1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十月二十九日(月曜日)
午前十一時二十三分開会
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出席者は左の通り。
委員長 鈴木 恭一君
理事
村尾 重雄君
委員
黒川 武雄君
寺尾 豊君
平林 太一君
山田 節男君
尾崎 行輝君
水橋 藤作君
深川榮左エ門君
国務大臣
郵 政 大 臣
電気通信大臣 佐藤 榮作君
政府委員
電気通信政務次
官 加藤隆太郎君
電気通信省経理
局長 肥爪 亀三君
事務局側
常任委員会専門
員 後藤 隆吉君
常任委員会専門
員 柏原 栄一君
説明員
電気通信事務次
官 靱 勉君
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○電信電話料金法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 只今より開会いたします。
電信電話料金法の一部を改正する法律案の質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214847X00619511029/1
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002・深川榮左エ門
○深川榮左エ門君 今度の電信電話の料金を値上げする問題につきまして、私は簡単に一言御質問申上げたいと思います。それは、日本の電信電話なるものが、世界の水準に比較しまして非常に悪いということは、たびたび委員会の席上に、又一般的なお話にも承わつておるところであります。我々はどうしても日本の電話、電信の機能を成るたけ早く世界的な水準に到達させたいというのが我々の希望であるわけであります。このたびこの料金値上げという点にからみまして、政府は相当大幅な賃金の値上げを今、国会で審議しておるわけでありますが、私はそういう目的のためには、現在のいわゆる独立採算のみにこれを依存をしておくということは、やはり世界水準に到達するにはどうであろうかという工合に考えるのであります。これはどうしても国家の独立採算制によるのみでなくて、別に公共企業体というものが、或いは民間私企業というものが、そういつた別体の企業体を作つて、そうして、それによつて日本のいわゆる電信電話の機構を整備し、そうして行かなければ将来の発展の速度というものは非常に遅い、こういう工合に感ずるものであります。アメリカの例を引きますと、サンフランシスコからニューヨークまで三分か四分くらいで電話が通ずる。日本では朝かけたものがその日のうちにすぐ通じるかどうかもわからないというような程度でありますところから考えて見ますると、日本の電信電話料が決して安くはない、むしろ高い。安いというのはただ料金だけの面を勘案したものでありまして、実際その効果、その効果の実際の現われたことから見ますると決して日本の料金というものは安くはない。むしろ高いじやないかと思うのであります。成るほど今度は相当な整備も断行されて、そうしてこのたびの料金値上げということによつてその機能を発揮して、そうして国民の福利に貢献するということでありまするが、これはどうしてもそういつた考え方で行かなければ、将来の電信電話業の発達というものはますますというように考えるものであります。私は電信電話につきましては、至つて知識がございませんので、詳しくそれを申上げることもできませんが、総体的に考えまして、常識的に考えまして、そういつたことに移行して行かなければ、日本の電信電話というものはますます世界の基準から低くなりはしないか。政府は果してこれを公共企業体なり或いは私企業なりに移して、そうして現在の独立採算的な政府機関として保存すると同時に、又別体なそういつた機構を作つてやる意思があるかどうか、私どちらでもいいと思いますが、その点を政務次官から一応御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214847X00619511029/2
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003・加藤隆太郎
○政府委員(加藤隆太郎君) お話の通り、日本の電話の施設が十分でないことは申上げるまでもないのでありまして、比較的日本の電話、電信の料金がアメリカあたりよりは、見ようによれば、安くもあり、併しその利用価値から申せば必らずしも安くはない、こういうことはお話の通りだと思うのであります。要するにそれは施設を充実することによつてもつと迅速に通話のできるような態勢を整えることが必要であるのであります。従つてこれが根本的な対策といたしまして、現在のこの官庁の制度を改めて公共企業体に移す、或いは更に進んで民営ということも、今現在は考えておりませんけれども、要するにそういう根本的な改革によつて資金の充実を図り、民間資金或いは外資導入という点までも及ぼして内容を充実することが先決問題であると考えておる次第でありまして、政府におきましては只今公共企業体に移すべく準備中であるような次第であります。今回の料金値上げが独立採算制を堅持する立場からということには一応考えておる次第であります。この料金の値上げによつてアメリカに匹敵するような態勢に行くとは考えておらない次第であります。従つて将来来たるべき通常国会には公共企業体というような態勢に転換すべく考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214847X00619511029/3
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004・深川榮左エ門
○深川榮左エ門君 このおもらいしました資料のうちに、公共企業体について研究を続けておるということが書いてありますが、現在どういう程度までその考えを持つておられるか。或いは通常国会においてそういうのも出すというお話でありますが、大体の構想でよろしうございますから、発表できることなら御発表をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214847X00619511029/4
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005・靱勉
