1. 会議録本文
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000・会議録情報
公聴会
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昭和二十六年十一月八日(木曜日)
午前十時二十八分開会
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出席者は左の通り。
委員長 河井 彌八君
理事
溝淵 春次君
山花 秀雄君
委員
郡 祐一君
松平 勇雄君
横尾 龍君
上條 愛一君
成瀬 幡治君
楠見 義男君
竹下 豐次君
栗栖 赳夫君
三好 始君
三浦 辰雄君
政府委員
行政管理政務次
官 城 義臣君
行政管理庁次長 大野木克彦君
行政管理庁管理
部長 中川 融君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
常任委員会専門
員 藤田 友作君
公述人
東京教育大学教
授 石 三次郎君
地方行政調査委
員会議議長 神戸 正雄君
朝日時聞論説委
員 團野 信夫君
静岡県町村長会
長 大竹 十郎君
大日本水産会会
長 鍋島 態道君
日本経営者団体
連盟事務局長 鹿内 信隆君
全農林省労働組
合連合会中央執
行委員長 有馬 輝武君
日本商工会議所
専務理事 吉阪 俊藏君
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本日の会議に付した事件
○行政機関職員定員法の一部を改正す
る法律案(内閣送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/0
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001・河井彌八
○委員長(河井彌八君) これより内閣委員会の公聴会を開会いたします。
一言御挨拶を申上げます。行政が合理的に能率よく且つ迅速に行われまして、そうしてその責任が明確になるということで、而もなおその経費もできるだけ節減せられるということは、これは国家のために最も必要なことであると考えます。国家行政組織の改善とその定員の能率的の配置とは、国会も政府も常に最大の努加をいたすべき重要事項であります。吉田内閣は一昨年第五国会におきまして国家行政組織法の改正案と共に行政機関職員定員法の改正案を国会に提出いたしまして、国会も又これに対しまして周到な審議を盡しましていわゆる行整政理の実現を見たりであります。而してこのたび内閣は平和條約の実施を期し、将来日本経済の自立を達成するために再び大改正を企図いたしまして、この臨時国会に職員定員法の改正案を提出いたしたのであります。組織法の改正案はこの次の通常国会に提出せられる予定であるということであります。この定員法の改正は国家行政の運営の根本に関係をする重大なる事項でありまするから、内閣委員会は最も慎重にこれが審議を遂げるために国会法の規定に従いまして公聴会を開きまして、広く各界の代表的の御意見を聞きまして審議の参考に資せんとするものであります。本日ここに各位の有益なる御意見を拜聴することの機会を得まして誠に感謝に堪えないのであります。つきましては各位におかせられましては国家のために何とぞ率直な御所見を御陳述下さるようにお願い申す次第であります。なお御陳述の時間は二十分間といたしまして、御陳述に対しましては内閣委員から若干の質疑を申上げることがあるかも知れませんのであります。このことを御了承お願いいたします。そして御発言の順序は先ず石三次郎君にお願いいたしまして、次に神戸正雄君、團野信夫君、大竹十郎君、鍋島態道君、鹿内信隆君、有馬輝武君、吉阪俊藏君、かような順序で御発言をお願いいたしたい考えであります。それでは東京教育大学教授石三次郎君の御発言をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/1
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002・石三次郎
○公述人(石三次郎君) 発言の機会を与えられましたことにつきまして、委員長並びに内閣委員の各位に御礼を申上げます。私は殊更に政府の施策に干与してこの案全体に反対するものではありませんですが、この案に含まれた極めて不合理な部分、即ち私のほうの立場から申しますると国立学校教職員の整理、特に附属学校関係教官の整理について教育の現場からこの不合理を訴え、皆様の御一考をお願いしたいと思うのであります。
第一、今回の整理は整理から戰後に引続き複雑厖大となつて来た行政を簡素化し、現下の我が国力にふさわしい行政体制を樹立するという趣旨の下に提案されている由でありますが、国立学校教職員、特にこの附属学校という点から見まするというと世上幾たびの増員が行なわれた際にも私のほうの関係の学校は全く取残されておりまして、これは少しも増員されていないのであります。従つてこれは私の立場から見ますると、この行政整理そのものは非常に強引で無理がある。こういう感じを拂拭することができません。即ち一つ、旧高師の附属学校は昭和九年人員整理があつて以来全くこれは増員されておりません。二、旧師範の附属学校は昭和十七年国立に切替えられた際に、話が少し数字的になつてくどくなりますが、小学校が一学級について一・三二人もあります。中学校が一学級について一・八人、これは二十三年新制中学発足と共に一・八人が割当てられたわけでありますが、小学校一学級一・三二人というのは当時一般公立小学校が一学級につき一・二人であつたが故に、その一割を増して一・三二人にしたもので、これは附属学校の特殊な任務というものを認めた上での計算であります。中学校の一学級につき一・八人、即ちこれは昭和二十三年六・三制が実施せられた際に割当てられました一学級についての一・八人というのは、これは当時の一般学級を基準として割出されたものであります。然るにその後一般公立学校においては次のような予算措置がとられております。即ち昭和二十四年度、一九四九年義務教育費国庫負担定員定額制によつて小学校は一学級につき一・三五人、中学校は一学級につき一・七人、昭和二十五年度一九五〇年大小学校が一学級につき一・五人、中学校が一学級につき一・八人となつております。でこれに対して附属小学校は依然として小学校一・三二人、中学校一・八人にとどまつております。つまり小学校は公立学校よりも惡く、中学校のほうが辛うじて同数であるとこういう状態であります。それを直ちに附属学校を一〇%天降に式に削減すると、こういう声を聞きますのは一体どういう理由によるのか全く我々は理解に苦しむのであります。殊に今回の整理は現業官庁の整理率は五〇%が基準であるというのに、教官のみが一〇%を切る、こういつた処置に出ておるのは一体これはどうした事情によるのか殆んど了解に苦しむところであります。もう少し現場の事情を研究察知の上適切な処置をとつて頂きたい。 非常にこれは無謀である、こういつた感じを拭い切れません。それが第一の理由もあります。つまり附属は非常に教官の一学級配置の定員が低位にある、低いということであります。
第二、附属学校は別紙のごとき任務を有しておるのでありますが、これはお手許に今差げ上ました印刷物を御覧頂きたいと思うのでありますが、そこに附属学校教官週当勤務時数実態調査、全国平均、その左側のほうはこれは公立学校と共通なもので日本全体、全国到る所そういう基準でありますが、右のほうは附属学校これは独自のものであります。その独自の中に一つ、教育実習生指導時数、これは一言に教生実習、或いは教育実習とこ言つておりますが、これは全国少くとも各附属は五百人、多きは八百人くらい引受けておりますので、これを最初から附属が以て訓練して一人前の先生、教師に仕上げるということは並大抵の苦労ではありません。現場において実際生徒を教育指導しながら、他面において教育実習生を引受けてこれに徹底した、それから又立派な一つの技術と識見を与えて行くということは、非常に大きな負担であります。
それからその次は、外来参観者の指導の時数、これも私の学校は毎日三十人くらいの参観者が参ります。地方の附属いずれもが多少の差はあるにいたしましても、これは参観者のためにわざわいされるということは非常に語弊がありますけれども、又半面から申せば非常に結構なことでありますけれども、ともかくもこれがために多くの時間を割いて非常に現場では苦しんでおる。こういう事実を見逃がすことはできません。それから特に附属は研究に多くの時間を取られております。例えば新教育の推進というような場合においても、附属がその中心となつて教育の伸展興隆の源泉となつておりますので、これには逸早く取りついて全力を挙げてこれに当つております。この研究という時間に割く面も非常に多いのであります。それから教育委員会とか、或いは文部省とか、その他いろいろの委員会に協力して研究調査その他に奉仕しておる時間というものも、ここに挙げておりまするように非常に莫大なものであります。それから地域学校へのサービス、これはその教育委員会でもつて現場の指導はいたしておりますけれどもそれだけでは間に合いません。むしろ地方は附属学校のよく現場で研究しておる先生がたを歓迎しておりますので、附属の先生がたが地方に出張してこれを指導することなくしては、地方教育の刷新振興といることは殆んど不可能の状況にあるのであります。そういう意味も、これに要する時間もかなり多いのでありますが、そこでパーセンテージを一つ御覧を頂きたい。左のほうは幼稚園、小学校、中学校、高等学校、こうなつておりまして、全体の平均は四十二時つまり七〇%、それから附属学校独自なものとしてそれに更に三〇%、つまり十七時間半、三〇%ところありまして、附属学校の教課は毎週五・九時間約六十時間、一週六日間としますと一日十時間の労働であります。ところが国家公務員で四十四時間乃至四十時間と算定して参りますと丁度五割増しにこれはなつておるわけであります。
この基準から行きますともう五割の増員を認めてもらわなければ到底やつて行けないというのが現状であります。これに対しまして我々はこの文部省に機会あるごとにお願いをして参つたわけであります。それは実にまあ執拗と言われるほど機会を捉えては、附属の実情はまさにかくの通りである、是非とも一つ一学級に対する教官の増員を図つてもらいたい、こういうところで幼稚園、小学校ができれば一学級につき二人、それから中学校ができれば二人半、高等学校ができれば三人、こういう基準線でもつてお願して参つたわけであります。だから我々としましては一〇%切るということは愚なこと、むしろ逆に最小限二〇%、できれば三〇%ぐらい増加してもらわなければ、この附属の本質的な教育の機能を発揮することができない。こういう事情は文部省もよく御存じであろうとこう思うのであります。それにもかかわらず今突然我々の訴えというものを無視してこういつた案を提出して来たということは、文部省のお考えはどういうところにあるのか我々はこれを察知するに由もないのでありますけれども、この内閣委員のかたがたが公正な御判断によつて、成るほど附属学校というものはそういう特殊な任務を持つている、これに対する労力と奉仕といるものは多大なものであるということを十分御賢察を願いたいと思うのであります。つまり附属学校独自な使命を遂行して行くために週六十時間ぐらい働いておる、こういうことであります。で、その詳しいデータは東京教育大学附属中学校教官勤務時間実態といたうものを下さ書き上げて置きましたから御覧頂ければわかると思いますが、ここに公立学校と共通のものは二・二〇人であり、附属学校独自なものとして〇・七二人。だから本当にやつて行くためには二・九二人を必要とする。で、詳しい資料は裏のページに書いてございます。この一々については御説明申上げる必要はないかと思いますが、下の段、附属学校独自のもの、各種研究会、本学研究室との連絡、それから指導講師、ワーク・シヨツプ、それから研究会なんかにおける講師、教生指導、これは東京教育大学の学生定員で、教育学部百人、文学部二百二十人、理学部二百人、体育学部百人、農学部百六十人、計八百人でありますが、これだけを附属で以て引受けて、四月から来年の三月までやるわけでありますが、これだけを見ても附属というものは如何に大きな仕事を引受けているかということは十分御了解を頂けるだろうとこう思います。それから内地留学生指導、これは新教育の推進に伴つて全国各地からたくさんの研究生、留学生が集つて参ります。これを指導するためには、どうしても附きつきりてこれを指導しなければならない、こういう状態であります。それから参観人の指導、サービス・センターとてての事務、文部省委員その他。
で、若し一〇%を切るということでありますと附属本来の仕事はできないのみならず教育そのものが非常に弱体化して参ります。こういつた事情で附属は現在の定員ではやつて行けない。それがためにPTAその他の援助によつて辛うじてその使命を果しつつある。これはもう万人の認めているところであります。附属にお子さんをお持ちのかたがたのみならず、附属が如何にPTAその他の援助によつて校舎の建設から或いは校具、設備、或いは又一般の経費、そういうものまで仰いでともかくも国家の要求する使命は果して行こうじやないかというのでありて、苦しい中から非常に骨を折つているということをとくと御了察頂きたい、こう思うのであります。従つて一律に一〇%を切下げてしまつて附属の機能を停止させる、こういうならは我々はもはや教生実習、つまり教育実習にも或いは教育の研究実習にも、或いは地方教育の振興発展にも、これは全く協力する余地がなくなるのです。そうして又附属の教育そのものに責任が持てなくなつて参ります。だから附属というものに課せられた特殊な任務は一切これを返上してかからなければならない。こういう状態に追い込まれております。かくては一番困るのは第一に教員の養成ができません。つまり教育免許法で教育実習というものを要求しておりまして、どうしても立派な教員を作るためには附属で以て教育実習をやらなければいけないとこういうことであつて、国家で教育免許法を作つて義務的に課しておりながら、これを教官の面から削減しておつて教育実習の指導ができないようにさせるということは非常に矛盾も甚だしい、こう思います。優秀な教員を養成してこそ教育の伸展興隆が期せられることは、私が改めて説くまでもないのでありますが、これができない。然るに今度の整理は、その根源を断ち切り、教員養成を不可能にするのみではなく、教育職員全体に対しまして従来に比してより多くの負担を強要し、到底その責に堪えないというところまで追い詰めております。我々は現にこれをやられますと到底教育上の責任は持てないという土壇場にまで追い詰められております。かくては教官の士気を沮喪せしめ、教育に対するる熱意と愛情とは消滅せざるを得ない、こう思います。教育力の低下は必然的であります。我々は文化国家の名誉にかけて教育の振興擴充を図らねばならないということを痛切に念願いたしておるのでありますが、今回の整理はむしろこれと全く逆で教育を萎靡沈滞せしめ、文化国家の血脈を断つものといわざるを得ないと思うのであります。これは国家にとつて全く不幸なことであるばかりでなくそういう愚を事前に避けて頂きたい。御列席の各位に特に御配慮をお願い申上げたいというわけでここにまかり出た次第でございます。
趣旨が徹底しなかつたかと思うのでありますけれども、大体附属は特殊な任務を持ちながら而も教官数は地方教官と同位にある。ところが更に一〇%切るという、こういうのでは附属教育そのものは成り立たないのみならず、延いては職を賭して刷時、振興、発展、擴充を図つておる全国の教育が萎靡沈滞して、文化国家なんか足場から崩れ去つてしまうであろうということを憂うるわけであります。そういう意味で特にお願いに上つた次第でございます。失礼いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/2
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003・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 有難うございました。委員諸君から只今の御陳述に対して御質疑がありますればこの際お願いします。時間の制限がありまするから成るたけ簡單に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/3
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004・楠見義男
○楠見義男君 石さんにお伺いしますが、実は教員養成に関する職員の整理についてはできるだけ整理をしないようにしたいというような方針を、かねて私どもは聞いておつたのですが、今の問題を承わりますと現実に教官の整理の問題についてお話があつたようでありますが、これは文部省あたりから具体的に、例えば先ほどお述べになりましたように、あなたのほうの学校で二十六名の定員に対して二名なら二名、三名なら三名というものを整理する方針を言渡されたという事実があるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/4
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005・石三次郎
○公述人(石三次郎君) 言渡されてはおりません。言渡されてはおりませんけれども、大体政府で決定した案を文部省に押付けて、次は文部省は現場へ向つてこれこれ切れ、その場合に附属を一〇%どうしても切らなければいけない、こういつた指令が文部省に予想されておる、準備されておる。こういうことを承知しておりますので、こういうことをお願いに上つたわけでありますが、その点に関して文部省がそういうことはないと、こういうことをおつしやつて下されば安心して引下つてよろしいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/5
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006・楠見義男
○楠見義男君 それからもう一点お伺いしたいのですが、実は学校の整理の場合に、教官と同時に事務職員の整理の問題は案外等閑視される虞れがあるのですが、実は私どもはその問題も教官の整理と同じように重要視しておるのです。という意味は事務職員が相当高率に整理せられるということになれば、教官が従来事務職員がやつておつた仕事まで家へ持つて帰つてやらなければ、又学校へ残つてやらなければならんというようなことを実は心配しておるのですが、事務職員の整理についてのお考えはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/6
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007・石三次郎
○公述人(石三次郎君) それは楠見さんと同意見であります。事務職員の首切りがありますとその事務というものは当然教官にかかつて参りまするから、従つて家へ持つて行つてまで仕事をするということになりまして負担の過重になることは明瞭であります。だからできれば事務職員のほうも切つて頂きたくない、寛大にお願いしたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/7
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008・楠見義男
