1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十一月十五日(木曜日)
午後一時四十三分開会
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出席者は左の通り。
委員長 竹中 七郎君
理事
古池 信三君
廣瀬與兵衞君
委員
入交 太藏君
中川 以良君
片岡 文重君
小松 正雄君
島 清君
山内 卓郎君
境野 清雄君
衆議院議員
通商産業委員長 小金 義照君
国務大臣
通商産業大臣 高橋龍太郎君
政府委員
中小企業庁長官 小笠 公韶君
事務局側
常任委員会専門
員 山本友太郎君
常任委員会専門
員 小田橋貞壽君
説明員
通商産業省通商
振興局長 井上 尚一君
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本日の会議に付した事件
○商工組合中央金庫法の一部を改正す
る法律案(衆議院送付)
○中小企業信用保險法の一部を改正す
る法律案(内閣送付)
○輸出信用保險法の一部を改正する法
律案(内閣送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/0
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001・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 只今より委員会を開きます。
第一に商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案につきまして衆議院議員小金義照君の提案理由の御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/1
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002・小金義照
○衆議院議員(小金義照君) 商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案の提案理由を説明いたします。
改めて申すまでもなく中小企業は我が国の経済において極めて重要な地位を占めており、講和後の自立経済体制の確立も中小企業の振興発展にかかるところが甚だ多いのでありますが、現在の経済情勢下におきましては中小企業の振興のためには何といつても金融価の対策が最も緊要と考えられるのであります。
御承知のように中小企業は従来よりその基礎が薄弱であるため銀行等から金融を受けることが大企業に比べて著しく困難でありますので、いろいろ中小企業専門の金融機関が設けられているのでありますが、商工組合中央金庫はその一つとして中小企業者の協同組合に対する金融を行うことを目的として昭和十一年に設立された国家的な金融機関であります。中小企業金融の逼迫が深刻となるにつれ、その果す役割はいよいよ重要となつて来ておりますので、この際商工組合中央金庫法の一部を改正し、その機能の擴充強化を図ることといたしたいと考える次第であります。
改正の内容は他の法律の改廃に伴う條文整理を含みまして十数点に亘つておりますが、その最も重要な狙いは、従来取引対象が中小企業等協同組合だけに限られていたものを預金受入については中小企業等協同組合の構成員にまで、貸付については所属組合の構成員にまでそれぞれ擴張したことであります。すでに申上げましたように商工組合中央金庫は、中小企業等協同組合に対する金融を行うことを目的とする金融機関でありますが、特に中小企業等協同組合のみを業務の対象といたしております所以は中小企業振興対策の重心はその組織化の推進に置くのが最も適当であるからにほからないのであります。
併しながら中小企業等協同組合の現段階におきましては、中小企業等協同組合に対する金融は組合の共同事業に対して行うだけでは十分でなく、組合員である個々の中小企業者の事業に対しても行う必要のある場合があるのであります。このような場合、現在では先づ協同組合に対して金融を行い、協同組合から更に組合員に対して転貸を行うという形をとつているのでありますが、これはいたずらに手数がかかるのみで実情にも即しない場合がありますので、このような場合には直接組合員たる中小企業者に対し貸付ける道を開く必要があるのであります。この場合直接中小企業者に貸付けることとしても、それが協同組合の組合員である限り、組合金融機関たる商工中金の本旨にもとるものではなく、むしろ実際に即してその機能を強化することとなるものと考えられるのであります。
右の場合貸付に対応して預金についても当然組合員たる中小企業者から受入れられることとなりますが、これにより従来とかく散逸しがちであつた組合員の資金が集めらたまして、商工中金の資金繰りの上に好影響を及ぼすものと期待されるのであります。
改正の第二の狙いは、商工中金の金融機関としての業務範囲を擴充することであります。商工中金は、従来中小企業等協同組合のための特殊金融機関であるという建前上、一般の銀行等に比較いたしまして業務範囲がいろいろ制限されておりますが、貸付と並行して債務保証を行うことや業務上の余裕金をコールローンに活用すること等は、金融機関として当然の業務であり、特に商工中金についてのみ制限することは理由のないことでありますから、この際業務に追加することと致したいのであります。
改正の第三の狙いは、一組合の出資口数の制限を従来の一千口から一万口に引上げることであります。商工中金に対する一組合の出資口数が余り大きくなつて一部少数の組合に出資を独占されることは、中小企業等協同組合の全体のための金融機関であることの趣旨に反しますので、従来、その限度を千口と定めているのであります。併しながらこれは商工中金が設立当初資本金一千万円、総出資口数十万口のときの制限でありまして、今日のように、資本金十五億円、総出資口数千五百万口となつては、低きに過ぎますので、これを差当り十倍の一万口に引上げることとしたいのであります。
その他の改正の狙いとして、国、公共団体、又は銀行その付の金融機関の業務の一部を代理することがありますが、これは商工中金が中小企業の専門金融機関である立前上、中小企業金融に関しましては、国、公共団体、銀行その付の金融機関の業務の一部を代理することが必要となる場合が種々予想されますので、その途を開いて置こうとするものであります。
以上現在の経済情勢下におきまして、差当り緊要と考えられる諸点について改正をしようとするものでありますが、何卒慎重御審議の上、御賛成あらんことをお願いいたす次第であります。
以上を以て提案理由の説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/2
