1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十一月十五日(木曜日)
午前十一時八分開会
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出席者は左の通り。
委員長 平沼彌太郎君
理事
大矢半次郎君
清澤 俊英君
伊藤 保平君
委員
愛知 揆一君
岡崎 真一君
黒田 英雄君
山本 米治君
野溝 勝君
松永 義雄君
小宮山常吉君
小林 政夫君
田村 文吉君
櫻内 辰郎君
菊田 七平君
森 八三一君
木村禧八郎君
政府委員
大蔵政務次官 西川甚五郎君
大蔵省主税局長 平田敬一郎君
大蔵省銀行局長 河野 通一君
中小企業庁長官 小笠 公韶君
事務局側
常任委員会專門
員 木村常次郎君
常任委員会專門
員 小田 正義君
説明員
大蔵省銀行局保
険課長 長崎 正造君
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本日の会議に付した事件
○連合委員会開会の件
○保険業法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
○損害保険料率算出団体に関する法律
の一部を改正する法律案(内閣提
出)
○所得税法の臨時特例に関する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○法人税法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
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001・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) これより第十三回の大蔵委員会を開催いたします。
昨日菊川委員から申出がありました定員法の一部を改正する改正案に対しまして、内閣委員会に連合委員会を申入れる件でございますが、本日理事会を開きまして協議をいたしました結果を申上げます。その結果は、菊川委員からの御提案通り内閣委員会に連合委員会を申入れることに決定いたしました。御了承願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/1
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002・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないと認めまして、その通り決定いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/2
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003・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 次に保険業法の一部を改正する法律案並びに損害保険料率算出団体に関する法律の一部を改正する法律案、二件を議題といたします。これについての御質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/3
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004・松永義雄
○松永義雄君 簡単に一点だけ御質問いたしたいと思います。これは損害保険の問題のようですけれども、生命保険についても、どちらにしてもこの保險業者というものは非常に横暴を極める、被保険者というか、立場が非常に弱いために約款の上で非常に会社のほうから軽く扱われる傾向が強いのであります。ところでこのたび昔に還つたと言いますか、シンジケートとか昔の団体組織を以て独占の形態に進むかのごとき規定があるのです。そういうものに対する監督指導権というものが大蔵省に、昔は商工省だつたのでありますが、今大蔵省がそういう権限を持つている規定でもあるのですか、監督指導する……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/4
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005・河野通一
○政府委員(河野通一君) お答えいたします。現在保険会社、生命保険にいたしましても、損害保險にしても、この保險会社に対する監督は保險業法に基きまして極めて嚴重なる法律の規定がございます。それに基きまして大蔵大臣が監督の責に当る。お話の生命保險その他につきましては、いろいろ被保險者なり或いは保險契約者に対して横暴というようなお話があつたわけであります。いろいろ事故の契約その他につきまして、契約の改約でありますとか、そういうような問題で、いろいろ末端では紛議を起すということがままございます。これらにつきましては私どもは一々その事故の契約に対してはいろいろな形で調査をいたしまして、これに対しては、適当でない措置と思われます場合には、一々具体的にこれを各会社に申付けまして、更に再検討するところは再検討させ、その結果について報告をさせる、こういうふうにいたしましていろいろ不当な取扱のないように嚴重に監督をいたしております。なお今般御提案申上げておりまするように、法律案につきましては、独占禁示法或いは事業者団体法の例外規定を作る場合におきまして、まさに一つの共同行為が認められるわけでありますが、この点につきましても、火災保險等の一般の契約者が非常に普通のかたがたである、海上保険のように專門家でないかたがたが相当入つておられる場合につきましては、これらのかたがたの利益を保護いたしますために、異議の申立ての機会を與えるとか、その他いろいろな方法によりまして十分契約者の利益を不当に害することのないように今後も愼重に取扱いたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/5
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006・松永義雄
○松永義雄君 問題はその保険契約者とそれから会社との利害の調節ということになると思います。この法律が初めてでないかも知れませんが、この法律の進んで行くなには、昔のゲマイン・シヤフトのように進んで行く危惧を持たざるを得ない。そうするとそうした団体組織をしたものが個人の弱い契約者を圧迫することになる。このことが歴史を尋ねて深く探究すればいろいろ議論があるのであります。問題は、結論はこうした新らしき法律によつて、そして保険業者が団体を作つて横暴を極めるようなことがあつたのでは困る、こういう点であります。その点について先ず保險料が安いとか高いとか、それから保険料を今まで業者間の競争でこれを崩す場合もあつた、火災保険の料率がよその会社ではこれだけで十円であるところをあなたの所には八円にして置くといつたような、業者同士が崩すということがあつて、会社側が困る困るということなんですが、これは併し池田さんの自由主義の考え方から行けば、そうしたほうがいいと言えば言われる。それを今度は一つの保険業者が話をきめて、そうして協定値段をきめて、それを契約者に押付けるという形になる。そうするとその保険料率が契約者と会社側との利害が反すると、こういう点なんです。そこをこの新らしい法律によつてそれを強化するためにシンジケートというか、ゲマイン・シャフト的なものができて、それをどうして抑えて行くか、そういう点について何か規定があるのでありますか。ただ監督指導だけにとどまるのでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/6
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007・河野通一
○政府委員(河野通一君) 今般御提案申上げておりまするこの法律案は、先日も提案理由の説明の際に説明があつたことでありますが、各国の例を見ましても、例えば最も独占禁止に対する制限規定或いは公正取引の維持、確保のための法律が完備いたしておりますアメリカの例をとりましても、又これと趣旨を同じくする公正取引の確保、維持の力を持つておりますイギリスの例をとりましても、保險事業の、殊に海上保險等、国際競争の特に激しいものはそうでありますが、これらの独占禁止、公正取引の維持、確保に関する法律の適用を全部除外しております。これは各国ともに保險事業の特殊の性質、国際性、技術性という面から見まして各国とも、主要なる国においてはそういうことになつておるのであります。さればといつて、この法律の新らしい規定に基きまして協定、協同行為ができました場合、これが契約者でありますとか、相手方の利益を不当に拘束すると、或いは不当に侵害するということがあつてはならないのであります。これを確保いたしますためにいろいろな規定を設けておるわけであります。その第一は、料率算出団体法の改正の場合について申上げて見ますと、第一には保險料率を料率算出団体が算出いたしましても、これは大蔵大臣の認可を受けなければ発効いたさないのでであります。大蔵大臣は公益を擁護する立場から、これについて独自の立場からいろいろ判断をして参る、必要にまりまして公聽会を開いたり、或いは関係者の意見を聞くというような処置によりまして、できるだけ公益の保持ということを図つて参りたいと、かように考えておるのであります。又保險契約者その他利害関係人は、この料率団体の算定いたしました保險料率に疑義があります場合に、この疑義を申出て聽聞に付して意見を十分に取入れるような途も開いてあるわけであります。なおこの両法律を通じて、公正取引に関する公正取引委員会の権限は十分に留保せられるわけでありまして、公正取引委員会が公正取引の維持のために非常に適当でないと判断いたしました場合には、これに対して別途の立場からその権限を発動することができるようになつておるわけであります。これらいろいろな処置によりまして、十分公益の保持については愼重を期して参りたいと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/7
