1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十一月二十四日(土曜日)
午前十一時十七分開会
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出席者は左の通り。
委員長 西郷吉之助君
理 事
岩沢 忠恭君
中田 吉雄君
岩木 哲夫君
委員
石村 幸作君
高橋進太郎君
堀 末治君
安井 謙君
岡本 愛祐君
小笠原二三男君
林屋亀次郎君
石川 清一君
国務大臣
国 務 大 臣 岡野 清豪君
政府委員
地方財政委員会
委員長 野村 秀雄君
地方自治政務次
官 小野 哲君
地方自治庁次長 鈴木 俊一君
地方自治庁財政
課長 奧野 誠亮君
事務局側
常任委員会專門
員 福永與一郎君
常任委員会專門
員 武井 群嗣君
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本日の会議に付した事件
○地方税法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○地方財政平衡交付金の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・西郷吉之助
○委員長(西郷吉之助君) これより委員会を開会いたします。一昨日に引続きまして、今提案中のニつの法案に対する質疑をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/1
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002・岡本愛祐
○岡本愛祐君 地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案に関連して少しお聞きしたいのであります。この法案によりまして、錯誤に基いて交付金額の変更を要する額、これは二十五年度から二十六年度にかけてどのくらいあつたものであるか、どのくらい見込違いと言いますか、錯誤があつたか。それが二十六年度においては、特別平衡交付金に食い払んで来るのかどうか、そういう点をお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/2
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003・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 地方財政委員会その他で調査いたしました事例につきまして、只今地方団体にその調査いたしましたことが正しいかどうかという問題につきまして照会を出している最中でありますので、結果的には多小この数字が動いて来るかも知れませんけれども、府県におきまして、基凖財政需要額が少な過ぎたために増額しなければならないものが、基準財政需要額におきまして三千七百十一万一千円、減額すべきものが四億五十六万四千円であります。それで財政收入額におきましては、増額すべきものが五千三百九万一千円、減額すべきものが千八百八十七万二千円ということになつております。なおこの改正法案が成立いたしました曉におきましては、これらを、すべて普通交付金の算定に用いまする基準財政需要額、又は基準財政收入額そのものを増減するわけでありますから、特別交付金には影響を及ぼさないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/3
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004・岡本愛祐
○岡本愛祐君 そういたしますと、二十六年度の過不足は、二十六年度の基準財政需要額とか收入額、そのやり方で、一般平衡交付金のほうで按配すると、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/4
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005・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/5
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006・岡本愛祐
○岡本愛祐君 なお関連して伺いたいのですが、特別平衡交付金は二十五年度におきまして百八億五十万円ですか、たしかあつたわけですが、これはどういう種類のものがあつたか、それはわかつておりますか。どういう種類というのは、例えば警察で特別な費用が要つたとか、それからそのほかに何に幾らとか、そういうことで大体大分けができておりますか。できれぱ府県市町村分に分けて御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/6
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007・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 特別交付金の配分に当りましては、普通交付金の際の基準財政需要額なり或いは基準財政收入額なりの測定を全く機械的に客観的に行います結果、実態とは若干ずれて来る。それを補正するということを最も主眼においてやつて参つておるわけであります。併しながら、これらの項目をいろいろ拾い上げました結果は、たしか四十項目内外に亘つておつたのではないかと思います。今ここに個々の項自につきましての数字を持合せておりませんので、後刻資料として提出いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/7
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008・岡本愛祐
○岡本愛祐君 それでは主な項目について、府県市町村別に資料を出して頂きたいと思います。
それから関西の風水害、大阪府等が非常に損害を受けたのでありますが、それは特別平衡交付金から交付金が出されておると思うのです。あれはどのくらい大阪府とか兵庫県に対して出されたものであるか。又大阪市、尼崎市に対して出されたか、それはわかつておりますか。大掴みでよろしうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/8
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009・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) たしか昨年大阪府、市に対しましては五億円内外ずつ出ておるのじやないかと思います。尼崎、その他の団体については覚えておりませんが、兵庫県につきましては災害だけじやございませんけれども、二億数千万円の特別交付金が行つておるように記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/9
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010・岡本愛祐
