1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十一月二十日(火曜日)
午前十時三十五分開会
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出席者は左の通り。
委員長 木下 辰雄君
理事
松浦 清一君
千田 正君
委員
青山 正一君
秋山俊一郎君
玉柳 實君
櫻内 義雄君
政府委員
農林政務次官 島村 軍次君
水産庁次長 山本 豐君
事務局側
常任委員会専門
員 岡 尊信君
説明員
水産庁漁政部漁
業調整第一課長 高橋 泰彦君
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本日の会議に付した事件
○漁業法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
○小型機船底びき網漁業整理特別措置
法案(内閣送付)
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001・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。
先ず漁業法の一部を改正する法律案を議題に供します。この法案に対しましては、前回までにほぼ質疑が終了したと認めますが、さよう認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/1
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002・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 御異議ないと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/2
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003・玉柳實
○玉柳實君 その前にちよつと……前回ちよつとお尋ねしようと思いまして、うつかりして時間を過したのですが、六十六条の二の第三項におきまして、最高限度をきめます場合に、船舶の隻数、或いは合計総トン数、或いは合計馬力数の三者とも定めてもよければ、或いは又そのうちの隻数だけ、或いは総トン数だけを決定してもいいというふうになつておるわけでございますが、これは何か漁業の種類によりましては、隻数できめるよりは合計馬力数できめるほうがいいとか、或いは海域によりましてはその実態から見て合計総トン数できめるよりは隻数できめるほうが便宜であるとか、何かそこいらに最高限度を定める場合の基準というか、便宜というか、さようなものでもあるのでございますかどうか、ちよつとお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/3
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004・山本豐
○政府委員(山本豐君) お尋ねの点でありますが、大体はできればこれはいろいろ均衡の問題もございますので、隻数、総トン数、馬力数等をすべてきめたい、こういう今考えでおるわけであります。併し実際問題といたしまして、一口にそうとは申しましても、例えば小型の場合とか、或いは又中型まき網の場合の事例におきまして、お説のように海域によつて非常に困難な場合、或いは又隻数、トン数で行くよりは馬力数で行つたほうがより合理的であるという場合も、これは局部的には起り得る問題であろうかと思うのであります。從いまして今はつきり、どの海域についてはどうするという確たる結論は出していないのでありますが、できれば全体を、各事項を抑えて参りたいという気持でおるのであります。なおよく検討いたしまして、必要に応じて、今のお説のような場合も出て参るかとも思うのでありますが、そういう場合にもできるだけ各地方の均衡はよく考えて、不公平のないように扱つて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/4
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005・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) ほかにございませんか。……ほかに御質問ございませんければ、これから本案の討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/5
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006・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 私は本法律案に対して賛成をするものでありますが、ただ特に要望したい点があります。それは附則の第三項におきまして、前回の委員会において私が質問をいたしましたそれぞれの点が今後非常に疑問を生ずる。この文面だけでは非常に疑問を生ずる虞れのある問題でありまして、特にこの最初に挙げてあります主務大臣が定める海域において、とある問題は、特に非常に意味が広汎でありまして、解釈によつては如何ようにも解釈されるのであります。特にこの本文の中にもありますことでありまして、非常に将來この取扱は慎重を要する問題でありますので、過般政府当局より御説明のありました点を特にはつきりする何らかの方法を講じておきませんことには、今後解釈によつては如何ようにも解釈されるということになりますと、この本旨が歪曲される虞れがありますので、特にその点を厳重に最初の趣旨に副うて処置するような方法をとつて施行せられることを要望いたしまして、賛成するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/6
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007・青山正一
○青山正一君 秋山さんに補足して申上げたいと思いますが、この衆議院の修正箇所を含めたこの漁業法の一部を改正するこの法案は、一応は体裁が整つてもおり、又文章も一応形式立つております。併しその底に流れるいろいろな部面を十分に検討すると、非常な不満足な点が多々あるように思われます。例えばこの法案は濫獲漁業を禁止することによつて水産資源の涸渇を防止するための、いわゆる漁業の増勢を停止することを狙いとしている法律であります。併しその予算的措置がほんの二億二千六百万円というちつぽけなものでは十分でない。それから農林当局の調査が不十分なるがために、今年度内において適用を受けるところは、広島県の安芸海区、小型底びきにおきましては徳島県の北灘海区、他は数県に過ぎない、こういうことではこれは困るのじやないかと思います。広島県の安芸海区以外はどうなるか、或いは香川県とか、愛媛県の場合はどうなるか、一方は法律の適用を受けまして、少くとも整理になるにいたしましても、その恩典に浴しておる、ところが他地方は農林省自身の調査が未だ不十分である、或いは地元各県からの調査報告書が來ていないというような理由で落ちになつておる。それは來年度の予算的な措置をすればよいのではないかというようなことにもなりますが、漁業者はそれまでに殆んど倒れてしまう。この法律の適用を受ける前に廃業してしまう、そういつた点を十分に心すべきではないか、こういうように考えております。それから第二の問題として、中型まき網漁業について、特殊海区として農林大臣が指定する予定になつておるものに、三陸とか或いは日本海の中部及び日本海の西部、この三カ所が大臣の許可漁業ということになつております。併し誰が考えて見ましても、北海道をその最劈頭に持つて來なければならんことは、当然過ぎるほど当然ではないかと、こういうふうに考えております。ところがどういうわけか、北海道が農林大臣の指定の許可漁業より離れておる。農林省にまあどういうような理窟があるにいたしましても、その理窟は僕は屁理窟ではなかろうか、こういうように考えております。ただ單にまき網漁業だけではない、底びき漁業でも然り、或いは「さんま」漁業でも然り、それから零細な「いか」釣り漁業でも同様である。