1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十一月十三日(火曜日)
午後一時三十九分開会
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出席者は左の通り。
委員長 竹中 七郎君
理事
古池 信三君
廣瀬與兵衞君
栗山 良夫君
結城 安次君
委員
入交 太藏君
中川 以良君
松本 昇君
片岡 文重君
小松 正雄君
島 清君
山川 良一君
境野 清雄君
政府委員
公正取引委員会
事務局総務部長 内田 藤雄君
事務局側
常任委員会専門
員 山本友太郎君
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
説明員
通商産業省通商
局次長 松尾泰一郎君
中小企業庁振興
部長 松尾 金蔵君
参考人
社団法人日本貿
易協会専務理事 猪谷 善一君
日本中小企業連
盟専務理事 稲川 宮雄君
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本日の会議に付した事件
○通商及び産業一般に関する調査の件
(事業者団体法改正に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/0
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001・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 只今より通産委員会を開きます。
本日は公報でお知らせいたしました通り事業者団体法に関しまして経済界の御意見を拝聴し、当局の御方針を伺うことにいたします。本法の改廃問題はもう議論の段階ではなく現実の段階に来ておるという意見もありますが、各方面の研究も進み、各党においても具体的改正案を用意している向きもあるようでありますから、この際いま一度この問題を取上げまして、今後の対策具体化への推進役を務めることも、あながち無駄とばかり申せないように存ぜられますので、本日の委員会となつた次第であります。参考人のかたがたには誠に御多忙のところ御苦労様でございました。公報でお知らせ申上げました中の郷司さんは御病気でありますし、吉阪さんも親戚が御病気でお見えになることができませんでした。その代りに日本貿易協会の専務理事の猪谷さんが御旅行の御日程を変更になりましてわざわざ御出席下さいました。厚く感謝いたします。又豊田さんは御都合が惡く、その代り稲川宮雄さんがお見えになりました。誠に御苦労様でございました。公報と違うことになつたことを委員各位にお詫びを申上げると共に御了解を得たいと存じます。でありますから、本日はお二人から御意見を承わりたいと存じます。本日は貿易関係と中小企業関係から事業者団体法について御意見を承わることになりましたが、これは前国会で日産協、鉄鋼連盟、百貨店等の御意見を伺つたので、それと互いに補完することになり、或る意味では好都合ではないかと存じます。それで議事の進め方でありますが、先ず参考人のかたがたの御意見を伺つて、次に政府当局の説明を聞き、その上で質疑に入ろうと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/1
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002・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないと認めます。
それでは先ず猪谷さんにお願いいたします。日本貿易協会専務理事猪谷善一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/2
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003・猪谷善一
○参考人(猪谷善一君) 只今委員長より御紹介にあずかりました猪谷であります。委員長のお話にもありますごとく、事業者団体法の改廃問題は業界としましてもすでに議論の段階は過ぎておると確信しておるのであります。業界におきましても昭和二十二年の八月十五日制限付ではありまするが、民間貿易が再開されまして以来輸出業法の高き強い希望を以て進んで参つたのであります。すでにその間数年の日子を経過しておるのでありまするが、折角政府御当局並びに立法府におかれましてもいろいろと御高配を得ておるのでありまするが、引続き貿易界に対する事業者団体法の適用を受けて今日まで参つておるのであります。一年に一遍ずつ全国の貿易業者は大会を用いておるのでありまするが、最初に力強い希望をもたらしたのは昭和二十三年の十二月二十二日でありまして、又翌年の昭和二十四年の四月十五日にも同様なる決議をして政府並びに議会に対して御陳情申したのであります。趣旨は独占禁止法の精神はいいが、併しこの貿易に関する限り公正なる競争と互助の精神を発揮するためには、よろしくこの輸出に関しては除外規定を設けてもらいたいというのであります。換言すれば、アメリカにおきましても独占禁止法がありまするが、こと輸出に関しましては一九一八年に制定されましたウエツブ・ポメルン法によつて独占禁止法の除外を認めておる、こういう精神を日本においても実行相成りたいという希望であります。通産省におかれましては特に熱心にこの問題をお取上げになりましたが、一昨年でありますか、その草案が日本経済新聞だつたと思いますが、漏れたためにスキヤツプより批評が出まして到頭流産してしまつたような苦い経験を持つのであります。併しかようにアメリカではウエツブ・ポメルン法というものがあるにもかかわらず、日本に終戦後参りまするアメリカの行政官吏若しくはミツシヨンのかたがたは、輸出に関する限り事業者団体法を除外してもらいたい、改正してもらいたいという希望に対しましては非常に力強い反対をしております。私どもその趣旨を体しまして、或いはローガン構想を作つたローガン氏、或いは又マイケル・リー君等にぶつかつたのでありまするが、いつも反対を受けたのであります。これらの人々の考えではアメリカにあるウエツブ・ポメルン・アクトはこれは非常に惡法である。惡法であるから我々の理想境とするところの日本にこういう惡法を再現することは好まないというのであります。又この一つの理由としましては一九四三年、四四年頃から輸出業法に基きまするアメリカの輸出組合が独占禁止法違反事件を若干起しておるのであります。そのケースが決定せざるうちに日本に同じようなことを許すということは我々としては賛成しがたい、かような理由で反対しておるのであります。最近私ワシントンへ参りまして同じ問題につきまして商務省を訪ね、日本班長のミス・アダ・エスペナシエードという、これは日本貿易の班長でありまするが、この人とこの問題で議論したのでありまするが、すでにリツジウエイ大将の声明で一切の法律は改廃、すべて日本の立法府に任してあるのだから君の言うことはこれは日本の議会の立法によつて如何ようにもできるのではないかという議論を私にしたのでありまして、それを兼ね考えましても非常に機は熟しておるのじやないかと、かように思うのであります。今アメリカでは現在このウエツブ・ポメルン・アクトによりまして認められておりまする輸出組合は、即ち独占禁止法により適用除外となつておりまする組合は最近の数字では五十二、三あるのでありまして、併し非常に中小企業の組合でありまして、アメリカ全体の輸出の一割以下の実績を持つているに過ぎないのであります。御承知のごとくアメリカでは貿易自体が非常に国民経済の上にウエートが少いのでありまして、恐らく最近の数字ではアメリカ全体の生産額と輸出額を比べまするならば五%乃至六%かと思いまするが、その五%、又六%の中で一割がこの輸出組合によつて扱われておる金額でありまして、その点から言いまするとアメリカのウエツブ・ポルメンという法律によりまする影響は非常に少い、少いということが言えるのでありまして、その点若しも日本でこういつた同じような立法で貿易に関する事業者団体法の大きな改正をおやりになりまするならば日本国民経済の上に占めまする取扱上のウエートがアメリカと比較にならんほど大きいことは、これは確かであります。その点は従つて若しも我々の理想とするような事業者団体法の改廃が貿易に関する限り、これが出ますならばいやしくもその衝に当るものが日本の国民経済にはね返りがないように、よほど厳重に、よほど冷静に、公平にこれは業務を運営しなければならんということは、アメリカとは全く事情が違うのではないか、かように考えるのであります。御承知のごとく第二次大戦後は物資が世界的に不足しましたために、暫らくはサプライヤー・メーカー、セーラース・マーケツトだつたのでありますが、併しセーラース・マーケツトと言いながら御承知のごとく第二次大戦後は各国におきまして、日本の持つておりましたような貿易公団と同じような力強いバイヤーができて参つたのであります。いわんやセーラース・マーケツトの時代は短かくて、バイヤース・マーケツトになつたのでありますが、バイヤース・マーケツトになるとともに御承知のごとく各国におきましては、政府が一手に購入するところの機関はイギリス、フランス等においても見られるのでありまして、こういう一つの大きな力強い購入機関に対抗するにはやはり売手のほうも団結しなければならんというので、現在アメリカでは学者の間でも第二次戦争後はむしろウエツプ・ポメルン法によりまする貿易組合法の精神、又その運行がより必要であるということを言う学者も現われたんでありまして、その一例としましてはハーバード大学のメイソン教授の著書を挙げることができるかと思うのであります。