1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月十三日(火曜日)
午前十一時十八分開議
出席委員
委員長 岡村利右衞門君
理事 黒澤富次郎君 理事 原 彪君
稻田 直道君 岡田 五郎君
尾崎 末吉君 片岡伊三郎君
關谷 勝利君 玉置 信一君
坪内 八郎君 山口シヅエ君
石野 久男君 木村 俊夫君
出席国務大臣
行政管理庁長官 野田 卯一君
運 輸 大 臣 村上 義一君
出席政府委員
航空庁長官 大庭 哲夫君
委員外の出席者
専 門 員 岩村 勝君
専 門 員 堤 正威君
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五月十二日
札幌、帯広間民間航空路開設に関する陳情書
(第一七五八号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
航空法案(内閣提出第一七九号)
地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き、
燈台管理部の設置に関し承認を求めるの件(内
閣提出、承認第五号)
連合審査会開会要求に関する件
連合審査会開会に関する件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/0
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001・岡村利右衞門
○岡村委員長 これより会議を開きます。
地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き、燈台管理部の設置に関し承認を求めるの件を議題とし、まず政府より提案理由の説明を求めます。村上運輸大臣。
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地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き、燈台管理部の設置に関し承認を求めるの件
地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き、燈台管理部の設置に関し承認を求める の件
運輸省設置法の一部を改正する法律の施行に伴い、航路標識業務の円滑な運用を図るため、別表に掲げる位置に燈台管理部を設置する必要が生じたので、これらの設置について、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き国会の承認を求める。
別表
名 称 位 置
小樽燈台管理部 小樽市
塩釜燈台管理部 塩釜市
新潟燈台管理部 新潟市
横浜燈台管理部 横浜市
名古屋燈台管理部 名古屋市
舞鶴燈台管理部 舞鶴市
神戸燈台管理部 神戸市
広島燈台管理部 広島市
門司燈台管理部 門司市
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/1
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002・村上義一
○村上国務大臣 地方自治法第百五十六条第四項の規定に基きまして、燈台管理部の設置に関し承認を求めるの件につきまして、提案理由をお聞き取り願いたいと存じます。
運輸省設置法の一部を改正する法律の施行に伴いまして、海上保安庁の燈台部は、燈台局ととして運輸省の付属機関となりますので、その事務を分掌させるため、地方機関として燈台管理部を設置いたしまして、航路標識業務の円滑な運用をはかる必要が生じて参つたのであります。
地方自治法第百五十六条第五項の規定によりますと航路標識は承認を要しないのでありますが、燈台管理部はこれに含まれておらないので、同法同条第四項の承認を要することとなるのであります。
この燈台管理部は、現在の海上保安庁の地方機関である管区海上保安本部の内部部局の燈台部を、そのまま単に燈台管理部という名称のもとに現在の通り九箇所に存置しようとする次第でありまして、これによつて新たに地方行政機関を設置いたそうというのでもなく、また予算、人員等におきましても、海上保安庁から移管される範囲内にとどまつて、何ら増加するものではないことを申し添えておく次第であります。
以上簡単ながら提案理由を御説明申上げたのであります。何とぞ慎重御審議の上なるべくすみやかに御可決、御承認を賜わりますようお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/2
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003・岡村利右衞門
○岡村委員長 次に航空法案を議題とし、質疑を続けます。尾崎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/3
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004・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 総括質問における行政機構改革の点から見た各種の問題につきましては、行政管理庁長官に午後から御質問申し上げることにいたしまして、ここでは航空法案の各条章の中で疑義とするところを、主として航空庁長官に御質問を申し上げたいと思うのであります。
まず第一に、第二条の第十九項に、「この法律において「航空機使用事業」とは、他人の需要に応じ、航空機を使用して有償で旅客又は貨物の運送以外の行為の請負を行う事業をいう。」こう書いてありますが、この内容は一体どういうことになつておりますか、その説明を伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/4
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005・大庭哲夫
○大庭政府委員 この内容は、たとえば新聞社等で、航空機を使用して事業を営むようなものが、この例に当るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/5
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006・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 そうしますと現在の日航のやつておりますことは、この航空機使用事業に当りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/6
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007・大庭哲夫
○大庭政府委員 それは航空機運送事業の方へ入つて、その中の定期運送事業の方に入るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/7
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008・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 航空機使用事業というのをもつと具体的な事業にしますと、どういう事業がこれに当りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/8
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009・大庭哲夫
○大庭政府委員 具体的に申しますと、新聞社の事業とか、魚群探見とか、写真測量とか、そういうふうな、いわゆる産業的な方面に大部分使われるような事業が、それに適用されると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/9
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010・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 そうしますと飛行機を観光事業に使う場合も、この航空機使用事業でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/10
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011・大庭哲夫
○大庭政府委員 それがいわゆる有償であり、旅客、貨物を運ぶ場合には、不定期事業の方に入るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/11
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012・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 大体この定義は了承いたしました。
そこで第四条に移りますが、登録の要件のうち、これは過日の総括質問におきまして、運輸大臣にも御質問申し上げたのでありますが、あらためて承つておきたいのであります。第四条「左の各号の一に該当する者が所有する航空機は、これを登録することができない。一、日本の国籍を有しない人、二、外国または外国の公共団体若しくはこれに準ずるもの、三、外国の法令に基いて設立された法人その他の団体、四、法人であつて、前三号に掲げる者がその代表者であるもの又はこれらの者がその役員の三分の一以上若しくは議決権の三分の一以上を占めるもの」この今読みました第四でありますが、日本の航空事業というものを振興発展させるということのためには、もちろん国内の資本だけでは不十分なのでありますから、できるだけ外資を導入いたしまして、これらの振興をはからなければならないということは当、然だと思うのでありますが、この外国資本が三分の一以上得られないということになりますと、将来もそうでありましようが、さしあたり非常に支障を生ずると思いますので、この三分の一以上ということを、たとえば四割九分九厘までは外国資本を入れることができる、こういつたことになぜしなかつたのか、またそう変更してもいいのかどうか、この点について伺つておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/12
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013・大庭哲夫
○大庭政府委員 この問題は、先日大臣からも御説明申し上げた通りでありますが、航空の自主権の確保という問題と外資導入という問題の二面の問題から、この問題は調整をされなければならないわけであります。米国、イギリス、スイスというような例をとつてみましても、航空の自主権の確保という面から、慣例的に三分の一以上もしくは議決権の三分の一以上を占めるものはだめだというように、各国ともなつておるものでありまして、外資導入という面も勘案いたしましたが、一応この三分の一以上はだめだということで、法案を作成いたした次第でありますが、この点につきましては十分御審議をお願いいたしまして、御決定をお願いしたいと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/13
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014・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 御趣意のあるところは、大体英国その他諸外国においても、三分の一以上を持つものは登録が与えられない、こういうことになつておるから、そういう慣例に従つてこれをつくつたんだ、しかし日本の事情は英米その他の諸国とは事情が違うので、今のいわゆる自主権を損傷されない場合であるならば、この点については審議の結果しかるべく、こういうふうに御答弁になつたものと了承してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/14
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015・大庭哲夫
○大庭政府委員 そういうように御解釈なさつてけつこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/15
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016・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 この点はわかりました。そこで登録事項に移ります。登録事項、第五条「登録は、航空機の所有者の申請により航空機登録原簿に左に掲げる事項を記載し、且つ、登録記号を定め、これを航空機登録原簿に記載することによつて行う。」として、その次に「一、航空機の型式、二、航空機の製造者、三、航空機の番号、四、航空機の定置場、五、所有者の氏名又は名称及び住所、六、登録の年月日及び登録番号」、こういう六つのことがあげられておるのでありますが、この中に航空機の製造の年月日を入れる必要ないのかどうか。これはあとの各条章に出て参ります航空機の検査その他の問題と関連して来ると思うのでありますが、製造の年月日をこの中に入れなくてもいいのかどうか、この点について御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/16
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017・大庭哲夫
○大庭政府委員 製造の年月日は別途出るわけでありまして、この各項としましては製造者名だけでけつこうでないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/17
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018・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 別途に出て来るでありましようが、登録の年月日を掲げる以上、製造の年月日を五と六の間かそこらに挿入しておく必要があるように思うのでありますが、それはこれで絶対さしつかえない、こういうことになりますか、もう一ぺんお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/18
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019・大庭哲夫
○大庭政府委員 今までの慣例からいつて、これでさしつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/19
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020・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 それではこの問題は、まだ了承のところまで行かないで、一番最後に讓つておきまして、その次に移りたいと思います。
第三章、航空機の安全性、耐空証明という第十条であります。第十条の「航空庁長官は、申請により、航空機について耐空証明を行う。」2「前項の耐空証明は、日本の国籍を有する航空機でなければ、受けることができない。但し、政令で定める航空機については、この限りでない。」この政令で定める航空機の種類についての、内容についての御説明を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/20
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021・大庭哲夫
○大庭政府委員 これは大体現在日本国がやつているように、チヤーターするような場合を一応さすと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/21
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022・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 これは、この前のもく星号の遭難の原因につきましては、先日調査会の結論が御発表になりましたので、これを了承するのでありますが、航空機が外国の航空機であつて、しかもその航空機を外国の航空会社が使用している、こういう場合は別でありますが、チヤーターいたしておるものでありましても、日本で使用している場合においては、これに何らかの、いわゆる耐空証明についての、または検査についての何らかの措置を講じておかなければ、危險、不安等を感ずることがありはしないか、こういう憂いを持つのでありますが、そういう点について何らの懸念もない、こういうふうに考えてよろしゆうございますか、その点を御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/22