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003・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 提案理由に対する質問はあとにしたいと思います。本日はこの質問を保留することに御異議ございませんか。
〔「異議」なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/3
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004・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/4
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005・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 次に中小企業信用保險法の一部を改正する法律案に対しまして、当局の提案理由の説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/5
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006・高橋龍太郎
○国務大臣(高橋龍太郎君) 中小企業信用保險法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。
御承知のように中小企業信用保險法は、中小企業者に対する事業資金の融通を円滑にし、中小企業の振興を図るため、金融機関の中小企業者に対する貸付につき政府が信用保險を行う制度でありまして、昨年十二月十五日、公布施行されたのでありますが、その後今日まで約十一カ月間の実施状況を見ますと、保險金額は約二十億円に過ぎず、遺憾ながら金融機関の利用は必ずしも十分ではないのであります。
このように利用が未だ十分でないことの理由は、勿論制度の実施後なお日が浅く、その趣旨が十分に徹底していない点にも求められるのでありますが、又一般金融情勢によりまして、金融機関としては長期資金供給が困難であること、或いは制度そのものにもなお改善を要する点があるのではないかと思われるのであります。
政府におきましてもこれらの点につき検討を加えているのでありますが、この際次の二点について同法の一部に改正を加えて、その運用の円滑化を図りたい所存であります。その改正の第一点は、保險関係が成立する一中小企業者に対する貸付金額を現在の三百万円から五百万円(その中小企業者が中小企業等協同組合であるときは、一千万円から二千万円)に引上げることであります。その第二の改正点は、新たに信用保証協会の保証業務を保險することができるようにすることであります。
この二つの改正点の中、第二の点について特に御説明申上げますが、御承知のように信用保証協会は、中小企業者の金融機関に対する債務を保証することを主たる業務とする公益法人でありまして、中小企業信用保險が金融機関の貸付について保險を行うのに対し、信用保証協会は、中小企業の債務を保証するものでありますが、その目的とするところはひとしく中小企業金融の円滑化を図る点にあるのでありまして、中小企業の振興に大いなる役割を演じておるのであります。
今現在の信用保証協会の実情を見まするに、その出資金の大部分が都道府県市等の地方公共団体の負担するところとなつているのでありまするが、近来地方公共団体の財政の実情から、その資金拠出にもおのずから限度があり、ために保証協会の活動の範囲は制約されているのであります。従いましてこの際国営たる中小企業信用保險制度によつて信用保証協会の保証業務を保險することができる道を開き、差当り保証協会の保証業務の五割程度を保險することといたしたい所存であります。
これによりまして信用保証協会の機能は飛躍的に強化され、中小企業信用保險の利用の活発化と相まつて、中小企業者が信用乃至担保力の不足のために金融が受けられないという事態は大いに改善されるものと期待されるのでありまして、中小企業金融の円滑化に大いに資するところがあると考えるのであります。
何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことをお願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/6
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007・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) つきましては只今島君から大臣に何か御質疑があるようでありますから、これをお許しいたしましてから、輸出信用保險法の一部を改正する法律案について今日は総括問題並びにそそれが済みましてから逐條審議に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/7
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008・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないと認めます。島君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/8
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009・島清
○島清君 これは御質問申上げると言いましても、四角張つて言うほどの大した問題でないのでありますが、只今中小企業信用保險法の一部を改正する法律案の提案理由の御説明にもあつた通り、又先ほどの商工組合中央金庫法の一部改正法律案の提案理由の説明を承わつたのでありますが、それらにすべて関連を持つことでありますが、今朝の新聞を見ますと、商工組合中央金庫のほうで非常に不正貸出があつて何といいますか、検察庁あたりがメスを入れたやに報道されておりますが、今日年末を控えまして中小商工業者の諸君が非常に金融に苦しんでおる際に、そういう不正問題の起つたことは私たち遺憾に思いますが、新聞にも発表されておりますので、若し大臣のほうで詳しい真相を御調査に相成つておるならば、この際御発表を頂いたほうがよろしいように思いますので、質問を申上げるよりもちよつとお聞かせを願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/9
