1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十一月二十六日(月曜
日)
午後二時二十四分開会
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出席者は左の通り。
委員長 小野 義夫君
理事
宮城タマヨ君
伊藤 修君
鬼丸 義齊君
長谷山行毅君
中山 福藏君
齋 武雄君
一松 定吉君
須藤 五郎君
政府委員
法務政務次官 高木 松吉君
法制意見長官 佐藤 達夫君
法制意見参事官 位野木益雄君
事務局側
常任委員会專門
員 長谷川 宏君
常任委員会專門
員 西村 高兄君
説明員
最高裁判所長官
代理者
(事務総局人事
局長) 鈴木 忠一君
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本日の会議に付した事件
○裁判官の報酬等に関する法律の一部
を改正する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
○検察官の俸給等に関する法律の一部
を改正する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
○裁判所職員定員法等の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101215206X00919511126/0
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001・小野義夫
○委員長(小野義夫君) それでは只今より開会いたします。
先ず最初に裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、先ず両案を一括して、質疑はすでに打切つておりますから、直ちに討論に入りたいと思います。御意見のおありのかたは、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101215206X00919511126/1
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002・一松定吉
○一松定吉君 私はこの案に賛成です。我々の考えといたしましては、つまり今のように道義の頽廃しているとき、これらの頽廃の事案を振粛するためには、本当に立派な裁判官、検察官等が必要であることは言うまでもありません。けれどもそういうときに、これらの官に補せられる人々が、給與が菲薄であるために生活が困難であるし、その椅子に安んじて長く坐ることができないというようなことでは、官紀、綱紀の振粛もできませんし、徳義の頽廃を是正するということもなかなか困難であろうと思います。今我が国において本当に我々国民の頼るべきものは裁判官、それに次いで検察官という地位にある人々であります。こういう人が生活が十分にやつて行けない。家庭が自分の給與せられる俸給以外の収入の途がないというようなことになりますると、自然に頽廃を招来することは、今までの歴史に徴して明らかであります。故にこういうような役柄にいる人に対しましては国家は相当にこれを待遇いたしまして、安んじてその職に専念することのできるように、そうして今日の官紀、綱紀の頽廃している事実を、自分らが身を以てこれを是正して行くというような非常な覚悟を以て臨ませねばならんと思うのであります。そういうような意味におきまして、私どもはこの法律を改正いたしまして、そうして相当な報酬を與えるということは当然の帰結でなければならんと思うのであります。一面には、こういう人々が給與が菲薄であるためにだんだん官を退いて野に下るというような実情も今日すでに現われているのでありまするから、そういうようなことを是正する意味におきましても相当の報酬を差上げ、そうして人材を集めるということにするのには、この法案を通しまして、そうしてそれらの人に大いに集まつてもらうというようにすることが必要であろうと思うのであります。私どもの考えは、この改善せらるべき報酬の額においても私はまだ菲薄だと思う。本当は英国みたように裁判官に対しては信頼の非常に高まるように待遇するというようなことをとらなければ、なかなか私どもの思うような理想の実現は困難であろうと思います。先ずその一歩を踏み出しましてこういうようなものを通過させ、そうしてこれらの地位に着く人が喜んで終身その職のために一身を捧げるように仕向けまするのには、報酬を高くして、他の官公吏に比較して大いに待遇をよくして上げるということが必要であろうと思うのでありまするから、どうか将来とも法務当局におきましては、そういう意味において他の官公職員に先んじて常に常にこれらの報酬を引上げて、そうして今私どもが申上げるような目的を達成して官紀、綱紀の振粛を図つて頂くように御注意賜りまするように、ということを条件にいたしまして、私はこの案に絶対的に賛成いたすものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101215206X00919511126/2
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003・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 別に御意見はございませんか。(「ありません」と呼ぶ者あり)別に御発言もなければ討論は終結したものと認めて、直ちに両案について採決に入ります。両案を可とすることに賛成のかたの挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101215206X00919511126/3
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004・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 全会一致と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。
なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつて、あらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することにして御承認願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101215206X00919511126/4
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005・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 御異議ないと認めます。
それから本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者の署名を附することになつておりますから、両案を可とされたかたは順次御署名を願います。
多数意見者署名
鬼丸 義齊 伊藤 修
齋 武雄 中山 福藏
長谷山行毅 一松 定吉
宮城タマヨ
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101215206X00919511126/5
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006・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 次に裁判所職員定員法等の一部を改正する法律案を議題に供します。本案に対して御発言を順次お願いいたします。ちよつと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101215206X00919511126/6
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007・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101215206X00919511126/7
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008・伊藤修
○伊藤修君 一般公務員の定員法は当院において修正されるというような気運になつております。又政府のほうにおいてもその一部については同意をしておるらしいのですが、その修正は必至と考えられるのですが、あとは数だけの問題となつておるような情勢ですが、それとこの裁判所職員の定員法との関係はどうであるか、お伺いしたいのです。というのは、いわゆる減員のパーセンテージが違つて来るのですが、裁判所もそれに倣う必要があるのかないのかということを先ずお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101215206X00919511126/8
