1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十六年十一月五日(月曜日)
午前十時五十四分開議
出席委員
委員長 木村 公平君
理事 青木 正君 理事 江花 靜君
理事 坂田 英一君 理事 船田 享二君
大内 一郎君 鈴木 明良君
本多 市郎君 松本 善壽君
松澤 兼人君 井上 良二君
小林 達美君 加藤 充君
小平 忠君
出席国務大臣
行政管理庁長官 橋本 龍伍君
農 林 大 臣 根本龍太郎君
出席政府委員
行政管理政務次
官 城 義臣君
外務政務次官 草葉 隆圓君
食糧庁長官 安孫子藤吉君
委員外の出席者
専 門 員 龜卦川 浩君
専 門 員 小關 紹夫君
—————————————
十一月五日
委員鈴木義男君、千葉三郎君及び松岡駒吉君辞
任につき、その補欠として井上良二君、小林運
美君及び松澤兼人君が議長の指名で委員に選任
された。
—————————————
十一月一日
外務省設置法案(内閣提出第二〇号)
同月二日
恩給法の一部改正に関する請願(松田鐵藏君紹
介)(第六七三号)
の審査を本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した事件
連合審査会開会の件
行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(
内閣提出第一八号)
外務省設置法案(内閣提出第二〇号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/0
-
001・木村公平
○木村委員長 これより会議を開きます。
本日は、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案、内閣提出第一八号及び外務省設置法案、内閣提出第二〇号を議題といたします。
まず外務省設置法案について提案理由の説明を聴取いたします。草葉政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/1
-
002・草葉隆圓
○草葉政府委員 外務省設置法案の提案理由を御説明申し上げます。
すでに御承知のごとく、本年の九月八日にサンフランシスコにおきまして、大多数の連合国とわが国との間に平和條約が調印されましたが、これによりまして、わが国は近い将来において主権国家として国際社会に復帰いたす次第でございます。従いまして、政府といたしましては、外交関係の再開のため、鋭意諸般の準備をいたして参つておる次第でございますが、加うるに、平和條約によりまして、わが国の義務とせられておりまする諸問題、たとえば賠償なり、漁業なりあるいは連合国財産の補償等のあるものにつきましては、すでに発効前の現在の段階におきましても、関係諸外国との間に下打合せが開始されて参つておる状態であり、また今後におきましても、開始前におきましていろいろとこの関係が生ずる次第であります。従いまして、外務省の事務内容が量と質とにおきまして急激に変化して参りました関係上、従来の機構をもつていたしましてはこれに対処することが非常に困難となつて参りまして、新事態に即応した機構にこれを改め、現在の事務執行に遺憾なきを期しまするとともに、近い将来の正式の外交再開に備えんとする次第であります。
以上がこの法律案を提案いたしました理由であります。何とぞ慎重御審議を賜わりまして、すみやかに御採択あらんことをお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/2
-
003・木村公平
○木村委員長 外務省設置法案に対する質疑は次会以後にいたします。
この際お諮わいたしまするが、外務省設置法案については、外務委員会より連合審査会の開会申出がありますが、外務委員会との連合審査会を委員長において日時を定め、これを開くことに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/3
-
004・木村公平
○木村委員長 御異議なければさようとりはからいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/4
-
005・木村公平
○木村委員長 次に行政機関職員定員法の一部を改正する法律案について質疑を行います。質疑の通告がありますからこれを許可いたします。船田委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/5
-
006・船田享二
○船田委員 行政機構をできるだけ簡素なものとする、行政事務の能率を高める、国民の負担を軽くするという趣旨をもつてする行政整理を、できるだけ早く断行する必要があるということは、われわれもまた常に主張して来たところでありまして、その整理のためにある程度の犠牲もやむを得ないということは、われわれも考えておるのであります。従つて先日行われました橋本長官の提案理由の説明の中にもあつたような、「行政を簡素化し、現下のわが国力にふさわしい行政体制を樹立する」という現政府の方針それ自体に対しましては、われわれもまたもとより賛意を表するものであります。私どもほ何も現状を無視して、行政整理に全面的に反対するという立場をとろうとするものではないのであります。従つてまたわれわれは、かような政府の方針を実行に移すための計画を、橋本長官が中心となつて立案されましたその勇気と努力とに対しては、深い敬意を表するつもりであります。しかしながら問題は、むしろ抽象的な言葉で表わされた行政整理の目的なり趣旨なりが、それ自身として正しいかどうかというよりも、その趣旨においては正しい行政整理をいかにして実行に移すか、どうしたらその趣旨に沿うような実行ができるかということにかかつておるのでありまして、行政整理はあくまでも合理的に、またできるだけ少い犠牲で行われなければならないとともに、その犠牲者に対するあたたかい心やりをもつて、周到な配慮をもつて行われなければならないのであります。そうでなければ、いたずらに社会不安を引起したり、またその趣旨に反して逆に行政事務能率を低下せしめたりしまして、かえつて国民の負担を増すに至るおそれがあると思うのであります。現にこれまでの経験にかんがみましても、たとえば最近政府がつくつた政会改正諮問のための委員会と申しますか、どういう根拠を持つ委員会か私つまびらかにいたしませんし、はつきりした名前も私はよく存じませんが、とにかくそういう委員会がつくられておりまして、その政令改正諮問のための委員会が政府に対して提出した「行政制度の改革に関する答申」の中にも、こういうことが言われております。「併し、これらの改革の企図は、多くは、一般の期待に反して中途半端に終り、殊に、過去の因習による行政機構の自然膨脹を抑止する適切な方途が考えられなかつたため、いつの間にか旧に復する傾向を辿り、一、二年の後にまた同じ問題を繰返し、行政職員に対しても絶えず不守を与え公務に専念することを妨げる弊もないではなかつた」こういうようなことが言われております。非常に遠慮深く「ないではなかつた」というような言葉が使われておりますが、実はそれどころか、確かにそういう弊害があつたのでありまして、あつたからこそ一昨年相当に大幅な行政整理をしたにもかかわらず、政府は今度もまたまた整理しなければならなくなつて来ておるのではないか、こういうように考えられるのであります。われわれは今度整理を行うとすれば、こうした前の苦い経験を再び繰返すことのないような方法でもつて整理を行わなければならないと思うのでありまして、そのためにはできるだけ慎重に整理案を審議する必要があるのであります。こういつた立場から、私は橋本長官に対して、一今度提案されました改正法案の中で、比較的に根本的なと申しますか、あるいは一般的なと申しますか、そういうような問題につきまして一つ二つ質問申上げたいと思うのであります。
まず法案の提案の理由には「行政事務の簡素化等に伴い」ということが書かれております。行政事務が簡素化されることになるから、それに伴つて人員を整理する必要がある、そこで改正法案を提出するのだ、こう言つておりますし、橋本長官もこの間の提案理由説明の中で同じように「各種行政事務の簡素合理化に伴い」とか、あるいは「各省庁の事務の実態に応じて」定員を改正する必要を生じたのだ、こういうふうに言つておられますし、また昨晩放送されました放送討論会を聞きますと、岡崎官房長官もまた、不要となつた公務員を転職することになるのだという言葉で説明しておられます。転職することになるかどうか、これはあとの問題といたしまして、要するに事務を簡素化することになるから、それに応じて不要となるべき公務員を整理する、そのために改正法案を提出するんだというふうに説明されておるのであります。もとよりそうでなければならないと私は思うのでありますが、はたしてそういうふうに行政事務の簡素化を理由とし根拠として定員法を改正するんだという趣旨で、この改正法案が貫かれておるのかどうかということを、念のために長官の御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/6
-
007・橋本龍伍
○橋本国務大臣 行政事務を簡素化することを根本にいたしまして全部をそれで貫いて立てたものであります。「簡素化等に伴い」と「等」を入れましたゆえんのものは、まつたく廃止するものはごく少数であるということで、簡素化及び事務の廃止ということを入れるところでありますが、大部分は簡素化でありまするので、「等」と入れたのでございます。この案を立てまする際には、政令諮問委員会の答申案を基本材料として検討いたしたのであります。少しくこの間の事情を御説明申し上げますると、五月にリツジウエイ司令官から、日本の占領期間中に行われた諸般の施策の中には、指令によるものもあるし、勧告等によるものもあるが、こういうものについては、日本の実情に応じて見直してくれていい、見直したら、それで自分の方も相談に応じようという話があつたわけであります。それに応じまして、内閣総理大臣の諮問に答えるための一種の私的なプレーン・トラストのようなかつこうでありますが、こういう形で、政令諮問に関する審議会と申しまするか、委員会と申しまするか、そういう相談会議を創設いたしたのであります。行政機構の問題、行政人員の問題、行政事務の問題等に関しましても、これは全部が何も占領軍の施策に関係あるものではありませんけれども、入り組んでおりまするので、当然その点に触れるということで、これに審議を託されました。それが内閣総理大臣に意見を出しました。これは相当の学者も入り、また常識人も入つておりますので、それを参考にして起案をするということを八月に閣議で決定をいたしました。従つて私どもの作業はそれの性格を受けるわけでありまするが、事務の項目別に一つ一つ、この仕事はこういうふうに簡素化ができる、ないしはすでにもう用がなくなつておるというふうな理由で、個別に簡素化をはかりましてそういつたら一つ一つ事務を拾つた残りとして一般庶務のようなものがあるわけでありますが、これもやはり財政法規でありまするとか、あるいはそのほかの庶務、会計、人事関係の規定を総体的に簡素化すれば、その部分も相当の整理ができるという立て方で、全体を事務の整理によつて立てました。世間によく一般整理は天引きだという話がありまするが、これはそうではありませんので、項目別に事務を拾つて整理をいたした分が、おそらく最終の政令諮問委員会の案では、総体でおよそ七割ぐらいの部分を占めておりましたでしようか、残りの分が庶務とか会計とか、人事とかいうものになるのでありますが、これもやはり、そういつた仕事の総体的な事務整理を考えて整理をはかつたのであります。
なおついでにお話を申し上げまするが、政令諮問委員会の答申の前文の中で、事務の整理が合理的でないとあとでまた人員がふえる、前回の整理の後にふえたのもその理由によるものじやないかというお話がございました。私もそういう点が絶無であるとは申しませんけれども、前回の整理、つまり一昨年の整理が行われながら、今年また人員の整理を行いまする一番主要な理由は、一昨年の整理の中には、今日の事態と違いまして、はつきり整理をしてないものがございました。一つは経済統制の非常に大きな部分が残つておつたということであります。これは一昨年手をつけられないで、今回手をつけることになりました。それからもう一つの部分は、一昨年は、やはり占領行政下において、渉外関係の仕事でありまするとか、そのほか占領行政という特種に基くいろいろな仕事が相当ありましたけれども、これが今回講和独立を機縁にいたしまして、商船管理委員会の全廃といつたようなものが典型的な例でありまするが、そういうものがはつきり出て参つたという点が、一昨年整理を行いながら、今年なお整理を必要とし、また妥当とする最も大きな部分であるということをお答え申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/7
-
008・船田享二
