1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十一月二十二日(木曜日)
午前十一時二十八分開議
出席委員
委員長 夏堀源三郎君
理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君
理事 西村 直己君 理事 内藤 友明君
淺香 忠雄君 大上 司君
佐久間 徹君 高間 松吉君
苫米地英俊君 三宅 則義君
宮幡 靖君 宮腰 喜助君
八百板 正君 高田 富之君
深澤 義守君
出席政府委員
大蔵事務官
(主税局長) 平田敬一郎君
大蔵事務官
(主税局税制課
長) 泉 美之松君
国税庁長官 高橋 衛君
委員外の出席者
大蔵事務官
(国税庁間税部
消費税課長) 永見 周蔵君
専 門 員 椎木 文也君
専 門 員 黒田 久太君
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十一月二十一日
揮発油税軽減に関する請願(保利茂君紹介)(
第一四六二号)
同(村瀬宣親君紹介)(第一四六三号)
同(中村又一君紹介)(第一四六四号)
同(北村徳太郎君紹介)(第一四六五号)
同(清水逸平君紹介)(第一四八四号)
同(小峯柳多君紹介)(第一四八五号)
同(西村久之君外一名紹介)(第一四八六号)
同(中村幸八君紹介)(第一四八七号)
同(高田弥市君紹介)(第一四八八号)
同(守島伍郎君紹介)(第一四八九号)
同外三件(川野芳滿君紹介)(第一四九〇号)
同(畠山鶴吉君紹介)(第一五二一号)
同(長野長廣君紹介)(第一五二二号)
同(畠山鶴吉君紹介)(第一五二三号)
同外一件(大野伴睦君紹介)(第一五二四号)
同(中野四郎君紹介)(第一五六一号)
同外一件(河原伊三郎君紹介)(第一五六二
号)
同(神田博君紹介)(第一五六三号)
同(吉川久衛君紹介)(第一五六四号)
同(藤枝泉介君紹介)(第一五六六号)
同(岡村利右衞門君紹介)(第一五六七号)
同(河原伊三郎君紹介)(第一五六八号)
同(藤枝泉介君紹介)(第一五六九号)
同(西村直己君紹介)(第一五七〇号)
同(角田幸吉君紹介)(第一五七一号)
同(橋本龍伍君紹介)(第一五七二号)
同(田中不破三君紹介)(第一六一一号)
同(逢澤寛君紹介)(第一六一号)
同(小淵光平君紹介)(第二八一三号)
同(岩本信行君紹介)(第一四一四号)
旧陸軍共済組合員に年金交付に関する請願(千
葉三郎君紹介)(第一四六七号)
同(江崎真澄君紹介)(第一五七五号)
奄美大島特産品の関税免除に関する請願(石原
登君外二名紹介)(第一四八三号)
台湾における外地資産補償に関する請願(足鹿
覺君紹介)(第一五一七号)
同(奧村又十郎君紹介)(第一五一八号)
同(北川定務君紹介)(第一五四〇号)
同(宮腰喜助君紹介)(第一五四一号)
同(江花靜君紹介)(第一五四二号)
水あめ、ぶどう糖に対する物品税撤廃の請願(
足鹿覺君紹介)(第一五二〇号)
関税定率法の一部改正に関する請願(小金義照
君紹介)(第一五二五号)
徴税適正化に関する請願(高田富之君紹介)(
第一五七三号)
塩收納価格引上げに関する請願(三宅則義君紹
介)(第一五七四号)
光学機械類に対する物品税撤廃の請願(淵上房
太郎君紹介)(第一五七六号)
ふん尿輸送用ガソリン税免除に関する請願(高
間松吉君紹介)(第一六一五号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
物品税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
三五号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02219511122/0
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001・夏堀源三郎
○夏堀委員長 これより会議を開きます。
物品税法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、前会に引続き質疑を続行いたします。小山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02219511122/1
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002・小山長規
○小山委員 昨日の委員会におきまして、物品税法の改正案の第十六條の四につきましては、主税局の考え方を聞いたのでありますが、執行当局である国税庁長官が見えておりますので、第十六條の四の第一項、これについて国税庁の今後における取扱いを伺つておきたいのであります。
第十六條の四の第一項は、主税局の意見によりますと、第二項、第三項を受けるための包括的な規定であるというふうな意見であります。しかし法案の條文をすらつと読みますと、必ずしもそうは読めない。というのは、第二項、第三項の、たとえば販売の事実を証する書類を購入者に交付しなければならぬ。あるいは第三項の物品税の額を表示しなければならぬ。この二つの事項については第四項でもつて制限規定があるのであります。つまり一個または一組につき一万円以上のものについてだけやるのであるという、制限規定があるのでありますが、第一項については全然制限規定がない。従つて法律をすらつと読みますと、取引の決済をなさんとする場合には、一円でも十円でもこの物品税額と他の金額とを区分して、これをなさなければならないというふうに書いてあるのでありますが、これをこのまま執行いたしますと、当業者としては非常に煩瑣なことをしなければならぬことに相なるだろう。そこで執行当局としては、この規定は第二項、第三項を受けたところの単なる修飾規定であるとお考えになるのか。あるいはこれをこのままこの規定通りに、一円であろうと十円であろうと、すべて物品税額と他の金額と区分してなすということを強行しようとなさるのか。この点ひとつ国税庁長官の御意見を伺つておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02219511122/2