北海道及びこの周辺というものは、日本的な漁業というよりも、むしろ世界の三大漁場の一つである。これを農林当局はお忘れになつておるようであります。それが巾着漁業においても「さんま」漁業においても、それから底びき漁業においても、又先ほど申上げましたほんの零細な「いか」釣りの漁業においても、その許可の権限が道庁にあるがために、昨年、今年が漁業者の操業が非常にむずかしくなつておつて、そうして困難を極めておるということは、よくこれは御承知のはずであります。北海道内の操業が少い、或いは他府県の操業が多い。こういうような理由で農林当局はおつしやつておりますが、北海道の操業が少く、それから他府県の操業が多ければこそ、道の許可とすべきではなく、国家の許可としなければならんところであり、北海道開発庁とかいうようなものを設けなくても、この漁業の許可だけは、これは国家が持つべきだと、こういうふうに私どもは考えております。そういつた以上の二点は、この法律案に非常に深い関連があるものといたしまして、この細部規定にこういつた事柄を、以上の趣旨を十分に織込んで頂くということを希望を附しまして、この法案に賛成するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/7
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008・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) ほかに御意見ございませんか。御意見がないと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/8
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009・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。本案に賛成の諸君の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/9
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010・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 全会一致と認めます。よつて本法案は全会一致を以て可決されました。
なお本会議における委員長の口頭報告の内容は本院規則第百四条によりましてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において、本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして、御承認を願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/10
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011・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 御異議ないと認めます。
それから本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とせられたかたは、順次御署名を願います。
多数意見者署名
千田 正 松浦 清一
秋山俊一郎 青山 正一
玉柳 實 櫻内 義雄発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/11
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012・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 速記をとめて。
午前十時四十八分速記中止
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午前十一時七分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/12
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013・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 本委員会に予備付託になりました小型機船底びき網漁業整理特別措置法案を議題に供します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/13
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014・島村軍次
○政府委員(島村軍次君) 只今上程になりました小型機船底びき網漁業整理特別措置法案につきまして、その提案理由の大体を御説明申上げます。
この法律案は、先に本国会におきまして御審議を願いました漁業法の一部を改正する法律に密接な関連を持つているものでございます。即ち、この一部改正法律におきまして、新らしく小型機船底びき網漁業の範囲を明らかにいたし、都道府県知事の許可漁業といたしたのでありますが、本案はこの小型機船底びき網漁業について整理減船をするための整理手続、基準等を定める内容を持つものであります。即ちこの小型機船底びきの整理は、本庫二月二十七日の閣議におきましても諒解事項として決定を見ております。「日本沿岸漁民の直面している経済的危機とその解決策としての五ポイント計画」に関する施設の一環として実施いたすものであります。御承知の通り、この小型機船底びき網漁業の整理減船実施の重要性につきましては、現在調査の結果判明いたしております操業底曳船の総数約三万五千、そのうち正規の許可を受けておりますのが約一万四千に過ぎないということと更に許可底曳船につきましても違反操業が常態化しており、沿岸漁業資源に与えている影響の非常に大きいことによつて明瞭に窺われると思うのであります。從いまして現在沿岸漁業の秩序を回復し、更に進んで秩序維持の方向付けを与えるために実施の過程にあります漁業制度改革を円滑に進行させ、これを有終の美を以て飾るためにもこの漁業に対し緊急な特別措置を講ずる必要があると考える次第でございまして、これがこの法律案の趣旨とするところであります。
以下この法律案の内容を説明致します。先ず、この法律による特別措置としての整理減船は、昭和三十一年三月三十一日までに完了いたす計画でございまして、この整理が完了するまでの小型底びきの許可は、整理減船を円滑ならしめる意味から、第三条におきまして臨時的に短期一年以内の許可という特別措置をとり、現在操業しております三万五千の底曳船を、昭和九年頃に操業されていたと考えられます二万隻程度に圧縮して参りたいと考えております。これは、昭和九年頃の操業隻数の二万隻程度が底魚の資源量と一応均衡を保持していたものと考えられることに基くものでありまして、この最終目標を第四条により明示いたすことになるのであります。
次に整理の方法手続でございますが、これが第五条から第七条までに規定してございます。その概要を説明いたしますと、先ず農林大臣が年度開始前に都道府県知事及び中央漁業調整審議会の意見を聞き、当該年度に整理すべき船舶の隻数、合計総トン数及び合計馬力数を都道府県別に定め、関係都道府県知事に指示するのが第五条の規定でございます。次にこの指示に從いまして都道府県知事が、具体的にいずれの船舶を整理するかを指定する手続規定が第六条の規定でございます。この第六条の内容を御説明いたしますと、都道府県知事が整理船舶を指定するに際しましては、全県的な連合海区漁業調整委員会、関係漁業協同組合又は同連合会の意見を聞いて、整理すべき船舶を指定することになつております。この整理船舶を指定する場合には、当然考慮すべき種々の条件があるわけでありまして、その主要なものにつきましては、第六条第一項各号に定めております。ここで協同組合及び同連合会の意見を参酌いたしておりますのは、この小型機船底びき網漁業は、全く沿岸的な漁業でありまして、沿岸漁場の管理機構の一環を担つております協同組合の問題としてこの整理を取り上げることにより、今後整理されます漁民の他種漁業への転業をより円滑にし、一方将來の漁場秩序維持を組合中心に推し進めることを考えたためであります。これは、漁場の特殊性から單に公的機関のみによる理想的な秩序維持、漁業取締は、言うべくして行いがたい現実があるのでありまして、現在すでにこの指導を行なつているのでございますが、これを機会に更に漁場は、漁民自身がその秩序維持、漁場取締の上に果す役割が大きいことを啓発して参りたいという考えに基いているのであります。
