1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十一月二十一日(水曜
日)
午前十時五十七分開会
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出席者は左の通り。
委員長 平沼彌太郎君
理事
大矢半次郎君
清澤 俊英君
伊藤 保平君
木内 四郎君
委員
愛知 揆一君
岡崎 真一君
黒田 英雄君
山本 米治君
小宮山常吉君
小林 政夫君
田村 文吉君
野溝 勝君
松永 義雄君
菊田 七平君
森 八三一君
政府委員
大蔵省主計局次
長 東條 猛猪君
大蔵省主税局長 平田敬一郎君
大蔵省理財局長 石田 正君
農林政務次官 島村 軍次君
農林省蚕糸局長 青柳 確郎君
中小企業庁長官 小笠 公韶君
事務局側
常任委員会專門
員 木村常次郎君
常任委員会專門
員 小田 正義君
説明員
通商産業省通商
雑貨局紙業課長 矢野宏太郎君
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本日の会議に付した事件
○行政機関職員定員法の一部を改正す
る法律案に関する件
○関税法等の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○糸価安定特別会計法案(内閣提出、
衆議院送付)
○昭和二十六年度における給與の改訂
に伴う国家公務員共済組合法の規定
による年金の額の改定に関する法律
案(内閣送付)
○旧令による共済組合等からの年金受
給者のための特別措置法の規定によ
る年金の額の改定に関する法律案
(内閣送付)
○旧外貨債処理法による借換済外貨債
の証券の一部の有効化等に関する法
律案(内閣送付)
○所得税法の臨時特例に関する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○法人税法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法
律案(内閣送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/0
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001・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) これより第十七回の大蔵委員会を開会いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/1
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002・大矢半次郎
○大矢半次郎君 昨日行政機関職員定員法の一部を改正する法律案につきまして、当委員会といたしまして内閣委員会に申入れをするほうがいいではなかろうかということでありまして、小委員を設けていろいろ相談いたしましたが、この結果一つの成案を得ました。今それを読上げます。
「行政機関職員定員法の一部を改正する法律案」に関する申入
「行政機関職員定員法の一部を改正する法律案」中当委員会の所管の大蔵省関係の審議に当つては、十一月十九日開催された内閣・大蔵連合委員会の審議経過を尊重し、租税の公平なる負担を期し、国費使用の適正を図るに必要なる要員を確保するため特段の配慮を煩したい。
右、当委員会の全会一致の決議に基き申入れする。
以上の通りであります。右御報告申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/2
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003・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 只今大矢委員から昨日の小委員会の結果の報告がありました。この通り内閣委員会に申入れをすることにいたして差支えございませんか。ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/3
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004・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 速記を始めて。それではこの通り御賛成頂いたことにして内閣委員長にこれを送付することにしてお差支えございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/4
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005・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。そのように措置いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/5
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006・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 次に関税法等の一部を改正する法律案を議題として質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/6
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007・田村文吉
○田村文吉君 昨日お伺いいたしたのでありますが、今度新聞紙の輸入税を当分免除する、こういうことになるにつきまして、実情は昨日の御説明によりますというと、新聞紙プロパーのものと、その他の代替紙、いわゆる印刷紙ですね、印刷紙が月に八百万ポンド程度代替されている。こういうことでありましたが、そこで問題は、一方においてそういうような印刷紙には物品税を取つておいて、そうして一方に新聞紙を無税にする、こういうようなところが矛盾しておりやせんか。さようならば当然もう少し国内の印刷紙の製造を、奨励するまでではなくても、製造をチエツクしないように、物品税を廃止するということが当然必要になつて来る措置じやないか、その点をお伺いしたいのです。その点につきましては主税局長としてはどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/7
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008・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 今回の関税定率法の改正につきましては税関部長から御説明申上げた通りだと思つております。物品税との関係につきまして若干補足して申上げておきたいと思いますが、物品税におきましても、実は新聞用の巻取紙は、これは新聞用巻取紙といたしまして課税しないことにいたしております。そのほか更に、今年の八月八日に大蔵省告示を以ちまして指定しました巻取紙以外の日刊新聞紙の用に供する新聞紙代替紙と申しますか、そういうものにつきましても今年の八月から新聞に使われるものにつきまして減免、免税する、こういうことにいたしている次第でございまして、新聞に使用されるものに関する限りにおきましては、大体歩調を一にしている次第であると考えております。更に進みまして紙の物品税をどうするかという問題でございまして、これは物品税におきまして一番低い五%の税率を紙に対しまして課税いたしているわけでございまして、財政需要と睨合わせつつ検討はいたしておりますが、何しろ物品税の総体の收入のうちで紙の物品税は相当な收入を占めておりまして、今後において物品税の減税が、先般から申上げておりますように、財政需要におきましてなかなかむずかしいといたしますれば、とにかくその紙につきましても、新聞用紙以外のものにつきましては現行通り据置かざるを得ないのではないかと考えている次第でございます。併しその辺のところにつきましては、この次の国会までに更によく検討いたしまして、妥当な結論を出すようにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/8
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009・田村文吉
○田村文吉君 今の新聞紙の用途になるものに対しては、物品税は免除されているということはわかるのでありますが、一方において紙が足らないために外国から紙を輸入して、すでにこの契約のできたものだけに対しても約七億円のアメリカに対する外貨の支払をしなければならん。恐らくはこれが続きますと、明年度は二十億からのものが払われなければならないことになるのではないか。そういうように、それでなくてもドルの不足している際に、ドルを支払わなければならないようなことならば、国内における紙の製造というものをもつと増加するということを考えなければならん。然るに一方においては印刷紙というものに対して税金を取つている。和紙とか、板紙というものに対しては免税になつている。ところが大事な大衆性を持つているものに物品税をかけておいて、そうして一方に外貨をたくさん支払わなければならないようなものに対して免税にする。こういうような点が何か私は非常に矛盾しているように考えられるのでありますので、私はもう少しその点について、ただ物品税の税額が多いから、紙の税額が多いから残しておくのだということではちよつと理窟にならんと考えるのでありまして、この新聞紙の無税ということが果して三月一ぱいでおやめになるのか。若し三月以後もこれを継続するというようなことが起る場合には、当然そういう物品税というものを考えて欲しい、こういうふうに考えるので、主税局長はそれまでのお考えをお持ちになつていらつしやるかどうかということをお伺ひいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/9
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010・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 今お話のように、新聞用紙につきましても、私どもできる限り国内で自給を図るという方向に推進し、更にそういうことに一層努力すべきだということにつきましては、田村委員のお話と同じような考え方を持つているのでございます。ただ現状におきましてはなかなかそのような計画が、なお具体的に新聞用紙の需給を満足せしめる段階まで至つていない。而ういたしまして価格の点から申しましても外国の高い紙をやむを得ず買わざるを得ないという事情でございますので、関税としましても暫定的に免税にするというほうがいいのではないかということで、本案を提出いたした次第でございます。
なお、それからいま一つは新聞用紙以外の紙に対しまして物品税を課税した結果、将来における国内の新聞用紙の生産の増加に悪い影響を與えるかどうかという問題であろうと思いますが、その点は私は別途に新聞用紙の増産政策をやりますれば、それほど直接悪い影響を與えるということにはならないのではあるまいか、やはり一般の紙に対する物品税の課税の問題は、物品税全体の課税の関係並びに新聞用紙以外の紙の需給状況等から考えまして、妥当な結論を出すようにしたらどうであろうかと、かように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/10
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011・田村文吉
○田村文吉君 まだ他に御質問のかたもあるようでありますから、主税局長がお急ぎであれば、私は紙業課関係のかたにお伺いしたいのでありますが、取りあえず他に御質問があれば……主税局長のほうの……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/11
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012・野溝勝
○野溝勝君 田村委員とは別の角度で平田主税局長に二三お伺いいたしておきたいと思います。昨日の本委員会におきまして関税法が上程された際その説明を聞いたのでございますが、今申された通り何もこの高いものを外国から強いて買う必要は私はないと思うのです。絶対必要であるからこれは買わなければならんのですが、その場合は最少限度にしたほうが日本のドルを維持する上から言つてもよいのでありますし、更に日本の財政施策或いは金融政策等を考えるならば当然であります。むしろ日本産業の、近代的工夫をこらせば能率が非常に上るとも輝いておるのでございます。さような方向に努力をしなくて、徒らにアメリカから高いものを買つて来て、それによつて運営しようということは日本経済の損失と思ふがどうか。更にその上にですよ、免税をしてやつてより一層多く入れようというようなことは、これは外国資本に追従するものであつて、この考え方は日本の自主性を欠くと思います。そこで今お話がございました通り本委員会へ回付された物品税法のうちの提案されている洋紙課税の取扱に対する政府の態度と矛盾するような気が私はするのです。前年平田主税局長は森下委員の質問に答えて、間接税を多くとるようにして、日本の財源を殖やすということは一応考えられるけれども、併しこれは税の対象とはならんというようなことを言われております。いわば国家財政の計画に対する具体性をつかむことができないという答弁でありました。してみると、一方においては外国の高いものを買入れるごとに窮々としながら、一方においては国内の関係業者を脅かすようなことをするために税根幹の具体性のないような物品税を残して置くというのじや、余りにもこれは大蔵省の税に対する一貫性がないと思う。こういう点を先ず一つお聞きして置きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/12
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013・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 新聞紙に対しまして臨時の免税を設けました理由につきましては、たびたび税関部長或いは私から申上げた通りでありまして、現在新聞用紙の需給が非常に逼迫しておりまして、外国からでも輸入しなければ間に合わない、輸入するといたしますれば国内の紙よりもなお高い紙を輸入しなければならない。それでもなお輸入しなければ間に合わない。併し外貨のことでありますので、その割当は成るべく少いのは望ましいのでございますが、それにもかかわらずやはりこの輸入せざるを得ないということになりますと、差当りといたしましては関税を免除するということが一つの考え方であろうと私ども考えるのでございます。ただ先ほど申上げましたように根本的には田村委員からもお話が出ましたように、一刻も早く国内で生産の増加を図りまして、外国輸入が必要ないようにする、そういうことが前提になりまして、そういうことをするためにこの関税率を盛る必要がありますれば、これは私は免税するのはどうかと思いますけれども、今の価格の状況から申しますと、新聞用紙の今後の生産を図る上において関税をこの際暫く暫定的に課税しないことにいたしましても、これは別に大した支障がない。こういう考え方でございまするので、私どもも暫定的にこの新聞用紙の免税ということに賛成いたしたような次第でございます。
それからもう一つ物品税の税の体系における一つの御議論でございますが、これは私も先般も申上げたかと思いますが、間接税の中におきましていろいろ税がございますが、将来財政需要が増加した場合にどういうふうに持つて行くか、これは一つの問題であろうと考えます。考えますが、物品税につきましては先般も申上げましたように、差当り昨年は、昨年と今年の一月にそれぞれ二回に亘つて相当の減税をいたして来たわけでございますが、今後の財政事情からいたしますると、ちよつと減税はむずかしかろうということを申上げたのでございます。で、更にそういう方面に対して大幅の増收を図り得ることができるかどうかということになりますと、これは今野溝委員のお読上げになりましたように、私別に見解を変えておりません。今までの物品税とか間接税、純粋の消費税で特に大きな増收を図ることができるかどうかと申しますと、私はそれほど期待はできない、ただもう一歩進んで考えますと、外国では売上税とか取引高税といつたような一種の純粋間接税と申しますか、そういう課税が相当行われておる事実がございますが、そこに行かない範囲内におきまして、そう大きく期待するわけに行きませんと思いますが、然らば減税できるかと申しますと、どうも今後の状況から申しますと、それもむずかしい段階になつて来つつあるのじやないかということを申上げた次第でございます。で、新聞用紙の税の減免の問題と、物品税のあり方の問題とは今日角度が違いまして、変えて頂く必要があるのじやないかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/13
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014・野溝勝
○野溝勝君 私のいうのは、こういう一つ見解から出発しておるのです。というのはどうも新聞用紙は政府では非常に公共性、社会性から強く考えられておつて、その税制対策を立てておるらしいのですが、併し新聞用紙と同様な社会性、公共性を持つておるものもあると思うのです。例えばこの洋紙の中でも、まあ多く使われるのは何といつても学校教育等に多く使われる、洋紙も社会性、公共性を持つておると思うのです。どうもやはり新聞というと、我々は一つの威圧を感じておるような気持がするので、より一層それは社会性、公共性を持つておることは当然ですが、併しだからと言つて他のものよりは比較にならんというような、このウエートを作るのもどうかと私は思うのです、そこでそういう観点からするならば、当然私は他の洋紙に対しましても特に学校文房用具、或いはその他公共社会性に使われるような洋紙に対しましては、新聞用紙同様な扱いをするという考を持つべきである。それでなくては論理一貫しないじやないかと思います。特に御指摘になりました通り物品税につきましては大体臨時的な性質を持つておるものでありまして、特に多くは奢侈的なものを対象にし、多くをこれに含ましておつたわけなんです。この税を立てるときには政府の趣旨といたしましては戰時税なのです。ところが生活品でない花輪だとか、愛玩用動物とか、盆栽とか調味料というようなものはどんどんこれは無税にし或は減税、或いは免税してしまつておきながら捕捉し易い、そうして大衆の利用性を持つておる洋紙に対して、これに課税するというようなことになりますならば、結局これはメーカーが税金を支払うようであつて、その実は下へ卸すときに販売店なり或いは小売なりに卸すときにちやんとそれを織込んでおるのですから、結局買う大衆が税金を買つておるようなものだ。これでは私は政府の考えておる方向には参つておらんと思うのです。むしろメーカーの儲け過ぎでいみんというならば、私がたびたび申上げております通り所得税で捕捉したらいいじやないですか、或いは今のような安い法人税でなくて法人税率を引上げて、とれるだけ増税して捕捉したらどうですか。私は幾らでも方法があると思うのですよ、大衆に転嫁されることのはつきりしている洋紙物品税存置には反対です。大蔵省の考え方は悪く解釈すれば大衆課税へ転嫁させようという狙いであるのじやないかと、私は見ておるのですが、そういう点に対する平田主税局長の御所見を聞いておきたい。特に先ほど来申しました通り、関税法等の一部改正で高い新聞用紙を買つておるのだが、質の悪い新聞用紙であるらしい。日本の用紙に大体近いものらしいという話を聞いたのだが、それなら静岡県あたりでできる仙花紙を改良すれば非常にいいのができる。そういうのをむしろ新聞用紙に使わせるような方法にしたならば、輸入数量をもつと減らすことができる。かくては国家の財政もよくなる、かように考えておるのでございますが、この点に対する主税局長の御所見、この二点を一つ関連をしておりますので、御答弁を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/14
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015・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 今最初に野溝委員からお話になりましたこの新聞以外で公共用と申しますか、相当免税して然るべきものがあるのじやないかというお尋ねでございますが、それに対しましては実は現在も免税いたしておりまして、教科用図書について文部省において著作権を有し、又は検定をなしたものの用に供する分、これは物品税を免税いたしております。それからそれだけではなお不十分だという議論がありまして、これも告示で文部省の選定にかかる小学校児童用又は中学校生徒用、高等学校以上はやつておりませんが、中学校以下の学習上の用に供するもの、これも同様に物品税を免税いたしておりまして、大体御趣旨のような線に物品税につきましては、現在も第一段のお尋ねに対していたしておりますことを御了承願いたいと存ずる次第であります。
それから第二の問題は、もう少し物品税を奢侈品だけに限つたらどうか、こういう御意見でございまして、これも私どもは一つの御尤もな御意見だと思うのでありまするが、大体物品税につきましては奢侈品と準奢侈品みたいなものを中心にして課税するという考えであります。ただこの純粋の奢侈品だけに限るということになりますと、実は範囲が非常に制限されまして、物品税の收入が十分の一にもなつてしまう、で今の例えば甲類だけの物品税でございますと、收入が全体の十分の一以下くらいでございます。その辺のところでございますと、誰でも文句のない奢侈品だけでございますが、以下順次下るに従いまして実はいろいろ議論がある、下るに従いまして……。従いまして私どもとしましては税率を逓減しておるのでございます。最高五〇%から最低が五%でございます。約十倍の開きがあるのでございますが、この商品の性質に応じまして奢侈品には最も高く、以下下るに従つて順次低い税率で課税いたす。それで物品税を考えるにつきまして、それによつて十分、百三、四十億の收入を挙げるということになつておるわけでございまして、全然免税してしまうか、或いは免税しないにしましてもその用途の如何によりまして、低い税率で辛抱してもらう、課税する。こういう一つの課税の体系をとつておるような次第でありまして、これも私一つの行き方だと思う。御趣旨の通り純奢侈品だけに限るという考え方も一つの行き方だと思いますが、その辺のところはやはりそのときどきの財政事情とも睨合わせまして、物品税を負けてむしろ所得税のそれだけ増を図つたほうがいいか、更に法人税を一層上げたほうがいいか。これはいろいろ問題がございますが、私どもはそのときどきの情勢におきまして、物品税がこの程度まで行くなら所得税はこの程度、法人税はこうと、それぞれそのときのいろいろな所得なり消費の状況に応じまして、バランスがとれるように極力配置いたしまして、均衡のとれた租税体系を打立てて行こう、こういう努力をいたしておるわけでございます。
それからもう一つの問題は仙花紙等を新聞用紙にもつと使つたらどうかというお尋ねでございますが、その辺の技術的なことになりますと、私素人でちよつとわかりかねまするので、或いは通産省で見えておりましたらそこからお答え願つたほうがいいかと思います。新聞に供されまする紙につきましては、物品税は今申上げましたように免税するということにいたしておりますことは、先ほどから申上げておる通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/15
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016・田村文吉