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010・高橋龍太郎
○国務大臣(高橋龍太郎君) 私も今朝の新聞記事を見て非常に驚きました次第であります。私はそういう問題について何も今まで耳にしていなかつたのであります、卒直に申上げて。早速長官を呼びまして長官に調査を命じたのでありますが、先刻報告を聞きましたのではまだ詳細にわかつておりませんが、先刻長官が理事を呼びましていろいろ説明を聴いたのでありますが、少しあの新聞の記事は誇張されておるように思われます。当局は不正貸出は一切ないということを強く申しております。なお私は事柄が小さくありましても不正があれば彌縫せずに嚴重に処置して行くように希望を述べておきましてございます。まだこの問題の詳細は御報告するほどまとまつでおりませんです。今丁度長官が来ておりますから、長官に一応只今わかつておりますところを御証明いたさせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/10
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011・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 只今大臣からお話がありました通りに、現段階におきましてはまだ詳細な事情はわかつておりませんが、私が今朝当局者について調べましたところを簡單に御報告申上げます。
問題になつておりまする東京製材協同組合の問題でございまするが、この組合は従来商工中金からの資金の融通を受けておるのでありまするが、組合自体としての事業経営は相当堅実にやつております。又借りました金の返済は期限通りきちきちと拂つておるというような状況でありまして、ただ相当融資総額が大きくなりましたので、その転貸に際しまして組合員の中の配分と申しまするか、個々の組合員に対する割当と申しまするか、そういう点についてごたごたが超つておつたようであります。ちなみにこの組合は非常に大きな事業経営をしておる人と小さな事業経営をしておる人と、事業規模が必ずしも同じでない人が集つておりますので、そこに組合員間に若干の物議が起つておつたようであります。これが中心となりまして今回の事態に発展いたしたようでありまするが、只今のところ貸付、融資という点から見ますと、先ほど申上げましたように非常に正確に支拂も進んでおる、こういうような状況であるようであります。たまたま商工中金の係の一人が検察庁に呼ばれておるというような状況でありまするが、その内容等につきましては今のところはつきりわからないのであります。爾余の職員については今のところ勿論何もございません、事情のわかりましたところは以上の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/11
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012・島清
○島清君 これは商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案とも関連をいたしまして、政府は役員を政府任命にする、これは議員提出ですか、衆議院のほうで政府任命にしたいという御意向があるようですが、それと監督権と役員の任免権等のことについて、質疑応答のときに又一遍お伺いしたいと思います。一応この辺でよろしうございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/12
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013・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) では輸出信用保險法の一部を改正する法律案につきましての総括質問をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/13
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014・古池信三
○古池信三君 ちよつとお尋ねいたしますが、最近の輸出に関しまして例のプラント輸出の実情ですね、これについておわかりになつておるところをお尋ねしたいと思うのです。なおこの相手方の地域別にどんなふうになつておるか、ドル地域はどうか、ポンド地域はどうかというようなことについても、実績がわかつておりましたらちよつとお尋ねをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/14
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015・井上尚一
○説明員(井上尚一君) 御質問のプラント額の輸出の契約状況につきまして御説明を申上げますが、地域別に、同時に各機械の機種別にこれを申してみたいと存じます。従来、言い換えれば昭和二十一年以降最近までのプラント類の輸出の契約につきましてはパキスタンに対しまして鉄道車両、電気機械、それから繊維機械、インドに対しまして船舶、鉄道車両、電気機械それから繊維機械、フイリツピンに対しまして船舶、鉄道車両、電気機械、繊維機械、それからタイ国に対しまして船舶、鉄道車両、電気機械、香港に対しまして船舶、鉄道車両、電気機械及び繊維機械、朝鮮に対しまして鉄道車両、通信機械、ノルウエー、デンマーク、フランス、ブラジル、リベリア等の各国に対しまして船舶がそれぞれ契約されております。アルゼンチンに対しましては船舶及び電気機械、パナマに対しまして船舶、電気機械、繊維機械、インドネシアが船舶、繊維機械、ソ連が船舶、鉄道車両、以上が大体最近までの契約の状況でございまして、これのトータルの金額について申しますれば、約一億八百万ドル程度に相成つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/15
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016・古池信三
○古池信三君 一億八百万ドル、その地域別の金額は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/16
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017・井上尚一