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023・大庭哲夫
○大庭政府委員 もちろんこれは検査その他については一応実施するわけでありますから、その点については懸念はないと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/23
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024・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 それではその点は了承いたしておきますが、その第十条の四項「航空庁長官は、第一項の申請があつたときは、当該航空機の強度、構造及び性能が、運輸省令で定める安全性を確保するための技術上の基準に適合するかどうかを検査し、これに適合すると認めるときは、耐空証明をしなければならない。但し、第十二条第一項の型式証明を受けた型式の航空機又は輸入した航空機その他の政令で定める航空機にあつては、設計又は生産過程について検査の一部を行わないことができる。」こう出ておるのでありますが、このいわゆる検査の一部を行わないことができるという検査の一部というのは、大体どういう点をさしておるのであるか、これを御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/24
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025・大庭哲夫
○大庭政府委員 これはもしもこの会社の検査機構その他が良好であつて、あらためて次の航空機まで検査をする必要がないと認めるような場合には、その検査の一部を省略しようというわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/25
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026・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 その検査の一部というのは、たとえばその場合によつて違うわけでありますか。あるいはその全体のうちの一部という、その一部ということの具体的なところを御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/26
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027・大庭哲夫
○大庭政府委員 失礼いたしましたが、一部でありまして、結局こちらから検査基準というものを設定して、その基準通り検査することになるわけですが、ある航空機についてはその一部分だけを検査を省略する、それはそのときどきによつて変化があるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/27
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028・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 そのときどきによつて全部の中の一部を検査は行わなくても済ませることがある、こういうことのようでありますから、この点はわかりました。そこで六項の「第四項の検査のうち、製造過程について行うものは、航空庁長官が当該航空機の製造を行う工場の従業者であつて政令で定めるもの又は通商産業大臣が運輸大臣に協議して指定する通商産業省の職員に行わせるものとする。」七項「航空庁長官は、前項の検査について当該通商産業省の職員を指揮監督することができる。」こう出ておるのでありまして、私どもが最も心配をいたしますのは、第十条の耐空証明にかかつておる点が最も大きいのでありまして、その中で六項と七項のこの両項目は、最も重大性があると思つておるのであります。そこできのうもこれについていささか質問をいたしたのでありますが、念のためにもう一ぺん繰返して御質問申し上げておきたいと思うのであります。この国際民間航空条約の附属書の第八に「航空機の耐空性」という条項がありまして、この航空機の耐空性の中の第三章「当該の耐空性要件に合致していることの立証」こう出ておりまして、きのう読みましたから省略いたしますが、それは三・一、その次に三・一・一、その次に三・一・二、その次に三・一・三とあつて、これはいわゆる航空機の安全性ということとそれから責任の帰一点という点について、あらゆる角度から厳重に考えられてつくられた条章であると思うのでありますが、その中で今読み上げました項目の中の三・一・二、これを一つだけ読んでみますと、「航空機がすべての重要な点で承認済みの設計に合致しており、またその製造及び組立てが良好であることを決定するためには、その国が承認した検査制度に従つて製造工程中に航空機を検査しなければならない。」こう出ておるのでありまして、この趣意から申しますと、この航空法案にある耐空証明の中の第四、第五は別といたしましても、特に六、七のこの二つの項目にあげられておる趣意は、非常に軽きに失しておる。今読み上げました国際民間航空条約の付属書第八の航空機の耐空性という趣意と著しく軽重があるように考えられるのでありますが、こういうことで国際民間航空条約の仲間入りをして、そうして各国の信用を十分にとつて行ける、こういうことの御自信があるのかどうか、この点をもう一ぺん伺つておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/28
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029・大庭哲夫
○大庭政府委員 こうなりました事情につきましては、先日来御説明申し上げた次第でありますが、そこにありまする「工場の従業者であつて政令で定めるもの又は通商産業大臣が運輸大臣に協議して指定する通商産業省の職員に行わせるものとする。」この検査の検査基準と申すものは、運輸省で定めるわけであります。また通産省の検査官はその七項によりまして、指揮監督権は航空庁長官にあるわけでありまして、組織上から申しますと、一応の体裁は成り立つているとも申せるのでありますが、はたして実行の面におきまして、この通り円滑に行くかどうかという点に、まことに懸念があるわけであります。この点、はたして法通り実行がスムーズに行けるかどうかという点につきましては、私といたしましても現在これがいかように最善を尽せるかということについて、検討中のところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/29
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030・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 率直な御答弁で、非常に私どもお気持に御同意を申し上げることができるのであります。そこでこれに関連してもう少し伺つてみたいと思いますことは、この国際民間航空条約の付属書に規定してある、さつき読み上げました「その国が承認した検査制度に従つて製造工程中に航空機を検査しなければならない。」これは非常に重く見られておりますから、従つて検査制度というものは、むろん運輸省と通商産業省との間に協議して、相当厳重なものをおつくりになるのであろうと思つておるのでありますが、この国際民間航空条約の趣意から申しますと、むしろこの航空法をつくるよりも、検査制度に従うという、この検査制度を先につくることが大事であるようにも見られるのであります。先でなくても検査制度というものと、この航空法というものは少くとも並行してつくられなければ、十分にこれを審議検討することは困難であるように思うのでありますが、この検査制度については、すでに立案にかかつておられるか、または通商産業省との間に御協議が進められておるのか、そうだとすればその内容について現在わかつておるだけのことを伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/30
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031・大庭哲夫
○大庭政府委員 航空庁におきましては、この検査制度につきまして大体の成案を得ているわけでありますが、これは運輸省令として出すわけであります。出す事前に通産省と協議をする必要はないことになつているわけであります。通産省といたしましては、ただいまからそれらのことに従事するのでないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/31
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032・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 運輸省の方ですでにそういう立案に着手しておられる、こういうことでありますれば、その検査規定というものの御立案になつておるところのおもな点の御説明を願えれば、ここで伺つておきたいと思うのであります。ということはその関係とこの七の「航空庁長官は、前項の検査について当該通商産業省の職員を指揮監督することができる。」と、こうあるのでありますが、なかなか運輸省というところから通産省という他の役所の職員を指揮監督するということは、今までの長い間の経験によりますと、なかなか困難なことなのでありまして、幾多の支障が生じた例を私どもは承知いたしておるのでありますから、従つてこの問題はいわゆる検査制度というものとは大きな関連がありますから、おさしつかえなければその骨組だけでも政令についてのことを伺つてみたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/32
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033・大庭哲夫
○大庭政府委員 今私ここにこまかいのを持つていませんから御説明することができないのをはなはだ遺憾と存じますが、いずれ近日中にプリントにいたしますから、最近のうちにお渡しできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/33
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034・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 それでは私どもの審議の資料として、できるだけ早目にここへ御提出を願いたいと思うのであります。なおこの問題につきましては、一番しまいにもう少し検討をいたしてみたいと思うのでありますが、何といたしましても今の点につきましては、私どもの安心の行けるもりのにして、悔いを十年、百年の後に残さない、こういうことについて相当の用意を払つておかれなければならない、こう思いますので、なおあとにこのことは検討することにいたしますが、できるだけ早目に資料の御提出を希望いたします。
それからその次に移りまして予備品証明の第十七条「耐空証明のある航空機の使用者は、当該航空機の用に供するための発動機、プロペラその他運輸省令で定める安全性の確保のため重要な装備品について、航空庁長官の予備品証明を受けることができる。」こう出ておるのでありますが、この予備品証明を受けることができるという半面を考えますと、受けることができるが受けなくてもよい、こういうふうにも解釈できるのであります。特にまたあとの方をずつと見渡してみましても、この予備品証明を受けなかつたがために、これを使用してはならないとかなんとかいうような、これらの制約に関する規定がないようでありますので、この第十七条の予備品証明を受けることができると、こういうことについての内容について、できるだけ詳細に御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/34
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035・大庭哲夫
○大庭政府委員 実はこの予備品証明という問題は、業者の便益のためにつくつた制度でありまして、たとえば現在定期航空に使つている飛行機そのものの発動機、プロペラというものが故障を起した場合に、その場所で、いわゆる予備品の証明を受けたものがあれば、すぐとりかえて運航ができるわけでありますが、予備品の証明のないものでありますと、その場で一度検査をしてから飛ばさなければいけない。しかも発動機、プロペラその他重要なものにつきましては、検査設備あるいは検査に相当の日にちがかかるために、飛行機の運航上相当の支障を来すというものでありますから、そういうような運航上重要な部分を占めるものにつきましては、あらかじめ検査をしておいてあげようというのがこの制度であります。従つてもしも会社の方でそういう必要がないというのであれば、何もする必要もない。しかしながらそういう場合にはその航空機が、長い間地上に検査を受ける期間停止しなければいけないというような不都合を生ずるようなことが起きるわけであります。これは業者の便益のためにつくつた制度であるとお考えくださればけつこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/35
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036・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 御趣旨はよくわかりますが、御説明のごとくでありますならば、業者の方で、前もつて証明を受けることが必要でない、こういうことを考えるくらいであれば、第一、予備品を航空機にあらかじめ搭載して準備しておく必要がない、こういうことにもなるのでありますから、この規定はやはり予備品証明を受けておかなければならない意味のごとくにかえた方がいいのではないか、こう思われるのでありますが、その点について長官はどういうふうにお考えになつておるか、もう一ぺん御答弁を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/36
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037・大庭哲夫
○大庭政府委員 これは飛行機自身にとりつけている予備品でなしに、そういうような故障が起きた場合に交換する品物として、会社の工場にストツクしてある品物がありまして、その品物をあらかじめ検査しておくか、検査しておかないかということは、業者の自由意思にまかしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/37
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038・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 よくわかりました。それでしたら今のままで了承することができます。
それから次に移りまして、試験の実施第二十九条「航空庁長官は、技能証明を行う場合には、申請者が、その申請に係る資格の技能証明を有する航空従事者として航空業務に従事するのに必要な知識及び能力を有するかどうかを判定するために、試験を行わなければならない。」2「試験は、学科試験及び実地試験とする。」3「学科試験に合格した者でなければ、実地試験を受けることができない。」4「航空庁長官は、外国政府の授与した航空業務の技能に係る資格証書を有する者について技能証明を行う場合には、前三項の規定にかかわらず、運輸省令で定めるところにより、試験の全部又は一部を行わないことができる。」こうあるのでありますが、「試験の全部又は一部を行わないことができる。」この全部を行わない場合と、一部を行わない場合、これはどういう場合にこういうことが生じて来るのか、その御説明を願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/38
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039・大庭哲夫
○大庭政府委員 「外国政府の授与した航空業務の技能に係る資格証書を有する者」これは大体におきましてICAOに加盟して、ICAOの標準あるいは基準に従つて発行しています資格証書あるいは技倆証明書を持つている場合には、一応そのICAOの基準に従つているという前提のもとに、その試験の全部または一部を行わないことができるということにしてあるわけでありますが、実際上におきましてはその者の所属する国、あるいはそれらの経験というものを参考にしまして、その試験の全部または一部を行うか行わないかということにつきましては、航空庁長官の判定にまかす。従いましてもしその中で、あるいは学科試験を省く、あるいは学科試験のうち、当然必要である気象、あるいはその国の国勢、いわゆる地形あるいは気象状況というものを特に試験課目として、その他の試験課目を省くというように、そのときどきの、またそのときに出て来るその人間の所属あるいはその経歴によりまして、航空庁長官は試験の全部を省くか、一部を省くかを判定したい。これはその場合々々によつて異なるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/39
