1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十月二十九日(月曜日)
午後二時四分開会
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委員の異動
十月二十九日委員高田寛君辞任につ
き、その補欠として早川愼一君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 山縣 勝見君
理事
岡田 信次君
前田 穰君
委員
石原幹市郎君
仁田 竹一君
内村 清次君
小酒井義男君
高木 正夫君
早川 愼一君
村上 義一君
委員外議員
油井賢太郎君
国務大臣
運 輸 大 臣 山崎 猛君
政府委員
運輸政務次官 關谷 勝利君
運輸省鉄道監督
局長 足羽 則之君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長 石井 昭正君
事務局側
常任委員会専門
員 古谷 善亮君
常任委員会専門
員 岡本 忠雄君
説明員
日本国有鉄道総
裁 長崎惣之助君
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本日の会議に付した事件
○国有鉄道運賃法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 只今より運輸委員会を開会いたします。
国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。先ず衆議院における本法案の審議の経過を専門員から御説明をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/1
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002・古谷善亮
○専門員(古谷善亮君) 衆議院におきましては、十月の二十七日に国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を修正議決いたしました。修正の要点は、航路運賃のうち、旅客運賃表を改正いたしましたのと、別表二の表題に第六條とありますのを、正確に第六條第一項といたしました点であります。航路運賃の改正につきましては、旅客運賃が一般に二割五分引上げということになつておりますので、その原則を貫きまして、二割五分の運賃を盛りました点が改正の要点になつております。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/2
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003・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 本法案に対して御質疑のおありのかたは御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/3
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004・内村清次
○内村清次君 私はこの法案の内容についてではないのでございますが、実はこの法案を審議いたしまする過程におきまして、私の要求いたしました資料が実は一昨日参つたような次第ですが、勿論この案に相当大きな影響を持ちます問題でありまするからして、その際におきましても、私は十分なる説明を附けて要求資料の提出を願つたような次第でありまするが、この資料を受取つて見ますると、三つの問題について誠に私といたしましては不満足な資料の提出がなされておるのであります。
それは第一点は給与の問題で、国会の調停案が御承知のごとく四月に当局及び組合のほうにはつきりと明示されておるのでありまするが、その後において現在の国鉄職員の給与別、即ち級号の問題、これに対して当局においては当然これは相当今まで組合と折衝の結果、又ベースアップ後におけるところの給与を公平にするために、今までの不満のあつた個所は相当修正をして、そうして号俸の改正の原案がなされつつあると私は思つておつたわけであります。ところがこれも私たちも相当必要がありまするからして、この提出を求めたのでありまするが、出て来たものはさつぱり私の要求通りではない、ただ従来の級号がそのまま貼つて出て来ておるというような状態でありまして、誠に不満足であります。
それからこの国鉄の主査以上の現数と、それから又それが全員に対してどの程度の職員の……結局これは上級の職員ということになるのでありまするが、そういう人たちが今おられるかどうかということをも、今後の問題といたしまして、人員の合理的な問題から解決をする上についての参考にしようとしておつたのでありまするが、この答えといたしましては、主査という言葉の意味が明確でないと、こういうような御返事であります。主査というのは、これは部外関係におきましては、相当国鉄の今回特異の名称というものがやはりまだ不徹底な場合がありまして、名称自体については私は相当今後国鉄総裁においても考慮してもらいたい、かように思つておるのでありまするが、主査というものはつきりその職名の中にはあるのであつて、まあ昔の職名で言えば大体係長級の人だ、これをその答えのほうでは高等官、駅長のごときものではなかろうかというような推測の下にただ簡単なそれだけの返事をしておる。これは誠に私は監督官庁といたしまして、これは不見識なことではなかろうかと思うのであります。高等官、駅長ばかりの問題ではなくて、いわゆる管理関係におられるところの係長以上と、それからこの公社の総裁までの数字を私は要求したのでありますが、それが一つも書いてない。
三の問題は、この国鉄の今次整理人員の男女別の整理別の人員表を作つてもらいたい、これを要求しておつたのですが、その答えは、整理人員が示されておるのみであつて、整理の内容に対しては、今後組合と話合いの結果決定せられるものである、こういう簡単な資料の提出であります。これは資料になつておりません。これはこの前にも私ははつきり言つておりましたように、原案はやはり国鉄の当局が作るのであるからして、どういうような原案が考えられてあるか、勿論これは組合と交渉の上において決定するものでありまするが、その原案が一体どのように考えておるか、ただ答弁では、減員は一人もないのだ、或いは長期欠勤の人か、或いは希望退職の人か、それだけで今回は二万二千の人たちは埋めてしまうのだというような含みの答弁がなされておりましたのですが、それではどうも自分たちは納得が行かんからして、そういう原案を示してもらいたいというようなことを要求したのですが、かくのごとくこういうような私は委員会に対する態度ではいけない、単に私個人といたしましたならば、それでもよろしいかも知れませんが、併しいやしくもこういう重要な法案を審議する問題といたしまして、又今後のいろいろ定員の問題、或いは又機構の合理化というような問題に対しましても、私たちは相当関心を持つて、そうして国鉄の企業の円滑化を考えて働いておる者といたしましては、誠に不満足な、而も何と申しますか、軽視した態度であろうと私は思いまして、誠に残念に存じます。この点一言私は申し加えておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/4
