1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十一月十三日(火曜日)
午後一時五十一分開議
出席委員
委員長代理 理事 中村 幸八君
理事 高橋清治郎君
阿左美廣治君 小川 平二君
神田 博君 澁谷雄太郎君
永井 要造君 中村 純一君
福田 一君 南 好雄君
村上 勇君 加藤 鐐造君
風早八十二君
出席国務大臣
通商産業大臣 高橋龍太郎君
出席政府委員
外国為替管理
委員会委員 大久保太三郎君
外国為替管理委
員会事務局長 稻垣 一吉君
委員外の出席者
通商産業事務官
(通商局次長) 松尾泰一郎君
通商産業事務官
(通商振興局
長) 井上 尚一君
通商産業事務官
(通商鉄鋼局
長) 葦澤 大義君
通商産業事務官
(中小企業庁振
興部長) 松尾 金藏君
専 門 員 谷崎 明君
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十一月十三日
中小企業信用保險法の一部を改正する法律案(
内閣提出第三六号)
同月十二日
電源開発助成法制定等に関する請願(有田二郎
君紹介)(第一〇五三号)
電力増強対策確立に関する請願(有田二郎君紹
介)(第一〇五四号)
電気料金値上等に関する請願(中島茂喜君外一
名紹介)(第一〇七九号)
水火力調整金制度撤廃等の請願(倉石忠雄君紹
介)(第一〇八〇号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
軽入不振の現状打開策に関する陳情書
(第六九五号)
工業技術庁陶磁器試驗所廃止反対に関する陳情
書
(第六九六号)
中小企業振興助長法の制定促進と危機打開策に
関する陳情書(第
六九七号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
輸出信用保險法の一部を改正する法律案(内閣
提出第二二号)
中小企業信用保險法の一部を改正する法律案(
内閣提出第三六号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/0
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001・中村幸八
○中村委員長代理 ただいまより通商産業委員会を開会いたします。
本日は私が委員長の職務を行います。
まず輸出信用保險法の一部を改正する法律案について質疑に入ります。質疑は通告の順に従い、順次これを許します。小川平三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/1
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002・小川平二
○小川(平)委員 議題となつております輸出信用保険法につきましては、制定の当初から将来適当な機会に愼補リスクの範囲を擴張して行くべきであるということが要望されて参つたわけでありますが、今回当面喫緊の問題であるところのプラント輸出促進のための改正が提案されましたことは、まことに時宜にかなつた措置であると存ずるのでございます。そこで法律案につきましてお尋ねをいたします前に、このプラント輸出に関連する問題、それからまたこのプラント輸出のいわばバツク・グラウンドにある問題とでも申しましようか、そういつた問題についてまず一、二お呼ねをさせていただきたいと存じます。次いで法律案自体についてお尋ねをいたしたいと存じておるわけでございますが、時間を節約いたしますために、一括してお尋ねを申し上げることにさせていたたきたいと存じます。
このプラント輸出につきましては、昨年の一月から年末までの輸出総額が三千万ドル以上に上つておつたと承知しておりますが、本年度に入つてから次々と国際ビッドより落伍しておる。実績もこの八月末で一千万ドルをわずかに越える程度というように、非常に激減いたしておるようであります。いずれの品目をとつてみましても、国際価格にさや寄せをするためには、三割あるいはそれ以上の価格の引下げが必要であるという実情であると聞いておるのでございます。そこでこのプラント輸出と総称されておるところのいろいろな品目のコストの六、七割を占めておるといわれておる鋼材価格の引下げの問題が、過般来いろいろと論議をされておるのでありますが、これにつきましては、鉄鍋メーカーにおいてプラント輸出に際しては、輸出価格を参酌いたしまして、個々の話合いで適当に値引をしておるのでありますが、さらに根本的な対策としていろいろな提案がなされておる。これに伴つて種々の論議が行われておるのであります。二重価格制を採用すべきであるとか、補給金を実施すべきであるとか、あるいは鉄鋼メーカーに自家用船を保有させるべきであるとか、こういつた議論が行われておるのであります。補給金と申しましても、均衡財政の建前からなかなか簡単には参らない問題でもございましようし、統制の問題とも関連をして来ると思われるのであります。いわゆる二重価格制にいたしましても、現在の情勢下にちりましては簡単に実行できない事情があると思うのであります。比較的容易に実行できる方法としては、鉄鍋メーカーに自家用船を保有させるべきではなかろうかと考えられるのでありますが、もとよりこの問題にいたしましても、資金面その他にいろいろな問題がある。この方法を実行するためには、充足しなければならないさまざまな條件があることと思われますので、これらの問題について政府はいかようにお考えであるか、この機会に詳細に承らしていただきたいと思うのであります。
それから第二の問題でありまするが、日英支拂い協定においてドル條項が撤廃をされました。そのかわりに大きな期待が寄せられておりましたポンドのいわゆる行政振りかえの措置が、必ずしも円滑に行われておらない。その結果といたしまして、最近急速に手持ちのポンドが増加をして来ている。このことが各方面で憂慮されておるのでありますが、こういつた事態がいかなる意味を持つておるかということにつきましては、ここで私がくどくどしく申し上げるまでもないことと思うのであります。適切な対策が講ぜられません場合には、結局ポンド地域に対する輸出の制限というような形で問題が解決されなければならない結果にもなる。いわば縮小した形で均衡が回復されるということは、もとより望ましいことではないと思うのであります。この問題につきましては過般も本委員会において通産大臣に対してお尋ねを申し上げたのですが、十分詳細な御答弁をいただくことができませんでしたので、この機会にお尋ねをいたしたいのであります。当局においてはもちろん鋭意対策を御検討のことと思われまするし、新聞等にもいろいろ報道されておりますので、この点につきまして詳細に、具体的にお考えを承らせていただきたいと思うのであります。
次に法律案について二、三お尋ねをいたしたいのであります。冒頭に申し上げました通り、このリスクの範囲を擴張して行くという要望が当初から強かつたのであります。これに対して今回プラント輸出に対してかような改正が提案されることはまことにけつこうなことと存じますが、しかし言うまでもなく、輸出の増進ということが現下の情勢においていわば至上命令でありますからには、もとよりこの程度の改正をもつてしては十分満足することはできないと思うのであります。イギリスその他に多くの例もあり、また各方面からも強く実現を要望されているいろいろの保険で、この機会に取上げらるべき多くのものがこの改正案に漏れていることははなはだ遺憾にたえない次第であります。もちろんいろいろな事情を考慮されてのことと存じまするけれども、少くとも見込み生産に対する保険、農水産物その他生産の時期と販売の時期とに時間的なずれがあるので、どうしても見込み生産を必要とする商品については、これに伴う危険を填補する保険が必要なのではないか、あるいはまた市場の調査、広告、宣伝費に要した費用が回収されない場合に対する保険、こういつたものは今後輸出品の販路を開拓いたして行きますためには、相当に腰をすえた組織的な対策がなければならないことは当然でありまして、英国等でもすでに実施しておりますから、この種の保険はぜひとも実現をしていただきたい、かように考えるのでございます。少なくともただいま申し上げました見込み生産に対する保険、あるいは販路の開拓関係の保険、こういつたものは今回の改正に取入れてもらいたかつたのでありますが、近い将来にこれが実現をはかる御意思を持つておられるか、この点を伺いたいのであります。
それからプラント輸出につきましては、取引が通常非常に長期間にわたりまする関係上、為替相場の変動による損失を補償する何らかの方法がどうしても必要ではないかと思うのであります。これに関連いたしまして、プラント輸出については、従来から特に一箇年の長期予約が認められているのでありますが、プラント輸出は言うまでもなく、その性質上どうしても積出しが遅延しがちになる。この際さらに期間を延長してもらいたいという要望が業界等で非常に強いようであります。また予約の延長に際しては、一箇月前にならないとその手続ができない、その際レートもそのときのレートによる以外は認められない、こういう方針をとつておられる由でありますが、少くともこのレートは現予約の條件によつて延長すべきではないだろうか、かように考えますが、この点についてどうお考えになつておられるか承りたいのであります。
また現行制度によりますると、契約金額の八〇%をもつて保険金の限度としておられるようでありますが、実際問題として、少くとも積出し後は一〇〇%に引上げるべきではないだろうかと考えるわけでございますが、これらの点についてお考えを承りたい。
以上一括してお尋ね申し上げましたが、それぞれ担当の方から御説明を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/2
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003・葦澤大義
○葦澤説明員 プラントの輸出促進につきまして、御指摘になりましたように、プラントの国際価格に対しまして日本の国際価格が割高でありまして、二、三割方値引きをしないことには海外市場において競争ができないような実情であつたのであります。それの根本的な対策としまして、イギリスとかベルギーにおいてすでに実施されております輸出価格と国内価格との間に差異を置きまして、国内価格を安くすることによつて、輸出しまするプラントの値段を安くしようというような海外の例から見ましても、鉄鋼について特に値引きの問題が出て参つたことは御指摘の通りでございます。ただこれが対策につきまして、補給金なりあるいはその他の国家資金の援助によりまして、このつじつまを合せるようなことは、現在の財政状態においては困難であることも御指摘の通りであります。鉄鍋業が、高い鉄をつくる理由としまして、遠く海外から輸送費を多額に費して運んでいる関係がありますので、この運賃を節約するというような面から、これの対策ついて、われわれといたしましてもいろいろ考えをめぐらして参つたのであります。何分にも安い船を入手することが先決でありまして、具体的な問題として出て参りましたのはりバテイ船の譲渡についての話でありまして、それの條件をいろいろ検討してみたのでありますが、何分にも船価の割高の状況から、現在太平洋を年五回転という計算をしまして、どうしても九年半くらいな償却になりまして、それ自身から船運賃の節約ということが多額には出て参らぬような状態で、具体的のものは目下見つからないような状態であります。新聞の報ずるところによりますと、アメリカにおいてリバティ船の譲渡につきまして特別な法律を出すようなことも報道せられておるのでありますが、そういうことによつて、リバテイ船が安く入手できるようになりましたならば、端的に御指摘のような買船による、製鉄業者あるいは製鉄業者の関係する船会社の船の直接の運営によりまして、運賃のセーヴによつて鉄鋼の値段の引下げができるわけであります。なお具体的な、船価の有利な買船というものについて探しているような状態であります。ただこういうような状態で荏苒日をむなしゆうして待つわけにも参りませんので、業界の間におきましては、商売の話合いによりまして、鉄鋼の売り渡し條件としまして、現金の支拂いを半分してくれるならば何割引く、あるいは三箇月手形拂いのものを一箇月手形拂いにしてくれたならば何分引くといつたような、支拂い條件の状況によりまして、その間に鉄鋼の値引きというようなことが―実際上鉄鋼から見ましたプラントの重要性という点から、鉄鋼業界においてみずからそういう措置がとられておりまして、これも相手のプラント・メーカーの信用状況というものにも依存するわけでありまして、一概にすべてプラント物については何割引というようなわけには参りませんが、そういつたような努力によつて、値引きが現実に行われておるわけであります。と同時に、何と申しましても、鉄鋼みずからの合理化によりまして、鉄鋼のコストの切下げが必要なことは当然のことでありまして、三箇年計画をもちまして、鉄鋼合理化計画というものの本年度第一年度の出発点として推進をしておるわけでありますが、この合理化計画が達成されました場合には、大体二割ぐらいのコスト切下げが実現されるのではないかというような見込みをもつて、この達成に邁進いたしておるような状況であります。現状を御説明申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/3
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004・井上尚一
○井上説明員 小川委員からいろいろ御質問がございました点に対して、お答えを申し上げたいと思います。
第二点の、日英支拂協定の実施段階に入りました今日において、わが国のポンドの手持ちがますます増加の傾向にある、こういう現状にかんがみて、今後スターリング地域との貿易上、何らか輸出の制限その他の調整を加える考えはないかという御質問でありまするが、この点につきましては、現状は仰せの通りでございまして、われわれ通産省といたしましても、今後のスターリング地域とわが国との貿易の健全なる発展という観点より、いろいろ構想をめぐらしておるようなわけであります。この方法等につきましては、ポンド地域に対する輸出の制限ないしは調整ということも確かに一案ではあろうと存じまするが、今日までの通産省の考えとしましては、そういう消極的な手ではなくて、むしろポンド地域からの輸入原材料を初めとしまして、商品につきましての輸入を大幅にこの際推進するごとによりまして、ポンドの手持ち増加という問題に対処して参りたい。さような方向で問題をいろいろ考えておるわけであります。この方法につきましての詳細な内容は、今日の段階としましては通産省としましてもいまだ正式の決定というところまで参つておらないのでありますが、今申しましたように、かなり多くの物資ないしは商品につきまして、自動承認制を適用することにより、これの輸入の大幅緩和を考えますると同時に、今日貿易上最も重要な問題は、言うまでもなく金融でございますので、ポンド地域からの輸入の促進上、これの裏づけとなります金融面におきましても十分適切なる手を打つて参りたい。そういう構想をもちまして、今具体的な細目につきましても研究を進めておるようなわけでございます。
次に第三点の御質問といたしまして、今般の輸出信用保険法の改正の機会に、見込み生産保険ともいうべき―特に農水産物等については、その現実の輸出の時期と、当該輸出商品としての農水産物の生産ないしは集荷加工の時期が、相当タイムラッグがある、そういう点から、農水産物の貿易につきましては、金融上あるいはその他の面から非常に危険が多い、こういう重要貿易商品について、この際見込み生産保険というものを考えた方がいいのではないかという御意見、まことにごもつともであります。われわれとしましても、そういう問題につきまして十分研究をしたわけでありまするが、農水産物等を対象としまして、あるいはこれ以外の商品につきましても、そういう現実の生産、集荷、加工の時期と当該商品の輸出の時期との間に時間的ギヤツプがあるような商品、ないしはその他一般的に申しまして、この際貿易振興、輸出振興という観点から、輸出金融全般につきましてこの輸出信用保険制度に全面的な改正を加えるという構想をここに加味してみたい。そういう考えをもつて、戦前には輸出前貸損失補償制度というのがありまして、相当貿易振興上貢献が多かつたという点に徴しまして、この際貿易業者に対しまして金融機関が融資をいたしました場合に、当該金融につきまして輸出金融保険というものを制度として考えてみようということで、実は一案を得ておるようなわけであります。それからなお海外の新市場調査あるいは新市場ないしは新商品につきましての宣伝、そういう経費についての保険についてもこの際考えたらどうであろうかという御意見もきわめてごもつともでありまして、そういう貿易振興に必要なる経費を投じ、当該商品につきましてこれを現実に輸出をしました場合に、その結果その投じた経費の回収が十分でないということによつて生ずる損失のカバーを、この際輸出振興の費用保険というような名目でもつて、本輸出信用保険制度の一環としてやる、こういう方法もこれに追加して考えてみたいという問題につきましても、実は一案を得ておるのでございまするが、今回の輸出信用保険の改正の重点はプラント輸出の推進という点にあります関係上、プラント輸出の促進という面につきましては、一日も早くこの法律の改正を行い、このプラント輸出につきましてこれを適用して参る緊急の必要がございます関係上、大体十二月一日を期してそれの施行に入りたいということをわれわれとして考えておりますので、今申しました見込み生産保険ないし輸出促進費用の保険につきましては、来るべき通常国会におきまして一層大幅な輸出信用保険制度の改正を考えまして、今御指摘のような問題についての構想をも加えての輸出信用保険法の全面的改正法律案をわれわれとしてぜひ提案いたして参りたいというつもりでもつて、目下いろいろ準備を進めつつあるということを御了承願いたいと思います。
それから次の御質問の点でありますが、プラント輸出は代金決済が長期間にまたがる場合が多い、ついては為替相場変動に伴う損失のカバーについて十分政府としてこの際方法を講ずることが必要であろう、この点もまことにごもつともでございまして、われわれといたしましては、一箇年の為替予約期間の延長、さらに長期間にまたがりましての為替相場変動の危険をカバーし得るような何らかの方法を考えてみたいというので、先般来通産省といたしましては、大蔵省及び外国為替管理委員会当局の方ともいろいろ緊密な連絡をとりまして、そういう方向で目下研究いたしつつあるわけでありますが、今日までの段階では、遺憾ながらまだ具体的結論に到達しておらないのであります。なるべく早くこの問題の解決につきまして、成案を得たいということを通産省としては考えております。
それから最後の御質問の点でありますが、今般提案の乙種保険におきましては、当該輸出契約金額の八〇%の範囲内においてその保険制度を利用し得るようになつておる、この制限は適当ではない、少くとも船積み後における危険については、その頼出契約金額の一〇〇%をカバーすべきではないかという御質問でありますが、この問題につきましては、実は貿易業者の側におきましても、当該契約につきまして、相手方についての必要な信用調査を十分に行つて参る必要がございますことは言うまでもないのでありまして、その意味における健全な貿易の発展という観点から申します場合には、やはりある程度の契約についての責任を輸出業者においても負担するという建前の方が、かえつて適当ではないかと存ずるわけでございます。しかしながら八〇%という率が最も妥当であるかどうかにつきましては、われわれといたしましても現在研究をいたしておるのでございまして、先刻申し上げました来るべき輸出信用保険制度の全面的改正の場合には、できればこれを八五%ないしはそれ以上に率をなるべく引上げて行く方向に通産省の事務当局は考えているわけでありますが、今回の提案につきましては、従来の甲種保険におきまして同様に八〇%という填補率に相なつている関係上、一応甲種保険の例にならい、乙種保険の場合においても契約金額の八〇%をその限度とすることにいたしたわけであります。
