1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十一月三十日(金曜日)
午後一時二十七分開会
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出席者は左の通り。
委員長 河井 彌八君
理事
松平 勇雄君
溝淵 春次君
山花 秀雄君
委員
楠瀬 常猪君
郡 祐一君
横尾 龍君
楠見 義男君
竹下 豐次君
成瀬 幡治君
カニエ邦彦君
栗栖 赳夫君
三好 始君
三浦 辰雄君
館 哲二君
国務大臣
郵 政 大 臣
電気通信大臣 佐藤 榮作君
厚 生 大 臣 橋本 龍伍君
政府委員
内閣官房長官 岡崎 勝男君
行政管理政務次
官 城 義臣君
行政管理庁次長 大野木克彦君
行政管理庁管理
部長 中川 融君
事務局側
参 事
(委員部長) 宮坂 完孝君
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
常任委員会専門
員 藤田 友作君
法制局側
法 制 局 長 奧野 健一君
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本日の会議に付した事件
○行政機関職員定員法の一部を改正す
る法律案(内閣提出・衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X02319511130/0
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001・河井彌八
○委員長(河井彌八君) これより内閣委員会を開会いたします。
行政機関職員定員法の一部を改正する法律案につきまして、前回の続きを続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X02319511130/1
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002・三好始
○三好始君 定員法の審議につきましては、質疑を打切りまして討論に入ることを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X02319511130/2
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003・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 三好君の動議に御異存ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X02319511130/3
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004・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。
それではこれから討論に入ります。
修正案が一案委員長のところに提出されております。それ故に修正案文の朗読とその修正の理由の説明を提案者からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X02319511130/4
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005・溝淵春次
○溝淵春次君 それでは行政機関職員定員法の一部を改正する法律案に対する修正案の内容を説明いたします。
この項目につきましてはお手許へ差上げました「行政機関職員定員法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する」。という見出しから、最後の理由の「行政機関に置かれる職員の整理を事務の繁簡等を考慮して合理的に行う必要がある。」というところまで御覧願いたいと思うのであります。そこでこの内容におきまして主だつたものにつきまして、簡單にその修正理由を申述べまして、御賛同を得たいと思うのであります。
先ず第一は実体法、又は実体法的な法の制定に先んじて行わるべき行政整理に関するもの、これがお手許に差上げましたその要綱の中にありまする食糧管理、食糧庁の関係が復活せるもの四千九百人、労務加配、労働省関係のもの二百人、船用米、運輸省に関するもの四十人、そうして石油統制の関係におきまして、運輸本省四百人、通産本省百人、資源庁百人、農林本省二十人、食糧庁九人、水産庁四人、厚生省本省四人、建設省本省五人、国営競馬四百七十人、そうして農林統計四千四百人の復活であります。このうち農林統計につきましては、本來主食統制撤廃問題とは、すべて直接関連あるものではありませんが、今回大きな整理をするという点に関しまして、主食統制撤廃問題と同様な重要な案件として扱つたのであります。なお四千四百人の中には、約五百名の主食統制と関連しての人員が含まれていることを申上げておきます。これらの数を合計せるものが一万六百五十人であります。その他といたしまして、総理府における電波監理委員会九十一人の復活、同じく総理府の特別調達庁三百二十八名、大蔵省の関係におきまして本省百六十七名、国税庁千百名、文部省の関係におきまして、本省、国立学校の関係が千五百十人、厚生省本省におきまして九百九十二人、農林省四百三十四人、食糧庁四人、林野庁六百五十人、水産庁六十六人、通産省工業技術庁関係が八十九人、運輸省本省二百六十二名、海上保安庁が六名、郵政省の本省千二百名、電気通信省の本省が四百十六名、労働省の本省は逆に十四人減るわけであります。建設省の本省が百人、経済安定本部、経済調査庁の関係が五百九十五人、この合計が七千九百九十六人でございます。