1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十一月二十八日(水曜日)
午後零時七分開議
出席委員
委員長代理 理事 奧村又十郎君
理事 小山 長規君
淺香 忠雄君 佐久間 徹君
島村 一郎君 清水 逸平君
高間 松吉君 三宅 則義君
宮幡 靖君 宮腰 喜助君
早稻田柳右エ門君 八百板 正君
深澤 義守君
出席政府委員
大蔵事務官
(主税局長) 平田敬一郎君
大蔵事務官
(主税局税制課
長) 泉 美之松君
委員外の出席者
專 門 員 椎木 文也君
專 門 員 黒田 久太君
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十一月二十七日
委員松澤兼人君辞任につき、その補欠として松
尾トシ子君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十八日
理事西村直己君の補欠として佐久間徹君が理事
に当選した。
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本日の会議に付した事件
理事の互選
閉会中審査に関する件
租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第五一号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02519511128/0
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001・奧村又十郎
○奧村委員長代理 これより会議を開きます。
租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、質疑を継続いたします。三宅則義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02519511128/1
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002・三宅則義
○三宅(則)委員 租税特別措置法の一部を改正する法律案に関連いたしまして、今問題になつておりまする事柄は、この青色申告に対しましての立法をどうするかという点であろうと思います。私は前々国会に、青色申告については特に一割を減ぜよということを申したのでありますが、その当時平田主税局長は、税というものは公平にとるものであつて、決して青色申告云々によつてきまるものではないのでありまするから、そういうような考慮はしないと言つておられたわけでありまするが、私どもつぶさに実情を調査いたしますると、はなはだ失礼な話でありまするが、相当漏れておる所得があるわけです。たとえて申しますと、物品販売業あるいは型通業についての物品税納入等を勘案いたしますと、全部が全部納まつているわけではございません。むしろ物品税のごときは半分以下が納まつて、あとは納まらぬというものもあり、場合によりましては、零細な企業でございまするけれども、特に物品税等については脱税をいたしておる者も相当あるわけでありまして、こういうもの等を勘案いたしまして——もちろん主税局長が言われたように、全部が全部正当に把握ができまするならばもちろんけつこうでありますが、現段階におきましてはむしろそれは困難であると考えるのでございまして、私は、青色申告というようなものに対しては、相当考慮する必要があると思う。たとえばこの措置法におきましても、たなおろし商品につきましては一割の減額を認める、こういうような立法の趣旨を勘案して、相当考慮する必要があると思いまするが、主税局長はどう考えておられまするか伺いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02519511128/2
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003・平田敬一郎
○平田政府委員 もともと青色申告は、今お話しのように、なるべく正確な所得を計算する。資料等がなくて、税務官庁等で適当な見積り課税をするというようなことは行わない。データに基いて確実な基礎の上に査定を行うのでありますし、納税者もそれに基いて申告する、こういう基本的な考え方でできておるのでございます。従いまして、それで出て来る所得について特別に割引するというのは、こういう制度の本旨から行きまして、少しいかがであろうかというふうに考えておるのでございます。課税標準の計算上、合理化すべき点については極力考えておるわけでございまして、たとえば今回の変動準備金につきましては、一般のものはそういう制度の恩典にあずからぬのでございますが、青色申告者にはそういうことができる。あるいは欠損の繰越し、繰もどしも同様でございます。そういうふうに所得の計算の合理化に関する限りにおきましては、十分考えておるわけでございます。ただ所得があるのを、それを一定額まで割引するというような方法は、どうもこういう制度を設けました本旨から行きましていかがであろうかという趣旨から、はなはだ賛成いたしがたい。むしろほかの所得につきまして課税漏れがあるというお話でございますが、これはよく調べまして、やはり課税漏れのないように大いに努めるというのが、税務行政として行くべき道ではないか、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02519511128/3
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004・三宅則義