○田村文吉君 通産省のほうの御答弁は後でお答えを願うことにして、丁度今お話が出たのでお伺いしたいのですが、それは私ども自体から見ても、大体今日の税制というものに対しては、余りにも直接税が多過ぎる。例えば所得税のごときは戦争前に比べると、金額は千八百倍になつておるというような非常にアブノーマルな数字になつておると、こういう点から言つてもつと舎修品だけに課税するということは、この際インフレを抑止するということから当然なことであるというふうに考えて、その意味から言つて物品税、或いは奢侈税というものに対して根本的に反対するわけではないが、併し同じ物品税の中にでも、例えば友禪緬綿のようなものは無税であるが、大衆が使う雑誌等の紙は課税されておる。而も紙の中でも、板紙、和紙のような高級的なものは割合に無税になつておる、そして大事な国民の食糧みたようになつておる用紙に税が多い。余計にとれる、とり易いという理由で税を取つておるというところに非常に矛盾した点があるものですから、そこでこの点は、主税局長としては今日新聞用紙の輸入税を免除なさるように、当然そういうことをお考えにならなければならないのではないかということで、こういうことを伺つておるわけです。それに対してはただ税を余計とれるからこの点だけは残すという……奢侈品の友禪縮緬、そういうものに対しては無税であるけれども、紙はとり易いからとるというのでは国民は納得できないだろう。こういうふうに考えるのですが、その点についてどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/16
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017・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 今、奢侈品に対しては重課するという御議論でありますが、これはそれ自体といたしましては、私どもも御尤もな御意見だと思うのであります。ただ先ほど申上げましたのは、そういう課税に対して一体どれほどの收入が期待できるか、そこに非常に問題がありまして、奢侈品に重課するならば、何人といえども異存はない。奢侈品でございますね、実はどれを奢侈品にするか問題がある。ピアノ等も奢侈品だと言う。私直接或る相当な人から意見を聞いたことがありますが、音楽界で、これは必需品の最たるものであるから免税すべきである。こういう意見も実は非常に堂堂たる人から聞いたこともあるような次第でございまして、物品税の中でも非常に意見が分れております。で、織物の場合におきましても、いわゆる高級品の中でも何人といえども高級品とみなすものは、これは額から申しますと、実は比較的少い。少いが、残して置くべきでないというのは、これは一つの立派な御意見だと思う。併し奢侈品に課税することによりまして、例えば物品税の場合におきましても、紙の課税をやめても大した收入の減は来たさないかということになると、なかなかそうは行かない。いわんや二千億、三千億に上りますところの所得税を、それによりまして、相当大幅に減らすとか、何とかいうことまではなかなか行き難いような次第でありますので、税の全体のシステムからいたしますと、やはりひとり奢侈品だけでなく、間接税におきましては、或る程度国民が広く消費するものにまで、課税を及ぼさなければ所期の收入を挙げ得ない。それは先ほど申上げましたように、所得税の免税点をどうするか、それから間接税をそういうものにかけた場合に一体どのほうがいいか、各般の見地から考えまして妥当な結論を下すようにしたほうがいいじやないか。田村委員の言われました奢侈品に対しまして、者きるだけ課税すべきだ、この議論は私ども一向異存はないのでございますが、全体としましての税の作り方と申しますことになりますと、いろいろ又考えなければならない問題が起るということを一つ申上げて置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/17
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018・田村文吉
○田村文吉君 今のピアノが奢侈品でなくて紙のほうが奢侈品だという考えであればこれは別ですけれども、これは国民の良識が判断することでありまして、もうこれは別に説明を加えなくてもおわかりだろうと思いますが、そういうようなアブノーマルな話は別にいたしまして、物品税というものが或る程度までそういう意味で役立つからお取りになつておるのもいいが、さつき申上げたように、同じ紙の中にも三種類区別なさつていらつしやる。それは理由は何か、又友禪縮緬のようなものに、又ピアノのようなものは税が少い。併し用紙には課税しておる、こういうようなことが一体正しいとお考えになるか、ただ税法上税が余計とれるからということのみで、これをお考えになつておるのか。そうじやなくてやはり公平な負担とか、公平な考え方からお考えになつておるのか、その辺がちよつと怪しくなつて来ましたので、お伺いするのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/18
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019・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) これは私ども課税するとすれば当然バランスを失しないようにということで考えておるのでございまして、さつきピアノの例、そういうことを申上げたのでございますが、御指摘の通り社会の常識はそのようじやないという考え方からいたしますと、ピアノに対しましては勿論紙なんかよりも高い課税をいたしております。最高は先ほど申上げましたように五〇%が最高で、その次四〇、三〇、二〇、一〇、五、約五段階に分けまして、物品税を物の性質によりましてそれぞれ公平になるように課税しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/19
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020・田村文吉
○田村文吉君 友禪縮緬はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/20
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021・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 織物につきましては実は一昨年全部免税することにいたしたのでございますが、これにつきましては、考え方としましてこういう考え方がある。つまり食糧と衣料と申しますか、そういうものにつきましてはこれはやはりどうも本源的な必需品じやないという意見がある。従いまして単に高いから課税するかどうか、これは非常に問題がございますが、まあ私ども卒直に申上げますと、田村さんの御意見のような趣旨もありましたので、課税案も実は考えてみたのでございますが、免税点を設けまして一定の高いものだけに課税するということにいたしますると、昨年作りましたところで十四、五億くらいの税收入は挙る。その程度の課税は技術的にもいろいろ問題があるのでございますが、無理にやつたのがいいかどうか。この問題はもう少しよく根本的に考え直しまして適当な機会に考えたほうがいいんじやないかということで、昨年考えてみたのでございますが、結論を出すのを見合せた。こういういきさつがありますことは御承知の通りかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/21
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022・田村文吉
○田村文吉君 紙の種類はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/22
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023・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 平田局長に対する御質問を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/23
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024・野溝勝
○野溝勝君 そこで私は結論だけ言うのですが、実はあなたは昨日留守でしたが、委員長にも、委員会でお願いしまして、実はこの関税法等の一部改正法律案、これと物品税との関係を究明して置かなければ本案の審議をする上において遺憾な点があるというわけで、今日これとの関連を質しておるわけですが、そこでこの問題が氷解しないとこれは関税法等の一部改正法案を上げるわけに行かんですね。というのは、ずるく解釈すれば、我々は結局大蔵省はずるいと思うんだ。というのは、これを先にぽんと出して置いて、物品税法をあとから……これと競合する危險があるから一緒に出しちや悪い、こういう肚があつてこれを出しておると思う。悪く解釈すればそうも解釈できますから、そこでこれは一応これとは関連がありますから、今日関連質問みたいなことをやつておるんですが、そこでどうなんです。先ほどから聞いておりますると、苦しいようだ、平田局長の答弁が、答弁がですよ。というのは、この物品税、あなたが欧洲の財政経済を視察して来たときの、あの意見の中にもありますよ。フランスの財政税制のやり方は間接税を重点にやつておる。併しこれは日本ではよくないと思うということをちやんとあなたは発表しておる。あなたの精神から言うならばかようなことは、物品税的なものは成るべく整理しようというあなたの考えだと思う。ところが依然としてかようなものを残しておいて、一方においては外国の原料をどんどん入れる。これはまあ通産省のほうからも意見を聞くのでありますが、とにかくそういうような考え方は、私は頭のいいあなたにしてはちよつとどうかと思うんだな。そこでもつと理論的に私は一貫性を持つて欲しいのだ。でありますから、昨年あなたが森下君に対する答弁をされたような考え方から言いますならば、私はあのときすでに板紙、和紙、洋紙などは外して然るべきだ、一緒にやつて然るべきだ。何故にあれを残したか、そこでだんだん調べて見ると成るほど相当の税收入になるというお考えらしいですけれども、私は、例えば税收入になるなら税收入になることは結構ですよ。結構であるが、あなたの根本的な精神、基本的な精神のように、もつと直接税を捕捉するようにして下さい、我々が主張するように……。法人税などは資本蓄積の四千数百億も残しておくことはいかんですよ。所得税をどんどん……今の百万円以上五五%、それを二百万円までは五五%、そんな馬鹿なことはないですよ。そんなものはもつと七〇%も取つて下さい。幾分でもやり方があるんですよ。こんな物品税で大衆に転嫁する税の取り方をしなくても……。次の機会にこんな五%残しておくといつたようなことはやめようと思うというように私は受取つたんですが、そういう方向に努力するというならば私は関税法等の一部を改正する法律案は読令を省略して上げるようにする、かような意味で御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/24
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025・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 少しやわらかに申上げましたので、以下はつきり申上げます。私はこの用紙の輸入税の免税の問題と、物品税の問題は別に考えるべきであると考えます。その理由を申上げますと、関税のほうは保護関税の性質を有する、その保護関税の性質を有するものを、この際、緊急に輸入しなければならないような事態の下において、而も外国の紙が高い、こういう際に、課税する必要があるかということになりますと、これは私どもそういう議論に対しましてはどうも無理して今関税をかけるのは少しどうだろうかと言わざるを得ない。まあやはりそういうものにつきましては、これは免税したほうが今の段階といたしましては妥当である、先ほど申上げましたように免税することによつて、今後国内における新聞紙の増産に影響があるということでありますれば、これは私は暫らく辛抱して或いは関税は免除しないほうがいいかと思うのでございますが、その点も確かめましたところが、今全般的に免税するということによりまして、日本の国内における新聞用紙の増産に悪影響はない、こういう意見でありますし、まあ私ども常識的に考えましてさように考えられますので、増産が実際できるまで、或いはできる体制が整うまで暫定的に免税するということは関税定率法の改正といたしまして妥当である。かように考えているのでございます。それから物品税につきましてはいろいろ議論がございましたが、これは先ほど私の説明か何か御引用になつているようでございますが、まあ私相当注意して書いているつもりでございます。いろいろ事情が違うところがある。従つてすぐフランスのような行き方に行つたほうがいいか、或いはイギリスやアメリカの行き方で行つたほうがいいか、日本の国情とよく照し合わせて妥当なる考え方をとつたほうがいいだろう。まあこういうふうに書いていたつもりでございまして、すぐフランスのような行き方がいかんとか、或いは直接税式でもつと徹底すべきだということまでは私は解説していなかつたと記憶しているのでございます。その問題は今後において財政需要がどうであるか、先ほど田村委員のお話がございましたように、我が国の所得税は非常な実は膨脹の仕方でございます。戦前と比べますと法人税も所得税ほどではございませんが、これも相当殖えております。今後やはり日本の経済が完全に立直つて自立が十分できました後におきましては、これは又、私、野溝委員のお話のように税制の本質に立帰りまして飽く事で貫きまして、直接税中心主義というものは私見解としてはいいと思いますが、ただ今の現状の下において果してそれをどの程度に貫くのがいいかということになりますと、これはやはりいろいろ考えてやつてもらつたほうがいいのじやないかという意味で、私は両方をむしろ参考にして日本の税制を考えたらどうか。フランスやイタリーの行き方に一足飛びに飛び付いてもいけない。反対にアメリカ、殊にアメリカは直接税は徹底しておりますが、そういう行き方にばかり真似してもどうであろうか。よくそれぞれの実情を考えまして、日本の税制を今後考えて行くべきではないかと、こういうようなふうに考えておる次第でございまして、先ほどからも申上げておりまするように、やはりその時の状態に応じまして、税制としましては妥当な税制を打ち立てて行くということに万全の努力をいたしたい。そういう中におきまして、物品税の地位をどう考えるかという問題でございますが、今までは御承知のように財政需要も年々減りまして相当な減税ができる、こういうことを二年ほどやつて来たわけでございますが、私考えまするに、二十七年度あたりからどうもそういうことを繰返してやるということは、だんだんむずかしくなつて来るのじやないか。これは私の個人的な見解でございますが、そうなりますと、直接税のほうの増税を、或いは増收策、或いは減税をとりやめるとかいうようなことに行くよりも、むしろ間接税の減税を見合せる、どうしても必要がありますれば、若干そのほうに財源を求めて行かざるを得ないのじやないか。それが今の日本の経済の現段階におきましては妥当な行き方ではあるまいか、こういう点、併しそれは非常に一般的な考え方でございますから、具体的な問題にぶつかりました場合に、それを如何ように直ちに結論を出すか。これはまあいろいろな角度から考えまして結論を下さなきやならんと思いますが、非常に一般的な抽象論だけから、直ちに紙の物品税は当然廃止すべきだということにまでも行きがたい。これは先ほど申上げましたように、いろいろ事情を考えまして妥当な結論を下すべきじやないかと、かように考えておる次第でございまして、私は新聞用紙の減免、これは保護関税で、收入関税ではございません。保護関税ですが、それと物品税の問題とは関係があるようで、よく理論的に考えますと、やはり別に考えてもらつてもいいのじやないか。物品税自体としましても、それぞれ御意見のあるところはよく承わりますし、私どもは妥当な結論を下して行きたい。法律案につきましても、物品税の法律案を併せて出しております。これは税率なり、課税に関する改正でございませんで、先般も、御説明申上げたかと思いますが、アメリカにおける関税の課税の関係におきまして問題があつたのでございますが、解釈を明らかにしてもらう意味において、法律案を出しておるわけでございまして、決して適当にこの法律案を先に出しまして、うまくどうこうするというのではございません。物品税法案を別に出しておりますので、更にその際におきましても物品税の問題につきましては十分御意見を承わり、或いはお答えするという機会が別にあり得ると思いますので、その際よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/25
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026・野溝勝
○野溝勝君 どうもちよつと誤解があるのじやないかと思う。これは保護関税の性格のものであるから、別に物品税のごとき税制のほうには余り影響がないとお考えのようですけれどもこれは間違つていると思う。やつぱり関税收入というものは国家の財政收入の一環をなしておるのですから、その方面から見て、免税すること自体が国家財政に影響するのです、多かれ少かれ……。その点は平田局長はどうも私は誤解があるのじやないかと思います。誤解がなければ意識的にさような答弁をされたのじやないかと思いますが……。そこでどうなんですか、大体学校用の点については免税しているというが、併し学校用ばかりでなく、日本を文化国家にするとか何とか言つておりますが、やはり一番先は知識の啓蒙だと思う。知識の啓蒙というと目、耳ですから、そうすると結局目に映るものといたしましては何と言つても私は文字、文字を表わすものはやつぱり紙ですから、そういう点から言うと、紙というものは我々の文化国家の建設の上には、これはもう離れることのできないものなんですね。いわば大衆生活必需品なんです。そういうものと織物の免税と、どつちが一体ウエートが高いのでしよう。私はこれはまあ、よくこういうことはわからぬのですけれども、私どもの感覚から見れば、大勢の人が一日も早く日本を民主化し、近代化さすために雑誌なり或いは書籍なり見る。これのほうが必要か、特定の者でなければ着ることのできないような織物に免税することが必要か。これは三歳の童子でもわかるのじやないかと思う。賢明なる平田局長においてこの点がわからぬわけはないと思う。そこで一つこういう点からも、この物品税を用紙にかけることは無理であるが、今のところ国家財政が許さないから近い機会にこれを省こうと思う。そういう方面に努力しようという正しい御意見を聞くならば私は何をか言わんやであります。これを一つあなたからお聞かせを願いまして、私は質問を打切りたいと思うのですが、この結論的な答弁を一つお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/26
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027・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 野溝さんは、関税が非常に收入を目的と考えているというような御意見でございますけれども、最近の関税はやはり大体産業保護の見地において必要かあるかどうかということを主として考えまして、併せて、勿論收入になりますので、その見地も考えないわけではございませんのですが、主としてはやはり保護する必要があるかどうかという見地で大部分の関税は考えているということは重ねて申上げて置きたいと思う次第でございます。それからなお、併し物品税も関連があるというお立場を仮に認めるといたしましても、物品税は今度関税で免除していますものにつきましては同様に全部免除いたしておりまして、その間の矛盾というものはないと考えておるのでございます。従いまして関税定率法の改正案と、物品税の関連におきましては私が申上げましたこれだけのことで、御疑問の点は大体解消するのじやないかと考えます。それから今お話になりました最後の問題は、これは又物品税自体の問題でありまして、これも大いに御意見等を承わり、お答えしてもよろしいと思う。物品税の法律案も目下出しておりますので、その際にでも、十分御審議願つてもいいのじやないかと、かように考えておるわけでございまして、私紙に対しましてすぐどうするということは、今この席ではちよつと申上げにくいかと思いますので、御了承願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/27
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028・野溝勝
○野溝勝君 今、私どもは大衆課税になり得ると考えて、関税法と紙の問題が出ておりますから、これと関連して質問をしておるのでございますが、この問題に関しましては、新たに物品税の一部を改正する法律案が提案になつた際に改めて質問したいと思います。併し、今日かような意見のあつたということを十分御記憶され、次回における答弁におきましては以上の趣旨を十分御勘考願いたい、かように思つております。私の平田主税局長に対する質問はこれで打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/28
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029・田村文吉
○田村文吉君 意見の相違は別といたしまして、一言だけ私は申上げておきたいと思うのは、一体今度の関税定率法を一つ改正しようというのに、お前は何で物品税を持ち出しているのか、これは産業保護の見地から出ている、関税と性質が違うのではないか。こういうお話でございますが、一応御尤もなんでありますが、今の新聞用紙にさつき月に八百万ポンドからの代用紙が出ておるということは、一般用の印刷紙がこれに代替されておるということである。勿論その分に関しては免税されておりますよ。免税されておりますが、一方において一般用紙のほうの生産をチエツクするような方策をしておきながら、片一方に新聞紙を免税するというところに矛盾がある。こういう意味を私が申上げておるので、それでは別に物品税というものは消費者に課税するのであつて、生産者には何も関係がないではないか。こういう御意見が出て、これは野溝さんと反対になるかも知れませんが、実は製造者というものは皆物品税というものは税金だと思つている、事実そうなんです。現金でまとめて毎月どんどん払つておる。これは非常に製造業者としては苦痛なんです。苦痛があるが、一方において印刷用紙に対してそういうことをしておきながら、一方において紙の輸入税を免除するということには矛盾がある。だから決して私は関連性がないというお言葉は、私には腑に落ちない。これは後で紙業課長さんがおいでになりますから、よくその点も十分おわかりになると思うのでありますが、その点を一つ申上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/29
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030・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 重ねて申上げますが、非常に間接的な経済的影響と申しますか、そういうことに関する限りにおきましては、いろいろ問題がありますことは先ほども申上げておる通りでございまして、その点につきましては私も先ほど申上げましたように、今度の関税定率法の改正によりまして、新聞用紙の生産にどういう影響があるか、それと物品税は今新聞用紙以外のものに対しまして課税しておりますが、それとの関連において新聞用紙の今後の国内の生産に悪い影響を與えるのじやないか、こういう問題になりますと、それは勿論お互いに考えて議論すべきだということはこれは私も異存はございません。併しそういう点におきましては、これはよく考えました上で今回の措置を関税定率法にとりましても、別段新聞用紙につきまして生産の増加に悪い影響はないだろうと、こういう考え方で提案いたしておりますことを御了承願いたいということを申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/30
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031・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 主税局長に対する御質疑はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/31
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032・野溝勝
○野溝勝君 通産省はどなたが見えていらつしやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/32