以上が具体的な整理の手続規定でございますが、このようにして整理すべき船舶を指定した場合、この指定に不服のある者の異議申立を認め、不公平なる指定がないように保証するのが第七条の規定でございます。
なお、この整理船舶の指定に伴いまして、当然この小型機船底曳網漁業から離脱して参る漁民が出ることになるわけでございますが、これについては、その転業を奨励し、且つ、円滑ならしめる意味から政府は、補助金を交付いたすことを第九条で明らかにしたのでございます。
以上がこの法案の主要な内容でありますが、何とぞ慎重御審議の上速かに御協賛あらんことを切望する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/14
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015・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) なお、この内容につきましても御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/15
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016・山本豐
○政府委員(山本豐君) 大体のこの法案の趣旨は、只今政務次官の御説明にありましたように、この法律はつい先ほど御決定を頂きました漁業法の一部改正法案と裏腹といいますか、関連のある法律案でありまして、そのうちで特にいわゆる減船整理をいたします小型機船底曳網漁業の、いわゆる整理に関する部面だけを特に取出しまして、ここに若干の基礎的事項、特に整理をする枠でありますとか、或いは整理手続でありますとか、こういう点を二三明瞭にいたしたいのであります。
この法案が生まれまするいろいろ経過を申しますると、大蔵省といろいろ予算の折衝の段階におきまして問題になりました点は、こういうふうにして折角国費を出して整理いたしましても、数年の後、又元のもくあみになりまして、無許可船が非常に発生するというふうなことになりますると、何のことかわからなくなる、從つて是非無許可船が今後発生しないような機構を法制化してもらいたい、こういう話があつたのであります。そこで水産庁といたしましても、いろいろと事務当局のほうで、その趣旨を体しまして検討を加えたのでありますが、その一つの考え方としては、この小型底曳業者を以て、その強制加入をするような府県單位に整理組合というふうなものでも作りましてやるか、或いは又そういうふうな手を使わずに、現在ございまする漁業協同組合或いは連合会、こういうものをして整理計画を立てさせまして、特に又こういう組合で半面共助施設等を行わしめるようにしたらどうだろうというようなことも考えて見たのでありますが、このいわゆる整理組合の法制化という問題につきましては、それは県單位くらいの組合を作りましたところで、この沿岸零細漁民多数を相手にしておりまするこの実情から行きますと、実態に即しないであろうというので、この考えも具体化しません。
又その次に問題は、例えば漁業組合中心でやるということは、これは実際的ではあるのでありますが、これは又加入、脱退の自由な現在の協同組合の性格の関係もあります。それから又、こういうふうな行政的に整理をするというふうなこと自体が、事業者団体法等との関係から見まして、問題がいろいろあるわけであります。こういうふうな事情がいろいろございましたので、最後に止むを得ずこの補助金の交付関係等において、この大蔵省の企図は十分一つ注意してやるからというふうなことで、今日に至つたのであります。併し大蔵当局の申されますように、この減船整理の実際に実効を期します上におきましては、何と申しましても、この提案理由にもございましたように、協同組合とか、或いは連合会としてはでき得る限り共助施設を自発的に行わしめまして、そうして国から出ます十分でない予算を、或る程度の裏付け等をしてもらうことが、こういうむずかしい事業を円満に進めるゆえんでもありまするが、殊に又、今後のいわゆる整理せられました後におきまする違反の防止というような点につきましては、やはり海区委員会等がまあ総動員の態勢で、これに当つて、十分監視の役を果して行くということが必要であろうと思うのであります。これらの点もいろいろ頭に置きましてできましたのがこの法案でありまして、今経過を申したのでありまするが、そういう趣旨が必ずしも十分にこの法案には入つておらないのであります。少くともその整理の目標でありますとか、そういうものは明定するとか、或いは又整理の基準、これは非常に個人の権利にもいろいろ関連の深いものでありますから、その基準等につきましても一応その基本的なことは法律ではつきりさして置く必要があるというのでできましたのが、この法案であります。
この内容を極く簡略に申上げますると、第一は、この目的を第一条に規定しておるのでありまするが、目的におきましては、要するに昭和三十一年の三月三十一日までにこの小型機船底びき網漁業に使用する船舶の隻数を整理する、そうして濫獲の防止に資する。これはまあどなたも御承知の通りの趣旨でありますが、ただ昭和三十一年の三月三十一日までにこの整理の一切を完了したい、こういうことをはつきりさしておるのであります。
それから第二条におきましては、これの適用になりまするいわゆる小型機船底びき網漁業というものの内容をはつきりさしておるのでありまして、その一つは、漁業法の一部改正にございまする第六十六条の二の第二項に規定するものが大部分でありますが、衆議院の修正によりまして入りました附則第三項の規定による小型底びきが若干この中に含まれると思うのでありますが、そういう適用される機船の範囲を明らかにしたのであります。
それから第三条でありまするが、これがいわゆる許可の期間の制限でありまして、昭和三十一年の三月三十一日までという一応の目標を認めておるのであります。それ以後に亘らないということを規定しておるのであります。
それから第四条は、これはいわゆるここには最高限度を規定いたしておりまして、この法律の施行後三ヵ月以内に中央漁業調整審議会の意見を聞きまして、三十一年の四月一日において存在し得る小型底びき網漁業に使用することのできまする船舶の隻数であります。残存する船の隻数と合計総トン数と馬力数、これの最高限度を定めなければならん。提案理由にございましたように、現在大体三万五千隻あるわけでありまするが、これを五ヵ年のうちに二万隻に持つて参りたい。從つて、まあ大体二万隻前後の数字がここにはつきりときめられるということに相成ると思うのであります。このきめる場合のいろいろ手順を、農林大臣は中央漁業調整審議会の意見を聞いて、最高限度を定め、又同時にその意見を聞いて変更もできる。そうして、定めた場合にはこれを直ちに公示しなければならんというような手続規定が若干含まれておるのであります。
次に整理隻数などの決定の手順を第五条から七条あたりまでの間に規定しておるのであります。この手順は、先ず第四条におきまして、農林大臣が全国に亘るいわゆる限界、最高限度をきめるのでありますが、それを更に今度は内割をいたしまして、やはりこれも三十一年の三月三十一日まで五ヵ年の間におきまする各年度別の、各県別の整理せられまする船舶の隻数なり、総トン数なり、馬力数なりを一応きめまして、それを知事に言つてやるわけであります。それを受けまして、知事は一定の手順を経まして、そうして県内におきまする具体的の整理すべき船の……そういう意味の県別のものをきめる手順が第六条であります。この中にはいろいろ関係の調整委員会とかいうふうな方面の意見を聞かなければなりませんが、或る一定の基準を一から五項目に亘るこういうものをよく勘案してきめるというようなことを規定いたしております。又二項におきましては、関係します調整委員会とか或いは協同組合の意見とかというものも十分聞かなければならんというようなことを規定しておるわけであります。