○説明員(井上尚一君) 地域別に金額のトータルのみを申上げます。パキスタンが、ラウンド・ナンバーで申しますが、千八百万ドル、インドが一千万ドル、フイリピンが七百万ドル、タイが千四百万ドル、香港が約二百万ドル、朝鮮が約二百万ドル、ノルウエーが五百万ドル、デンマークが約一千万ドル、フランスが約三百三十万ドル、ブラジルが約四百四十万ドル、リベリアが約五百万ドル、アルゼンチンが八十万ドル、パナマが二百八十万ドル、インドネシアが百六十万ドル、ソ連が一千万ドル、以上が大体国別の契約金額に相成つております。ついでに以上のうち引渡の実績のありましたものが七千三百七十万ドル、それで受注残が約三千四百ドル程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/17
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018・古池信三
○古池信三君 このプラント輸出に大いに力を入れられるのは結好だと思うのですが、結局全体の日本の輸出入のバランスから言いますと、ボンド地域への輸出がだんだん殖えてドル地域のほうはそれほどでもないという現状じやないかと思うのですが、而も輸入のほうから言うと全くその逆になるということになつておるのでありますが、そういう場合にポンド地域にどんどん輸出を捉進するというと、結局ポンドの手持が殖えて行くというわけになると思うのですけれども、そういう場合の調整はどういうふうに考えられておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/18
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019・井上尚一
○説明員(井上尚一君) 申すまでもなく大きな日米経済協力のラインから申しまして、東南アジア地方の経済計画、これの進行に呼応しまして、日本から東南アジアの工業化乃至は各地下資源等の開発に必要なるプラント類を出すということは、そういう大きな方向の一環としましてこれは極めて重要な点であろうかと存じまするが、仰せの通り当面の問題としましてはドルとポンドと比べまして、ポンドの手持が逐次累増の傾向にあると、そり場合においてどちらかといえば直接にはポンド地域のほうが多い。この方面にプラント類の輸出をこの際推進するということは、却つてその点について一種の矛盾を生ずるのではないかという点は、誠にその通りでありまするが、これを長い眼で以て考えまする場合に、我が国の今後の貿易の方向とも関連しまして、一面には重要原料をドル地域から輸入するというのをポンド地域のほうに切換えて行くというのが一面の必要でもあるという点からいたしまして、プラント類を我が国から輸出するということによりまして東南アジア各国の重要地下資原の開発に協力をし、よつて以て重要原料をこういうポンド地域のほうから将来我が国といたしまして入手をして行くと、その意味から申しますれば大きな方向として決して誤つてはいないというふうに考えるわけでありまするし、又輸出一般の問題としまして、プラント輸出は普通の商品の輸出とは違いまして、一度プラントとして出しました場合には、これの補修とか或いはパートとか、そういうメインテナンス乃至は部分品の供給という面を通じまして、相当永続性のある輸出のマーケツトを培養できるという効果もございまするし、そういう面から申しましてもこの際我が国としまして、東南アジア乃至は先刻申しましたように中南米各国のほうからも、中南米地方の工業計画の進展に応じまして、こういうプラント類の注文がこちらに逐次増加の傾向になつて参ることになりまして、こういう東南アジアの各国乃至は中南米各国の需要に応じつつ重機械類の我が国といたしましての輸出の一層の伸展を期して参りたいと、こういうのが通産省としましての希望でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/19
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020・古池信三
○古池信三君 いわゆる原料を輸入して、これに対して加工して輸出するという單純なるものでなくて、プラント輸出になりますと、これは相当な資金を要すると思うのです。現在日本の国内の資金が非常に詰つておることは御承知の通りですが、この際にそういう資本をかけて送り出すというには、相当な、これは自信がなくちやならんと思うのですが、東南アジアの開発ということは日本として将来としてもやつて行かなければならん問題といたしますならば、このプラント輸出の問題について資金の面からいつて相当アメリカあたりの援助が期待できるかどうか、これについて何か具体的な交渉な動きがあるのでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/20
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021・井上尚一
○説明員(井上尚一君) 東南アジア地域に我が国からプラント輸出を続けるにつきまして、当該買手のほうの資金がかなり大きくなければならないという点、誠に御質問の通りでございまするが、今後の方向としましては、当然マーシヤル・プランなりコロンボ・プランなりに応じまして、ECA資金等によりまして東南アジアの各国の購買力の裏付があるということは、今後の方向としまして期待は十分できるかと存じまするが、今日までの段階としましては、そういう点につきまして顯著な具体化という点はまだ期待ができないようであります。なおこの相手国におきまする資金、即ちバイヤーのほうの資金が十分でないにもかかわらず当該各国の開発計画等の関係上どうしてもこのブラントを買う必要がある、入手する必要があるという要請が一面にあり、半面におきまして、ここに言いまするようなプラント類、生産財の売込競争というものも各国間においてこれはかなり激甚な現状でございまするので、そういうふうに代金決済の面等につきまして比較的不利な條件を以てしましても、我が国としてはこれに売応じたほうがいいという場合が少くないわけであります。現にプラント類の輸出につきましては、これの代金の決済の方法としまして非常に二年とか或いは三年とかいうように長期化またがりまして、その買手側に対する信用の供与が必要であるという事例が少くないのであります。そういう面から言い換えればこの輸出につきましては代金の回收についてかなり危險といいますか、不安なことが多い場合があるというような点が、むしろ今般の輸出信用保險法の一部を改正する法律案をここに提案しまして、この主としてプラント類の輸出につきまして買手側に長期信用供与をする場合の不安を、この方法によりましてカバーしたいというのが今般の改正の中心の狙いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/21