この修正の総計は一万八千六百四十六名でございまして、この数字につきましては緑風会、民主党、自由党におきまして慎重な検討を加え、あらゆる面からいろいろ検討を加えました結果、現下の行政整理に対する国民の輿望に応え、そうして今日における国家機構の改革という、又全国民より要望されておる点に対しまして、その趣旨を実現せんとするその気持を含みまして、誠にこの数におきまして不徹底であるという議論があるかもわかりませんけれども、現下の情勢におきまして、三党間におきまして慎重協議の結果、この数字を今日の状態におきましては妥当の数字といたしまして、国民生活の安定、経費の節約、事務の簡素化、こういつた国民より要請されておるその趣旨を、この行政整理におきましてでき得る限り実現したいという、その意味を含めまして、この修正案が成立いたしました次第でございまして、どうぞこの修正案に対しまして委員各位の御賛同をお願いいたしまして、修正の説明を終る次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X02319511130/5
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006・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 修正案につきまして何か質疑の点がありますれば簡單に願います。……別に御発言がなければ討論に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X02319511130/6
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007・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。それではさよういたします。修正案につきまして、御意見のおありのかたはこの際御開陳を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X02319511130/7
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008・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私は社会党第二控室を代表いたしまして、只今議題となりました行政機関職員定員法の一部を改正する法律案に対しまして反対をいたすものであります。以下本案に対しまして若干の批判を加えつつ理由を申上げたいと思います。
先ず原則論的に申しますと、人員整理と行政機構改革は不離一体のものでございます。官庁関係の事務が煩瑣で、非能率的であり、国民一般大衆が迷惑をしておるということはすでに定評のあるところでございます。從つて思い切つた行政機構改革を断行いたしまして、官庁機関が真に国民のサービス機関となることを熱望せない者は一人もないと思うのであります。ところが今回政府はこの不離一体であるべきところの行政機構改革を後廻わしにいたしまして、人員整理のみの定員法一部改正を提案して來たところに根本問題があるのでございます。このことは前の第五国会でも問題になりまして、速記録によりますと、委員会の席上吉田首相、本多国務相は、今回は人員整理のみの定員法一部改正を提案したのでありますが、次に定員法改正を提案する場合には、地方制度刷新委員会の答申案を待つて、行政機構改革を行なつてからでなければ、絶対に人員整理のみの定員改正法はやらないという意味のことを申述べておるのでありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X02319511130/8
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009・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 成瀬君、ちよつと御発言を……。委員諸君に申上げます。傍聴人の諸君と何か交渉等のことがありますることは議事の進行に差支えますから、委員諸君もお控えを願いたいのです。特に傍聴人の諸君に申します。この席において委員諸君に何かお話をかけるとかいうようなことはないようにして頂きます。そういうことをなさるかたは退席を命ずることもあるであろうということを申しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X02319511130/9
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010・成瀬幡治
○成瀬幡治君 これは先に申しましたところの原則論を現政府は確認したことでございます。併し地方制度刷新委員会答申案は御承知のように約一年前に出されておるのでありますけれども、その後政府は行政機構改革には手を触れなくて、又総理個人の諮問機関として政今諮問委員会を設け、その答申案を元として今回の人員整理のみの定員法一部改正を提案されたのでありますが、このことは第五国会におけるところの吉田総理並びに本多国務相の答弁に相反するものであり、又原則論にも相反するものであります。從つてこのことが反対の第一の理由でございます。第二の理由といたしまして、提案理由によりますと、公務員の数が非常に多いということを申しておるのでございますが、審議の過程におきまして公務員の数が七・五人というようなことを申しておるのでございますが、いろいろと聞いて参りますと、このことが確固たる基礎の数字の上に立つておらないことが明瞭になつたのでございます。私は国費によらないところのもの、例えば公共企業体の職員などは当然除外さるべきものであつて、こうしたものを外せば十九・一というような比率になるのでございます。從つて政府はこうした腰だめの数字と申しますか、もう少し基礎的な上に立つて私はいろいろなことを考えて頂かなければならないと思うのでございますが、厖大な数と申しましてもそのことが何ら基礎的な数字に立つていないという点を第二の理由として指摘したいのでございます。