○船田委員 ただいまの御答弁によりまして、事務の簡素化を基礎とする定員法の改正につきまして承りましたが、考えますと、行政事務を簡素化するという限りは、多少なりとも実際に即して良心的に簡素化を行おうとしますれば、少くとも実際問題として、多かれ少かれ行政機構の改革、行政機構の簡素合理化と関連して来ると思うのであります。現に今長官も言われた政令改正諮問のための委員会の答申を見ましても、相当大幅に行政機構の改革に関する意見も出ておるのであります。ところがこうした行政機構の改革に触れた政府の方針は、まつたく国会に示されておりません。各省庁の設置法の改正とか、あるいはまた一般的に見ての国家行政組織法の改正とかいうものに関する政府の案は、まだ一つも提案されておりません。たまたま提案されておりますものは、今も議題となりましたような合理化と申しますか、実際に即するというものであるかもしれないけれども、決して簡素化とか縮小ということはできない、外務省設置法だけなんであります。一方政府はすでに昨年行政制度審議会を設けて、この審議会も機構改革案をつくつて答申しております。今申し上げました政令改正諮問のための委員会も行政機構の改革に関する答申を行つておるのであります。これらの審議会とか委員会とかの意見に基いて、政府もすでに機構改革に関する案をつくつておられるものと考えるのでありますが、そういう機構改革に関する政府の案と今度の定員法改正法案との関係がどういうふうになつておりますか、お尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/8
-
009・橋本龍伍
○橋本国務大臣 政府といたしましては、今回の行政改革にあたりまして、人員の整理も行政機構の改革も、両方構えて行うつもりでございます。今回の提案にあたりまして、行政機構改革の方も提案いたしたいと思つておりましたが、これはいろいろな理由で実は間に合いかねたのであります。昨年の春に行政制度審議会の答申案もございましたが、これはこの春のリツジウエイ声明のラインに基く連合軍の指示による機関の整理といつたような建前は、まつたく織り込んでありませんでしたし、私どもといたしましては、そういう点を相当強く考えて参らなければならぬ。その後政府部内においてもいろいろな意見を、私が責任者として聴取いたしましたし、関係方面の意向等もサウンドをいたしておりまするが、総体的にこれをまとめて提案するというところまで、まだ参つておりません。ただしからば、この今回提案をいたしておりまする定員法との関係いかんということでございまするが、これはこう考えておるのであります。何と申しましても、やはり一番基本になりますのは、事務及び人員の整理の問題でございまして、これは機構の改革と関係が必ずなければならぬというわけのものではないのであります。私ども将来の機構改革も考えまして、できるだけ人員を簡素化したいということを考えました。機構改革案がまとまりました際に、今日提案をいたしておりまする定員法の人員の中におきまして、ある部分が、ある省から他の省へ移るというふうな異動の関係はあると思いまするけれども、今日はやはり事務の整理ということを基本にしてこの定員法を立てましたので、あとは機構改革がありましたときに、そういつた整理とか異動とかいうものが行われるだけでありまして、機構改革によつて、その上で人員がさらに大きく減つたりふえたりする部分というものは、これは比較的小部分であろうと大体考えておるのでございます。なお機構改革については検討いたしておりまして、できるだけ早い機会に提案をして、御審議を願いたいと思つておりまするが、事務整理を基本にいたしました人員の整理というものは、一わたり基本的にはこれをもつて済ますことができる、済んでおると大体考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/9
-
010・船田享二
○船田委員 長官のお話では、機構改革に関する案はできるだけ早い機会にというお話でありますが、なるべくならば、もう少しはつきりと、いつごろ御提案になる御予定なのか承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/10
-
011・橋本龍伍
○橋本国務大臣 実は臨時国会に提案をいたしたいと思いまして、夏に閣議決定を行い、これを目途として努力をいたして参りましたが、今日ではとうてい臨時国会に間に合すことはむずかしいと考えております。そこで臨時国会の最中から、臨時国会の直後のころにかけましてこれを検討し、閣内で相談をいたしましてまとめまして、どうしても二十七年度の本予算の編成の中に組み込んで参らなければなりませんので、政府部内の意見をきめますのが、来月の半ばくらいになると思つております。それまでにはぜひきめなければならぬと思つておりまして、できるだけ努力をいたしますが、大体やはり来月の上旬から中旬になると思つております。それからあとは関係方面との交渉の関係がどれくらい時日を要するかということは、はつきりしためどはありませんが、いずれにいたしても、そう長い時間かかると思われませんので、休会明けの劈頭に御審議を願えるように、法案の整備はできるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/11
-
012・船田享二
○船田委員 ただいまのお話では、きわめて近い機会に機構の改革に関する政府の案を、われわれの審議に付せられる模様なのであります。先ほどの長官のお話では、定員の整理と申しますか、定員を改正してしまつておけば、あとで提案になる機構改革によつて、それほど異動がないというお話でありましたが、必ずしもそうは考えられないのであります。機構改革をすることになりますれば、またそこで相当定員を改正する、あるいは少くとも先ほどおつしやつたように整理する必要が起き、また定員法を改正しなければならない状態になるのじやないかと思うのであります。もちろん必要とあらば、定員法を何べんかえてもかまいませんし、またそのために審議をする労をいとうわけではありませんが、承つておりますと、それほど近い将来に、ことに二十七年度の予算を審議する、それと関連して審議ができるような機構改革案がまとまるものだといたしますれば、何も今しいて定員法の改正をあらかじめ行つておく必要がないのじやないか、機構改革案とまとめて一緒に慎重に整理案を審議した方が審議の便宜もあるし、慎重に行われるのじやないかと、こんなふうに思われるのであります。せつかく御提案になつたものではありますが、一度御撤回になつて機構改革の案と同時に御提出になるおつもりはありませんか、どうですか。ちよつとお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/12
-
013・橋本龍伍
○橋本国務大臣 お話がございましたけれども、これはぜひ御審議を願い、成立をさしていただきたいと思つております。その理由はこういうわけであります。この人員の整理にいたしましても、機構の改革にいたしましても、事務の整理ということが一番基本だと思いまするが、これに基いて、大体あとはこれくらいの仕事は必要だと考えておりまするので、定員法の改正案を提案いたしたわけであります。従いまして今後機構の改革案を立てました場合に、たとえばある庁をやめるというふうになります場合においても、それは要するに機構を改革して、その仕事をどこにくつつけるというふうな改革が行われるだけでありまして、事務それ自身として機構改革の際にあらためて事務を整理し、なくするというふうなことは、考えないつもりであります。もちろん機構の改革も行政の簡素化をやる目的で行われるわけでありまするから、この幾つも役所が分立しておるときに、合理的に統合すれば、それだけ少くとも庶務的な人員だけでも減らし得るじやないかというふうなお考えもあるかと思いまするが、今回は相当な程度に将来の機構改革等も考えながら整理を行つておりまするので、私はさきに申し上げましたように、今日は、事務としてあらためてこれからさらに落すというふうなものは考えておりませんので、機構の改革はありましても、あつちこつちの異動が行われるだけでありまして、今日の定員法の実体的な範囲で、今後の行政人員が存在するというふうにお考えを願いたいと思います。なぜ今日提案をいたして実施するかと申しまするのに、人員整理の問題といたしましては、問題が起つて来ましたらなるべく早く着手をいたしまして、そうしてできるだけ時間的な余裕をおいて整理をいたしたい、そうでありませんとこれはおちつけと言つてもなかなかおちつけるものでもございません。従いまして十月の五日に閣議決定をいたしまして以来は、この特別の割増しの退職金もその以後の退職者にさかのぼつて適用するということにいたしまして、来年の六月末までに整理をして、実質的に九箇月の間に整理のできるようにいたしたい。機構の改革にも若干の準備の期日が必要でございまするが現在の機構で、いろいろまた人員整理を行つて内部がごたごたする、そうして未整理のまま、また整理の途中に新機構ができて、またごたごたするということはきわめておもしろくございませんので、ぜひ今回の定員法を成立さしていただいて、来年の六月末までに定員減小をはかり、そうして行政機構改革の方は通常国会において成立させていただいて、若干の余裕をおいて、七月の一日から新機構に応ずるということになれば、これはもう一番行政組織の問題としてはごたごたすることが少く、仕事の運営が円滑に行つて、国民の迷惑をかけることが少いと考えておるのであります。そういうわけで、繰返して申しまするが、今回は事務の整理といたしましては大体この程度にとどめておきまするので、従つて機構の改革があつてもその事務は、どこかで行われておる。従つて人員の問題は、大要はここで一応目途が立つておるということで、定員法を立案いたして提案をいたしましたことと、それからもう一つは新機構を動かしまする場合には、人員の方もすつかり安定した形で動かすというような観点から申しましては、なるべく早く、そうしてなるべく長い時間をおいて整理に無理のないようにするためには、定員法を今回御審議願う必要があるということが、本国会に定員法を提案した理由であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/13
-
014・船田享二
○船田委員 どうもこれは考え方の違いかもしれませんので、また実際上の便宜の問題でもありまするので深くどうこうというわけではありませんが、私から見ますれば、根本的な機構の改革を先にしまして、その前提のものに事務の整理もし、定員の整理もするというふうにすることが、案を立てるについてもそれを審議するについても、なだらかに行くのではないか、こんなふうに考えますのでお伺いいたしたわけであります。その点はしばらくおきまして、少くとも定員法改正に関して本委員会で審議を進めますにあたりまして、今長官の言われたように大体定員は決定的なものとして、あとでの機構の改革によつては人員の削減というようなことがないようにするというお話であるとすれば、なお政府が機構改革についてどういうことを考えておるかというようなことを、決定的なものでなくてけつこうでありまするが、審議の資料として御提出を願えれば幸いだと思うのであります。その点に関する質問はこれ以上差控えておきたいと思いますが、提案されました法案と、提供されました資料とについて参考のために少しお伺いしておきたいのでありますが、改正案審議の資料として政府から出されました書類によりますと、ある省庁のものは、ことに総理府関係でありますが、きわめて簡単に事務の簡素化によつてこれこれの定員減少を行うのだという説明が加えられるにとどまつておりまして、どんな事務がどういうふうに簡素化されるかということは必ずしもまだ明らかに書類の上ではなつておらないのであります。こういう点について一々あとでまた御質問申し上げたいと思いますが、しかしそれはまだいい方——と言うとおかしいですが、それはまだいい方で、ある省庁から提出されました資料を見ましても、たとえば農林省とか建設省とかの資料を見ますと、單に現在の定員何人から何人を減らして何人残るという数字がしるされているだけなのであります。二から一を引いて一が残るという算術の方式が示されているだけなので、計算して行つて間違いないことは確かなのでありますが、それだけではどうも審議し判断するわけには参りませんので、これらについて一々関係当局から承りたいとは思うのでありますが、もしできますれば、どういう事務が簡素化されるのかというようなことについての、もう少し詳しい書類なり何なりを御提出願いたいと思いますし、またきようもしできましたならば、御都合によつては管理庁の方から一般的に御説明を願いたいと思うのですが、この御都合はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/14
-
015・橋本龍伍
○橋本国務大臣 これは閣議の申合せによりまして、各省庁の方から説明をしてもらうことにいたしておりますので、順序をきめていただきましたら、各省当局が集まつてお話を申し上げたいと思います。この整理は、先ほど申し上げましたように政令諮問委員会の答申案を基礎にいたしまして、行政簡素化本部で集まつて検討いたしまして、この項目別に一つ一つこれはどういうわけで行けるということをやつたわけであります。その間におきまして私どもの意見もあり、関係省の意見もあり、いろいろにいたしまして最後決定を見るに至つたのであります。各省からの説明はあるにいたしましても、なるべく説明の材料になるものをまとめて出した方がよろしいということで、各省に要求をいたしまして、委員会に出すのだから、説明は各省からされるにしても、必要な資料を出してくれということを要望いたしましたのに対しまして、各省の方で、委員会の方にこういう資料を出して、あとを口頭で御説明申し上げたいという話で出しましたものをまとめたわけであります。従いまして今日重ねてまた書きものを要求いたしまするよりも、私の方からの都合といたしましては、内閣委員会の方で順序をきめていただいて、各省を直接呼んでいただいた方が都合がよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/15
-
016・船田享二