○楠見義男君 具体的にあなたの学校で、教官二十六名の、中学校の場合ですが、定員二十六名のほかに事務職員は何人おられて、その人々がどういう仕事をしておられるか、参考のために伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/8
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009・石三次郎
○公述人(石三次郎君) 事務と申しましても、非常に広範でございまして、例えば庶務全体をやる事務員、会計をやる事務員、それからプリントや印刷をやる者、それから外来者を案内したり誘導したり、或いは電話の受附をしたり、それから又学校全体を見廻つております、これは守衛になりますが、それから小使や給仕そういうものを入れますと、これは学校から参つております者は四名でありますが、あとはPTAのほうでみんなお願いしております。このPTAなるものは、これは例えば給仕、それから女の事務員というのはPTAの寄附でお願いしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/9
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010・楠見義男
○楠見義男君 その四名、学校の支弁のほかにPTAは何名ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/10
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011・石三次郎
○公述人(石三次郎君) PTAからは三名。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/11
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012・河井彌八
○委員長(河井彌八君) よろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/12
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013・山花秀雄
○山花秀雄君 ちよつとお尋ねいたしますが、この表によりますと定員現行二十六名で、二名のPTA給による講師を雇いということになつておりますが、これは定員外の人数と思いますが、俗に言う雇用の関係は臨時というような形で、この二十六名に手交されるところの特殊支出というようなものは全然なしで、この二人の講師が雇われているのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/13
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014・石三次郎
○公述人(石三次郎君) その通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/14
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015・山花秀雄
○山花秀雄君 よくほかの学校で聞きますことは、PTAのほうから補助を出して教官の勤務超過に対する、まあ報酬というような意味で幾らか出しているということをよく聞くのですがその場合と、実在の二名雇入れるのと大分実情が違つて来ると思いますが、ほかの学校でもこういうように制限外の講師を、或いは教官を雇つているような所もたくさんあるかどうか、御存じでしたらお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/15
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016・石三次郎
○公述人(石三次郎君) それは全国の附属、殆んどそうであります。と申しますのは、新制中学の発足した当時、その新制中学の学級に対する教官の割当は、従来の小学校にあつた高等科の教官をそのまま中学校に移したのでありますが、ところが高等科というのは大体一学級乃至二学級でありましたから、それを中学校に引継いだ場合、小学校から進級して来た人員並びに学級と一致しなかつたのであります。そこで闇学級が生じこれをカバーするためにPTAにお願いしたり、大学本部から講師としてたくさんの人をお願いしたりして、一応教育体制を整えておりますが、これは一種の闇学級的なもので遺憾至極であります。これを一刻も早く解消したいと思い当局に再三陳情しております。そのようなわけで教科も正式な制度に則つてスムースに運営されているという附属というのは遺憾ながら殆んどないではないか、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/16
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017・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 有難うございました。それでは次に地方行政調査委員会議議長神戸正雄さんの御陳述をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/17
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018・神戸正雄
○公述人(神戸正雄君) 今回政府から定員法の改正が出まして、定員の八十九万からおおむね九万人ばかりの定員削減をしようということでありまして、無論その趣旨は能率化、経費の節約ということを狙つておられるようでありまして、私といたしましては、その趣旨なり大体の構想というのはこの際におきまして別段に反対すべきものでなく、むしろ国民の多数の希望に副うものであるというふうには考えるのであります。但し若干疑問なりというものは持つのでありまして、全然これがこの通りでいいのだということを申すわけでありませんが、大体におきましてはむしろ賛成の立場をとるものであります。無論これを実行する段になりますと、いろいろの摩擦がありまして法律化するだけでも相当の問題があるというふうに考えます。いわんやこれを実行する段になりまして相当の波乱を予期しなければなりません。極めてむずかしい仕事であります。このむずかしい仕事をあえて政府がやつてみようということは大いに壯とすべきであると思います。この法案に関連したいろいろ説明を見ますと各部において事務の種類によつて実態を考えまして必ずしも均一ではなく、或る所には割合多くの減員を行い他の部には少くしたということがありまして相当配慮されておる点は尤もであります。ただ併しこの点につきましては或いは抵抗力の強い所には軽くなつておるし殆んど事実定員を削減したかどうかわからないところがある。欠員の程度に削除せられるといつた所もありはせんか。そうでなく非常に忙しくて今の現状でも足らん所に、少し抵抗の弱かつたために或いは割合余計削減がなされるということがないかどうか。こういうことはむずかしい問題でありまして、我々といたしましてもこれる一々調べることができませんから何も言えませんが、併し政府は相当の注意を拂つて各部と交渉して、適切に配当して頂くものというふうに仮定します。そうすればこれはいい。
さて併しそういたしまして、今約全体の数の一割の減員になるようですが、この減員ということによりまして仕事は直ぐ支障はないか。十人でやつておつたものを今度は九人にするのでありまして、そうすれば九人でできることを今まで十人でやつている。今までは無駄なことをやつていたのではないか。或いは十人でなければやれんことを九人にやらせれば、今度は無理をして、今後の役人に、形式的にはどうか知りませんが、実質的に超過勤務ということになりはせんかというような疑問も起つて来るわけであります。そういうふうに考えますが、非常に無理なことをやるのではないかというふうに考えますが、併し又一面考えますると、私どもは毎日机の上だけの事務をしておりましたが、多少実際に当つて実地に見学してみましたところでは、役人の仕事は能率化という点ではまだ徹底しない点があるのではないか。それから役人の吏道というか、役人の精神というものもまだ徹底しなかつたのではないか。もつと吏道を強化し能率を増進するようにすれば、定員を少々ぐらい小くしても優に行けるのではないか。こう考えます。簡單な例をとつてみても、手続の形式の上から申しまして判が多過ぎて一つの仕事をするのに十以上も判を押している。これは昔から減らすと言つていながら、実際見ますと判を押しておる。押した人が皆責任を持つているかというと責任を持つていはせん。とにかくめくら判です。書類が来ますと見ていますと、私が見ておつてどこのどうというと困りますけれども、書類が積み上げられている。ちよつと来ると役人がべたべた押す。読んでいない。読まないで判を押している例をしばしば見受ける。それは一々見ておつてはたまらんですが、責任を負う人だけ判を押したらいい。一つでも二つでもいい。この事件について問題が起ればその人が全責任を負うのだ、職を賭してもやるのだというくらいの決心でおつて、まじめに見ておいてくれれば、あとの十の判は要らんことではないか、ここらあたりもつと改良する点があるのではないか。これは一例です。それから役人が責任とか何とか言いますけれども、責任というやつが明確でないです。これは何とかでつい一緒に判を押しているので知らなかつた。部下も責任を回避してしまう。責任を回避する精神が非常に多い。どうしても責任を重んずるという精神をしつかりせなければいかん、責任を重んじないくせに、頑張るときには大いに頑張つて喧嘩し出す。これは私も実際見ておつて非常にこれじやいかんといつて説得したのですが、結局協調ということが足りない、協調しない。話合つて全体を考えるということをしない。自分の立場ばかりじやない、相手の立場を見てからに協力する。つまりレスボンシビリテイとコオぺレーシヨン、これはアメリカへ行きまして、アメリカの行政で何が一番急所かといえば、責任と協力、これが一番行政の趣旨だといわれましたが、これは日本でもそうだろうと思いますが、とかくこの点が忘れ勝です。今後手続をもう少し簡單にするということ、それから責任を明らかにする。協力の精神を持つ、そうしてやつて行けば国の仕事は割合少い人で以てのびのびと行くのではないか、今後一番大事な点はその点じやないかと思います。そういうことをして頂くように政府なり国会なりも御協力下さいまして、何かそういうことになるようなほうへ持つて行つて頂くことが一番大切で、そうすればできんことはないと思います。少々ぐらい人を減らしても困ることはないと思います。この点が大事だというふうに考えます。
それからこの法案の理由の中にも経費節減ということを非常に謳つております。この点は私は至極貴重なものと思います。経費は一毛といえども無駄にしてはいけない、紙一枚といえども無駄にしてはいけない。役人というものはとかくどうも公けのものを無駄にします。公けのものこそ自分のものより大切にしなければならんという気持が足らんのじやないかと思います。実際国費というものを何とか切り詰めなければならん。今の経費はだんだん厖大になりまして、又今後賠償の負担とかいろいろありますからこれはよほど覚悟しなければならん、節約すべきものはうんと節約しなければならんということであります。今日人件費だけでも一般会計、特別会計、政府機関会計と三つを通じまして一千九百十一億円を出しております。今後行政整理の結果は初年度の二十六年度には退職金等の支給もありますから従いまして四十三億増になる。併し二十六年度には百五十億の減を生じその後の平年度には二百億の減を生じる。まあとにかく千九百十一億円の人件費の中でこれだけの減少をするということは決して無理じやない。もつと私は減らさなければならぬと思います。これは戰後の財政上の負担を考えると幾らか不安を持つておりますが、併しまあとにかくやつてもらわなければならぬと思つております。そうして一体日本の国民の一人一人の負担は今の財政というものが楽になつておるかと言いますと決して楽ではありません。これはどなたでも共通のことで、全国どこに行つても日本人は税の重いということを非常に言つております。国税、地方税を通じまして税の負担が重いということを非常に歎いております。今負担は国民所得の一番最低の数字は二割、国民所得の二割が税負担だということを申しておりますが、アメリカはどうかというと、アメリカのほうは却つて税が多いのです。国民所得の二割四分でありますか、それからイギリスは三割六分であります。日本は軽いのじやないかという議論がすぐ出て来ますが、それは無理です。そんなむずかしいことを考えずに。イギリスは国家保障制度が完備しております、何でもかんでもやつてくれます。日常生活のことについて大分面倒を見てくれますから自然に国の負担が多くなつて、地方の負担が少い。三割六分が脱負担だということもありますが日本はそれと比較するわけには行きません。日本はそういう社会保障制度がまだまだゆとりというものがありませんからそれに比較することはできません。アメリカは多いのですが、これはアメリカは大分違つております。国民の力が違つています。ちよつと見ますと例えば日本では普通の何といいますか人事院のあの基準からいいましても、例えば我が国ではアメリカの三十ドルぐらいですが、月三十ドルぐらいで一万何千円かとつている。結局三十ドルぐらいのものでしよう。ところがアメリカに行つて見ると、もつと高くてそれに準ずるものは凡そ二百ドル、七倍ですよ。或いは大雑把に考えて正確ではありませんが、とにかくそういうふうに向うのほうは段が違つているのです。余裕のある社会から見れば二割六分というものは貧乏人の二割と比較になりません。金持の二割六分というものは楽なものです。向うでは楽じやないと言つておりますが、とにかく向うのほうは楽だ、日本国民の貧乏に比べるともう生活というものは生活の段がありますけれども、一般生活は非常にみじめなところがありますが、そういうところからいつて、この税負担ということはえらいことであります。そういうことを考えまして、日本国民の負担というものはできればできるだけ少くして、負担を少くしてやらなければならぬと思います。政府務のめというものは何かというと、最小の人民の負担によつて最上のサービスをする。最小の負担によつて最大のサービスの提供をするということが、これが最も大きな政治の目標でなければならぬと思います。どうかこれは、この定員削減の問題につきましても、その精神によりまして、趣旨におきましては極力減らして、能率を上げて経費を節約するという面に持つて行つて頂くことが、これが国民の多数の、全部とは言いませんが反対はありましよう、国民の多数の希望でありましようし、又政府のなさらなければならぬことだと考えております。
そこで実際更にちよつと例を考えまして、実際になりますると困る面がある。政府が定員法を策定しますと、やがて地方の公務員の、定員削減ということが自然に地方に波及します。地方の職員もいろいろな経済上の問題から基本制度上の問題になつて来まして、いろいろな問題が出て来ます。それから当の整理を受けるところの人から見ますと大変な問題で、誠にお気の毒な次第で、仕事を見付けることの困離な時代に職を離れるということは大変であります。探したらいい、探したらいいと言いますが、大変です、これはよく考えなければならない。政府はこの法案の中にも猶予期間を六カ月置くとか、長期病欠者といつた者は枠の外に置いたというようにいろいろ御配慮になつておりますが、併し私どもこれは反対することになるかも知れませんけれども、残念なことには審査請求権というものをこの場合例外としてお認めにならなかつた、割愛されたということはこれは近頃の言葉で言うと、我々の老人から見るとちよつと言葉がおかしいのですが人権蹂躙だと、人間の重大な権利を侵したというように言われることはたしかに政府は痛いところだと思います。この点は痛いところだ、何とかして上げたいと思いますが、そうたくさんの何万人、九万というものがぞろぞろうようよと審査請求されましても、仕事からいつても政府は審査請求を受けたところがやり切れないかも知れない。どうか勘忍して何とかして下さいということも尤もだと思いますが、そのところは重大だから何とかせめてもつと例外の例外規定でも作つて何とかならんかということも言いたい。
そこでどうしてもこういうことをする場合におきましては、こういうことに附帶しまして就職の斡旋とかいうことにつきましては、政府は特別の機関を作つてもいい、特別の世話をしてもいい。個人的にも局長、課長になると世話をしなければならんらしいので、又事実そういうことを聞いております。あの人は当然首を切られる者だというので心配したということを聞いておりますが、それは誠に尤もで、もつと公けの機関としてもこういうたくさん出る失職者に対して就職の斡旋については何か当面の御配慮を頂いたらどうか。首を切られる立場の者は本当に気の毒ですからやつて頂きたい。又整理をするときに、整理される人という者は弱者だとか、惡いやつだとか、惡いやつだから首を切るのだということにならんように、ほかに融通のきく者で、ほかへ行けば必ずしも政府の役人でなくても、ほかへ行つても往くとして可ならざるところはない、到るところ青山ありというような人でもその中に入れて頂くと大変肩身も広い。やめたつて惡い者ではない。他の人のために犠牲になりたということが言えるような立場を成るべく作つてやるように御配慮を願いたい。そういうようにして操作の上に一番劣等生を首切るというのではなく、優等生が皆と一緒に首切仲間に入るというような気持を起させるような環境を作つてやるということも一つの配慮であると思います。それにしましても、このやめられた人は、やめさせられた自分は、これは大きな気持を以て自分としては国民全体のために犠牲になつてやつたのだというような犠牲的精神を発揮して、気持よく去つて行くような気持を持つように考慮して頂きたい。いろいろな政府の手続の上から言いましても、やめて行く人に余り気持を荒らげないで、成るべく喜んで去つて行けるようなふうに少しでも近ずけてほしい。全然やめることをさせぬというようなことはできぬかも知れないが、何かそういう配慮がなくてはならぬと考えております。
いろいろ卑見を述べまして失礼をいたしましたが、私のこういう問題に対するところの考え方でありまして、要するに私は大きな目で見れば、これは定員法を改正するということはやらなければならない、やつてもいいことだろうと思いますが、やるについては政府もむずかしいことも覚悟で、覚悟ばかりではない、温い気持で以てそれが実現するように、いろいろな機構といいますか、いろいろ配慮して頂きたい。この法案に出ているだけで十分だとは……、私が一番疑問を持つておるのは、今の審査請求権の特別な特例の点、その点は整理される人の利益というか、こういう点についても何かもう少し考え方を一つ御配慮願いたい、こういうことを申上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/18
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019・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 有難うございました。神戸先生に御質疑がありますれば、この際簡單に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/19
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020・楠見義男
