1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十六年十一月十四日(水曜日)
午後一時三十五分開会
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 羽生 三七君
理事
西山 龜七君
片柳 眞吉君
委員
池田宇右衞門君
白波瀬米吉君
瀧井治三郎君
宮本 邦彦君
江田 三郎君
門田 定藏君
小林 孝平君
三橋八次郎君
赤澤 與仁君
飯島連次郎君
加賀 操君
溝口 三郎君
松浦 定義君
政府委員
行政管理庁管理
部長 中川 融君
農林政務次官 島村 軍次君
農林省農政局長 東畑 四郎君
農林省蚕糸局長 青柳 確郎君
事務局側
常任委員会専門
員 安樂城敏男君
説明員
農林省農地局長 平川 守君
—————————————
本日の会議に付した事件
○連合委員会開会の件
○農林漁業組合再建整備法の一部を改
正する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
○繭糸価格安定法案(内閣送付)
○農林政策に関する調査の件
(ルース台風の被害及び復旧対策に
関する件)
(昭和二十六年度産米供出割当に関
する件)
(人員整理に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/0
-
001・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。
日程の件について理事会を開く余裕がございませんでしたので、只今お手許へ配付した文書に記載してある通りの順序で今週の議事を進めたいと思いますので、御了承をお願いいたします。
最初にお諮りいたしたいことは、国際連合食糧農業機関憲章を受諾することについて承認を求めるの件が、去る十日本院に予備審査のため提出せられ、同日外務委員会に予備付託せられたのでありますが、この件について外務委員会に連合委員会を申入れたいと思いますが、如何でございましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/1
-
002・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それではさよう決定をいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/2
-
003・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 続いて本日は本委員会に付託せられました農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案及びこれは予備審査でありますが、繭糸価格安定法案について政府から提案理由の説明を聞くことにいたします。
最初に農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案について説明して頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/3
-
004・島村軍次
○政府委員(島村軍次君) 只今上程になりました農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案につきまして御説明を申上げます。
去る第十国会におきまして、同法が制定公布せられましてより、関係政令、省令及び告示を公布実施いたし、一方農林省並びに都道府県庁は、全国並びにブロツク別にしばしば会議を開きまして、これらの法令の趣旨を徹底せしめると共に、奨励金の交付を希望する組合について調査を行い、これに基いて必要な予算措置を講じ、奨励金交付の準備を進めて参つたのであります。同時に、この法律に基いて特別指導員の派遣を希望する組合に対しましては、極力その要求に応じて、再建整備の実際的指導に当らせますと共に、奨励金の交付を必要とすると思われる組合に対しましては、他の組合に優先して検査を実施し、本月末までにはこれを完了することになつておるのであります。これらの組合の再建整備の目標は、自己資本の充実を図ると共に、固定化している在庫品及び債権を資金化し、早急に経営を健全なものにして行くことにあるのでありますが、同時にこれらの組合の欠損金をも極力速かに解消し、赤字のない組合を実現するために必要な措置を講じて行かなければならないと考えるのであります。そこで、今回これらの組合の欠損金の補てんを容易にするため、法人税法の繰越欠損金の控除に関する規定の特例を設けると共に、これに関連して必要な規定の整備を図りたいと存ずるのであります。
以上申述べましたところが、この法律案を提案いたしまする主なる理由でありますが、同時に政府が交付する奨励金のうち、増資奨励金は、毎年度の払込済出資金の増加の実績を基礎として算出されまする関係上、その一部は翌年度において交付することができるようにする必要がありますので、この点につきましても、今回併せて改正をいたしたいと存ずるのであります。
以上簡単に説明を申上げたのでありまするが、慎重御審議の上、御協賛をお願い申上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/4
-
005・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それでは次に繭糸価格安定法案について提案理由の御説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/5
-
006・島村軍次
○政府委員(島村軍次君) 繭糸価格安定法案につきまして、その提案理由を御説明申上げます。
我が国経済の自立及び発展を図りますためには、輸出の振興を大いに図りますと共に、自立経済達成の基盤とも申すべき農家経済の改善を図つて参らなければなりませんことは、あえて申上げるまでもないことかと存じます。而してこれ又申すまでもないことでありますが、養蚕業は現金収入、家族労働の効率的な消化等の点から、農家経済の改善のためあまねくその導入を図る必要があるのであります。又生糸、絹織物の輸出は我が国の輸出貿易において大きな地位を占めており、特にドル地域向の輸出物資である点に大きな意義を有するものであります。ところが生糸の価格は他の商品に比べ変動が著しく、又生糸の原料である繭は農産物であるために、価格変動に対しその需給を敏速に適応させて行くことができません。又養蚕業はもとより製糸業も経済的に脆弱であるために、みずからの力で繭及び生糸の価格の変動に対処して参ることが困難な実情にあります。このことは生糸、絹織物の輸出を阻害すると共に、その母体である蚕糸業の経営を不安定にし、蚕糸業振興の障害となつております。戦前に糸価安定施設法がございましたのも、又数年来国内の蚕糸業者はもとより、海外の絹業者からも繭糸価格の安定について熾烈なる要望があり、又政府もその実現につき、たゆまざる努力を続けて参りましたのも以上の事情に基くものでございます。これが本法律案を提案いたしました根本の趣旨であります。
以下本法律案の主要な内容について概略御説明申上げます。
第一は、繭及び生糸の価格安定の方法であります。政府は、生糸の最高価格及び最低価格を定めまして、最高価格でその保有している生糸を売り渡し、最低価格で生糸を買い入れ、かような売買の操作によつて、生糸の価格を最高価格と最低価格の範囲内に安定させ、延いては、繭の価格の安定を図ろうとするものであります。なお、生糸の買入は予算の範囲で行うこととなつておりますが、これは、別途御審議中の補正予算には、三十億円を計上いたしております。
第二は、右に述べました最高価格及び最低価格の決定であります。農林大臣は毎年三月、標準生糸である白二十一中A格の生糸について翌生糸年度の最高価格及び最低価格を決定することといたしております。この三月という時期につきましては、経済事情を考慮して、四月又は五月まで延ばす場合もあります。而して決定に当りましては、生糸の価格、繭の生産費、生糸の製造及び販売に要する費用、主要繊維の価格並びに物価その他の経済事情を参酌いたすことにしておりますが、蚕糸業の経営安定と生糸輸出の増進との両面を併せ考え、妥当な価格を定めるようにいたしたいと考えております。又政府が買入れる生糸で、標準生糸以外のものの最高価格及び最低価格は、それぞれ標準生糸の最高価格又は最低価格に格差を加減したものといたしております。なお、一旦きめました標準生糸の最高価格及び最低価格は経済事情に著しい変動があつた場合等には改訂することができることといたしております。
第三は、輸出確保のための生糸の売渡であります。政府はその保有する生糸を売り渡す場合には輸出向のものに優先して売り渡すことができるといたしておりますが、これは我が国の蚕糸業の将来が、生糸輸出の消長と密接な関係があることを考え、必要な措置であると考える次第であります。
第四は、繭価維持のための特別措置であります。本法におきましては、政府が最低価格で生糸を買い入れることにより、生糸の価格の異常な低落を防止し、併せて繭の価格の異常な低落を抑えることにいたしておりますことは前に申上げた通りであり、現在のような繭の需給事情の下におきましては、これで十分の効果があるものと考えておりますが、本法が恒久法であります関係上、将来におきまして、生糸の買入だけでは繭価の維持を図ることが困難な事態が生じました場合には、適切な措置を講じまして、その異常な低落を防止して参りたいと存じております。