○船田委員 今の長官のお話了承いたしました。われわれとして各省庁から説明を個別に聴取いたしたいと思います。
最後に多少個別的な問題ともひつかかりますが、一般的な問題と関連がありますのでお伺いいたしたいのでありますが、農林省関係で食糧庁、ことに食糧検査官関係の定員が、半分に減らされることに法案ではなることになつております。ところがその減らされるべき半分のうちのまた半分が、米の統制撤廃による検査事務の縮減を前提としておるということは、法案の附則によつて明らかにされておるのであります。先ほどから私念のためにお伺いいたしたのはこの点にも関連するのでありますが、行政事務の簡素化に伴い、簡素化が前提となつて定員を減らすのだという建前であるということは、先ほど長官からも御答弁があり通したので了承いたした次第でありますが、それならば、米の統制撤廃ということは確定しておるのでありますか、どうでありますか。ぼんやりと統制撤廃と申しましても、まつたく野放しに、農民がかつてなときにかつてな量の米をつくつたらいい、また消費者の方もかつてなときにかつてな量の米を買つたらいいという、全然統制をなしにしてしまうのか、あるいはまたある程度の統制と申しますか、管理と申しますか、そういうことをするのかということに従つて、検査官の定員というもののきめ方もかわつて来ると思うのであります。どの程度に撤廃するのかというようなことについての方針が大体定まつておるので、こういう改正法案が出て来たのだと私は考えるのでありますが、それならばその程度なり、あるいは全然撤廃してしまうのかどうかということに関する政府の御方針、これは政府全般の御方針でなく、少くとも定員法改正に関する限り、管理庁としてどういうふうにお考えになつておられるのか、その点をはつきりさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/16
-
017・橋本龍伍
○橋本国務大臣 定員法改正の観点からお話を申し上げたいと思います。食糧の統制撤廃の方針を閣議として決定をいたしまして、それに従いましてこの定員法を組んだわけであります。これは昭和二十六年度一ぱいをもつて、供出も配給も全部打切るというのが、食糧の統制撤廃の内容であります。そうしてその後に関しましては、主食の需給を調整し、価格を調整いたしまするために、輸入食糧を全部管理いたしますことと、それから国内産の食糧につきましても、必要に応じてこれを買い上げ、あるいは拂い下げることができるという需給調整法をつくり、需給調節の特別会計をつくるつもりでおるのでございます。それから価格の点に関しましては、当然やはり価格安定を期しまするために、ただいまのような数量的な操作のほかに、食糧の価格調整の補給金の制度を存続するつもりであります。別途主食の価格をできるだけ安定させますために、食糧の取引市場を育成するための法的な整備をするつもりでおります。こういうふうな観点から整理を考えたのでありまして、従いまして、今後の需給調整を行います食糧の数量にいたしましても、輸入のものと国内産のものを合せて相当の数量には上りましようけれども、これは今日までのような個別の配給をするという建前と違いまして、大きく市場相手に売り、あるいは買うという関係に相なりますので、従事の人員もそうこまかく必要はないという観点で、いろいろ農林大臣の方と相談をしてきめたのであります。検査の関係に関しましても、検査のために相当の人員の必要なことはわかりますが、これも検査の対象をできるだけ整理する、あるいはまたいろいろな点を勘案いたしまして、今後の日本の農産物検査の関係としてこれくらいで足りるというふうに数量の算定をいたしたものでございます。こまかいことに関しましては農林当局の方から御説明を申し上げると思います。
なおついでにこの法案に附則をつけました事情についてこの機会にお話を申し上げたいと思います。これはまことに変な附則じやないかという御議論がおありだと思いますが、ざつくばらんに事情をお話申し上げたいと思います。政府といたしましては、ただいまの食糧統制撤廃の方針を決定いたしまして、それに基いて定員法の改正案も立案し、また補正予算案も組んだわけでありますが、定員法の改正案を総司令部に提案の了解を得るために持つて参りましたところ、総司令部の側では、食糧統制の撤廃に対して必ずしも反対とかいうわけではない。しかしとにかく重要な問題についてなお決定をしておらないのだから、これをただちにそれを前提にした法案をオーケーすることは困るという話がございました。ただ人員整理には相当の期間も必要だし、もちろん政策がかわつて来る場合には、当然あとでかえなければならぬような事情等もあつていいじやないかといろいろ話をいたしました結果、国会に出してそうして審議を促進出して行くということはけつこうだけれども、これの中に、とにかくまだはつきりと決定的に結論を出したわけでないのだということが明らかになる項目を入れてもらいたい。ただ主食統制撤廃問問題がきままつてからあとでどうこうするといつたような趣旨だけでははつきりしないから、附則の中にはつきり書いてもらいたいということでありました。これはあとで調整をするから、まあ念書でも入れておくことでどうかという話もいたしたのでありますが、総司令部の経済科学局の方で強い意見がありまして、定員法の改正案の提案を急ぐという趣旨は自分の方もよくわかるけれども、まだ未決定の問題だから、未決定という趣旨の法文を入れてもらいたいということで、総司令部の内部にもその問題についていろいろ調整をはかつてくれるような人もありまして、今日こういう形で提案をいたしたものであります。政府は今日当初の方針に基いて、二十七年度から供出制度もやめ、かつ配給制度もやめるという趣旨で交渉をいたしておりますので、この附則の文章は、この交渉が成立いたしましたあかつきにおいて、おそらくはこれを適用することなくして終るものと期待いたしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/17
-
018・船田享二
○船田委員 ただいまの長官のお話で、米の統制撤廃に関する政府の大体の方針が相当確定的にきまつているように承つたのであります。ところが、新聞紙上などに伝えられているところ、また根本農林大臣が本国会の他の委員会での御答弁などを総合いたしますと、米の統制撤廃に関する問題はまだなかなかきまらないようでありまして、まだ生れない子供だというふうな御答弁も農林大臣からあつたように承つております。どうかすると死産になるかもしれないような問題、現に政府は改正法案を提出して、統制撤廃を前提とする定員整理に関する法案を提出しておきながら、附則を付して統制撤廃にならなかつたときのことまでを考えておる。非常にあやふやな問題でありまして、はたして定員法改正案が適当であるかどうかを審議する前提としては非常に不確定な、單なる仮定の問題にすぎない段階にあるのではないかと思うのであります。仮定の問題に対しては答えられないということは、吉田総理大臣しきりにおつしやるところでありまして、ある意味ではそれはごもつともかと思うのであります。私どもといたしましては、そういう仮定の問題を前提として審議するということは、ほとんど不可能に近いのではないか、こんなふうにも考えられますので、もう少し米の統制撤廃に関する政府の態度がはつきりいたしましてから、少くともこの点に関する審議は進めてもおそくはないのではないか。先ほどの機構改革に関する問題とも関連いたしますし、こういうような点で非常にこの審議をお急ぎになつておられるようでありますが、私ども内閣委員の一人として良心的に審議をしようといたしますと、そういう点にひつかかりがありますので、少くともこの点については米の統制撤廃に関する政府の方針がはつきりするまで待つた方がいいのではないか。こういうふうに考えるのであります。そればかりでなしに、こういう附則を付するということが、どういう意味を持つかということについて、長官の御意見を承りたいと思うのであります。つまりこういうような附則を付するということは、定員法をそもそも制定するその趣旨に反する結果を生ずるのではないかというふうに考えられるのであります。申し上げるまでもなく、定員法が制定されるということになりましたのは、單に予算面からの抑制だけでは行政機構の自然膨脹とか、定員の増大を防止するには十分でないので、各省庁についてはつきりと定員を国会の審議を経てきめておく必要がある。言うまでもなくまたその定員を減らす場合にも、慎重に国会の審議を経ることによつて、必要な定員をその場その場の都合でもつてきめてしまつたり、あるいは減少したりしてしまうことができないようにしておく。こういう必要があるところから定員法を制定されることになつたと思うのであります。それにもかかわらず、今度の改正法案におけるような附則を付して、この海のものとも山のものともわからないような、前提としていいかどうかわからないような一つの仮定の問題、それが仮定が達成しなかつた場合にはもちろん「予算の定める範囲内において、」とは書いてありますが、七千九百六十一人という定員を限度として、相当医大な定員を増してもかまわないというような、非常に広範な委任を政令に対してしてしまうというようなことは、定員法制定の趣旨を没却する、あるいは少くともそういう方向に向つて進む道を開く悪例を残すものではないか、こういうふうに考えられるのでありますが、この点について長官の御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/18
-
019・橋本龍伍
○橋本国務大臣 船田委員のお尋ねの御趣旨についてお答えを申し上げます。この附則が法律の趣旨から見て、たいへんけつこうな附則であると私も実は思つておりません。むしろこういつたふうな附則をつけるというようなことは、今回のほんとうにやむを得ない特殊な事情から出たものでありまするが、なるべく早い機会にこの附則が不要に帰するという事実がはつきりして、こういうものはいらないということの明確になる時期を待つておるわけであります。なお問題の実体でありまする食糧統制の問題に対しましては、先般提出をいたして御審議を願つておりまする補正予算案につきましても、あれは総体の整理人員の中の半分を二十六年度の補正予算の中から出しております。今度ここに提案をいたしておりまする定員法改正案につきましても、一貫した食糧統制撤廃の基本方針に基いて起案をいたしたものでございます。総司令部との関係におきましても今日すでに明らかになつておりますのは、関係方面も麦のことは問題にいたしておりませんし、また米の問題に関しましても、主要な点として今日審議をされております問題は、むしろ統制撤廃をするにいたしまして、その移りかわりの仕方、その時期なむ方法なりをどんなふうにしてやつて行くかという点が問題になつておるように私は聞いております。担当者ではありませんからはつきりと申し上げられませんが……。従つて基本の方針は、関係の方面との話においても、つまり先々ずつと米の統制撤廃はいかぬというような議論が行われておるのではなくて、むしろ統制撤廃の移りかわりのときに、配給を一ぺんやめてしまうか、いつごろまでやるか、そのための数量確保はどうするかというようなことが問題になつておるのであります。従いまして、この附則というものは、将来必ずや不要に帰するものと考えております。従いまして、私といたしましては、この附則をつけるということを何とかしてやめたいと実は思つたのであります。ただいま申しましたような基本方針に従つて補正予算も定員法も出し、もちろんその方針がかわればかわつたで必要とするだけの人員なり予算なりというものは、これは組み直さなければならぬことは当然のことでありますが、わざわざこういうふうなことを書かないで基本方針の推敲をやつて参りたいと考えたのでありますが、従つて定員法の提出の時期と米の統制撤廃に関する関係方面の意見の出ました時期とのずれを解決するための何らか相互の覚書というようなことで行きたいと思つて努力をいたしましたが、どうしても経済科学局とのお話合いがうまく行きませんで、総司令部の中でも心配してくれる人がありまして、経済科学局の方の提案された、一応定員法の原文にはさわらないで、こういうふうな附則を入れるならば即座に動かしてくれていいし、行政整理は行政整理としてけつこうなことだと思つておるのだから、進めてくれという話合いの結果持ち来したものであります。こうしたふうなきわめて特殊な時間的な事情ということをぜひ御理解願いたいのでありまして、法文の建て方としては、これがたいへんけつこうな行き方だとは私は毛頭思つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/19
-
020・船田享二
○船田委員 詳しく御説明願いまして、承りました私自身としては、承つただけでどうも了承するわけには参りません。こまかい点につきましては、各関係当局からお伺いいたすことにいたしまして、一応行政管理庁長官に対する私の一般的な質問はこれをもつて打切ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/20
-
021・木村公平
○木村委員長 なお質疑の通告がありますが、これを午後に讓り、一旦休憩いたします。午後は一時半より開会いたします。
午後零時一分休憩
—————————————
午後一時五十六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/21
-
022・木村公平
○木村委員長 休憩前に引続き、これより会議を開きます。質疑の通告がありますから、これを許します。井上良二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/22