○楠見義男君 今の審査請求権の排除の問題で、例外の例外のようなものでも考えられたらどうかというような御意見がございましたが、どういうふうなことが頭の中におありになるのかどうか、その点伺えればと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/20
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021・神戸正雄
○公述人(神戸正雄君) そうですね、私もちよつとそういうふうに余りひどいと思うから、そうむやみにやられると困りますから、そのうちに何か一つ特別の事情があつて、特に何とかというので特別の何か例とか、これはいろいろなことが、私は実際首を切つたことがあるんですが、暫く短かい期間を行政に携わりましてちよつとここで申上げられませんけれどもとにかく問題があつた、その気持が無理な点がとかくありますので、余りに無理だと思うような場合は考えて何とかしてもらうということで、ちよつとどうもはつきり申上げかねますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/21
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022・楠見義男
○楠見義男君 じやその問題はあとで御懇談のときでも。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/22
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023・河井彌八
○委員長(河井彌八君) それでは次に、朝日新聞論説委員の團野信夫君に御陳述を願います。おかけになつて御自由に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/23
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024・團野信夫
○公述人(團野信夫君) 私は今回の行政整理につきましてこういうふうに考えております。原則的に行政整理、人員整理ということについては私は賛成いたします。現在の官吏の数が多いということはこれは明らかなことでありますし、又その能率が非常に低いものである。民間の会社の活動なんかに比べますと、非常に低いものであるということもこれも明瞭なことでありましよう。ですからこの数を減少する必要があるということについては私は原則的に認める。併しながら今回政府がやろうとしている行政整理の方法については、やはり二、三の疑問を持つものであります。と申しますのはこの行政整理を行う場合に、私は先ず行政機構の整備というものが先ず行われて、然る後に整理が行われるのが順当なんじやないかと考える次第であります。講和後の新たな情勢に即応するということを政府は言つておりますが、然らば新たな情勢に即応する行政機構というものは一体どういうものか、特に戰後縮小しました日本の経済、或いは疲弊しました国民経済、国民生活の上に立ちまして、我々の持つべき行政機構の規模、大きさ、形というものがどの程度のものであるかということが先ずきまらなければいけない。戰後何回かの行政整理を見て参りましたが、私は曾つて政府がこの行政機構の規模について一つの提言を述べたことを聞いてないのであります。今回も又そういう基本的な行政の規模のあり方については政府は何ら論及していない。それに触れずして先ず人員整理をやろう、ここに私は今回の人員整理の合理性がどの程度あるのかというところに先ず疑問を持つわけであります。
私は又これからの日本の行政のあり方というものについて、最近り傾向を見ますと、警察行政というものが非常に重くなつて来る傾向を見せておる。一体この治安行政というものと、我々の社会福祉行政、我々の国民生活を高め、或いはこれを援助して行くための社会福祉行政、或いは文化を高めるための教育文化行政、こういうものと治安行政というものはおよそ裏腹の関係にある。国民生活が安定すれば治安行政費というものは少くてもいいというふうな関係にあると考えますが、一体そういう点についても政府は如何なる点に重点を置こうとしているのか、こういう点も非常に不明確である。私は行政整理を行うに当つてそういう基本的な線というものを先ず明らかにしてもらいたい。何万という人が街頭に投出されるのでありますから、そういう犠牲が国家の将来の発展にどれだけ寄与するのかという点が明確になるということが先ず必要ではないかと、そういう点につきまして政府はどれだけの確信を持つておるのか。例えばこの主食の統制の撤廃の問題にいたしましても、総理の施政演説に述べられた方針というものが、今日全くくつがえされたというふうな事態になつた。これと食糧庁の整理という問題は密接にからんでおるわけでありますが、そういう点の経済的な見通しについてもいささか欠ける点があるのじやないか。これは一例に過ぎないわけでありますが、そういう点から見ても日本の将来というものについて、政府がどれだけの方法を持ち、確信を持つておるかという点が明らかでない。ただ漫然と人間を首切ればいいという程度のことではなかろうかというふうな不安を感ずるのであります。政府の提案理由の説明を見ますと、今度の行政整理は行政費の節約並びに行政事務の能率化ということを大きな目的に拳げている。併しながらこの人員整理で以て果してその目的が達成されるのかということになりますと、これ又私はいささか疑問があるのじやないかと考えるのであります。勿論余つた人々を少くするというのはいいわけでありますが、それだけでこの行政費の節約、行政事務の能率化という目的が達成されるかと申しますとこれは疑わしい。行政費の節約にいたしましても、食糧庁の人員整理というのは、これは非常に数の点において今回の人員整理の重要な部分を占めておるのでありますが、これは皆さんも御承知の通りでありますけれども、この食糧庁の人件費というものは政府の財政支出によつているものではなくて、その殆んど全部が我々が支拂つている主食の配給、主食に対して支拂いました費用で以て負担されておる。つまりこれは政府の財政支出によつて食糧庁の人たちが養われているものではなくて、我々の食糧費の支出によつて養われているということであります。これは政府のかたがた、或いは議員の皆様たちにはよくわかつておることでありますが、国民大衆にはわからない。国民大衆はそこまでは知つておりません。ですから食糧庁の人員整理によつて非常に大きな節約ができるごとく印象されておりますけれども、その事実はそうじやなくて我々がすでに負指しているという問題であります。こういう点から見ましても、今度の人員整理というものがゆくゆくは政府の財政支出節約にはなりますけれども、こういう点でも声を大にするほど大きなものではないというふうに考えられる。
又能率という点につきましても、これは先ほど神戸先生もおつしやいましたが、今後の整理人員に対しては退職後の処置というものが全然とられていない。猶予期間というものは設けられておりますけれども、その人たちは要するに出て行け、個人的には斡旋をする場合もあろう、こういうような形をとつておる。従つて各省では整理されると予想される人たちの就職、新らしい職場につこうとする運動、或いは就職斡旋の動きというものがすでに多少見え始めておる。ところがこれは御承知のように、最近は民間会社といえどもなかなかそう能率の惡い人を採用するわけではありませんので、勢い再就職し得る者はやはり相当腕の立つ、能力のある人、そういう人でなければ新らしい生活の道を発見することができないというのが実情ではないかと思う。してみますると、逆に申しますれば、能率の上らない人が残るということことにもなりはしないかというふうに考えられる。従いまして人員整理によつて経費の節約、我いは能率化というものがすぐ実現するかのごとく考える、非常にこれを過重評価するということは誤りではないかというふうに思うのであります。少くとも或る程度の効果はあつたとしても、これは万能薬でないということは事実であろうと思います。私の強調いたしたいはこういう点であります。ですから、将来我々が行政の運営を考える場合に、如何にすれば行政費の節約ができるか、或いは事務の能率化が図られるかということをもう少し別の角度から考えてみる必要があるのではないかというふうに考える次第であります。
今回の人員整理のあとで行政機構の改革が行われるわけでありますが、私はその際に行政管理機関というようなものの設置、行政の能率化を図り、或いは国費の冗漫な支出を抑える。そういうことを目的とした一種の監察機関というものの設置の必要を感ずる次第であります。現在我が国では勿論監察機能は持つておるのでありまして、例えて申しますと、国会においても衆議院の行政監察委員会がございます。或いは内閣には行政管理庁の監察部というのもございます。又公共事業などにつきましては経済安定本部の、あれは建設局ですか、あすこにもやはり監査課、監査課ですかそういう課があつたように思います。地方財政委員会にも監察課がございます。それから建設省、農林省等の実施官庁では実際の工事に対する監察機関を一応持つておる。それから大蔵省では財務局に予算執行に関する監察機関がございます。それから予算の決算につきましては会計検査院が御承知のように決算解監査を行なつておる。そういうふうに幾多の監査機関或いは監察機関がございますが、こういう機関がどれだけの機能を果しておるかと申しますと、或る場合には船頭が多過ぎるというふうなきらいがあるのではないか。又一種の形式監査に終りまして本当のまあ核心までメスが触れない憾みがあるのではないかという気がいたします。そのほかにもう一つ、監査機関としては戰後にできました、安定本部の中に経済調査庁というのがございます。これは経済統制に関する事項を中心に仕事をしているわけでございますが、私はこの経済調査庁の機能をあれが成立いたしました以降若干注目いたして参つたのでありまするけれども、勿論これは百点万点を与えることはできませんけれども、かなりの業績はやはり残したような気がいたします。この政府の中にそういう監査機関を置いてみても結局馴れ合いになつてしまうのではないかという懸念もなる。会計検査院というものは非常に神聖な機関でございますが、役所の中にも会計検査係というものがあつて、特にこれの応待に当つているということも聞く。勿論真偽のほどは私は知りますんけれども、そういう噂を聞くほどでありまして、そういう機関を作つても結局馴れ合いになつてしまうのではないかというような心配も又ございます。併しながらこれに若し国会が適当な監察の目を配つて下さるならば、その機能は必ずしもそういう馴れ合いじやなくて、一種の中立的な、第三者的な機関としての活動ができるのじやないかというふうに考える。最近もいろいろな政府の直轄工事、或いは政府の補助金を支出する工事についてのいろいろの涜職事件が発生しております。私はこれがすでに刑事事件となつたときに如何にこれにメスを加え、如何にこれに懲罰を加えてもだめである、犯罪事件になる前にこれを押えて未然に防ぐ、病気になる前にこれが予防療法をやるというふうなことが必要なんじやないかとつねづね考えているわけでありますが、そういう機能を持つたものにしたらどうか。つまり摘発するものではなくて行政の動き方を絶えず追求して行つて事の誤りをなからしめんとするような監察機関、そういうものが期待できるのじやないかというふうに考えます。又そういうものを作りまして、特定の事業或いは特定の官庁について多少の疑いがあるという場合は、国会あたりからその機関をして一定の時間を区切つて調査せしむる。とかく官庁の仕事というものはだらだらしがちでありますが、一定の時間を区切つて報告書を提出せしめるというようなことをやる。そういうふうに国会側の或る程度の監視の目が加わりますと、そういう機関も相当動くのじやないかというふうに考えます。
ですから、私は非常に横道にそれましたが、今回の定員法の改正、行政整理というものにつきましては、これが能率化或いは経費の節約の万能薬でないという点を非常に強調いたしたい。そういうためにはもつと別の方法を考えなければいけないのじやないか、こういう点を強調いたしたいのであります。非常に結論が別のほうにそれておりますので、定員法の可否を求められた本委員会の陳述といたしましては若干的外れの感があるかと思いますが、私の率直な意見を述べさして頂いた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/24
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025・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 有益な御意見有離うございました。これにつきまして御質疑がありますればこの際簡單にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/25
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026・楠見義男
○楠見義男君 行政監査の問題について只今お話がございましたが、実はお話の中にありました経済調査庁の問題についてはこの委員会でも非常に従来関心を持つて来たのであります。今問題になりました中にも公述人自身も非常に経済調査庁については注目をして、この設置以来見守つて来たというお話であります。そこで実は経済調査庁では、今回の政府の狙つている経費節約の百億や百五十億ぐらいのものは、従来経済調査庁の活発な活動によつてそのくらいの経費節約は挙げて来たと、こういうことで非常に意気込んで来ておつたのですが、そこで二つの問題についてお伺いしたいのですが、その経済調査庁が今回の行政整理で、これは定員法関係ですが半分に縮減をされているのです。この点についてのお考えが一つと、それからもう一つは、今お述べになりましたように各機関に附属された監察機関というものがあり、お話にございましたように船頭が多過ぎるというようなことだつたのですが、これらの行政監査機構の問題に関連するのですが、行政監察機関の統一と申しますか、整理統合の問題これについての御意見と、この二点についてお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/26
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027・團野信夫
○公述人(團野信夫君) 私はこの経済調査庁の人員がうんと大巾に整理されるということですが、そこで非常に疑問に思つているのは、政府は一体その経済調査庁の機能というものをどういうふうに見たか。これが要らないという意味でこれを削減しているのか、或いは必要であるがもつと別の形でこれを持つて行きたいという意味で整理しようとしているのか、その点が私にはわかりません。若し要らないという意味でこれを半減しようとしているのであれば私はこれはよくないことじやないかと思うのです。又現在の経済調査庁をそのまま残すかどうかということも、これも私は疑問がございますが、この種のこういう形の機能というものは、経済調査庁であろうと或いは別の名前であろうと、別の形をとつたものであろうとも相当強い形にして残して行く必要があるのじやないかと、私はまあこう考えているものであります。
それからもう一つ、行政監査機関の統一ということは私は非常に必要なことで、各省の持つているいろいろな監察機能というものが、はつきり申しますと殆ど有名無実だ、現実には殆ど何らの役割も果していないのじやないかというふうに見ておりますので、できましたらそういうものを統一して一つの強い監察組織を作つて頂きたい、こういうふうに考えております。まあそれがどういう形をとるか、私は行政の技術のことはよくわかりませんから、それは皆さんに御研究願いたいと思うのですが、私の気持はそういうところにあるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/27
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028・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 有難うございました。
では静岡県町村長会長大竹十郎君の御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/28
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029・大竹十郎
○公述人(大竹十郎君) 私は静岡県の田舎の極く小さな、一万人も人口のない町の町長をいたしておるものでありますものであります。それで今回定員法の改正、俗に行政整理ということについて考えの一端を申上ぐる機会を得たのでありますが、御列席の皆さんがたは殆んど中央におられる知名のかたがたでありますが、私は極く田舎の、或いは時勢に暗いというそしりを免れないような方面における町村長が、どんな考えを持つておるだろうかということを、まあ御参考に申述べさせて頂きたいと、こう思つて罷り出た次第でございます。
この定員法の改正の個々の問題についての意見ということになりますと、先ほどお隣からもお話のありましたように、先ずもつて機構をどうするかという問題と、それから事務をどういうふうに整理するのかというお話をよくお伺いしませんければ、賛成だ、反対だというそのはつきりした意見は申述べられないのであります。それで私は大体そういう機構なり事務の配分についても、恐らくまあ私どもの考えているようなことになるだろうという前提を立てまして、その下に大体この定員法改正に賛成するものであります。で、結局先ほど神戸先生からお話のありましたようなことも、賛成の大きな理由になつておるのでありますが、そういう重複する点は成るべく避けまして私の思つておるところを端的に申上げたいと思うのであります。
私ども静岡県では、県自体の処置として先頃二つの地方事務所を廃止いたしました。そしてそれを廃止する前に、やはりこういう公聴会を開きまして、そして各方面の意見を聞く機会を作つたのです。で、私も県の町村長を代表して意見を述べる、こういうことでありました。県の町村長を代表するならば、主な県町村会の役員に相談をして頂かなくては、代表的の意見を述べられない。こう思いまして、各郡の町村会長を集めて意見を聞きました。私の県には今十二、三の地方事務所があります。その地方事務所の今度廃止いたしまするのは二つであります。一つは静岡市にある地方事務所を廃して大体事務を県庁に直結する。もう一つは、地方事務所の管轄している町村が十カ町村にも足らない小さな所があります、これを隣りの地方事務所に併せて、それを廃める。これは知事が県政の行政整理の一環としてこれをやりたい、こういうことでありました。私は地方事務所は町村として非常に便利な点も多々ある、殊に供出などの継続する間は相当必要の機関でもある、こう思いまして、一同に諮つたのでありまするが、町村長全員が、むしろ十幾つの地方事務所のうち、そういう二つの地方事務所を廃するということにとどまらずに、全部の地方事務所をやめるように一つの意見を述べよ、こういう希望でありました。それで私はそれに副つた意見を答申したのであります。結局行政整理というものに対する地方町村長の希望というようなものは、そういう程度にまで大分熱が高いという、これはいい例になるのではないかと私は考えるのであまりす。