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005・石井昭正
○政府委員(石井昭正君) 只今の内村委員のお叱り誠に御尤もでございます。私ども御要求の資料を作成いたすように関係の者に申し伝えたのでありまするが、非常に時日が切迫しておりましたためか、手違いでさようなものを差上げて、大変恐縮に存じます。早速今後注意いたしまして、今後そういうことのないようにいたします。又更に精細な表を作つて、可及的速かにお手許に届くようにいたしたいと思います。どうぞ悪しからず御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/5
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006・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 他に御発言がないようでありますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/6
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007・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 只今油井君より、委員外議員として発言の許可を求められましたが、これを許可することに御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/7
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008・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 御異議ないと認めます。それでは油井君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/8
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009・油井賢太郎
○委員外議員(油井賢太郎君) 私のほうは民主党といたしまして、只今前之園議員が公用で九州旅行に出ておりまして、委員の差し変えの手続が遅れましたので、只今各会派に交渉して、特に私の出席を承認してもらうことになつております。それで二、三質問することをお許し願いたいと思います。
第一点は、今回の改正で以て拝見しまするというと、最初国有鉄道では三割五分値上げということを言われておつたのですが、政府原案によると、二割五分の三割というふうに、旅客、貨物の運賃が最初の原案より低く定められております。こういうふうに大分低く定められましたが、今回決定いたしまして、すぐ又これを改正しなくちやならないようなのでは、国民としても不安の点があるのではないかと思われるのであります。又国有鉄道自体としての経営の方法についても十分でないようなことになれば、これ又考慮する点があると思う。これについて今回の改正で以て果して十分にやつて行けるのか、或いは更に又改正をすることが必要になるということも考えられるのか、この点一応明確にしておいて頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/9
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010・山崎猛
○国務大臣(山崎猛君) 御尤ものお尋ねであると考えます。当初の国有鉄道の計算によつては三割五分、三割五分ということであつたのでありますが、政府といたしましては運賃の値上げということは国民の経済生活に直接は勿論のこと、間接にも深い影響のあるということを常に考慮いたしております関係から、できるだけ一般国民大衆の負担を軽くして、そうして国民生活のみならず、経済産業面における影響も少なからしめるということに十分考慮を払い、努力をいたした次第なのであります。その結果公聴会の意見にも徴し、政府といたしましては御指摘のように大体二割五分というところに裁定をいたしたのであります。国有鉄道といたしましては、勿論当初の三割五分、三割五分ということによつて現在の打開をしたいということは勿論であつたのでありますけれども、輿論すでにさようであり、政府も又できるだけ運賃引上げを最低限度にとどめ、国民生活に影響を少なからしめようという趣意に国有鉄道も十分納得をしまして、それで退いて経営の上における合理化、節約、更に稼ぎ出すというようなことによつて、三割五分の値上げをしてなし得る点には若干到達し得ざる嫌いもあるのでありますけれども、一応この戦後の物価高、更にそれに加えての朝鮮事変等による臨時的物価高、こういうことに追いつめられた今年度の補正予算ということにいたしたような次第であります。従いましてこの運賃は、運賃を上げようと思つて上げたのでなくして、そういう経済界の情勢に応じて経営上止むを得ず運賃の引上げをせざるを得ないような窮地に追込まれてのことでありますので、政府としましても国有鉄道自体としましても、止むに止まれざる最低限度の計数をとり出しまして、そうして国会の御審議にかけるようなことでここに参つたのであります。勿論後から後からと追い打ちに運賃の引上げをするというようなことは非常にまずい話である、御指摘の通りであると考えます。併し今申上げたような事情でこの度の三割、二割五分に相成つたのであります。今後政府においても全面的に健全財政を推し進めて、物価の値上りを抑えてそうして実質賃金にも悪影響のないように、いわゆるインフレの高進を抑える政策に全面的に出ておる次第なのでありまして、それらの政策と相待つて物価を低く抑える、運賃、賃金等に影響を及ぼさないように、産業コストに影響を及ぼさないように努力をする線で進んでおります。恐らくそう近い将来に重ねてということには相成るまいかと考えております。勿論これは客観情勢に支配されるものでありますから、絶対にさようなことなしと断言することは乱暴過ぎると考えますけれども、運賃を上げることは右に申すようなわけで、事柄の重大なことを考慮しておる次第でありますから、できるだけこれを抑えて行くことに努めたい。こう考えておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/10
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011・油井賢太郎
○委員外議員(油井賢太郎君) 続いてお伺いしたいのですが、政府のほうでは運賃の値上げは、結局物価に対する影響も相当大きいということを強くお考えになつておられることはよくわかるのです。併し現在国内における滞貨というものがやはり二百万トン近くもあるという情勢が余り改善されておらないという状況になつております。結局そういうのが影響して物価の方面におけるいわゆる高騰というものに拍車をかけるということも考えられますが、今度の値上りで以てこの滞貨の一掃というようなことは、お図りになれるのですか、その点も明確にしておいて頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/11
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012・山崎猛