御承知のごとく日本では本年の六月以後、或いは輸入の資金、輸入の手当資金の梗塞問題或いは又輸出クレーム或いは輸出キヤンセル等が起りまして以来、貿易界は非常な沈滞期に入つたのであります。そこでこのややもいたしますると金が欲しいためにコストを割つて売りまして、僅かの金融のギャツプを埋めるためにダンピングをするものが起つて参る、こういう事情が発生したのでありまして、それをまあ修正するために通産省がチエツク・プライスを若干の物資について制定されている次第であります。チエツク・プライスが日本の国民経済に今日若干の弊害もあるにかかわらず、相当に有効であるということは、如何に貿易に関する限りは価格統制が必要であるかということを意味するのでありまして、日本側におきましては、チエツク・プライスにつきましては、いろいろと批評がありまするが、それは生きものでありまする市場価格が機動的に運営されんという意味においての批評でありまして、併し若しもこれが輸出業法というようなものが許されるならば、これによつて自主統制が価格統制について行われますならば、非常に有効で而も業界も非常に喜んで頂けるということがあるのではないかと考えられるのであります。又御承知のごとく大きなアメリカへの輸出商品であります生糸が非常に値段がフラクシヨネートするために、アメリカの業者自体の利益を侵害するというので、アメリカの業界自身が非常に生糸に関する限りの輸出業法の制定を迫りまして、先般のニューヨークの生糸業者大会において、司令部のマクダモツト氏が日本では事業者団体法があつて、そういうことは罷りならんという声明をしたのに対して、非常に力強い反撃をアメリカの業者が加えたということがありました関係上、幸い皆様の御努力によりまして一応の糸価安定の特別制度ができたわけでありまするが、これなんかもやはりチエツク・プライスと同じように貿易に関しては輸出業法が必要であるということを我々に示すものであります。更に又、輸出の大宗たる綿業につきましてもイギリスが非常に輸出業法の制定、即ち事業者団体法の改廃を希望しているのであります。この七月にマンチエスターに参りまして、イギリスの綿業団と会談したのでありまするが、そのときにも世界の綿業の安定のためには、更に又イギリスの綿業の安定のためには日本が講和条約批准後事業者団体法の惡法を改正されて、そうしてイギリスと国際的な協定を結ぶということは、日英双方にとつて幸福であるということをマンチエスターのコツトン・ボードの幹部諸君が口を揃えて言つておつたような次第であります。かようなわけで、もう少し今日は、以上申上げました若干の事例に示すごとく、日本の国民経済の発展にはどうしても輸出業法の制定が必要でありまして、幸い日本の貿易は伸びておるとは言いまするが、併し昭和七年頃我々の輸出は世界で第五位であつたのでありまして、イギリス、アメリカ、フランス、ドイツに次ぎまして我々は第五位の地位を占めておつたのであります。昨年は非常に貿易が伸びたと言われたのでありまするが、なお且つ輸出の面では世界の三十数番目の劣等位でありまして、これは生産力の十分なる復興、殊に貿易業の十分なる回復がないということも原因でありまするが、こういつた惡法によつて、我々の手足が縛られておるために十分に発展ができないということが一つの大きな原因であると思うのであります。我々としましては事業者団体法の個々の改正よりも、むしろ事業者団体法或いは独占禁止法に一条お入れ願いまして、そして輸出業を例外的に扱う、別に輸出業法というような単行法をお出し願いまして、そうして国民経済にはね返りのないような輸出に関する業者の価格協定、取引条件の協定等の結合的な行為をお認め願うということが一番いいのではないか、かように考えるのでありまして、先ほど頂きました加藤委員の原稿にもありまするごとく、今日はいずれの国国も緊密なる連絡をとつて輸出には歩調を揃えております。加藤委員の原稿では、ボンベーではフランスの十九社、オランダの三社が共同代理店を持つて一致した歩調をとつておるという実例があります。或いはパキスタン、或いはインド等のプラントものの輸出に関する動きを見ますると、イギリスは殊にその例でありまするが、ビーテイングに際しましては対外的の歩調も一致しておるのであります。日本ではこの非常に業界の力が弱かつた関係もありまして、不当なビーテイングをやつて非常に国民経済上損を受けておるのであります。小さな雑貨等につきましてはよく聞くのでありまするが、例えばタイでミシンが一時たくさん売れたときがあります。そのときにこのミシンが、船が入るたびに安いミシンが入つて来る、そのためにこの日本全体が国民経済的に取るべかりしドルを失つた以外に、そのミシンを扱いますバンコツクの商人が非常に迷惑を受けて、中には破産したような商人も起つて来る、こういうような実例がしばしば起つておるのであります。我々の希望するのは公正なる競争、これがこの今日のような法律の下では過当な、行過ぎの競争が行われまして、そのために相手のお得意も迷惑を受けるし、日本の経済自身も非常な損害を受けて、国民経済の発展を阻止しておるというような現状ではないかと思うのであります。委員長の御命令によりまして一言我々の考えまする輸出業法の希望を述べまして御参考に資し、皆様の御叱正を仰ぐ次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/3
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004・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 有難うございました。次に稲川さんにお願いいたします。日本中小企業連盟専務理事稲川宮雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/4
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005・稲川宮雄
○参考人(稲川宮雄君) 本日は会長の豊田が参る予定でございましたが、よんどころない事情がありましたために代りまして私出ましたことをお許し頂きたいと思います。
事業者団体法の問題につきましては、先ず第一に運用の面におきまして二、三の希望を申述べたいと思います。従来この事業者団体法、独占禁止法の場合でも同様でございますが、その運用に当りまして中小企業がしばしば取締の対象になるのでありますが、大きな企業のほうにおきましてはいろいろな方法によつてこれを抜かしておる、つまり雑魚を追うほうに急であつて、呑舟の魚を逃がすというような面が相当多かつたのではないかと思うのであります。中小企業の立場から申しますと、独占禁止法なり或いは事業者団体法があるということ自体につきまして、これに特に異議があるわけではないのでありまして、むしろ中小企業の公正な立場を維持いたしまするために、むしろそういう法律があることを中小企業としては希望するのでありますが、実際の運用の面におきまして、例えば税金の面についても中小業者の税金の追及が急であつて、大会社の脱税がしばしば見られる。併しこれに対する追及の手が余り伸びないというような例にありますように、独禁法或いは事業者団体法の運営につきましても、中小業者がしばしば苛酷な取締の対象になつておるということがございますので、そういう面につきまして今後運営上特別の配慮を頂きたいということが第一の点であります。
それから第二の点としましては、独占禁止法とか或いは事業者団体法によりまして業者が団体を組んで協定行為をするということはしばしば反社会性を帯びた価格の吊上げその他になつて参りますので、これを禁圧するということは、これは止むを得ないことだと考えるのでありますが、併しながら大企業の場合は別といたしまして、中小企業の場合にはお互い業者が協同いたしまして、そうして協定或いは結合をして行くということが公正な競争を維持し、或いはダンピングを防止する上においてむしろ必要であるという場合がしばしば多いのでありますから、そういう面から単に業者が集まつて協定をするということをすべて禁ずるというのでなしに、中小企業というものの立場から中小企業というものの特殊性に鑑みまして、場合によつてはそういう団体の協定を積極的に認めて頂くことが公正なる競争を維持し、或いはダンピングを防止する上において役立つのではないかというふうに考えるのであります。そういつた統制的な行為は、国家の機関において行うということが考え方の原則としては適当であると思いますけれども、中小企業の場合には非常に種類も雑多でありまするし、数も多い。どうしても業者の自治的な協定というものに待たなければ公正な取引を維持することのできないという面が非常に多いように考えますので、特に一律に大企業と同じようにこれを考えるということは、実情に合わない問題が多数出て来るのではないかというふうに考えるわけであります。