なお英国は、輸出信用保険制度につきましては従来かなり長期間の経験も積み、相当この制度の内窓についても進歩したものを持つているのであります。英国の輸出信用保険制度についてその前例を申しますれば、非常危険の場合においては損害の愼補率は九〇%となつており、そしてバイヤーの破産あるいはバイヤーの債務の不履行というような場合につきましては、愼補率が八五%になつている。こういうような英国の前例をも参考としまして、次の大改正の場合には十分研究を進めたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/4
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005・稻垣一吉
○稻垣政府委員 ただいまの御質問の中で為替予約期間をプラント輸出について一箇年以上にしていない点は非常に不備であるという御質問であつたのでありますが、ただいま井上振興局長からお話いたしましたように、長期の輸出の為替の予約を一年以上やるかまたは別の制度でやるか、とにかく長期輸出為替のリスクをどうするかという問題について大蔵当局と外国為替管理委員会、通産省とで協議をしているところでありまして、一年以上現在の制度で今やつておらない理由は外国為替資金特別会計で持つておりまする円が制限されておりますので、長い期間にわたつての予約は国家財政の面からも現在のところは受けておらない次第であります。
それから過剰ポンド対策については通産省の井上振興局長からお話になりましたので、大体おわかりのことと思いますが、もし具体的に何かありましたら、御質問願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/5
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006・中村幸八
○中村委員長代理 関連質問があればこれを許します。―南好雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/6
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007・南好雄
○南委員 ただいま政府当局から、改正案の提出理由としてプラント輸出の促進にあるということをお聞きしたのであります。しかし最近の鉄鋼関係の輸出の状況を見ておりますと、むしろプラント輸出というようなものはほとんど影をひそめまして、逆にプラント輸出の原料になつております鋼材そのものが、世界各地から引合いがあるように見受けられるのであります。私の申し上げることが間違いであればこれに越したことはないのでありますが、別に本法案を提出したことが悪いというのではないのであつて、その根源にある鉄鋼政策についての御検討が少し足りないようにも見受けられるのであります。御承知の通り輸出の最後の目的は、鉄鋼の輸出よりも、よい最終製品を輸出することにあるのであつて、今御指摘のように、プラント輸出ができれば一番よいのでありますが、むしろその原料になつておりますものが輸出されておる。こういう状況についての政府当局の御所見は一体どういうところにあるか、ちよつとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/7
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008・葦澤大義
○葦澤説明員 最近の鉄鎚の輸出状材につきましては、ただいま御指摘になりましたような傾向が現われております。たた鉄鋼を原料といたしましてプラントなり、機械なりが輸出されるということはきわめて望ましいことでありますが、国内のそういう需要を圧迫しない限りにおいて、鉄鋼それ自身として輸出されるということは、鉄鋼の生産の上から申しまして、必ずしも妥当を欠くものではないというふうに思います。ただお話のように、鉄鋼の値段が高いがために、プラントとしてさらに加工されまして輸出される費用が多くなるという点を御指摘になつておるのだと思います。もちろん鉄鋼のサイドにおいてもコストの切下げをしなければならぬという点は、先ほど申し上げました通りでありますが、鉄鋼のみならず、やはりプラント・メーカーのサイドにおいても、合理化によりまして両々相まつてコストの切下げということが実現されまして、プラントの場輸出増進ということがはかられるというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/8
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009・南好雄
○南委員 結論においては、私は政府当局と同じような考えを持つておりますが、最近のこの輸出状況から考えてみまして、大体鉄鋼そのもの、鋼材そのものが輸出されて、それを原料とする機械メーカーなり、あるいは造船メーカがむしろ工場を遊ばしておるというような状況をしばしば聞きますと、鉄鋼材そのものの将来を考えまして、まことに憂慮すべき状況ではないかと思うのであります。結局そういう現象は、私の見るところによりますと、わが鉄鋼業がいわゆるたまたま世界情勢を反映いたしまして日本の市場だけがフリー・マーケットとなつておるのであつて、鋼材の引合いは一時的の現象としてあるのだ。こういうふうに考えられておるのでありまして、こういう現象は、むしろ日本の鉄鋼業の将来にとつてはまことに憂慮すべき状態ではないか。さらに深くつつ込んで参りますれば、今日日本の鉄鋼業のコストは一体どのくらいにあるのか。また将来、鉄鋼業はどのくらいの生産量を持つておれば、またどれくらいのコストにしたならば、プラント輸出だとか、あるいは輸出造船一杯の供給ができるのかという問題について、ひとつ政府当局の御所見をお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/9
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010・葦澤大義
○葦澤説明員 現在のプラント輸出の国際水準価格として想定してあるものは、物によりまして違うのでありますが、大体二、三割方日本のプラントが高いのであります。従いましてこれを二、三割方引下げることが必要になつて参るかと思いますが、二、三割の引下げ方につきましては、ただいま申しましたように鉄鋼も、またプラント・メーカーも、ともに合理化によりましてコストの引下げをする必要があると思うのであります。鉄鋼といたしましては、鉄鋼の三箇年合理化計画というものを今年度スタートいたしております。概算でございますが、六百三十億の資金をもちまして、合理化の達成によつておおむね二割程度のコストの切下げが実現できるというふうに見ているわけであります。ただこういつた問題も、ただいまのお尋ねの中に御指摘に相なつておりますように、どのくらいの鉄鋼生産数量が将来見込まれるかという問題と密接な関連があるようでありまして、昭和二十七年度ないし二十八年度という、その両三年くらいの鉄鋼生産予想数量はどうであるかということが重要な問題になるわけでありますが、まだ確定的な政府部内の一致した数字というものに到達いたしておらないのであります。来年度の目標といたしましては、検討する試案として、今年度の四百五十万トンないし五百万トンというような範囲内において目下検討をいたしている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/10
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011・南好雄
○南委員 政府当局のお答えによりますと、大体三年かかつて二割合理化するというお話でございますが、三年後において二割ぐらいコストの切下げができますと、現在においてのプラント輸出が可能であるというのでは、その三年間を一体どうやつて機械メーカーなり、輸出造船メーカーがやつて行けるかという問題になつて来るのであります。合理化をやつていただくことは大いにけつこうでありますが、それは非常に間の抜けた考え方ではないか。今日一体どうすればよいのかということをお聞きしておるのであつて、最近の鉄鋼業の状態を見ておりますと、四百五十万トンの鋼材を内地で消化することができずに、しかもその供給が日本の工業力を養う必要に使われずに、鋼材そのものが輸出されている。反面において、鉄が非常に高いために、機械メーカーが工場経営に非常に四苦八苦している。こういう現象をどういうふうにお考えになつておるのか。大臣も御出席ですから、もう一つつつ込んで御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/11
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012・高橋清治郎
○高橋国務大臣 最近の鉄の輸出の債向につきましてはただいま御指摘になつたような傾向は、私も認めます。またこれが材料、原料として輸出されて、日本の機械工業あるいは造船工業に国際価格より非常に高い鉄を使用しなくちやいかぬ、そういう面に非常に悪い影響があるという御意見のように承つたのですが、それも私は認めております。ただ将来の政策としては、ただいま局長がお話したような、あるいは安い鉄鉱石を輸入するとかいうようなことで、相当価格は下つて行くのだと思います。御指摘の最近鉄材の外国からの引合いが非常にふえて来たといことは、一両に外国でのコストがだんだん上向いておるという証拠にもなります。ただいまのところではやはり増産に努めますれば、現在くらいな輸出では、国内の場合には大してさしつかえはないのでありますから、現在のところではこれでいいのではないか。製品になつて輸出することが望ましいけれども、鉄材として輸出されましても、相当の利潤があるわけですから、業者としてもそれを望むわけであります。しかし御指摘のように弊害がもつと大きくなれば、何とか輸出を押えるような政策をとらなければいけないと私は考えております。国内で消費する機械あるいは造船用の鉄の価格は二重価格というか、業者とだんだん交渉をして、今一割五分くらいな値引きをすることは、業者も内増しております。また実行されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/12
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013・南好雄
○南委員 私は最近の輸出状況で、鋼材を輸出すると、内需が圧迫されるということを憂えて御質問を申し上げておるのではないのであります。むしろそうなれば量的の殖産を、為替の許す限りにおいてやつて行けばいいのであつて、それは決してわが国工業全体を通じてさしつかえのある問題でない。私の心配しておるのはこういう点です。つまり鉄工業自身はそれでいいかもしれぬが、鉄工業と関連して、鉄工業を養つて行く、基盤になつておる機械工業や造船工業が参つてしまわぬか、こう申し上げておるのであつて、つまり鉄鋼政策の面においては、絶えず内地の状況を考え、その上にさらに鉄鋼を原料として、その製品を輸出して行けるような鉄鋼政策をやつて行かなければ、日本のため百年の悔いを残すものではないか。こういう見地に立つて大臣に御質問しておるのである。現在テムポラリーの鋼材だけが輸出されて、それが内需を圧迫するかどうかということを心配して御質問を申し上げておるのではないのであります。私は遠まわしにだんだん結論を出そうとして質問しておるのでありますが、私のほんとうにお聞きしたいことは、端的に申すと、もつと鉄鋼価格を狭くして、もつとコストを引下げるような政策を考えて、内需も十分にやつて行けるし、輸出も十分にやつて行けるような状態に持つて行くのが、鉄工業の将来にとつても、わが国全般の工業にとつても望ましい状態なのではないか。そういうふうに持つて行くのが、この際最もとるべき策の得たるものではないか。これについての通産、当局としての対策をお聞きしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/13
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014・高橋清治郎
○高橋国務大臣 鉄のコストを下げる、そのために現在非常に支障になつておりますのは、鉄鉱石、あるいは粘結炭にしても、アメリカから輸入しておるという状況でありますが、これをどうしても原料が日本の製鉄業者に安く供給される方法を考えて行かなければならない。これが第一でありますが、われわれはそういう方に非常に努力しております。たとえばゴアの鉄鉱石を入れますとか、日本の製鉄工場の設備がいかにも老朽化いたしておりますが、これをその方の合理化で攻善し、コストを下げるということに努めております。あるいは御質問の趣旨が、ときどき問題になつております補助金を出す考えはないかという点もお考えになつておるのでありますれば、ただいまのところ当局としては補助金を出す考えはありません。ほかの方法でコストを下げることに努めて行きたいと考えております。現在のところわれわれの考えておりますのはかようなところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/14
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015・南好雄
○南委員 私は補助金をさ出ずにコストを下げる方法をお聞きしておるので、国家財政の上においては、この際補助金などは出すべきでないと私も考えます。補助金を出さずに、しかも鉄工業も助かり、これを原料、材料として立つておる機械工業も助かり、造船工業も助かる方法を大臣にお聞きしておるのであります。この際その方法を、もう少しはつきりと具体的におつしやつていただけばそれでけつこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/15
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016・高橋清治郎
○高橋国務大臣 その方法をここではつきり明言せいという御注文ですが、その方法が非常に困難なので、当局は苦心をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/16
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017・小川平二
○小川(平)委員 先ほど来の御説明を了承いたしました。なお補足的にお尋ねしたいことがございますが、質疑の通告者がたくさんありますのでこの程度で打切らしていただきます。
ただ一つキャンセルに関する保険でありますが、先ごろ風早委員からも希望の開陳があつたのでありまするけれども、この問題につきましては、この法律の制定当初から、各方面から強い要望が示されておつたようであります。これが急速に実現できない理由としては、当時はいわば盲貿易の域を脱していない状態でありまして、バイヤーとの間になれ合いが行われる危険があるということが主たる理由であつたように承つておるのでありますが、今日では当時とは非常に趣を異にしておるわけであり、いわば貿易の自主性も大幅に回復をされておるのでありますから、私はぜひとも近い将来に、次の機会において、キャンセルによる損害を填補する保険を実現していただきたい。このことを希望いたしまして、質問を終らしていただくことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/17
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018・中村幸八
○中村委員長代理 次は高橋清治郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/18
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019・高橋清治郎
○高橋(清)委員 ただいま議題となつております輸出信用保険法に関しまして、たくさんの委員から質問の申出があるようでありますから、私は簡単に左の二点についてお尋ねをいたすことにいたします。
今日輸出信用保険審議会は、通産大臣の諮問に応じて、輸出信用保険に関する重要事項を調査、審議することになつておりますが、この法案の制定以来の審議会の運営の経過をひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/19
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020・井上尚一
○井上説明員 輸出行用保険制度運用に関しまして、輸出信用保険審議会の今日までの運用の経過についての御質問でありますが、今日まで回数としまして大体五回程度開催いたして参りました。この審議会は言うまでもなく輸出信用保険に関する重要事項の調査、審議ということが任務と相なつておりまするが、これを詳しく具体的に申しますれば、輸出信用保険法に伴いましての政令案、すなわち、たとえば保険料率の問題であるとかいうような重要事項で、政令に規定する事柄でありますので、そういう政令案の審議、あるいは約款―言うまでもなく実際の契約の締結にはこの法律以外に、普通保険約款というものが、もちろん必要なわけでありますが、これは実際上むしろこの保険契約の実体をなすべきものでございますので、そういう約款案につきましても、この審議会に諮つておりますし、なお今回の輸出信用保険法中一部改正の問題につきましても、先般この審議会に付議しまして意見を徴しましたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/20
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021・高橋清治郎
○高橋(清)委員 本法案の逐條説明はおありになつたのでしようが、ちようど私は欠席して、お伺いいたしませんでしたが、今度の改正案に、新しく乙種保険を設けた理由、それから政府が直接契約を行うことによつて生ずる利害得失、その点をお答え願いたい。また輸出信用保険は長期にわたる取引の決済のため瀬定した制度であり、特にプラント輸出の振興に寄与すべきものであると考えますが、この乙種保険の対象には限界があると思います。従つて輸出貨物の範囲はどのように考えておられるか。その所見を、品目等を具体的にあげてお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/21
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022・井上尚一
