1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十一月十四日(水曜日)
午前十一時二十一分開議
出席委員
通商産業委員会
委員長 小金 義照君
理事 中村 幸八君 理事 高橋清治郎君
理事 今澄 勇君 阿左美廣治君
小川 平二君 澁谷雄太郎君
中村 純一君 南 好雄君
山手 滿男君
大蔵委員会
委員長 夏堀源三郎君
理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君
理事 西村 直己君 理事 内藤 友明君
淺香 忠雄君 大上 司君
川野 芳滿君 佐久間 徹君
清水 逸平君 塚田十一郎君
三宅 則義君 宮幡 靖君
深澤 義守君
出席政府委員
大蔵事務官
(銀行局長) 河野 通一君
中小企業庁長官 小笠 公韶君
委員外の出席者
通商産業委員会
專門員 谷崎 明君
大蔵委員会專門
員 椎木 文也君
大蔵委員会專門
員 黒田 久太君
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本日の会議に付した事件
商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案(
小金義照君外十八名提出、衆法第二号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/0
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001・中村幸八
○中村委員長代理 ただいまより通商産業委員会、大蔵委員会連合百審査会を開会いたします。
本日は商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。
ただいま大蔵委員長と協議の結果、法案の所管委員会である通商産業委員会の委員長が本連合審査会の委員長の職務を行うことに相なりましたので、御了承を願つておきます。
なお小金通商産業委員長が提案の理由を説明されますので、その間私が委員長の職務を行います。小金通商産業委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/1
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002・小金義照
○小金委員 商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案の提出理由を御説明いたします。
あらためて申すまでもなく、中小企業はわが国の産業並びに経済においてきわめて重要な地位を占めておりまして、講和後の自立経済体制の確立も中小企業の振興発展にかかるところがはなはだ多いのでありますが、現在の経済状勢下におきましては、中小企業の振興のためには、何といつても金融関係の対策が最も緊要であると考えられるのであります。
御承知のように、中小企業は従来から概してその基礎が薄弱であるため、銀行等から金融を受けることが大企業に比べて著しく困難でありますので、いろいろ中小企業専門の金融機関が設けられているのでありますが、商工組合中央金庫は、その一つとして中小企業者の協同組合に対する金融を行うことを目的として昭和十一年に設立された国家的な金融機関であります。中小企業金融の逼迫が深刻となるにつれ、その果たす役割はいよいよ重要となつて来ておりますので、この際商工組合中央金庫法の一部を改正し、その機能の拡充強化をはかることといたしたいと考える次第であります。
改正の内容は、他の法律の改廃に伴う條文整理等を含みまして十数点にわたつておりますが、その最も重要なねらいは、従来取引対象が中小企業等協同組合だけに限られていたものを、預金の受入れについては中小企業等協同組合の構成員にまで、また貸付については所属組合の構成員にまでそれぞれ拡張したことであります。すでに申し上げましたように、商工組合中央金庫は、中小企業等協同組合に対する金融を行うことを目的とする金融機関でありますが、特に中小企業等協同組合のみを業務の対象といたしておりますゆえんは、中小企業振興対策の重心はその組織化の推進におくのが最も適当であるからにほかならないのであります。しかしながら中小企業等協同組合の現段階におきましては、中小企業等協同組合に対する金融は、組合の共同事業に対して行うだけでは十分でなく、組合員である個々の中小企業者の事業に対しても行う必要のある場合があるのであります。このような場合、現在ではまず協同組合に対して金融を行い、協同組合より組合員に対して転貸を行うという形をとつているのでありますが、これはいたずらに手数がかかるのみで、実情にも即しませんので、このような場合には、直接組合員たる中小企業者に対し貸し付ける道を開く必要があるのであります。この場合直接中小企業者に貸し付けることとしても、それが協同組合の組合員である限り、組合金融機関たる商工中金の本旨にもどるものではなく、むしろ実際に即してその機能を強化することとなるものと考えられるのであります。右の場合貸付に対応して、預金についても当然組合員たる中小企業者から受入れられることとなりますが、これによつて従来とかく散逸しがちであつた組合員の資金が集められ、商工中金の資金繰りの上に好影響を及ぼすものと期待されるのであります。
改正の第二のねらいは商工中金の金融機関としての業務範囲を拡充することであります。商工中金は、従来中小企業等協同組合のための特殊金融機関であるという建前上、一般の銀行等に比し、業務範囲がいろいろ制限されておりますが、貸付と並行して債務保証を行うことや、業務上の余裕金をコール・ローンに活用すること等は、金融機関として当然の業務であり、特に商工中金についてのみ制限することは理由のないことでありますから、この際商工中金の業務に追加することといたしたいのであります。
改正の第三のねらいは、一組合の出資口数の制限を従来の一千口から一万口に引上げることであります。商工中金に対する一組合の出資口数があまり大きくなつて、一部少数の組合に出資を独占されるようなことは、中小企業等協同組合の全体のための金融機関であることの趣旨に反しますので、従来、その限度を千口と定めておるのであります。しかしながらこれは商工中金が設立当初資本金一千万円、総出資口数十万口のときの制限でありまして、今日のように、資本金十五億円、総出資口数千五百万口となつては低きにすぎますので、これをさしあたり十倍の一万口に引上げることとしたいのであります。
そのほかに改正のねらいとして、国、公共団体、または銀行その他の金融機関の業務の一部を代理することがありますが、これを商工中金が、中小企業の専門金融機関である建前上、中小企業金融に関しましては、国、公共団体、銀行その他の金融機関の業務の一部を代理することが必要となる場合が種々予想されますので、その道を開いておこうとするものであります。
以上現在の経済状勢下におきまして、さしあたり緊要と考えられる諸点について改正をしようとするものでありますが、何とぞ愼重御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/2
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003・中村幸八
○中村委員長代理 これにて提案理由の説明は終りました。
引続き質疑に入ります。
〔中村委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/3
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004・内藤友明
○内藤(友)委員 政府にお尋ねしたいと思うのでありますが、私のお尋ねは二点ございます。
その一つは、商工組合中央金庫法をずつと見ますと、第二條からもう主務大臣という言葉が出ております。しかし主務大臣がだれであるかということはちつとも法律には出ておらぬのであります。この主務大臣というのはだれであるかということをまず政府委員からお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/4
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005・小笠公韶
○小笠政府委員 お答えいたします。本法における主務大臣は、通商産業大臣及び大蔵大臣ということに相なつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/5
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006・内藤友明
○内藤(友)委員 通産大臣と大蔵大臣が主務大臣というお答えでありますが、それはどこできめられてありますか。法律でありますか、それとも通産省の内規か何かでおきめになつておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/6