それからその次に異議の申立の規定を一ヵ条置いておるのであります。これはまあ強制的にきめられて、不服が全然然言えないということでは困りますので、第七条に異議の申立の規定を置いております。
それから第八条は、整理船舶についての許可の禁止であります。
それから第九条に補助金の関係、補助金が交付できるという規定を設けておるのであります。
そういうような次第でありまして、内容は割合簡單でございますが、一応基準と整理手続、そういうものをここに定めたわけであります。簡單でございますが御説明申上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/16
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017・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 何かこれについて総括的な御質問がございましたらお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/17
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018・千田正
○千田正君 大体の狙い、目標は、この提案の理由にあります通りで誠に結構でありますが、ただこれは御承知の通り非常に零細漁民の生活根拠であるわけでありまして、これを仮に転業させた場合に、然らば一体どういう方面にこの人たちを吸収するかということが一番大きな問題じやないかと思うのであります。五ヵ年間かかつて整理を断行すると、併しながらこの人たちが生活の根拠を失うわけでありまするから、その方法としては、補助金で補うというようなことになつておりますけれども、一体片つ方でへこまされたところはどこかで膨れなければならない。日本の沿岸漁業というものは、今でさえ不漁を伝えられておる今日において、一体これをどこで膨らまして行くかということが非常な問題だろうと思いますが、いわゆる補償金の交付に際しまして、その対象になるところの基準額をどういうように定めて行くかという点であります。その点がおわかりであれば、年額どのくらいの予算を以て、トン当りどのくらいの補償をしてやるのか、それによつて果してこの人たちが更生し得るかどうかという点について、政府の意見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/18
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019・山本豐
○政府委員(山本豐君) お説のように、只今千田委員から申されました点が、この法案を実施する上におきまする最も大切な点であると思うのであります。と同時に、最もむずかしい点でもあるわけであります。逆に御説明申しますが、予算の大体内容は、いわゆる純粋に廃船にいたしまして築磯にいたしまするものにつきましはてトン当り三万円、そかれら地種漁業に転換いたしますものにつきましてはトン当り二万五千円、それからもう一つ運搬船等に改造して転用するものについてはトン当り一万五千円、そういう一応の段階を設けて予算はできておるのであますが、併し細部の実際の運用までには、それらの関係は先ほど秋山さんなり松浦さんなりからお話がありましたので、一応検討したいと思つておるのでありますが、一応予算のときの説明はそういうことになつておるのであります。そこでこれつぽつちの金でどうなるかということになると思うのでありますが、而もこれは年々の生活費の補助とかいうようなものは全然関係がないのでありまして、これはいわゆる船を廃めたり或いは転換する場合の一つの補助金に過ぎないのであります。從つて、一回しかもらえないわけであります。從つて、転換する人の生業の問題は、これは当然考えなければならんのでございますが、これの方法につきましては、現在具体的にははつきりしたことは申上げかねるのでありますが、我々といたしましては、差当りできるだけこの水産自体においても考える手は考えてみたいと、例えば、場所にもよろうと思うのでありますが、浅海増殖等を相当し得るようなところにつきましては、別途これは水産の増殖方面の予算を或る程度相当に取りまして、こういう方面の裏付にもつて参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。それから将來の問題といたしましては、これはまあはつきりしたことはまだ申上げる時期ではありませんけれども、例えばマツカーサー・ライン等がとれますれば、「かつを」「まぐろ」の漁業でありますとか、或いは又海外の航路の問題でありますとか、こういうものは漸次ではありましようが、相当に開けて來る余地はあると思うのであります。これらの方面に、例えば失業した船員を斡旋して乘込ませるというようなことも考えてみたいとは思つておるわけであります。それからもう一つ、又これも決して大きな口では言えませんけれども、北海道の魚田開発というふうなこともこの線にやはり結付けまして、十分な効果はこれは期待できませんかも知れまんせが、考慮いたして参りたい。いずれにいたしましても、失業問題につきましては單に水産だけではなかなか最終的な解決はむずかしかろうと思うのでありますが、併しながら実際問題としましては、これは実際整理いたしまする場合に、説明書にもございましたように、大体協同組合が中心になりましてそうして協同組合で具体的に一ついろいろ懇切、丁寧に指導するようにいたしまして、又それらのいろいろな希望なり、計画を受けて水産庁としても打つ手を打つて参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/19
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020・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 只今御説明のうちにマツカーサー・ラインが解放された後のお話がございましたが、間もなく日本が独立いたしまして、非常に期待しておつたマツカーサー・ラインの解けてしまう時期が近く参ることと存じますが、そうなりました際に、これらの、零細な漁業者ではありますけれども、これらの人が集つて一つの大型の漁業を営んで行こう、只今「かつを」、「まぐろ」の漁船に乘込ませるというお話もありましたが、元來底びきをやつている者が釣漁業になつてうまく行くかどうかという疑念もございます。そういう場合に、東支那海方面の底びき、いわゆる以西底びきというものは現在限定せられておりますが、この限定はマツカーサー・ラインがありましたために限定せられておるのであつて、若し、若しじやない、当然これが解除される場合におきまして、その制限の範囲を拡げる御意思があるかどうか、即ち現在きめておる船に更に何がしかを追加して船数を殖やすというような御意思があるかどうか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/20
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021・山本豐
○政府委員(山本豐君) 現在のところは、今の御要望にはすぐ副う気持は持つていないのであります。併しこれも米加との漁業協定ができ、いわゆる公海の自由というような建前を公海について日本が持ち得るという段階に達しますれば、いろいろ国の実力の問題も、実際に操業する段階には非常な関係を持つて來るわけでありますけれども、建前上は日本の国力の回復に從いまして、いろいろと今まで行けなかつたところにも行き得るようになると思うのであります。尤も東支那海の問題につきましては、今までいろいろの関係業者には非常な犠牲を払わしめましてまでも、資源の保護のためにやつて参つておりますので、この辺は簡單に隻数を殖やすとかいう段階に達しない、よしマ・ラインがなくなつてもこれは非常な困難な事情があると思うのでありますけれども、併しながらこれも相手があることでありますけれども、例えば台湾の近くでありますとか、或いは又将來インド洋方面等の、いわゆる漁業の関係で技術者とか、或いは船員の招聘というような問題も出て來ると思うのでありますが、これらの方面につきましてはそう利害の衝突がなければ、できるだけ政府といたしましてもそういう方面に一つ意を注ぎまして、更にこういう方面の失業者等の救済等にも結付けて一つ処置をして行くのが適当じやないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/21