○井上説明員 御質問は三点にわかれておつたかと存じますが、その第一点の乙種保険を新たに設けた理由についての御質問であります。これは先般通産大臣の方から本法案の提案理由の御説明を申しました場合にも十分述べられたわけでございますが、現行の輸出信用保険におきましては、相手国の為替の制限であるとか、あるいは輸入の制限であるとか、あるいはわが国の輸出の制限ないしは禁止であるとか、あるいは戦争とか暴動とか内乱とかいうような、申さば政治的、行政的の非常危険に基く損失をカバーしようというのが、従来の輸出信用保険制度でございますが、最近わが国の貿易上重要な問題となつて参りましたプラント輸出は、今後東南アジア地域の開発計画の進捗に呼応しまして、あるいはまた南米方面の経済の発展に関連しまして、わが国からの生産財の輸出はますます比重が大きくなつて参るわけでございます。普通の貨物の輸出の場合におきましては、すでに御承知の通りに取消し不能の信用状の開設ということで、当該輸出商品の代金請求権はほとんどその危険がカバーし得るわけでありますが、プラント輸出の場合におきましてはその代金決済方式が特殊の方法による場合が多い。その代金の弁済が二年、三年にまたがる、そういう弁済の方法の条件がございましたり、あるいはゴア鉄鉱石のような例では、代金決済の方法といたしまして、鉄鉱石のおうな現物、すなわちこちらの方から鉱山開発用の機械を輸出して、そして当該機械によりまして鉄鉱山を開発して鉄鉱石を生産し、この鉄鉱石を日本に持つて来る、その鉄鉱石というような現物で代金弁済をやるような非常に特殊な決済方式が少くないわけであります。バイヤーの方に資金が十分でなく、同時にこういう機械類につきましての売込み上、各国間に激甚な競争が行われておる今日の現状を前提として申します場合には、特殊な決済方式によりまして、相手側に長期の信用を供与することがどうしても必要な場合が生じて参ります。こういう場合におきまして、バイヤーの破産でありますとか、あるいは相手方の債務の不履行でありますとかいう危険がどうしても伴つて参ります関係上、生産財の輸出を今後政府といたしまして促進して行きたいという方針上、当然そういうプラント輸出に随伴して参ります各種の危險を十分カバーするような保險制度をこの際新たに考える必要があるというのが、今般乙種保険としまして、プラント輸出をその対象とする新種保険制度を考えました理由であります。
第二の御質問の保険契約を政府が直接行うという問題についての利害でざいますが、従来の輸出信用保険制度におきましては、民間保険会社がエキスポーター等と保険契約を締結し、政府が損害保険会社に対しまして再保険契約を締結するというのが従来のやり方で、ございましたが一今度の乙種保険におきましては、ただいま申し上げましたように、買手側の信用調査でありますとか、あるいは保険引受けの内容の可否についての審査を、政府が直接責任をもつて行う必要が生じて参る関係上、保険契約の締結につきましても、あるいはまた損失の査定等についても、これら一連の保険に関しまする業務を政府において直接行う方が適当であるということを、政府の方としましては考え、またこういう方法について、先ほど申し上げました輸出併用保険審議会――この審議会には損害保険業界の代表も加えられているわけでありますが、この審議会に、政府直接保険とふうことについての適否を問うたわけでありますが、今回のこの新しい乙種保険については、やはり政府が直接行うことがむしろ適当であるという結論に相なりました関係上、今般こういう案をここに御提出申したようなわけであります。
なお、国の直営の保険事業ということになりますれば、従来の政府事業に往々伴いまする弊害としまして、サービスが悪くなるとかなんとかいうような事柄もあるいは生じようかとも存じますが、こういうような点につきましては、本法律案が国会の御審議を了しました上は、関係職員の訓練その他実務の遂行上において、保険契約者につきまして、この保険制度の本旨にもかんがみまして、そういつたサービス等の便宜の点につきましては、十分遺憾なきを期して参りたいと考えております。
それから最後に輸出貨物の範囲についての御質問でございます。これは途條審議の際にも申し上げたことでありますが、第五條の二に、「政府は、輸出者が、輸出契約に基いて政令で定める貨物」云々という言葉がございますが、先ほど来申し上げました通り、この乙種保険は、理論上はすべての輸出商品につきましても、これを適用し得るわけではありまするが、当面は、ただいま申しましたプラント輸出をその対象として実施を考えて参りたい。そういう意味で、この政令の中には、プラント類という範疇に入りますような、いわゆる機械設備、船舶、車両、そういう重機械につきましてこの制度の実施を考えておるようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/22
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023・高橋清治郎
○高橋(清)委員 日米経済協力のうちに、東南アジア開発は、資本の投下に先立つて長期契約を結ぶことが必要であつて、また中共貿易に依存しなくとも、東南アジアの開発でまかなうべきであるという基本線、東南アジアに重点を判然と示しておりますが、何かこれについて具体的な話合いがなされたかどうか、政府当局の御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/23
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024・井上尚一
○井上説明員 まことに恐縮ですが、今の御質問の御趣旨の、具体的に話合いがなされたかどうかということは、日本の側と東南アジア各国との間にその問題について話合いが進行しておるかどうかというふうに了解してお答えいたします。この点につきましては、東南アジア各国の方からも逐次こちらへミツシヨンが参りましたり、あるいはわが国の方から随時ミツシヨンを各国に対して派遣する。その一例としましては、先般もパキスタンに対しましては、工業の、ミツシヨンを出したわけでございますが、すでに東南アジア各国中には、わが国の在外事務所が設けられた地点がかなり少くないのでございます。具体的なるプラント輸出、工業開発計画に関連を有しまする機械類その他の商品についての本邦との貿易の問題につきましては、常時の機構としましては、ただいま申しました在外事務所を通じて各国の方と十分連絡を緊密にし、また随時そのときどきの必要に応じまして、官民の権威を網羅しましたミツシヨンを相互に交換しまして、この東南アジア開発計画の具体的な推進を鋭意はかつておるような状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/24
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025・中村幸八
○中村委員長代理 この際お諮りいたします。本会議との関係上、本委員会は一時休憩いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/25
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026・中村幸八
○中村委員長代理 それでは一旦休憩いたします。
午後三時八分休憩
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午後三時五十八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/26
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027・中村幸八
○中村委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。質疑を継続いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/27
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028・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 なるべく重複する点は避けて御質問いたしたいと思いますが、まず第一にこの輸出信用保険法は英国の輸出信用保険制度をならつてつくられたものであるというようなお話でございまするが、その点について先ほど英国の例を部分的にお話になりましたが、なお全般についてお伺いしたいことは、この填補の率の限度についてでございまするが、先ほど部分的にお話になりました点を全体についてなお御説明願いたいと思います。それから英国では予算をどの程度を計上しておるかというような点についても、御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/28
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029・井上尚一
○井上説明員 英国は先ほども申しました通り、輸出信用保険制度につきましては、相当の沿革と経験とを持つておるわけでございまして、私どもとしましても英国の制度運用の実態につきまして、できるだけの資料を収集して勉強を続けて参りましたのですが、ただいまの第二の点でございますが、予算の点はいかがになつているかという御質問につきましては、今日までわれわれが牧集しましたのは、英国の保険証券等が中心でございまして、英国でのこの保険制度実施につきましての国の予算あるいはその他の非常に重要なデータで、われわれのまだ把握し得ないものが相当多いような状況でございます。その点まだわれわれの方として不明であるという点をお許しを願いたいと存じます。
それから第一点の填補率の点ございまするが、先ほど申しました通りに、戦争とか、暴動とか、内乱とか、あるいは外国におきましての為替制限というような、いわゆる非常危険と申しますか、そういう場合におきましては、九〇%、それからバイヤー等相手方の破産あるいは債務の履行遅滞、不履行というような場合には、八五%ということになつているようでございます。なおこれ以外に、言いかえれば、従来の甲種保険と今度の乙種保険以外に、先ほど小川委員の御質問につきましてお答え申しましたように、輸出金融保険とか、あるいはいろいろな輸出の促進費用につきましての保険とか、そういうようなことを今われわれ事務局の方では研究中でございまするが、こういうような保険につきましての填補の率につきましては、いずれ本委員会にこの輸出信用保険制度の全面的改正案の内容としまして、先ほど申しました金融保険ないしは輸出促進費用の保険を提案申しました場合に、また個々の例等を引きましてお答え申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/29
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030・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 イギリスでもその補償の対象となるものの性質によつて率が違つておるようであります。そこでこの法律では、今度プラント輸出を対象として追加されたわけでございまするが、填補率は依然として八〇%になつておるのでございますが、この点は私はプラント輸出のような性質のものは、率が低きに失するのではないかと思うわけであります。この点は先ほども御質問があつたのでございますが、予算等の関係から考慮されたことと思うが、この点について政府は低きに失しないとお考えになるかどうか、また予算等の関係で、もしこの程度でやむを得ずとどめておいたというならば、将来この率を引上げられる意思があるのかということをお伺いいたしたい。
それからそれと同時にこの項に「政令で定める割合」とありますが、これは何か対象によつていろいろ率が違うという意味にとれるのでありますが、この「政令で定める割合」という項の内容についても御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/30
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031・井上尚一
○井上説明員 現在の填補率八〇%は妥当なものかどうかという御質問でございますが、この点につきましては、先ほども小川委員の御質問に対しましてお答え申しましたように、今回の乙種保険の場合には甲種保険の例にならいまして、一応従前通り八〇%という率を踏襲しましたわけでございますが、先ほど来申しますように、このプラント輸出に関連しましての、このたびの新種保険の追加に並行しまして、なお広範囲の本輸出信用保険制度の大幅な改正の機会には、この填補率の引上げにつきまして少くとも私ども通産省当局は、なお考慮いたしたいと存じております。
それから第二点の御質問でございますが、第五條の三の第二項において、「乙種保険の保険金額が保険価額に百分の八十の範囲内において政令で定める割合」云々という條項がございまして、一応法律の規定では百分の八十を限度とする。そうしてその範囲内で政令できめるという書き方でございますが、政令案としましてわれわれ準備中のものは、この第五條の三、第二項の割合を百分の八十きつかりとしたい、そういうつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/31
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032・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 本法の改正に伴う予算の点でありますが、幾ら計上しておられますか、それをお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/32
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033・井上尚一
○井上説明員 従来この輸出信用保険制度の基金は十億でございましたが、今回補正予算によりましてもう十億、すなわち合計二十億を用意いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/33
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034・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 この資料にあります保険事故の支拂い金額が合計一億五千万円ですが、これは一体どういう理由のものであつたか。填補せられた場合の理由のおもなるものについて説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/34
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035・井上尚一
○井上説明員 従来の輸出信用保険契約によりましての保険金の実際の政府の方からの支拂額は二億五千万円程度でありますが、これの大部分は、中共向けないしは香港向けの船積み禁止という措置を政府が講じました結果でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/35
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036・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 今度の乙種保険は、プラント輸出の場合でありますから、非常に長期支拂い契約になるという御説明でございましたが、そういうような点を考えますと、この際、今までの実際の支拂い金額は予算よりも少かつたようでありまするが、これは非常に多額に上るのではないかというふうに考えられるのであります。その点十億で事が足りるとお考えになるのか。今までの状況から考えて、今では主として中国向けであつたということでありまするが、今度は多くは南方諸地域にわたるであろうと思われますが、そういうような條件を勘案いたしまして、十億の増額で事が足りると考えるのか。本年度はこれだけであるが、来年度はさらに増額するというのであるか。その辺の御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/36
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037・井上尚一
○井上説明員 今回のプラント輸出につきまして、われわれが昭和二十六年度分としまして一応歳入を見込んでおります金額は、大体結論としまして十六億程度でございますが、これの計算の根拠としましては、今日まで具体的のプラント輸出としましてすでに契約として決定になりましたもの、このきまりました契約につきまして、その輸出後の信用供与の金額が大体約九億五千万円でございます。それからこのほか現在商談中の契約につきましての信用供与の額が、大体約三十億程度と考えております。このうち年度内に契約が終了し、年度内に今度の乙種保険に加入するものが大体その半分、すなわち約二十億というふうに考えております。結局保険金額は契約金額の八割ということが限度になつておりまする関係上、この契約締結の結果、政府の責任の額は大体十億というふうに見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/37
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038・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 そこでプラント輸出となりますると、やはり資金の問題が非常に重大な問題になつて参りまするが、この点で現在まで大きな障害があつたことはしばしば新聞等にも報道されておりますが、いわゆるプラント輸出の促進をはかられる上から、こうした保険制度を設けられたことは、要するに車の片方だけができたのであつて、長期資金の融通の問題が考慮されなければ、車の両輪にならないと思うのでございまするが、その点どういう用意を持つておられるか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/38
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039・井上尚一
○井上説明員 プラント輸出の推進上これの裏づけとなる金融がきわめて必要であるという御見解、まことにごもつともであります。この点につきましては、政府はさきに日本輸出銀行法の御審議を国会にお願いし、これの制定、公布によりまして、本年の二月一日に日本輸出銀行の発足を見たわけであります。この輸出銀行の機能を通じまして、プラント輸出を対象としての長期資金の供給の道を講じて参つたわけでございます。今日までの輸出銀行の業績の概略を申しますと、二月一日発足以後九月末までの営業状況としましては、融資承認件数が全部で五十件、輸出契約金額が総額百二十四億、この契約につきまして融資の申込み金額が六十四億、実際融資の承諾額が五十二億、融資の実行になりましたものが四十六億、大体そういうような状況に相なつております。われわれとしましては、この日本輸出銀行の機能を通じまして、従来プラント輸出の振興上相当寄与するところが大きかつたと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/39
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040・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 私はさらに今後の輸出の仕向地等について具体的に承りたいと思うのでありますが、それに先だつて一つ承りたいことは、九月十七日に発表されましたGHQの覚書によりますると、対中共貿易は、日本政府の責任できめられる、特に繊維品の輸出を中心として行われる、こういうことであつたようでございます。それで一方中共よりの工業原料の輸入が期待されるということでありましたが、その後この期待は単なる期待にすぎなかつたという結果に今日なつておるようでございます。それは一体どういう事情によるのかということを御説明願いたいと同時は、今後この中共貿易、もちろんいろいろな国際情勢によつて制約は受けておるでありましようけれども、こうした覚書によつて日本の自主性において行われまする中共貿易を実際に促進いたしますために、政府はいかなる構想を考えておられるかという点について、一応承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/40
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041・井上尚一