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022・古池信三
○古池信三君 輸出の中で特にプラント輸出だけを政府が直接に引受けるというようなことになつているのはどういうふうな理由でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/22
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023・井上尚一
○説明員(井上尚一君) 通常の商品を輸出する場合には、御承知の通り取消不能信用状の開設という方法を通じまして、結局当該商品の船積以降の代金請求権につきましては、信用状の開設を以て殆ど危險のカバーが不能でございますが、これに反しまして只今申しました通りプラント輸出につきましては、この代金の弁済方法が二年とか三年とか長期にまたがる場合が多く、或いは例のゴアの鉄鉱石なんかの場合のように、こちらからプラント類の輸出をして以て先方の鉄道などを開発する、そうして生産しました鉄鉱石を日本が買う場合において、その一トンについて何ドルというふうな割合で以てこの現物につきましての代金のデイスカウント、割引という方法によつてプラントの代金を回收して行こう。そういう非常に特殊の決済方式によりまするようなケースが非常に少くないわけでありまするし、我が国としましてそういう不利な決済方式による必要はないのではないかという点につきましては、各国間のプラント類の売込につきましての競争が非常に激甚な今日の現状としましては、どうしても我が国の輸出の増進という点から申しまして、こういう程度の支拂條件をもあえてこれを受理しなければならないということが現実の要請でもございますので、そういう実情が普通の商品とは違いましてプラント輸出についてのみ特にこういうバイヤーの破産とか、バイヤーの義務の履行の遅滞とか、そういういわゆる信用危險をこの随補償する必要があるという理由でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/23
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024・古池信三
○古池信三君 そうしますと、相手方のバイヤーの信用程度というものが非常に重要になつて来るわけですが、そういう信用状態は政府としてはどういうふうな方法で調査されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/24
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025・井上尚一
○説明員(井上尚一君) 今度のこのプラント類につきましての、いわゆる乙種保險の契約は、政府がこれを直接行うということを考えておりまする関係上、政府自身としましても、保險契約の当事者として当然相手方、即ち先方のバイヤーの信用状態の調査について十分慎重を期して参ることが極めて必要であります。これの方法としましては、現に逐次に海外の主要の地には在外事務所が設けられて参りましたし、或いは民間団体としまして政府が保險金を出しまして現在活発に機能を発揮中の海外事情調査会という機関も現にあるようなわけでありまして、現に海外事情調査会、いわゆるジエトロと申しまするが、この機関は海外の主要各地に現在までにすでに二十数名の調査員を設けまして随時海外の市場の状況なり或いは海外のバイヤーの信用状態なり、或いは当該地方の日本商品につきましての需要の動向など、そういうような問題につきまして的確、正確な情報を提供するという機関を設けまして現に着々と活動中でございますので、まあそういうふうな政府民間の両機構を通じまして、海外バイヤーの信用状態の調査につきましては、十分完璧を期して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/25
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026・古池信三
○古池信三君 もう一つお尋ねしたいのですが、そういうような場合に、相手のバイヤーの信用状態にもまあいろいろあるだろうと思うのですが、その状態に応じてこの保險料率は或る程度の差をつけられるのですか、そうでないのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/26
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027・井上尚一
○説明員(井上尚一君) 料率の点につきましては、当該契約の期間、或いは代金弁済につきましての條件なり、或いは当該地域についての十分な考慮を加えまして、保險料率についてはいろいろ斟酌はやる考えではございまするが、同一地域内はおきましての異なるバイヤーの、一件々々のバイヤーにつきまして料率を違えて参るということは実際問題としましては極めて煩瑣にもなるかと存じまするし、非常に信用状態の悪いバイヤーの契約については、契約の締結自体をむしろ引受けないという方法で以て、そういうふうに危險率の大きい契約の締結のほうは防止して参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/27
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028・古池信三
○古池信三君 大体わかりましたが、最後に只今お話になつたジエトロの内容ですね。現在どんなふうになつているか、それから近い将来にどんな程度にこれを擴充強化して、我が国の貿易の上に貢献せしめるおつもりであるか、そういうふうな点についてあらましで結構ですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/28
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029・井上尚一
