1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十一月二十八日(水曜
日)
午前十一時三十七分開会
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出席者は左の通り。
委員長 吉田 法晴君
理事
石川 榮一君
杉山 昌作君
千葉 信君
委員
加藤 武徳君
團 伊能君
平井 太郎君
宮田 重文君
小野 哲君
木下 源吾君
森崎 隆君
紅露 みつ君
政府委員
内閣官房副長官 菅野 義丸君
内閣官房副長官 剱木 亨弘君
人事院総裁 淺井 清君
人事院事務総局
給与局長 瀧本 忠男君
大蔵省主計局給
与課長 岸本 晋君
事務局側
常任委員会専門
員 川島 孝彦君
常任委員会専門
員 熊埜御堂定君
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本日の会議に付した事件
○一般職の職員の給与に関する法律の
一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○昭和二十六年度における国家公務員
に対する年末手当の額の特例に関す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○国家公務員等に対する退職手当の臨
時措置に関する法律の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○特別職の職員の給与に関する法律の
一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/0
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001・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) それでは委員会を開会いたします。
昨日に引続いて質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/1
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002・木下源吾
○木下源吾君 政府にちよつとお伺いしますが、長欠者に対する年末手当は前年通り支給してやるというように了承して差支えないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/2
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003・菅野義丸
○政府委員(菅野義丸君) 昨年の通りの取扱にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/3
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004・千葉信
○千葉信君 政府提案の改正案によりますると、第二十三條の六項におきまして「公務員法第八十條第四項の規定の適用については、この法律は、同項に規定する給与準則とみなす。」と、こういう條項がございまするが、從來私ども給与準則はまだ実施の運びに至つておらないという見解で、この時期までの暫定措置として一般職の職員に対する給与法が実施されているという見解に立つておりましたが、今度のこの休職者の給与に関する問題で特にこの法律の適用については給与準則に規定する條項とみなすという、こういう附則が出ておりまするが、これは給与準則にみなしますか、みなしませんかという法律上の問題よりももつと具体的な問題としてはこういう支障が起つて來ないかという懸念が一つあるわけです。それは御承知の通り今度の政府案によりましても第二十三條の第一項によりますると、この休職の期間中これに給与の全額を支給する、こういう條項があるわけでございます。そうして第六項にこの休職者に対する給与の問題については給与準則とみなすという、こういう明文が出て参りますると、二十三條第一項のいわゆる給与というものの中にはこの給与法で制定せられる給与は保証されるかも知れませんけれども、この給与法に制定せられておらない、例えば年末手当であるとか或いは寒冷地給、石炭手当というような給与は休職者には渡らないという條件が生じて参るのですが、これは政府のほうではどういう御見解でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/4
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005・菅野義丸
○政府委員(菅野義丸君) 只今の御質問の点は現国家公務員法の八十條でございますが、(休職の効果)という條文がございまして、その第四項に、「休職者は、職員としての身分を保有するが、職務に從事しない。休職者は、その休職の期間中、給与準則で別段の定をしない限り、何等の給与を受けてはならない。」という條文がございますので、これをこういうことにいたしませんと、給与を休職者にやることができないわけであります。そこで第八十條四項の規定の適用については、というふうな條件をつけまして、これを給与準則とみなす。これを給与準則とするというわけではないのですが、みなさないと、給与はやらないという国家公務員法の規定が適用されるために、かようにいたしたわけでございます。
なお年末手当、石炭手当等につきましては、それぞれの法律に休職者のことがありますので、その方法によつて行きたいと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/5
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006・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) それではほかに質疑ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/6
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007・木下源吾
○木下源吾君 今度これを改正することになれば、切替時のいわゆる給与水準というのはどのくらいになつておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/7
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008・菅野義丸
○政府委員(菅野義丸君) 給与水準という言葉は非常に、いわゆるベースという言葉でございますが、だんだん沿革的に変つ参りまして、いろいろ誤解を招く慮れがございますので、最近の給与の改正に当りましては、ベースとか給与水準という言葉を実は使つておらないわけでありまして、この給与法の第一條にもそういう條項を謳わないことになつております。從いましてこの法律でこういう條件のものに幾ら幾らやれというような理論生計費的な、いわゆるベースという観念は入つておらないわけでございまするが、この改正案の法律を現在の国家公務員の級別の現在員に当てはめて見ますというと、いわゆる基本給の平均月額が一万六十何円かになるわけであります。そういうことは御説明できるのでございまするが、それはこの改正案の俸給表をそれぞれ当てはめた結果でございまして、これは時々刻々変つて來るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/8
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009・木下源吾
○木下源吾君 その時々刻々変つておるから切替時で幾らになるか。およそでもいいんだが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/9
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010・菅野義丸
○政府委員(菅野義丸君) 十月一日の、これは十月一日から適用になるように案ができておりますが、十月一日の切替時におきましては、平均給与一万六十二円と、こういう数字に推定されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/10
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011・木下源吾
○木下源吾君 給与水準の意味が変つて來たと、こう言われるのだが、從來の給与水準、いわゆるベースで行けばどのくらいになるか。切替時の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/11
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012・菅野義丸
○政府委員(菅野義丸君) 從來の給与水準と申しまするか、最近の給与水準というのは、一々平均給を、切替時の平均給をとつておりますので、最近の給与法の改正のときに、平均給何円という、いわゆるベースという言葉に当てはめて見ますると一万六十二円、これで差支えないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/12
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013・木下源吾
○木下源吾君 勿論今おやりになつておるのが、從來人事院の言うところの給与水準じやないのでありますので、從來水準と言われておる……水準と言われておつたのですが、それと今度の政府の、いわゆる給与平均と言いますか、そういうものとの比較を知りたいためにお聞きしておるので、そういうただ一万六十二円というのは、政府の現在考えておる給与平均だと思うのですが、從來の給与水準という、人事院がいわゆる使つておる給与水準とは意味が、内容が違うと、從來の水準にしたならば十月の切替で幾らになるか、この点をお聞きしているので、若しあなたのほうでわからなければ人事院のほうでおわかりだろうと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/13
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014・瀧本忠男
○政府委員(瀧本忠男君) 今のお尋ねの趣旨がちよつとはつきりいたさないのでございますが、(「はつきりしてるよ」と呼ぶ者あり)いや、その意味がはつきりしない点がある。というのは、最初に一人平均幾らだというふうにきめまして、そうしてそれを今度は体系に分けて行くという方法をとつたわけであります。併し最近におきまして人事院が勧告いたしておりまするのは一万一千二百六十三円というような数字を、これを申上げているのではないのであります。飽くまで標準生計費を申上げ、俸給表を申上げている。これを仮にそういう言い方をいたしますると、普通の一般俸給表のほかに特別俸給表もございまするし、いろいろあつて、なかなか一体どうなつているのか、全般の把握が困難でございますから、從いまして若しこういう俸給表を適用したといたしましても、一人平均の額を出してみればどうなるかということを早わかりをするために申上げているのです。そういう意味におきまして申上げているのでございまして、その点につきましては、我々が使つておりまする給与平均という言葉も、それから政府側で使つておりますものも別に食い違わないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/14
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015・木下源吾
○木下源吾君 切替時におけるところのですね、つまり給与総額が幾らで、そのときの人員、総人員は幾ら、これをお聞きすれば私はいいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/15
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016・菅野義丸
○政府委員(菅野義丸君) 現在の行われておりまするところの改正前の給与法によつて推定いたしますると、大体十月一日には本俸、扶養手当、勤務地手当、特殊勤務地手当を併せまして八千五百六十九円という数字になるわけであります。それに今回一人当り千四百九十三円を加えまして一万六十二円という数字になるわけでありまするが、これは一人平均でございますので、総額につきましては大蔵省の政府委員のほうからお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/16
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017・岸本晋
○政府委員(岸本晋君) 只今御質問のございました給与総額がどれほどになつているかという資料を、今持ち合せございませんですが、最近の給与の現況は、大蔵省で調査いたしましたのは四月一日でございまして、そのときに国家公務員の一般職について総体を調べまして、八十九万三千百七名についての平均給が出て参つたわけでございます。これを基礎といたしまして、十月一日までの昇給昇格を織込みまして、およそ十月一日に幾らの数字になるかという推定を下しまして、その上でベース改訂を行うことになるわけであります。人員は只今申上げました八十九万三千百七名でございます。これの給与総額は今資料はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/17
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018・木下源吾
○木下源吾君 私は予算と給与総額の実情を知りたいのです。そうして昨日官房長官にいろいろ年末手当のことでお聞きしたのだけれども、漠然としてわからないので、現在員と、そうしてそれのつまり給与総額というものと、同時に給与平均ですか、あなたがたの言う……それとの比較を知りたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/18
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019・岸本晋
○政府委員(岸本晋君) 予算上の数字につきましては本年度の本予算におきましては、予算定員を基礎といたしまして計上いたしておりまして、その一人当り平均が基本給及び特殊勤務地手当につきましては八千六十六円という数字になつております。その後四月実態調査をいたしました結果、種々な理由はございましたが、八千三百六十六円でございまして、予算上の八千三十三円を若干上廻つております。この点につきましては今回の補正予算におきまして給与改訂とは別個にこの上廻つております部分を、実態が予算を上廻つております、カバーする人件費は別途に計上いたしまして、給与の支給に支障がないようにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/19
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020・木下源吾
○木下源吾君 この四月の定員は一体人員は幾らなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/20
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021・岸本晋
○政府委員(岸本晋君) ちよつと細かい端数を忘れましたが、およそ九十二万でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/21