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003・高橋衛
○高橋政府委員 ただいま物品税法の一部を改正する法律の第十六條の四の第一項の「物品税額ト他ノ金額ト区別シテ之ヲ為スベシ」という点に関する運用上の問題について、御質問があつたのでありますが、この字句は、私どもといたしましては、第三條の二に書いてあります「当該物品ノ消費者ガ之ヲ負担スべキ建前ノモノトス」という字句と相表裏するものであつて、一つの建前を表示したものであるというふうに、解釈いたしておるのであります。もとよりこの物品税自体が十分に捕捉され、そして税負担の公平が適実に行われるということが、税務行政の本来の趣旨でありますから、そういうふうに非常に納税者に負担を與えて、しかも実益がないような事柄は、できるだけこれを避けるということが、私どもの税務行政をやつて行く上の本旨でなければならないというふうに考えております。従つて主税局から御答弁申し上げたように、またただいま御説明申し上げたような考え方をもつて、これを運用して行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02219511122/3
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004・小山長規
○小山委員 ただいまの国税庁長官の意見はわかりました。なお一つ念を押してお伺いいたしますが、第十六條の四のこの区分の方法については法律上書いてない。従つてこれは口頭で区分してもよろしいのである、文書でもつて区分しなくてもよろしいのであるというふうに読めるのでありますが、かような解釈について国税庁長官の意見を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02219511122/4
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005・高橋衛
○高橋政府委員 第二項または第三項の場合におきましては、たとえば第二項では事実を証する書類を「交付スベシ」、第三項においては「表示スベジ」とはつきり書いてありますが、この場合においては、どうしても書類なりまたは具体的な事実を必要とすると思うのでありますが、第一項についてはお話の通りだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02219511122/5
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006・小山長規
○小山委員 それでは主税局に伺います。ただいまの第十六條の四の第三項によりますと、第一種または第二種の物品の製造者または販売者は、その販売せんとする物品について物品税額を表示すべしとなつておりますが、昨日配付になりました物品税法施行規則の一部を改正する政令案要綱を見ますと、販売のため店頭その他の場所に陳列した場合に限つて、物品税額を表示することに相なつておる。法律上は製造業者が卸売業者に渡すときにも、物品税額を表示するように読めるのでありますけれども、政令の場合には販売業者が販売のため店頭に陳列するときだけに限つておるのでありますが、この政令案は法律案を相受けていると見て正しいのでありますか。そしてまたこの通り実行されるのでありますか。それを念のために伺つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02219511122/6
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007・泉美之松
○泉政府委員 お答えいたします。物品税法の一部を改正する法律案の第十六條の四の第三項の「命令ノ定ムル所」によりまして製造者または販売者が物品税額を表示すべき場合は、販売のために店頭その他の場所に陳列した場合に、その見やすい場所に物品に対する物品税額と物品の価格を、区別して表示するということを要求しておるのでございまして、これはたとえば製造者の場合におきましても、直売場または製造所におきまして陳列して販売しております場合には、物品税額を表示しなければならないということを要求しておるのでございまして、お話の製造業者が卸売業者に売る場合におきましては、三項の規定ではなくて、十六條の四の第二項の規定におきまして「其ノ販売ノ事実ヲ証スル書類ヲ当該物品ノ購入者二交付スベシ」ということになつておるのでありまして、製造業者から卸売業者に対するインヴォイスなどに、当該物品の価格と物品税額とを区別して表示したものを、交付するということになるわけでございます。
〔委員長退席、西村(直)委員長代
理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02219511122/7
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008・小山長規
○小山委員 ただいまのお答弁で了承いたしました。
次に、この政令案によりますると、第十六條の四の第四項に書いてある除外物品は非常に少いのでありますが、これはどういう理由でありますか。どうしてこんなに少いのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02219511122/8