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022・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 専ら支那東海における問題について、これと関連してお伺いしたいのですが、結局これらの業者がどこかにはけなければならない。只今同僚千田委員からもお尋ねがありましたように、どこかに行き道を考えなければ又もぐりの漁業が出て來るという虞れもありますし、又蠅を追うような恰好になりましては、徒らに奔命に疲れるという恰好にもなりますので、正当にこれを導く方法をどうしても考えなければいけないのではないかと思います。そういう意味におきまして仮に船員として從業させるにしましても、その人たちの能力に応じた考え方をしなければ、床屋さんに大工になれといつて見たところでなかなかむずかしいのであります。やはりその道の方面にこれを導くということが必要であろうと思います。支那東海の漁場は、過去におきましては相当数の漁船が動いておつたのが、マ・ラインの結果としてぐんぐん減船をした。もとより戰前におきましては随分たくさんの船が操業してもなお且つあすこの資源は維持されておつた。ところがマ・ラインの結果として許されたものが更に圧迫されまして、今日拿捕された、或いは違反によつて取消されたということによつて、ぐんぐん隻数は減つて來ております。そこへ持つて來て今度は漁業が拡大された場合に、現在の船だけで行くということは少し物足りん感じがするのであつて、今後これらを何らかの方法によつて埋合せ、而もそれらの増加する船に対して或いはこれらの業者が一団となつて一つなり二つなりの船を作るという場合には、これも又考える余地がありましようし、又他のそういう企業者に対しての船員又は乘組員としての扱い方もあると思うのであります。こういう面につきましては、今後に残る相当私は日本の水産業として重大な問題である。もとより漁業協定というようなことがありますが、支那東海におきましては、アメリカとの協定はあえて必要としないのであつて、対岸の関係国との間に協定を結ばれる日はそう近くはない、当分むずかしいのじやないか。その間にいわゆる空白を残しておくことも考えなければならん。そういう点について、まあここではつきり次長がお述べになることはできないかも知れないが、さようなこともこの整理に関連してお考えになることが必要ではないか、もう一応その点に関連してそういうことをお考えになるかどうかということをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/22
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023・山本豐
○政府委員(山本豐君) 十分そういう方面にも一つ意を用いて検討して参りたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/23
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024・松浦清一
○松浦清一君 簡單に基本的なことだけ伺つておきたいのですが、結局この法律というものは、先ほど、ここを通りました漁業法の一部改正の法律の裏腹と、こういう御説明であつたのですが、小型漁船、底びき漁船の整理に関する点については、改正された漁業法の施行実施要領と、こういう工合に解釈していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/24
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025・山本豐
○政府委員(山本豐君) 大体内容はそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/25
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026・松浦清一
○松浦清一君 言葉は間違つておるかも知ませんが、そういうわけですね。そうすると、改正された漁業法のほうの中型まき網漁業、瀬戸内海機船船びき網漁業、それとこれとは全然関連なしに考えていいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/26
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027・山本豐
○政府委員(山本豐君) さようです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/27
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028・松浦清一
○松浦清一君 それではちよつと伺つておきたいのですが、今秋山委員が御質問になつたことと内容はほほ類似しておりますが、マツカーサ・ラインが解消になるとどれくらいの隻数が拡大された海面に出て行くという、ことになるかわかりませんが、東支那海、それから北洋方面にやはり出て行く船は、増大しなければならんものと見なければならんわけですが、そういう方面の小型底びきをひつくるめて滅船をする、整理をする、こういうことになると、将來東支那海方面で操業する底びき網漁業の船はもう少しあつてもいいという、表現はまずいかも知れないが、そういう考え方を持てるところへ持つて來て船が滅つて來る、自然に減つて來る、こういうことになつて來ることが大変憂慮されるのですけれども、その点についてはどういうふうに考えていらつしやるんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/28
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029・山本豐
○政府委員(山本豐君) 周囲の情勢を全然抜きにして考えればお説の通りだと考えます。併しいつも松浦委員からもいろいろとおつしやつて頂いておりますように、まあマ・ラインがとれましても、現在の国際情勢では拿捕問題その他からこれを如何にして保護するかという問題が、非常に大きな問題になるくらいの、実情が実情でありますから、世間的に見ればこれは特に一応ケースは以西底びきにあるわけでありますが、今秋山委員から申されましたように、拿捕その他によつて実際の船はかなり減つているわけであります。それを埋めるくらいは当然考えて然るべきことだろうと思いますが、それ以上に殖やすという問題につきましては、いろいろ国際情勢の動きとか、又どのくらいまで事実上日本が出て行けますか、それらの実情を見ないとはつきり今申上げる段階でないと思います。併し我々としましてはそういうことを非常に希望いたしているわけでありますから、そういうことに十分関心を払いながら、できれば一つ底びきの整理の結果、船員なんか問題になると思いますが、例えばこの内海の乘組員等はこれは到底底びきに乘れないと思います。教育も必要でありましようし、それは他のいわゆるそういう素質のある者が底びきに参りまして、そうしてその欠を手近で又補うという、廻り廻つて船員の充足ができれば、これは非常に幸いじやないかと思います。これは非常にむずかしい問題かと思いますが、そういう点にも一つ意を用いてやつて行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/29
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030・松浦清一