○井上説明員 中共貿易についての御質問でございますけれども、実はこの問題につきましては、担当の通商局次長が先ほどまで参つておりましたが、今ほかの委員会の方に行きました関係上、私からお答え申し上げることは必ずしも正確を期し得ないかと存じまするが、一応私の了解しておりますところでは、わが国貿易としまして中共貿易の健全なる発達を期待するという点につきましては、政府も同様な考えを持つておるわけでございます。しかし先方すなわち中共の方針としましては、一応輸入先行方式、向うがわが国からまず輸入をして後に中共から輸出をする、そういう方針を堅持しておる関係上、わが方との関係でいろいろ円滑に進行し得ない事情があるという点と、それからなお今日の行政のもとではいわゆる戦略物資ないしはこれに準ずるような物資につきましては、中共方面へのわが国からの輸出という問題は、当然おのずからなる制約がそこにあるというような関係でもつて、今日までの段階におきましては、中共方面との貿易が必ずしも円滑順調に進展していない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/41
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042・高橋清治郎
○高橋国務大臣 今の中共貿易は私は盛んになることを希望しておるのです。これはむろん民間貿易でありますから、民間から通産省へ承認を求めて来るのでありますが、現在ではそれが存外少いのです。御承知のようにGHQの書面というものもやはり繊維品にいたしましても條件がありますし、あるいはタイヤなどに使うようなものは禁ぜられておりますし、鉄なども禁ぜられておるのです。実際に中共が希望しますのはとかくそういうような禁ぜられておるもの、通産省で承認が与えられないものが多いのです。もう一つ障害になつておりますのは、昨年までは日本の方からいつて輸入先行形式といいますか、バーター式ですけれども、日本へ中共からバーターで輸入して、それに対して輸出を承認する形式で実際行われておつたのですが、現在は中共の方から、中共からの輸入先行形式を強く主張しております。中共の方へ輸入をして、その見返り品を中共から日本へ送るというので、日本の民間の商人もそれに応じかねております場合が多いように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/42
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043・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 もちろん戦略物資は現在輸出ができませんわけですが、しかし私はそういう理由だけでなしに、やはり政府の努力が足りないという点もいろいろあるのではないかと思うのであります。特に先ほど来お話がありましたように、製鉄のコストが非常に高くなつた、安くするためには原鉱石を安いところから買う以外にはないというような、はなはだ簡単な大臣の御答弁でしたが、そういう点から考えてもやはりわれわれは、中共貿易の振興ということが大いに努力されなければならないと思うわけであります。鉄鉱石や粘結炭ばかりでなしに、他に大事な食糧の大豆あるい塩等についても、われわれは近くの中共地帯から輸入することによつて、あるいは基礎産業のコストの引下げとなり、あるいは国民生活の生活費の引下げが行われるわけであります。私は今そういう点について政府はどういう努力をせられるか、どういう構想を持つておられるかということをお伺いした。今の大臣の御答弁のこちらから売つてもいいところの注文が向うからないというようなことでは、私の質問したことの答弁にならない。そういう点で何かお考えがあるかどうかということを御答弁願いたい。
それから中共貿易について関係の深い香港貿易のことで、香港へ輸出したものが相当南方諸地域にも流れておるというような声を聞くのですが、支那大陸に何パーセントぐらい入つておるかというような点についてもあわせてお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/43
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044・高橋清治郎
○高橋国務大臣 中共から輸入したいものは、ただいま御指摘になつたような鉄鉱石、粘結炭、塩、大豆などは最も希望するところであります。日本の民間の貿易業者もわれわれ條件さえ整えば許可するのだからと言つて、それとなくあるいは直接間接に奨励しておるのですが、実際にはその許可申請の申出がはなはだ少いのです。
それから香港向けあるいはマカオ向けは相当出ておつたのです。これは事実はおそらく中共に入るものなのでしよう、ほかの国に一部が入るということも聞いておりますけれども。われわれは香港を通して中共貿易をすることは結局中間で搾取せられる面があるのであるから、直接的な中共貿易が盛んになることを期待しておるのであります。香港へ行つたものがほかの国へどういう割合で香港から出ておるかということは、ちよつと私御答弁いたしかねますが、いずれほかの者から御答弁をさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/44
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045・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 私はいろいろ具体的な点についで御質問をしておりますが、担当官がおいでにならないからというので、抽象論いわゆる推量、想像というようなことで御答弁になつたのでは、私は御質問申し上げる必要はないわけであります。これは重大な法案ですから、それゆえに政府はお出しになつたわけだろうと思います。ほかに重要問題もあるだろうと思いますが、私の御質問申し上げたことについては担当官が来て具体的に数字も示して御答弁を願いたいと思うわけでありまして、そういうような点についてはあとにまわします。
次に移りますが、私は今後の輸出特にこの法律と関係のありますプラント輸出仕向地について具体的に御答弁を願いたいのであります。今日南方諸地域の大部分がスターリング地域でありますがゆえに、先ほど来お話のいわゆるボンドの過剰で日本の輸出が思うようにならない現状になつております。それに対して先ほどできるだけ手放しで輸入をする方針をとつておるというお話でございましたが、一体どういうものをどこへ輸出する御方針でございますか、これは別に夜店の品物でなくとも御答弁ができると思いますから、その点について具体的に御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/45
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046・井上尚一
○井上説明員 プラントにつきまして今後どういう国にどういう機械をこちらの方から出すかという点についての御質問でございますが、これは今後の契約の引合いの問題でありますので、当方だけの一方的な希望通りの実現はあるいは困難であろうかと存じますが、昭和二十二年以降今日までにプラント類がどういう地域に輸出になつたかという従来の実績について申しますと、パキスタン方面には電気機械及び繊維機械、紡織機械、インドに対しては船舶、電気機械、繊維機械、紡織機械、フィリピンにつきましては、船舶、鉄道車両及びその他の機械、タイについては鉄道車両が大部分で、その他の機械、香港に向けては繊維機械、それから台湾、朝鮮方面にも鉄道車両あるいは通信機械というようなものが出ております。それから方向が多少違いますが、ノールウエー、デンマーク、フランス、ブラジル等に船舶が出ております。ソヴイエトには鉄道車両、船舶、そういう機械類が出ております。それからアルゼンチンに繊維機械、大体従来のプラント輸出の実績についての地域別並びに機械の種類はそういうような状況に相なつております。
なお現在プラント類の受注の残でありますが、現在プラント類受注残といたしましては、パキスタンに鉄道車両及び繊維機械、インドには電気機械及び繊維機械、フィリピンに電気機械、タイに船舶及び電気機械、朝鮮に鉄道車両、台湾に電気機械、通信機械、繊維機械、このほかにリベリア、パナマ、インドネシア、アルゼンチン方面に船舶、電気機械というような現状になつております。
先ほどお答え申し上げました、ポンドの手持ち増加の対策としましての今後の輸入の問題につきましては、今われわれポンド地域の方からの輸入を大幅に緩和をしよう、しかしながらその品目等につきましては目下なお研究中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/46
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047・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 イギリスに政変があつて保守党内閣になつたから、イギリスの貿易政策がいわゆる輸出の増進、輸入の制限を非常に強行されるようであります。そういう点からポンド地域と日本との貿易が非常に困難になるという見通しについて政府もいろいろと考えておられるだろうと思う。今輸出については具体的に御答弁になつたが、輸入について無制限に輸入するということだけでなくして目下体的にいろいろと構想がなければならないと思うのであります。そこでこういうお伺いをしたわけでありますが、今具体的には何ら構想を持つておらないというお話でございました。これはおかしな話だと私は思う。南方諸地域から日本に必要なものはおよそわかつているはずで、それをどういうふうにして入れるという構想は当然なければならないはずなので、それがないということはまつたくおかしな話でありますので、もう一ぺんお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/47
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048・井上尚一
○井上説明員 ポンド地域との貿易でこちらから輸出をし、向うから買うことは当然のことでございまして、従来綿花、ゴム、石油その他重要原料材料のボンド地域からわが国が買つている要物資はきわめて多いことは申すまでもないのでありますが、今お答え申し上げた点は、先刻も申し上げたボンドの手持ちが逐次累増して参るこの傾向に対し、今後善処をする方法としまして、大幅に自由に輸入をしようという観点で、どういう品目についてこの際積極的に、すなわち従来の方法とは違つて、積極的に政府の方として金融の面についても当該物資の輸入をはかつて参るか、そういう観点から、どういう物資についてこの際積極的な輸入促進の方法を考える、この品目につきましては、原料、材料ないしは第一次製品、第二次製品というふうに、各物資の品目についてわが国の基礎産業への影響その他の点がいろいろ生じて参る関係上、具体的に研究中である、こういう意味でお答え申しましたわけでございます。御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/48
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049・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 安本等においては、常に輸出入計画を立ててその数字を発表しておる。おそらくその安本の計画の中にも、南方諸地域に対する輸出計画、輸入計画というようなものは、ある程度具体的に載つておろうと思うのです。その点を私はお伺いした。今の通商振興局長のお話は、何か計画はあるが、めんどうくさいから具体的な話はしないという態度に私には見える。抽象的なことならば、何も時間をつぶして御質問をしなくてもいいので、政府は、自由貿易である建前をとつておられてもやはりそういう計画はあると思うので、具体的な点をお伺いしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/49
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050・井上尚一
○井上説明員 繰返して申してたいへん恐縮でありまするが、今日までわが国としまして、東南アジア各国からどういう物資が入つており、また今後どういう物資を輸入する予定ないしは見込みであるかということについては、もちろん各国別にいろいろな物資についての計画と申しますか、見通しはこちらにありますが、この内容につきましては、通商局次長の方からお答え申します。
それで、私が品目を研究中であると申しましたのは、ポンドの累増の対策としまして、この際従来以上に輸入促進をしよう、フリーにしようという意味で、どういう品物に重点を置いて考えるかという問題については、今通産省としましても研究中であると申したのでありまして、その点先刻来の御質問の内容と策弁の内容に食い違いが多少ございました点は、この際お詫びを申しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/50
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051・松尾泰一郎
○松尾説明員 ことしの四月から来年の三月までの輸入計画についてちよつと簡単に申し上げます。全体の輸入としまして十八億八千八百万ドルの輸入計画になつでおるのでありますが、その中でポンド地域からは五億三千五百万ドルの輸入を考えておるような次第であります。現在までのところは、輸入は非常に順調に推移しております。数字で申し上げますと、かりにことしの四月から八月までの五箇月間をとつて申し上げますと、スターリング地域からの輸入の実績が現に二億三千二百万ドル、こういうことになつております。五箇万分の実績でございますので、かりにこれを年間計画の十二分の五というふうに考えますと、非常に機械的な言い方でありますが、四二・五%入つておれば順調な入り方だと言えるわけであります。先ほど申しました年間のスターリング地域からの輸入計画と、それから四―八の五箇月間の輸入実績とを対比してみますと、五割一分程度の輸入に相なつておりまして、今のところは計画に比べましてスターリング地域からの輸入も順調に入つているということを申し上げてさしつかえなかろうかと思います。品目といたしましては、大きなものは綿花、羊毛、大麦、小麦、小麦粉、砂糖、ゴム、皮革、鉄鉱石、石炭、こういう広範囲なものになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/51
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052・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 今後さらに輸入の増進をはかる上においての具体的な計画がまだ十分立つておらないということですから、その点を実は数字の上でも承りたいと思つておつたわけですが、お答えがなければやむを得ません。
そこで今までの輸入の実績を御説明になつたところによりますと、やはり日本の基礎的な産業の原料が比較的少いように思うわけであります。私は、将来いわゆる日米経済協力の重要な一環として考えられているところの南方の資源開発の問題が、重要な問題として取上げられて来ると思います。またこれが実際に取上げられなければ、南方諸地域との貿易は将来の飛躍的な発展性がないと考えますが、この点について、具体的な話が今日進んでおるかどうか、抽象的には従来新聞等によつてアメリカの意向等が伝えられて参りましたが、具体的な点が報道されておりません。従つてその点について、具体的に実際に対アメリカとの話合い、あるいは現地との話合い、この三角関係がうまく進む可能性を持つておるか、現在どの程度に進んでいるかという点について一応承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/52
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053・井上尚一
○井上説明員 東南アジア開発計画が、日本の産業の発展上非常に緊密な関係を有するということは、まことに御意見の通りであります。わが国は、東南アジア開発計画に協力すると同時に、開発計画の進展によつて生じたその重要な原料をわが国に輸入して、もつてわが国の産業の基盤を一層強固に培養しようという方向で、東南アジア開発計画ないしはこれに関連するプラント輸出というものに大きな期待を持つているわけでありますが、現在まで具体的に開発契約のきまりましたものは、きわめて微々たる状況でございます。当方の日本商社によります東南アジア地域の開発契約として今日まで確定を見ましたのは、ゴアの鉄鉱石だけでありまして、これはゴアのチヨーグリという会社と、日本の鋼管鉱業、もう一つは同様ゴアのブラックウッドという会社と日本建設産業、この契約であります。開発の対象は両方鉄鉱石で、年産量それぞれ大体五十万トン及び二十万トンという見込みであります。このほかにはインドの鉄鉱石とか、あるいはマレー方面のマンガン鉱であるとかボーキサイト、あるいは奄美大島のマンガン鉱というような現状につきまして、これは話題には上つておりまするが、今日までまだ契約のはつきりした確定という段階に相なつておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/53
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054・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 私は日米経済協力の推進というものが、講和独立後のわが国の自立経済達成の基礎となるものであろうということは、おそらく国民の大多数が考えて来たところだろうと思う。そこで今これと重要な一環をなす南方の資源開発の問題の推進いかんに大きな力がかかつておるというふうに考えてお尋ねしたわけですが、その点についてはまだはなはだ進んでおらないという話を聞きますると、われわれは日本の経済の前途が非常に暗いということを考えなければならぬ。ことに今日講和後の日本の輸出入貿易の状態が非常に不円滑であり、ボンドが過剰でドルが不足であるという実情におきまして、やはりドル地域との輸出入の円滑な推進を考えなければならないと思うわけですが、一体政府は今日の輸出入の不振の原因がどこにあるとお考えになりまするか承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/54
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055・井上尚一