○説明員(井上尚一君) ジエトロとはジヤパン・エキスポート・トレード・リサーチオルガニゼーシヨンの略称でございます。海外市場調査会、これは英国の貿易振興という見地から、海外マーケツトの状況につきましての情報を收集する非常に大きな機関が英国には設けられておつたのでありますが、この英国の例にならまして、我が国としましても戰後各国のマーケツトの状況について、十分正確なる情報の收集が困難でありたという状態に鑑みまして、この海外市場調査会というものを本年二月に設けましたわけであります。本年度の予算としまして国のほうから三千万円の補助金を交付するということに相成つております。現在までの機構乃至はこれの活動状況の概略を申しますと、これは本部を大阪に設けまして支部を東京に持つております。現在の陣容は大体六十数名であります。今日までの業務の状況としましては、先ず第一に、海外競争商品の見本の購入ということを行なつて参つております。先般来アメリカ市場或いはタイ市場或いはパキスタン市場、そういうような日本商品としまして、非常な関心を持つておりますマーケツトにつきまして、当該マーケツトにおきまする海外競争商品の收集を行なつて参りまして、今日まで約千三百点あたりを收集しましたわけであります。この海外競争の收集品につきましては来年一月に大阪を第一回とし、逐次東京、名古屋を筆頭としまして全国主要地にこれを持つて参りまして、終戰以来今日まで内地におきまして各種の展覧会、競技会等において、通産省が大臣賞乃至は長官賞というような賞状を出しました、いわば国産の優秀商品と海外競争商品を並べて一般に陳列をやろうというような計画、そういつた計画を現在準備中であります。
なお海外市場調査会の機能としましては、各会員のほうからの調査の依頼に応じまして、いろんな調査項目の調査をやつておるのであります。一、二の例を申しますと、ロンドン、セイロン地方の茶のケーケツトの状況について調査を願いたいというような希望が、静岡県の茶の協会のほうから参つておりますし、或いは又山口県のほうからブラジルの経済状況の調査をやつてもらいたいというふうな、或いは日本紡績協会のほうからは東南アジア、アフリカに対する綿糸布の値段の調査をやつてもらいたいというような今日ま約で二十近い調査項目がありまして、そういつた調査項目に応じまして現に調査中であります。
それからもう一つはこれは先刻申しましたように、海外に調査員をいろいろ依嘱をいたしまして海外の迅速、正確な情報の收集をやり、毎週海外市況につきましての速報を週刊としまして出しております。海外の調査員は現在までは十九名でありまするが、今後この員数も逐次増加して参りたい、こういう方向で凖備中でございます。
それからなおこのほかに調査会のほうから随時海外調査員というものを海外に派遣をし、いろいろ重要マーケツトについての調査るやるというような、或いは欧文の日本商品、日本の会社を紹介するようなカタログを作ります。そういう印刷編纂の事業、海外の情報收集の事業、或いは海外の依頼に応じましての調査関係、或いは侮外競争商品の收集、そういうような機能そういつたような活動につきまして現在着々勉強中であるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/29
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030・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 古池さんの質問に対しまして、井上振興局長にお願いしたいのは、右の調査会の資料を国会中にできませんでしたら仕方がありませんが提出して頂きたいと思います。どうぞお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/30
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031・中川以良
○中川以良君 私は先ずお伺いいたしたいのは、先年この信用保險制度ができまして以来の利用状況、実績になりますが、大体プリントを頂いて承知はいたしておりますが、極めて簡單に実績について御説明を願いたいことと、同時に当初政府がこの制度をお作りになるときに御計画になつておつた予定とその実績とを比較して、一体どういうような状況になつておるかというようなもの。それから第三点には信用保險特別会計のその後の動き、現状についての御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/31
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032・井上尚一
○説明員(井上尚一君) この現行の輸出信用保險制度につきましては、昭和二十五年の六月一日から実際の契約締結に入つておるのでありまするが、言い換えれば二十五年の六月一日以降本年の三月末までの従来の輸出信用保險の引受件数は一万二千八百六十五件でありまして、これの契約金額のほうは約二百四十三億円程度であります。この二百四十三億円といいますのは、輸出契約全般の上から申しますと大体約一割というふうに相成りております。従来の現行輸出信用保險制度はすでに御承知の通りに、民間保險会社が貿易会社と保險契約を締結する。そうしてこの保險契約につきまして政府が再保險をやる、そういうやり方でありまするが、この保險会社に貿易会社が拂いました保險料の全額が約一億でありますが、このうち民間保險会社の收入が二千万円、それから政府の再保險料收入、これは約八千万円であります。一方この保險契約につきまして発生しました事故の件数は約二百七十件でございまするが、この契約につきまして政府が拂いました支拂保險金は、今日までの累計としまして約三億七千万円程度に相成つております。結局政府の会計としましては保險金の拂いが三億七千万円あり、一方再保險料收入が八千万円、大体約三億のマイナスだつた、こういう状況でございます。
この保險の事故について申しますと、これの大部分というものはいわゆる中共向け、香港向け輸出の禁止という結果この輸出契約の履行ができなくなつたによつて生じましたその結果の保險金の支拂であります。なお二十六年度に入りましてからは大体八月までの引受件数は約二千四百五十件、金額にしまして六十二億ということに相成つております。收入保險料は約二千四百七十万円見当に相成つております。
当初この保険を新規に作りました場合の予想と実績との関係はどうなつておるかという御質問でありまするが、この保険を作りまして実施に入りましたのは六月でありまするが、輸出信用保險法の制定公布は三月でございました。当時の事情としましては今申しましたような中共、香港に対する輸出の禁止というような問題は予想に上つてなかつた関係上、こういう会計面でこういう大きな赤字を生ずるということは予想しておらなかつた点でありまするが、これを反面から申しますれば、貿易業者について申しますれば、国の政策の結果とはいえ止むを得ず中共向け、香港向けの輸出禁止のそういう非常な影響ということによりまして、生じました民間貿易会社の損害というものは、これは相当甚大に上つたわけでありまするし、若しこの保險制度がなかりしならばそういう点につきまして政府は何らか別に国家の補償の途を講ずる必要があつたわけでありまするが、幸い輸出信用保險制度を実施いたしていました関係上、政府のほうとしましてはこの保險制度を作つておる以上、保險制度の利用を考えなかつたのは貿易業者のむしろ手落ちであるというわけに相成りまする関係上、却つて大きな意味から申しますれば、政府がそういう非常方法を講じた結果、本来ならば損失補償として拂う必要の生じたであろう金額がこの程度の金額で実はすんだというような言い方が或いはできようかと考えるわけであります。