○三宅(則)委員 古い話をいたしまして参考になるかならぬかわかりませんが、私は多少なると思いますので申し上げるのでありますが、大正年度、ことに関東大震火災直後の税法の改正等におきましては、正直な者に対しましては、税務措置といたしまして約一割くらいを勘案して、安くしてもよろしいということを、当時の東京税務監督局の山本貫作氏とか、あるいは矢部俊雄氏とかいうような若い担当宮が、講演をしてまわつたことがあるわけであります。それと時代は大分かわつて参りましたけれども、そういうふうに善良なものに対しましては、ある程度まで、割引ということまではいたしませんでも、勘案する余地を與えるという事柄も、やはり税務行政の運行上必要ではないかと思うのですが、これらに対して主税局長は、全部が全部洗いざらい出して、他のものとの比較はもちろんいたされましようけれども、根こそぎとるという寸法をいまだ堅持されるかどうか、その点を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02519511128/4
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005・平田敬一郎
○平田政府委員 今お話になりますような、適当にしんしやくするというような方法は、実は私どもはあまりやるべきではない。やはり税法できまりましたところに従つて所得を査定して行く。できるだけ税法を合理化して、税率を軽くするものは軽くし、控除を上げるところは上げる。そうしてきまつたところで、はつきり課税して行く。こういう方向に行くのが、やはり税の理想ではないかというふうに考えておるのでございます。青色申告者に一定の割引を認めますと、勤労所得者の控除をさらにどうするかという、いろいろな問題があるわけでありまして、なかなか簡単な問題ではございません。秤法としましては、やはりできるだけ合理化しまして、税率もできるだけ軽くし、控除も上げまして、税法のきめろところに従いまして、正しく所得を和撮して、それによつて負担の公平をはかつて行くというのが、やはり税法の行くべき本来の道ではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02519511128/5
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006・三宅則義
○三宅(則)委員 先般来、特に奥村委員が口をすつぱくいたしまして、高幡長官と問答をいたしたところでありますが、特に法人の方は、かなり倍額永しくは倍以上の所得があるが、但し申告納税の方につきましては、それと応対に、むしろ滞納がはなはだしいというわけでありまして、この問題は税濃上では所得を更正する場合には、必ずこれを帳簿上調べた上で更正する、こういうような構想をお述べになつたもけでありますが、私どもは、むしろこの調子で行きますと、年度末におきましては、相当更正決定をしなければならぬというような段階に立至るのではないかということを心配する。しからばこの場合におきまして、大幅に更正決定をするという方針をまた復活いたしまして、あるいは帳簿など見ないでもやらなければいかぬという段階に至りはせぬかと思うのですがこの点について、更正法定をするかしないか、どういう方針であるかという寸法を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02519511128/6
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007・平田敬一郎
○平田政府委員 今のお話の問題は、たびたび国税庁からも、あるいは私からもお答えしたかと思うのでありますが、やはりできるだけよく調べまして、調べたところに基きまして、できる限り申告してもらう。まず納税者の自発的申告が一番望ましい。しかしその次は、なかなか自発的申告がむずかしいような場合におきましては、役所でよく調べまして、調べた額で申告してもらうということを、主としてやつておるわけであります。それでもなお申告に応ぜられないという場合におきましては、やはりやるべき更正決定はやるということで行かなければたびたび今国会——参議院でも非常に問題がございましたが、私は正しい税の負担の公平ということはできないのではないか。いたずらに更正決定を避けるということもよくない。ただ自信のある更正決定をやつてもらいたい。一定の推定とか、いいかげんな資料によつて更正決定をすることは、これはあくまでも避けなければならぬと思うのでありますが、役所におきましてよく調べまして、これは正しいと思う場合において、納税者がその申告に応じなかつた場合におきましては、これはやはり更正決定をして行き、負担の公平をはかつて行くということへ行かなければいつまでたちましても所得税の負担の公平はできないと私は確信しております。大体そういう考え方で行くことに、政府として今方針がきまつておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02519511128/7
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008・三宅則義
○三宅(則)委員 これは奥村委員もこの前お聞きになつていたことでありますが、今までの例によりますと、調査しないが、しかしながらお知らせを出す、こういうのがあります。調査はしていないけれども二十万なら二十万というお知らせを出す。そうしてこれに御異議があつた場合にはおいでください。御異議がなければ調印してくださいというようなお知らせ、これが各税務署において行われておるわけでありますが、私は、お知らせを出すにいたしましても、やはりこれは調査した上においてお知らせを出す。お知らせを出すにあたつて、調査もしないでかつてにお知らせを出すことは、はなはだ不謹愼きわまると思つております。そういうことは断じてしてはいかぬという趣旨を私は堅持したいのですが、主税局長はどういうふうにお考えになつておりますか、承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02519511128/8