-
023・井上良二
○井上(良)委員 定員法改正に関する件に関して、数点質問をいたしたいと思いますが、今回の定員法の改正は、政府みずから述べられておりますように、独立後のわが国の行政組織を能率化し、かつ能率化するための事務簡素をはかるという、このことに関して私どもは、何ら異議のあるものではありません。問題は現在の国民生活なり、またわが国の失業その他の関係を考慮しまして、あらゆる角度から、その結果がどうなるかということを、われわれは一応検討する必要があろうと思います。今回行われます九万人の人員整理は、政府側が申しますこの行政整理の結果が非常に事務能率が高まるという政府の一方的な、独断的な考え方だけに立つてこれが決定されるというよりも、整理される相手方、整理される人の立場というものについて慎重に考慮を拂つたかどうかという点が、非常に重要であろうと思います。御承知の通り国土が狭くなり、しかも人口は非常に多く、今度整理の対象になりまする人々は相当年輩の方が多く、扶養家族をたくさんお持ちであり、これらの人々は自分たちが役所に働いておりさえすれば、給料は安いけれども安心してともかくも生活ができるという非常に大きな希望と期律をかけて役所に勤めておつた人々で、この人々が国の大きな行政整理という方針のもとに整理されるということを考えましたときに、整理の対象になりました人々にとりましては、これは国家的な大きな犠牲であります。しかもその犠牲になる人々が今申します通り相当の年配であり、多数の扶養家族をかかえており、わずかくらいの退職手当をもらいましたところで、はたしてそれらの人々が一体役所に勤めていたと同等の待遇及びそれ以上の地位につけるかどうかということは、まつたく疑問であります。そういう点をわれわれが考慮いたしますときに、特に行政管理庁長官として、また所管大臣としてもこれらの点についていろいろ考慮を拂われていると思うのであります。ついては約九万人に達する整理対象の人間を一体どういう方面に政府は就職をさせ、どういう面にこれらの人々が生活の不安のないような道を見出すような具体的な処置を政府としては講じてやつておるか、この前提についてまず伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/23
-
024・橋本龍伍
○橋本国務大臣 井上委員から御質問のありましたように、行政整理を行うにあたりまして、整理される人々のことを考えますのは一番大事な問題であります。政府といたしましても、今回の行政整理にあたりまして、まず第一に整理される人々の処遇について話をきめなければ、行政整理の具体的立案をするのはいかぬという立場に立ちまして、それを第一義に決定をいたしたのであります。まず行政整理が行われまする場合におきまして、整理後新しい職場に総体的な配置転換が行われまする間の、その間におきまする生活というものは困難になつてはなりませんので、まず第一にやはり退職手当を十分にするということは大切な問題であります。これに関しましては、現行の退職手当の法規によりますれば、行政整理の場合には一年について三十日分というふうに相なつておりまするが、これを今回行政整理の特別な趣旨に顧みまして、最高八割増しまですることにいたしたのであります。それからまたこの整理対象の人々の中に、病気のための長期欠勤者が入るというふうなことに相なりまするのは、それ自身として非常に気の毒でもあり、かつまた再就職というのはむずかしい人たちでありますから、これについては有給で休職ができるようにいたしまして、まずこの整理対象の中に病院の人たちが入らないようにいたしたのであります。ただいま年配の人々が整理の対象になるというふうなお話でありましたが、これは今回の場合に必ずしもどういうふうな人々を整理対象にするということをきめておりませんので、各省庁の実情によつて、年令等はいろいろな場合があり得ると考えております。まず第一に、ただいま申しましたように退職手当を十分出すようにいたしまして、そうしてまず整理を行います省庁におきましてできるだけ就職をあつせんする、その上に政府の職業安定機構を真に総動員いたしまして就職のあつせんをいたすつもりでございます。なおこの就職あつせんにつきましては、手にいろいろな職を持つている人々がやはり非常に就職率がよろしいので、単なる職業あつせんだけでなくて、職業補導をできるだけやらなければいかぬと考えまして、今回の補正予算でも、特に今回の行政整理によります整理者の職業補導のための経費をとつて、これを特に充実して行うつもりでいるのであります。今日の状態から見まして、退職された方々の就職の度合いがどうなるかというにらみの問題は、どこに何人どう入るということは、これは申し上げかねる問題でございますが、昨年来日本の国内の雇用情勢もずつと好転いたして参りまして、戰後異常に増加した農林業就業者が、昨年来だんだん正常に復して、労働力調査による非農林業と農林業との就業者の区分から見まして、昨年から今年にかけまして非農林業がふえて農林業が減るという傾向が著しく出て参つているのであります。何と申しましても今日行政組織の中に不要不急の部分が出て参つておつてこれを整理するということは必要でございますし、それが整理されてその間暮しに困らないようにしながら、職業あつせんによつて新しい職場をみつけて行くということが大事でございますので、政府といたしましてはその点に最も力を注いで施策をいたしているわけであります。なお従来の行政整理の場合に、緊急失業対策事業というふうなものを行いました。これは本来から申しまして、大体事務職員の配置転換が行われますので、緊急失業対策事業といつたような形で公共事業的なものを間に合せにするということは、問題の解決の正道でもないと思つておりますので、今日のところではそういう面には特に力を注いではおりませんけれども、なおこういう面が有効に作用し得るような事情が見られれば、そういう方面にも機に応じて施策をいたしたいと考えているのでございます。
繰返して申しまするが、総体的には今日の行政組織のむだの出ました部分は、退職金によつて退職後しばらくの生活が困らないようにいたしますと同時に、今日の総体的な雇用情勢の好転を基盤にしつつ、それぞれ元の勤めておつた省また国の総体の職業安定機構、そしてそれに職業補導を使いながら、強力に就職のあつせんをするという方向で、十分将来これらの人々が安定した新しい職場につき得るものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/24
-
025・井上良二
○井上(良)委員 ただいま長官の御説明によると、整理対象になつた人々の今後については、退職手当を従来の規定から大幅に引上げて、その面で一時がまんをしてもらう、他の就職その他については、今後の政府のいろいろな努力によつて何とかつじつまを合したいという淡い御希望のようであります。御承知の通り政府みずから発表しておりまする失業者は五十万というのであります。半失業状態にあるものが二百万と推定されております。そういう状態のときに、特別な技術、能力を持つてない人というものが、今日簡単に就職ができ得るとは考えられません。こういうように、大量的な人員の整理をやらなければならぬという事態が起ります場合は、やはりそれを受入れるところの新しい国の対策というものが考えられなければならない。たとえば電源開発をやるとか、あるいは船なら船を大規模に建造するとか、あるいはまた治水事業をこうするとか、農業改良及その他についてこうするとか、国としてそれを受入れるだけの新しい態勢というものが別に立てられて、一方国民が要望いたします事務能率の高い行政組織をつくつて行く。そのためにやむにやまれぬ一つのこういうふうな整理対象を生んで行くという道が、考えられなければならぬと思つております。そういうはつきりした受入れ態勢をこしらえずに、單に手当さえよけいやつたらそれでいいというのでは、手当がなくなつた場合は、結局あなたの所管、厚生省所管の社会保障の対象人員にこれがなつて行つて、また国民の別な負担がそこからふえて行くという結果を招いて行きます。この点に対して政府の積極的な対策が立てられてないということについて私は非常に遺憾に考えております。特に私ども遺憾に思つておりますのは、午前中も船田先生から質問がありましたが、今回の人員整新で、最も大量的に整理されるのは農林省の二万六千七百六十五名であります。政府はこの大量の首切りを発表しながら、その整理の対象となつている食糧庁関係の問題でありますが、この食糧庁の一万六千余人の整理について、政府は食糧の統制を撤廃するという、一つの仮定の上に立つてこの整理を行わんとしておることであります。食糧の統制撤廃後の米麦の生産者価格が何ぼにきまるか、消費者価格がどうなるか、かりに政府がいろいろな角度から今日まで発表しておりまする消費者価格、米一升百円前後となつた場合、賃金ベースはどういうぐあいになるか、その結果物価は値上りをしないのか、また国の財政負担はどういうふうにふえて行くか、その結果インフレはどういうぐあいに上昇して行くかなど、国民が最も心配しておるこれらの点について、はつきりこうなるのだということについて、政府は何ら国民の納得するだけの説明を行つておりません。また米麦統制撤廃に関する法律が今日閣議で決定されて、すでに具体的に人員整理までやろうというところになつているのに、これに関する食糧管理法の改正とか、あるいはそれに関連する各種の法律、政令というようなものが、何ら国会の審議にかけられてない。またはなはだしきは、国会の審議をまつまでもない原案の決定についても、まだ関係方面の承認さえ得ていない。こういう状態でこの国民生活に最も重大な関係を持ちます食糧行政並びに統制事務を担当している一万六千余りの食糧庁関係の人々の首を切る、そういうことが一体言えるのですか、実際問題として……。仮定定的な案の上に立つて、首を切るぞ、首を切るぞとあなた方はおどかしているわけです。首を切るぞ、首を切るぞという政治的な脅迫を、食管のこの食糧行政と統制事務に携わる人々に、あんた方はやつていることになつている。こういうことを所管大臣として、またこの案を立案された行政管理庁長官として一体どうお考えか、その政治的な責任を……。食糧統制の可否については議論が別にございます。その結論を得ていないのに、それに関連するはつきりした結論が出ていないのに、何ゆえに一体首切る首切るというようなことでおどかさなければならぬのか。この点についてはつきり政治的な責任のある答弁をお二人の大臣にお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/25
-
026・橋本龍伍
○橋本国務大臣 ただいまの最後の御質問の趣旨にお答えいたす前に、失業対策として、たとえば電源開発その他のお話がございましたが、井上さんは私の言葉を誤解して、おられるようであります。さきに、労働力調査の結果によるところの雇用情勢の好転ということを基礎にして私は考えておると申しましたのは、それであります。つまり私どもといたしましては、最初に整理することを考えて、失業対策として電源の開発をやるとか、造船をやるとかというような考え方はいたしておりません。国の生産力を向上するために電源の開発また土地改良、造船、これは党の施策といたしましても、一番基本的に主体を入れているものでありまして、これは貿易の好転、その他昨年以来特に非常な成績を上げて参つております。今後においてもますます続けるつもりでありまして、内閣の労働力調査によりまする就業者の数も、農林業が、昨年七月の千九百八十八万人から本年七月千七百九十万人と、百九十八万人を減少いたしましたのに対しまして、非農林業が逆に千七百五十五万人から千九百六十四万人となつて二百九万人を増加して、戦後非常に増加した農林業就業者が正常に復しつつあるという事実は、今後もなお継続する見込みでありますし、継続させる方向に総体の産業政策を向けておる次第でございます。今日この状態から見まして日本が独立して経済自立をいたしまするためには、財政上のできるだけの合理化をはかつて、そういうほんとうの基礎になる産業の育成をはかるという方向が、資金をそういう方向に向けるためにも、また税負担の軽減その他の面から言つても、ぜひ必要だと考えておるものであります。従いまして井上さんからも御指摘のありました電源開発その他の仕事について、あらん限りの産業政策の重点をそういう方向に持つて行くということを基本にいたしまして、今日の行政整理も行つたものであります。そして受入れの道はそういう方向にあるから、そこに私どもの考えておりまする職業あつせんというものが、十二分の効果を発揮し得るものと考えておるわけであります。
