この条文が今回の改正で一番大きな事項でございまして、たなおろし資産と有価証券につきまして、価格変動準備金の制度を新たに設けようとするものでございます。概略を申し上げますと、法文にも出ておりますように、まず三つにわけておるのでございますが、一つはたなおろし資産、もう一つは有価証券を二つにわけまして、株式と株式以外の有価証券、この三つにわけて考えておりますが、たなおろし資産と株式につきましては、価格の変動が相当著しいものがございますので、これは期末の時価の一割まで変動準備金を設けまして、準備金勘定に繰入れますれば、その分は損金に算入する、こういう改正でございます。それから株式以外の有価証券、すなわち社債等につきましては、価格の変動が株ほどはなはだしくございませんので、五分すなわち百分の五の範囲内におきまして、同じようなことができるという趣旨にいたしておるのでございます。さらに国債につきましては、政府の債務でございますので、このような制度を設けるのはいかがであろうかという意味におきまして、認めないことにいたしておるのでございます。そういたしまして、繰入れの方法といたしましては、一応最初の準備金勘定を設けましたその年におきましては、一定の準備金勘定に繰入れますれば、損金に算入するのでございますが、それは毎期清算をして行つた方がいいのじやないかという考えからいたしまして、その分を一応また翌期に対する益金に繰入れる。そしてまた同時にその期において勘定に繰入れて、損金にすべきものは、さらに計算いたしまして損金に繰入れて行く。すなわち毎期々々期末に応じまして前期の分も清算し、その期の分を新しくさいて行くという方法によりまして、計算と経理の適正をはかつた方がいいという趣旨で、そういう経理の方法を採用することにいたしております。実態はそのようになつておるのでございますが、ただこれを一挙に一割まで認めますと、企業によりましては相当利益の減少になりまして歳入にも顕著な影響があるのみならず、負担の点から行きましても必ずしも適正を欠く。すなわち行き過ぎになるおそれがありますので、二年目に一割ないし五分に達するようにしたい。六箇月ごとに計算いたしまして、最初の事業年度におきましては一割のものは二分五厘、それからその次の第二期目は五分、第三期目は七分五厘、第四期目に至りまして一割、その範囲内におきまして変動準備金を設けることができるようにする。そういう趣旨にいたしております。社債等の五分の場合におきましても、同様な意味におきまして、最初の事業年度は百分の一・五、端数の関係がございますので最初一・五にいたしまして、その次を一といたし、二・五、三期目を百分の四、四期目に至りまして百分の五に達する。そういう意味におきまして随時準備金勘定に繰入れることができる。そういうような趣旨にいたしております。この関係は附則にその点を規定しておる次第でございます。第五条の七は個人でございまして、第五条の八が法人でございます。個人につきましても認めるかどうか、大分議論したのでございますが、やはり青色申告を提出いたしております者につきましては、このような制度を設けまして、極力青色申告の普及と優遇をはかつた方がいいだろうという考え方からいたしまして、この制度を認めることにいたしておる次第でございます。法人も個人も、いずれもこれは技術的に相当やつかいなものでございますので、経理が比較的はつきりいたしておりますところの、青色申告書の提供者に限るということにいたしておる次第でございます。もちろんこれは変動準備金制度を設けて、税法上こういう扱いを受けるにつきましては、それぞれ申告の期限までに明細書をつけまして、その旨を明らかにいたして出さなければならない。これが要件でありますことは、免税等の場合と同様にいたしておるのであります。
それから五条の九、五条の十、五条の十一、これは単に条項の整理にすぎません。
それから第九条に至りまして、新しく挿入しましたのがその三項でございまして、これはこの法文にも出ておりますように、森林法によりまして、森林の立木につきまして一定の伐採制限を設けることになつておるのでありますが、その際に農林漁業資金融通法の規定によりまして、資金の貸付をなす場合がございますことは御承知かと思いますが、その場合におきまして、抵当権の設定の登記をする場合において、普通の場合ですと登録税が千分の六・五かかるのでございますが、このように一定の制限のもとにおかれた立木に対しまして、特別に資金を融通しようというものでございますので、その税率を千分の一に軽減しようというのが九条の改正でございます。
その次は第十四条の改正でございますが、これは実はお断り申し上げなければなりませんが、十四条の現行法という下の段に出ております文は、今継続して御審議になつておりまするものでありまして、厳密に申し上げますと、まだ現行法ではないのでございますが、そういう点御了解願いたいと思います。今国会で御審議願つて、おそらくこの法律案よりもさきに通過することを希望いたしておりまするその法文を、前提にいたしておるわけでございます。それに対しまして、なお若干の改善を加えようというのでございます。その点が十四条と十五条と十六条の三箇条にわたりまして、同じ趣旨の改正を加えておるのでございますが、要点を申し上げますと、昔の言葉で申しますと耕地整理と申しますか、最近は土地改良事業と称しておるようでございますが、その土地改良事業によりまして耕地の交換分合が行われる場合、それから都市計画法によるいわゆる区画整理によりまして、やはり土地の交換分合が行われるその際におきまして、補償金を現金で支給される場合がある。そういう場合においてどうするかという問題でございますが、前回提案しましたものによりますと、一応この交換分合とむしますか、土地と土地と交換分合される部分につきまして、も、再評価税だけは課税しよう。そのかわり譲渡所得税は課税しないというのが、前回の提案の趣旨でございますが、今回はさらに一歩進めまして、物物交換と申しますか、土地と土地が単に交換になつた場合におきましては、その際には課税しない。そうしまして後に新たに得た土地を売却、譲渡、相続等で処分いたしました場合におきまして、初めて課税しようというのが新しい改正の趣旨でございます。なおその際に一部補償金をもらいまして土地を取得する、こういう場合があろうかと思いますが、その場合におきましては、その補償金に対応する部分の土地だけについて譲渡があつたものとしまして、その部分に対しましては再評価税だけ課税する、こういうふうにいたしまして、対価として取得しました現物の土地の部分につきましては、先ほど申し上げましたと同じ原則によりまして、後にこれを処分した際に課税しよう、こういう趣旨にいたしておるのでございます。それが大体この十四条から十五条、十六条に規定しております事項でございます。
それから第十七条の改正規定は、これはまたちよつと違つたものでございますが、昨年の改正で、譲渡所得につきましては、有償で譲渡した場合だけではなくて贈與または遺贈した場合におきましても、全部譲渡所得税を課税することにいたしていたのでございますが、やはりその後の実情に応じまして、国または地方公共団体に対しまして、不動産なり、あるいは骨董品と申しまするか、美術品と申しまするか、そういうものを寄付する場合がございますが、そういう現物で寄付する場合に課税しますのは、どうも少し行き過ぎの点がございますので、その分は非課税にいたそうということで、国及び地方公共団体に対しまして、贈與または遺贈等で寄付した場合におきましては、譲渡所得税と再評価税両方とも課税しないというのを規定しましたのが、この第十七条でございます。
以上が租税特別措置法の各本文の改正でございまして、その附則は、それぞれさらにその適用の部分、それから今申し上げましたような変動準備金の経過規定、その他それぞれ必要とする附則を設けている次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/76
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077・夏堀源三郎
○夏堀委員長 物品税法の一部を改正する法律案について御質問がありますか。小山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/77
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078・小山長規
○小山委員 物品税法について質問をいたしますが、この法律はアメリカとの輸出貿易にからみまして、アメリカの関税の適用度がどうきまるかということに、この法律案の趣旨があることは承知いたしておりますけれども、この法律はもとより国内法であります。国内法でありますので、国内の業者が──それは輸出業者であろうと国内に販売する業者であろうと、一様に取扱われる法律でありますので、法律の適用いかんによつては、あるいは非常な混乱が起りはしないかと思われる点について、一、二質問をしてみたいと思うのであります。
順序を追うて申しますと、第三条の二に書いてあります「物品税ハ当該物品ノ消費者ガ之ヲ負担スベキ建前ノモノトス」という中の「建前ノモノトス」というのは、消費者がこれを負担すべきものとすと書くのが普通ではないかと思うのでありますが、特に「負担スベキ建前ノモノトス」と書いてあるのはどういう理由によるのか。あるいは負担すべきものとすということと、「建前ノモノトス」ということとの間には、法律上あるいは法律の適用上どういう違いが出て来るのか、ひとつ御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/78
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079・平田敬一郎
○平田政府委員 物品税法の一部を改正する法律案の提案の理由につきましては、すでに御説明申し上げた通りでございまして、繰返して申し上げることを避けたいと思いますが、今回の改正では、物品税の性質を法律にもはつきりいたしまして、それによりまして、アメリカの関税法の適用上、特に日本の輸出商品が不利をこうむることがないようにという意味で、こういう規定を設けることにいたしたのであります。そういたしまして、私どもやはりあくまで物品税は間接消費税だと考えておるのでありまして、経済的に申しますと、負担は当然消費者に転稼されまして、消費者が負担する建前のものだと思うのでありますが、法律的には納税義務者はだれかと申しますと、やはり物品の製造者でございます。この条文を負担すべきものとすと書き切つてしまいますと、いかにも税法上の納税義務者が消費者になるように解釈をされるおそれがありますし、そこまで行きます場合におきましては、実際におきまして経済的に転稼され得ない場合もなきにしもあらずと思いますが、そういう場合に一体徴税をどうするかといつたような問題も出て参りますので、むしろこの条文といたしましては、「建前ノモノトス」ということを書きまして、物品税の性格をはつきりさせるというのがいいのではないか、こういう意味でこのような字句を使つたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/79
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080・小山長規
○小山委員 そういたしますと、これは消費者が物品税の納税義務者ではないということを従来通り──つまり製造業者が物品税の納税義務者であるということを現わしたのである、そういうふうに了解してよろしゆうございますね。
それはそれといたしまして、十六条の四をなぜこういうふうに一項、二項、三項と書きわけられたのか、わかりにくいのでありますが、十六条の四の第一項と第二項は趣旨はほとんどかわつていない。ただその中で違うのは、これの製造業者または販売者が「取引ノ決済ヲ為サントスルトキ」というのが第一項であつて、「販売シタルトキ」というのが第二項であるから、「取引ノ決済ヲ為サントスルトキ」という字句と「販売シタルトキ」というのが違うだけであつて、一項と二項とは内容においてかわりないと思うのでありますが、「取引ノ決済」ということと「販売」ということとは、どういうふうに違つて来るのか。適用上あるいは徴税の区別上違つて来るのか。その説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/80