次に、この事業者団体法の制度の問題につきまして二三の意見を申上げたいと思うのでありまするが、事業者団体法に対する中小企業の意見といたしましては、これは独占禁止法と法域を同じくしておる面が多いために、或いは又、統制団体除去政策というものの目標が或る程度達成された今日におきましては、これを全廃いたしまして、必要な面は独占禁止法の中に吸収して行けばよろしいではないかというような意見もございまするし、或いは部分的な意見としましては事業者団体の定義が非常に厳格であり、又その範囲が広いために実際上不都合を生する。例えば第二条における事業者団体の中に会社などが入つておりますが、営利を目的としておりますようなこの会社が、たとえ同じ業者を以て作つておるものでありましても、営利のために作つておるというようなものは、これは除外して行つてよろしいのではないかというような意見でありますとか、或いは第四条の許容活動というものはこれを削除いたしまして、第五条の禁止行為さえあればそれで尽きるのではないか。而もその第五条の禁止行為の範囲を緩和してもらいたいというような意見は中小企業界においても相当にあるのでありまするけれども、併しながら私どもの立場として特に申上げたいと思いますることは、只今猪谷さんからもお話がありましたように、独占禁止法とか或いは事業者団体法の改廃という問題よりも、輸出に関しましては特別の扱いすをるということ、こういうお話がございましたように、中小企業の立場から申しますると、中小企業の団体というものは特殊の性格を持つておるものでありますから、これを特別に扱つて頂くということが必要ではないかと、私ども考えておるのでありますが、幸いに中小企業等協同組合法に基いてできましたところの組合に対しましては、事業者団体法の適用が除外されておりますので、この法律によつてできまする団体は事業者団体法の適用が原則として排除されるという関係から、協同組合を作つて行きます場合には実際としては問題がないわけでございます。又私どもの立場としましては、今後中小企業の経営を合理化して行きますためには、やはりこの協同組合法による組合組織というものを基盤にして行かなければならないということを強く信じておりまするので、業者の組合結成を促進するというような意味合におきましても、この事業者団体法というものが決して支障を来たしておるわけではないのであります。むしろ問題は現在の中小企業等協同組合法自体にあるのでありまして、現在の中小企業等協同組合法の規定を以てしては中小企業者の共同の事業活動に不便であり、支障を生ずる問題がありますので、そのほうの改正をいて頂けるならば特に事業者団体法自体をこの際改廃しなくても問題は大体において解決するというふうに考えておるのであります。中小企業等協同組合法の改正の内容につきましては、いろいろ細かい点もございますが、主な点を申上げますると、第一に組合員たる資格が使用しております従業員の数で一応制限せられておりまして、商業の場合は二十人、工業の場合は百人ということが原則になつておりまするが、この程度の人数では今日の中小企業を包含して行くことが困難でありますので、この使用人員の数を、商業の場合は五十人程度、工業の場合は三百人程度まで引上げて頂きたいということが第一点であります。第二点としましては、事業者団体法の適用除外の組合になつておりまするが、ただその場合におきましても届出をしなければならんという規定に相成つておりまするが、除外になつておりまする以上、特に届出をするという必要も少いように認められまするので、事業者団体法によるところの届出の規定は、これは削除して頂きたいというふうに考えております。第三点としましては、組合の役員を組合員以外から選ぶことができないという現行法の建前になつておりまするが、これは実情に遠ざかることが甚だ大きいので、員外役員も一定の制限の下に認めるようにして頂きたいということであります。第四点としましては、組合の行います現在の事業が若干窮屈でありますので、この事業範囲を拡張して頂きたい。例えば組合が組合員から貯金の受入をするということができないことになつておりますが、実際問題として貯金の受入れをする必要があり、又その効果の多い場合がありますので、その貯金の受入れ事業を組合に認めて頂くとか、或いは組合は独占禁止法なり事業者団体法から除外されておりまするので、組合員が協定をするということも、できないわけではございませんが、むしろそういうことをする必要がある場合が多いので、積極的に協定行為を認めるということを、明文で謳つて欲しいというような希望も相当に強いのであります。更に第五の点としては、組合が連合会を作りました場合に、その連合会の地区が、例えば通産局の単位を超えるというような全国的な連合会というものは経済行為ができない。事業者団体法にいわゆる事業者団体と同じ取扱を受けて行くという関係になつておりますが、零細な業者が集つて、そしてそれが更に全国的な連合会を作りましても、決して独占行為に亘るというような危険はありませんし、仮に独占行為に亘るようなことがあつた場合には、別に取締方法があるわけでありまするから、広い地域の連合会に対しましても経済活動を認めるというように取計らつて頂きたいのであります。そういう点に対する改正が実現されまするならば、組合は事業者団体法の適用を除外されておりまするので、その組合によつて必要な活動ができるということでありますから、特に事業者団体法なり、或いは独占禁止法自体を改廃するということに対する切実なる要求というものは少いのでありまして、切実なる要求はむしろ組合法自体の改正にあるということになるのであります。
なお一言附加えて申上げたいと思いますることは、現在の組合員におきましても、この組合員お互いの協定ということはできるのでありまするが、昔ありました商業組合とか、或いは工業組合等のように、組合員以外に対する統制ということはできないということになつておりますが、最近のこの価格の暴落でありますとか、いろいろの問題からいたしまして、やはり員外統制までできるような強力なる組合というものが必要であるという意見が最近各方面におきまして、殊に織物の産地方面におきまして、非常に強く要望せられておる。これは実際問題といたしまして、非常にむずかしい困難な問題と思いまするが、実情から申しまして、非常に強い要望が出ておるということを、この際特に附加えたいと思うのであります。
非常に簡単でございますが、以上中小企業の立場から事業者団体法に対する意見なり、希望を申上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/5
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006・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 有難うございました。御二人に対する質問がたくさんあることと思いますが、その前に政府当局より事業者団体法改正に関する方針を承わりたいと存じます。先ず公取の御説明を願います。内田藤雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/6
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007・内田藤雄
○政府委員(内田藤雄君) 只今御紹介にあずかりました内田でございます。先ず事業者団体法の改正の現在までの模様をあらまし申上げます。
事業者団体法の改正の問題は、すでに同法が制定せられました昭和二十三年の秋頃から早くも取上げられたのでございましたが、そのときにおきましては、約九カ月ほど関係方面と交渉をいたしました結果、結論といたしましては、こういう法令の改正のことについて、公取が指導権を持つて取上げることは妥当でないから、こういう意見がありまして、一応その問題は打切られたのでございまして、併しながらその後各方面からのこの法律に対する改正意見につきましては、我々といたしまして勿論耳を塞いでおつつたわけではございません。殊に本年一月頃でございましたか、物調法の改正問題にからみまして、いわゆる自治統制の問題が起りまして、再びこの問題が世上にやかましくなりまして以来、我々といたしましても、終始その研究を続けて参りました。殊に御承知のごときリツジウエイ声明がございまして、政府におかれまして、政令諮問委員会において、第一にこの問題が独禁法の改正と共に取上げられましてから、我々といたしましても、まさに現実の問題として、政府に御意見も申上げましたし、我々内部におきまして、できる限りの研究をして参つたのでございます。それで政令諮問委員会の結論が七月の中旬頃でございましたか、一応出まして、その答申に基きまして、政府におきまして、大体内閣において審議せられたのでございますが、各経済官庁の意見を聴取せられ、又我々のほうからも御意見を提出いたしまして、その結果一応の政府の方針が七月の下旬頃であつたと思いますが、大体の方針ができたわけでございます。その後関係方面と折衝いたして、今日まで至つておるのでございますが、なおちよつと申し落しましたが、これは団体法だけではございませんので、独禁法の改正というものと一緒になつておりますが、それで一応のこちらからの腹案を関係方面に出しておるのでありますが、今日まで何らの回答もないという状態であります。その交渉に主として最初当られましたのは、内閣官房長官又はその代理のかた、法制局或いは安本のかたがたが当られまして、我々としてはそのときには関与いたしておりませんでした。と申しますのは、政令諮問委員会において取上げられました経緯、又その答申に基きまして政府で取上げられました経緯から見まして、これは政府つまり内閣が取上げられるべき問題であり、我々やはり政府の一員ではありますが、少しく系統の違つた我々としては意見を申上げるのも、これに対して脇におるべきであるという考え方からであります。又もう一つの理由は、従来の我々の経験から申しまして、冒頭にも申上げましたように、公正取引委員会がこの法律の改正問題につきましてイニシヤチヴをとることは妥当でないという経緯からでもございます。併しながら数回政府におきまして折衝せられましたあと、結局我々にも介入せよということでありまして、九月の下旬でありましたか、私も関係方面に参りまして、又その後のみならずその前後と申してよろしうございますが、我々といたしましては終始連絡をとり、大体どういうことを考えておるかということは心して参りました。現在まで、先ほど回答がないと申上げましたが、その意味は、少くともこれをそのままで承認しようという意図がないということは大体消極的にわかるわけであります。併しさればと言つて、いかんという意思はまだ表明しておらんわけでありますが、大体只今申しましたように我々が常時連絡しておりますところから得ました情報、又は我々の想像を混じえて申上げますと、現在なお関係方面は独禁法の四条及び六条の問題に手を触れることは好んでおらんということは明らかなように思われます。併しながらその以外の条文につきましては、積極的な意向ははつきり酌み取り得ないのでありますが、想像を申上げますならば、独禁法につきましても例えば四章の予防規定のごときについては或る程度改正しても実質的には異存はないという肚ではないかと想像いたしますが、団体法についても或る程度の改正は実質的には異存はないかと存じます。ただ何故実質的ということを強調いたすかと言いますと、一方におきましてはこういう考えがあるのであります。それは現在まだ占領下におきまして、これらの法令の改正が行われるということは、申すまでもなく関係方面の承認が要るわけでございますが、もう数カ月すれば講和条約の批准ができるのである。そのときには日本は独立国になるのだから、そのときに日本政府が、うち日本国民に対し、又、そと諸外国に対して日本の全責任においてこれらの法令の改正を行えばよい。何故に今急いで講和条約の批准を目前に控えた今日、改正しようとするのであるか、こういう考えではないかと想像いたします。