第五は、繭糸価格安定審議会であります。これは標準生糸の最高価格及び最低価格の決定並びに改訂等、繭糸価格安定上重要な事項を審議し、又繭糸価格安定上重要な事項を関係行政庁に建議するために農林省に設けられるものであります。これは農林大臣の諮問機関となつておりますが、その御意見は勿論十分尊重して参りたいと存じております。従つて委員の構成につきましても、公正な意見を伺い得るよう広く各界の権威者を以て構成して参りたいと考えております。
第六は、附随的措置であります。この制度を運用して参りますための附随的措置として、政府保有生糸の貯蔵、整理売却及び新規用途又は新規販路向売却とか、又生糸取引の届出制、生糸及び繭に関する諸調査を実施いたすことといたしております。
第七は、特別会計の設置であります。これは本制度に伴う歳入、歳出の経理は一般会計と区分して特別会計によることといたしておりますが、別途糸価安定特別会計法案を提出いたし、御審議願うことになつております。
第八は、この法律施行の時期であります。この法律は公布より十五日後に施行されますが、生糸の買入、売渡の条項は六十日以内に施行することといたしております。これは標準生糸の最高価格及び最低価格をきめてからでないと動き得ないからであります。できるだけ速かに準備を整え、審議会に諮問いたしまして、価格その他重要事項を決定いたし、法律の全効果が発動できる様にいたして参りたいと存じます。
以上が本法律案の概略でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速かに御賛同を得られますように切望する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/6
-
007・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 只今説明を聴取いたしました両法案に関する審議は後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/7
-
008・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 次にルース台風の被害及び復旧対策の件に移りたいと思います。最初にこの件について政府当局から説明を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/8
-
009・平川守
○説明員(平川守君) ルース台風の被害の額につきましては、一応地方からの現在までの報告を集計いたしましたものをお手許にお配りいたしております。全体の被害といたしましては、農地関係において二百十四億、開拓入植関係におきまして十四億、これは主として住宅関係等の被害でございます。これはもとより公共事業関係の私のほうの関係だけでございます。そういう程度の被害が報告せられておるのであります。現在これを査定中でございますが、これに対しましては、政府全体として建設関係等をも含めまして、これが対策を今検討中でございます。取りあえず復旧の繋ぎ資金といたしまして、全体に対して十億ほどの預金部資金を各県に配付済でございます。今回の被害は御承知のごとく極めて劇甚でありまするので、これに対しましては、関係の知事等より特別に政府のほうの強い援助の要望を受けておりまして、その主なる要望の点といたしましては、被害の特に激しいところにおいては補助率を上げてもらいたいということ、それから復旧の速度を以前やつておりました通りに、初年度において三〇%ぐらいの復旧ができるような助成をしてもらいたいというようなこと等が最も大きな点のようであります。これにつきましては、建設省をも含めました全体といたしまして政府で検討中であるようであります。農林省といたしましては従来の例に倣いまして、この程度の復旧費に対する補助金を要求するつもりでありまするし、又只今申しました補助率の引上げの問題につきましては、特に劇甚な地帯について何か特別の扱いをする方法はないかということを検討中でございます。御承知の建設省の関係の公共事業についてスライデイングの制度がございますが、何かこういつたふうな特に被害の激甚なところについて高率補助を適用する方法を考えたいということで研究をいたしております。それからなおこれに対する融資の関係につきましては、この農林漁業の長期融資の中に災害関係の融資があるのでありますけれども、これは実は大体過年度災害を対象として考えておりまして、本予算及び今回の補正予算におきまして、総額十八億ほどの災害に対する長期融資を予定しておるのでありますけれども、過年度災害に対する需要が非常に殺到いたしておりまして、このルース台風にどの程度廻るかはちよつと困難な状況にございます。尤も各県に割当をいたしておりまするので、各県におきまして優先的にこのルース台風の分を見ようという考えになれば、それに適用があるわけでありますけれども、すでにこの十八億のうち金融機関の受付けました分だけでも、すでに五十二億も要求があるような状況でありまして、残りが幾ばくもございませんために、これだけでは廻り切らないと考えるのであります。併し一面農林中金のほうとも話をいたしまして、農林中金の自己資金において十五億ほどの資金を補助金或いはこの長期融資を引当にして繋ぎ的に貸してもらうことの話合を付けておりますので、これの中から相当程度廻ることができるだろうというふうに考えております。一応概略の御説明を申上げまして、なお御質問がありましたらば、お答えしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/9
-
010・溝口三郎
○溝口三郎君 十月十四日の夕方、鹿児島県の枕崎港に上陸しましたルース台風は、未曾有の大被害を九州各地から中国、四国に残して逃げ去つたのでございます。只今農地局長から概要の御説明を伺いましたが、政府においても、これの対策について種々御配慮になつていられるようでございますが、今日まで満一カ月終つているのでございますが、いろいろの問題についてもはつきりした御方針もまだ立つていないようでございます。できるだけ速かに確定した方針を発表されて、そうして地元の被害県民が安心して復旧に努力できるような方向に向けて頂くことを是非お願いいたしたいのでございます。ルース台風が非常に被害の大きかつたことに対して、参議院におきましても、先般被害の劇甚地に三班の議員を派遣いたしました。災害のお見舞を申上げた上に、なお現地についても実情を十分に調査をいたしまして、災害の一般状況、応急対策、今後の希望等をも各県民等から聴取いたして参つたのでございます。私は九州の大分、宮崎、鹿児島へ派遣をいたされましたのでございますが、それらの詳細につきましては、去る九日に本会議においてそれぞれ各班長から報告されたのでございます。皆さんにおいてもどうかそれによつて詳細を御承知置きをお願いいたしたいと思うのでございます。ルース台風の被害は殆んど全府県に亘つて被害を及ぼしたのでございますが、その総額は九州、四国、中国等だけでも千二、三百億以上に上つておると報告されているのでございまして、全国に亘つては恐らく二千億にもその被害が上るだろうと考えているのでございますが、農業の被害のうちの主なるものにつきましても、農産物等においては、これは九州、四国、中国等だけでも二百数十億の被害に上つているのでございます。開拓者の住宅等も全壊、半壊等は先ほど農地局長の御説明のように約十四億ぐらい、七千三百戸以上が倒壊をいたしているのでございます。鹿児島、宮崎等は殊に多く、おのおの二千戸ぐらいずつの開拓者住宅等も被害をこうむつているのでございます。耕地関係の被害については、これは先ほど局長からもお話がありましたように約二百億以上になつている。それらの復旧費については目下査定中であるように伺つたのでございますが、できるだけ速かに査定を終了して、復旧予算を確定して頂くようにお願いをいたしたいのでございます。現地の実情を視察に参りまして心強く感じましたことは、被害県民の復旧に力強く立上つていることでございますが、一方におきまして、県、市町村などの財政や地元民の経済状態等を考えますと、これから先にこの復旧を促進し、完成させるには前途に対して実に暗然たるものがあるのであります。国会、政府、地元が一体になつて非常な努力をいたさなければこの復旧は誠に容易でないものがあると考えるのでございます。従来におきましても、災害の都度朝野を挙げてその対策に熱中をしていたのでございまして、而も災害は近年において殆んど年中行事のようになつているのでございますが、忘れやすい日本人の性分か、少したつてしまうと災害のことも関心が非常に薄くなつてしまう。ケイト台風等もルース台風とほぼ同様に実は大きな災害をこうむらしたのでございまして、それらのときにも今と同様に、その対策等についてはいろいろ政府においても努力をなされたのでございますが、その未曾有の被害が本年においては二度重なつて来ておるような状態であるのでございまして、私は特にルース台風についての質疑をいたしたいのでございますが、かような二回に亘る大きな被害を、これをどうか一緒に考えて、政府においては将来根本的な対策を立てるようにして頂きたいのでございます。