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007・小笠公韶
○小笠政府委員 古く申しますと、昭和十一年の勅令第百十四号で「商工組合中央金庫法中主務大臣ヲ定ムルノ件」というのがございます。これは昭和十一年六月十九日のものです。その後官制の改政に伴いまして順次改正して参りまして、昭和二十四年五月二十四日政令第百九号をもつて、「商工組合中央金庫法中工務大臣ドアルハ通商産業大臣及大蔵大臣トス」というふうに直しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/7
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008・内藤友明
○内藤(友)委員 実はこれは他意があつてお尋ねしたのではないのでありますが、こうした金融機関というものの所管は、当然大蔵省ではないかと思うのでありまして、金融全体のいろいろなことを各省々々でそれぞれおやりになると、乱れて来るということが考えられるのであります。今度の改正案は、通産委員長の小金さんを初め、皆様の非常なお骨折りでできましたので、私どもはその御苦労に対しては心から敬意を払つておるのであります。そこで銀行局長にお尋ねしたいと思いますが、こういう金融機関全体、この種のものは農林中央金庫もありますし、その他のものもありますが、こういうものが各省々々ばらばらでやつておりまして、はたして国家が要請している金融機関全体のまとまりがうまく行くかどうかということであります。この点をお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/8
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009・河野通一
○河野(通)政府委員 お答え申し上げます。一般論といたしまして、お話のように金融について、あるいは鉄の銀行は通産省とか、石炭の銀行はどこでやるとかいうことになることは、金融の一元的な運営の立場から適当でないと思います。従いまして、原則的には金融機関の監督なり、指導なりは大蔵大臣一本になるべきものと考えております。しかしながら今お話もありましたように、農林中央金庫と商工組合中央金庫については、現在通産大臣あるいは原林大臣と大蔵大臣の共管ということになつているわけであります。これは限られた例外かと思うのでありますが、この趣旨は商工中金にしても、農林中金にしても、その仕事の性質上、商工行政あるいは農林行政と特別に密接に結びついているという観点から、これらの監督行政については、主務大臣が通産大臣なり、あるいは農林大臣と大蔵大、臣の共管ということになつているわけであります。御指摘のように、これが通産大臣なり、あるいは農林大臣の兼管ということになりますならば、金融行政の一元的な運営に支障を来すわけであります。現在大蔵大臣も法律上共管の形になつておりますが、運用につきましては常時密接なる連繋を保つて両者間でやつておりますので、御心配のような、金融行政の一元的な運営に支障を来すようなことは実際問題として今ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/9
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010・内藤友明
○内藤(友)委員 私がこういうお尋ねをしたのは、実はほかでもないのでございまして商工中金にいたしましても、農林中金にいたしましても、大蔵省は非常にまま子扱いをしておられるような傾きがある。と申しますのは、お流しなさる資金量もあまり豊富ではない。もちろん大企業に対しましての資金ということも重大でありますが、むしろ今日は中小企業であるとか、農林漁業であるとか、こういう手の届かない、かゆいところへ何とかすることが政治なのであります。そういう見方からいたしますると、商工中金は通産省がやつていらつしやるのだから、まあ君のところでやれというような態度で、ちつともここへは金をお流しなさらぬ。それは大蔵省としては通産省がおやりになつておられるのだから、まあいいわというお考えか存じませんけれども、刻下の産業というものをながめましたときに、そこに遺憾なことがあるのではないかということから実は申し上げたのでありまして、ぜひこれは大蔵省の主管のようなお心持でいろいろな点に御配慮願いたいのであります。
ひとつ私の希望を小金委員長に申し上げますが、前回農林中央金庫の法律改正を出しましたときにも、農林委員と大蔵委員と両方が提案者になつて出したのであります。いろいろ御心配いただいた御苦労はまことにありがたいことでありまして、その上にこういう文句を申し上げるのははなはだ申訳ないと思うのでありますけれども、将来はこういうふうなことは、金融の所管である大蔵委員会も仲間へ入れられるようなお心持を持つていただきたい。これからも再々、改正の問題があろうと思うのでありますが、その都度私どもの委員会の方へも御連絡いただきまして、願わくばそういう話がまとまりますれば、両方の委員会で出すということにしたいと思うのであります。また政府におきましても、そういうお取扱いをぜひお願い申し上げたいのであります。
第二点としてお尋ねいたしたいのは、今度の改正法の一番大きな眼目は、組合金融の幅を広げて、個人金融まで拡張するということであります。これが実は研究しなければならぬ問題なのでありまして、そうなりますると、普通の金融機関とちつともかわらなくなるのでありますが、はたして中小企業協同組合がそのためにますます発展するのかどうかということが考えられるのであります。今日私どもが考えますのは、大企業は一人で十分足腰が伸ばせます。ただ伸ばされぬのは中小企業でありまして、こういうのは協同組合のようなものをつくりまして、小さいながらもその資本をまとめてやつて行く、こういうことで行かなければ、中小企業の将来はとうてい大企業に対抗できない。そういうふうに考えられておる商工組合中央金庫というものを、今度はズロースを脱ぎまして、普通のものになつてしまうのだということになると、私は商工協同組合というものはどうなるのかというふうな心配がありますので、これに対して、通産省はどうお考えになつておられるのか、こういうふうなズロースを脱ぐことが、組合がますます発展するのかどうか。その点をひとつお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/10
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011・小金義照
○小金委員長 まず私から一言申し上げますが、内藤委員のお言葉まことにごもつともでありますから、これから御趣旨のような線に沿つて話を進めることにいたしたいと思います。今後の改正その他につきましては、こちらからも十分御相談をいたしますし、また大蔵委員会の方からもお打合せを願いたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/11
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012・小笠公韶
○小笠政府委員 お尋ねの中心点であります、こういうふうな改正をすると、組合指導に影響が起る、こういうようなお話であります。私はその点から申しますと、組合活動の推進という点につきましては、さほど影響はないものと実は考えておるのでございます。申し上げるまでもなく、事業協同組合の大きなねらいといたしましては、それ自体が御指摘の通りまとまることによつて事業経営を改善する、あるいは合理化を進めて行く、こういうことであるわけでありまして、その線は金融の一部が組合に直接行くということによつてくずれるわけではないと私は思うわけであります。特にこういうふうな組合金融から組合の構成員まで及ぼすことによつて、現在の組合の実態から申し上げますると、一般中小企業への金融の浸透という点から申しますると、便利が多々あるのではないかというふうに実は考えておるわけであります。たとえばここに一つの組合があつて、十人の組合員があると仮定いたします。その中で一人、二人の人が相当な信用力を持つて、新しく組織の合理化に進んで行こう、こういうような資金手当というような問題のときに、その計画自体が非常にけつこうなものである。それがまた他の組合の一つのモデルになるというようなことを考えてみますると、組合を通じて借りるということになりますると、他の組合もどうしても均霑の希望を持つであろうと想像されるのであります。そこで特にそういうふうなところへ行くということができますと、かえつて便利になると実は考えておるのであります。問題の一つの焦点は、窓口をこういうことをして相当広げることによつて、従来の資金量で十分まかなえるかどうか、こういうふうな問題が一つ考えられるのでございまするが、制度の上から申しまして、また今日の組合運用の実態から見まして、私は組合活動という点に影響はないものというふうに実は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/12