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009・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 一応私からお答えしておきますが、この一般の行政官庁につきましても、裁判所につきましても、同様であらうと存じますが、今回の定員の整理というものは各役所役所により、或いは各事務に応じまして、そのパーセンテージと申しますか、率は皆違つております。忍び得る限りにおいて減らすという建前になつておりますからして、一律にはなつておりませんわけであります。従いまして只今のこの裁判所職員の定員関係におきましても、これはこれとして別にお考え願えればいいのであつて、なおこの原案の率につきましては、提案理由に御説明申しましたように、この程度の減員は事務の簡素化或いは能率化ということによつて十分カバーできるという御説明をしておるわけであります。一般のものといいますよりも、これはこれとして御審議頂ければいいのではないかというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101215206X00919511126/9
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010・伊藤修
○伊藤修君 政府委員はそう簡単におつしやるけれども、いわゆる一般のものについても最小限度において減員をされて、それを原案としてお出しになつた。それが国会におけるところの考え方としては、それをもつと切詰める、緩和しろ。こういうことで少くとも各政党によつて意見が違つておりますけれども、少くとも政府の同意するところの数においても、五千人近くというものはいわゆる減員をそれだけ緩和しようという考え方である、それで裁判所のほうもやはりそういう考え方になつて然るべきじやないかと思うのですが、何も先に原案を出したからそれを固執しなければならんということなはいでしよう。一人でも余計助けてやるということのほうかいいのじやないでしようか。尤も裁判所は今後増員しないという考え方なら別ですが、一体常にいろいろなことをお伺いすると、手不足で以て仕事ができないのだということをおつしやつておるにかかわらず、今度全般的に減員しろという指示によつて止むを得ず裁判所もそれに倣つたはずですし、その場合において少しでも手を殖やすということのほうが、却つて国民のためになるのじやないでしようか。それとも今後一切増員しないというお考え方なんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101215206X00919511126/10
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011・鈴木忠一
○説明員(鈴木忠一君) 只今の御質問ですが、裁判所側といたしましては、この法案を出すについてあらかじめ政府のほうから交渉を受けましたし、それから全部の定員から八百九十九名を減ずるということに、そういう数字が出ましたのも、大蔵省から示され、その前に内閣から示された五千或いは四千という数字に対し、更に大蔵省から示された二千何百というような数字に対して、裁判所としては事務の現在の状態から見て、そういう要求するような人数は到底減少することができないといつて、たびたび交渉の結果、八百九十九人を減少するということに落着いたわけなんですけれども、これは裁判所として現在の事務量と人員から見て、八百九十九人を減らすのが当然だというようなつもりで実際はやつておるわけではないのです。行政官庁が国家の財政その他から見てどうしても減員をしなければならないという建前をとり、裁判所に対してもその協力方を求められている以上、裁判所としても自分の勝手にのみ固執して、それに応じないというわけには参らないものなんですから、できるだけ大蔵省とは交渉をして、その結果この数字に落着いたわけなんです。従つて八百九十九人を減少したからといつて、将来裁判所は一切人員の増員を要求しないなどということは毛頭考えておらないわけでございます。従いまして若し一般の行政官庁の整理員数の率が減るというようなことになれば、裁判所としてもこの法案において示されておる八百九十九名の数を減らして下さることについては毛頭異議かないのであります。ただ大蔵省との関係でできるだけ大蔵省にも譲歩をさせ、こちらの無理もいい、そういう数を弾き出したりで、表て向き私どもとしては更に国会に積極的にお願いをして減らすようにというようなことが、対大蔵省との交渉の立場で正直のところいえない、いつては相済まんじやないかという気持はありますけれども、この数字が減ることについては我々としては決して不満ではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101215206X00919511126/11
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012・伊藤修
○伊藤修君 私のお尋ねしようというのは、結局いろいろな行政的折衝の結果、成る一つの線に到達して、それが原案として一般公務員及び特別職というものに対して、いわゆる裁判所は特別職にはまだなつていないのですが、出たわけです。その線が今度動くということになりますとやはり同率に動くべき筋合のものじやないか、ひとり裁判所のみが減員を余計強いられるという形になつて来ることは不公平じやないかと、こういうのですが、それとも裁判所の機構が十分冗員があつてこと足りるのだという御意見なら、それは構いません。今の御説明によりますれば、無理してこれだけのものを弾き出したのだとおつしやる。して見ますれば今日の実情から申しますれば、少くとももう少し人はあつていいというお考えであろうと思うのです。そういう場合において、他の一般職の整理人員かそれによつて減少されるならば、裁判所のほうもやはりその恩惠に浴してそうして事務の能率を図つて国民の便益を図ることに御方針を定められたほうがいいと思うのです。それから若し一般の場合と比較いたしまして、これを増加するとするならどのくらいを考えられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101215206X00919511126/12
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013・鈴木忠一
○説明員(鈴木忠一君) 一般の比率と申しましても、各官庁ごとに比率が違うのじやないかと思います。従つて私どものほうとして行政官庁が減るならば、それと同率で減らしてもらいたいということは、これは勿論希望するととろでありますけれども、只今のところ一般の行政官庁が、一体全部一律的にどの官庁についてもこの程度の減員の率で減らすということになつておりましようか。それとも特殊の官庁だけに限つて減員の比率を減らすということになつておるのか。仮にそうした場合に、一体それならば平均官庁かどのくらいの率が減るというようなことになるのか。そういうことをはつきり把握しておりませんものですから、私どものほうの平均の比率は六%になつておりますのですが、それと比べてどういうようになりますか。それを見た上で私どものほうの案はそういう方向になるならば立てたい、こう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101215206X00919511126/13
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014・伊藤修
○伊藤修君 では本案につきましては、他の修正案もありますし、それから他の各所管ごとに何%ずつ出ておるかという、この点も考慮したいと思いますから、本日はこの程度にしておいて頂きたいと思います。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101215206X00919511126/14
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015・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 如何ですか。それじや本案に対しては先ず質疑の打切りを留保するわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101215206X00919511126/15
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016・伊藤修
○伊藤修君 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101215206X00919511126/16
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017・小野義夫
○委員長(小野義夫君) それでは本日はこの程度で散会いたします。
午後二時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101215206X00919511126/17
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