質問の第一は、ルース台風の災害復旧の予算は、これは通常国会の劈頭に出せるように準備を進めていられるかどうかということでございます。農地関係の災害被害額は二百十四億でございまして、開拓者住宅は十四億ぐらいのように承わつたのでございますが、復旧費についてもおよそ見込みは立つていられると思うのでございます。大体の復旧費、耕地関係等については現在までわかつているところはどのくらいになつているか。そしてそれに対して補償は幾らくらいになつているかという見込みをお伺いいたしたいのでございます。そしてこれが確実に決定されるのはおよそいつ頃になるか。補助率の問題もありますし、地元においては将来幾らくらいの補助率になるかということもまだはつきりわからない。仕事の復旧事業のほうはどんどん進めて行かなければならないということでございますから、根本方針についてはこれはできるだけ早く発表して頂くようにお願いいたしたいのでございます。復旧計画の年次の短縮でございますが、これは建設大臣も九州地方へ政府代表で視察に参りまして、初年度三割、二年度で五割、三年度には二割にしたいのだというようなことを言明されているのでございます。自由党等のかたがたも初年度に百億から百五十億くらいを出す。全体の公共事業の被害が五百億くらいです。その三割は是非とも初年度に出すのだというようなことを言うておるので、地元の被害県民は非常に喜んで、むしろ楽観し過ぎておるように私は思うのでございます。それだけ出してもらえば鹿児島県の海岸等には十数カ所の干拓堤防の決壊等があつたのでございますが、約五億くらいの被害があるのでございますが、それも補助率も上げてもらえるし、それから年数も初年度三割くらいは出してもらえるならば、一日も早く二毛作もやりたい。来年の植付には稲も植えるというようなことで、金はまだ、殆んど資金等も融通を受けていないのでありますが、それにもかかわらず将来を約束されたような気がして復旧に努力しておるのでございますが、これらに対し、若し初年度に三割なんというのは到底出ない。補助率も考えたのだけれども、現状通りだというようなことになつたならば、一体どうなるのかという不安があるのでございます。従前の災害等におきましても、しばしばできるだけの復旧の補助を初年度に出すというようなことは言われていたのでございますが、現実にはやはり初年度には二割くらい、その次に三割、三割、二割というような程度で、二十三年の災害さえも今以てまだ片付いていないような現状にあるのでございまして、ケイト台風以前の本年度中の災害は、先ほど申しましたように被害総額から言うても、復旧事業費から言うてもルース台風よりかもむしろ多いくらいでございまして、それの復旧費の補助金等もまだはつきり決定になつていないようにも伺つておるのです。一応内定はしたとか言うておりますが、農地関係の百六、七十億のケイト台風等に対する内定と言いますか、割当の一割二、三分よりか出していないそうであります。こういう大きな被害に対しては、これはルース台風と同時に三割くらいになるように補正を出すような準備をしていられるかどうか。その点についてお答えをお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/10
-
011・平川守
○説明員(平川守君) ルース台風につきまして、特に回復の速度を初年度に三〇%くらいにしたいということは地元からも熾烈な要望がありまするし、政府としても何とかしてそういう扱いにしたいということで工夫をいたしておるのであります。私どももそういう線に沿つて要求をいたしておるわけであります。その場合にケイト台風との関係でありますが、ケイト台風につきましても、やはりルースについてそういう扱いができるならば同様の扱いをしてもらいたいというのが我々の要求でございます。もとよりこういう大きな問題でございまして、金額にいたしましても非常に大きく上るのでございますから、政府としてなお決定いたしておらんようでありますが、私どもといたしましては、その線に沿つて要求いたしております。それからこの予算が通常国会に劈頭に出るかどうかというようなことにつきましては、これは私のお答えする限りでないと思いますが、ともかくもできるだけ早く必要なる補助金を出してもらいたいということを私どもの立場においては要求いたしておるのであります。今回の被害額は先ほど申上げた通りでありまして、これに対しましての事業費としては、およそ従来の災害について地方からの申立と査定の結果との実績を見まして、その比率によつて想定いたしますると、大体復旧に要する事業費といたしましては、農地関係で七一%ぐらい、入植関係で七六%ぐらいという数字が出ておりまするので、農地関係においての事業費は約百五十億、入植関係においては約十一億くらいになるであろうというふうに推定しております。仮にこれを農地関係において三〇%初年度に行うといたしますると、事業費において約四十六億、これに対する補助金は約二十九億くらいに達する見込でございます。入植施設につきましては、家屋のことでありまするので、一〇〇%回復するといたしますると、事業費約十一億に対しまして、補助金約五億七千万円くらいというような経費になるわけでございます。これらにつきましては、先ほど申上げましたように、できるだけ速かに補助金を予算において決定して頂くように要求いたしておりますが、それを待つてもおられませんために、繋ぎ資金の問題を政府全体として建設省も含めて考えておりますほかに、特に農林関係におきましては、長期融資の関係或いは農林中金の自己資金による繋ぎというような手を打つておるわけであります。これによつて実際上植付の関係のあります農業においては、できるだけ速かに復旧度の上るようにということを考えておるわけであります。それからなお補助率の問題につきましては、先ほどちよつと申上げましたような、一般以上の高率な補助ということにつきましては、やはり特に激甚なる地帯に対する例外的な率を定めるということであろうかと存じます。大体の地方におきましては、やはり従来の法律に基く六割五分或いは五割という補助率をとつております。特に或いは村として非常に被害が甚大であるというところについては、建設省のほうの公共事業におけるスライデイング・システムのようなものを参考にいたしまして、ああいつたふうな制度を考えられないものかということを目下研究しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/11
-
012・溝口三郎
○溝口三郎君 復旧事業費の見込額は、従来の例に做うと大体被害額の七割ぐらいになるので、約百五十億ぐらいに御説明があつたのですが、今回の災害におきまして、殊に干拓堤塘が問題になつておるのでございますが、干拓堤塘の方法というようなものは今までとはよほど変つた考え方でやらなくてはいけない。鹿児島県の海岸堤塘等は今まで練積等をやつたのだが、全部これは壊れてしまつて、非常に厚いコンクリートの護岸に全部を変えたいということを聞いておつたのですが、この干拓堤塘の復旧事業等につきましては、原形復旧というような今までの考え方ではこれは絶対に私はいけないのである。できるだけ丈夫な改良工事を更にやつて行く必要があると思うのでありまして、それらの点については今度査定をなさつて、復旧費の予算を計上されるときには、従来の例以上にこの改良事業のことは十分にお考えになつて予算を計上して頂きたいと思うのでございます。
第二番目にお伺いしたいのは、補助率についてでございますが、これは先ほど農地局長からの御説明もあつたことでございますが、只今最も問題になつておりますのは干拓堤塘についてでございます。農林省関係の農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律、これは現行法でございますが、これによりますと、公共施設として干拓堤塘は六割五分ということになつておる。そうして改良工事を加えたものは改良の部分は五割を出すことになつておる。これは現在におきましては、地元の負担能力も殆んどないのでございまして、鹿児島の六百町歩中十数カ所の干拓等は約五億の復旧事業費と、そのほかになお三、四億の改良工事を加えなければ将来安全な干拓堤塘にはならないように聞いておるのでございます。それに対して六割五分の補助率でやる。平均しても一反歩で九万円ぐらいかかる。多いのは十数万円の反当の復旧費がかかる、その上に改良も加えた工事をやつて、それについては六割五分、改良の分は五割ということならば、これは恐らく復旧は地元ではできないのじやないかと考えるのであります。建設省関係におきまする公共土木施設の災害復旧事業費国庫負担法においては、これは工事費が税収入の二分の一までは三分の二、二分の一から二倍までは四分の三、二倍以上のものは全額を地方自治団体に補助するような規定になつておるのでございますが、同じ目的の海岸の堤防に対して、農林省関係のは六割五分、その隣りにある海岸堤塘は、これは国土の保全という意味から非常に激甚な災害に対しては全額だ、同じ海岸に並んでおるところでこういう不合理な補助規定があるために、地元では非常に混乱しておるのでございます。農業関係の干拓の堤防を農林省にお願いすれば六割五分しかもらえない、これを町村管理等に移せば全額がもらえるのだというようなことで、事実混乱して、どつちで一体やつてもらうかということが現実に地元ではあるのでございます。同じ目的の海岸堤塘ならば、私はこの農林水産業の国庫補助の暫定措置を速かに改正をして、そうして不公平のないような補助を出すような法律を是非ともこれは拵えて頂きたいと思うのでございます。これらの補助率等についても被害の大きいのも小さいのも一率に六割五分というようなことは、これは非常に不合理だと思うのです。是非ともスライド制を採用して、そうして地元の負担の可能な限度で仕事をやらせるようにさせる必要があると思うのであります。先ほど農地局長から御説明がありましたが、補助率の引上げの問題も一律に上げるのではなくて、被害の激甚のところだけは特例を設けるというようなふうに承わつたのでございますが、海岸堤塘については、私只今申しましたようなことで、これは全部法律を改正してやつて頂きたい。