○岡本愛祐君 そこで百億そこそこの特別平衡交付金に対してまあそういう大きな、大災害が起りますと、そういうふうにそのうちの十億は、まあ十億以上はそれにとんでしまうということになるので、まあ特別平衡交付金の性質がそういうものであると言えばそれまでですが、ほかの機能を果す上にやはり支障になつて来るので、そういうような大きな風水害、今度のルース台風に対する特別交付金というようなものは、このいわゆる特別平衡交付金から出さないで、別途そういうような交付金を取つてやると、二十五年度における百八億なら百八億の中からはそういうものは出さないのだというような考え方はできないものであるか。まあいわば特別平衡交付金をそれだけルース台風で交付すべき額を補正予算で取るのだというようなことでもいいと思いますが、そういうふうにすべきが当然じやないでしようか、余り大きな大災害については……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/10
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011・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 私が先ほど大阪府や大阪市に対しますところの特別交付金の額を申上げました際に、多少説明が欠けておつたと思うのでありますけれども、昨年は一挙に今までの財政調整制度を改正した年でありましたために、従来ならば義務教育費国庫負担法に基く国庫負担金でありますとか、或いは地方配付税とかいうようなものを大阪府だけでありましても数十億円国から出ておつたわけであります。それが一挙にしてなくなつて来るというようなことになりましたので、財政の激減を緩和するというような機能を特別交付金に便宜持たせたような関係もありまして、多額の金額がこれらの団体に参つたわけであります。私が申上げました金額は單に災害だけでそういう数字が出て参つたのではないということを、先ず御了解願つておきたいと思います。災害の際につきましては、例えば災害救助法が発動されますと、小屋掛の費用でありますとか、或いは焚出しの費用でありますとか、こういうふうな財政需要が起きて参ります。併しながら、こういうような財政需要は、現在の基準財政需要額の計算の際には測定いたさないことにしております。自然こういうものは、別途な特別交付金を配分する際にその団体の財政需要額にプラスして行かなければならないわけであります。それから財政收入を測定いたします際には、一体従来のある統計資料等を使つて測定いたして参るわけでありますから、その年に災害によりまして家や田畑を流されましても、それらの固定資産でその他の收入もやはり測定されてしまうわけであります。従いまして、過大に測定したということになるわけでありますから、これらの減收額は、基準財政收入額から落して行かなければならない、こういうふうな問題になるわけであります。そから又、災害復旧に要します必要な経費というのは、全部地方債で賄えればよろしいわけでありますけれども、そうも参りませんので、やはりこれらの自己財源を持たせなければならない分につきましては、その年の財政需要にプラスして行かなけれぱならんというふうな問題も起きて来るわけでありますけれども、やはり基準財政需要額というものを客観的見地から考えて行きましたならば、成るべくこれらを基準財政需要額の中に算入して参るという行き方が正しいのであります。そういうような関係もございますので、やはり基準財政需要額の算定の際の行政項目の中に災害復旧費というのを一つ入れておきまして、ただそれらの測定に当りましては国庫補助を受けまして、災害にかかりますところの地方債の元利支拂額、こういうものを基礎にいたして参つておるわけであります。そういたしますと、将来に亘る元利支拂には或る程度基準財政需要額に必要な財源が織込まれておることになるわけでありますけれども、地方債で賄えない分につきましては、そうも参らないわけでありますので、この分については特別交付金で測定して行くというような行き方をしておるわけであります。もとより、これらの金額も莫大な金額に上るわけでございますので、でぎるならば、それぞれの必要に応じて必要な財源措置をして行くのがよろしいわけでございますけれども、財政需要が大きければ大きいだけ全部手当をして行くというような、そういう財政状態ならばよろしいのでございますけれども、現状におきましては、やはりどこかに若干のしわが寄るわけでありますけれども、総体の中でやりくりをして行かなければならないような現在の国民経済の状態だと考えざるを得ないだろうかというような考え方をしておるわけであります。併しながら、災害地方団体には他に財源がないわけでございますので、特別交付金の配分につきましては、やはりこれらを優先的に取上げて行かなければならないという考え方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/11
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012・岡本愛祐
○岡本愛祐君 基準財政收入につきまして、競輪とか競馬とかそういうもので得た府県又は市町村の收入というものを、基準財政收入の中に見たほうがいいのじやないかという議論もあつたと思います。それが現在まだそういうことになつておりませんので、川崎市とかその他年間二億以上も收入がありながら基準財政收入の中に入つてないという不合理があるように思うのですが、その点はどういうふうにして公平にやつて行けますか、どういう理論でそれが入れなくていいことになつておりますか、それを聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/12
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013・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 今お話がありましたように競輪、競馬等の收入を基準財政收入額の中に入れたほうがよいかどうかということにつきましては、いろいろ意見があるわけであります。我々も従来から頭を悩ましておる問題の一つなのでありますけれども、現在は一応運営の上においてこれらの問題を解決するというふうな方法をとつておるわけであります。即ち地方債の配分をきめます際にも、やはり基準財政需要額とか基準財政收入額というふうなものが考慮されなければならないわけであります。公営企業の面におきましてはこれらのことを考えなくてもよろしいわけでありますけれども、一般公共事業の財源に充てますような地方債につきましては、やはり税收入が相当あります団体におきましては、或る程度遠慮してもらわなければならないだろうと思います。そうしますと、やはり基準財政收入額というものが一応の考慮に入つて来るわけなんでありますけれども、競輪や競馬の收入があります場合には、これもプラスしてその団体の財源を考えて行く、こういうふうな方法をとつておるわけであります。又地方財政平衡交付金の特別交付金の配分に当りましては、基準財政需要額なり基準財政收入額なりのそれに増減をいたしまして、その上でなお不足額を時別交付金として交付して行くという計算のやり方をしているわけなんでありますけれども、その際にやはり基準財政需要額に災害その他でプラスするものがありますと同様に、基準財政收入額にも競輪や競馬の收入があります場合にはプラスをして行くというような方法をとつておるわけであります。で、今直ちにこれを基準財政收入額に入れるということになりますと、他の雑收入をどうするかというふうな問題もございますし、又競輪や競馬につきましては相当施設費を要しているわけでありまして、まだそれを十分回收していない団体がむしろ多いのではないだろうかと思われるわけであります。更に又これらの收入は戰災学校の復旧に充てますとか、特別な臨時の財源に充てられておるわけでありまして、必ずしも一般財政に廻せるだけの余裕のある地方財政の状態には至つていないわけでありますから、なお当分の間はむしろ地方団体が積極的にこういうふうなことでもやつて戰災学校の復旧を心がけるとかなんとかいうふうな熱意を特つている場合に、これを阻害しないほうがいいのではなかろうかというふうな考え方も立つて来るわけであります。そこで私が先ほど申上げましたような地方財政の運営の面において、これらを考慮しながら地方団体間に余りひどい不公平のないような調整を講じて行きたいというふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/13