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013・内藤友明
○内藤(友)委員 組合に影響があるかないかということは実はこれからのことでありますから、これはお互いの意見になると思うのであります。ただ私は心配になりますのは、これは具体的に申し上げますと、こういうふうな制度になりますと、私は名目組合員というものが出て来るのではないか。ただいま資金量が少いからというようなお話もありましたが、あるいはそうかも存じませんけれども、しかしそれは今日の資金量は、これで満足すべきものではないのでありまして、これからますます——ことにこの法律改正と同時に資金量をますますふやして行かなければならぬのでありますが、そういうことになりますると、私は組合意識が乏しいために、ただ単に金を借りる一つの便法として構成員になろうというようなものが出て来るのではないかと思います。そういう点におきまして、これは非常な便法ではあるけれども、一面商工組合から見ますと、非常な脅威になるのではないかと思うのでありますが、これは意見の相違でありますから、今長官とここで議論しても始まりませんからやめますが、最後にお願い申し上げたいのは、こういう制度になりましても、名目上の構成員でなく、それがほんとうに組合の発展に寄与するりつぱな組合員であるように、企業庁の方でも御指導いただきたいということをお願いいたしておきます。私の質問はこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/13
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014・小金義照
○小金委員長 西村直己君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/14
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015・西村直己
○西村(直)委員 商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案についてお伺いしたいと思いますが、第三條の三項にあります、中小企業等協同組合は商工組合中央金庫に対し構成員云々とあります。この構成員の問題でありますが、この條文はいささか解せないのであります。と申しますのは、信用協同組合の組合員自体もこの該当者になるかどうか、その間の事情をまず御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/15
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016・中村幸八
○中村(幸)委員 お答え申し上げます。今回の改正によりまして、商工中金とその所属の組合でありまする中小企業等信用協同組合の構成員まで実は直接取引ができるようになるのであります。ところがその組合員にまで直接取引の及ぶ範囲はどの程度になるかということにつきましては、これは問題を二つにわけて考えなければなりません。
まず第一の場合は、第三項にあります中小企業協同組合というのが連合体である場合におきましては、その所属の組合が事業協同組合であつても、また信用協同組合であつても、さらにまた企業組合でありましても、その組合と直接商工中金は取引ができるのであります。さらにその組合の構成員たる組合員にまで及ぶのは、そこを括弧にいたしまして、「(構成員が事業協同組合タルトキハ共ノ組合員ヲ含ム以下同ジ)」、こういうことになつておりまして事業協同組合である場合に限つて組合員と商工中金の直取引ができるのでありますが、信用協同組合あるいは企業組合が構成員である場合は、その組合員と中金との間には取引ができないことになつております。
それから第二の場合におきまして、今の第三條三項の中小企業協同組合が連合体でなくて、単位組合である場合でありますが、この場合におきましては、その構成員たる組合員と商工中金の間に直接の取引ができることに相なつておるのであります。一応法文上の解釈はさようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/16
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017・西村直己
○西村(直)委員 非常に條文が難解でありますだけに誤解を生ずると思うのでありますが、連合体の場合には「事業協同組合タルトキハ其ノ組合員ヲ含ム」となつておりまして、信用協同組合の系統の組合員は入らないのであります。単位協同組合の場合においては、一応法文の解釈上は、今の御説明によりますと、単位協同組合としての場合には構成員たる組合員も入つて来る。そうすると、これはいわゆる商工中金の業務の対象になつて来る。これを結論的に申しますれば、條文の建前からは信用協同組合の組合員も商工中金とのいろいろな取引ができる。預け入れなり貸出しなりその他こういう業務関係に入つて来ると、従来あるところの信用協同組合の信用事業そのものが浮いて来はせぬかという一つの疑点が出て来る。これに関しましていかなるお考えを持つておられるか、大蔵当局並びに通産当局の政府側のお考えを承りたいと思うのです。提案者でもよろしゆうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/17
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018・中村幸八
○中村(幸)委員 ただいま御説明申し上げましたように、第三條の第三項におきまする規定を、その條文のままに解釈いたしますると、信用協同組合の組合員に対して商工中金が直接取引ができるということになります。そういたしますると、ただいま御説にありましたように、信用協同組合の仕事が浮いてしまうのではないか、こういうことでありましたが、御説ごもつともと思うのであります。私どもがこの條文を考えるにあたりましてその点につきましては最も苦心をいたしたのでありますが、信用協同組合は、それ自体が信用業務を行つておるのでありまして、従つて信用協同組合の組合員と商工中金の間で直取引をするということは、信用協同組合の業務を一部阻害するようなおそれもなきにしもあらず、かように考えるのであります。従いまして私どもこの法律を適用するにあたりましては、商工中金法の四十四條に「主務大臣必要アリト認ムルトキハ商工組合中央金庫ノ貸付、手形ノ割引又ハ保証二付其ノ金額又ハ方法ヲ制限スルコトヲ得」、こういう規定がありますので、この規定によりまして、信用協同組合の組合員に対しては、商工中金から直接貸付をするとか、あるいは預金の受入れをするというような仕事はしないようにさせたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/18
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019・西村直己
○西村(直)委員 御説明で、一応運用上の問題としてお扱いになろうという御趣旨はわかるのであります。ただ問題は、第三條第三項の條文から考えますと、単位協同組合の場合においては、当然信用協同組合の組合員が直接事業の中で関係を持つことができる取引対象になるというと、信用協同組合の事業自体に相当不安を生ずる。そこでこれに四十四條の主務大臣の監督権を発揮したい、こういう御趣旨だと承つたのであります。そこで私どもは、この国会を通しましてはつきり、さらに御提案者の趣旨以外に、この実際に四十四條を発動されるのは主務大臣——先ほどのお話によれば通産大臣なり大蔵大臣であると思いますので、この両当局からも確たる御説明を願つておくのが将来のためではないか。かく思いまして、銀行局長並びに中小企業庁長官がお見えになつておりますから、この際これに対する運用方針をはつきりお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/19
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020・河野通一
○河野(通)政府委員 運用といたしましては、今提案者から御説明のありましたような方式によつて運用して参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/20
