1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十一月十日(土曜日)
午前十時四十八分開議
出席委員
委員長 千賀 康治君
理事 河野 謙三君 理事 野原 正勝君
理事 松浦 東介君 理事 小林 運美君
理事 井上 良二君
宇野秀次郎君 小淵 光平君
幡谷仙次郎君 原田 雪松君
平野 三郎君 八木 一郎君
足鹿 覺君 竹村奈良一君
横田甚太郎君 中村 寅太君
出席政府委員
農林政務次官 島村 軍次君
農林事務官
(農政局長) 東畑 四郎君
委員外の出席者
農林事務官
(畜産局長) 長谷川 清君
農林事務官
(畜産局飼料課
長) 豊水 光君
専 門 員 岩隈 博君
専 門 員 藤井 信君
十一月八日
委員千葉三郎君及び鈴木義男君辞任につき、そ
の補欠として小林運美君及び井上良二君が議長
の指名で委員に選任された。
同月十日
小林運美君及び井上良二君が理事に補欠当選し
た。
―――――――――――――
十一月八日
農林漁業組合再建整備法の一部を改する法律案
(内閣提出第二三号)
同月七日
米麦統制撤廃反対の請願(岡田春夫君紹介)(
第七〇八号)
同(竹山祐太郎君紹介)(第七九六号)
農林統計機構確立に関する請願(石野久男君紹
介)(第七〇九号)
同(玉置實君外二名紹介)(第七一〇号)
同(青木正君紹介)(第七一一号)
同(坂田英一君紹介)(第七四三号)
同(大石ヨシエ君紹介)(第七九八号)
繭価格制度確立に関する請願(尾関義一君外一
名紹介)(第七一二号)
食糧事務所職員の行政整理反対に関する請願(
千葉三郎君紹介)(第七一三号)
尾白利加川地区国営かんがい事業促進に関する
請願(篠田弘作君紹介)(第七四一号)
小清水村地内国有林野内耕地開放に関する請願
(伊藤郷一君紹介)(第七四二号)
農地事務局存置の請願(星島二郎君外一名紹
介)(第七九四号)
土地改良及び災害復旧費増額等に関する請願外
一件(星島二郎君外一名紹介)(第七九五号)
豊房地内にため池築設の請願(門脇勝太郎君紹
介)(第七九七号)
主食配給事務費国庫負担の請願(久野忠治君紹
介)(第七九九号)
東條川ダム建設に伴う損害補償に関する請願(
川西清君紹介)(第八〇二号)
鴨川えん堤附帯工事促進の請願(川西清君紹
介)(第八一六号)
同月九日
米麦統制撤廃反対の請願(松井政吉君紹介)(
第八三八号)
同(松尾トシ子君紹介)(第八三九号)
同(小松勇次君紹介)(第八九三号)
同(風早八十二君紹介)(第八九四号)
荻伏村地内の国有林払下げに関する請願(篠田
弘作君紹介)(第八四〇号)
装蹄師免許制度廃止反対の請願(川西清君紹
介)(第八四一号)
水稲病虫害防除費全額国庫負担等に関する請願
(田口長治郎君紹介)(第八四二号)
農業土木災害復旧費国庫補助等の請願(田口長
治郎君紹介)(第八四三号)
部落農業団体活動費国庫補助に関する請願(田
口長治郎君紹介)(第八四四号)
開拓者の安定対策確立に関する請願(田中啓一
郎君紹介)(第八四六号)
積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法に基く予算措
置促進の請願(松浦東介君紹介)(第八四七
号)
農林統計機構確立に関する請願(佐伯宗義君外
一名紹介)(第八四八号)
同(内藤友明君外一名紹介)(第八四九号)
同(中村清君紹介)(第八五〇号)
同(土倉宗明君紹介)(第八五一号)
同(石川金次郎君紹介)(第八五二号)
同(受田新吉君紹介)(第八五三号)
同(園田直君紹介)(第八九七号)
同(永井要造君紹介)(第八九八号)
同(川端佳夫君紹介)(第八九九号)
同(佐瀬昌三君紹介)(第九〇〇号)
岡山県の積雪寒冷単作地帯指定に関する請願(
近藤鶴代君外一名紹介)(第八九二号)
主食統制並びに労務加配制度廃止反対に関する
請願(土井直作君紹介)(第八九五号)
亘理郡農業水利改良事業国営化の請願(庄司一
郎君紹介)(第八九六号)
の審査を本委員会に付託された。
同月六日
主統制撤廃反対に関する陳情書外四件
(第四七二号)
団体営小規模土地改良事業の補助金復活に関す
る陳情書外六件
(第四七八号)
団体営小規模土地改良事業の補助金復活に関す
る陳情書
(第四八四号)
土地改良事業促進に関する陳情書
(第四八五号)
林野行政機構改革に関する陳情書
(第四八七号)
同外六十三件
(第四八八号)
同外二十九件
(第四八九号)
同外三件
(第四九〇号)
麦類の統制撤廃反対に関する陳情書
(第
四九三号)
麦類の統制緩和反対に関する陳情書
(第四
九四号)
農地拡張改良事業国庫補助増額に関する陳情書
(第四九八号)
かんがい用水ため池補強修理に関する陳情書
(第四九九号)
米麦統制存続に関する陳情書
(第五
〇三号)
土地改良並びに農地拡張事業に対する国庫補助
増額に関する陳情書
(第五一三号)
団体営小規模土地改良事業の補助金復活に関す
る陳情書(第五一五号)
五大都市を畜犬競技施行者として指定に関する
陳情書(第
五一七号)
水稲共済掛金率改訂に関する陳情書
(第五二一号)
農地事務局存続に関する陳情書
(第五二四号)
土地改良事業促進に関する陳情書
(第五二五号)
団体営小規模土地改良事業の補助金復活に関す
る陳情書外三件(
第五二九号)
林野行政機構改革に関する陳情書
(第五三三号)
水稲共済掛金率改訂に関する陳情書
(第五七二号)
農業委員会に対する国庫補助増額に関する陳情
書(第五七
三号)
奥地林道開設費補助増額に関する陳情書
(第五七四号)
農林漁業資金融通特別会計の融資わくの拡大並
びに農林漁業組合再建資金の融通に関する陳情
書(第五七
五号)
農地拡張改良事業国庫補助増額に関する陳情書
(第五七六号)
小規模土地改良事業の復活並びに災害復旧事業
費増額の陳情書(第
五七七号)
めい虫防除に対する国庫補助金増額に関する陳
情書(第五七八号)
土地改良に対する国庫補助の陳情書
(第五七九号)
競馬民営反対に関する陳情書
(第五八〇号)
用水ため池工事に対する国庫補助の陳情書
(第五八
一号)
団体営土地改良事業に対する補助金の復活並び
に小規模土地改良事業費の増額に関する陳情書
外一件
(第五八二号)
波方村沢池改修工事国庫補助に関する陳情書
(第
五八三号)
小規模土地改良事業の補助金復活に関する陳情
書
(第五八四号)
同月八日
畜産行政の刷新強化に関する陳情書
(第五八五号)
米麦類の統制撤廃反対に関する陳情書
(第五八六号)
同外十八件
(第五八七号)
農業専門技術員等を行政整理の対象としないこ
とに関する陳情書
(第五八八号)
農政の緊急対策に関する陳情書
(第五八九号)
地方競馬の民営移管阻止に関する陳情書)
(第五九〇号)
農林省鳥取種畜牧場用地払下げに関する陳情書
(第五九一
号)
糸価安定制度の確立に関する陳情書外三件
(第五九二
号)
を本委員会に送付された。
―――――――――――――
本日の会議に付した事件
理事の互選
農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律
案(内閣提出第二三号)
飼料に関する件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/0
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001・千賀康治
○千賀委員長 これより農林委員会を開会いたします。
議案の審議に入る前に、理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。先般小林運美君、井上良二君が委員を辞任されましたので、理事が二名欠員となつておりますが、一昨日両君が再び農林委員に選任になりましたので、この際委員長において両君を理事に指名いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/1
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002・千賀康治
○千賀委員長 異議なしと認めます。よつて小林運美君、井上良二君が理事に選任せられました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/2
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003・千賀康治
○千賀委員長 次に去る八日、本委員会に付託になりました内閣提出、農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案を議題にいたし、審議に入ります。まず本案の趣旨について政府の説明を求めます。島村農林政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/3
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004・島村軍次
○島村政府委員 ただいま提案になりました農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案につきまして御説明いたします。
第十国会におきまして同法が制定、公布せられましてより、関係政令、省令及び告示を公布実施いたし、一方農林省並びに都道府県庁は、全国並びにブロツク別にしばしば会議を開きまして、これらの法令の趣旨を徹底せしめますとともに、奨励金の交付を希望する組合について調査を行い、これに基いて心要な予算措置を講じて奨励金交付の準備を進めて参つたのであります。同時に、この法律に基いて、特別指導員の派遣を希望する組合に対しましては、極力その要求に応じて再建整備の実際的指導に当らせますとともに、奨励金の交付を心要とすると思われる組合に対しましては、他の組合に優先して検査を実施し、本月末までにはこれを完了することになつておるのであります。これらの組合の再建整備の目標は、自己資本の充実をはかるとともに、固定化しております在庫品及び債権を資金化し、早急に経営を健全なものにして行くことにあるのでありますが、同時にこれらの組合の欠損金をも極力すみやかに解消して、赤字のない組合を実現するために必要なる措置を講じて行かなければならないと考えるのであります。そこで、これらの組合の欠損金の補填を容易にするため、法人税法の繰越欠損金の控除に関する規定の特例を設けますとともに、これに関連して必要な規定の整備をはかりたいと存ずるのであります。
以上申し述べましたところが、この法律案を提案いたしましたおもなる理由でありますが、同時に、政府が交付する奨励金のうち、増資奨励金は、毎年度の払込済み出資金の増加の集積を基礎として算出されます関係上、その一部は翌年度において交付することができるようにする必要がありますので、この点につきましても今回あわせて改正をいたしたいと存ずるのであります。
以上申し述べました事項が、今回の法律改正の内容でありますので、何とぞ慎重なる御審議を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/4
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005・千賀康治
○千賀委員長 これより農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案の質疑に入ります。井上君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/5
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006・井上良二
○井上(良)委員 この提案理由にも示してあります通り、奨励金の交付を必要とすると思われる組合に対しては、他の組合に優先して検査を実施し、本月末までにはこれを完了することになつておるのでありますが、この際、政府の事務当局から、この再建整備法によつて再建整備を必要としておる組合の実情、その実績等について詳細な御説明をいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/6
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007・東畑四郎