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022・木下源吾
○木下源吾君 それは多少の小さいのはいいけれども、もつと多いのじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/22
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023・岸本晋
○政府委員(岸本晋君) 一般職につきましては実態調査に現われて参りましたのは八十九万で、実際には九十二万です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/23
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024・木下源吾
○木下源吾君 そうするとここに実際との人員の差が大分ありますね、これはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/24
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025・岸本晋
○政府委員(岸本晋君) 給与実態調査に現われて参りましたのは、そのときの実員でございますし、又その後にいろいろ人間の新陳代謝がございまして、古い人がやめ新らしい人が入るとかいろいろの新陳代謝がございますので、或る程度の欠員は常にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/25
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026・木下源吾
○木下源吾君 今のが約四万ほど欠員になるわけですが、予算は先ほどの給与平均としておけば、欠員の分の予算もあるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/26
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027・岸本晋
○政府委員(岸本晋君) そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/27
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028・木下源吾
○木下源吾君 その予算はどういうように給与予算はなつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/28
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029・岸本晋
○政府委員(岸本晋君) 先ほどちよつと申上げましたのですが、本年度の本予算におきましてはベースに相当する基本給八千六十六円でございます。ところが四月の実態調査では八千三百六十六円でございまして、その差を、財政上の財源におきますその差を埋めますためにその欠員分も廻して使つております。その欠員によつて補えない部分を今回の補正予算によつて別途計上いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/29
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030・木下源吾
○木下源吾君 当初予算のときに昇給昇格がすでにわかつておつた。そういうことがわかつておることになるのですね。実際定員の給与の予算までも食い込まなければ、そういう昇給昇格のものを補えないという理由はどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/30
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031・岸本晋
○政府委員(岸本晋君) 二十六年度予算が決定されしましたのは、昨年の暮に大体大蔵省で編成されまして、その当時の事情といたしましては未確定な、そのとうじ予想していなか残つたいろいろな事情があとから出て参つたわけであります。例えば先般切替えの問題になりました調整号俸の復活でございますとか、療養所職員の待遇改善、或いは本年度におきまして級別ベースを若干変更いたしました。これらの事情は昨年の予算編成当時においては見込まれてなかつた要素でございまして、そういつた事情により昇給分はあらかじめ予算に織り込むことはできなかつたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/31
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032・木下源吾
○木下源吾君 実際定員を定めて実員は四万も減つておるということになれば、それだけの仕事はやはり実際働いておる人たちに過重に行つておるわけです。而もそれらの予算が政府のやり方によつて別のほうに使われるということになるので、勿論調整号俸の場合でもああいう無理なことを法律に〇・五というようなことをやつて、そういうことをしなければならんことになつたのも政府の責任だと思う。そういう場合にはやはりそれだけのものの足らざる事態が起きた、そういう予算は今度あたりでも復活して、そういう予算を補正に組むべきだと私は考えるのですが、そういうことをしないで、そうしてこの欠員の給与額から何するということは私は不合理だと思うのですが、給与のほうではどういうことに考えておりますか。というのは、同時にこれだけの定員でなければできん仕事をこれだけの少い人間でやる。そういうようなことは年末賞与とか、特別手当というようなものに振り向けるべきではないか。こういうふうに考えるのです。ですから、ただないないと言いましても、結論は公務員の勤務に無理な仕事を押しつけて、そうしておいてやるものはやらないということに受取れるわけなんです。ですから、その辺の事情を私は知りたいと思う。当然私はそれらの欠員の分を背負つて、そうして仕事をしておつた者、そういう者に年末賞与として私はやるべきではないかと、こう思うのですが、一体年度を通じて今まで欠員というものの給与、当初に見込んだ給与の額は、欠員分の額は、一体どのくらいになつておるか、こういうことを一つ聞かして頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/32
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033・岸本晋
○政府委員(岸本晋君) 当初予算を編成いたしますときには、欠員がどれくらいあるから、基本給はこれくらいでよいというような編成はいたしていないのでございまして、やはり定員全部が埋まつておるという状態を予想いたしまして、予算を組んでおるわけであります。たまたま欠員が出て参る場合がございますが、その欠員分を食つてほかの給与を増加するというようなことは今までのところは全然いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/33
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034・木下源吾
○木下源吾君 私の今お尋ねしておるのは、欠員の分も同時に全公務員にそれを割当ててやれば、いわゆる給与水準になるのだろうと思う。割当ててやれば……それをやらないで、つまり欠員の分の給与額というものは別のほうに使つてしまつたということに、極端に言えばそう言われるのです。その点を明らかにしたいのです。それが明らかになると、年末の手当などというものは少くもそのくらいの額はやらねばならんというようなことに我々は考えておる。それをお尋ねしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/34
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035・岸本晋
○政府委員(岸本晋君) 仰せの趣旨はよくわかるのでございますが、いずれにいたしましても、これは基本給予算として組んでおりますもので、常に現在おる人たちが給与の規定、昇級の規定等に從いまして、あるべき給与を受け得るような予算額は常に保持して行くという建前で運用いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/35
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036・木下源吾
○木下源吾君 幾らあなたに聞いてもそんなくらいなことでは……。さて今度の補正予算の中に組まれておるのは何ですか、今内閣委員会でやつておる定員法の中に政府が要求しておる減員、それで今度予算を組んでおられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/36
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037・岸本晋
○政府委員(岸本晋君) 補正予算といたしましては一月までは從來の定員でございますが、一月以降につきましては予算上は一応今回整理定員がございますので、その整理定員の半分が落ちるということで組んでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/37
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038・木下源吾
○木下源吾君 そうすると一月までは今まで通り、こういうことになるんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/38
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039・岸本晋
○政府委員(岸本晋君) そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/39
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040・千葉信
○千葉信君 只今木下君が明らかにしようとされました問題は、非常に重大な問題を孕んでおりますので、この点について私はもう少し問題の真相を明らかにする必要があると考えますので、以下少し只今問題になりました点について御質問申上げます。私の御質問申上げたい相手は瀧本給与局長でございます。今の木下君の、一体昔あつた賃金水準の考え方から今度の給与なり今の給与を考えれば、一体幾らになるかという、こういう御質問に対して御答弁は焦点をぼかされて政府のほうで答弁されるような答弁をされましたが、私は人事院の給与局長として、木下君の質問がわからないはずはないと思うのです。これは瀧本さんもはつきり知つておいでのように、二千九百二十円当時の給与べース、それから三千七百九十円当時の給与ベース、このベース体系における給与の考え方というものを、あなたのほうではそつくりそのまま六千三百七円の勧告の中でも採用されたはずなんです。ところが御承知の通り、六千三百七円の勧告を審議する国会の中で、はつきり言うと、これは大蔵省の方針に捲き込まれて、国会が中味は人事院の勧告とすつかり違つた、いわゆる現在行われている平均給与の考え方にすり替えられてしまつた。ですから当時人事院としては、人事院の勧告から行けば勧告通りでない、人事院の勧告から行けば五千七百円を下廻るような給与が実施されたはずなんです。この点について私が申上げなくてももうすでに瀧本さんもおわかりのことなんです。それまでは一定の基準を設けて、それに対して給与を決定し、それより資格條件を上廻るものに対してはそれぞれの給与を与える。その條件を下廻るものはそれぞれその給与を減額するという形において一定の基準を中心にしたべース体系がとられておるはずなんです。ですからそういう点から行きますと、これは私が申上げるまでもなく、現在の平均給与と、從來それまでとられて來たべース体系というものとの中にははつきり根本的にその考え方が違つておるし、從つて木下君が今明らかにされようとした点はいつでも人事院の勧告が出ますと、こういう中味が六千三百七円として以後考えが政府の実施したそのやり方に捲き込まれて、同調しつつ変貌したという、そういう條件を知らないために、国民大衆がいつでも給与の問題を考える場合に当つて輿論の基礎になる、いわゆる平均給与というものとべース体系というものとが途中ですり替えられたことを知らずに、常に基礎になつてこの問題が考えられて來ておる。そういう意味から言いますと、平均給与という問題が、政府のほうでは総平均などという言葉を使つておられるようですが、これは平均給与というものと、最初人事院が勧告をされ採用されたベース体系の考え方とは、中味がすり替えられておるはずなんです。これを私は給与局長として知らないはずはないと思うのです。これはまあ御承知だと思うのです。それから又そういうことを御承知であれば、言葉は言い尽してはなかつたかも知れないけれども、木下委員の聞かんとした現在の例えば千五百円を増額するというやり方をしておる政府の平均給与が、そういう人事院の昔勧告した給与べースの計算から行くと、幾らになるかという問題について、これ又、私はあなたが知らないとは言わせられないと思うのです。給与局長としての立場からそういう点については十分御承知だと思うのです。大体從來六千三百七円にすり替えられた当時、あの当時前提としては六千三百七円としてでなくて、べース体系から行けばこれは五千七百円程度にしか過ぎない。それから七千九百八十一円に切替えられた当時も、これ又ベース体系の計算から行くと、七千二百円にも達していない。今度仮に政府が言うように、一万六十二円などという非常にまやかしに満ちた数字が出て來ておつても、増額せられる給与の引上げ分ははつきりわかつております。そうすると、今度の引上げによつても私どもの概括的な計算でも、これは今度の引上げによつて公務員の給与べース二千九百二十円当時、三千七百九十円当時の計算のやり方からいうと、今度の一万千二百六十三円がべース体系の中では八千七百円にも充たないという数字が出て來ておるようです。私はこの点についてもつと瀧本さんとしては具体的な数字を御存じでしようから、この点は賃金問題を審議するに当つて非常に重要な問題ですから、できるだけ私は公務員の利益を擁護するという、保障するという立場に立つ人事院の給与局長として、この際これを良心的に明らかにされるよう希望しながら御質問申上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/40
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041・瀧本忠男