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021・小笠公韶
○小笠政府委員 中小企業庁といたしましても、中村委員の御説明通りはつきり制限しております。なお信用協同組合に限らず、企業組合についても論理上同様に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/21
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022・西村直己
○西村(直)委員 なおこれは問題がまた一つかわりますが、商工中金の資金上の見通しにつきまして、この際に御説明を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/22
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023・中村幸八
○中村(幸)委員 商工中金におきましては、最近貸出しが非常にふえております。最近の実績を見ますると、毎月約十億円の貸出し純増があるのであります。さらにまた年末に迫りまして、年末特別の資金がいるわけでありますが、でき得る限りこの資金源を確保いたしまして中小企業振興のために盡したい、かように考えておるのであります。ところで今度の商工中金法の改正によりまして、従来は中小企業等協同組合並びに公共団体その他公益を主とするところの法人だけからしか預金が受けられなかつたのでありまするが、この改正によりまして、中小企業等協同組合の組合員からも預金が受入れられることに相なるのであります。そういたしますと、従来なかなか協同組合からの預金というものが集まらなかつた。それは中小企業協同組合におきましては、特に事業協同組合におきましては、預金の受入れを組合員からいたしておりません。従つて中小企業協同組合といたしましては、事業資金の一部を預託しておるというような現状でありまして、なかなか思うように商工中金に対する預金が集まらなかつたのでありますが、今後組合員まで取引の対象を拡張いたしますと——組合員は事業をやつておりますので、相当の余裕金もあることと考えるのであります。この組合員の余裕金というものに、従来一般の市中銀行に預け入れられておつたのでありますが、その一部が今後は商工中金に預け入れられるということにもなると思うのであります。それからまた今後組合員に対して貸出しをするということになりますと、その貸出しの一部がまた預金としてとどまる場合も考えられるのでありまして、こういう面からも預金が増加すると考えるのであります。しかし何分商工中金は営業所を持つている数が非常に少いのでありまして、全国でもわずかに四十二箇所の店舗を持つておるにすぎない現状であります。従つてなかなか希望通りの預金を集めるということは困難と考えるのであります。そこで私どもは、この預金を新しく増加するところの組合員からの預金だけに頼ることなく、政府資金を今後大幅に商工中金に導入する必要があるのではないかと考えておるのでありまして、目下自由党におきましても、大蔵省あるいは商工中金、中小企業庁等に交渉をいたしておるのでありまして、大体この点につきましては、政府当局にお尋ね願いたいと思いまするが、私どもの今までに承知いたしておるところでは、資金運用部の資金をもつて商工債券を引受けてもらう、その額は大体三十億程度と聞いております。それからさらに日銀のあつせんによりまして、一般銀行から二十億の引受をしてもらう。この五十億の資金と、先ほど申しました新しくふえるところの預金をもちまして、今後貸出しに応じて参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/23
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024・河野通一
○河野(通)政府委員 商工中金の資金力と申しますか、資金源の拡充、充実の問題につきましては、かねてから商工中金の資金需要が非常に旺盛でありますために、何らかの措置をすべしという要望を非常に強く受けて参つておるのは御説の通りであります。現在私どもといたしましては、ただいま提案者から御説明のありましたような間接構成員との預金取引というものが開かれることによりまして、ある程度資金の集まりもふえて参ると思いますが、それと並行いたしまして、できるだけ政府資金によりましてこの資金源の拡充をはかつて参りたいという趣旨で、現在までいろいろ具体的な措置も一部はすでに講じて参つております。例をあげて申しますと、一つは先般、八月でございましたか、政府の一般会計の余裕金の指定預金を、特に中小企業の金融に努力をしておられる金融機関に対して百五十億預託をいたしたのであります。これが大体十一月十五日、きようから二、三日の間に期限が参るわけであります。一般の銀行等につきましては、全額これを引揚げたわけでありますが、商工中金に対しましては、この旺盛なる資金需要に応じ得るようにいたしますために、十三億円の預託をさらに延長して、これを残して、とにかく年末を越すことに処置いたしたのであります。
さらに災害関係の地域における中小金融の円滑をはかつて参りますために、近くさらに十五億程度の政府の指定預金を出すつもりでおりますが、このうち相当部分を商工中金に預託をいたして参りたい、こういうことで考えております。
第三には、これもやはり災害関係に関連いたすのでありますが、日本銀行の中小別わくの融資のわくをある程度臨時に拡張いたしたい、そうして災害関係の地域に対する中小金融の円滑化に資したいという考えでおります。具体的な金額はまだはつきりいたしておりません。数億に上ると思いますが、主として商工中金及び勧業銀行を通じて出されることになる。そういうふうなことで、もちろん皆様方の御要望に十分沿うだけの金額ではございませんが、私どもでできるだけの措置は講じて参つておるつもりであります。また今後も講じて参りたいと思います。
ただ今提案者から御説明のありました資金運用部で、この年末にかけてある程度の商工債券を引受ける問題でありますが、かねがね自由党方面からもいろいろ強いご要望があることは承つておりますが、現在まで、大蔵省といたしましては、まだこの問題について最終的な結論を出しておりません。事務的に申し上げますと、資金運用部の資金の運用計画といたしましては、現在国会に提案になつております補正予算案とうらはらになりまして、資金運用部の資金運用計画を変更いたしました。この変更いたしましたのは、もちろん予算とうらはらになつております関係上、関係方面の承認を経て変更いたしたわけであります。この変更いたしましたうちには、現在のところ商工中金の金融債を既定の方針以外にさらに増加してつけることにはなつておりません。もしそういうことをやることになりまするならば、資金運用計画をさらに変更いたしまして持つて行かざるを得ない。それから法律的には、今御指摘もありましたように、資金運用部といたしましては、商工債券を引受ける形でなければ資金を出す道はございません。商工中金に対する貸出しは、資金運用部の法律によつて禁じられております。何らかの形で出すとすれば、法律上は商工債券という形よりほかに方法はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/24
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025・三宅則義
○三宅(則)委員 私はただいま議題になつております商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案につきまして、最初に提案者に御説明を願いたいと思います。この法案は、中小企業の金融難を打開するために、大幅にこれらの救済を目的といたして改正せられておることと考えるのでございますが、従来の観点からいたしますると、組合に金融をいたしまして、それから組合員が肩がわりして借りる。こういう制度でありましたのを、発展的に、組合員でありまするならば直接借りられる、こういう制度を開かれたことは非常にけつこうだと思うのでありますが、今までの経験からいたしましてボス的存在にのみ重点を置いて、普通の平組合員にあまり恩典はなかつたということを見ております。これらに対する対策等を考究せられてこの提案をされたのでありましようか。第一に提案者に伺つてみたいと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/25
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026・中村幸八