○松浦清一君 これは漁業は、全海面に亘つて一律的に考えているのがこの法律案のように承わつているのですが、海区を限定して小型機船底びきの船が余つておつて沿岸漁民の操業を脅かしている、こういう海区があると思えば、将來そういうものが出て行くことを予想しなければならない。東支那海方面はまだまだ出て行けるという希望も持てると思うのですね。だから法律案の中に特に整理しない海区というものを主務大臣の指定によつてきめるようなことを織込んで行くということは、これは不可能でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/30
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031・山本豐
○政府委員(山本豐君) 今の松浦さんのお話は、以西の底びきの船、又そういうものが稼働している海区と、それから小型の船と、又それが稼働してる内海とを多少混同されているのじやないかという感じを受けたのでありますが、この案にあります小型の整理というのは瀬戸内海、或いは伊勢湾、或いは有明海、こういうふうな内海におきまする小さい十五トン以下の船を対象にしているのであります。併しそう申しましても、お説の通りに各海区必ず整理する漁業と言いますか、そういうものが全部同じであるとは言えないと思います。從つてその海区なり、又は一口に瀬戸内海と申しましても、和歌山県と香川県がどうというような実情もございますから、それらの実情はよく勘案いたしまして、県別にどれくらい整理すべきであるかというような隻数は出して行きたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/31
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032・櫻内義雄
○櫻内義雄君 今度の整理によりまして、御説明によりますと、三万五千の底びき船を二万隻程度に圧縮して行きたいということでございました。そこで頂いております資料によりますると、一万六千隻を整理して一万九千隻ほど残そう、こういうふうなことになつておりますですね。これはまあ一千隻ほど含みがあるわけですが、それはどういうわけであるかということをお聞きしたいことと、それから整理人員が一隻につき三人あたりで四万八千人の失業者と、こういうふうになつております。これは実際平均して一隻に三人であるものかどうか、この二点をお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/32
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033・高橋泰彦
○説明員(高橋泰彦君) 第一点の残存隻数の点についてお答えいたします。当初目標にいたしましたのは、先ほど御説明した通り二万隻が残存するように目標としてやつたのでございますが、その後各県の実情その他の点を勘案いたしまして、只今のところ残存の隻数の目標が一万九千二隻ということに相成つておりますが、これは飽くまでも仮の数字でございますので、目標は二万隻でございまするが、事務的には一万九千隻あたりを目標にして事務を取つて参りたい、かように存じております。
それから第二点の失業人員の問題でございまするが、これは築磯になるところと、そうではなくて他の漁業の転換する場合と、失業者の出方が計算上違つて來るのが当然でございまするけれども、まだ只今のところ各県別には何隻を築磯にし、何隻を他種漁業に転換させるかという確たる目標はまだつかんでいないのでありまするが、一応事務上の目標としての概数をつかむために計算した数字が、お手許に差上げました四万八千人というふうに概数として算出して見たのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/33
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034・櫻内義雄
○櫻内義雄君 そこが重要な点なんですが、概数として、どの程度が他種漁業へ転業して行くかという目標を立てられたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/34
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035・高橋泰彦
○説明員(高橋泰彦君) 私どもの気持としては、整理隻数の半数以上を築磯漁業にしたいというような希望を持つております。併し果してその希望通りに築磯になるかどうか、他種漁業への転換はもつと多くなりやせんかという点が問題点だと思いますが、この点はこの整理法が施行されましたあとで、各県の整理の状況などを見ませんと的確には出て参らないと思いますが、大体目標といたしましては、その半数以上築磯にいたしたいというような目標で進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/35
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036・千田正
○千田正君 今櫻内委員からの質問に関連するのですが、先ほど次長からの御説明によると、築磯にトン当り約三万円、転換には二万五千円、運搬船に転業する場合には一万五千円という御説明がありましたが、大体今の築磯にその半数と見て、そうして全部の予算をどのくらい組んでいるかということと、もう一点聞きたいのですが、これはまあさつきの説明では補助金になるわけですが、恐らく整理する場合は、こういうむずかしいような整理の場合におきましては、むしろ喜んで転業なり、或いはほかの更に一歩進んだ漁業に入るにしても、喜んで参加するような、喜んで転業するような方策をやらんというと、なかなか整理の段階はむずかしいだろうと思う。そこでトン当りが三万円、二万五千円、一万五千円というのは妥当であるかどうかということも、これは相当考えなければならないということと、然らば残存している、整理されない業者というものは整理された人たちによつて、むしろ今後の漁業は保障されるわけなんだから、この人たちは、こうした整理される人たちに対しては何らのいわゆる応援をしないかどうか、させるような方法を一応とるべきではないかどうかという点も考えられるのですが、政府としてはそういう点についてどういうふうに考えているか。このトン当り三万円、二万五千円、一万五千円は妥当であるかどうかということと、もつと殖やせないかどうかということ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/36
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037・高橋泰彦
○説明員(高橋泰彦君) 最初の予算の関係でございまするが、本年度の補正予算で提出いたしましたのは一応築磯漁業へ四百隻と、それから他種漁業へ転換するもの四百隻、それから運搬船へ改造するもの五十八隻という計数で予算を組んでございます。ただ実行予算といたしましては只今申上げましたように、できるだけ築磯に重点を注いで参りたいと考えておりまするので、できますればこの初年度におきましては十五トン以上の船舶が具体的に問題になると思いまするが、この点のやり方といたしましては成るべく築磯に持つて行くように進めたいと考えております。それからこの築磯にする場合にトン当り三万円で十分だろうか、どうだろうかという御質問ですが、これは私どもの事務的な感じといたしましてはかなり不足な金額だというふうに考えております。なぜかと申しますると、このトン当り三万円と申すものの中には機関、エンジンに対する補償を含んでおりません。これはエンジン抜きの船体だけに対してトン当り三万円ということでございまするので、エンジンに対する補償を含んでない点、即ちエンジンはどうするかと申しますと、エンジンを外して船体だけをトン当り三万円補償する、そのエンジンは漁業者みずからの手によつてやらなければならないのでありまするが、これは恐らく相当低い価格でしか取引されないだろうという点に相当不安な点があるような気もいたしております。