○東畑政府委員 再建整備法施行以来われわれといたしまして、省令等施行規則の交付をいたしまして、指定日を一応昭和二十六年三月三十一日にいたしまして、鋭意再建整備の実行をなしつつあるのであります。先般の国会で予備費から出す金は、農業協同組合につきましては四億八千七百万円程度であつたのであります。この当初予算額に対しまして、私の方といたしまして七月二十日を期限といたしまして予備調査をいたしたのであります。その予備調査におきましては、まず欠損金額、自己資本の不足額でありますとか、あるいは資金固定価額を基準にしまして、そういうものが総運用資金額に対しまして五%、二〇%、二五%、三%という割合を占めておるものを基準にいたしまして、再建整備を行う組合数を府県から取上げて来たわけであります。一応そういう形で予備調査表に載つて来ました組合数は、単位協同組合で三千二百八十五、連合会で百八十ということになつたのであります。そういう組合につきまして、さらにこれが法の要求いたします再建整備をなす組合であるかどうか審査しておつたのであります。一方連合会におきまして、早期増資をやろうという機運等もありまして、四億八千七百万円程度の当初予算額をもちましては、法の目的とする組合全部を救うわけに参らないということで、実はいろいろ検討をいたしておるのであります。ただいまのところ大体九千万円程度農業協同組合の方に増額をいたしますれば、まずこの法の目的とする再建整備対象組合の再建整備ができるのではないかという段階に来ておるのであります。今月の末までに連合会におきましても、単位協同組合においても、特別決議をいたしまして、改訂をいたしたいという段取りになつておるのであります。増資奨励金が二億六千三百万円程度、補給金が三億一千四百万円程度必要とするのではないかと考えておる次第でございますが、今回の法律におきまして、増資奨励金の一部を翌会計年度において交付することができるよう改正をしていただくのは、法律によつて増資奨励金は払込済み出資金の実績によつて交付することになつておりますが、払込済み出資金の実績というものは年度の終りでないとなかなかわかりませんので、どうしても今年度予算でこれをまかなうわけに行かないで、その一部は来年度予算でこれを交付する。補助率等は年度によつて違いますので、本年度の率で来年度の予算で交付しなくちやならぬのじやないかという事態が生じましたので、増資奨励金の予算の足りない一部は、来年度予算でみていただくということが必要になつて参つたのであります。ただいまのところ、まだ特別決議等を経ておりませんので、はつきりした組合数等はなかなか申し上げにくいのであります。大体のところ単協で二千五百から二千六百の間、全国の連合会の方では百五十余ぐらいの予定をもつて考えておる次第であります。総計において、自己資本の不足額が大体百六十八億程度になります。昭和二十六年度の基準による増資額が四十一億で、全体の農業協同組合にこのくらいの増資に対する奨励金の需要があるというように考えております。その他のことにつきましては御質問があればお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/7
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008・井上良二
○井上(良)委員 そういたしますと、大体再建整備法による農林漁業組合の再建整備の完全なる成果の上ります見通しは、一体どのくらいになるのですか。私ども非常に注意を要すべき問題は、農協は何ゆえに一体再建整備を必要とするようになつたかという原因です。もちろん終戦直後の経済の変動、特に農産物価格と都市の工業生産品の価格との非常な開きがあり、そこへできた早々の組合が、十分な市況その他の取引に明るい熟練した経営者がいなかつたというようなところから、いろいろ組合の運営の上に非常に芳ばしからぬ事態を巻き起したということも事実でありますけれども、全国一万一千の市町村のうちで、ほとんど市町村単位に単位組合をつくつておる。これが相当大きな組合員を持ち、区域を持つております場合は、案外経営もうまく行きはせぬかと思います。ところが百戸か二百戸前後の少数の組合員をもつて農協を維持して行くということは、実際上、経営上非常に困難でないか。そういう点から、そういう小さいところは大体三つなり四つなりを統合して、各村々にそれぞれ農協の支所を持つてやるというように、もう少し組織上の手を加えてみたらどうか。そういう組織の面について、経営の合理化についての指導育成というものが、この整備の方法とあわせて考えらるべきじやないか。たとえて言いますと、各市町村とも非常に財政難に陥つて、ほとんど政府からもらいまする平衡交付金でどうにか村の財政を維持しておるというのが、今日の地方財政の現状であります。そこで各村ともそれぞれ必要に応じて合併をいたしまして、できるだけ町村財政の確立並びに合理化をはかろうといたしておるのであります。農協自体においても赤字を克服し、健全な財政を確立するということは当然やらなければなりませんが、やつたあとはたしてうまく行くか行かぬか、単に増資だけを強要して、それであとがうまく行くか行かぬかということが、実は問題でございます。現在の農村の状態から考えて、払込み出資だけを、また増資の奨励だけをどんどんやつておりますけれども、なかなか各農家とも経済が立ち行かない現状において、農協の増資、農協の出資というものについて、農協から受ける利益というものを考えて足踏みしておるところが非常に多いのではないか。そういうことからもつと農協の経営が合理化されてうまく行くような全体の対策というものが、あわせて考えらるべきじやないか、こう考えますが、あなた方はどう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/8
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009・東畑四郎
○東畑政府委員 ただいまの御質問は根本の問題かと思います。われわれ再建整備を対象にいたします根本は、農協は自己資本が非常に少かつた。固定化在庫品でありますとか、固定財源が多くて、その利子の負担に耐えられない。経営者が大いに経営刷新をやりましても、利子そのものが非常に過重でありましたために、赤字が累積するという大きな二つの点をとらえまして、まず増資奨励金を交付し、固定化利子の補給金をやるということが、今日の農協の再建の基礎であるというので、こういう法案をつくつたのであります。もちろん個々の村、個々の農協におきまして、経営規模そのものが的確でない、あるいは個々の農村でいたずらに単位組合が多過ぎる。そのためにお互いに農協の強化ができないということも再建整備の過程においては当然ございます。こういう組合に単に増資奨励金、固定化利子補給金を交付いたしましても、農協そのものの経営がうまく行くかということは、はなはだむずかしい問題となりましたことは、おつしやる通りであります。従いまして再建整備計画をつくる過程におきまして、現実にその村で単協が多いという場合には、これを合併いたす、あるいは連合会等におきましてもだんだんとこれを統合する機運が出ておるのであります。われわれとしましては、当初そういう方向で再建整備をつくりましたそのこと自体におきましても、なお法案等で合併いたしました場合には、前の再建整備計画書をまたあらためて合併後の大会の決議等によつて変更して行くという方針をもちまして、だんだんと農業組合の経営の充実、刷新、規模の適正化も計画に織り込むべきであるという方針をとつておるのであります。村や県の具体的な実情に即しまして、だんだんと統合強化をして行くという方針につきましては、井上さんの御説とまつたく同じでございます。
それから成果の見通しでございますが、固定化利子の補給金を交付することによつて流動化をはかるというこの再建整備計画は、この法にありますように、われわれは五箇年を一つの目途としてやつておるのでありますが、協同組合の根本的な欠損というものはやはり相当の年月をもつて、今後の経営刷新によつて剰余でこれを埋めて行くというのがただいまの方針でありまして、今後の農協そのものの経営の刷新等によりましてこれはきまる問題だと思います。われわれの見るところでは、五箇年で一応次の発展の段階をつくりまして、その後の條件によりましては、あるいは十年でこれを埋める組合もありましようし、あるいはもつと早く埋める組合もありましようが、そういうものは個々の協同組合の刷新という形でこれを解決して行く以外にはないのではないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/9
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010・井上良二
○井上(良)委員 そうしますと大体今組まれております四億八千七百万ですか、あとそんなにこれへの資金その他の問題は増額しなくても大体これで行けるという見通しでございますか。またそれを増額しなければならぬ事態になつておりますか。そこはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/10
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011・東畑四郎
○東畑政府委員 当初は四億八千七百万円程度で参れるかと思つておつたのでありますが、その後予備調査等によりまして、ただいまのところ基準増資等を考えましても約九千万円程度の不足が実は起るのであります。そのほかに連合会等におきまして早期増資をやろうという一つの機運が見えております。そういうものが早期増資となりますと、法に基きまして初年度に増資奨励金が行くわけであります。それがどれくらいになりますかは年度末の実績によつてやつて参るわけであります。一応組合を概定いたします場合の條件として九千万円程度の金が足らないというように考えております。この予算等につきましてはただいまのところございませんが、来年度におきまして本年度予算のプラスとしてこれをいただきたい。それを前提にしまして再建整備対象組合の概定をいたしたい。実はこういう心組みを持つている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/11
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012・井上良二
○井上(良)委員 私よくわかりませんが、四億八千七百万円について、今までの予備調査の結果初年度として九十万円の赤字が出る見通しであるということ、そうすると来年度及びその後どういうことになりますか、全体でどのくらいあつたら行けるという見通しでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/12
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013・東畑四郎
○東畑政府委員 まず初年度に組合の概定をいたしまして、組合の概定をしたものが今後進行して来るわけであります。初年度に真の早期増資奨励金がどの程度に出るかまだはつきりいたしませんが、今後五箇年間の総所要資金というものはここではつきり申し上げにくいのでありますが、まずスタートをいたします場合における当初の金として大体四億八千七百万円で、九千万円程度足りない。その金は本年度交付すべき金でありますけれども、増資実績がわかつてから出そうということで、一部は来年度予算に出るということが今度の法律の改正の一項目であります。それができますと、その後は早期増資分がどのくらい進行するかによつてまたかわつて参ります。来年度以降は、この法律に基きます率によりまして交付する以外に方法はない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/13
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014・井上良二
○井上(良)委員 それでは来年にまわす分はどのくらいになりますか。それから増資というものがそう期待するほど順調に行くとお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/14
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015・東畑四郎