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033・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 紙業課長の矢野君です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/33
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034・野溝勝
○野溝勝君 紙業課長にお伺いしたいのですが、今度関税法の改正で以て新聞用紙の関税が免税になるのですけれども、これについては通産省といたしましては、免税になつて国内の業界に大した影響がないとお見込みなんですか、その点一つお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/34
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035・矢野宏太郎
○説明員(矢野宏太郎君) 御承知のように本年は九月頃から電力が非常に不足いたしまして、その関係で非常に出版用の印刷紙の生産が減退するようになりまして、そうして大体元来紙のうちで、下級のこういう出版用の印刷紙に普通の上級紙よりも電力の食い方が多いのでございます。そういう関係で電力の制限になりますと、勢い一番電力の食い方が多い下級印刷紙が先ず生産が減退するというような関係になつて参りまして、それと同時に丁度来年の四月からの小、中学校用の教科書並びにノートの紙の需要が大体毎年下半期に集中するわけでございます。その需要が競合いたしました結果、このまま放つておきますと、新聞用紙か或いは教科書用紙のいずれかが不足するという状態が見込まれて参りましたので、従いまして電力の不足によつて減退するものだけをカバーするという意味におきまして、今回の輸入というものが大体持上つたものでございまして、従いまして現在程度の輸入は別に国内の生産に対しては影響はないじやないか、こういうような見通しを持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/35
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036・野溝勝
○野溝勝君 そうすると、電力飢饉になつたときにそういう影響をする。そうすると、今後こういう電力飢饉になつた場合に、自家発電のできていない場所や業者はいつもこの影響をこうむつておるわけでしよう。そうすると、そういう電力飢饉の際にすぐカバーできて能率の上るような施設というものに対して、当局は業界と何らかの対策なり処置を講じておるかどうか、これが一つ、第二点は、自家発電で生産を維持できて行く者がどのくらいあるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/36
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037・矢野宏太郎
○説明員(矢野宏太郎君) 電力問題につきましては大体最近は電力を成るべく工場で自給するという方向に持つて行きますように指導いたしまして、そのために最近は開発銀行のほうの融資その他につきましても、成るべく最優先に、自家発の設備を設置するというような方法をとつております。それからもう一つはそれにいたしましても、冬になりますとどうしても夏場よりも電力の需要が旺盛になりますのに、電力が不足しますので、成るべく新聞用紙又は教科書用紙の生産に要します電力につきましては、でき得る限り公共事業並みの電力の配給をしてもらいたいということを今申入れまして、審議中でございます。それから自家発による印刷用紙の生産量はどのくらいあるかという御質問につきましては、実は今日はその細かい資料を持合しておりませんけれども、大体半分程度は出ると思いますが、ちよつと今細かい資料を持合しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/37
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038・野溝勝
○野溝勝君 それではその資料を後ほど委員会に決してもらいたいと思います。それから今答弁の中に、電力対策については優先的に処理してもらうように対策を練つておるというような御答弁を聞いたのですが、そういう対策に対する相手方の機関は、公益事業委員会を指すのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/38
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039・矢野宏太郎
○説明員(矢野宏太郎君) 公益事業委員会並びに経済安定本部でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/39
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040・田村文吉
○田村文吉君 紙業課長に簡単に一、二の問題を伺うのですが、そうしますと今度の問題は結局電力の不足をしたために新聞紙の生産、或いは新聞紙に代替し得る紙の生産が減つた、こういうことで今日の緊急措置をとらざるを得ないことになつた。こういうふうに解釈してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/40
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041・矢野宏太郎
○説明員(矢野宏太郎君) 大体田村委員のおつしやつた通りでございます。ただ一部新聞紙のメーカーのほうには、現在の新聞紙の頁数をもつと非常に殖やしたいというような希望がございますので、その趣旨も一部には入つておるのでございますが、早急にこういう輸入が実現するような運びになりましたのは、今申上げましたように、電力が不足するために新聞用紙並びに教科書用紙の需要が急に逼迫いたしたということが主要な原因でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/41
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042・田村文吉
○田村文吉君 そこで問題が、来年の三月末日までこの法律を適用する、こういうことになつておりますが、その問題の主な原因は、電力がこの秋非常に不足したということに起因するものであるとすれば、来年の四月からはノーマルに、元通りに直したい、こういうお話でいらつしやるのか、それとも後段にお述べになりましたような各新聞社の需要が非常に殖えつつある、又頁数を殖やしたいということにマツチさせるためにするのだとすれば、更に或る程度まで恒久的な問題になり、新聞紙の生産というものが、来年の秋までには又一台殖えるとか、二台殖えるとかということになりますが、今のような無制限のように殖えて行きつつあるところの新聞用紙の需要を全く充たして行くということになれば、この法律はかなり恒久化するものになる。こういうことを実は心配するのでありますが、紙業課長としてはどういうふうにこの点お考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/42
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043・矢野宏太郎
○説明員(矢野宏太郎君) 只今の問題は、新聞政策その他の文化政策に非常に関連いたしますので、私一個で今ちよつと御答弁申上げられない点が非常に多いと思うのでございますが、まあ新聞の今の頁数にしましても、私どもの知ります範囲におきましては、大体諸外国に比べましてまだ少いのでございまして、その点から私どもといたしましてもまあこれでいいというようなわけには行かないような気がするのであります。それと一方におきまして、内地の生産がどのくらい将来伸びて来るか。来年の下半期頃になりますと相当内地のほうも殖えるというような見込も現在あるのでございますが、その間一体出版用紙、或いは教科書用紙、新聞用紙を引つくるめました下級印刷紙と、それから国内の生産がどういうような状況になりますか、これは御承知のように下級印刷紙の中には、いわゆる仙花紙その他の新聞用紙も相当部分を占めておりまして、こういうのは、非常に小さい家内工業的な生産も相当部分を占めておりますが、こういうのも今後の状況によりまして生産を続けて、或いは殖えるか、又は減るかというような見通しもございますので、今直ちにここできめるのはむずかしいのじやないかと思いますが、まあ大体そういうことに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/43
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044・田村文吉
○田村文吉君 それから紙業課長としては、これは今のに関連した問題ですが、物品税を用紙だけに課しているということは、これは正しいとお考えになりますか。これはやめるべきものであるというふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/44
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045・矢野宏太郎
○説明員(矢野宏太郎君) 物品税の問題につきましては、私の一個の立場として考えますると、まあ成るべくやめて頂きたいのでございますが、この点は大蔵省のほうの收入の問題もございますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/45
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046・田村文吉
○田村文吉君 紙業課長としてのお立場で結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/46
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047・矢野宏太郎
○説明員(矢野宏太郎君) まあ私としてはそういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/47
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048・田村文吉
○田村文吉君 それから新聞の需要の増加をただ御放任にお考えになつて、そうしてお置きになるということになると、これは大変な問題になるのじやないかと思うのでありますが、これに対しては、私は希望意見ですが、もう少し需要に対してたとえ大きな要求があろうが、日本の国力としてはこの程度よりできんということになれば、或る程度の抑えるべき点も起るだろう。現に私が先ほど申上げましたように、このくらいの数量を輸入されるとして、来年一年続けば二十億の外貨を払わなければならない。これは非常に大きな問題であります。こういうような問題があるとするならば、例えば電力の獲得にしましても海外に輸出すると同じわけであります。而もアメリカの輸入を減らすことになるのですから、非常に国家的には大きな問題になる。だから電力を確保することが最優先的に考えられて……、これが確保されて行かないと、やはり今のように輸入をしなければならんということになつて、これは非常に国家経済の上からいつて損なんであります。そういう点を御当局としては十分に御認識なされて、そうして最善の努力をして頂かないといかんと、こう思うのでありますので、この点を関税部長さんにも、私は特にそういう点を御考慮をお願いしておきたいのであります。以上を以て私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/48
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049・野溝勝
○野溝勝君 紙業課長に、これは御答弁願わなくてもいいのですが、あとで通産大臣なり或いはあなたの上司の局長なりと相談をされて、物品税法の一部改正の法律案の際に、私へのお答えをその際願いたいと思います。というのはどういう点かといえば、新聞用紙が年四千三百万ポンド必要なものが、国内には三千二百万ポンド内外の生産しかない。それは今後施設改善を加えればどの程度まで必要量に追い付くことができるか、それはまあいろいろ資金の面もありましようし、或いは原料の関係もありましようし、いろいろな関係もありましようが、とにかくそういうことは抜きにして、どういう努力をすれば何カ年間ぐらいに、全部と言わないでも、少くも今後五カ年の見通しぐらいで結構でありますから、大体そういうあなたのほうの計画と申しましようか、予定を一つお知らせ願いたいと思います。それから昨年、板紙が物品税から外されて、今日新聞、教科書を除くほかの洋紙に対しましては課税をされているわけですが、あなたのほうは板紙、和紙を外されて黙つている、洋紙を残されたということに対して、通産省の当局は当然と思つているのだろうか。その後洋紙を残したことに対して大蔵当局に何か折衝をしたことがあるのかどうか。この点を一つあなたからお聞きしておきたいと思います。最後の点だけでいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/49
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050・矢野宏太郎
○説明員(矢野宏太郎君) 実は私のほうも洋紙の業界と一緒になりまして、物品税は成るべく近いうちに撤廃して頂きたいというような要望をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/50
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051・野溝勝
○野溝勝君 私のほうとは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/51
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052・矢野宏太郎
○説明員(矢野宏太郎君) 通産省でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/52
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053・野溝勝
○野溝勝君 通産大臣の名を以て要請してあるのですか、局長名を以て要請したのですか、折衝というか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/53
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054・矢野宏太郎
○説明員(矢野宏太郎君) 私のほうだけでもときに触れてやつておりますが、これは通産省として今度物品税の改正案を、全部希望意見としてまとめましたものを通産省として大蔵省に対して交渉しているはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/54
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055・野溝勝
○野溝勝君 これは希望ですが、紙業課長から、通産大臣に野溝委員から強く要望があつたということを、一つあなたからお伝え願いたいと思います。
以上で私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/55
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056・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は盡きたものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/56
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057・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/57
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058・野溝勝
○野溝勝君 賛成をいたします。それについて希望を附しておきます。本法案は関税法等の一部を改正する法律案、事務的立法のように見受けられますが、特に本法案中、新聞用紙の免税点の設定の点に関しましては、国内の新聞用紙、その他、紙に対する生産等との関係もありますので、特に物品税におきまして未だ用紙に対する課税が実施されておるのでございます。一方国内における業界に対しまして、さようの税金を課しております。その税金は単に業界ばかりでなく、大衆課税として消費者がその負担を転嫁されておるのでございます。かように国内の業界を圧迫しておりながら、一面外国の輸入品に対して特典を與えるということにつきましては、私どもは意見があるのでございます。かような点につきましては、十分政府当局といたしましても考慮されまして、むしろ外国の高い品物を輸入するということよりは、国内の業界に生産量を増すだけの施設、その他の援助を與えまして、日本の経済の常道に仕向けるような方向をとつて頂きたい、かような希望を付けて本案に賛成するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/58
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059・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 他に御発言もないようでありますので、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/59
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060・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。これより採決に入ります。関税法等の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/60
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061・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條により本委員会における質疑応答、討論の要旨、表決の結果を報告することとしてあらかじめ御承認を願うことに異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/61
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062・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) それから本院規則第七十二條によりまして多数意見者の御署名を願います。
多数意見者署名
森 八三一 山本 米治
野溝 勝 松永 義雄
大矢半次郎 小林 政夫
田村 文吉 黒田 英雄
小宮山常吉 伊藤 保平
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/62
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063・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) なお、午後も引続いて続行いたしたいと思いますが、午前はこれで休憩することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/63
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064・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) では一時半より開会いたします、これで休憩いたします。
午後零時十三分休憩
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午後二時九分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/64
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065・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 休憩前に式続きまして委員会を開会いたします。糸価安定特別会計法案を議題として政府よりの説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/65
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066・島村軍次
○政府委員(島村軍次君) 糸価安定特別会計法案に関する説明は、別途大蔵省のほうから提案理由の説明があつたはずであります。その基本を成す元の繭糸価格安定法案につきまして大要を申上げたいと思います。別途農林委員会に付託になり、提案いたしておりまする繭糸価格安定法案は現在我が国の経済自立及び発展を図るための輸出振興にその重点が置かれ、自立経済達成の基盤とも申すべき農家経済の改善を図るということがその理由であります。而して養蚕業は御承知の通りに現金收入、家族労働の効率的な消化等の点から、極めて重要な産業でありまして、又生糸、絹織物の輸出は我が国の輸出貿易面においても大きな位置を占めておりまする関係から、従前生糸の価格の安定についてはたびたび国会等におきましても論議があり、終戰後における我が国の経済安定の方向から申しましても、是非ともやつてもらいたいという希望がありましたので、ここに提案をいたしたような次第であります。
その大要につきまして申上げますと、第一は繭及び生糸の価格安定につきまして、政府は生糸の最高価格及び最低価格を定めまして、最高価格でその保有しておる生糸を売渡し、最低価格で生糸を買入れて、かような売買の操作によつて生糸価格を最高価格と最低価格の範囲内に安定させ、延いては繭の価格の安定を図ろうとするのであります。なお、生糸の買入れは予算の範囲内で行うこととなつておりますが、これが提案になつております三十億円の別途予算であります。第二には、その最高及び最低価格の決定に関することでありまして、農林大臣は毎年三月、標準生糸である白二十一中A格の生糸について翌生糸年度の最高価格及び最低価格を決定することといたしております。この三月という時期につきましては、経済事情を考慮して四月又は五月まで延ばす場合もあるのであります。その決定は、生糸の価格及び繭の生産費、生糸の製造及び販売に要する費用、主要繊維の価格並びに物価その他の経済事情を参酌いたしましていたすことにいたしておるのでありますが、蚕糸業の安定と生糸輸出の増進との両面から妥当な価格を定めようといたしておる次第であります。又政府が買入れる生糸で標準生糸以外のものの最高価格及び最低価格は、それぞれ標準生糸の最高価格又は最低価格に格差を加減したものといたしておるのであります。なお一旦きめました標準生糸の最高及び最低価格は経済事情に著しい変動があつた場合等には改定することができることといたしております。第三は、輸出確保のための生糸の売渡でありまして、政府が保有する生糸を売渡す場合には、輸出向のものに優先して売渡すことができるといたしておりますが、これは我が国の蚕糸業の将来が、生糸輸出の消長と密接な関係があると考えた必要な措置であると存じます。第四は繭価維持のための特別措置であります。本法におきましては、政府が最低で生糸を買入れることにより、生糸の価格の異常な低落を防止し、延いて繭の価格の異常な低落を抑えることにいたしておることは前に申上げた通りでありますが、現在のような繭の需給事情の下におきましては、これで十分な効果があると考えられるのでありますけれども、本法が恒久法でありまする関係上、将来におきまして生糸の買入だけでは、繭の価格の維持を図ることが困難な事態が生じました場合におきましては、そういつた措置を講じまして、その異常な低落を防止しようと存じておるところであります。次は審議会に関する事柄でありまして、最高、最低の価格の決定並びに改訂等、価格安定上重要なる事項を審議し、又繭糸価格安定上重要な事項を関係行政庁に建議するために農林省に設け、農林大臣の諮問機関といたしております。そこで、この御意見を十分尊重することは勿論でありますが、従つて委員の構成につきましては、公平なる意見を伺い得るように業界の権威者のかたがたをお願い申上げたいと存じております。第六は附随的措置でありまして、政府の保有生糸の貯蔵、整理売却及び新規用途又は新規販路向売却とか、或いは生糸取引の届出制、生糸及び繭に関する諸調査を実施いたすことといたしております。第七は特別会計の設置でありまして、この法案につきましては説明を省略いたしたいと存じます。