なおただいま次にお尋ねのございました米の統制撤廃の問題についてお話を申し上げます。政府といたしましては食糧統制撤廃の基本方針を立てまして、それに従つて補正予算も組み、また定員法の改正案も組んだのであります。仮定の上に立つてやつているのではございません。ただ関係方面との折衝につきまして、なお具体的に完結をいたしておらないところがございますのは事実でありまして、きよう午前中にも御説明申し上げましたように、附則の出て来たのもその理由からであります。今日までのところ、麦の統制撤廃の問題に関しましては、関係方面にも異存がないようであります。しこうして米の問題でございますが、これは政府の法案なり予算案なりの出し方といたしましては、一つのある種の行政事務というものが予算にも関係を持ち、定員法にも関係を持ち、そのほかの実体法にも関係を持ちます場合には、それぞれのものを組すで出すよりいたし方がないのでありまして、従来におきましても、国会へ予算が出て、あるいはそれに関連をいたしまする法案があとから遅れて出たりいたしたことはあるわけであります。私どもといたしましては、これを並行してなるべく早く出したいと考えておりましたが、一つの基本方針から出ましたものが、補正予算は先に出、定員法については今日附則を付して出て、そうしてまた実体関係の問題につきましては、不日決定を見る情勢で、所管大臣から関係方面べの折衝をいたしておる次第でございます。私は、必ずしも、何もかもすつかりきめるまでの間一切の進行をとめておかなければならぬということはないと思いますので、従来国会に関連の法案がそれぞれの面で出ましたのと同じように、一つの基本方針から出ましたものを、予算は予算としてまとまつたときに出し、定員法は定員法としてまとめて出し、そうして、最後の御審議の終局というものは、これはどうせ締めくくらなければならぬと思いますが、こういう形でそれぞれの面でまとまつたときに出るのは、やむを得ないことだと思つておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/26
-
027・根本龍太郎
○根本国務大臣 お尋ねになりましたうち定員法は、予算と、直接実体法である主食の統制撤廃の問題とが同時的に提案されないから、それは一つの政治的な脅迫になりはしないかという御質問でございましたが、これにつきましては、ただいま橋本大臣から御答弁になつたことが同時に政府全体の考え方でございます。
その次に、前の質問に関連いたしまして、食糧庁の人間の行政整理が一番大きなウエートを持つておる、それに対しまして政府は、整理後、就職その他の問題について積極的な何らの方策を持つていないじやないかと言われたようでありましたが、食糧庁の人員整理後の措置については、目下いろいろと特に農協その他の方面と折衝いたしております。これは農林委員会におきましても井上さんの御質問、その他の関連の質問のときにお答えした一部でございまするが、われわれは主食の統制を撤廃する場合においても、野放しではなく、需給調整を考えておるのであります。その一つの構想といたしまして、農業協同組合を育成強化し、この機関を通じて、農民がいわゆる共同販売、共同集荷というような作用を強く運営することができるように考えているのであります。従いまして農業手形の改善に基く生産資金の供与、これも農協を通じてやりたい。また集荷資金につきましては、これは政府の財政資金のできるだけを、農林中金を通じて、系統機関を通じて流すことによりまして集荷資金を与える。こうなりますと、今度は農業協同組合が米の管理をする役割を演ずることになるのであります。そうしますと、米の管理についてはやはり経験のある人を欲するであろうし、またぜひそういうふうにしていただかなければ共同保管管理並びに計画販売もできがたいと思います。こういう点からしますれば、従前その業務を専門的にやつておりました食糧管理関係の事務職員並びに検査職員が相当程度吸収し得るであろうし、またしていただきたい、かように思いまして、こういう方面についても現在折衝を続けておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/27
-
028・井上良二
○井上(良)委員 今の橋本さんの御答弁は納得できません。これは午前中船田先生からも御質問がありましたが、定員法というものは、一つの法律がありまして、たとえば食糧管理法なら食糧管理法という法律があつて、この管理法を施行するのについて、これに関係する事務あるいは統制事務というものに一体どのくらいの人間がいるかということから、ここで食糧庁の大体の定員というものが国会の承認を得てきまつておるのであります。だからその基本法が変更されない先に人間が首切られて、あとから法律がかわつて行く、そういうことが一体あり得ることかどうかということです。だから食糧統制の撤廃ということになりますと、食糧管理法の改正が先になるのか廃止が先にならなければならぬ。食糧統制の撤廃をやつたから、それに関係した人はいらなくなつた、そこで食糧管理法を廃止する。従つてその法律によつて仕事をしておつた人は、これだ、け人がいらないことになつたから国会の承認を要する。これが妥当なるやり方なんです。あなたの議論で行くならば、現在食糧庁関係で働く人は何の法律によつて働いているのですか。何の規則によつて働いておるのですか。その法律を基礎にして必要な人を雇つているのでしよう。使つているのでしよう。あなたの方で食糧統制を撤廃するという基本方針がきまつて、閣議まで決定されて、司令部まで折衝される段階に行つているのです。その改正案をこれと並行して当然出すべきである。それを出さずに、人だけ先に首を切ろうというところに問題があるのです。この法律案が国会で論議されて可決された場合当然それに伴つて予算の削減なり人員の削減が生じて来る。だから政府はそれと並行してこの定員法の改正も出しておりますというならば話はわかる。この際伺いますが、食管の一万六千なんぼという整理の対象になつている人は、一体何の法律によつてやつておつて、今まで国会の承認を受けて来たのか、どの法律でやつておるのです。それで一万六千という人は、どの法律によつて整理をしなければならぬのですか。それを具体的にお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/28
-
029・橋本龍伍
○橋本国務大臣 食糧庁関係の人員は、食糧管理法及びこれに基く政令を施行いたしまする目的を持つて定員法によつて予算で承認されて雇つておるわけであります。繰返して申しますが食糧統制撤廃に伴いまする法令的措置は、農林大臣の所管でありまするが、これはきわめて近く行われるものと私は信じております。もちろん予算もこれも実体関係の法令の調整の問題も、同月同日に発足すれば非常によいわけでありますが、これはなかなかいろいろな事情がありまして、相前後してもやむを得ないと考えております。繰返して申し上げまするが、私はむしろ率直に内輪の事情をお話申し上げた方がいいと思いまするが、総司令部との折衝の関係で、この法案を出しました事情は、午前申し上げた通りでございます。食糧統制の実体関係の問題は、そう遠からざる時日においてきまる、そんなに時日はかからないけれども、しかしながらやはり臨時国会の会期と定員法の審議という関係から行つたならば、総司令部の了解し得るような形において定員法も早く出した方がよろしかろうというので出したわけでありまして、もう少々お待ち願えれば、私は普通予算だとか、法律だとか、定員法とかいうものが、相前後して出ても、結局同じになるという事実がおわかりになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/29
-
030・井上良二
○井上(良)委員 あなたの御苦衷は私お察しいたします。しかし法律をあなた方が改正をするについて国会に提案をしました場合は、今あなたが御答弁になつたようなことが実際許されますか。あなたは仮定の上に立つてないと言うけれども、今の答弁は仮定の上の答弁じやないですか。もう少し待つてくれれば必ずそうなるだろうという一つの想定に基いた仮定論である。あなたは仮定論と考えませんか、あなたのような偉い人がどうです。これは大事なことですからはつきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/30
-
031・橋本龍伍
○橋本国務大臣 私は必ずしも仮定と考えておりませんのは、今日の食糧統制撤廃に対する基本方針を関係方面に了解してもらおうと思つて今関係閣僚が折衝いたしておりますが、私はこの基本方針の見通しについて格別そう悲観的に考えておらないのでありまして、おそらくは若干時期、順序等についていろいろな問題がありましても、了解を得られるものと期待いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/31
-
032・井上良二
○井上(良)委員 そうしますと、あなたのこの提案理由の説明に、「関係方面との話合いが済んでおりませんので、この統制の解除が明年四月一日までに実施されるに至らなかつた場合には、」この文句はあなたがそこまで自信があり、そこまで見通しがはつきりしておるならこんなつけ足りはいらぬのです。いささか不安なところがあつて、これをつけておかなかつたらえらいことになるというお考えの上で、はなはだどうも提案理由説明としては意に満たぬ説明だけれども、まあやむを得ない、こうしておこうかという御苦衷のほどは察しますが、それはあなたの御苦衷であつて、問題の解決にはなりません。私が特にあなたにお聞きしておきたいのは、あなたも御答弁をされました通り、食糧庁の定員は、定員法によつてやつておるのです。そうしてその法律は現に施行中です。その法律について何らの改正案もあるいは廃止案も、これにかわる代案の法律案も出さずに、人だけ首切ろうとしていることは、食管法をあなた自身が否定していることになつているのですよ。あなたは現行の食糧管理法という法律を否定しますか。現行の法律によつてこの人々は働いておる、国会もそれを承認しておる。その法律の改正案、廃止案が出て来ずに、国会が認めた人の首を何の法律の根拠があつて切ろうというのです。その法律的な根拠を明らかにしてもらいたい。どの法律によつて、この一万六千という人を首切ろうというのですか、それを明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/32
-
033・橋本龍伍
○橋本国務大臣 先ほど井上委員に申し上げた通りであります。われわれは食糧管理に関する法令を改正するつもりでありまして、その改正の方針に従つて、この定員法の改正案を出しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/33
-
034・井上良二
○井上(良)委員 改正するつもりであると——その改正する法律案が出されて、そこで当然その結果これだけ人がいらなくなる、だから定員法もあわせて改正をしてくれ、これなら順序が立つているのです。ところがその改正法律案が出てないわけなんです。これから出そうという考え方のようです。ところがこれは今国会におそらく出しますまい。これは通常国会に持ち込むつもりでありましよう。そうなりますと、一体現在の定員法の改正はその基礎的な一万六千を首切ろうとするのは、一体何の法律によつて切ろうとするか、あなたの意見は一つの仮定の理論なんだ。ここでこの改正案が非常に法律としての体裁をなしていないというのは、だれが聞いても常識的におわかりだろうと思うのです。さらにおかしいのは二十六年度補正予算の中に、この一万六千何ぼの人の首を切るという予算は、一億一千六百四十八万六千円人件費の削減として出ておる。そうすると、これはおかしなことになるのですが、この説明書では来年の四月まで実施されなかつた場合は、予算の定める範囲内において、政令によつて食糧庁の職員の定員を増加し得るという附則第三がついておる。もし四月までこの統制撤廃ができなかつた場合は、七千九百六十一人というものを限度で復員する。ところが一方補正予算の方では一億一千余万円というものが削減されておるのです。そうすると、あなたそんなことはまあ考えぬでもいい、おれは統制撤廃は絶対的なものだから、提案する場合やむを得ず附則三をつけたのであつて、四月一日になればもうそういう杞憂はなくなつて統制撤廃は具体化しておるから、従つて七千九百六十一人という復員なんて考えぬでもいい、こうお考えになつておるかもしれませんが、しかし今の建前としては非常におかしいです。七千九百六十一人を四月一日に統制撤廃ができなかつた場合は復員する、こう言うておきながら、一方予算は削減しておる。この七千九百六十一人の人件費はどこから持つて来るのです。それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/34
-
035・橋本龍伍
○橋本国務大臣 七千九百六十一人の人件費は来年度の本予算に計上されるわけであります。要するにたまたま半分ずつでありまして、補正予算をごらんになるとわかりますが、七千九百大十二人になつておるはずです。それを年度内に半分、たまたま総体の数が奇数でありましたから、年度内の分が六十二人、六十一人は三十七年度の本予算に俸給の計上される分であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/35
-
036・井上良二
○井上(良)委員 そうしますと、このあとの八千五十三人というものは一体どうするんです。かりに四月一日に食糧統制が解除されなかつたという場合、八千五十三人というものは一体どうするんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/36
-
037・橋本龍伍
○橋本国務大臣 つまりその分だけは、ただいま井上さんから、今日ただいまにおいては仮定じやないかというお話がありましたが、その部分だけは今日ただいま総司令部との関係においても、もう仮定でなくて、話が片づいたというわけであります。つまり麦の統制撤廃に関する問題、それから一般的にできるだけ整理をやるという問題については、もう総司令部との間にも格別の異存は各セクションともございませんので、そこで結局そこにもありますように、米の統制というものが四月一日以後に万一継続している分には、今後は復活をし得るという附則をぜひ書いておいてくれという話で、井上さんも御指摘の通り、私としてはまことに不満足ながらその附則をつけたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/37
