1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十一月十六日(金曜日)
午後一時五十五分開議
出席委員
委員長 小金 義照君
理事 高木吉之助君 理事 中村 幸八君
理事 高橋清治郎君 理事 今澄 勇君
阿左美廣治君 今泉 貞雄君
江田斗米吉君 小川 平二君
神田 博君 澁谷雄太郎君
福田 一君 風早八十二君
出席政府委員
大蔵事務官
(銀行局長) 河野 通一君
中小企業庁長官 小笠 公韶君
委員外の出席者
専 門 員 谷崎 明君
十一月十六日
委員高田富之君辞任につき、その補欠として中
西伊之助君が議長の指名で委員に選任された。
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十一月十五日
産金奨励に関する請願(今澄勇君紹介)(第一
三〇九号)
只見川電源開発促進に関する請願(渡邊良夫君
紹介)(第一三一〇号)
中小企業等協同組合法の一部改正に関する請願
(千葉三郎君外三名紹介)(第一三八七号)
中小企業資金融通法制定に関する請願(千葉三
郎君外三名紹介)(第一三八八号)
電力制限許可制に関する請願(松永佛骨君紹
介)(第一四一〇号)
東北の開港場に輸出物資検査出張所設置の請願
(大内一郎君紹介)(第一四一一号)
浮游選炭機設置費国庫補助等に関する請願(平
井義一君紹介)(第一四三二号)
中小企業者に対する融資対策確立の請願(坂本
泰良君紹介)(第一四五二号)
電源開発促進等に関する請願(坂本泰良君紹
介)(第一四五三号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
信用保証協会の法制化並びに国家再保証に関す
る陳情書(
第七五五号)
電源開発と国有鉄道電化促進に関する陳情書
(第八二九号)
電源開発と離島及びへき地の電化助成対策に関
する陳情書(第八
三〇号)
亜炭鉱害復旧国庫補助に関する陳情書
(第八三二号)
暖房用石炭価格に関する陳情書
(第八
三三号)
電力危機打開等に関する陳情書
(
第八三四号)
長野県電力料金の地域差設定及び水火力調整費
撤廃に関する陳情書外一件
(第八
三五号)
電源開発に関する陳情書
(第八三六号)
自転車競技法中国庫納付金改正に関する陳情書
(第八三七号)
第三・四半期の電力割当増加に関する陳情書
(第八三八号)
東北地方鉱山製錬事業の電力使用制限の是正緩
和に関する陳情書
(第八三九号)
電気事業に係る公納金増額及び保証年限延長に
関する陳情書
(第八四〇号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
小委員の補欠選任
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(
内閣提出第三六号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/0
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001・小金義照
○小金委員長 ただいまより通商産業委員会を開会いたします。
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案について質疑を継続いたします。高橋清治郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/1
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002・高橋清治郎
○高橋(清)委員 信用保証協会を指定法人とした理由、最近協会を社団法人から財団法人に切りかえた点はどんな理由であるか。それをちよつと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/2
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003・小笠公韶
○小笠政府委員 お答えいたします。今度の改正によりまして、保証協会を指定法人という形で呼んでおりまするのは、現在の信用保証協会が財団法人もしくは社団法人の二つであるのであります。すなわち民法に基きまする法人であるわけでありますが、特に政府におきまして公益の目的をもつて信用保証を行つている法人を指定する、こういうふうな意味におきまして、指定法人ということにいたしたわけであります。
第二のお尋ねの、信用保証協会が従来社団法人であつたのを財団法人に切りかえて参つたその理由でありますが、昨日も申し上げましたように、現在信用保証協会は五十ございまして、そのうち財団法人になつておりますのが三十九、社団法人が残りの十一ということに相なつておるわけであります。社団法人から財団法人に切りかえました理由は、社団法人で信用保証の業務を行うことは、事業者団体法との関連において法律的な疑義を生ずるというふうな理由から、問題のない財団法人へと切りかえて行く指導をいたしておるわけであります。従いまして指定法人として信用保証協会を本法の運用にあたりまして指定いたしまする際におきましては、財団法人を中心に考え、社団法人につきましては事業者団体法との関係をはつきりいたしました上で、必要がありますれば財団法人に切りかえて行くという方向へ持つて行きたい、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/3
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004・高橋清治郎
○高橋(清)委員 保証協会指定は、どのような基準によつてやるのか、この点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/4
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005・小笠公韶