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009・平田敬一郎
○平田政府委員 納税者は相当数が多うございますので、全国の納税者について自信のある調査ができるということは、必ずしも言い得ない、かと思います。なるべく自信のある調査を多くすることは必要だと思いますが、そこまで至らないにいたしましても、しかしある程度の調さで相当所得の推定ができるという場合も考えられます。いずれにいたしましても、何らかの調査によりまして所得がわかつた場合におきましては、納税者の申告をなるべく円滑ならしめると申しますか、あとで更正決定等の煩をできる限り避ける意味におきまして、ある程度税務署の親切心から納税者に対して一定の書類なり通知等をいたしまして円滑にするということは、避けたに越したことはないのでありますが、現在の青色申告の状況からいたしますと、やむを得ざる処置としまして、やはりやらざるを得ない場合があるのではないか。そういうことはやらないで、全部自発的に相当な申告が出て来て、それが意見が合わない場合に限り、更正決定で行くということになりますれば、これは申告所得税が相当理想的な段階になつたと思うのでありますが、今の段階におきましてはそこまで行き得ないのではないか。もちろん全然根拠なしではいけませんが、ある程度の調査に基きまして、できる限り申告をしてもらう、そういう親切心からいたしますのは、これはどうも今の段階におきましてはいたし方なかろう、かように考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02519511128/9
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010・三宅則義
○三宅(則)委員 今のお話によりまして親切心ということはまことにけつこうな話でありますが、ややともいたしましてその親切心が過ぎまして、納税者を萎縮させたり、強圧感を感ぜしめては申訳ない、こう考えるのでありまして、今までの主税局長との問答によりますと1私いつも言うたことでありますが、私の考察では、大体全納税者の二割ないし一割五分と思つておりましたが、本年あたりは二割ないし三割を調査いたしたいというような御説明だつたと思います。しかし、むしろ法人等におきましては四〇%ないし四五%の青色申告がある、個人の方はわずかに三%、五%というような十分の一にも足らないような様子でありますから、これを勘案いたしますと、どういたしましてもそうしたお知らせというものを、十分徹底的におやりになるというように私は思います。でありますから、もちろん税全体の体系を整え、国の収入を確保するためには、ある程度までやらなければなりませんが、むしろ私どもはこれらに対しましては、第三者たとえば税務代理士、今度は税理士になりましたが、そういううものの協力はもちろんでありますが、各種の業種団体等の協力を得まして、あらかじめこれらと折衝をしてやるということも、ボスの存在を排除いたしまするならば、適当な方法である、こう考えるのであります。やはり個人々々で出すこともけつこうでありまするが、むしろ各種の業種団体等とある程度まで決定権もございませんが、参考資料を十分とりまして、しかるのちに調査を進めて行く。少くとも半分ぐらいまでは全部調査する。半分ぐらいまで調査したのちでなければ更正決定はしない、こういうような線を堅持せられた方が親切だと思うのですが、主税局長は今どういうふうに考えておられまするか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02519511128/10
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011・平田敬一郎
○平田政府委員 業者の団体との関係につきましても、これは三宅さんとたびたび議論しまして、また税法もそれに関しましてはつきりした規定を設けておりまして、大体御存じかと思うので、それを再検討して方針をかえるかという問題だと思いますが、これはやはり今ボスを排除するならばと仮定してお話になりましたが、これはやはり数多い団体の中には、どうしても利害関係者だけが非常に考慮されまして、そのほかはあまり考慮されないという弊害に陷りやすい。従いまして私ども今のところといたしましては、資料を団体からとるのはいい。しかし団体を通じて所得金額を個別的に団体に知らしたり、あるいは団体と折衝いたしまして話合いできめることは、これは厳に避けたい。ただ営業の状況がどうか、売上げ等がどういうふうになつているか、そういうことに関連しまして、団体に本来ごの税目的以外で集季つている資料を出してもらいまして、それをもとにしてできるだけ正しい調査ができるようにということにつきましては、税務署も務めることになつておりまするが、団体を通じまして個々の納税者の所得金額につきまして話合うということは、これは嚴に避けたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02519511128/11
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012・奧村又十郎
○奧村委員長代理 三宅君にお諮りいたしますが、あとは午後にしていただきたいと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02519511128/12
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013・三宅則義