○国務大臣(山崎猛君) 御指摘のように経済は循環でありますから、いずれが因となりいずれが果となるか、論の分れるところであります。併し現在国鉄が赤字で動かなくなるということは、いろんな面で行き詰りを生ずるのでありますので、前に申上げましたように、最低限度の十分に考慮をしつつ、恐る恐る提案いたしたものが三割、二割五分というような結果と相成つた次第であります。ところで現在の滞貨がこの夏の頃は二百万トン、夏枯れ時に百五十万トン、秋口に再び農産物等の出廻り、或いは北海道方面の気節的荷物の出廻りに再会して、又再び夏前のような滞貨の情勢が駅頭に見られるということは、誠に困つたことだと苦心焦慮いたしておるような次第であります。滞貨の一掃は何と言つても先ず以て貨車の新造でなければならず、列車キロの増加でなければならず、運輸に必要なる設備の整備でなければならないわけであります。貨車の面におきましては、今年においては五千七百両を新造する計画になつておりますが、現在はすでにその半ばが活動いたしておるような次第であります。単に車を増設、増強したばかりでなしに、その車の改善率を挙げて、そうして車の働き得る能率を上昇せしめるということに更に又力を注いでおるような次第であります。列車キロのごときは、今年はテン%前年に比して引上げるというようなところまで参つておるようなわけでありまして、無論一万両、一万五千両と新らしい貨車を作ればこれに越したことはないのでありますけれども、財政と睨合せつつ五千七百両を以てこれを十分に能率的活動をなし、これに関連したる必要な施設等も政府としてできるだけの最高能率において滞貨の一掃に邁進するような計画でおる次第であります。今日国有鉄道の上に蔽いかぶさつておる難事業は、十年来使い尽くしたあらゆる施設の酷使したままになつておるものを復旧することと同時に、滞貨の一掃ということによつて折角復興しつつある産業生産の出鼻をくじかないようにしたいと全力を挙げておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/12
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013・油井賢太郎
○委員外議員(油井賢太郎君) これは或いは皆さんからお尋ねがあつたかもしれませんが、十月一ぱいまでの赤字というのは、現在出ている赤字はどのくらいなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/13
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014・石井昭正
○政府委員(石井昭正君) 只今お尋ねの十月までの赤字ということでございまするが、これは毎月々々仕切つて計算いたしておりませんので、はつきりそういうわけには計算はできないかと思うのでありますが、お尋ねの趣旨に合うかどうか存じませんが、結局現在の運賃で進んで行つたら幾らぐらい赤字が出るかということに関連してお答え申上げますと、約二百三億ということに相成るのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/14
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015・油井賢太郎
○委員外議員(油井賢太郎君) 只今の話ですと、明年三月まで約二百三億という赤字ですが、この赤字のいわゆる補充と申しますか、それの処理というのはどういうふうにしてなされるのですか、値上げによつてその赤字が、現在十月一ぱいまでの赤字というものはだんだん補充されて行つておるのか、それとも二百三億というものは四月以降りおいて又増大して行く可能性があるのかどうか、或いは増大するとすればその処置はどうするか、こういう点についてお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/15
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016・石井昭正
○政府委員(石井昭正君) 値上げとなります、つまり経費が増加となります要素は物価騰貴、或いは今後考えられますベース改訂、或いは輸送量増に伴う経費等がこれが支出増の要素でございます。それに対しまして運輸収入の増加、運輸量のいわゆる自然増収とでも申しますか、運輸量の増加に伴う増収、或いはまあ物価騰貴の影響でございますが、雑収入の増加というようなものがございますが、この差が二百三億となるわけでございます。これが本年度の前の予算でございます。それに対しましては今回お願いいたしました運賃値上げを実施させて頂きますれば、これで収支が見合うということになるわけでございます。従いまして運輸収入の増加が本年度分として約二百億あるわけでございます。そのほかに今度は明年度以降でございますが、明年度以降は現在の運賃のままで参りますと、大体四百三十三億程度の赤字になるわけでございます。只今申上げましたような支出増と収入増とを引きまして、差引き四百三十三億、これは一年度一ぱいの運賃値上げの増収に見合うと、大体こういう考え方を持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/16
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017・油井賢太郎
○委員外議員(油井賢太郎君) どうも今のははつきりしないのですが、今度の値上げで以て今年度分の赤字も全部補充でき、来年度分も予定の損失、値上げしなければできる損失というものをカバーできると、こういう意味なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/17
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018・石井昭正
○政府委員(石井昭正君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/18
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019・油井賢太郎
○委員外議員(油井賢太郎君) それではなおお尋ねしますが、三割五分引上げなくてはならないという最初の計画が、一旦輿論に従つて二割五分、三割に減らしてもそういうことは可能だとすれば、初めから三割五分引上げということを出されたというのは何となく腑に落ちないのですか、何か新らしく計画をされたようなものを削減するとか、何かそういうふうなこともあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/19
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020・石井昭正