そこで最後に、この法律施行の時期につきましてでありますが、この法律は公布より十五日後に施行することといたし、生糸の買入、売渡の條項は六十日以内に施行することといたしております。これは標準生糸の最高価格及び最低価格をきめてからでないと効き得ないので、かように処置をいたしたのであります。速かに準備を整えまして、審議会に諮問をいたし、その価格その他の重要事項を決定いたして、法律の効果を十分発動できるようにいたしておるところであります。
大要説明を申上げたので、十分の御審議をお願い申上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/66
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067・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 本法案に対しまして御質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/67
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068・菊田七平
○菊田七平君 第十條に、「生糸の買入によつてもなお繭の価格の異常な低落を防止することができないと認めるときは、」ということがありますが、この繭も全農林委員会のほうで問題になつておることだと思いますけれども、繭を買入れる意思は政府ではお持ちになつておりますか、それとも持つておらんのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/68
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069・島村軍次
○政府委員(島村軍次君) 只今御説明を申上げました通りに、生糸の買入で、而も三十億の限られた予算の範囲で執行しまする場合におきましては、第十條に掲げておりまするいわゆる特別な措置というものの中で、繭の買上げということは、現在のところでは考えておらないのであります。それは繭を買上げる場合におきましては相当なこれは資金を要しまするので、財政的見地からも困難であろうと存じます。又政府の狙いといたしておりまするところは、これは御質疑もあつたことと思うのでありますが、製糸の安定によつて繭価の安定を或る程度きめられるという前提を持つているのであります。そこで問題になりますのは、それならば十條の規定によつて必要な措置とはどういうことかということになると思うのでありまして、これは従前の我が国の蚕糸業のためにとられました一つの方向といたしましては、御承知の通り乾繭倉庫を大いに奨励いたしまして、そうして乾繭倉庫に保管し、それに金融措置を講じて繭価の安定を期する、こういう方法がとられて参つたのであります。而してそれは相当の効果を挙げたことも事実でありまするので、今後におきましては、政府は製糸家に委託加工をお願いして、そうして生産者、養蚕家の意思がやはり製糸の価格に反映するような措置を講ずるということが先ず一番に考えられる方法だと思つているのであります。その場合においては、勿論金融の措置が附随しなければならん事柄でありまして、その金融措置によつて十分な今後は措置を講じたいということで、この目的が段階的にとられる方法ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/69
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070・菊田七平
○菊田七平君 今政府が言われますように、乾繭倉庫によつて、これを融資によつて、これが養蚕家の希望に応じて製糸委託によつてやるとおつしやるようでございますが、それのお考えがあるのなら、やはりこの條文の中へそういう点も入れて頂いたほうがいいのじやないかと思うのであります。それから繭の問題ですが、これは糸の何を買上げておいて、そうしてそれによつて操作をするということになりますと、製糸家と養蚕家の立場が非常に違うのでございまして、こういう点から考えて、やはり繭を買上げてやらなければ、製糸家のほうもそれに対する処置が余ほど横暴になるのではないかというような考えから、どうしても政府としてはこの点に関して一つ考えてもらいたい。こう考えるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/70
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071・島村軍次
○政府委員(島村軍次君) 御意見のありますることは、立法の際にも相当論議された問題でありまするが、併し現在の段階におきましては、先ず製糸の価格の安定、生糸の価格の安定によつて或る程度の目的は達成し得るのでありましてい勿論お話のような、製糸家の立場と養蚕家の立場はおのずから違いますので、さような場合に対処するために、その情勢を判断した上で適当な措置を講じたいということが第十條の特別措置である、かように御承知を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/71
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072・野溝勝
○野溝勝君 議事進行について……。本法案は農林委員会で審議中であり相当検討してみなければならん点もありますので、一応本日はこの程度にして、質疑を明日になされることを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/72
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073・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) それでは本法案の審議は、本日はこの程度にしまして次回に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/73
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074・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 次に昭和二十六年度における給與の改訂に伴う国家公務員共済組合法の規定による年金の額の改定に関する法律案(予備審査)、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法の規定による年金の額の改定に関する法律案(予備審査)、この二法案については野溝委員からの要求によりまして御質疑を行いたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/74
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075・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。これを議題として御質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/75
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076・野溝勝
○野溝勝君 一二点お伺いいたします。本法案は、戰争前の陸海軍の共済組合の年金支給方法を規定されたものが本法案の趣旨だと思いますが、この点如何でございますか。旧令による共済組合からの年金受給者のための特別措置法の規定による年金の額の改正に関する法律案の性格でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/76
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077・東條猛猪
○政府委員(東條猛猪君) 性格は大体仰せの通りでございまして、いわゆる旧令による共済組合、即ち旧陸軍、旧海軍、その他旧外地にございました共済組合の従来の年金受給者に対しまするところの年金額を、この際一般公務員の給與改訂を十月の一日から実施をするということで、政府といたしましては別に御審議を願つておりまするものと平仄を合わせるという意味におきまして、年金額の増額をお願いいたしたいというのが、この法律案の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/77
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078・野溝勝
○野溝勝君 そうすると、例えば内務省或いは大蔵省等各省一般の共済組合は承継組合としてこれを認められておつたのでございますが、陸海軍の場合は、本法案ができるまでは野放しにされておつたわけですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/78
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079・東條猛猪
○政府委員(東條猛猪君) この只今御審議を願つておりまするこの法律案の内容は、只今申上げましたように、このたび改訂を予定いたしておりまするところの、前の低い給與によりまして、すでにこの旧令による共済組合等からの年金受給者につきましては、年金が支給されておりましたことはもう御承知の通りであります。従いまして、この旧令による共済組合につきましては、このたびの法律案が仮にないといたしますれば低い年金額をやはりもらうことに相成るという意味におきまして、かなり低いベースで野放しになるということになりますが、基本的には、旧の、先ほどお話のございました内地等にございましたいわゆる旧承継共済組合と、その旧令による共済組合の年金受給者との間におきましては、現在のところは差異がないと、こういうことに相成つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/79
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080・野溝勝
○野溝勝君 本法律二百五十六号の目的という点でございますが、この目的の第一條には、「この法律は、国家公務員共済組合法(昭和二十三年法律第六十九号。以下「共済組合法」という。)の規定による共済組合連合会(以下「連合会」という。)をして旧陸軍共済組合、旧海軍共済組合の権利義務を承継した財団法人共済協会、(以下「共済協会」という。)及び外地関係共済組合からの年金受給者に対する年金支給の事務を統一的に処理させるとともに、現行の恩給及び共済組合法の規定による年金の額との権衡を考慮して、これらの年金受給者及び財団法人日本製鉄八幡共済組合(以下「日本製鉄八幡共済組合」という。)からの年金受給者のために、その年金額の改定その他特別の措置を講ずることを目的とする。」、かような目的規定があります。そこで私はお尋ねするのでございますが、以上目的にも示されております通り、年金支給の事務を統一処理するということが中心のように考えております。然るに海軍の共済組合と、陸軍の共済組合との統一が今日できておらない点に対して、当局は如何にお考えになつておりますか、この点、一点お聞きいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/80
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081・東條猛猪
○政府委員(東條猛猪君) 御承知のように、共済組合の数は内地、外地、或いは旧陸海軍というものを通じますると、現業、非現業とございまして、相当多数に相成つております。そうして従来の共済組合の内部で定められましたいろいろの受給の規定、或いは給付の規定、そういうものには必ずしも全面的な統一がなかつたということは、これはこの事柄のよし惡しは別といたしまして、事実でございます。従いまして組合員になりましてから年金を受領するに至りますまでの経過年数につきましても、ひとり陸軍、海軍と申上げませず、いろいろな組合につきまして仔細に検討して見ますると、やはりいろいろの違いがございます。それで昭和二十三年に国家公務員の共済組合については一本のものにしたいというときに当面いたしました一つの問題は、それらいろいろ條件の違つているものを、どういたそうか。裏から申上げますれば、年金をすでにもらつておりました被保險者にいろいろ條件のでこぼこがございますのを、どうやつて引継ぎをいたそうかということが、只今御指摘の点でございまして、非常にこれはむずかしい問題であつたのでありますが、ともかくも元の共済組合におきまして條件の違つておりました者は、統合に際してはそのままそれを引継いで行こう。裏から申上げますれば、年金を受けるに至りまするところの資格要件にはいろいろ違つた点もございまするが、国家公務員共済組合法で統一した資格要件かきめられますまでのばらばらのものは、そのまま引継いで参ろうということで、実は被保險者につきましては、そういう不都合がありますことは承知の上で、法律案を提出いたしまして御審議をお願い頂きました次第であります。こういう関係もございまして、問題になつておりまするところの旧令によりますところの共済組合、例えば只今お話のございました陸軍共済組合、海軍共済組合につきましても、資格要件には食違つている点があるのでありまするが、右に申上げましたような一般的にそういう方針をとつておりまするので、この旧令による共済組合につきましても、同じ考え方の下に被保險者につきましては資格要件が違つておりまするが、そのまま引継いでいるという結果に相成つておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/81
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082・野溝勝
○野溝勝君 東條次長の御答弁に対してはよくわかるのでございます。そういう方針で本法案の取扱をされておることも聞いております。そこで私は次長にお伺いするのでございますが、この法の精神から言いますると、さような旧令に基く共済組合のばらばらな点を成るべく統一して、この法の恩恵を享受させるということに政府が努力すべきことが正しいと思つております。あなたも御承知のごとく衆議院の委員会においても相当問題になつたらしいのでございますが、私はかようなことが法の不公平と言いましようか、特定の者には有利になり、或る特定の者には不利になるというような法の扱い方が二重性格を持つているというようなことになりますると、これは法治国民として非常に不安なんです。特に民主的日本を育てようということになりますと、国民の信頼の崇高な機関といたしましては議会よりしかないと思う。特に議会におきましても、殊に参議院がこうした問題については、各党を超越して愼重を期して行かなければならぬと思います。立法府でございますから……。そこで特にこの扱い方に対してはあなたも御指摘のありました通り、海軍のほうは旧令に基きまして年齢の制限ということは取外してありました。ところが陸軍のほうは年齢の制限が旧共済組合の内規にあつたわけです。だからそれによりますと二十年以上勤めておるもので、四十五歳を越えた者に対してのみ支給されることになつておるのですから結局二十年、或いは三十年勤めた者でも四十五歳を過ぎない者はこの恩恵に浴されないわけです。御承知の通り海軍のほうはこの二十年ちよつきりで、四十五歳になつておらなんでももらえるし、おつてももらえる、こういうわけなんです。こういう二重性格的な扱いをするということは、過去の共済組合の内規をそのまま引継いだと認めたということでありますが、この矛盾した点に対しては何とか改めなければ法の二重性格的な扱い方をしてはいかぬと思うという当局はお考えになつたことがありますか。その点と、いま一つは、この点を何とか改革しようというようなことに対して、お考えを持つておられますか、この点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/82
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083・東條猛猪
○政府委員(東條猛猪君) 申上げるまでもございませんが、この共済組合の給付或いは一般的にこの給與の問題は非常に相互のバランスの問題が極めて大事な問題であるということは仰せの通りであると思つております。併しながら共済組合というように特に制度の性質が、いわば役所の上からの方針できまつたというよりは、むしろ相互共済的な性格が強いという場合におきましては、各組合で従来やつておりましたところの規定、そういうものはできるだけ尊重して行くのが適当であろうというような考え方もありまするし、且つは各種の共済組合の内規を統一いたしまして、国家公務員共済組合法に統合いたしましたときに、いろいろ検討をいたして見ましたのでありまするが、結局先ほども申上げましたように、従来折角各共済組合でその共済組合の組合員の構成でありまするとか、或いは仕事の性質でありまするとか、或いは又年齢でありまするとか、或いは給與の内容でありまするとか、それら非常に各共済組合独自の性格というものが滲み出まして、共済組合の規定というものはさまつておるのだというようなことに思いをいたして見ますると、どうも一本の標準に統一してしまうということは少くとも過去の分については適当ではあるまいという実は考え方をとりました次第であります。只今仰せのように実は旧陸軍、旧海軍の共済組合の資格要件が違つておりまする点につきましては、国会でもいろいろ御意見を拜聽いたしておるのでありまするが、一般に私どものほうにもいろいろと御注文なり或いは御忠告をせられる向きがございまして、この問題はこの法律案を提案いたしまする前に相当政府部内でも検討いたして見ましたのでありますが、若し旧令の旧陸軍、旧海軍の間の給與の規定の統一を図ろうということをいたそうといたしまするならば、右に申上げましたような次第で、全面的に従来のいわゆる承継共済組合のほうにまでこの関係を及ぼして考えられなくてはならないのではなかろうか。又一定の年数がたつて初めて年金がもらえるとなつておりました場合に、そういう仮に一本に統合いたしまするというと、年金を受領するに至らずして退職をしておられるというようなかたについてまで、これは経過的な問題かと思いますが、いろいろな問題を提起して参る。つまり現在の制度を根本的に変革をいたすということまでこの事柄が発展して参るというふうに、実は私どもといたしましては考えました次第でありまして、従いまして今回十月からいわゆるベース・アップが行われるに伴いましてこの年金の額を増額いたすという、どちらかと申しますれば根本の大筋には触れない、その改正案においてこの問題を取上げるのは適当でないということを種々検討の結果、実は到達いたしました一応の結論でございます。それから将来の問題としては一体どう考えるのだというお尋ねの点でありまするが、これはまだ私どもの部内でも研究をいたしておる問題で、この席で申上げるのは如何かと思うのでありますが、旧軍人の遺家族のかたがたの問題、或いは傷病軍人の給與の問題をどう考えるかというような問題を、これは国会でもお取上げになつておりますし、政府といたしましても遠からず取上げなければならない問題であると考えておりまするので、いろいろとその問題を考えて参りまする場合に、この旧令による共済組合の給付というものが、実はその問題と相当深い繋がりがある問題であるというふうに私ども考えておる次第でございます。従いまして野溝さんのおつしやいまする、この将来の問題として改正点についてどう考えるのだという点につきましては、非常に大事な又重要な研究問題でありまして、この問題については常に検討を怠つてはならないのでありまするが、いろいろほかの問題ともからみ合せ、又この制度全体の根本に触れる問題でありますので、十分慎重に如何いたすべきか考えなければならぬということで、直ちに統一するように改正するほうが適当であるという方向で、今物事を考えておるりだというふうにも、実は申上げかねるというのが只今の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/83
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084・野溝勝
○野溝勝君 そこで東條政府委員は固く考えられておるようでございますが、私昨年ですね、本委員会におきましても問題になりました八幡製鉄所の共済組合の件です。これも最初のうちは事務的に何とかかんとか言つておりましたが、(笑声)結局は話合いが或る程度ついたんですな。ですから私は、それがついてですよ、これのみがつかぬという論理が納得できないわけなんです。だから私は、そういう点で予算内容の問題なんでございますから、むしろ国民に遵法精神を二様に扱うような考え方を持たせることはどうかと思うのですが、この点で一つ考えて頂きたい。更に法の精神から言いまして、「事務を統一的に処理させるとともに、現行の恩給及び共済組合法の規定による年金の額との権衡を考慮して、」と、誠に正しくここに規定されているのでございますが、この精神から言いましても、昨年におけるところの八幡の共済組合の処置の取扱の上から見ましても、私はこれのみができないという論理はどうしても発見できないのですがな、そこで一つあなたに今一応私は御答弁を願いたい、かように思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/84
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085・東條猛猪
○政府委員(東條猛猪君) どうもお言葉を返すようで恐縮でございますが、統一的処理ということは、仰せの通り方針なりそういうことも含まれていると思いますが、実は事務を統一的に処理するという趣旨は御承知の通り実際の実務を各方面で扱いますことはばらばらになり、連合会あたりで二本で処理させたらよかろうという趣旨のつもりでございます。仰せのように昨年の八幡の問題につきましては、いろいろ国会方面の御意向を承わりまして、ああいう解決方法をお講じ願つたのでありますが、野溝委員知つていらつしやいますように、当時組まれておりました予算の金額は変えずに、あの予算の金額を一時金と考える。一遍きりの金と考えるのか、毎年出る金と考えるのか、そこに国会方面と提案いたしました政府との間に重要な相違の点があつたのでございますが、ともかくも予算の金額は変えずにあの処置が適当だという点から、八幡の問題につきましては御趣旨におおむね副い得た理由に相成つておると思います。御提起になつておりますところの旧陸海軍の共済組合の年金資格の違う点につきましては、先ほど申上げましたように私ども重要な問題であるということで、今後とも研究はいたして参りたいと存じまするが、八幡の例もあるので、これの言うような方向で物事を考えてみぬかと、こういうどうも仰せでございますと、必ずしもそう相成りますかどうか、よく一つ今後検討させて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/85
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086・野溝勝
○野溝勝君 そこで御質問を重ねるのですが、実はこの法案が出されても出されなくても、どうでもよいというなら私は何をかいわんやでございますが、実は通したい。この精神は誠にいいし、又今東條次長さんもおつしやるように、傷痍軍人の問題、或いは遺家族の問題、これは今日もう予算措置をもつと大胆にもらうべきものでありまして、今頃政府がそんなことをこれから考えようということはおかしいのです。併しこれはこれとして、我々は当面、今議題となつておるこの法案は、この精神がいいからこれは一日も早く質疑を打切つて、討論を省略してやりたいけれども、どうも或々は参議院として十分法文を理解のできないようなことではちよつと困るのです、実際問題として。ですから私は決してひねくるわけでも何でもありません。東條次長のほうで本法案については十分検討して、この共済組合が共通の給付を受けるように一つ努力するということで、今の陸軍の待遇の気の毒な條件にある諸君も同一レベルに上げるように努力する、この特別措置法の規定による年金の点において考えて見ようということの御答弁がありますならば、私はこの法案につきましてはもうこれで質疑を打切ります。御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/86