○説明員(靱勉君) お答えいたします。実は企業経営形態の問題につきましては、前々から問題になつておりまして、一昨年来或いは内閣に電信電話復興審議会というものがありまして、そこにおきましても民営か、或いは公共的の色彩の強い企業形態に持つて行くとかということは相当月日をかけまして検討されたわけでございます。それの御答申は公共企業体に持つて行くというような御答申でありました。又衆議院におきましても公共企業体に早く移行すべきであるというような決議もなされた次第でございますが、事務当局といたしましては、これらの方向に従いまして一昨年来やはりいろいろと準備をいたしておりまして、今回大臣の更送の際にも、大臣の御意向も伺いまして、更にその準備を進めておる次第でありますが、漸く一応の法律案というものを策定いたしておるのであります。その中に、相当現在の国家行政機関としての制約と申しますか、特に予算なり会計制度につきまして、公共企業体に移すという単に看板の塗り替えということではやはり国民の期待に副えません。そういう問題については相当自由な方式をとるというようなことで事務当局としては案を考えております。これは併しながらなお関係機関との折衝を進めて行かなければならんものでありまして、ただその制度と申しますのは復興審議会にいたしましても、衆議院の決議にいたしましても特に人事、会計、予算というような制度について相当柔軟性のあると申しますか、企業的活動のできるような点に重点をおかなければならん。現在できておりますところの国鉄なり専売公社につきましても、私ども承わるところでは、そこらの点においてなおもつと改善すべきものがあるやに承わつております。当時公共企業体に移行しましたのは、御案内のようにマッカーサー書簡に基きまして、専売と国鉄が公共企業体に移り、通信事業は郵政省と電気通信省に分離いたしまして、もつと能率的の経営をしなければならんという、こういう書簡に基きまして現在の電気通信省ができた。その間或いは労働問題等の関係もあつたことは御案内の通りであります。そこで大体の構想と申しますと、これは事務当局案でございまして、まだ正式決定のものではないのですが、やはり大体の恰好としましては、国鉄に似たような恰好になるかと思います。今申しました会計、予算の制度につきましては、できるだけ企業性の発揮できるような態勢にいたして行きたいということで、その点におきましてはかなり変つた法律規定をいたしたいというようなことになつております。全く事務当局案でございますので詳細な御説明ができませんが、大体の根本思想は以上の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214847X00619511029/5
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006・深川榮左エ門
○深川榮左エ門君 今の御説明によりますと大体は公共企業体の行き方で行くというようなお考えのように承わりましたが、さように考えてよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214847X00619511029/6
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007・靱勉
○説明員(靱勉君) これは大臣の所管事項の御説明の際にも、そういう構想の下に準備を進めておるということを言われておるのであります。私ども事務当局といたしましては、電気通信省が発足以来なお企業体的にいたしたいと考えて只今申したような一般的な方向に向いまして検討いたしておつたのであります。大体のところ、現在行われておる電信電話を一本としまして、公共企業体に移すというようなことで、一応の案を策定いたしておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214847X00619511029/7
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008・水橋藤作
○水橋藤作君 一昨日参考人その他の御意見を拝聽いたしましていろいろ検討いたしますと、先ほどから問題になつておりますように公共企業体にするということによつて或る程度までの赤字も克服できるという見通しも付くのであります。そこで公共企業体にするという問題は相当長くから論議されておるのでありまするが、未だにその実現を見ず、先ほどの加藤次官からの回答の一端では、或いは来たるべき国会で提案されるかもわからないというような御意見でありましたが、その際にそういう見通しがあるのに、ここで料金の値上げということは、一昨日の参考人の意見を聞いて見ましても、大多数のものは国民生活に及ぼす影響、又日本のインフレを助長するため反対だという意見が絶対的であつたのであります。そこでこの電話の料金を改訂しなかつた場合は、現在の姿でいいのだという結果になりまするので、強い反対もないように考えるのであります。そこで我々は当院におきまして二回にも亘つて政府に決議をいたしまして、電信電話の復興のために協力をしろということを決議しておるのであります。で問題は資金面が、もう少し誠意を以て政府が当つてくれるならば、私が申上げるまでもなく電話を拡張いたしますれば、直ちに収入が殖えるのであります。電話料金を値上げするよりも拡張することによつて収入を殖やすという途を選ぶべきじやないかと私は考えるのであります。そこで政府がその資金面にどれだけの誠意を示してくれるかということになりますと我々は満足できないのであります。もう少し電信電話の復旧というものに対して政府が力瘤を入れて、そうして建設資金を、もう少しこの通信事業に熱意を以て示してくれるならば、或いはこの料金の改訂も見なくて済むかもわからん、又率においても多少違うかもわからんのであります。そういう意味におきまして私は全般的に料金を値上げしなければならない理由は、政府に熱意がないと断定せざるを得ないのであります。そこで然らば現在の姿で料金の値上げをしなければこれでいいかということになりますると、料金を値上げしなければ従業員の待遇もできず、現在の老衰した電話をそのままで我々は満足するという見解に立ちまするので、この料金改訂には我々は非常にデリケートと申しますか、非常にやり方に対しては不満を持つのであります。その意味におきまして万止むを得ず料金を値上げするといたしましても、この公共企業性から行きまして、料金の値上げと伴うサービスが匹敵しなければ真向うから国民に反対を受ける結果になるのではないかと、かように思うのであります。で、一昨日これから意図されているところの電話、電信等の復旧につきまして意見を聞きましたところ、相当我々の納得し、又期待できるような方向に向つていることを聞きました。我々は非常にこれに期待をし又安心をしているのでありまするが、昨日の参考人のお話に示されたごとく、東京都内で七%、地方では一一%の経費を使う、又米国では三%、このパーセンテージは合いませんが、我々素人で考えましても、電話、電信が一〇〇%の役割を果していないが故に、電報においては督促し、又電話においては二度、三度かけるというような結果がこういう結果をもたらすのではないかと、かように考えるのであります。でこういうことからいたしまして、この料金の値上げによりまして設備とか或いは従業員の待遇その他によりまして、料金の値上げがただ値上げでなく、その来るべきものが、このサービスによつて補うようにして頂くことを念願するのでありまするが、これに対しましてその見通し等に如何なる見通しを持つておられるか、重ねてお伺いしたいことと、それから劈頭申しました通り、政府が電信電話に対しましての熱意が足りないということにつきまして、今日は大臣がおいでにならないので、大臣にお伺いするつもりでおりましたが、幸い政務次官もおいでになりまするので、政務次官のほうから、今公共企業体になるのだから政府が熱意を入れなくてもいいのだというような見解を恐らくお持ちになつている気遣いはないと思いますが、そういう形に現われたとするならば、たとえ一時でもこの公共企業体になるまでの間の電信電話の復興に大きな支障を来たしまするので、その点につきまして政府は如何なる、当院の二回に亘る決議に対して報いんとしておられるか、その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214847X00619511029/8