○政府委員(石井昭正君) この点は誠に御不審御尤もと思うのでありまするが、国鉄の申請に別に水増しがあつたわけではないのでありまするが、これは国鉄の申請に対しましては、丁度八月下旬に運輸省に出て参つたのであります。当時国鉄といたしましては、六月の物価を基準に、物価騰貴を算定いたしたわけでございます。その後運輸省がこれを検討いたしましたときにおきましては、多少物によりましては下り気味或いは横這い気味で、市場建値が下つておるようなものもあるのであります。そういう点も仔細に検討いたしました結果、物価騰貴において若干国鉄の見込みより少い程度でやれるのじやないか、勿論一面ほかに石炭のような上つたものもございますが、そういうものは、上つたものは上つたものといたしまして削減されるといたしましても、若干約二十億程度はそれで少くて済むのじやないか、これは丁度時間的の経過に伴つて発生した見通しの相違でございます。
それからいま一つは運輸収入の増加でございまするが、運輸収入の増加はこれは国鉄はやはり六月末の実績に基いて考えたのでございまするが、丁度七月、八月の実績が私どもは検討いたします際にわかつておりました。それによりますと、例年の普通の運輸量の波動指数で参りますと相当下るはずの七月、八月、或いは旅客は八月末が強調でございますが、貨物は下るというような傾向のところも非常に輸送量が張つておりまして、ここに相当予想外の増収か見込まれますので、その収入増を見込んで参つたために、一方の経費の節約、収入増と両方の要素が作用いたしまして、大体そういうような要素の両方が作用いたしまして、大体約百億程度国鉄の申請に対する経費の節減が結果としてできる。赤字は百億少く食い止められるということは経費の節減が百億ではございません。増収が相当、四十億ばかり見込まれますから、結局差引して百億節約ができる、こういう計算になつたわけであります。決して国鉄の申請が水増ししてあつたというわけではございませんが、時日の経過に従いましてそういう訂正をして、できるだけ値上率を低位に食止めることができたというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/20
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021・油井賢太郎
○委員外議員(油井賢太郎君) 六月の物価の算定によつてこの運賃値上を計つたと申しますが、六月と今日ではこれはもう世評一般でも十分おわかりの通り、物価は私は二割見当上つておると思います。そういうことから割出して、私が最初大臣に懸念したことを申上げたが、更に改正するというような必要が起らないかどうかという点に関連するのですが、ただこの際簡単に大臣はああおつしやつたように、その値上げで以て間に合うかどうかといつたようなことが果して物価の値上りと共に算定して行きましたときに、国鉄当局がそれで自信持てるかどうかという点なんです。これは当局のほうでもう少し詳細にその点についての意を聞かして頂きたい。それは要するに我々は鉄道を利用するときにやはりサービスということを要求するというか、要望しておるのです。そういう方面を落されるとか、或いは滞貨が一向減らないとか、スピードが落ちて来るといつたようなことになつたんじや何にもならないということになるのですが、そういう点十分確信おありになるかどうかという点をもう一度お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/21
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022・長崎惣之助
○説明員(長崎惣之助君) 只今の御心配誠に御尤もでございます。私といたしましては、いろいろの情勢を勘案し、徒らにただ運賃の値上げというだけに頼るべきものでもございませんし、物価の趨勢はこれはなかなかにわかに想像を許さん問題でございますけれども、併し一応この辺で物価が今は上つておるかも知れませんが、又下るかも知れません。これらの問題になりますとなかなか大変なんですが、一応この辺で物価を見合いといたしまして、できるだけ今後におきましても経費の節約、労働生産能率と申しますか、そういうものの向上等も図り、今日におきましても又貨車の運用効率でありますとか、或いは汽車の積み下し等の点におきまして、戦前よりももう少し上げ得る余地もあるやにも私は考える次第であります。それらいろいろ細かい点まで一々拾いまして、この予算で以て乗切つて行きたいと、又行くという決心でやるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/22
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023・油井賢太郎
○委員外議員(油井賢太郎君) それからもう一点承わつておきたいのは、この前の八割値上げのときは国鉄従業員の内部で以て非常な反対があつたのですね。ところが今回はそういつたような声は一つも聞かれないのですが、国鉄従業員としての意見も今度の値上げに対してはこれで十分だというふうに納得しておるのか、或いはまだ値上げということは感心しないというようなことになつておるのか、その点はどういうふうになつておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/23
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024・長崎惣之助
○説明員(長崎惣之助君) この運賃値上げの内容につきまして、別段正式に労働組合に対して交渉するとか何とかということは私はなかつたろうと存じます。これは私就任前にいろいろ聞かなかつたのでありますから、よく存じませんが、私はそういうことはなかつたろうと存じます。それで組合がなぜいろいろなことを言わないのかということ、これはどうも私はお答えの限りではございませんので何ですが、まあ私就任以来、大阪、名古屋、その他本庁におきましても、労働組合の諸君にお目にかかつておりますが、併しこの運賃値上の問題についてとやこう言うような意見を私に申入れたこともなし、又私自身も聞いて見ようとは思いませんが、何か問題があり、考えがあれば、そのときにすべて率直に話をしようということになつておつたのでありますから、私のほうには何も申入れもなく、意見もなかつたように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/24
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025・油井賢太郎
○委員外議員(油井賢太郎君) その疑問なしというのは何ですか、三割五分値上ということに対しても初めから意見も何もなかつたのですか。それから今度こういうふうに二割五分、三割というふうに下つたことに対しても意見が、何も申入れがなかつたのですか、これを承わつておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/25
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026・長崎惣之助
○説明員(長崎惣之助君) 三割五分値上当時は今申上げましたように私は就任前でございますから、つまびらかにいたしませんが、別になかつたろうと思います。今度の三割、二割五分になつてからも別段私のところには何も申入れがございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/26