○中村(幸)委員 ただいま三宅委員からのお尋ねでありますが、商工中金がボス的の存在のみに片寄つて貸し出すのではないか、こういうお話でありますが、私どもはさようには考えておりません。おりませんが、常に国会といたしましては、商工中金あるいは中小企業庁等を督励いたしまして、監査いたしまして、そういうことのないように十分考えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/26
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027・三宅則義
○三宅(則)委員 ただいまの提案者の御説明によりまして、そうしたボス的存在、にのみ重点を置かないで、一般組合員全般に均霑するようにという親心に対しましては、私どももまつたく賛成でありますから、この法案の通過のあかつきにおきましては、商工中金を中心に考えられまして、この運用方法等につきましても、特に銀行局長等は監督の地位にあると思いますが、これらの監督は、財務局等がこれを監督しておられるのでありましようか。直接銀行局長が監督せられて検査あるいは指導をしておられるか。その点を銀行局長から承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/27
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028・河野通一
○河野(通)政府委員 商工中金の業務が適正に運用されるように、大蔵省といたしましても、通産省と常時緊密に連絡いたしまして、監督には常に意を用いております。具体的に申し上げますると、これは財務局でやつておるのではありませんで、本省で取扱つております。通産省と銀行局から監理官を任命いたしまして、その監理官が專担して、この監督に当つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/28
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029・三宅則義
○三宅(則)委員 次に中小企業庁長官にお尋ねいたしたいと存じます。ややもいたしますと、大企業に恩典が多くて、中小もしくは零細なる企業には恩典が少い、こういうのが一般の輿論であります。金を借りるにいたしましても、大企業は大口に大銀行から借りておる。しかしながら中小以下のものに対しましては、借りたい人は多いのでありますが、実際に借りることは困難である。こういうことが言われておる。日本の現段階におきます中小企業というものの解釈は、およそ前と違いまして、二、三百万から五百万円くらいのものは中小企業に入ると私は思うのでありますが、こういうものの金融が非常に困難になりました関係上、市中の高い金利、いわゆるやみ金融を仰いで、一月二月を過すということがあります関係上、中小企業が年末等に至りますと倒産いたしましたり、あるいは思わざる災害をこうむるような場合があるわけであります。これらに対して中小企業庁といたしましては、その監督上、どのくらいの金融面を常に監督する地位におられますか。たとえて申しますと、三百万円前後であるとか、一千万円以下であるとか、これらに対する中小企業庁の心構えをひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/29
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030・小笠公韶
○小笠政府委員 中小企業の限界といいますか、どのあたりの大きさの企業を中小企業と呼んでおるか、こういう御質問と解釈いたします。私どもではただいま一般的に資本金五百万円、従業員二百人以下ということで一応線を引いておるのであります。これはすべての場合、に通用する線の引き方ではないのでありまして、たとえば見返り資金の場合は三百万円で線を引く、それから中小企業に対する信用保険制度では今言つたような線で引いておるというようなことで、それぞれの対策の事案によつて若干の相違があるのでありますが、ただいま普通に考えられておりますのは、今申し上げた五百万円見当、従業員二百人以下くらいのところをいわゆる中小企業と考えておるのであります。もとよりこれに対し最近の状況から申しまして一千万円というようなお話もあるわけであります。これはごもつともでありますが、一応一般的なものさしとしては、そういうようなことに実は考えておるわけであります。そこで中小企業の金融について、まず見返り資金とかあるいは信用保険制度の資金であるとかいろいろなことをやる場合に、どの層にその政策の効果の重点を向けて行くかということの考え方によつて、その切り方が違つて来るのではないかと私は思うのであります。中小企業庁といたしましては、中小企業金融がいろいろな意味において御指摘のような困難な状況にありますので、これに対する考え方といたしましては一応先ほど申したような線を考えましてその線の中に入るものに対しましては、まず第一に資金量をふやして行き、いわゆる一般の預金から受けておる、預金がもとになりますものを貸し出して行くということで、市中金融機関の御協力ということももとより当然でありますが、それに加えるに中小企業としては特別の政策的の資金を強化して行くという方向にひとつどうしても向つて行かなければならないのであります。先ほど銀行局長のお話になりました具体案というものもその線に沿つておると思うのであります。そのほかに中小企業への資金をできるだけこういうような意味において浸透させる方法として、中小企業の持つ弱さをある程度助けてやるという手を講じないと、せつかく一定額を流そうといたしましても流れないというようなことが起るのであります。その方法として別途考えておるのでありますが、従来やつております信用保証協会というふうな制度とか、もしくは保険の制度であるとか、そういうようなものをできるだけ強化して、そうしていわゆる対人信用を中心としておる中小企業にできる限りの物的援助を与えて行くという制度を講ずる必要があると考えておるわけであります。この両面から進めて参ると同時に、中小企業への金融のタイプというものは数が多い、これは理論的にいろいろ問題があると思いますが、数が多いだけになかなか浸透しにくいということで、政策をいろいろな面から考えて行かなければならない、こういうふうに実は考
えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/30
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031・三宅則義
○三宅(則)委員 提案者にもう一つお伺いしたいのですが、今度組合員も直接借りられるということになつたのであります。組合員の中には一般の人ももちろんおりますが、多少いかがわしいような者には心配せられる向きがあるかと思いますが、これらについては、理事長なり組合が保証せられるべきものか、そうでなくてただ單に商工中金が直接調査して貸すべきものであるか、その点をひとつ伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/31
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032・中村幸八
○中村(幸)委員 従来は組合だけに貸しておりました。しかし今後は組合員に直接貸せることになるのであります。それについて組合の保証を要求するというようなことはないと思います。直接貸出しができることになると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/32
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033・三宅則義
○三宅(則)委員 直接お貸出しになることはまことにけつこうでありますが、この中心は三百万円ないし五百万円以下のいわゆる中小企業の金融で、現物を取引する、品物を買込むあるいはその運転資金が三百万円ないし五百万円の程度だろうと思います。こういうものを申し込みましてから長い間かかつていると、時機を失しましたり、あるいは商機を失することがあるわけですから、少くとも申し込んでから一箇月のうちにイエス、ノーをきめてやらないと、せつかく中小企業の人が資金を得て大いに発展しようというもくろみが挫折するおそれがありますので、こういう点について政府並びに銀行局長あたりはどういう方針で指導されるおつもりでありますか承つておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/33
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034・小笠公韶