○井上説明員 今日の輸出入の現状等につきましては、通商局の所管でございまして、私振興局長としまして直接担当しておる事柄ではないのでありまするが、一般的に申しまして今の輸出入の不振という問題につきましては、いろいろな原因があるかと存じます。現在輸出輸人を通じてもつとも根本的に不振であるかどうかという点については、見解の速いもあるいはあろうかと存じまするが、今少くとも期待通りに輸出輸入が伸びていない点がありといたしますならば、摘出の面につきましては、わが国の現在の物価の状況、一般の国際物価に比べて、わが国の物価水準が高いという問題、あるいは海外の新市場開拓についての手の打ち方が、従来まだ十分でないという点も、あるいはあろうかと存じます。今後輸出の振興については、現在各国との間の通商貿易協定の締結、この協定の円滑な遂行ということを中心としまして、基本的には企業の合理化によりまする国内のコストの切下げの問題、あるいは優先外貨制度の復活によりましての輸出の報奨制度、あるいは海外のマーケット、あるいは海外競争商品の状況を刻々に把握するという海外情報網の整備ないしは情報の収集という問題、あるいは貿易の契約の締結に関連する各種の危険のカバーという問題を通しての貿易興振という意味合いから、先刻申し上げました輸出信用保険制度の大幅の改正、あるいはまた日本商品を積極的に海外に紹介、宣伝するという意味合いで、日本の商品の海外の見本市の開催といういろいろな方策を、従来も講じ、また今後もこれを一層進めて参りたいと考えております。輸入の面につきましては、現在のダラー・ポジシヨンから申しまして、言うまでもなく、ダラー地域方面よりの輸入は、これをなるべくパウンド地域に転化するという方向が、現在の外貨の事情等から考えてやむを得ない方向であろうかと存じておりまするが、パウンド地域からの輸入の促進につきましては、今後金融面あるいは貿易の契約に関連する実務の面につきまして、従来以上に緩和ないしは便宜を供与するという方法を通しまして、輸入の促進を一層考えて参りたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/55
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056・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 私は担当官がひつぱりだこで困つておられるようですから、なるべく政治的な問題をとらえて御質問しておるわけです。だから今私が御質問した程度の御答弁ならば大臣でもできるはずなのです。こうした点についてこそ、担当大臣として十分なる考慮が拂われなければならないわけでありますが、まるきり他人のことみたいにして、御答弁にお立ちにならないのです、今通商振興局長が申されたように、今日の輸出入の不振ということは、単なる人によつての見解の相違ではない、歴然たる事実でございます。特にドル地域に対する輸出の不振は隠れもない事実である。その原因がどこにあるか、原材料の輸入についてもそうでありますが、そういう点をお伺いしておるわけなのです。これは今も抽象的に二、三おあげになりましたが、いろいろあろうと思う。ことに国際情勢が非常に変化しつつあるので、いろいろ先行き見通しの不安というような点から、輸入業者も手控えをする。あるいはまた輸出もうまく行かないというような点も、これまた大きな問題としてあろうかと思う。またいわゆるわが国の商品についてダンピングをやるというような問題、そういう点もこのごろあちらこちらで指摘されておるようでありますが、そういうな問題ついてもいろいろ問題はあろうと思う。そういう点を政府がいかに把握して、いかに対処されるかということが、今日日本の輸出入振興の重大なる問題であると思う。政府はただ道を開くために法律をつくつてやりさえすればよいということではなしに、積極的に道を開くところの努力がいかにして行われておるかという点をわれわれは聞きたい。今振興局長は宣伝の問題を一つお取上げになりました。これも非常に重要な問題と思う。最近ようやく一、二外国において日本の商品の見本展示展等が開かれておるようであります。これについても、われわれが現地に参つた人のお話を聞きますと、大いに得るところがある。ところがそれに派遣されたお役人が、実際に見て来られただけで、業者に十分に徹底されておられない。これは要するに宣伝という一つの問題をとらえれたとことは、大きな進歩でありますけれども、しかしそれが国内に帰つて来て、その点が十分業者に報告されなければ、国費を使つただけで何にもならないということになる。私はそういうような点で親切が欠けておりはしないかというふうに思う。過日も実はインド貿易の問題で調査を業者が依頼しましたところが、通産省の中でどうも電報料が高くなつて、そういうことまでのあつせんはできないという意見も一部にあつたということを聞いておる。なるほど貿易をして利益を得るのは業者でございましよう。しかしながら貿易の不振ということが、日本の自立経済の達成に大きな障害になるといたしますならば、そんなことを問題にするということ自体が、非常に間違つておると私は思う。市場調査の点につきましても、今日いわゆる日本の商館の外地の出張所というものはまだ少いようであります。従つて在外事務所というものが大いに働かなければならないのでございますが、その在外事務所がまだ十分にそういう点について働いておらないというようなことも、われわれは聞き及んでおるわけであります。だから今振興局長がとつとくと思いつきで二、三御説明になりましたけれども、そういうことはもつと根本的に通産省が考えおられてそうしてどしどしと実行して行かれなければ、今日のような立ち遅れた日本の産業が、この困難な国際情勢の中に立つて、輸出入の振興をはかることはとうていできない。一つや二つの法律をつくつて、わずかな予算をそこに計上してみても、それだけでは目的は達成できないと私は思う。そこで担当大臣としての通商大臣が、その点についてどういう経論を持ち、どういう具体的な方策を持つておられるかという点について、お伺いをいたしたいと思つたわけでございます。その点について大臣からの御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/56
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057・高橋清治郎
○高橋国務大臣 今年度の輸出は大体計画通りには行くだろうと私は思います。一時、七月、八月ごろにキヤンセルなどもふえて来ておりましたし、はなはだ不振でありましたが、その後相当引合いが実現しておりますから、計画通りには行くのであろう。すなわち昨年度の輸出も輸入も何割か増加することであろうと思うのであります。本年度の貿易は非常に不振だとは思いませんが、それはどうでもよいので、多々益々弁ずるのですが、簡単に御質問につい言いますれば、もつともつと増加することを考えなければいけないのであります。私が現在通産省でいろいろな情報を聞き、また海外に派遣しました視察団などの報告を聞いて思うのは、今日本の貿易上のウイーク・ポイントはいろいろありますけれども、その一つは日本の貿易業者の実力が非常に低くなつておることであります。これは非常に遺憾に思いますが、急にそれを強力にするわけにも行きませず、まただんだんよくなるものでありましよう。それからもう一つ遺憾に思うのは、たとえばパキスタンについて考えてみましても、パキスタンの政府当局の人、あるいは民間の人は非常に日本に好意を持つております。日本の商品に対しても好意を持つております。しかし残念なことには、イギリスが―アジアでの貿易は自然日本は第一にイギリスと競争して行かなければいけない立場にあるのですが、イギリスはインドにしてもパキスタンにしても、それらの国で政治的には一応力はなくなりましたけれども、民間において非常に力があるのです。たとえばイギリス人で以前官吏として鉄道を支配しておつたような人は今日も民間に残つておつて、実際の鉄道のことはその人にさしずを受けておる。また困る例を言いますと、いろいろプラント輸出なども非常にほしいものがあるというのですが、パキスタン、インドなどは非常に民度が遅れておりますから、こういう機械の注文を出すのに仕様書ができない。ところがイギリスなどだと、コンサルチング・エンジニアというのがおつて、それは私が仕様書を書いてあげましようといつてイギリスに便利なような仕様書ができ、入札になるともう負けてしまう。こういう点はただいま御指摘になつたような民間の貿易業者の力が弱いだけ、在外事務所ができ、それに専門家を置き、コンサルチング・エンジニアのようなものを置いて行く、こういう一つ一つの対策をぜひ講じて行かなければいけないと私は痛感しておるのであります。私はそういう方に進みたいと存じておるのであります。
なおもう一つ申し残しましたが、ポンド地域の輸入を増進しなくちやいけないということは、私も御同感でございます。現在ポンドがだんだんたまつて来ております。ところが実際にこの東南アジアのポンド地域から輸入を増進する。こちらでほしいものは食糧ですけれども、食糧も来年、再来年になれば、好転するかもしれませんが、現在では非常に産額が減つておりますし、綿と申しましても、アメリカの綿をこの地域に転換することが必要だと私ども痛感しておりますが、綿の値段も高いし、そう思うように行かないのです。石油などもインドネシアの油田が非常に破壊されておるので、思うように行かないのですが、石油だとか米であるとか、あるいは綿であるとかいうものをだんだん増加して行くよりほかないので、腐心をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/57
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058・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 なるべく簡単に切上げたいと思いますから、こまかい点は省略します。今大臣が大体順調に進んでおる、予定通りには行くというお話でございましたが、私は現在の状態で予定通りに行くということになりますと、いろいろ重大な問題が国内に起つて来ると思います。いわゆる生産過剰の問題、いろいろな問題が起つて来るのです。そこで予定通りに行つておるというお話ならば、本年度の輸出入計画の数字がどれだけであつて、現在どれだけ進んでおるから、あとどれだけである、だから大体予定通り行くということを、ポンド地域とドル地域とにわけて、数字で御明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/58
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059・風早八十二
○風早委員 議事進行について……。きようの大審な法案の審議にあたりまして、政府の御答弁は非常に熱意を欠いております。材料がちつとも整えられておらない。これを考えるのに、大体この輸出信用保険法の改正案に対する裏づけの予算十億円というものは、もうすでに通過してしまつた。だからもうたいがいにして、この法案の審議は二の次だ、こういうようなことではないかと考えざるを得ないほど、非常に低調で、これではとても抽象的なことを伺つて時間をつぶすということは、われわれとしてははなはだ感心しないと思うのです。私もきようは同僚加藤委員のあとで、徹底的に質問をしたいと思つて、いろいろ用意して参りましたが、こういう状態でだらだらと進んでおつても、決してりつぱな結論は出て来ないと思う。大体この十億はすでに通つたといつても、われわれは実際にプラント輸出ができるかできないか、できもしないもの、あるいは非常に不利益であるもの、そういうものを無理につつ込むことによつて、結局穴を明けて、国民の税金負担でしりぬぐいをしなければならない、こういうことについては非常に問題を持つておるわけでありまして、この点についてはたとい予算が通つておつても、その使い道ははたしてどうするかということについては十分に検討しなくてはならぬと思う。もう少し政府の方で十分な準備をして来られて、出直していただきたいと思うのです。
ついては委員長にお諮りしたいのですが、何でもかんでもきよう質問を打切るということはやめていただきたいのです。もしやるとなれば、これは労働基準法を無視して、また速記者にもこれから相当長くがんばつてもらわなければならない。大臣がきようまじめに着席しておられることに対しては、非常に敬意を表しますが、しかしながら通産省に人がないわけじやない、また手がないわけじやないのであるから、十分な準備をして出直して来られるように、委員長にお願いしたいのです。きようはもうこの程度で打切つて、はつきりした御答弁を期待できる日に延ばしてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/59
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060・中村幸八
○中村委員長代理 風早君に申し上げますが、通商産業局次長は本日は参議院の平和條約の会議の方とかけ持ちでやつておりますので、こちらにばかりいるわけには行かない。従つて不満足な点があるかもわかりませんが、御了承願います。なお政府側では十分誠意をもつて御答弁をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/60
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061・小川平二
○小川(平)委員 私は先刻から政府の御答弁を承つておつたのですが、これは政府に熱意が足りないとかなんとかいうべき筋合いのものでは決してない。加藤君の御質問のごときは、現在日本の貿易は不振であるが、その対策いかんというまことに空漠たる質問である。もつと具体的に御自分で勉強なさつて、ポイントを突いた質問をなされるならば、これに応じた的確な御答弁があるに違いない。さような空漠たる質問を卒然として出され、これに対して熱意がないとかなんとか非難されるのはまつたく当らないのじやないか。それからまた計画数字に対して実績がどうなつておるかというようなことぐらいはどこへ行つても資料は得られる、新聞、雑詳等にも出ておるので、貴重な時間を費して、あらためてそういうお尋ねをする必要はないのじやないか。質問者の側におかれても、すでに時間も遅くなつておるのでありますから、内容を要約されて質問をしていただく。また政府の方にも御勉強を願つて、何とかこれはきようのうちに質疑を終了したい、私はかように希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/61
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062・中村幸八
○中村委員長代理 小川君のお話もごもつともでありますから、質問者におかれてはなるべく簡潔に質問をして、スピーデイーにやつていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/62
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063・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 小川君がどういう意図で横から変な発言をされたか知りませんが、私が先ほどから言つておるのは、担当の者がおらないとおつしやるから、私は具体的な質問を避けて、政治的に御答弁のできる質問をしている。
そこで今見解の相違だというお話もありましたから、それでは実際に数字がどのくらい上つておるかということを御答弁願いたい。そんなことは調べればわかる。わかるけれども、これはたとえば輸入不振の問題について、具体的な事例をあげよと言われれば、あげます。原材料が実際に予定通り入つておらないというような数を字あげよと言われれば、あげられます。しかしそういうことを質問したのでは、具体的な答弁が、担当官がおられないから、しにくかろうと思つて、そういう点を避けて、政治的な質問をしている。わからなければ、わからないでよろしい。しかし予定通りに進んでおるとおつしやるから、それではどの程度予定通り進んでおるか。それは大体担当官でなくとも大体の数字は、私がわかると小川君がおつしやならば、政府のお役人はなおわかるはずである。それが御答弁できないということは、私が不勉強だとおつしやる前に、政府の不勉強なことを小川君は質問されたらよかろう。私の質は好んで引延ばしているわけではない。できるだけ政府の忙しい立場も考慮して私は質問しておる。それを何ですか、よけいなことを横から言つて……。私は政府の立場を十分考慮してやつておる。だからその点は今答弁できないとおつしやれば私は追究をしない。今答弁できないからすぐ調べて答弁しますとかなんとかおつしやればよろしい。私は政府のお役人が苦慮しておられる点を気の毒に思つて考慮しながらやつておる。だから何もそんなことで事を荒立てる必要はない。私は今風早君ががおつしやつたことはもつともだと思う。もつともだと思うけれども、しかしなるべくきよう上げたいという委員長の御考慮も考え、いろいろのことを考えて、私はこんな問題で何も政府を相手にし、政府のあげ足をとつて喜ぼうなどと、そんなけちな考えを持つてやつているのではない。なぜそう事を荒立てるのですか。それほどまでにしてきよう押し切らなければならないという理由があれば承りたい。そうおつしやるなら私はいくらでもこまかいことを質問しますよ。それを不勉強とかなんとかおつしやる。私はことさらにそういうことは避けて質問に入つているのです。私は別にそんなに事を荒立てて政府の責任を追究しようとか、そういうことを言つておりません。ただ政府が見解の相違だとおつしやるから、それでは数字はどうなつておりますかと御質問したわけです。それが今わからないとおつしやることを別にどうでもここで答弁しろと言つておるわけではない。ただ風早君としてはあとで御質問なさる時間を十分ほしいという立場から、政府がすぐにテキパキと答弁すればいいことを、だらだらとしてなさらないから、そういうことをおつしやるのだ。どうしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/63
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064・中村幸八
○中村委員長代理 委員同士でいつまで議論しておつても始まりませんから、井上振興局長から答弁したいと申し出ておりますので、それを聞いて質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/64
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065・井上尚一
○井上説明員 本年度の輸出入貿易の計画と現在までの実績の対比がどうなつているかという御質問でございますが、本年度の輸出の見通しとしましては、輸出は十三億三百万ドル程度でおつたかと思います。輸入は十六億五千六百万ドルというふうに私は記憶いたしておるのでありまするが、最近までの輸出入の実績につきましては、今ここには正確な数字の持合せがございませんので、いずれ通商局次長が参りまして、あるいは後刻印刷物でもつてお答え申してもいいかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/65
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066・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 私はいろいろ具体的な事例をあげろとおつしやればあげます。たとえばある地域から引合いが来てもなかなか輸出許可がおりないとか、あるいは為替許可がおりないとかいろいろの問題がある。そういう点を具体的に質問してみたいと思つていたわけですが、それは省略いたします。