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081・平田敬一郎
○平田政府委員 第三条の二に関しまして、もう一ぺん繰返して申し上げておきますが、物品税は経済的には六体におきまして消費者が負担すべきものである。ただ法律的には、あくまでも製造者と申しますか、税法で規定しております製造者より徴収するということになつておりますので、法律上の納税義務といたしましては、今小山委員がお話になつている通りになつておるということでありまして、その点さらにはつきりさせておきたいと思います。
それから御質問の十六条の四の規定の書き方の問題でありますが、一項の場合におきましては、「決済ヲ為サントスルトキハ共ノ決済上受領スベキ金額」、つまり相手方から受取るべき対価につきましては、物品税額と本来の物品税額以外の対価の分とを、区分してしなければならないというので、これは二項以下を受けまして、一般的な原則と申しますか、それを揚げておるのでございます。そうしてさらに二項以下におきまして、製造業者なり販売業者なりに対しまして、それ以上の義務を命しているわけでございまして、一項の趣旨を受けて二項におきましては、金額を区分して取引するだけではなくて、さらに「物品税額ヲ記載シタル其ノ販売ノ事実ヲ証スル書類ヲ当該物品ノ購入者に交付スベシ」ということにいたしてありまして、一項の趣旨を具体的に明らかにするような方法を講じさせるというのが、第二項でございます。第三項はさらに物品に対して、一定の場合に物品税額をはつきり表示しなければならないという規定を設けておるのでございましてこれらの規定によりまして、本来の対価のほかに取引上物品税というものをはつきりさせまして、この税の性質が、経済的にあくまでも消費者が負担すべきものであるということをはつきりさせよう、こういう趣旨から全体を一貫して条文を書いているということで、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/81
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082・小山長規
○小山委員 私がこの質問をしますのは、この十六条の四の第四項には「前二項ノ規定ハ」云々と書いてありまして、第一項の「取引ノ決済ヲ為サントスルトキハ」という場合には、第四項に書いてある「一個又ハ一組二付一万円」以下というものが除外されている。従つて取引の決済をしようとするときには、一円のものでも十円のものでも、すべて区分しなければならぬというふうに書いてあるので、徴税当局がこれを適用する場合に非常に煩雑なこことになりはしないか。これを聞いておるわけであります。この第十六条の四の第一項にはただ「区分シテ之ヲ為スベシ」と書いてあるだけであつて、別にその区分の方法については何も書いてないけれども、しかし実際問題として徴税当局が、取引の決済をなさんとするときには、ありとあらゆる場合にこれをすべて区分しなければならぬ、こういうことを強行するといたしますと、非常な混乱が起りはしないか。従つて「取引ノ決済ヲ為サントスルトキ」ということと、第二項以下の「物品ヲ販売シタルトキ」、あるいは「販売セムトスル」ということの意味がはつきりしていないと、いろいろなトラブルが起つて来はしないだろうか。そういう前提で聞いているわけでありますが、「販売シタルトキ」というのと「取引ノ決済ヲ為サントスルトキ」というのはどう違うのかということが一つと、第一項については、一円のものでも十円のものでも、つまり一万円以下のものであつても全部これを区別しなければならぬのか。これを聞いておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/82
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083・平田敬一郎
○平田政府委員 ごもつともなお尋ねでございますが、先ほど申し上げましたように、第一項の場合は、一般的に第二項、第三項の前提といたしまして、取引の決済をする際にはつきりわける。わけなければ第二項、第三項みたいなことも実はむずかしくなるわけでございますので、いわば原則論といたしまして、このような規定を設けておるのでございます。もちろん「区分シテ之ヲ為スベシ」ということだけでございますので、それだけのことから、ただちにいろいろな書類をつくれとか、あるいはどうすべしということまでは言つていないのでありますが、三条の二の一項の趣旨を追いまして、取引上もはつきりわけてせよ。それをさらに受けまして今度は二項、三項で一定の場合においては書類を相手方に交付しなければならぬ。また物品にも物品税額をはつきり表示しなければならないというような次第でございますが、どちらかと申しますと、実際上はつきり実効が出て参りますのは二項、三項でございまして、一項はその原則論を示しているにすぎない、こういうように御了解願つてさしつかえないじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/83
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084・小山長規
○小山委員 第十六条の四の第一項というのは必要な規定なのでありますか。第二項と第三項と第四項だけでいいのではないのですか。なぜ第一項を置かなければならぬかということが一つと、それからこう書いてある場合に「区別シテ之ヲ為スベシ」というのは、たとえば書類の方で必ず金額その他を表示しなければならぬ、こういうことを強制しているのか。またこれをしない場合には何か罰則があるのか。その辺もひとつ聞いておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/84
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085・平田敬一郎
○平田政府委員 第一項の規定は、この規定がありますから書類その他ではつきり区別して、なしたことを明瞭にしておけということまでは、実は一項にはいたしていないのでありまして、そういうことをはつきりせしむべき事項としましては二項、三項でございます。これはいろいろな方法でとにかく区分してさえおけばいい。しかし区分しなければ二項、三項のような規定が置きがたいということになりますので、一項のような規定を包括的に置いた方が妥当である。こういう考え方からしまして、この規定を設けておるような次第でございます。なお罰則の点につきましては、今申し上げましたように、この改正自体が物品税の性質をはつきりさせればいいというものでございますので、特別に第十六条の四の各条項に対しまして、罰則をもつて制裁を加えるということにはいたしておりません。物品税の性質を明らかにするために、このような措置をとるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/85
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086・小山長規
○小山委員 物品を販売しておるときには「販売ノ事実ヲ証スル書類ヲ当該物品ノ購入者ニ交付」しなければならぬということが第二項に書いてある。それから販売せんとする場合、また販売しないでも、販売せんとして戸だなに飾つてある場合には、物品税額を表示しなければならぬというようなことが書いてある。しかもその前に第一項で「取引ノ決済ヲ為サントスルトキハ」これを区分しなければならぬと書いてあると、いかにもこの第一項が独立して生きて来るような感じがするのであります。第一項がほんとうに必要なのか。この第一項がなくたつて、二項と三項だけで用が足りるのではないかと思うのに、第一項を置いておる。そして取引の決済をするときには、全部区分しなければならぬのだというふうに、徴税当局がどんどんこの方から攻めつけて行くと、非常な混乱が起りはしないかというのが心配なのでありますが、ただいまの御説明では、第一項はただ原則を示しているだけだからというので、軽く片づけられているけれども、将来この一項が相当威力を増して来るのではないかというのが、私の心配なのであります。第一項はどうしても必要なのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/86
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087・平田敬一郎
○平田政府委員 これもやはり二項、三項ではつきり「物品税額ヲ記載シタル其ノ販売ノ事実ヲ証スル書類ヲ」交付したり、あるいは「徴収セラルベキ物品税額ヲ表示」する義務を命ずるということになりますと、やはり一項みたいなことを一般的に義務づけた方が妥当である、そのように考える次第であります。一般的に物品税の性質を第三条の二のように規定いたした場合におきましては、取引される場合、第十六条の四の一項のような趣旨で取引が行われるということが、当然理由のあるところでありまして、条文はもちろん置いた方がいいというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/87
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088・小山長規
○小山委員 第二項と第三項については、第四項で一万円以下のものという制限があるからまだいいのでありますが、第一項は金額の制限がないが、これは強制する意思はないのであるというように了解してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/88
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089・平田敬一郎
○平田政府委員 罰則を用いまして強制するという考えはないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/89
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090・小山長規
○小山委員 それでは第四項で、これは政令ではありませんで、一般的にあるようでありますが、一個又ハ一組二付一万二満タザルモノニ付テハ之ヲ」除外することとし、「第一種ノ物品ニシテ其ノ性質、形状等二依リ一個又ハ一組ヲ以テ取引ノ単位ト為シ難キモノ及第二種ノ物品ニ付テハ」これは命令で除外すると書いてありますが、この第一種物品で第二項、第三項の適用を除外しようと考えておられるものは、どういうものでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/90
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091・平田敬一郎
○平田政府委員 お手元に物品税法施行規則の一部を改正する政令案要綱を配付することにいたしておりますが、簡単に御説明申し上げますと、まず物品税額の表示は、「物品税課税物品で製造場から移出される時の価格が一個又は一組につき一万円以上のもの」の場合に、区分して表示しなければならないという規定を設ける考えでございます。それから、「第一種の物品で一個又は一組をもつて取引の単位とすることが困難なもの及び第二種の物品に対する物品税額の表示並びに販売証書の交付」、これにつきましては、一回の販売金額が一万円以上の場合に限りまして、同様な方法をやつてもらうという考えでございます。なお、「一個又は一組」という観念で律しがたいものにつきましては、たとえばグルタミン酸ソーダを主成分とする調味料につきましては、百グラムにつき五百円を越えるものにつきまして、同じような法律で設けました義務を課しよう、それ以下のものについては義務を課さないということにいたしたいということです。これは、政令案要綱としまして後ほどすぐお配りいたしますから、それによつてよく御審査願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/91