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040・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 そこで伺いますが、第二十九条第四項までのすべての試験に合格した者でありますと、すぐに航空に従事することができることになるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/40
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041・大庭哲夫
○大庭政府委員 技能証明以外に、その人間の体格試験というものが一つの大きな項目をなしているわけでありまして、そのために、あとから出て来ますが、特に技能証明の者に限つて体格試験を施し、その体格試験がいい場合において初めて、乗つてもいいという免状を発行して、その免状が出た場合に初めて乗ることになるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/41
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042・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 健康の点は、もとより御説明の通りでなければいかぬと思うのでありますが、そこで伺いたいのは、試験に合格し、健康の点も十分に参酌せられ、そして航空機乗組員免許を受け、その上に、一つの航空路について何時間か何十時間かの実績を持つ、こういうことでなければ操縦に従事してはいけない、こういうようなことの規定を置かなくてもよろしいものですかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/42
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043・大庭哲夫
○大庭政府委員 第二十六条の申請資格というところで、それらの経験は十分参照することになつているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/43
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044・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 そうしますと第二十六条によりつて、今言う一つの特定の航空路に対する航空時間の実績等がどの程度必要だ、こういうことは今の第二十九条と一緒にすればそれで十分だ、こういうことに了承していいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/44
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045・大庭哲夫
○大庭政府委員 そのほかに七十二条で、機長の場合には、特にその路線による資格というものを規定してあるわけであります。それらを勘案すると、それで十分でないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/45
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046・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 その点は了承しました。その次に第五章、航空路、飛行場及び航空保安施設、航空路の指定、第三十七条「航空庁長官は、航空機の航行に適する空中の通路を航空路として指定する。」2「前項の航空路の指定は、当該空域の位置及び範囲を告示することによつて行う。」飛行場又は航空保安施設の設置第三十八条「航空庁長官以外の者は、飛行場又は政令で定める航空保安施設を設置しようとするときは、航空庁長官の許可を受けなければならない。」こう出ておるのでありますが、この二つを合せまして、主として三十八条に規定してある航空庁長官以外の者が飛行場または政令で定める航空保安施設を設置しようとするというのは、具体的に申しますと、航空庁長官以外の者というのはどういうものをさしておるか、その御説明を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/46
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047・大庭哲夫
○大庭政府委員 航空庁長官がやるのは国有国営になるわけでありますが、それ以外のものと申しますと、県あるいは市、あるいは航空機製造事業者等が飛行場を設置する場合、あるいはそれらの飛行場に航空保安施設を設置するような場合が起きることを想定いたしまして、この項目をつくつたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/47
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048・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 飛行場のことは了承できますが、航空保安施設につきましては、国以外に県または市等がこれを行うという場合があり得るのかどうか、またそういうふうにやらしていいのかどうか、こういう点についての御見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/48
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049・大庭哲夫
○大庭政府委員 この項目については、ほとんどまれであり、でき得る限り政府としてやつて行く所存でありますが、今申したように飛行場をつくつた場合に、飛行場の中にそういう設置をする場合があるのであります。こういう場合だけ、政令で定めた基準の範囲内また基準に従つたものであれば、これを許可して行きたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/49
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050・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 そこで今の二つのうちのあとの方にもどりますが、三十七条の中の、空中の通路を航空路として指定をせられる場合の航空路として適格である、こういうことの要件、たとえばむろん安全についての問題だとか、あるいはまたその航空路にたとえば定期航空機を飛ばすとか、こういう場合におけるいわゆる航空路の経済性、公共性、こういう点についてどういうふうな要件をそろえて指定されるのであるか、その内容を伺つてみたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/50
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051・大庭哲夫
○大庭政府委員 航空路の指定のおもな基準は、気象条件というのが一つ、あるいは地形条件、これが大部分の要件でありまして、二つの飛行場を結ぶ航空路としましては、直線的にこれを結ぶのが経済的であり、便益であるのでありますが、今申したような気象、地形、その他航空保安施設の設置条件というものとにらみ合しまして、それが迂回し、あるいはまたそこに角度が生じるというようなことが起きるわけでありますが、でき得ることなれば直線を希望するわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/51
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052・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 三十七条、三十八条につきましてはわかりました。
その次に公共用飛行場の告示等、第四十条「航空庁長官は、公共の用に供する飛行場について設置の許可をしたときは、当該飛行場の位置及び範囲、着陸帯、進入区域、進入表面、転移表面、水平表面並びに供用開始の予定期日を告示するとともに、現地においてこれを提示しなければならない。」この中の公共の用に供する飛行場というのは、いわゆる一般の公共という意味と、いわゆる航空の場合と全然同じであるかどうか。公共の用に供する飛行場というのは、具体的にはどういうことをさしているのか、この御説明を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/52
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053・大庭哲夫
○大庭政府委員 その半面、私用の飛行場、たとえば製造会社というものがつくつた飛行場、あるいは実験研究用につくつた飛行場、これらが私用の飛行場になるわけであります。それ以外におきまして、だれでも、どの飛行機でも離着陸できるいわゆる公共の用に供する飛行場ということになるわけであります。私用以外のものをさして大体公共の飛行場と名づけておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/53
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054・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 その場合、もとより将来生じて来るであろうと思われる自家用飛行機であるとか、あるいはさつき申しました観光用の飛行機であるとか、あるいは宣伝写真その他のために使う飛行機であるとか、そういうものも、離着陸ともできることになるのであろうと思うのでありますが、その通りであるかどうか。そうであつた場合に、これらのものについてのいわゆる課税と申しますか、そういうような経済的負担、そういうものについてはどういうことになるのであるか、この二つの点について伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/54
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055・大庭哲夫
○大庭政府委員 私用の飛行機あるいはその他いかなる飛行機にかかわらず、公共用の飛行場と名称し、あるいは規定した飛行場は、どのような飛行機でも離着陸できることになるわけであります。しかしそのときにおきまして、離着陸料金、要するに五十四条の使用料というものは課税されることになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/55
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056・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 十二時が過ぎたようでありますから、午前中の質問は一応この辺でおきまして、あとの質問は、午後またはその後のこの委員会においてやることにいたしたいと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/56
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057・岡村利右衞門
○岡村委員長 暫時休憩いたします。午後一時に開きます。
午後零時八分休憩
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午後一時三十五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/57
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058・岡村利右衞門
○岡村委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
航空法案に対し質疑を続けます。尾崎末吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/58
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059・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 野田建設大臣に対しまして、行政管理庁長官としての立場におかれての御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。いろいろ他の委員からも御質問があると存じますが、まず私から、航空法案に関連しましての行政機構改革の趣意等から、御質問を続けてみたいと思うのであります。
今回の行政改革にあたつて、行政管理庁長官が非常な御努力をなさつた御苦労に対しましては、衷心敬意を表しておるものでありますが、その機構改革にあたりまして、今回の機構改革の本質を貫いたところのものは、私どもの考え方では、行政事務の複雑多岐なのを簡素化して、責任の所在を明瞭にした上で能率を上げるという一点と、行政事務の簡素化によつて、人員を縮小し、その経費の節約をはかる、こういうところに今回の改革の眼目が置かれたのであると思つておるのであります。前にはこういうこととは違つた趣意の行政機構改革のあつた時代もあつたのでありますが、今回は今申しましたこの二つを眼目としておやりになつたことと思うのでありますが、あらためてそうであつたかどうかをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/59
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060・野田卯一
○野田国務大臣 今回の行政機構改革にあたりましては、お話のように、終戰後特にいろいろと新しい役所ができたり、あるいは機構の変更がありまして、たいへん複雑厖大になつておりますのを、極力これを簡素化し、また責任の関係を明確にする、行政責任の系統を明らかにするという方向に向いまして、立案されたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/60
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061・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 そこでその前提のもとにお伺いを申し上げてみたいのでありますが、ただいま本委員会に提出されております航空法案の提出に先立ちまして、運輸省において航空法制定審議会というものが設けられて、その道の権威者二十五名を審議委員として委嘱せられた。その委員会において慎重審議せられた結果、航空機及び航空運航の安全性を持たせるには、行政の一元化が絶対的のものである、同時に責任の帰一点が絶対的のものであるという趣意の結論をもつて、航空法制定審議会の答申が行われた。その答申による航空法案の内容においては、航空行政は生産から運航に至るまですべて一元化すべきであるとの建前を堅持して、航空機の生産施設、生産過程における検査、航空機の組立て後の耐空試験及び耐空証明等に至るまで、すべてその当時の法案の中に盛り込まれてあつたと思うのであります。特にまたこの二十五名の航空法制定審議会委員の中で、ただ一人の委員が今申したことに多少の異議をさしはさんだだけであつて、他の二十四名の委員は一致してさつき申し述べた答申に賛成をいたしておる。しかもいわゆる一元行政でなければいけない、主管省は運輸省でなければいけないという答申をいたしておつたというのでありますが、そのことはむろん野田長官は御承知であろうと思いますが、このことは、行政機構改革の案をつくられるにあたつて、十分お含みになつてこの航空法についてのごあつせんをなさつたかどうか、そのことをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/61
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062・野田卯一
○野田国務大臣 航空機生産の所管の官庁の問題につきましては、御承知のように政府部内におきましても、いろいろと意見がありまして検討をいたしたのであります。その結果、私は行政管理庁長官としてこの種の問題を担当いたしております関係上、この問題をどう解決するかということを閣議で委嘱されましたので、その委嘱に基きまして本件を検討いたしたのであります。御承知のように航空機の安全性確保という観点からいたしまして、航空機生産は一貫的に運輸省で所管すべきであるという御議論もございます。それとまつたく対蹠的な立場に立ちまして、航空機の生産も生産行政の一環であるから、これは生産行政を担当する通商産業省においてなすべきである、こういう御議論もあるわけでありまして、私は両方の意見を十分検討いたしまして、かつまた航空機生産過程の実情等をつぶさに検討いたしまして、安全性検査の分は運輸大臣の所管とし、生産技術検査あるいは製造検査の問題は通産大臣の所管でやられるのが適当であろうという結論に到達いたしまして、その線によつて閣議もまとまり、それによつて航空法案ができて、ただいま皆様方の審議にかかつておるというふうに了承しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/62