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009・加藤隆太郎
○政府委員(加藤隆太郎君) お話誠に御尤もでありまして、常に復興審議会並びに国会の御鞭撻を頂いておりまして、この点につきまして、当局といたしましても鋭意努力をいたしておりまして、刻下の電通事業の隘路を打開すべく最善の努力を払つておるつもりでありまして、決してこれをないがしろにしておるようなことはないのでありますが、あらゆる部門の睨み合せから遺憾ながらかような点に甘んぜざるを得ない立場でありますことを御了承頂きたいと思うのであります。公共企業体への移行の点につきましては、再々の御勧告もありましたし、勿論当省といたしましても、その方針に即応いたして鋭意準備中でありまして、必ず次の通常国会までには提案の運びになると確信を以て現在準備中である次第でございます。この点につきましては、只今申上げました通り、従来の国鉄等の公共企業体の点とよく睨み合せまして、でき得るだけ、電通は要するに資金の面に非常に今日まで苦痛を感じておる際ですから、でき得るだけそういう点について企業性が発揮できるような態勢への移行を望んで鋭意研究いたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214847X00619511029/9
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010・靱勉
○説明員(靱勉君) 前半の問題についてお答え申上げます。今度の料金値上げというものに伴つて、一体サービスの改善はどうなるかという点の御質問でございますが、私ども非常に現在のサービスにつきましては、終戦以来非常な努力をいたして参つておるのでありますが、現在におきましては何としましても施設の老朽化と申しますか、それと現在利用されておる通話量に対応する施設が整備されてないという二点からなかなかサービスの改善が目立つてできない、こういう点におきまして一昨日の参考人の御意見も非常にサービスの悪い点につきましての御主張があつたわけでございます。誠に私ども申訳なく存じておるのであります。併し根本原因は私どもの努力の足らない点もございますが、施設が如何にも古い、これをどうしても取替えて行かなければならん。故障が戦前に比しまして、機械のそういう老朽化から非常に二倍、三倍というようになつております。それに対する努力というものは結局非常に払われねばならん。又非常に現在電話の需要が、新規の需要が多いのでありますが、一方におきまして現在利用されているかたも三個要るべき電話を二個でおかけになるというようなために、中継線その他の施設をフルに使うというようなところから話中が多い。或いは機械の摩滅度も戦前に比べて高くなる、こういうような点から間違つて電話がかかつたり、或いはなかなかもう初めの局番を呼ぶ時から話中になるというような原因があるのであります。これは新規の需要に対しましては、これは建設資金の問題でございますし、現在の利用されるかたがたに対する施設の整備或いは運用、保守をよくするというためには、これは損益勘定におきまするところの収支の問題になるわけでございます。収入のないのに支出を出すわけに参りませんので、今回の料金値上げて、現在の施設を維持運営するために必要な経費をできるだけ適当なものにおきまして賄つて行きたい、こういうような根本的な点であることは御説明申上げた通りであります。そこでサービスの改善につきまして、これにつきましては大臣から御答弁がありましたのでございますが、今回の料金値上げにおきまして、漸く平常の維持と申しますか、それの財政的基礎ができるものと思うと、従いましてこれを土台にしまして電気通信サービスの改善に努力するということをお答えになつておるのでありまして、具体的に申しますれば、最も目に立つものから申上げますれば、市内電話におきまして電話機のダイヤルが相当障害になつておるものもございます。非常にいい四号電話機にこれを成るべく早く取替えて行くというような計画を持つておりますし、雨が降りますとときどき故障が起る。これは一時よりよほど減つているのでございますが、なおそういう状態が残つておるというところにつきましては線の取替えを行うというようなことをいたしたいと思います。又話中の非常に多いところにつきましては、これは増設と併せて問題になりますが、電話個数を殖やして中継線の下足に対しましてはこれを増設して、本年度の計画におきましても東京都内の中継線の増設は十一月中にはかなりの程度に参るかと思いますので、この方面も相当目立つてサービスの改善ができるかと存じております。そのほか市外通話にいたしましても、非常に先ほどから御意見がありました通り、時間がかかるということに対しましては、東京、大阪、或いは東京、仙台と本年から来年にかけまして準即時を施行する。更に私どもとしましてはまだ計画を最後的に策定いたしておりませんが、マイクロウエーヴによるところの全国の通信網につきましても計画を進めておるわけでありますし、又割合に簡単な方式によるところの超短波施設によりまして、冬期におきましても雪害その他によつて通信が杜絶しないようにというような方法によりまして、相当全国的に市外通話のサービスを改善いたしたい、こういうことで計画を更に推進するということにいたしておる次第であります。なおサービスの応待等につきまして一昨日も非常な御非難があつたのでございますが、これにつきましては更に私ども現在の施設を運用する上におきまする従業員の心がまえといたしましては、一層料金値上げを機会になお十分に反省をいたしたい。私どもこの際サービス改善の或いは月間等も設けまして、故障をすぐ補修してサービスの応待をよくするというような点につきましては十分に努力をいたして行きたい、こういう考えでございます。今回の値上げによりまして維持運営の財政的基礎がほぼ確立できるという大臣の御答弁のように、私どもこれを中心として何とか皆様の御期待に副うようにこの際サービスの相当の改善をいたしたい、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214847X00619511029/10
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011・水橋藤作