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014・岡本愛祐
○岡本愛祐君 我々も今奧野政府委員が説明されたそういうような理由で、まあ当分は基準財政收入の中へ競輪の純益が入らなくても止むを得ないとまあこういうふうに考えて来たのであります。併しもう川崎なんかは始めてから満二年以上もたつておつて、とつくに建造の費用なんか取戻している。それから随分いろいろな公共建物も建増しておるのでありまして、而もそこが一番まあ收入が多いということになつて来ると、もうそろそろほかの方法を考えて、もつと衡平化したほうがいいのではないかというふうに考えるのですが、まあその点は今後とも政府のほうでも考えてもらい、我々のほうでも考えて見たいと思います。
それからもう一つついでに伺つておきたいのですが、今年の第十国会になりましてからと思いましたが、公務員の公務に従事して死にましたり又は負傷したりして廃疾になつたというようなものに対して補償する規定を設けられた、又それに準じて消防組織法の中でもその規定が設けられたのでありますが、その適用が先般鹿兒島県でありましたが、難波船を救助しているために、消防団員が二十何名死んだという事件が起つて来ておるのであります。で、消防団長が来られまして、もうとてもこの小さな町ではそういう公務補償をする金がないということで、これは是非とも特別平衡交付金から支弁してもらわなければならんというふうな陳情があつたのであります。それに対して政府のほうではどういうふうにお考えになつておるかそれを伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/14
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015・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 只今お話になりました鹿兒島県の或る町の事例を私も聞いておるわけでありますが、その団体では国家の災害補償法に準じまして、同様の條例を制定しているようであります。数十人も一挙にして犠牲になりました場合には莫大な財政需要が生じて来るわけでありまして、こういう財政需要もやはり基準財政需要にプラスいたしまして、そこからその団体の財政收入額、その額が普通交付金に満たない額だけは特別交付金の基準額にして行きたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/15
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016・岡本愛祐
○岡本愛祐君 それではそれを簡單に言えば、特別平衡交付金制度によつてそれはカバーできる、町村が後顧の憂いなく消防団員なりその他の者をして救助事業に従事することができる、こういうことになると思いますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/16
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017・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 御希望されております通りに地方財政委員会でも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/17
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018・中田吉雄
○中田吉雄君 この平衡交付金法の一部改正ですが、御趣旨は非常に結構だと思いますが、只今伺いましたのでは、府県分についてはこの五千万円くらいなエラーで、非常にまあたくさんの府県を相手にして、誤差は少いように思うんですが、錯誤は……。具体的に例を一つ挙げて、どういうことに基いての誤りがあるか、ただコンマを違えたとか、或いは意識的であるか、余儀ない事情によつての、意識的でない誤りであるか、そういう具体的な例を一つ挙げて、一つどういうわけでこういうふうな誤りが起きたかということを御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/18
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019・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 昨年初めてこの制度が実施されました関係上、補正係数の計算なんかにおきましては、多少複雑なやり方を試みました関係上、若干数字の見間違いといいますか、とり違えがあつたところもあるようであります。或いは又一位未満で四捨五入すべきものを、二位未満で四捨五入するとかの類のものでありまして、全くの計算違い、全くの数字のとり違いというふうなものばかりで、別段故意にやつたと見受けられるようなものは先ずなかつたと、府県についてはなかつたと申し上げてよいのだろうと思うのであります。ただ割合に金額が大きくなつております団体につきましては、徳島県でありましたか、どこかの例でありますけれども、税務統計の数字を使つて財政收入を測定いたしておつたのでありますが、税務署の数字をまとめて行くのに、どうした間違いでありますか、一つ欄を違えて記録して参つた、その間違つて記録された統計を使つたものでありますから、基準財政收入が二、三千万円過大に測定されたという事例がございます。これは税務関係の過程において欄を間違つてしまつた結果から起きたことでありまして、これはその団体の責任じやないので、税務関係者の責任だということにもなるわけでありましようけれども、こういうふうなものも割合に金額が大きくなつておるというふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/19
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020・中田吉雄
○中田吉雄君 その徳島なんかのそういうやつは、特別交付金なんかでは調整でき得なかつたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/20
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021・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 県としては收入が多過ぎるというふうな意見もあつたわけでありますけれども、やはり税務統計上そういう数字が出ておるものでありますから、それが正しいと考えておつたわけであります。併しその後県がいろいろと詮索して参つた結果が、税務署から国税局或いは国税庁に行く過程において、これが欄がとり違えられておつたことがはつきりして来たわけでありまして、特別交付金の際にはそういうことはわからなかつたわけでありますから、何ら考慮はいたさなかつたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/21