なお、いわゆる団体法の改正の非常に狙つておられますところは、いわゆる自治統制を或る程度やりたいということではないかと存じますが、この点につきましては、本年の一月以来、物調法の改正問題にからみまして、いわゆる自治統制の問題につきまして、折衝した経緯から想像いたしますと、現在の段階におきましては、関係方面の承認を得ることはなかなか容易ではないのではないかと認められます。あのときにも経済安定本部において主管せられまして、我々も多少お手伝い申上げまして、相当限定的な範囲においては自治的な統制を認める途を法律において開きたいということで数度折衝いたしたのでありましたが、そのときの関係方面の意向というものは、かなり強硬なものでありまして、事業者に自治的な物資の統制を行わせるということは、極端に申せば行政権の放棄であり、民主主義の根本原則に反する。こういうような言葉まで用いられておりました。つまり民主的に成立した政府が、国民全体の利益のために政府の責任において物資の配給その他を行わずして、或る特定の私人に、或いは私的団体をしてこれを行わしめるということは、只今も申しましたように全国民の多数によつて選ばれた議員又はその議員の多数から選ばれた政府がこれを行わずして、その他のものがこれを行うということは、行政権の放棄であり、或いは民主主義の根本原則に反する。大体こういう論理でありまして、単に経済的な意味で反対するというよりも、政治的な色彩さえもその論議に加えておつたように当時認めたのでございます。
次に輸出組合の問題でありますが、これは立法の技術といたしましては、輸出組合法という特別法を作りまして、その法律を以ちまして独禁法及び事業者団体法の適用除外をいたしますれば、それでできるわけであります。併しながら現在只今まで申上げましたところから御想像もつくかと思いますが、独禁法の四条及び六条に手を着けることを極力避けようとしておりますような状況では、これも現在の段階においてはなかなか容易ではないのじやないかと想像いたします。先ほどのお話にもちよつと出ておりましたが、アメリカにおいてウェツブ・ポメルン法というものがあつて、輸出に関して或る程度適用除外しておることは事実である。併しながらアメリカの場合においては専ら中小企業者がこういう組合作つておるのであり、而もその組合によつて扱われている量は極めて僅かなものである。ところが若し日本においてこの種の法律が制定せられるならば、恐らくは日本においては大事業者を含めて或る業種のものは全部組合を結成するというようなことになるのではないか、その公算が非常に大きいのではないか。若しそうなつた場合には、これは実質的に一つの統制組合が再現するものであり、且つ一旦対内的に仮に価格の協定が行われた。これは輸出のためだと言つても、対外的にもその価格が維持せられる公算が大きいのではないか。外のための協定であると言いながら、実際国内における競争も実質的に全く制限せられることになるのではないか。つまり輸出組合法を制定することによつて輸出のためと称しての業者の協定を全然不利益にしてしまうならば、国内における競争というものは全く影をひそめることになるのであつて、実質的には独禁法に大きな穴をあけるのと同じことである、これが一つであります。伝えられる意見を御紹介いたすわけであります。それから第二には輸出に関してそういう巨大な組合ができた暁には、結局或るものに関して一つの独占状態が生れることになるのだから、そのときこそ最も有力なダンピングなどを行う虞れがある、又業者側は輸出組合ができないための不便をたくさん並べるけれども、仮に輸出組合のごときものができ上つたときに外国が黙つていると考えるのは余りに単純である。外国側も又これに対抗した措置をしないということがどうして保証できるか、結局日本の輸出を増進するということに果して利益になるか、不利益になるかということはわからないのではないか。大体こういう説でございます。
それから中小企業の問題につきましては、稲川さんのお話で、若し我々のほうの運営におきまして中小企業のかたがたに不公平であるとか、苛酷であるとかいうことがございますならば、これは勿論十分運営に注意しなければならんことと考えますが、少くとも我我といたしましてそういうことを意図してやつたことはないつもりでおります。ただ御承知のようにこれらの法令におきまして違反となりますためには、立証という問題がいつも付きまとうものでございますので、或いは結果におきましてそう認められるようなことがあつたかも知れんと存じますが、これは今後十分に気をつけることにいたします。併し先ほども御説にございましたように、我々といたしましても中小企業の問題につきまして一番頭を悩ましておりまする問題は、やはり中小企業等協同組合法におきまするその組合結成の条件がいろいろ窮屈であるということが問題ではないかと存ずるのであります。最近伺いますところでは通産省のほうにおかれましてその改正を研究しておられるそうでございまして、近々我々のほうにも御連絡があるとか伺つておりますので、先ほどのお話の趣旨を十分に体しまして善処いたしたいと考えます。私ども自身といたしましても条件を或る程度緩和することは適切ではないかと考えております。ただ我々のほうの問題点としておりますことを御参考までに申上げますと、果して何が中小企業であるかということをどういう標準で区別するかということが、立法の際にそう簡単には行かない場合があるということでございます。業種によりまして相当多くの人数を使つておつても中小企業と認めなければならぬ場合がございますし、業種によりましてはさほどの従業員を持つていない企業でも、これは中小企業と言えないのではないかという場合もございますので、一律にその辺をきめるところに相当な無理があるのではないかという考えでございます。それから輸出組合の問題と中小企業ということでございますならば、中小企業等協同組合の要件を備えた業者がその組合をお作りになり、或いは又連合会をお作りになりますことは、これは差支えないわけでございますから、輸出に関しましても当然その運営によつて或る程度はでき得るのではないかと考える次第でございます。あとから気付きましたら又補足いたしますが、取りあえず以上申上げて置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/7
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008・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 次に中小企業に関連する問題、特に協同組合法の改正並びに組合による員外統制に関して中小企業庁の説明を求めます。中小企業庁振興部長松尾金蔵君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/8
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009・松尾金蔵
○説明員(松尾金蔵君) 中小企業の関係は先ほど稲川さんからお話がございましたように、当面の問題としましては中小企業等協同組合法の改正で相当程度この問題の解決は行けるというつもりで中小企業等協同組合法の改正の案を今練つておるところでありますが、従来の運用経過で見ますと、先ほど公取委員会からお話のございましたように、確かに中小企業の概念を一律にきめるということは非常にむずかしいようであります。併し今度中小企業等協同組合法の改正等を考えることになるといたしますれば、やはりそこは或る程度法律できめ、又或る程度は法律の委任に基いて相当程度業種業態に適応するような中小企業の概念ということもきめ得るのではないかと思われますし、いずれにいたしましても中小企業が新組合を作ろうとする際に中小企業の概念がはつきりしないために、折角協同組合法の保護の下に組合を結成されるように思われながら、いつ何時又独禁法なり事業者団体法に牴触することになるかわからないというような不安定な状態を是非取除いて参りたいというのが我々の考え方であります。従来決して公取委員会が意識的に中小企業に対して不公平な扱いをしたいという気持でされたとは我々決して思いませんけれども、或る場合には中小企業という概念で先ず差支えがないではないかと思われる場合にも、若干問題になつた場合もあるようでありますので、できれば法律の中でそういう運用に際して今後支障のないように改正の際にも考慮いたして参りたい、そういう考えで進んで参りたいと思います。どういうものを中小企業の概念に入れようかということについては我々のほうで最終的な決定はいたしておりませんので、大体先ほど稲川さんからお話のありましたような点に大同小異ではありますけれども、もう少し研究をした上で進めたいと思つておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/9