-
038・井上良二
○井上(良)委員 そうしますと、八千五十三人というのは、麦の統制をはずすから、従つてそれに関連しておつた人がいらなくなる、なおわきの事務もそれだけ整理されるのでいらなくなる。そのいらなくなつた分が八千五十三人、この人は一月から四月までに整理する、こういうのでございますか、その点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/38
-
039・橋本龍伍
○橋本国務大臣 これは私繰返して申し上げますが、こういうことなんです。政府の考え方といたしましては、主食の統制撤廃をすることによつて、一万六千人ばかりの整理をやるということが、政府の基本方針に伴う人員整理の対策でございます。これは分解して申しますならば、主食の統制撤廃、すなわち米、麦の供出の仕事がなくなり、かつ配給の仕事がなくなり、そして残つた需給調整その他の仕事についても、できるだけ仕事を少い人数でやるという努力を含めてみると、そこまで行けるというので総体一万六千何がしでやつたわけです。その以外のことは格別政府としては考えておらないのであります。今日もなお基本方針を通すために総司令部と折衝中でありまして、従つてこの附則の部分は将来不要になるものと今日も考えておるわけであります。そこでただいま申しましたことは、くどいようでありますが、私も率直に申しまして、あの附則は、かりに占領なんというものがなくて、純日本的だけにあの法律を考えるときに、井上さんもおつしやる通り筋の通らぬものであるということは、私もよく存じております。そこで午前から申し上げましたような経緯で総司令部とも話合いがついたので、その話合いの過程におきましては、総司令部の話ではこうも理解できるじやないかという意味で、七千九百六十一人分だけは米の統制撤廃を行い得なかつたときには復活するのだという附則の案が出て来たわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/39
-
040・井上良二
○井上(良)委員 そうなるとよけいややこしくなつて来ます。そうなりますと、七千九百六十一人というのは、これは米の統制がかりにはずせなかつた場合、それだけの人はいる。しかし政府では一月から麦の統制をはずすから、そうすると麦の統制をはずすということになると、八千五十三人はいらなくなる。だからこの八千五十三人は米の統制解除は全然考えずに、麦の統制解除その他の事務の簡捷、簡素化によつて一月から四月までに八千五十三人はいらなくなる。こういう結論になつて来るのです。この七千何ぼは司令部の方の意見でつけた、政府はそうは考えてない、司令部がそうしておけということでやつたんだから、政府としてはそんなことは考えておらぬ。米麦統制撤廃という一本の姿で考えておるので、そういうように数字をわけられたのでは困る、司令部とこの法案を提案する場合いろいろ話がついてないから、わければこうわけられるというので、七千何ぼを四月一日に統制が解除にならぬ場合は復職させてもいい。これはこういう仮定の数字であつて、はつきりわけられた数字ではない、こう解釈してもいいですか。従つてこれは政府案ではなしに司令部案だ、こう考えてもいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/40
-
041・橋本龍伍
○橋本国務大臣 こう御理解願いたいと思います。附則をつけたという事情については、けさから申し上げた通りであります。この七千九百六十一人という人数は、これはもう格別そう仮定の数字ではございませんので、補正予算の中で七千九百六十一人分だけは二十七年度に入つてから整理をし、従つてその分だけは二十七年度本予算から落すつもりであつた数字であります。政府としての総体的な考え方は、さきに申し上げた通り、一万六千人を整理する、それは主食の統制撤廃をやり、後の需給調節についても、できるだけ簡素化して仕事を行うというところから出た数字でございます。しかしながら、今日もなお主食の統制撤廃というものはできるという建前で考えておりまするから、今あまりそうした仕訳を考えてみておりませんけれども、たつて井上さんのように仕訳をしてごらんになれば、二十六年度の補正予算にあげた分は、主として麦の統制の撤廃による部分と、それからまた一般的にその後の需給調節をやるにしても、できるだけ簡素化してやるために整理する部分というふうにお考え願つてけつこうであります。二十七年度月以降に米の統制がなお存続される場合にはこの米の統制がなお存続される場合といいましても、配給の限度でありまするとか、いろいろな問題がある思います。私は少くとも来年度になつて配給がある程度続くにいたしましても、新規の供出はないものと考えておりまするけれども、そういつたような面から考えてみまして、最高七千九百六十一人の範囲内において復活ができるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/41
-
042・井上良二
○井上(良)委員 食糧庁の長官がうしろに来ておりますが、実際の責任者として伺いたいのです。御存じの通り私ども食糧行政を担当したことで経験を持つておりますが、国内産の麦を配給に使いますものは、年間わずかに米石で八百万石くらいであります。総体の需要量が五千五、六百万石じやなかつたかと想像しておりますが、そのうちのわずか八百万石が、国内産の供出麦であります。政府は、麦は国家で一元的買入れをいたしまして、一元的拂下げをいたします、ただ国内産の麦がはずれるだけであります。これの買入れはわずかに八百万石であります。従つてそれに対する所要人員というものは、ほんのわずかであります。あとまだ四月までは、政府の管理します輸入食糧——輸入外麦外米でありますが、それと供出する米であります。これを一手に政府が輸入、管理、輸送、拂下げ、また米の配給、そういうことをまります場合に、八千もの人を整理して、あとで一体やり得る自信がありますか、やれるとお考えになりますか。その上に、あとで質問をいたしますが、現場の検査官を相当大量に首切ろうとしておる。これが供出にどういう影響を持つて来るかということを、食糧庁の長官は一番よく御存じであります。政府は今日供出量をまだきめておりませんが、おそらく二千五百万石ぐらいを上下する石数できまるのでありましよう。それがこういう首切りという現実の冷たい風を無慈悲に流すことによつて、第一線に働いております食糧供出に最も重大な役割をになつておる第一線の検査官が、一体まじめに政府の食糧供出の線に働いてもらえるとお考えになりますか。もし順調に供出が行われませんと、来年の三月末までの配給の上にさえ重大な支障を来して来ます。すでにその徴候は大消費地に現われて来ております。これを一体どうお考えになりますか。わずか国内需要に充てる内地産麦の八百万石くらい、多くても一千万石くらいのものであろうが、そのくらいのものを落すことによつて、八千人からの人を首切る、首切つたあとが一体行けるか行けぬか。ここで具体的にお聞きいたしますが、外国の輸入食糧の買付、それからこれの買入れ、それから保管、輸送、この拂下げ、こういう問題に関連をいたしまして、それから次に出て参ります内地米の配給でありますが、これらにおよそどのくらいの人があつたら行けるのですか。今橋本長官の説明によると大体七千人の人が復元すれば行けるじやないかというような考えのようだが、それで行けるという自信がありますか。もしこの人員整理の結果、これから来年三月末までの食糧配給の上に重大な混乱が起つた場合、その責任は一体だれが負うのですか。これらの点を明確にお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/42
-
043・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 先ほどのお話で、この附則第三の関係上から、八千名の程度は、麦の統制をはずすことによつて削減ができるのだというような、大臣からのお話があつたのであります。食糧庁といたしまして、麦の統制廃止のために八千名の人間を減らすことができるということを考えたことはございません。この点、はつきり申し上げておきます。
それから現在供出制度に対して、この定員法の改正が、非常に悪い影響を与えておるのではないかというお尋ねでございますが、常識からいたしましても、四月以降において二人のうち一人を首切るのだという態勢下におきまして、供出の督励に一つも支障がないということはございません。しかしながら事、国民食糧の確保に関する問題でありますので、その辺の感情は殺して、できるだけひとつ努力してくれという、私といたしまして、言うに忍びないことを言いながら督励をいたしておりますけれども、この点については心配をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/43
-
044・井上良二
○井上(良)委員 そうすると、さいぜんの大臣の答弁とちよつと違いますね。大臣は七千九百六十一人は、米の統制を続ける限り残しておかなければならぬ、従つて八千五十三人というものは麦の統制をはずし、その他事務簡素化をはかつて出て来る数字だから、こう言うのです。そうすると、あなたの今の御説明によつても、八千何ぼという数字はどこからどう割出して来たのですか、それを明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/44
-
045・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 この附則第三の決定につきまして、私ども全然事情を承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/45
-
046・井上良二
○井上(良)委員 そうすると、この八千何ぼ、七千何ぼという数字は、附則第三項から起つた数字であつて、事務当局の最高責任者たる食糧庁長官は何ら存じない、そういうことですか。その点を明らかに願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/46
-
047・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 附則第三につきましては、私ども全然その間の事情は承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/47
-
048・井上良二
○井上(良)委員 そうなつてくると、これはたいへんなことになつちまいますな。あなたが食管の長官として現に食糧の管理を行い、国民の食生活安定を引受けられておるのですが、現在の食管法に基いてこれだけの人間がいるとして、定員法によつて国会の承認を得て、それだけの人をあなたみずからが使つているわけです。そのあなたが、この第三條にきめられてあることについて全然われ関せず、わしはそんなことを相談を受けておりはせぬということになつて来たら、そうすると食糧の統制は一体どんなになるのですか。あなたが知らぬうちに八千五十三人が首切られたということになつた場合、それで一体現行の管理方式というものがうまく行くのですか。あなたが知らぬでおつて、自分の部下がよそから首を切られて、かんじんの責任者たるあなたが知らぬ、これは妙なことになるが、そこまで言い寄るとあなたの立場がつらいだろうから、それ以上私もあまり詰問はせぬが、しかし食糧管理の責任をあなたに国として負わしておる以上は、自分はやはり管理の責任者として、これだけの人間はどうしてもなければいけぬ、そういうむちやなことをやられては、わしは引受けられるぬということが明らかにならぬと、話が通らぬ。そこで私が先ほど聞いております通り、実際内地麦だけ統制がはずれて、政府の手にかからぬということになつたにしても、そんなもので大量に人が七千人も八千人もいらぬようになるとは考えていないのです。全体的に統制が撤廃されるということになりますならば、それは撤廃後の外国食糧の輸入管理なりあるいは内地の産米、産麦等の買入れ等に要する人員なんというものを、総体どのくらいあつたらいいかということを検討する必要は起つて参りますけれども、現在の食管法による管理方式が一部麦だけが解除されたとしても、その大半は依然として管理事務は残つて行きますから、そうなつた場合、ここに八千もの人がいらぬようになるというそろばんは、どんなことがあつても出て来ぬと私は思うのでありますが、あなたは実際やつておつてそう思いませんか。その点どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/48
-
049・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 政府の決定を見ましたあかつきにおきまして、今の段階におきまして申し上げるのもいかがかと思いますが、大体この行政整理の問題について事務当局の考えて参りました荒筋を御参考に申し上げてみたいと思います。
先ほど行政管理庁長官から米と麦と切離しましての御議論があつたのでありまして、米はかりに四月一日に統制がはずれなくとも、麦についてはそうであるから、よつて八千名程度の職員の整理ができるのだというお話、この点は私どもは米と麦というふうにわけてこの行政整理の問題を考えておらぬということを前提として申し上げます。