それでは一体町村長が行政整理をそれだけに熱望する理由はどういうところにあるか、こう申しますと、一つは結局日本の民主化がともかくも成り上つてそうして一応の成功を收めた、こういうことだと思うのであります。日本は終戰になつて降伏文書に調印をしたのであります。それによると、結局日本が平和を取戻す、講和條約に調印されるということについては、結局日本が本当に民主化されなければだめだ、それまでは進駐軍が駐屯しているのだということになつております。それで結局今までの終戰後政府のやつて来た仕事の眼目、国民が協力して来た一番主な目的は、早く日本を講和條約の適用にまで持ち込む、一日も早く完全な、これなら平和條約に調印してももういいという時期に達成するように日本を民主化することに全力を注ぐ、その一日も早からんことを望むということであつたといつて差支えないと思うのであります。それがために従来の或いは軍国主義というか全体主義的の制度というか、そういうものも平和主義或いは民主々義というものに改めるために非常なる努力をした。役人もこれがために非常に激増した、こう申して差支えないと思うのであります。国家職員の数からいうても昭和十九年の数と二十三年の数とまさに二倍以上に急激に殖えているという現状であります。立法的処置をお取扱いになつている衆参両院の皆様においても、戰前の議会というものが一年のうちどのくらいの日数会議が開かれたものか知りませんが、それと比べて非常なる御勉強になつた。憲法の改正であるとか主なる法律も全部改正せられたのであります。これがために、官吏といわず議員の皆さんといわず非常に御勉強になつたのであります。お陰でもつてここに一応民主々議が完了の域に達した、こう申して差支えないと思うのであります。今回の平和條約が調印になりましたときのアメリカの大統領のお話の中にし、日本は今や降伏條項を完全に履行したという言葉が出ておるようであります。ここにおいて、結局もう今までは非常に官庁の職員も激増して、而も激務に当られて、先ほどお隣りからは官吏は非常に殖えて能率が上らんというお話がありましたが、私は能率が上らんとは思つておりません。非常に能率を上げておると思つておる。ともかく非常に人員が殖えて能率を上げて、そうして成功を收めて仕事を立派に卒業試験に合格したものと、こういうふうに観察するのであります。従つてもうこれだけ完備したいろいろの制度法律を運用する今後の行政部面においては、今までのようなもう多数の人員でなくても若干の減員をしてもやつて行ける。常識的に考えてそう考えられるということが、町村長が行政整理を歓迎する一つの考え方であると思うのであります。
それから更に今のような、急激に講和條約に持つて行くために民主化する、或いはあきらさまの指令により、覚書によりいろいろの制度を立案してこしらえたのであります。それらの結果を講和條約の調印された今日から考えてみますると、やや行過ぎであつたというふうに思われる点もないこともない。実際役場において仕事をして行く上にこういうことは行き過ぎではないか、むろんナンセンスに近いと思われることもなきにしもあらずであります。これも何も咎める必要はないと思います。結局まだ講和條約を締結するまでには民主化が足りない、これでも足りないと言われることを恐れて、そうして或いはそこまでやつたかと、こう思われたいのがまあ人情の常であると思う。これはめいめいが明かに意識しておるといないとにかかわらず、自然そういうふうな傾向を帶びるのは別に咎める必要はないと思います。併しもう調印された今日から振返つて見ますれば、いささか行過ぎと思われるような点もあるのではないか。そういうふうに思うのであります。例えば役場でやつております仕事で、最高裁判所の裁判官の適否を衆議院議員選挙の有権者による投票というか、その人たちによつてきめさせるという制度があります。これなどは役場で取扱つてみて到底適当な制度とは思えません。恐らく田舎の有権者が本当に理解して、そういうことに結論を出すというふうには考えられないのであります。それからなお検察審議会というのがあります。これは検事の公訴権の行使が適当に行われたかどうかということを審査する会であります。その審査する審査員を選ぶ際に、衆議院議員選挙人名簿のうちから抽籤によつて選ぶことになつております。役場で数千人の名簿を幾つかに分け、そして丁度宝くじの抽籤をやるように抽籤器にかけて有権者の番号を引当るわけであります。そうして出た結果を見ると到底御用に立つようなことにばかりならんというような結果が出て来ます。まあやり方はこれほど民主的なことはありますまい。裁判官の適否を一般投票によりてきめる、或いは検察審議会の審査員を抽籤できめるやり方はこれほど民主的な方法はありますまいが、その結果は到底適当なものとは思われん状況であります。それから最近に行われました自治体警察の廃止、これは結局住民投票に付してきめたわけであります。町村長が選挙によつてきまり、町村の議会議員が選挙によつてきまるのでありますから、その公選された町村長なり或いは議員がきめれば、かなり民意を反映していると言わなければならんと思うのです。その上に更にそういう投票によつてきめるということのごとき、やや町村において実際に当つてみて少し考え過ぎたのじやないか、こういう感がするのであります。こういつたようなことが恐らく国の政治のうちでも相当あるものというふうに私は考えるのであります。そういう点を整理するための減員ならば、あえて一割程度の減員は当然な話ではないか、こういうふうに思うのであります。
更にもう一つの理由といたしましては、折角でき上つた各官庁における非常に苦心してこしらえ上げたいろいろの仕事の成果というものを政府が尊重してくれない、そういう憾みがあります。これは地方の問題について取上げてみましても、人事院の給与の引上げについて先ほどお話が出たと思いますが、人事院の給与の引上げ、どの程度に引上げるかということについては、人事院として非常に苦心を拂つてこしらえ上げられたのじやないかと思いますけれども、こういうことがやはりお取上げにならん。そして大蔵省で研究されたことによつて片付けられてしまうということであります。それから地方財政委員会で平衡交付金のことについて政府に勧告を発しています。この問題も地財委としてはあらゆる綿密な調査をして、これだけ平衡交付金を予算に組まなければ地方の公共団体はやつて行けないのだということを勧告を出しますけれども、併しそれは政府の都合によつて無視されてしまうということになる。それから地方行政調査委員会、丁度神戸先生がお帰りになつたようでありますが、そこで行政事務の再配分に関する勧告というものを前に出しております。これらも調査のために非常にお骨折になつたことではないかとといます。そういう政府の各行政機関において有力な、結構な資料をこしらえても、それが殆んど顧みらなれくて、まあ何の役にも立たんんこともないでしようが、ともかくお取上げにならんという現状であります。そうすれば結局そういう機関はそういう仕事に関する部分だけはもうこれはやめてもいいのじやないか、やめるほうがむしろその面子からいつてもいいのじやないかというような気がせんこともないのであります。そういう点にこの行政整理の余地が残されておるというふうな感じがするのであります。
時間が大分迫つて来ましたが、もう一つ先ほど議論が出ませんでしたが、今度の講和後にいろいろの賭償の関係とか、いろいろの在外資産の問題とかで非常に日本の財政が窮屈になつて、いろいろのことを各国家から申出が来るのじやないかと思います。そういう際に賠償をなるべく少くしてもらいたいというふうなことで臨むならば、先ず以て国内の行政整理も十分にやつてあるというふうに持ちかけるほうが国策上からいつても非常にいいのではないかという感じがいたすのであります。
前段申述べましたように、今回の法案そのものについて個々の事項がこれは適切であるかどうかというふうなことにかけては、或いは無理があるでありましよう。適当と思われることがありましようが、私は以上申上げましたような点について恐らく事務の整理なり機構の改廃が行われるならば、この行政整理は結構である、こういう議論を申上げたい。あまり御参考にもなりませんでしたかも知れませんけれども、田舎におる者の考え方を御紹介した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/29
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030・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 有難うございました。只今の御陳述に対して御質疑がありますればこの際願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/30
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031・楠見義男
○楠見義男君 大竹さんのお出しになつた結論は、先ほど團野さんがお述べになつたように事務の整理というほうがむしろ先決だ、こういうふうに伺つたのですが、そういうふうに了解していいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/31
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032・大竹十郎
○公述人(大竹十郎君) とにかく事務の整理に今言うような行過ぎもあつたり、或いは効果を生まないようなことがあるから、そういう点を整理するなら賛成だ、こういうふうに御承知願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/32
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033・河井彌八
○委員長(河井彌八君) それではこの際休憩をいたしまして一時十五分から開会したいと思います。
午後零時十七分休憩
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午後一時二十八分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/33
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034・河井彌八
○委員長(河井彌八君) これより引続いて内閣委員会の公聴会を開会いたします。大日本水産会会長鍋島態道君の御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/34
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035・鍋島態道
○公述人(鍋島態道君) 私鍋島でございます。戰後の日本の各方面の産業のうち、水産業を如何に持つて行くべきかということにつきましては、長い間我々は研究討議の結果、先に水産省設置をお願いいたしまして、現に参議院の内閣委員会で御審議中のはずでございます。それで水産業の重要性、これから持つて行く方向その他については、又次の機会を得ましてその審議の際にお話申上げる機会もあるかと思いますから、その点は余り詳しくは申しません。今日は全体の定員法の改正について意見を申上げずに、セクシヨン、部局の問題に話がなりますので如何かと思いましたけれども、参議院の内閣委員会では、我々の声をお聞き下さつて、是は是、非は非ということにしてこの審議をして行かれるように承知しましたので、あえて今日は推参したわけであります。有難うございます。
御承知の通り、新聞紙上にもたびたび伝えられておりますが、現に本日の午前十時からやつておりますが、米・加・日本とこの漁業協定の問題を今審議しております。ちよつと速記をとめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/35
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036・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/36
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037・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/37
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038・鍋島態道
○公述人(鍋島態道君) それからなお海洋漁業の指導奬励という問題が一つあります。私は自分でそう確信しておりますが、又世間の人もそう信じておらるると承知しておりますが、日本人ほど魚をとるのに上手な国民は世界国中ありませんのでございます。その事実はもう現に終戰後インド、これはペルシア湾になつておりますが、インド政府でアメリカの水産技術を入れて、あのインドの海の漁場開発をやつたけれどもさつぱり成績が上らんから、今度は日本一つ頼むぞといつて日本のほうに交渉がありまして、我々同業者はすでに去る八月と記憶しておりますが、船及び人間を持つて向うへ出ております。引続きましてパキスタンとビルマのほうからもそういう話はありますが、まだこれは現実に表面には出ておりませんが話は聞いております。というように日本の技術を以て向うを指導し、延いては日本の水産業の奬励をということになるこの仕事も水産庁としてはありますのでございます。こういうような問題の山積しておる際に、水産庁の人員を減そう、こういう今度の案でございますが、以てのほかだと私は思つております。必要なものは殖やすまで行かなくつても減らすのはけしからんぞと、不必要なものはお切りなさいと、併し不必要なというものはこれはないような形になるかも知れませんが、重要なものと比較的重要でないものとの区別ということになりましよう。現に外務省のこの人員整理案には外務省も幾らか減ることになつておるようでございますが、裏にこの臨時国会でございますか、次の国会でございますか外務省設置法案というものが出ておるはずでございます。これは外務省は必要からこの法案を出されたろうと思います。成るほどこの法案には人員のことは書いてありませんが、この法案が通りますれば人間が要るということはきまつたことなんでございます。外務省は必要なんだが今言うように国際関係を持つ水産のほうは必要じやないという議論は私は立たないはずだとこう信じております。どうぞ一つこの委員会でこの点を取上げられまして、いずれ衆議院のほうから定員法が廻つて参りましようからその機会によく御協議願いまして、この定員を減さないというところに、一つせめて持つて行くように御配慮願いたいと思います。
私の公述はこれだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/38
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039・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 有難うございました。只今の御意見に対して質疑がおありになりますればこの際願います。
それでは別に御発言がないと認めますから、次に日本経営者団体連盟事務局長鹿内信隆君の御発言をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/39
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040・鹿内信隆
○公述人(鹿内信隆君) 御紹介を頂きました鹿内でございます。それでは許された時間に簡單に私の所見を述べて公述の責を果したいと思います。
政府は今度の行政整理は国民経済の合理化の一環としてこういうものを取上げられた。で戰後国民の経済力に似つかわしくないような厖大化した行政職員というものをそういう目的のために整理をする、その考え方につきましては整理をされるかたには非常に忍びないことでございまするけれども、又同情に堪えないことでありまするけれども、広く国民経済的な観点からこの問題を考えてみるときには、我々としては賛成をしたいと考えるのであります。でこれはこの行政整理というものが世上に喧伝をされ始めて以来の新聞の論説その他を見てもむしろそれを賛成とするほうの意見が大部分であつたように思います。然るに今度の実際のお取扱の経過を拜見いたしますると、初めは大変政府のほうは元気がよくて当初は十七、八万人くらいの整理がされるのではないかということが言われておりましたにもかかわらず、実際の整理の結果はまあ八十九万余名に対して八万七千余名、先ず一割弱というような結果にとどまつておるようであります。なお本日の新聞紙上に伝えられておるような主食の撤廃問題如何によつてはこの数字は更に減るわけでございます。そのうち実際欠員になつておるものが二万八千名おりまするので、実際の実整理人員というものは六万名を割ると、こういうような結果になろうかと思います。で、仮に予算上整理人員が八万七千名として一人当りの人件費及びこの人たちが仕事をするための事務附帶費、そういうものを入れると先ず一人頭十五万円、こういうふうに考えてもこの整理によつて浮びます財政的な金額というものは一年に僅かに百三十億見当のものようならないと思います。で、こういうことから参りますと、今後想定をされます給与の改善或いはべース・アツプというようなものを考えてみると、それだけでもすでに賄うことができない。従つて財政の節約或いは国民の負担軽減ということには、このたびの我々の期待をいたしましたことにはちつとも副わないように結論がなつておるように思うのであります。
で、この問題が今日私たちが期待したことと一番かけ離された問題は人間をただ機械的に減らすということではなしに、実際に膨脹した事務整理というものをする、そのことによつて人間というものの整理を考えて頂くという本質的な考え方が暫く先にやられてしまつたということに大部分の結論があろうかと思います。で、人間がおるから仕事がうまく行くということではなしに、行政事務の能率化というものを考える場合においては、それらの機構なり、それらの組織なり、或いは制度なりというものについてはもつと大きな高い観点からこのような委員会で御検討を是非頂きたいと私たちは考えておるわけであります。大体行政整理ということに対する基本的な考え方には賛同するのでありますけれども、今度のような整理は整理としても、是非これに引続いて内閣委員会とされては機構そのものを実質的に御検討を頂いて、それによる行政機構の簡素化、それに基く行政整理というものを是非敢行して頂きたいということが、これは広い意味の国民の要望だろうと私は考えております。そこで人員そのものについての考え方はそうなんでありますが、これからお考えを頂きまする機構、或いは行政事務そのものについて心しく私の希望を述べさして頂きたいと思います。