○東畑政府委員 一応九千万円程度は来年にやります。そのほかに早期増資分が来年度予算でどの程度出ますかは本年の実績によつてこれを計算する以外にはないのじやないかということを考えておる次第でございます。その程度の金を交付することにいたしますれば、まずわれわれが再建整備対象組合に選びましたものの増資はできるというように実は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/15
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016・足鹿覺
○足鹿委員 この法案の御趣旨については直接関連はないのでありますが、再建整備の対象になつた組合に対する御措置は、次々といろいろ講じられておられますけれども、私はその全体としての協同組合の組織が強化され、そして確立されて行く基本的な施策がもつと欠けておるのじやないかと思うのです。それにつきましても、再建整備の対象となつたものに対しては、出資金に対して政府が援助を与えるといういろいろな措置が講じられておりますが、その対象にならないところの組合の出資の増強と申しますか、それについてはほとんど見るべき効果が上つていないと私は思うのです。相当効果の上つた組合もあるけれども、逆に自己出資の増加が遅々として進まない組合がたくさんある。そこに米麦の統制撤廃というような大きな問題が起きて来れば、当然さような組合は組織がより弱体化して参りまして、結果から見れば、また再建整備の対象になるような組合が続出することは、私ども想像にかたくないと思う。そこで現在農業協同組合関係の主幹部としてお考えになつております、全体としての協同組合の強化方策と申しますか、特にその中心となるところの出資の増強について、一段と手が打たれなければならないと私どもは考えておるのでありますが、現在の単位農協を中心とする出資の増加についてはどういう状況でありますか、それらの点について御調査になつたものがありましたならば、この際御提示を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/16
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017・東畑四郎
○東畑政府委員 再建整備組合につきましては、増資奨励金を交付いたしまして出資しておるのでありますが、再建整備の対象にならない組合に対しましては、われわれといたしまして、農業協同組合はやはり農民みずからが農協を強くするという根本の態度というものをかえるべきじやない。増資をすることによつて組合との結合そのものが密接になります。農民自体も協同組合と結びついて初めてその経済生活ができるという意識が強くなる、いたずらに増資奨励金を交付すること自体は、相当考えなくてはならないのじやないか。以上のような考えをもちまして、自力再建のできない一定の水準を引きまして、増資奨励金を交付するという態度をとつております。根本的に農業協同組合のことに、単協につきましても、だんだんと増資の機運が実は見えて参りました。あるいは国以外に県等で、これに対して若干の奨励金を交付しようというような県もあるようでありますが、根本的に相当増資に熱といいますか、増資運動というものは進行いたしておりまして、現実の数字等はちよつと持ち合せがありませんが、自己資本等におきましても、全国平均で相当本年はふえておるという統計が実は出て来ておるのでありまして、今後の経済変動等につきまして農協そのものの根本的な強化その他は、単にこの法律のみならず、金融その他いろいろな措置で考慮して行かなくてはならぬと思いますけれども、やはり農業協同組合の本来の自力的な精神、気運というものはくずしたくないという態度で、実は指導いたしている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/17
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018・足鹿覺
○足鹿委員 さようにおつしやるだろうと思つておつたのですが、大体お考えになつていることは、理論的にはその通りだろうと思う。しかしそもそも今日になつて、協同組合の自己出資金の増額運動を強力に政府も指導して行かなければならなくなつたその根本はどこから来ているかと申しますと、私をして言わしむるならば、もともと農林省の模範定、のつくり方が、あのインフレのはげしいときの、昭和二十三年、二十四年の状態において、一口百円の模範定款をお示しになつたことに、そもそも今日の事態が胚胎しておつたと思う。従つてこれはあくまでも農協の育成強化というものは自力にまたなければならぬことはお説の通りでありますけれども、この際抜本的な一つの方向というものを、やはり国としては御示唆になつても一向さしつかえないと思う。そういう点で少くとも農業協同組合を育成強化して行く。そのため中心は農協の自主的な力にまたなければならぬことはもちろんでありますけれども、国家と農協との関係、その定義づけというようなものに対しては、相当今まで自主性々々々という言葉をお使いになつておりますけれども、それのみに待つていたのでは解決がつかぬ段階が来ているのではないかと、私どもは見ておるのであります。局長のお話によりますと、全国的に自己資本の増額運動は盛んになりつつあるということをおつしやいますが、部分的にはそういうところもあります。私もそれを知つております。しかし全体として見ますと、なかなかそうは行つておらぬと思うのであります。それに対するところの資料をあとでいただきたいと思うのでありますが、私の特にお伺いいたしたいのは、農協の自主性という言葉を常にお使いになりますけれども、少くとも農協の育成強化については農業協同組合を管掌しておられる当局として、積極的な御意思が明らかにならないと、今の段階としては非常に困難ではないかというふうに見ているので、その点について特に当局の御所見があれば、国家と農協との基本的な関係については一体どういうふうにお考えになつているか、この点をもし何か特に御見解がありますれば、この機会に承つておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/18
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019・東畑四郎
○東畑政府委員 農業協同組合の根本に対する御質問でございまして、われわれといたしましては、農業協同組合法の根本精神というものはやはりくずしたくない、具体的な増資でありますとか、協同組合の力を強くすること等につきましては、政府といたしましても援助すべきものは援助をする。根本の協同組合の強化というものは、やはり一つの農民の自主的な運動というもので持つて参りませんと、政府だけがこれをやりましても、とうてい実現は不可能であるというように実は考えております。ただ制度そのものとして農協等が弱体化するようなことがありますれば、そういうところは修正して行きたいと思います。現に模範定款等におきまして、一口百円というようなものも、その後のインフレその他の点におきまして、今日のところは千円というような基準を置きまして修正をいたします等、あるいは合併等を進めて行きます際に、今後農業協同組合の農村における力というものは相当重要でありますので、全体としてこれを強化するとともに、また系統的な結びつきも強くしたいということ等につきましては、われわれとしても少しもやぶさかではないのであります。これに対して、政府から財政支出をいたずらにふやすこと自体が本来の農協の農民的な団体というものを阻害するおそれがあるということにつきましては、実は厳に警戒をしておるのでありまして、農業協同組合につきましては、あくまで農民の自主的な団体であるという根本で参りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/19
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020・足鹿覺
○足鹿委員 どうもこれ以上は仰せられぬだろうと思います。
それでは方面をかえまして、農業協同組合法の基本的な改革ということについては、現在御用意がありますかどうか。いわゆる講和後における日本農政の問題が今問題になつておる。そして日本の農村の自主的な組織団体である農協というものも勢い占領治下から講和後に移つて参りますと、これに対する政策の変換が行われるのではないか。ずいぶん巷間ではいろいろな臆測もいたしておるし、また情報らしいものをつかんでまことしやかに宣伝しておる者もある。それについて地方の農協方面では、いろいろといい意味に解釈したり想像しておるのである。こういう機会に、ある程度かような部分的な一部の再建整備法に対する改正法律ということももちろん必要でありますけれども、全般的に政府は一体どういうふうに考えておるか。いわゆる積極的な財政援助等は考えていないということでありますが、それはそれとして、たとえば現在購買事業、販売事業を行つておる。ところが従来農業会のときには同じ内輪であつて、現在の信連に対して購連も販連も高い金利を払う必要はなかつた。今は購連にしましても、販連にしましても、県段階以上の上級機関においては、金融機関に経営のほとんど四〇%以上は金利に食われておる。これは従来の農業会当時とは全然姿がかわつて、事業団体の非常な経営の重圧になつておる。従つて各地方段階においては、事業連の統合という方向が新しく示され、現実に進んでおるのでありますけれども、中央においては依然として購連も販連も二本建の形態になつておる。また考え方によつては、農業会にはかつてはなかつたけれども、少くとも金融部門を担当しておる事業のみがいわゆる特等席にすわつて、そして事業団体はあくせくしてその金利を稼いでおるというような形では、事業連のほんとうに健全な発達はあり得ないと私は思う。それらの点については、やはり農協の根本的な改革の問題に触れて来ると思うのであります。従つて占領治下においては、ある程度集中排除法であるとか、あるいは独禁法であるとかいろいろなものの関係から、団体の統合等についても農林省はきわめて慎重な態度をもつて臨んでおられる。しかし講和後において、ある程度日本の農政に自主性が与えられるとするならば、少くとも農業協同組合の経営難の問題については、基本的な法の改正が待たれ、その上に立つていろいろな指導が行われなければ健全な発達はあり得ないと私は思う。わずかな事業連のその衝に当つてみてそういう感じを私どもは非常に強く持つておるのである。この機会に、政務次官もおいでになつたようですし、政府に御所見がありますならば、全国の農協関係者は非常に注目をしておる問題でありますので、政府の御所見を明らかにしていただきたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/20
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021・東畑四郎
○東畑政府委員 事根本の問題でありまして、私から答弁するのもいかがと思いますが、今日の農業協同組合につきましては、実はいろいろの意見等がございますので、われわれとしましてはまだ研究をしておる段階でありまして、ここにこういう方向でやるということを申上げるまでには至つておりません。ただ根本的な考え方といたしまして、先ほど私が申しましたように、昔の農業会でありますとか、あるいは政府から助成をいたしてそれを育成するというような方向は、かえつて農協の根本的発展を害するのじやないかというので、先ほど申し上げました精神におきまして研究を進めております。ただ農業倉庫でありますとか、金融でありますとか、農業協同組合そのものの経営を合理化して行くというようなもの等につきましては、ますます国家が援助をすべきであるというように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/21
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022・足鹿覺