第三の理由といたしまして、行政機構の改革をやらないところの人員整理を行なつたために、人事院調査に基きますと昭和二十六年の七月一日に四十七万九千百二十名という非常勤職員を抱えておるのでございます。このことは表ての定員を減らして裏口から常勤的職員を非常勤という形で抱え込んでおるものでございまして、国民大衆の私は目をごまかすものであるとして、この点は政府の無責任な態度を追及せなければならないと思います。從いまして政府が提案理由に挙げておるような経費の節約には鐚一文にもなつていないのでございます。本当に経費の節約を政府がやろうとするならば中央、地方を通じまして、一兆余りの現在財源が要つておるのでございますが、その中から百五十億とか百七十億のものであるならば私は他になお経費の節減を求める個所があると思うのでございます。もう少し申しますならば、例えば只今挙つておるところの特調関係の汚職事件と申しますか、そういうようなものも八百億と称せられておるというようなことを聞いておるのでございますが、経費の節約をするならばこういうところから私はやらなければならないと思うのでございます。なお実体法を無視したところにいろいろな問題があつたのでございますけれども、かかる矛盾を含み、こうしたものの基礎の上に政府が提案して來たのでございますから私は与党において四千人殖やして見たり、九千人修正して見たり、一万四百名にして見たり、遂に一万八千何がしというふうに修正をせなければならないほどここに政府自体が私は矛盾を含んでおつたということがこれで明瞭になるのでございます。政府の提案したものを与党の手によつていろいろと修正するということは私としては与党のかたに対しましては誠に同情を実は禁じ得ないのでございますけれども、これも又私は政府が今申しましたような幾多の矛盾を含んで出して來たところに根本問題があるということを申上げたいのでございます。併し修正案を見ますと、附則第四項以下が削除されておるという点には、政府の反動政策に対しまして与党であるところの内閣委員の諸氏がこの点削除されたという点は私は心から散意を表するものでございます。
以上概略申上げまして私の反対の理由にいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X02319511130/10
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011・三好始
○三好始君 私は、溝淵委員から提出されました修正案は私たちが從來必要を認めて修正せんと努力して参りました線によほど近付いたものとして、やや不満な点がありますけれども、これを承認せんとするものであります。この修正案が成立することを前提にし、本法律案に賛成の意思を明らかにするものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X02319511130/11
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012・カニエ邦彦
○カニエ邦彦君 私はまだ本件について政府に質さなければならない点が非常に多いのであります。殆んど審議らしい審議はしていないので実は質疑を打切るということに対しましては賛成しかねるのであります。併しながら私はちよつと用事がありまして遅れてここに参つたのでありますから、すでに討論が行われておるのでありますから、さようなことを申上げても何にもならないと思うのです。併しながら私はここに政府によく一つ聞いておいてもらいたい。そうして必ずや我が国の官吏の人員を適正なところにおくということを願いたいと思つておるのであります。ただ劈頭に申上げておきたいことは私は一部の新聞や論説が報道しておるように、国民負担の軽減になる、そうしてその人員を整理する、こういうことには毛頭当初から反対はいたしておりません。賛成であります。然らばなぜこれに対して反対をしておるかということは、反対でなくして適正なる国の人員が幾らであるかと、こういうことを出す前には、先ずそれに適応したところの行政の機構、これを簡素化せなければならない。例えば建設行政にいたしましても運輸省がやつておる、或いは又農林省がやつておる、或いは又これをその他の役所が又同じようなことをやつておる。從つてこれらの行政を、行政割りと言いますけれども、これを一本にやはりまとめるということ、これは各省庁においても同じでありますが、局、課、係に至るまでこれを簡素化、統合するということ、まとめるということ、そうしてそれによつて一体どのくらいの削減ができるかということ、事務の簡素化がどれだけできたかということ、こういう機構の改廃或いは統合、こういうものがなされずしてただ人員のみを整理するということに対しては、これはただ單に天引が天引になるだけであるということ、それからその他法令の改廃にいたしましても、これらの法令のやはり改廃をせなければ人間はやはり減らないのであります。私はここに政府が一体人員を整理すると、本当にその行政事務の合理化を図る、そうして機構の二重、三重のこの行政を簡素化し、そうして法令を改廃する、こういう本当の気持の上に立つて今回の行政機構改革というものをお出しになつたなれば私は当然その適正なる規模において賛成するんであります。ところがこれらのことがなされていない、從つて政府が当初述べておりますところのこの機構改革というものは極めて合理的な且つ微細に亘つて、そうして検討した結果の数であるという申込があつたので二、三私はこれを調べて見た、ところが前回のあの定員の状態と同じようにこれは全くの天引であると、何らの基礎もないと、私は如何にこの点において政府が留意をしておるか、又恐らく留意をしていないんじやないかと思う。恐らくこの行政整理に対するところの新聞論調を書かれておるその人たちが一体そういうことに対して検討されていないと私は思うのであります。