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063・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 御苦心の跡は十分に庁承できるのでありますが、この法案を審議するにあたりまして、私どもが最も心配いたしております点は、この航空法案は、通産省とか運輸省とかいう各省によつての、いやな言葉でありますが、なわ張り争い、そういつたものを政治的に解決する、こういう行き方でやつた結果、この安全性ということに非常に大きな影響を与えた。この問題はどこまでも科学的に、技術的に考えてみ、そしてこれの所管なりあるいは法律なりをつくらなければいけないのだ、こういうのが私どもの考え方でありまして、そういう点から考えてみて、今回できた航空法案について私ども非常に不安を持つておるわけであります。そこで閣議によつて決定せられたことを資料として御質問申し上げてみたいと思いますのは、今申しましたように航空機は他の運輸交通の機関よりも、一層高度の安全性が要求せられるものであることは申すまでもありません。この高度の安全性を保障するためには、航空機のような複雑な総合機械については、その現状のみならず、設計及び製造過程または修繕過程についても、厳密な検査を絶対的に必要とする。しかしてこのような検査は純然たる技術的、科学的分野であるのでありますが、今長官から御答弁になつたところでは、これらの技術及び科学的の分野の中に、いわゆる政治的の考慮が相当含められて、こういう結論が得られたのではないかということを心配いたしておるのでありますが、その点についてはどういう御所見であるのか、伺つてみたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/63
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064・野田卯一
○野田国務大臣 本件の結論を出す上におきまして、政治的考慮は私としては全然払わなかつた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/64
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065・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 政治的考慮をもつて御努力なさつたのではない、結論をつくつたのではない、こういう御答弁でありますから、それならば次に移ります。
海運行政と造船行政、鉄道の運行行政と製造行政とを運輸省で所管しておるような行き方で、現在鉄道にしましても船にいたしましても、いわゆる安全性を確保して行ける、こういうことになつているのでありますが、航空行政はさき申しましたように、鉄道や船よりももつと一元的な行政によつてやつて行かなければならない、こういうふうに私ども考えておりますが、これについて大臣はどういうふうにお考えになつておりましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/65
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066・野田卯一
○野田国務大臣 船舶並びに車両、自動車というようなものにつきまして、運輸のために使われる機関の製造をどこで所管するかということにつきましては、御承知のように二つの態様があるのであります。私はこれらの問題につきましては、どういうわけで船舶の生産が運輸省に所属したか、また車両の生産の所管が運輸省に来たか、また自動車についてはどうして通産省に行つているか、いろいろな問題も研究はいたしたのでありますけれども、そのときどきいろいろ複雑な事情があつたように記憶いたしております。そこでこの航空機の生産につきましては、それらのものとほかのものの取扱いも参考にはいたしますけれども、この問題はこの問題として取上げまして、現在の政府の機構から申しますれば、各種の生産行政が通産省において所管されており、また運輸の関係は運輸省で所管されている。こういう立場から、この問題をいかに解決すべきであるかということを科学的にまた技術的に、行政的に検討いたしまして結論に到達いたしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/66
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067・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 そうしますと今御答弁になつた御趣意は、その閣議決定というものは、いわゆる航空機生産の見地からする事業行政は通産省の所管であつて、航空機の運航安全の見地からする検査行政は運輸省の所管とするのだ、しかもこの二つの行政の重複は避けなければならないのだ、こういう考え方からおやりになつた、こういうことでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/67
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068・野田卯一
○野田国務大臣 その線に沿つてできるだけ重複を避ける配慮をいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/68
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069・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 その趣旨であるといたしますならば、この航空機行政に関する通産省の職分と申しますものは、生産施設が良好であるかどうかということの証明、第二には、かかる生産施設が良好に管理されているかどうかといういわゆる管理方法についての検査、この二つに限定されなければならない、こういうふうに思われるのでありますが、そういうように解釈してよろしゆうございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/69
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070・野田卯一
○野田国務大臣 ただいまの御質問の趣旨を、もう一度繰返しお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/70
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071・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 先ほどの御答弁から申しますれば、いわゆる閣議におけるその趣意というものは、通産省の職分としては、航空機の生産に要する施設がよいか悪いかということの証明、それから第二には、かような生産施設がうまく管理運営されているかどうか、こういう二つの事柄であると解釈してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/71
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072・野田卯一
○野田国務大臣 私は大体そういうふうに考えてよいと思いますが、閣議決定がありますように、生産工場の生産施設関していろいろ目を配るということは、通産大臣が主としてこれに当るのがよろしいというような考え方を持つております。またその工場におきまして飛行機を生産する過程における検査につきましては、全体検査と申しますか、製造検査と称すべきものについては、これは通産大臣がやることが当然と考えられるというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/72
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073・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 御趣旨は大体わかりました。私ちよつとここで違つたことをお伺いいたしますが、通産省の方で、一昨日でありますか、航空機製造法案というものを国会の方に提出をいたしたようでありますが、その航空機製造法案の内容を、大臣は一わたりごらんになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/73
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074・野田卯一
○野田国務大臣 私はまだその国会に提案されたものの内容をよく承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/74
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075・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 それならばその次に御質問申し上げますが、そうしますと閣議決定の事項につきまして一から七まであるようでありますから、この一から七までの資料に基きまして、そうして現在私どもの手元に出ておる本法案についての質問を試みてみたいと思うのであります。この閣議決定の一というのが、「航空機の型式証明(又は型式承認)は、運輸大臣の所管とすること。但し生産関係の重要事項については、通産大臣の意見を徴すること。」、こういうことになつておるようでありますが、この閣議決定の一について申しますと、航空機の型式証明は、航空機の設計について、航空機の強度、構造及び性能が、安全上適当であるかどうかを技術の見地から検査するものであつて、閣議決定の今読み上げました一の「但し生産関係の重要事項については、通産大臣の意見を徴すること。」ということは、型式証明の技術的性格からいつて矛盾するのではないか、こう考えるのでありますが、その点について長官はどういうふうにお考えになつておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/75
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076・野田卯一
○野田国務大臣 いかなる型式、いかなるタイプの飛行機をつくつてもいいと、国として認めるかどうかという点の証明をさしているのでありますが、これにつきましては、航空機を実際運航する面を監督し、また自分で運航する、こういう責任をとつている方の者が証明する。それに対する国家意思を表明することが適当であるということで、運輸大臣の所管とすることにいたしたのであります。しかしながら航空機の生産は工場であり、また各資材を用いるのでありますから、この資材面あるいは工場といつた面と全然遊離した設計がなされるということでは、実際上の効果を上げる適正なる運営を期し得ないので、その点については、考え方によつては通商産業大臣に協議をする、あるいはそれと共同管理をするという考え方もあるのでありますが、先ほど申しましたようになるべく権限の重複を避ける、あるいは主たる権限をきめて、従たる権限との区別を立てるというような意味合いにおきまして、そういう生産関係と密接な関係があるのでありますので、その点については通産大臣の意見を聞いて、その全たきを期する、こういうふうに行つた方がよいという結論で、第一項が設けられた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/76
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077・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 私どもはこの型式証明というのは、耐空証明を受けるための検査の省略手段として必要とする、こういうふうに解釈しておつたのでありますが、今大臣の御答弁を伺いますと、いかなる型の航空機をつくるか、こういうことについては資材のことともにらみ合せて考えなければならないから、そこでこういうようなことにきめたんだ、こういう御答弁のようでありますが、そうすると資材行政というものと安全を必要とする、いわゆる航空機運航行政というものとも、混淆されておるような感じがするのでありますが、その点についてはどういうふうにお考えでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/77
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078・野田卯一
○野田国務大臣 ただいまのお話の混淆しておる関係があるということを申し上げているのでありまして、関係なしにはできないじやないか。新しい型の飛行機がどんどんできて来る、現在はすぐにはできないでしようが、だんだん航空機の生産が進むにつれまして、新しい型がどんどん出て来るという場合に、そういう型の飛行機がいいかどうかということにつきまして、それにどういう資材が使われるか、どういう生産工程でやつて行くかということは、当然その間において問題になると思うのであります。そういう生産上の重要な事項も入つて来るのでありますが、そういうものについてはやはり通産大臣の意見を聞くことにする方が適当である、こういう考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/78
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079・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 この資材につきましては先ほど申しましたように、汽車をつくるにいたしましても汽船をつくるにいたしましても、これは運輸省が別に通産大臣と協議をしなくても、通産大臣の意見を聞かなくても、けつこうやつて行つておるのでありますから、最も安全性を必要とする航空機の製造ということの中に、ただいま御答弁になつたようなそういう趣旨を織り込んで考える必要は、前の統制時代であれば別でありますが、現在のところではそう別に必要はないじやないか。またそういうことのために、先ほど申しますように航空機の安全性ということに対しての杞憂が生じて来るのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、いま一度長官の御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/79
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080・野田卯一
○野田国務大臣 実はこの型式証明というものを共管にするというぐらい、いろいろと意見が闘わされておつた時代があるのでありまして、生産関係の重要事項について通産大臣の意見を聞くということにつきましては、常識的に見まして、また行政の実務から見まして、きわめて適当であつて、それがために運輸省行政が非常に阻害されるというようなことはないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/80
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081・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 この問題につきましての質問は一応あとの方に讓りまして、その次に移ります。
第三に、今の航空機の型式証明は、発動機であるとかあるいはプロペラであるとか、そういうものについての証明についても、先ほど御答弁になつたと同じように考えてよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/81
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082・野田卯一
○野田国務大臣 これはこの型式証明という言葉を、航空法の原案において型式証明あるいは型式承認という言葉を使つてあるものに関連してとつたのでありまして、お手元にあります航空法の規定がどうなつておりますか、私記憶しませんが、それによつて御承知を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/82