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009・泉美之松
○泉政府委員 御質問の十六條の四の第四項の規定によります政令案に掲げてありますのは、一個または一組をもつて取引の単位としがたいものについて、どの範囲まで物品税額を表示すべきか、どの範囲以下は物品税額を表示しなくてもよいかという限度をきめる政令でございます。これにつきましては、一個または一組をもつて取引の単位としがたい物品は、いろいろあろうかと思うのでありますが、輸出品などを検討いたしますと、さようなものはあまりないようでございますので、まずこの程度でもつて十分ではないかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02219511122/9
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010・内藤友明
○内藤(友)委員 物品税法に関連いたしましてお尋ねしたいのであります。やがて議題にせられようとしておりまする租税特別措置法の一部を改正する法律案というものが、私どもの手元にあるのでありますが、その中に農地の交換分合、換地処分の税の問題が入つております。御承知の通り農地の交換分合であるとか換地処分というようなことは、食糧の増産という点から見まして非常に重大なことでありますので、すでに農林省におきましても、換地処分につきましては、二十五年度においては三千八百七十万円の奨励金を出しております。二十六年度におきましては五千六百万円支出いたしておるのであります。また交換分合につきましては、二十五年度は四千四百万円、二十六年度は一億一千万円の費用を出しておるのであります。これは当然のことなのであります。ところが今度政府がこの農地の交換分合、あるいは換地処分によりまする清算金に対しまして、資産再評価税をおとりになろうとするのでありまするが、こういうことは農民の土地改良に対する意欲を非常に減退させるものでありますので、私どもはこういうものに対しては課税しないようなことを、今までしばしば申し上げておつたのでありますが、政府は、この清算金の大きいものはともかくといたしまして、ごく少額のものを、たとえて申しますると、一地区における一納税者の清算金が三万円程度くらいまでのもの、こういうものは何とか課税されないような取扱いをするということが、この種の事業を円満にするゆえんではなかろうかと思うのであります。幸いに主税局長がお見えなのでありまして、これに対してどういう政府の御方針か、ひとつ伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02219511122/10
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011・平田敬一郎
○平田政府委員 ただいまのお尋ねはまことに、ごもつともでございまして、私どもの今回法律案を提案しました趣旨も、大体かようなところにあるのでございます。と申しますのは、こういう特別措置をいたしませんと、再評価税と譲渡所得税と両方かかることになるわけでございますが、それではこのような必要に基いて行われるものが、円滑に行かないだろうということを心配しまして今回の特別措置を設けることにいたした次第でございます。かような趣旨からいたしますると、お話のようにあまり少額のものについてまで、一々丁寧な調査をするというようなことは、少し行き過ぎかと考えるのでございまして、これは税務の運用の一般の考え方からいたしましても、ごく零細なものにつきましては、おそらく課税にならない結果になるようなことに行くのが望ましいのではないか、大体そういうようなことにする考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02219511122/11
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012・内藤友明
○内藤(友)委員 もう一つお尋ねしたいと思うのでありますが、交換分合を実施しております市町村の中には、実際には関係者の申合せによりまして、清算金の授受を放棄しておるものがありまして、もちろんこういうものは課税せられないだろうと思うのでありますが、一応念のためにこのこともちよつと伺つておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02219511122/12
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013・平田敬一郎
○平田政府委員 清算金を全然授受しないという場合におきましては、課税の対象になる対価を取得しないわけでありますから、そういう場合には課税にならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02219511122/13
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014・内藤友明
○内藤(友)委員 そこで政府のこういう事業に対する課税の取扱い方針はよくわかつたのでありますが、その御方針を地方の末端まで徹底するように願いたいのでありますが、それに対する政府の御所見をこの際伺つておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02219511122/14
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015・平田敬一郎