現在の食糧庁の職員は約三万余名でございますが、この事務担当は、大体検査事務と統制事務とに大きく分類をすれば分類できると思います。従来自由経済時代におきましては、現在のような統制はございませんが、別の方式による統制事務をやつておりました。終戦後におきまして、これは戦前でもありますが、一応検査は県営でやつておりましたものを国営に移しまして、現在の職員の構成ができておるわけであります。従つて大体事務内容から申しますれば、検査事務と統制事務というふうにわけられます。現在の構成内容から、検査をやつております者は二万二、三千名、残りの七千名前後というものが統制職員というような分類になつております。
検査は、この前の国会におきまして、議員提出法案によつて国営検査法が通過をいたして、国営検査のもとにおいて検査事務を行つておる。もつとも現在は統制事務と検査事務が一体化の関係になつておりますので、この検査事務員も、検査事務をやるかたわらたとえば支拂証票の発行でありますとか、その他若干の統制事務にも関係をいたしております。しかしながら大部分は検査事務をやつておるものであります。この検査事務に従事いたしまする者は、国営検査を前提といたします限り、そう大きな整理ということにはならぬ、統制事務の存廃いかんにかかわらず、筋道としてそういうものだろうと思います。一面支拂証票の発行等もありますけれども、かりに食糧が自由になりました場合には、現在以上に検査事務の内容が緻密になり複雑になり、また商取引の一つの基準になるものでありまするから、この検査は相当権威を持たなければいかぬ、これは当然のことだろうと思います。ただいまのように政府が全量管理をいたしております際には、格付等につきましても、それほどの厳格さをあるいは必要としないかもしれませんが、自由経済に相なりまするならば、これは商取引の一つの基幹になりまするので、この点は強く要望されて参るものであります。そういう観点からも、検査事務につきましては、これは統制問題と切り離して、国営検査の前提において人員を減らすという余裕はあまりなかろうという見解を私どもは表明して来ております。
それから統制事務でございますが、これは食糧の管理方式を変更することについてやはり相当の変化があるだろうと思います。この際に一応われわれが考えられます点は、昭和十四年まで施行いたしました米穀統制法という法律がございます。これは大体ただいま考えておりまする食糧需給調整法案とほぼ同じ内容のものでございますが、最低価格と最高価格をきめまして、その間による売買操作によりまして、価格の安定をはかつて参るという法律であつて、それを実行いたしておつたのでありますが、その当時の情勢と、今後間接統制を実行いたします際の事務内容とを想定いたしますと、私どもはただちにこれを比較するわけには行かぬだろうと思います。かりに当時におきまする売買数量は、年によつて違いますけれども、まず千万石前後であります。今後間接統制を行うといたしますれば、少くとも外国食糧は政府が一手に管理をいたしまするので、二千万石程度のものはこれを買入れ、売渡しをしなければならぬ。あるいはまた国内のものにつきましても、いろいろな観点から、麦はあるいは全量買入れになる場合もあるかもしれぬ。米も需給操作上からいたしますと、政府の実力を持つ意味におきまして、内地米についても千万石や千四、五百万石のものは場合によれば握らなければいかぬというような点からいたしますと、米穀統制法当時におきまするよりも、相当大量の操作を持つことが必要であろう。また内地米を買入れいたすにつきましても、当時は指定倉庫が相当整理をされておりまして、私の記憶ではおそらく千か千四、五百ではなかつたかと思います。しかしこの切りかえ後におきまする内地米、あるいは内地麦の買入れ売渡し倉庫は、現在は一万以上にわたつております。これは地方におきまする農業倉庫の経営等にも重大な関係を持つて参る問題でありますので、これを一挙に千とか二千とかいうふうに圧縮のできる問題ではございません。究極の目的といたしましては、そういうところまで整理をする必要があるかもしれませんけれども、よほぼ漸進的にこの問題は処理して参りませんと、農業協同組合の経営その他にも支障を来しますし、また買入れの実行上いろいろな問題を起しますので、かりに七、八千というようなところで押えましても、この点の事務分量というものも相当ございます。従つてただちに主食の統制撤廃をしたということから、ここにまた大量の人の整理が必ずしも行われにくい実情にあるということを私どもとしては考えておるのであります。そういう点も十分お話申し上げておつたのでありますが、結論といたしまして、ただいま御審議を願つておるような定員法の形になつておるような次第であります。
概要、経過だけ御説明申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/49
-
050・井上良二
○井上(良)委員 その事情はよくわかつておるらしいですが、それであつて何ゆえに一体こういう大幅な整理をするのか。これは内閣の方針として、あるいは行政管理庁の方針として統制撤廃をするとすれば一万六千減せ、約五一%ほどになりますが、定員の五一%、約半分以上でございますが、半分以上けずつてもかまわぬ。現状がどうであろうと、こうであろうと、そんなことは考慮する必要はないということで、あなたの方も事務管理をやられておる。あなたの方とは何の相談もなしに横からぽこつとやつて来て、これをのめ、こういうことになつたのですか。そこの事情はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/50
-
051・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 一々当時の経過を申し上げる必要はないと私は思いますが、私どもといたしましては、ただいま申し上げましたような趣旨から、行政整理の趣旨については了承いたしますけれども、またその線に沿うて努力をすべきでありますけれども、やはりそこには一つの限界があるという点について事務分量その他についてのお話をしておつたのでありますが、最後に閣議に声きまして、ただいま御審議を願つておるような定員法が原案として、作成されたということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/51
-
052・井上良二
○井上(良)委員 あなたの立場にすれば、部下が首切られるのだから、できるだけ首切られぬように防衛をして行くという責任者としての苦しい立場といいますか、それは了解ができます。しかし閣議が決定した線でかりに統制を解除した場合、実際今御説明になりましたようないろいろな見地から、これだけの人間はどうしても必要だという具体的な数字があるはずです。たとえば外国食糧の輸入、管理、保管、売渡し、国内産麦の農民からの希望による無制限買上げ、それに伴う検査員等の所要人員というものが、統制が撤廃になつたにしても、あなたの方でどうしてもこれだけの人員がなかつたならば、責任ある管理保管はできない、こういうはつきりした数字があるはずですが、それを発表できませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/52
-
053・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 もちろん事務当局といたしましてのさようなものは持つております。十分検討いたしたものを持つておりますが、この機会にこれを発表するというわけには参らぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/53
-
054・井上良二
○井上(良)委員 それが実は非常に重要な役割を果すのです。一方、政府は一つの政策として行政整理をやろう差しておる。ところが、この行政整理の対象になつておりますものが、国民の食生活に重大な関係のある食糧統制の可否の問題から来ておるので、かりに政府の政策である食糧統制撤廃が実現しても、その後に外米の輸入に関連する一部統制事務というものが現実に残るわけです。それをやります場合にこれこれの人がどうしてもいるということが明らかになりませんと——これは政府の言うておる具体的なことについてはそれぞれの所管大臣、所管当局が来て説明いたしますからということを橋本長官も午前中の委員会で明らかにされて来ておる。そこでここに農林関係のあなた方に出てもらつておる。だからその数字をここに出してもらわらぬと、実際判断ができぬです。政府の言うておるこの数字で統制撤廃後において、はたして責任のある事後の管理、保管、売渡し等の一切の事務が行われるかどうかということが重大な問題になつて来るのです。それで残つた人間だけでやれるというか、やれぬというか、問題のきめ手はここなんです。そのきめ手を出してもらわぬことには、さつぱり話が通じませんから、それをまずお出しを願いたいひとつ委員長からも出すように要求して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/54
-
055・木村公平
○木村委員長 委員長からさような要求はいたしませんが、安孫子食糧庁長官から御答弁があれば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/55
-
056・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 ただいまお話の点は、つまり一万何千名でやれるという数字を出せという意味であるのか、行政庁長官は、これで十分やれるのだということで政府委員から説明があるという前提でお話になつておるのだろうと思うのです。それから井上さんのお話は、そうじやないので、事務当局の一つの案、これは現段階においては外に出すべき性質のものじやない。それをここで出せという意味のようにとれますが、そこがはつきりいたしませんから、この際お出しすることは私としてはさしあたりはむずかしい。よく大臣なり、行政庁とも打合せた上でなければ出せないという意味で申し上げておるので、この点は御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/56
-
057・井上良二
○井上(良)委員 問題はこうなんです。これこれの人員を整理する具体的な、たとえば統制事務の廃止、あるいは事務の簡素化による冗員、こういうものを具体的に説明してもらわぬとわからぬ。そこで具体的には省庁の当局者が来て説明する、こういうことであつた。そこで私はその線に沿つて質問をしているわけなのです。だから政府は一万六千十四人を首切るというが、統制撤廃後の需給調整のために必要な管理、保管、売渡し等の需給操作を続行するとして、一体これではたして行けるか。私は行けぬと見ておる。あなたも、数字は言わぬけれども、行けぬというさきの大体の答弁である。そうなつて来ると、そこに必要な数字を、大体こうだということを出してもらわなければ話が進みません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/57
-
058・木村公平
○木村委員長 井上良二君。今の安孫子食糧庁長官のお答えでは、現段階においてはさような数字を発表しがたいような表明があつて、万一するとすれば、大臣その他の諸氏と談合の上でなければ、いわゆる役所式に言えば、決裁を仰がなければ発表ができないような表明があつたのです。それはお聞きだと思いますが、おそらく安孫子君もつらいところでしよう。この点はどうですか、明日でも、日にちはまだ十分あることですから、あなたの最も適当なときにお聞きするということにして、言えないのを、無理に腕力で言わせるわけにも行かないので、この程度で他の御質疑に移つていただいたらいかがでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/58
-
059・井上良二
○井上(良)委員 言わないというものを無理に言わすというわけにも行きませんから、今委員長の御指示の通りにおとりはからいを願います。
次にこの点もあなたに聞いてみたつて困るかもしれませんが、そもそも今回の人員の整理の目的が、政府の方では予算削減、国民負担の軽減、こういうことが大きな二つの目標になつて整理されるんです。ところが、この食糧庁関係の一万六千十四人の整理対象になります人は、国の一般予算には何も関係ないのです。ないというのは、この一万六千何ぼという人は、食管特別会計のいわゆる中間経費の中からまかなわれた人々なんです。税金によつてまかなわれていない。だからこの一万六千人を首切つてみたところで、それだけ税金が安くなるというものじやない。ところがここに問題になるのは、そういうものが中間経費でまかなわれているから中間経費が非常に高いんじやないか、ここにこういう問題が起つて来る。これは自由党の吉武政調会長が、たびたび新聞やラジオで放送しているところだが、しからば自由経済になつて、統制時代の中間経費よりも安くなるかといえば、これは過去の実績が示している通り、われわれはそう安くなるとは考えていない。ただ現在自由党の政調会あたりで検討しております中間経費の中には、たとえば早場米奨励金の問題とか、俵代とか、あるいはまた追加支拂の金額とか、こういうものが織り込まれておりますから、それらの数字を全部農民へ還元されて参りますということからして、差引きますと、全体の中間経費は、統制時代において一三%四九ぐらいの比率が出ておる。ところが今度これが自由経済になつて参りますと、いわゆる生産者から大きな問屋へのここに一つの口銭がある。問屋からまた米屋への口銭がある。米屋から消費者への口銭という三段構えの口銭が加わつて来ることは必至であります。そうなりますと、従来の自由取引をやつておりました時代の数字をわれわれが探してみましても、大体二一%以上になつておるという数字が明らかになつておる。だからこの一万六千人首切つたからということによつて、直接国民の負担が軽くなつたというりくつはどこからも出て来ない。われわれはそういうふうな根拠を持つておるのでありますが、この点に対してこれが予算の上に非常に軽くなり、また国民の負担が軽くなるという根拠をお持ちでありましたならば、御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/59