○足鹿委員 大臣がおいでになつていないからいたし方がないですが、政務次官もおいでになつておるのに、これは講和後の農政とか、いろいろの農協の育成強化だとか、いわゆるお題目だけを並べて、今私がお尋ねをしておるような問題を現実に御考慮になつておらない。しかもその方向すらもないということでは、——小さな問題だけをお考えになることもいい。現実のいろいろなこういう再建整備に必要なことをおやりになることもけつこうでありますけれども、今の状態で行きますと、自由党の内閣のおやりになつておろ米麦の統制撤廃も、今のような農協の状態でやりますと、農協経営に破調の起ることは火を見るよりも明らかと思う。このことと関連して、少くとも米麦の統制撤廃があるように大きな政府の方針として出る以上は、口に農協を育成されるというお考えを持つておられる政府としては、当然それに対応する方針がなければならぬはずだと思う。それにもかかわらず、全然その点については検討しておらないというようなことは、私は非常に遺憾千万に思うわけであります。その点について、しつこいようでありますけれども、政務次官にひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/22
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023・島村軍次
○島村政府委員 直接農協に御関係のある足鹿さんの御意見は非常に傾聴に値するものだと思うのでありますが、農村の育成の上に農協の育成がきわめて重要であるということは、あなたと同一の意見を持つております。ただそのためにする法律改正というような問題は、農協法に示してある通りに、あるいはまた農政局長が答えました通りに、要するに自主的機関という建前はどこまでもこれは貫かなければならないと思う。同時に農協育成という問題を政府がどういうふうにその間に織り込んで行くかという問題に対しては、これはすこぶる大きな問題であると同時に、また断片的に考える問題ではないと私は考えております。従いまして農協法の改正という問題よりは、むしろこの育成強化に対しては根本的にどういう方針をとるべきかということが、将来に起つて来る問題じやないかと、私は思つておるのでありまして、法律それ自身については現在研究を進めてはいないが、しかし将来の育成の問題については、農政の一環として取上げて、いろいろ協議は進めておるのであります。まだ具体的な問題についてはここでお話を申上げる段階に至つていないという情勢にあることを御了承を願いたいと思う。しかしながらあなたの御意見のような問題に対しての今後の措置については、熱心に研究を進め、かつどういう方向に向つてそれらの問題を次々解決して行くかということに対しては、熱意においては私は人後に落ちないつもりでおりますので、さように御承知を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/23
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024・河野謙三
○河野(謙)委員 先ほどから井上さんや足鹿さんから、農協のあり方についていろいろ御意見があり、その関連において積極的な指導のお話がありましたが、私はもう少し積極的な監督があつてしかるべき段階ではないかと思うのです。現在再建整備をやつておる方において不良組合が続出しておる。こういう現状において、一体今までのような監督の程度でこの農協の健全な発展が期せられるかどうか、私は非常に疑問を持つておるのですが、今後の農協の監督の点について、現状でいいとお思いになつておるか、今後何らか、監督についてもう少し積極的な手を打たれる御意思があるか、これをひとつ伺いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/24
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025・東畑四郎
○東畑政府委員 農業協同組合は一つの経済団体でございますので、その間やはり経理その他につきましても監督を厳重にしなければならぬということは当然でございます。現在府県におきましても本省におきましても、検査官等を置きまして検査をいたしておるのであります。われわれといたしましては、農協そのものには、普通の検査をやる以外にやはり経営の指導もやる。ことに再建整備を必要とする組合等につきましては特別指導員を置きまして、指導的に監督をやることも必要である。検査と指導が併行いたしませんと協同組合そのものの刷新にならないのではないかということを、実は考えておるのであります。検査そのものの必要なことは当然でございまして、われわれといたしましては、根本の帳簿組織でありますとか、そういうものを整備いたしまして、今後もますます経済団体の不信を買わないように、検査の厳重な監督をいたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/25
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026・河野謙三
○河野(謙)委員 検査の厳重な監督についての御意思はあるようですが、この厳重な監督についての手段方法について、現在の手段方法では私は不十分だと思いますが、何か具体的に相当の手を打たれるお考えがあるかどうか、伺いたい。
もう一つ。これは大臣に質問することかもしれませんが、政務次官は近々のうちにまた野に下つて協同組合で大いに手腕を奮われる御準備があるようです。そこで指導連の問題ですが、今のような事業団体の寄生虫的な存在の指導連で、はたして農協の使命が果せるかどうかということについて、組織そのもの、機構そのものを私は非常にふしぎに思つておる。私はこれを事業団体——購連なり販連と別箇に一段高い特等席に置いて、今後国の補助助成によつて、農林省の内部における改良局と農政局と一体となつて農村の発展指導に当るべきである、こう思うのですが、指導連の現在の地位、これについて島村政務次官は、もしあなたが近近野に下つて指導連を大いに鞭撻する立場になつた場合に、今のままでいいとお思いになつておるかどうか、ひとつ参考に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/26
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027・島村軍次
○島村政府委員 指導連の強化の問題はお話の通りでありまして、現在地の事業連と違つて、農業協同組合の育成といいますか、内部における強化並びに農業経営の問題及び全般的の協同組合の刷新強化に関する重大な責任を持つておるものだと思うのであります。また設立当時からの経過から考えましてもさように進むべきだということになつておるのでありまして、御承知の通りに現在指導連は、むしろ財政的な裏づけに困つておるのが現状であります。しかしながら過渡期の時代としての指導連は、農業会が解体後の協同組合におきましてあまりに分散し過ぎたという関係と、財政的の裏づけの関係からさような姿になつて参つたのでありまするが、しかしこれは漸次お互いの協同組合陣営内において了解がつきつつあるし、かつまた結局これを経営する人の問題にも関連を持つのでありまして、御承知の通り指導連の強化は、内部機構においても漸次相当強化されつつある現状でありますし、私の考えを率直に申し上げれば、要するに単協の強化、これがやがて指導連の強化ということに帰着するものだと思うのであります。指導連は、どこまでも単協の強化というものに向つて一段と力を注ぐべきだということに対しては、異論のないところであると思うのであります。従いまして財政的の問題については、たとえば国でやる仕事の、現在農林省で扱つておるいろいろな仕事について、団体をして行わしむることが適当と認むるものについては、各個にそれらのことを取上げまして、あるいは助成の道をつくり、あるいはまた委託の形式等によつて、指導連の事業を農林省の方針のもとにやらしておる仕事も相当あるわけであります。さような問題については、個々について取上げて、一層内部的には協同組合の単協の強化に当り、外部的には農林省との関係においては、農林行政そのものの各個についての仕事を指導もしくは奨励、補助等によつて行つて、ともに農村の育成強化につとめたいということであると私は思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/27
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028・河野謙三
○河野(謙)委員 この機会にちよつと関連して、農業共済の監督の問題について農政局長に伺いたいのですが、農業共済の監督をどの程度にやつておられますか。同時に、今の監督が不十分であるならば、今後農業共済の監督はどうしてやるか。と申しますのは、局長の耳にも入つておるでしようが、最近農業共済の問題について、とかくのうわさが私たちの耳に相当入つておるのです。今朝聞くところによりますと、国家警察が、農業共済について全国的に調査を進めたというような話さえも私は耳にしたのです。ところが私の地元だけのことを考えてもそうであろうと思われる節がある。掛金の支払いが半年も一年も遅れる、また災害の調査についていろいろとかくの話もある、また共済組合の運営そのものの内容について、非常に紊乱が起つておるところがあるというようなことを聞いておる。これらの問題について、あなたのお耳にどういうものが入つておるか。またこれらをとらえて、現在の監督はどのようにしておられるか。また今後、現在監督が不十分であるならば、どういうようにされるか。御承知のように、共済の強化拡充ということについては、毎国会ごとに非常な勢いで拡充強化をはかつており、国庫の負担も非常にふえて来ておる。この場合に、この監督についての現状並びに今後のお考えを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/28
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029・東畑四郎
○東畑政府委員 農業協同組合につきましては、現在本省に検査関係者が三十六名程度、府県に平衡交付金に入れないいわゆる補助職員が十名程度おりまして、最近は特に再建整備対象組合に限定して検査をいたしております。再建整備対象組合が整備いたしますれば、全般の検査をやるというように考えております。
農業共済組合につきましては、特に末端の市町村共済組合等につきましては、歴史が新しいために、農業協同組合のような検査制度を実施いたしておらないのであります。そこで共済組合連合会等につきましても、本省から人を派遣いたしまして、監督的な検査をいたしておりますし、お話のようないろいろな不祥事件が若干の所で起きているということの報告は受けておりますが、河野さんのおつしやいましたような取締り的な問題があるというふうには承知いたしておりません。ただ共済掛金の支払い等がなかなか遅延をいたしまして、損害評価等につきましては、根本的に評価の技術がむずかしいことが問題になるのでありますけれども、金銭の出納等については、そう全般的に大きいというふうには聞いておらないのであります。しかし農民の最も大事な金を扱う機関でありますので、今後そういう方面の検査等につきましては、農業協同組合等の例を参照いたしまして、検査基準等もはつきりつくりまして実施いたしたいという心組みで、今準備をいたしている段階であります。これに関係する人等につきましては、最近の情勢等から、現在の人を活用して参りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/29
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030・河野謙三
○河野(謙)委員 最後に局長に特に希望しておきます。この農業共済の制度は、私たちは非常によい制度だと思いますが、私の地元等では、農民は逆にこれを忌避するような声が日に日に強くなつて来ておるのであります。こういう際に、今申し上げるような不正事実がもし天下に発表されるというような事態になりますと、これは一段と農業共済忌避の力が強くなつて、今後の運営に非常に大きな支障を来すと思いますから、このよき制度を完全に遂行して、農民をしてこの制度に十分の希望を持たせるために、この際特に厳重な監督をし、厳重な指導を怠らないようにしてもらいたいということを強く要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/30