そこで私は最後に日本の貿易振興上非常に重大な企業の合理化について一言触れてみたい。先ほどから国内における企業の合理化―コストが高くて輸出が進まないという問題がしばしば論議されておりますが、これについては何ら具体的なお話がなかつたようでございます。これは大きくいえばやはり日本の経済は計画経済の上にある程度乗せられなければならない。たとえば石炭の需要が増大するといえば、すぐ石炭の価格を引上げる、あるいは鉄鋼価格が引上がるという、その日暮しの自由主義経済のもとにおいては、やはり企業の合理化ということがなかなか行われない。もちろんそういうことばかりではありませんが、私はそれが大きな原因であろうと思います。そういう点について先ほど来抽象的な答弁しかなかつたわけですが、それについて今具体的な答弁を求めても同じことをおつしやるだろうと思いますので、私は繰返して御質問いたしませんが、今一つここで大臣からお聞きしておきたい問題がございます。今日輸出がうまく行かない点にはいろいろ原因はあるのでございますが、特に輸出業者が非常に多過ぎるという問題、ことにこのごろサプライヤーとしましては一つの見識を持つた、あるいは一定の資格を持つた人がやつておるというのでなくて、電話一本あればやれるというやり方では、価格の問題についてもそういう間隙によつて相手国から値段をたたかれるという点もあるわけであります。そこで私が先般通産委員会で質問した問題は、事業者団体法の第四條の改正の問題でございますが、これについて首藤政務次官がその当時御答弁になつた点、すなわち事業者団体法の第四條はこれを削除するかあるいはこの点を緩和するという方向において修正する考えであり、臨時国会に出す予定であるという確信ある御答弁でありましたが、今国会には出て参りません。この点について、首藤政務次官は今日おいでにならないけれども、やはり政府の方針として御答弁になつたことであろうと思いますが、はたしてそういうお考えであつたかどうか。その場の思いつきで御答弁になつたことでないとすれば、何らかの事情があることであろうと思いますから、この臨時国会に出されなかつた理由について大臣から御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/66
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067・高橋清治郎
○高橋国務大臣 事業者団体法について首藤政務次官が今のお言葉のような答弁をいたしたかと存じますが、これはその当時のわれわれの方針であつたのです。私も私個人の意見としては事業者団体法は全廃すべきものだと今日も考えております。事業者団体法と独禁法もあわせてですけれども、相当大幅の修正をすべきものだと政府で考えまして、その後引続き関係方面と折衝をしておるのでありますが、まだ結論を得ないのです。大体結論に近づきましたので、私はぜひこの臨時国会に提案するように運びたいと希望しでおつたのですが、ちよつとそれは現在のところお約束ができませんが、なるべく早く提出する、臨時国会に間に合いませんでも、通常国会には必ず結論を得て提案ができると私信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/67
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068・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 今のお約束ははなはだけつこうでございまするが、これはぜひひとつ通常国会に実現していただきたいと思います。
なお今後貿易方式あるいは為替決済の方式等についていろいろ質問したいと思つておりましたが、担当官がおいでにならないので、その点は他の機会に譲りまして、これで私の質問を打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/68
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069・中村幸八
○中村委員長代理 次は風早八十二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/69
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070・風早八十二
○風早委員 この輸出信用保険法の一部を改正する法律案の趣旨は、プラント輸出が最近非常に不振である。これを何とか盛り立てなければならないという趣旨であることは十分わかるわけでありますが、そのプラント輸出を盛り立てるということが実際にどの程度可能な見通しがあるのか。また実際問題として日本にそれが利益を与えるのか。こういう点について根本的にいろいろ問題があると思いますので、主としてその観点から御質問してみたいと思います。時間が非常にきゆうくつでありますが、これはお互いに非常に迷惑な話なんで、私も今日午後から今までしんぼうしたわけなんであります。大臣も非常にお気の毒だし、各委員も非常にお気の毒ですが、これはやはりきよう打切りということとなれば伺つておきたいと思いますから、しばらくごしんぼう願いたいのであります。
この制度を活用するというその対象の地域は、主としてドル地域に対して輸出されるということであるのか。もしそうだとすると、このプラント輸出ということとドル地域に対する輸出の促進とが相当食い違いはしないかという点であります。実際ドル地域はこのプラントの輸入というものを望んでおらないのであります。しかるに今の政府としても貿易政策としてドル地域に対する輸出を非常に促進させようとしておられるが、この点が食い違いはしないかという点について、これは振興局長でよろしゆうございますから御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/70
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071・井上尚一
○井上説明員 先ほども加藤委員からの御質問に対しまして。プラント類の輸出の最近までの実績、並びに現在におきましての受注の残という点につきまして、地域別に各機械別に申し上げたわけでございますが、この地域の点につきましては、東南アジアがもちろんその大きな割合ではありまするが、これ以外に中南米あるいはその他のアフリカ、ヨーロツパ方面の国々もこの中に入つているのでありまして、このプラント輸出の振興がダラー貿易の推進という問題と背馳をするのではないかという点は、必ずしも御意見のようなことにはならないと考えております。
それからもう一つの理由といたしましては、東南アジア計画、これは言うまでもなくECAの計画と相呼応する問題でございまして、ECAの資金が東南アジアの方に投入になるということを通じまして、わが国がプラント類の輸出を東南アジア地域に向けて今後一層推進して参るという問題は、大きな意味での日米経済協力の線に沿うものであるということを通じまして、同模にダラー地域の貿易の推進という問題と、プラント輸出の振興というものが必ずしも背馳をするものではないと考えるわけであります。
ついででまことに恐縮でございますが、先刻の加藤議員の御質問につきまして、この機会を耳借しましてお答えを申し上げたいと思います。輸出計画は先ほども申しました通りに当初は十三億三千三百万ドルという計画でございましたが、これが改訂になりまして十三億四千四百万ドルというのが現在の二十六年度の輸出計画でございますが、四月以降九月までの実績の正確な数字は、六億八千四百三十八万ドルということになつております。ちようど半年でもつてそのパーセンテージが五一・二%になつております。今後の情勢の推移のいかんによつて、もちろん異なつて参りましようけれども、今日までの実績としましてはその計画の半ばをすでに上まわつておる。また今後の見通しにつきましては先ほど大臣の方から申された通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/71
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072・風早八十二
○風早委員 このプラント輸出そのものの主たる仕向地というものは、やはり東南アジアであるということはこれは政府も承認されると思うのです。ところがこの点について政府の部内で相当意見の対立、食い違いというものがあるように聞くのでありますが、これはすでに法案が政府提出として出された以上解消したとは思いますが、念のために伺つておきたい。外務省筋では賠償問題にからんでプラント輸出にしてもその他の輸出にしてもあまり望まない。たとえば肥料のごときもあまりこれが東南アジアへ向けて出されるというようなことは、何か日本にそれだけの生産能力がある、従つて賠償能力もあるのだ、こういうことを思わせる。また実際東南アジアの諸国においては、日本にはこれだけの輸出能力があるんじやないか、プラント輸出能力さえあるじやないか。だから賠償をもつと支拂うべきじやないか、こういうような意見もあると聞いているのですが、外務省がこれに大体同調しておるのか、それをおもんぱかつておるのか、そういう点については通産当局としては、これははつきりしておられるでしようが、その点をひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/72
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073・井上尚一
○井上説明員 ただいまの風早委員の御質問の点につきましては、東南アジア経済開発、あるいは東南アジア方面にその大きなマーケットを有するプラント類の今後の輸出の振興という問題を中心として、今おつしやいましたような問題について、政府内部に議論とでもいいますか、見解の対立があるというお言葉でございましたが、私は、振興局長として承知する範囲内におきましては、そういつた見解の食い違いというものは全然聞いていないということを、この際申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/73
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074・高橋清治郎
○高橋国務大臣 今風早さんの御指摘になつた点でございますが、日本に何か余力があることを示すのは、賠償問題の討議などに不利益じやないかという意見はときどき私、耳にいたしますけれども、政府部内では何もそういう対立は起つておらぬと私は承知します。
それから肥料の輸出云々の問題ですが、本年最初の計画のように輸出ができなかつたのは、そういう事情ではありません。私は、東亜の食糧が非常に減つておりますから、フィリピンにしても、台湾にしても、そういう国々が肥料を希望せられるならば、できるだけ輸出をしたいというのが私の考えでありますが、それがわずか二万トンにとどまりましたのは、電力事情がこういうふうになりまして、九月から肥料の生産が予定を下まわることになつた結果でありまして、電力好転は三月ごろまではむずかしいでしようが、もし春にでもなりまして、肥料の増産ができましたら、その場合には国内の需給と見合いまして、余分さえあればさらに出したいと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/74
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075・風早八十二
○風早委員 政府部内に対立が別にないという大臣のお言葉でありますから、そのまま了承したいと思うのです。しかし肥料の問題につきましては、これは何も肥料の輸出が不振であるということを私は追究するという意味は少しもなく、その反対に、肥料は出してもらいたくないわけです。肥料を出して食糧を入れるというのにかかわらず、実際は食糧のかわりにバナナが入つて来る。こういうような問題が御承知の通りすでにあるわけでありまして、この点は、肥料をもつとなぜ出さないかという意味で聞いたわけではないのです。
そこで七月以降に船舶以外についてはもうプラント輸出の契約成立は一つもないと聞いているわけですが、最近特に七月以降契約が一つもない、これははなはだ妙な事実だと思うのですが、そういう点は事実であるのか、またそれはどういう原因によつているのか、この点をひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/75
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076・井上尚一
○井上説明員 先ほどお答えいたしましたので、繰返すことは省略いたしますが、今日現在におきましてプラント輸出の受注の残というものは、船舶、電気機械、通信機械、繊維機械……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/76
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077・風早八十二
○風早委員 それはわかつております。七月以降には船舶以外にはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/77
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078・井上尚一
○井上説明員 現在はそういう契約が船舶以外にはないということは、われわれの方の調査の内容とは、その点は食い違つていると思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/78
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079・風早八十二
○風早委員 七月以降に新しく契約になつたものは船舶以外にはないということを聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/79
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080・井上尚一
○井上説明員 失礼いたしました。七月以降の新規の契約については、船舶以外にないという点は、仰せの通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/80
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081・風早八十二
○風早委員 それでは何もないものを、最近特になくなつておるものを、これから無理につつ込もうというような一つの遠大な計画になるわけでありますが、一体なぜ七月以降は船舶以外は新しい契約が入つて来ないかということ、簡単でいいですが、政府のつかんでおられる理由を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/81
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082・井上尚一
○井上説明員 先ほど、二十六年度においてのプラント輸出について、今回の乙種保険の加入見込みの問題についてお答え申し上げたのでありますが、現在商談中の契約としましては、三十億円程度われわれの方としては考えておるような状況でございますが、今日までに正式の話のつきましたのは船舶のみであります。この事情としましては、メーカーの方で、最近国内の需要が非常に旺盛であるとか、あるいは海外から、わが国の引合いの値段がきわめて不安定であるとかいうような事情でもつて契約が停頓状態にあつたのでありますが、現にパキスタンの方からミツシヨンも参つておるという状況でありますし、商談の今後の見通しにつきましては、ただいま申しました通り、相当プラント類につきましての輸出の契約が可能であると私ども考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/82
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083・風早八十二
○風早委員 プラント輸出の場合、その九割まではコマーシャル・ベースなわけでしようが、その場合の値段、コマーシャル・ベースなるものが、相当に日本の貿易業者並びにメーカーにとつて楽じやない。先ほど、鉄鋼の場合においては、国内価格がまだ二、三割国際価格に対して割高だというようなお話もありましたが、実際にこれを国際価格並に送り出すとすれば、相当の無理があるわけです。そういう点は、先ほどの政府のお話では、合理化で補つて行くということですが、一体何年くらいを見通して国際価格に対するさや寄せを実現されるというつもりなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/83
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084・井上尚一
○井上説明員 現在のプラント類の輸出につきましては、各国間の売込みの競争はかなり激甚でもございます関係上、相当わが国としましても勉強を要するわけでありますが、言うまでもなくプラント類の輸出は普通の商品の輸出と違いまして、わが国の貿易のマーケットの開拓という点から申しまして、また今後引続いてこのプラントを中心としましてのメンテナンス、あるいはパーツの供給という点から、恒久性と申しますか、あとを引く性質の契約であるという点等にもかんがみまして、今後プラント類の輸出につきましては官民をあげまして、大いにこれを推進して参りたいつもりでございますが、今日の現状としましては、鉄鋼を初め銅その他の非鉄金属類が相当高いという点から、機械としましての見積りにつきましても、各国との競争上かなり苦心を要するという点は確かに事実でございますが、先ほど御質問中にもございましたように、機械工業の合理化をこの際通産省としましては、一層推進して参りたい。企業合理化によつてコストの引下げを考えると同時に、原材料の値段につきましても、できるだけこれを低位に安定するという方向に原料工業の面につきましても、いろいろ合理化の方途を講じて参りたいと考えております。
今の御質問で何年くらいの見通しでプラント類等の機械のコストが一般国際水準に近づき得るかという点でありますが、これは何年と申しましても、実は見通しの問題でございますから、はつきりした年月は申しにくいかと存じますが、通産省としましては、でき得るだけ早く原材料の値段の低下、安定に並行しまして、機械類のコストの切下げという問題をすみやかに進めて参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/84
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085・風早八十二
○風早委員 鉄鋼局長にお尋ねしたいのですが、鋼材のいわばダンピングというようなことが伝えられております。たとえば冨士、八幡、神戸製鋼、こういうものが、線材についてほとんど一万円ばかりも市価を割つた値段下特需用あるいは輸出用に向けられておる。これについては政府はどういうお考えでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/85
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086・葦澤大義
○葦澤説明員 鋼材の輸出についてダンピングという説があるというお話でありますが、私どもはダンピング起がつておるというふうには毛頭考えておりません。と申しますのは、最近建値の引下げがありましたが、特にそのコストを割つておるというふうには見ておらない次第でございます。輸出の方は何と申しましても、一定数量の輸出を海外にするということは、国内需要を圧迫しない限り、私どもはむしろ望ましいことであると思つております。なるべくならば、高い値段で売れるものは売りたいわけでありますが、最近国内の市場価格が若干下押ししました関係上、金融その他の点についても相当二次製品のメーカー等においては苦しいところが出て参つたような状況がありまして、そういうものが輸出能力を保持するという見地からも、若干の引下げが行われたのであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/86
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087・風早八十二