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087・東條猛猪
○政府委員(東條猛猪君) そこまで固いことを仰せになりませんでも、政府といたしましては非常に旧陸軍、旧海軍その他先ほど申上げましたようにほかの組合につきましても、いろいろ資格要件につきましてはこの前気付いた点で違つておる点かございますので、これらの点については十分今後検討いたしますということで、是非本件はお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/87
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088・野溝勝
○野溝勝君 最後に、東條次官の誠意ある御答弁に対しまして、今日泣いておる陸軍の共済組合関係者のために感謝をしておくものであります。ただ努力する努力すると言つて見たところで、抽象的のことでそれはわからんのですが、それでは来たるべき通常国会に何か政府の努力が現われるものと解釈して差支えありませんか、現われるようにするという意味の努力でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/88
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089・東條猛猪
○政府委員(東條猛猪君) 誠にどうも困つてしまうのでありまするが、先ず私もこういう不均衡があるということは如何なものであろうか、又給與の内容というものはでき得るならば相互間にはバランスをとるべきものであるというふうに考えておりますので、その辺のところで御勘弁頂きまして、いつまでというふうにタイム・リミツトを切つてのきついお話でございませんで、どうか一つよろしくお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/89
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090・野溝勝
○野溝勝君 何分一つお願いいたします。それを希望して質問を打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/90
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091・東條猛猪
○政府委員(東條猛猪君) 恐れ入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/91
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092・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) ほかに御質疑のかたは……。それではこれは予備審査でありますから質疑はこの程度にして次回に讓ることにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/92
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093・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 次に旧外貨債処理法による借換済外貨債の証券の一部の有効化等に関する法律案(予備審査)を議題といたします。先ず政府より内容の説明を聽取することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/93
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094・石田正
○政府委員(石田正君) お手許にあります今議題になりました法律案は、これは今回の開戰直前から戰争継続中に亘りまして、政府がとりましたいろいろな措置と関連をいたしますのでございまして、非常にその間の事情が込み入つております。お指図によりまして成るべく簡単にこの法律案の企図いたしておりまするところを逐條的に説明いたしたいと存じます。
この法律案の第一條は、旧外貨債処理法、旧外国為替管理法及び旧敵産管理法によりまして、今から考えますると適当でなかつたと思われる措置がとられておりますので、外貨債の所持人の権利を侵害したと思われるような部分等につきまして是正をするのであるという本法律案全体の趣旨を示しておるわけでございます。
それから第二條は、この法律案におきまして外貨債とはどういうものを言うのかということでございまして、これは旧外貨債処理法の第一條に規定しましたところの外貨債と、それから名古屋市の五分利付英貨八十万ポンド公債を意味するのであるということを示してございますが、この外貨債の定義によりますところの銘柄というものは、米貨債といたしまして十四、それから英貨債といたしまして十二ということになりまして、結局全部で以て二十六銘柄あるわけであります。それからその次に邦貨債の定義がありますが、これは旧外貨債処理法におきまして旧公債の邦貨債に対する借換を行なつたのでありますが、その邦貨債をこの法律において意味するのであるということを示しているのでありまして、要するに他の條文に移ります前の便宜のための定義を示しているわけであります。
第三條以下が実体的な規定に相成るのであります。で、大体今回の戰争が始まりまして一番困つた問題は何かと申しますと、外国人であるところの所有者に対して支払ができなくなる。これはともかくといたしまして、日本人で外貨債を所有している者に対して支払ができない、こういう問題が起つたわけであります。それからもう一つは外貨債を発行しておりまするところの発行者といたしましては、払わなければそのときはいいのでありましようけれども、問題があとに残るというだけでありまして、その関係が非常に明確を欠くことになつて工合が惡い、こういう点があつたわけであります。そこで初めのうちは外国為替管理法を適用いたしまして、そうして発行者でありますところの地方団体にしましても、会社にいたしましても、そういうものは、日本人の所有者に対しては円で支払つてよろしい、そういうふうなことをいたしたわけであります。併しこれは一部に対してだけ支払が行われているのでありまして、甚だどうもはつきりしないということが言えるわけであります。そこで旧外貨債処理法というものができまして、これは日本人の持つておりまするような外貨債は大体邦貨債に借換えてしまうということを一ついたしまして、それから又外国人、特に敵国人とその当時なつておりましたものにつきましては、これはその発行の対価を地方団体なり或いは発行会社から国に納付させまして、そうしてその事務を国が承継するということを行なつたわけであります。この場合におきまして一番問題がありましたのは、そういう日本人の持つておりましたところの外貨債であつて、その証券が外国にあるのであります。これはそういうものを借換の対象にしないということになりますると、所有者といたしましては非常に困るというような実情でありましたので、これらの証券につきましては所有証明書というものによりまして、大体借換をするということにいたしたのであります。その外国にありました証券のうちで、すでに所有者等におきまして穴をあけてしまつたとか、或いは抹消さしてしまつたとかいうようなものにつきましては、これは殆んど問題がなかつたわけでありますが、その際におきまして、穴をあけたり抹消してしまつて、将来問題が起らないというものばかりでなく、そういう手続をとられておらなかつたものについても借換を行うということをしたわけであります。で、この証券がそのままの状態で所有者に帰されるということなら問題がないわけでありますが、これが状態がその後において変化しておるというふうなことに相なりますると、そこで問題が起つて来るわけであります。で、端的な例を申しますると、日本の銀行等が外国で持つておりました、そういう穴のあけてないところのもの、抹消もしてないところのものにつきまして、現にアメリカ政府におきましてこれを敵産として抑えておるものがございます。これは向うといたしましては有効であるというふうに見ておるわけなのであります。そのほか、そういうふうにはつきりアメリカ政府の手にあるというものでないものも、今言つたような穴あけ或いは抹消がしてないもので存在するものが何かはかに相当あろうかと思うのでありますが、それらのものにつきまして必ずしもそれがどういう所有者の手にあるかということは、我々のほうではわからないのでありますが、これもこれらの外貨債というものは無記名証券でありまするので、それを現に所持しておる者からいたしまして、日本政府に対しまして、発行会社に対しましてこれは有効であるということを主張されましても日本政府においてなかなか再発行することは困難かと思います。そういうような証券につきまして、何らかの措置を以て、国内法において無効としてありますが、やはり有効とせざるを得ないであろうということが考えられるわけでありまして、そういうものの措置が三條以下に規定してあるわけであります。この三條につきましては旧外貨債処理法によりまして借換をいたしまして、そうして無効と日本政府が宣言いたしましたところの外貨債で、原証券が残存しておるもの、私たちの推定で申上げますると、その額は米貨債におきまして八百七十七万ドル、それから英貨債におきまして七十五万一千ポンドと思われるのでありますが、そういうものにつきまして原所持人からこれは有効であるというふうにこちらに言つて参りました場合に、いろいろと事情を聞きまして、そうして止むを得んと思われるものは、それは有効であるということにしようというのが第三條の趣旨であります。それではどういうものを日本政府といたしまして有効であるというふうに考えるかという点につきまして、ここに三つの種類のものを挙げておるわけであります。第一といたしましては借換をするにつきまして所有者の承諾を得ずにやつてしまつたもの、これは今申しました数字の中でどのくらいの数字になるかと申しますと、大体私たちの推察では米貨債におきまして百二十八万五千ドルぐらいあろうかと思つております。それから英貨債のほうで九千五百ポンドぐらいあるのではないかと思うのであります。それから第二に質権の目的となつたにもかかわらず質権者の承諾を得ずして借換えてしまつたもの、これは米貨債におきまして二十八万二千ドルばかり、それから英貨債はございません。それから最後に第三のカテゴリーがあるわけであります。これは所有者、或いは質権者とかいうものの同意は得ておつたのでありますけれども、外国法令によりまして清算が行われたとか、或いは敵産管理が行われた、こういうものでございまして、この額は大体どのくらいになりまするかちよつとわかりかねますが、併しさつき申しました一と二の数字、八百七十七万ドル乃至英貨債のほうの七十五万ポンドから差引きますると、大体米貨債のほうで七百二十万ドル、英貨債のほうで七十四万ポンドというような数字が出て来るのでありますが、大体との三條の範疇に入りまするものは、今最後に申しました数字の中の部分であろうかと思つております。この三のことはこれから各国政府からいろいろ言つて参るかと思うのでありますが、現在アメリカの政府のほうから言つて参つておりまするところの数字は、米貨債が主でありましてこれは四百五十万ドルばかりございます。そうしますると一体この第三條に該当するものはどのくらいの額に結局なるだろうかということになるのでありますが、この点は今申上げました八百七十七万ドル及び七十五万ポンド、そういうものの範囲内であろうということは考えられるのでありますが、具体的にどのくらいの数字になるかということは、これからでなければちよつとはつきり申上げかねるという事情でございます。それで先ほど申しましたように、所有者の承諾を得なかつたとか、或いは質権者の承諾を得なかつたとかいうふうなものは、比率的に申しますれば少いのでありまするし、日本政府といたしましてはできるだけこの三條によりまして大蔵大臣が指定して生き返らせるところの分は、成るべく少いように努力いたして行きたいと思うのであります。ただこれは無記名の証券でございまするので、所持人がその権利を主張して参りました場合に、いろいろと制限をすることについてむずかしいものがあろうかと考えられるのであります。
それから第四條でございまするが、これは非常に複雑な書き方がしてございますが、要するにこの四條の一項と一項とは三條によつて有効だとされたところの外債の利札も又有効であるということを示しておるのであります。一項と二項に書き分けておりまするのは、結局、旧外貨債処理法というものが開戰直後にできたものではなくして昭和十八年に行われましたので、その以後のことが外貨債処理法で処理され、その前におきましては外国為替管理法で処理されておりまするので、その点を二項に謳いまして、結局一項と二項とによりまして、この第三條の証券及び利札というものが有効になると、こういう意味でございます。それから第三項は、これは証券の利子は無効ということはいつてないのでありますが、敵産管理法で以て、政府の特別勘定に、発行者をして利札に対する利子の支払をさせまして、そうしてそれに見合うところの利札というものは無効であるという宣言をいたしたのでありまして、これに対しましてもこれはどうしてもそういう措置をとつたこと自体が適当でなかつたと、今から見れば考えざるを得ないのでありまして、これは有効にしなければならない、かように考えるわけであります。なお、この四條関係といたしましては大体の金額でございますが、三條の元本額につきましては先ほど申しましたように、券面額の点で申しますると、八百七十七万ドルと七十五万一千ポンドでございまするので、これを又ドルに換算いたしまして合計いたしますると、千百四十一万ドルということに相成ります。それから第四條の第一項と第二項で全部がこれは有効になりますれば、その利札の分は米貨の分が五百五十一万五千ドル、英貨の分が四十一万三千ポンド、従いましてこれをドルに換算いたしますると六百九十三万九千ドルと、こういうことに相成ります。この元本の額と利札の額と両方を合せますると、結局千八百三十四万九千ドルという数字が出て参ります。それから四條の三項におきまして利札だけが有効となりまするところのもの、これが米貨債につきまして五百九十八万五千ドル、それから英貨債について三百六十二万五千ポンド、これをドルに換算いたしまして合計いたしますると、千八百五十二万七千ドル、こういうことに相成ります。従いまして三條におきまして全然この制限をするということができなかつたというふうに考えまして、最大限の利子だというふうに考えました場合に、旧外貨債処理法に関係いたします元本と利札が一緒に引かれる分が大体千八百万ドル、それからして敵産管理関係が千八百万ドル、両方合せまして三千六百万ドルをちよつと超えるものが出て参りまして、これが要するに本法律案によりまして有効とされますところの対象となる額と、かように考える次第でございます。
それから次に第五條でございますが、旧外貨債処理法におきまして借換をいたしますと同時に、借換できなかつた分は地方債、社債というものは政府がその債務を承継いたしたのでございます。そこで本件は生き返えるということに相成りますると、旧外貨債処理法の考え方から申しますると、政府が承継したものと同じような状態にある証券ということに相成るのでありまして、その点を考えましてこの有効とされましたところの外貨地方債及び外貨社債の元利支払義務を政府が承継するということを明らかにいたしたものでございます。この五條の一項と二項とは四條を受けましてやつたわけでありますが、第三項はこれは特殊の例でございまして、大阪市築港公債でありまして、元金の償還のためにくじ引をやりまして当つたものがありまして、その元金を払つておらんという分があるわけであります。併し外貨としては払つてございませんが、その償還金とか、或いはその利子の支払金というものを旧敵産管理法に基いて政府は大阪市をして払込を行わせまして発行者のその債務を免れしめる、こういう措置をとつたものがあるわけであります。併しそれについて政府承継というものをいたしておらなかつたのでありまして、これも政府承継を行うのが当然であろうかというので、三項を特に入れたわけであります。
それから第六條以下の問題でございますが、これは外貨債の借換をやつたり何かいたしました関係上、その間におきまして邦貨債を交付するということを先ほど申上げたのでありますが、邦貨債をそのまま生かしておきますると、二重にそこに債務が起るわけでございまするので、有効となるところの外貨債の旧所有者から外貨債の借換価額、それから邦貨債の控除金額との合計額を政府に納付せしめる、こういうことを規定しておるわけでございます。非常にごたごたいたしておりますが、要するに今申しました趣旨が規定されておるわけであります。
第七條のほうは、これは有効となる外貨債のうちで敵産管理人によつて借換えられたものにつきまして同じような趣旨のことを規定いたしたものでございます。
それから第八條でありますが、これは今申しました納付が行われました場合に、国としてそれをどう処理するかということを規定しておるのでありまして、政府に納付される現金、国債、証券及び利札というものは国債整理基金特別会計に繰入れて処理をする、それから地方債及び社債につきましてはその処分代金を同会計に移しまして、そうしていずれも内国債の償却に充てる、こういうことが書いてあるわけであります。
第九條は、これはこの前の旧外貨債処理法をやりました際におきまして無効となりました証券の上にあつたところの質権は、国内において発行されましたところの邦貨債及びそれに対しまして支払いました金銭の上に存せしめるということにいたしておつたのでありますが、今回は向うのものが生かしますから、向うのものが生きるに伴つてこちらも向うのものの上に生きるのである、こういうことが書いてあるのでありまして、当然だと言えるような規定でございます。
それから第十條におきましては、政府に対してさつき申しましたように借換価額等を納付しなければならないものが、特別経理会社であるとか或いは金融機関であるとかというふうな場合におきまして、勘定整理及び納付関係をどうするかということを規定いたしたものでございます。
第十一條は、他の法令とこの法律案との関係におきまして規定することを適当と認めたものを記してあるわけでございます。
第十二條は報告に関する規定でございます。
なお附則におきましては、外貨債を有効にするという関係のほうの規定は公布直後すぐ発効しますが、国内的なほうの分、即ち借換価額の納付等の関係につきましては、来年の四月一日から施行する、こういうことを規定いたしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/94
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095・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) これについて質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/95
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096・小林政夫
○小林政夫君 第三條の大蔵大臣が指定するという、こういうのは、二項と併せて読むと、一証券ごとに指定するわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/96
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097・石田正
○政府委員(石田正君) これは各証券ごとに番号等を明らかにいたしまして指定し且つ告示をいたしたいと思つております。なお附加えて申しますると、アメリカにおきましては御承知の通りに取引所において日本の外債はすでに取引されております。併しながらこういうふうな問題になつておるところの証券につきましては、その番号等は向うに行つておりましてそれは取引所では取扱わない、こういうふうにいたしまして、現に処理未定の下におきましては取引の利益を保護しておる、こういうふうな実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/97
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098・小林政夫
○小林政夫君 このやはり第三條ですが、第一項の第三号ですね、「当該外国の法令に基き清算に付され、又は敵産として管理に付されたもの」、この外貨の処置ですね、これはどういうことになつておるか、もう少し具体的に説明してもらいたい。例えばちよつと説明してもらうために、参考のために……、いわゆる連合国人が持つておつたものもあるし、向うにおつた日本人が持つておつたものもあるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/98
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099・石田正
○政府委員(石田正君) 今のお尋ねの中で米国人、英国人というような或いは中国人と申しますか、そういうふうな連合国人が持つておつたものはこれは第三項には入りません。入りますのは日本人、それからして或いはドイツ人、イタリー人、こういうものかと思います。併しこの三項におきましては、いわゆる連合国人の持つておつたものは入らんというように考えております。それからなおアメリカにつきまして詳しく説明をせよということでございますが、アメリカにいたしましても例えばドイツ人の持つておるものを、どういうふうにやつておるか、イタリー人の持つておつたものはどういうふうにやつておるかということは、実は我々のところではわからないのであります。わかつておりますのは日本人の持つておつたもの、日本人と申しますと、これは法律的に申しますと、商社等も含むわけでございますが、そういうものにつきましては各州が例えば横浜正金銀行なら横浜正金銀行の店をその州において清算するということをやりまして、その清算した残りを結局連邦政府に引継いで敵産管理に付する、かような状況にして取扱つておるようでございます。イギリスのほうの事情はどうもはつきいたしておりません。フランスもはつきりいたしておりません。まあ日本の外債を多量に持つておつたと思われるものは連合国人といたしましてはこの三国であろうかと思うのでありますが、これにつきましてはフランス政府及びイギリス政府から何らの申入れがございませんので、どういうふうな状況に相成つておるかということは遺憾ながら今日ではわからない状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/99
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100・小林政夫
○小林政夫君 そうすると、平和條約の第十四條で、日本国民の持つておつた財産は一応全部とり上げられる、賠償としてとり上げられるということになつておる。そうして除外するものとして第十四條項の(a)の(II)の(V)です。日本国民の債務で、これは日本国通貨で表示されておるものは免除される、従つてその反対解釈は外貨で表示されておるものはとられる、こういうことになる……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/100
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101・石田正
○政府委員(石田正君) 小林委員の御指摘の通りの解釈であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/101
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102・小林政夫
○小林政夫君 そうすると、今日本人が持つておつたものはとられるわけであつて、それをこの規定で行くと、有効なものにするということはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/102