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027・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) ほかに御発言もないようでございますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/27
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028・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/28
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029・岡田信次
○岡田信次君 私は自由党を代表いたしまして、本案に賛成いたします。朝鮮事変以来、物価並びに諸料金が相次いで値上げをしておる際に、我が国最大の企業たる国有鉄道においても運賃値上の止むなきに至つたことは極めて遺憾に存ずるのでございます。併し一方国有鉄道経営上必要欠くべからざる銑鉄或いは鋼材、木材、セメント、その他の所要資材の騰貴が著しいものがございますし、又従業員の待遇改善も必要欠くべからざるものであると考えます。従いまして、鉄道の使命たる安全、迅速、確実なる輸送を確保するためにも今回程度の値上げはけだし止むを得ざるものであると考えるわけでございます。そこで本案に賛成いたすのでございまするが、この機会に次のことを強く要望いたしておきたいのであります。その一は、国鉄が独占事業であるということに鑑みまして、その経営合理化を更に徹底すること。二番目は、国鉄輸送力の増強、サービスの改善に特段の考慮を払い、特に貨物輸送の迅速、円滑を期すること、並びにローカル輸送の改善を期すること。三番目に、貨物運賃の値上げによる負担の均衡を考慮いたしまして、可及的速かに貨物等級の調整を行うこと。四番目に、貨物等級の調整実施までの応急措置としまして、割引運賃制、最低運賃制の運用に全力をもたせること。この四つを強く要望いたしまして、私は本案に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/29
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030・内村清次
○内村清次君 私は、今回政府の提出せられました国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案、即ち運賃値上法案に対しまして、日本社会党は反対をするものであります。
その理由の第一点は、自由党政府の基本政策である資本主義自由経済政策の当然なる帰結から来る国鉄経営の破綻と、公共性の低下であります。国有鉄道は一昨年昭和二十四年六月公共企業体に移行せられまして、経営の独立採算制の採用と、政治、経済、文化の動脈として日本の復興に重大なる要素を持つ企業としまして、国民への公共福祉の性格を併せ実行して、国民をして広くこれを利用せしめ、社会性を遺憾なく発揮せしめて窮乏の生活環境にある多くの者も一縷の明るい生活部面をみずから作り、知識の向上、要務の速達、国民平等の福祉の理念を遂行することこそ国有鉄道に課せられました重要なる使命として出発したのであります。然るに吉田内閣の無計画なる自由放任政策は、復興途上にある経済政策に遺憾なく露呈せられまして、弱肉強食、資本蓄積の名の下に産業は大資本に漸次吸収せられ、大資本又漸次横暴性を発揮いたしまして、合法及び非合法の下に特権を利用してその経費の赤字を国民生活に転嫁し、これに重圧を加えておる実情は誠に悲しむべき事態と言わねばなりません。
国鉄二十六年度当初予算は千三百九十一億四千八百万円余でありまするが、今回の補正予算によりまして約四百一億余の増額を受け、千七百九十億余の厖大予算となりました。その主原因は物件費の増額によるものでありまして、その原因は朝鮮動乱の影響による物価の上昇であります。即ち国鉄予算白書によりますと、当初予算編成後の物件費の上昇は資材面におきましても、六月においてすでに予算編成当時の価格に比して鋼材が一二〇%、銑鉄が一九〇%、枕木が一五〇%、セメントが七〇%、銅が一〇〇%、木材が一二〇%、石炭が上半期分が一六%、下半期予想が三九%の値上りを示すに至つているのであります。このような物価の暴騰は一面日本経済の弱小、資金、資材の不足、産業設備資材の高騰から来る必然性もありましようが、併し由つて来る主原因は政府の方針でありまする外航船舶の不足しておる日本の貿易態勢におきまして、アメリカ貿易に依存し、資材を遠く求め、高価な運賃を支払い、国際価格に無理に皺寄せしようとする反動化と、国内的には独占資本の飽くなき横暴を許す吉田内閣の失政の結果と断ぜざるを得ないのであります。国鉄がこの渦中に捲き込まれまして、政府の施策に悩みながらも止むなく赤字補填の理由によつて運賃値上に追込まれることは、国民の大多数といたしまして迷惑千万と言わねばなりません。
理由の第二点は国鉄施設の老朽化と政府の助成政策の欠如であります。国有鉄道は戦前戦後背負い切れないほどの輸送を果して来ました。特に戦爆、戦災のために鉄道施設は荒廃し、その約三分の一は駅舎、工場等の建物や線路、橋梁、保安設備等無残な被害を受けて、その復旧に巨額の資金、資材、労力等を要することは言うまでもありません。然るに一方国民の要請による日本復興等の大使命の下に今日まで営営として努力されました国鉄当局及び従事員のかたがたの並々ならぬ苦労には、我々も国民と共に感謝せねばならぬと思うのであります。未だ従事員は低賃金の下に働いて苦しい職場環境で、能率の挙らぬ、職場施設の下で、筋肉労働の強化を以て辛うじて国民の要請に応えて漸く明るいサービス面の施策が現われて来たこの段階の現状は、政府はもとより私どももこれを率直に認識せなくてはならないと思うのであります。参議院はすでに二回の決議をいたしました。それは貨物輸送の増強の決議であります。日本経済の漸次的復興に伴ないまして、一億三千万トンの貨物の増送要請や、朝鮮動乱後及び将来の展望といたしまして、この輸送計画から一億五千万トン以上の増送、即ち旅客輸送につきましては六・九%、貨物輸送につきましては一五・六%の増加見込に対応する客貨車の新造がなされなければなりません。然るに政府は二十五年度におきまして僅かに二十億の貸付をいたし、四千六百三十両の貨車を新造する計画であつたのでありまするが、車両の値上りその他のために二千五百七十二両しか新造できず、一方どうしても廃車せねばならない貨車が二千四百七両でありますので、差引百六十五両しか増車とならず、本年度に入りまするや駅頭滞貨は二百万トンにも増加いたし、国鉄は全能力を傾倒しても輸送要請には応えられず、輸送の混乱を来たして関係者から熾烈な陳情を受けたことは生々しい事実であります。国鉄は九千両余の貨車新造計画を立てて政府に要請したのでありまするが、その政府が補正予算において認めました額は、僅かに損益勘定に五十億の資金運用部資金の貸付を許すという冷酷な態度であります。この少額で国民の要請に応えることができるでありましようか。貨物におきましてかくの通り、旅客輸送におきましてもあの国電の混雑をどう見るでありましようか。ローカル線の列車数の少いこと、客車の損傷の多いこと、又線路、橋梁の補修等、危険々々と悲惨な事故の主原因を包蔵して動いておるのが現在の国鉄の姿であろうと思うのであります。国民すべて待望の新線の建設、国鉄の電化等、重要な使命が遅遅として達成せられず、徒らに老朽化と共食いに悩む国鉄の苦悩を冷眼視して、資金部借入金の増額も、鉄道債券の発行限度も縮小して国鉄企業の資本的安定も図らず、利用者負担の名の下に運賃値上げをして大衆の利用度を減少し、大衆の生活に過重を与え、国鉄本来の発展を遅らせておるのが吉田内閣と言わねばなりません。