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092・小山長規
○小山委員 第三項の物品税額の表示は一体どういう方法でやらせるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/92
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093・泉美之松
○泉政府委員 お答えいたします。表示の方法といたしましては、一定の証紙をつくるとか、あるいは一定の規格のものをつくるということは、別段考えておりません。要するに、物品の価格と物品税額とが、区別して表示されればいいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/93
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094・小山長規
○小山委員 政令案要綱でいずれ出て来るでありましようが、この一個または一組一万円以上のものというものの、物品税の法律の対象になるものは、今のお話によると相当たくさんあるような感じがするのでありますが、そんなにたくさんこの適用になるものがあるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/94
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095・泉美之松
○泉政府委員 一個または一組の取引価格が一万円を越えるものは、そうたくさんございません。きわめて大きな家具とか写真機、楽器等に適用があるかと思いますが、適用になる物品はそう多くないものと思います。それから先ほどお話がございました一個または一組をもつて取引の単位といたしがたいというのは、一回の購入と申しますか、一回の販売金額が一万円に満たないものにつきましては、政令におきまして適用しないということにしたいと考えておりますので、その方も一回一万円を越えるような取引は、まずそうあまりなかろうと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/95
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096・三宅則義
○三宅(則)委員 ただいま議題となりました物品税法の一部を改正する法律案につきまして、平田さんと高橋さんにお尋ねいたします。
最初に平田さんにお伺いいたします。物品税は御承知の通り消費者課税である。これは当然のことでありまするが、今度は卸売では代行しない。いわゆる消費者に持つて行つてやろうという御構想でありましようか。いわゆる外国品だけに限つて、こういうふうに物品税というものは消費者が負担するのでありますから、ここではとらない、こういう意味合いに解釈してよろしゆうございますか。今後の物品税に関する政策について、参考のために伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/96
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097・平田敬一郎
○平田政府委員 物品税は私ども前々から申し上げておりまするように、三条の二に今回新しく規定を設けましたけれども、これは従来の物品税に対する私どもの考え方を書いたものではございません。また物品税に対する私どもの考え方をはつきりさせまして、法律上規定しまして米国の関税の適用上、遺憾なきを期しました。こういう意味であります。物品税はあくまでも建前といたしましては消費者が負担すべきものだ、従つて奢侈品には課税し、必需品的性質の強いものには課税とない。またどつちかというと、奢侈性の低いものについては税率を低くするということにいたしまして、要するに消費する購入者の担税力いかんということを、中心に考えておるのでございます。その点は今回におきましてもかわりございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/97
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098・三宅則義
○三宅(則)委員 ただいまの主税局長のお話でございまするが、これに関連いたしまして、なおわが国の中には不公平だと言われる点があるわけでございまして、次の十二月十日から召集せられる第十三通常国会におきましては、大蔵大臣も出すような構想であるということを言つておられましたが、事務当局といたしまして考えておられますか。今後の構想を承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/98
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099・平田敬一郎
○平田政府委員 物品税の改正につきましては、先般三宅さんにお答えしてあると思いますが、今の情勢でございますと、今まで二度にわたりまして物品税に相当の減税をいたして参りましたが、どうも減税ということは、二十七年度におきましては困難であろうという見通しでございます。しからば物品税について全然かえないかということでございますと、私どもはいろいろな見地から考えまして、妥当な法律案をつくるということはわれわれ商売でございますから、大いに研究いたしましていい案をつくりたいと思つておりますが、今まだ具体的な段階にはなつていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/99
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100・三宅則義
○三宅(則)委員 国税庁長官にお伺いいたしますが、物品税に対する実際上の取扱いといたしまして、私どもは物品にいわゆる収入印紙、あるいは証紙を張りますことは当然であろうと思う。ところが物品税を納めたものも納めないものも、市場においてはほとんどわからなくて、その判別に苦しむ。こういう事柄は事務当局といたしまして、物品に対する親切心が欠けておる、こういうふうに私どもは解釈する。でありますから、物品税を納めたものに対しましては、物品税を確かに納めたということを証明する書類、たとえば判を押すとか収入印紙を張るとか、その他の方法をもつて、これを厳格に区分する必要があると思うのでありますが、これに対して国税庁長官はどういうふうに考えておられますか、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/100
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101・高橋衛
○高橋政府委員 ただいま物品税が課税された場合に、その課税された事実を証明する、あるいは表示をすることがいいではないかという御意見でございますが、これは課税せられるものの種類によりまして、技術的になかなか困難のものもございますし、また手続上も相当煩瑣になるという面もございますので、現在物品税の表示の制度を用いておる範囲が、大体私どもは妥当な範囲じやなかろうかというふうに考えておる次第であります。
なお今後その範囲を拡大したり、あるいは縮小するというような点につきましては、絶えず実情とにらみ合せまして研究を進めて行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/101
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102・三宅則義
○三宅(則)委員 もちろん零細なる商品等については困難かと存じますが、高級品もしくは相当な価格品につきましては、これは当然何らかの方法をもつて、物品税を納めたということを証紙で証明する、こういうことが当然考えられるべきものと私どもは思うのであります。零細なものにつきましては、これは問題でありませんが、相当高価なもの、需要価値の多いもので、物品税を払つたことを証明し得る段階のあるものがあろうかと思いますが、これらに対する御構想を今お持ちでありませんか。将来ともお考えでありませんか。この点を伺つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/102
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103・高橋衛
○高橋政府委員 ただいまお話になりましたように、技術上そうめんどうでない、またそれらの表示が確実になし得るというものにつきましては、私どもといたしましても、そういうような方向に向うことが適当であろうというふうに考えまして、研究いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/103
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104・三宅則義
○三宅(則)委員 重要な問題を午前中伺いましたのですが、高橋長官がおいでになりませんでしたから、長官にあらためて特にお聞きとり願いたいと思います。物品税は、商人あるいは製造業者に対しましてはなはだ言い過ぎかもしれませんが、全部が全部納めておりません。おそらく半分以下であろうということが言われておる。これは通例に言われている商人のことでありまして、中には正直な人もおりますが、大部分は不正直である、こういうことがあるわけであります。いわゆる小さい種類のもの等につきましては、だんだん物品税がはずれて参りましたから、このごろ残つておりますものは相当需要価値のあるもの、こういうふうに私どもは考えるわけでありまするが、これらの物品税につきましては、相当下の官吏の方を督励いたされまして、そうした見のがしがあまりたくさんないようにせられたい。半分以下が物品税を納めておつて、半分以上が納めていないと世間で言われておる。正当なる納税をいたしておる者がばかを見て、こそこそやつております者が物品税をごまかして利益をいたしておる。こういう事実があるわけですから、こういうものにつきましては、むしろ全般的に税務行政を円滑にいたしますためにも、各官庁あるいは税務署等を督励いたされまして業者等を精細に調べて、たとい裏だなでやつておりましても、物品税に対しましてはこれをかけるという線を堅持することこそ、国税庁長官の責任であると思いまするが、これに対しまして長官の御感想を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/104
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105・高橋衛