○政府委員(瀧本忠男君) 只今千葉さんからお話がございましたように、二千九百円ベース当時、三千七百円ベース当時そういう計算が行われたということは私も知つておりますそれから六千三百七円のときに政府側と人事院との間に違いがあつたという事情もあつたようであります。併し私が現在申上げておりますことは、人事院といたしましては、いわゆるベースが幾らになるかというようなことを申上げておらないのであります、これは七千九百八十一円、八千六百三十三円、一万一千二百六十三円、そういう符牒で呼ばれておりますけれども、そういう数字を強調したものではないのでありまして、飽くまで標準生計費を確保するということと、それからその後は俸給表の俸給それ自体でありますが、これはこの委員会でも何回か問題になつておりますように、それは人が一人死んだ、或いは転出した、或いはやめた、新らしく入つて來たというようなことによりまして、その平均給というものが違うということは当り前でありまして、我々が飽くまで確保したいというのは俸給表それ自体の数字であります。從いまして私が申上げておりますことは一万一千二百六十三円というその数字は、それは仮に計算して見てもこうなるということを申上げているので、それから政府側で言つておられます数字も、これは先ほど官房副長官の御説明もございましたが、実は今回審議いたして頂くために出ております法律案の俸給表自体、これが私は問題であろうと思うのであります。この俸給表のこういうものを現在おります公務員の分布というものに乘じまして、そうした総平均をとつて見れば一万六十二円になるということを申されていると思われる、その限りにおいて何ら違いがないということを申上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/41
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042・千葉信
○千葉信君 まあ人事院としては私から言わせれば国家公務員法の第二十八條にあるように、情勢適応の原則をあなたがたの回答の中に非常に活かしておられるようですが、そういう現在の情勢によるところの立場からの御答弁ではなく、私の聞いているのは今瀧本さんのお答えになつたような事情は全部わかつておるのであります。全部わかつているから私はそのことを聞いておるのじやなく、一体あなたがたが今言われている一万一千二百六十三円の問題も、それから政府の提案しておりまする一万六十に円の問題、特に一万六十二円になるという形に今置かれておるこの給与の額が、これがそういういろいろな問題を抜きにして、一体あなたが今おつしやつたように二千九百二十円当時の計算の仕方、三千七百九十円当時の計算の仕方からすれば、給与局長として一体今の一万六十二円というのは推定どれくらいになるかということについてくらいは、あなたは言えると思うのです。そうして又知らないはずはないのであります。その点を明らかにして頂きたいということを、私は御質問申上げておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/42
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043・瀧本忠男
○政府委員(瀧本忠男君) 私が千葉委員のお話を理解する限りにおきましては、どうも何かわかつておることを言わないようなふうにお考えのようでありますけれども、これはいつも人事院といたしましても、例えば本年の八月一日に平均給はどういうふうになつておるかという調査もいたしております。勿論或る程度推定は入つております。政府側におかれましてもこれは調べておられるのであります。例えば人事院は本年の八月一日に八千四百七十七円という数字に平均給がなるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/43
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044・千葉信
○千葉信君 そういう問題を聞いておるのじやないのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/44
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045・瀧本忠男
○政府委員(瀧本忠男君) どうもちよつと千葉委員の言われる趣旨がよくわからんのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/45
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046・千葉信
○千葉信君 まあいいでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/46
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047・木下源吾
○木下源吾君 瀧本さんにお聞きいたしますが、八月に人事院は一万一千二百六十三円で、それは十月になれば推定幾らになるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/47
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048・瀧本忠男
○政府委員(瀧本忠男君) 人事院が推定いたしましたところによりますと、十月一日現在で俸給は六千六百三十円になるだろうというふうになつております。それから扶養手当は八百八十円でございます。それから勤務地手当はこれは八百四円、それから特殊勤務地手当になつて参りますると、これは推定の資料がございませんから、仮に二十六年度の予算に入れておりまする一人平均額の二百五円ということを用いて見ますると、合計で八千五百十九円、こういう数字になるであろうというふうに推定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/48
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049・木下源吾
○木下源吾君 政府のほうでは一万六十に円に切替時になる。こういわれるのだから、その後この年度内の昇給昇額の面はどういうふうに予算面でお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/49
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050・岸本晋
○政府委員(岸本晋君) 切替え直後におきまして一万六十二円になりますが、その後一月一日に定期昇給がございますので、その機会におきまする昇給財源は見込んでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/50
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051・木下源吾
○木下源吾君 そうすると、年度内における給与平均というものは総体で幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/51
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052・岸本晋
○政府委員(岸本晋君) 財源としてお話申上げたほうが非常にわかりいいかと存じますので、最初の本予算一人当り平均が八千六十六円でございまして、それに今回の本予算に見込んでいなかつた事情による不足分が三百六十一円であります。それを合せまして八千四百二十七円でございます。それに今回千五百二十円で、合計いたしまして九千九百四十七円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/52
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053・千葉信
○千葉信君 この間たしか二十四日の人事委員会だつたと思いますが、その席上での岸本さんの御答弁では八千三十三円という御答弁でしたが、いつの間にか三十三円が又殖えたんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/53
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054・岸本晋
○政府委員(岸本晋君) あのとき私も正確な数字を持ち合せませんので一応お断り申上げまして、八千三十三円前後の数字であることは間違いございませんが、一応それと仮定いたしましてと御説明申上げまして、速記録にもそのように載つておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/54
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055・千葉信
○千葉信君 実際の結果、あとから八千六十六円ということが判明したわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/55
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056・岸本晋
○政府委員(岸本晋君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/56
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057・木下源吾
○木下源吾君 そうしますと、今回の給与関係予算は二百六十何億になりますが、その中には今後の昇給額を全部見込んでの予算だ、こういうことになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/57
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058・岸本晋
○政府委員(岸本晋君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/58
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059・木下源吾
○木下源吾君 そうすると現在欠員になつておる分もやはり予算の中に入つておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/59
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060・岸本晋
○政府委員(岸本晋君) これは定員で組んでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/60
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061・木下源吾
○木下源吾君 少くも現在の欠員分は実際には支払わないのですか、その実際支払われない額は幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/61
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062・岸本晋
○政府委員(岸本晋君) これは実際の問題といたしまして欠員状況をつかむのはなかなか困難でございます。昨年度におきましては平均三、四%の欠員があつたように存じております。これも正確なものではございません。なかなかこれはちよつとつかみにくい数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/62
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063・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) 成るべく簡單に一つお願いいたします。(「重大な問題ですよ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/63
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064・木下源吾
○木下源吾君 なかなか簡單にできないのです。予算のから繰りを少し明瞭にせんと、推定だとか実員だとかいうようなことで、そうしてこの予算が非常に一般にあいまいに見られておる。どこか衝けば給与予算というものは又、どこからでも出て來たりするので、そういう関係も明らかにしたいと思います。從つてそれは今度年末手当あたりにも、どこか衝けば出て來るんだというような一般に印象を与えておるから要請が強いのです。ないないとこう言つておるが、手品師みたいに出て來る。その出て來るから繰りはそれを明らかにしたほうがいいのではないか。実は人事院の給与水準という問題で行けば、これは実員でから繰りはないわけです。給与平均とか何とかむずかしいことを言うからそこにから繰りが出て、できるだけ欠員があつても補充しないで、労働強化になろうと何しようと、労働者の分は俺は知らん、余つた銭はあとから何か非常に恩恵的にくれてやるんだというような、そういうようなことが今まで行われておるのです。ですから私どもは当然やらなければならんものをこれは恩恵的だなんというような、昔のごろつき親方がやるようなことでなく、もつと明らかにしたほうがいいんじくないかと思つて実は一所懸命やつておる。言われることは、人事院のいわゆるベースは、これはもう明らかな問題である。政府の今本年一月からやつて來ておるのには非常にから繰りがある。そうして不明朗なものである。相当にやつておるんだというけれども、もらつておる者はそれだけもらつておるかも知らんけれども、全体の国民の税金という面の予算面ではそれは余つている。余つているのを政府は懐に入れておる。そうして何か要請があつたりするとそれを小出しに出して行く、こういうやり方が行われているということを私は明確にしたいと思つて、実は今ちよつとここで見て、政府が今度の一般職の給与のこの法律案の改正案にいろいろ文句を書いておりますが、提案理由の説明では、給与水準の研究ということを書いておるから、私はこの給与水準ということを知つていてやつておるのか、知らないでやつておるのか、さつきから聞いておるのです。実際そういうわけです。ですから明瞭なことで給与をやつたらどうだ、こういうわけなのです。從つて明瞭というのは、明確に誰にでもわかる……明確なというのは、人事院の勧告であるということに結論がなるのです。そうでないことをやつておる。いいのだ、いいのだと言つて、そうして予算がないからと言つておるけれども、こういうことを言つておるのですから、予算関係だとか何とか、そういうことは国民わかりませんよ、そんなことは……。私はこんな千五百円アツプだとか、同じ金を出すなら、もつと明瞭な基礎の上に立つてやる、誰にでもわかるように一つやつてもらいたいと思う。勿論人事院勧告のベースでも、やろうと思えば、大蔵省では金を持つておるのだから、予算等の開きはいつでも持つておるから、そういうものはあるではあろうけれども、人事院のように合理的に、科学的に、誰にでも明瞭に納得するようなことに……、もう少し聞いて行けば、ぼろが出て來ることはわかつておるけれども、幾らやつても、皆退屈して待つておるからやめますが、実際その一点を見ても、あなたがたが勝手にやるのでなくて、やはり人事院の勧告というものを本当にこれは尊重して……尊重するというのでなくて、それに頼つてやつたほうがいいです。まあやめますよ、腹が立つて來るからこの程度で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/64
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065・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) 別に御質疑はございませんか。……それでは質疑は終了したものと認めます。速記をとめて。
午後零時二十三分速記中止
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午後零時五十分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/65