○水橋藤作君 只今加藤政務次官から御回答願つたわけですが、幸いに大臣もお見えになつたようですから重ねて大臣に一言お伺いしたいと思うのであります。で只今の両次官からの御説明で或る程度了解いたしますが、今度の料金値上げによりまして保守、修理及び従業員の待遇によつてサービスは改善できるという見解でありまするようで我々もそれに期待するのであります。併しながら一方において国民の要望に応えるには、相当全国的に電話の架設申込が多いのであります。それに対しまして国民の要望に応えるには、この料金値上げによつて得たところの収入によつてでは不合理であり、又満足にそれは目的を達し得られないと、かように思うのであります。そこで先ほども質問いたしましたが、当院におきましても二回に亘つて電信電話の復興促進に関する決議をいたしておりまするが、我々の見解では、政府資金をもう少し電話信電に力瘤を入れて頂いて、電話を殖やせば直ちに収入が殖えるのでありますので、場合によつてはこの値上げを見なくても済むのではないかという考えを持つのであります。又その率におきましても、少くて済むのではないかと、かように考えるのであります。そこで政府が電信電話の復興のために、特別会計でありまするから、一般会計から繰入れるということもなかなかこれはむずかしい問題だと思いまするので、一応留保いたすといたしましても、政府資金を利用して国民の要望に応えて電話を復旧させれば直ちに収入があるのであります。そういう方面に対しての政府の努力のし方が私は満足とは考えられないのであります。そういう意味におきまして我々は大臣に非常に期待を持つておるのでありますが、これに対しまして先ほども申しましたが、公共企業体になるのだというような見解でなく、今の政府の責任において電話信電の復興、又一昨日申しました通りこの電報に対しての政府資金等を利用いたしまして機械化するとか、あらゆる方法によりましてこの料金に独立性を持たせるために政府は何らかの施策を講ずべきであると思うのでありますが、これに対しての両方の見解を大臣にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214847X00619511029/11
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012・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 私席を外しておりましたので、大変失礼をいたしましたが、加藤政務次官並びに靱事務次官からそれらの点について詳しくお話を申上げたことと思います。水橋委員からも一応それらについての説明は了承するが、更に大臣としてどういう考えを持つかというお尋ねのようでありますので、私からも重複するかも知れませんが、お話を申上げて見たいと思います。御承知のように電信電話の料金改訂をいたす、料金の引上げをする、或いは又前国会におきましては皆様がたの御支援と御協賛を経まして、設備資金の提供をも、議決して頂いたわけであります。又政府から建設資金としての政府資金の応援、協力等を得て参つておるわけでありますが、現在の電信電話の復旧を急速に達成しようといたしますれば、今までの施策だけでは誠に不十分であると思うのであります。問題を区分するわけでなくやはり建設並びに現在の設備の補修と併せて考えて参らなければならないのでありますが、同時に資金の運用の面から申せば、建設資金の獲得方法と設備の改善、或いは保全の資金とはやはり財源を異にするのが一応の建前であります。従いまして今日の電信電話の状況を勘案して見ますと、新らしい設備を増強し、更に又新らしい技術を取入れるほうは改善に属すると思いますが、そういうことをいたします場合に、何と申しましても、現存する施設を十二分に活用するということは考えて参らなければならないのであります。在来通りの方式のもので、設備が殖えたというだけではどうもサービスが満点とは言いかねる、利用者のほうから見ますと、依然として不平不満が起るわけであります。今までも一部におきましては、新らしいものを増強するよりも、現在あるものをとにかく十二分にしたらどうか、立派な機能を発揮するようにしたらどうか、こういうような御意見も一部に伺つておるのでありますが、私どもは現在の設備、機能を十二分に発揮すると同時に、併せてこの機会に国民の需要に応えて、急速に設備の増強を図つて行く、増備、拡張を図る、この二つの方策を只今採用いたしておるわけであります。そこで現在あります設備を十二分に運営をいたしますためには、これは何と言つても現在の収入を殖やして参りまして、そうしてその範囲において、その財源において、その現存施設の整備を図つて行くという方策をとらざるを得ないのであります。今回の予算で特に目について皆さんがたからもよくそこまで考えてくれたと言われますものは、相当減価償却費を見込み得ることになつた点であります。この種の事業といたしましては、やはり相当の減価償却を見込みまして、そうして絶えずその機能の古いものを新らしく替えて行くと申しますか、老朽の状態を新らしいものに替えて行くということをいたさなければならないわけであります。過去の収支状況ではなかなかそこまで手が廻らなかつたのでありますが、今回の料金値上げによりましてそれらの点についての見通しを付け得ることになつたのであります。これは私ども今までしばしば申上げておりますように、この事業の基礎を強固にして、将来の発展を期するのだというこの基礎を強固にするという点に非常に役立つておるわけであります。併しこの方法だけではなかなか思うように参らないことはすでに御承知の通りでありますので、新らしい設備の増強、これにつきましては私どもといたしましては、更に更に積極的の方途を講じたいと思うのであります。勿論来年度の一般予算の編成等に当りましては、国家資金の多額の支援を是非とも得たい、かように思いまして、いろいろ計画を進めておるわけであります。併し一般の財政状況から見ますと、皆さんがたの御支援を得たといたしましても、なかなか国家資金を獲得することは困難ではないか、かようにも想像されますので、これらの点につきましては、一般の民間資金をも、この整備の面に協力を求め得るというような意味におきまして、或いは寄附なり、その他のいろいろの便法を講じて参つたのであります。私どもの考え方といたしましては、本来は国が経営しておる事業であります。従いまして国の資金によつて国民の需要に応えるということが本来の建前であります。だがこの仕事自身の建前からしますと、そり非常な窮屈な考え方をすることによつて、設備の増強はできない。例えば百五十メートルまでは架設はできるが、それ以上のものはどうも予算に縛られて、予算がないからできないというようなこともありますので、そういう際におきましては、民間の寄附によりまして、そうしてそれで調達することによつて、その施設をして参る。この考え方はひとり今までの制限区域外に出て行くばかりではなく、新らしい設備増強の場合におきましても、相当この考え方を取入れていいのではないか。例えばいろいろ交換局を増設して行かなければならないわけでありますが、交換局の増設の面におきましても、なかなか思うように資金が得られないといたしますならば、やはり民間の資金の協力を得まして、そうしてそのビルができ、同時に中身の整備は私どもの力でやつて行く、そこらは予算の運営と併せてやつて行きたい。或いは中継の施設にいたしましても、基本的な問題につきましては、私ども全責任を持つて是非ともやりたいと思いますが、極めて短期間に、中継等において、例えば放送局等がやります中継の施設等につきまして、当初の予算だけで全部背負い切つて、これを賄うといたしますれば、時期的に、需要者の要望の時期と必ずしも合致しないというようなことにもなりますので、その辺は需要者と話合つた上で、いわゆる民間の資金の協力得て、それらの設備の整備も図つて行くというような方法を講じて参るつもりでおるのであります。