○風早委員 そのダンピングという言葉はとにかくとして、大体値段でいいますと、五万八千円のものを四万八千円で出しておる。これはやはり政府がそういうふうに奨励した結果なのか、これでやはり採算がとれるということなのか、今のようになるたけ輸出の方へまわしたいというお考えとすれば、むろん政府は内需を圧迫しない程度でと言われるけれども、実際問題として輸出をやはり先行さして行くということから、こういうふうな事実が出ておるのではないかと思うのですが、それがやはりメーカーの無理で行われておるのか、あるいはその場合には、実際にたとえば鉄鉱石なりが一応格段に安く入つて、何かそういう交換條件でもあつて、採算が特にこれらのメーカーについてはとれるのか、そういう点はどうなつておるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/87
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088・葦澤大義
○葦澤説明員 建値の引下げにつきまして政府が関与しておるということはありません。現在価格につきましては何らの統制が行われていないわけでありまして、鉄鋼メーカーが独自の採算あるいは商売上の見地から行つておるわけでありまして、先ほど申しましたように、国内市場が若干下押ししました状況に対応しまして、メーカーが建値の引下げを行つたのであります。これはただちにその値段が赤字を生んでおるというふうには見ないのでありますが、いろいろな種類の鋼材があるわけでありますから、一部のものの引下げによつて他のものの利益をカバーするということも考えられましようし、それからいたずらに品物のストックをつくつて手をこまねいているよりは、若干値引きをいたしましてもこれを荷さばきいたしまして、その運転資金の回転をよくするというような見地からもまた考えるわけで、ございまして、メーカーの独自の採算によつて行われておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/88
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089・風早八十二
○風早委員 鉄鋼局長にさらにお尋ねしますが、私もこれらの三社がおそらく採算を割つておるとは思わないのです。ただ問題は、それ以外に中小といいますか―中小でもないだろうと思いますが、平炉メーカーというような連中は相当苦境に陥つていはしないか、ことに今電力問題などでも、実際私ども大阪へ行つて参りましても、各鉄鋼のメーカーは異口同音に非常な窮境を訴えていたわけです。これは休電、停電から来る問題であります。しかしながらこれに関連してあらゆる面からやはり相当な圧迫を受けております。同じような値段でなければ、今度は相手方に引取つてもらえないということになると、これらの大きな三社が建値の引下げをやることによつて、やはり相当影響をこうむりはしないかという点について、政府は特別に考慮を拂われておられますか。先ほどすでに他の委員からの御質問で、大臣からも補給金は今のところ考えておらないというお話でしたが、そういう点については、今特別に必要を感じておられないのですか。あるいは必要は感じておるが、今出す意思がないという意味なのか。これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/89
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090・葦澤大義
○葦澤説明員 お指摘になりました平炉メーカーが、高炉メーカーに比較いたしますと相当困るのじやないかという御説のうち、電力の最近の特に悪い事情につきまして、特に関西地方には平炉メーカーがたくさんありまして、非常に困難を来しております事実につきましては御指摘の通りであります。これに対しましては、われわれとしてもでき得るだけの善処をいたすとともに、また関西地方における鉄鋼メーカーが、特にみずからの石炭を電力の方に五万トン供出いたしまして、電力の窮況を打開するというようにみずから動いたような面もあるわけであります。これはひとしく全般的な問題でありまして、かつ私どもは一時的な問題として終ることを希望しておるわけでありますが、御説のごとく、この点につきまして今後出て参ります問題については、対策を講じて行きたいというふうに考えております。
それからそのほかの平炉メーカーが困難いたして参る問題といたしましては、原因はスクラツプの価格の高低によつて平炉メーカーが高炉メーカーに対して影響をこうむるわけでありまして、たとい鋼材の建値が下りましても、平炉メーカーはその入手するスクラツプが安く入手できます場合におきましては、そう痛痒を感じないわけであります。スクラツプの高低はまた銑鉄の値段の高低と相からんで参るわけでありまして、銑鉄の値段がそのままで、スクラツプの値段が上つた場合には、不利な状況になります。しかしそれの逆な場合には、また有利な場合になることもありますので、これは市場の価格の変動に伴つて起きて来る問題でありますが、高炉メーカーにいたしましても、平炉メーカーがいたずらに困るということは、みずからつくります銑鉄の供給先が困るわけでありまして、単なる商売上の対立ということだけでは解決されない、お互いにやはり密接な結びつきのある問題でありまして、現状の一時の高低によりまして若干そこに利害の対立があるかに見えますが、根底におきましては一連の緊密な連繋があるのでありまして、おちつくところへおちつくものであるというふうな考え方をいたしております。従いまして、先ほど大臣からもお話がありましたように、補給金を出すということについては現在のところ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/90
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091・風早八十二
○風早委員 電力の問題はきよう直接の問題でありませんから、省きたいと思います。しかしこれが一般的に影響しているということは、これはあなたも御承知でないとは言えないと思うのです。これは八幡にしても、広畑にしても、また日本鋼管にしても、こういうようなところは自家発電を持つておりますから、実際のところちつとも痛痒を感じない。平炉メーカーとはまつたく條件が違つておるということは、これは事実としてはつきりしておきたいと思う。しかし電気だけの問題ではないので、金融面からしても、その他の仕入れの原料の問題にしても、そこに非常に不等価があれば、これはやはり非常に大きな痛手だろうと思うのであります。そういう点で、政府がどの程度までこれらのメーカーに対して配慮があるかという点を聞きたかつたわけでありますが、特別な点もないというお答えですから、一応それで聞いておきたいと思います。
次にこの貿易業者そのものメーカーにも関係がありますが、貿易業者そのものについて面接やはり関係のあるものとして、この法案の第五條の二にあげられております今度の保際契約の、大体対象になる事故の各項目についてでありますが、第一に「外国において実施される為替取引の制限又は禁止」というのがある。これはいろいろ先ほども御質問があつたようでありますが、この中には国際価格の変動によるものは特別に入つておらないわけですか、この点を振興局長に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/91
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092・井上尚一
○井上説明員 それは保険事故には入つていないと考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/92
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093・風早八十二
○風早委員 ところが一方外貨予算で、外貨の割当というようなことで縛られている條件のもとで、国際変動は相当悲しい。しかしそれに対してすぐ有効な手を打つという手段がない。こういうふうな車借から、この大きな国際的な価格の変動に対処して行くということが、少くも中小の貿易業者にとつてはできないわけです。そういう点にしかも非常に大きな損失があるわけであります。つまり買いたいときに買えない、売りたいときに売れないというような大きな問題があると思うのでありまして、こういうのを特に除外しておられるということはどういう趣旨なのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/93
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094・井上尚一
○井上説明員 御質問のように、物価の変動によつて生ずる損失のカバーというような問題につきましては、業界の方の一部にはそういう希望があることを聞いておりますが、今般は、先般申しました通りこの法案の内容についての保険という方法を通じてその危険のカバーを考える。言いかえれば、そういう価格変動によつて生ずる損失というものは非常に危際が大きく、また同時に損害の金額も大きいということに相なります関係上、これをこの保険制度でカバーしようということになりますると、保険料率が非常に聞くなるか、あるいは国の財政的な負担、言いかえれば保険金の面において多額の支出を必要とするということの、いずれかになる危険が非常に多いわけであります。今回の信用保険は名称通りに保険でありまして、国家の補償という方法ではございませんので、そういう物価変動によつて生ずる危険のカバーということはこの際は考慮外に置きましたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/94
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095・風早八十二
○風早委員 やはり国際価格の変動と関連してキヤンセル問題がある。この前もちよつとお尋ねしておいたわけでありますが、キャンセルの場合に、これによつて生ずる業者の損失というものは事故のうちに加えられておらない。これはやはり法案としては非常に致命的な欠陥ではないかと思うのです。これが国際価格の変動と非常に関連しておるわけで、その場合に仕向地の側では向うさんはこれに対してキヤンセルをする、これが両々相まつて、そうでなくても国際価格の変動でこちらの能動的にやりたいことはやれない。また外貨の割当の問題もありまして、非常な損失をこうむるということを結局そのまま見送らなければならない。そこへもつて来て、今度は一たん契約したものまでもキャンセルされるということになりますと、これは非常に大きな損失なのです。先ほど大臣はパキスタンのことを言われました。パキスタンは非常に日本に対して好意を持つてくれているというお話であつた。それはあるいは事実かもしれませんが、しかしまつたくそれと矛盾する事実もあるわけです。先般の振興局長からのお話によつても、大体繊維のキヤンセル二億数千万ヤール、これはわずか九億数千万ヤールのうち二億数千万ヤールがキャンセルされている。その大部分がパキスタンだと言われている。そういうこともあるのでありまして、なかなかこれはゆだんがならない。こういう事故に対して何らの救済の手段が講ぜられないということは、はなはだ片手落ちではないかと思うのです。こういう点では大きな政策の面から大臣にひとつお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/95
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096・高橋清治郎
○高橋国務大臣 今の御質問のうちにありましたパキスタンで日本に非常に好意を持つておる、そうして一方でキヤンセルが非常に多いという点でありますが、これは実際の模様を聞いてみますと、好意の有無に関係ないのです。あそこは新しく起つた国でありますので、非常に弱体なハイヤーまた信用のできぬバイヤーが非常に多いのです。それで日本の商社がその調査ができなくて手当り次第に契約をした結果のように私は見ております。キヤンセルに対する補償保険の問題は、いろいろまた反面に行き過ぎ弊害の点もありまするし、御意見はよく参照してひとつ十分研究してみたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/96
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097・風早八十二
○風早委員 キャンセルの問題については、向うはキャンセルして来るがこちらからキャンセルするということは考えられないのであつて、その点で業者が非常に不利な條件に置かれておるということだけは頭に置いて政策を立てていただかないと、非常に片手落ちになると思います。
次に第五條の二の三に、政府は一会計年度内に引受ける乙種保険の保険金額の総額が国会の議決を経た金額を越えない範囲において引受けるというわけですが、その金額というのはまた必ずしも多くないわけなのです。そこでこれに漏れたものがたくさん出て来るわけです。プラント輸出そのものが、実際契約もないような状態では問題になりませんが、しかしこれは当然にこれからどんどん契約が行われるということを前提にされておるのであります。契約をした、事故が起つた、そうしてどういう順序になりますか、とにかくある特定のものはこの保険にかかれる、しかしながらそれに漏れたものがたくさんできて来るわけです。そういうものに対してはどういう措置をとられるわけですか。あるいは翌年度の予算にこれを考慮するのか、そういう点についてはどういうお考えなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/97
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098・井上尚一
○井上説明員 この第五條の二の第三の規定に基きまして、国会の議決を経まして、政府がきめました金額を越えて保険を引受ける必要があるというような場合には、補正予算等を通じましてこれの増額を考えたいというつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/98
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099・風早八十二
○風早委員 そういたしますと、どんどんと事故が出て来た場合には、次々にまた補正予算でその一応の危険負担を国庫で背負い込むということになるわけでありまして、これは相当慎重を要する問題になると思います。しかし漏れたものに対してはこの法案の許す限りにおいてはやはり均等な機会を与えられるのが当然だと思いますから、その点はその限りでこれは正しいと思うのです。しかしながら実際においてこういう法案にしましても、その恩恵をこうむるものがはたして全貿易業者あるいはまた全メーカーに均霑するかという点については相当の疑問があると思うのです。最近繊維につきましては、特にキャンセルのせいもありまして、大成産業であるとか、西野産業であるとか、名前をあげるのはどうかと思いますが、数十社の倒産が事実となつて現われておるように思うのです。ところが他面におきまして、三菱などの財閥系の大貿易業者は相当活気を呈しておる。これは何もこの法案そのものから直接来るということはないにしても、最近の実情からいつて、貿易業者の間に非常な淘汰が行われて、そこに大きな集中が行われで来ておるということが言えるのではないかと思うのです。そういう点実情はどうであるか。またこれに対しては政府はどういう見解をとられるか、これもひとつこの際お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/99
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100・井上尚一
○井上説明員 今日の日本の貿易業者の経済の力というものは、戦前のわが国貿易業界の力と比べて非常に弱化しておることは争えない事実であろうと存じます。今後わが国の貿易の健全なる発展を期するという点から申しまして、貿易業者の実力がますます充実して参るということはむしろ望ましい点であると考えております。そういう範囲におきまして、貿易業界の自由競争の結果優勝劣敗の現象が起きて参るということはやむを得ない事実であろうと考えております。と申しましてももちろん政府は、貿易業者の大小を通じて、公平な機会均等という視点でいろいろな方法ないしは各種の制度を考えるわけでありますが、そういう公平な基盤の上におきましてのきびしい自由競争の結果、優勝劣敗が行われるということは、やむを得ない現象であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/100
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101・風早八十二
○風早委員 やはりあなたも自由党の自由経済の原則に立とうとしておられるように見えますが、しかしそのすき間に、つまり日本の貿易集者にしましてもこういう自然的な競争にまかせるということであれば、結局外銀、外商に支配されて来るという問題がそこからまた出て来るということを、政府は一体どういうふうに考えておられるか。たとえば金融の問題にしましても、これはどつちみちこういう保険なんかで問題が解決されるわけではないのであつて、銀行から相当つなぎ資金も借りなければならないわけでしようが、日本の銀行は外銀に対して比較的高利である、こういうことから実際大きな貿易業者は次々に外銀から金を借りるという傾向が東近ずつと始まつておるように思われる。特に伊藤忠とか岩井とか東棉、江商、丸紅その他と、この六社たけでも七、八、九月の三箇月間に百万ドル以上を外銀から借りておるというようなこともあるようでなります。こういう点についても放任しておいてけつこうだというふうにお考えでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/101
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102・井上尚一
○井上説明員 わが国の貿易業者に外銀から信用供与があるという傾向について政府は放任しておく考えであるかどうかということが今の御質問であつたかと存じます。われわれ通産省といたしましては、外銀の信用供与ということは、むしろわが国の貿易の進展発展が期待し得る場合には、これは別段さしつかえないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/102
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103・風早八十二
○風早委員 大体そういうお考えだということは承つておきます。
そこで先へ進めまして、輸出プラントの問題の根本であるところの東南アジア貿易が今後はいやでもおうでも日米経済協力の線でドル地域から東南アジアの方に切りかえられて行くことになつて比重が高まることになつたわけでありますが、政府もまたその方針でやられておると思いますが、実際問題として東南アジア貿易の将来に対しては、この法案だけに限らずお尋ねするの至りますが、そこにいろいろな矛盾が出て来ていると思うのであります。そういう矛盾について政府はどの程度まで認識をしておられるか承りたい。実際これでやつて行けばうまく行くと考えられるか、もしそうであるならばその根拠をわれわれの納得の行くようにお答え願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/103
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104・井上尚一
○井上説明員 御質問中に東南アジアの経済開発ないしは東南アジア地方との貿易の舞につれていろいろの矛盾が生じて来るという点でありますが、これはお答え申し上げまする前に、その矛盾という事柄は風早委員はどういう点を内容としておつしやつているかということをむしろお伺い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/104