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083・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 それでは次に移りまして、閣議決定の第二について伺います。「航空機生産工場の生産施設に関する証明は、通産大臣がこれを行うこと。」こういうのであつて、これは非常に漠然としておるようでありますが、これらの内容を一通り御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/83
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084・野田卯一
○野田国務大臣 航空機生産工場の生産施設に関していろいろなことを証明する必要があるというような場合におきましては、通産大臣がこれを行う、こういう意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/84
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085・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 生産施設に関する証明制度は、世界各国のどこを見ましても、私どもの承知する限りにおきましては、いわゆる製造業者が個々の航空機についての耐空証明を受ける煩瑣を避けるための、検査省略の便宜方法としてつくられておるように私ども思うのであります。ところがこの閣議決定の二の「航空機生産工場の生産施設に関する証明は、通産大臣がこれを行うこと。」こういうことと、ただいま御説明になつたような事柄とを参酌して考えますと、私どもが了解しておつたことと少し違つた意味に解せられるのでありますが、生産施設証明というのは検査省略の便宜方法と考えてよいのか悪いのか、これをひとつ端的に伺つてみたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/85
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086・野田卯一
○野田国務大臣 私は航空法の中あるいは航空機製造法の中に、こういう言葉があつたかどうかということは記憶いたしておりません。ただいろいろと検討いたしました結果、航空機生産工場の生産施設はどうなつているかということの証明というものが必要となつた場合には、それは工場全体を監督する生産大臣としての通産大臣が、これを行うことが必要であるという意思の表明であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/86
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087・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 そうしますと、くどいようでありますが、耐空証明をする場合、その検査を省略する手段として、生産施設証明をするというのではなくて、航空機を製造するためにどういう生産施設をやつておるか、こういう必要からこの事柄があげられたのである、こういうふうに了解していいのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/87
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088・野田卯一
○野田国務大臣 これはいろいろと将来どういう場合が起つて来るか、われわれ今すぐに予想もつきませんが、いろいろな場合が起つたときに、生産工場の生産施設に関して証明するという必要が生じた場合には、その所管大臣といいますか、それを行う大臣は通産大臣である、こういう意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/88
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089・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 そうすると、これはあとの航空機の耐空検査をやる場合に、この生産施設証明というものとは別に、その関係は考えておいでにならなかつた、こういうことに伺つてよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/89
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090・野田卯一
○野田国務大臣 それはもう少しつつ込んで申しますと、たとえば航空機生産工場の生産施設に関する証明が通産大臣だつたならば、そういう通産大臣の証明した生産施設によつたものについて、いわゆる安全性検査を省略するかどうかということは、これはむしろ運輸省の問題であろう、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/90
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091・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 それでは次に移りますが、閣議決定に関する三であります。「生産過程における検査については、イ、生産技術検査は通産大臣の所管とし、ロ、安全性検査は、運輸大臣の所管とする。」こう出ておるのでありますが、生産技術検査の本質については、これはむろん明確にしておかないと、あとで非常な間違いを生ずるようなことが出て参りますので、そこで生産技術検査は通産大臣の所管とし、安全性検査は運輸大臣の所管とする、こういうここにあげられている二つのものの内容を、もう少し具体的に御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/91
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092・野田卯一
○野田国務大臣 たとえて申しますと、私もこれは聞いた話でありますが、ダグラスのDC3というものは、これを分解すると、五百万ピーセスから成つておるという話であります。DC4になると七百万、こういうものから成り立つておるという話を聞きます。そういうものにつきまして、全体的な検査というものを考える場合には、製造の全部について、あるいはこれが設計通り行つているかどうか、あるいは仕様書通り行つているかどうかというようなことのチエツクといいますか、検査といいますか、突き合せということになりますと、その関係の事柄は通産大臣の所管であるという意味合いであります。それから安全性検査は、航空機の安全性を確保するという観点から、重点を置いて見るべき点というものは、おそらく五百万ピーセスの全部じやないと思います。おそらくそのうちの相当な部分は、安全性という点から見ると、見なくてもいいものがうんとあるのじやないか、こういうふうに考えられます。たとえば家にいたしましても、議事堂なら議事堂を一つとりましても、これは耐震耐火という点からだけものを見る場合と、建物全体を見る場合とは、やはり箇所の数が非常に違つて来ると思います。また安全性の検査は安全性という見地から、特にプロペラとか、エンジンとか、あるいは主体と翼との継ぎ目というような、いろいろな危険な箇所について、特に念入りに見る。しかも見方が、たとえばサンプリングの破壊検査まで行くのじやないかと思われるくらい、かなり急所についてはつつ込んだ検査まで進むというようなことが、想像されるのであります。その間に検査というものについて、やはり性質も対象ももちろんダブる点もありますが、相当違つた見方をするのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/92
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093・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 今御答弁を伺つたところによつてわかりますことは、いわゆる生産技術検査と安全性検査というものは、浅いか深いか、安全性検査の方はどこまでもつつ込んで深く検査するのだが、生産技術検査の方はこれを浅くやるのだ、こういうふうに伺えるのであります。いずれにしましても私が今了承した通りとしますならば、これをいわゆる検査を二元的なものにしなければならなかつた、こういうことについて、だんだんわからなくなるのでありますが、その点についてもう一ぺん御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/93
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094・野田卯一
○野田国務大臣 私は航空機の生産において、これを生産技術検査と申しておりますが、製造検査と言つてもいいと思いますが、製造検査が設計に基いてなされておるかどうか、仕様書に基いてなされておるかどうかというような全面的な検査が必要な場合には、通産大臣が所管である。安全性の検査という点においては、おのずからその場所が局限されて来る。そしてまたその検査の態様といたしましても、安全性というものについて行われますから、かなり深刻といいますか、非常に強度の検査になるということを申し上げておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/94
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095・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 そうしますれば、こういう点はどういうことになりますか。今御答弁になつたようなそのことを念頭に置いて判断をいたしてみますと、この生産過程における検査が不備であつた。言葉をかえて申しますと、通産省関係でやつた検査が不備であつた。こういうことのために航空機の事故等が生じた場合に、一体その責任は通産大臣が負うことになるのか、やはり耐空証明を出した運輸大臣が負うことになるのか、あるいはまた運輸、通産両大臣がこの責任を負うことになるのか、その点について御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/95
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096・野田卯一
○野田国務大臣 事故を起すということでありますが、安全性の検査は、そういう事故を防止するために行われるものだと思います。その点におきまして、安全性の検査という点が欠けたということになるのじやないかと思いますが、そのときには運輸大臣の責任に当然なると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/96
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097・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 そうしますと事故が生じた場合には、安全性の検査が足らなかつたために事故が生じたのだから、運輸大臣の責任になつて来るのだ、こういうことになりますれば、その安全性の検査をやる際に、運輸省の方でタッチしなかつた点については、もう少しつつ込んで申しますならば、組み立てられた航空機の各部品に至るまで、みんなこれをとりこわして検査をやり直さなければわからない、いわゆる安心して耐空証明書を出せない、こういう考え方も生じて来るのではないかというように思われるのですが、その点について大臣は一体どういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/97
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098・野田卯一
○野田国務大臣 安全性検査は、これは製造過程においてなされるのでありまして、製造過程において検査される場合においては、安全性という点から疑問のある点は十分チェックされなければならぬ、これが運輸大臣の所管にした私たちの主たる目的なんであります。そういうところを見ずに、通産大臣まかせにするということを主にしているのではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/98
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099・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 そうしますと第四に下つて、四、前項のロ、すなわち三のロ「安全性検査は、運輸大臣の所管とする。」——「前項ロの検査は、A、当該工場の従業員(運輸、通産両省共同にて行う検査員試験に合格したる者)及び、B、通産省の職員(その任命については運輸大臣に協議することを要する。)に委託して行わしめる。検査はAが主としてこれに当り、Bは極く少数とし極めて緊要なる検査のみをなすこと。検査規則、検査標準等は、運輸、通産共同の省令等にて厳密詳細に規定すること。」こうあるのでありますが、これから見ますと、いかにもこれはただいまの御答弁のように、運輸大臣の責任及び検査に関する権限が大きいようには思われますが、今読み上げた閣議決定の四のこの上から考えますと、一応運輸省が責任及び権限を持つておるようには見えるが、実際といたしましては、やはり通産省が大きな権限及びその責任に任じなければならぬというように解せられるのであります。この第四の閣議決定について、もう少し具体的に説明をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/99
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100・野田卯一
○野田国務大臣 これは安全性の検査について、問題が安全性の検査の部分でありますので、それについて四項で規定したのでありますが、この検査はたいへんたくさんの部分を検査しなければならないというわけで、これを一々役人を使うということは実情に即しない、結局当該工場の従業員を使う。もちろん従業員にしても、いろいろと能力あるいはその他の点について問題がありますので、十分試験をして、この人間なら大丈夫という人間を使つてこの仕事をやらせるということであります。なおしかしながら従業員に全部まかしてしまつて、役人が全然入らぬことにした方がいいかどうかということは、いろいろ実際家の意見も聞き、実情を調べたのですが、それは行き過ぎである、ある程度役人は少し入つていただいた方が、工場の従業員としても引締まるし、全体としても効果が上るというので、ごく少数の役人を入れて、キー・ポイントだけ押えて行くということにしたのであります。しかしながら工場でありますので、そこに入る役人がいろいろなところから、たとえば運輸省からも入り、通産省から実るというように、いろいろな役所から入りますと、生産工場の方におきましてもいろいろめんどうが起りますし、実際今までの経験から、いろいろな人が入るということになるとおもしろくない結果を生じておりますので、その共管的な弊を防ぐために、役人としては通産省の役人にやらせる。しかしその役人はあくまでも運輸大臣の責任に属するところの安全性検査をやるのであるから、運輸大臣が信頼する人でなければならぬというわけで、身分は通産省の役人でありますけれども、具体的にその人間をきめる場合におきましては、運輸大臣に相談をして、この人なら大丈夫という人をきめる、そしてかつまたそれはごく少数のものでありますが、そういうような信頼できる者をきめて、その人に委託してやらせるということにいたしたいというのであります。それからなおさらに念を入れまして、この検査ということが、いわゆる勘であるとか、あるいは第六感であるとかいうことでやつておりますと、とかく問題を起しやすいので、現在アメリカにおいてどんどん進歩しつつありますインスペクシヨンの方法を採用いたしまして、検査規則であるとか、あるいは検査基準といつたようなものはできるだけこれを厳密にやる。このインスペクシヨン・マニュアルというものを徹頭徹尾完全なものにすれば、それに従つてばか正直にさえやつていればいいというような方式に、今アメリカの制度は進んでいるのでありますが、ばか正直にやればいいというほどの検査規則を厳密にしておいて、それを一々丹念に突き合して行つて完全にやりさえすれば、大丈夫安全だというような結論が出るような規則をつくつてもらいたい。そういたしますと、その規則、基準というものに従つて丹念にさえやれば検査が完全に行われる、そういう態勢をとつて行きたいという意味で、この検査規則、検査基準というものを厳密詳細に規定することにいたしたいということで、第四項をきめた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/100