それから次の不足だと申しまする第二点といたしましては、從業者に対する補償を含んでおりません。飽くまでも船体だけに対する補償でありまして、從業者に対しては以西底びき網漁業の整理の際にとりましたようなことは、とつておらないのであります。この点は事務的には大蔵御当局にもたびたび折衝したのでありまするが、以西底びき網漁業と、この漁業とでは違う点があります。即ちこの漁業は無許可船、許可違反船が多いということと、それから実態的には家族経営のものが多いだろうという理由に基きまして、折衝いたしたのでありまするが、この点は予算上計上されなかつた点があるのであります。從いまして結論的に申上げますと、私どもといたしましてはトン当り三万円、築磯にする場合トン当方三万円という価格では決して十分とは申されないと思つております。從いまして第三点の御質問の、残つた者がこれらに対して何らかの共助を、共に助けるような方法が何らか考えられぬかというのでありまするが、私どもとしてはこの小型機船底びき網漁業整理実施要綱という中に書いてありますように、共助体制がどうしても必要じやないかと考えております。即ち被整理者、転換者に対しまする共助の問題につきましては残存小型底びき業者の共助金の醵出はでき得る限り促進するものといたしまするが、各関係協同組合におきましても組合員全体の支持の下に、できる限りの共助運動を展開するようにいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/37
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038・千田正
○千田正君 そうしますと、エンジン抜きということは、結局やはり漁具もこの補償の対象にはならない、大体これは補償ですか、補助ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/38
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039・高橋泰彦
○説明員(高橋泰彦君) 予算上は補助でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/39
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040・千田正
○千田正君 そうしますというと、このエンジンも抜かれる、それから漁具も抜かれる、なお且つ、その生活面における失業の対策の助成というものはないということになると、單なる違反船であつたが故に空身の船引だけで我慢しろというようにしか我々は受け取れない。そういうことでは、私は私自身の考えでは本当の整理が実際できないのじやないか、むしろ喜んで政府が或る程度の、何割か普通よりも高いものを補償に出すのだから喜んで自分らはそれを捨てる、そして新らしい業務に転換して行こうという意欲を持たせるような整理方法でなければ、これはなかなか容易じやないじやないかと、かように考えますので、大蔵省では削つたのか知りませんが、水産庁といたしましては、むしろこれを実行するためにはこのトン当りの補助金に対する金額の査定については、もつと慎重に考えてもらいたいと、私は望んでやまない次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/40
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041・高橋泰彦
○説明員(高橋泰彦君) これは予算を折衝した過程の問題を多少御説明したほうが御了解が得られ易いと思いますので申上げる次第でございまするが、そもそも小型底びきに対しまして財政的に援助を行うということ自体が非常に難航を極めたのでございます。これが普通の正式の許可を受けた船舶であり、又正式に、正常に営業しているものでありますればもつと容易であつたかと思いまするが、たびたび御説明いたしましたように無許可船であること、許可の違反船であること、これに対してその転換に何らかの財政的な措置を講ずるというようなことはなかなか御了解を得られなかつた点でございます。ただこのたびはそういつたような船舶についても、例えば築磯漁業にする、自己の船舶を海の底に沈めまして、築磯漁業へ転換するというようなことで、財政御当局の協力を得た次第でございまするので、決して十分ではないとは思つております。ただ問題は小型底びき網漁業を整理減船せよというような点は、沿岸漁業者の広い支持を受けまして、正面へ出て來た問題でございまするので、如何に下足ではあつてもこの仕事はどうしても強力にやらなければならないのではないかというふうに考えて参つております。ただ御指摘の通り、予算上の補助の金額は甚だ不十分でございまするので、共助体制の確立又は何らかの意味で地方知事のほうからの御援助も得まして円満にやつて行きたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/41
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042・千田正
○千田正君 これは無許可船であるとか、違反船というものに対する整理案であるのでありますが、許可を受けておるものであつても、場合によつては政府の政策の如何によつてはみずから進んで整理の対象になりたい、或いはそう言わないとも限らないのですが、そういう場合において許可船に対しては一体無許可船或いは違反船よりもはるかに大きいところの補助なり補償なりするのかどうか、若しそれがはるかに大きいのであつたならば、或いはほかに転業する意思を似て実際小型底びきをやつておる人でも、これはやはりこれだけの補助金をもらうのだつたら我々は整理の対象に進んでなつてもよろしいというのが出て來るのかも知れないが、そういう場合においては一体どういうような施策をするつもりであるかという点についてお尋ねしたいと思います。区別して、一体どういうような査定を、若しそういうような場合はやるかという点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/42
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043・高橋泰彦
○説明員(高橋泰彦君) お答えいたします。これは只今の説明の通り内容としては無許可船と許可船とがあるわけでございまするが、実態的に申上げますと、許可船も許可の内容通り操業しているものは殆んどないのでございまして、いずれも許可の内容に違反してやつて行くのが大部分であります。從つて只今御指摘の問題につきましては、内容から見てやらざるを得ないのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/43
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044・千田正
○千田正君 どうも非常に苦しい御答弁のようでありまするが、むしろ整理する場合においては許可船といわず、無許可船といわず、これだけ多いのを二万隻以内に押しつづめて行こうというような場合は、許可船といえども整理してやらなければならない、そういう場合はやはり個人の財産権なり或いは一つの法人の財産権というものを認めてやらなければならないのであつて、やはりそこに多少の差がついて喜んで或る場合においては転業するという意欲を出させる方法でなければ、整理の断行というものは頗る難航するのではないかという、この点に十分留意されまして、時間も余りありませんから私自身の希望なりを申上げて私の質問を打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/44
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045・松浦清一