それは先ず官庁の仕事についての所管事項の一元化ということを是非貫徹をして頂きたい。で官民ともにやはり能率の上がるという形でやつて頂くことが日本の経済のために寄与するゆえんになるわけでありますが、で、その卑近な例を一つ申上げてみても、一私たちが非常に関心を特つておる産業教育の問題、それでも電通省関係の省だけ申上げても、電通省、通産省、労働省、而も労働省の中には技能課と職業補導課というものがある。又これとは違つて文部省としては産業教育課というようなものを別途にお取扱になつておる、非常に関連の仕事についての各省のセクシヨナリズムというものはこれは非常に強い。これは今まで何度も言われておることなんですが、一つの例を申上げてもそうです。その次の例を申上げてみると例えば船舶の問題にしても、その中央の監督は運輸省でありますけれども、各港に入つて参りますとこれが海上保安庁の関係になる、或いは又労働関係の調査を一つ取上げてみても、労働省のほかに通産省には労働課というのがある。又安定本部には労働室というようなものがある。一体それで本当の集約した仕事ができるだろうか。又一般経済関係の資料というようなことになると、もう各官庁、現業官庁としてはそういう所を持つていない所がないような状況であります。そのことのために、各官庁から民間会社にそれぞれ調査資料を要求されるそのことのために、戰前はそういう資料を用意する必要のなかつた民間会社には、それらの官庁側からのいろいろなお問合せに答えるために、非常に厖大な人間を用意しなくちやならん、こういう状況であります。で、これは非常に今までも何度も言われていることなんでありますが、例えばアメリカの例を一つ申上げてみると、アメリカでも同じような弊害を産業省としては侵しておつた。そこで各民間会社に出される、或いは要望される資料については、内閣委員会、或いは内閣委員会といわれるのかどうか知りませんが、少くとも内閣直属にそういうものを監視する機構があるのであります。丁度私もこの間アメリカに参つたときにそれを見せてもらつたのですが、各省は勝手に各民間会社にいろいろな資料を出させるということはしないのであります。それを国家的に広い観点から一つの資料によつて各関連部門すべてに役立つような、そういう集約をした統計を出させるなり調査をさせるなりそれを認可するのであります。認可以外は各省が勝手にそういうことをやらない、やらせないということになつておつたのであります。私は非常にその点はこの内閣委員会辺りでも是非一つお取上げになつて御研究を頂きたいことの一つだと思つて参りました。
それから例えば基準法の施行の問題でありますが、基準法は労働省で監督しているのにもかかわらず、同じ基凖法関係の鉱山に対する保安事項については通産省が未だにやつている。こういう状況であります。或いは又労組法関係から申しましても、地方の労働委員会と、地方労政事務所というものが殆んどわけのわからん状態でお互いに同じようなことをやり、やり過ぎてはぶつかつてお互いに遠慮したりしている。労政事務所等はあれは日本の労働組合の発展途上において啓蒙をして行くために必要な機関であつたのですが、すでに国際的な水準を上廻るような今回の組織を持つた段階では、むしろ労働組合自体に労働教育というようなものは任せるべきであつて、変に官の権力的な介入ということは避けることのほうが労組関としては望ましいのであります。そういう意味でも私たちが地方に行つて見ても、労政事務所というような所に相当たくさんな人がいて、一体何をしているのだろうかということを疑わざるを得ないのであります。
その次には徴税の機構の問題にいたしましても、大蔵省の主税局、或いは国税庁、それから各地区の税務署だとかが関係をしております。小さな会社でも又税務署が来ている、又税務署が来ている、一体どこから来ているのだと聞いてみると、やはりそれぞれの係があつて何度も同じ帳簿を繰返して調べている。こういう状況なんですね。こんなことが一体一元化ができないものだろうか。やはりこういうことは、例えば国税庁を大蔵省の主税局に吸收してしまう、実際の実施機関としては、国税局というものを地区の税務署と合体させてしまうというような考え方ができないもんだろうかというふうに考えるわけであります。税金については例えば地方税の問題にしましても、固定資産税というものの一体資産評価というものをめぐつて、大きい工場や二つ以上にまたがつておりますと、固定資産の償却費というものについては地方財政委員会でやつておられ、その他のものについては各市町村が別々であります。従つて全国各地に相当大きな、たくさんの工場を持つておる会社では、一体税金の引当をどうしたらいいのかということの見当さえもできないというようなことで、又手続が極めて煩瑣である。これは少くともこういうふうな問題については、評価基準については法律的な強制力というものが全国的に及んで行くというような処置をして頂きたいものだと思います。
以上が大体行政関係の問題ですが、更にちよつと細かくなりますが、例えば認可、許可、届出制度、こういうものについての簡素化組織というものを是非お願いしたい。例えば土建事業についてこの間聞いてみたのであります。一体仕事を始めたらどれぐらいの書類と窓口があるのかということを聞いてみたのです。そうしましたならば先ず工事作業に当つて提出すべき書類を出す、これは労働基凖監督署に出しますものが十一種類、十一種類ですよ。それから税務署に出しますものが二種類、公共職業安定所に出しますものが三種類、このほかに公共企業の場合には三種類出す。合計十九種に亘るこの認許可その他のものを届出なければならん。こういうのが土建の仕事を始める場合の実態だそうであります。殊に建築を願い出てからの確認申請、これは建築の基準法に基いては地方行政官庁その他、消防法に基くものは消防庁の二重監督制度を受けておる。こういうような状態であります。
それからその次に証券取引所関係についての認許可、届出、そういう問題にちよつと触れますと、株式及び社債の発行に対して届出書或いはその目論見書というものを出さなければならない。これがもう尨大なものなんです。増員をする場合においても今日のインフレの下においては各社はこのことのために非常に大きな書類をこしらえて出さなければならない。これに対しても又会社で一番費用のかかつておるのは株式だ。これはインフレの悲劇であります、こういうような状況であります。それから税法関係、こういうことに関連しての問題ですが、例えば名義書類の際に証券の預かり証に対する印紙税というのがあります。これは三百株以上の移動というものを常に届けてこれに対する印紙税、これと関連をして株式の移動の報告、或いは配当金支拂調査、これは今のような十億も二十億もの会社になりますと尨大な費用と労力を要する、こういうことであります。その他諸手続の問題としては不動産の取得の登記の事務であるとか、或いは労務加配の手続とか、健康保險であるとか、傷害保險であるとか、これは枚挙にいとまがないのであります。従つて一時内閣でも言われておりましたのですが、申請書を出したならば何日間を通過したときは、許可があつたものとして認めるというようなことを、やつて頂きたい。そのことには特に電気の配給を受ける場合の電気需給調整規則というのがありますが、これの電力増加の申請、或いは自家電力工作物施設規則、この中に施設の認可を申出るようになつております。或いは鉄道法には車両増加申請、こういうようなものについてもそういう機械的な認可組織というものをとつて頂くようにすれば、大分事務的に助かるのではないか。あと現在すでに御承知のように行政事務をめぐつて地方関係のものと中央関係のものとの行政分担というものを再検討して頂くような時期に来ておるものが非常に多いと思います。例えば協同組合或いは信用組合の認許可は、従来のように市町村のほうに復元してもらつてはどうだろう。或いはガスの発生設備というものを小さいものを設置するような場合には設計変更、その他のものは聽聞会にかけるというようなものも一つやめてもらつて、簡單に処置ができるようにしてもらえないだろうか、こういうふうに考えます。
頂いた時間がもう参つておりまするので結論だけを一つ申上げたいと思いますが、いずれにしても人を減らすということによつて、私は日本のこの官僚システムに基くところの仕事の能率というものが上るとは考えられません。やはり必要なのはそこに働く人の精神的な問題にかかつていると思います。これは終戰後いろいろな、官界ばかりじやなくて、各般に非常に精神的な弛緩状態で不合理なことに馴れきつているような国民感情にあるわけですから、これをどうしても改革するということに政治の力点というものが当然に向わなくてはならないということを私たちはつとに考えるわけであります。実際いわれるようにこの公共企業体関係の事業においても、本当の公僕という立場から国民にサービスをするというような姿が実際どこにあるのだろうか。これは言われておつても実際に国民の側としてはそう受取りににくい現状のほうが非常に多いだろう。そこで人員整理という問題とこの政治の方向として、やはり国民の基盤になるような官吏としての精神状態の一つ高揚というような面についても、別段の御考慮を頂きたいものだと考えます。
それからもう一つ最後に申上げますが、一体人を整理しておりまするけれども、今各官庁の中に外郭団体というものがどんなにたくさんあるのかということを一度は目を転じて御覧頂きたいと思います。私たちの関係のことについても、所管の大臣には、あなたの在任中においてはそういうふうなことだけは絶体にやめてもらいたいということを申上げたのでありますが、見ると全然予算がついてないで人間だけを持つているというような課が随分あります。これはそのことのために何か仕事をしようとすれば、結局はそれの例えば一番いい例を申上げれば基準法の施行についてもそうなんです。どこの府県に行つても、大部分のものは監督しなくちやならない相手の工場からみんな寄附金というものを仰いでその庁舎を建てている、こういう状況であります。そういうふうな官権的な権力というものを背景にして如何に外郭団体というものが余計あるか、而もその中には官僚の古手というものが大部分来ている。だから実際にこの仕事を人間を削つて行けば又そういう人間が出て行くのであります。でそれは必ず国民の関係のほうに実際戻つて来るのであります。そういう意味でその辺をしつかり抑えて方針を立てて項きたいものだ、これは私是非お願いをしたいと思つておることであります。時間が参りましたからこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/40
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041・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 有難うございました。只今の御発言に対して御質疑がありますればこの際お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/41
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042・竹下豐次
○竹下豐次君 一つお尋ねしたいのですが、行政整理をやりまして数万の人が失職するということになるということを仮定しますね。食わずにいられないのだからどこかに又職を求めなければならない、どこに職を求めるかというと、民間に求めなければならないということになつて行くだろうと思います。あなた方各方面の経営者の状況をよく御存じのことでありますから、経営者の方面でそれを收容する能力と申しますか、この際どういうことになつておりますか、その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/42
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043・鹿内信隆
○公述人(鹿内信隆君) 今竹下さんからおつしやいましたのですが、恐らくここにお集りのかたがたもすべてその問題が悩みの中心になつておられる、恐らく私以外のかたからの大部分の意見というものは、そういう意見が出ておられるだろうと思うのです、公述人の立場として。それで私はそれに触れなかつたのでありまするけれども、大体まあ事業の推移から見ますと、いろいろな起伏もありましたけれども、労働者側の非常な協力もあり又混乱も重ねましたけれども、今日では少くとも御承知のように生産水準というものが相当上つて来ている、まあ問題は電力にあるわけであります。若しこの電力というような問題がなければ、今年度はかなりやはり上げ得たであろう、生産というものは上つていつたであろう。又貿易から見てもかなりの伸長度を持つてきている。それでまあ非情にいろいろな心配をしなくちやならん。東南アジアにおける事情というものがありまするけれども、仮にその国際的な変動というものがないと仮定すれば、仕事の面においては後退をするというようなことはなしに進むのではないか。例えば熔鉱炉一本立てても三千人からの人間というものを新しく用意しなくちやならん。こういう状況であります。併し経営者側から見ますと、結局は終戰後水膨れの人員というものを整理するのには非常に無理なことを重ねたわけです。これは日本では今のような経済基盤の上では労使ともに経済原則というものを許さない。要するに勤めたら会社が、物が売れようが売れまいが、そこへくつついているというような日本は非常に特殊な労使関係にあります。そういう意味で人間を抱えるということについては少し神経質になり過ぎてしまつたのですね、経営者側として。ですから御承知のように日本の雇用人口というものはどんどん殖えつつあるわけです。ですからそういう意味においては私は決して悲観すべきではない、むしろ職場の秩序というものを確立し、勤勉にして誠実なる労働者と共に産業の規模というものが確立されれば、そこに再雇用の機会というものも当然に惠まれて来るし、日米経済協力というものが進められれば、そこに再雇用の機会というものは当然惠まれると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/43
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044・楠見義男
○楠見義男君 鹿内さん今の問題に関連してですけれども、一般に行政整理せられるときにすべて問題になるのは、技術者の場合と事務員の整理の場合と非常に趣きが違うわけですね。そこで例えば一般の公共事業を起すという場合に、いわばホワイト・カラーの人々は公共事業にも行けないし、それから又一般の産業について今お話のように技術的の面が今後洋々としておるとしてもそのほうにおいても吸收はされない。結局どこへ行くかというとその人たちは行く場所もないし、従つて社会不安の原因をもそういう面から来たす。こういうことで一番悩みの種は実は一般行政整理における整理対象の人々がどういう状態にある人かどうかということで問題なのですね。今回の場合も或いは従来の場合も、その点が一番問題になつて来るのですが、やはりその場合は今お答えになつたように楽観していいものかどうか、もう一度お伺いしたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/44
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045・鹿内信隆
○公述人(鹿内信隆君) 私たち経営者の立場ですからむしろ私は経営者の立場としては、本当にこの企業と共に生きる、労働者と企業を守つて行くというよりほかに手がないのです。やはりそのことによつて出て来るものは、これは国家的な政策の観点から解決をして頂くよりほかにないのです。我々の立場としてはそうなのです。一々一人一人が労働大臣になつて雇用者を雇用して行くというわけには実際行かんのです。併し実際の企業の実情からいうと、今は各社の社長でも、或いは人事を担当している重役でも、大体労働大臣級の考え方ですよ。本当にそれじや日本経済というものを国際経済との関連において、そういう形で問題を隠蔽しながらやつて行くことが、一体そのほうがいいのか。或いは又実際に出血というものが具体的な姿で出る。併しそのことをこの国策的な観点から政策としてその問題を解決してゆくか、どつちかなんですね、問題は。で私の考え方は少くともやつぱりあり得るものをある程度まであらわにして行く、そのことのために職場というものを非常に低位におくというようなことは決して私は策を得たものじやない。むしろ只今までの意見は、外へ出ちや職場がないのだから家の中でぶらぶらしていても養つておけ、こういう考え方が全体としてあるならば、私はそれに対してはやはり相当痛切に批判をしなくちやならん、それは別途な問題だとそう思つているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/45
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046・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 御質疑も盡きたと認めますから、次に全農林省労働組合連合会中央執行委員長有馬君の御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/46
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047・有馬輝武
○公述人(有馬輝武君) 私全農林省労働組合連合会の委員長の有馬でございます。
本日は私たちの最も緊要の問題でありますところの行政機関職員定員法の一部を改正する法律案につきまして、利害関係者といたしましての立場から反対の意見を述べさして頂きたいと考えるわけであります。で、立場といたしまして農林省の関係でございますので、取りあえず農林関係の部門が主となるかと存じますけれども、本委員会にお招き頂いた観点からいたしまして、全行政職員の問題まで浅い知識でありますけれども触れさして頂くことをお許し頂きたいと考えるわけでございます。なお限られた時間でございますので、通り一遍になるかと存じまして資料を用意いたしまして先生方にお配りいたしたわけでございますが、その概要を只今から申し述べさして頂きたいと考えるわけでございます。併しながら本日申上げます概要につきましては、ただそのところどころの資料となるということでございますのでそのままお聴き取り願えれば幸甚と存じます。
先ず本法律案の提案理由に対する全般的な反対理由でございますが、よく巷間で言われておりますことは、終戰後或いはそれを契機として公務員が異常に膨脹して来た、現在の八十九万というものが戰前に比較いたしまして非常に膨張しておるということが言われておるのでありますけれども、そのもののとらえ方にはいささか問題があるのではないかと考えるわけであります。と申しますのは、これは行政管理庁の調査によるものでありますけれども、国鉄、専売公社等を含めまして昭和二十六年の六月一日現在の国家公務員の数は約百四十万ということが言われておりますが、これは昭和六年の五十九万の約二・三倍になるものだと報じられておるのであります。併しながらこれは官庁におられたかたの常識となつておることでありますけれども、いわゆる昭和六年当時の定員の中には雇員、傭人というものが含まれていなかつたのであります。いわゆる現在定員法の中に含まれておりますところの雇員、傭人というものは物と一緒に扱われておつたということで、実際は人はおりながらも定員の中に入つていなかつたという事実があるわけであります。又これは新聞紙上等でよく見かけることでありますけれども、我々国民は七人半当り一人の公務員を養つていて、その負担に堪えないということがよく言われて、そのような巷説がとかくこの行政整理の問題を促進する一つの大きなフアクターになつておるかと考えるのでありますけれども、私たちはこのような報道機関と申しますか、マス・コミユニケーシヨンと申しますかの威力と申しますか、そういつたものに対して非常な脅威をこのような面からも感ずるのであります。と申しますのは、少くともこの七人半当り一人というような数字が、いわゆる公務員の世帶家族構成というものは人事院の調査によりますれば二・六人になつておりますけれども、これを四人世帶というようなことで計算してある。或いは国鉄、専売、その他いわゆる公社的な性格の、みずからの利益金によつて人件費を負担しておるものも加えた形において、いわゆる税金によらないところのものをも含めて、それが我々の負担であるというような報じられかたがしておるのであります。この点を省きますと、先ほど申上げました点からも実は国民十九人当り一人という割合になつて来るのであります。で税金負担によるところの公務員約百八十万人の、日本におきまするところの有業者数に対する比率を求めてみますと、その有業者数が三千六百万といたしますと五%になるわけでございますけれども、日本のような敗戰国が現在の公務員は多過ぎるということに対する一つの答えになるかと思うのでありますけれども、これを私たちと最も今身近かな米国の公務員の比率と比べてみますと、米国はこれが九・三%になつておりまして、非常に低いのであります。