○平田政府委員 これは私どもの方よりむしろ高橋長官がお見えになつておりますから、長官からお答え願つた方がいいと思いますが、ちようど今見えませんから、かわりまして私からお答え申し上げます。この趣旨をよく徹底するように、国税庁から農林省と共同して伝達するように、私どもの方としても国税庁の方に依頼するつもりでございます。おそらく国税庁の方でも異議ないことと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02219511122/15
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016・宮幡靖
○宮幡委員 先月以来でありますが、租税特別措置法にさらに価格変動準備金の制度を織り込みたいというような声が強くなりまして、大蔵省の公式発表ではありませんが、新聞その他の報道をもちまして、適当な時期に何らかの措置が講ぜられることに、関係方面の了解も得られたというようなお話を聞いておるのであります。いずれ本会期と見合いまして、これらの法律案も提案されることだと思いますが、何分にも会期も切迫しております関係で、物品税法の一部改正の法律案に関連いたしまして、それらの点について——まだ正式の法律案につきまして逐條に伺う等のことは避けますが、一応概念的なことを伺つてみたいと思うのであります。これは正式法律案に対しまする準備というような気持で、お伺いするわけであります。今度の改正の要綱というようなものからうかがいますと大体外国人に対します利子、配当所得に対します一つの税の軽減の措置を講ずるというようなことも、伺つておるわけであります。何でも百分の二十を百分の十くらいに軽減して、外国資本が急激に税の負担を増すことを避けて、でき得べくんば外資の導入をも促進いたしたい。外資委員会の方も、これに順応いたしまする手配をしておるようであります。ところがこの外国人の資本に対しまする利子、配当所得を軽減いたします措置を見ますと、簡單に申せばこれは片手落ちの措置だと私は考えます。しかしこれは占領下にありましたので、ただいまただちにこれを力説すべき問題でなかろうと思います。そこで国際的にいろいろと話題になつております、少くとも日米の租税の協定の問題承れば十二月十五日ごろから大蔵省の担当官がおいでになつて、あるいは米国においてか日本においてかよく知りませんが、そのお話をするということでありますが、どうも日本人に対しては二重課税であり、外国人に対しては軽減課税というような現状にあるようにうかがわれるのであります。ただいまの段階におきまして、日米租税協定というものがどの程度まで進んでおるのか。税法の観念から行きますと、住所地課税主義と発生地課税主義とがありまして、アメリカは現在どちらの方法をとつておるか。今後どのような主義をもつて協定を結んで行くのか。現在でこぼこになつています、日本の待遇等は、講和條約の趣旨から行きますと、あくまでも対等でなければならぬ、そういう意味に構想されておるのかどうか。そのことにつきまして現在知れる範囲、さらにはおさしつかえない範囲でお話を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02219511122/16
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017・平田敬一郎
○平田政府委員 価格変動準備金の大体の考え方につきましては、正確に申しますと宮幡君お話の通り準備説明になるかと思いますが、昨日やや詳細に御説明申し上げたかと思いますので、なお必要に応じましてさらに適当な機会に、詳しく御説明申し上げたいと存じます。
それから措置法の配当所得の軽減でございますが、これはやはり望ましい外資が入つて来るという意味におきまして、外貨をもつて取得しました株式につきまして配当を軽減するというので、社債につきましてやつているのと同じような意味におきまして、軽減することにいたしたのでございます。これはいわば日本側が自発的と申しますか、日本の利益のために特別の措置を講ずるというものでございます。
なお租税特別措置法に、俗に言えば外国人、法律上では正確に申し上げますと、税法施行地に住所または一年以下上の居所のない人。国籍のいかんを問わないのでございますが、そういう本邦以外の居住者に対しまして、いろいろな優遇措置を講じておりますことは、御承知の通りでございますが、これらもいわば日本経済の再建、あるいは文化の振興という見地から、わが国としては望ましいことといたしまして、それぞれ措置をいたしておりますことは、前回のこの法律案を出しましたときも申し上げた通りでございます。そこで問題は、御指摘の通り国際租税協定と申しますか、二重課税の防止に関する協定の問題との関連でございますが、これにつきましては、もちろん措置法におきまして一定の待遇を與えているということは、交渉上これは一つの何と申しますか、日本側の措置している事項といたしまして、これが一つの前提になるものと考えておるのでございます。しかし二重課税の問題はもう少し広汎にいろいろ問題がございますので、それぞれその交渉にあたりましても、もちろん御指摘のように、対等の立場におきまして十分妥当差結論を得るように、われわれとしても努めたいと考えておる次第でげございす。問題はいろいろあるのでございまして、私どもまだ具体的に方針をきめるまでに至つておりませんが、大体各国は二重課税の防止協定を相当多数結ばれております。ことにアメリカは経済関係が各国と緊密であります関係上、相当多くの国、おそらく二十箇国近くになるのじやないかと思いますがそれぞれ租税協定を——租税條約と申しますか、協定と申しますか——結んでおりまして、二重課税にならないような措置を講じておるのでございますその考え方は、やはり各国とも一つの共通した考え方があるようであります。