○松浦清一君 正当な許可を受けた小型底びきの船が沿岸漁場を荒して、転業漁民の生業を脅かしているというそういう事態に対して、これを法律で是正して行こうという、こういう根本的な理念は間違いでないと思います。併しいろいろ説明を承わつておりますというと、具体的に説明の内容について納得の行きかねるところが大分ございます。水産委員会は大抵もう出て來た法律案は簡單に通して行くのですが、これを検討して行くというとなかなか容易に得心が行きかねるところがあるので聞いて置きたいのですが、先ず第一にあなたはこの個々の法律できめて減船しようという小型底びきの船は殆んど違反船であると、こう頭からきめてかかつている、そこに大きな間違いがあると思う。違反をしている船があつて、それが沿岸漁民の生業を荒らしているからこれを整理しようという考え方であるならば、監視船を増強して、そして違反をしている船を摘発してびしびしとやめさして行けばいいので、こういう法律を作つて減船する必要はないと思う。もう一つは先ほどからだんだん説明を承わつていると、何ですね、築磯にするという初めて覚えた……築磯にするというこれは話はわかるのですが、小型底びきの船で他の漁業に転業させるというのは、一体どういう漁業にこの整理をして小型底びきの船が使えるか、どの程度に使えるというふうに考えておられるかという問題、それから運搬船に転業するというけれども、恐らく十五トンやそこらの底びきに使つておつた船を運搬船に使つても、十五トンや二十トンの小型機帆船というものが、どれくらいその沿岸輸送にかかつても困つてしまつて、殆んどもう機帆船というものは潰れてしまつておるのですよ。その方面にどれくらい転業できるというお考えを持つておるか、それを補償金に大きな開きがあるから伺うのですが、その点につい御見解を承わりたい。
それからもう一つはこの数字に出ている四万八千という失業船員が出ると予想されておるわけなんですが、それに対する、補償というものは含まれておらない、こういうことなんですが、失業して行く船員の退職、転職というものが予算の中に組まれておらない。これは船主と船員の間に猛烈な問題が起ることはこれは請合なんだ、そういう点から考えてみて、総体的に先ず許可を受けて正当に漁業をやつている者に対する補償金、それからやめさしてもいいような無許可船の補償金額が同額であるということに矛盾がある。それから正当に許可を受けてやつている船に乘つている船員に対する補償金が、予算の中に組まれておらないというところに大きな矛盾があるというような観点から、まだまだ細かく検討されるでしようけれども、私は根本的にこういう矛盾だらけの法律案というものはちよつとこれは困る、こう思う。得心の行くような説明ができなかつたらこれは反対しますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/45
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046・高橋泰彦
○説明員(高橋泰彦君) この小型機船底びき網漁業、特に一番多いと思われまする瀬戸内海における小型機船底びき網漁業、それから伊勢湾における小型のこの問題、これは過去恐らく二十何年間に亘る漁業政策上の癌とも申されておる問題でございます。從いましてこの問題につきましてはいろいろのいきさつはありますけれども、根本的な考え方といたしましては、瀬戸内海においては動力船の使用を極力やめさせるということを根本的な考えとして今日に至つたのでございます。併しながらその後におけるいろいろな状況を見ましても、どうしても瀬戸内海において動力船をやめさせるというような考え方では取締がどうしてもできない、事実上できないという結論に達したのでございます。数字的に申上げますと、今三万五千隻の小型底びき船がおりまするが、これが殆んど無許可船乃至は許可違反船ということに相成つております。從いましてこの小型船に対しては只今のところこのままでは取締ができないというような状況にあるのでございます。そこでこれに対する根本的な私どもの考え方といたしましては、いつまでもできもしないようなことをやつておつてはいけない。やはり制度改革の一環としてはやはり或る程度のものを合法化いたしまして、取締可能な限度にいたしたいというのが根本の考え方でございます。從いまして只今の質問の第一点、違反船であるのだとすれば、取締つたらどうかというのでありますが、現状では取締ることができないのでございます。從いまして例えば小型底びきを十五トン未満というように一応考えましてその場合の動力を使用して小型の底びき網を操業することについては、この機会に合法化いたさなければ到底取締ることは不可能だと思うのであります。從いまして只今の御指摘の取締によつて減船してはどうかという点に対しましては、現在のままでは取締ることが不可能でありますので、或る程度この際十五トン未満のものについては、合法化しながら減船して行かなければ取締ができないというようにお答えいたしたいと思うのであります。
それから第二点の他の漁業へ転換する場合に具体的にどうかという御質問であります。これは先ほどから漁業の転換の問題が種々出たのでありまするが、例えば瀬戸内海、伊勢湾といつたような地帯につきまして考えてみますると、この底びき網漁業を何の漁業に転換するかということは甚だ困難な問題でございます。率直に申上げますと、殆んど望みのないような気もいたすのでありまするが、併しこれは何とかして只今おりまする沿岸業者の協力を得まして、できまする限りの転換即ち釣延綱、曳網、棒受といつたような困難ではありまするけれども、何とか沿岸業者の協力を得まして、今後努力して参りたいというふうに考えておるのでありまして、これは決して私どもは楽観しておるのではないのであります。第三の、運搬船へ改造するというか、運搬船として具体的にその可能性があるのだろうかという御質問の点であります。これは非常に困難な問題だと思います。(「全然駄目だよと」呼ぶ者あり)私どもの考えといたしましては、運搬船も現在は足りないわけではございませんので、考え方によりますと、むしろ今採算難からやめておるというような傾向すらあるのでありますが、若しも初年度におきまして、十五トン以上の船舶につきまして転換を考えまする際には、若し希望者がありますれば一トン当り一万五千円の改造費を補助いたしまして、希望によつて運搬船に改造する途も開いておきたいということでございます。これは困難ではありまするが、何らか困難の中にでもそういう希望がありまして、やつてみたいという御希望の向がありますれば、私どもとしてはできるだけの援助をして差上げたいというのでございます。
それから失業者に対する退職金の問題でございまするが、これは先ほどお答えいたしました通り、我々といたしましては、失業者に対して退職金が何らかの途で差上げたいのはやまやまでございまするが、予算的にはこれが組まれなかつたのでございます。なお先ほどお答えしたのでありまするが、地方庁も何らかの意味で、十分でないこの予算に対して、実行する場合に、何らかの予算的な措置を講じて頂きたいと思つておりまするが、特に失業者の問題等につきましては、地方庁の絶大なる援助を得ますれば、円滑に参るのではないかと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/46
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047・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 大分時間が過ぎましたので、これは重要な法案でありますので、明日の午後一時からこの質問を続行したいと思いますが、如何ですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/47
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048・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) それでは明日の午後一時から本法案の質疑を続行いたします。
今日はこれを以て散会いたします。
午後零時十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214562X00719511120/48
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