これは非常に時間が長くなりますから私は簡單にその本当の一例だけを申上げますが、法令の改廃、これをやらねばならないということは恐らく私はここにこれだけおられるけれども検討されたかたが恐らくないんじやないか、こう思うんです。それは一体我が国の法律というものが現在どのくらいあるかということ、これは十一月の二十九日現在において千五十二あります、それから勅令は四百九十八あります、政令は八百五あつて、省令は二千三百四、条約その他のもので百二あつて、総合計は四千七百六十一の法律があるんです。そこでこれらの法律が存在しておる限りにおいては、それぞれこれらの法律をいわゆる実施完遂するために人員が要るわけなんですから、だからこれを半分に減らせば從つて人員が減つて來るのです。そこで一般世間で言われておるところの終戰後特に我が国の官吏は多くなつた、尤も多くなつています。そこで一体終戰後の二十一年までの我が国の法律の状態はどういうことにあつたかということを簡單に見ましても、明治二十二年から明治年間において明治三十二年の法律の二十二というのが最高であります、一年間……。それから三十三年の十三これが最高です。その他は明治年間においては大体五つ、或いは一年に六つ、七つという法律しかできておりません。それから大正の年間になりまして、一番多いときはこれは大正十年に十五できておる、十一年に十三できておる、十二年に十できておる、これが十台であります。これが大正年間におけるところの法律の一番余計できた年であります。それから今度然らば終戰後の昭和の終戰までの状況を今度見ますると、昭和八年において九つでき、昭和十二年に十二でき、それから十五年に十二できたというのがこれが最高であります。その他の年次におきましては、皆それぞれ少数な法律しかできておりません。そこでこの法律が一体我我終戰後においてどれだけあつたかと言いますと、法律は四百八十しかなかつた、この勅令にいたしましても四百六十九、それから或いは又政令にいたしましても九百十五等でありまして、総計が千九百五十三あつたのです、終戰直後……。それから第一国会が始まりまして今日までの間において二十二年度には驚くなかれ百十三作つて、二十三年度百二十四作つておる、二十四年度百二十四作つておる、二十五年度百二十一作つておる、從つて終戰後今日までに我が国が作つたというものは明治の憲法が始まつてから終戰に至るところの八百八十の法律を遥かにオーバーしておるのですよ、五百七十二件作つているのです。かように終戰後における我が国の法律というものは国始まつてから終戰までの間の法律の数を遥かに上廻るものをここ僅か五、六年の間にでつち上げておるということです。從つて終戰時におけるところの官吏の数というものは半分であつてよかつた。ところが現在こういう工合ないわゆる状況であればこれは人員が多いのが当り前なんですよ。少くてはやれないんです。私はここでこれは法律だけを事例に挙げておるんではないのですよ、こういうこともなぜ官吏が多いかという大きな理由の一つになつておるということ、これらのことを改廃せねばならないんじやないかということ、それから又役人の繩張り根性によるところの、所管争いによるところの行政の複雑化というもの、これを先ず簡素化にしなければならんじやないかということ。それからその他あらゆる最新の機械、そういうものを入れて事務能率の効率を図るということ、こういうことがなされて初めて人間の数が減るのであります。從つて政府が前回にやつたところの、あのいわゆる天降り的な天引行政をやつたその結果というものは、あのときは何とおつしやつたか、この数において政府は完全に行なつて行くと言つた。ところがその後において人員整理の法案が通過した後において一体どういうことをやつておるか。事例を挙げて見れば郵政事業のごときものはやれないので八千何百人かのいわゆる人間を直ちに定員外の人員としてこれを入れておるのですよ。郵政電通においても然りであります。それが今日まで二年間そのまま非常勤、常勤ととんでもない屁理窟を付けてそのままでこれを雇入れて作業をやつて來ておるのです。これは私はただ一例を挙げただけですよ。その他の省にも大なり小なり事務がやれないためにそういうことをやつて來ておるのです。だから私はこういうことが簡素化にならない限りにおいては我が国のいわゆる人員は減らないのだ、こういうものをそのままにおいて、そうしてただ人員のみを天引でこう引下げて参りますると、勢いそこに起きて來る現象としては労働の強化、過重ということになつて來る。その過重が崇りまして各省庁におきまして年々胸部疾患等において病気で倒れて行くところの公務員が激増して参るのであります。だから私はこういつた点からして政府は法令の改廃、或いは機構の改正統合、或いは事務の合理化を図つて、その上に立つて人員の整理をすべきであるということを主張しておるのです。それが一部の新聞報道によりますと我々は人を整理することに反対すると言つておる。そうじやない。こういうことがなされて、その適正なる数字が五万であれ、六万であれ、十万であれできて参つたなれば我々は非常に結構である。併しながらその場合におきましても今回の行政整理で最も政府が留意せなければならないことは我が国の産業の状態、我が国の経済の状態から推して著しく失業者が増加しておる。そこへ又失業者を追込むのでありますから、勢い失業対策に対する万全の措置が講じられなければ、これらのことに対しては勢い我々はやはり納得はできないのであります。こういうような諸点について、受入態勢の点、或いは又合理的な数のいわゆる算出の基礎になるものを作つていない。ただ徒らに国民の前に官吏が多いと国民が言えばその上に乘つかつて成るほど多い、政府は施策として人間を減らすんである、そうして国民負担の軽減をするのであると豪語しておる。一体今回の自由党案によつて出されておるところの修正によつて国民負担が一体何ほど軽減されておるか。