それに対しまして、もちろん各国ともいろいろ税法が違つております以上、違つたに応じまして若干の調整をいたしております。また経済事情等も違つたに応じまして、若干の差異があるようでありますが、傾向としましては大体一つの傾向が見られるのであります。その傾向としまして申し上げることができますことは、それぞれその国におきまして発生しました所得、つまりその国において生れた所得に対しましては、その国が優先して課税すると申しますか、そういう考え方が基本的に流されているようでございます。従いましてたとえば法人でありますと、日本に本店を有する法人がアメリカに支店を設けますと、その支店の所得に対しまして日本でも課税し、アメリカでも課税するのが税法の普通の原則にあるわけでありますが、そのような場合におきましては、アメリカにおいて生じました日本法人の支店の取得に対しましては、アメリカの法人税を優先して課税いたしまして、その課税された法人税額を日本の法人税額から差引くというようなやり方、ちようど反対の場合においては、アメリカに本店を有する法人がその方がむしろ多いと思いますが、日本に支店なり事務所を設けておるという場合におきましては、日本において優先して課税いたしまして日本における課税額は、アメリカにおいて法人税が課税される際に向うの法人税額から控除してもらう。こういう発生地優先主義とでも申しますか、大体基本的にはそのような考え方で全体ができておるようでございます。なお、所得の種類によりましてもちろん若干差がございますが、大づかみに申しますとそれが一番大きな原則でございます。ただ船舶の所得とか航空機の所得となりますと、その地において生じた所得の分割が、なかなかむずかしい問題がございますのと、いろいろな点がございまして、そういうものにつきましては、どちらかと申しますと本店所在地主義と申しますか、船籍国において優先して課税すると申しますか、そういう建前をとつておるのが多いようでございます。わが国にも古くからこれは條約上でではなく。相互の申合せで、そういうような趣旨によつてこの租税をお互いに船籍国で課税する趣旨を受けた法律が現在でもございますが、そういう趣旨で今後においてもやつて行く。これは一つの流れであるかと存じます。なおその他個人の場合におきまして、給與所得をどうするかといろいろの問題がございますが、大分各国の例がございますので、そういう例等を見まして、わが国の実情に即して決して不利にならないように、主張するものは十分主張いたしまして、妥当なる條約を結べるように努力いたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02219511122/17
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018・宮幡靖
○宮幡委員 大方針はただいまの局長からの御説明でけつこうだと思いますが、そこで一、二具体的問題でお伺いをしておきたいのであります。
ただいま法人のお話がありましたが、現在在米日本商社というものがあるのかないのかということは、なかなかむずかしいと思います。あれば、正常なものかあるいは別個な形でできたものか、なかなか研究を要する問題だと思いますが、かりに在米日本商社があつたといたしますと、現在のアメリカの税法はいわゆる発生地主義で課税をいたします。この所得が国内の本店にかりに総合されたといたしました場合、日本の税法から行くと、課税部分に対する税負担を差引かないのが建前になつております。それから在日の米商社の取扱いにつきましては、今のところはつきりしたものをわれわれは入手することができないが、かりに発生地主義で日本で課税して、アメリカが差引くのかどうかわからないが、こういうような不平等の点につきましては、どういうようなお考えを持ついるか。また個人の場合の一つの事例といたしまして、日本における外国人の給與所得は三百五十万円でしたか、控除される。たとえば、最近日本人がアメリカへ大分行きます。特にニューヨークの在外事務所等にも所長以下おられるわけでありまして、在外出張員の給與なども、六箇月以上になりますとやはり発生地主義でアメリカで課税されますが、その出張員等が、本国における給與所得は源泉徴収で課税される。これは明らかに二重課税である。こういう点につきましても、基礎控除三百五十万円は前の法律改正のときにも御説明がありまして、これは三百六十万円と覚えておつたのでありますが、三百五十万円のようであります。そういうふうな基礎控除の点についてのお考えはしばらく別としましても、明らかに二重課税になる措置は、むしろこれは租税協定というよりも、アメリカの措置よりも日本の国内措置の方が間違つておる、こう考えられるのでありますが、今後ただいま御説明になりましたような方針で、アメリカその他の国と租税の御協定をなさろうという段階におきましては、これらのでこぼこ、あるいは不公平といいますか、二重課税といいますか、これらを完全に是正なさる御意図があるか。この点について具体問題でありますが、御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02219511122/18
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019・平田敬一郎
○平田政府委員 ただいま御指摘になりましたような問題が、まさに租税協定の際の対象になるわけでございまして、法人の場合でございますと、やはり日本の法人がアメリカに支店を設けて所得があります場合におきましては、向うの所得税がかかり、さらに総合しまして日本の税がかかつておるわけであります。これを先ほど申しました原則で調整いたしたい。アメリカの方は現在も法律で何か規定があるようで、ございまして、現在も引いておるようでございます。これははつきり條約でいたしたいということになるかと思います。