一般的の耕地関係、公共施設等については、これは被害の激甚なる地方に対しては現在でも特例を設けて、附則によりまして、二十一年の南海震災等においては高知県は九割、和歌山、徳島等は八割五分出しておる。二十二年の新潟県の地辷り等については、これは八割五分も出しておる。こういう特例も現在あるのでございますから、これはその地区ごとではなく、私は被害激甚な県を単位に従来は考えておると思うのでありますが、そういう点に対してはつきりお考えをお伺いしたいのでございます。補助対象になる基準額が一カ所当り十五万円というようなことになつておると承わつておるのでございますが、これはもつと基準を下げてもらいたいという要望もあるのでございます。これは法律できめたのでなくて、内規できめてやるのではないかと思うのでございますが、それについての当局のお考えを承わりたいと思います。改良工事はこれは先ほど申しましたように、単に原形復旧では絶対に干拓堤塘等は将来において安全なものではないのであります。堅固なものを拵える必要がある。そういうものに対しても復旧事業と同率の補助率を適用するようにする必要があると思うのでございますが、そういたしますと、先ほどのお話の初年度三割というようなことが、総体の復旧事業費の百五十億くらいを基にして考えていると非常に増額しなければいかんような結果が出て来ると思います。それらのことをよくお考えの上で改良工事の補助率を引上げることを考えられ、復旧事業費の初年度の分もできるだけ三割に近いものを確保してもらうという努力をして頂きたいと思うのであります。開拓者の住宅等は、これは十四億に対して十一億くらいの補助金を見込んでいるが、その半分ぐらいが開拓者の負担になるように伺つたのでありますが、この開拓者の関係は、開拓という特異性のあるところに対して、ようよう開拓に落着いて行こうというような人たちの家が壊されてしまう、そして農産物も潮風等で殆んど全滅になつてしまう、そういうところに対して、今までの例の通り一戸当りに十万円くらいずつの負担をして家を建てるというようなことは非常に無理だと思います。又バラツクのようなものを建てて、まだ数年経たんうちに、そういうところは暴風なんかで吹き飛んでしまうというようなことを繰返さないように、できるだけ丈夫な建築をするように農林省で制限を加えて、坪当り一万七、八千円程度のものはもつと引上げてやるというようなことも考えて頂きたいのでございます。それについてのお考えをお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/12
-
013・平川守
○説明員(平川守君) 特に干拓堤塘等につきまして、原形復旧というだけでなしに、積極的に堅固な、再び災害を受けないような施設にすることを見込んで予算を考えろというお話でございまして、これは各地方からの非常に強い要望でありますし、国家的に見まして極めて合理的、且つ長期的に見れば却つて経済的なことと考えておりますので、これについては十分そういう点を考慮して考えたいと思います。先ほど申上げました事業費の査定が七割見当になるであろうということは、これは全く従来の実績を基準にしまして、一応の腰だめのおおよその見当というものを見たわけでありまして、具体的に各事業について査定をいたします場合には、お話のような点も十分考慮して査定する、それによつて予算は見積られるということになるわけであります。先ほど申上げましたものは、決してこのままで予算化するという意味ではございません。それから干拓堤塘についての補助率の問題は御指摘の通りの問題がございまするので、只今市町村或いは県管理の場合等との差別待遇のないように、合理的な制度を考えたいということで研究いたしております。できるだけ速かにそういう方向に参りたいということに努力をいたすつもりであります。それから補助率の特に被害激甚なる地方に対する高率適用の問題でございますが、従来お話のような特例を行なつて参つたのでありまして、これは法律で一つ一つきめてやはりちつとも差支えないのであります。只今考えておりますのは、一応公共施設における建設省方面の取扱つておりますようなスライド制が一つあるわけでありますから、一つこういう制度を参考にいたしまして、一定の基準で特に激甚な或いは負担の困難な場合というものを、一定の基準によつて出て参りますような制度を考えたい。それに対して一定の高率適用をするというような制度を考えたい、こういうふうに考えております。法律で何県というように指定するのも一つの方法でございますけれども、只今考えておりますような、丁度建設省のやつておりますスライド制のような考え方で行つたらどうかということを考えておるわけです。それから事業の被害の小さい、十五万以下の補助対象になつておらんもの、これについて基準を引下げろという要望も各地方から非常に熾烈にありますが、これにつきましては、実は予算にもおのずから限度もありましようし、この補助の限度を引下げろということはちよつと無理ではなかろうか。これに対してはやはり低利融資なり或いは起債なりというような方法によつて地方で見てもらう。国は比較的大きい部分について、急速に且つ必要に応じては高率に補助して行くというふうな責任のわけ方がいいのではなかろうかというふうに考えております。それから開拓住宅につきましては、これは確かにお説のように或る程度のしつかりしたものでありませんと、何遍でもやられるということにもなりますので、或る程度の台風には耐えるような建築を勧めたいと考えておりまして、補助率といたしましては、一応従来の例によつて半額補助ということに考えておりまするが、先般来住宅金融公庫とも話合いをいたしまして、この差額の自己負担分につきまして、住宅金融公庫の資金を借入れる制度を開きたい、これについては大体話合いが付きまして、その不足分に対して一部融資の途を開いて、それによつてしつかりした建築をさせるようにしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/13
-
014・溝口三郎
○溝口三郎君 第三に資金につきまして、繋ぎ資金と、農林漁業資金の融通についてお伺いいたしたいと思います。繋ぎ資金については、先ほど差当り全体で十億出したのだという御説明がございましたが、公共事業全体として約五百億のものに対して約十億ぐらいを出しておる。これは間もなく使つてしまうと思うのでございますが、繋ぎ資金は従来の例でも、これは補助金の出るまで補助金の肩替りをするのだというようになつているのでございますが、先ほど建設大臣が是非とも三割くらいを出して、百億か、百五十億くらいの初年度に復旧補助金を出すようなことを言うておられるのでございますが、そういうようなことで、まだ続いて百億か、百五十億くらいの繋ぎ資金を出すようなふうに政府はやつていられるのかどうか。ケイト台風のときには総額で五十億くらい出して、そうして予備金の八十億のうちで四十五億くらいを出して、今そのままにしてある。将来このルース台風等についての繋ぎ資金について考え方をお伺いしたいのでございます。農林漁業資金は、これは先ほどもお話のあつたように、今補正予算で出している六十億については、災害関係はこれはケイト台風以前のもので、すでに申込みが三倍になつておる。十八億に対して三倍になつているような状況にあるのでございますので、無論余裕はないと思います。できればその分もこの際考慮して頂きたいのでございますが、ルース台風とケイト台風については何らまだ農林漁業資金の見込みが付いていないように考えられるのでございます。従来の例から言つて百五十億のルース台風の被害の復旧の事業費と、ケイト台風の百五、六十億の復旧の費用、両方を合せると三百二、三十億になつておるのでございます。それに対するやはり五十億くらいの災害復旧補助金の分、被補助の分と合せて、従来の例から言えばそのくらいの資金が要るんじやないかと考えるのでございます。できるだけそういう線に沿つて農林漁業資金の補正予算も併せて出して頂けるかどうか。それについてお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/14
-
015・平川守
○説明員(平川守君) 預金部資金の繋ぎ資金につきましては、結局およそどの程度の補正予算を出すかということが前提になりましての補助金の繋ぎという考え方でありますので、それによつて金額がきまつて来るわけであります。この初年度に三割の補助をするというようなこと、それから総額の査定というようなことがおよその目途が付きませんと、全体の額ははつきりしないかと思います。取りあえず十億とかいうような極めて少い額ではございますけれども、そのうちの一部分として出しておるのでありまして、いずれ遠からず更にそれが追加して出ることになるだろうと、私どもといたしましてはそういうことを又要求しておるわけでございます。それから農林漁業の長期資金につきましては、これは私どもといたしましては、でき得れば予算の補正、補正予算なり、何なりによりまして、これを追加することができれば結構だ、できるだけそうしたいという要望を以て相談中でありますが、仮にそう行きませんでも、これは先ほど申上げましたように、農林中金の資金等によりまして、一時明年度まで繋いで行くということによつて或る程度補うことができると考えております。できることならば、補正で追加するのがよいということで折衝はいたしております。それからケイト台風等に対しまして、或いは今度のルース台風に対しましても、従来の本予算及び補正予算できまりました六十億の中におきましては、一応当初予定はしておりませんでしたけれども、県において非常に緊急にこのほうに金が要るという場合には、そちらのほうに割当の範囲内で優先的に廻すことは認めておりました。これは今回のルース台風にも若干は廻つて行くだろう、それは認めております。県の計らいによつて認めております。ただ何分にも先ほど申しましたように、全体として要求が多いものでありますから、それに廻る金額はいずれにいたしましてもそのままでは少いかと思います。できれば補正をとりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/15