○小笠政府委員 ただいまの考え方といたしましては、中小企業への信用を保証する業務、すなわち金融機関からの借入れに対して、信用保証協会として第三者保証をするという業務を行つておりまする団体を全部指定いたしたい。すなわち先ほど申し上げましたように現在五十ございまするが、五十を指定いたしたい、こういうふうな考え方に基くものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/5
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006・高橋清治郎
○高橋(清)委員 最後にお伺いいたしたいと思うのは、信用保証協会を相手方とする保証の、保険関係が成立する保証をした借入金の額の指定法人を通ずる合計額を、本年度百億円とした根拠はいかなる理由であるか、また平年度においてはどれくらいになる見通しであるか、この点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/6
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007・小笠公韶
○小笠政府委員 お答えいたします。本年度の額を百億といたしました理由につきましては、昨年度におきまする信用保証協会の保証承認額の伸びの状況を見ますると、十二月一日からもし実施すると仮定いたしまして、四箇月に約七十億見当、すなわち月十億余というものが毎月増加いたしておる状況に相なつておるわけであります。そういう過去の実績をとりまして、一応七十億余という算定が出て参るわけでありまするが、本年も年末金融等の情勢をも考えまして、一応百億というふうに契約範囲を広げたわけであります。来年度の保証金額につきましては、まだ最終的な決定をいたしておらないのでありまするが、大約三百億見当というものをただいまのところ一応考えておる、こういう状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/7
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008・小金義照
○小金委員長 今澄勇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/8
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009・今澄勇
○今澄委員 大体中小企業金融の一番根本問題である国家的な中小企業金融機関の設立と、それから中小業者の中で非常に弱小なものに対する保険制度の確立と、この二つが日、本の中小企業金融に対する中小企業庁が考えた基本的な方策で、特にその中の前段の中小企業金融金庫のごとき国家的な機関の設立については、いまだその構想が明らかにされておりませんが、これは商工中金なりあるいはその他の現状機関を中心にという先般の御答弁でございました。そこで私は、中小企業信用保険制度のこのたびの改正による前進によつて、中小企業金融としてはこれはたいへんなプラスであると思います。こういう中小企業庁の絶えざる中小企業金融に対する努力を大いに多とするものでありますが、この機会に一言聞いておきたい。商工中金法の改正や、信用保険法のこのたびの改正、並びに信用組合が信用金庫からはずれて、府県立の協同組合で設立するといつたような現状のもとにおいて、中小企業庁は総合的に今後まだ大きな構想を持つておられると思うが、その点についてお聞きしたい。
それから第二点は、せつかくのこれまでの信用保険制度も、いろいろな窓口の取扱いの非民主的な方法や、あるいは実際に困つた中小業者への親切な指導が欠けておつたために、現実の運用の面においては非常にその成績が上らなかつた点にかんがみて、これを現実の中小業者をして、心安く徹底させ利用させる方式として何らかお考えになつておるか。二点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/9
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010・小笠公韶
○小笠政府委員 お答えいたします。中小企業金融の機構と申しまするか、そういうものをどういう形において持つて行くかという問題でございまするが、中小企業の実態から考えまして、中小企業への資金供給の道はいろいろな手をとる必要があると私は思うのであります。しかしてそこに一つのはつきりした組織体系というものを持たなければならぬではないかというお話でございますが、私もそうだと思うのであります。そこでその組織体系の基本をどこに置いて行くかという問題でありまするが、特に中小企業金融が財政的な関係の資金に今後依存することも相当多いのでありますから、そういうふうな点から考えまして、既存の商工中金というようなものに対して検討を加えて行くという考え方が一つできると思うのであります。また別に新しく中小企業金融の一つの中枢的な機関をつくつて行くという考え方もできると思うのであります。このいずれの方法が現実に最も実現の可能性が多いかという点につきましては、なお十分に検討いたさなければならぬと思つておるのでありまして、できるだけ早く結論を出したい、こういうふうに考えておるわけであります。特に御指摘のように、いわゆる相互金融組織としての信用協同組合というふうなものにつきましても、今後これの系統機関への結びつきというものをどう持つて行くかというふうな問題があるわけでありまするが、それも考えて参りたい。今申し上げました基本的な考え方とあわせて持つて行きたい、こういうふうに実は考えておるわけであります。