○高橋政府委員 ただいま三宅委員の御指摘の通り、終戦直後におきましては物品税の税率があまりに高いということ、またいま一つは経済が混乱いたしました関係上、取締りも十分行かなかつたというふうな事柄のために、物品税が十分に充実した課税ができなかつたという点は、率直に認めざるを得ないと思います。しかしながら昨年、一昨年と次々に相当大幅な減税をいたしておりまして、税率の引下げもでき上りましたので、現状におきましては、私どもは物品税の課税は相当に充実して来ているというふうに見ておるのであります。一つの一般的な例を申し上げますと、以前は物品税のこまかい技術的な解釈等については、それほど問題にならなかつた。と申しますのは、そういうふうなきわめてわずかな部分については、問題にしなくてもいいくらいにルーズに考えておつたのでありますが、最近はたとえば製造場から引取る、庫出しをするときの時価というものの解釈等につきまして、非常にむずかしいこまかい問題が出て参りまして、それらの問題について一々決定を進めて行くというふうになつて参りまして、これは納税者も非常に厳格に解釈して、そうして法律の通り的確に適用して行くということを、衷心考えるようになられた結果として、そういうふうな問題がだんだん出て来たというふうに、私ども解釈いたしておるのであります。もちろん非常に多数の納税者の中には、絶対漏れがないというようなことは、とうてい言い得ないのでございますが、しかしながら全体としての感覚から申しますと、非常に課税が充実して来た、そうして税法上の公正が保ち得るようになつて来たというふうに、私どもは見ておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/105
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106・三宅則義
○三宅(則)委員 ただいま高橋長官の率直な御答弁でありましたが、私は税務行政運用上、たとえて言うと法人は法人、直税は直税、あるいは個人は個人、所得税は所得税ということになつておりますが、やはりもち屋はもち屋でありましようが、人事の交流、たとえて言うと間税の方をやつておりますと、二年たつたら直税の方に行く、直税の方をやつて間税の方に行く、そうしてすべての税務行政が円滑に行くように、各係官等をたまに交流して、全般的に税務行政を円滑にいたしたい、こういうことによつて、常識ある判断のもとに税務行政が運行せられる、かように考えておりますが、長官は今自分の部下を監督し、もしくは行政を行う上において、どういう構想を持つておられますか、この際承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/106
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107・高橋衛
○高橋政府委員 税務官吏が若くて経験が浅い今日におきましては、でき得るだけ一つの事柄に習熟せしめまして、能率を増進することが、現在の状態においては妥当であるというふうに考えておるのであります。もちろんそれぞれ仕事の相互についてこういうものをというようなことがあれば、ある程度はやつて行きたいというふうに考えておりますが、現在の建前といたしましては、私は実は今まで定員が、各署ごとに相当納税者の数等が変動いたしますことからいたしまして、異動せざるを得ない。また新しく協議団の制度ができましたり、いろいろな制度ができます等のために、人事の異動をせざるを得ないというふうな事情はございましたが、どうも率直に反省してみますと、人事の異動がはげし過ぎる。むしろもう少しおちついて、同じ場所におつて同じ仕事について、相当に習熟して行くということが正しいのであるというふうな観点からいたしまして、そういうふうな方針に従つて人事の異動もいたしたいと考えるのであります。しこうして米国におきましても、納税者にいかに手数をかけしめないかという意味におきまして、いやしくも国税に関する限り、一つの納税者に対して一人の税務官吏が行つて全部調査をする。そうして納税者の手数をできるだけ省くというふうな試みを、ある一つの税務署についてやつてみたことがあるのでございますが、これはどうしても、たとえば二十年とかいうふうな長年の経験を有し、しかも各税を経験した人が相当多数おるのでなければ、とうてい不可能でございます。従つてアメリカにおいても、それはとうてい不可能であるという結論が出たようでございます。私どもとしましては、さしあたり何とかして全体の能率を増進するという事柄に、中心を置いて考えて行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/107
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108・三宅則義
○三宅(則)委員 ただいまの御説明でよくわかりましたが、私の意見をちよつと申しまするから、御参考にお聞取り願いたいと存ずるのであります。御承知の通り専門々々に、法人は法人、個人は個人、物品税は物品税というふうに細別せられることもけつこうでありましようが、やはり上に立つ人、たとえば課長になりあるいは署長になるという人に対しましては、法人は法人だけしておつてもいけませんから、やはりたまには、二、三年目には一応他の部署にもつかしめるということも必要であろう、かように思うのでありまして、そういうような税務行政についても、もちろん必要あるたびごとに交流していただきたい。次は法人個人を問わず、国家がきめました税法、税の執行血について、地方税をもつてこれを検討いたしますと、直税の徴収とは別々に今やる建前になつております。ところが実際論からいたしますと、国税を調べた税務署の方が大体において正しい。地方税の方は大体において幼稚であり、経験が足らない。そういう意味合いにおきまして、どうしても私どもは国税に依存するということが中心であらねばならぬと考えておりますが、現在各税務署等においても国税を中心に税務署の調べたものを、地方の税務事務所、いわゆる区役所等々がこれを利用しておると思いますが、これに対しますところの交流といいますか、調査資料の交換といいますか、こういう面についてはどういうふうにやつておられますか、承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/108
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109・高橋衛
○高橋政府委員 現在特に事業税に関しましては、その基本が所得というふうに相なつております。しこうしてその所得の調査は、国の税務署がやる事業税の基本になるところのものの調査は、建前上は府県がやるということに相なつております。しかしながらどうしても国税の方の調査しました結果というものが、相当大きな重要性を持ちまするので、地方庁から求めがありましたとき、または協力を求められたときは、それぞれできるだけ協力申し上げるという考え方を持つております。もちろんその資料をお使いになるならぬは別として、とにかく協力を求められたときには、できるだけ協力するという建前をとつておる次第であります。しかして地方税のために御調査になつた資料というものを、国税でどの程度利用しておるかという点になりますと、私どもはできるだけそれもいただきまして、そうして国税の調査の適正を期するという参考にいたしたいと考えておりますが、またそういうふうに御協力を願つておる向きも相当あるのでございますが、全体として全面的に交流が行われておるという状態にはなつていないというふうに思つております。
〔委員長退席、小山委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/109
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110・三宅則義
○三宅(則)委員 今高橋長官のお話でございますが、これは重大な問題がもう一つあるわけでして、実は行政整理等につきまして、税務官吏が多少動揺しておるということを聞いておる。われわれは徴税面を円滑ならしむるために、練達堪能な税務官吏を利用いたしまして、大いに公平な税負担に貢献してもらいたい、こういう考えを持つておるのであります。もちろん中には弱少にして、経験の足らぬ未熟な者もありまして、そういう将来とも税務官吏として適当でないものは、すみやかにやめてもらわなければならぬのでありますが、練達堪能の士は今しばらく置いてもらつて、税務行政に貢献してもらわなければならぬ、かように考えておるのでありますが、部下を督励し監督せられる上において、どういうふうに将来税務行政を円滑にやられるお身持でありますか。この際行政整理等を勘案して、御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/110
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111・高橋衛
○高橋政府委員 今回の定員法の改正案によりますと、税務署におきまして、一万二百八十人だけ減員ということに相なつておるようであります。私どもはもちろん税務官の数が多い方が、調査が充実するという点については、これは何にしても異論のないところであろうと思います。しかしながら、申告納税の建前からいたしまして、どの程度がいいかということは非常にきめにくい問題であります。米国におきましては、納税者のわずか四%しか調査ができていない、しかもそれで適当であるというふうな、大体判断をいたしておるのであります。日本におきましては、大体二割程度の掘り下げた調査ができる程度だと思うのでありますが、その他について、もちろん基本に関する調査はいたしております。ほんとうの掘り下げた調査は二割程度かと思うのでありますが、大体将来だんだん納税者の協力を得られるような状況になつて参つておりますし、従つてこの程度の人員の整理であるならば、現在の税務行政を少しずつでも今後も改善して行けるのではないかというふうに、期待をしておるのであります。しこうして整理の際において、非常に練達堪能な優秀な者が、もしも整理されるということになれば、これは税務行政の将来に非常に暗影を残すということになるという点は、御説の通りでございますが、私どもといたしましては、希望退職せられる方につきましては、そういう人といえどもあえて引きとめるということは、相当無理じやなかろうかというふうに考えております。しかしながらこちらからぜひやめていただきたいというふうな場合におきましては、やはりそういうふうな方じやなしに、どつちかと申しますと、能率の悪いと申しますか、またはその他何か事故のあるような人という方が先にやめていただくことになるというふうに考えているのであります。もちろん一万二百八十名と申しましても、現在すでに相当に欠員、長期欠勤者もございますし、またこれだけ大きい世帯でございますので、月々四百五十名程度の自然減員がございます。従つて来年の六月末という期限をとつて考えますると、実際におやめを願わなければならぬという人の数は、それほど多くはないというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/111
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112・三宅則義
○三宅(則)委員 私は前国会、前々国会等において、優良なる官吏は表彰してやれ、悪徳官吏はすぐ退職せしめよ、こういうことをたびたび叫んで参りまして、幸いにごの事柄がだんだんと実現して、たとえば本年六月には永年無事故の経験者には、大臣賞あるいは長官賞というような表彰をせられたと聞いておりますが、これはまことにけつこうな話であります。今後も優良なる官吏につきましては、相当表彰せられると同時に、また納税者の中にも相当りつばな人があると私は思つておるのでありまするが、そういう者も各税務署等において調べて、りつぱな人であり、相当われわれの尊敬すべきような納税者に対しましては、表彰してやる必要がある。官吏だけ表彰してもだめだ。納税者をも表彰いたしまして、大いに納税の高揚をいたしたい、かように考えておりまするが、長官はどういうふうに御構想を持つて運営せられるか承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/112
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113・小山長規
○小山委員長代理 簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/113