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066・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) 速記を始めて、それでは一応休憩いたします。そうして一時半に正確に再開をいたしますからお集り願います。
午後零時五十一分休憩
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午後二時十二分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/66
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067・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) それでは委員会を再会いたします。
只今より討論に移ります。一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、昭和二十六年度における国家公務員に対する年末手当の額の特例に関する法律案、国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案、以上四案を一括して討論を行います。四案につき御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。国民民主党、紅露みつ君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/67
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068・紅露みつ
○紅露みつ君 私は只今議題に上りました初めの一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、次の昭和二十六年度における国家公務員に対する年末手当の額の特例に関する法律案、この二法案については反対をいたします。その理由は人事院の勧告を尊重するという從來からの建前によるものでございます。尤も政府におかれましても、一般職の給与につきましては人事院の勧告を尊重して法案を作成したということでありまするが、その尊重のなされ方というものは、どうも私どもから拝見いたしますと奇異の感じが深いのであります。と申しますのは、およそ給与の改訂に当りまして、公務員が最も深い関心を寄せ、なお最も大きな期待をかけておりますのは、給与の支給金額と、これが実施の期日如何にかかつておると信ずるものであります。ところが政府はこの最も肝腎な二点を除いて、その他の部分につき人事院の勧告を尊重したということを平然とおつしやつているのでありますが、これはどうかと存じます。この点納得のいたしかねる第一の点であります。又給与の予算の組み方でございまするが、これは先刻來大分質疑応答が交された問題でありまするが、ここにも大きな問題がなお残されておると思います。顧みまするとこの前の給与改訂のとき、本年の一月から実施されたあの引上のときでございますが、あれも人事院の八千五十八円の勧告に対しまして、政府は簡單に一千円を引上げるということで実施されたのでありますが、今回も又一万一千二百六十三円の勧告に対して千五百円という簡單な形を押し進めておるのでありまして、政府といたしましては大変世話のない行き方でしようが、給与を受けるほうにとりましては、計算がとてもわかりにくいのでありまして、不明朗な気持を残しますと同時に、公務員の給与に関する限り手数をかけることは何か面倒臭いというような冷やかなものを感ずるのでありまして、大変遺憾に存ずるのであります。そうして予算の枠もあらかじめとつておいて、その引上が合理的であるなしにかかわらず、一方的にこれをきめてその枠の中へ押込んで行くというような印象もありまして、団体交渉権を持たない公務員の立場、その姿というものが何か非常に無残な影を私どもの胸に打つて來るものがあるのであります。人事院の勧告にいたしましても、これが十分でないと私どもは存じておりますが、その不十分な勧告さえも呑まれないという本法案はどうしてもこれは賛成いたしかねる次第でございます。それから年末手当でございまするが、これもこうした不安定な状態にやはり今年も置くということは、これは人事院の勧告にも副いかねるものでございます。この際私どもとしてはこれを正しく法制化したいと、かように存じたのでありまして、この二法案については以上の理由によりまして反対をいたすものでございます。以上で私のこれに対する討論を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/68
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069・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) 労働者農民党、千葉信君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/69
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070・千葉信
○千葉信君 私は只今上程になつておりまする四法案に対して一括して反対いたします。
四法案のうちで特に問題となりまする一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について先ず反対の理由を申上げまするが、具体的にこの理由を申上げまする前に、今度の法律案作成の前提となりました人事院の勧告に関する私どもの不満の理由も、又同時に併せて申上げておきたいと思います。この勧告に対する私どもの不満の最も大なるものは、何といつても人事院の勧告した一万一千二百六十三円といういわゆる平均賃金なるものの金額が、我々の予想に反して、確かに現在の民間給与であるとか或いは標準生計費というようなものに鑑みて非常に低いということがはつきりといえると思うのであります。人事院の勧告しましたいわゆる理論生計費なるものを仔細に検討いたしますると、東京都における成年男子の一日の食糧費が八十二円で間に合うという、そういう基礎の上に立つといるようでございます。私ども常識的に考えても、東京都の成年男子がこういう低い金で果して食つて行けるかどうかということは、これは私どもの常識を越えた考え方であるということがはつきりいえると思うのであります。人事院の今度の給与ベースの勧告に当つて行いました方法は、少くとも私どもの考え方からは、決して正確な正しい水準の結論の出るやり方をやつておらない、人事院の説明によりましても、五十人くらいまでの小会社、工場の從業員諸君の給与を対象にして調査をされております。御承知の通りに中小企業等の場合、特に百人以下、五十人というような從業員を使役しているところでは、現物給与等いろいろな措置がとられているばかりじやなく、給与の水準というものも大会社に比して低いという事実は明らかでございますのみならず、人事院のやりました作業の経過を見ますと、同一の職種、公務員諸君と同一の職種、更に又その職務上の級数というか、或いは職務上の立場というか、そういうものの調査をして、そうしてそれと同様の職種、或いは位置にある公務員諸君の給与というものを算定するやり方をしたということでありまするが、土台が非常に低い水準である小工場、小会社等を基礎にして調査をしたということになると、その点から下るばかりでなく、大体御承知の通り国家公務員諸君の勤続年数というものと、中小企業の勤続年数というものは非常に開きがある。国家公務員の場合には大体において從來非常に勤続年数等も長いし、又平均年齢というものも相当これは上廻つているという條件があるのです。小工場の場合に比べると ……。そういう点を十分に考えないで、非常に不利な條件にある小工場を対象にして調査し、而も同様の職種といいましても非常に頭打ちの多い公務員諸君の場合と、それから極めて昇進の容易な小工場、小会社等の状態から考えますと、同じ職種とか、或いは同じポイントの比較ということになりましても、もうそれ自体の中に公務員諸君の場合には不利に扱われるという現象が出て参ることは、これは当然のことだろうと思う、ですからそういう條件からいいますと、私は前に八千五十八円のベースの勧告の当時、一つの流説として行われました、人事院がその勧告に当つて一定の枠を与えられて、その枠内における、具体的にいうと八千円前後という与えられた枠内において、八千五十八円の勧告をしたという、あのときと全く同じ條件というものが、今度の人事院勧告の前提條件としてあつたというふうに私どもは考えざるを得ないのです。そして又同様の職種に対して十分検討し、比較したということを言われておりまするけれども、これは公聴会の席上でも述べられましたが、そういう民間給与の実態の把握の仕方というものが前提條件としてすでに公務員諸君の不利な條件が伴うことを考慮せずに、これを取入れているということ、それからそういう條件で調査した民間給与の実態に近付けるような努力を行なつて、最終結論を出したということ、その他にいろいろな條件は考えられておりまするが、大体において民間給与の水準というものが非常に大きく考慮され、勧告の中で取入れられておる。ところが公聴会における公述人のお話の中にもありましたように、例えばこれはためにするために調査するというような立場上の考えから、問題を歪めたりすることなしに、比較的第三者的な公平な立場において民間給与の実態を調査しているところの機関、これは人事院のごとく、或る程度の制約を絶えず他から受けながら、而もその制約の中で跼蹐している人事院の態度とは違つて、非常に自由な、而も公平な立場に立つて調査しているという財団法人日本労働研究所、これは東京商工会議所の内部にある機関でありまするが、その調査によつて、全国の主要会社二百四十社を調査しております。これは先にも申上げましたが、一般職の職員の数を考えて見ましても、公務員の場合には約現在八十九万人、そういう大量の公務員諸君を抱えておる政府としては、小会社等の、從業員自体にとつて或る程度不利な條件に置かれている会社ではなくて、大会社、そういう大会社の場合から考えても、国家としては最大の雇用者としての立場から、模範的な給与というものを考えなければならない。そういう点からいいますと、その標準となる民間等の給与の調査に当つては、できるだけ多数の從業員諸君を擁しておる大会社、工場等を対象にすることが、初めて公務員の給与の適正さを期待することができる。そういう点から私はこの調査を非常に重視しておりまするが、この調査の例をとつてみますと、これは余り時間がありませんので、簡單に申上げますならば、大体現在、二十四年の九月十五日現在における調査で、公務員諸君の平均年齢は三十三歳になつております。この調査の中では、グラフの中ではつきりと示されてありまするが、大体その二百四十社の從業員諸君の中で、平均年齢の割合に、高い給料を受けておるところもあるし、又平均年齢の割合に、低い給与のところもかなりあるようでありますが、その平均をとつた場合に一体その表の中で、公務員諸君の占める位置はどういう位置かといいますと、三三・三歳の二十四年九月の條件というものを考慮した場合でも、一万四千円になるというのがこの表における公務員諸君の給与の正しい状態である、こういうことになるわけであります。それにもかかわらず、人事院のほうから一万一千二百六十三円というような低い水準の勧告が行われたということについては、私は改めでこの際人事院の国家公務員法上における職責を十分に全うしておるかどうかという事実と併せて、一体人事院の自主性が果してあるかどうかということについて、疑念を持たざるを得ないのであります。併し私ども当委員会における質疑応答の中でもしばしば申上げましたように、そういう條件にありながらも、我々としてはこの際政府として国家公務員法上の行われた勧告を尊重する態度こそが、民主国家としてあるべき姿であるはずだ、そういう主張から私は勧告を実施すべきであるということについては、又別の機会に申上げたいと思いまするが、とにもかくにも罷業権もなければ団体交渉権すらもないような公務員諸君の利益を、一体誰が擁護するかということを考えますと、この場合における集中的な公務員保障の條件というものは、少くとも国家公務員法にあつては、第二十八條に集約せられておる、そういう点から私どもは政府としては予算上の理由等に藉口すべきでなしに、人事院の勧告を実施するという態度こそ最も望ましい態度であり、これはあえて日本だけの制度ではなくて、諸外国にも例のあるところであつて、少くともそれが民主国家である場合には同様の制度内における勧告というものが、国の財政の問題があるにしても、その場合においても全面的に人事委員会の勧告等が実施されておるという條件から、特にイギリス等の場合を見ましても、この点ははつきり言えることだ、我々としてはこういう勧告を非常に重視し、尊重すべきであるという意見も持ち、又それでこそ初めて民主国家であるということが言えると思うのです。そういう立場から私どもは今度の提案されましたいわゆる一般職の職員の給与に関する法律の改正案を検討いたしますると、先ず第一番に問題となりますことは、政府のほうでは提案理由の説明において人事院の勧告を尊重したという言葉を使つておりますけれども、私ども今度の人事院の勧告の中で、何が一番大事かということを考えますと、これはもう言うまでもなく賃金の引上げという点に、最も重点がおかれ、この点をおいては他にそれほど重要な意味があるとは考えられないのです。ところが政府のほうでは、予算上の理由に藉口して、そうして一万一千三百六十三円とは似ても似つかない金額、政府のほうの説明では千五百円を引上げることによつて厳格な金額としては十四百九十三円を引上げることによつて一万六十二円にするのだ、こういうことを政府のほうでは言つておりますが、委員会の質疑応答のうちにありましたように、実は人事院の勧告より遥かに下廻るこの一万六十二円という金額自体に、非常に我々が納得できない疑惑に満ちた、これが給与の金額だということを私は遺憾ながら指摘しなければならないのであります。先ず第一に政府のほうで千四百九十三円足せば一万六十二円になるという、いわゆる二十六年の十月一日のこれは政府のほうから出ている資料でありまするが、もともと権威を持つべき政府の出しておる資料が推定に基いた資料だということであります。一体これほど重要な問題、公務員諸君が、殆んど公務員諸君の半数は内職をやつたり、或いは家族を働らかしてやつと糊口して凌いでいるという惨めな公務員の状態を考えるならば、この給与の問題というものは少くとも公務の能率的な運営を考える場合に、頗る重要な問題だということを私はあえてここに主張するまでもないことだと思うのです。而もそういう重大な問題を決定する場合に、その審議の基礎となる数字が推定だということはこれは一体どういうことでございましよう。而もその推定で提出されておりまする資料自体が、極端に言うと私はインチキな数字だということが言えると思うのです。大体が先ほどの委員会の席上でもありましたように、人事院の言つておりまする本年十月一日の数字とも、この推定の八千五百六十九円ははつきり五十何円か食違ついおります。同じ政府機関であるところの人事院と、これは大蔵省のほうから出ている資料でありまするが、その資料がもうすでに食違つている。而も一方においては二十六年度予算として計上されておる一般職の職員の給与に関する予算の総額は、これは公務員の頭割にした場合に八千三十三円にしかなつていないのです。これは今日の委員会で大蔵省の答弁では八千六十六円になつておるということでありまするが、ここでも食違つておる。もうすでにこの予算額の点について、人事院の持つている資料では総体の今申上げた給与ベースが、一人当り八千三十三円しかないということを人事院では発表しております。これは人事院として第十七号で発行されておりまする人事院月報、これでこういう数字が発表されておるのが、今日は大蔵省のほうから八千六十六円の予算が組まれておりますと言つて私どもに答弁しております。