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022・中田吉雄
○中田吉雄君 只今議題になつておる議案とは少し外れるかと思うのですが、お許し願いたいと思うのですが、市町村の決定されて配付された額についてですが、私自分の県の百六十七ヵ町村の全部、このたぴ配付された額を調べたのですが、それによりますと、昨年よりかも七千四百八十六万円減になつているわけであります。そうしてこれから一定の一つ傾向はないかと思つて検討して見たんですが、この大量観察の結果、何か得られるだろうかと思つて研究したのですが、大体の傾向といたしまして、人口の非常に少い町村に減額された率が多いんではないかというようなこと、まあ一番多い例は、人口千三百五十一人の町村で、平衡交付金が百五万八千円減になつておるのが一番多い減少率なんです。そこでお尋ねいたしたいのですが、これは一号補正ですか、あの人口補正の関係なんですか、その点一つどういうわけでこういうふうな結果になつたのですか、一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/22
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023・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) お話のように第一号補正の結果、そういうふうな差異が出て参つたと思います。昨年過去の実績を基礎にいたしまして第一号補正の係数を定めて参つたわけであります。ところがその結果試算されたところでは、人口の小さい団体はやはり昔と同じように苦しい財政運営をやつて行かなければならないというふうな問題が起きて参りました。折角地方財政平衡交付金制度が作られるのだから、人口の小さい団体はもう少し財政が改善されるようにやつてもらいたいという意見が各県から非常に強く起きて参つたわけであります。その結果一号補正のやり方につきまして、若干人口の小さい団体につきまして割増を行なりたわけであります。その結果、人口少数団体の財政状態は、昨年度におきましては従来よりはかなり改善されたのではなかろうか、総体的に私はそう観察しているわけであります。併しながら例えば人口千内外の町村につきまして、どのような財政需要の測定をするかということにつきまして、非常にむずかしい問題があるわけであります。過去の実績を使つて行くだけでしたら、それほど困難ではないのでありますけれども、それではいつまでたつても苦しい状態が改善されないということになるわけであります。一体人口千の団体であつても、独立して役場庁舎を持ち、独立して小学校を建設し、独立して中学校舎を建設するような財政需要を見なければならないのか、或いは又人口千内外の町村であれば、役場ぐらいは町村事務組合でやつて行くような財政需要の組み方をすればよろしいのか、こういうような非常にむずかしい問題があるわけであります。併しながら今年はいろいろな見地から検討いたしました結果、人口の少数な団体につきまして昨年極端に行いました割増の更に割増と言いますか、それを若干弱めたというような結果、人口の小さい団体につきましては、昨年よりは多少悪くなつて来ているというふうな問題が起きているわけであります。それらにつきましては、なおよく検討いたしまして、本決定の際に若し是正する必要があれば是正したい、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/23
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024・中田吉雄
○中田吉雄君 私も昨年平衡交付金法がああいうふうになりまして、配付された後のあちこちの町村財政について検討したんですが、遠慮のないところを言いますと、町村合併をやろうと思つておつたが、割合平衡交付金がたくさん来て、これならまあやらんでもいいという意見もかなり聞いたわけであります。これは僞わらない告白であるわけであります。併しこのたびとられた措置は、明らかに昨年の是正を遙かに行過ぎると申しますか、それを越えた限度で、或いはこういう措置によつて強制的に町村合併を促進する一つの手段と理解していいかどうか。こういうふうにとられた措置というものは自治体警察に対しまして一人当りの警繁職員に対する国の補助率を下げることによつて、財政圧迫を通じて自治体警察を廃止して行くということが実際とられたんですが、そういうような強制執行のこれは措置なんですか。或いは人口が減るに従つて、行政費用が割合累増して行くという合理的な測定の結果から来たものであるか。どうも我々から見ると、町村合併の強制執行のような措置に理解されるのですが、その辺についての見解をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/24
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025・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 平衡交付金の測定に当りまして、町村合併を促進するというふうな大変立派な理念は持合せないので、ただ計算だけをやつているわけであります。先ほども申上げましたように、人口が千人に満たないような町村につきまして、やはりその町村だけで独立して役場庁舎を維持できる、或いは小学校を設置して行ける、或いは公民館まで設置して行ける、こういうような財政需要を見たほうがよろしいのか、或いは公民館なり役場庁舎のようなものは事務組合でやつて行く、その程度に財政需要を見たほうがよろしいのか、こういうむずかかしい問題があるわけであります。併しこういうむずかしい問題は、個々の町村の力を実地について調査して参るよりいたし方がないだろうと思うのであります。昨年の行過ぎを是正したという問題は、私が今申上げましたような問題について、多少考えを新たにして見たというふうなことが言えると思うのであります。
併しながら率直に申上げまして、一号補正につきましての我々の研究と言いますか、批判と言いますか、そういうものはまだ十分な域にまで至つていないわけでありまして、各人口段階ごとのあるべき予算額というものを想定いたしまして、その結果補正係数を算出して行かなければならないのでありますけれども、この研究についてもなお将来続けながら御期待に副うようなところに漸次高めて行きたいと思つております。ただ今も申上げましたように、町村の中で人口の少い団体でありましても又施政その他が非常に違つておるわけでありますので、一律的な計算の仕方をいたしまする関係から、特殊の団体につきましては、どうしても苛酷に亘るというふうな結果が現われて来ることもあろうと思うのでありますけれども、そういう問題を是正するために特別交付金制度が設けられておるわけでございますので、こういうものとの運用も待ちまして、不合理な点は是正したいというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/25
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026・中田吉雄