-
016・溝口三郎
○溝口三郎君 農林漁業資金の補正予算の問題につきましては、今お話がありましたが、前に出ておる六十億のうちで融通してやつてもいいんだというような御説明でございますが、先ほど私の申しましたように、災害が一度起ると、そのときは非常に熱中してそれにみんな集中するんだが、過年度のことはもう半年もたつとみんな忘れてしまう。今出ている補正の六十億というものは、これはケイト台風以前にこういう考え方でやつたのでございます。どうか農林省においては新らしい問題は新らしいものによつて、古いものについては余りそれを削らずに、古いやつは古いやつを片付けて行くのだという考えを以て是非々々やつて頂きたいと思うのでございます。それから恒久対策についてお伺いいたしたいのでございますが、災害が近年年中行事のように実は起つているのでございます。その都度大騒ぎをするようなことになつて、今御説明を伺つても、補助率の問題でも、年限の問題でも、復旧事業の予算の問題でも、提出時期でも殆んど確定したものはないのだ。非常に困難な問題であるのでございますが、いつ一体はつきりきまるかということは被害県には非常に不安だろうと思います。そういうものについてはできるだけやつて頂くと同時に、災害が起つても即座にその法律等に基いて処置ができるように、災害の頻発する危険性のある地域等に対しては、災害の防除法とかいうような特別立法でも拵らえて制定するような考えは持つておられるかどうか。殊に海岸提防等におきましては、従前に臨海農地保全法案というようなものを制定しようというような準備をしていられたのでございますが、これらもそのままになつて、今海岸提塘等についての特別立法というようなものはないのでございます。これは是非とも必要なことであると思うのでございますが、こういうような特別立法を準備していられるかどうかをお伺いいたしたいのでございます。もう一つは、本年度の予算にも海岸提塘の保全費というような予算が四千万円程度初めて新規事業で入つたのでございます。こういう災害の起りやすいような、老朽したような提塘等をあらかじめ補修をして行くんだということは、今回の災害等におきましても明らかになつておるのでございます。二十七年度等の予算については、できるだけ多くこういうような災害防除の根本施設に対しての予算を計上するように御努力をお願いいたしたいのでございます。その二点について災害の恒久対策として今どういうふうに考えておられるか。お伺いいたしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/16
-
017・平川守
○説明員(平川守君) 恒久対策につきましても、もとよりこれが根本的な対策でありますので、いろいろ研究をいたしておりますが、法律で行くという必要のある部分は比較的少いんじやなかろうか。海岸堤塘につきましては、その特殊の事情からいたしまして、堤塘法のようなものを立案いたしまして、建設省方面ともいろいろ折衝いたし、又いたしておる過程でございますが、いろいろ問題もございまして、はつきりまだ確定をいたしませんが、そのほかの災害につきましては、むしろ問題は要するに予算を十分につけて堤塘の補修なり、或いはそのほか防災溜池であるとか、いろいろな施設を十分の予算を以て仕事を早く多量にやつて行くということが結局要点であろうと思います。海岸堤塘につきましては特別法の相談をいたしておりますが、そのほかについては差当り法律的な措置は考えておりません。堤塘の補修についても、又そのほかの防災施設につきましても、明年度においては大幅に予算の増額を要求いたしまして、仕事を急速に進めて行きたいというふうに今予算の要求中であるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/17
-
018・溝口三郎
○溝口三郎君 以上で私は質問を終りますが、なおこの際災害の対策としまして、罹災農家の営農資金、住宅資金等の融通、共済金の早期支払の措置、農業手形の決済の延期、種子種苗の確保の措置、果樹園等の災害対策、その他木炭の施設、畜産の施設等に対しても緊急措置を要するものが非常に多いのでございますが、これらにつきましても、農林当局においても考えておられてはおるのでございましようが、善処を要望するものでございます。なおこの際に特に附加えて申上げたいのは、災害地方における農産物の被害等については実情に即して供出の適正な割当をする必要があるということでございますが、それについては是非とも作況の正確な調査をすることが特に重要であるのでございますが、今日供出について知事会議等で非常に問題になつておる原因はいろいろあると思うのでございますが、災害地を視察いたしまして、どこの町村に行きましても、作報の報告と県の報告とには二倍から三倍くらいの考え方の違いがあるのでございます。鹿児島県等においては減産が六十万石というようなことを県は報告しておるのを、第二回の予想収穫では、この数字では二十万石くらいの減産というようなことになつておるのでございます。私は統計調査については行政整理等にいろいろ問題があるのでございますが、日本の生産等について統計方式の如何にかかわらず、もつと充実して農民が納得して供出のできるような統計調査をする必要があるということを痛感いたしたのでございます。これらについても、災害等があつて、折角農林省が温い手を伸してやつておるのに、どこの地方へ行つてもこの供出の問題で、私どもは非常に地元から是非とも正確な調査をしてもらいたいという要望を聞いておるのでございます。それを関係のほうへお伝えをお願いいたすのでございます。なおそのほかに平衡交付金の増額、起債の枠の拡大、罹災農家の国税の減免等、必要欠くべからざるものがあるのでございますが、以上の災害対策等に関しましては、政府をして必要な措置を迅速に講ぜしめるために本委員会の意向を政府に対して申入れることにいたしたいと私は考えるのでございます。その点については委員長において適当な方法をお取計らいをお願いしたいのでございます。私の質問はこれを以て終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/18
-
019・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 只今の溝口委員からのルース台風に関し、政府が適切なる対策を早急に進むべきであるという御発言につきましては全く同感でありまして、本委員会としてもそれを希望するわけでありますが、今朝ほど来承わつておりますと、本会議におきまして何らかこの問題に関する措置がとられるよう計画も進められておると存じますので、一応それによつてこの農林委員会の意思も代表されるものと考えて行きたいと、こう思つておるわけでありますが、なお政府当局には今の溝口委員の御発言は本委員会全体の趣旨でもあるという意味で、一層希望実現方を要望いたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/19
-
020・宮本邦彦
○宮本邦彦君 私は先ほど溝口委員からお話しになりました問題について、もう一度実は御質問申上げたいのですが、それは補助率の問題です。従来農林省でやつておられる補助率が公共事業六割五分、それから耕地復旧五割というような考え方なんです。この考え方が従来あつた補助率をそのままただ踏襲しておるというようなやり方で今日まで来られておるのではないか。もうそこらはすでに反省されていい時機が来ておるのではないかと私は思つておる。というのは、改良事業は御存じのように公共事業がやはり五割、ところが災害復旧で今溝口さんがお話しになられたように、ともかく災害復旧というものはそんなに簡単なものではないのです。私は実はこの間山口県に参りまして、あの佐波川、あの辺の話を聞き、又錦川の沿線をずつと見て参つたのですが、この地方の人々の負担能力というものはもう限界に達しておる。自己負担なんというようなものは限界にもうとうに達しておつて、それ以上の大きなものがあのひどい災害じやないかと思う。そういうものの改良もたつた六割五分の負担率である。それでやれるかどうかというような問題に対しては、私大いに早く農林省自体が反省されて然るべきものじやなかつたかというふうに私感じを持つておるのです。というのは、もう一つ申上げれば、公共事業というものの考え方になるとも思う。農業関係の公共事業は、公共事業の枠の中に入つておられるわけですが、あれは建設省の公共事業と別な性質のものだというようなふうに実は一時噂されたようなことを私は聞いておるのです。未だにそういう考え方が農林省の当局の内部にあるのかどうか。明らかに公共事業であるならば、何も今私が申上げた錦川のようなああいう沿線のような、もう負担能力というものは全然ないというような所へ、なお六割五分というような負担率で以て災害復旧ができるものかどうかということを私承わりたいのでございます。それからもう一つ、若しできないものだとするならば、これは当然何らかの措置を講ずべきものじやないか。それから又承われば、私農林漁業のほうの低利資金の融資の地元負担分についての融資の関係を聞いたのでありまするが、これはやはり地元負担分の八割しか融資はしない、災害復旧においても地元負担分の八割だということを聞いておるのでございます。これはこの一般の土地改良の公共事業の地元負担分の大体八割だそうでございます。そこのところは全く平面的に、画一的な、ちつとも災害復旧という本質的なものを組み入れてないところの考え方じやないかと私は思うのです。こういうものに対しまして、局長はどういうふうにお考えになつておられるか承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/20