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008・松永義雄
○松永義雄君 只今保險業は公益事業だと、こうおつしやいましたが、我々から言うと、なお一歩進んでこれは社会的公営事業ではないかと思うのです。このことは何も私が申上げるまでもなく、養老保險だとか、火災保險だとかいうものは、そうして行くということだけで、はつきりこれは説明することもできると思う。そこで大体この保險業法と申すのは、一部の利益のためにのみ設けられている制度でなくして、漸次これは公営的に持つて行くのが常道ではないか、例えば生命保險に対して簡易保險がある、で、簡易保險の保險金額を引上げる、そうして民衆の利益を図つて行く、それと同じようにこの生命保險においても漸次公営に持つて行くことが妥当じやないかと思うのであります。最近東京都で以て保險をやりたいと、こう言つておるのですが、これに対する大蔵省の御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/8
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009・河野通一
○政府委員(河野通一君) 保險の公益性或いは社会性と申しますか、そういう点については原則的には御説の通りだと思います。併しながら、私どもは現在民営保險の制度、これは生命保險にいたしましても損害保險にいたしましても、これを国営的なものに組織替えをするようなことは、いろいろ御意見もございますが、考えておりません。なお東京都で火災保險の会社を作りたいという計画がありますことは、御説の通りであります。この問題につきましては、今申上げました保險というものの趣旨をできるだけ民営の形で進めて参りたいという趣旨から言いまして、東京都等の自治体が出資をいたしまして、保險会社を作るというような制度は、この際としては適当でないというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/9
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010・松永義雄
○松永義雄君 その点になると意見の相違が出て来るのですが、くどいようでありますけれども、例えば生命保險については、簡易保險というものがあるというようなことで、大勢としては保險事業というものは大体公営化して行く傾向を持つている。たまたま東京都がこうした制度を設けようとしておるのでありますが、試験的にこれをやらしても私はいいのではないかと、こう思つております。民営化のほうから言えば、最近都営バスに対して民営バスが競争的にやつておりますが、逆に民営は私は何も禁止するほどのことはないと思うのですが、併しその存在を許すとすれば、それに対抗して公営的なものを設けて、そうして保險契約者個人の利益を図るということも、これはいいことではないかと考えております。そうした考えについては如何でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/10
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011・河野通一
○政府委員(河野通一君) 先ほどお答え申上げました通りで、更に附加えることはないかと思います。なお生命保險につきましては、今東京都の問題は御承知のようにこれは損害保險、主として火災保險の問題であります。生命保險につきましては、現在の民営の保險会社の機構も大部分、殆んど全部と申してもよろしうございますが、これは相互会社の組織でやつております。普通の株式会社のような形でやつておりませんで、各契約者が皆それぞれ集つて相互に組織した会社、そういう組織になつております。その出て参りました利益は契約者配当の形によつて還元される、契約者に還元されるという制度をとつておるわけであります。必ずしもそれが一部の資本家の利益のために運営されておるということはないと思いますので、私どもは現在の考え方を、今この際改める必要はないと、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/11
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012・松永義雄
○松永義雄君 生命保險の話でなく、損害保險のほうは東京海上火災という株式会社が残つておるわけですか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/12
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013・河野通一
○政府委員(河野通一君) 損害保險につきましては、東京海上、その他株式会社でやつておりますが、損害保險は、生命保險、簡易保險の場合が出たから申上げたのでありますが、生命保險と性質が違つておりまして、国際的な競争、その他の関係から言いまして、やはり株式会社組織でこれを進めて参りますことが適当であると思います。会社の中には相互会社組織でやつておるものもありますが、損害保險に関する限りは、現在原則として国際的な関係もありまして、株式会社の組織でやつて行くと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/13
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014・田村文吉
○田村文吉君 私的独占禁止法とか、事業者団体法等のものがなかつた前の保險業の実態と、今度の改正によりまして、こういうものの適用を排除するという場合とどういう点が実質的に違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/14
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015・河野通一
○政府委員(河野通一君) 独占禁止法、事業者団体法がありません前におきましては、殊に損害保險におきましては、共同行為ということが普通に行われておつたわけであります。今般、独占禁止法或いは事業者団体法の制定されておりまする下におきまして、この共同行為を認めて参りますのは、こういう制度がなかつた前の時代よりも、相当やはり制約を受ける、その枠は飽くまでやはり公正取引の確保に関する法律の趣旨をこの枠内で出して行く。で、不当なる取引制限等が行われて、非常に公衆その他に対して迷惑を及ぼすようなことがあつたら、やはり公正取引の確保に関する法律に基いて制約が行われる、こういうことに相成つております。戦前にこういう法律がありません場合にやつておつたように、全く自由な共同行為ができるわけではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/15
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016・田村文吉
○田村文吉君 具体的にどんな点が違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/16
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017・河野通一
○政府委員(河野通一君) 例えば従来やつておつたのは、例えば保險料率等につきまして協定いたします。協定はいたしますが、これについて何も制限はしてなかつた。尤もこれは大蔵大臣の認可が勿論当時から必要であつた。今般はこういう協定をいたしました場合におきましても、それに利害関係人が異議を申立てる。つまり余り契約者の利益を害するというような場合におきましては、これらの契約者は、利害関係人として大蔵大臣に異議を申立てる、この異議に対して、大蔵大臣は聽聞会を開いてこれの異議の適当であるかどうかということを判断いたします。そういうチヤンスを與えております。これは一例でありますが、その他そういうような、公正取引の維持確保のために必要な措置がいろいろ規定で以てあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/17
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018・田村文吉
○田村文吉君 それから料率算出団体、に関する法律の一部を改正する法律案ですが、これの何ですかね、法案の中にちよつと見当らないのですが、大蔵大臣が申請によつて率を認可すると、それを守らなければならないということになつておるが、若しそれを守らなかつた場合においては、罰則の規定があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/18
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019・河野通一
○政府委員(河野通一君) これは料率算出団体法自体には罰則の規定はありませんが、保險業法の規定によつて罰則が規定される。そういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/19
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020・田村文吉
○田村文吉君 ああそうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/20
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021・松永義雄