○中田吉雄君 この平衡交付金の仮決定額の算定についての第七條の第ニ項なんですが、人口密度による補正係数は、その行政による経費の額が、人口密度が減少するに従つて増すと、従つて超過累進の方法によつての補正係数を出されるわけですが、この人口が少くなるに連れて行政費用がそれに逆比例的に要るという正しい補正係数を算定されるのに、どういう調査方法でおやりになるのですか、そういうことは大体補正係数を年々変えられて行くといち基準ですね、人口が減るに従つて行政費用はむしろ累増的に一人当りのは増すという、それがどの程度な補正係数にしたら妥当であるかという、そういう目の子もあるのですね、それはどうして算定されているのですか、大体勘ですか。長い間の、多年の修練による直感的なことでやつておられるのですか。それはどういう方法でやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/26
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027・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 昨年行いましたときには、例えば非常に従来から財源に惠まれておつた団体でありますとか、或いは又非常な積雪寒冷地帶でありますとか、こういうふうな特殊な団体を除きまして、その他の団体につきまして、人口段階ごとに従来の実績を検討したわけであります。そこから補正係数を算出したわけであります。併しながらこういうやり方は私は当時時間がございませんので止むを得ずやつたわけでございまして、正しいやり方だとは考えていないのであります。やはり正しいやり方といたしましては、各段階ごとに一応あるべき予算額というものを想定いたしまして、その結果その割合から補正係数を定めて行くというやり方をしなければならないと思つております。で各段階ごとに、例えば人口が何人になりましようと、町村であります以上は、町村長の一人は要するわけであります。又社会教育関係でありますれば社会教育の関係で何人要るとか、或いは視覚教育で何人要るとか、人口段階ごとにそれぞれの人数を想定するわけであります。そうしてこれらの段階は同じ單価を用いる、そうして出ました結果の数字につきまして、どういうふうな方法でやるかというふうなところから補正係数を定めて行きたいと考えるわけでありまして、現にその作用と併せまして、補正係数の決定の基礎にしているわけであります。ただそれがまだ我々の期待するだけの調査を完了するに至つておりませんので、来年もう一年くらいやれば、我々が大体これでよろしいというようなところまで到達することができるのではなかろうかと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/27
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028・中田吉雄
○中田吉雄君 昨年は、大体奥野さんが先ほど言われましたあるべき姿を想定して、それによつての計算ということで、今年は実績に基いてとは言えないかも知れませんが、実態調査によつてむしろ遅れたところはいよいよ遅れるというような結果になるような計算方法になるのとは違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/28
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029・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 逆であります。昨年は過去の実績を用いました。今年はあるべき予算額を作つていろいろ研究しているわけであります。併しながらあるべき予算額は非常にたくさんな行政項目でありまして、非常にたくさんな段階についてやつて行かなければならんわけでありますので、一挙に理想には到達できませんので、漸次それを加味しながら、実績によりました数字を手直しして行くというような方向を迫るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/29
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030・中田吉雄
○中田吉雄君 この一号補正については、市町村だけでなしに、府県もやはり弱小なところが今年は非常に不利になるのじやないかと思いますが、同じような見地からですか。昨年と同じような、少し行過ぎだからそれを修正するという立場なんですか。例えば人口の最低單位ですか、百十万ですか、今度の規定は、あれはどうなるんですか。府県は小さい県が非常に不利なような計算に出ておるようですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/30
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031・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 昨年府県の小さい団体につきまして、急激に下のほうを割増ししたというようなところは、是正した面もございますけれども、特に小さい団体を低くしようというような考え方は少しも持つていないわけであります。むしろ人口の小さい団体は仮に人口一人当りの一般財源の額というもので比較いたして参りますと、二十三年、二十四年の頃よりも地方財政平衡交付金制度がとられましてから、急激に財政が改善されて来ております。これはカーブでそういう図を描いたものもございますが、そういうものを御覽頂けば一番よくおわかり願えるだろうと思います。例えば基準財政需要額の人口一人当りをとつて参りますと、人口の一番小さい鳥取県あたりでは二千円を超えておるのでありますけれども、東京あたりでは千六百円ぐらいですか、鳥取県の六割たしか足りない程度にしか推定していないというふうにやつておるわけであります。ただ実際に苦しいだろうと思いますけれども、そういう考慮をいたして参つているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/31
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032・中田吉雄
○中田吉雄君 この人口補正の、一号補正なんですが、今年は百十万を最低にしておられるわけですか、農村は去年は九十……四十一頁ですが、これの……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/32
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033・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 大体人口を用いております府県の財政需要の測定に当りましては、百七十万の団体を標準団体に採用しているわけでありますけれども、百六十万人に満たない数値は、三十万人までの数値に一つの累増の段階を設け、更に三十万人を超え六十万人までの数値につきまして更に累増する段階を設け、更に次に六十万人を超える数値につきましてもう一層累増する段階を設けているわけであります。こういうふうに三つに刻んでいるのが普通なのでありますが、併し六十万人を超える数値が多くなればなるほど、それだけ加算される割合も多くするという方法を講じているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/33