信用保險特別会計の状況は、今申しました保險料收入と保險金の拂いが骨子でありまするが、これ以外に小さな金額、国のほうの再保險業務を担当します関係上、国の事務費が多少これに加わることに相成ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/32
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033・中川以良
○中川以良君 今の信用保險特別会計の案を一遍数字等につきまして書類を提出して頂きたい。今日でなくても結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/33
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034・井上尚一
○説明員(井上尚一君) 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/34
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035・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/35
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036・中川以良
○中川以良君 私の質問はこの次に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/36
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037・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) では逐條説明をお願いいたしたいと思いますが、如何でしよう。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/37
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038・井上尚一
○説明員(井上尚一君) 逐條につきまして簡單に申しますが、一番最初の第一條、第二條、第三條、第四條、第五條中の改正、これは今般の乙種保險の創設に伴いましての必要な形式的な改正の点であります。
次の「第五條の二」から「第五條の五」までは今般のいわゆる乙種の保險につきましての新規の規定であります。第五條の二がこれの骨骼でありまするが、ここにも書きました通りに輸出者が、その輸出契約に基きまして一定の貨物を輸出をいたしました場合に、次のような一から五まで並べましたこれに該当します事由によつて、当該輸出貨物代金を回收することができないという結果生ずる損失というものを、今般の新種の乙種保險で以てこれをカバーしようというわけであります。ここに政令で定める貨物となつていますが、これは政令ではプラント輸出ということ、言い換えれば船舶車両等をも包含しました設備機械というふうにこれを限定する考えであります。
なお先刻も申しました通りに、従来の甲種保險のほうは民間保險会社が元請をやりまして政府がこれに対して再保險をやるという方法でありましたが、今度の乙種保險につきましては、政府が直接保險契約を締結する、言い換えますれば、バイヤーの信用状態等につきましては政府が責任を有する、政府が直接調査をし、契約の締結もする、損失の査定も行うということがむしろ適当且つ必要であるというので、政府の今般は直営保險といたしたわけであります。
なおこの点につきましては、この輸出信用保險法上設けられておりまする審議会に、今度の乙種保險は政府が直営でやることがいいかどうかを諮りましたわけであります。審議会には損害保險会社の代表者も加わつておるわけでありまするが、審議会の意見としましても、今般の乙種保險についには政府が直接契約をやることがむしろ適当であろうという答申であります。
それから小さな点でございまするが、ここに括弧いたしまして輸出貨物について生じた損失を除くと相成つておりまするが、この本法の第一條に明示してございまする通りに、本保險制度は通常の保險によつて救済することができない取引上の危險を担当するというのがこの輸出信用保險制度の本旨でありまする関係上、普通の海上保險その他のいわゆる物上保險によつて填補し得る危險というものはこれより除外しましたわけであります。ですからその結果は商品自体について生じました毀損でありますとか滅失でありますとか、そういうような事故はほかの海上一般の普通の保險契約のほうでこれをカバーするということに相成ります。
一号は外国において実施される為替取引の制限又は禁止、二が仕向国における戰争、革命又は内乱。三が前二号に掲げる事項、以外の本邦外において生じた事由で、輸出契約の責に帰することができない旨と相成つておりますが、この一号、二号、三号は従前の甲種保險につきましてと大同小異でありますが、一号で外国と申しましたのは、輸出の相手国以外で、決済の場所が第三国である場合がある、即ちベルギーに輸出をする場合、決済はロンドンでやるというような場合を想定しまして外国と申したわけであります。それから二号は最終の仕向国は言うまでもなく、その途中の仕向国をもこれを包含する意味であります。戰争は言うまでもなく宣戰布告というような形式的な要件は必要ではないのでありまして、一切の事実上の平和撹乱の状態で十分である。三号は具体的には例えばどういう場合かと申しますと、相手国におきまするボイコツトでありましたり、或いは途中港、或いは最終荷上港の港湾のストライキでありまするとか、或いは相手国におきまする輸入制限乃至は禁止というような場合を考えておるわけであります。が併しながら今般の最も中心の狙いは第四号、第五号でありまして、この輸出契約の相手方破産、輸出契約の相手方の六カ月以上の債務履行遅滞ということを保險の使命として考えております。なおここに(輸出者の責に帰することができないものに限る)といたしましたのは、例えばこちらのエキスポーター、契約の相手方に対しましていわゆる同時履行の抗弁等の関係にありまするような結果、こちらで拂わない場合向うが拂われないという場合は、当然これから除外いたしたわけであります。それから第五條の二項は、保險証券を作つて保險契約者に交付する、これは言うまでもなく保險契約は諾成契約でありますが、この二項の規定によりまして保險証券を交付することを義務としましてできたわけであります。次に三項は財政法第二十六條の規定によりまする、即ち国庫債務の負担行為は、事項ごとにその必要の理由を明らかにし、且つ行為をなす年度及び債務負担の限度額を明らかにしなければならないという財政法の規定の関係上、一会計年度内に引き受ける乙種保險の保險金額の総額というものを国会の決議を経ましてきめたわけであります。