○松永義雄君 その罰金の問題ですが、保險業法で設けてあるということですが、例えば保險会社なら保險会社が保險協定を仲間同士で結んで、違反した場合には違約金を取るというような場合も想像されるのでありますが、どうですか。それからもう一つお伺いしたいのは、インシユアランスの問題、国際制度の今お話がありまして、現状は国際間における海上保險の保險料率はどういうことになつておりますか。簡単でいいですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/21
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022・河野通一
○政府委員(河野通一君) 料率算出団体としましては適当な程度の違約金等を取ることについては差支えございません。ただこれが度が過ぎますと、不当に公正取引を害するということになりますので、程度についてはいろいろ問題があると思います。なお国際取引におきまして、主として再保險の問題でありますが、保險料率は、殊に海上保險につきましては現在非常にまちまちになつております。現在は例を申上げますと、外貨建の積荷の保險は大体国際市場に再保しておりますが、これのロス、損害率は最近では一〇〇%を超えております。非常にそのために国際取引を阻害すると申しますか、国際市場における日本の保險会社の信用を実は害しておるような点があります。その点から見ますと、保險料率が安いということになつて、これはやはりダンピングという結果が現われているわけであります。これらの点も是正してもらわなければならない、そうして参りませんとロス・レイシヨが一五〇%とか、そういう率になつておりますると、なかなか国際市場に出て行けない。これらの点も速かに是正してもらいたい。明年一月から国際的なトリーテイが更改になりますので、これに間に合うようにこの態勢を整えたいというので、急遽この法律案を御提案申上げたのでありますが、現在におきましては外貨建の積荷保險につきましてはダンピングになつております。ダンピングその他において信用を害しているというのが実情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/22
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023・松永義雄
○松永義雄君 大体わかりましたけれども、昔はやはり国際間の海上保險料率の協定というものがあつたでしようか。これから只今お話のように国際関係で海上保險料率の協定というようなものが生まれて来るでしようか。又国際條約というか何というか、こういうことができて来るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/23
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024・河野通一
○政府委員(河野通一君) 保險料率自体が協定される場合もあるかと思いますけれども、必ずしもそういうことだけで取引というものが行われるわけじやございませんので、国際取引はむしろ再保險取引が中心になる、再保險の引受の條件その他が何と申しますか、トリーテイという言葉を使つておりますが、再保險契約によつて国際上きめられております。保險料率を一般的に国際的に協定するという例があるかどうか存じませんが、再保險が主として問題になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/24
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025・松永義雄
○松永義雄君 再保險というのは、政府が再保險するという再保險会社があつた、そういう場合の再保險を意味するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/25
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026・河野通一
○政府委員(河野通一君) 現在では政府が再保險いたしますのは原則としてございません。全部保險会社が自分で元受を取つた保險会社と再保險を引受ける会社がプールしたり、国際的な取引をしたりしておるのであります。ただ現在残つておりますのは、船舶につきましては或る程度、危險が一件だけで巨額に上るものでございますので、なかなかこの再保險を消化することがむずかしい点もございますので、現在では船につきましては、三億円を超える損害については政府が再保險をするという制度を現在行なつております。これは飽くまでも国際市場に対する取引が正常な状態になりますまでの間、過渡的な措置としてそういう制度を設けております。極く例外の措置と御了承願います。原則は飽くまでも民間の間で行われる次第でございます。戦争中にやつておりました政府が再保險いたすような制度は、今のところは先ほど申上げましたように、例外の場合のほかありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/26
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027・松永義雄
○松永義雄君 保險料は外貨獲得の一項目になつておる。そこで場合によつてはロンドンのほうに再保險するのがよくつて、イギリス側の会社の利益となることがある。その反対に東京海上火災保險があつたかどうか、そういう所へ再保險することもあり得る。その現状はどんなものでしようか。外貨獲得の上から、保險料は相当重大になつているが、現状はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/27
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028・河野通一
○政府委員(河野通一君) これは再保險と申しますと、やはり出すほうと受けるほう、国際的に言いましても、こちらから向うへ再保險を出す一方だけじやなくて、向うも再保險を出すということになりますので、この取引の尻が外貨建の保險自体でどういうことになつておりますか、今手許に資料がありませんが、先ほど申上げました積荷の外貨建保險につきましてはロス・レイシヨが一〇〇%を超えているような関係で、むしろこれについては結果としては日本が外貨の受取超という関係になつておる。それだけに国際的に信用がうるさくなつておる、こういうことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/28
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029・野溝勝
○野溝勝君 一つだけお聞きしておきたいと思うのでありますが、提案理由の説明によりますると、「我が国損害保險会社の事業成績はかんばしくなく、その対外信用の低下を来し海上保險取引を著しく困難ならしめている実情でありまして、このような事態の改善を図ることは、目下の急務とされているのであります」云々と書いてありますが、これは誠にその通りだと思うのであります。私この理由を裏付けるものといたしましては貿易だと思います。貿易を裏付けるものは船舶だと思うのでありますが、こういうような関係を先ず睨み合して立案されたものと思いますが、そういうことになりますというと、大体この案を立てるときにどのくらいの損害があり、どのくらいの保証がこの機構の再編成によつてできるかというような大体の見通しと言いましようか、案が数字的にあるわけであります。それを一つこの際お示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/29
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030・河野通一
○政府委員(河野通一君) この制度によりまして、どの程度保險料の収入があつて、どの程度の損害があつて、差引どうなるかというようなお一話のように聞いたのでありますが、これは一つ外貨建で保險をいたします場合と、円で保險いたします場合とによつて非常に違います。殊に今お話の点は、主として海上保險に関する問題じやないかと思うのでありますけれども、これらの点はできるだけ今申上げましたような非常に技術的に複雑な要素を織込みながら、これらの條件をいろいろ加味して保險料率というものが算定され、或いは協定されるわけであります。差引非常に大きな、保險会社が差益を上げるというようなことは、少くとも考えておらんわけであります。そういうようなことであるならば保險料率は下げるべきだ、それによつて契約者その他の、公衆の利益を、サービスを向上するということがむしろ適当じやないか、従つて保險会社といたしましては、経費を支払い、或る一定の準備金を積む以外におきましては、更にそれ以上の利益を上げるということでありますならば、これは保險料率の引下げという形になると思うのであります。これらの点は技術的に非常にむずかしい問題でありますので、今後專門のかたがたが集まられて、あらゆる條件を検討の上で、保險料率というものが算定される。而も海上保險におきましては、先ほど来申しましたように国際情勢の影響が非常に強いものであります。国際的な料率その他も頭に置きながら、保險料率の條件ということが行われて参らなければならんと、かように考えておる次第であります。なお御意見の貿易その他の関係からどの程度になりますか、これは今資料を持つておりませんのではつきりしたことを申上げられないのでありますが、大体今持つております日本の船舶、殊に外航船につきましては、大体原則として少くとも元受についてはこれを国内で消化して参る方針でやつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/30
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031・野溝勝