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034・中田吉雄
○中田吉雄君 この計算が、非常に小さい県は昨年よりかも大分不利なのですがね。鳥取県で計算しますと、四、五十万……六十万以上少くなつてる、町村は合併されるとおつしやるけれども、これはなかなか府県の合併はできませんし、この点は一つ十分御検討を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/34
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035・岡本愛祐
○岡本愛祐君 先ほど聞き漏らしましたが、政府が先ほど十月二十六日附で事務局長から知事に昭和二十六年度の地方財政平衡交付金の額の仮算定に関する通知を出しておられます。それによりますと、かねてこの委員会でも問題になりましたし、今中田委員からも触れられました合併町村の二十六年度の平衡交付金の仮決定が非常に少かつた、それの事情を調査をされまして、成るほどそれは地方の言い分が尤もであると言うて直されまして、訂正されまして、合併した町村が馬鹿を見ないことになつたことは、非常に結構でありまして、我々も非常に同感をするのであります。併しその中で問題になつておりますのは、基準財政需要額筧定に当りまして、家屋の床面積中に地方税法第三百八十一條の規定による家屋補充課税台帳に登録されている家屋の床面積を加えることとしたことという項があります。併しこれではまだ不十分なのであつて、奈良とか京都とか、そういうところには国有建物もありますし、又これにいう家屋補充課税台帳に登録されてないで大きなものもあるのじやないかと思うのです、そういうものを加えないで消防費なんかで、殊にそういう国宝とかその他立派な大事な建物に対しまして十分な消防設備をしなければならないのでありますから、これは加える必要があるのじやないかと思います。その点が第一点であります。
それから第二点は、道路の面積につきまして、都道府県にあつては路面二・六メートル未満、市町村については一・五メートル未満の道路面積を除外したということです。都道府県については暫らく別問題にしまして、市町村にありましては、一・五メートル未満の道路が随分多くて、これの修理費に随分費用が要するので、せめて一メートル以上くらいに考えなかつたのか、これは是非ともそうしてもらう必要があるのじやないかと思うのですが、如何ですか。それを御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/35
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036・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 第一点は消防費の測定に家屋の床面積を用いておるわけでありますが、これに神社、寺院等の床面積も加えるべきではないかというふうな御質問だと思います。これらの基準財政需要の測定に当りましては、客観的に正確な資料を用いて測定して参らなければならないわけでありますけれども、家屋台帳なり或いは家屋補充台帳なりに登載されていない家屋につきまして、正確にその床面積を計算して行くということは、現にそれらにつきましての公けにされた資料というものがございませんために、止むを得ず算入できないわけでございます。従いましてそういう事情はよくわかるわけでございますから、特別平衡交付金の算定に当りまして、別個にこれを測定して行くというふうな方途を講じて参つているわけであります。
第二点は、道路の測定に当つて、幅員の非常に狹い道路は除外しているが、その狹さをもつと下げたらどうだという御意見であつたように思うのであります。道路といいます以上は、或る程度の幅員を持つたものにしなければならないという点については御了解頂いておるようでありますけれでも、一・五メートルといいますと五尺であります。五尺未満のものは、これは市町村が道路と言いまして、公費をその維特修繕に注込んで行きます以上は、その程度の幅がなければならないのじやないだろうかというふうな考えを持つておるわけであります。併しながら山村等におきましては、もう少し幅の広い道路を作ろうとすれば、莫大な経費を要するために、止むを得ず幅員の非常に狹い道路にせざるを得なくなつておるところもあるだろうと思います。そういうところは、やはりそういう特殊な地勢というものを考えまして、財政需要を別途に測定して行くという方法をとらざるを得ないだろうと思うのでありまして、従いましてこれも又特別平衡交付金制度に頼らざるを得ないのじやないだろうかというふうな考えを持つておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/36
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037・岡本愛祐
○岡本愛祐君 道路の点でありますが、お説御尤もな点もありますが、古い城下町とか、それから商家町とかいうのは非常に道路が狹いのです。家が密集しておりますから、それを拡げるといつてもなかなか拡がらない、而も交通は頻繁で、しよつちゆうそこは直さなけれぱならんという苦しい点があるのです。だから今特別な方法によつてそれを見るということであればそれで結構なのですが、そういう事情があるということをよく了解して頂きたいと思います。これは幅員を拡げようとしても拡がりません。拡げるには非常に金が要るのであります。だからそのままにしてあるというようなところが多いから、せめて一メートルぐらいにしてもらつたら、こういうふうに思うのです。
それからもう一つ、特別平衡交付金というものは二十六年度限りの制度というようなことに聞いておつたのですが、これはどうも今言われたような大きな役目をしておるのですから、二十七年度以降もこういう制度を用いることが必要じやないかと思うのですが、その点どうでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/37
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038・野村秀雄
○政府委員(野村秀雄君) 平衡交付金は二十六年度限りということに相成つておりますが、特別交付金は平衡交付金の運用の上から見て暫らくこの制度を持続したらどうだろうかということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/38
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039・中田吉雄
○中田吉雄君 この基準財政收入についての錯誤の問題ですが……これをお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/39
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040・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 規則ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/40
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041・中田吉雄