全く私はこういう点を考えるなれば役者が顔に白粉を塗つて、そうして舞台の上に上つて人気取りにやるところのあの芝居と何ら変りがないじやないか。これで国民を欺瞞し、国民の眼を惑わしておる。こういうことであつてはならない。真に国民の要望するところの行政整理を断行せなければならない。こういう決意の上に立つてなされなければならないと思うのであります。而も私は前回の委員会におきまして申しましたが、財政の見地の上に立つたということが人員整理の大きな目標であるとするなれば現在の一体あの官僚のだらしのないところの国費の濫費をどうするかということ、その他物件の経理に関してでも一会社におきましての物件の扱い方、そうして国の物件の扱い方というものを併せ考えて見まするなれば年間に物件経理のこの引締めを行なつただけでも二百億や三百億の金は出て來る。而も今のだらしのないところのやり方において一体年間においてどれだけの笊から国民の税金がこぼれておるかというと、いろいろのものを総合いたしまするなれば二千億円に達するのではなかろうかと私は確信を持つておる。然るにその十分の一にもなりかねないところの二百億円を捻出するために幾万の人の首を切つて、そうしてかようなことをやつておるということに対しては私はどうも納得が行きかねる。併しながらこれらの笊からこぼれ落ちるところのこれらの血税をも防ぎ、なお且つ行政の簡素化において国民の負担を軽減するというのであれば私はなおよいと思う。こういうことをなされなくして、ただ徒らに今私が申しましたような国民の人気取りのために、或いは一部の労働組合のボスが労働者に媚びるような態度であつてはならないと同様に、政府はいささかも国民に対して国民に諂らうような考え方で施策を遂行するといつたようなことがあつては私はならないと思うのです。かような点を明確にいたしまして、私は本法案をこれを国会に出すなればもつとかような点を明確にしてそうして出直すべきであるということを主張し、而もこれが遺憾ながら出直すということが行われずに多数によつてここで修正が可決するのでありますから、かような点からいたしまして私はいわゆる今回のこの修正案に対しては反対をいたすものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X02319511130/12
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013・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 他に御発言がないと認めまするから討論は終局いたしたものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X02319511130/13
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014・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。
行政機関職員定員法の一部を改正する法律案について採決いたします。先ず討論の中にありました只今の溝淵君の提出、説明のありました修正案、これを議題といたします。修正案に賛成の諸君の挙手を求めます。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X02319511130/14
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015・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 多数であります。よつてこの修正案は可決せられました。
次に溝淵君ほか両君の提出せられました修正案以外の原案につきまして採決をいたします。この部分につきまして賛成のかたの挙手を求めます。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X02319511130/15
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016・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 多数と認めます。それではこれを以ちまして行政機関職員定員法の一部を改正する法律案は修正議決せられたのであります。
次に諸君にお諮りをいたします。委員長の報告は委員長に御一任を願いたいのであります。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X02319511130/16
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017・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。只今の決議に賛成に加われたる諸君の御署名を願います。
多数意見者署名
溝淵 春次 楠瀬 常猪
郡 祐一 松平 勇雄
横尾 龍 楠見 義男
竹下 豐次 栗栖 赳夫
三好 始 三浦 辰雄
館 哲二発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X02319511130/17
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018・河井彌八
○委員長(河井彌八君) これを以て内閣委員会は散会いたします。長い間大変に御苦労をかけまして有難く感謝いたします。
午後二時八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214889X02319511130/18
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