第二点のお尋ねのいわゆる中小企業金融の窓口におきまする取扱いぶりということにつきましては、従来からいろいろ御意見なり御批判を伺つておるわけであります。私どもといたしましては、この中小企業金融のむずかしさの一つは銀行取引になれない方々の金融需要というものが相当あるということでありまして、そういう方々に対して、容易に銀行、金融機関との話ができるような方向にぜひ持つて行かなければならぬというふうに考えております。そのためには、たとえば政府資金あるいはこれに準ずるものを多く投じております商工中金等の窓口の整備、応対の問題につきまして従来できるだけ改善の指導をいたして参つておるわけでありますが、将来なお一段とその改善を加えて参りたいと考えておるわけであります。他方私どもが指導して各府県に幾つか設置されておりまする、いわゆる中小商工企業相談所というふうな組織があるわけでありますが、これの機能活用によつて、そこに媒介的な機能活用をできるだけやらして行くということも、金融問題の解決がスムーズに行く一つの道ではないかというふうに考えておるわけであります。できるだけその窓口における安易さができるような形に持つて参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/10
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011・今澄勇
○今澄委員 簡単にもう一問質問をいたします。第九条の四による、政府が支払うべき保険金の額についての具体的な説明と、それから今度の補正予算等にこの保険基金の増額が行われておらないのでありますが、これらのものはこの際中小企業庁としてもその増額を希望されたことであろうと私は思いますが、その間の情勢についてさしつかえなければ御報告を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/11
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012・小笠公韶
○小笠政府委員 第九条の、いわゆる政府が支払うべき保険金の額というものは、中小企業者が金融機関から借りております元本債権というものについて考えて参りたい、こういうつもりであります。従いまして利息債権というものを排除しておる、こういうことであります。この点は現在の信用保険制度自体がそういうことになつておるのでございまして、現在信用保証協会によりましては、利息債権をも支払い保証をしておるというふうな向きもあるわけでありますが、信用保険制度といたしましては、元本を中心に考えて参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。
なお本制度の運用にあたりまして、もとになります資金を財政的に用意をしていないじやないかというお話でありますが、私どもといたしましては、御承知の通りに本制度が御協賛を得まして十二月一日に実施するといたしましても、本年度内にこの保険金支払いという事態が予想されないということが一つと、それからもう一つは、理論的には借入期間におきまして、途中で期限の利益の権利を喪失する場合が起りましても、すでに信用保険特別会計におきまして十五億の出資をいたしておるのであります。しかもこの十五億はそのまま手つかずにあるという状況でありますので、本年度予算に関する限り、特に追加をしなくても運用できるという見通しのもとに予算に計上いたさなかつたわけであります。ただ来二十七年度の予算におきましては、相当額を要求してこの制度の運用に支障のないように持つて行きたい、こういう考え方のもとに政府部内で相談を進めておる、こういうような状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/12
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013・今澄勇
○今澄委員 もう一問銀行局長にお尋ねをして質問を終ります。
現在年末の金融についていろいろ中小企業は悩んでおりますが、本年度の通貨の模様並びにその他から断定をして、本年の年越し資金というものは特に中小業者に深刻な打撃を与えると思います。そこで商工中金に対する伝えられた金融債の引受けが年度内に一体間に合うかどうかということが第一点。第二点は国民金融公庫に対する改正法律案が先般通りましたが、十億の増資のほかいかなる金融措置を行うのか、金融債その他の措置についても年末金融に間に合うかどうか。第三点は、国民金融公庫、商工中金、あるいはまた相互銀行、信用金庫等コマーシヤル・ベースに乗つたものと、国家的機関とに対し国家資金はこれらのものに平等に流すか、それとも区別されるかどうか。第四点は年末の税金の徴収によつて中小業者から引揚げる金額と、年末の越年に政府が考えておるあらゆるものとの数字を比較してみると、引揚げ超過になると思うが、これらの引揚げ超過の状態で年が越せるかどうか。もう一点は政府が預託しております百億ちよつとの預託金をこの年末に大体回収するということが伝えられております。商工中金その他に与えられた四十億の預託金については、その引揚げを来年二月まで中止するというような説が巷間伝えられておるが、各機関別に預託をされた政府資金の金額と、それをこの年末にあたつて年内に幾ら引揚げ、さらに来年のいつ幾ら引揚げるという資金計画について決定をいたしておりまするならば、この際説明をしてもらわないと、年末金融に対するわれわれの考え方の中心がきまりませんので、以上の五点に対し銀行局長に質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/13
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014・河野通一
○河野(通)政府委員 お答え申し上げます。