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114・高橋衛
○高橋政府委員 本年の四月に納税表彰規程というのを私の方でつくりました。その規定に基きまして、今月の一日に大蔵大臣から納税に功績のあつた方、これは団体、村でございますけれども、三箇村を表彰いたしました。同時に同日長官の名前をもちまして五箇村を表彰いたしました。その下の方につきましては、たとえば完納の年数がそれより幾分少いというふうな方々、また個人として非常に優秀な功績のあつた方々につきましては、それぞれ各局長または署長の段階において、表彰いたしておるのであります。本日も実は午前お伺いできませんでしたのは、東京局で納税の表彰式が十一時からありましたので、その方に出席いたしましたために、こちらに失礼いたしましたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/114
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115・高間松吉
○高間委員 高橋長官にひとつだけお伺いしたいのですが、本国会では物品税の問題が少かつたので、お伺いする機会がなかつたわけであります。小さい問題でありますけれども、私どもの方にたくさん花火を職業としております者があるのであります。そこで花火の物品税の点については、爆発したところが花火であるか、製造したところが花火であるか、そこのところをひとつお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/115
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116・高橋衛
○高橋政府委員 御承知の通り物品税はすべて製造場から倉出しをする際、引取る際の時価ということに相なつております。従つて製造されて倉から出す場合が、物品税の課税をされる対象になるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/116
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117・高間松吉
○高間委員 そうしますと、現在私の方で物品税を徴収しております税対象は、爆発したところでとつております。一つの花火が爆発してこれが三百円なら三百円についてとつております。そうすると非常な危険を伴う商品ですから、つい先々月でありましたか、一軒の花火屋が事故を起しまして、四つになる子供と八つになる子供がはねられて、全然形がなくなつてしまつた。その主人は三日ばかり生きておりましたけれども、死んでしまいました。そこでいろいろ花火屋から事情を聞きますと、爆発した花火は一個三百円ぐらいが最低だつたと聞いております。そこでこしらえた花火は爆発物ですからごく安いものです。一つ五十円か六十円で張り上げてできるのだそうです。その花火の税対象は、一個爆発させて三百円に該当するその三百円の対象で物品税をとられておる。それから私は花火屋に向つて、あんなものは花火をはねさせてしまつて、跡片もなくなるのだから、そんなばかな税金のとり方はしないだろうと言つたのですけれども、あの花火ばかりは、黒玉でもなんでも、音がしただけをちやんと税務署で数えておつて、本年の花火はどこのところへ行つて何発揚げたといつて、どうしてもごまかしがきかない、こう言つております。ですから、各地の税務署でも爆発したところでとつておると私は考えるのです。爆発したところでとつているとしますと、あれだけ危険な商売ですから、打揚料というものを差引いてなくてはならぬと私は考えるのです。ですから六十円でこしらえた花火を、自分で火薬を持つて行つて打揚げて三百円とつて来ても、危険料というものは全然加味されておらない。全部そのまま物品税の対象になつておるというのが事実らしいのです。そこで、こしらえたところだけが物品税の対象になるのだとするならば、国税庁長官の方から各税務署に向つて、早急に花火は製造したところの額を物品税の対象にしろということを通達していただくことが、お約束していただけるかどうかということだけお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/117
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118・高橋衛
○高橋政府委員 ただいま爆発したときに課税するというお話でございますが、おそらくは不良品等がありまして、爆発しないというようなことがありますと、これは商品として、もどし税と申しますか、そういうような観念に該当するのであつて、要するに税の的確な把握をするために、爆発したものを大体標準にしたということじやないかと思います。価額については、どこまでも物品税は製造場を出すときの時価ということに相なつております。それに従つて課税をするように、なお調査をいたしました上適正な処置をとりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/118
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119・奧村又十郎
○奧村委員 私は午前中から引続いて申告所得税の不成績について、お尋ねをしておるわけであります。幸い政府の方から、要求した資料が配付されたのでありますが、残念ながらこれは同僚諸君に全部配付するほどありませんので、一つ一つ数字をお尋ねしてから、その上で質疑をいたしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/119
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120・淺香忠雄
○淺香委員 議事進行。奥村委員の午前中の要求に対して、午後資料を出すというお約束でありましたのに、出されたものは奥村委員だけにしか渡つておらない。これは私ども委員といたしまして迷惑もはなはだしいと思うのでありますから、さつそく印刷して全委員に渡るように願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/120
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121・小山長規
○小山委員長代理 ただいまの淺香君の御発言はごもつともでありますから、至急資料をととのえて全員に配付されるようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/121
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122・奧村又十郎
○奧村委員 お尋ねいたしますが、申告所得税の徴収決定額、これは予定申告によつてはつきりしておることと思いますが、ただいまの決定額は幾らになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/122
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123・高橋衛
○高橋政府委員 七月の予定申告の決定額は五百十四億一百万円と相なつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/123
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124・奧村又十郎
○奧村委員 それではただいま国会で審議中の本年度の申告新得税の税収決定額、つまり徴収決定額は幾らと見積られておるか。それは主税局の方で言うてもろうてもけつこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/124
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125・泉美之松
○泉政府委員 お答えいたします。さきにお配りいたしました二十六年度租税及び印紙収入補正予算の説明書の十ページにございます。本年度課税額といたしましては千四十七億五千八百万円を予定して予算に組んでおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/125
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126・奧村又十郎
○奧村委員 それは予算の見積額であつて、私のお尋ねしたのは、徴収決定り見込額から収入歩合をかけて収入見積額が出るのであつて、その徴収決定額です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/126
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127・泉美之松
○泉政府委員 申し上げます。賦課額といたしましては当年分につきまして千四十七億五千八百万円でございます。これに収入歩合を乗じまして、当年度の収入見込額として八百九億三千七百万円を見込みまして、二十五年度から繰越されまして更正決定される金額が七十八億六千九百万円、そのうち収入見込額は四十八億四千万円、この金額とそれから過年度の繰越し滞納額の四百七十二億七千百万円のうち、本年内収入見込額百六十四億四千四百万円、この八百九億三千七百万円と四十八億四千万円と百六十四億四千四百万円とを合計いたしまして、当年度の収入見込額千二十二億二千百万円という予算を計上しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/127
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128・奧村又十郎
○奧村委員 それでわかりました。ただいまの御説明は、これは今国会で審議中の税法改正案が通過したものとしての見込額、これでありますからわかりました。そういたしますと、ただいま国税庁長官のお述べになつた五百十四億の予定申告の決定額は、これは税法が改正になればもつと減る、こういうことになるわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/128
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129・高橋衛
○高橋政府委員 お話の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/129
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130・奧村又十郎
○奧村委員 そこで実際今日までに申告所得税の収入済み金額は幾らになりますか。本年度分の収入済み金額をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/130
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131・高橋衛
○高橋政府委員 十一月十日までの申告所得税の収入総額が二百十三億六千九百万円であります。そのうち繰越分の収入に属するものがございますので、それを差引きますと、本年度分といたしましては百五十八億六千四百万円と相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/131
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132・奧村又十郎