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031・千賀康治
○千賀委員長 竹村委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/31
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032・竹村奈良一
○竹村委員 私がお伺いしておきたいのは、大体現在まで農協の再建整備で利子補給を行うことを決定した協同組合連合会の数、それから単協でこれにかかつた数、それからそういう赤字があつて利子補給を受けたいが、払込みが非常に困難で遺憾ながらこの利子補給を受けることができないとされる組合が、一体全国にどのくらいあるかという点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/32
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033・東畑四郎
○東畑政府委員 現在再建整備対象の組合の概計の調査を進めつつあるのでありまして、本月の末に大体きめるのではないかというので、各ブロック会議等におきまして個々の数を押えつつあるのであります。今のところ単協は二千五百七十程度、全国連合会を含めての連合会で百五十三程度を予定いたしておりますが、もちろんこれは特別決議等を経て、増資を実際いたしませんと、奨励金の交付はしないのでありまして、一応この程度の数をもつて概計いたしたという程度であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/33
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034・竹村奈良一
○竹村委員 大体払込みができないのでこういう制度に依頼して利子補給が願えないような組合の調査が、もしわかつておりましたならば伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/34
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035・東畑四郎
○東畑政府委員 われわれが一応予定しました中で、ブロック会議等をやりました結果、若干の組合については、当初われわれの調査で出しても、その村の事情でなかなか増資ができないというので落ちたものもありますけれども、その数はそう多くはないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/35
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036・竹村奈良一
○竹村委員 それではひとつ島村政務次官にお伺いいたしたいのでございます。確定的ではないけれども、現在予定されております県連合会百五十三、単協二千五百七十、これに利子補給をされて、再建整備の方針が決定されて払込みがなされておりますが、しかしたとえば来年度から米麦の供出制度がなくなる。——もちろんこれには最低価格で農協に買わせるというような方針を立てられておるのですが、それにしてもその量は、現在の三分の一も単協には買い得る能力はないだろうと思うのです。そういう場合に、現在二千五百七十の単協にやられても、そのままでは、また再び三年後にはこれ以上の数の単協が、またまた何かやらなければ立つて行かないような現状にあるのではないか。それだから、もちろんその上にあるところの連合会もそうであろうと思うのですが、これに対して一体どういうような方策を立てて、協同組合を育成して行こうと考えておられるのか。これを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/36
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037・島村軍次
○島村政府委員 これは竹村さんも御承知のように、産業組合時代には、米麦の集荷については相当農村で苦労をしたものであります。消費者との間に直結し、あるいは官庁の間に直結し、軍の糧秣廠等と直結して、販売については農協というか、産業組合が集荷するという態勢は十分できておつたのであります。もちろん全国的には弱い組合もあつたのであります。そこで現在の農協は、長い統制の時代のなれで、政府の金によつて、中金から流したもので集荷して行くという態勢でやつておつたのでありますので、今後米の統制の問題が台頭するしないにかかわらず、ともかくも農業協同組合は、われらのものはわれらの手によつてのスローガンなり、あるいはその努力を今後はやるべきであるという前提に立ちますと、和戦両様の構えで、農協自身も今から大いな対策を考える必要があると私は思うのであります。従いまして、米麦について統制の撤廃といいますか、かりに統制の方式のかわつた際においても、政府においてある程度の買上げをやる。それに対する資金はむろん考えられると思うし、また同時に農村の買入れ資金については、農協自身も今から対策を考えると同時に、政府自身もこれに対しては、現在食糧庁のやつております仕事をなるべく広く農協へ流して、資金の金融の措置をつけるという方法を今後においてもとるべきであると考えておるのであります。ただそれの具体的な金額その他については、そのときの情勢によつて考えなければならぬと思うのでありますが、しかし建前としては、ここに和戦両様の構えでやるという農協自身の大きな覚悟を持つて、農協自身も今から準備すべき筋合いのものと私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/37
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038・竹村奈良一
○竹村委員 もちろん、たとえば昔の産業組合時代におきます米の直結販売その他によつて集荷した時代と現在とでは、非常に農村の事情がかわつておる。従つて農協自身が、いわゆる農民の自覚体として、農民自身のものとして、農民みずからがそれを守つて行く、これは当然のことでありますけれども、しかしながら現在行われている状態のもとにおいて、たとえば肥料の統制がはずれますと、今政務次官の考えておられるような建前から行きますならば、おそらく肥料の購入あるいはその扱い等につきましても、やみ肥料等を考えますならば、少くとも今までの配給量より以上の量が農協において扱われなければならぬ。ところが、遺憾ながら現実は配給量の六〇%くらいしか農協で扱われていないという今日の現状であつて、主食等が自由販売になつて、しかも政府の買入れ価格の最低価格で農協がどれだけ集荷できるか、いかに活動いたしましても三分の一以下になるのじやないか、しかも三分の一もおそらく集荷がむずかしいのじやないかと考えるわけです。と同時に、一部の資本的背景を持つものが、こういう区域におけるところの主食の買いあさりその他をやりますならば、結局においては、いかに努力しても事実上は相当困つたことになつて来る。もちろん農協は農民のかつてな自由な組織だから、自由に活動してこれを乗り切るべきである、原則はそうでありますけれども、そこまで日本の農民は自覚してない現実において、政府は単に資金を融通して最低価格で買わすというだけでは、問題は解決しないのじやないか。これに対しては、もちろん現在の農協のあり方そのものが全部が全部認めらるべき筋合いではないのですが、これをいかに育成するかという根本策を立てなければ現在再建整備法でいろいろ建直しをやりましても、先ほど言いましたように、二、三年後にはまたまたこういうことをやらなければ農協はつぶれるのじやないか、つぶれるようなものが非常に続出するのではないかと思うのでありますが、国民の血税で一応損失を負担して行くといつても、それが再びこういう損失を繰返さないような施策がまず考えられなければならないと考える。考えられた上でこういうことがやられるべきじやないかと思うのですが、これに対して、政策がまだきまつていないといえばそれまでですが、それでは農協対策に対して政府はあまりに無関心であり、無能力であるといわざるを得ないと思うのですが、くろうとである島村さんなどは、政府部内においてどういうような構想を持つておられるか承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/38
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039・島村軍次
○島村政府委員 米の統制の論議はしばらくおきまして、私は原則論として今申し上げたようなことは当然考えるべきだということを申し上げたのであります。そこでそれを具体化する手段として、あろいは方法として、結局過渡期において、農協が政府一本の米を買つておつたものが、さようでないような時期の来た際における措置としては、お話のような点がある程度まで考えられると思うのです。従つてそれはあるいは農手の制度とか、あるいは現在の食管法にある金の運用等についての具体的方法は、十分これに裏づけすべき対策が考えられる必要があると思うのでありまして、それらに対しては、政府部内においても相当検討を加えておるのでありまして、お話の三分の一に減ずるというようなことは、私はだからこそ農協はこの際しつかりしなければならぬ、こういう考え方を持つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/39
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040・千賀康治
○千賀委員長 本案に対する質疑はごの程度にいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/40
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041・千賀康治
○千賀委員長 これより飼料に関する件について調査を行います。質問の通告がありますのでこれを許します。河野委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/41
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042・河野謙三
○河野(謙)委員 飼料につきましては、最近の購入飼料の市価暴騰の状況にかんがみまして、当委員会は特にこの重要性にかんがみて、過日来小委員会においていろいろ検討して参つたのでありますが、これに対し小委員会といたしまして、政府に対し内地における麦の加工量をふやして、もう少しえさの供給量をふやしてもらいたい、なお緊急の措置として輸入の飼料も考えてもらいたい、そのほかに政府手持ちの輸入五等麦、マニトバと申します、これについての緊急払下げも考えてもらいたい。これらについて一々強く要求したのでありますが、これにつきまして畜産局の方としては、食糧庁とよく協議の上速急に回答をするということでありましたが、この機会に畜産局長より、政府におきます協議の結果について明快な御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/42
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043・長谷川清
○長谷川説明員 ただいま河野委員からお話のありました飼料の問題につきましては畜産の小委員会でいろいろ御熱心に御審議をいただいた点につきましては、畜産局として非常に感謝をいたしておるのであります。ただいまお話になりました線でさらに需給の調整をはかるべく、食糧庁ともいろいろ相談をいたしました結果、一応成案を得ましたので、本日私の名前で、各地方長官に今後の飼料需給対策の一端を通牒いたしたような次第であります。その大要はただいまお手許にお配りいたしました資料をごらんいただきたいと思いますが、その要点を申し上げますと、第一は、今まで指令しました十一月、十二月分の製粉、製表加工指令数量約三十万五千原料トンのほかに、今回新たに十五万原料トンの追加加工をすることにいたしたのであります。十五万トンの内訳は製粉十万トン、製麦が五万トンでございます。これは大体十一月下旬に実施をする予定でございます。