一体どういうふうに政府の主張しております実給額、こういう実給額自体を給与問題を審議するに当つての基礎にしたり、若しくは提案する場合にこうなつておるのだと言つて出して、それによつて審議すべき性質のものじやないと思うのです。御承知の通りこういう実給額というものは予算上組まれておる八千三十三円とか、若しくは八千六十六円、これはどちらが本当かわかりませんけれども、そういう総体の予算を基礎にして公務員諸君の給与が、予算としては八千三十三円しか組まれておらない、若しくは八千六十六円しか組まれておらない。それから公務員諸君の二十六年度における年間の平均賃金は現在のところではこの数字を基礎としてこの上に千五百円なら千五百円を足せば幾らになるかということは、これは審議すべきである。それを政府も言つておるようにやれ二十六年の四月一日には八千三百八十六円になつておりますとか、それから今度は二十六年の十月一日には推定額八千五百六十九円でございますとか、こういうことを申立てて、その上に立つて千四百九十三円足せば一万六十二円になるのだという、こういう提案の仕方自体が私は良心的なやり方ではないと言わざるを得ないと思うのです。どうしてかと言いますと、若しも仮に十月一日推定通り八千五百六十九円になつておるとしても、こういう実給額というものは公務員を構成する職員諸君の資格条件によつていつでも変るのです。昇給であるとか、或いは家族数が増大するというような自然的な問題を一応この際抜きにしても、若しも今度の定員法が制定されて、これはまあ政府の原案通り幸いにして行くかどうかはわかりませんけれども、一応政府の原案通り仮に八万人の公務員が行政整理の対象になつて退職したとすると、その退職の中に含まれる公務員諸君の殆んど多くは、いろいろな角度から見て相当な年齢のかたが先ず多数を占めるということは、これは誰でも考えることだと思うのです。相当家族数も多いし、それから又年齢も五十近いとか五十を超えておる諸君が、今度の首切の場合にも退職するという結果に陥るだろうということは誰でも想像の付くところなんです。そうしてそういう人人が家族数も多いし、年齢も多いからどうしてもこういう人たちは、そのもらつておる給与額というものは一般の公務員の水準に比べても多かつたということがはつきり言えると思います。そうするとおいおい給与をもらつておる人が退職する、而も八万人も退職するということになりますと、これはその退職者が全部退いたあとの公務員の実給額というものを若しも正直に調べれば、それはぐんとこの実給額というものは下るのです。極端に下る場合もあると思うのです。そういう不確定な要素、つまり実給額という不確定な要素を基礎にして大事な給与の問題を考えるということ自体、そういう態度をおとりになること自体が私ははつきり誤まりだと思うのです。で、この問題は今日の午前中も木下委員と瀧本給与局長の質疑にも現われておりましたが、一体平均給与というものを基礎にして公務員諸君の給与を考えることが正しいかどうかということが、この際、問題として発展して來るところだと思うのです。それは御承知の通りに二千九百二十円ベースであるとか、或いは三千七百九十円ベースというようないわゆるベース体系によるところの、人事院の勧告当時には一定の公務員の基準を求めて、その基準に対して二千九百二十円であるとか、三千七百九十円という、そういう給与というものが保証されていたわけなんです。ですから公務員諸君はそういう基準を上廻る人はそれよりも給与が高いし、その基準よりも條件の下廻る人は、これは詳しく申上げてもよろしうございまするが、時間の関係もありまするので、余り詳しくこの点について反対討論を行う余裕はありませんけれども、その当時の賃金ベースというものを今日の賃金ベースに切換えるときに、政府の策動によつてベース体系を切崩されて、そうして平均賃金という形に持つて行かれて、事実上は、私どもの算定では一割五分以上、このときにも大きく公務員諸君ははつきり損をしておるのです。而もその後におきまして更に公務員にとつて不利な問題は、その後における政府のやり方は、この平均給与の考え方というものをますます公務員に対して不利な方向へ持つて行つて、そうして今度の場合のごときは予算上は八千三十三円、大蔵当局で言う八千六十六円、こういう予算上に組まれておる二十六年度の一年間を平均しての給与、この程度のところに私は基礎を置くとすれば一応いわゆる、ベース体系の問題についてはこの際問わないにしても、それにしてもその平均賃金の基準の求め方も自分たちの有利な、公務員にとつては非常に不利な、而も政府にとつては非常に有利な実給額、絶えず変動し、流動しておる実給額に基礎をおいて、而もそれを推定で出して來て八千五百六十九円、十月一日現在で支給されておるからあと千四百九十三円足せば一万六十二円、どだい一万六十二円などというそういう半端を付けて來ておるところに、私は良心的に半端を付けたというよりもむしろこの二円は擬装するための半端の付け方だつたというふうに、如何にも正確無比なものであるというような見せかけのために、二円などという半端を付けて発表しておるとしか私は考えられないのです。それから又更に、問題は倍率の問題がございます。御承知のように昨年人事院のほうから七・五倍の勧告がなされたときに政府のほうから八・二倍の倍率の法律案を国会に持つて参られました。で、このときには淺井さんはあとから態度をうやむやにされましたけれども、一応は新聞記者との会談等においても調整号俸の問題と、この倍率の問題についてははつきり反対を表明されたことがあつたのです。国会でもこの倍率の問題についてはこういう低い生活給の水準の中で、こういう極端な倍率を持つということは特に人事院の勧告をさえも更に上廻るような、上げる金額が少い癖に倍率だけが上廻るような極端な能率給への移行のやり方はよくないというので、国会ではこの問題が非常に論難の対象になつたはずなんです。ところが今度の政府案を見ますと、人事院の勧告が十倍強であるにかかわらず政府案は九倍強だ、何かこの数字だけを見ると、この前の国会の論議を慎重に取入れて考慮されたような印象も与えますし、この前の誤りを率直に認めて人事院の勧告程度の倍率を更に縮小して民主的な態度だというふうに考えられる慮れが実はあるのです。この倍率の点について私が最も不満に考えますことは、そういう総体の見かけでは九倍強ということになつておりますけれども、これは実は非常にまやかしがある。千五百円くらいの非常に少い金額で引上げるために、これは人事院の勧告通りにはもはや持つていけなかつたから、総体の金額を削つて、そうして人事院の勧告の倍率より少い倍率で法律案を出したと言つておりまするけれども、これを仔細に調べて見ると一級から二級及び三級の中頃までは、金額で以て政府案は殖やしている。金額で殖やしているということは十五級、十四級からずつと並行線を書いて來たグラフを一級、二級、三級で急激に金額を殖やしたために、その辺がはね上つてしまつて、四級から五級、六級という場合が完全な中だるみになつている。こういうやり方は公務員全体の数から見ましても大体公務員の占めている割合を見ますと、一級が四千三百二十二人、二級が一万三千九百五十一人、一級と二級とを加えても一万八千二百七十三人にしかなつていないのです。八十九万人いるうちの一万八千二百七十三人、この人たちの給与を殖やしたくらいである。これはおちやのこさいさいでできるやつなんです。而も一方においては一番公務員の数がどこが多いかと言えば五級職が十五万人以上もあり、その次が四級職の十四万人、その次が六級職の十三万四千人、こういう恰好で、その他七級、八級等がこれに次ぐという恰好で、一番中心になつて働いている職員というのはこの数の多い四級、五級、六級、七級という人人なんです。こういう人々の倍率を、例えば四級とか五級とか六級を、政府が基礎にしているところにその倍率を求めて見ると、政府のほうの総体では九倍強になつていて人事院の十倍強よりも倍率が縮まつているが、これらの級の職員の場合にはむしろ政府案のほうが倍率が非常にいいというそういう結論になつているのです。これが、私はこういうやり方というものは成るほど政府の言うように、政府が私どもに対する答弁の場合には、人事院のやつておりまするように二級三号を基礎にとつて、そうして二級三号の場合には人事院のほうは四千二百円であるけれども、おれたちのほうは四千円だ、片方四千二百円だがおれたちのほうは四千円だ。併し所得税等の軽減措置のため、むしろ政府案のほうがいいくらいだという主張をしておられる。そういう答弁をする場合には有利かも知れないけれども、それでは仔細に今度四級、五級、六級の場合はどうかというと、これは人事院の勧告よりもがたつと落ちているという結論になつておるのです。特にこれは時間の関係上申上げることのできないのは甚だ遺憾に思いますけれども、例えば東京都で在職する公務員、而も二割五分という地域給を含んでいるこれらの職員の、政府が人事院案に劣らないというために主張しておられる税金、具体的にいえば所得税とか、それから地方税、当然現金から差引かれる共済組合掛金、恩給納金等を全部引つくるめて、人事院のほうと、政府のほうと、どちらが有利か不利かということを計算しますと、最も中堅的な三級から十二級の職員の場合には、これは人事院案のほうが有利ということになつております。金額もはつきり出ております。一級と二級とそれから十三級以上だけが人事院案がやや不利という状態なのです。税金の問題に藉口しておる政府案を、税金の問題を仔細に検討した場合を見ても、こういう矛盾が起つておるという状態では、私たちはどういう角度からも政府案の主張しておるように合理的に、或いは又人事院案とそんなに違つたものではないという見方に対して、俄かに賛成するわけには行かないばかりか、私は少くともこの倍率の問題については、余り頭がよ過ぎると言いたいぐらい、余り頭がよくて、こういう細工を施されたことについては、私はこの際改めて遺憾の意を表しておきたいと思うのであります。その次に從來、大体人事院のほうから出た勧告に対して、政府のほうでは予算上の理由から、国家財政の見地から如何ともしがたかつた。こういう釈明が今までいつの場合でも政府の釈明であり、給与を引上げる困難な理由であつた。この際、私は国家財政上若しくは予算上の問題等に発展する討論は一応割愛することにいたしまして、特に私が明確にしたいことは予算上の問題に関する人事院案の蹂躪だけならば我々として一応考慮をする必要はあるかも知れませんけれども、今度政府のほうでは予算上の理由から給与の改訂額の引下げばかりでなく、例えば人事院の勧告にありました企業官庁の職員の諸君並びにこれに準ずる職員に対しては、予算の範囲内で奨励手当を支給することができるという、こういう人事院勧告……、人事院として一環した給与体系を考えながら勧告されており、これ又その給与体系による一環なのであります。これが政府によつて抹殺されておる。それから更に休職者に対する二十三條の改正の人事院の勧告も、これ又政府のほうでは全面的に採用しておらないのであります。この二十三條の休職者の給与の問題に関しては非常に大きな結核対策、公務員諸君のいろいろな給与の問題、職務の問題等に関連しながら、而も国民病と言われる結核の問題に対しまして、少くとも模範的であるべき政府として、十分結核の問題なるものを考慮しなければならない立場にあるにかかわらず、それほどの多額の予算を要する問題でもないこういう問題に対してまで、政府のほうでは、政府の立場から人事院の勧告を無視して自分たちの意見というものを押し出して來ている。こういうことになりますと、金額自体、最も中心的な給与の引上げの金額で、人事院案を蹂躪して、而もその金額の引上げに附帯する給与体系に関する勧告等も、これ又蹂躪されたという結果に陥つているわけであります。今までの人事院の勧告と、それから政府の法律と対比して見ますると、全然問題にされずに遷延されました。二十五年の一月当時の勧告の問題は抜きにして、それ以來とにもかくにも政府によつて取上げられて給与改訂が行われた場合において、今度ほど極端に人事院の勧告が切下げられたことがないという事実、而も体系まで人事院の勧告を取入れなかつたという、こういう態度は現在の日本の国内における反動的な様相の具体的なこれが現われだということも、私ははつきり言えると思うのです。二十三年の七月におけるマツカーサー書簡の問題、又そのマツカーサー書簡の示唆するところによつて、改惡された現在の公務員法のあり方から考えて見ても、私は人事院の勧告をこんなに無視するやり方をするということになると、これは好むと好まないとにかかわらず、私は政府にとつて決して好ましからざる現象をさえも生ずるような事態がありはしないかということと、若しそういうことになつても、これは完全に政府がその責任を負うべきであるということを、私は痛感するわけでございます。そこで私はこの法案の審議に当つて、社会党の諸君と共に、先ず第一に人事院案の全面的な実施を極力主張して参つたわけであります。併しその経過の中で、必ずしも全的に人事院の勧告が実施される見通しが困難であるというその経過の中で、せめて私は若し仮に補正予算の修正が困難であつた場合にも実施できる政府案の修正を私は計画いたしまして、十日間の必死の努力にもかかわらず、遺憾ながらその修正案は陽の目を見ることができませんでした。その修正案は企業官庁特別俸給表の適用範囲を拡げること、奨励手当を人事院の勧告通りやるということ、又休職者に対する給与を人事院のこれ又勧告通りやるという修正案を以ていろいろと努力をいたしました。この修正案に対しましては大方の諸君、本委員会における各会派のかたがたが賛成の意を表してくれて、そうして関係筋の了解さえ得られれば、これは場合によつては全会一致に行くかも知れないという状勢にあつたわけでございます。ところが修正案は一昨日、昨日と折衝を続けたにかかわらず、一蹴されてしまいました。その一蹴の理由というのは、若しもお前の言うように二十六年度の補正予算の修正を行わずにやれるとしても、二十七年度予算については必ず給与予算の増大を何がしかの形において來たすであろう、そういう影響が起るということが予定せられるので、二十七年度予算に影響を与える如何なるやり方に対しても承認を与えないということに自分たちのほうでは方針が決定した。これは予算に関係のあるその筋の私に対する答弁でございます。私はこのときにもはつきり参議院における情勢、了解さえ得られれば、関係筋の承認さえ得られれば通過疑いなしという状態を卒直に申上げて、そうして併せて御承知の通りに曲りなりにも講和條約には調印が終つている。国会のこれに対する審議も終了している。批准を待つている。そういうことになれば諸般の情勢から大体二十七年度予算を実行する頃にはその他の国々の批准も済んで、日本が独立国家になるんだという政府の言うことを信じている国民諸君にとつては、これは信じないかたもあるでしようけれども、信じている国民諸君にとつてもこれは誠に理解できない不可解な現象であるというふうに考えるであろう。事実上講和も結ばれる段階以後の国会に対してまでこの程度の修正案も認めることができないという態度は、どこに日本の自主性ありやという不可解な念を国民諸君は抱くであろう、そういうことまで申上げて折衝したのでありまするが、理由は頑として二十七年度予算に影響あるからいかんという一点張りでございました。私は今度のこの給与の引上げの問題における政府の反動性と同時に、講和條約の審議に当つて、早く講和を結ぶことが日本の独立が一日でも早く獲得できるんだという吉田首相その他政府要路の諸君のたび重なるあの主張が、事実上この給与法案に関連してはつきり嘘だということを認識したということをこの際付加えて、我々の主張が正しかつたということを改めてこの法案審議に際しで主張して、私の反対討論を終りたいと思いまするが、なお只今は引続いて三法案が対象になつておりまするので、その点についても簡單に言及したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/70
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071・加藤武徳