○野溝勝君 大体わかりましたが、今日ここで具体的な、数字的な御答弁を願わぬでもいいのですが、大体この危險の負担が今までの業界の機構では非常に不安があると、であるから今度は共同保險というような、まあ共同保險、共済再保險というような共同行為をしなければならんというところにこの法案の趣旨があると思うのです。だからいわば危險負担の分担を軽くしようという意図なんです。その意図はよくわかるのですよ。この精神には私賛成なんですが、ただ問題は、賛成ではあるが、結局今後物価も上るし、国際的なインフレでありますから、それに対する率もだんだん上つて来るわけです。少くしようとしても国際的には上つて来ます。そうなつて来た場合に、どれくらい大体今までの現業会社がこれに対する保險料を支払つておつたか。更に今後の船舶のトン数、或いは輸出貿易数量というようなものの大体のめどというものはあるわけです。大体のめどというものは……。だからこれに対する大体保險料が、どれくらいの損害があつて、どれくらいを見なければならんか。これは大体めどがあるのですよ。その通りに行くか行かぬかわかりませんが、大体そういう見当が若しおわかりになつたならば、一つ資料であとでお示しを願いたいと思います。簡單でよろしうございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/31
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032・小林政夫
○小林政夫君 関連して。今の野溝委員の要求の資料と関連いたしまして、私もこの保險業の現状がよくわからないのです。それで戰前の保險業の状態と現状とを比較する意味において、保險業者の資本金、資産内容、或いは契約料率を比較した資料をもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/32
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033・河野通一
○政府委員(河野通一君) 承知いたしました。今の資料の点は至急求めまして提出いたします。ただお断りいたしておきますが、海上保險につきましては、今お話のように非常にむずかしい要素がございますので、保險料收入と損害率というものとはできるだけそれを適当な割合にとどめることに努力して参つて、それをアジヤストいたしますには、事業費もさることながら、結局保險料率をそれによつて左右して行く、非常にロスが少なければ保險料を下げて行けばいいわけです。これらの点については今後專門家が集つてやはり検討して行かなければならない。保險というものは決してそれで大きな利益を上げるということが目的ではなくて、やはりサービスの向上ということが一番必要なことと考えております。なお火災保險等につきましては、お話の点もありましたけれども、保險料は最近まで数回に亘つて下げております。今年も四月に下げ、九月にも下げました。四月に下げ、九月に下げ、最近も保險料は下げております。できるだけ経営の合理化を図つてサービスの向上に資したいと考えております。それから一般的に保險料率が上る傾向にあるというお話でありますが、これは物価高の関係から経費等は絶対額においては上りますけれども、保險の対象になる保險金額自体がやはり上つて参るわけでありますから、必ずしも保險料率として、物価が上つたから、それに当然比例して保險料率も上るということには相成らんと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/33
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034・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 只今資料を出すようにというお話がありましたのですが……、ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/34
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035・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/35
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036・河野通一
○政府委員(河野通一君) わかつているだけ口頭で説明しましよう。保險課長から内容について概略について御説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/36
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037・長崎正造
○説明員(長崎正造君) 損害保險事業の最近の十年間の状況についての資料につきまして大体私ども知つておりますものにつきまして申上げます。損害保險におきましては、昭和十六年度におきましては正味収入保險料が四億二千六百万円でございます。昭和二十五年度におきましては二百七十五億五千九百万円ということになつております。これはインフレによつてまあこれだけだんだん収入保險料が増して来たわけでございます。それから昭和十六年度におきまする正味支払保險金というものは、全体で収入保險料の四億二千六百万円に対しまして一億四千九百万円、その率は三三・三%ということになつております。二十五年度におきましては、正味支払保險金の合計額は八十七億八千三百万円ということで、その率は三一・九%ということになつております。次に事業費の面でございますが、昭和十六年度におきましては十億二千九百万円というものが正味事業費になつておりまして、その率は三〇・四%ということになつております。これに対しまして昭和二十五年度におきましては正味事業費は百十三億九千四百万円ということで、その率は四一・三%というような工合になつております。それから先ほど来いろいろ御質問のありました船舶保險と積荷海上保險について申上げますと、この積荷海上保險のうち外貨建海上保險というものは、この一年間で、最近、その開始以来約一年間を経過しておるのでありますが、その收入保險料は輸入の分につきましては、硬貨で換算いたしまして五億七百万円、これに対しまして支払保險金は十二億一千七百万円、従いまして、その損害率は二四〇%という非常な赤字を示しております。これが輸入の積荷に対する外貨建海上保險でございます。次に輸出のほうは成績がややよろしうございまして、収入保險料は二億一千万円でございます。これに対しまして、支払保險金は四千百万円で損害率は一九七%ということになつております。両方総合いたしまして、收入保險料七億一千七百万円に対しまして、支払保險金が十二億五千八百万円、その損害率は一七五五%ということになつております。それからなお船舶保險について申上げますと、これは最近五カ年間の船体保險の成績について申上げます。これは大体在来船、新造船、それから戰標船というふうに分けて出ておるのでございまするが、最近五カ年間の在来船に対する保險料というものが七億六千四百万円でございます。それから保險金が十
一億三千八百万円、損害率は一四九%、それから新造船は最近五カ年間で十億三千二百万円、これに対しまして保險金は十億七千三百万円、一〇四%ということになつております。次に戰標船は、最近五カ年間の収入保險料の合計が二十六億五千万円、これに対しまして支払保險金が二十一億、その損害率は七九%、この三者を総合いたしました総計の収入保險料が四十四億四千八百万円、支払保險金が四十三億円、その損害率は、九七%ということになつております。かように船舶保險、積荷保險、海上保險の面では相当損害率が高い。それで経費を交ぜますと赤字のような計算になつておりまするが、火災保險のほうにおいては相当収支残がございまして、それで賄つておるというような状況になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/37
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038・小林政夫
○小林政夫君 今のお話で保險料収入と保險給付額との関係はわかります。が、保險会社の収益状態がわからないのです。海上保險等では大分欠損があるんだけれども、火災保險のほうで補つておるということでありますが、提出になる資料には保險全体のバランスシート、個々の会社ではありませんが、全体を統合したものでよろしいから、それもお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/38
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039・松永義雄
○松永義雄君 今の御説明の中でえらく損害が多いようです。支払が多いようなんですが、損害品の原因となるのはどういうことですか。船が悪いとか、積荷が多いとか、船体とかいろいろあるんですが、それは外国船でしようか、日本船でしようか。日本船として見ると一体損害原因ということはどういうところにあるのですか。船が惡いということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/39
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040・長崎正造
○説明員(長崎正造君) 船体保險のほうにおきましては、これは在来船は相当老齢になつておりますので、船舶の構造も相当弛緩しておる。それから一番大きな原因は、戰争中船員が喪失いたしましたために、熟練した技術者が足らないというようなことが非常に大きな原因と考えております。併しこれらの点は、国際船級の取得、船員の訓練等により改善されておるので、だんだんよくなつて来る、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/40