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010・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 次に輸出業法に関しまして通商局の松尾次長から説明を聞きたいと思いましたが、衆議院のほうにおきまして輸出信用保険法の本審査をやつておりますので、来られませんから質問に移りたいと思いますが、如何でしよう。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/10
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011・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) では質問に移りたいと思います。どなたかお願いいたします。……それなら私からちよつと、今内田総務部長から輸出業法についてこれが独占の弊害を生ずるかも知れないという説を三点について御紹介になりましたが、これに対しましては反駁の余地があろうかと存じます。猪谷さんから如何でしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/11
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012・猪谷善一
○参考人(猪谷善一君) 只今内田総務部長のお話の中に批評がありましたが、御承知のごとくアメリカ人は非常に貿易という問題には無関心でありまして、それでかような質問をしたのではないかと思いますが、例えば日本の場合で申しますと、数字がはつきりしないのでありますが、国内の生産と輸出を比較しますと、日本では大体今まででも最高二〇%前後でありました。この率よりも非常に大きく行つているのがイギリスでありますが、イギリスでは大体輸出目標は国内生産の五〇%という目標を出しておるのでありますが、イギリスでは五〇%を輸出に売り、五〇%を国内に売つているにもかかわらず、少しも国内価格の独占をやつているという弊害が現に行われておりませんし、又それに対する法律の制定もないのであります。むしろ我々としましては、こういう輸出業法のような法律によつて日本人の諸君には成るべく安く物を売つてそして国民生活水準を高める。併しながら外国人からは取れるだけドルを取つて、日本の貧弱なる資本蓄積に充てるということが我我の大きな狙いであります。その意味から言うと成るべく外国人に対しては取れるだけ取るのが我々の輸出業法の目的ではないかと、かように考えます。今まではむしろ逆に日本の国内で売れる価格よりも安く売つて外国人をして不当にいいものを安く買わしたというのがむしろ弊害なのでありまして、逆に行くというのが我々の狙いであるという一言に尽きるかと思います。第二日に本が若しもかような法律的措置をやるならばもう一遍ダンピングをするというのでありますが、これもやはりアメリカ人が日本の貿易の歴史を知らないところから来ているのでありまして、日本で御承知のごとく貿易組合法等の、戦争前の歴史を見ますと、やはりそういつた組合のない場合にはダンピングが始まつて、そうして日本人も非常に損するが外国人の取扱業者も非常に損する。そこでまあ統制法規が出まして、そしてこの貿易組合等ができて、そうして初めてそこで安定した市価ができて、そして日本人も又外国人の取扱業者もともともに利益をしたというのが歴史の実情でありまして、全然逆に批評をしているのではないか、かように考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/12
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013・内田藤雄
○政府委員(内田藤雄君) 先ほど申上げましたのは、別に私の意見を申上げたわけでもないのでございますから、その点誤解のないように願います。確かに私どもといたしましてもよく申しておりますことは、一体独禁法というようなものはアメリカだけにしかないのではないか。日本は、英国、ドイツ、ベルギーそのほかアメリカ等の多くの工業先進国とも競争して行かなければならないので、それらと対抗するためにはやつぱり我々に或る程度団結する自由がなくては困るのだということは、勿論我々として説明は微力ながらいたしておるわけなんであります。だだそこまで参りますと、実は売手と買手との利害の対立ということまで考えざるを得ないのじやないかと思うのですが、バイヤーの立場も相当考えているのではないかと想像いたすのでありまして、殊に最近御承知のように特需とか、新特需とか、こういうようなことがやはり皆広い意味の一種の貿易のような形になつて現われていると思うのです。そういう場合に売手側のもろもろの企業が共同戦線を張りまして買手が競争によつて値を叩くことができなくなるような状態になることは好ましくない、こういうふうな考えでいる面もあるのではないかと想像いたします。つまり猪谷さんのおつしやいますように、事業者が団結できないことが起つておりますいろいろな不都合の面は、十分我々は少くとも了解いたしておりますし、或る程度はわからないこともないのだろうと思うのでありますが、併しそういう自由が与えられたときにもつといろいろなほかのこともできるようになる、それは困る。こういう考えがあるのではないかと想像いたすわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/13
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014・猪谷善一
○参考人(猪谷善一君) 只今内田総務部長から入札の場合の話がありましたが、これも間違つた考えの一つの例だと思うのでありますが、我々が香港、シンガポール等に物を売る場合に、そうして日本人のみが仮に団結を許されたといたしましても、香港の市場の商品に対して引合が、或いはドイツからもイタリア、フランス、イギリスからも来ておつて、そうして一番安くていいものが初めて買われて、ここに輸出契約が成立するのでありまして、そうなる場合において、つまり団結のある場合は入札の談合と同じでありまして、一つの談合でありますからこれはいかんのでありますが、事いやしくも外国市場に関する場合は日本が一〇〇%独占的団結がありましても、その商品に対する他の類似の競争者がたくさんあるのでありますから、先ほど申しましたごとく、日本は現在の輸出では三十数番目に位しておりまして、三十何カ国がいつも競争者として現われて来るのでありますから、その外国の消費者を搾取する、そうした不当に圧迫することはありません。これが外国貿易の特色であると言いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/14
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015・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 私から内田さんにちよつと御質問いたしますが、先ほどいろいろ折衝中におきまして、これは済経的問題ではなくて政治的意味を含んでおる。講和条約の発効後に改正したらいいじやないか、こういうことを言つておられる、こういうお話でありますが、私の考え方では、まだ講和になりましても日本にはアメリカ、いわゆる駐留軍がおる、そういうものであるし、或いは経済的に相当援助を願わなければならんそのときに、講和になつたから、自分のいいような法律を作るということは甚だ今後の日米経済協力でありますか、そういう面におきましても支障を来たすのじやないか、それならば今のうちに関係方面の御意見とこちらの政府の意見が合つたところで、これを改正するのが今後の日本の経済に対して非常に好結果をもたらすのじやないか、かように私は考えますが、この点につきまして、公取のほうではこれに御努力なさいましたかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/15
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016・内田藤雄
○政府委員(内田藤雄君) 只今の委員長の御意見全く私同感でございます。従いまして、政府といたしましても、まさにその趣旨からできる限り現在の段階のうちに或る程度の妥結点に達したいということで御努力相成つておるものと了解いたしますし、我々といたしましても、それにできる限り御協力いたしたいというつもりでおるわけでございます。ただ先ほど申上げましたのは、そういうこちら側の意図が必ずしも、これは感覚の相違と申しますか、そうは受け取られてない節がございますように想像いたされますので、その点を申上げただけでございます。
それからなお只今のことと関連しまして、講和後のことにつきまして、果してそれほど自由に行きますかどうでございますか。これはもう最後は日本の実力の問題だと思いまするので、勿論私ども形式上の自由が直ちに実質上の自由だとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/16