○中田吉雄君 ええ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/41
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042・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 持つています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/42
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043・中田吉雄
○中田吉雄君 各地方公共団体に交付すべき昭和二十六年度分の地方財政平衡交付金の額の特例に関する規則案、それのですね、二十一頁ですか、事業税、法人の事業税の算定なんですが、そのニの法人の行う事業に対するもの、(イ)ですが、この説明をお願いしたいと思うわけであります。これでは私非常な大きな錯誤がですね、起きるのではないか、こういう算定方法では、と思うのですが、こういう算定方法についての御説明をして頂きたい、それからお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/43
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044・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 御承知のように、数都道府県内に事業所を持つております法人の事業に対する事業税でありますが、その課税標準の算定は、全体を総合して行なつておるわけであります。そこで出ました総額を、関係都道府県内の従業者の数に按分して、それぞれの団体の税收入にするというふうな方法をとつて参つて来ております。そこで昭和二十三年に作成されました事業所統計では、産業分類では重要地ごとに従業者数を計算して参つて来ておるわけであります。そこで最近の各事業の実績からいたしまして、銀行業の従業者一人当りの所得額がどれくらいになつているか、そうすると化学工業であれば、それの何割ぐらいの増減があるか、或いは化纖工業であればその何割ぐらいの増減になるかというふうなことも調べまして、各府県ごとの産業分類別の従業者数を銀行業を一と置いた場合にはどのような員数に換算されるかということを計算しておるわけであります。この補正されました員数に、従業者一人当りの法人の事業税が幾らに当つて行くというようなことを計算をいたしまして、その額を乘じました額を以て、その県の法人の事業税にかかる基準財政收入額であるというふうな計算をいたして参つておるわけであります。そこで問題になりますのは、第一には昭和二十三年というのはまだ疎開等が残つておつた時代であつて、現在とは若干従業者の分布の状況が変つているのじやないだろうかというふうな問題があるわけであります。併し新らしい資料がございませんので、止むを得ずこれによつておるわけでありますが、昭和二十六年の事業所統計もございまして、これは来月あたりになれば数字がまとまつて参ろうかと思いますので、本決定の際にはそれを使いたいと思つております。もう一点は、各事業ことに補正をいたしておるわけでありますけれども、補正係数を定めましたのは、大体昨年の九月ごろの各会社の決算状況が基礎になつておると思うのですが、事業界には朝鮮動乱を契機にいたしまして成績の善悪というものは非常に変つているようであります。そこで現在又各県につきまして事業ごとにどういう盛衰があるかということを調べておりますから、その成果によつて補正の仕方を変えたいと思つております。その結果は現在とは若干変つて来るのじやないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/44
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045・中田吉雄
○中田吉雄君 お尋ねしますが、補正係数、補正しましたものの合計数に一万八百六十六円を掛けるわけですね、それが基準財政收入の何になるわけですね、この一人当りのですね、一万幾らを掛ける、それからこの第四表にある補正はですね、主として工場の人口数ということが基凖になつて、これでは十分その高度に技術化されて一人当りの生産量が非常に高いとことですね、人口は多いが一人当りの生産が低いということが私十分に補正できないのではないかと思うのですが、その点については何もお感じでありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/45
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046・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 中田さんのお話は、同じ事業であつても地域差があるのではないか、これを考慮すべきではないかと、こういう御意見だろうと思います。我々もこの計算をいたします際に、いろいろと頭を悩ましたのでありますが、何分そういうことを区分する適当な資料がなかつたわけです。併しながら二十三年度の事業所統計と違いまして、二十六年の事業所統計になつて参りますと、法人経営のものと個人経営のものとが区分されて参るわけであります。これがわかりませんでしたので、三十人以上の従業者が勤務しておる事業場の従業者数だけを測定して参つたのであります。その中には個人のものも法人のものもあるわけであります。二十六年度事業所統計では、法人経営のものは別になるわけでありますが、先ず法人関係分を拾つて行きたいと思います。それからもう一つは、資本金額が二百万円未満でありましたら、税務署がその会社の所得というものを決定いたして参つております。二百万円以上になると国税局が決定をいたして参つて来ております。従つて二百万円未満の税務署が決定いたしました所得は、それをそのまま使いたいと思つております。そうしますと、国税局が決定いたしますところの資本金額二百万円以上の会社というものは、一体従業者数が何人以上のものであるかということを精細に調べなければならないのであります。一律に三十人とか五十人という区分はできないと思うのであります。各事業種類ごとに、資本金二百万円以上であれば従業員は何人おるであろうかを現に調べているわけであります。これによりまして、事業種類ごとに、或るものについては三十人以上働いている事業場の従業員だけを集計して、或る種の事業につきましては五十人以上働いておる事業場の従業者数だけを集計する、こういう方法をとりまして、要するに資本金額百万円を超えておつて、国税局が所得を決定するようなものは、どこに事業所がありましても大体所得の状況は同じだということにやつて行きたい、併しそれ以外のものにつきましては、現実の所得額をそのまま使つて行つて、その結果、地域差を十分反映させるように仕組んで行きたい、かように考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/46
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047・中田吉雄