○奧村委員 これははなはだ過小な金額であつて、昨年度と比べてもはなはだ少い。昨年度に収入金額が三百七十五億、本年度は二百十三億、これはどういうわけでこれほど少くなつたのか。もちろん農業所得の申告については、これは七月の所定申告がなくなつたから少くなつたというのはわかるが、農業の予定申告にしたつてこれは総額で約八、九十億である。従つてこれは農業を除いた分にとつて対照してみても、昨年よりも収入金額が少い。これはどういうわけであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/132
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133・高橋衛
○高橋政府委員 これはただいまの御質問に御説明申し上げるためには、七月の予定申告が五百十四億という数字をお話申し上げる方がおわかりやすいかと存じますが、御承知の通り現在の税法におきましては、前年の所得金額に対して新しい税率をかけたところの税額の三分の一を、七月に納めればよろしいということに相なつております。従つて予定申告は前年の所得金額だけを申告すれば、更正決定を受けないという建前に相なつておるのであります。しかして私どもといたしましては、できるだけ前年の金額ということではなしに今年の予定を立てて、そうしてそれについての申告をしていただきたいというふうに考えておりまするが、納税者といたしましてはどうしても前年の所得金額一ぱい一ぱいということで、お出しになるところがほとんど大部分であります。従つてこういうふうに二十六年度におきましては、減税の効果がフルに出て来ました場合におきましては、五百十四億というような数字に相なつたのであります。ところが最近いろいろと生産の増加の割合とか、または物価の上昇、それがそれぞれ所得の増加に影響して参るのであります。そういうような所得の増加に影響する因子が相当多いのでございますが、それらの一つの端的な実例として青色申告の方約百二、三十名の方につきまして、これは各業種を通じて、いろいろ標準的な場合と思われる人の帳簿の今までの実績を、報告してもらつておるのがあるのでありますが、それによりますると、大体昨年の所得に対して七割くらい増に相なつているのであります。もちろんこれはこれをもつて全般を推して行くというふうな考え方はとつておるのではありませんが、一つの例として申し上げますと、そういうふうに所得が相当大きく伸びて来た。従つて確定申告の際におきましては、これは前年の所得金額ではございませんで、今年の一月から十二月までの実際の所得金額というものの申告を、お願いしなければならぬことになるが、その際におきましては相当増加したところの所得金額の申告であります。従つて税率は相当うんと下げられましたけれども、所得税は御承知の通り累進税率になつておりますので、所得がたとえば二割増しますと、税額においては五割増すというようなことに相なりますために、上げました通り、あの程度の課税見込額は得られるのじやないかというように考えているのであります。しかして今年なぜしからば今までの収入済み額が、昨年は百九十七億でありまして本年は百五十八億しか入つておらないか。これはいずれも年度分の数字であるということを申し上げますと、そういうふうな七月の予定申告の金額自体が、非常に低いというようなことからいたしまして、こういうような結果を来しているのであります。しかして七月の納期到来の分に対して、今年はどういうふうな状況にあるかと申しますと、そこの下の方に説明をつけておりまするが、納期到来分に対しましては、大体法定通知をいたしましたものを含めまして、今年は八一%だけ収入済みに相なつているのであります。それが昨年は四四・五%でありますので、昨年よりは収入の状況はむしろ上つている。成績がよくなつている。これは基本になる税額自体が非常に少いのでありますから、これをもつて何もいいとか悪いとかいうほどの問題ではございませんが、とにかく納期の到来したものにつきましては、ある程度こういうようによくなつているということを申し上げておきます。
なお昨年と本年と違います一つの点は、昨年は農業に関しましては十一月末が納期でございましたが、農業以外の所得税につきましては、第二期の納期を十月末にいたしておつたのでありますが、本年はそれを一律に十一月末という納期にいたしておりますので、その点も十一月末現在の数字には、ある程度影響しておるというふうに考えておる次第であります。
なお昨年と本年と違います一つの点は、昨年は農業に関しましては十一月末が納期でございましたが、農業以外の所得税につきましては、第二期の納期を十月末にいたしておつたのでありますが、本年はそれを一律に十一月末という納期にいたしておりますので、その点も十一月末現在の数字には、ある程度影響しておるというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/133
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134・奧村又十郎
○奧村委員 納期の来た分については歩合が非常にいいということは、午前中も徴収部長が非常に言うておられた。しかしその徴収の決定額が非常に減つておるのであるからして、歩合がよくなるのは当然でありますのと、それから納期が十月であるものが十一月に延びた。これが相当ものを言うておるのじやないかと思うのであります。そこで十一月末に第二期分が納入される。それで約三分の一でありますから、百七、八十億、二百億近く入るといたしまして、合計して来年の確定申告の時期までに約四百億の申告所得税が入る。そうすると来年の確定申告の時期には、予算通りにとろうとすれば、約六百億以上の金を、申告所得税だけで一気にとらなければならぬというような現象が生ずると思うのですが、そういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/134
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135・高橋衛
○高橋政府委員 御意見の通りであります。このことが実は私どもも非常に苦にしておる点でございまして、予定申告は前年の実績まで出せばよいという規定にはなつておりますけれども、一応予定申告という形で申告をされて、そうして免税額をはじいておられますと、勢いこれで大体いいのじやないだろうかというふうな感じを持たれやすいものであります。従つていざ確定申告の際に、実際の所得金額をはじいてみまして、税額が非常に多いということに驚かれるという方が必ずあり得るということを、私どもは非常に心配いたしております。またそういうように固まりますと、なかなか納税がしにくいということになる。これは自然でありますから、そういうふうな事柄を十分に私どもも予想いたしまして、所得がこの程度上ればこの程度税がふえるのでありますということを、今日から何とかして納税者の皆さん方によくおわかり願うように、たとえば広報関係の方面を通じ、各方面を通じまして、実はあらゆる努力を傾倒いたしておるのであります。また一方におきまして、今春、納税貯蓄組合法を国会で御制定に相なつたのでありますが、これをできるだけ推進いたしまして、あらかじめ準備をしていただくということについても、非常な力を入れておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/135
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136・奧村又十郎
○奧村委員 五百十四億の予定申告の税額は、前年度の実績で行つておるのだから、これはやむを得ぬということでありますが、前年度の徴収決定額は約八百数十億、それが五百十四億に減つたということになると、税法上の減税の措置もあるが、相当減額承認の制度によつて減額しておるのじやないか。この減額承認の制度によつて減額を認めたことによつての申告額の減額は、どれくらいになつておるのか。——まだ資料が十分整つておらないようですが、しかしこれは午前中もちよつとお願いしたのです。大体申告所得税の不成績ということは、これは国会においても相当大きく取上げられておる。また国税庁においても相当御検討になつておると思う。それについては、その程度のことはすでにもう資料が整つておるはずだと思うので、あとから御答弁を願います。
そこで実はいろいろ御質問があるのでありますが、時間の関係もありますし、要点だけ進めて行きたいと思います。この年度末の確定申告の時期に、六百億という申告所得税を一気にとらなければならぬということは、私は相当大きな問題になると思う。しかしここに追い込まれたということは、現行の税法にも欠陥がある。これについては国税庁も大いに主税局を督励して、税法に欠陥があれば、税法改正にも進んで行かなければならぬと思うのですが、現行税法からいつてどういう処置をなされるか。いろいろ広報課を通じて宣伝するとか、納税貯蓄運動をやるとかいうこともけつこうでありますが、実際の課税の措置としてどういうことをなさるか。そこで長官のただいまの御答弁によりますと、青色申告の実績によると、大体昨年よりも七割程度所得がふえておるということであります。それと符節を一にするかどうか存じませんが、うわさによると、大阪国税局管内の税務署としては、昨年の六割増で所得を見積るのだということを、納税者にかなりはつきりとしやべつておられるということを承るのであるが、昨年の六割増で全国一律にかけるんだというふうな通達でも出されたのか。そういううわさの出る根拠が国税庁の方で何かあるのか、お尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/136
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137・高橋衛
○高橋政府委員 事前承認によるところの減額の金額は、きわめてわずかな金額であります。大勢に影響のない数字でありますから、後ほど調べまして御答弁申し上げたいと思います。
ただいま前年に対して六割増でもつてやつているのだといううわさが飛んでおるというお話でありますが、国税庁といたしましては、そういうふうな一律的なものの考え方は絶対にいたしておりません。すべて結果によつて判断をするという考え方でございまして、そういうふうな指導もいたしておりませんし、またむしろそういうふうな考え方になることを、非常に戒めておるのであります。それで、どうしてそういううわさが飛んだか、その火元はどこにあるかというお尋ねでございますが、私ども実は見当がつきませんけれども、各局に対していろいろな資料はどんどん流しております。たとえばただいまお話しました青色申告のこの程度の数のこの業種について、こういうふうに調べてみた結果が、これだけ出ているという数字もあり、または国税庁で直接調べたものもございます。これは数はわずかでございますが、ある程度好況に属すると思われるものについて、本庁の職員によつて直接調べてみたものがございますが、これなどはやはり二倍以上になつております。その他各局交換調査をやらせた実績もございます。それから各局で現在調査をしておりまするものにつきましては、前年と本年を必ず対比させて時々報告させておるのでありますが、各局のそれらの前年と今年の伸びのぐあいを数字に集めまして統計的なものにして、全国のものをそれぞれ各局にまた返してやつております。そういうふうに私どものところでできましたところの資料は、絶えず第一線にも送りまして、それぞれ地方ごとに特殊性があり状態が違いますけれども、大体こういうふうな種目については、この地方ではこんなふうであつたということは、知つて頭に入れておくということが、調査をいたしましたりその他をする場合に、重大な誤謬に陥らずに済むという観点から、資料としてそれぞれ第一線に送つているのであります。しかしそれが根本になつて、六割というふうな誤解が生れるというおそれはまずあるまいと思います。と申しますのは、そういうふうな出て来ました数字は、あるいは七割であり、二倍であり、あるいは低いところにおいては一割であつたり二割であつたり──これは対象の選択は標準的なものをとつているのではないのでございまして、現在は毎日の作業としてどんどん調査をしております結果を累積したものでありますから、従つて好況種目のみをとれば、ある場合には非常に高くなる。しからざるものをとれば、昨年とほとんど同様なものが出て来るというような状態でありますので、これはそういうふうに六判というふうな一律な数字が出ようはずはないと、私どもはむしろ考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/137