問題は御指摘のごとく、この設備資金が非常に十分であるならば、或いは料金の改訂をもしなくても済みはしないかということ、一応御尤もでありますが、只今申上げるように、新たなる設備資金の建設資金を現在あります方面に流用することは、これは如何かと思うわけでありますので、成るべくその点は避けたいと思いますが、現在あります設備を完全なものにして、そうしてサービスの向上が図れる、或いは通話が円滑にできる、こういうふうには是非ともいたしたいと思います。併し現在の設備資金自身の不足は痛感しておりますので、新たなる資金を獲得して、そうしてそれによつて設備の増強を図つて行く、この二つを合わせて行なつて行くというのが私どもの今日の考え方であります。重ねて申上げますが、今回の料金改訂によりまして、現存のものについての運営上の基礎は強固になる、これが強固になりますれば、新たなる資金をこれにプラスいたします場合におきましても非常に信用を増すわけであります。新たな資金獲得上にもこの料金改訂が大いに好影響をもたらすのじやないか、かように実は考えるわけであります。重複いたしておりましたら大変恐縮に存じますが、一応お答え申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214847X00619511029/12
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013・水橋藤作
○水橋藤作君 一応了解いたしますが、今回の値上げによりまして保守、修理と従業員の待遇に充てるので、サービスも或る程度期待できる、これは一応納得できるといたしましても、私は再質問をいたしますのは、当委員会で電信電話の復興のために、政府がもう少しこういう点に力瘤を入れて、誠意を以てこれに当つて復興のために努力しろということを二度も決議しておる。そこで政府資金をもう少し活發にこれに応援してくれるならば、私は民間の要望しておるところの、そのたくさんの電話の申込者に対しても満足を与えることができる、現段階においては値上げしても保守、修理或いは従業員の待遇に充てたのでは、その国民のたくさん要望しておるのに応えられないのじやないか、これを私は言うのであります。大臣の只今の説明では民間資金を流用してこれに充てたいというようなお考えでありまするが、なお又民間の寄附等を利用して、その目的を達したいというようなお説ですが、民間が寄附するというのはやむにやまれず、どうしても政府に頼んでもやつてくれないから、我々の自費を出してもいいから敷いてもらいたいという切々たる要望なのであります。これはやむにやまれずやることでありまして、それで足りるという考え方は、政府が真剣にこの電信電話の復興のために努力しておるとは言えないのであります。なお又民間の資金によつてその目的を達しようとせられることも、私は国民の目的及び国民の代表の国家の目的には政府資金をもう少し活用さして、電話を殖やせば直ちに収入が得られるのだからして、料金の値上げももう少し緩和できるのじやないかというような建前から、政府がもう少し政府資金の流用に力瘤を入れてもらいたいということ、それから昨日の参考人の反対の理由の大多数が、これは一般会計からこれを出して、そして公共企業性を持つ政府事業であるから一般会計から出さなければならん、そうしてこの電話の国民生活に及ぼす影響、又日本の経済の建直し、インフレの助長を防ぐ、そういう方面から料金の値上げには賛成できないという御意見も十分に我々は傾聽に値いすると思うのであります。各参考人の意見は、一般会計でこれを補助しろと言うのであります。我々はそうでなく、政府が当委員会なり、本会議で決議した当時からもう少し政府資金を出しておいてくれたら国民の要望に応えて電話もたくさん敷ける。敷ければたくさん収入が上る。収入が上ればこの料金を上げなくてもいいか、或いは原価が下るのではないか。そういう意味において政府は余り民間の資金を、或いは又民間の寄附ということで余り国民にのみ依存せずして、政府がもう少しこの電信電話の復興に力瘤を入れるべきじやないかという見解に立つのであります。なお特に電報でありますが、電研等によりまして非常に電報の機械化を研究され実現に移されつつあるようでありまするが、これとてもやはり資金がないが故にその目的を達し得られないという結果じやないかと我々は考えるのであります。要するに電信にいたしましても、電話にいたしましても、保守は無論でありまするが、国民の要望はもう少し電話の架設を要望しておる点も多いので、それに資金を出せば、その資金は必ず利益を生み出すのですから、建設資金をもう少し政府の力によつて多くしてもらいたいということを要望するのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214847X00619511029/13
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014・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 今のお話よくわかりましたが私ちよつと別に議論するわけでもありませんが、料金の値上げについて反対の意見の大きいものは、今御紹介のありましたごとく、経営費の足らない面は一般会計から補助をもらつたらどうだという御意見が非常に多いと思います。この点はひとり電信電話の問題ばかりでなく、郵政省においても同様であります。そこで電信電話の利用の状況等を見ますると、電信のほうはやや趣きが違いますが、電話の現在の普及状況は、御承知のごとく百二十万ちよつとの加入者であります。従いましてこの加入者のための保守、改善のために要する費用、或いは運用のために要する費用を一般会計から取るといたしますれば、これは一般国民の納税によつてこの事業の経営上の赤を補うことになるわけであります。この現在の普及状況から見ますれば、一般納税者の負担によつてこの赤字を賄うということは或いは如何かというのが実は私どもの考え方であります。若しも一般会計のほうに余裕がありまするならば、お互いに皆高い税金で苦しんでおる際でありますので、それはむしろ減税の財源に充てるべきじやないか。そうしてこの電話のほうの問題といたしましては、やはり利用者の負担によつてその設備を整備して行くべきじやないかというような考え方になつておるわけであります。併しこの点はいろいろ議論の存するところでありますので、只今御披露になりました意見を全部間違いと実は申すわけではない。ただ私どもといたしまして事業を預つておる者から考えますれば、これは何と申しましても、現在の経営状況の赤字はこれはやはり加入者の負担において赤字を消して行くべきである。これは同時に経営者といたしましては、御指摘にありましたごとく、できるだけの経費の節約をいたすわけでありますけれども、殊に特定時期におきまして多数の定員の減をも計画する。而もなお赤字を生ずる。かような場合でありますれば加入者のかたがたの御理解の下に、これはやはり料金を上げて頂くよりほかに方法はないのじやないか。これを一般会計から賄うといたしますれば、これはやはり国民の税によつて賄うわけだ。だからむしろそのほうで賄い得る財源があるとすれば、これは減税財源に廻すべきではないかというような感がいたすわけであります。