第三の理由は企業の合理化と運賃政策の不合理であります。国鉄機構は昨年八月より改編せられまして、当時賛成せられました議員のかたがたもその後の実績に照らし、責任体制がむしろセクト主義によつて固着し、連絡の不十分から来る事務の煩雑と、現場第一線の機能の十分なる発揮に支障を来たす点を認識せられまして、早急の再改編を要望せられておる実情であります。一方営業、資材、経理部門に対しましては、部内的数次の改善がなされたようでありまするが、未だ部内及び部外に対しましても能率機構は重複され、円滑なる能力の発揮ができずに、事務の簡素化及び時宜に適した増送への途が残されておるように考えるのであります。我々は四段階制によるか、或いは又局の数を増加するか、或いは営業、経理を併合し、資材を増設する等、管理機構を強化して現場第一主義に徹する機構の再改革を要望するものであります。これこそが経費の節約、能率の増進、増送、増収の途であると確信するものであります。
なお今回の運賃改正は貨物等級の是正が並行しておりません。国民生活に重要なる影響を及ぼす復興資材、生活必需品、即ち石炭、木材、石灰石、鉄鉱石、化学製品等々の等級運賃や遠距離逓減や暫定運賃減等が考慮されておらぬ、このようなことでは産業界の混乱を生じてその跳返りはすべて国民大衆の生活に転嫁される危険があると認めざるを得ないのであります。
なお北海道、青森間の航路運賃は修正せられましたが、まだ十分ではないのであります。これら遠距離地帯のなお開発の余地のある地帯は、講和後の狭隘なる日本領土の地理的要件からいたしまして、特別なる考慮を必要とすると認めるものであります。
更に通学、通勤、旅客運賃も、文教政策の助長と社会政策的見地から同等の値上率は高きに失するものであると認めるものであります。
以上総合いたしまするに、今回の国鉄運賃値上は吉田内閣の自由経済政策の犠牲に供せられたものでありまして、物価の自由暴騰に起因し、国鉄の経営は困難になり、従業員は国鉄当局でさえも一万六千余の増員によつて国民要請による輸送部面に就労させねば輸送の責任は果しがたしとまで要望しておりましたこの問題が、逆に二万二千余の整理、首切りを通告して、低賃金に悩む従業員及び家族に対しましては調停案の履行を引延ばし、調停案は運賃値上の財源によらず解決に努力すと言明せられました運輸大臣の責任遂行も明確にならずして、徒らに労働意欲を減退させておることは誠に遺憾至極であると言わねばなりません。速かに政府は前に申述べました物価の調整、一般国家予算よりの繰入れ、資金運用部資金の大幅の貸付、鉄道債券の公募等、政府の熱意ある国鉄資金、基礎への助成政策が強化されて円滑なる輸送体制の整備を促進し、機構の再編成、給与の改善、労務管理の合理化を急速に実行して能率の増進、経費の節約を図り、国鉄本来の使命である輸送の増強をなすなれば、今回の運賃値上も必要なく、公共福祉と独立採算が同時に可能に遂行せられるものであると思うのであります。朝鮮動乱以来政府の施策は物価の上昇に拍車をかけるところの米価の値上、電力料金の値上、ガス料金の値上、バス料金の値上、今又国鉄運賃の値上、郵便、電信料金の値上、更に私鉄運賃の値上等、値上の連続であります。これら独占企業が政府政策の失政である自由経済の尻拭いを次々と国民の十分なる理解も得ず、国民生活に転嫁する横暴なる行き方は、国民を塗炭の苦しみに陥れる誠に悲惨なものであります。政府の責任又重大と申さなければなりません。池田大蔵大臣が明言せられました経済の安定、能率、発展の経済三原則は国民欺瞞の看板として恥さらしとなることを申添えまして、反対の意を表するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/30
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031・前田穰
○前田穰君 私は本法案に賛成をいたすものであります。本法案は朝鮮動乱以来の物価騰貴並びに近く予期せらるる従業員の給与改善等のためにこの国鉄の経営面に生ずる赤字を補填するために提案されたものでありまして、次の理由によりまして本法案はこれ以上の国鉄の荒廃を避けるためには止むを得ざるものと考えるのであります。
本法案の審議の途中に、政府当局はしばしば独立採算制であるが故に赤字は当然運賃で補填すべきだと、こういつた口吻をしばしば洩らされておるのでありまするが、私はその御議論に対しましては大いに疑問を挿んでおるものであります。政府は場合によつて国有鉄道の経営の赤字に対しても補給金を出していいのではないか、かような考えを持つておるものであります。併しながらしばしば国民の論議に上り、又当委員会におきましてもしばしば論ぜられるごとき現在の戦争によつてもたらされたる国鉄の荒廃、サービスの低下、そういつたことを先ず以て政府の繰入れによりまして私は一日も早く戦前の状態、それ以上の状態に戻してもらいたい、かように思いまするが故に、一応公共企業体の根本の理論に帰りまして、恒常的の赤字は経営それ自身の収入においてカバーして行くという原則に立戻つて、今回の値上げを止むを得ず認めたい、かように考えるのであります。
次に衆議院の修正案に対しても同意をいたしたいと思います。この航路の問題は私が質疑のときに繰返してお伺いした問題でありまして、その私の質問と旅客運賃に関しましては、修正案が衆議院から提案されておりまするので、これで私は一応満足したいと思います。併し貨物の点にこの修正案は触れていないのであります。恐らくは当局は貨物は一律に三割値上げ、旅客は鉄道に対しては二割五分、航路に対して五割若しくはそれ以上の差別的の値上げをしているから、まあ旅客運賃に対する修正は尤もだといつたふうにお考えになつているかも知れませんが、併しながら私貨物運賃全般について申上げたときに、全体としての運賃負担力は昭和十一年に比較いたしまして、むしろ下つておつても上つていない、こういうことを言われまするが、併しながら価格の騰貴というものは殆んど全部でこぼこになつておりまして決して一様ではないのであります。だから個々の品目について今日の荷主の負担力が昭和十一年当時と変らないということは言い得ないのであります。いわんや航路におきましては、犠牲的の営業キロが設定されておりまして、等級表の面並びに今度の騰貴率は一般の貨物と同じかも知れませんが、基礎の運賃がすでに数倍になつておるのであります。だから運賃負担力のマージンに達しておるものにつきましては、これは致命的な問題になると思うのであります。その他その節申上げました航路というものは国有鉄道のフイーダーの一つであるといつたような意味もあるわけであります。航路運賃に関しましては後刻私は要望を申述べたいと思うのでありまするが、旅客運賃に対して衆議院が修正し、私が賛成する趣旨と同じ趣旨におきまして、貨物運賃に関しても更に一段の考慮を払われんことを希望したいのであります。