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017・栗山良夫
○栗山良夫君 今のこれは独禁法或いは事業者団体法だけに限つたことではないのでありますが、連合国軍の占領管理下において各般の問題について民主化法案が現在現存しておるわけであります。これの改正点が批准の後、両条約の効力発生後は当然国内の一番大きな政治問題になることが予想せられるのでありまして、そこで今の御論議を聞いておりますと、効力発生前に行うか、発生後に行うかということに分れておるのであります。それは時間の問題になつておるので大して私は重要性を感じないのであります。要は条約の効力が発生をし、日本が独立国として再発足した後にこういうような法律が本当に日本の純国内問題として諸外国の関連性なしに、本当に自主的に改正し得るかどうかということが私は問題になると思うのであります。そういう点をどういう工合にお考えになつておるか。今お聞きするところによると、効力発生前はどうも承諾を得られないような雰囲気にある。こういうことをおつしやつたのでありますが、それの裏返しは独立ができれば何ら問題なしに国内問題として措置できると、こういう工合に解釈できるのでありますが、果してそうであるかどうか。この点は非常に重要な問題であろうと思いますので、公取は今までの折衝の過程、或いは今後のいろいろなお見通しの上に立つてこれをどういう工合にお考えになつておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/17
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018・内田藤雄
○政府委員(内田藤雄君) 只今委員長の御質問に対しまして大体半ばお答えいたしたかと存じますのですが、先ほど申しましたのは、現在の段階では不可能だという結論を申上げたつもりではないのでございます。独禁法と団体法の改正問題につきまして、独禁法四条、六条の点については相当はつきりこれを避けておるということは、これは大体想像にかたくないのでございますが、それ以外の改正する問題を一切拒否するということでは無論ないと思います。先ほどはちよつと念のためのように申上げたのでございますが、併し底流といたしましては、なぜ今そう急ぐのだ、こういうことを申しておるのでございますので、実質的には異存のないことでも、果して今できるかどうかということをちよつと確言をいたしかねるという程度で申したつもりでございますのですが、それが誤解でございましたら訂正いたします。
それから今後の批准の、今それも申したつもりでございますが、批准後は形式的には日本国家の自由だと考えます。併し問題は一体日本がそういうことをやつた時に受ける反応と利害を冷静に打算をいたしまして、一体どこまでやるのが結局において日本の利益になるかということは、これは公取だけで考えるべく余りに大きな点かと存じますので、ちよつと私から何とも申上げかねますが、併しその場合でも、ともかく或る程度の外交的なサウンドを併行いたしまして無論或る程度の改正は可能であると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/18
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019・栗山良夫
○栗山良夫君 そういたしますと、工合よく行けば効力発生前においても若干の改正は不可能ではない、こういうことが明らかになつておる。ただ独禁法の筋金になつておる四条、五条の点についてはこれは非常にむずかしいあれが包蔵されておる。ところがその問題についてはこれはアメリカと日本の立場の違いがあるわけでありますから、従つて条約の効力が発生をいたしまして、日本が形式的には独立国家となりましても、その後においてもやはりいろいろな外交的な問題としての交渉の余地、或いは若干の掣肘というようなものも度外視するわけには行かない。こういうような工合に理解しておいてよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/19
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020・内田藤雄
○政府委員(内田藤雄君) 只今申上げましたように、私公正取引委員会の者といたしまして、その利害の打算というものは簡単に申上ぐべくちよつと重要な問題だと存じますが、極く常識的に考えまして、今後日本がアメリカあたりの援助を相当受けるといたしまするならば、余り自由に振舞うことはできないのではないか。こういう問題ではないかと考える次第でございまして、実はちよつとこれは余談になりますのですが、ただ独禁法にからんだ問題については、アメリカとイギリスというものは又ちよつと立場を異にしておる点がございますので、その間におきまして如何なる舵をとつて行くかということは、そう簡単な問題ではないと存じます。そこで独禁法一点張りでは日本の立場として行かないかも存じませんし、或いは又ただ独禁法が都合が悪いということだけでそう自由に改正ができますか、その点は疑問だと、こういうように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/20
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021・栗山良夫
○栗山良夫君 私がそれをお聞きしておりますのは、今までおつしやつた通りに、公取の責任において御答弁を願うにいたしましても少し問題が政治的過ぎると思うのでございますが、要するに独禁法を改正する、或いは事業者団体法を改正する、こういうような国内の意見がありまするが、又同時に価格形成の非常に重要なエレメントをなしておる労働賃金の問題等にいたしましても、それらのいろいろな重要な問題を扱う労働諸法規の改正等が又話題になつておる。そうしてこういうものが国際的ないろいろな影響と申しますか、反響も呼んでおるわけであります。従つてただ単に独立後の経済問題を論議するときには、独禁法とか事業者団体等だけを論議して、それの是非を判定するということは、国内にはできるかも知れませんけれども、国際的には非常にむずかしい問題が残るのじやないかと、私は考えるのであります。そこで公取のほうの御意見は大体わかりましたので、最近国外各国を廻つて来られた猪谷善一氏から、そういつた問題を含めて、米国を除いたその他の各国が日本経済の独立後のあり方についてどういうような見方をしておるか、或いはどういうような端的な希望を持つておられるか、そういうような点を若しおつかみになつておられるならば一つお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/21
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022・猪谷善一
○参考人(猪谷善一君) お許しを得まして、貿易に関する面から見ましたる点を申上げますると、御承知のごとく、ヨーロツパの各国は日本とは貿易上の関係は非常に深いのでございまするが、関係の深いのはいずれも植民地でありまして、我々日本としましては、植民地のものを、資源殊に非鉄金属とか或いは繊維原料等の資源を非常に欲しいのでありますし、現に買つておるのでありますが、それを引当てに現在は我々の繊維製品等を初めとする雑貨等を植民地へ売つておるのでありまして、従つて、ややもしますると、ヨーロツパに関する限りは本国との関係がどうも密接に行かないという問題があるのであります。それが現在しばしば言われておりまするごとく、イギリスが批准をされた後においても日本に対しては最恵国待遇を与えんとか、或いはガツトの加入を拒否するとか、こういつたような点をしばしば新聞で見るのでありまするが、これは即ち植民地を確保したい本国の気持が、日本に批准後若しもそういつたような国際的な待遇を与えますることによつて、植民地を奪われるという心配を非常にしておるのであります。この点はよほど今後の日本におきましては大きな問題かと思うのであります。
いま一つは、御承知のごとくガツトの国連の主要加入国が、最近は非常に労働立法等を尊重する社会党、労働党の勢力が強い関係上、日本の政府で発表しまする白書が、戦前の生活水準の漸く七九%であるという数字を発表しているのですが、これに対する非常に不満と心配を持つているのでありまして、戦争前すら日本の生活水準は低いので、それが我々から言わせるとソーシヤル・ダンピングの原因であつたにもかかわらず、現在終戦後六年たつてもなお且つ戦争前の水準の七九%ということでは非常に困る。それでは我々は同じ国連の仲間として平等に経済上の取引をするのは困るのだという意見をしばしば持つのであります。これがイギリスにおきましては、先ほどの事業者団体法の改正につきましては割合に恬淡でありますが、労働基準法の改正に対する日本の輿論に対しては非常に力強い反駁を加える原因かと考えるのであります。ただ問題としましては、やはりヨーロツパのフランスとかベルギーとかイギリス等の本国とも相当に商売上の取引をすることによつて、単に植民地だけをお互いに狙うのじやないということの実績を挙げる研究が非常に必要であると思います。ただ日本の貿易の構成から言いまして、イギリスの本国なり或いはフランスなりベルギーなり、欲しいものはややもするとノン・エツセンシヤル、今の準戦時態勢の物資から言いますると重要じやないものが多いのでございまするが、ここに松本参議院議員もお見えになつておりまするが、例えばフランスの貿易にしますると、香料というようなものは向うは売りたいのです。併し日本の貿易のクラシフイケイシヨンから言いますと、日本にとつてはノン・エツセンシヤルは入れられないために、向うがやはり日本のノン・エツセンシヤルを買つてくれないという問題が起つているのであります。