○加藤武徳君 委員長、議事進行に関して……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/71
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072・千葉信
○千葉信君 発言中です。委員長、発言中……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/72
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073・加藤武徳
○加藤武徳君 委員長、議事進行に関しまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/73
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074・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) ちよつと待つて下さい。三法案のあとまだ意見を述べようというわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/74
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075・加藤武徳
○加藤武徳君 議事進行に関しましてちよつと……。今御発言の最中ですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/75
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076・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) ちよつと加藤さん、もうすぐ終ると思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/76
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077・加藤武徳
○加藤武徳君 そうですか。私は例の件を委員長御相談願えればいいと思つたのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/77
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078・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) 済んでから御相談しようと思うのですが、まだ時間がちよつとあるようですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/78
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079・加藤武徳
○加藤武徳君 丁度私はそれを、千葉君の御発言の最中に例の件が問題になると、却つて千葉君の御発言の邪魔になりはせんかと、こういう私の気持から議事進行に関してのお計らいを願いたいと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/79
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080・千葉信
○千葉信君 特に委員長、それではどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/80
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081・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) それでは発言中でありますが、若干残しまして、議事進行に対して御意見がございますればどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/81
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082・加藤武徳
○加藤武徳君 ちよつと速記をとめて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/82
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083・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/83
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084・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) 速記を始めて下さい。ではどうぞ千葉さん、次を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/84
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085・千葉信
○千葉信君 次に年末手当の額の特例に関する法律案について反対理由を申上げます。
当委員会において、岡崎官房長官との間に質疑応答を展開しました問題と関連するものでありまするが、今度出されている年末手当の特例に関する法律案は、これは人事院の勧告が八月一日から実施すべきであるということを勧告しておる。ところが政府のほうと、しては、いろいろな事情からその実施が困難であつたために、引上げ分として八月分、九月分をこれを年末手当として支給することにした、こういう政府の御方針のようでございます。併し從來の年末手当の問題に関する経過を見ますると、二十四年度は五割でありましたけれども、各省ともそれぞれの措置をとつて、事実上十割に達しているということは、それは蔽うべくもない事実で、私どもも常識としてこのことを認識しております。ところが昨年は御承知のように、政府のほうから一応は予算として、補正予算の中で十割の年末手当が当初組まれて、その筋との折衝に入つたこと、これも又事実であることはどなたも否定なさらないし、官房長官もそのことはお認めのようでございます。ところが、昨年のその折角十割補正予算を組んだ年末手当が国会に持つて來られるまでの間に五割削られております。削られておる理由は、これは公式に発表されておるといないとにかかわらず、前年度の、二十四年度の年末手当が五割だつた、形式上は五割だつた。それから補正予算と併行して、提出し、折衝されておつた二十六年度の予算における年末手当の額は五割ということになつておる。一体どういうわけで二十五年度だけ十割の年末手当を計上したのかという追及に対して、政府のほうでは二十六年度年末手当を五割に計上した真意というものは、本当の肚というものを卒直にぶちまけて真剣に公務員のためを考えて交渉しなかつたのであります。で、政府の肚というものは、前の年も十割やつておるし、今年も十割やるべきだ、來年も十割やるべきだ、併し今ここで二十五年度の補正予算と一緒に二十六年度の予算の中で年末手当を十割にして持つて行けば、これはひつかかるかも知れない、どこでひつかかることになるか知れませんが、一応その折衝でひつかかるかも知れないということでございます。そういう配慮から、而も本当の肚がまえとしては、二十六年には曲りなりにも講和條約が結ばれるであろう。そうすれば、今度はこつちのものだ、何も余計なお世話を受けなくても、自分のほうで十割でも、十五割でも出せる。併し、政府としては來年は大体、二十六年は大体十割出そうという肚がまえで折衝の一つの手として五割の予算を組んで出しておるのです。だから、そういう政府の本当の肚というものをはつきりと話をして、そうして政府の考えておる十割の年末手当が至当だという意見を堂々と折衝すれば私は昨年も完全に法律としても十割支給することができたと思うのです。が、併し、御承知の通り、昨年は到頭五割ということで、国会でもその法律を決定したために、二十四年度と同じように十割程度若しくはそれ以上に達するように各省ごとにいろいろな苦しいやりくり算段をして、これはまあ超過勤務手当その他いろいろな問題も附帯したようですが、そのために超過勤務手当の原資が減つてしまつて、あとからは事実上超過勤務をやつた諸君にも正当な超過勤務手当の支給できなかつたというような事態さえ起つたようですが、併しいずれにしても昨年年末には大体十割に近い現金が公務員諸君に支給されたというような状況でございます。そういう経緯から言つても、政府としては当初から二十六年度十割ということを考えていた歴然たる事実がありまするし、そこへ持つて來て今度は人事院のほうから特別手当という形で年末に八割、今年は六月に支給されませんでしたから、当然これは十月に支給されるべきものだという結論に人事院の勧告がなるわけでありまするが、そういう人事院の勧告のあつたということも考えますならば、当然この年末手当は今出されている法律のように八割ではなくて、十三割が当然だという結論が出るわけでございます。殊に今年一月からの給与ベースの改訂が素直に人事院の勧告も受入れられなかつたし、而もいろいろな朝鮮動乱による影響等のために、赤字続きの公務員諸君の生活に対しては、八月以降或いは十月以降ということではなくて、それ以前の赤字の状態を勘案して、そうしてできるだけ公務員諸君に職務に邁進させる意味からしても、その赤字に対する対策としても、この際年末手当は十三割支給するということが這般の経過から言つても、又人事院の勧告から言つても、公務員諸君の赤字、苦しい生計の実態から言つても、私はこの程度は最低の限度であるという立場から、私はこの政府案に対して反対いたします。
それからその次に特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案についての反対の理由を申上げます。先ず第一点はこの特別職の職員の給与に関する法律というのは、政府のほうで人事院の勧告が出る前からちやんと千五百円という給与の引上を用意して、そうして人事院の勧告が出たあとでも、人事院の勧告なんかは殆んど事実上一顧だに与えずに、大蔵省内の官僚諸君の手で、而も給与体系等に関する理念を疑われるような主計局の給与課の吏僚諸君の手によつて一般職の職員の給与がでつち上げられた。そういう一般職の職員の給与に積み重ねたやり方というのが、今度のこの特別職の給与の改正の法律案でございます。私どもこれに対してはそういう立場から一般職の給与法と同じ立場においてこの問題に対して反対するものでありまするが、更に附加して問題となりますことは、これは議員の歳費が多いとか少いとか、そういうことの問題とは別に、法律の中に、国会法の第三十五條「議員は、一般官吏の最高の給料額より少くない歳費を受ける。」、実はこの條文と抵触する疑いのある措置が今度の特別職の給与の改正にちやんと出ているわけであります。この問題につきましては過ぐる第九十一帝国議会で只今の衆議院の大池事務総長がその提案の理由について説明されております。その説明の中で、特別職というのは内閣総理大臣、国務大臣及び最高裁判所の裁判官で、一般官吏ではない。あこの諸君はこの説明から言いますと、この三つの職にある者以外はこれは一般官吏という説明でございます。そういうことになりますと、今度の政府の出して参りましたものには、これは、從來からもこういう誤りがはつきりあつたようでありまするが、この九十一帝国議会における国会法の説明の中ではつきり限界を設けられている一般官吏以外の者の中へ当然入つている人たちが、この特別職の職員の給与に関する法律改正案に出ております。而も第三十五條に抵触するというのは、たしか議院運営委員会で通過したとか承もつておりまするが、そつちのほうで審議された国会議員の歳費というのは五万七千円のようでございます。そうしますと、この三十五條に抵触するような例えば内閣官房長官、例えば衆議院及び参議院の事務総長、その他いろいろな各種委員会の委員長等もかなり多数六万円の給与を受けております。而もこの国会法では給料額という言葉になつておりまするが、当時この法律が決定された頃の給料額というのは、現在の大体公務員諸君の平均賃金の中に含まれている本俸、扶養手当、家族手当、各種勤務手当というものが第三十五條の給料額に該当するという事実を考えますと、特別職のこれらの諸君の場合には、御承知の通り大体が東京の勤務でありまするから、二割五分の地域給もそれに当るということになるわけでございます。そうするとますますこの三十五條は蹂躪されている、こういう結論になるわけでございまして、若し既存のこういう法律を十分に考慮しないでどしどしそれに抵触する法律が濫造されて行くということになりますると、これは果して民主国家たりや否やということに疑念を持たざるを得ないという状況が起つて來ると思うのでございます。
最後に退職手当の問題については、この退職手当を含むいろいろな問題について反対の理由がございまするが、相当時間も経過しておりまするので、この法案については予算の成立、これは予算上の問題等によつて退職せしめられる職員、それから定員法の改惡に基いて退職せしめられる職員に対する手当でありますから、それらの国会審議を待つて初めて最終結論を出すという人事委員会の審議こそ、正常なものであるという一点だけを申上げて、私は本法案に対する反対の理由といたします。私の反対討論は簡單でありまするが、以上を以て終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/85
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086・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) 日本社会党、木下源吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/86
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087・木下源吾
○木下源吾君 我が党は、この提案の四法案に断乎反対するものであります。勿論内容においてはいろいろ法律上規則にいろいろ抵触する点もあると考えられるが、骨子とするところは給与額が端的に言えば非常に低い、反対するからこれを取らんというのではなく、提案されているものは当然の公務員の権利として獲得するものであるという前提に立つて、本法案に反対するものであります。