まず第一に、年末にかけての金融情勢通貨の見通し等について概略御説明を申し上げます。現在のところでは、これから年末にかけて相当程度政府の支払いは促進される見込みであります。実は今手元に資料を持つておりませんのではなはだ申訳ございませんが、相当程度の支払い超過になる予定であります。一方日本銀行の年末にかけての貸出し政策による資金の需給の調整と相まちまして、年末の通貨の大体の見通しはピークにおいて五千三百億程度、ピークから年末の最後の日には若干落ちるわけでありますが、年末で五千百億前後くらいの発行高になるかと思います。昨年度の年末には、同年の九月に比較して相当顕著な通貨の発行増を見たのであります。これは御承知のように、去年の暮れにおける朝鮮事変の関係のいろいろな生産の増加その他の関係から異常の膨脹を示しておるわけであります。今年大体五千二、三百億というところで年を越すということになりますれば、通貨としてはそう別に非常に不足するという状態にもならないと思いますし、またそれかといつて、これで非常にインフレになつて行くというふうにも考えられないと思います。生産の状況、物価の状況その他から見まして、大体その程度が適当ではないかというふうに考えておるのであります。そういう場合におきまして、年末には実際一般の金融の問題がいろいろございますが、特に中小関係の金融は一体どういうふうな措置をするのかというのが次の問題であると考えます。特に今商工債券の資金運用部による引受けの問題を御提議になつておるのでありまして、商工債券の資金運用部資金の引受けにつきましては、現在のところまだ当初の計画以外に予定をいたしておりません。補正予算を今国会に御提案申し上げておるわけでありますが、これとうらはらをなします資金運用部の運用計画の変更にあたりましても相当収入の増を見込みまして、これが運用計画の変更をいたしたのであります。当時におきましてもいろいろ関係方面と折衝の結果、今きまつておりますような変更計画になつたわけであります。その中にはただいま申し上げましたように、商工債券をさらに追加して引受けるという計画には現在なつておりません。いろいろ各方面から強い御要望があることは十分に承つておりますし、目下この問題につきましては検討を続けておるわけであります。時期的にもはなはだ切迫しておりながら、検討しておるのはどういうわけかというおしかりを受けるかと思いますが、現在まだ結論に到達しておらないわけであります。
次に国家資金を各種の中小金融機関に対してどういうふうに考えているかというお話であります。国家資金と申しましてもいろいろございます。たとえば一般会計から狭い意味の財政資金として放出する場合、あるいは見返り資金とかあるいは資金運用部資金のような、政府資金でありますけれども一般の狭い意味の財政資金とは若干違つた資金を放出する方法、あるいは時期的に余裕のできて来た金を一時中小金融機関に預託をするというような制度もあると思います。その他考えればいろいろ特別会計をつくつて行くというような制度もあると思いますけれども、このうち一般会計から出資をいたしますのは特別の政府機関、厳格な意味の政府機関に原則として限られることになるかと思います。それから資金運用部資金につきましては、現在御承知のように債券の引受けという形で農林債券、商工債券の引受けを資金運用部で受持つているわけであります。そのほかに国民金融公庫等に対しては、債券を出しておりません関係上、これを貸し付ける形で資金運用部資金から資金を出しているわけであります。見返り資金につきましては、中小金融に向けられるわくが本年度は四十億となつておりますが、これは各金融機関、特に中小金融に専念いたしております商工中金等が最も大きな口でありますが、これらの方へ諸機関を通じてできるだけこの資金が活用されることを期待しているわけであります。
次に一般会計の預託金の問題でありますが、これは最後に御質問のありました点と関連いたしますので、ここで一括して申し上げておきたいと思います。今年の八月に主として中小金融に努力をいたしておりまする金融機関に厚くする建前のもとに、百五十億を預託がえをいたしたのであります。当時の信用組合は現在大部分信用金庫になつております。また当時の無尽会社は現在相互銀行になつております。それから商工中金、農林中金、こういつた中小金融に努力をいたしております方面へ分散いたしたのであります。機関別の数字を今持つておりませんのではなはだ申訳ありませんが、今後これをどういうふうにして回収して行くかという問題であります。当初八月に予定いたしましたときには、大体三箇月程度で政府の支払いがだんだんに促進され、年末には全額引揚げるという建前で八月に実は預託をいたしたのであります。その後の情勢が必ずしも金融の梗塞打開ができておりません関係上、便宜措置といたしまして、このうち相当な分を引揚げを延期いたすことにいたしたのであります。具体的に申し上げますと、銀行につきましては、これは日本銀行との取引につながつておるものでありますから、後に申し上げます例外的な臨機の措置を除きまして、全額予定通り引揚げることにいたしました。すでに一部は実行いたしたのであります。無尽会社——無尽会社と申しますと、現在では相互銀行が大部分でありますが、相互銀行、信用金庫等につきましては、その半額を残して、半額を引揚げるということにいたしたのであります。商工中金につきましては、特別にその資金の需要が旺盛でありますために、十三億の預託金をそのまま全額年を越して引継いで行く、こういうことにいたしたのであります。なお農林中金につきましては、これは御承知のように年末にかけての金繰りが割合楽であります関係上、この点につきましては全額予定通り引揚げたのであります。今例外と申し上げましたのは、銀行等につきましても、無尽会社、相互銀行、信用金庫等につきましても、災害地を活動の分野としておるものにつきましては、全額これを残しまして年を越させることにいたしたのであります。その関係の金額が総額で、ちよつとはつきり覚えておりませんが、十四、五億になつておりやせぬかと思います。なお災害関係の緊急の資金需要を満たして参りますために、そのほかに四、五億のものを商工中金と農林中金に新しく附加して預託を追加いたしました。そのうち、たしか商工中金には二億四千万か、五千万円の預託をいたすことにいたしたのであります。