ヨーロツパ全体を見ますると、スターリングを初めとしまして相当日本は輸出超過でありまして、殊に十月末でポンドの手持は約五千万ポンドにのぼつておるわけでありまして、若しも仮にスターリングの切下げでもいたしますと、みすみす折角我々が溜めた五千万ポンドは非常に大きな損害を受けるのであります。仮に損害を受けない、スターリングのデイバリユエイシヨンがないとしましても、これを決済する方法が非常にむずかしい。こういう場合におきましては、日本の立場から言うと、やはり向うのノン・エツセンシヤルを買つてあげることによつて我々の輸出超過をカバーし、同時に又、更に我々のノン・エツセンシヤルをヨーロツパに売ることによつて、日本の貿易を拡大再生産する、縮小再生産じやなくて、拡大再生産に向つて行くという御努力が望ましいのではないか、かように考えるのであります。アメリカに関しましては、御承知のごとく非常に本年度もドル・シヨーテイジでありまして、恐らく暦年で言いまして、商品貿易だけでは、本年度の輸出が、大体七億輸入して三億輸出できたら非常にいいほうであります。商品貿易だけでは七億ドル近いドルの不足があるわけで、幸い新特需等がありますので、相当に幅は減つて来ると思いまするが、どういう工合にドルの不足を商品の面で補うかという面につきましては、話が又元に帰りますが、事業者団体法等の改正によつて、ドルに関する限りはもう少しく輸出を振興する必要がある。それには、今は安売りしております。小さな機械品とか或いは金属等の原料品或いは雑貨等の品物を安売しないように、如何にドルを余計とるかという方法がドル・シヨーテイジを解決する一つの大きな方法であると思うのでありまして、ただ如何せん、日本は欧州並びに植民地に対しましては非常な輸出超過で、スターリング等を初めとするところの手持がどんどん殖えて行きまするが、片や太平洋を隔てて向う側はドルが足りない、而もヨーロツパで溜つた外貨はドルに換わらんという悩みを当分続けて持たなければならんのでありまして、この点を通産委員会とされましても大いに御研究願いたい、かように考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/22
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023・栗山良夫
○栗山良夫君 大体よくわかりましたが問題は、猪谷さんは、今まで安売をしていたが、事業者団体法の改正によつて輸出組合を作り海外についてはできるだけ高く売込みたいのだ、こういうことをおつしやつたわけであります。我々も至極そういうふうに運べば賛成なわけであります。ところが実際にはそういうふうにして法律の改正をもくろまれておりまするけれども、それだけならば結構でありますが、その反対に、先ほど言われました価格形成の最も重要な部面を占める賃金問題の関係で、労働基準法等はやはりぐつと切下げたいという世論が国内に起きておる。而もこれも日本が独立すれば日本の国内問題として処理される。こういうことになりますると、高く売りたいというあなたたちの御意見が、海外の人から見ればやはりチープ・レーバーで以て相当欧米各国の品物よりも安く売込んで来るのじやないか、こういうような疑念を持つて来られる。そこで今のようなお話の問題は、やはり一つの政治問題として国の中の世論をはつきりと一つの方針で固めて、そうして成るほど高く海外へ売り付けるのだ、日本の国民の生活水準も海外並みに引上げる努力を払いながら正常な貿易をやるのだと、こういう印象を植え付けて行かないと、なかなか私は物事は成功しないのじやないか、こういう考え方を持つのでございますが、この点はどうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/23
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024・猪谷善一
○参考人(猪谷善一君) 取急ぎまして一言申上げまするが、日本の名目賃金、まあ大体賃金ベースかれこれ一万円といたしまして、大体アメリカではその十倍近くと思います。それからイギリスは三倍、フランスは二倍半であります。或いはドイツも大体二倍半ぐらいです。名目賃金だけでは日本の十倍乃至三倍近い製品が大体日本の商品とぶつかるわけでありますが、然らば日本の商品がそれだけ国際水準で、或いは十分の一なり、或いは三分の一であるかというとそうじやないのであります。それはやはり一つの製品価格の上で以て占めまする賃金よりも原料が非常に或る場合は高くなつておる。殊に最近は御承知のごとくアメリカの原料を使うものですから、アメリカの原料は高い賃金で掘られた原料が多いのですから、それが日本の加工品に入つて来るから非常に原料に含まれるウエートが高いのです。それが一つと、いま一つは運賃が非常に日本は商船隊を持つていない関係上不当なる運賃を払わされておる。殊に最近は日本の商品に対していわゆるコンフアレンス、海運同盟の圧迫がなかなかあります。殊に濠洲のごときは日本のシツパースが、荷物を出します人々が非常な圧迫を受けて、思うように船腹もとれず、それから不当なる運賃をとられる、こういう二面が今申しました国際商品の競争の上で賃金が安いにもかかわらず、或る場合には国際価格以上に我々の商品が出ておるという面がありまするので、こういつた面も併せてやはり御研究願わんとこれは我々の貿易の振興が非常に伸びが悪いのじやないか。これも一つ合せて御研究願いたいと、この機会にお願い申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/24
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025・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 私からもう一遍ちよつと伺いますが、先ほど内田さんからお話がありましたいろいろ日本に対しまする考え方があるのですが、これは英国と日本との貿易の関係においてこういう事業者団体法なんかで許す、日本よりか英国のほうが重要視されるためにそういうことをやられるというような、そういうようないわゆる今後、只今猪谷さんが言われました通り日本の貿易は英国と相当競争の形になつておる。だから英国と日本とのまあ何と申しますか、競争と申しますか、いろいろの噛み合いなんかに関しまして、日本を抑えておく、そういうようなところはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/25
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026・内田藤雄
○政府委員(内田藤雄君) そこまでの感じは受けたことはございませんですが、先ほど私が申上げました、ちよつとコンフアレンスのお話も出ましたので一言申上げますと、例えばコンフアレンスの問題などというものはアメリカのコンフアレンスに対する政策とイギリスのコンフアレンスに対する政策というものは全く違うのでございます。そこで日本の海上運送法によりまして或る程度適用除外はされておりますが、結局は独禁法に引掛つて来る問題としましてコンフアレンスの問題などを、我々日本としてこれを取りあえずは公取でございますが、やはり何分にも非常に大きな問題でありますから、日本としましてどういうふうに独禁法と調和させて行くか、こういう問題があるわけでございまして、そういう点につきまして先ほどちよつと触れましたように、アメリカの圏内にそつくり入り込んでしまうわけにも行かず、さりとてイギリス側のほうにだけ、イギリス側の政策に同調することもできない。こういつた甚だ微妙な問題が現在すでに起りつつあると考えておるわけでございます。そういう意味で申上げましたので、今までのアメリカの態度が何かイギリスとの関係においてどうということは直接感じたことはございませんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/26
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027・境野清雄
○境野清雄君 結論的な質問を一つしたいのですが、公取のほうに質問したいのですが、大体私的独占禁止法、あの第四条と六条の改正は承認しそうもない。私的独占禁止法は四条と六条を除けば大したあと問題はないのであります。又輸出組合法の制定というものは全然これはお話にならないというような御意向でありますが、大体一説には来年の二、三月頃には骨抜きでこの法案は改訂されるのじやないかというような話もあるので、そこで一体政府自体としてこういうものに折衝しておる場合に四条なり、六条なりについては強力にこれを何とか改正してもらいまして、当時日本がこの法令を作成したときと今日とではもう非常な時代の変遷もあるし、それから同情も違うのに、外国の法律をそのまま植え付けたというようなことが日本の経済界を相当弱体化しておるということは、もう当事者は十二分におわかりだと思うのですけれども、ただ先ほどの公取のお話を聞くといつも政府のやつていることと同じことで情けないお話に聞くのであります。四条と六条は手を付けちやいかんとか、輸出組合法もこういうような形だから手を付けちやいかんと、こういうようなことでこの法の改正をやつても私は何にもならんと思うので、こういう点に対して一体政府当局としては強力に出して今後の日本の経済界の弱体化を救うべくこの面に対して努力するのかしないのか。そういう点だけ一つはつきり御返事願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/27