それから御指摘の建設資金をこの際大いに取れというお話、これは私ども至極同感であります。過去におきましてもいろいろ当局も骨を折つて参つたと私は確信をいたしまするが、当時の国の財政状態ではなかなか思うように参らなかつたやに伺うわけであります。併し今後の状況から見ますれば、今回の料金改訂によつて事業の改善強化となり、更にこれが設備を増強いたしましても、一般の国民の税の面における負担というものは避けられる。事業としても立派に立ち行くという見当が付きますれば、この設備の増備につきましても、政府においても積極的に考えて然るべきではないか、かように考えるのであります。今回の補正予算におきましても、建設資金はこれは漸く二十五億の金を融通してもらうことになつたわけであります。この程度の金ではこれは不十分でありますが、年度中間におけるこの増加でありますので、この程度の金を取り得たことも実は皆様がたの御支援があつて初めてできたことである、かように私どもは非常に感謝をいたしておる次第であります。只今水橋委員からのお話、今後の来年度予算編成等におきましては御趣旨に副いまして、できるだけの力を尽して参りたいと、かように思いますわけでありますので、別に答弁は要求されなかつたようでありますが、私の考え方を御披露申上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214847X00619511029/14
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015・水橋藤作
○水橋藤作君 只今ちよつと大臣の誤解であつたか、私の説明が違つていたかわかりませんが、一昨日の参考人。御意見としましては、一般会計から繰入れてもこの料金の値上げをすべきでない。それは国民生活に及ぼす影響及びインフレ等から考えて料金の値上げは、電話ばかりでなく、あらゆる電気、ガス、水道、運賃、そういう方面から考えても、インフレ方面、国民生活の方面からの影響が大きいから値上げすべきでない。どうしても然らば値上げしないでこのままおけばよろしいかということになるので私が質問いたしましたらば、その時は、併し現在のままでは満足しない。無論保守もしなければならん。修理をして、そうして従業員の待遇も漸次よくしてもらいたい。然らばどうしたらいいかと言つた時に、一般会計から繰入れるべきだというので、私は参考人にそれ以上時間がなくなつたからそれに対しての質問はいたさなかつた。併し大臣の説明の通り独立採算制をとつておりまする関係、又税金その他の関係から、一般会計から繰入れることが正しいかどうかということについては私も異論があります。もとより私もそうすべきだということを申上げたのではないのであります。ただそういう意見もあるのだから、ただ政府資金を十分出せば、政府が資金を出して増設することが国民の要請であり、増設すれば収入が殖えるから赤字にならんじやないか。そこで先ほど大臣の言われる通り二十五億を政府資金として融通して頂きましたが、もう少しこれを拡大強化すべきではないかということ、それから只今の大臣の説明によりまして、来るべき予算には又御努力するお考えのようでありまするから、それに期待をかけまして私の質問は終りまするが、要は日本全体において電話架設を要望しておる声が大きいばかりでない。電話の架設ができないので大きな闇取引がされまして、電話の媒介が行われておるということから考えまして、資金さえ出せば国民の要望にも応えるし、又収入も得られるのじやないか。そこで先ほどの大臣の御意見では、保守、修理をし、サービスをよくして、そうすれば政府も力瘤を入れるだろう、又資金も入つて来るだろうと、こういう御意見でありますが、一応それも尤もかも知れませんが、我々はそれと反対に、政府が資金を出してすることによつて、国民は電話なり電信なりに相当期待をし、又必ず赤字にならないで収益を得られるという見解に立つのでありまするから、こういう間違いのない資金だから、政府が力四を入れることによつて、政府資金を増して、通信事業の発展に協力すべきであるとお願いして私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214847X00619511029/15
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016・平林太一
○平林太一君 今回の電信電話料金の値上げに対する改正法律に伴いまする予算の内容につきまして、只今三橋君から非常に適切妥当のお話がありましたので、私も実は非常に同感いたすものであります。その意味において申上げるのでありますが、併しそれはこの予算に対しまして非常に同情あり又理解を持ちまして、如何にすればこの予算の内容が事業の進展に寄与するかということを眼目に置かれましてお話になられたことと私は承知いたします。大いに一つ大臣初め当局はこの点を十分玩味されまして、今回の改正をいたされました予算が有効に事業の上に反映していくように御処置あることを要望する次第であります。水橋君のお話の内容にもありました通り、要は値上げをいたしましたその予算の執行の眼目となりますものは、やはり電信電話の保守、改善費といたしまして、今回は八億円内外を計上いたしておるようでありますが、種々サービスのお話もありまするし、その他これに対しましての御用意は十分あるようでありまするが、百六十三億四千万円というような数字の中の比較を見まするというと、八億円というものは必ずしもこの趣旨を事実の上に実施いたしておる点についていささか僅少でありますことがまあ常識的に判断されるのでありまして、これらにつきましては一つ十分今後このことを留意されまして、要するに値上げをいたしましたものが、それができるだけ事業の上に直ちに血となり肉となつてこのことが全うされるようにすることが私どもといたしましては政治上の見解といたしまして、一番これを要望するものでありますから、そのように十分考えて頂きたいと思うのであります。これも皆実は政府に対する苦言であります。苦言でありますことは、全体といたしましてはこの予算を助けて行きまして、そうして十分にその政府の意図を行わしめたいということに先ずいたしておるのでありますから、水橋君の御意見もやはりそういうところに非常な真剣なお考えを以ちまして御発言になられておることと思いまして、ひそかに敬意を表した次第でありますが、物件費の不足、いわゆる物価騰貴による物件費の不足三十一億円、これに対しましても、物価騰貴による物件費の不足と、こう一口に申しますが、これらに対します使途に対しましては、やはり慎重なる一つお考えを以ちまして、これに当つて頂きたいと思うのであります。一遂に今日ことごとくの物が値が騰貴、暴騰をいたしておるというわけではありません。又我々民間の家庭におきましても、家庭経済におきまして、又個人の事業の経済におきましても、物価が上つたからすぐそれを何か補填して行くということでは、一家の経済というものはやつて行けない、又事業においては更に然りであります。物価が上つたことに対して如何にその物価の上る中をかい潜つて苦心経営をそこにいたして、そうして騰貴いたしましたものをできるだけ影響を避けまして、基本の資金なり一定の家庭収入の生活を全うして行くかということに、そこにいわゆる苦心をいたすわけであるのでありますから、政府におきましても、どうかこの点に対しては、一つ殊に三十一億というような予算は、必ずしも僅少のものでありません。でありますから、できるだけ物価が騰貴した、そうしてそのためにこれが支障ができて事業の上に何らの進展を見ないというような方向でなくいたしましてこれらの予算が挙げて事業の拡張或いはいわゆる修理、修復、保守、改善の遂にも何か一つの繋りを付けて行くようにいたしまして、これら値上げをいたしますることによりましてこうむる国民負担の増大に対しまする良心的な考慮を、この事業の上に現わすようにいたされたいということを切に要望する次第であります。これら物価値上りに対しまして使用する三十一億円の内容に対しましては、定めし次官におきましては、こういうことは事務的に十分眼光紙背に徹するというようなことを、十分に私は期待いたしておる次第でありますが、是非この点は十分に御了承を願つて、これが本旨に副うような方向に進められんことを希望いたしたいのであります。