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138・奧村又十郎
○奧村委員 長官の御答弁はおそらくさようであろうと、実は予想しておつたのであります。しかし大阪方面においては、来年の確定申告においては一律に六割増しで税務署はぶつかけて来るらしい、それはどうも自由党内閣がやつておるのだ、それなら自由党は今度の選挙にはだめだというようなデマが、われわれの耳に伝わつておるので、どうかさようなことがないように、これは個々について十分お調べになつた上で適切にやつていただきたい。御存じの通り大阪国税局管内は、いわゆる努力目標というふうなことで水増し決定といいますか、天くだり式に努力目標を割当ててやつたということで、われわれ大蔵委員会もたびたび局に行て調べて、最近は非常に成績がよくなつたので、再びそういうことのないように希望をしておく次第であります。
それでは本筋にもどつてまたお尋ねいたしますが、昨年の確定申告における徴収決定額が八百億を越えておる。ところが本年度はその実績に基いての予定申告が三百億以上減つておる。うれは税法がかわつた、それから農業所得が入つておらぬということであるが、それにしても三百億減つておるということはどうもおかしい。減額承認がうんとあればともかくも、そうでないということを今長官がお話になつた。すると三百億も徴収決定額が減つたということはどういう理由に基くか。これはすでに御検討になつておると思いますので、その検討の結果をお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/138
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139・原純夫
○原(純)説明員 先ほどお尋ねの事前承認による減でありますが、約五十億見積つております。これは一々正確も計数は集めておりません。減りますのは所得額が減りますので、減つた分の税額が幾らになるかといいますと、その分は大体五十億、それから御存じの通り七月予定申告においては、経常的な所得のみ前年の実績でやる。たとえば前年度譲渡所得があつた分は落してよいということになつております。この分が二十億余りあるであろうというふうに考えております。爾余の分は税法改正による減というふうに見ております。われわれの計算によりましては、それらで大体合うというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/139
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140・奧村又十郎
○奧村委員 どうも爾余の分二百数十億が税法改正による減と言われるが、少しおかしいと思います。しかしその検討は追つて別の機会に譲りたいと思います。それでは実績によつての申告はそれでよいが、昨年と比べて特に所得がふえてあらためて納税義務が生じた、そういう分はどれだけあるか。増差税額が七億あるが、これはそういう分ではないと思うので、新たに納税義務のふえたものを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/140
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141・高橋衛
○高橋政府委員 ここの表にありまする法定増差分と申しますのは、予定申告をお出しにならなかつた方については、法定通知というものを差上げるのであります。つまり前年の所得額を基準とした税額の通知を差上げるという建前に相なつておるのであります。その税額が七億七千六百万円に相なるという趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/141
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142・奧村又十郎
○奧村委員 それでは問題をかえまして、本年度の繰越し滞納に対する現金収入ということについて、お伺いいたしたいと思うのであります。本年度の繰越し滞納に対する現金収入を、今度の補正予算で幾ら見積つておるか。それから現在きようまでに繰越し滞納額が現実にどのくらい入つておるか。この点をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/142
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143・高橋衛
○高橋政府委員 二十五年度から二十六年度に繰越されました所得税の額は、四百七十二億七千万円でありますが、これに対して本月の十日までに収入済みになりましたものは、五十五億五百万円と相なつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/143
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144・奧村又十郎
○奧村委員 この繰越し滞納額も、昨年と比べると収入が約百億以上減つておる。予算が百六十数億であるとするならば、年度内にこれだけのものがはたしてとれるかどうか。その点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/144
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145・高橋衛
○高橋政府委員 今年度と昨年度と比較いたしまして、非常に大きな差異が生じましたのは、昨年度におきましては、四月一ぱいが前年度の収入ということに相なつております。今年度は二十五年度の歳入のために、五月一ばいの申告所得税の徴収を、二十五年度の収入にするという臨時的な措置がとられたのであります。その結果といたしまして約七十億円程度、五月一ぱいに入つた所得税が二十五年度の歳入になつております。それからいま一つ徴収の面につきましては、徴収の仕事のやり方を流れ作業式なインターナル・コントロール・システムという制度を導入いたしまして大体七月中旬に三百八十程度の税務署につきまして、切りかえを行つたのであります。これは各納税者につきまして名寄せをいたしますとか、または索引簿をつくりますということのために、約一箇月というものはその準備をするためにどうしても必要なのであります。そのために約一箇月間の空白ができた。それからあの制度をいたします際につきましては、呼出しをしておいでを願う、それからさかのぼつていいろ事情をお聞きして、納めていただくという段階になるのに、流れ作業でありますから、だんだん時間がかかるのであります。ただ軌道に乗ればそれが順調に入つて来ることになりますが、それが軌道に乗りましたのは、九月に入つてからというふうに見ているのであります。従つて今後はこれが好調に行くであろうという期待を持つているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/145
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146・奧村又十郎
○奧村委員 ただいまの御答弁は、大体予算通りにはとれる、こういうふうな御答弁であろうと思いますので、これ以上はお尋ねいたしません。
それでは元へもどつて、確定申告において来年二月に約六百億の収入を上げるということはなかなか至難であります。そこで具体的な方法として、やはり今年度と同じように確定申告を出されるまでに、お知らせと申しますか勧告と言いますか、ことし初めて実施なさつたあの制度を、来年度も同じようになさるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/146
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147・高橋衛
○高橋政府委員 申告納税制度がほんとうに軌道に乗りますれば、ああいうふうなことはやめた方がよいと考えます。しかしながら、現在の日本の税務の段階におきましては、やはり納税者の一人々々に税務署の調査の結果をお知らせいたしまして、そうしてそれについて御説明申し上げ、申告をいたしてもらうということがないと、どうしても成績がよくならぬと考えるのであります。従つて、現在鋭意調査をいたしておりますが、調査の結果を事前にとりまとめまして、大体二月一ぱいにはそういうふうな、つまり納税者一人一人に対して調査の内容をお話いたしまして、申告をしていただくというようなふうに、お勧めをしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/147
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148・奧村又十郎
○奧村委員 そういたしますと、大体今年度とられた勧告の制度と同じような心持でやつて行かれる、こういう御答弁のように解釈いたします。ただいま長官の言われたように、申告所得税の制度がほんとうに軌道に乗るまでは、やむを得ぬ便宜の処置であるので、私もこれは賛成いたします。しかし、ことしの春のように、一旦勧告に従つて確定申告がなされた場合は、再び更正決定はしないというようなはつきりした言明をなさつて、更正決定を特に減らすということはあまり強調なさらない方がいいのじやないか。更正決定が減つたのはいいが、結局税額も減つたということでは、大蔵省の役目は勤まらぬと思うので、あの更正決定については必ず減らすということは決して自慢にならない。更正決定が必要でなくなつて減るのはけつこうでありますけれども、しかし私どもの見る目は必ずしもそうではない。これは私の意見でありますが、つけ加えておきます。どうせ申告所得税の不成績については、この不成績を取返すことができるかどうか、来年度の年度末まではわれわれはこれを十分監視して行くつもりでありますから、そのつもりでしつかりおやりを願いたいと思います。それでは申告所得税はこれでやめまして、あと物品税です。
物品税の滞納が繰越じ滞納で三十三億ある。この物品税の性格は、先ほどの物品税法の審議において、小山委員から質疑があつて答弁があつたように、これは建前としては消費者に物品税を転嫁してあるので、物品税が徴収決定しておるとするならば、その物品税額と同額のものは、すでに販売者か生産者のふところに入つておるのだ。生産者なり販売者なりがふところへ入れながらなおかつ滞納をする。三十三億の繰越し滞納がある。しかもその滞納の成績が九月末に至つてもなお二十三億残つておる。そういうようなことは非常に困るのだが、どういうわけでそういう滞納があるのか。この物品税の課税品目別に、どのような事情になつておるかお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/148
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149・高橋衛
○高橋政府委員 ただいま物品税についてお尋ねがございましたが、その前に更正決定をしないというふうなことは、言わない方がいいという御意見でございまして、私もまことに同感でございます。昨年も申しました趣旨は、調査に基かぬところの更正決定はいたしたくないということを申し上げましたのと、いま一つは、そういうふうに納税者にお勧めして、その後にたとえばきわめて多少の差異を生じましても、それを追究するようなことはやめたいということを申し上げた次第であります。今年におきましてもその心持は別にかわつておりませんが、更正決定をむやみに避けるというような考えではなしに、どこまでも適正な態度で行きたい。しかしながら調査に基かぬところの更正決定はやらない、というふうにいたして行きたいと考えておるのであります。