第二は、先ほどもお話がありましたように、この際なるべく飼料の輸入を特にふすまの輸入を積極的にはかりたいと考えまして、目下いろいろ関係商社とも連絡をとつてやつておるのでありますが、現在のところ本年一ぱいまでに少くとも五千トン程度のふすまが香港を通じているというように考えておりますし、明年においてもさらに引続きふすまの輸入をはかり、できれば月々一万トン程度のものを入れるようにしたいと考えております。
第三といたしましては、現在政府が持つております輸入低質小麦、これはマニトバ・ナンバー五と称しておりますが、この低質小麦を本年度中に約二万二千トン、特に飼料の実需者に配給をいたしたいと考えております。
次は、今の低質小麦を明年一月以降、食糧庁が持つております三万六千トン、さらに来年一、二月ごろに輸入されると考えております一万トン、合計して四万六千トン程度のものを、前に申しましたと同じ方法で実需者に配給するように考えたい。
最後に近くしよう油製造業者に対しまして、特にしよう油原料用の小麦を一万一千トン払下げをいたすことにいたしましてこれによつてふすまの飼料へ流れる量をその程度ふやしたいというように考えております。
以上申し上げましたようないろいろの方法によりまして、できるだけこの端境期の飼料を少しでもふやすように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/43
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044・河野謙三
○河野(謙)委員 そこでちよつと伺つておきたいのは、これは市価安定のためには非常に有力なものだと思いますが、輸入のふすまは内地の農民の手にどれくらいの価格で販売し得るかということです。もちろん輸入しても、内地の市価が高ければその市価で売るでしようけれども、それとは別に、たとえば上海の麦を横浜に入れて横浜のCIFで幾ら、それから諸掛を見、鉄道運賃を見て、農家の手に渡るのは幾らという原価計算的な計算をしました場合に、輸入のふすまというのはどのくらいの価格で農民の手に渡るか、これをひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/44
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045・長谷川清
○長谷川説明員 ふすまの問題につきましては、案は二、三箇月前より先方の情勢を調査していたのでありますが、その当時の見込みでは、日本の港のCIF価格が大体六百円から六百五十円程度ではないだろうかということであつたのでありますが、最近若干これが上まわりまして、七百円程度になるのではないだろうかというふうに見込まれております。それから輸入いたしましてその後の実需者に渡りますまでの諸掛はこれはこまかく計算したものではございませんが、大体百円ないし百二、三十円程度であればやつて行けるのではないか。従つて原価計算的に考えますと、CIF価格七百円といたしますと、農民の手に入ります価格は八百円を若干上まわるだろうというふうに考えておるのであります。実はこの価格は必ずしも安い価格とは言えませんし、われわれとしても、さらに何とかして安い飼料を輸入することに努力いたしたいと考えますが、この際としては、価格の点はまず第二義的に、とりあえず飼料を外国からでも入れるのだ、こういう態勢をとることが必要なのではないかという考え方でやつておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/45
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046・河野謙三
○河野(謙)委員 そうしますと、今内地では九百円とか九百五十円とか言つております。それを輸入した場合に、八百円余りの価格で農家に行くことになれば、八百円の線まで内地の価格を引きもどすのには若干の力があると思います。ところが一方において、畜産局の方では、飼料の理想価格と申しますか、一応今農家の手に渡つて六百円ですかに押えております。それを政府の理想価格として、今内地の価格引下げに努力しておられる。ところが輸入のものは八百円以上になる。来年も輸入することになると、実際問題として、あなたの方で理想達成の段階に近くなれば輸入はできないことになります。そうなつた場合に、輸入ができなければ数量が不足するから、また市価が上ることになりますが、その間のところは、一体どういう手を打たれるか。
私は参考までに申し上げますが、将来において大量に輸入する大麦なり小麦、しかも補給金をつけた政府の麦から発生するふすまなり、麦粉に対しては、食糧としての補給金と同時に、やはりえさとしての補給金も考えてよいのではないかと思いますが、これらの将来の価格の点について、今畜産局長は両者非常に矛盾したことをやつておられる。一方において六百円まで下げる。一方において八百円幾らのふすまをどんどん輸入する。一体これらの輸入の麦について、それから出るふすま、これと補給金の関係を食糧庁の方と何か御相談になつておるか、これを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/46
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047・長谷川清
○長谷川説明員 ふすまの市場価格につきましては、実はものがものでありますだけに、見込みを立てることが非常に困難な事情があるのであります。ただ御指摘のように、現在政府が供出によつて集荷いたしましたものを委託製粉をしているようなものにつきましては、一定の基準となるべき価格が考えられるのでありまして、われわれはそれらのものについては、ぜひその基準価格が守られるように一面には努力したい、こういうふうに考えておるのであります。ただしかし、飼料全体の需給事情がそれだけではどうしてもまかなえないという事情がありますので、若干値段は高くはございますけれども、輸入の道を開きまして、市場価格の態勢をそれによつて牽制するという措置をとることが必要なのではないか、そういう意味合いで、今の自粛価格の線から考えますと、若干輸入のふすまは高いのでありますけれども、しかしながらこれを入れることによつて、先ほどお話もございましたように、一時九百円程度の呼び値をしておりましたふすまが、おそらく八百二、三十円程度以上はもう上らないだろうというような——実は今日の新聞の記事などもそういう見方をしているということは、これが一つの契機にもなり得たのではないかというふうに考えておるのであります。将来の問題としてはいろいろむずかしい問題もございまして、ただちに輸入の小麦に対する補給金と同じようなものをふすまにも出し得るかということになりますると、必ずしもそうも行きかねるかと思いまするが、しかし補給金は小麦それ自身には出るわけですから、間接的に考えてみますれば、ふすまにもこれは出ているはずだと考えられる。そうしますなれば、やはり御指摘のように、ふすまについても一種の自粛価格といいますか、基準価格的なものを考えて、これでひとつ指導するということは相当やつて行かなければならないのじやないかと考えておりますが、ただ飼料というものはふすま、精麦あるいはいろいろの油かす類というように、非常にこまごましたものがありますだけに、この需給調整ということになりますると、またむずかしい問題もあるように考えます。しかし将来どういたしましても市場の価格が安定しないということになりますれば、何らかの方法で、需給調整的な措置を考えなければならないのじやないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/47
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048・横田甚太郎
○横田委員 農民が買う場合に、ふすまとか麦ぬかが一体どのくらいの値段で入つているように思つておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/48
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049・長谷川清
○長谷川説明員 これは地方の事情によつていろいろ違うようであります。最近はなはだしきは九百円近くもしているというふうなことも聞くのでありますが、大体において、八百円程度ではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/49
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050・原田雪松
○原田委員 次官がおられるうちにひとつ聞いておきたい。価格の問題については河野委員からお話がありましたが、私も同感であります。根本問題として考えなければならぬことは、今畜産局は、無畜農業解消のために百二十七万戸の有畜化をはかつておられることは事実でありますが、はたして飼料の需給が不足なく行くかということを考えなければならぬ。飼料のうちには粗飼料と濃厚飼料とありますけれども、国内における需給態勢というものは、大体百二十七万戸の有畜化をした場合には足りないのが現実の問題であります。そうなると飼料を相当量輸入しなければならないことになる。私はこの際無謀な増産計画をやつても、えさというものの根本的な基礎ができなければ、むしろ危険にさらされる点が多くなつて来ると思う。そういう意味から、飼料という問題につきましては、政府は飼料の需給関係についての法律的措置をやる考えがあるか、これは重要な問題だと思うのであります。これからの畜産はもつと高揚しなければならぬ。また食生活の改善にも寄与する面が非常に多い。だからこの際有畜農民が安心して家畜を飼えるようにしなければならぬのですが、現在のようなわずかな飼料でさえ非常に苦労するようなことでは、おそらくこれは完全には行えないのじやないかと心配するものであります。そこでこの際どの程度法的措置をするかという点を根本的に考えたいので、その点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/50
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051・幡谷仙次郎
○幡谷委員 ただいま原田委員から法的措置というようなことを申されましたが、私はさらに飼料問題を掘り下げて研究をされて、結局粗飼料でも濃厚にする、有効な飼料をつくる。要するに近代科学の力を利用しまして、あるいはおがくずのようなものでも現在の高度の飼料より有効だ、こういうものをこの際研究させる。そうして飼料問題を根本から解決する、こういう政策を今回の厖大な導入資金を放出すると同時にぜひ取上げてしかるべく対処してもらいたい、こう私は要望するものでありますが、お答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/51
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052・長谷川清
○長谷川説明員 無畜農家を解消しまして有畜化を進めることが、現在の最も必要な畜産対策であろうと考えまして、できるだけ早い機会に全国の無畜農家を解消するという考え方で、有畜化の計画を進めておるのすでありますが、それに関連いたしまして、それの裏づけとなります飼料対策についてどういうふうに考えるかというお話でございました。まことにポイントをつかれた御意見だと考えるのでありますが、私たちといたしましても、一面に家畜を入れますることを考える場合には、同時にその裏づけとなるところの飼料対策を当然考えなければならないと思うのであります。しかしそれには、何と申しましても、まず自給飼料をできるだけ増産するということが本筋の行き方ではなかろうかと考えまして、明年度の予算にも、あるいは牧野の改良、草生の増殖、あるいは原種圃、採種圃の拡充というようなことにさらに力をいたしたいと思いまして、予算の要求をしておるような状況でございますが、それ以外の購入飼料につきましては、将来の問題といたしますれば、主要食糧の統制等も漸次緩和される情勢にありますので、その後の事情によりまして具体的に将来の施策を考えたいと思つておるのでありまして、今すぐ飼料の需給調整等の法的処置をとることはどうかということにつきまして、決心をいたしかねておるような状況であります。