○中田吉雄君 その地域差の問題ですが、新らしい統計では、個人と法人とが別れているから相当考慮できるというお話ですが、ここに持つて来ているのは、中国地方総合開発委員会で非常にそのたくさんな経費をかけまして、調査して、そうして一人当りの生産が、如何にこの地域差がついているか、所得がついているかということが一目瞭然と出ているわけです。こういうものを参考にして頂くと、私非常に過失が、過誤が、エラーが少くなるのではないかと思つているのです。これを入れて頂きませんと、このような計算では、とても一県で、全国の都道府県で四、五千万円のエラー、ミスが、計算から行くと、私一県から一つの工業の有機的な組成、機械化が進んでいるところと、そうでないところとでは一県で少くとも数千万円のエラーが出て来る、それは皆泣寢入りになつてしまつておると思うわけであります。それは例えば、これは中国地方のなんですが、中国地方における全体の工業がどういうふうに分布しているかという図なんですが、瀬戸内海沿岸に殆んど全部集中しておるわけです。瀬戸内海沿岸に全部集中して、そうしてここに職工一人当りの生産高をです、全部一人当り出ているわけです。鳥取県を一にいたしますと、山口は二倍半になる、山口は三倍半です。島根県が鳥取を一とすると一・五倍、そういうふうに非常にその工業が機械化されて、そうしてこの原始的な木材加工なんか中心とした山陰なんかと違つて、石炭鉱業、造船、化学工業というようなところでありますと、一人当りの生産が倍も三倍にもなつて、奧野さんが只今言われたようなことでは、私まだ基準財政收入のエラーが十分修正できないということを考えるものであります。その点はどうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/47
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048・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 中田さんのお持ちの資料もよく研究さして頂きたいと思いますが、何分財政收入の測定につきましては、全国的に均衡が得られなければなりませんので、全国に亘る一定の算式に従つた、従つて測定された資料というものを欲しいというふうに我々は考えているわけであります。なお私が先ほど申上げましたような方法でやれば、相当地域差がそこに加味されることになると考えておりますが、資本金額二百万円以上のものでありましたら、どこで勤務しておる従業者でも同じような所得を上げているというふうに、我々は計算いたそうとしている点について御不満をお持ちではないかと思うのです。併しこういうような事業になつて参りますと、やはり数府県に事業所を持つておるのではないか、そうしますと、それらの所得というものは従業者数によつて按分されるわけですから、大資本の事業会社に関しまする限りは従業者数で測定して行つても何にも支障がないのではないかという、こういう考え方を持つておるわけです。併しながらよく検討いたしましてできる限り間違いのないように努力をいたして参りたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/48
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049・中田吉雄
○中田吉雄君 非常に地域差がありますが、業種別の関係もあつて大変だと思うのでありますが、併し資本金二百万以上でありましても、やはり原料が非常に少くて値段の高いものを生産したり、いろいろ業種別によつて、この第四表の補正ではなかなか実際に即しないものがあろうと思いますので、一つこの点は最終決定されるときには特別な考慮をお願いいたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/49
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050・西郷吉之助
○委員長(西郷吉之助君) ほかに御質疑がございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/50
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051・西郷吉之助
○委員長(西郷吉之助君) それでは御質疑が盡きたものと存じます。ではこれから討論に入りたいと存じますが、御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べ願いたいと思います。別段討論の御発言がなければ討論はないものと認めます。
それでは採決に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/51
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052・西郷吉之助
○委員長(西郷吉之助君) 御異議ないと認めます。
それでは第一に、地方税法の一部を改正する法律案を議題に供します。これにつきまして政府原案に賛成のかたの御挙手をお願いいたします。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/52
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053・西郷吉之助
○委員長(西郷吉之助君) 全会一致と認めます。
次に地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案につきまして、原案に対して賛成のかたの御挙手をお願いいたします。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/53
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054・西郷吉之助
○委員長(西郷吉之助君) 全会一致と認めます。よつて前記の二法案は政府原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつております。これは委員長において両案の内容、本委員会における質疑応答の要旨討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/54
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055・西郷吉之助
○委員長(西郷吉之助君) 御異議ないと認めます。
それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者の署名を附することになつておりまするから、両案を可とせられますかたは順次御署名をお願いいたします。
多数意見者署名
岩沢 忠恭 岩木 哲夫
中田 吉雄 安井 謙
高橋進太郎 石村 幸作
小笠原二三男 岡本 愛祐
石川 清一 林屋亀次郎発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/55
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056・西郷吉之助
○委員長(西郷吉之助君) 御署名漏れはございませんか。……ないものと認めます。
それでは午前中はこれにて休憩いたしまして、午後は一時半から再開いたします。
午後零時二十三分休憩
〔休憩後開会に至らず〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214720X01519511124/56
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