それから今次この法律案の提案理由の説明にもありましたように、今回の行政整理というものは各種行政事務の簡素合理化ということを前提とするものであるというふうに謳つてあるわけでありますけれども、今回はそのような措置をなされずして單なる行政整理のための行政整理がなされておるということは、先ほどから石先生初め團野先生からも御指摘のあつたことでありまして、私からくどくどと申上げなくてもいいかと存じます。このような点につきまして私たちは素人でわかりませんけれども立法手続からいいとしても問題があるのではないかというふうに考えるのであります。
更に問題はこの法律案に関連いたしますところの予算案というものが当然人件費を含んでおるのでありまして、当然この法律案が決議せられた後において審議される形というものが常識ではないかと思うのでありますけれども、この予算案が先に提出されて殆んど可決されておつて、本案に対する審議というものを骨抜きにするような形が意識的にしろ、無意識的にしろとられるという点について我々は疑問に思わざるを得ないのであります。
又経済上の自己を達成するためできる限り行政費を節約するということが強くいわれておるのでありますけれども、これは池田蔵相もこのたびの財政演説の中ではつきりと産業の育成合理化のためにやつて行くのだということを言つておられますが、少くとも日本の行政事務というものの殆んど全部がこの産業の育成のためのものじやないかというふうに私たちは考えておるのであります。ところがその保護助長政策というものに大きな阻害を来すのがこの本案の底を流れるものではないか、そうして常にいわゆる予算がないのだ、貧乏国なんだから公務員も減らして行政費をできるだけ切り詰めて国民の負担を軽くして行かなければならないということが声高く言われるのであります。我々といたしましても当然国民の負担を軽減して行くという形は最も望ましい形であり、常に呼び続けておることでありますけれども、問題はそのような負担の軽減というようなものがどのような形でなされるかという点に問題があるのではないかと考えておるわけであります。ただ一つの例をとつてみましても、私たち治安警察費と申しますか、そういつた非生産的なものに百五十億もかけられておる。又その他いろいろなこのような性絡のものが尨大な予算の比率を占めておるにもかかわらず、僅かな我々の生命を握るものからそういつた形で捻出されて行くという点について心底から納得しがたいものがあるのであります。このような点について特には申上げませんけれども、いわゆる現在の日本の予算の構成というものが、どのような形で誰のために組まれているかという点について、私たちは勤労者の立場から疑問を持たざるを得なくなつて来るのであります。
又先ほど問題になりましたところの地方平衡交付金百億の問題でありますけれども、このような問題につきましても延いては地方公務員の首切りを約束させるものではないかという想像をせざるを得ない。地方制度の体制というものを否定いたしまして、結局現在行われようとしておるところの首切りを、地方までそのような形で押付けて行くのではないかという点が危惧されるわけであります。
又本案は少くとも実体法を無視したものではないかというふうに考えるのであります。これはあとでも触れるはずでありますけれども、少くとも現在におきましては問題になつておりますところの主食の米麦等も少くとも統制の形があるはずであります。ところが常に仮定の問題についてはものが言えないと言つておられるところの現政府が、仮定の上にものを考えて本法律案を提案せられたという点について、私たちは素人ながら疑問に思わざるを得ない。
又これは先ほども再三触れられたことでありますけれども、国家公務員法、或いは教育公務員特例法、或いは労働基準法に規定されておりますところの審査請求というものを、ただ單にこのような多数な首切りをやるときには、手続上、非常に混乱を来たすというような、少くとも本案の提案理由の説明にはそのように書いてありますけれども、そのようなただ單なる理由で最も我々の基本的な権利であるところのこの請求権というものを減却したという点について、大きな疑問を持たざるを得ないのであります。少くとも憲法に保障されたところの人権というものは、いつ如何なる場合においてもこれを保障して行く形こそ、日本の民主主義を推し進めて行くものであつて、このような手続というものは少くとも本案に盛られておるようなものの考え方というものは、日本の法を歪めるものではないかというふうに考えざるを得ないのであります。
又先ほど鹿内先生からもこの救助対策の問題についていろいろお話がありましたけれども、少くとも本法の上程に当つて何らかの具体策があるかと言いますと、全然ないということははつきりと指摘できると思うのであります。この点につきまして、我々といたしましては勿論労働者の予算の中に四千万円ほどの転業補導の予算が組んであるというようなことも聞いておりますけれども、僅かにそのようなもので何ができるかという問題であります。少くとも現在私たちの顯在失業者が三十五万もあり、それが潜在合せますと労働時間によつて違いますでしようけれども、五百地を超えるような顯、潜在失業者があるような時期におきまして、このような形でおつぽり出されるということについては実に忍び得ないのであります。
以上のような点を押しつめて参りますと、私たちはこの本案の提案理由となつておりますいろいろなものの考え方というものが、ただ單に与党の公約というものを押しつける、そのような美名の下に企図された暴挙でしかないというふうに思わざるを得ないのであります。少くともこのような法律案が提案されるからには、誰が見ても誰が聞いても納得し得るような理由がある。そうしてそれに対する施策があつて然るべきであるというふうに考えたわけであります。これが一般的なこの法律案に対する反対理由でありますが、次に私の職場でありますところの農林省の行政整理につきまして若干の矛盾を感ずるのであります。お陰様で主食の統制解除の問題につきましては、これは有識者のかたがたがつねづね指摘されましたように、あらゆる面から少くとも生産者農民に惡影響を及ぼす、又はつきりした見通しがないというようなところから、遅蒔ながらでも政府があのような声明を発せられたということについては、非常に喜びに堪えないのでありますけれども、併しながら先ほども申上げましたように、麦の問題等と関連いたしまして、若干その不定見の名残が、今もこの本案が提案される過程においても眺められるのじやないかというふうに考えるわけであります。少くとも日本の農家というものはここで申上げるまでもなく零細弱体でありまして、それ自体としての資本蓄積というものは全く不可能であります。従いまして国によるところの保護助長政策というものによつてやつと生き延びて行けるというのが現状ではないかと思うのでありますけれども、今回の少くとも農林省の行政整理のうちに現われて来た考え方というものは、私たちはこの農家に対する資本の攻撃ではないかというふうに受取らざるを得ないのであります。とにかく農民というものは、放つておけば死なないまでも生きて行くであろうというようなものの考え方に立つておられるのではないかという疑問を持たざるを得ないような形において、今回の法律案が提案されるという点につきましては、私たち非常に遺憾に思う次第であります。このうちでも特に食糧庁の問題があるわけでありますが、現在食糧庁の人員につきましては、現定員が三万八千二百五十六名のうちに一万六千十四名というものが切られることになつておりますが、この場合この主食の問題の措置によりまして、そのうちの七千九百七十一名というものが或いは復元することになるかと思うのでありますけれども、残りの八千四十三名というものはやはり整理の対象になつている。少くとも今回にも事、農林省に関しまするところの整理、特に食糧庁に対して考えました本法律案の企図というものは、やはり米麦統制の解除というものを前提としたものではなかつたかというふうに考えているのでありますけれども、六日の政府声明によりますれば、時期方法というものはやはり白紙に戻つたと、緊急に考えられるか否かは別といたしまして、形の上ではあくまで白紙に戻つたということだろうと考えております。供出につきましても配給につきましても現状通り継続して行くということであります以上、今回の当初考えられたところの食糧庁の定員法に関する算出の基礎というものは御破算になつたのじやなかろうかと、又明年の四月以降といえども、少くとも現在の態勢のままの人員で進んで行くというのが、公式通りの受取り方ではないかと思うのでありますけれども、その点が非常にあいまいな形において現在も解決されてない。
更にこの食糧庁の人員整理の不可なる理由を挙げますならば、麦についても先ほど申しましたように、統制に関する現行法というものが嚴として存しているのでありまして、たとえこれが将来外れたといたしましても、政府の方針によりますならば、これは外地麦約二百万の麦が入つて来ているのでありますが、これについては全部政府が管理するということになつておりますし、又内地の麦についても無制限に解除するという措置も講ぜられることになつておりますが、いわゆる政府の手特食糧というものがたとえ外れた場合におきましても商業資本に対抗する場合に、その格付なり或いは保管輸送その他の面で今より以上大きな複雑な手続が要るのは当然でありまして、これがいわゆる人員整理に何ら意味を持つておるのかと、むしろ奇異に感ずるのであります。ところがやはりこの問題についてむしろ当初考えられた方向というものが打出されておるということにつきましては、或いは暴言かもわかりませんけれども、先ほど申上げました不定見の譏りを免れないのではないかと思うわけであります。むしろ私たちといたしましては、そのような事態になれば現在の人員を増員すべきではないかというふうに考えておるのであります。
又更にいわゆる検査職員の大巾整理というものが現在俎上に上つておりますけれども、この問題につきましては、これは本年の四月でありますか、農産物検査法というものが現在の与党の議員のかたによつて提案されまして、少くとも形といたしましては食糧統制の業務とは別個の形で制定せられたところの農産物検査法によつてこの業務を行なつて行くということが決定しておるはずであります。そうして更にこの検査業務というものは今後食糧事情の安定に伴いまして、いわゆる農産物の品質に対する嗜好というものがだんだん強くなつて参りますに伴いまして、現在以上にその業務というものは複雑化を予想させるわけでありますけれども、更にそれに伴つて技術の向上も図らなければならないのであります。又同法によりますればたとえ米麦がはずされたといたしましても、すべての主食に関します限りは、いわゆる全量強制検査ということが建前となつておるはずであります。でありまするからこの業務に関しまする限り今後も業務は量的に全く変化がないはずであります。又これは常に言われておることでありまして、現在ではすでに常識になつておることでありますけれども、食糧庁の職員の人員整理というものによつて財政の負担軽減には全然ならないのであります。と申しますのは、食糧庁の職員というものは、特別会計におきましていわゆる米麦の統制に要する中間経費で賄つておると、而もその中間経費というものは自由経済時代、いわゆる米麦の統制以前におきましては、二一・三%ですかそれくらいの額であつたものが、現在の統制下におきましては僅かに一三・四%に過ぎないというようなことは、はつきりと資料に出ておりますが、少くとも食糧庁の人員整理によつて中間経費を節減するというような必要はないのであります。
でいずれを取上げて見ましても、少くとも現在のような形で出されておるところの食糧庁に対する人員整理の問題については納得行きがたい面ばかりであります。これが未だに検査部門に関しましても五割その他のそれ以上の率がかけられておるという点について、どのようなものの考え方に立つておられるのか、我々としては疑問以外の何ものでもないわけであります。
次に統計調査部の問題でありますが、これはこの業務につきましては、ただ單に国の数字というものを作り上げるということじやなくして、この仕事を通じて地方行政に役立つところの統計として大きく評価されて来たのではなかつたか、又重点は少くとも農林行政の基礎を作るという意味での統計というものが強調されて来たはずであります。それで少くともその当初企画されましたところの統計調査事務というものを行なつて行くためには、現在の人員というものは絶対に確保されなければやつて行けないということは、これは誰が考えてもわかつておることでありまして、むしろ増員さえ要求されておるのであります。ところがその現定員の一万四千九百四十二名というものを六千五百二十名も減らすという考え方が未だに残つておる。この点につきましては、農作物統計にいたしましても少くともこれは統制の問題と切り離して考えるべきでありますし、これがたとえ自由経済に移行いたしましても調査の重要性というものは増大するばかりであります。即ちますます国内の生産高の的確な把握或いはその上に立ちましたところの適切な海外食糧の輸入或いは増産対策、いろいろな面からこの農産物統計という業務は更に整理擴充されて行かなければならない。又農家の経済調査、これはいろいろあるわけでありますが、経営調査にいたしましても或いは農村の物価の問題、或いは農産物の生産費の問題、このような調査統計というものは現在までなされていなかつたところに日本の農業の脆弱面の最も大きな点があつたわけでありまして、今後はこのような農村を復興し、発展させて行くためには、むしろ現在のこの調査というものを擴充強化すべきはずであります。又そのほか統計調査といたしまして、林業、畜産その他いろいろの調査があるわけでありまして、更に現在まで水産統計というようなことは全然行われていなかつたのでありますけれども、ようやくその端緒につきまして成果を挙げつつある過程におきまして、このような大幅の人員整理というものが考えられたという点について非常に疑問に思うものであります。又先ほど申上げましたように、統制との関連の問題で政府はより以上にこの問題を重視して当初の定員法の改正というものが考えられたようでありますけれども、そうであるとするならば、少くとも米麦の問題があのようになりました際に当然この問題についても考え方が発表されて然るべきであつたにかかわらず、この点についても未だに明らかにされていないという点も疑問の一つであります。
なお更に農地局等の問題でありますが、これはここで申上げるまでもなく、農業経営の合理化或いは農業の生産力の擴充というような点から、少くとも農業の自立態勢というものを通じまして我々は日本の経済再建というものを考えて行かなければならないのでありますが、そのための治山、治水という仕事に関する農地の現在行なつておる仕事という点については、これは多言を要しないところでありまして、少くとも今度の補正予算におきましても多額の予算が組まれておることも御承知の通りであります。ところがこの農地におきましては昭和二十二年以来五千何名のうち約二千名以上の者が整理されておりまして三千五百名程度でやつとこの事業をやつております。それも臨時職員、枠外職員というものを雇つて、いわゆる現在の政府が考えておられますような公共事業、農業改良というものの仕事に挺身しておるにもかかわらず、これに対しましても同じような整理の率で以て望んでおられる。本案の提案理由にははつきりと業務の実態に即応した形においてということが謳つてあつたのにもかかわらず、そのような措置がとられておるのであります。又農地改革の事務にいたしましても一応一段落は遂げておりますけれども、二百万町歩に及ぶような仕事をしておりまして、その残務整理だけでも厖大な仕事になつております。
その他農林省関係で繭絲局の問題でも絲価安定法というものが通つておるにもかかわらず、一般の整理率が来ておる、むしろ増員しなければならない段階なのであります。或いは水産関係にいたしましても同様でありまして、特に林野庁の問題でありますが、これに対しましても一〇%、五%というような形で来ておりますが、これも蚕絲局と同じように国有林野事業では、二十六年度の補正予算で林野整備に関する、或いは森林組合同連合会再建整備補助というようなことで予算増になつておりまして、事業分量は殖え、当然人員も殖えなければならないにもかかわらず、やはり一〇%、五%というような整理が来ておる。又司法権を持つていわゆる国有林の管理に当つておる職員が二千九百五十六名もあるのでありますけれども、本案で取扱われておるところのこのようなものに対する比率とこの場合とは全然違つておると、又少くとも国有林野事業というものは現業というような性格を持つておることはこの前の人事院の指定によりましても明らかなところであるにもかかわらず普通の現業が五%なり二・五%ということになつておるにもかかわらずこれが一〇%というような形で、どの一つを取上げて見ましても農林省の人員整理というものについては常識では考えられない、このような点があるのであります。今後ますます助長して行かなければならないところの肥料、農薬その他に対する生産費用の検査、或いは試験場関係、先ほど申上げましたけれども、漁業協定の参加或いは遠洋漁業の取締等で水産庁に関しましては水産省というような構想さえあるのであります。このような点があるにもかかわらず、先ほど申しげましたように、農林省に対しまして厖大な整理が来ておるという点、いわゆる現業の業務に副つてなされたものかどうか、全く我々としては、了解に苦しむのであります。
これが農林省に対します、本案の農林省関係部門に対する私の見解でありますが、更に農林省だけでなくして例えば郵政省にいたしましても、次のような不合理な面が本法律案の中で出て来ておるのであります。御承知のように郵政省は全国に約一万三千の特定局がありますけれども、その局長は管理部門に属する所がこれをこの率で整理して参りますと、二千六百くらいの局長のいない局が出て来るのであります。このように又七千くらいの局では三人或いは二人くらいしかいない局があるのでありますけれども、このような行政整理は結局そのような局を潰すことと全く同じ形になるのじやないか。又このような地方局の現業の五%というような整理を適用しますことは、結局業務の遂行を不可能にする以外の何ものでもないのであります。又郵政本省の管理事務にいたしましてもこれは国鉄と同様でありまして現業的な仕事をしておるのでありますから、現業に対する本案の基本理念というものとの矛盾をこの場合にも指摘せざるを得ないのであります。又郵政省というものは御承知のようにこれは申上げるまでもなく企業事業でありましてお客さんにサービスをしなければならないと、その人間を切つてしまつてさて事業量がふえてしまつた、これではいかんということで臨時職員を雇つて来て業務をやつて行かなくちやならない。このような形で結局普通の定員の者に臨時雇いで以て、而も不当に安い料金で以てやつて行かなければならないというような不合理な面があるのであります。又現在特定局の従業員で本定員に切換えるべき常時の非常勤というものが約五千名もおるのでありまして、むしろこのようなものを増員すべき段階にあるにもかかわらず、一般の整理率が適用されておる。