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028・内田藤雄
○政府委員(内田藤雄君) ちよつと私どうもお答えいたすほど余りに貧弱な官僚に過ぎんと存ずるのでありますが、お説のように四条、六条の改正点というのは問題だけに、例えて申しますならばその改正の案を出しましたときの説明書などももつぱらそこに重点をおいてやつております。従いましてその理由書を作りますときには決して我々だけではございませんで、むしろ先ほど冒頭に申上げましたように内閣におきまして各経済官庁の意見を総合せられまして、安本からも、通産省からも、農林省からも、各方面の意見を集められまして、相当長い理由書を出したわけでございます。ただ今の委員の御質問は、強力にという意味がどの程度のことを意味しておるのですか、まあ一応我々事務当局程度のものといたしましてはできる限りの努力をいたしたつもりでございますけれども、併し御満足の行くほど強力であつたかどうか、これはちよつと私からは申上げられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/28
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029・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) では只今松尾通商局次長が来られましたので、輸出業法に関して通商局の意見を求めたいと思います。通商局次長松尾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/29
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030・松尾泰一郎
○説明員(松尾泰一郎君) ちよつと中座をいたしておりまして、お尋ねの御趣旨は十分了解し得なかつたかと思うのでありますが、この輸出業法と言いますか、輸出組合法と言いますか、要するに輸出業者なり、輸入業者なり、要するに貿易業者の団体化の問題についてのお尋ねと思うのでありますが、かねてから業界のほうから輸出組合法と言いますか、輸出業法と言うか、こういうものについて非常に強い要望もあつたわけであります。又最近かなり輸出業者間の売込みの競争が激化いたしました結果、安売りの弊害も現われているのでありまして、現在のところは止むを得ませんので、輸出貿易管理令によりまして安売り防止のために、一部の商品を、輸出商品品目にいたしまして、輸出価格の調整を役所みずからやつているような次第なんでありますが、曾つてはこういう事柄は各輸出組合のほうで十分に調整がされておつたのが戦前の例であつたわけでありまするので、通産省、特に我々通商局といたしましては、やはりこの際輸出組合というふうな組織を認めるのが、こういうふうな安売りの防止なりその他の積極的な輸出振興を図る上におきまして、有効適切な方策ではなかろうかということで前々から研究をいたしているような次第なんでありますが、先ほども公正取引委員会のほうからもいろいろお話があつたかも知れませんが、他方独禁法なり事業者団体法の改正の問題が進められておりますので、実はそのほうに望みを嘱して、実は情勢を静観しておつたわけであります。従いまして飽くまでもこの輸出組合法なり、輸出業法の問題は、その法の本位の進み方と歩調を合せなければいけませんので、時期等につきましては、今後も問題があろうかと思いまするし、又過去の輸出組合が、どういうものか対外的に非常な不評をかつておりまして、印象が悪いのでありまして、こういうふうな不評なり悪印象を緩和しつつ問題を進めるほうが、穏当な行き方ではなかろうかと思いまして、それらについても慎重な検討をいたしているのであります。要するにいろいろの問題もあるのでありますが、我々事務当局といたしましてはできるだけ早い機会にこういう法律を持ちたいということで、今その内容なり、どういうふうな範囲を包含するかというようなことで研究を進めているという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/30
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031・境野清雄
○境野清雄君 そうすると輸出組合法を制定するということに関して、通産省からまだ交渉したことは一度もないということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/31
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032・松尾泰一郎
○説明員(松尾泰一郎君) 実は最近は専ら独占禁止法なり事業者団体法の改正の問題が表面に出て進められておりますので、実は輸出組合法とか輸出業法という、そういう一部門の問題について本体の話が進んでいるときに話を持込むということは、却つて工合が悪かろうということで、実は独占禁止法なり事業者団体法の改正のほうを見つつ、つまり静観をしておつたような感じでありまして、その独占禁止法なり事業者団体法の改正が問題になる前、かなり以前になりますが、その頃には関係方面のほうへ素案を持込んだことも一、二度あるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/32
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033・境野清雄
○境野清雄君 そういうところはどうですか、通産省として考え違いじやないかと思うのでして、例えば輸出組合法制定というものはもう業者も非常に渇望している問題で、先ほど猪谷さんからお話があつた通りに、これはソシアル・ダンピングに関連のないということは明らかですし、又国内価格というものに対するこの物価の問題というようなことも関連のないというようなことは明らかなんでありますから、どちらにしても通産省としては輸出組合法はどうしても制定したい、こういう面で一方から押している。一方からは事業者団体法なり私的独占禁止法の改正をやつて行くというようなことになれば、独禁法の第六条がさつきからなかなか問題が解けないというようなものだから、それほど必要なものならというよなお考えを起されるので、輸出組合法は輸出組合法としてそのもの自体で押して行くほうがいいというようなふうな考えも起るのでしようが、もう少しこれも通産省としては熱を入れられたら如何でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/33
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034・松尾泰一郎
○説明員(松尾泰一郎君) 我々事務当局としては、御鞭撻を待つまでもなく非常に熱意に燃えているのでありますが、何分根本的な思想においてなかなかむずかしい問題がございまして、今言われますようにややスローモーシヨンの嫌いがありますが、我々としまてはできるだけ早くやりたいと早くやりたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/34
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035・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) それでは質問がありませんようですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/35
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036・中川以良
○中川以良君 ちよつと……今各委員から関係当局へのいろいろの希望がございましたので、今のお話のように事務当局としては私は精一杯やつておると思うのです。それを何としても一つ通産大臣並びに公取の委員長は本当にその気持になつてもらわなければならん。一つ通産大臣並びに公取委員長を次の機会に御出席頂きまして、御希望の徹底するように一つ皆さんからして頂き、又はつきりした言明を求められるように取計られたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/36
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037・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 只今中川委員からの御希望に対しましては委員長のほうからさよう取計らいます。本日は猪谷さん、稲川さん、非常に御多忙のところお出かけ下さいまして非常に参考になりまして有難うございました。本日はこの程度にいたしまして散会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/37
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038・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないと認めまして、それではこの程度で散会いたします。
午後三時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X00919511113/38
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