それから次に、掲げられておりまする十月より月額千五百円の値上げ、年末手当は〇・三カ月、私は今日の国民生活の状況から申しまして、必ずしもこれが満足のものであるとは申しがたいのでございまするが、併し一面考えますことは、いわゆる国家経済におきまして、この人件費に対して考えられることは、甚だこれは古い感覚かも知れませんが、給料なり年末手当を引上げて行くということは、際限のない話でありまして、今度千荒百円引上げる、今度又五カ月か六カ月たつと又千円又千五百円ということで、誠に際限のないことでありますところに……昔は、今日で申しますれば公務員と申しますか、これらの人に対しましての考え方というものは、我々は公務員というものは、今日で申せば公務員でありますが、昔は官吏でありまするが、いわゆる同じ職業といたしまして仕事をいたしておることにつきましては、少しも差はありません。職業に貴賤の差がないと申しますが、併しその場合におきまして、やはりこの上位に位する者は、これは現実におきまして、何といたしましても官界にある人、今日で申しますれば公務員にあられる人が、精神的には一番恵まれた環境にある職柄であるのでありまして、恵まれておるということは、やはり一つの社会的地位の水準というものが非常に高いのである、だからそういうところに一つ差引をつけてもらいたいということが私ども民間の要望するところであります。おのおのその職務というものは望むところによりまして、おのおのが自由勝手にこれは選んだのでありまして、さようなことをつきつめて申すことはいたしませんが、昔で言いますれば、天皇の官吏である。だからそれにいわゆる甘んじて、その名誉というものを深く担つて、物質上の待遇、要望というものはできるだけ何かみずからは自粛して行くというところになにがありまして、今日も私はそういうことは変りはないと思つております。非常に高い地位を持つておりますから、でありまするから今日はもう全然そういうことはありませんが、昔のこの非常に官吏を戒めた言葉に、いわゆる「汝の俸、汝の緑、民の膏にして民の脂なり。下民は虐げやすく上天はあざむきがたし」と、こういうことを非常に戒めておるのであります。それを戒めてそれを実行するところにいよいよ以て、今日で申せば官界の人が庶民の尊敬を集めたということを忘れてはならないのであります。でありまするから非常に私はこの待遇その他の向上、発展をすることは、それだけ逞しい事業というものに裏付けされるのでありますから、決してこれに私は賛意を表さないものではないのでありまするが、併し際限のないことで、次から次へとやつて行くということは、やがて国民負担の増大を際限なからしめる。無限のものにならしめて、遂に国民生活の非常な危機を招来するということをも深く考慮しなければならないことと思う次第であります。併し今回のこの待遇の値上げにつきましては、私は十分の賛意を表するのでありますが、どうか大臣、次官におかれましては、こういうことは従業員に機会を捉えまして、そういうような民間の我々が要望いたしておりまするものを、又表には現わしませんが、裏にありまするものを十分に反映するようなものを作られたいということを私はこの際大臣に切望する次第であります。併しそれは決して従業員の人々を何か戒めるのではない、却つてその仕合せを実は裏から教えるのであるということに一つ願いたいと思います。先日も大臣から先般の台風におきまして非常に挺身して事業のために力を尽された従業員のこともお話がありましたが、定めしこの事業の本質から見まして、非常な災害の時には或る場合には非常に身命を賭してこれに当つてこの情報を、通信の完璧を期して、その台風による無秩序、混乱に陥ることを防止するということに私らは非常に高い評価をいたしておるのでありますが、そういうことを考えるにつきましても、今私ども申上げましたようなことは、却つてそういう人々に対しまして何か私どもが感謝をするというようなことを現わすゆえんにほかならんのではないかと思いまして、信賞必罰をいたして行くということは、昔の官吏道といたしまして極めて大切な道徳でありますから、要するに今回の待遇等に対しまする向上等に対しましては、精神面におきましてこれが相並行いたしまして事業の非常な大きな進展に寄与せしめるような方途を一つお考えになつて頂きたいということを申上げる次第であります。殊にこの建設費に対しましては、只今大臣から、明年度公共企業体になるようでありまするが、先般五百億円内外を予想されまして、非常な意気込みを以て御心配を頂いておりますことは、只今水橋君のお話になりました御趣旨に対しましても副うゆえんであると存じておりますか、差向き二十五、六億円の特別なこれに対する施設を得られるということは、いろいろこの値上げをいたすことに対しまする裏付けをなすような感がいたすのでありますが、そういうなにを思うにつけましても、どうか一つこれらの予算がそれぞれの需要者のほうに、又利用を通じての影響に対しまして大いに役立つことができるように十分の一つ苦心と施策をお考えになつて頂きたいということを、この際水橋君と私は同様の考えを以ちまして、この事業に対しまして是非これを育成助長せしめて行きたい。従つて本予算をしてそのように遂行せしめたいという念願を以ちましていささか希望を申上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214847X00619511029/16
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017・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214847X00619511029/17
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018・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) それでは速記を始めて下さい。別に発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214847X00619511029/18
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019・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214847X00619511029/19