-
021・平川守
○説明員(平川守君) 災害の場合において、地元民の自己負担の能力が非常に一般改良の場合に比して乏しいということは、これはお話の通りでありまするが、ただ又その公共事業的な性質において建設省関係のものと違うというような話があつたというようなお話でございますけれども、これはおのずから事柄によつて程度の差はあるかも知れませんけれども、いずれも公共的意味を持つた仕事であるから、従つて公共施設としての助成をするということであつて、事柄の性質、本質が違うわけじやないので、程度の差であると、こう考えております。従いまして、その災害に対して地元の負担に堪える程度までは負担してもらうが、相当程度の高率の補助をするということもこれ又当然の話でございます。ただ今の六割五分、五割というような平面的な補助率をどんな災害にも適用しておるというところに不合理な点があろうと思います。従つて先ほど申上げましたように、結局地元の負担力と災害の大きさから、従つて又地元の負担力ということにもなろうかと思いますが、そういう点を考慮した補助率のスライド制と言いますか、そういうことを考えるのが合理的じやないかということで只今研究しておるわけであります。お話のごとく、結局地元の負担能力というものを考慮に入れてこの補助率を按配するということが合理的であろうと思つております。それからこの地元の長期融資の場合に、地元負担額の八割、こういうことをきめておりますが、これは結局災害復旧のうちに相当自家労力でやる部分があるだろう、勿論自家労力といえども、その場合に生活して行かなければならんわけでありますから、一部分非常にひどい災害の場合においては、これに対する融資ということも考えなければならないかも知れんと思いますが、併しまあ相当程度自家労力で復旧するという面があると考えまして、従つてそれを全額みるということはしないという考え方をとつておるわけであります。決してその負担力の問題についてこれを軽視しておるという意味ではありません。要するにそういう意味において、自家労力的の面については融資をしないでもいいじやないか。こういう考え方から来ておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/21
-
022・門田定藏
○門田定藏君 私はこのルース台風の被害の見舞いかたがた山口、島根、福岡、熊本と行つて見て参りましたが、今回のこのルース台風によつて破壊された箇所を大体見ましたが、多く破壊されておるところは一体どういうところが破壊されておるかと言いますというと、一時一旦破壊されたところが又破壊されておる。これは何でかというと、恒久的な復旧をせずに、一時ほんの間に合せの応急的な復旧をしてある。そこに限つてみんな破壊されておる。それで今度はこのルース台風によつて破壊された箇所を復旧するに当つては、あんな一時的な復旧をしてもこれは駄目である。例えば一億円要るところは二億、何なら五分の一でもいいから恒久的な復旧をせないというと、何にもならんことになるということを痛切に感じたのであります。それから今局長が言われましたが、復旧に当つて、宮本委員の質問に対しまして八割とか何とかということは自家労力というようなものを含まれておる。こういうことを言われましたが、これは大きな間違いではないか。例えて申しますというと、私の家の屋敷とか何とかが破壊された場合には、それは個人としての自家労力はこれは必要であろうけれども、県道であろうと何であろうと、関係のないところの農村の農道とかが破壊されておるものが自家労力云云なんということは、これはそういうことがあつたとすればこれは大きな間違いである。個人のものでない、例えば我々が米を供出しても、生産費も償わんような安い価格で供出さしておる。それでも私の田地ならば或る程度までは自家労力でやるけれども、これに対して村道や農道が破壊されたのに、これを自家労力とか何とかいつて国が補助せんというのは、これまでそういうことがあつたとすれば、これは大きな間違いである。只今局長の話を聞きまして私はびつくりしましたが、今後私はそういう考えがあつたとすれば根本から改めて復旧に当つてもらわなければならん、こう考えております。局長はこれに対してどういうお考えであるか、局長のお考えを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/22
-
023・平川守
○説明員(平川守君) この復旧を非常に十分にやらないために又災害を受ける。この点につきましては、先ほど申上げましたように、そういう点は十分に考えて、いわゆる原形復旧という形にこだわらずに、積極的に安全度を高くするという考え方をとつておるわけであります。それから只今申しましたこの八割という問題はちよつと誤解かと思うのでありまするが、つまり補助金を出しますにつきましての総事業費を計算いたします場合には、その自家労力も何もみんな計算しておるわけであります。自家労力も何もみんな計算しまして、その事業費を計算します。それに対する六割五分の……、補助が何割、こうきめるわけであります。ただ先ほどお話のありましたのは、その残りの例えば六割五分の補助がありますと三割五分は自己負担になる。その自己負担に対しまして融資するわけであります。長期の融資をするわけであります。これは金を借りるのでありますから補助ではないわけであります。その借りる場合に、どの程度まで金を貸すかということになりますと、折角自家労力で村の人が共同施設についても一緒に働いて、それによつて復旧する部分があるわけであります。それをこの利息の付く金を強いて貸すということは必らずしも適当じやない。そういう意味において金を貸す限度は、残りの自己負担分の八割、こういうことにしておる。補助のほうは、勿論計算するからには自家労力の分も十分対象に入れて計算しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/23
-
024・門田定藏
○門田定藏君 今自家労力についての話はわかりましたが、自分の労力で済むものに貸す必要はないというお話でありましたが、我々は災害地を廻つて見ましたが、やりたいけれども金がない、成るべく早く復旧するために融資してもらいたい、自分の労力によつてできる金を貸してくれというのではない、皆あの災害地の人は早く、十割のものは八割でも何ぼでも早く貸してもらいたい、それを誤解ないようにしてもらいたい。決して融資を希望するものは、自分でできるところの労力の金を貸してくれという人は一人もない。早く融資をしてもらいたい、そこを当局は考えて早く復旧に対する、まあどれだけ要るか、まだ私どもは全額は調査しておりませんけれども、あの惨状を見て、早くやらんというと、又来年でもその次でも来たらすぐ又やられてしまう、今言いましたのは、決して誤解のないように、あなたこそ考えてもらわなければならん、自分でできることを貸してくれというのではない。皆早く貸してもらいたい、そういう意味ですから十分この点を御記憶願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/24
-
025・宮本邦彦
○宮本邦彦君 もう一つここでこの応急というこの表があるのですが、この応急というのはどの程度のものを応急と考えておられるか、それを承わりたいと思います。それからもう一つ、私ここで申上げたいことは、私今度の災害地に参りまして、特に感じましたことは、災害の復旧計画なり、何なりに対しまして、皆ばらばらということなんですね。それは同じ農林省系統でも、水産と山林とは全くばらばらであり、農地と農務関係は又ばらばらである。お互いに何ら考え方がまとまつておらん。恐らく農地局でこの土地改良の補助金を出される場合にも、そういつたものはそれほど現実的には考えられておらないのじやないかというような気が私されたわけなんです。現に今回の台風なんか、行つて見ますというと、大体において風害で以て非常に農産物がやられているというようなところは、これはもう農民としての生活能力も実はなくなつているわけなんです。そういうところの災害復旧と、洪水だけのところの災害復旧とは非常に復旧の能力において違うということなんです。これはさつきの、くどいようだからたくさん申上げませんが、スライドを考えられるようなときには当然お考えになることが本当じやないかということを申上げたいのです。それからもう一つは、私ここで特に局長から承わりたいことは、福岡県の知事さんが、福岡で以て中川の流域に防災溜池を農林省で作られた、第一期に作られた溜池があるそうでございます。私現地を拝見することはできませんでしたが、これは大分県の中津に近い所でございまして、この溜池が今回非常に働いたという、そのために中川の流域だけは、その中川、小さい川ですが、中川の流域だけは災害が殆んどなかつた。その中川の両隣の河川は相当な被害をこうむつております。私はそれに対して、これが本当の将来の日本のあり方だというような感じがいたしたわけなんです。私は日本のような地形の複雑した国は大きな防災堰堤なんていうものを考えることは、日本の国力からしてもちよつと無理じやないか、それよりも本当に地形に適応した、いい、そういつた小さい水系を端から仕末して行くということが、私どもむしろ本当の防災対策と言いますか、根本対策というものじやないかというふうに考えられたわけなんです。今回実はあつちのほうへ参りまして、災害地を視察しましたけれども、大きな河川でなくて、むしろ小さい溪流が非常な災害をこうむつておるのであります。現実にそういつた実情を見ましたときに、特にその意を強くしたわけでございます。聞くところによれば、農林省では防災堰堤の予算に対して建設省と非常な何か権限争いのようなことがあるというようなことを聞いておるのでございます。こういつた立派な効果のある予算が、そういつたもののために農林省で予算獲得が困難になり、そうして折角のいい仕事がここで芽を摘まれてしまうというようなことになることは、非常に私遺憾に堪えないと思うのでございます。若しもそういう事情がおありかどうか、ないとすれば、本年はどんなふうな考え方で予算を御要求になつておられるか、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/25