それからちよつと言い忘れまして恐縮でございますが、第五條の二におきまして「政令で定める貨物を輸出した場合」とありますが、これは現実に船積みを終えた場合というふうに考えております。甲種保險制度におきましては、契約の成立と同時にということに相成りますが、今度の乙種保險につきましては、当該貨物の代金請求権というものが被保險利益に相成ります関係上、輸出した物合、これは船積みした場合というふうに考えておるわけであります。
それから第五條の三でございますが、これは保險価格をきめました規定であります。尤も長期にまたがつて代金の決済を行うというような場合に分割拂いが生じますが、括弧の中は分割拂の場合の一回、二回のその代金のことを言つておるわけであります。第五條の三ノ二項で、これは「乙種保險の保險金額が保險価額の百分の八十の範囲内において政令も定める」云々とあります。で、これは政令のほうではこの法文に法律上は百分の八十の範囲内において政令できめると相成つておりますが、これは政令で百分の八十きつかりというふうにきめる考えでおります。これは当該輸出契約金額の全額一〇〇%をカバーしようというのではなくて、その八〇%についてだけ政府が保險金を拂い得るというふうにその限度をきめましたわけであります。この八〇%ときめました理由は、従来の甲種保險の例を踏襲しましたわけであります。なおこういうようにバイヤーの信用の結果生ずべき損害という問題については、当該輸出業者についても十分その点についての慎重な態度をとることが必要である、そういう点を要請したい、そいいうことで以て健全なる貿易の発展を期して参りたいという意味で、輸出者にも一定の部分の責任の割合をここにきめましたわけであります。
それから第五條の四でございますが、これは乙種保險におきまする損失の定義と、その保險金の計算の方法でありまするから、これは省略申します。
それから第五條の五でございますが、これは契約者とか被保險者又は保險金を受取るべき人が、契約の條項に反したというような場合には、その保險金の全部又は一部の拂いを行わない、乃至はその保險金の全部又は一部の返還を命ずると、そういうような一種の制裁規定でありますが、これは契約の成立の原則から申しまして当然であろうかと考えますが、政府のほうとしましては、勿論これを濫用するような意向は毛頭持つておりません。
それから保險料率につきまして、第五條の六という規定がありますがこれは今般削除になりました。従前の第二條第二項は、甲種保險の場合の保險料率について規定を設けておりましたのを、今般甲種・乙種を通じて第二條の六において一括して保險料率に関する規定を設けたわけでありまするが、これも財政法第三條の規定で、法律上又は事実上国の独占に属する事業における事業料金については、すべて法律又は国会の議決に基いてこれをきめるという規定によりまして、これを設けましたわけでありますが、これは結局一方で保險料金を微收して、そうしてその保險率に基いて、保險金を大体拂つて参る、そういう一応コマーシヤル・べースと申しますか、そういうむしろ彼此相償うことを原則としましてこういう事業をやつて行くと、いわば独立採算の性格をここに鮮明にしましたわけであります。こういう点から今般のこの制度は決して、国が貿易の振興という観点から、国家が補償をやつたり、補助をやるというような、いわゆる国際貿易憲章に反する性質のものではないということを、ここに念のために明らかにしておるわけであります。
次は第六條の第一項は不服申立に関する規定でありますが、これは細かくいろいろ書いてございまするが、大体詳しく申上げるまでもないと思います。なお最後に附則といたしまして、十二月一日からこれは施行したい、プラント輸出の問題はこれは緊急の問題でもございまして、現にゴアの鉄鉱石につきましてはすでに調印も了しておるというような関係もございますので、これは本国会のほうの審議を了しまして、この国会通過以後はなるべく早く実施に入りたいという意味で、一応十二月一日ということを目標として考えている、以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/38
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039・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 皆様にお諮りいたします。本法律案はまだ予備審査のうちでありますので本審査に入りましてから質問し、そうしていろいろ御討論願いたい、かように考えますが如何でございましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/39
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040・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないものと認めて本審査に入りましてから質問を続行いたします。本日はこの程度で散会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/40
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041・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないものと認めまして、本日はこれを以て散会いたします。
午後三時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214793X01019511115/41
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