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020・尾崎行輝
○尾崎行輝君 私は賛成をいたすものであります。勿論止むを得ずという前提をつけまして。
誰にしましても高いよりは安いほうがいいのでありますから、その意味でも皆さんは御同感であろう。一昨日でありましたか、参考人十名ほど呼んでそれぞれの意見を聞きますと、はつきり賛成しておるのが五人、はつきり反対しているのが三人、あとの二人はどうも賛否こもごものようでありましたが、いずれにしても、反対した人でもとにかく止むを得なければ値上げをする、それには結局賛成する人も同じでありまするが、設備の増強、それからサービスの改善ということを強調しておられました。非常に御尤もだと思うのでありますが、ただこれらのかたがたはすべてもうすでに電話を使用しておられるかたがたなのでありまして、私どもの立場はこれから電話を引くという人たちのために代つて一言申して注文を付けたいのであります。それは極く実際問題でありまするが、さて設備を増強し、或いはサービスをよくやつても、電話を引いてくれというときにどうもそこに暗い影がある場合があります。現に店の前までは外線が来ておるけれども、どうも内線を引いてくれない。その順序であります。非常に早く申込んであつてもなかなか引けないが、あとからちよつと申込んで何かの加減で引けるというような、何か一種の特権或いは又何かの方法があるように聞きます。私はその実体をつきとめたのではないのでありますが、頻りにその説を聞くのであります。実際にあるのであります。これは若しないというかたがありましたならば、そのないという事実を聞きたいのでありますが、確かにあるというのが事実であります。これを一体どういうふうにして監督しておられたのか。これは今お聞きにならなくてもよろしいのでありますが、何か方法をとつておられると思うのでありますが、それは不完全であろう。それをもつと増強してしつかりとやつてもらいたい。そこに暗い影が残らないようにやつて、如何にも公明正大に増強するならば、増設するならば、はつきりと何人にもわかるように、あの店にはできたから、この店には今度来るというようにはつきりわかるような方法を講じて、それから大いに増強、改善をやつて頂きたい。この点を殊に強く希望いたしまして賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214847X00619511029/20
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021・深川榮左エ門
○深川榮左エ門君 私は本法案に民主党を代表して賛成するものであります。
我が国の電気通信事業は、創立以来需要と供給のバランスがとれず、常に供給が需要に応じ切れないような状態でありました。で、かような状態におきまして、電話加入権というような財産権などが設けられるような、非常な奇態な現象を生じておるわけなのであります。併し今日におきましては、更に現在ある電話の通話状態が悪く、これがために国家経済活動に大きな損失を与えておるような状態であります。電通省当局は非常な努力を払つて、この状態の改善を図つておられまするが、電話事業において満足な建設資金が得られず、又通話状態改善のための資金も十分でないのは甚だ遺憾であります。この値上げによりまして当面の事業財政の赤字を克服し、原価償却の実を高め、大都市の電気通信施設の特別補修を考えておるようでありまするが、更に来年度は予算において公共企業体の実現の有無にかかわらず、建設資金の十分なる獲得をし、電話の大増設をしてもらいたい。その値上げは電信四〇%、電話三〇%という相当大きな値上げであつて、インフレを助長し、経済活動を阻害するという一般的反対論も成り立ち得ると思いまするが、サービスの改善をされますれば、値上がりによる負担は回収できるという考え方も一面に成立すると思います。私はこの後者をとつて、電通省が今後施設並びに業務の面にサービスの改善を確約することを前提といたしまして、本法案に賛成するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214847X00619511029/21
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022・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 他に御発言ございませんか。別に御意見もないようでございますので、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214847X00619511029/22
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023・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 御異議はないと認めます。それではこれより採決に入ります。電信電話料金法の一部を改正する法律案を、原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214847X00619511029/23
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024・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして、御承認願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214847X00619511029/24
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025・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 御異議ないと認めます。それから本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とされたかたは順次御署名を願います。
多数意見者署名
村尾 重雄 黒川 武雄
寺尾 豊 平林 太一
山田 節男 尾崎 行輝
深川榮左エ門発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214847X00619511029/25
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026・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 署名漏れはございませんか。……署名漏れはないと認めます。
では本日はこれを以て散会いたします。
午後零時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214847X00619511029/26
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