それから給與所得につきましては、これはいろいろ問題がございまするわけでありますが、今お話の日本で措置している事項は、ちよつとこれは問題が違うかと思います。と申しますのは、日本において課税するといたしますれば、外国人に対しましては非常に日本の所得税の税率控除の関係、それから所得の水準が違う、生活水準が違うという関係で高くなる。とても日本に来れない。しかしそういう人が来てもらわなければ、日本の再建に役立たない。こういう意味であの特別を設けておるわけでございますが、反対に日本から向うへ行きました場合におきましては、これは実は向うの所得水準が高いので、向うで生じました所得にかかりましても、大した負担にならない。従いましてその点はそれほど問題にする必要はないかと思います。しかしダブつてかからないようにすることは、これはあくまで必要である、かように考えておるのでございます。なお外交官等の官公吏の所得につきましては、さらに特例がありまして、それぞ出れこれは本国地主義でやはりやつておるのが原則のようでございます。政府の役人と民間の会社員等とは、考え方を違えて調整しているようでございますが、それも私ども一つの参考にいたしまして、とにかく二重にはならないようにいたしたい、かように考えております。大体お尋ねの点はお答えいたしたと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02219511122/19
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020・宮幡靖
○宮幡委員 大体わかつたのでありますが、何でも私どもの知り得ました範囲では、アメリカの税法では、一年間アメリカの土地を離れておりますと、無申告であるというような個人所得の取扱いをしているようであります。ただいま外交官の場合等を御指摘がありましたが、日本でもさような一年以上在外に勤務する、そういうような場合は日本では申告しなくてもよい。その実際の発生地においてのみの課税の取扱いをするかどうか。これはアメリカの税法と合せますと、協定上これらの問題が問題になるほどのことではないと思いますけれども、日本人としてはやはり考慮に加えておかなければならない。アメリカの税法は、一年いなければ申告しないようになつております。その点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02219511122/20
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021・平田敬一郎
○平田政府委員 この外交官等の役人の場合と民間の場合とは、若干問題が違うかと思いますが、日本の所得税は、今お話のように、日本で支拂いを受けますれば、これは全部課税することになつております。支排いをどこで受けられるかということになつておりまして、従いまして家族等が日本におりまして、本人の給與がその家族に対して支拂われます場合には、日本の税法で課税する建前になつております。
これは官吏の場合も民間の場合も同様でございます。ただ住所が移転したかどうか。これはなかなか実際問題として事実認定のむずかしい問題でございまして、住所が移転してないということになりますと、これは全部の所得に対しまして日本で課税する。住所が移転したということになりますと、日本で支拂いを受けるものについてだけその課税がある、こういう関係になるのでございます。なお單に今一つの支拂いということでやつておりますが、それを若干かえるかかえないかと申しますのは、勤務がどこで行われたか。これによりまして、アメリカの所得税法は課税するか、課税しないかをきめているようでございます。従つて商社の場合でありますと、アメリカにおける勤務で生じました給與は、日本で拂われようとアメリカで拂われようと、アメリカの所得税が今かかることになつております。その結果、やはり日本で拂われたものにつきましては、日本の課税アメリカの課税と両方かかる。これはやはり二重課税の防止協定で解決しなければならない問題だ、こういうふうに考えております。そこでアメリカの方は、大体税法には六箇月ちよつと記憶しませんが、一定期間以上アメリカに居所がありますと、今申し上げたようなことを相当嚴重に実行しておる。短期間のものにつきましては、比較的発生地主義と申しましても、それほどやかましくないというのが実情と思いますが、しかしアメリカにおいてはすべての段階の実行が、非常に嚴格に法律通り行われておりまして、海外に出ます場合におきましては、納税の証明、所得がなければ、所得がなかつたという税務署の証明がなければ、アメリカから海外に出られないというような措置までとつておりまして、非常に嚴重でありますが、その辺はよく交渉の際に、実情をさらに取調べまして、妥当な結論を出すようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02219511122/21
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022・宮幡靖
○宮幡委員 よい外貨資本とかあるいは技術の導入のために、特恵的な租税の措置を講ずるということも、日本の経済自立のために必要なことでありまして、これはあえて批判すべきことではありません。しかしながら、原則はあくまでもやはり平等の立場において、日米租税協定等は取結ばれたいと、私どもは念願してやまないわけでございます。ことにアメリカとの問題は、各国とのこれからの協定があります場合における、一つのモデルになるであろうということが想像せられます。ただいま概要御説明をいただきましてまた細微な点については、次の機会にお尋ねすることといたしますが、大体の方針にのつとりまして、あくまでも平等の原則というものを固執するわけではありませんが、これで貫きまして、これらの協定の成立に努力せられるよう、特に局長さんを通じまして、大蔵大臣に要望いたしておく次第であります。