それからなおこれも災害の関係に関連いたしますので、ついでに申し上げておきますが、日本銀行の中小企業の別わくの資金を、災害関係のために同じ目的をもつて四、五億程度わくの追加をいたして参りたいと思います。これを利用いたしますものは、大体商工中金と勧業銀行が主たるものになります。今申し上げましたようなことで、今般の政府一般会計の余裕金の指定預金についての処理を、概要御説明申し上げた次第であります。
それから最後の御質問は、税金による政府の引揚げと、政府が国庫支出として支払うものとではへどうしても引揚げの方が多いのじやないかというお話であります。これは中小企業とわけてその計算をいたしてみておりませんので、その辺のことは実ははつきり申し上げかねるのでありますけれども、全体として見ますならば、先ほど申し上げましたように、第三・四半期、ことに年末にかけては政府は相当程度支払い超過になる見込みであります。従いましてむしろそのときには日本銀行の貸出し政策によつて調整を加えて行くということになるわけであります。全体的にいいますならば、政府は年末にかけて引揚げ超過にはならないということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/14
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015・今澄勇
○今澄委員 今の説明で大体年末の金融に対する大蔵省の考え方がわかりました。私は供米代金の相当に巨額なものや、農林関係のいろいろな資金の面については大いに潤沢になるであろうと思いますが、少くとも中小企業の部面に関する限りは、政府の税金の残りの増徴と、その他の施策をいろいろ振り返つて考えてみると、年末金融は中小企業については非常に逼塞するということが予想せられると思います。問題の政府の預託金も、農林中金などは、あるいは全額引揚げても、供米代金の預託その他で全国的な農業協同組合の台所はよいかもしれませんが、少くとも商工中金の年末金融については、このたび行われた商工中金に関するいろいろな新聞報道があつたけれども、私どもは、そういう一つのスキャンダルや一部の新聞報道によつて、年末の中小業者の中小企業金融に大きな支障を生ずるということはもつてのほかだと考えております。貸出しの根底に横たわる金融機関全体としての粛正、これは銀行を含むその他の全般的な金融機関を含めての問題であつて、商工中金の問題ではない。だから不正融資並びに貸出しに対する大きないろいろなスキャンダルについては、金融機関全体の問題として大蔵省はこれを監督することもに、少くとも年末の中小金融については、これによつて煩わされてはならぬ。商工中金に関する金融債の引受け等は即時これが決定をして、年末に対する中小企業等協同組合を結成している諸君の越年に十分ひとつ協力をすべきものであるということを申し添えて質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/15
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016・小金義照
○小金委員長 次は風早八十二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/16
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017・風早八十二
○風早委員 中小企業の現状並びにこの年末にかけての予想というものを見ますと、これはもう先ほどからいろいろ出おりますが、われわれの判断もまた同様であつて、これは非常な窮境に陥るものと考えざるを得ないのであります。朝鮮の特需景気なるものによつて多少とも均霑したものが全部吐き出されて、いよいよこれからジリ貧になつて行くというような状態であると思います。この際何といつても中小企業の金融問題が第一であることは言うまでもないと思います。その意味で、この法案をわれわれ検討してみますと、とにかくこの趣旨は、金融機関が長期に——この銀行の長期資金の貸付に対して保証しようという趣旨でありますから、この点は非常にけつこうだと思うのであります。しかしながら実際に銀行が中小企業にはほとんど金を貸さないというのが偽らざる実情なんです。そういう点で、これは何としても政府の保証が積極的に強化されなければならぬことは、もし中小企業をほんとうに助ける、育成しなければならぬという前提に立つならば当然であると思います。ところが実際を見ますと、なかなか政府はこれに対する確固たる保証をやらない。今度の予算を見て驚いたことには、少く見積つても六百億から八百億くらいのリザーヴ・フアンドがある。こういうものをせめて預託の形ででも金融機関にまわすべきで、そういうようなことで相当な余裕があるのではないかと思いますが、今の御答弁によりますと、かえつて預託は引揚げるというような傾向であると思います。そういう点で、預託に限りません。いろいろまだお尋ねしたいことがありますが、預託などについて、もう少し積極的な方策を講ぜられるお考えはないか。この点をちよつとお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/17
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018・河野通一
○河野(通)政府委員 今御提案申し上げております補正予算を含めて、政府は相当リザーヴを持つておるのじやないかというお話であります。これは大蔵大臣からも御説明申し上げたかと思いますが、それぞれその理由によつてリザーヴと申しますか、インヴェントリーと申しますか、そういう措置を講じて参つたと考えております。決して金が余つておるという性質のものではないと私は了解しておるのであります。