これは電気通信省の場合も同様でありまして、この法律案では大巾な整理が参つておりますが、昭和二十三年以来電気通信省関係では四万二千二百二十五名というような整理がなされておりまして、その事務過重というものは極端なほどに高まつておるのであります。
昭和二十三年にこれは結核を例にとりますと、要注意者が三千七百五十八名で療養を要する者が一千四百四十八名あつたものが、昭和二十五年にはそれぞれ一万一千六百十八名と三千五百六十名というような形で僅か三年か四年の間にこのように殖えて来ておると。これは農林省の場合も同様でありますが、本委員会の調査のかたが農林省に来られましたときにも私たちが農林省八万名のうち八千名は結核であるということを申上げましたら、そのパーセンテージはおかしいじやないかということを言つおられました。先ほどいろいろ官吏は能率が惡い、遊んでおるというような点を御指摘になつたこともありますけれども、少くとも農林省の職員にいたしましても、郵政省の職員にいたしましても、日曜或いは土曜の休を知らないような形で業務に従事しておるのが実態であります。而もそれでも足りないで非常勤その他の職員で賄つておる。それが高じては現在の定員率で結局結核その他の療養をしなければならないという事態に追込まれておるのが実情であります。或いは御指摘のように能率が惡いかも知れない、併しながら能率や才能というものが問題にならないくらいの業務過重に陷つているのが一般官庁の実態ではないかと私たちはかように考えるのであります。
又先ほど石先生からお話がありました国立大学の整理の問題でありますが、これも来年は大学をもう一年殖やさなければならないという段階、而も二千五百名の教官の欠員があるにもかかわらず同じような整理率が来ておる。而も一般事務職員には七・六%というような率で来ておるわけでありますが、少くともこのような考え方というものは現在六三三四制の堅持ということを言つておるような基本的なものの考え方と矛盾するのではないか。学校について石先生のお話がありましたけれども、この二十三年には三千五百七十六名を減じまして、今回の二千八百名を加えた六千三百七十六名に減ずるというようなことでもうとことんの状態にまで来ておるのであります。又この状態は運輸本省におきましても同様な状態でありまして、冒頭で指摘いたしましたように、本法律案に対しまして、私たちはその立法の手続或いはその及ぼす事後の措置の問題その他のいろいろの点において只今申上げましたような観点から反対の意見を述べざるを得ないのであります。願くは本委員会におきましては、是非このような実態があるということを御推察の上御善処願いたいというふうに切に希望いたして、非常に時間が過ぎましたけれども私の公述に代えさして頂きたいと考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/47
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048・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 有難うございました。有馬君の御発言に対しまして御質疑がありましたらこの際願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/48
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049・成瀬幡治
○成瀬幡治君 国民七人半当り一人の公務員だ、こういうのに対して、それは間違つておる国民十九人当り一人の割合である、こういうふうに今発表をされて数字を出されたわけですけれども、これはどこで御調査になつたものか、或いは官庁で調査された数字か、その辺ちよつと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/49
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050・有馬輝武
○公述人(有馬輝武君) これは一般商業新聞の調査によります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/50
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051・楠見義男
○楠見義男君 一番初めにお述べになつた昭和六年と二十六年の数の比較なんですがね。この問題は実は私も委員会で行政管理庁にその数字を出してもらうようにかねがねお願いしておるのですが、なかなか出て来ないのです、それは調査か困難だということで。いろいろ参考資料を頂いておりますがまだ十分見ておりませんが、その中にそういう数字が入つておりませんか。若し入つておらなければ別の機会にでもできる程度のものでお作り頂ければ非常に参考になると思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/51
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052・有馬輝武
○公述人(有馬輝武君) 組合の調査部で調査いたしておりますので資料を持つて後日お届けいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/52
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053・楠見義男
○楠見義男君 お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/53
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054・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 御質疑もないと認めますから、次は日本商工会議所専務理事吉阪君の御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/54
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055・吉阪俊藏
○公述人(吉阪俊藏君) 私は日本商工会議所の専務理事でございますが、実は前身は先ほど有馬さんからもお話になりましたいわゆる古手の官僚でございまして、学校を出ましてすぐお役所に入り、地方にも暫くおり、外国にもおり二十三年間役人としては割合にまじめに働いたほうのものだと思つております。その私が体験に基きまして今回の定員法を拜見いたしまして、そして定員法の改正に賛成をいたすものでございます。
私はたびたびこちらにも上りまして、或いは予算委員会等におきまして申上げたのでありますが、戰後日本の行政機構が非常に尨大になり且つ又複雑になつて来ておるのであります。職員の数も非常に激増しておることは申すまでもなく、そして能力が片一方においては下つておつて、敗戰後の日本の国力に全く相応しないというような状態になつておるわけであります。昭和二十四年に本多国務相のときに明治以降画期的であるという行政整理が施行せられましたが、そのときには二十三万人というものが減じられたのでありまするけれども、併しなお今日におきまして我々国民の租税負担は依然として重圧なのでございます。而も今回講和條約が調印せられまして新たに財政負担が加わるような情勢にもございます。更に又国際関係から見まして警察予備隊を増強せなければならんというような必要も認められておるのでございますから、こういう際には特に費用と申しますか国費をできるだけ一つ節約して頂かなければならんと思うのであります。日本商工会議所といたしましては去る九月の未に総会を開きましたところ、その際やはり行政整理に対する要望が非常に強く出まして、そして現在の租税の状況は過重である、これが企業意欲を減殺し又資本の蓄積を妨げておるのである。減税するためにはどうしても行政整理を徹底的に行う、これは中央だけでなく地方も通じて戰後の国力に相応するように一つ思い切つて削減して頂かなければならんという決議が通過いたしたのであります。この趣旨からいたしますと、今回の定員法の改正というのはまだまだ非常に手ぬるい、不徹底であるということを申さなければならないかと存ずるのでございます。
第一に今回の定員法の改正というものは原則として天引主義になつておるのであります。八十六万人のうち約九万人ということでありまして、国会や裁判所を入れましても十二万人というようなことでございますが、なぜ機構改革というものに触れてなさらなかつたかという、こういうことを非常に遺憾に存ずる次第であります。機構改革をしないでおけばやはり仕事そのものは減らないのでございます。又今日人減らしをしていつか又自然に人が殖えて来ると、こういうようなことになりはしないかということを恐れるものでございます。私どもは勿論政府に有効適切な仕事をしてもらいたいのでありますが、それ以上にはやれないのであります。政府が仕事をし過ぎるということは決して健全な国家とは思われないのであります、政府が仕事をし過ぎますことはそれだけ民間の仕事の邪魔をしておることであります。正当なる国家の発展を阻害しておることであります。むしろ政府は仕事をしないほうがいいと極論すればそういうことになるのでありますが、民間でできる仕事はできるだけ民間にやらせる、こういうことが能率を上げるゆえんである、又国民のためになることである。こういうふうに信じておるのであります。一例を申上げますると例えば電信電話、電通省というものがございますが、この電信電話を一つ民営にして頂きたい。今回は電通省で十五万二千人の中から九千人ばかりというものを整理されることになつておりますが、私のほうから申しますと九千人だけを残してあと全部整理なすつて更に民営に移して行つてもいいのではないか。そうしたほうが電話なんかも復旧をいたします、急速に発達をいたします、サービスもよくなります、そうして仕事の口が殖えるのであります。又給与もよくなるのであります。先ほど楠見さんや竹下さんから御心配がございましたけれども、そんなような質問者の心配はないので却つて殖えるのであります。なおそのほかの事業にいたしましても、鉄道やたばこの問題なんかにいたしてもやはり同じではないかと私は思うのであります。それから政府にはいろいろな附属機関というものがございます。試験所研究所なんというものも随分たくさんできておるのであります。これが初めてできましたときには成るほど日本の国の水準といいますか、尖端を行つて如何にも民間に対して範を垂れるような趣旨でありますが、数年たつて行くというともう民間のほうが発達してしまいまして、そうしてもう民間のほうでは相手にしない、振り向きもしないと、政府のほうでは相変らず骨董的な研究を続けていると、こういうふうなものが相当ありはせんかと思うのでありますが、こういうものなんかも整理をするとか、或いは民間に任せてしまうというようなことがいいのではないかと、そういうふうに考えるのでございます。とにかく今度は天引の整理でございますけれども、この次には近い機会にもう是非ともこの行政機構の改革ということに伴う行政整理の案を御提出下さるようにお願いしたいと思います。
それから第二に人減らしということでございますが、これも小物を減らすというのでは大した経費の節減にはならないのではないか。もつと大物を減らして頂きたいということであります。昔の親任官に当る認証官というのが大臣を加えても五十八名もあるということでございますが、こういうところを減すというと相当給与だけではございませんで、旅費の点においても或いは自動車の費用や何かも皆くつついて節約になるのでありまするからして、従つて節約というものは大きいと思うのです。小さいところばかりを御節約になるのでは物足りないように私は考えます。
それから第三に政府機構の中でも戰後極めて目立つておるものがございますが、例えば人事院というようなもの、この人事院が定員数が一千三百十人で会計検査院よりも大きいのであります。会計検査院が千二百四十八人でございます。予算からいうても人事院とは非常に大きなものができておるのであります。これなぞはうんと縮小するかむしろこれを廃止してしまうことが私はできると、又廃止したほうがいいと信ずるのであります。人事院ができました理由は政党政治、いわゆる猟官の弊害を防ぐとか或いは学閥の弊害を防ぐとかなんとかいうようなことからできたということでありますけれども、人事院がなくてもそのぐらいのことはできると思います。それから又人事院がありましても弊害を、猟官をなしくてしまうというようなことは絶対になくするということは、これは又不可能なことであると私は思うのであります。各省に今でもやはり祕書課、人事課というものがある、昔は内閣に人事課というものがちやんとあつた、こういうものと連絡をとつておれば人事院だけの仕事ができると思うのであります。給与なんかのお調べがありましようけれども給与につきましても、物価のことなり或いは民間との振合というようなものは、人事院でなくてもどこでもこのぐらいのことは調べておかなければならんことであります。そして民間の働きと、役所の働きとはよほど違うものでありまして、民間の給与がよいからというので、そして政府の給与もその通り行かなければならんということはないのであります。尤も働き方においてよほど能率が違うということも考えておいて行かなければならないと思うのであります。
又第四に人事院のほか新型のいわゆる戰後の行政機関がございますが、その一つがいわゆる行政委員会でございます。今度も行政委員会は大分天引の整理が出ておるようでありますが、この行政委員会の数だけ申上げましても二十二もできておるのであります。行政委員会という名前で実は官庁であるわけであります。今度の定員法の改正では地方行政調査委員会議がなくなるようになつておりますが、そのほかまだ、もうなくしてもいい、少くとも縮小していいものがあるのではないか。少くとも委員会を見ておりますと、委員会の事務量に対しまして委員の数というものが多過ぎるというように感じます。それで委員の中には特別職の常勤のかたがやはり大臣、級或いはその他似たような高給をとつておられるのでありますが、これはもう非常勤で結構で非常勤の普通職にしてしまつたほうがいいのではないか。非常勤としましてそして給与もいわゆる実費弁償主義になされば相当の経費の節約ができるのではないかと思います。先ほどの人事院もその一つでありますけれども、そのほか電波監理についても七人の人が六年というような長期に亘る任期で以てかねておられるので、非常に大きなものが出ております。文化財の委員会にいたしましても、公益事業委員会にいたしましても、いろいろそのほかの委員会でも研究の余地があるものが相当あると思うのであります。
第五に、この経済統制の撤廃によつて事務を縮小したものについて整理をするということが今度の法案の理由書にも書いてございます。これは当り前のことでございます。経済安定本部はどうなるかというとやはりちやんと残つておるのでありまして、その中で物価庁とか或いは経済調査局なんかを見ますとなくなつていないのみならず、人もまだ半分以上残るというような状態であります。これはもつと減らすことができるのではないかと思います。伝えられるところによりますとこういう所で働いておるかたは外地からお帰りになつたかたが非常に多い、殊に又家族持の年齢の高い人が多いので、多少手心が加えられたような噂があるのでありますが、若しそれが事実であるとするならばこれは私は間違つておると思います。整理は整理なんである。役所というものを何か養老院と申しますか失業救済の場所というようなことにしては、これはいかんと思います。退職手当は十分に出して、いわゆる失業救済としては十分にやる、それで一方で整理はやる、要らない官庁はどんどんとやめて行く、その代りに思い切つてやはりこの退職手当の予算はとつて頂いて、そうしてたとえ外地帰りでありましても、家族持でありましても、高齢の者であつても心配のないように一つして頂かなければならんと思うのであります。
それから又余りにこの失業のことを御心配になつておるようでありますが、講和條約が批准せられるというようになりますと、外務省関係なんというものは相当大変やはり増員の必要ができて来るのではないかと思う。そのほか海上保安庁にいたしましても或いは予備隊にいたしましても、そのほかいろいろ強化されなければならん方面があるのでありますから、そういう方面で一つ配置転換というようなことも一つ、外地関係の人なんか外務省関係なんかでも一つ考えるというようなことができるのではないかと思う。それから統制問題からいうと、今の米麦の統制解除の問題が何か延びるそうでありまして、私はこれは残念なことだと思うのであります。どうもまあこれは別に心配があるのでありましようけれども、私は、この麦のほうはまあ問題はありませんが、米にいたしましても、需給関係からいつて心配ない思とう。実際反別にいたしましても実收獲にいたしましても、過小申告が行われておるということは誰でも知つておることなんです。嘘が行われておる。それで帳面を二つ作つたりなんかしておる、或いは闇のかつぎ屋が横行しておるというような、嘘が当り前だというような、こういう世間の状況というものは一日も早く改めて、やはり正直な明るい世界にしなければいかんと思う。これが第一だと思う。行政整理よりもその嘘の世の中を改めまして申告も正直にする、そうして正当なルートで米が流れて行く。最短距離の所をだんだんこれが流れてそうして消費者のほうに渡つて行く、変な中間の統制手数料というようなものはどんどんやめてしまつて、実際の費用を取るようにするというようなところに直して行かなければならんのじやないかと思うのであります。仮に六千三百万石といたしましても更に麦が二千万乃至二千五百万もある、いもが五百万もあるというようなことでありますと、相当私は食糧というものはあると思うのであります。政府としてはただ準備が足りないというようなことを言われておるのでありますが、一方において粉食の奨励をする。第一日本人は食い過ぎるのであります。三合七勺を三合何勺に殖やすとか何とかいうことがありますが、私ども戰争中に聞いておる学者の意見でも、二合五勺で以て十分だ、昔から井上正鉄先生なんという人は御飯は二杯でもう結構だ、貝原益軒先生は腹八分にして医者要らずということを言つておるのであります。これが本当にいいので、こういうふうな節米運動といいますか、節食運動というものを一つ奨励して頂けば、二合五勺でやつて行けば皆食つて行けるのであります。そのほうが又健康なのであります。私は河井委員長に一つ読んで頂きたいと思いまして、節食は命を延ばす、これは個人の命だけではありません、国家の命も延ばす、節食延命経というものを持つて来たのでありますが、これをあとで一つ読んで頂きたいと思います。日本人の食い過ぎはおなかをこわしたり、病気になつたりして、そうして医療費とか健康保険とかいうことになつておるのでありますが、私は禊教の趣旨でもう二杯以上は食べないということを数年来やつております。それがために幸いにして商工会議所に五年七カ月おりますが、腹をこわして休んだというようなことは一度もございません。これはむしろ節食が非常に結構だと、こういうふうに思つております。