次は価格変動準備金の問題であります。この細目につきましては、主税局長さんからいろいろ詳しい御説明を聞いたわけでありますが、しかしこの観念というものについてただしておきたいのであります。一体法人税を四二%に引上げるということが、妥当であるかないかということについては、立場によつて批評はどちらにもできます。四二%の負担力があるということも言いますし、これは重過ぎるということも言えます。おそらく予算委員会あるいは税の審議の過程におきまする公述人の意見等を聞いてみましても、これは決して一致しておらない。速記録を反復して読み返すまでもなく、簡單に申して反対説と賛成説とがある。そうして反対の人の心持が、ただ税は軽い方がいいというような安易な考えでなく、ほんとうに企業の経営の面ということも考慮いたしまして、重いと考える方を一応納得せしめて、正常な利益を計上し、いささかも不純な行動を誘発しないようなために、その救済手段とも申すべき制度が、この価格変動準備金制度であろうと私は信じておる。従つてこの手続がきわめて煩瑣なもので、なるほど税法の上では、価格変動準備金の損金繰入れをやるけれども、その実施手続におきまして煩雑なために、余分な人、特に専門的な者でも置きましてやらなければ、できないというような事態が参りましたならば、おそらくこの制度は名目倒れで、実質を得ることはできません。従つて四二%に法人税の引上げをした。こういうようなことに反対の方々の納得を得ることが困難ではないか。また私もこの委員会においてある程度主張いたしましたように、日本のいわゆる中小企業の税率は四二%は非常に重いものである、こういうことを申したところが、いや個人が盛んに法人になるところを見ると、法人の方はまだ安いのだという御説明である。それならば、結局法人というものの実在説をとるのか、擬制説をとるのか、どつちをおとりになるのかということを私はお尋ねいたしました。しかし議論するまでもなく、さような場合において、おそらくもし中小企業の面におきます個人と法人の税負担にでこぼこがあるとしますならば、これは個人も法人も同一な税法のもとに縛る。たとえば資本金五百万円以下、所得三百万円以下の法人に対しましては、同じような税法で行く、こういうふうなことは、満洲において行いました前例もあることでありまして、できないことではない。その制度もやらずにおきまして、法人の方が安いと言つても、中小企業は四二%の税負担に耐えるか。個人より安いからという観念だけで、一切片づけ得ないのではなかろうか。従いまして同様に、この価格変動準備金というものによつて、中小企業が税負担の善意の軽減を受ける、こういうことになるわけであります。ところが大企業では専門家がおりまして、たなおろし資産の評価あるいは有価証券等の評価についても、前期一箇月の相場をずつと平均いたしまして、かくのごとくなるというような専門家も置けるでありましよう。しかし中小企業の面におきましては、さようなことは不可能であります。また中小企業のたなおろし資産が、一体時価主義で行くのか、原価主義で行くのか、加重平均法、いずれをとるのか、かようなことも考えてみますと、もし先般主税局長から御説明を受けましたように、二分五厘を積み立て、その次には繰りもどし、また五分を積み立てるというように、六箇月ごとの決算におきまして、これを繰入れ、繰りもどし等の操作をなさなければ、この恩典に浴しないといたしますと、あるいはこの法律というものが、少くとも中小企業の面においては死物化するというおそれがある。従いまして、先般御説明のときにありましたようなことでなく、もつとこの取扱いを簡素化するという御意図はないでありましようか。これはなかなか納得いたしません。大企業の方でも相当苦情がある。その点につきまして何とかこれを簡素化していただく。あえてお出しになろうとしております法律の條文の字句を直すのでなく、大蔵省のゆたかなる知識と手腕をもちまして、運用の面におきましても緩和する道があるのではなかろうか。この点をはつきりとひとつお答えを願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02219511122/22
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023・平田敬一郎
○平田政府委員 価格変動準備金制度の問題だと思いますが、これは法文にもはつきり書いておりますように、青色申告者に限つております。と申しますのは、こういう制度は相当長期にわたりまして、しつかりした帳簿に基いて計算するというのでなければ、公正を期しがたいという意味におきまして、青色申告を條件にいたしておるのであります。青色申告をしておられる方々の場合におきましては、最近大分帳簿の記帳の仕方その他につきましても、納税者も熱心になつておられますし、また民間にも実は相当納税者の手助けになる専門家も、大分最近出て来ておるようでございまして公認会計士の制度も大分働きかけて来ましたし、税務代理士等につきましても、先般の国会等によりまして、ますます資格の向上をはかるような措置もいたしておりますし、そういう人の手助けも、場合によりましてある程度必要だと思いますが、そういうようなことをやりますれば、私はこの制度の運用が、そうむずかしいとは考えていないのでございます。やはり法人税の場合は特にそうでございまするが、ある程度経理とか、簿記とか、勘定とかいうものを、納税者も若干めんどうでもしつかりやつてもらわなければ、いつまでたつても見立て課税、いい加減ななれ合い課税、あるいは根拠のないお互いの言合いということで終つてしまいまして、かえつて円滑な納税、徴税はできないということになりますので、やはり若干は専門的にわたりましても、そういう方向に伸ばして行つた方がいいのじやないか。そう言いましても、やたらにむずかしいことをいたしまして困らせるようなことは、これはもちろんやるべきでないので、おそらく国税庁もそういうことまではなさらないと思います。青色申告者につきましては、特に善導すると申しますか、親切に指導するという一般の方針で進んでおりますので、この制度の運用につきましても、同様な意味におきまして、よく納税者に対して親切な態度をもつて臨みまして、運用が円滑に行くように進めてもらうつもりでおります。