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103・石田正
○政府委員(石田正君) 現に先ほども申上げましたような工合に、アメリカ政府はこの外債を管理いたしておるわけでございます。條約の條文におきましてはそういうものはこれは向うがとれるのだということに相成つておるわけであります。従つてこの証券というものが仮に向うがと上りげると言つても、無効なものであるならばとり上げても意味がないわけでありまして、その意味におきまして、これを有効にするということは向うがとり上げたものとして価値あるものということの実体が出て来る、かようなことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/103
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104・小林政夫
○小林政夫君 第六條の「借換により邦貨債を取得した者」、この者の中には内外人ともあるわけでしようね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/104
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105・石田正
○政府委員(石田正君) 先ほど申しましたように借換につきましては、日本人の関係を処理するというのが目的でございますので、大体日本人、こういうふうに考えております。ただこれは何と申しますか、第七條との関係もございまするので、第七條のほうの関係に参りますると、外国人が所有者であつたというものもございますが、第六條の関係におきましては大体日本人、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/105
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106・小林政夫
○小林政夫君 第十條ですが、この企業再建整備法によつて「仮勘定として貸借対照表の資産の部に計上し、」こういうことになつておるわけですが、実際例によつて説明してもらいたいのですがね。実際例と言うか、数字的に、仮定の数字でいいわけです。その経理方針を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/106
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107・石田正
○政府委員(石田正君) これは御承知の通りに、企業再建整備法におきましては本勘定と仮勘定に分れておるわけでありまして、仮勘定は日本において処理されたところのものは本勘定には逆に出て来る、こういうことが先ずあるわけでございます。そこでこれを仮勘定の部におきまして資産の部に計上するということは本勘定のほうにおきましてはそれだけ支払をする、こういうことに相成るわけでございす。それからこの仮当該の件に該当するところの外貨債というのはこれは仮勘定が一番初めできましたときにはなかつたものでございます。なかつたけれども、併し若しそれが会社が持つておつたらどういう処置をするかということになります。その場合に一般に在外財産は御承知のように何と言いますか、未確定評価というような形になつておるわけであります。これは企業再建整備法のやり方から言いますると、相当細かいやり方をやりましたほうが再建整備法の技術的なあれとは一致するかも知れませんのですが、これは仮にそういう細かいことをやりましても、実際以下に評価をいたしましても、自分のものにならないということの公算のほうが多いわけでございますので、そういうものにつきましては零として評価しておいたほうが適当であろう。将来何らかの関係でこれが例えば元所有者に帰つて来るというようなことがあればそのときに評価し直せばいいではないか、この際としては零として置いて結局仮に邦貨債を持つておればそれを納めなければならない。政府に、それから邦貨債を売つたり何とかしておれば対価を円で払わなければならない。その関係で処理して置いたらどうだろうかということが、この案でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/107
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108・野溝勝
○野溝勝君 私はよく内容がわからんのですが、なかなか手の込んだ法案でありまするので、ちよつとお聞きするのですが、これはあれですか、先般本委員会で質疑討論しました連合国財産補償法案のこれは裏付けみたいなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/108
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109・石田正
○政府委員(石田正君) 裏付けということはないかと思いますが、連合国財産というのは、あれは日本の中にありました連合国人の財産を損害があつた場合にどうするかという規定でございます。これは外国にあつたところの日本の外貨債証券、日本の債務たる外貨債証券であつて、日本の中で所有者に邦貨債を渡したから、外国にあるところの、外国に残して来たところのものはもう無効であるぞと、こういう宣言をしておるわけであります。ところが宣言をいたしましても外貨債は伺うにちやんと残つておるわけでございます。海外に残つておるわけであります。而もそれでは無記名の持参人払いの証券でございます。そういうものが無効であるということは旧外貨債自体で言いましても、これは所持人の如何によりましては日本の法律でそういうことにしたからもうこれは默目であると、こういう態度をするのは困難であろうか、それを日本の国内法で無効としたものを国内法において止むを得ぬものは有効にすると、こういう法律でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/109
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110・野溝勝
○野溝勝君 これはあれですか、北大西洋憲章、それから最近の講和條約の平和と和解、こういうものとの関連はどういうふうになるのですか。検討されたことはあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/110
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111・石田正
○政府委員(石田正君) 先ほど小林委員からお話がありました、要するに向うにありまところの日本人財産は没収するということがあり、現にアメリカにおきまして有価証券を一部抑えておるわけであります。従いましてこの法律で、先ほど申しましたような工合に有効化いたしますればそれは価値のあるものだ、抑えるほうから言わせれば価値のあるものであり、向うが初めから価値のあるものと考えて抑えておるのでありますが、日本政府は前にしておつたのでありますが、結局価値のあるものになるという点においては、その点で條約に関係があろうかと思います。それから又、御承知の通りに、外貨債につきましては條約におきましてできるだけその処理につきまして債権者との間に日本政府としては話合をしなければならんという條項があるわけでございます。その外貨債全般の問題といたしまして話合をするときに、向うは勿論これは有効なものであるというふうに言つて来るのに対して、こちらは、日本の法律の関係では無効になつておるんだ、だから日本政府としてはこれは外貨債処理の建前の外にあるんじやと、こういうふうなことを言うかどうかという問題があるわけでございます。若しこの法律案によりまして有効化されたものがあれば、その有効化されたものは外貨債処理の対象として一括処理をされるべきものに相成る、こういう関係でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/111
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112・野溝勝
○野溝勝君 私はここで條約問題を一一引合つて、こんなことで質疑をしようとは思いませんが、どうも私これは賠償金の肩代りみたいにも思えるのです、そこで石田さん、先ほど小林さんが平和條約の十四條を持ち出しましたが、相当疑義の余地があると思うんだが、そこでそれはとにかくとして、日本の邦貨で換算するとどのくらいですか、頭が惡くてわからんのですけれども発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/112
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113・石田正
○政府委員(石田正君) 先ほど申上げましたような工合に、本法律案において、いわゆる大蔵大臣が指定するかしないかと、相手方の交渉があるわけでありますが、指定するかしないかという問題の対象となり得るところの額は、来年の三月末日までの利札を計算に入れまして約三千七百万ドルに相成るわけでございます。これを邦貨に換算いたしますと約百三十三億、こういうことになるわけでございます。それからなお先ほど申し忘れたのでありますが、現在こういうふうな賠償をしないで、日本側において無効の措置を全然とらないで、日本側において有効としておつたところのものはどのくらいかと申しますと、大体元本額におきまして一億七千九百万ドル、未払利子額にいたしまして一億三千二百万ドルございます。従いまして両者を合計いたしますと四億一千二百万ドルばかりに相成るわけでございます。それに三千七百万ドルというものが加わるということに相成りますと、全体といたしましては大体四億四千八百万ドルから九百万ドル、四億四千八百万ドルばかりの数字になるわけであります。これがいわゆる外債処理といたしましてどうするか、こういう問題として将来なりはせんか、かように考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/113
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114・野溝勝
○野溝勝君 これ以上は何をかいわんやであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/114
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115・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) それでは本案に対する御質疑は次回に讓ることにしまして、次に租税関係の法案について、小林委員より特に質疑をいたしたいとの申出がありますが、さよう取計らつてよろしうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/115
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116・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) それでは所謂税法の臨時特例に関する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、右の三案に対する御質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/116
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117・小林政夫
○小林政夫君 先だつて野溝さんの質問に対して中小企業庁の長官がいろいろ応答をされておられました。
〔委員長退席、理事大矢半次郎君委員長席に着く〕
その答弁の模様から考えて、私最後に、今度の法人税の二割引上という点を、特に中小企業者の場合において適当であるかどうかという質問をしたわけでありますが、個人営業主と比べてそのくらいの引上は止むを得ないという答弁だつたわけであります。ただ個人営業主と法人組織の中小企業を比較するという比較の仕方を、どういう見地からお考えになつて、現在の二割引上が適当であるというふうに考えられたか、特に中小企業庁の長官に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/117
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118・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 御承知のように個人所得につきましては、何と申しまするか査定の問題におきまして、或いは又何と申しますか、その所得の見方その他につきまして、法人よりも比較的に帳簿その他の経理状況が十分でないというようなことから、法人ほどはつきりしないというふうな点がございます。従いまして法人ほどはつきりしないだけに、どちらかというと苦しいという訴えが非常に多いのであります。その点から、御承知の通りに、小さい法人が相当出て参つたというふうなことも事実であります。大観いたしまして、法人のほうが比較的個人企業よりも、税の関係が楽だということははつきりしているというような点がありますので、その点から今回の法人税の引上というものは釣合から言つて大体止むを得んだろう、こういうふうなお話を申上げたわけであります。で、はつきりと、こういう資料をとつて、この計数的な結果から出て来る、こういうふうな結果から申上げたわけではないのでありまして、大体の今までのいろいろな話から業界の実情というような点から申上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/118
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119・小林政夫
○小林政夫君 この比較の場合に、まあ大体同じ程度の事業規模を持つておるとみなされておる個人業種と法人とを比較なさつて、その個人業主のほうの税額が多い、表面的な額だけの比較だけで多いということであれば、個人業主のほうが多いにきまつておるということは、法人の場合においては給與所得と、大抵の場合中小法人の多くの例は同時に自分が重役であるとか、或いは社員であり、同時に株主である、その配当所得と給與所得の面と併せ考えなければならん。まあそういう個人の場合には、税額を考える場合には、給與所得税と配当所得税、それから法人税、これを併せて考えなければならん。個人業主の場合には、こういつたものが一括して押えられるという観念になるわけですが、そこでそういうふうに分析して負担の割合をお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/119
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120・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 御承知の通り、小さな企業におきまする個人経営のものに対しては、今一番問題になつておりまするのは、御指摘のように勤労控除の問題、その他の問題が一番問題になつておると私ども考えておるわけでございます。そういうふうなことも頭に入れまして考えたときに、個人企業のほうは比較的に重くなつて来ておるというふうに考えておるわけでございます。で、中小企業の……まあ余談になりまするが、税の面から申しますと、小さな企業におきまするそういう勤労控除の問題を是非我々としては適当な機会にやつて行かないといかんのじやないか、特に法人関係との釣合がとれんというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/120
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121・小林政夫
○小林政夫君 法人と個人業主との、そういう今お気付きになつておるような点において均衡がとれないということであるならば、この勤労控除のほうを特に考えればいいのであつて、この際法人税の増徴にあなたのほうが、特に中小企業、中小法人の法人税増徴に同調されるというのはおかしいじやないですか。それは押えておいて一方の、若し個人業主のほうがそういつた点においてあなたの御指摘のような点があれば、その処置を講ずるようにすべきであつて、一方大法人と同じように中小法人の税率を上げることはおかしい。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/121
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122・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 御指摘のような考え方がまあ当然だと私は思うのでありまするが、ただ実際問題として、税の問題といたしましては、いろいろの総合的な観点が入つて税制度が考えられると思うのであります。従いまして、この際私が申上げましたように、勤労控除の問題を一方においてすぐ取上げられるというふうな事情でもないように思いますが、困難な事情でもありましたので、そういうふうな法人税の引上げということも止むを得ないのではないか、こういうふうに考えたわけであります。考え方としてはお話のように行くのが筋だとは思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/122
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123・小林政夫
○小林政夫君 その考え方は全く中小企業庁の長官としては……、主税局長がそういうふうにお考えになるのならば当り前かも知れませんが、この前野溝さんからもお話があつたように、電力の問題等で相当中小企業は疲弊し、経営難に陷つておる問題もあり、野溝さんなんかは、そういうことのために減税の措置を考えたらどうかと言われておるにもかかわらず、一般の特にそういつた中小企業者に対して重荷を課さないようにすべき長官が、ただ表面的な公平というような点から、一方上げるほうに公平を、税負担を重くするほうに同調するという考え方はおかしいのじやないか。現に英国においても、少額所得法人については免税点を設けておる。アメリカにおいても少額所得法人と大所得法人とは税率が違う。こういう点も御研究になつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/123
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124・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 英国の例は詳しくは存じませんが、そういう話は私も耳にいたしております。中小企業の税の問題につきましては、特に小さな企業の税の問題につきましては、我我は従来からいわゆる基礎担保を中心としたものをお願いしておるわけであります。併しながら今回の法人税の引上に際しまして、この問題を特に並行的に考えて頂くということが実はできなかつたのは遺憾でありまするが、全体の税の上から見て止むを得ない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/124
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125・小林政夫
○小林政夫君 もうそれ以上は意見になりますからあれですが、もう少し中小企業庁としては税の問題、特に中小企業においては、税のために倒れておるというものも相当ある。真劍に研究されて、むしろいろいろなこの金融対策、或いは電力の問題、その他資材対策というような点も勿論重要であります、重要でありますが、この中小企業の税金に対して怨嗟の声を発しておる多くの者は、中小企業者が一番声が大きいと思うのであります。そこでもう少し十分に研究され、力強く主税局とも折衝をされることを要望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/125
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126・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 私からちよつと併せて申上げておきますが、中小企業の課税につきましては、実は私どものほうも、中小企業庁といろいろの方面において遠慮なくあれいたしまして、御意見を承わつておるのでありますが、一番の問題は先ほど長官からもお話になりましたように、所得の内容と申しますか、経理の内容がはつきりしない、これをはつきりさせることが、税の上におきましても、金融等の問題の上におきましても、一番重要な問題であるという意味におきまして、例の青色申告の普及徹底ということにつきましては、中小企業庁と実は一体になりまして、指導督励を図つておるような次第でございます。中小企業庁におきましても、その問題は常に考えておられますことを附加えておきたいと思います。
なおそれからこの事業税の問題に一番問題があるのでございますが、そのほかに問題がいろいろあるわけでございますが、一つは長官からお話のありました勤労控除を事業所得について認めるか認めないかという問題が一つ、もう一つは、事業税でございますね、事業税に何ら控除がないのでございますが、その結果、殊に小企業者にとりまして負担が相当重くなつておる、それを何か基礎控除を設けるかどうか。こういう問題があるのでございますが、そのうち後者の問題につきましては、これはまだ言明はできませんが、この次の国会に五万円程度の控除を設けたらどうかということを目下地財委と研究いたしております。それから事業所得に対します勤労控除の問題につきましては、先般も農業所得について先ず第一に認めるべきだという御議論がございましたが、これに対しましては先般お答えしました通りで、大分基礎控除においても上げますので、今回はそこまで至らなかつたということを申上げた次第であります。
なお法人と個人の負担の関係につきましては、今小林委員からお話がありましたような、法人がどういうような経理のやり方をやるかによりまして、実は若干違つて参るのでありまして、殊に給與としまして利益の一部を重役等に払うということになりますと、勤労所得に対しまして、勤労控除もありまするし、比較的有利になります。事業税もその部分にはかからない、こういう関係になりまして、大分有利な部面が出て参るのでございます。従いまして計算例はいろいろなかなかむつかしく、簡單に理想的なものはできないのでございますが、私ども今まで試算した例によりますと、現行法によると、どうもやはり個人の場合に比較しまして、法人のほうがやり方次第で軽くし得る、これは勿論給料をどの程度出すか、それから配当としてどの程度配当し、どの程度留保するか、それによつて違うのですが、やり方次第によつて個人よりも法人の場合が軽くなり得る余地が今までは比較的多かつたということは、これはもうはつきり言えるかと思うのでございまして、その点からいたしましても、法人は相当多いということがこれを物語つておりますし、今回の改正によりましてその点がよほどよくなつて来る。勿論これで完全に個人と法人と理想的にバランスがとれたものになるかどうかということになつて来ますと、これは技術的になかなかむつかしくなりまして、困難な節が多いと思いますが、現在よりもその辺はよくなつて参りまして、同じ中小企業が、個人で経営する場合と、法人で経営する場合との負担のバランスは、よほど図り得るようになる、このように私どもとしましては見ておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/126
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127・小林政夫
○小林政夫君 今中小企業庁の長官にお話したのを側で聞いておられたわけでありますから、わかつておると思いますが、殖えるほうへ均衡をとらずに、軽く……、若し一歩讓つて今あなたがおつしやるように、法人のほうはやり方によつては税負担が軽くなるのだということであるならば、その軽くなるほうへ個人業主の税負担が均衡になるように、中小企業のほうは考えてもらいたい。多くなるように均衡をとつてもらわないということが僕の趣旨なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/127