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105・風早八十二
○風早委員 逆襲して来られましたが、政府は一向矛盾ということは感じておられないのですか。私は政府がどういう程度まで矛盾を認識しておられるかということを聞いているわけです。私どもは矛盾だらけに感じているのでありまして政府はどの程度まで認識をしておられるか、政府の見解を聞いている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/105
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106・井上尚一
○井上説明員 御質問に対しまして十分正確にお答え申すまでには当然その前提として御質問の内容をもう少し詳しく承知したいと思うのでありますが、今おつしやいました範囲内においては矛盾は私不明にしてわからないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/106
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107・風早八十二
○風早委員 どうも逆にそちらから聞かれるのははなはだ迷惑千万なのですが、政府は矛盾と言えばすぐぴんと感じられると思つたのですが、感じられないとすればしようがありませんから例をあげてお話いたしましよう。
たとえばこちらからプラント輸出をすると言つても、これの採算をよくする、つまりコストを下げるためには、たとえば原鉱にしましてもその他の石炭にしても、こういうような原料についてやはり有利な関考がなければならぬと思うのです。ところが現在日米経済協力の点からそこに非常な矛盾があることは、これは御承知だと思うのです。言うまでもありませんが、たとえば塩にしても、中国から八ドルで買えるものを、紅海から二十ドルで買つておる。鉄鉱石にしても、七ドルで買えるものをアメリカから十八ドルで買つておる。石炭にしても、十一ドルで買えるものを三十一ドルで買つておる。その他食糧にしても、綿花にしても同様です。安く買えるところはあるわけです。ところが高いところから買つておる。こういうようなことが東南アジア貿易の根底である日米経済協力の線から出て来ておるということは、前々からしばしば繰返されておる事実なんです。こういう大きな穴を一方で持つておつて、そうしてどうしても不利益なものを無理やりにつつ込んで行つて、そのしりを、あるいはこの保険によるとか、あるいはその他政府出資によるとか、いろいろな形でカバーしなければならぬ。こういうばかばかしい仕事をやつておるのです。すべてこういう法案を審議する場合においては、常にその根本に触れなければ真に問題を解決するということにはならぬと思う。私はそのことを言つておるわけでありまして、そういう点はもう何度も何度も出ておることで、耳にたこができるほど聞かれていることであつて、矛盾として感じない程度になつておられるのか。コストを下げる、合理化をするといつても、原料をもつてつくるプラント輸出でありますから、原料がぐつと半値以下に下ることになれば問題はないのです。そういう点について解決の道が一方であるのに、それをぼうつとして、しまいには考えもしなくなつているということでは、問題は解決しないと思うのでありますが、もしその矛盾がおわかりでしたら、その点について見解を答えてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/107
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108・井上尚一
○井上説明員 重要原料、なかんずく鉄鉱石あるいは粘結炭あるいは塩等の物資につきましては、なるべく優良なものをなるべく廉価に買うということがわが国経済の発展上、きわめて肝要であるということは、まつたく仰せの通りであります。われわれもわが国の産業経済の発展を念願する以上、優秀な重要原料を可及的廉価に入手するという状態の実現を希望しておるわけでございまするが、現在なお一種の停頓状態にあります中共貿易につきましても、一層活発な発展を期待するという点につきましては、先刻通産大臣から申された通りでありますが、いろいろな事情から、ことに今日わが国が立脚しております国際上の地位、そういつたような観点で、この際すみやかにそういう状態の実現を期待することがで覆いことは、われわれも同様遺憾に存じているような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/108
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109・風早八十二
○風早委員 時間の関係がありますから、簡単に端折りまして、大臣に一つお聞きします。
結局この法案によつて一部救済される範囲は、たかがこの十億円の活用の限度にかかつておるのであつて、非常に問題は限られている。しかもこれによつて漏れるキャンセルであるとか、あるいは国際価格の変動ということに対する損失の保険は除外されている。こういうようなことから、非常に効用が極限されていることは事実であると思います。しかしながらその欠をも補い、またもつと根本的に日本の平和産業を発展させて、日本の経済を復興するという、そういう唯一の道が通商の自由というところにあることは、おそらく政府としても御同感であろうと思う。この点については、気がついておるけれども、今の日本の国際関係上どうにもしようがないというのがいつもの政府のお答えであります。しかしこれをもう少し具体的に掘り下げまして、この通商の自由を実際に阻んでいる法的な根拠は一体どこにあるのか、今までは占領下でありまして、事実上いろいろな面で、事実上の管理なりあるいは許可権なりを司令部に握られているというようなことがありましたが、今後講和後そういう点については、実際あらたまつて、日本の自主貿易権が完全に回復するという見通しを持たれるのか、こういうことを私は問題にしたいのでありまして、その第一として、今制限を受けている法的な根拠、たとえば中日貿易が禁止されているが、それの法的の根拠はいつになつたら排際されるのか、そういう点について、大臣からひとつお答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/109
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110・高橋清治郎
○高橋国務大臣 先刻のお言葉の出に、塩とか、鉄鉱石とか、中共から安く買えるのを買わないというお言葉がありましたが、私どもは買わないのじやない、現在では買えないのですよ。現在は、御承知の通りまだ占領下にあるわけなのでありますが、将来どういう見通しを持つておるかというようなお趣意だろうと思うのですが、私は、これはだんだん打開されて行くだろうと期待しておりますし、それを望んでいるということだけしか今日はお答えができません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/110
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111・風早八十二
○風早委員 今大事な御発言があつたわけです。つまり向うが売つてくれないものだから買えないということだろうと思います。それは輸入先行であるからというような先ほどからの御答弁であつたと思いますが、それは事実と反していると私は思います。輸入先件ということは、向うが売らないということじやないのです。つまり向うとしてはせつかく鉄鉱石や粘結炭を日本に送る、そのかわりに日本から歯みがき粉をくれるというのでは、それは話にならないということでありまして、もちろんバーターとして同時に両方から適当なものを送るということであれば、売らないわけではないのです。現に最近、これは中国ではなくソビエトでありますが、今来ておるソビエトの通商代表ダムニツキー氏は、日本で売りたいものは必ず買つてやるし、また日本でほしいものは売つてやる、ごとに木材、パルプ、パルプ木材、石炭というふうなものについて幾らでも売るということをちやんと言つておる。食糧についても同様です。ただそれに対して日本から歯みがき粉を送るとか、あるいは着ることのできないような短いパンツを送るということでは困るといつておるわけです。問題は向うが送る送らないということに理由があるのではなくして、その原因はむしろこちら側にある。しかもそれがこちら側というよりも、日本が自発的にそういう原因をつくつておるというよりも、事実日米経済協力というわくにはめられているところに問題があるということは、これは政府としても承認されると思うのです。そういう点で、今いろいろな事情がかわつて行きつつあり、国際的両陣営の平和的な経済的関係の新しい樹立ということが問題になつて来ておる際に、ただ向うに責任を買わして、こちらの責任について十分に検討しないということでは、日本だけが取残されてしまいはしないかと思う。そういう点では、わが通産大臣は今までの方とは違つて非常に考えておられると思うので、もう少し具体的に打開の糸口を考えてもらいたいと思うのですが、時間もありませんから、私はその点はそのくらいにして、大臣がお答えくださればぜひお答えを願いたいと思う。
立つたついでに、外為の委員の大久保さんに長くお待ち願つておると思いますから、ちよつとお尋ねしておきたい。ドル貨の割当というふうなことは、今事実上日本の権限のもとにはないと思うのでありますが、そういうものはいつになつたら自由になるか。これについてお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/111
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112・大久保太三郎
○大久保政府委員 外貨の管理権が日本政府に委譲されましたことは御承知と存じますが、ただただいまの状態といたしまして、これをどういうふうに使用するかという外貨予算の問題につきましては、先般外貨資金の移管があつた際に発表がございましたように、ここ当分はやはり関係方面に相談いたしまして、合意の上でこれをとりきめるという状態に相なつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/112
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113・風早八十二
○風早委員 たいへん時間をとつて申訳ないのですが一言だけお尋ねをいたしておきたいと思います。いろいろな禁止品目があるわけです。主として戦略物資ということになつておりますが、その中にみかんがあるのです。マンダリン・オレンジと書いてありますが、日本のみかんが一体どういうわけで禁止になつておるかまつたくわかない。実際にみかんを送りたいという業者もあるのですから、ひとつわかるようにお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/113
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114・松尾泰一郎
○松尾説明員 実はみかんのほかに、ほうろう鉄器とか数品目ございますが、これは許可品目でございまして、別段戦略物資として規定しているわけじやないのでありまして、これは実は輸出価格の調整とかいうような、別の目的で掲げておるわけであります。従いまして中国あるいはソ連からドルでお買い取りになれば喜んで出す品目でございます。許可品目を見られて、それが全部戦略物資とおつしやられては困る……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/114
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115・風早八十二
○風早委員 戦略物資とは言つておらない。戦略物資がおもであるがと言つておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/115
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116・松尾泰一郎
○松尾説明員 それは戦略物資ではありません。価格も調整するために掲げておる物資なのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/116
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117・風早八十二
○風早委員 そうするとこれは出せるわけですね。それをはつきり聞いておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/117
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118・松尾泰一郎
○松尾説明員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/118
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119・風早八十二
○風早委員 大臣に一つ最後を飾つてもらいたいと思うのですが、私の言つた今の国際経済の新しい動き、つまり二つの陣営が、少くとも経済的には平和的に共存ができ、そこから実をあげて行つて、政治的にもやはり友好関係を回復しよう、こういう大きな課題が出ておつて今度モスクワでも、来年の四月三日を期して国際経済会議が開かれることが提唱されておる。その準備会が十月二十七、二十八日にコぺンハーゲンでありました。日本からも委員が選ばれておる、こういう状態であります。ここで両陣営から専門家その他実業家が出て来て、お互いに平和的な経済的共存の実をあげようということが起つておるわけです。アメリカからも三十九人招請されておる。イギリス、フランスあたりの大きな銀行総裁などが、すでにコペンハーゲンの方に参加しておる。そういつたような動きもあるような状態の中で、日本だけがぽかんとしておるわけに行かぬと思うのです。そういう点で大臣の御抱負はどうであるか、ひとつ伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/119
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120・高橋清治郎
○高橋国務大臣 たいへんむずかしい御質問ですが、私は世界の今のむずかしい国際情勢なんというものは解決されて、どこの国とでも自由に交通ができ、自由に貿易ができることが一日も早く実現することを臨んでやまないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/120
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121・中村幸八
○中村委員長代理 これにて通告者の御質疑は全部終了いたしました。他に御発言はないようでありますので、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/121
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122・中村幸八
○中村委員長代理 次にただいま本委員会に付託せられました中小企業信用保険法の一部を改正する法律案につきまして政府当局よりその提案理由の説明を求めます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/122
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123・高橋清治郎
○高橋国務大臣 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案理由を御説明いたします。
御承知のように中小企業信用保険法は、中小企業者に対する事業資金の融通を円滑にし、中小企業の振興をはかるため、金融機関の中小企業者に対する貸付につき政府が信用保険を行う制度でありまして、昨年十二月十五日公布施行されたのでありますが、その後今日まで約十一ヶ月間の実施状況を見ますと、附保金額は約二十七億円にすぎず、遺憾ながら金融機関の利用は必ずしも十分ではないのであります。このように利用がまだ十分でないことの理由は、もちろん制度の実施後なお日が浅く、その趣旨が十分に徹底していない点にも求められるのでありますが、また一般金融情勢によりまして金融機関としては長期資金の供給が困難であること、あるいは制度そのものにもなお改善を要する点があるのではないかと思われるのであります。政府におきましてもこれらの点につき検討を加えているのでありますが、この際次の二点について同法の一部に改正を加えて、その運用の円滑化をはかりたい所存であります。
その改正の第一点は、保険関係が成立する一中小企業者に対する貸付金額を現在の三百万から五百万円、その中小企業者が中小企業協同組合であるときは、一千万円から二千万円に引上げることであります。その第二の改正点は新たに信用保証協会の保業証務を保険することができるようにすることであります。この二つの改正点のうち、第二の点について特に御説明申し上げますが、御承知のように信用保証協会は、中小企業者の金融機関に対する債務を保証することを主たる業務とする公益法人でありまして、中小企業信用保険が金融機関の貸付について保険を行うのに対し、信用保証協会は、中小企業の債務を保証するものでありますが、その目的とするところはひとしく中小企業金融の円滑化をはかる点にありまして中小企業の振興に大きな役割を演じているのであります。
今現在の信用保証協会の実情を見まするに、その出資金の大部分が都道府県市等の地方公共団体の負担するところとなつているのでありまするが、近来地方公共団体の財政の実情から、その資金醵出にもおのずから限度があり、ために保証協会の活動の範囲は制約されているのであります。従いましてこの際国営たる中小企業信用保険制度によつて信用保証協会の保証業務を保険することができる道を開き、さしあたり保証協会の保証業務の五割程度を保険することといたしたい所存であります。これによりまして信用保証協会の機能は飛躍的に強化され、中小企業信用保険の利用の活発化と相まつて、中小企業者が信用ないし担保力の不足のために金融が受けられないという事態は大いに改善されるものと期待されるのでありまして、中小企業金融の円滑化に大いに資するところがあると考えるのであります。
何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことをお願いたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/123
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124・中村幸八
○中村委員長代理 以上で提案理由の説明は終りました。質疑は次会よりこれを行うことといたします。なお次会は明日午前十時より、商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案について大蔵委員会と連合審査会を開会し、その後本委員会を開会する予定であります。
本日はこの程度にして散会いたします。
午後六時五十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00619511113/124
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