特に反対の理由を今申上げますが、これは保守党の諸君にも一つ良心的に聞いて頂いて、我々の反対理由を一つ承認せられて、勇気を持つて反対してもらいたいという考え方です。先ずこのような法案が公然と通過することにおいては、我が国の経済が破壊され、国の自立は望まれない。行政の運営がだんだんだめになる、人材を得られない。そして法案の内容ですが、我が党は特に一万二千円ベース、これが主張であります。基本的主張であります。だが国家の機関である人事院の勧告を当面完全実施させるというところに目標を置いて、当面の目標を置いてです、そこで当然人事院の勧告の内容について、並びに勧告の経過についてもこの機会に一言触れて、それよりももつと劣惡な政府案というものはとるに足らんものだということを申上げたいのでございます。先ず人事院においては、本年八月の二十日に一万一千二百六十二円のベース勧告をしたのは、御承知の通り、当時、昨年の朝鮮動乱以來、この経済変動によつて公務員の生活が著しく困難に陥つた。すでに昨年中においてです。そこで我々は極力早く人事院にこの事態に処して勧告すべきであるということを執拗に要請したのでありましたけれども、人事院は一向これに取り合わない。公務員の生活はますます窮迫の一途を辿り、そしてこの前の国会に、会期中に早く、開かれているのだから出したほうがいいだろうということをしばしば要請したのだけれどもこれを行わない、会期が済んでから発表した、勧告をした。こういうことになつている。先ず第一にこの点が私は人事院が如何に陳弁されようとも、理窟はどうであろうとも、真に公務員の幸福を守つてやるという、その本來の使命を完全に果しているものではない、こう考えております。從つて国会においてはこれらの審議をするということの機会をみすみす失つてしまつた。罷業権も団体交渉権もとり上げられている公務員の生活を保障する中立的機関として設置された人事院が、從來その本來の機能を果さなかつたために、その廃止運動が澎湃として起つたのは御承知の通りであります。從つてその際も又、同様の轍を繰返したわけであつて、我々はこれに対して限りない不満と共に、果して人事院がその勧告の実施についてどれだけの誠意を持つて、強く内閣及び国会に要求する覚悟があるかは実は疑つたわけであります。一方大蔵省は、人事院のこのような態度とは対蹠的に、早くも確定的に二十六年度補正予算編成に関連して、公務員の給与は十月から千五百円引上げる、人事院の八月から実施するということに対して片一方は十月から引上るのだ、而も地方公務員の給与引上げの財源については、平衡交付金は増額しないなど、公然と新聞発表をしておつた。まさに国民は何を一体信頼していいのか、大蔵省の態度は人事院の存在を全然無視するもので、内閣みずからが全く国家公務員法を侵害しようとするこの事実を先ず糾彈しなければならないのである、又内閣へ予算審議に十分間に合うように勧告しなかつた人事院の責任は当然又追及せられるものである。これが即ちこの法案が出て來る前のいきさつであり、如何に公務員が当時から苦しんで、そうして人事院の勧告を待ちこがれておつたかということに大蔵省が応えた態度である。勧告の内容についてであるが、この勧告においては我々の強烈な要求によつて、遂に初めて八月からの実施を要望するとしたのであるが、本年二月一万二千円ベースを即時実施せよという要求をして來た我々としては、一万一千二百六十三円ベースを八月から実施するのでは全く納得ができない。而もこの一万一千二百六十三円ベースの内容を検討するときは、次に申上げるような理由でそれが如何に低額、不合理なものであるかが明らかになるのである。一、非常に低い生活水準、生活費を基準とし、小規模な事業所の民間給与によつて算出されておる。二、從つて民間給与より遥かに低いベースである。三、上の者には厚く、下の者には薄く、ますます職階級を強化したものである。四、扶養手当勤務地手当は低額に抑えられている。五、特別手当は少額で、而も支給方法は不合理である。こういう点を指摘することができる。以下暫らくこれらの点の各項について分析検討を試みようと思うのであります。民間給与調査の対象は小規模の事業所が多過ぎるので、これは小規模の事業所が多いということは、決定的なベースに(「謹聴」と呼ぶ者あり)響く、勧告ベース一万一千二百六十三円中の俸給額、八千八百八十八円は級別、号俸別の国家公務員数と俸給額とによる平均として推計されたものであるが、その級別、号俸別の俸給額は下級の中間に当る民間給与額によつて算出されたものである。各級ごとの俸給額中の値いを民間給与額によつて算出する方法は、今度初めて採用されたものである。從つて調査対象となつた民間給与を先ず検討することが欠くべからざるものである。民間給与の調査は全国各ブロツクの代表府県の六百九十一事業所、七千四百三十二人について行われたのでありますが、その事業所は小規模のものが極めて多い。この前の勧告の八千五十八円、ベース勧告においては百人以上の事業所をとつたにもかかわらず、このたびは九十九人、四十九人以下の規模にまで下げておる。規模が小さくなればなるほど、その給与額が低く、且つ賃金体系がより不完全であることは実態であります。人事院自体もこれを認めております。我が国の経済変動は、昨年の朝鮮動乱以來著しく経済変動をしたという特徴を持つておる。而もこれは特需的な面によかつたのである。平和産業の中小企業というものは、逆に非常に経営状態が惡くなつた。これはもう皆さんもすでに御承知の通りであります。賃金の遅配欠配、不払はこういうような小規模の事業所だ。これを国家公務員の代表的なものに……国の代表的な、最大多数を占めておる者の給与の決定に際しましてそういうのを標準にとるというのですから、幸、不幸は申上げるまでもないのであります。このような小規模の多くの事業所の比率がどんなことになつておるか、先ず試みに言うと、建設業で八〇%をとつております。製造業で三七%とつておる。卸売業及び小売業で五五%である、金融業及び保險業が五九%、運輸通信業等が四三%、サービス業が七二%というように、前回八千円ベースの勧告に除外されたこれらの小規模の事業所が大きな比重を占めております。この結果が人事院のこの勧告の第十九表の職種別何々平均給与総額に現われて來ておる。これの計算の操作を加えた同じ第六表「公務員の職務の級別に見た職種別民間給与表」の東京換算額、第七表の「民間給与の平均俸給相当額の二十六年五月換算額」、これが極めて明瞭に反映しておるのであります。次に基準とした成年男子一人の最低生活費四千二百円は、これは誠に低過ぎる、これは常識でも考えられる。成年男子一人の最低生活費四千二百円、これはもうここに並いる人々がやつて行けるか行けないかみずから答えている。東京都における成年男子一人当りの最低生活費四千四百九十円から、勤務地手当の付かない地域の四千二百円と算出して、それを二級中以下に合致するものとしているが、これは果して正しいであろうかどうか。人事院は成年男子一人の一日当りのカロリーを、二千三百三十六カロリーとして、飲食費を一人当り八十二円二十銭と見込んでおるのでありますが、これは二十六年五月のCPSの東京都家計分析に基いて世帯人員別、品目別、換算比率、五人世帯の比率を一〇〇として作成して、二人乃至八人の世帯人員ごとの標準支出金額を最小自乘法にて理論化し、この値いを五人世帯の平均支出金額を一〇〇とした指数表に換算作成したのであります。この表のいわゆる食糧費の算出に当つては、二十六年五月のCPSと第十二表、即ち「総合食糧需給計画における食糧バランス・シート」とによつてマーケツト・バスケツトなどを作成し、割出したものであります。併しながら我々はこの点については、非常に矛盾した計算方法であることを、ここに改めて指摘しなければならないのであります。この指摘に際しましては、極めて精細な我々の調査の結果がありますが、ここでは省略して置きます。即ち概括的に申上げて被服費、光熱費、住居費と食糧費相互間のバランスが破れておることが明らかになるのであつて、この原因は人事院の求めたマルテイプルに不合理があるために、最小自乘法の算出そのものに如何に正確度があつても、取材の方法を誤まれば正確度は期待できないのであります。この点について我々は人事院が意図的に最高、最低の倍率を高め、且つ予算面から極度に圧縮を要請されているので、この点を操作したとしか思えないのであります。併し最高額を決定する場合、諸般の情勢から民間給与調査を上廻ることはできないという見解から、俸給表作成に当つては從來の出発点、即ち最低額と帰着点、これは最高額でありますが、この両点を固定して等比級数で各号俸給額を刻む方法とすべく出発点を成年男子一人世帯の標準生計費調査、この調査にウエイトをかけて固定して、民間給与の実態調査を規模別、役職別に整理し、職階制に整理して各級の中心点にこれを求め、特に最高号俸は民間給与を忠実に採用して、最小自乘法で各号俸金額を割出したのである。次に成年男子一人世帯標準生計費調査の不合理な点について述べましよう。バスケツトの取材方法が不当であるという点を先ず申上げます。この説明書の資料の中にある第十三表を検討してみまするというと、取材が五月になつでおるのであります。ために品目が普遍的なものではない、動物蛋白の摂取については、單価の高いものを極力避けて、單価の低いものに求めているのであります。一人当りの食費、先ほど申上げた八十二円二十銭と発表しておりますが、我々の確実に調査するところにおいては、一日の食費はどうしても百二十六円三十五銭はかかるということに我々は確信を持つておる。次に標準生活費が非常に低過ぎる、同じこの勧告説明資料書にあります第十四表「世帯人員別標準生計費表」を見ると、東京において一人世帯四千四百九十円、二人世帯が七千六百二十円、三人世帯が一万百四十円、四人世帯が一万二千百九十円、五人世帯が、一万三千四百三十円といつてりおますが、本年五月のCPSは四・七八人で一万五千七百四十九円であります。我々の生計費実態調査によれば、三人世帯が一万六千六百五十三円、五人世帯が一万八千七百十七円であるのでありまして、標準生計費の求め方は本年五月のCPSから生計費分析に基いて而も合理化したものであると人事院は称しておりまするが、理論生計費は実態生計費より下廻る状態はあり得るが、かかる生活状態は恵まれた生活状態のものであつて、今日の物価から推計すれば、三人世帯で一万五千円内外の生活水準でなければならないことを認めるのであります。今日の状態において理論生計費が実態生計費を遥かに上廻ることが我々にも明々白々であり、人事院はCPSからモードを求め、最小自乘法に算式を求めたが、疑問な点は何に一体ウエイトを置いたかが問題ではないかとさえ極論したくなるのであります。從つて我々の最低生活費はCPSにウエイトを置かなければならない。この主張は甚だ慎ましいところのものでありまして、我々の、十六歳で五千五百円の最低生活費は極めて合理的であるということを主張せねばならないのであります。民間給与より非常に低いベースだということは、私は今ここで申上げるまでもなく、最近の実態を、諸君が先ず炭労あたりのあの争議の結果において妥結点が辛うじて認められた、あれを御覧になつてもわかりますように、公務員の生計費というものは、民間の普通のこの給与よりは非常に安いということは、これはもう極めて明瞭であります。で、上に厚い、下に薄いというう点は、おのおののベースを取上げて見まして、最低号俸と最高号俸と比較して見ますると、これは六千三百七円ベースの最低号俸は二千四百円、最高号俸いわゆる七十号、これが一万六千八百三十四円、最低に対する最高の倍率は七・〇であります。七千八百七十七円ベースの場合に最低号俸一号は三千四百二十五円、最高号俸七十号が二万百九十八円、この最低に対する最高の倍率は五・九であります。この前の八千五十八円の場合は最低号俸一号は三千百六十円、最高号俸七十号は二万三千円であります。最低に対する最高の倍率は七・三であります。で、現行の七千九百八十円ベースにおいては、最低号俸が三千円であつて、最高号俸七十号が二万五千円、倍率は八・三であります。で、人事院の勧告一万一千二百六十三円、この勧告では最低号俸一号が三千七百円であり、最高号俸七十号が三万八千円であつて、これは一〇・〇であります。このように今回は極めて上に厚く下に薄いということが只今申上げたところでも明瞭であります。現行七千九百八十一円の政府案における最低号俸に対する最高号俸の倍率が只今申上げましたように八・三で、八千五十八円勧告の倍率七・三を上廻るに対して、下級者を食えない給与に抑えて、高級者のみを優遇するものとして反対したのであるが、今回の勧告においては、更にこれを増大して十倍にしていることに対しては、何と言つても我々は承服できない。これは強く反対しなければならんことは、同僚諸君からも言われておる通りであります。扶養手当、勤務地手当は低額に抑えられておる。扶養手当は民間の実情を理由に、現在の支給範囲及び支給額をそのまま維持するようになつておるのでありますが、而も人事院は扶養手当廃止の意向をちらちら言つておるのであります。我々は扶養手当一人金額千五百円を必要と認めております。生活給さえも保障されない低額ベースにおいては、少くともベース引上げに応じてこの扶養手当は増額すべきものである。これは何も理窟ではありません。現行通りに据置くということは、上に厚く下に薄いこの令のような俸給表と共に、真に生活に困窮している中堅層以下の公務員を、これ以上悲惨な生活に追込むものであつて、扶養家族の生活に必要な経費に充てるべき手当は、実質的に減額されるという結果となることは明らかであります。次に勤務地手当に関しましては、現行ベースの実施に当つて政府は從來の最高三割、二割、一割を一律に棒引きして既得権を侵害しました。当時人事院の勧告では、この五分を引くということは、本給の中に繰入れるのだということを言われておつた。然るに現行一月一日以來実施せられたのは、頭から千円アツプということで、そういう合理的な基礎は何もありません。既得権をこれは侵害したものであります。最高三割五分、刻み六段階、支給区域の拡大合理化の我々の要求にもかかわらず、本年五月十七日、人事院は最高二割五分、五段階を勧告し、而も政府はその実施を当然この前の国会においてやらなければならんものを延ばしに延ばして來たもので、殊に欠陥の多いCPSに基いて、特定の地域の既得権を侵害したままの支給率をそのままに据置くことに対しては、我々はその是正を強く要求するものであります。いろいろまだありますが、以上は人事院勧告の一万一千二百六十三円ベースを簡單に検討したのであるが、要するに民間の給与ベースには遥かに及ばず、公務員の生活の保障は断じてできない、極めて低いベースであります。而もそのうちに職階給の強化を含む不合理なものである。加うるに本給の八月からの一八%値上げが考慮されたのみで、五月の民間給与に基くベースであります。調味料の砂糖が八月から二〇%光熱費の中の電気料が八月から三一%、ガス料金が八月から三三%、交通費旅客の運賃が十月から二五%、通信費が十月から高率にそれぞれ引上げが実施されておる。八月から実施を希望している人事院が勧告において、これらに対する考慮を払つていないのは重大なる手ぬかりであると言わざるを得ない。我々は飽くまでも十六歳五千五百円、一万二千円ベースの即時実施を要求する立前から、この案に反対するものであります。人事院の設置以來今回で四回、給与改訂の勧告がなされたのでありますが、そのうち勧告通り実施されたのは最初の六三ベースだけがただ一回だけで、七千八百七十七円勧告は全然無視され、八千五十八円勧告は内閣によつて全般的に改惡されて、現行の七千九百八十一円になつているのであります。かくのごとき過去の経過と、すでに述べた大蔵省の動向を見るときに、今回の一万一千二百六十三円の勧告が果してどういうふうに取扱われるか、重大な関心を持つていたのであるが、果せるかな政府がすでに発表したこの法案、即ち千五百円アツプというこの法案を強行し、人事院の勧告を形式的には尊重して、実質的にはこれを全然無視する結果となつているのである。人事院職員の多大の能力と経費とを投じてなされた趣旨に対し、国民はその意義を疑い、国家機関の活動に信頼を失うものであると私は確言せざるを得ない。このように人事院勧告を批判して参りますると、その八八%でしかない政府案は、勿論これは一顧にも値いしない。且つその内容は非科学的であり、非合理的であつて、批判の対象としても無意味である。そうして折角民主的に築き上げつつある我が国の給与体系を、現内閣の保守的にして且つ反動的な政策によつて微塵に粉砕されたということは極めて遺憾なことである。この前にもベース・アツプの問題があつたときにも、政府は、特に大蔵大臣は、給与を引上げるということは民間給与も引上げることになり非常に害がある。そういうようなことを言つて最大の理由として抑えた。我我はその際においてそういうことは絶対にない、生計費が上り物価か上るから、あとを追つかけて辛うじて給与の引上げを要求しておるのであるということを、口を極めて、我々が合理的に明瞭に、そうしてそれを主張いたしましても、大蔵大臣は恬としてこれを受付けない、受入れなかつた。諸君、その後我々の主張するだけの給与ベースを引上げないで、インフレがどんどん進んだ。このインフレは何によつて……、この物価が高くなつてこのように又ベース引上げを要求しなければならないようになつたか。