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128・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) これはもう特に申上げる必要はないかと思いますが、その問題はやはり所得税の控除の問題、それから所得税に対してどの程度収入を期待するか、それから又中小企業の中には帳面がはつきりしないために、ややともすればどうも無理な課税を受ける例がなしともしない。その半面拔けているものも事実上相当ある。そういう問題がございますので、そういう点を徐々に今後改善が加えられました上で、更に法人税の負担等と考え合せまして適正化を図るというのでなければ、今一挙にそういう方向へ行くのはむつかしいのじやないかと、私どもは考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/128
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129・小林政夫
○小林政夫君 それじや、今税収の問題も多少考えておられるようでありますが、中小企業庁のほうでいわゆる中小企業庁所管の法人税、中小企業法人の税収がどれだけになるか、一遍計算して見て下さい。そうしてそれが三五%据置の場合と……、すぐに出ますから、どれだけの負担ということが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/129
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130・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 私が申上げましたのは、今小林委員が、所得税で控除を設けることによりましてバランスを図つたらどうだという、つまり法人を重くしないで、個人を軽くしてバランスを図つたらどうだというお話でございましたので、所得税の減収の問題として触れたのでございまして、法人の税率を軽くしますと、所得税を軽くいたしますと、両方で又大減収が出て来ると思いますが、その辺御了承を願いたいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/130
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131・小林政夫
○小林政夫君 私は今日は主税局長と議論しようと思つておつたのではありませんので、中小企業庁においてもつと税の問題に真劍に取組んでもらいたいという趣旨で、今日は特に中小企業庁長官にいろいろ私の私見をまぜて質問したわけであります。従つて今主税局長の言われたような計算例というようなものについてもむしろ中小企業庁の側としては、法人税を二割上げるということであるならば、もう簡單に、ああそうかということでなしに、相当ねばつて、上げるようにしてくれという意見が出なければならんはずだ、それを簡單に、まあ比較して見れば法人のほうが軽いからと言つて、すぐ呑むようなことでは困るので、今言つたようないろいろな資料を整えて、税の負担が今より重くならないように、あらゆる角度から努力をして頂きたい、こういう趣旨です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/131
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132・田村文吉
○田村文吉君 只今の小林委員の質問、意見に補足したいのでありますが、私は中小企業の振興という問題が、もう終戰後の国会以来盛んに叫ばれておりますが、この問題の要点はどこにあるかというと、中小企業の税の問題だ、それくらいに私は考えておりますので、中小企業庁の長官であらせられますおかたからは、何をおいてもこの税の問題について十分に一つ検討して頂きたい、これはもう別に例を挙げるまでもないところでありますけれども、各府県において中小企業、殊に昨今皆法人になつているというような人たちが、税のために或いは廃業したり、或いはそれがために自殺をしたり、随分私は悲惨な例を見ているのであります。中小企業振興といつて掛声だけはするけれども、実際の効果はない、この点は税の問題を如何にして公正にしてやるかということでないかと私は考えております。そこで今のように法人法が上がる場合に、中小企業庁の長官として、それはもう個人としての比較上いいのじやないかというふうに簡單にはお考えなさるべきじやないということについて、小林委員と全く同一の考えを持つているので、特にもう念を押して申上げるので、言い換えると、中小企業庁は特に中小企業の振興のためには、税の問題をよくしてやつて下さいということが、職務の大事な部分だということを特に私は申上げたいと思います。
それからもう一つ、丁度主税局長がおられますから伺いますが、特に中小企業に対して例を挙げて、シヤウプ・ミツシヨンが数字を挙げて勧告しておりますね。御承知になつておりますか。個人の場合と法人の場合における例を挙げて勧告が出ておりますね。その場合においていろいろ検討した結果が、法人税は三五%、保留金に対して百分の一をとるというようなことが書いてありますね。私はシヤウプ・ミツシヨンのその見解について、現在の大蔵省としてはどうお考えになつておるのか、或いはそういう点について均衡が失われているとお考えになつていらつしやるのかどうか、そういうことを伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/132
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133・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) これは率直に申上げまして、私ども実行いたしました結果、どうも少し法人のほうが個人に比べまして軽くなり過ぎたのではないかというふうに感じておるのでございます。と申しますのは御承知の通り、二十四年度までありました超過所得税をやめたのでございます。その当時の超過所得税は、やはり中小企業の場合は利益がちよつと出ますと、資本金の割合に利益が多く出まして、相当の負担をして来たのでありますが、これがなくなつたのが一つと、それから配当所得に対しまして、御承知の通り二割五分の控除を設けまして、今までと違つた課税方法をとることにしたのが一つ、そういう点が重なりまして、個人の所得税がそれに反しまして思うように軽減がされていないというところからいたしまして、どうも二十五年度の改正では法人のほうに少し従来と比べまして、負担の軽減のほうが著しかつたのではないかというふうに感じておる次第でございまして、いろいろ試算したのがございますが、試算の結果によりましても、若干この法人のほうを増徴して個人は減税して、それでなお且つ丁度バランスがとり得るのじやないか、こういうような考え方を持つておるのでございます。ただその法人のほうはそれじや一律にそうかと申しますと、先ほど申しましたようにやり方によつて実は少し違つて来るので、給料としてどの程度出すか、配当をするかしないか、いずれにいたしましても、如何なる場合におきましても、全く同じ負担にさせるということは税の技術上なかなかむずかしいのでございまして、なかなかできないのですが、うまくやりますと相当個人事業を続けております場合に比べまして、二十五年度の改正の結果今までよりも少し低くすることができるという傾向になつておることは感じておる次第でございます。従いまして小法人について特別に低い税率を設けるか設けないか、これは私どもも考えて見たのでございますが、今の段階におきましては先ず一律のほうがよろしかろうというふうに考えたような次第でございます。これを申上げて置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/133
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134・田村文吉
○田村文吉君 今のシヤウプ・ミツシヨンの勧告は個人の所得と法人の所得とを例を挙げてまで比較をしておられるのでして、その場合において法人は三五%、保留所得に対しては百分の一ですか、そのくらいまではかけてもいいだろうというようなことがあるのでございますが、そうすると、今の主税局の実際おやりになつた見解から行くと、シヤツプ・ミツシヨンの勧告というものは自分たちとしては公平でないというふうにお考えになつているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/134
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135・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 公平でないということまでは申上げにくいと思いますが、どちらかと言いますと、法人のほうに少し軽減の仕方が多かつたというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/135
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136・野溝勝
○野溝勝君 只今議題になりました租税特別措置法の一部改正法律案について質問いたします。提案の理由によりまするというと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/136
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137・小林政夫
○小林政夫君 今それじやないのです。中小法人の課税の問題をやつているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/137
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138・野溝勝
○野溝勝君 併し三案とも議題になつているのじやないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/138
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139・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/139
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140・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/140
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141・小林政夫
○小林政夫君 いろいろ述べましたが、結局例えば税負担の問題ですね。大蔵大臣がしよつちゆう言われるように、アメリカも国民所得に対して二十数%ですか、日本は一七・六万である。だから税負担においてはむしろ米英と比較して日本が軽いのだというような気持のお話がある、これはそういつたことは全然問題にならないのです。アメリカの所得の額の問題と我々の所得の額の問題と、比較すれば同じ所得額に対して。パーセンテージは一七・六或いは二〇%前後でも、我々が受ける苦痛というものは同じじやないわけです。日本はうんと又それよりも減税しなきやならんという状態にある。これと同じように一月に何千万円もの所得を挙げておる法人と五万か十万か、その額は別としていわゆる中小法人と大法人と同じ四二%或いは三五%という率でいいわけはないのです。中小法人の中にも好況のものもあります。これが一律に小から大まで同じ税率でいいというはずがない。そういう点も十分考慮されて中小企業庁においては愼重に十分研究して、この税率について一律に引上げるということについては強く反対してもらわなければならんと僕は思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/141
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142・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 今アメリカの負担との比較がございましたが、その点についてちよつと申上げて置きます。私、大臣も恐らく今小林さんのお話になつた意味にまではお話になつていないのじやないかと思うのでございます。現実問題といたしまして、国民所得に対しまする総税負担から言いますと、まあ率直に申上げまして日本の負担はそれほど多くない。そういう点だけから申しますと、イギリスが大体四〇%近くになつておりまするし、日本は資料で差上げましたように二〇%強、それからフランス、ドイツ等も三〇%前後に行つているようでございます。アメリカはたしか二七%、今度、最近増税しましたので新聞等によりますと、三〇%になつて過重だという大分論議があるようでございますが、まあそのようになつております。併しそれは私は必ずしもそのことだけから議論するのもどうもやはりお話のようにどうかと思うのです。そうかと言いまして所得額の絶対額で比較してだけ議論するのもどうかと思うのでございまして、若しもアメリカの所得税法を日本に持つて来ましてそれだけ適用しますと、まあ数十億ぐらいの所得税の収入がありますか、これは問題にならん税になるだろうと思いますが、私はそれよりも過去から比べまして国民所得がどうなつているか、つまり実際の担税力がどういうふうになつているか。これが一番実は大きな問題ではないか、それでアメリカ等におきましては大分国民所得が実質的に増加いたしまして、税も殖えておりますが、生活水準も同時に上つておる。従いまして相当税は重いがまだ納めやすい。アメリカでも決して軽いなんていう議論はなくて、今日では殆んど重税だということを雑誌等にも載つておりますが、それにいたしましても前から比べますと、所得全体が殖えておりますので、税が殖えましてもそれほど苦痛に感じない。ところが日本の場合におきましては今生産は大分アツプしまして国民所得も戰前のレベルにほぼ近いところになつたかと思いますが、それにいたしましても一方におきましては、戰災でやられておりまするし、設備等もやられておりまして、資本の蓄積を図らなければならない。個人の場合におきましても、多年の蓄積の消費財の補充を行わなければならない、そういう点から行きまして生活水準自体というものは戰前に比べましてまだ低い。それに税金が戰前よりも実は大分重くなつておりますので、私はこの重税減を非常に強く一般国民が持つておりますことはこれは尤もなことだと存じます。従いましてできる限り減税という方針で参つたわけでございますが、そのような点を比較いたしまして負担を比較されたらいいじやないか。それから法人税の税率の問題でございますが、ドイツの場合は全部フラットに五〇%課税いたしております。アメリカの場合は二万四千ドル以下の所得に対しまして法人税の税率を軽くしています。その辺以下の個人の所得税は実はアメリカは比較的低いのであります。その辺になりますとどうしても個人の所得税とのバランスという意味におきましてもアメリカの場合でありますればやはり一律に今度五二%に法人税の税率をいたしますれば、そこまで行くのは無理だというので差はついているようでございます。まあ私はこのように見ておるのでございますが、併しこのような問題はいずれも私どもとしましても研究しなくちやならん重要な問題でございますので、なお、今後とも検討を続けて参りたいのでございますが、御参考までに申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/142
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143・田村文吉
○田村文吉君 今のお話がありましたアメリカの率、イギリスの率、日本の率を比べて必ずしも重税でない。併しそれはそうも言うけれども、所得の割合等から計算すれば考慮しなければならんというお考えは無論ある。併し問題は私はどちらがいいか、今の物価が半分に下つた場合にこの税率をおやりになつても誰も高いと思う人はいない。現在の物価が半分に下つて、その場合においてこの税率を御適用になつたところで誰も高いと思う人はない。そういう点が今日非常に日本の今悩みになつているのだろう。これはひとり個人だけでなく法人でもそうなんです。この間も実は或るスイスの商人の人がおられまして、何か来年からか非常に国内における税が上るのでありますか、上るととても日本にはいられないということを言つておつたのですが、要するに所得がこの人たちはそう高いとは考えていないけれども、日本からすると高い所得になるのです。そいでとてもこれはやり切れんということを言つておりましたので、この点が我々法人個人を問わずよほど考えて頂かないと困る問題だということじやないかと思うのです。まあ十分そういう点は御承知ではありましようが、物価を半分でもお下げになるならば絶対に今の率は高いなどとは申しません。或いは半分まで行かなくとも三割、四割でもお下げになつたらどなたも今の税率が高いとはおつしやらん。こういう点が非常に大きな悩みになつておるのじやないかと、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/143
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144・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 特に申上げるほどのこともないかと思いますが、私は法人税の税率といたしましては、これは控除の関係その他のことも余り問題でございませんので、税率の実態比較と申しますか、アメリカは何%、イギリスが何%、ドイツが何%、日本が何%というようなものを比較しまして、割合に比較ができるのじやないかというふうに感ずるのでございますが、個人の場合におきましては控除の関係、それから一般の所得の、先ほど小林さんからのお話がありましたような総体的な比較、殊に日本におきます、過去との比較におきまする物価の点を考慮に入れた実質所得がどうなつておるか、そういう点からいたしまして所得税は何と申しましても重い。これはできるだけ一つ軽減いたしたい、こういう趣旨で考えたような次第でございまして、その点からいたしまして極力考えておるのでございまするが、一方又物価が上るので減税した効果が十分出て来ない。従いまして御指摘のように物価が上らなければもつと減税の効果が多く現われているだろう、こういうことは御尤もだと思うのでございますが、それにいたしましても、それぞれの財政の事情とも関係がございますので、そういうものと関連しまして所得税につきましては今後私ども極力減税するという方針をとつて参つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/144
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145・田村文吉
○田村文吉君 そういうお話でありますと、法人の場合については各国との比率の通りいつてもいいじやないかという議論が出るのだというお話でありますが、ただ私どもは実例でちよつと申上げるのですが、今日一割の配当を仮に会社がしてくれるという場合に、漸く煙草一本、一本しか配当が来ないような、或いは多くて二本、そういうような勘定になつておりますから、よほど法人が相当利益を挙げてもらつて、昔の十倍、物価というものが二百倍にも三百倍にもなつておるのですから、やはりそういうふうに一応上げられて、それで漸くその人がやつて行けるというふうになつておるのでありますから、やはり法人の場合も私は高額の所得と言いましても、邦貨における高額と言つたところで、ドルに換算した場合には極めて少いのだ。だからやはりそういう塩も個人の場合だけじやなく、法人の場合でもやはりこれは考えて行つてもらつてよろしいのじやないかと、こう考えますので、これは或いは意見の相違になるかも知れませんが、この事実だけは御承知だろうと思う。例えば今日一割の配当をするといつて大変有難いようだが、煙草一本か二本しか配当しておらない。こういうことで法人は利益があるのだから税金をとつてもいいのだ、税率を上げてもいいのだというふうには、私はちよつと考えられない。この点だけ申上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/145
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146・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 今のお話の点につきましては、実はたびたび申上げておりまするし、又実は資料でこの会社の収益及び資本蓄積状況調表を先般お配りいたしたかと思いますけれども、最近特に朝鮮動乱以後、事態が余ほど改善されまして、この一、二年前と比べまして状況が余ほどよくなつて来ておるということは言い得るのじやないかというふうに考えるのでございます。併し一方におきましては、再評価を行いまして償却分も増加いたしました。それから本年におきまして償却の年限につきましても全面的に改訂を加えまして妥当な償却率を定めたのでございます。と同時に、更に又特別措置といたしまして償却を殖やすという方法も考えておるような次第でございますが、その償却を先般もお話いたしましたように約千億円程度、本年千百十五億円程度の償却を前提として考えましても、利益が四千九百六十億円、そうすると払込資本金が今年の六月で三千三百八十億円、積立金が千四百億、再評価積立金が電力等がやることになりましたので、それを加えまして七千百億円、合せますと一兆一千八百九十億、この自己資本に対しまして償却後四千九百六十四億、そうすると再評価積立金を入れましたこの自己資本に対しまして償却後の利益率が四割一分程度になる。これは昨年、一昨年などに比べますと非常な改善でございまして、私はこの法人企業はとの一年で特に顯著な回復を示した。併しまあ非常に十分であるかということになりますと、それはいろいろ御議論ございましよう。殊に戰災を受けたり、その他による本当の資本の充実もまだ完全にはできていない。一方におきましては合理化の必要もあるというところもございますので、私これでもう十分だということは決して申上げないのでございますが、このように顯著な改善が加えられつつある際でございますので、まあ所得税の相当大幅な減税を行いまするものと関連いたしまして、法人につきまして若干の増税を図る、増税を図るといたしましても他方におきましてはいろんな課税標準の計算に関する特例を設けまして、実情に即するような措置をとりつつやるということでありますれば、先ず妥当な数字ではあるまいかと、こういつたように私どもとしましては、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/146
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147・小林政夫
○小林政夫君 主税局長の意見は前から聞いておりますが、いろいろこの問題については主税局長とのまだ討論は残つておりますし、質問も残つておりますが、小笠さんお急ぎのようでもありますし、今日は特に中小企業庁長官に税を軽んじてもらつては困る。特に田村委員からもお話があつたように中小企業は税によつて倒れておるというものも相当あるというので、中小企業対策としては税対策が最も重要な問題である。金融の問題もありますけれども、相当重要なものであるということについて大いに認識をしてもらい、研究もしてもらいたいという趣旨で、特に御出席を求めたのであります、その点についてはいろいろ意見をもう申上げましたので、法人税一般についての主税局長との質疑応答は他日に讓りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/147
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148・清澤俊英