なおそういうインヴェントリーがあるならば、そのインヴェントリーを使つてしまつたらいいじやないかという問題であります。これはむしろ財政の問題として所管外の私から御答弁申し上げる筋ではないと思いますが、いずれにいたしましても、そういうふうにしてインヴェントリーされた資金を指定預金とかその他の形で再放出することの可否につきましては、そういうふうな形でインヴエントリーされたことの可否に関連して参るのでありまして、インヴェントリーすることが適当であるということになりますならば、その金は、総合的な財政資金の需給という建前から、やはりそのまま寝かしておくことが適当であるという筋合いに結局なると思うのです。そういうインヴエントリーを積む必要がないという議論からいたしますと、その積まれたものをさらに再放出することになつて参りますけれども、資金全体の関係からいいますと、今申し上げました総合的な資金需給から見まして、その程度のものは何らかの形で積んでおくということになるわけであります。財政資金としてそれが放出なりあるいは回収なりという形になることはあつても、これが金融の面で預託の形で出て行くことは総合資金需給の建前から必ずしも適当でないというふうに考えております。
なおこの第三・四半期におきましては、私先ほども申し上げたのでありますが、資料を持つて来ませんので、はなはだ申訳ありませんが、相当程度の支払い超過になりまして、政府の一般会計の預託金も相当顕著に減少しておるようであります。その点から見ましても、この際年末にかけて原則としてやはり預託いたしました資金は、引揚げて行くということにいたさざるを得ないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/18
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019・風早八十二
○風早委員 私がその点を特にお尋ねしたのはもちろんインヴェントリーという制度に対してやはり反対の立場から言つておることは間違いないのであります。但しこれは私一個の意見ではないのでありまして、今日金融界の代表的な意見としてもそれは大いにあると思うのです。先般予算委員会の公聴会で、千代田銀行の千金良頭取もはつきりとたびたび指摘しおりました。やはりこのリザーヴ・フアンドを金融機関にまわしてくれれば、非常に今の金融難が緩和されるということを痛烈に言つておつたわけです。そういうわけでこれは根本の政策に関係するから、特に銀行局長から今日御答弁ができないという事情もあるかもしれません。しかしながら常にインヴエントリーという制度が事ごとに実際問題として矛盾を持つておるのだということは、ある程度了承されやしないかと思うのです。そういう点を御参考までにこの際申し上げておきたいのであります。
それで他面におきまして、中小企業者の税金負担というものは、国民全体の税金負担の中でも特に重い比重がかかつておることは、皆さんもまた御承知のことであると思います。年末に今度五千数百億円の金が流れるといいますが、しかしながら他方において政府は昨年度に対して四八%もの、われわれからすれば水増しと言つてよい所得の増加があるものとはつきりと予定——というよりも判断しておるわけです。そういう点から見ましてこの金融の絶対額が昨年度四千億に対して、本年度五千億何がしといつても、これが実情から見て、はたしてこれで十分かということは、ここでは水かけ論になるかもしれませんが、言えないと思う。他方において、先ほど今澄委員から指摘したように、実際にこの金がどういう配分で流れて行くかということになると、これはまた中小企業者にとつては大問題なのであつて、現に非常に不安を訴えておることは、御承知の通りだと思います。そういう意味で政府が積極的に中小企業者を助成するという考え方は不徹底である、あるいは逆であるということをやはり痛感するのであります。その点で今回の改正は、諸費が上つおる、いろいろ原料も高くなつておるという経費の割高の関係もありまして、これらの資金需要の増大に応じて、これは一つのスライドというような意味で、当然の改正であることは認めなければならぬ。ただ当然の方向で改正されたという意味で、われわれも実はこの趣旨には賛成なんでありますが、しかし非常に不徹底だ。こういうところに、政府が中小企業者にただ中小企業対策という一つの看板をここで出すというふうな、欺満的なものがあるのではないかということをわれわれは非常に感ずるものであります。
次にお尋ねいたしたいことは、銀行の融資にしましても、また信用機関に対する保険によつて促進せられる銀行の融資にしましても、軍需産業に偏して、平和産業が非常に軽んぜられるという傾向がずつと近年あると思うのです。特に朝鮮の問題以来この傾向が顕著だと思います。私どもはその点では差別をなくすというよりも、むしろ積極的に平和産業に融資を助成してもらいたい。これは軍需産業の方は原料関係からいいましても、いろいろな特典もあり、いろいろな便宜が他の方面でも与えられるわけでありまして、そうでなくても何らの特典のない平和産業は、またしてもこれで非常にハンディキャップがつくということになりますと、みんな利益の多い産業、結局は、軍需産業ということになつてしまつて、日本の全体の産業構成というものは、そういう点で軍需産業への再編成ということにひいては促進される、こういうふうな危険さえも非常に出て来るのではないかと思う。そういう意味で、この点について、つまり平和産業、軍需産業の差別がないというだけでなくして、特に平和産業に相当の意を払う、これに重点を置くというような点で、何かこの法案の上でも、あるいは他の措置においても考えられておることがあるか、あるいはそういう措置を講ぜられておるか、この点をひとつ御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/19
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020・小笠公韶