それから細かいことを申上げますが、一々これは批評して行くときりがないのでありますが、例えばここに横尾さんもいらつしやるのでありますが、科学技術協議会というようなのがございます。この科学技術協議会のいわゆるスタツフなんか、人文科学も自然科学も一緒にやつているのですが、先ず考えからいえば結構でありますが、人文科学なんかは科学技術協議会からとつてしまつたほうがいいと思います。これは工業技術だけでいいのであります。そういうようなことにすればもつと減らすことができるのじやないかと思います。そのほか文部省関係で国立大学が今七十四もできております。こんなにたくさんとても要りはしません。これも重点主義にしまして、そうしていい所だけを残して存立のむずかしいような所はやめて頂けば、それだけでも非常な経費の節減になるのじやないかと思います。
それから労働基凖法関係では朝からいろいろございましたが、今度は大分減員にはなるようでありますけれども、これ又世間では一番いやがられておる役人というのは、税務関係の次は労働基準官吏が非常にいやがられておる。殊に地方の工場では基準官吏がたかりに来るということを非常にいやがつておるのであります。こういうことを政府も一つ知つて頂きたいのであります。日本では基準官吏だけでも三千六百人もおるのであります。こんなにたくさん基準官吏のおる国というのは世界中にありやしません。これは日本だけであります。日本だけの基準法というもので重箱の隅をようじでつつく以上のことをやつておるのであります。つまり要らんことまで干渉をする、そのためにどれだけ生産を阻害しているかわからないのです。決して労働者は保護されておるのじやありません。労働者のほうからいいましてもそんなに保護されなければやつて行けないような労働者ならば私は駄目だと思うのです。もはや健全な労働組合というものができておるのでありますから、みずから助けみずから守つて行く、こういうような方向に進めて行けばよろしいのでありまして、助長行政ならいざ知らず、監督行政の人をそうたくさん置く必要はないのであります。こんなにたくさん置くということは結局国家の発達の邪魔をしておるということになるのじやないかと思います。これは特に私は労働基凖の仕事を十年以上もやりました自分の体験から申すわけでございます。
それから婦人少年局なんというものはこれはもうやめになるかと思つておると、何だか残つたのでありますが、今度はせめて一割か二割くらいは整理されておるのかと思うと一つも手を触れていないのです。昨日までは廃止をするといつておつたものが残つた、而も全部残すなんということはこれは少しどうかと思うのでありますが、この婦人少年局の仕事を見ますと、例えば婦人労働の仕事、或いは少年労働課というものもございます。これなんかは労働基準局に置けばいいのです、労働基準局にすれば、基準局として正当だと思う仕事をするのであります。婦人少年局に入つたために、これは労働基準法の中の一番中心になる大事な仕事が基準局から離れて婦人少年局の仕事になつてしまつておる。それから婦人課なんというようなこんな変てこな滑稽な課はないのでありまして、何でも婦人のためにラジオの放送をするとか、やれ何とか雑誌を出すとか面白いような所で、その組織規程を見ますと、「婦人問題及び労働者の家族問題に関するラジオ、映画その他の方法による刊行発表の資料整備に関すること。」、こんなことをやる所なんです。ラジオ、映画をするというのなら格別でありますが、その資料整備に関する事項をやるのですからくだらない、(笑声)本当に話にならないような課があるわけであります。こんなものをなぜ御整理にならないか。それで婦人の地位を向上するというのならば、婦人の大臣をお作りになる、或いは婦人の次官をお作りになる、或いはその他の役所でも婦人を参加させてずつと御採用になれば、婦人の地位は向上するのであります。婦人少年局なんというようなものに押込めておいて、そういう所に偏在させてそれで婦人局長さんを一人置いたからといつて、婦人の地位というものは私は向上するものじやない、こういうように考えるのであります。
それから最後に一言いたしたいことは、この人員整理だけが行政整理ではないと申すことであります。人員整理だけやつてそれで行政整理をしたなんと思われては困るのであります。実際に冗費を節約して頂きたいのであります。それで電燈をともして役所の中でマージヤンをやつておるというようなことが惡いと思うのであります。こういうようなことをやめて僅かなことでも電燈の節約をして頂く。そのためには国会のほうでも、或いは政府におかれましても、国費を如何にしたら節約ができるかということについての協議会をときどき開いて頂いて、そうしてその無駄使いというものを排除するようにして頂きたい。役所の自動車が三越へ行つているようなことがよくありますからこういうことはよく一つ気を付けて頂きたいと思うのです。それからこの行政整理ということは今回だけではありません。これもしよつちう一つやつて頂きたい。これはじつとしていると丁度人間に垢が溜るように、自然いつの間にか人間というものは殖えて行くのであります。家の中で大掃除してがらくたを整理すると同じように(笑声)ときどきやはり是非行政整理をする。やはりお風呂に入るのと同じような道理でありますが、それをやらなければ放漫になつてしまいます。そういう意味合におきまして私は今回の定員法の改正に賛成をいたすものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/55
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056・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 有難うございました。只今の吉阪さんの御発言に対しまして御質疑がありまするならば、この際お願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/56
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057・楠見義男
○楠見義男君 ちよつと吉阪さんにお尋ねしますが、今お述べになつたことじやないのですが、丁度今日お見えになつた公述人のかたがたの中であなたが一番まあ関係が深いというわけでお伺いするのですが、それは具体的の問題なんで恐縮ですが、公取委員会ですね、それから公益事業委員会、それから大蔵省関係の証券取引委員会ですね、こういうものについての御意見といいましようか、御所見を伺いたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/57
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058・吉阪俊藏
○公述人(吉阪俊藏君) 公取も独占禁止法なり事業者団体法が改正になるか廃止になれば勿論要らなくなると思いますが、あれは三百人ばかりおられますか非常に大きなものですね。私は三井ビルに行つて非常に驚くのです。委員は勿論認証官であります。あんなに公取というものは人が要るか、これは一つ御検討の必要があると思いますね。殊にあれは一種の司法事務ですから行政委員会の事務はどういうふうに持つて行くかということも考えなければならんかと思います。公益事業委員会もこれ又変なものだというので今問題になつていますから、余り批判をすると、(笑声)殊に私の恩師が委員長をしておられますから何でありますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/58
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059・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 吉阪さんにちよつと申上げますが、この公聴会の初めに一言申しておきましたのですが、今回この臨時国会には定員法の改正案だけ出して、この次の通常国会に機構改革は出すのだ、こういう政府の説明があつたのです。でありますからそのことを初めに申しておきましたが丁度お見えがありませんでした。併し只今の御発言は誠に結構でありますからそれだけちよつとお含み下さるよ申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/59
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060・成瀬幡治
○成瀬幡治君 工業試験所というようなものは民間に任したほうがいいじやないかというような御意見に伺つたわけですが、実は私の直接聞いておるのは陶器の工業試験所に関してですけれども、中小企業の人、つまり輸出貿易に携わる人たち、その経営者の人たちからこういうものは是非潰してくれちや困る、そうしてくれなければ私たちの自己資本の小さなものでは何も研究ができない、だから一つ国でこういうものはやつて頂きたいということを熱烈に要望されておるわけです。それに対してあなたの御意見はどうも反対のようなんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/60
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061・吉阪俊藏
○公述人(吉阪俊藏君) それはものによつて違いますけれどもやはり国でやるという感じがまだ一部には非常に強いんですね、何でも国家がやるものだというようなことで。だから現在組合がやるべきような仕事を府県がやつたり、或いは国家でやつておるようなものもたくさんありますね、試験所や研究所でも。府県がやるべきものを国家がやるならいいんです。国家がやつておるものを府県に移し、府県がやつているものを組合に移すぐらいのことも考えられる。勿論陶器試験所は少し意味が違うかも知れません。これはフランスでも国立の非常にいいものをこしらえたり何かいたしておりますが、併しこれも民間でできないことはないのでありますけれども。それから又非常によくやつておられる試験所もあります。電気通信研究所ですか、これは最近できました、これは試験所の中でも実に優秀なものだと思います。現在も短波の試験を主としてやつておられる、無線をやつておられますが、非常に尖端を行つております。日本の電気通信も将来ああいうふうにずつとそういうふうな方向に向つて進んで行くだろうと思いますが、併し中にはあつてもなくてもいいようなのもあるのでございますね。地方で私は見に行きませんが、例えば工芸試験所ですが、何か方々にできておるようでありますが、大分問題があるんじやございませんですか、工芸試験所なんかでも。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/61
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062・成瀬幡治
○成瀬幡治君 それは市でやるとか、県でやつておるものですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/62
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063・吉阪俊藏
○公述人(吉阪俊藏君) 工芸試験所、県のもありますが、どなたか選挙地盤のかたがおいでになるかもしれませんが、どうも地方的のことをやつておるんじやないかと思いますね。国家がやるとするならば、国実がやるような行き方があると思うのですね。
それから労働で言えば安全研究所なんというものがありますが、民間で労働心理、衛生など大原の科学研究所なんかでもよくやつております。これは民間で政府と重複したようなことをやつておりますが民間がどんどん尖端を切つております。労働者もだからよほどしつかりせんといかんと思います。むしろ補助金や委託金だけを与えて民間で自由にやらせる、職員もそこに落着いて研究するようにしたほうが能率が上るのじやないか、そういう式のものがまだほかにも相当あると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/63
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064・竹下豐次
○竹下豐次君 そのお話ですね、民間で政府が手を引けば自分たちがしつかりやるのだという気分が相当強いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/64
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065・吉阪俊藏
○公述人(吉阪俊藏君) 電話なんかやりますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/65
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066・竹下豐次
○竹下豐次君 但し政府の補助がうんとあればというわけじやないんですか。政府の補助を頼つてやるようなことでしたら力強い研究ができないのではないかと思うのです。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/66
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067・吉阪俊藏
○公述人(吉阪俊藏君) それは或る場合は補助は欲しがるでしようけれども、それでも補助だけで政府の負担は済んでしまうのですね。能率が上ればいいと思うので、補助にプラスするに民間の資金も加えて来るだろうと思うのですね。もつと大きな事業家が出て来ればできるでしようが、政府だといろいろな制限があるのです。例えばこちらの名前をいえば機械試験所というようなもの、よく御存じだと思いますが、機械試験所では古い機械がそのまま残つている。ああいうものは民間の試験所だつたら古い機械はどんどん処分してしまつて、新らしい機械と代えて仕事をする。それが政府のものだつたらそれを処分しても自分の方の利益にならないで大蔵省の收入になつてしまう。それで厖大なものを抱えて錆びつかせておる。中小企業へやつたら喜んで処分する、或いはスクラツプにでもなるようなものがそのまま寝でおりますが、民間の試験所ならもつとやると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/67
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068・上條愛一
○上條愛一君 吉阪さんに一つお伺いしたい。吉阪さんは長い間国際労働機関にも関係されておつて、その道の権威者であられると思いますが、一つお尋ねしたいのは、労働基準法の問題です。今日労働基準法が存在しておりまして、中小企業におきましてはこれが実施せられておらないのが多数存在しておるようですが、それで只今おつしやつたように労働基準法の実施についての一番の根本的の対策は労働組合の組織だと思います。私どもも労働組合があつて十分に労働基準法が適用されておるように監視し、又促進して行くべきであるとこう考えております。ところが現実は、日本の労働組合は大企業、大工場には存在しておりますけれども中小工場には存在しておらないのが多いのです。これは政府も放任しておりますし、経労者は労働組合の組織されることをむしろ阻止しております関係上、無組織の状態に放置されておるわけです。それでそれでは労働基準法の適用されておらない工場に如何にしたらば労働基準法を適用できるかということは問題だと思います。それで労働基準監督官が、今おつしやるように三千六百名から存在しておつてなお労働基準法が実施されておらない、この現実からしてどうしたならばそれでは労働基準法の運用が完全に行くよう処置が行われかという問題であると思います。吉阪さんは三千六百人も多いからもつと減らせという御議論でありますが、基準法はまだ三千六百人おつてやつていても適用されておらない現状おいて、人数を減らして果して運営がうまく行くかどうか、こういう問題です。この点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/68
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069・吉阪俊藏
○公述人(吉阪俊藏君) それは私は労働組合がもつと発達すればもう基凖法の範囲というものは縮小していい。労働組合がずつと伸びるだけ片一方の法律の保護法は滅つて行つていいと思う。ところが保護法関係は、基準法関係だけではございませんが、保護法関係は八千人使つておる。八千人という人間は大変だ。これだけ保護されなければやつて行けない日本の工場というものは実際に気の毒だと思う。それから基準法の内容自体にも惡い所が非常にあると思います。それから日本とかスキツツルとかいうような小さい国は、法律ができるとどこまでも重箱の隅をようじでつつくようにやるのでございますね。御承知の通り中華民国にも労働法がある。適用はわかりませんが……。アメリカなんかの労働法の適用と日本の労働法の適用と比べると非常な差異がありますね。あちらはむしろ常識的にやつて、すりこ木で重箱の隅をこすつているような状態でやつているのですね。日本は細かいです。そこでそういうような国柄でありますから、法律をこしらえるときはむしろ大まかにこしらえたほうがいいので、アメリカのような国こそ細かくこしらえていいのじやないかと思うのでありますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/69
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070・上條愛一
○上條愛一君 それわよくわかりますけれども、労働組合のある所は実際は労働基準法を適用しておるのであります。それで今おつしやるように、基準法があつても、今私ども繊維関係を担当しておりますが、十時間、十二時間極端なのは十四時間くらいも労働時間が実施されておるのです。そういうことから労働基準法がいいか惡いかということになれば、これは根本的な問題になりまするからここで論じても如何かと思いますが、私は少くとも日本の現状においては中小企業においても労働基凖法くらいは実施しなければ、日本の労働階級は救われないという考えを持つておりますが、そこでこの労働基準法を実施するためにはどうしたらいいかということが問題になつておるのであります。これは議論になりますから私これ以上申上げませんが、私はそういう考えで必ずしも労働基凖監督官の減少ということが妥当であるかどうかということについては意見を持つているいるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/70
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071・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 散会に先立ちまして内閣委員会を代表いたしまして、公述人諸君に厚く御礼を申上げます。本日は有益なる御意見を拜聽いたしまして、内閣委員会においてこの定員法の審議の上のみならず、いわゆる行政整理の審議の上に非常に有益な参考を得た次第であります。誠に有難うございました。これを以て散会いたします。
午後三時三十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X00819511108/71
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