○三宅(則)委員 もう一点。時間の関係上簡単にいたします。今お話がありましたが、私はひとつ重要な問題について聞きたいと思います。これは財界との関係上、不渡り手形がたいへんある。不渡り手形が横行いたしておりまして、非常に損金を招く場合があるわけであります。完全に不渡りが不渡りになつてしまつて回収できないというときには、もちろん損金に当るわけでありまするが、不渡り手形というものが濫発せられておりまする今日といたしましては、相当売掛金等におきましても、今までのようなパーセンテージの少い金額のみを損金に設ける。たとえば売掛金の百分の二とかあるいは百分の二・五というようなことでは、むしろ今日の中小企業等におきましてはあまりに少な過ぎる、こういう観点を持つておるのでありまするが、政府は今日の金融難、もしくは不渡り手形横行等を考慮に入れまして、もう少し大幅に売掛金等につきましては損金を認める、こういう点と、もう一つは、不渡り手形についてはなるべく早い期間に、当期間のうちにおきましてもこれを損金に見る、こういうような親切心があつてしかるべきだと思いまするが、これについてはどういうふうに考えておられまするか。もう一つは今後の発展上、将来とも青色申告等の普及を宣伝しなければならぬという立場にありまするから、そういう点等につきましても、特にそういうような損金に見る、大幅にこれを認めてやるという線を堅持することこそ、将来の発展が期待できると思うのでありますが、そういうよう売掛金等につきましての損金の見方を、もう少し大幅に引上げるという線をひとつ示してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02519511128/13
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014・平田敬一郎
○平田政府委員 貸倒れ準備金につきましては目下検討いたしておりまして、今御指摘のような事情も大分ございますので、もう少し準備金として積み立て得る限度を引上げたいと考えております。それからかけ倒れになつた場合に、はたしてかけ倒れと認定するかどうか。これは事実認定の問題でございまして、なか川、簡単な問題ではございません。やはりこの債権は回収不能という認定がつかなければ、落すということはなかなかむずかしいので、従いまして一方においては貸傾れ準備金等も設けまして、平素から準備いたしておくということをいたしておるのであります。御質問はごもつともな点が多いと思いますので、準備金の率の引上げにつきましてもひとつ検討いたしたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02519511128/14
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015・奧村又十郎
○奧村委員長代理 次二理事辞任の件についてお諮りいたします。実は本日理事西村直己君より理事辞任の申出がありましたので、これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02519511128/15
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016・奧村又十郎
○奧村委員長代理 御異議なしと認め、西村直己君の理事辞任を許可することといたします。
次に理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。ただいま理事辞任を許可されました西村直己君の補欠として、理事一名の補欠選任をいたしたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02519511128/16
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017・奧村又十郎
○奧村委員長代理 御異議なしと認め、佐久間徹君を理事に指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02519511128/17
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018・奧村又十郎
○奧村委員長代理 次に閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。本委員会において今会期中徴税及び金融状況について国政調査を行つて参りましたが、会期中に調査を終了するに至らない状態でありますので、閉会中においても本調査を続行いたして参りたいと存じますので、議長に本調査事項を閉会中審査事件として申し出ることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02519511128/18
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019・奧村又十郎
○奧村委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたします。なお提出干続等については、委員長に御一任願いたいと思います。
これをもつて休憩いたします。
午後零時二十七分休憩
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〔休憩後は開会に至らなかつた〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204629X02519511128/19
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