○小笠政府委員 御指摘の所要資金を必要な時期までに出すということは金融の一番大事なことだと思います。そういう意味で、商工中金の仕事の運用ぶりとして、事務をできるだけ迅速に運んで行く方向に従来とも気をつけているわけでありますが、将来とも一層そういう方向にやつて参りたいと思うのであります。特に問題になるのは、そういう心構えのほかに事務のやり方として、條件がそろつておれば簡單に処理する制度として、なるべく少額の場合、たとえば信用保証協会が五百万円を保証している場合には、即決というか、早く取引ができるような事務態勢をとつて行かなければならぬと思つているのであります。大きな金額になりまして、本部の資金繰り等とも見合いをつけなければならないような場合も多いと思うのでありますが、そういうときにイエス、ノーの回答をできるだけ早くするという方向にぜひ持つて行かなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/34
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035・三宅則義
○三宅(則)委員 時間の関係上もう一点お伺いいたしますが、どなたでもけつこうですから確固たる信念をお答え願いたいと思います。ことに東京のような大都会におきましては、信用はなかなかわからない、しかし各府県町村等にわたつておりまする中小企業等におきましては、常に資本あるいは成績、風評等々は十分に知られているわけです。こういうものに対しましては、調査の方法をなるべく簡略にする必要がある。大都会はなかなか困難でありますが、小都会もしくは町村にわたつております会社、法人等におきましては、世間周知の事実でよくわかつております。従つてこういうものにつきましては、かつて銀行が取扱つていたように、調査の対象になるものを組合等に依頼をしまして、そのメンバーであるとか、その業態等を常に調査しておいて、申込みがありましたならば、なるべく早くやるという線を設けることこそ、中小企業を救う第一歩であると私は考えているのであります。どろぼうをつかまえてなわをなうということではおそ過ぎると考えるのでありますから、親心をもつて常に中小金融の円滑なる回転をいたしたいということを念願いたしまする関係上、中小企業庁あたりは特に万般の遺憾ないような手配をしてもらいたい。申すまでもなく業態も多いことでありますから、はなはだ恐縮でありますが、各府県にも命ぜられまして、円滑なる発展と企業の開発に一段と努力をしたいと思いますから、これに対する確固たる信念を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/35
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036・小笠公韶
○小笠政府委員 御趣旨は十分わかりましたので、御趣旨の線に沿つてこれから努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/36
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037・小山長規
○小山委員 提案者にお伺いいたしますが、今度の改正のねらいは、従来組合に対して商工中金が金を貸すということであつたのを、その構成員にまで及ぼす、及び構成員からも預金を受入れるということでありますが、そのねらいは預金を吸収しようというのでありますか、それとも貸出しを簡素化しようというところにねらいがあるのか、そのねらいをひとつ聞かせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/37
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038・中村幸八
○中村(幸)委員 今度の改正のねらいの最も大きな点として、貸出しと預金の受入れがあるのであります。そのうちでも私ども最も大きなねらいは、できるだけ広く簡素化して貸出しをするというところにねらいをつけているわけであります。その意味におきまして、今後預金を吸収するということになりますと、なお一層この預金者、つまり貸出人の信用状態もわかつて来るのでありまして、かたがた非常に好都合になる、かように考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/38
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039・小山長規
○小山委員 私がそれをお伺いいたしますのは、貸出しをふやして行くというお話でありますが、貸出しをふやして行くということにねらいがあるのであれば、その資金源についてお考えがなければならぬはずであります。預金をふやしつつ、それに伴つて貸出しをふやして行くということであるならば格別、ただ貸出しをふやすというところにねらいがあるのであるならば、資金源についての配慮がなければならぬはずであるが、先ほど伺つておりますと、まだその資金源については、確固たる政府当局との間の打合せもないようである。それではせつかく法律案が通過いたしましても、動いて行かないのではなかろうかということを心配しておるのでありますが、その点についてはいかがお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/39
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040・中村幸八
○中村(幸)委員 貸出した主としてねらいを置いておるのでありまして、その資金源として預金も非常に重要な役割を果すわけであります。従来とかく散逸しがちでありました一般組合員の余裕金というものが、今後直接に商工中金に集まつて来る。この集まつて来る組合員からの預金を一つの資金源にする。さらに先ほど申しましたように、それだけでは十分でありませんので、政府資金を極力商工中金に流す、こういう方面に向つてできるだけ努力いたしておるのでありますが、先ほど銀行局長の説明だと、まだ資金運用部の資金計画を変更しなければ商工債券の引受けもできないというような御答弁があつたわけであります。この点は、提案者といたしましても非常に遺憾に思うのでありまして、年末に差迫りまして、中小企業の金融は非常に逼迫いたしておるのであります。どうかこの点につきましては、委員各位の方からも政府当局を御鞭撻せられまして、何とぞ早急に商工債券の大幅な引受けができるようにお骨折りを願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/40
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041・小山長規
○小山委員 次にお伺いいたしたいのは、為替業務を取扱うことになつている。そういたしますと、せつかく貸付をいたしましても、その為替のルートを通して市中金融機関にその貸し出した金が流れて行つてしまうというおそれはないか、またそのおそれに対しては、どういうふうにそれの阻止対策をとられようといたしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/41
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042・小笠公韶
○小笠政府委員 非常に金融のテクニックでありますので、私もはつきりしたことを実はお答えしかねることを遺憾といたすものであります。従来商工中金の業務の一つとして荷為替手形の保証ということを認めておるのであります。この荷為替手形の保証による貸付といいますか、そういうふうな業務というものは非常にわずかであります。従いまして今般一般債務の保証にまで拡張いたしましても、その保証業務というものが広くなるというふうには私は巽は見ておらぬのであります。従いまして御指摘のように、為替業務をやることによりまして、商工中金の資金が金融機関にそう流れて行くこンはあるまいと私は考えておるのであります。非常に答弁にはならぬようでありますが、新しく中小企業の面で為替業務取引というもの自体が非常に少いというようなことでもありますし、そう心配はないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/42
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043・小山長規
○小山委員 これは必ず御心配があります。と申しますのは、商工中金はまず原則として一県に一つしかないのであります。そうして各金融機関はたくさんの支店を持つておる。従つて貸し出した金は、受入れる方の金よりも外へ出て行く方の金が多くなるのは、これはもう商取引上当然であります。また場合によりますと、為替業務があることによつて預金をふやす方法もあるのでありますから、監督官庁がせつかく為替業務というものを認められた以上は、その為替ルートを通じて資金が商工中金に流れるようによほどお考えにならぬと、かえつてこれは逆になります。それは御注意をいたしておきます。