○小笠政府委員 お答えいたします。現在の中小企業信用保険法の御審議の際にもそういうお話は伺つたのであります。御承知のように本中小企業信用保険法は業種を指定する、こういうことになつております。その業種の指定の際に、私どもは重点主義というものをとつておりません。特に原始産業、農業関係、それから料理飲食業というような、不要不急産業を除いたにすぎない。中小企業はできるだけ全体的な形において、いわゆる利益を均霑できるというふうにいたしているわけであります。今度の保証協会の保証業務を保険するに際しましても同じ考え方で実は持つて行きたい、こういうふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/20
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021・小金義照
○小金委員長 ほかに御発言はございませんか。——それでは本案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/21
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022・小金義照
○小金委員長 この際委員の変更についてお知らせいたします。ただいま委員高田富之君が辞任せられまして、中西伊之助君が補欠選任せられました。これに伴いまして小委員においても同様中西伊之助君を補欠選任いたしたいと存じますが、御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/22
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023・小金義照
○小金委員長 御異議なしと認めます。それではそのように決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/23
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024・小金義照
○小金委員長 引続いて中小企業信用保険法の一部を改正する法律案について討論に入ります。討論は通告の順によつてこれを許します。高木吉之助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/24
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025・高木吉之助
○高木(吉)委員 ただいま議題となりました中小企業信用保険法の一部を改正する法律案につきまして、私は自由党を代表いたしまして賛意を表するものでございます。中小企業信用保険法は、中小企業者に対する事業資金の融通を円滑にし、中小企業の復興をはかるため、金融機関の中小企業者に対する貸付につき、政府が信用保険を行う制度でございまするが、今日までその実施状態を見ますと、健全とは言えないのであります。政府におきましてはさきに中小企業金融に対する施策といたしまして、中小企業等協同組合法の改正、あるいは信用金庫、あるいは国民金融公庫法または中金法の一部を改正する法律案等の関連をもちまして、これに対する施策をいろいろ講じて参つたのでありますが、今回また中小企業信用保険法の一部を改正いたしまして、今日まで保険率の低額であつたという点につきまして留意をせられ、三百万円を五百万円に引上げ、あるいはまた協同組合等におきましては、一千万円を二千万円に引上げるということはまことに時宜に適した方法であります。ことに最も中小企業に関係の深い信用保証協会に対する保険に対しまして、これを保証せられるということは、われわれ中小企業者が今日まで非常に期待をしておつたことでありまして、満腔の賛意を表するものでございます。ただ私は今日までいろいろの制度がとられておりまするが、中小企業に対しましては、ことにその運営に対しましては零細なるものが多いのでありまして、十分にその意思が通じないというために、今日まであらゆる制度が円滑なる運営をいたしておらないと考えるのであります。その点につきまして、いかに法律が改正されましても、その法の運営にあたりましては、十分に中小企業の実情を把握せられまして、この法案が完全に施行せられんことを希望いたしまして本案に賛成する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/25
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026・小金義照
○小金委員長 次は高橋清治郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/26
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027・高橋清治郎
○高橋(清)委員 ただいま議題になつております中小企業信用保険法の一部を改正する法律案ついて、私は国民民主党を代表したしまして簡単な所見を述べて賛意を表する次第であります。
わが国産業中に占めます中小企業の重要性から見ますと、中小企業金融の円滑をはかりますことはきわめて重大な経済問題であります。その運営のいかんは、ひとり中小企業のみならず、広くわが国経済一般に甚大な影響を及ぼすものであることは皆さん周知の通りであります。中小企業の範囲が広汎でその内容はすこぶる複雑多岐にわたつており、かつまた中小企業金融が性質上採算的金融に乗りがたいという点もあるから、この問題を解決するためには、あらゆる角度から総合的施策を講ずることによつて、絶えず改善のために努力を続けることが緊要であると私は思います。しかるに現在の中小企業金融の措置改善には、中小金融特殊機関、すなわち銀行、相互銀行、信用金庫、協同組合等々、それぞれの機能を十分に発揮せしめ、中小企業の積極化をはかり、今回また本改正案によつて、信用保証協会の活用を企図せられ、多種多様な金融的措置において中小企業伸長を試みられんとする当局の努力のほどを大いに多といたしまするが、あまり多種多様の金融機関が濫立し、その内容が薄弱になりがちになるおそれがあるのであります。現在のように金融機関の設定のみにとらわれず、中小企業自体の経営の合理化、整備、また協同化の促進に十分の意を払われ、適切妥当なる金融の円滑化に万全の措置を講ぜられんことを要望いたしまして私の討論を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/27