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041・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) それでは御要求の資料につきましては後に提出されることにいたしますが、大体において御質問はないようですが、質疑は盡きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/41
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042・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) では御異議ないものと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
〔「討論省略」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/42
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043・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 別に御発言がなければ、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/43
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044・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。保險業法の一部を改正する法律案、損害保險料率算出団体に関する法律の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/44
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045・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 全会一致であります。よつて本案は可決すべきものと決定いたしました。
なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條により、本委員会における質疑応答の要旨、表決の要旨を報告することにしてあらかじめ御承認を願うことに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/45
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046・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないものと認めます。それでは本院規則第七十二條により、多数意見者の署名をお願いいたします。
多数意見者署名
清澤 俊英 小宮山常吉
黒田 英雄 小林 政夫
愛知 揆一 森 八三一
大矢半次郎 松永 義雄
山本 米治 菊田 七平
岡崎 真一
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/46
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047・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) それでは所得税法の臨時特例に関する法律案について野溝委員より質問の申出がありました。差支えございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/47
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048・野溝勝
○野溝勝君 簡単に一、二点お伺いしたいと思います。所得税法の臨時特例に関する法律案ですが、これに関連して、先般大蔵大臣と、私との間に税収入の点、或いは減税という点につきまして論議を願つたのでございますが、所得の実情或いは減税の内容等がどうしても政府の言は正しく受取れないのでございます。そこでまだその疑問の点が一、二ありますので、更にそれを事務当局のかたがたからお聞きしたいのでございます。と申すのは、本年の九月電力饑饉に会いまして、生産は非常な減退をしたのであります。特に中小企業者の諸君は、この電力饑饉のために生産が六割に下つた状態であります。自家発電を持つておる大資本家は別でございますが、なお順位による重工業の第一位に属しておるかたがたはこれは別でありますが、それらの職種でない中小企業の諸君はこのために大きな影響と損害をこうむりました。なお中小企業に職場を持つている源泉所得の対象になつておりまする労働者の諸君は、この又煽りを喰いまして、手当の五割乃至六割ぐらいを支給され、そして税金のほうは存分に取られる、こういう状態で、この電力制限の影響というものは、中小企業以下の最低生活者を全くどん底にぶち込んだ。この点から見ても、日本の産業の中堅層をなしておる中小企業がかくのごとき経済的な被害を受けておるのであります。こういうのに対して、政府は依然として所得が今後増収するものという見通しの上に立つておるのか。又今後の予算編成に対して中小企業の損失の負担の点、或いはこれを埋合せをしてやるという考え方があるかないか。更にかような点で圧迫をこうむつておる労働者の勤労所得税に対して、税率の点或いは他の方法によつてこれを補つてやるということの考えがあるかどうか、こういう点について一応主税局長にお聞きをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/48
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049・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 御質問の趣旨、大分多方面に亘つていると思いまするが、一つは法人税の自然増収が果して見込通りに行くかどうか、殊に最近の情勢からしてどうかというような点であつたと思いますが、その点につきましては、先般もたびたび申上げました通り、大体大きな会社と中小の会社とを分けて見積りをいたしておりまして、その見積りの算定の基礎は非常に細かく明らかにいたしておりますが、大きな会社の分につきましては、大体今年の上期の決算、三月前後の決算に対しまして、九月前後の決算の収益が九割程度と見込んでおるのでございます。で、最近の状況から見ますると、毎日日本経済とか産業経済とかいう経済新聞に会社の決算状況が載つておりますが、これから見ますと、私、九割の見込をして決して過大じやないので、むしろ配当を増配しておるのも大分ございますし、油脂とか一部の貿易会社等におきまして欠損を出しておりますが、その他はおおむね良好な利益を挙げておるようでございますので、その点は大丈夫ではないかと思つております。今御指摘の中小の法人の場合は、大きな会社と一律の増加を見ておりませんので、或る程度低目に昨年度の所得に対しまして増加を見ております。その根拠は全部補正予算の説明というあの中に書いてございますが、内輪に見積りまして、そうして全体としまして法人税の収入を見積る次第でございまして、十月までの法人税の收入状況等先般お手許に更に追加いたしましてお配りいたしました資料でございますが、それから見ましても、法人税の收入は決して見込過大ではないと、かように考えておるような次第であります。
それから第二は、電力危機等で中小企業等の収入が減るだけでなくて、一般の労働者の収入が減つて、それに対して何か特別な考慮が払えないかと、
こういう点だろうと思いますが、その点につきましては、所得が減りますと実は税金は相当減るので、ございまして、前々申上げておりまするように、殊に勤労所得税は支払額に応じまして課税するわけでございますが、課税所得が二割殖えますと税金は三割も四割も殖える。反対に所得が二割減りますと税金は三割、四割も減るというふうに、控除の関係と累進税率の関係で所得税の増減は所得の増減よりも非常に著しく現われて来るのであります。従いましていろんな事情のために労務者が受けまする給與の金額が減りますと、所得税は相当自然に減るということになりますので、まあその点はよほど減つたことに応じまして所得税の負担が緩和されるということになるのではないか。ただ市町村民税だけは、これは前年の実績で課税いたしますので、所得が減りましても減らないわけでございますが、このほうは全体の所得に対する割合が少いのでございまして、所得税の大体一割八分ぐらいでございますから、先ずそれほど大きな影響はなかろうと思います。所得税自体といたしましては、非常に所得が減りますと負担もそれ以上に減るということになりますので、まあおのずから調整できるんじやないか。それより以上に更に減らすかどうかという問題でございますが、これはやはり所得税といたしまして、それぞれ少い所得でありましても、まあ一生懸命働きましてその所得しかない人もそれだけの負担をするわけでございますので、それ以上に更に一層減らすということにつきましては少しどうも行過ぎではなかろうか。災害に処しまして考えてくれという意見も私ども承わつておるのでございますが、災害等の場合におきましては、所得者が家財何かやられて損害があると、そういうようなものをカバーする意味におきまして所得税等も一定期間ぐらいを免除する場合もございますけれども、電力危機の関係で所得が減つた場合におきまして、そこまで行きますのは、どうも少しほかの所得者との負担の関係から行きまして行過ぎではないかというふうに考える次第でございまして、先ず今申上げましたように、所得が減ることによりまして、減つた場合におきましては、所得税が自然に相当それ以上に減りますので、まあそれで御辛抱願つたらどうかと、かように考えておる次第でございます。それからなお中小企業でもう一つ問題は、それじや非常に條件が惡くて欠損になつた、そういう場合にどうなるかという問題でございますが、この点につきましては、実は二十五年度の税制改革でまあ非常に実は合理化されておるのでございまして、欠損につきましては、法人につきましては、会社でありますれば一年間遡つて繰戻し控除をやる。で、前期分につきまして納めました所得税を返してやる。それからなおそれで返し切れない分は、あと五カ年間に亘りまして欠損の繰越控除を認める。それから個人の場合におきましては、繰戻しということは認めておりませんから、三年間繰越控除を認める。まあこういう制度を実は昨年から新らしく二十五年の改正により設けまして、そういう税法になつておりまするので、非常に條件が惡くて欠損になりましたようなものにつきましては、こういう規定の運用によりまして妥当な結果を得ることができるものと考えておるのでございます。で、なおやはり一部先ほど申しましたように、油脂工業とか貿易等で赤字を出しておるものもございまするし、或いは今後におきましてもお話のような例も中には或いはあるかとも存じまして、今回の補正予算におきましても、租税の払戻金といたしまして三十一億七千五百万円、予算といたしまして、総額の予算を出しておりまして、従いまして原因が明らかであり、事実はつきりしておる場合におきまして、成るべく早く返すべきものは返すという方向に今後処理するようにして参りたいと、まあかように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/49