○清澤俊英君 面倒なお話じやないのですが、これは私ら長岡のような戰災地の中小企業者が始終言うておるのですが、まあ戰災者は焼けて家も品物も全部殆んど借金で立つておる。それが売上げが新潟の商人と同じだから、戰災地の商人も売上げというやつは……、それと同時に利益も同じだ、こういう建前で税金をかけられていたらこれは非常に痛手だ、殊にまあこれはこの間もちよつと主税局長に野溝君は宿屋の税金をどうとか言われたようだが、こういうお話でありましたが、宿屋などはいい例ですが、戰災後の土地でありますから非常に設備も惡くて建物も惡い。従つて長岡に泊る人がわざわざ柏崎に行つたり、新潟に行つてしまう。こういうような非常な不利な立場にある人も、これは一例でありますが非常に多いのです。これは一つの例でありますが、何かそれについて仕入れ資金でどれだけの借入金をしてやつておるのだ、或いは家屋を造るために無盡等を利用して殆んど正規の金融機関を使わんで金をどう面倒しておるかということを、長岡の市役所でも今調査しておりますが、いずれそれらの調査資料が揃つたら、なおお願いしますが、こういう点は一つ戰災都市の住民としての商工業者として十分一つお考えを願いたいと、こう思つておるのですが、これは一つどういうふうに考えておられるか。当り前にただ売上げがあつたから、所得があつたからと表向で考えられて行つたらとんでもない間違いですが、そういうものが揃つたら一つ特別な措置をお考え願えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/148
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149・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 御事情御尤ものところもあるように承わるのでございますが、具体的な問題になりますと、具体的な事情によりましてそれ相当妥当な結論を出すようにすべきではないかと思います。例えば修繕費等が余計かかるとか何とかいうことでございますれば、それに応じて所得の査定の際に考慮する、売上げはこれは実際の売上げであれば、これはやつぱり収入と見ざるを得ぬかと思いますが、実態に即しまして判断すべき問題じやないかと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/149
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150・清澤俊英
○清澤俊英君 その点ですね、修繕などはそういう方法でとれると思いますが、大体家を作るときから正規のルートの金が到底廻らないのです。そこで親類から借りて見たり、無盡に頼つて家を建てた。従つて商品の仕入れにしたところが非常に貧弱のものを仕入れて、あとはそれでやりますから盛んに売り急ぎをやる。そういうことで正当につかめる利益もつかめない。つかんで見たところが、後ろでは今、闇の何は日歩何割取るまで行つているんですから、これはとても問題にならん、無理な金を使つてやつているんだから、それを税務署に出すわけにもいかんし、こういうので非常に困つておりますので、そういつた資料が大体揃いましたら、何かやるところを考えて頂けるかどうか、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/150
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151・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) これは恐らく相当高い金利を払つているというような場合が一つのお話のケースかと思いますが、これは金利を払つているという事実が明らかにならないとちよつと困りますが、その事実がはつきりすれば、その金利は、その建物が営業用の建物である限りにおきましては、これは当然営業所得の計算上金利として差引くべきものでございまして、実情をよく調べまして、差引くべきものは差引くというふうにすべきだと思います。但し経理が、先ほど申上げましたようにはつきりしないために、両方とも困る。納税者も困りますし、役所が認定するのにも困りますということがございますので、できますればさつきから申上げましたように青色申告と申しますか、帳面に一定のものを附けてもらつて青色申告をしてもらうということになりますれば、本人が申告いたしました申告額を否認して決定する場合は、よく帳面を調べた上でなければ更正決定ができないという趣旨になつておりますので、やつぱり記帳等につきまして十分御指導を願うことが同時に必要じやないかと思いますが、そういうことによりましてはつきりいたしますれば、これは勿論それに応じまして、所得の計算を確実にすべきだと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/151
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152・野溝勝
○野溝勝君 租税特別措置法の一部を改正する法律案ですが、政府は何故土地の区画整理及び土地収用法等による土地の収用があつた場合等に対しまして、清算金に資産評価税をかけることにしたのでありますか、その点を一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/152
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153・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) これは実は放つておきますと、税法の一般原則に従いまして、その土地をそれだけ讓渡したことになりまして、その代価として補償金をもらうわけでございますので、讓渡所得税と、再評価税と実は両方かかつて来るわけでございます。併しこのように一定の法律に対しまして特別にやる措置でございますので、漁業権証券の場合と同じように再評価だけにとどめまして所得税は課税しない、軽減するためにこの法律案を出しておるようなわけでございます。御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/153
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154・野溝勝
○野溝勝君 本委員会においては、漁業権に対する補償金に資産評価税をかけるということに全会一致で反対いたしました。然るに農業の生産にこれから大いに馬力をかけてもらわなければならん。それがためには土地改良、交換分合、こういう近代化した方向に農業経営を進めなければならんときに、何が故に再評価税をかけることに考えられたか。むしろ今の主税局長の御所見からするならば讓渡所得税だけでいいのじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/154
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155・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 讓渡所得税だけでいいというお話でございますが、讓渡所得税を課税するということになりますと、相当高い税になりますので、むしろ讓渡所得税をやめまして、財産税評価額とそれからこの補償金の計算の基礎になりました価格との差額につきまして六%だけの課税にとどめよう、こういうことが趣旨でございまして、むしろこのほうが讓渡所得税をかけるより軽減になると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/155
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156・野溝勝
○野溝勝君 そこにからくりがあると思うのです。実は農地は御承知の通り、農地改革によりまして売買ができないのです。まあそれは五十坪ぐらいまではできますが……、そこでむしろ讓渡所得税では政府の収入が少い。そこで昭和二十六年度の補正予算を見ますと、二十六年度当初予算の資産評価税が八十五億円、改正案によると百十五億です。私はここに狙いがあるのじやないかと思うのです。今一つは大蔵省もなかなかとることには抜け目がないと見えまして、例えば今度は交換分合をやりますると、二十五年度においては十八万四千町歩、二十六年度においては二十三万一千町歩、昭和二十九年度までに百七十万町歩の交換分合をしなければならないのです、五ヵ年計画では。それから換地処分におきましては、昭和二十五年度におきまして三万町歩、それから二十六年度におきましては四万一千町歩、こういう状態なんです。そこでこれに対する清算金が大体の概略にいたしまして、交換分合のほうにおきましては、昭和二十五年度におきましてはこの資産評価によると二千二百何十万とられることになります。併し昭和二十六年度におきましては二千九百七十五万円ばかりとられることになつておる。それから換地処分のほうにおきましては、二十五年度におきましては千八百万円、二十六年度におきましては二千四百六十万円、大体このぐらいが推定されるのです。でありますから、結局政府の考えておられるのは、農地改革によりまして農地の讓渡はそう簡單に捕捉できない。だからこれはうま味がないので、こういうものは交換分合とか換地処分は相当区画整理で異動があるから、このほうが税率はともかくとして税収があるというのが狙いじやないかと、私は見ております。そこでこの点につきましては特に農地改良をいたしまして、生産を大いに上げようとする際でございますので、むしろ私はこの清算金に対する再評価税をかけるよりは、実質上において土地が移動された場合は讓渡所得としてとられるのもいいと思うのでありますけれども、この点に関しましては以上の次第で、私は今後の農業経営或いは農業生産の上に大きな影響をもたらすと思いますので、ここに主税局長に一考を煩わしたいと思うのでありますが、この点に関する御所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/156
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157・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) お尋ねでございますが、この再評価税の増を見ました最大の理由は、実は電力会社が再評価をやりまして、それによりまして、まあ相当街評価差額が、つまり評価益が出て来る。その分が大部分でございまして、そのほかに第二次再評価をやることにいたしておるわけでございまするが、このほうは最初から或る程度を見込んでおりましたので、それほどではございません。当初電力会社は再評価をやるべきものが遅れておりまして、今年になりましてから初めてやることになりました。再評価税の殖えておる大部分はそれから来るのでございます。勿論個人の分につきましても、調査の結果、或る程度殖えるという調査がつきましたので約十二億円程度補正予算で増を見込んでおりますが、これは私ども全体の傾向からいたしまして、そのように見たわけでございます。ここに提案されておりまする事項などにつきましては、特に税収入の堅持は決して重んじておりません。むしろ負担の公平と申しますか、まあそういう見地からしまして、できる限り軽減し得る限りにおきまして軽減した場合におきまして、どういう立法がいいかということを中心にいたしまして、この法律案を作成しておるような次第でございまして、その点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/157
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158・野溝勝
○野溝勝君 主税局長も御承知の通り、政府では供出に対しまして二千五百五十万石というものを供出させようとしております。そこで農村におきましては、この米麦統制の問題が契機となりまして、実は供出に対しましてはいろいろな問題が起つておるのであります。東北、北陸あたりでは経済的に、單作地帯が窮迫しておる場所におきましては、実際におきまして痛し痒しの状態にあるのであります。これは何であるかと言いますと、経済的に窮迫しておる事情が露骨にわかる。そこで、私は農林省は、こうした冷害地或いは雪害地等に対しましては、農業改良を推進いたしまして、二毛作地帶にしなければならんというようなことを、一方において立てておりながら、これに対する財政的の裏付もできない。然るに経済的な収奪はだんだん行われて来る。御承知でもありましようが、中金あたりにおきましては、最近この農業手形の割引が、二十三年においては二十五億でございましたが、二十六年においては八倍近くの百九十億以上、これはあなたも御承知の通りと思いますが、こういうように農村が如何に窮迫しておるかということは、私が申上げるまでもなく御承知のことと私は思いますけれども、そこで今農民の諸君が、この租税の一部改正法案を中心にして、特別措置法の一部改正を中心にして、これが実現すればかなわんということを言つておる。税率から見れば、それは所得のほうの税率のほうが却つて高いという御指摘でございますが、それは先ほど言つた通り、今日まで免税されていたものが、今度の改正で取られることになると、交換分合をやるとか、換地処分をするとかで清算金が出て来るのですが、それが一々引つかかつて来るから、それはとても今日においては少くとも全体の農民が負担を増すわけになるのです。実際において農民からそういう声が起つておるのでございますから、あなたの親心の考え方が実際においては、実情においてはそういうわけでございますから、この際そういう、本当にあなたがそういう親心から全く考えられたならば、農村の負担の軽減になるという……、農民団体或いは農林省の農業改良課、或いは農地局あたりから希望しておる通りに一つ御勘考を願いたいと思うのですが、この点に対する御所見を拜聽したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/158
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159・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 御尤もな御配慮だと思うのでございますが、従いまして私どもとしまして先ほど申上げましたように、まあぎりぎりのところまでこれは軽減したと申しますか、そういうつもりで立案いたしておるのであります。と申しますのは、第一に先般も申上げましたように、土地と土地を交換いたしましたような場合におきましては、一般の原則でございますと、その際にやはり再評価税を課税いたしておるのでありますが、これは課税しない、つまり一反歩の土地と一反歩の土地、或いは改良せられました八畝の土地と交換いたしまして清算金を伴わない場合、この場合におきましては、全然再評価税も讓渡所得税も課税しない。新たに取得しました土地を売却、相続等いたしました場合には、これは前から持つておつた土地を売つた場合と同じようにその際課税になりますが、交換分合をいたしました場合には全然課税しない。それから新らしい土地を売りまして、半分は補償金を払つて行く、こういうような場合におきましては、私どもの部内でもその場合は全額課税しまして、補償金に対して税を取つたらどうかという意見もあつたのでありますが、農林省とよく話合いをいたしまして、農民の熱心な御要望にも即応するように、その場合におきましては、半分の部分についてだけを再評価税だけ課税しよう、讓渡所得税は課税しない。残余の土地としまして、土地を売りました残余の分につきましては、これは又課税しないで行きまして、それを他の農民に売つたときにだけ課税しよう。こういうような趣旨にいたしておるのでございまして、建前といたしましては、そのぎりぎりのラインまで実は今度の案で考えたつもりでありますが、当初私どもの係で立案いたしました場合には、土地と土地を交換しまして、補償金がない場合はこれはいいとして、一部でも補償金がついておる場合には全部に対してやはりその際再評価税を課税したらどうか、讓渡所得税は勿論取りませんが、そういう意見もあつたのであります。技術的に相当面倒だけれども、税務署にやらせる資料等も十分出るだろうということで、よくお話を聞きまして清算金に対応する部分の土地についてだけ讓渡所得税は免税しまして、再評価税だけで済ます。こういうようなことにいたしておる次第でございまして、これは私率直に申上げまして相当親切に考えておる、私どもといたしましてはつもりでございますが、その辺一つ御了承頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/159
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160・野溝勝
○野溝勝君 一体清算金というものは今までとらなんでおつたわけなんですが、まあ親切な気持でとることになつたというのですが、とらないほうが親切なんで、とるほうが親切ということはちよつと私には割り切れないのでございますが、どうして一体これをとることにしたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/160
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161・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 今までは清算金に対しまして全額実は所得税と再評価税両方、今の税法でございますととることになつております。とらないのじやない。それを今度の措置によりまして、さつき申しましたように物物交換に相当する部分は全然とらない、清算金に対応する部分だけを讓渡所得税を免除しまして再評価税だけを課税する。こういうことにいたしたのでございまして、その点間違いないと思うのでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/161
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162・清澤俊英
○清澤俊英君 今の場合補償金には税金がかからない、そうすると実際の問題として、今、江戸川区、あそこらで一つの大きな問題になつておりますが、水路改修等のために大量の土地が収用法等の適用の範囲において無理に交換させられた、とられた。交換する土地がないために補償料を付けた高額な土地買上げが行われておる。そうすると、その場合にとられる方法はその賠償の額を抜けて、一坪、一反歩いくらという価格の中には賠償を含んで買つてあるのですから、それから賠償額を拔けてそれが評価額の六割、こういうことになるのですか、これを具体的に申しますと、一反歩の売買ならば二千円、二千円で売買せられるが、六反しか持つていない者が全部ここで農業をやめなければならんからというので、最近は五万円から二十万円くらい賠償してやるのですが、その場合に二千円は正当な売買価格である。あとの、十万円で売れたとすれば九万八千円というものはこれは生活保障の賠償なんです。これをのけた二千円の差額に対して再評価額の六%を掛ければいいのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/162
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163・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) よくわかりました。今のお話は土地をとられまして、その土地の本来の対価の分をその支払を受けると同時に、そのほかに何と申しますか、そこを立退いて生活ができなくなる等の結果、特別な損害賠償金と申しますか、そういうものを払うと、こういう場合におきましてはその損害賠償金はその人が継続して営業をやつて、その営業収入と見られるような場合は別ですが、一時限りの損害賠償金でございますと、これは所得税法で課税いたしておりません。そうしまして、そのとり上げられました土地の対価の部分でございますね、その部分はこれは今までも所得税と再評価税と両方を課税の基礎になつていた次第でございます。今回はやはりその点は変りはございませんで、一時的な損害賠償金は課税の対象になりませんで、とり上げられました土地の対価になる部分でございますね、その部分の課税につきまして今回の税法の適用になるその部分につきまして、讓渡所得税はかからないで、再評価税だけがかかつて来る。こういうことに相成る次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/163
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164・清澤俊英
○清澤俊英君 よくわかりました。有難うございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/164
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165・野溝勝
○野溝勝君 そこでこの現行の所得税法及び資産評価法によれば、大体所得税法第九條第一項には、大体課税標準を出す場合は総収入金額から取得価格、設備費、改良費、讓渡に関する経費を引いて課税標準にする。それから資産再評価法第九條及び所得税法第十條によると、課税標準は総収入金額から取得価格、前と同じように設備費、改良費なり、讓渡に関する経費を引いて課税標準にした。ところが今度は、今度の改正の新らしい法案に基いてやる場合は、総收入金額から今度は取得した当時の価格、それに清算金、設備改良費、讓渡に関する経費を差引いて、これを出すことになつておる。この換地処分、交換分合、或いは水路用の用地買収の結果、清算金、又は補償金の交付を受ける場合の資産再評価というものが非常に何と言いますか、割が惡くなつて来る。その点に対して、もつと具体的に実証すべきものを何か数学的にお示しを願える資料がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/165
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166・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 今お尋ねの点は、今の御質問だけではよく呑み込めないのですが、改めてよく承わりまして、よく御説明することにいたしたいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/166
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167・野溝勝
○野溝勝君 それは例えば先ほどから私が申上げました通り、交換分合、それから換地処分、それから水路用の用地買収の結果、清算金が相当あるのですが、こういうのにかけることに対して、農村の農業経営上まずいことだと言つて私は反対しておるのですが、併しあなたが課税については多分に親切にやつたということを言われておるのですが、私には数字的にそれを実証すべきものはよくわからないのです。ですからそれを前と比較いたしまして、実証すべき資料を一つ御提示願いたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/167
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168・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) よくわかりました、計算例を作りまして、もう少し具体的に御説明申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/168
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169・野溝勝
○野溝勝君 それではどうぞ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/169
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170・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 本日はこの程度にして散会したいと思いますが、如何ですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/170
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171・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) それでは本日はこれを以て散会いたします。
午後四時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214629X01819511121/171
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