以上申述べました理由によりまして修正案を含めた原案に賛成いたしたいと思うのでありますが、最後に私は二、三の要望を申述べようと思うのであります。その一つは生活に密接な関係を有する鉄道運賃の値上げをするのでありますから、先ず以て経営の内部において合理化と申しますか、或いは能率増進と申しますかをせられることは当然である。国有鉄道におきましても今回七十五億円の経費節減をやることを示しておられるのでありますが、七十五億円というものは当初の経営費の千三百何十億に対しまして六分五厘にしか当つていないのであります。これは相当の節減額と言えば言い得るかも知れませんが、かような生活に密接な関係を有する国有鉄道の運賃を値上げするための節約額としてはそれで結構だ、十分だと申しかねるような気持もするのであります。ただすでに本年度も半ば以上を過ぎておる今日のことでありますから、或いは止むを得ざることかとも考えるのであります。殊にこの七十五億円の中には来年度までずつと持越して行く節約ばかりでない、本年度の特殊の事情に基く節約額が大分含まつているようであります。そうして石炭費と修繕費とに片寄つておる。その他の方面におきましても節約、合理化の余地はあるのではないか、かように考える次第でありまして、来年度以降におきましては一層合理化に力を尽されて、そうして国有鉄道の経営のあらゆる面、従来社会から要望されておりましたいろいろな面に対する改善に邁進せられることを第一に要望いたしたい。
それからその次に貨物等級表の改正は只今他の同僚の議員も要望されたのでありまするが、この前の貨物運賃改正のときから今日までに完成し得なかつたということにつきましては、貨物等級表の複雑なる性質に鑑みまして諒とすべきものはあると思うのでありますが、徒らにこれを遷延せしめることなく、速かにその完成を見られることを強く要望したいと思うのであります。そうして最後に先般来本委員会においても問題になりました今日の状態において不合理を生じておるかと思われまする十数目の品目、並びに只今申上げました青函その他の航路の貨物運賃に対する応急の処置を講ぜられることを要望いたしたいと思うのであります。
以上の理由によりまして、私は本案に賛成いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/31
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032・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 他に御意見もないようでございますが……、油井君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/32
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033・油井賢太郎
○委員外議員(油井賢太郎君) 委員外として民主党の意見を述べさして頂くことをお許し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/33
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034・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 只今油井君から発言がありましたが、前之園委員が九州出張その他の所用のために当委員会に御出席がなかつた関係もあり、この際特に油井議員に対して発言を許したいと思いまするが、御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/34
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035・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 御異議がないようでありますから、油井君に発言を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/35
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036・油井賢太郎
○委員外議員(油井賢太郎君) 只今委員長からお許しを願いまして、有難うございます。
我が国民民主党といたしまして、今回の運賃値上げについての意見を申上げたいと思います。我々は今回の運賃値上げに関して十分検討いたしたのでありますけれども、気持としては成るべく国民の生活に殊に直接響くような値上げということはいたしたくないということでありますけれども、併しながら一面から考えますというと、もうすでに独立採算制をとつておるこの公共企業体の日本国有鉄道が結局赤字の連続ということになりますれば、やはりその結末は国民大衆の貴重な税金で以て賄うというようなことになるのは当然であります。さような点からいたしまして、今回の値上げというものは万止むを得ざるものと認めて我が国民民主党の参議院におきましては、今回の値上げに賛成をいたすものであります。併しながら賛成はいたしますものの、只今同僚議員の皆さんからお話がありました数々の意見も十分に取入れまして、殊に国鉄といたしまして、旅客の方面等におきましてもサービス等を見ますというと、私鉄との競争の個所等におきましては一般に非常に優遇をしておる、非常にサービスを向上させておるというのが見受けられるのであります。然るに独占企業といたしまして、他に競争のないような個所におきましては、殊更に混乱……或いは腐朽化したような客車を以て、我々が見ましても非常な危険のあるような状態のままで放置されておるような個所もたくさんあるのであります。こういう点はやはり国民生活の、広い意味におきまして、徒らに私鉄との競争というようなことにばかり汲々としないで、大きな見地から見て合理化を図つて頂きたいと思うのであります。更に貨物の点等におきましても、貨物の運賃の値上によりまして、いわゆる負担力の均衡というものを十分に考慮して頂きたい。成るべく早く貨物等級の調整というようなことも行なつて国民生活の上に寄与するように努力を願いたいということを強く要望するものであります。
国鉄の輸送力の増強ということは国民に対しましての生活上最も重大であり、殊にインフレが最近進行するという過程におきまして、国鉄が真剣になつて輸送の増強を図るということは、インフレの促進をとめることに大きに役立つと思うのであります。今日のような滞貨が二百万トンにもなんなんとするような状況であつては、これはインフレの阻止ということはむずかしいであろうと思われるのであります。貨車の増設というようなこともここにおいて重大となつて参るのでありますが、運賃改正におきましても、そういう点を是非とも是正を図つて頂きたいと思うのであります。
以上のような点からいたしまして、今回の運賃改正について首脳部ばかりでなく、従業員のかたがたにおいても一致した結束力を以て国民全体の要望に応えるような今後方針をおとりになるように強く要望いたしまして賛成するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/36
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037・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/37
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038・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 御異議がないと認め、これから採決に入ります。