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028・小金義照
○小金委員長 次は今澄勇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/28
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029・今澄勇
○今澄委員 私は日本社会党を代表して本法律案に賛意を表するものであります。この中小企業金融については、常に改善と、そして進歩的な措置が講ぜられるということは当然であつて、中小企業庁がこの中小企業金融のために、大きく努力を傾けつつあることについては敬意を表するものでございます。しかしながら現在の中小企業金融機関の体系の整備と、しかしてその中心的な機関をいずこに置くかというような根本問題について、一日も早く解決の策をとられ、大きな中小企業金融全般にわたる施策を展開せられることを希望いたします。当信用保険制度が十億の基金そのままであつて、補正予算等に何ら計上しなくてもさしつかえないなどというこの現実こそは、いかに従来の中小企業金融保険制度というものが、利用せられておらなかつたかという証拠であつて、この中小企業庁の意を体する保険制度運営にあたり、末端の諸君が民主的にそして親切に取扱いをして、中小企業信用保険制度を活用して、中小企業者が現実に苦悩を救われるような監督と指導を中小企業庁に望んで私の賛成討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/29
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030・小金義照
○小金委員長 次は風早君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/30
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031・風早八十二
○風早委員 私は日本共産党を代表して本案に賛成の意を表するものであります。この賛成をするについて二、三の希望意見を付しておきたいと思います。
第一は、この保険法によりまして促進せられる融資が大きな企業者に片寄る、そしてほんとうの小企業者がこれからかえつて除外される、こういう危険を十分に防止するために、政府が十分な責任のある努力をされることである。
第二には、この保険によつて促進せられる融資が、軍需産業に片寄ることなく、平和産業に重点を置いてもらいたい。このことは質疑の際にも申し述べた通りでありまして、今日の中小企業というものを、われわれが助成しなければならないという前提に立つ以上、これは当然のことではないかと考える。さらに問題は、中小企業を真に助成するためには、ただ単に金融の問題だけではない。解決しなければならない問題は、たくさんあるわけであります。その一つは貿易であります。この貿易についても、日本が今のように貿易管理令によつて縛られて、実際に利益である、その採算にも有利であるという諸国と自由なる通商ができない。このことによつてこうむつておる損害を考えるならば、この貿易を自由にするということがどれくらい重要なことであるかということがわかると思う。この根本をふさいでおいて、そうして破綻に瀕する中小企業者に、いくら金融をまわしてもなかなかこれは救われないということであります。
第三に、言うまでもなく税金ですが、今回もまた四八%の水増し所得をやり、従つて大幅な水増し増税をやつております。そういうことを一方でやつて根を枯らせて、そうして金融をやつてもはなはだ片手落ちであり、まつたくその効果をあげ得ない。そういう金融というものは非常にもつたいないものになつてしまう。そういう意味におきまして、われわれとしてもこれらの中小企業に対する禍根を取除くために、今後十分な努力をしなければならないと考えるのでありまして、われわれ一同がこういう責任を持つておることをこの際銘記して、今金融の面ではかられるところの改善に対して、われわれはこれを一応ベターとして賛意を表する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/31
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032・小金義照
○小金委員長 以上をもつて討論は終局いたしました。引続いて採決いたします。
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/32
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033・小金義照
○小金委員長 御異議なしと認めます。それでは本案は全員一致をもつて原案の通り可決いたしました。
なお委員会報告書作成の件については、先例によりまして、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/33
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034・小金義照
○小金委員長 御異議なしと認めます。それでは御一任願つたものと決します。
次会は公報をもつてお知らせいたします。本日はこの程度にて散会いたします。
午後二時五十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00919511116/34
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