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050・野溝勝
○野溝勝君 非常に御親切に御答弁願いまして、だんだん全貌がわかるようになりました。そこでいま一つお聞きしたいのですが、今局長のお話によりますると、まあ税收入のほうにおいては心配はないというような御意見でございましたが、先日も池田さんと私の質疑の際に、資料を示し滞納が一千億円からもある。その中には中小企業等が多いのです。その中小企業というのは局長から法人が大部分と言われましたが、まあ大部分法人ですからそう考えられていいと思うのです。大体この中でちつぽけな会社が今のところ払えないのが多いんです。こういう事情から見てもか弱い中小業者が如何に困つておるかということが裏付けられておるんじやないかと思うのです。これはいろいろ意見があるのでありますから、この点は私の意見だけで一つ御参考にして頂きます。次に電力制限による労働者の賃銀の切下げ、失業の点ですが、この点、局長の見解と私は違います。成るほど所得が減つて来れば、確かに源泉課税のほうではその率によりましてだんだん減らす。併し減るんであるが、この最低の生活をやつておる諸君は本当に最低ですから、そこで収入がないということになりますると、税金がその率で減らされておるから、大した影響はないと言うが、収入にも限界がある。若し最低收入の限界線を越えてしまうことになつて来ると、例えばこれは労働の強化と言いましようか、その会社だけの収入ではやつて行けないので、時間外に他の仕事をやるごとになり、労働の強化をして生活をして行かなければならんということになる。そうするとここで栄養分をとらなければならない。着ておる被服も破れ、損耗の率も多くなる、こういうことになるので、表に現われた点からのみこれを考えて、所得の多い者が少しぐらい所得の減つたのと違いまして、最低線の生活をやつておる諸君でございますから、収入にそこで半分ぐらいのあてがいぶちをくれて追払われたんではこれはどうすることもできない。そういう点から見て、私はあなたの見解とは違う。併し数字的にあなたのほうでその点においては大差はないというようなことでは済まされぬと思う。それから私が質問しようと思つたらあなたから言われた地方税の住民税のほかにいろいろな負担がかかるのであります。PTA指定寄附の問題なども従来の方針通り取られるのです。電力制限で手当が六割になつた、五割になつたから、それだけ地方税その他を減らされないのであります。右の点からも電力制限が如何に中小企業と労働者に経済的圧迫がなされたかわかると私は申上げたいのでございます。一つこの点に対してあなたはいま少し勘考し免税の点について或いは他の方法について研究し、成案を作る考えがあるかどうかと聞いておきたいのでございます。それから先ほど税法の改正によつて二十五年度の税法改正ですが、青色申告の際の欠損返還、それから納期の点等改正をされたことは確かに一つの進歩であり、発展でございます。この点をあなたが指されて言われたと思うのでございますが、併しこの青色申告の場合あなたの言われたように、例えば電力の制限によりまして生産が減退し、従来一千億を納めておつた、乃至は一千万或いは百万円、或いは五十万円でもそれはよろしうございますが、それが今度はこの電力のために半分の生産収入だという場合は、その半分の損失に対して青色申告する際欠損だという申請をすれば、それを計算して返してくれるというように私はとつておるし、又法文上そうとれるのでありますが、確かにそうか。又地方の出先機関が今本省の言われておるように決定的にこれがやられるかどうかという点。勿論やらなければならんことは当然でありますが、地方の出先機関というものは大よその枠がはめられておるらしく聞いておるのであります。そうするとそれだけの税収を図りたいというところから、折角立法の精神及び内容にありまする青色申告の欠損分について返還を実施するか、文字通りなかなか行かないということを私ども憂慮しておるのであります。というのは、以上述べた点から果して今後、例えば大きな枠をはめて、その税収入だけ取らなければならんとする方針が今日までの公式的なやり方であつて飽くまでも実情に即して、正しき申告乃至は要求に対しまして、それに基いて処置をするということを決定的にされるかどうかという点を一つお聞きして見たいと思うのであります。この二点だけ特にお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/50
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051・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 先ず最初の点でございますが、先ほど申上げましたところをやや具体的に、例えば例を挙げて申上げて見たいと思いまするが、月収一万五千円の労務者で家族が二人という場合でございますと、今7までの税法によりますと千六百八十七円負担して、これで一年でございますが、それが今度の改正法によりますと同じく一万五千円で千十五円に下ります。千六百八十七円の負担が千十五円に下ります。その人が今お話のような事情で所得が減つたと、仮に一万円に減つてしまつたということになりますと、今度の改正税法によりますと税額は百六十五円に下つてしまう。所得が一万五千円から一万円に下りますと、税金は、改正法で千十五円の税金が百六十五円に下つてしまつて、これは改正しておる所得税法の法律案の月額表というのがありますが、仮に一万二千円程度に下りましても五百五円、半分ぐらいになります。先ほど私申上げましたように所得の増減よりも、税額の増減というものは非常に甚だしく顕著に現われる、殊に低額所得者の場合におきましては特にそういうことが多いという一例を申上げて御参考にいたしたいと思うのであります。地方税のほうは今御指摘の通り、前年度実績を見ております。前年度の実績で見るので、一割八分ぐらいで釘付けでありますが、例えば所得税を去年月額千六百円負担いたしておるといたしますると、昨年度の所得でございますると一万五千円の所得で、低ければ別でありますが、仮に同じだと三百円近く負担しておる。ただ二割程度一般の所得が殖えておりますので、前年に一万二千円くらいのところでございますと税で約千円くらいになりまして、又二百円前後地方税を負担しておる。この方面は来年にならないと減らないということになります。これは確かにあるのでございますが、所得税の本税に比べますと税額が比較的少うございますので、それを考慮に入れましてもやはり全体としては負担が相当減るということに相成るかと思うのでございます。それから第二の点は、成るほど制度としてはうまく制度ができておるが、果して実行するかどうか、こういう御懸念は誠に御尤もでございますが、新税法の趣旨につきましても、大分徹底して参りましたし、殊に私ども、国税庁も同様でございますが、税務署は税法を適正に実行するということが一番の任務であります。必ずしも余計にとるということだけを本分にしておるものではなく、やはり返すべきものは速かに返すということによつてのみ納まるべきものが早く納まつて行く、従つて返す場合も一生懸命やつてもらいたいというので、最近そういう趣旨が国税庁からもたびたび末端に伝達されておりまして、よほど徹底しかけておるのであります。ただ完全に行つておるかということになりますと、御質問を受けるだけの或いは資格しかないと思うのでありますが、予算の点につきましても、今申しましたように、返すべき財源がないということは言い得ないように追加予算で組んでおります。その点につきましては一層末端を督励いたしまして、税法上返すべきものは当然早く返すということになお一層末端におきましても監督し、鞭撻したいと考えております。なお先ほど個人につきましてこうした取戻しがないと申上げましたが、これは私の思い違いでございまして、個人の負担につきましても、青色申告の場合におきましても、欠損は前年分を通算いたしまして返すべきものは返すということになつておるのであります。附加えて申上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/51
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052・野溝勝
○野溝勝君 主税局長に対する質問はこの程度にとどめておきます。今お話がありました通り、政府のほうは取るものは蜘蛛の巣まで取つて行くし、出すものはなかなか理由を付けて出さないというのが癖でございますから、是非そういうことのないように、一つやつてもらいたいと思うのであります。