なお幡谷委員からお話がありました科学的な飼料、たとえば尿素でありますとかストレプトマイシンあるいはエラマイシンというような飼料についての研究を積極的に進めよというお話につきましては、私たちもまことにごもつともだと考えております。従来といえども、畜産試験場あるいは家畜優生試験場等に委託をいたしまして、それらの研究を進めておるのでありまするが、さらに今後も引続いて積極的に研究をいたしたいと考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/52
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053・原田雪松
○原田委員 大体自給飼料に依存することがいいことは事実でありますが、私の言う法的処置とは、まだ国内におきましても、未利用資源その他のもので飼料化すべきものをそのまま放任しておるものがたくさんある。こういうものも何かの面でまとめて行くことが一つ。ただ畜産局に対して遺憾なことは、従来種畜牧場、種畜試験場はあるけれども、飼料の研究をするものは今までなかつた。幸いに昨年わずかの予算で千葉で試験をやつております。私現地を見たのでありますが、スーダングラスは非常にいい成績をあげておる。こういうものをもう少し国費をもつて各地域にわたるところの試験場に併置して、試験成績をあげ、そうして種子の配分の供給をなすよう善処してもらいたい。
それからもう一つは、今言つた未利用資源をもう少し経済的に取上げて——化学えさもいいでしよう。しかしながら化学えさのみではいけないから、未利用資源と化学えさとをよく取合せて配合飼料の奨励を国がやるべきだと私は思う。同時に有畜化します場合には、牛、馬——、家畜によつては草食動物でありますから、むしろ普通のものでもいいものがありますが、どうしても濃厚飼料に依存しなければならない家畜がある。そうすると国内産だけではとうてい不足を来すのではないかということが考えられますので、そういう場合は、今まで処置をされたところの輸入飼料で調整をして行かなければならぬと思うのでありますが、そういうことをやりますには、局長がいかに励んで地方長官にいろいろな通牒を出しても、あるいはメーカーに出しても、ちつともきき目はない。きき目がないことを幾らやつても同じことだ。きき目があるようにして、家畜を飼育する者が安心して飼うようにするには、どうしても需給調整のような法的措置を講じてもらう必要があると思う。畜産は今変換期でありますので、この変換期のチャンスにそういうことをあわせ考えていただくことが必要である。だから、ここにおいて需給調整令のようなものをつくる意思があるかどうかということに対しては、今そういう考えはないというお話でありますが、それはまことに私はうかつな考え方だと思う。われわれもそれに協力いたしますから、ぜひ需給調整令のようなものをつくつて、今ねらつておるところの百二十七万戸の有畜化に、何ら故障のないようにこれを育成して行くような処置をしてやらなければならぬと思いますが、その点に対してもう一ぺん局長の決意をお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/53
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054・長谷川清
○長谷川説明員 飼料の需給事情の現状にかんがみまして、飼料の需給調整規則のごとき法的措置が講ぜられますことは最も望ましいと考えておることは事実であります。ただ実際問題といたしまして、先ほどもちよつと申し上げましたように、取扱いの飼料の種類等が非常に広汎多岐でありますだけに、需給調整をスムースにやつて行く機構等をつくりますことが、非常にむずかしい点があるのではないだろうかということと、一般的にできるだけ自由経済の線で物資の需給をはかろうという考え方からいたしますると、なるべくそういう措置を避けて、できるだけ飼料の安定をはかることを考えるのがまず先決ではないかというふうに考えまして、いろいろ措置を講じておるのでありまするが、御指摘のように、どうしてもこういう措置がうまく行かないということになりますと、私たちといたしましても、やむを得ず需給調整等の措置を講ぜざるを得ない、またそういう場合には、相当困難がありましても、需給調整の何らかの措置を法制的にも考えなければならないのではないかというふうに思つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/54
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055・原田雪松
○原田委員 今のお話で安心をいたしました。もう一つは飼料作物試験の問題ですが、これは各地域にわたつて試験場に併用して、ぜひ試験成績をあげてもらわなければならぬと思います。わずか十万ぐらいの試験費でもつて全国の飼料の試験をやるなんということは、これは木によつて魚を求めると同じようなものであります。もう少し予算をとつて、九州は九州、北海道は北海道、東北、千葉、中国というような方面の試験場のある所に、飼料作物試験を強化して行くようにすることがいいと思うが、それに対しての予算措置はどうなつているか、また二十七年度におけるこれに対する局長のお考えはいかがでありますか、これを最後に承つておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/55
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056・長谷川清
○長谷川説明員 先ほど来お話があります未利用資源、あるいは地方的な特別な飼料の利用につきましては、われわれも非常に大事なここと考えまして、実は明年度の予算にも各地方における飼料の消費実態を調査いたしまして、その消費実態をさらに深く掘り下げて、農家に顧みられないような飼料を有効に使う方策を研究する予算を、若干ではありますけれども要求している状況であります。今後もそれが実現いたしまするように努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/56
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057・横田甚太郎
○横田委員 二十六年の十月一日付の畜産局長の署名のある「ふすま、麦ぬかの価格等について」、これによりますと、大体ふすまが三十キロで六百円以下が末端の消費者の購入価格、こういう予想ですね。これがおそらく新聞にいうところの勧告価格であろうと思う。実際の取引価格は御答弁によりますと八百円から九百円と言つている。そうすると三俵と壱俵の違いになる。これだけ違つたら商売人は売らないと思う。こういう場合には勧告価格を維持するためにどういうような措置をとられるか、それを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/57
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058・長谷川清
○長谷川説明員 勧告価格の点につきましては、先ほど河野委員からお話のありましたように、現在政府が払い下げております小麦は、全部委託加工によつてこれが小麦粉及びふすまに加工されるのでありまして、その場合に政府といたしましても、一応ふすまの値段はこの程度の価格であるべきであるということを前提にして考えているのでありますが、実際問題といたしますと、政府の加工数量などがその月々の事情によつて違いますので、必ずしもその通りに参らない場合もあり得るかと考えますが、一面飼料事情から考えて、やはりあまり高い飼料は望ましくないことはもちろんでありますので、その辺を調整いたしまして、畜産局の方でいろいろ研究をいたしました結果、一応製粉工場渡し価格を五百円、中間の取扱い業者の手数料を約百円とふみまして、実需者に渡る価格を六百円程度に、ぜひそれぞれの業者が協力をしてもらいたいという意味で、先ほどお話の自粛価格をお願いをしているのであります。ただこれは行政上の指導措置でありまして、物価統制令等に基くいわゆる勧告価格というようなものでありませんので、これが守れないからと申しまして、すぐ暴利取締りの対象になるというふうにはならないかと考えるのでありますが、われわれといたしましては、ぜひ勧告と申しますか、自粛価格の線を上まわらないようにしたい。それには製粉業者に対しましても、できるだけ加工数量を増加するような措置をあわせて裏づけしてやる必要があると考えまして、先ほどお話をいたしましたように、今回特に、従来きまつております加工数量に、さらに追加するようなことをいたしたのもその一つであります。何といたしましても数量をふやすことがその自粛価格を守らせる一番ポイントでありますので、数量をいろいろの方法によりましてかき集めまして、できるだけ自粛価格を守りやすい状況に置くというふうな方向で考えたいと思つている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/58
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059・横田甚太郎
○横田委員 まだまだいろいろありますが、これは大体農林省食糧庁の所管であつて、農林省でも食糧の方は知らぬ牛や馬の方だと言われますので、おそらく答弁がない節もあるだろうと思います。それは委員長自身が次官をかえしてしまつたので其の点委員長の責任ですから、資料として要求しますからぜひ二、三日中に返事をもらいたい。
それから今局長の話を聞いておりますと、原麦加工の数量をたくさんふやす、これでふすまをこしらえる、量をふやせば安くなるだろう、こういう結論になると思います。しかしふすまが上つたことに対しては、大体停電というものが大きく作用したことをお認めになるかならぬかということです。もし停電というものが冬の渇水期にまたありましたならば、冬の渇水期にもまた飼料価格が上がるか。もしあがるとするならば、その渇水期までに今までの値段が一応下つて、また停電したときに今日のような価格にぶり返すのか、それとも今日の価格が高いままで持続しておつて、そのときにまた上るのか、その点の見通しをはつきり聞いておかぬと前にこの委員会で林野庁長官は、今年は木炭が下ると言つておられたが、実際においてはうんと上つておるこのように政府答弁ほどでたらめなうそはないから、その点ははつきりしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/59
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060・長谷川清
○長谷川説明員 むろんふすまの値段の高騰の一つの原因として、電気の供給が不円滑であるということも否定できないと考えますが、それよりもむしろ数戸が非常に少いということの方に大きな原因があると私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/60
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061・横田甚太郎
○横田委員 数量が非常に少いというのは、原麦を出すのも少いでしよう。しかし電力不足で加工が行われなければふすます少い。その少いという意味は二つあると思うから、そこを聞きたいのですが、しかしそれはそれで大体いいでしよう。
次に勧告価格というものは一体何を基準としてきめられたかということです。先ほどのお話によると、六百円の内容は五百円と百円とにわけられておるが、これは思いつきである。思いつきである証拠には、勧告価格でありながら、しかもこれがあなた方の資料によりますと、末端消費者の購入価格とは別である。その価格で取引のできない価格なんか何にもならぬものだと私は思うのです。こういうことが自由党のいわゆる不自由経済学から生れて来るところの破綻ではないかと私は思う。だから自粛価格とか勧告価格というものをやめてしまつて、現在ある品物と取引のできる価格が通用する価格であつて、金を払つたから品物が入つて来るというのがすなわち価格の役割なんです。価格があつてその価格で品物が入つて来ないというのはこれは価格じやない。これは何にもならない。経済学者が夜のつれづれのすさびにするところの学問上の羅列にすぎぬ。だからあなたに聞きたいのは、今あるところの価格によつて引合うところの畜産品目はどんなものがあると思われるか。たとえば鶏は引合わないが、大きなかけ馬だつたら引合う。これはうんと走つて人を惑わすから、ばくちの対象になるので引合う。今取引のできる価格で引合うものはどういうものであるか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/61