-
060・木村公平
○木村委員長 ちよつとお待ちを願います。ただいまの御質疑に対しては、安孫子食糧庁長官が答弁する限りではない。これはいわゆる統制経済と自由経済の根本をなす問題でありまして、事務官僚諸君から答うべきものでないと思いますから、この御質疑に対しましては、追つて、きわめて「近いうちに、当局の最高責任者から答弁をさせますから、御猶予を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/60
-
061・井上良二
○井上(良)委員 今の私の質問いたしました件については、事務当局としてどういうお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/61
-
062・木村公平
○木村委員長 答弁はないようですから、質疑をお続け願うなら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/62
-
063・井上良二
○井上(良)委員 今あなたは大きな政治家として、大臣に答弁させなければならぬという、私に対する御忠告でございます。これは大事な問題ですから、私はその通りだと思います。しかし事務当局として、一体この問題に対してどうお考えになつておるかという再質問をいたしておりますから、一応事務当局から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/63
-
064・木村公平
○木村委員長 これに対して安孫子食糧庁長官から答弁がないというお話でありますから、さようお伝えいたします。
〔「関連質問」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/64
-
065・木村公平
○木村委員長 関連質問は許しません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/65
-
066・井上良二
○井上(良)委員 この問題は、私は食糧管理行政を続けて行く上において、非常な誤解を国民に生んでおると思うのです。つまり食管の中間経費が非常に高くて、そのために統制が非常にけしからぬという、いろいろな誤解を一般に生んでおるのであります。そういう点から実際事務当局として私が質問いたしました通り、一体この中間経費によつて一万六十の人がまかなわれておるかどうか、いやこれは一般経費に関係があるというのか、国民の税負担に関係があるというのか、その点を明らかに願いたいことが一つ。
それからその次には、私が今伺いましたように、実際中間経費を検討いたしてみますと、現下の統制管理方式によつては約二二・四九%になる。ところがこれが前の自由経済時代の資料を探してみても二一%に上つておる。こういう数字が出ておるが、この事実を事務当局としては認めるかどうか。こういうことを私は聞いておりますから、これについては別に答弁を回避する何らの事由はないと私は思いますから、お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/66
-
067・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 ただいま井上さんのお話のありました数字は大体その通りだと思います。三割という話が出ましたのは、これは早場米奨励金でありますとか、超過供出奨励金を加えて、生産者価格と消費者価格の差が三割であるという意味でありまして、そこから生産者に還元されるものを除きますと、これが純粋の中間経費でありますが、自由時代におきまする場合との比較は大体そんなことになろうかと思います。それから財政問題としてどうだというお話、これは私から申し上げるのは適当じやないと思いますが、たとえば自由になりました場合でも、検査員は手数料收入がございますので、自由になりましても、この方はまあ大体独立採算で行くことになります。また現在の人件費、事務費は、ただいまお話のありましたような中間経費でまかなつておりますから、これはその通りだろうと思います。それからいろいろ財政で問題にいたしております点は、私どもよくわかりませんが、大体インヴエントリー・フアイナンスというようなものが一つ問題としては取上げられておるというふうに了承しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/67
-
068・井上良二
○井上(良)委員 食管で現業が非常に整理の対象になつておるのですね。大体の比率は六〇%が現業で整理されることになる。この六〇%現業整理という根拠はどこにあるのです。今あなたから御説明がございましたが、検査関係の整理が五〇%に上つておる。食糧検査は、これは先般自由党の河野君がいわゆる提案者となつて、農産物検査法という法律で行うことになつております。この法律は国民の食糧の流通を円満にするためにきめた法律であつて、ここで五〇%も食糧検査関係の人を整理するということは、現在の付属する検査員の配置状況から見て、まつたく国営検査というものを放棄することになる。また法律目的にもまつたく反する結果をこの整理によつて生むことになるが、一体こういう整理をやつても、あなたが今御説明になりましたように、統制解除後にこそ食糧検査の重要性というものが大きくなつて参りますが、この法律の規定してある目的を達し、かつ国営検査の完全な遂行というものが一体でき得るとお考えになりますか。この点に対する当面の責任者である食糧庁長官の意見を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/68
-
069・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 結局逆に申しますと、検査は自由になればなるほど重要である、まあそれだけ切つても支障ありやいなや、あると考えるかないと考えるかというお尋ねであります。これは私どもの検査事務がそれほどの冗員をかかえておるとは考えておりません。逆に申しますならば、やはり公正な検査、自由経済の基調をなす検査を確実に実行いたしますためには、やはりただいまのような人数、——これは一般行政整理と均衡をとつてやる程度の行政整理は必要であろうと思います。それ以上の行政整理はやはり国営検査の施行の上にいろいろと支障があるであろうというふうに存じます。この善後措置につきましてはまたいろいろ別途考えなければならぬ、さような見解を持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/69
-
070・井上良二
○井上(良)委員 現在の食糧検査関係の定員は二万三千名ぼどであろうと想定いたしますが、この間国会を通過しました農産物検査法によりますと、それぞれ検査手数料をとることになりまして、この検査手数料は年間でもつて大体三十五億入るという見込みであります、そういたしますとこの三十五億円でどれだけまかなえるかという計算をして参ると、約二万人余りの人が完全にこの手数料でまかなわれるというそろばんがそこに出て参ります。そうなると国営検査の重要性ということを考えて法律をつくり、その法律の施行に基いて必要な人員をかりに二万二、三千と推定いたしますならば、完全にこれで独立採算制がここに出るそろばんになります。そうしますと財政的にも何ら二万何千人を整理する必要がどこからも出て参りません。そういう見地から考えてみて、われわれはさらにかくのごとく大幅な整理をすることによつて、現在確かに一町村に一名ないし二名ぐらい——二名も行つておりませんか、全国一万三、四千の町村がございますから、たかだか行つても二名行くか行わぬかぐらいのところではないか。ところがこの米産地帶、農作物の非常に生産力の高い地帶と、そうでない大府県と、いろいろな関係から、そこに多少無理もございますが、われわれはもつと充実こそすれ、削減する何らの理由がないものに、いきなり五割もぶち切るという行き方は、まつたく現状を理解しない、法の建前を理解しない、無謀なやり方であろうと私は考える。そういうことからしまして、食糧庁としましては、完全な検査さえ実行いたしますならば、農民も消費者も全部喜ぶことでありますし、またその結果が国の大きな財政負担にならないという実情から、さらに多少は国が負担をいたしても、現実をもつとよくして行く、擴充して行くという線を積極的に打出すべきじやないか。それに五割も首を切られるのをしようがないというようなことでおつて、一体行けるかどうかということです。実際上検査が動かぬことになりやせぬかと思うのですが、それに対する対策を何かお考えになつていますか。たとえばこれが通つたとして、あとどうするのです。国営検査でやつた方がいいということで法律をつくつておるのです。その法律がまだ十分な効果を現さぬ先に、もう半分切つてしまう。そういうむちやな話があるものではない。切つた後行けるかというと、行けないことが明らかなのです。こういう点について事務当局としては、国会に対しても政府に対しても、積極的に必要な資料を出して、これでは困るという納得する線を出してもらわなければならぬと思うのに、切つたらしようがないというようなつもりでおつたのでは、当面の責任者であるあなたとしては、責任は果されません。そう思いませんか。これは大事なことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/70
-
071・安孫子藤吉
○安孫子政府委員 お答えが非常に困るのですが、どうにもしようがないのではないかという態度でいることでないことだけは申し上げておきます。一応かような政府案で御審議を願つておるのですが、その辺の事情につきましては、十分御了察のことと思います。私からいろいろと申し上げるまでもなく、十分御承知の上でのお話だと思います。私どもの立場においてこれが善後措置ということに相なりますれば、一つは臨時職員をふやすこと等についての臨時措置は考えられるわけであります。しかしながら、これで全部を合理的に解決し得るものであるかどうかという点については、私自身の考えはございますし、またその若干につきましては、先ほど申し上げた通りであります。さような心構えでただいまやつておる次第でございます。この程度でひとつ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/71
-
072・井上良二
○井上(良)委員 私まだこれから農林統計調査の関係その他の所管について質問をしなければなりませんけれども、今の食糧検査制度の問題や統計調査の関係の問題は、国の食糧行政や農業政策の確立の上に重大な影響を持つ問題であります。こういう問題を所管大臣も責任大臣もいないのに質問するということは、どうもぐあいが悪いのです。それで委員長の方で所管大臣が出て来ないようであつたら、遺憾ながら暫時休憩なり、また日程を延期してあしたにしてもらいたい。重大な人の首切り問題ですから、その及ぼす影響はきわめて大きなものがありますので、名委員長たるあなたは、この際所管大臣をここへ御出願うか、それもどうしてもさしつかえがあつてできないというなら、他に事務当局に対する質問がありますならば別でありますけれども、私の質問はこれ以上続けるわけに行きません。その点をひとつ御考慮願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/72
-
073・木村公平
○木村委員長 質疑の通告があります。小林運美君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/73
-
074・小林運美
○小林(運)委員 ただいま井上委員からるる質問がありましたけれども、先ほどの御答弁によりますと、急所に参りますと大臣やその他責任者と相談しなければ答えられないというような話であります。いいかげんな答弁ならここでいくら聞いても話にならない。そこで事務当局が大臣その他責任者と十分打合せの上でなければ答弁できないというなら、いくら質問したつて同じことです。私もやはり井上委員と同じような問題がたくさんある。従つて私は質問を通告しましたけれども、そういうようなことなら私は質問を留保しまして、関係大臣が全部そろつたところで質問をしたいと思います。さような意味において委員長にしかるべくおとりはからいを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/74
-
075・木村公平
○木村委員長 本日はこの程度にいたし、明日午前十時半よりさらに質疑を続行したいと思います。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時四十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204889X00719511105/75
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。