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101・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 ただいま御答弁になつた趣意は、国際民間航空条約の付属書の第八の航空機の耐空性、昨日もこれを読み上げたのでありますが、長官に御答弁を促す関係上、もう一ぺん主要な点だけを読み上げてみます。第八付属書の航空機の耐空性という中の第三章、当該の耐空性要件に合致していることの立証、三・一「耐空証明書はその航空機が当該の耐空性要件に合致しているという充分な証拠に基いて、その航空機を承認する締約国またはその国の権限ある代表者が発給しなければならない。耐空証明書が三・二によつて発給される場合以外は、その国またはその国の権限ある代表者は、三・一・一、三・一・二及び三・一・三に規定された方法でその証拠を入手しなければならない。」これに基く三・一一を読んでみます。三・一・一「その航空機が当該の耐空性要件に合致していることを示すに必要な図面、仕様書、報告書及び書類上の証拠より成る承認済みの設計がなければならない。記録類は、その航空機をその航空機の承認済みの設計で識別するために、保存されなければならない。」その次の三・一・二「航空機がすべての重要な点で承認済みの設計に合致しており、またその製造及び組立てが良好であることを決定するためには、その国が承認した検査制度に従つて製造工程中に航空機を検査しなければならない。」その次の三・一・三「航空機は、当該の耐空性要件に合致していることを示すために、その国によつて必要と認められる飛行試験を受けなければならない。」こうある中の大臣のただいまの御答弁は、三・一・二に該当する御答弁だと思うのでございますが、そうだといたしますならば、このいわゆる検査制度というものは、相当に厳重なものでなければならないが、しかし航空機の生産等については御答弁のように、非常な煩瑣を避けるために、その製造工場の技術者等に試験をして、これに資格を与えておいて、これに試験の大部分をまかせる。しかしながらこれに全部をまかせるわけにはいかないから、一部政府の役員もその検査に当る。これは了承することができるのでありますが、このいわゆる国際民間航空条約の規定の精神というものは、相当検査というものは厳密にしなければならない、こういうのでありますから、やり方としてこの工場の技術者等に資格を与えて検査をさせることは、これは私ども認めるのでありますが、その検査をさせる資格を与えるそのものに、通産大臣と運輸大臣の両方で試験をして、これに合格したものでなければいけない。こういうことがはたしてこの最も厳密にしなければならないという検査規定の精神に合うか合わぬか。こういうことが非常に大きな疑問となつて来るのでありますが、この点について大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/101
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102・野田卯一
○野田国務大臣 さらに厳密でしつかりしたものをつくらせるという意味において、閣議決定の文句にあるようになつておるのであります。なお私ちよつと先ほど申しませんでしたことでありますが、ごく少数の役人を使うのですが、これは身分は通産省に属しますが、任命については、運輸大臣がこれなら大丈夫だという人間しか任命できないようにしてありますが、なおその上安全性検査に関する限りにおきまして、運輸大臣の指揮命令に服するものであるということを申し添えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/102
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103・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 そこで御答弁のように、いわゆる運輸大臣の方の非常にしつかりした意見を求めて試験をやる、こういうことでありますから、その点はわかるのでありますが、さきに申しましたように、冒頭に御答弁になつたいわゆる生産の施設等については、このいわゆる耐空性とか安全性とか、こういうものとはあまり関係のないような立場にある通産大臣というものが、いわゆる安全性、耐空性ということを一番大事とするその試験、検査というものは、もとより責任を一元化するという建前から考えて、運輸大臣でけつこうであるはずなのに、さきに申しますように安全とか耐空証明とか、こういうことに比較的縁の遠い通産大臣が、どういうわけでこれに参画しなければならないのか。人の数さえ多ければ非常な厳密なものになるというなら、まだいろいろその他の各省の大臣も参画してもよさそうなものと思うのでありますが、こういう点についてどういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/103
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104・野田卯一
○野田国務大臣 工場の中でやりますことでありますから、工場全部を統轄しております通産大臣の参加を求めてやる方が、実情に適するという考え方でありまして、その参加するために安全性検査の制度を低めるというような趣旨は毛頭持つていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/104
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105・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 それでは伺つてみたいのでありますが、さきに御答弁になつた中の運輸大臣または航空庁長官、いわゆる運輸省の側において相当厳重な指揮命令をすることができる、こういう御答弁でありますが、一体同じ政府の中の各省において、違つた省の責任者が他の省の役人を右に向け左に向けと言つて思う存分使うことのできたという例を、私どもあまり知らないのでありますが、こういうような他の違つた省の責任者が他の省の役人を思う存分に使つて行く、こういうやり方について何か新しいうまい方法でもお考えになつておるのであるかどうか。このことについて御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/105
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106・野田卯一
○野田国務大臣 航空機生産については、この点がきわめて重点でありますので、特にその任命につきましても、運輸大臣に通産大臣がよく相談いたしまして、運輸大臣がこの人ならいいというような人をするという建前で進んでおるわけであります。過去に例があるとかなんとかいうことになりますと、私の知つておる例におきましては、たとえば税関であります。今の税関はいろいろわかれておりまが、昔の税関はいろいろなことをやる。農林省の仕事もやれば、あるいは厚生省の仕事もやる。その他いろいろ役所の仕事をやつておりました。その際に税関は大蔵省に所属するのでありますけれども、税関がやりますたとえば植物検査であるとか、あるいは検疫といつたようなことにつきましては、農林大臣なりあるいは厚生大臣の指揮監督を受けるということであります。また人的に言いましても、農業試験場の人が植物検査に来るというようなわけで、農林省の人がそこに来られるというような場合が多かつたのであります。その際に、農林省のこういう人間を今度何何税関の植物検査課長にしたらどうだというような相談をして来る。それでよろしいと言つた場合にはその人が植物検査課長になる、その仕事については農林大臣の指揮監督を受けるというような制度がありまして、私の知つておる範囲においてはきわめて円滑にやつて参つたと思います。しかしその上に今度の制度は、そういうような制度よりさらに一歩進めまして、もつと念入りに任命につきましても、お互いによく相談をしてやつて行くということを予想しておるのでありまして、この点につきましては運輸大臣と通産大臣が十分に打合せてやつて行かれましたならば、完璧を期し得るのではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/106
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107・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 そうしますと、少くとも検査及びいわゆる検査をする工場の技術者等に対する試験、こういう点については運輸大臣が絶対の権限を持つてやつてか行つていいの心、いわゆる指揮命令をやつて行つていいのだ、こういうふうに了解してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/107
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108・野田卯一
○野田国務大臣 第四項でありますが、第四項というものは運輸大臣の所管に属する安全性検査に関するやり方を書いたものでありまして、従いまして私はその検査規則あるいは検査基準の定め方なり、あるいは当該工場の従業員を検査員にするための検査員試験というものにつきましては、運輸大臣の発言権は非常に強い、また強くあるべきものであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/108
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109・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 なお相当に疑問の点があるのでありますが、他の委員からの質問もあるようでありますから、一応私はこの程度にしておきまして、冒頭に申し述べましたように、最後にさきに残しました一点と、それから行政機構改革の上から見た点の若干について質問を残しまして、これが一応他の委員に質問を譲りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/109
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110・岡村利右衞門
○岡村委員長 坪内君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/110
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111・坪内八郎
○坪内委員 私の質問は時間の都合で本日は保留いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/111
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112・岡村利右衞門
○岡村委員長 岡田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/112
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113・岡田五郎
○岡田(五)委員 先ほど尾崎委員から詳細にわたりまして御質問になりましたことに重複しない程度に、まず行政管理庁長官にお尋ね申し上げたいのでありますが、先ほど航空機生産事業を通産省の所管にした理由として、各種生産工業は大体において通産省所管になつているから通産省所管にしたのだ、こういうお話がありましたが、なるほど一応の抽象的な御説明は私といえども納得いたすのであります。そこで承りたいのは、今各種生産工業のうち、通産省所管にあらざるものが多々あると思うのであります。それは一例といたしまして先ほど尾崎委員からも言われましたように、鉄道車両の生産工業あるいは造船工業というもののほかに、私の少い知識でございますが、薬品については、私はおそらくあれは厚生省所管になつていると考えるのでありますが、これはどうなつておるのでありますか、ちよつと行政管理庁長官にお尋ね申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/113
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114・野田卯一
○野田国務大臣 私は多分そうなつておるだろうと思いますが、ちよつと調べて参りませんので責任ある答弁はできませんが、おそらくそうなつておるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/114
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115・岡田五郎
○岡田(五)委員 そういたしますと、各種の生産工業といえども必要に応じては、関係省の所管となり得る場合がある、かように私は考えるのであります。
そこでお尋ね申し上げたいのでありまするが、鉄道車両なりあるいは造船なりあるいは航空機というものは、要するに私はオーダー・メイドであると考えるのでありますが、これも私が尋ねるまでもなく長官はよく御存じだろうと思いますが、オーダー・メードの製品と、また一般マス・プロをいたします製品等につきましては、これが行政監督についてもおのずから異なつた方法をとることも私は必要であると考えるのでありまするが、これにつきまして行政管理庁長官の御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/115
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116・野田卯一
○野田国務大臣 ただいまの問題、このオーダー・メイドと一般の市場生産することについて、どういうふうに行政上の措置を異にすべきかということにつきましては、これはなかなか一口に言い切れないいろいろと複雑な問題がそこにあるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/116
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117・岡田五郎
○岡田(五)委員 私から申し上げるまでもなく、オーダー・メイドの商品宅ございますと、御承知のように使用者側の注文によりまして、これらの品物の型式また形などについて、進歩的な形のものが生産されると思うのであります。ことにこの薬品が厚生省所管になつておるといつたような点、また鉄道車両及び造船、あるいは航空機が一部の方によつてとにかく運輸省所管にしろ、こういう説をなされる大きなもとは、事人命に関し、事大事な財貨の問題に関するがゆえに、私はかような説をなしておると考えるのでありまするが、この点につきまして行政管理庁長官はどういうようにお考えになつておりますか、それを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/117
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118・野田卯一
○野田国務大臣 私は航空機の生産につきまして、安全性の検査が非常に強調されておるということは、航空機に事故が起れば非常に大きな人命上の損失を来すというところに理由があるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/118
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119・岡田五郎
○岡田(五)委員 かような点から考えまして、一面何がゆえに通産省が航空機の生産事業に関係しなければならないかという半面を考えてみますると、先ほどの行政管理庁長官の御説明の一端から推測いたすのでありますが、航空機は数万ピースの部品からできておる。しかも航空機生産用に使われます資材といいますか、素材といいますか、物品といいますか、こういうものが非常に数が多い。であるがゆえに通産省が所管しなければならない、こういう説のように私は承るのでありますが、現在の自由経済下におきましておそらく資材の生産割当あるいは資材の生産制限あるいは資財の使用制限をされておる品物は、ほんとうの少い稀少物資だけでありましてこれらの生産の割当、またこれら資材の使用ということにつきましては、私は現在の通産省の所掌状況からいたしますと、ほとんど関係してないのではないか。通産省はむしろこれらの企業の助長行政が主たるものである、私はかように考えるのでありまして、飛行機をつくるがためにたくさんなものを使うから、あるいは終戦後使用を禁止された工場がたまたま通産省に所管せられておつたというようなことから、通産省所管説が非常に唱えられておるのでありますが、どうもややもいたしますと、この説に、戦時中また戦後ありました資材の割当、使用制限をやつておつた統制経済時代の通産省であるがごとき幻惑にとらわれまして、通産省にすべきという説に賛意を表しがちになる傾向にあるのでありますが、かような点につきまして行政管理庁長官は、現在通産省がどうあるべきか、どういう状態にあるかというようなことにつきまして、御説明を願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/119