-
026・羽生三七
○委員長(羽生三七君) ちよつとお待ち下さい。
只今の宮本委員の御質問に対する答弁がありましたあと、時間の都合で他へ移りたいと思いますから、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/26
-
027・平川守
○説明員(平川守君) 只今の応急復旧というのは、つまりできるだけ速かにその回復をしたいので、初年度にこの程度の仕事をしたいというのがそこに三割と掲げましたものでありまして、いずれも全面的に急ぐものであります。そういう意味のここに掲げました査定率であります。それから農業関係のみならず、全体の被害ということを総合的に考えて、殊にスライド制等の場合において考慮すべきだという点は誠にお説の通りと思います。ただ実際問題といたしまして、なかなか農林省でこのスライド制を仮に運用いたしますとした場合に、他の方面の被害を全部考えてということは、実際問題としてなかなか困難かと存じますが、考え方といたしましてはその通りであると思います。できるだけそういう方向に工夫をして行きたいと思います。それから防災の溜池の問題につきましては、これは私も只今のお話の例を伺つております。これはかねて農林省としては非常に力を入れて進めておる仕事でございまして、建設省との間に多少お話のごとき権限争い的のこともございましたが、はつきりとした結論は下しておりませんが、要するに農林省が従来予算をとつてやつておつたものについては、そのやり方で進めて行くということが默認されておるように考えております。明年度予算におきましては、これは只今数字をちよつと忘れましたが、相当大幅に増額いたす予定で要求いたしております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/27
-
028・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それでは次に只今問題になつております昭和二十六年産米供出割当の件について政府当局から説明を求めたいと思いますが、御承知の通り、この問題に関して知事会議等が紛糾して、農林大臣並びに食糧庁関係官は出席できませんので、これは了としたいと思います。従つて本日は島村政務次官から概要だけを聞きまして、特別の御質問があれば格別、さもなければ本日は説明だけを聴取するにとどめたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/28
-
029・島村軍次
○政府委員(島村軍次君) 今回の米の供出割当に関する件につきまして、最近における経過を一応御報告を申上げて置きたいと思います。新聞紙上等でいろいろ掲載されておりますので、大体の方向は新聞記事等で御承知になつておることと思うのでありますが、米の統制撤廃の問題が一応棚上げになりました経過につきましては、先般政府の声明で明らかな通りでありまして、これは本委員会には或いは時期がありませんで報告はなかつたと考えまするけれども、私から一応新聞に出ておりまする点を御説明申上げまして、それから後の経過を申上げたいと思います。
第一が、政府は各般の条件が整い次第米の統制撤廃を実施する方針である。その方法及び時期については、統制撤廃の影響、供出の進行及び米の輸入状況等を十分に勘案して今後検討して決定いたしたい。第二、米の供出数量は例年の通りの規格により二千五百五十万石とし、配給は供出が完了し、撤廃の機が熟するまで継続する。三、大麦小麦の統制撤廃は主食の配給総量をも勘案して別途成案を準備中である。この三項がその要旨であつたのでありまして、第一の問題については、この際説明を申上げることを省略いたしまして、本日委員長からお話の供出数量に関する問題についての経過を説明申上げたいと思います。一応政府の方針は現在の食管法の範囲内において供出数量をきめるという建前をとりましたので、従いまして丁度委員会のほうで資料としてお配りになつておりまする二十六年度の割当の基礎となつた予想収穫高は十月二十六日現在における数量でありまして、六千六十六万六千四百石であります。これは公表が十一月六日になつておりまするが、そこにも上つておりますように、ルース台風による減収を見込んでの数量であります。ところがその後秋「うんか」及び倒伏等の被害或いは晩稲の稲熟の充実工合の悪いというような理由で、六千六十六万六千石よりはなお減収を来たしておるという陳情もあつたのでありますが、政府におきましては、これらの数量は多少の考慮を加えたのでありまするが、計算数字は六千六十六万六千石であります。それから既定の保有量を差引きますと、約二千六百八万石という数字が出るのであります。出るのでありまするが、今回の割当をいたしましたのは二千五百五十万石でありまして、司令部との折衝は約一週間を要したのでありますが、その経過については私から申上げることを差控えたいと思いますが、要点は従来の基礎の通りにやりますと、只今申上げたような二千六百八万石という数字になるのに対して、本年の作況その他を勘案いたしまして、二千五百五十万石にアプルーヴアルをとつた次第であります。そこで割当会議が少し遅れまして、御承知の通りに十二日から開いたのであります。ところが知事側の意見といたしましては、第一項に示した統制撤廃に関する政府の方針が約一カ月間いろいろ国民を迷わしたという点が一点と、それから政府の声明がどうもはつきりせないというので数項目に亘る質疑と申しますか、十二日の割当会議の前に知事の世話人会が開かれ、それに引続いて知事の懇談会が十一日に開かれたのであります。その際の申出はたくさん項目はありますが、主なる点を説明を申上げますと、こういうことであつたのであります。本年産米の供出については、先に二回に亘り重要事項につき要望してあるが、重要事項というのはこの中に含んでおりますから省略いたしまして、今以て政府の供出に関する方針は、主食の統制撤廃問題と絡み合つて甚だ不明瞭なものがある。よつて供出割当に先だつて次の事項を明確にされたい。第一項は、政府の声明は公式発表と心得てよいかどうかということで、これは大臣から公式発表だということに答弁いたしました。今回の供出割当二千五百五十万石の算定の基礎並びに性格如何ということは、絶対量か、自主供出による期待量かということであつたのであります。これは絶対量だという説明を申上げたのです。少くとも本米穀年度中は米の統制撤廃を行わないということ、それに関して政府の正式な声明を発表する意思はないかということであつたのでありますが、これは先般の発表を以て正式の発表と心得てもらいたいということであります。そこで供出に直接関係のある問題は、そのほか麦及び雑穀の代替供出を認めるかどうかということと、五等米及び屑米を供出の対象とするかということと同時に、この奨励金を交付するかどうか、こういうことが問題の中心点になつたわけであります。そこで十二日の会議におきましては、大臣から説明を加えて、いろいろこれらに関する論議が交されたのでありますが、農業委員は御案内の通り本年が選出の第一回でありまして、協議会はできておりますが、一応知事と同一な説明を聞いた上で、質疑応答の十分な時間がなかつた関係から、その日の午後四時まで休憩になりまして、その間に只今申上げたような案件についての政府折衝が行われたわけであります。ところがたまたま農業委員会のほうでもいろいろ協議をされました結果、二千五百五十万石ということは、これは過当な数字であるという観点から受けられないというような申出があつたのでありまして、昨日はそれを中心として、政府は再びその筋への交渉も大臣がいたしたのでありますが、先ほど申上げたような絶対量であるという点と数字の点から考えまして困難であるということがはつきりして参りましたので、本日引続き総理大臣官邸におきまして、知事側及び農業委員側との間に懇談を進めておるのでありまして、丁度懇談中でありますので、結果はまだ私も承わつておりませんが、併し奨励金と申しまするか、特別な措置をめぐつていろいろ検討を加えられておるようでありますが、本日或いは明日くらいには大体御了解が願えるものだという私は考えを持つておるのであります。説明といたしましては甚だ不十分かも知れませんが、以上申上げまして、何かお尋ねでもありますれば承わることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/29
-
030・片柳眞吉