次に中小企業庁長官にお尋ねいたしたいのでありますが、九月以来の電力問題で先ほど申した通り、中小企業の諸君は非常に迷惑をし、困つたことはあなたとしても十分体得されておることと思うのでございます。そこで中小企業庁の長官といたしましては、この電力制限の処置に対しまして如何なる処置をとられたか、それについてお聞かせ頂きたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/52
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053・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 電力不足によりまして中小企業の操業に相当な影響を来たしておりますことは御指摘の通りであります。極く大ざつぱに申しますと、九月あたりではひどい地域は大体三割ぐらいの操業短縮になりました。十月になりましてなお進みまして四割見当の操短を来たしたものも相当あるようです。これは勿論業種によりまして大分違うのでありますが、大ざつぱに申しますとそういうような状況でございます。特に業種としてひどいものを申しますと、例えば鍍金、繊維の一部というようなものは相当ひどうございました。これらに対しましてどういう措置をとつたかということにつきましては、先ず全体的に電力量を増強するという一般対策、それならすでにお聞き及びの通り火力のフル運転、或いは重油の使用というようなことがございます。或いは自家発の動員というようなこともございますが、そういうふうな一般的な方策によりまして全体の配電量を殖やすというようなことを先ず基本的に考えましたが、中小企業の問題につきまして先ず一番困つていました問題は、いわゆる配電が計画的に来ない。いわゆる時間がはつきりしない。従いまして折角配給されました電力が能率的に使えないという点で非常に苦情が実はあつたのであります。この点につきましては、私のほうといたしましては、公益事業委員会のほうに強く要請をいたしまして、少くとも産業的に計画的に使えるような送り方をしてもらいたい、こういうことを強く要望いたしておるわけであります。順次その要望が電力会社等に徹底いたしまして、かなりの改善を見て来たようであります。それからもう一つの問題は、大企業と中小企業の関係で、いわゆる休電日の問題でありますが、これは地域によりまして大企業は二日休電、中小企業のほうは三日休電というようなことがまま行われておつたのであります。これは同じような休電の問題をやるに当りましては、同じ日数にして行くということが当然でありますので、これを公益事業委員会にいろいろ話をし、漸次変えて参つておるわけでございます。これらはまあどちらかと申しますと、消極的な一つの対策になると思うのであります。併しこれによりまして中小企業の操業が比較的にいわゆる効率的に電気を使い得る、こういうことになるのであります。それからこれも大きな効果というものは期待できませんが、私どもとして只今進行しておりますのは、いわゆる石油発動機というものの活用ということについて努力をしておるのであります。これは直結モーターを使わない限りは、これを動力源として利用できませんが、石油発動機は生産能力は非常に少いのでありますが、現在遊休になつておるものが相当あるわけであります。これの活用を図る。更に農業方面におきます脱穀調製に使う石油発動機の借用使用ということにつきましても農林当局と話をしまして、大体十一月の末から、十二月頃から漸次そういうことをやつて行こう、こういうようなことで両省の通牒を関係府県に出しておる次第であります。その際に問題になりますのは、結局石油の特配をしなければうまく行かないのでありまして、石油の特配につきましても安本と打合せをいたしまして、必要な量を出すということを進めておるわけであります。こういうような措置をやりまして、大体私どもが目標にいたしておりますのは、中小企業の普通の状態において使いますいわゆる電力量の一割ぐらいをそれによつて代替できるのではないか、数量で申しますと十六万馬力ぐらいのものをそれによつて代替して行く、こういう方針で実はいろいろ手を打つておるわけであります。こういうようなことによりましてこの渇水がいわゆる三月の豊水まで続くものといたしましてその間にそれによつて少しでも操業度を高めてもらいたい、こういうようなことを考えております。ただ石油発動機を使います場合、コストの問題に苦干問題があるのでありますが、火力用の料金と同じに近い程度実は考えております。それで操業度を上げることによつてカバーできはせんかというふうに考えているわけであります。それからまあ中小企業向けの電力の増強方につきましては、今申上げましたような手を打つているわけでありまするが、中小企業が生産が落ちて来たことによつて資金繰りの問題が当然に起つて来るわけであります。時たまたま年末に際しておりますので、その問題が二重に厄介な問題になつて来るわけであります。この問題につきましてはどういうふうに考えて行くかというような問題につきましては、非常にむずかしい問題でありますが、私個人といたしましては、先ずこの資金需要というものが地域により、或いは業種によつてそれぞれ事情が違うのであります。従いまして地方の事情によりましていろいろ手の打ち方というものを変えて行かなければならんというふうに思つております。そこでできるだけ地方から資金をこちらに流すということも可能な範囲において努力をいたしたいと思うのでありますが、基本的には私は中小企業のある当該地方公共団体というものの御盡力を是非一つお願いしたい。そのためには地方公共団体といたしましては、例えば最近大阪府におきまして特に五億円という金を出し、これも金融機関に預託をいたしたわけでありますが、この金も短期の融資になりますので、この回収という問題を当然考えなければならない。そこで別途実は国会の御審議を願うことになつておりますが、いわゆる各府県にあります信用保証協会の保証機能を一つ拡大して、そこで一つ地方の資金を、これを臨時に動員してもらおう、こういうふうな考え方をいたしているのであります。で保証協会につきましてはすでに御承知の通りだと思うのでありまするが、現在その活動の機能が殆んど限界に来ておりますので、今度政府がこれを再保証をする、五〇%の案で実は御審議を願うことになつておりまするが、それを五〇鬼政府が保険をする、実質的に再保証をすることによつて活動が倍になると量的に考えられますので、この電力問題等の金融に関しましては、その線を極力活用して頂いて、地方資金をできるだけ廻して行くというふうに各府県にお願いいたしたいと考えるのであります。で中央の政府としまして資金をこのためにどう流して行くかという問題につきましては、全体にいろいろの問題がございますが、私どもといたしましては、中小企業にどうしても年末金融と並んで一緒になりますが、そこら辺はむずかしいと思いますが、できるだけ一つ臨時の資金を流すということで、今各方面とお話を続けている、こういう状況にございます。以上簡単でございますが御説明申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/53
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054・野溝勝
○野溝勝君 大体企業庁で考えている中小企業の考え方はわかりましたのですが、何か問題があつて、後から後から考えられるのでは駄目だ。その前にですね、この手を打つ、完全なものでなくても立てておくべきである。例えば九州などの電力事情は制限されて困つたんですが、九州の中小企業の業者は地元の火力を利用し、発電を起し、それで生産を補うということで努力したわけなんです。ところがみすみす石炭原料があつてもその石炭を利用することができない。そういうようなときは、通産省の同一官庁である石炭庁と中小企業庁とがもつと敏速にこれが対策を立て、すぐ実践されるというふうに思つておつたんです。ところがなかなか埒があかないんです。何故政府は一体火力発電を利用して電力の不足を補うという措置がとれなかつたかということをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/54
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055・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 全体的に電力が減りまして、いわゆる自家発の動員の問題ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/55
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056・野溝勝
○野溝勝君 火力発電。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/56
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057・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 自家発という問題につきましては、いろいろ部内で検討をいたしておつたわけでありますが、特にコストの問題等についても若干の問題がありまして、少し延びたのでありますが、これは今回政府の決定によりまして実施に移すということになつたわけであります。いわゆる遊休の火力発電、自家発電として余力のある、余つているやつ、それに炭を喰わして電気を出して行く。そうして余れば他に廻すということに方針が決定いたしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/57
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058・野溝勝