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062・長谷川清
○長谷川説明員 現在のところ飼料にいたしましても、畜産物の製品にしましても、公定価格制度がないので、従つて畜産物の価格で引合わない価格はどこだということはなかなかむずかしいのでありまして、えさが上れば卵も上る、肉も上るという結果に考え方はなるのであります。私どもの考えといたしましては、卵の値段を上げないように、肉の値段を引下げるようにするためには、できるだけ飼料の価格を安くするようにいたしたい。その一つの方法といたしまして、自粛価格と申しますか、なるべく飼料の製造業者も販売業者も、ひとつ自粛してもらつて、安い価格で出していただくようにということをお願いしておる価格が自粛価格でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/62
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063・横田甚太郎
○横田委員 そういう答弁ではあなたの畜産は紙の上に立つておる畜産なんですが、私の畜産は地球の上を歩いておる畜産です。これらの飼料の価格を見ますと、畜産の品目はえさが上れば卵の場合も上る、肉の場合も上るといいますが、そううまく行きますと畜産というものは非常に隆盛になるんです。ところが実際はそうでないんです。どうしてかと言えば、豚を例にとると、大阪では本年毛がはえて歩いている豚が高いときで九十文、それが八十五文から七十五文に下つて、今では七十文で売れないのです。これは農民が売る価格です。ところが東京では豚肉が百八十円が一番安い。それ以下の豚は池田蔵相の召し上らないものでしよう。二百円から二百二十円が普通です。そうすると消費者が食うところの価格が上つておる。農民の売る場合豚は下つておる。牛もちようどこの通り。そういたしますとこういうような経済事情において、多数人間の食えない畜産、たくさんつくつて損する畜産関係はどういう形で打開して行かれるか。ここがはつきりしないところに日本畜産の行き詰まりがあるのではなかろうかと私は思うんです。その一つの例として、人間の食糧に例をとります。悪くなつたときには、池田さんは、貧乏は麦を食え、金持ちは白い飯を食え、こういつたでしよう。それと同じように食糧の内容を落して非常に悪い原始食を押しつけた。ところが町では一体何ですか。このくらい畜産事情が逼迫して、飼料がないために農民は畜産を減らしておるにもかかわらず、混合飼料ということで、農民をごまかし飼料の中にどろをまぜたり草をまぜたりとて飼料の値をつり上げておるわけです。一度買いに行つてごらんなさい。混合飼料でないと売らない。畜産のための飼料でなく金のための飼料だ。この混合飼料をやつておるところは、少し大きな資力のあるところにやらせておる。こういう形において畜産が日本において隆盛になるためには農業の有畜化が日本の農業問題の中核になるだろうと思うんですが、それがなるためには、飼料を牛や豚やあるいは馬に渡すのをやめて、もつと生の形で中間搾取を抜いて入るようにしてもらうことができないか。これに対して大英断を振つてもらうことができないか。こういう点を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/63
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064・長谷川清
○長谷川説明員 配給飼料については、終戦後特に飼料事情が窮迫するにつれまして、その内容にいかがはしいものが、あるいは御指摘のようにあつたかと考えます。しかしこれらにつきましても、漸次その内容は改善されておると考えまするし、またわれわれといたしましても改善さするように指導いたしたいと考えておるのでありますが、先ほど来申し上げます特に低質小麦等の放出につきましては、それからの点をも考えまして、直接実需者へ原麦のまま行き渡るものも相当数量あるように配給をいたしたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/64
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065・横田甚太郎
○横田委員 畜産局長と農林委員会とは今のところまだ腐れ縁がないので、今日はあつさり言つております。二十六年十一月九日の日本経済新聞によりますと、今度農林省は、政府の所有しておるカナダの五号小麦を二万二千トン飼料用にまわされた。局長は馬や牛の番をしておられるので、食糧の点がまだおわかりにならないのであつたら、委員長の方から資料として食糧庁に要求しておいてもらいたいのですが、これは大体カナダから買うたときは飼料用として買つたのか、人聞用としてお買いになつたのかということを知りた。そうして値段は幾らかということを聞きたい。
次に、十二月中にふすまを五千トン輸入すると書かれておるが、この五千トンはどこからお買いになるか。中共やソビエトを自由党はきらいであろうが、共産党は好きなのです。なぜかというと、アメリカやカナダから買うと無茶に高い、中共から買うと安いのです。私たち責任をもつて言えることは、日本の講和がこんなゆがんだ押し付けられた形においてなされ、アメリカの雇い兵的な性格の日本にされたけれども、中共といえどもソビエトといえども、今の形のままにおいても通商は望んでおるのです。ただこの場合問題になるのは、日本から出す物をはつきりしてくれというのです。ソ連から木材のようないい物をとつておきながら、日本から歯みがき粉や歯ブラシしか出ぬのでは困る、着られもしないパンツやシャツでは困るというのです。向うも大国である。日本も大国と言いたいところでしようが、自由党がアメリカの子分にしてしまつた。こういうところにおいて畜産局もひとつ安いところから買うてもらいたい。共産党のいうのは思想を中心として言うておるのではないのであつて、中共とソビエトの場合には、アメリカがどんなにじやましても中ソの飼料は安いのであつて、それを豚や馬に食わせれば、牛も馬も豚も太る。鶏も卵を生む、同じ効果のある飼料である。この点をお考えになつて今度、お買いになる五千トンのふすま、それから後にお買いになるところの飼料は、何国を目標に、何を基準にして買われるかということをお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/65
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066・長谷川清
○長谷川説明員 輸入の低質小麦は、最初から飼料用として配給する目的で輸入したのであります。輸入価格はいまちよつとはつきりしておりませんが、今度放出いたします価格は、百キロ当り裸で二千九百四十一円であります。今後輸入をいたしたいと考えておりますふすまは香港から買いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/66
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067・横田甚太郎
○横田委員 香港から買われる場合に、英国商人が中に入るのですか。ドルとかポンドの親分、中間搾取が中に入るのだつたらば日本が損だ。あまり米英資本の中間搾取のないように、生に中ソより買う努力をしてもらいたい。日本という国は、ドルやポンドを見る前に中国の金を見た民族なのですから、その点はつきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/67
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068・遠藤三郎
○遠藤委員 飼料の問題が大分論議されておつたわけでありますが、最近の飼料の窮迫の事情にかんがみて、政府は当農林委員会の動向をよく察知され今お渡しをいただきましたような緊急対策を急遽とられたことに対しては、私どもまことに敬意を表する次第であります。ただこの問題を通して特に考えなければならぬと思いますことは、第九国会におきましてもこの問題が非常にやかましく論議され、第七国会においても第八国会においてもしばしばこの問題が出て、急場をしのぐ緊急対策はその都度講ぜられて来たのでありますけれども、根本対策は一つもできておらない。今日におきましては、畜産の方はどんどん進んで参りまして、飼料の需要はますますふえるばかりでありますけれども、それに対する供給の根本策が立つておらないために、いつまでたつても継ぎはぎの緊急対策のみをやつておるような形になつておるのであります。これでは根本的な解決ができないのではないか。しかも農村の方では、畜産に対する要望が非常に熾烈でありまして、有畜農業をやつて行かなければ、この段階の農業に対処することができないということを農民はひとしく考えておつて 一生懸命で畜産に精進をしておるのであります。ところが政府としての飼料の根本対策がないものですから、いつでも農民は飼料高で困り、しかも畜産物はなかなか上つて行かないというようなことで、はさみ撃ちになつて、畜産経済は破綻に瀕しようとしている。畜産の増殖を大いに奨励することはまことにけつこうでありますけれども、それに遅れないように、むしろそれも先に飼料の根本対策を講じて行かなければ、これは政府としてまことに手抜かりであると私どもは思います。そこで私は、この緊急策を講じた機会に、根本策をどうしても講じていただかなければ将来農民が安心ができないので、非常によい機会でありますから、この窮迫の状況に懲りて、将来永久に畜産経済が安定するように、飼料の増産の根本策を講じていただきたい。飼料の輸入についても、遠い先を見通して輸入の大きな方策を立てることがよろしいと思います。それと同時に、国内におきましても飼料の増産、特に自給飼料を徹底的に増産して、外国飼料の影響を裸で受けないような形、しかも外国の相場によつて日本の畜産がくわえて振られるような結果にならないように、国内における自給飼料の徹底的な増産をやつていただきたい。これがための政府の相当大きな負担は、これまたやむを得ないと思います。どうか勇敢に、すみやかに政府はこの問題に取組んで、飼料の根本的な増産対策を立てていただきたい。このことを特にお願いするわけであります。その問題について今政府はどういうお考えを持つておられるか、もし案がありましたならば、ここでお示しいただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/68
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069・長谷川清
○長谷川説明員 ただいまのお話はまことにごもつともであります。私たちも、ぜひこの機会に飼料の根本的な対策を考えたいというふうに思うのであります。それには何といたしましても、まず自給飼料の増産をはかることが筋道ではないかというふうに考えまして、明年度の予算にもあるいは牧野の改良、あるいは原種圃、採種圃の増殖というような方面の予算を要求しておるのでありますが、さらに自給飼料の積極的な増産をはかるように努力を続けたいというふうに考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/69
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070・千賀康治
○千賀委員長 次会は公報をもつて申し上げることとして、本日はこれで散会いたします。
午後零時五十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204988X00719511110/70
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