○片柳眞吉君 これはあとの都合もありますから、今日は私は内容の質問は余りいたしませんが、今度の統制撤廃を棚上げをした方針について、今少し詳細に具体的にこれに関連してお聞きをしたいと思います。そういうことを保留いたしまして、私は今日の質問はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/30
-
031・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 他の委員の皆さんにおかれましても、やはり同様根本的な問題で御疑念があると思いますが、これは後日に質疑を譲つて頂きたいと思います。従つてこの問題はこの程度にいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/31
-
032・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 次に昨日懇談会の際に、宮本委員から御要望がありました例の行政整理に関しまして、行政管理庁から事務当局の出席を求めて、農林関係のうちで主として食糧、統計等の問題を中心にして整理基準と言いますか、この問題の取扱について簡単でいいから説明を求めたいと思います。行政管理庁の中川管理部長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/32
-
033・中川融
○政府委員(中川融君) 今回政府が国会に提案いたしております行政機関職員定員法の一部改正法案によりまして、現在の各省庁の職員約八十九万のうち約九万人近い人が整理になるわけでございます。そのうちで農林省関係でございますが、これは現定員八万五千二百七十九名のうち二万六千七百六十五名が削減になります。その主なものといたしましては、食糧庁関係及び統計調査事務所関係等があるわけでございます。このうち食糧庁関係の分につきましては、政府の原案におきまして、食管特別会計の職員三万九百六十五名のうち一万五千九百二十三名を削減する案でございまして、この案は米穀の統制解除を前提として作られました数でございまして、初めに提案されました行政機関職員定員法一部改正法案におきましては、附則におきまして特に一項を設けまして、若しも明年四月一日までに米穀の統制が解除にならなかつた場合には、このうち七千九百六十一名を限りまして、予算の範囲内において政令で以て殖やすことができるという項目を入れてございました。ところがその後になりまして、つまり衆議院の審議中に政府の声明がございまして、米穀の統制解除は四月一日までには大体行われないということが明らかになりましたので、これは衆議院におきまして、この改正案に対しまして修正が行われました。最初の原案におきまして、附則に書いておりました政令で殖やすことができるとなつておりました七千九百六十一名の人員をそのまま正規の定員といたしまして、本表のほうに追加になつた次第であります。その次に統計調査関係でございます。これは現在の定員一万四千四百六十二名中、六千四百六名を削減して、新定員八千五十六名になることになつております。この主たる理由は行政簡素化の線に即しまして、従来大体郡単位を基礎といたしまして必要な数字を出しておりましたものを、大体県単位までに引上げるということをいたすということから、かような人員の縮減が可能であるという計算に立至つた次第であります。なおそのほかにおきましても、農林省関係におきましては、相当多数の項目につきましていろいろ整理が予定されておるのでございますが、結局今回の定員法自体といたしましては、農林省全体につきましての総定員をきめる趣旨になつておりますので、政府部内におきまして、閣議で決定いたしました際には、或る程度項目を分けまして、おのおのにつきまして整理数をきめたのでありますが、その後各省即ちこの農林省につきましては、農林省において適当と認めるところによりましてそれを修正する、つまり総定員は変更しない限度におきまして、内部において事務の実情に即してこれを修正することが認められております。従いまして個々の具体的な細目につきましては、農林当局より御聴取下さるのが適当ではないかと存じます。併しながら政府といたしまして、閣議決定いたしました際におきましても、結局当初の案、今回の行政整理の大体基礎になりましたものが、八月頃に行われました政令諮問委員会の答申というものが一応の参考案になつたのでありますが、その際におきましては、相当思い切つて事務の整理等をいたしまして、或るものによりましては十割定員を削減するのが適当であるというような答申が出たものもあつたのでありますが、それらはその後におきまする事務的折衝におきまして、結局さような大幅な削減は大体いたさないことになりました。大体大きなものでも三割程度のものにとどまつておる状況であります。いろいろ項目によりまして三割程度のもあり、二割程度のもあり、一割程度のもあり、更に全然整理しないというようなものもございまして、定員法に盛られました農林省関係の人員の削減内容につきまして、極めて大ざつぱでございますが、以上御説明申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/33
-
034・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 只今承わつた程度のことは大体当院の委員会の皆さん御了承なのでありますが、実は整理基準を承わりたかつたのでありますけれども、これについて御質問があれば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/34
-
035・宮本邦彦
○宮本邦彦君 今委員長も実は申されたことなんですが、整理基準というものが御発表になれれば承わりたい。若しもこの席でこれが承われないなら、今お話になられた農林省に任せたという、どの程度を任せられたのか、そこの限界でも結構なんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/35
-
036・中川融
○政府委員(中川融君) 整理基準というものは一番元に遡りまして、政令諮問委員会が答申を出しました際には、いろいろの例えば人事、会計事務の簡素化或いは事務能率の増進、執務態勢の改善等によりまして、原則として二割の人員縮減は可能であるということを答申しております。そのほかに各個の事務を検討いたしまして、事務整理をすることによつて三割以上十割までの縮減がいろいろ項目について勧告されておるのであります。従いまして基準と言えば、最初は一応二割という基準があつたわけでございますが、結局政府といたしましては、方針につきまして、八月二十八日に閣議決定したのでありますが、その際は政令諮問委員会の答申を参考として、別途政府部内で作りました行政簡素化本部というもので検討して具体案を作るということになつたのであります。行政簡素化本部では政令諮問委員会の出しました案を基礎として、各省と折衝いたしながら一応の案を作つたのでありますが、その際には基準というほどのはつきりしたものは特に作りませんで、まあ人事、会計等については一応例えば三割というようなことを出しましたし、或いは現業につきましては、一応一割というような大体の大ざつぱな目途は付けましたけれども、必ずしもそれに拘束されることはなかつたのであります。それは各省庁におきまして、いろいろ実情によつておのずから現在の人員の数というものが、各省庁比べましても、現在におきましても相当の違いが出て来ております。その人員と事務の分量と申しますか、違いが出て来ておりますので、そう一律にできかねる。それから最後に十月五日に閣議決定があつたのでありますが、具体的な数につきまして閣議決定があつたのでありますが、その閣議決定自体につきましても、勿論さようなことで一般に適用する率というようなものは特に設けてございません。これは今回の整理が大体事務の実体に応じて整理するということで、天引整理はとらないということになつておりますので、さような基準というものは特にございません。それからその閣議決定がありましたものが定員法の数に盛られたわけでありますが、その盛られた数は只今申上げました通り総体の数で盛られておりますので、十月五日に閣議決定した内容自体につきましても、必らずしもその各項目自体に各省は拘束されないで、所要に応じてその一つの項目から他の項目に人員を移すことができるということになつております。現在例えば農林省について申上げますれば、農林省で一応予定しております項目別の人員整理案というものがあるわけでございますが、これは十月五日の閣議決定をいたしました案と比べますと、若干いろいろなところで違いが出て来ております。又その違いの出て来ているが結局その省の現実の実情により適合した数になつておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/36
-
037・羽生三七
○委員長(羽生三七君) この問題については、いずれ明日内閣委員会との連合委員会がありますので、その際に根本的な御質疑を願うことにして、今日はこの程度で散会したいと思いますが、なおこの機会に御了承願いたいと思いますが、只今外務委員会から報告がございまして、先ほどの外務委員会との連合委員会は土曜日の午前十時ということにきまりましたので、日程の中へお記し置き願いたいと思います。本日はこれにて散会いたします。
午後三時三十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X00919511114/37
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。