○野溝勝君 時間ももうありませんから、私は細かい数字は一々例に挙げて質問することはやめますが、大ざつぱに筋だけもう一点聞いておきたいのです。中小企業は非常に困つている、それだから電力不足に対する対策の緊急実施が必要です。そのうち第一問題は資金対策だけになつて来るというお話ですが、その資金対策の点は、これは当然やらなければならんのでありますが、生産減収で損失をこうむつた中小企業者に対して企業庁は調査の上税金の問題などについて大蔵当局と折衝をしたことがあるかないかという点を一つ聞いておきたいと思います。更にいま一つは、非常に資金対策で努力されているようでございますが、これはただ努力をしているということでなく、軍に信用保証協会だけじやなくて、その他の国の財政施策に対しましても一段と努力を願いたいのであります。これは強く昭和二七年度予算に立証させるよう希望します。税金措置の点に関し長官は大蔵当局との間に課税の問題について具体的に折衝したがということについて、一つ御答弁を願つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/58
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059・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 私どもとしまして、お尋ねの点でいわゆる中小企業の税金と一般問題……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/59
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060・野溝勝
○野溝勝君 電力の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/60
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061・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 電力不足に伴いまする税金問題というものは正式に御相談をしておりません。大蔵省と交渉したか、こういうお話でございますが、まだそこまで行つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/61
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062・野溝勝
○野溝勝君 大臣であれば大いに抗議を申込むところでありますが、まあ企業庁長官でありますから私は抗弁しませんが、かようなことでは情けなくなる。いわば中小企業庁長官は中小企業者の行政の指導に当られている方であつて、中小企業の諸君がかような窮乏と不安な状態に陷つているときは親切に聞いてやつて、税金の問題があつたならば、電力の影響のためにこれこれの損をしている。具体的に被害をこうむつたり、損失を受けた業種並びに額等をよく調査して、その資料に基いて大蔵当局と折衝をし、何とか少しでも中小企業者に、成るほど政府は努力をしてくれた、指導官庁である中小企業庁はよくやつてくれたということだ私は見せてくれなければ、業界は萎縮する。今後産業の中堅をなすべき中小企業にかような不安を與えることはよくないと思う。特にあなたも長官になられて経験されておると思うのですが、全く農村と中小企業との金融措置は実に哀れなものである。全くかような点では圧迫産業とも言われておる。こういう点からも私は資金面などあなたが努力されておつてもなかなか思うように行かんと思う。せめてこういうような被害を受け、悲惨な目に会つたとき幾分でも政府は目を明いたという行動を見せるような努力を願わなければならんと思うのです。この点はただ聞き放しにするわけにはいかんのでありまして、折角主税局長と中小企業庁長官をここにお招きして私が聞かんとするのは、かようなところに私の底意があるのですから、私の質問は希望的意見を加えての質問でございますが、これに対して中小企業庁長官の心がまえを聞きたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/62
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063・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 私どもは電力危機に際しまして、中小企業の直接受けているいろいろの操業度の低下を、それをできるだけ一つよくして行ごう、先ず操業度を高めて生産能率を上げるということが中心的に先ず第一歩としてやつて行くべき途であろうと実は考えまして、先ほど申しましたように、あつちこつちと話をして手を打つているという実は状況でございます。それからそういうふうな先ず操業度を上げて行くということが一つ。それにいたしましても現下の電力一般の事情は御指摘の通りでございますので十分賄い切れないので、実は資金問題にしわ寄せが来るということも考えなければならんと思つております。その資金問題もできるだけ一つ中小企業のほうに手を伸ばすようにと言つて努力をいたしておるのであります。税金問題につきましては、私も頭には実は十分持つております。ただ差当りの問題としてとにかく今申上げましたような順序で実は手を打つて参つておりますと率直に申上げておるわけであります。税金の問題につきましては、これは一般の税制の問題につきましては、私どもといたしまして特に零細企業の面におきまする税制の、いわゆるもう少し何とかならんかという考え方を従来持ち続けて参つておりますし、それをどうしても貫徹して行こう、こういうふうな考え方を実はいたしております。中小企業の一つの具体的な現われとして中小企業者の苦しむところは一つは資金の問題、一つは税金の問題として実際出て参りますので、その税金の問題を十分頭に置いて、特に電力不足に際しまして、これからの問題としましては、御指摘の点は十分手を打つて行こう、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/63
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064・森八三一
○森八三一君 これを以て私打切りますが、企業庁長官もお聞きであつたと思うのですが、先ほど主税局長の答弁の中にもありましたように、昭和二十五年度の所得税制度の改正によりまして、御承知のごとく青色申告をするその際に、今のようないわば電力の不足のために非常に生産が落ちたというような事態を証明すべきものがあれば、その欠損分としてこれをみなすということをはつきり言つておるし、又法規にも出ておるんですから、あなたの企業の操業度の増進、資金の点、そういう点についての御心配、御配慮を願わなければなりませんが、一段とこういう面の折衝もして、幾分でもこういう災難と言いましようか、生産減退をした中小企業者に対して負担の軽減というものについて努力を願いたい、こう思うのです。私はこの点をあなたの一つ努力されるという確約を願うならばこれを以て質問を打切りたいと思います。特に主税局長とあなたをお招きしたという理由はそこにあるのですから、そういうようなことを御配慮願うという御答弁を伺つて質問を打切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/64
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065・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 先ほど私が申上げたようなそういう配慮は十分頭に置いておくということは申上げた通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/65
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066・小林政夫
○小林政夫君 今度の法人税の引上げについて、あなたの所管になる中小法人について、今のような一律に二割を引上げる税金について長官はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/66
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067・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 私は税制のことは詳しくは存じませんが、中小企業のいわゆる企業形態を見ますと、法人形態のものと個人企業のものと両方になつております。同じような営業をいたしておりますが、個人と法人によつて税金に大分出遅いが出ておると思います。そこでまあ今回法人税の引上げいということにつきましては、その釣合いという点から見ると、私は止むを得ないかというふうに実は考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/67
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068・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) ちよつと御報告申上げます。本日午後に予定されております專売裁定に関する連合委員会を開くかどうかということにつきましては、先ほど御懇談願いました通り、右に関する法案が撤回される模様だから撤回されるや否やが正式に確定するまで連合委呉会を延期することを労働、人事委員長に申出たところが、労働委員長からは承知したという回答がありましたが、人事委員長は予定通り連合委員会を開くことにしてもらいたいという意見がございますので、一応午後の連合委員会は予定通り開くことになつております。
それでは本日の大蔵委員会は散会いたします。
午後零時四十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01419511115/68
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