その次にもう一つ、これも一つの心配でありますが、預金を集めようといたしますと、どうしても両建預金をやりたくなつて来るのであります。両建預金というものは、現在銀行局長の通牒によつて禁止されておるが、おそらくこれは商工中金にも及ぶのであります。これは銀行局長からお伺いしたいが、両建預金をやりますと貸出しが死んでしまう。百万円ほしいところに百万円の金が流れて行けば、その中小企業が助かるのに、そのうち三十万円預けておいてくれとか、あるいは五十万円預けておいてくれとか、預金をふやしたいばつかりにそういうふうな運用をとられると、せつかくの貸出金がどうにもならぬ。その両建預金についてどういうふうに指導をされるか、あるいは銀行局長はどういうふうにして監督をされるか、それをひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/43
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044・河野通一
○河野(通)政府委員 今後預金の取扱いをやつて参りました場合におきまして、お話のような両建預金というものの、いわゆる両建につきましては、一般銀行について取締つておりますと同じような観点で取締つて参りたいと考えます。ただこれは、小山さんは専門家で一番よく御存じでありましようが、両建預金といいましてもいろいろあるわけであります。歩積みというようなことで、債権を確保するためにある程度積ませて行くというようなことは、これは一般銀行でも認めておるわけであります。常識的にある程度債権を確保するために必要なものにつきましては、貸出しと預金が両建になつておりましても、そういう意味のものはさしつかえないというふうに考えて現在でも歩積みの制度は商工中金でやはりとつておられるようであります。この制度は別に濫に流れない限りはさしつかえないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/44
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045・小山長規
○小山委員 歩積みについて私は云々しているのではなくて、貸出しのときに、ただ預金の高をふやしたいということのためにやるような両建預金は嚴に取締つていただきたい、これを申しておるのであります。
その次に、資金源の問題について特に銀行局長に尋ねたいのでありますが、商工債券の売行きというものはあまり芳ばしくない。しかもまた預金の制度をかりに取入れましても、これは私の観測でありますが、商工中金として現在の支店網あるいはその取引状態からいつて、この預金によつて資金が異常にふえて行くということはちよつとむずかしかろうと思う。従つてその資金の源は政府としてめんどうを見なければならぬと思いますが、資金運用部でやらざるを得ないであろう。その場合に、現在の資金運用部の法律によりますと、市中四、預金部六でありましたか、何か割合があつたようであります。この割合のままでは、たとえば市中が四を引受けないと、預金部も、出したいと思つても六しか引受けられない。つまりさつきの数字でいえば、市中で二十億引受けてくれない限りは、預金部は三十億の引受けをやろうと思つてもできないのである。こういう法律になつておる。このことは商工中金の場合には少し無理なのではないか。というのは他の金融機関、債券を発行しておる金融機関である農林中金の場合には、米の出来秋には非常な勢いで預金は集まつて参ります。それから北海道拓殖銀行あるいは勧業銀行あるいは興業銀行等の債券を発行しておるところは預金がある、また預金を受入れる道を持つておる。しかるに商工中金の場合には資金は少いし、しかも相手は非常に小さいところであり、少し大きいところは銀行取引があるということで、銀行の方にむしろ実績をつくりたい、こういうふうな人々を対象としておるのでありますから、この資金運用部の法律そのものがあるいは無理なのではないかとも思うのでありますが、商工債券の引受けについては、今の六、四という割合を若干かえる必要があるのではないか。この点については銀行局長はどういうふうに考えておられるか。あるいはまたその他に、たとえば割引商工債券によつてこれを救つて行くというようないろいろな方法があろうかと思いますが、どういうふうに資金源について——先ほどの局長の言葉によると、今のところはまだ資金運用部の計画は立つておらぬという話でありますけれども、将来それを立てられる場合にはどういう心構えでやつて行こうとするか、それを最後に伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/45
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046・河野通一
○河野(通)政府委員 御指摘のように、現在長い商工債券は市中でなかなか消化がむずかしい状態になつております。しかし短期の割引商工債券については、最近は割に売れ行きもいいようであります。先般この問題がございましたので、資金運用部で金融債を引受けまする計画の中に、第二・四半期分については、長い債権が、なかなか消化が市中でむずかしい場合におきましては、計画額は割引商工債券も資金運用部で持つような便法をつくつて参つたのであります。しかし第三・四半期におきましては、こういう便法を実は設けておりませんが、その点は商工債券の売れ行きの見通しが、第二・四半期よりも割によろしかつたために、そういう便法を実は今度はずしたわけであります。問題は商工中金の資金源を拡充いたしますためには、今申し上げましたような便法を講じても、絶対額がとにかくふえなければ、なかなかむずかしい問題になると思います。これはただいまも話がありましたように、まだ結論を出しておりませんので、検討申であるわけであります。なお法律につきまして、現在市中四にして資金運用部が六持つという問題についても、そうまできゆうくつなことをしなくてもよいのではないかというような御意見でありますが、その点についても目下検討いたしております。しかしこの法律ができたときの経過等をよく御承知のことだと思いますが、いろいろ関係の向きもありまして、早急にこの問題を解決することは実際問題として困難ではないかというふうに考えます。
なおちよつと御参考までに申し上げておきますが、勧業銀行等は預金をもちろん集めておりますが、興業銀行については、預金は現在もちろんとつておりますけれども、これは債券発行によつて資金を集めることが主体になつておるのであります。預金は取引者との関係だけに限つておりますので、そんなに預金がどんどん集まるということはありません。勧業銀行については、現在預金も集め、債券も発行するという、一つの両建的な建前になつております。今後の長期金融機関のあり方、あるいは勧業銀行の今後のあり方等につきまして、今検討をいたしております。現在のように両建で行くのがいいのか、あるいは興業銀行のように、債券を主体にして行くならば、預金についてはある程度一応制限を加えて行くのがいいかというので、この問題については検討を加えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/46
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047・小金義照
○小金委員長 次は深澤義守君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/47
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048・深澤義守
○深澤委員 このたびの法案の改正の、貸出しの範囲等を広げまして、構成員にまで貸し付けるという趣旨は、まことにけつこうだとは思うのですが、そこで私一つ疑問に思うのは、大体組合の制度というものは、日本のように、中小企業地帶の多い、しかも信用力の弱い者が、共同して経営の合理化や信用の向上をはかるということでこの組合制度ができたと思うのであります。これに対して商工中金は、組合を育成するために金融をすることを使命として生れたのであります。ところが今度はその所属組合に対して金融をするのを、構成員にするということになりますと、所属組合を一つ飛んで、商工中金に結びつくということになりますと、いわゆる組合活動を大いに阻害するような結果になるということが、一つ心配になるわけであります。この点については内藤委員も、内村委員も触れられたようでありますが、そうなりますと、このたびの改正は、根本的に組合制度の問題をこれとにらみ合して考えなくちやならぬ問題だと考えるわけです。従つて私のお聞きしたいことは、その範囲を構成員にまで拡張するという事態になつたその原因は、一体どこにあるのか。所属組合がじやまになつて、直接商工中金と構成員、中小企業者自体が結びついて行かなければならないような、組合運営がうまく行つていないということが、こういう法案の改正になつて現われて来たのではないかとすら考えられますが、その間のいきさつをひとつお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/48