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120・野田卯一
○野田国務大臣 資材の割当などという問題ございましようが、われわれといたしましても、生産の監督という問題は、行政官庁の所掌事務としてわかれておる際には、やはり通商産業省に行くことをもつて原則とすべきではないか、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/120
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121・岡田五郎
○岡田(五)委員 通産省が航空機生産事業の監督をされる。その監督は何にあるか、私は航空機の生産事業の発達ということにあると考えるのであります。航空機の検査をやる、あるいは先ほど私説明を聞いておりましてわかりませんが、生産技術検査をやるというような、戦時中の統制官僚がやりました官僚的統制を、何がゆえに航空機生産事業にしなければならないか。かような検査を厳重にするということは、一にかかつて私は航空機の高度なる安全性の確保、この一点を除いては私は他にない、かように考えるのでありますが、この点につきまして長官はどういうようにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/121
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122・野田卯一
○野田国務大臣 航空機の生産は、これから大いに発展し、大いに新しい形を出すべき製造工業の部門だと考えるのであります。政府といたしましても、日進月歩、日に日にかわつて行く航空機の生産につきましては、できる限りの監督と同時に指導を与えるべきである、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/122
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123・岡田五郎
○岡田(五)委員 今行政管理庁長官のおつしやいました趣旨は、不幸にいたしまして私たちの手元にいただいておりまする航空機製造法の中には、何ら規定してございません。航空機生産工場の届出をしろ、また届け出した設備に変更あつた場合には変更の届出をしろ、それ以外は航空機の製造検査をやるとか、あるいは何検査をやるとかいうようなことで、航空機製造法を見ましても、何ら国家的な補助、助成の意図を現わした文句は一言もないのであります。かような法文を見ますと、行政管理庁長官が意図せられておることとまつたく違つた、通産省の航空機生産事業に関する所管を獲得せんがためにする焦慮の結果の現われが、航空機製造法として現われておるように思うのであります。これはいずれまた航空機製造法審議にあたりまして、私たちは十分関係通産省政府委員にも質問いたしたいと思いますので、この点につきましての行政管理庁長官に対する質問はやめますが、先ほど尾崎委員が質問せられておりました航空機生産の所管等に関する閣議決定の問題でございますが、このうちの三でございます。尾崎委員からも詳細に質問がございましたが、生産技術検査とは何ものでありや、こういう質問に対しまして、長官の御説明を承つておりますと、わかつたようでわからない、数万ピースのたくさんのものがあるから、それらのものの検査だ、そのうち安全性に関係ある重要な部分だけについては、安全性検査として運輸大臣が所管するのだ、こういうことを言われたのでありますが、製品の検査というものは、少くとも自由経済なり企業者の自主的意思を尊重するという面から言いますならば、航空機の使命である安全性の検査以外は、私は企業者、製造業者の自主的良心にまかせるのが現在の経済の行き方ではないか、かように考えるのであります。かような時代の動きにもかかわらず、数万ピースのものものにつきまして生産技術検査と称して検査をするに至つては、私はまつたく時代逆行ではないか、かように考えるのであります。この点につきましての御所見をもう一度お述べいただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/123
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124・野田卯一
○野田国務大臣 私は一種のここでは範疇をきめたのでありまして、生産技術検査あるいは製造検査という問題は通産大臣の所管、それを現在の実情におきましてどの程度にやるかということは、通産大臣が現在ではこの程度にするがよいというふうに考えられたその意見によつて行くのでありまして、私が何万ピース全部やるということは要求しておるものではない。こういうものは、その所管に属するという範囲、限界をわけた。こういうことに御承知願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/124
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125・岡田五郎
○岡田(五)委員 私が望みますのは、この飛行機の安全性に関係あるものの検査以外は、検査をやめるのが当然ではないか。かように考えるのであります。もしやめるのが当然だという考え方ならば、何もわざわざ生産技術検査は通産大臣所管であるというようなことまでうたわれる必要がないのではないか。かように考えるのでありますが、その点につきましての御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/125
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126・野田卯一
○野田国務大臣 ただいまの安全性の検査以外はやらなくてもいいということについては、私は行政管理庁長官としては申し上げかねる問題であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/126
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127・岡田五郎
○岡田(五)委員 私は戦時中行われました航空機その他の軍需品に対しましての非常に精密にして、しかも非常に過重と称してもいい検査が、民間工業あるいはそれぞれの工業の発達及び技術の進歩を非常に阻害した、また非常に民間企業者は迷惑しごくであつたという事実を思い起すのであります。かような見地から行きまして、また現在の企業の趨勢から行きまして、この航空機に致命的な、最も重要な安全性の検査以外に何の検査が必要であるか、私はかように考える。まあその検査が必要ならば、私はこれすなわち安全性の検査の範疇に入るべきである、かように考えるのであります。その点につきましてもう一度承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/127
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128・野田卯一
○野田国務大臣 私はただいまのお話とまつたく同感とは申しかねるのでありまして、いろいろと戦争中に飛行機をつくつた人、専門家というものに対しましても、十分意見を聞いて来て研究をいたしたのでありますが、必ずしもそうばかりは言えないのじやないか。もう少し広く、いろいろ考える必要があるのではないかという点だけ申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/128
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129・岡田五郎
○岡田(五)委員 これは多少行政管理庁長官がお聞きになつたことと、私たち運輸委員会の航空小委員会におきまして、公聴会におきまして聞きました相手の方々と違うから、意見の相違を来しておるのかもしれぬと思うのでありますが、一例を、私たちが公聴会で聞きましたのは郷古潔さんでありますが、郷古さんのお話によりますと、航空機生産事業につきまして希望することは、戦時中また戦争前にあつたような煩瑣な、過重な検査は、できるだけやめてもらいたい、どうか航空機生産事業者の自主的な、良心的な製品に期待してもらいたい、こういう意見が強く要望せられたのであります。私はおそらく航空機生産事業に従事しようと思われている方々の一致した民間の意見であると考えるのでありますが、この点につきまして、どういう方からどういうお話がありまして、かような考えを持つておられるかをお尋ね申し上げたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/129
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130・野田卯一
○野田国務大臣 ただいま郷古氏のお話がありました。私は郷古氏の意見には賛成なんでありまして、御承知のように戦争中におきましては、主として陸海軍がこの問題を処理しておつたのでありますが、陸海軍の関係官が工場にたくさん参りまして、あれこれと干渉がましいことをたいへんしたということを、郷古氏が婉曲に言つておられるものと思います。それに十分かんがみまして、閣議決定の第四項におきましては、この製造検査に当る者は極力大体工場の人を使おう、だから外部から官吏が立ち入つていろいろすることは極力少くしよう、こういう方針で、そういうような意見を十分参酌し、いろいろ聞いて、十分かみ砕いた結果、第四項が設けられているというように御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/130
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131・岡田五郎
○岡田(五)委員 これは野田行政管理庁長官も私たちと一緒に長い間お役人生活をしておられまして、お役人の気持というものは十分御承知だろうと思うのであります。善良なお役人は、非常に仕事をしたがる。むしろいいお役人ほど仕事をたくさんしたがる。いい検査官ほど私はおそらくたくさんな検査をしよう、事務的良心を発揮すればするほど、あれも検査しなければ不安だ、これも検査しなければ不安だというのが、私は属僚の根性じやないか、かように考えるのであります。長官は非常に大局的な、非常に大乗的なお気持で臨まれますが、事実は私は戦時中行われたような検査事情に入り込むことは、お役人の実情を私たち体験いたしておりますが、まあ個人的な意見を申し上げますならば、もう火を見るよりも明らかな事実として現われておるのではないか、かように考えるのです。かように考えますがゆえに、必要なき生産技術検査というようなものは、むしろ省いてしまつておいた方がいいのではないか、かように私は考えるのでありますが、これもいくら何いたしましても意見の相違ということで意見がまとまらないと思いますので、この点はこの程度にいたします。一応私の質問はこの程度にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/131
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132・岡村利右衞門
○岡村委員長 玉置君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/132
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133・玉置信一
○玉置(信)委員 私は直接この航空法案には関係いたしませんが、行政機構改革の一環としての面から、この場合野田長官に二、三点お伺いしておきたいと思うわけであります。それは今回の行政機構改革の方針から、運輸省の観光部が廃止されまして、観光課を置くということに実はなりつつあるようでございます。そこで観光の問題については私が説明申し上げるまでもなく、長官すでに御承知のごとく、講和後におきましては非常にこの外客の来遊が多くなつて参りまして、またこの外客誘致は、わが国経済再建の上のきわめて重要な一つの事業であることも申し上げるまでもないのであります。昭和二十六年度における来訪外客数を調べてみますと、これが約五万六千、この推定消費額が一千五百万ドル、これを邦貨に換算してみますると、実に約五十三億円にも達しておるのであります。こうした大きな外貨獲得の役割を果しつつあり、将来なおこれが大きな使命をもつてその事業を行わなければならない実情にあるときに、その観光部というものが廃止されて、観光課になるということは、いかにも時代逆行のように私は思われるのでありますが、この点についてまず大臣の御所見をお伺いしてみたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/133
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134・野田卯一
○野田国務大臣 行政機構全般の問題といたしまして、今回の行政機構改革の柱は、各省の官房または局中にある部を廃止するということでございます。御承知のように今日の国家行政組織法の中におきましては、局中あるいは官房中に部を置くということは認めておりません。これは当然廃止されることにたつておるのでございます。ところが昭和二十四年に廃止されることになつたのを、二十五年まで一年間延ばした、それで二十五年になりましてやめようということになりましたところが、行政整理を大いにやりたい、行政機構の改革を断行したいという政府の方針で、その行政機構改革を断行する際にこの問題を片づけようということになつて、また延ばされて来たわけなんでありまして、局中の部とか、あるいは官房中の部を廃止するということは三、四年前からの既定方針であります。ほつておきますと、本年五月三十一日には当然消滅することになつておることは御承知の通りであると考えます。事あらためて観光部を廃止するというのではなく、これはオートマティックに五月三十一日にはなくなるべき性質のものでありまして、この点基礎知識として十分御了承おきを願いたいと存じます。それでわれわれの方としましては観光部が当然なくなりますので、観光に関する仕事は重要性を持つておる仕事でありますから、このことを中心的によく見るものを置く必要があるのではないかという意味合いにおきまして、観光監というものを設けまして、これが観光という問題をよく見て行く、こういう制度を打立てようという趣旨であります。なお観光局をつくつたらいいのじやないかというような御意見まで発展なさるのじやないかと思いますが、今回の行政機構の改革は、部局を整理し、むしろ簡素化するという方向に進んでおるのでありますから、この際といたしましては新しく局をつくるということは、政府といたしましては積極的には考えておらないのであります。将来の第二次行政機構改革の場合におきましては、そういう問題が取上げられるかと思いますが、今回はそういうことは一応見送るというふうなことになつておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/134
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135・玉置信一
○玉置(信)委員 部の廃止に対する既定方針のことは前もつて私も聞き及んでおりまして、その点は了承するのでありますが、これは機構上の技術的の問題であつて、私この場合特に大臣に御相談を申し上げ、御考慮をお願いしたいと思うことは、すでに御承知のごとく昨年の十月、世界四十数箇国の、主要観光機関を会員とする御承知のように官設旅行機関国際同盟というものの正会員として、わが国の運輸省観光部が加入を認められておるわけで、明年の四月にはその地域別委員会の一つであるアジア極東旅行委員会の第二回の委員会が、東京で開催されることになつております。このほか太平洋に臨む世界各国の観光、交通、ホテル等の諸機関業者を構成員とする太平洋地域旅行協会の第二回会議、その他国際的な観光会議が相次いで開催される機運になつております。わが国は今後これらの国際会議をリードして行くべき重要な責務をになつておるわけでありまして、こういう事態に直面してわれわれ日本としては相当観光事業を考慮しなければ、千載一遇のチヤンスを逃がすのじやないか。しかも運輸省の観光部として加入が認められておるときに、観光部がなくなるのであります。課として入つていてはどうかというと、国際的にちよつとこれは立場が悪くなるのではないか。監という名前で入れるかというと、これは入れないわけであります。聞くところによりますと、監というのは待遇の面からいうと局長と同じだということを聞いておるのでありますが、そうなりますと運輸省、いな各省の局の振合い等から見まして、一応今の行政機構改革案に基く局の数から行きますと、なるほど無理のようには思われるのでありますが、そうした形式的なことにはとらわれず、大きな外貨獲得の役割を演じて、しかも国際的には講和後のゼスチユアの点から考えても、きわめて重要な意義があるのだが、この際大臣のお骨折りによつて何とかひとつ局を設けまして、この重大事業の趣旨にのつとるように御配慮を願いたいと思うのでありますが、これはどういうものでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/135