御承知の通りこのインフレは二重インフレだということを当局はすでに認めております。朝鮮動乱により一部の連中の利益が増大したために賛沢品を買入れるとか、或いは買占める、必要品を買占める。必要な輸入の資材を輸出にそれを転嫁することをしないというような、あらゆるこの非社会的な活動、それを援護した現内閣、そして他面においては金融面において、これらの思惑をやる、或いは不健全な消費対象になるものにどんどん金融をやつた。民間のオーバー・ローンといわれるようなものが現われて來た。近くは本日の新聞にドツジさんからきつく叱られておる。こういうようなことが原因でありまして、給与引上げに対する、いわゆる給与を引上げればインフレになるなんていうことは全くないということが如実に証明されておる。果せるかな、今回の政府のこの提案に対して、政府はこの前のようにインフレになるなんということは一言も言わぬ、忘れたように、奇怪千万だ。そのときに都合のいいような理由を付けて、そしてかよわい公務員の生活を無慈悲に放置しておくという、これは状態なんだ。私どもは、今回政府が財政上の都合によると、こう言われておりますが、すでにこの委員会において我々が究明し、主張したごとくです。金がないんではない。大砲を指向する予算は、そういう方向を求める予算は極めて多額にこの補正予算にも見積られておる。今回の補正予算の一千二百三十六億のうちで二百六十六億が給与の予算でありましよう。何と言いましたか、政府はこの国会においては両條約の承認と給与改訂が中心だと言われておつたではありませんか。そのように世間には発表したのである。人々もそう信じておるのである。公務員も又、昨日ここで官房長官は、ぬか喜びさしてはいけないと、こういうことを言つておりましたが、今度こそ本格的に、この国会じや、公務員の給与の問題を真剣に取上げてやつてもらえる。国会として深い希望をつないでおつたのであります。然るに何ぞや、一千数百億の予算の中に僅か二百六十六億じやないか。どうして一体この国会が給与改善の国会であつたか。どこを押して一体そういうことが言われるか、私はこの点は極めて遺憾である。このような政策は日本経済を破壊するものである。我々は單なる公務員の給与を公務員という個々のものに対する同情とか、そういうものの考え方ではない、当然支払うべきものは払うべきだ。そうして我々は今平和産業のために、日本のつまり経済の実体である中小企業を再建するために、平和のこの産業の購買力の基礎となるところのこれらのものを増大しなければいけない。今や、御覧の通り東京の真中には巨大なビルデイングがどんどん建つております。銀座のウインドーには公務員が如何に食指を動かしても近よることができない高価な贅沢品があるのである。果してこれらの点が何の一体日本経済の再建に役立つか。逆にこれらのものが公然とある故にこそ、賠償金額が幾ら大蔵大臣、政府が少くしたいと思つてもできない現状にあるではないか。我々は單にこれだけを申上げましても、給与を少くし、そうして人格を無視し、公務員の人格を無視し商品扱い以下にしておるこのやり方は、国家の滅亡だと私は考える。この日本経済はかかる政策においては断じて自立はできないし、崩壊が火を見るより明らかであります。見よ、市中には続々と倒産しておるところの中小企業或いは商社があるではないか。このような政策を行わんとする現われがある、一切の政策がこのようなことを釀しておるのであります。保守党の諸君もよく考えてもらいたい、人間は安くすれば幾らでも安く使えるものである。百姓は搾るだけ幾らでも出るものである。封建時代のそういう経済では、戰後における我が国のこの頽廃した経済を建直すということは絶対に私どもは不可能と考える。まあ長い時間でありますので私は恐縮ですから、いろいろなことを申上げたいが、はしよつておきまして、次に二、三附随した法案に対する所見を申上げたいと思う。
特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、これは今千葉君から申されたように、そういう実体を持つておる。ただ私はこの点を指摘しておきたい。国会議員というものを軽視するという考え方、これは誰が軽視しておるか知れません、こういうものの考え方に対して、私は強く反省を促さなければならん。反対するものである。帝国議会のときとは違います。この一点だけを申上げておきます。
次に年末手当の問題でありますが、この年末手当の〇・八というのは、実は八月から十月までの差額金、新旧の給与の差額金を三千円と見積つておるという、そういう説明の中に矛盾がありますように、年末手当は單なる年末に蜜柑や酒を買うというような手当ではない。すでに今日まで累積して來ておる赤字を一部分でも埋めなければならんというところに、今日の年末手当の本当の意義があるのです。さればこそ八、九のこの差額をも政府がみておる、このような観点に立ちますと、昨年五月以來政府は一月一日と言います、これはこの前の国会で現行給与法が通つておるから、これは国会が承認したのだ、これに從うのだというような形式的な議論をしておりますが、実質的には昨年五月朝鮮動乱以來のこの累積した生計費の増加を考えなければならない。私は常に言う、こういう時間的な経過、歴史的な経過というものを見ないで、現象だけに促われて物事をやるということの危険をいつでも指摘しておるのであります。即ち年末手当はこれらの累積して來でおるところの赤字、赤字がないと誰が言い得るでありましようか、今日の世相から見ればわかります。私はこの年末手当は少くも二カ月分をやらにやいかん、この世相を御覧になればおわかりのように……、でありますから、この点について私は今回の政府の〇・八、これは不当である。直ちにこれは是正せられなければならん。私の申上げているのは、抽象的なそういう末梢的な問題ではない。幾十万の生命に関する問題であるから、如何に無慈悲であろうとも、今こういうようにしなければならないということを私は強く主張するものである。
次に退職金の問題でありますが、退職金の本質というものは、今首切られた者が次の就職の機会を得るまでの間の繋ぎの資金である。これが私は退職金の手当というものの本質だと思うのであります。現在の情勢において首切りをやつて、そうして今この社会情勢において、この間の発表にありますように、完全失業者が七十数万あるという政府機関の発表がある。そうしてどんどんと熟練した技術家がこれらの失業によつて消耗されておる。国の損害は夥しい。今回の退職に際しましても政府は一・八で自然退職を希望しておらるるようであります。自然退職を希望しておられるのである。これらの人人が、この退職金の少額資金を以て何が一体できます。私はこの退職金は首切りの、そうして次の就職までを保障するには絶対不可能な額である。このような見解に立つて、以上四法案に対して断乎反対するものである。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/87
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088・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) 自由党、團伊能君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/88
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089・團伊能
○團伊能君 只今上程いたされております一般職の職員の給与に関する法律の一部改正法律案、又同様に特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び昭和二十六年度における国家公務員に対する年末手当の額の特例に関する法律案、最後に国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案、この四つの法案に対しまして、私は自由党を代表いたしまして賛成するものであります。これらの四つの法案に重大な関係を持つております人事院の政府及び国会になされました勧告につきましては、極めて重要なものであり、又これを尊重すべき理由を有するものであると考えております。今日、先ほどからいろいろ御意見もございましたが、朝鮮動乱以來の跛行的な物価の上に、又生活の極めて必要面における価も上昇いたしておりまするときに、我我は公務員諸君の生活の基礎安定、生活の安定と向上のために、少くともこの勧告の線に沿いたいということを熱心に希望いたすものであります。勿論我々は決して今日の困難な財政のみによつてこの給与措置を考えるものではございませんで、この給与措置にはもつと非常に深い基本的なものを考えておるのでございますが、いろいろ政府の御説明によつてもわかりますように、今日予算面における財政的措置は、極めて今日貧弱なる国家といたし、非常な困難点を有することもよく了解できるところでございます。そこで甚だ遺憾とは存じますが、現下の国情の上に立ちまして、これに賛意を表するものでございます。なお若しも許されるならば、本会議におきまして更に討議をいたしたいとも存じます。只今はこれを以て私の討論を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/89
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090・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) ほかに御意見はございませんか。……討論は終局したものと認めます。それでは四法案につきまして逐次採決をいたします。
先ず一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/90
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091・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) 多数でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定をいたしました。
次に昭和二十六年度における国家公務員に対する年末手当の額の特例に関する法律案につきまして原案通り可決することに賛成のかたの御挙手をお願いします。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/91
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092・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) 多数でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/92
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093・千葉信
○千葉信君 これは非常に重大な問題ですから、明確に起立採決されんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/93
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094・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) 如何でございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/94
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095・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) では途中でございますが……、昭和二十六年度における国家公務員にする年末手当の額の特例に関する法律案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
次に国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、原案通り可決することに賛成のかたの御起立をお願いいたします。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/95
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096・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) 多数と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
次に特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、原案通り可決することに賛成のかたの御起立をお願いいたします。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/96
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097・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) 多数でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお以上四法案に関連いたします本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によりあらかじめ多数意見者の承認を得ることになつておりますが、詳細については委員長に御一任願うことにして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/97
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098・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) 御異議ないと認めます。
次に本院規則第七十二條により委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者の署名を附することになつておりますから、それぞれ法律案につき可とせられたかたは順次御署名をお願いいたします。
多数意見者署名
〔一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び昭和二十六年度における国家公務員に対する年末手当の額の特例に関する法律案〕
杉山 昌作 石川 榮一
加藤 武徳 團 伊能
平井 太郎 宮田 重文
小野 哲
〔国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案〕
杉山 昌作 石川 榮一
加藤 武徳 團 伊能
平井 太郎 宮田 重文
小野 哲 紅露 みつ発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/98
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099・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) それでは次の委員会は明後三十日午前十時開会をすることにいたしまして、今日の委員会はこれを以て散会いたします。
午後四時三十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01519511128/99
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