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049・中村幸八
○中村(幸)委員 御承知のように協同組合の系統機関として商工中金があるわけでありまして、そのねらいは、やはり御説のように、中小企業の信用力が乏しい、あるいは設備、資本等の弱小な点を組合の力で補うというところにねらいがあるのであります。しかし一面におきまして、協同組合の仕事は共同事業だけには限つておらないのでありまして、組合員の事業の成績を促進するということも、協同組合の一つの事業といつてもいいじやないか。この意味におきまして、今回組合員まで拡張するということは、協同組合主義の観点からいつて何ら矛盾してはおらない、かように考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/49
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050・深澤義守
○深澤委員 そこで所属組合に所属しておる構成員が、直接商工中金と結びついてしまうということになれば、自分の所属しておる組合との関係は非常に薄くなるし、またその組合との関係が非常にうまく行かないのではないか。そのために遂に組合活動が非常に不円滑になるという心配がある。この点の弊害は必ず起つて来ると思う。この点に対してどういう対策を請ぜられるか、あらかじめ考えて置く必要があると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/50
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051・中村幸八
○中村(幸)委員 御説のような心配も必ずしもなきにしもあらずと考えております。でありますから今後組合員に直接貸出しする場合におきましては、やはり組合の結合を阻害しないような貸出し基準を設けなければならぬ。私どもさしあたり考えておりますことは、直接貸出す場合には組合の承諾を得るというようなことをいたしまして、組合の円滑を欠かないようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/51
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052・深澤義守
○深澤委員 そこで先ほどからも幾多の御質問がございましたが、中小企業と申しましても非常な階層があるわけであります。一番困難をきわめておるのは、大体中以下の中小企業者であるとわれわれは考えておりますが、所属組合を飛んで、面接商工中金に結びつくのは、大体において中小企業の上層が結びつく可能性があると私は思う。従つて趣旨としては一般中小企業に均霑するような趣旨において、こういう道が開かれたとしましても、これを利用し得る者、要するに中央の商工中金が認めて行く者は、どうしても中小企業の上層を目標にして行くようなことになつてしまう。そうすると、この一般に均霑させようとしたせつかくの趣旨に反して、やはり一部の特権的な階層のみがこれと結びついて行く心配があるのではないかということで、法案改正の趣旨と実際とは違つて来る心配があるのではないかと私は考えますが、その点についてはどういうぐあいに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/52
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053・中村幸八
○中村(幸)委員 せつかく改正いたしましても、中小企業のうちでも比較的中以上の者が均霑するだけに終りはしないか、こういうお尋ねのようであります。せつかくの改正が無にならないように、できるだけ中小の小の方にまで及ぶように、私どもとしても政府を督励したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/53
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054・深澤義守
○深澤委員 最後に中小企業庁長官にお伺いしておきたいのでありますが、この商工中金の組合金融の範囲を拡大いたしまして、構成員にまで貸せるということになりますと、いわゆる商工組合制度というものに、何と申しますか、大きな弊害が出て来る可能性があると私は思うわけであります。そこで私のお伺いしておきたいことは、政府は従来商工組合制度というものに対して、非常に努力をしたがうまく行かない。今後どうもあまりうまく行かないというような観点から、こういう法案改正に対して賛意を表せられておるというぐあいに、思い過しかもしれませんが私は考えるのであります。これは確かに非常にいいことであり、その趣旨としては何ら反対すべき理由はないのでありますが、長年努力して参りました商工組合制度というものに、一つの大きな弊害が出て来はしないかという観点から、商工組合制度の今後の方針について、一応御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/54
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055・小笠公韶
○小笠政府委員 お答えいたします。本改正が組合運動に相当な影響を与えはしないかという点でございますが、その点につきましては私が先ほど申しあげましたような考え方で、そう大きな影響を持たない、さしたる影響はないと考えておるのであります。中小企業等協同組合の問題は、従来の長い日本の商工協同組合運動というふうなものを顧みまして、今後の持つて行き方としましては、商工協同組合のいわゆる構成のあり方を、いわゆる純経済的な構成員の立場の向上という点に重点を置いて指導して行くということに持つて行きたいものだ。しかも多数の業種がまち間違いでありますので、この中小企業に対する一つの指導なりあるいは合理化の線を進める上においては、どうしても組合をほかにおいてできないのではないかという気がいたします。そういうふうなまとまつたところをつかまえて持つて行くということにしなければいかぬのではないかと考えておるのであります。言葉をかえて申しますと、中小企業対策の一つの基本は、やはり組合運動に中心を置いて行く、組合制度というものを中核にして、たとえば合理化の線にしても、技術の指導にしても、あるいは金融の問題にいたしましてもやはり進めて行かなければならぬというふうに実は考えておるわけであります。それで今度の改正に関連しまして、組合運動がどうもうまく行かぬからというふうな考え方は、私は全然持つておりません。問題はやはり組合のつくり方にあるような気が実はいたすのであります。従来の組合というものが、統制組合的なイデオロギーとは相当形は違つておつても、実際は組成されるのがそういう形になつておる。それで構成してもその活動がなかなかうまく行かぬという事例が非常に多いのであります。最近の一つの動きを見てみますと、十人とか二十人見当というふうな小人数の組合が実は相当多くなつております。それから結びつきぐあいも縦横の関係、横ばかりでなくて縦の関係で結びついておるのが相当多くなつて参りました。そういうふうに、いかに結びつけば自分たちの経営の合理化というか、利益の増進になるかという考え方が強く意識されて来たように私は見ておるわけであります。従いましてこの一つの芽ばえを強く伸ばして行くようにぜひ持つて行きたいと考えております。本法の改正はいろいろな事情から申しまして、金融の問題についてできるだけ必要なところへ流す道を多くして行くという意味において考えておる、そういう事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/55
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056・小金義照
○小金委員長 ほかに御発言はございませんか。——ほかに御質疑がないようでございますから、本日はこの程度にて散会いたします。
午後零時四十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204802X00119511114/56
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