国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに御賛成のかたの挙手を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/38
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039・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 多数でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお本院規則第百四條による本会議における委員長の口頭報告の内容等、爾後の手続に関しましては、慣例によつて委員長に御一任願いたいと思いまするが、御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/39
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040・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 御異議ないと認めます。
次に本案を可とされたかたがたの御署名を例によつてお願いいたします。
多数意見者署名
岡田 信次 前田 穰
石原幹市郎 仁田 竹一
高木 正夫 早川 愼一
村上 義一
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/40
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041・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 速記をとめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/41
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042・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 速記をつけて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/42
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043・岡田信次
○岡田信次君 先般の新聞紙の伝うるところによりますると、建設省を中心といたしまして、東京、神戸間高速度専用自動車道路の建設を計画中でありまして、その建設費の見積がおよそ一千百余億円、二十七年度には数千万円の調査費を出して調査完了の上五カ年計画で工事に着手するということが載つておるのであります。然るに我が国の現状を見ますると、国道一号もまだ幅員も不十分であるし、鋪装も完了しておらない、況んや一般国道、府県道等に至つては運輸大臣も御承知の通り極めて不良な状態にあるのであります。又同じ陸上交通機関である鉄道につきましてもいろいろの設備の拡充、或いは新線建設等が非常に強く要望されておる。それにもかかわらず財源の関係からこれらの実現を見ておらないというのでありますが、こういう際に以上申上げましたような計画が実行に移されようとしておりますることは、今日の日本の状態に適しないのじやないかと、かように考えるわけでございます。かような計画は単に道路の建設という見地からでなく、強く我が国の全体の輸送の観点から判断し検討すべきであろうとかように考えるのでありまするが、これに対しまして、運輸大臣の御所見を承わりたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/43
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044・山崎猛
○国務大臣(山崎猛君) 只今岡田委員より東京神戸間の自動車の道路を新設するという計画が建設省の内部にあるという新聞の報道があつたが、これらに対してどう考えるかというお尋ねであります。実は私も新聞で見ただけでありまして、未だ閣僚の間において或いは閣議の席においてさような問題が取上げられ話題に上つておらない際であるのであります。従つてどういう筋からさようなことが新聞に報道せられたか、殊に建設省の名において計画されたるがごとく報道されたという事情も私には全く承知いたさない事柄であります。併し若しこういうことがあれば、運輸大臣の考えはどうか、所見はどうかというようなお尋ねであつたように考えるのであります。今申上げたようなわけでありますから、さようなはつきりしない問題について意見を述べるのは述べられないと申せば申すようなものでありますが、折角のお尋ねでありますから、率直な意見を申述べて見まするならば、それは勿論如何なるときか将来においてさような計画を立て、さような必要に迫られるというような日本の国情に進歩発展することを望んでやまない一人ではありまするけれども、今日の現状においては道路運輸交通の限られた範囲においては、もう少し岡田委員のおつしやる通りに、その手前になすべきことがまだたくさんあるように考えられるのであります。殊にその経費の点も莫大なものであるのであります。只今運賃値上げの審議中にしばしば御指摘、言及された国有鉄道そのものの輸送力の増強、サービスの改善というような差し迫つた問題もあるのでありますから、若し国費にしてさような余力があるならば、それは何をおいても現存の国有鉄道の力を補充するというほうに向けることが第一でなければならないかと考えるのでありす。私は平常から道路、港湾、鉄道というようなものは三者おのおの関連をして統制のある調整のとれた交通運輸の機関とならなければなるまい、鉄道はこつちを向いて走る、道路は向うを向いて走る、港湾は思い思いに作るというようなことでは全体の経費の能率化ということができないであろうということを考えておるものでありますから、勿論自動車道路を新たに作るというような場合には、その後先を選び、軽重を選択するという場合には、運輸大臣としては一言なかるべからずであると思うのであります。いずれにしてもまだ我々は公式に建設省にさような計画が進みつつありという事実は承知いたしておりませんので、架空のお尋ねに対して架空のお答えをするような結果に相成るわけであると、この点を一言明らかにしておいてお答えに代える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/44
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045・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 他にありませんか。
それでは委員会はこれを以て散会いたします。
午後三時二十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101213830X00719511029/45
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