次は物品税の滞納につきましては、奥村さんよく御承知だと思いますが、製造者が卸なり小売の方面に売ります際に、必ず現金で代金がもらえるというような状態ではほとんどないのであります。やはりそれが消費者の手にまわつて、代金がほんとうに回収されるためには少くとも二箇月、多いものは三箇月、五箇月かかるのが普通の状態であります。もちろん物品税につきましても、ある程度担保を提供しまして、延納をなし得る制度も認めておりますが、しかしながら、どうしてもそういうふうな再度の長い手形で、支払いを受けるという場合等におきましては、なかなか納めにくいという状況のものが多少生ずるのは、やむを得ないと思うのでございます。もちろんお話の通り消費者の負担するものでありますから、徴収義務者としては必ずこれを納めていただくという心持になつていただきまして、鋭意整理は進めておる次第でございます。ただ物品別にいういうものが滞納になつているかというお尋ねでありますが、これは実はそういうふうな調査の報告をとつておりませんので、お答えがいたしかねますが、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/149
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150・奧村又十郎
○奧村委員 ノーノー、そんなことはない。あるのだ。徴収部長の御答弁を願います。ないはずはないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/150
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151・田所正幸
○田所説明員 お答いたします。ただいま長官が御説明いたしましたように、物品別の滞納状況調査というものはございません。今ありますのは五百万円の大口滞納というので、人名別に大きいものをとつておりますけれども、物品税の品目別のものはとつておりません。それからただいま長官からお話ししましたように、物品税は相当決済が長引いておりますので、順繰りに前からの滞納分を、次から次へと少しずつ払つて行くというような関係で、まだ滞納が残つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/151
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152・奧村又十郎
○奧村委員 今の答弁はどうも不満足です。この物品税は順繰りに整理すると言われるが、私のお尋ねしているのは繰越し滞納額です。昨年度の分で、今年度の年度当初、つまり今年度の五月に繰越した金額が三十三億あるというのであるから、田所君の御説明は間違つている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/152
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153・高橋衛
○高橋政府委員 全部の詳細なものはございませんが、おもなものだけ抜き出して調べてあるものがございますから御回答申し上げます。これは九月末でありますが、大口のものだけ取上げますと、化粧品が二億六百万円、写真用の乾板、フイルム及び感光紙、これが一億五千八百万円です。それから時計及び部分品が二億七千二百万円、家具が一億八千三百万円。それから化粧クリーム、化粧水、化粧下、ポマード類、これが二億一千万円、ラジオ聴取機及び同部分品が三億五百万円、真空管、マイクロフォン等が一億六百万円、物品として現在の税法にもうないところの過去の物品税が三億九千七百万円、それからあめ、ぶどう糖、麦芽糖が二億二千九百万円、マッチが一億五千三百万円、サッカリン、ズルチンが一億四千八百万円。大体そのようなところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/153
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154・奧村又十郎
○奧村委員 先ほど高橋長官及び田所徴収部長が口をそろえて、品目別の滞納の調査をしてありませんという御答弁でありましたが、この滞納整理の問題を国会でも非常に大きな問題としておるし、また徴収部においても非常に心痛しておられる。それが品目別に滞納の調査がしてないということならば、ぜひしなければならぬことであるし、なぜしないかということで、きようは一時間ばかりなおこの上質疑をするつもりであつた。ところが、品目別の調査はしていないと答弁なさつたあと、間なしに調査してある、こういうことであります。私は言葉じりをつかまえたり、あるいは国税庁と争うというような気はないのですが、国会で大蔵委員会ほど、大蔵省に対しまた国税庁に対して、心から協力をして和気あいあいの気持で仕事をしている委員会は少いと思う。この大蔵委員会に対して、事もあろうに、長官も徴収部長も口をそろえて品目別の資料がないと言う。常識で判断して、ないというようなことは考えられない。それをないと言われるそのお気持ははなはだ私は悲しい。わざわざこんなことは言いいたくもないが、それでは大蔵委員会があくまでもなめられ切つておるというような感じがしてならぬ。どうかそういう態度は今後改めていただきたい。もしそういう態度であられるならば、われわれもどこまでも国会の国政調査権を発動して調べさしてもらう。それは取消していただいて、それではひとつ資料を要求して私の質疑を終えたいと思います。まだ委員会として正式に決定しておりませんが、いずれ国会閉会中に国政調査をやりたいと思う。それについては各局別のいろいろな成績も参考にしてみたいと思いまするので、ただいまお出しになられました繰越し滞納額の処理状況調べ、及び申告所得税の収納状況調べ、これを各国税局別に明細な資料として、これは大蔵委員全部に配付できるような数量を、至急に今国会閉会までに御作成になつて、大蔵委員会にお出しを願いたい、これをもつて私の質疑を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/154
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155・高橋衛
○高橋政府委員 ただいま物品別の滞納額について調査はないと申し上げましたが、まことに恐縮でございます。実は見ているうちに、私自身ないものだと思い込んでおりましたが、実際ありましたので、(「見せたくないのだろう」と呼ぶ者あり)そういうふうなお見せしたくないとか、説明したくないというような気分は毛頭ございませんから、その点特に御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/155
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156・淺香忠雄
○淺香委員 実は奥村委員から詳細な質問もあり、またその質疑応答を私どもながめておりますと、長官としては、できるだけ真心を込めて答弁したいという御誠意がよく現われているのですが、失礼ながら資料にいたしましても、先ほど議事進行上から注意いたしましたように、すでに奥村委員から両三日前に、この資料の提出をお願いしておつた。しかるに今日この場に臨んでみて資料が出ておらない。再度奥村委員から督促を受けて、そうして午後出していただいた資料というものは、わずかに二部である。ほかの委員にはこれが配られていないで、その審議の状況をわれわれが聞いて行かなければならぬということは、非常に遺憾に思います。最後に長官からそうして弁明されましたので、よく了といたしますが、奥村委員からのお話もありましたように、他の委員会からながめれば、非常にこの委員会は温厚な方々が比較的そろつておられまして、すでにいろいろな形において協力をしておる。しかるにそれをよいことにして、こういう結果を生むということになれば、われわれも大いにこれは考えなければならぬのじやないかというような気持は、きようここへ見えられました委員は、みんなそういう気持になつておられるだろうと思う。どうかひとつ今後におきましては、かかることを繰返さないように、御注意を特に願いたいと思います。
それからなお奥村委員が大阪方面のことについて述べられましたが、それは実は午前正示次長がお見えになりましたときに、私が質問をいたしました。御承知の通り私は大阪選出でございまして、過日所用がございまして帰りましたところが、中小工業の御関係の方々が、帰りを待つて面会を申込まれた。その人たちとお会いしてみます。と、異口同音に、各税務署の署員の方々が言われるのには、前年度よりか本年度は約六割増徴するとはつきり言つておるが、そういうことはさまつたのでしようかと、心配の余り尋ねて来られたわけでありまして、私はそんなうとは聞いていない、またそんな行為もあえてせられるようなわけはない、よく調べますといつてわかれたのでありますが、実際にそういう資料を流されたかどうかという質問には、今の御答弁と同じように、そういう資料は出しておらぬという話でありますが、しかしそういう資料ということに問題があると思うのであります。そういう資料の内容におきましては、末端の署員の方々が、上のあなた方のお気持を十分に洞察されずに曲解して、そうして納税者に自分の見解を入れて話をされるところに、こういう間違いがあると思うのでありますから、こういう点を今後ひとつ十分御注意を願いたいと思います。
最後に、今奥村委員から申されたように、この臨時国会が終りますれば、委員会の決定事項としまして、各方面へ国政調査に出たいと思いますので、それにひとつ私どもが参考になる資料を、この際ありましたらできるだけ提供していただけたら、非常にけつこうかと思います。以上をもちまして終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/156
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157・高橋衛
○高橋政府委員 国会の御審議並びに国政調査に関しましては、私どもも非常に感謝をしている次第でございます。先般大蔵委員会の詳しい国政調査の報告もいただきまして、これがその後、私どもの行政運営のやり方の改善に非常にためになりまして、私ども感謝している次第でございます。
ただいま御質問の六割増しという問題につきましては、私実はそういうふうなうわさが飛んでおるとか、そういうような印象を受けているという話を、きよう初めて伺いましたので、私どもといたしましては、そういうふうな、いやしくも先入主をもつて当るということは、すべて誤まりを生ずるもとでありますので、できるだけそういうふうな考え方を払拭して、虚心に臨んで調査するということがあるべき姿であるという点からいたしまして、そういう点については十分注意をいたしております。お言葉もございましたので、そういうふうに先入主にとらわれて物事をするというようなことのないように、特に注意いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/157
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158・夏堀源三郎
○夏堀委員長 二十六日に大蔵大臣の出席を求めて、財政、金融、税制全般に対する質疑を行いたいと考えておりまするから、ぜひ御出席を願います。その際には、国税庁長官もぜひ御出席をお願いいたします。
本日はこれをもつて散会いたします。
午後四時三十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02119511121/158
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