法人税の負担の問題がございましたが、これは四二%が高いじやないかということはすぐ感ずるのでございますが、実は宮幡さんもよく御存じの通り、そうではない。法人の利益というものは、大部分が給與所得と配当所得になるのでございます。配当所得になるものは四二%かかつて、所得税をかける場合には二割五分を控除して二重課税にならないようにする。給與所得として支拂われる場合には、勤労控除もやるし、所得税の控除もそれぞれ適用になるわけであります。たとえば法人の場合におきましても、百万円以下五、六十万円ぐらいの年利益の法人の場合でございますと、その利益の相当多くの部分は、実はほかの所得の形で課税になる。全部合せますと、決して四二%でなくして、これは所得の大きさによつて違いますが、二〇%とか三〇%とかいう負担に相なる。個人の事業税に比べて、先般申し上げたように、今の段階においては少くとも妥当であると考えておるような次第でございます。もちろん法人につきまして、今度価格変動準備金の制度、そういうものによりまして、一層その辺の負担がなめらかになると思いますが、それをもちまして、ただちに法人と個人との負担の比較をするのはどうであろうか。個人についても、変動準備金は青色申告の提出者には認めることにいたしております。それによりまして、結局最近の経済界の変動に応じまする納税者の経理、及び納税者の困難を緩和しよう、こういう趣旨でございます。その点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02219511122/23
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024・宮幡靖
○宮幡委員 四二%が高いか安いかは、公述人さえもまちまちですから、これは議論はいたしませんが、価格変動準備金を設ける趣旨は、高率になりました負担を、善意に軽減してやろうという趣旨にほかならないのであります。これは運用の面は極力御相談願つて、実施面の国税庁長官も幸い見えておりますから、これらの点については十分ひとつ御留意いただきたいのであります。特に法律の條文は、よそから見たことでありますけれども、言葉で盲となかなかむずかしいのでありまして、「当該法人のたな卸資産に附した帳簿価額の合計額が同日における当該たな卸資産の価額の百分の九十に相当する金額の合計額をこえる場合のそのこえる金額に、」こう書いてある。これは字はわかる。意味もわかる。一体それでは大蔵大臣はどうお考えになつておるか知りませんが、一つの企業体を見まして、たなおろし資産というものを総称して片づければ格別、一個々々についてこのような評価をしてこれは受掛帳もあります。専門家もついておりますけれども、この二つの価額の百分の九十に相当する金額を、これで算出をするということは、この法律の條文で書けば何のことはない。しかし実施の面においていかに困難であるかということは、私は実は大蔵大臣が出たら聞こうと思つておる。もつとさらりとしたものでなければ、国民は納得いたしません。この点は税をとる方の立場からすれば、もうどうしても正当にかける、決して無理にとるのではない、正しくとれる道にすつかり網を張つて行くのが、これは税法の建前である。これも私は非難するのでは、ございませんが、こういうことがほんとうにできるか。あるいは専門的なアシスタントができて、それらによつて支拂い費用とか、そういうものを専門的につけなければならないということによつて、中小企業等の負担は増高いたしまして、かえつて恩典が恩典でなくなる。もちろん中小企業者、経営者自身が、経理の面に順次熟達しまして、青色申告にみななじんで、個人といわず法人といわず、正常な経理ができることは望ましいのであります。しかしその正常な経理ができるようになりましても、今読みましたようなたなおろし資産とそのときの価額というものを比較検討することは、なかなか困難であるということを十分考慮せられまして、国税庁の長官もおいでになつておられますが、別に御答弁はいただきませんけれども、どんなにむずかしいものであるかということを十分ひとつ御認識いただきまして、この運用について、いささかでもこの恩典をかえつてうらみとするような納税者の感知の生じないように、御配慮を賜わりたい。時間の関係もありますので、いずれ適当な時期に重ねてまた御質問することといたしまして、本日はこの程度でやめておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02219511122/24
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025・西村直己
○西村(直)委員長代理 暫時休憩いたします。
午後零時二十分休憩
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〔休憩後は開会に至らなかつた〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02219511122/25
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