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136・野田卯一
○野田国務大臣 私はお話もございましたが、今回の行政機構改革におきまして、運輸省の局を一つふやすということは考えておりません。これは私が考えておらないのではなしに、閣議でよく相談いたしました結果、運輸大臣もお考えになつておらないのであります。しかしながら一面におきまして、観光事業の重要性は十分認識しております。先般も観光事業については総理以下非常に関心を持ちまして、何がゆえにどういう点が日本の観光事業を振興する場合に支障になるかという点を研究いたしたのでありますが、いろいろと外国人なんかに話を聞きますと、日本ではホテル代その他旅行の費用がよけいかさんでしようがない、これをヨーロツパ諸国と比べると何割か高いようなことが続くのでは、日本の観光事業も今後大いに発展することがむずかしいだろうということを、外国人も申しておるようなわけであります。どうしてもホテルをもつとつくつて、アコモデーンヨンをよくすると同時に、もつと廉価に、外国人が愉快に国内を旅行することが必要であるということは痛感されているのであります。このホテルの増設等についても大いに力をいたしたいと考えておりますが、同時に観光は道路なりと申されるように、道路が悪くては観光にはなりません。昔のように汽車によつて旅行すればいいというのでは時代遅れであつて、どうしてもドライヴする旅行でなければ、アメリカ人などの気風に合いません。そうしてドライヴするということになりますと、今までのようにほこりにまみれるようでは、ドライヴの快味は全然ありませんので、しつかりしたドライヴ・ウエイをつくるということが当然次の命題になつて来る。このホテルをよくするということと、ドライヴ・ウエイをよくするという問題、こう行きませんと、いかに日本がきれいな自然を持つているにいたしましても、全然旅行者が旅行をエンジヨイすることはできません。こういう方面におきましては、内閣は全体として力を入れまして、何とか改善をはかつて行きたい、こういうように努力する。観光監におきましても、観光事業そのものの重要性を考えており、決して政府は無視もしなければ軽視もしない、非常に重要視してその方面については今後せつかく努力したい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/136
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137・玉置信一
○玉置(信)委員 これは運輸大臣も観光局を設ける意思がないと、いうことでありますれば、これはここで大臣と押問答したり相談しても、どうも公式なこの席ではまとまらないことであろうと思いますが、なお私は重ねてお願い申し上げたいことは、ひとつ機会を見て総理などにも、運輸委員会で全会一致、超党派的にこの問題を取上げて、目下要望しておる事項なのでありますから、できることならば大臣におかれましては総理にも御相談願つて、私どもの希望するような方向に何らかの手を打つて実現していただくように、一段と御努力をお願いいたしまして、一応私の質問を打切つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/137
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138・岡田五郎
○岡田(五)委員 先ほど行政管理庁長官に御質問申し上げることを、尾崎委員がすでに質問されたと思いまして失念いたしだのでありますが、もう二点だけお尋ね申し上げたいのであります。航空機の修理についてでございますが、閣議決定の文書を読みますと大体「航空機使用事業者の行う自家修理及びこれに準ずるものについては、運輸大臣とし、」「航空機生産工場にて行うものは、」製造の場合に準じて通産大臣の所管とする、こういうことだろうと思うのでありますが、「場合に準ずる。」こういう言葉で表現せられておりますが、この修理専門の工場の所管はどちらにするおつもりでございましたのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/138
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139・野田卯一
○野田国務大臣 このイの「航空運送事業者又は航空機使用事業者の行う自家修理及びこれに準ずるものについて」この「準ずるもの」と申しますと、ただいま予想されておりますのは、日本航空とノースウエストが合併で修理会社を羽田飛行場近隣につくる、そういうようなものをさしているかと思います。そういうものでありますれば、「これに準ずるもの」というところに入ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/139
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140・岡田五郎
○岡田(五)委員 そういたしますと、日本国内における航空機生産事業というものは、大臣は大体いつごろから始まるだろうということをお考えになつているのでしようか。これは人によつて見通しが違うと思いますが、その点をまず承つておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/140
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141・野田卯一
○野田国務大臣 航空機というものの範囲でありますけれども、たとえば練習機とか、あるいはヘリコプターというものであれば、もうすでに始めかかつているということを聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/141
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142・岡田五郎
○岡田(五)委員 さしあたり日本の航空機生産事業といいますか、修理事業といいますか、これに関連してまず起つて来るものは、極東空軍の航空機の修繕だとか、あるいはまた日本に出入りしております国際航空会社の飛行機の修理だとかいうようなことが、大体先行するのではないか。かような修理のみを専門とするような工場が、おそらくまず立ち上つて来るのではないか。そういたしますと、これは大体どこになるのか、これを航空機生産工場とみなして、通産大臣の所管にされるおつもりでおられたのかどうか、承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/142
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143・野田卯一
○野田国務大臣 このイと口との間のどれにも属しないというものが具体的にできたらどうなるかという問題があつたのでありますが、この点につきましては、この閣議決定案を審議する際におきましても、たとえば今私の申しましたような例によりますと、そういうものはイに入るのでありますが、その他どういう具体的な場合になるのか。それは製造工場と見るべきものなのか、あるいはイのカテゴリーに属すべきものであるかどうかということは、両者十分協議をいたしまして、もちろん話がつきませんければ、行政管理庁長官もその中に入つてきめて行こうということになつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/143
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144・岡田五郎
○岡田(五)委員 長官も多分御存じだろうと思うのでありますが、タグラスの会社の使節団が来られまして、小泉の飛行機工場だとか、あるいは立川の中島の飛行機工場だとか、その他元の日本の航空機生産工場をいろいろと視察して帰られたという事実も、御承知の通りであります。これらの元の航空機生産工場が、まず諸外国の航空機生産会社と提携して修理工場をこしらえようという話の方が、非常に早く起つておるように私は考えるのでありますが、かような事実が目前に迫つておりますので、かような閣議決定の際にも、当然こういうようなことを予想せられておつたのではないかと思うのでありますが、今長官のお話によりますれば、そういう具体的な事実が現われたら、そのときに相談するというお話のようでございますから、これ以上御質問申し上げません。
ただもう一つ承つておきたいことは、航空機の主要部品の修理でございます。たとえば発動機だとか、プロペラだとか、その他の重要部品でございますが、これの修理、検査その他につきましては、どういうように大臣はお考えになつておりますか、承つておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/144
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145・野田卯一
○野田国務大臣 大体その問題につきましては、マイナー・ケアといつたようなものにつきましては、運輸大臣の所管と考えていいのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/145
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146・岡田五郎
○岡田(五)委員 これは行政管理庁長官に警告がましい言葉になるかもしれませんが、過般来連輸委員会におきまして、この航空法案を中心にして、主として運輸省関係でありますが、いろいろ政府委員と質疑応答を重ねておるのであります。ところが幸か不幸か、これら運輸省関係の政府委員の答弁を承つておりますると、航空機の安全性確保につきまして、どうも確固たる自信ある答弁をいただかない。私は今までずいぶん法律案の審議に関与して参りましたが、これほど政府に自信のない法案を提出されたのは初めてなんです。ことに航空機の安全性確保につきましては、はなはだ自信のない御答弁をいただいておるのであります。極端なことを言いますと、航空法にして航空の安全性の自信のない航空法というものはあり得ないのじやないか。航空機にして航空の安全性のない航空機は、航空機にあらずと極言してもいいのではないか。この航空機の安全性につきまして、幸か不幸か、運輸省関係の方でははなはだ御自信がおありにならないようです。諸規定をうまく運用いたしまして、できるだけ安全性確保に努めたいという、苦しい答弁をしておられたのであります。私たち国会議員といたしまして航空法を審議するにあたりましては、航空法の根幹であります航空機の安全性確保ということにつきまして、われわれ自身確固たる信念を持ち得るような法案にしなければ、国会議員としての義務が果せないように考えるのであります。われわれ運輸委員は、かような観点から行きまして法案審議にあたりたい、かように少くとも私個人は——私はおそらく同僚議員も同じ意見であると信ずるのでありますが、さしあたり私個人はと申し上げておきますが、かような信念をもつて臨みたいと考えるのであります。ただ本日は、各省の分限調整という意味におきまして、行政管理庁長官が過般開議においていろいろと妥協せられました閣議決定の線につきまして、大臣のお考えのほどを承つたのであります。以上はなはだ警告がましいことを申し上げましたが、これで私の質問は打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/146
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147・坪内八郎
○坪内委員 先ほど私は質問を保留しておつたのでありますが、長官も非常にお忙しいようですし、また相当時間も経過いたしましたが、明日あるいは明後日長官の御出席がないかのように承つておりまするので、この際基本的な問題について長官にお尋ねしておきたいと思うのであります。いろいろこまかい点につきましては、各同僚委員より質問がございましたので省略いたしますが、ただ一点、ただいままで各同僚委員の質問を承り、かつまたそれに対する長官の御答弁が具体的にございましたが、私ははなはだ矛盾に感ずる点がありますので、その点についてお尋ねしたいと思うのであります。
まずこの航空法案の関係につきましては、大臣も御承知の通り当委員会、あるいは当委員会の小委員会である航空小委員会並びにわが党の政調におきましても、航空の安全なる運航を期するためには一本で行つたがいいという結論が出たのでありますが、それらの党内の事情は大臣は百も御承知でこういうことになつたのかどうか、あるいはそういうことは知らないでこういつた閣議などに臨んだのかどうか、その点をまず承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/147
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148・野田卯一
○野田国務大臣 この問題につきましては、閣議におきまして二つの意見が出まして、その調整をなすべく三人の委員が閣僚中から選ばれまして、私はその中に入りまして案をまとめ上げた、こういうことであります。もちろん党の中にもいろいろな意見があるということは聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/148
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149・坪内八郎
○坪内委員 そこで長官はこの案は理想的なものであると思つておられるのか、さらにまた大臣の立場でこの案に対してそういつたコントロールをした立場にあるのかどうか、その点をひとつ承つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/149
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150・野田卯一
○野田国務大臣 現在の日本の制度下における行政事務の分担という点から申しまして、通商産業省が製造工業を所管しておる。しかしながら一面におきまして、航空機の安全性というものは絶対的なものでありますから、この線を貫き、両者にらみ合せてできました少くとも現在における理想的なものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/150
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151・坪内八郎
○坪内委員 それではこの案に対して、大臣は調停をした立場に立つてこの案を促進した、こういうことに了承していいのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/151
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152・野田卯一
○野田国務大臣 調停という言葉が当るかどうか知りませんが、行政上あるいは技術上いろいろな点を勘案いたしまして、現在の日本の実情並びに制度上からはその辺が適当である、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/152
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153・坪内八郎
○坪内委員 そこで大臣の信念についてお尋ねいたしたいと思います。行政管理庁長官として今日まで大臣の行動を監視——監視するというと語弊がございますけれども、見守つて来た私どもといたしましては、野田長官は行政機構の改革といつたものは行政の簡素化ということが建前だ、先ほど玉置君の観光関係のことに関してもそういうような御答弁がございましたが、行政機構の簡素化のために今日の行政機構改革が行われつつあるのだというような日ごろの大臣の信念からいたしますと、航空法がこういつた複雑な状態になつて、それぞれ複雑な立場で、通産省、運輸省が両面に立つてその指導、監督に当るということは、日ごろの大臣の行動なりあるいは信念と、まつたく逆写るがごとくわれわれは感ずるのでありますが、その点はどうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/153
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154・野田卯一
○野田国務大臣 あるいはそういうふうにお見えになるかもしれませんが、ただいま申しましたような製造工業というものは、通産省が全般としてこれを監督の立場にある、そういう一つの建前があるわけであります。それと航空機の安全性をあくまで貫かなければならない、こういう二つの要請が並存しておるわけであります。この並存する二つの強い要請下におきまして、最も簡単にして両者の要請を満たす案といたしまして考慮、検討いたしまして、複雑そうに見えますけれども、これは簡単にしようと思つたから複雑になつた点もあるのでありまして、御参考までにちよつと申し上げておきたいのでありますが、第一項は「航空機の型式証明は、運輸大臣の所管とする」ということにいたしまして、「但し生産関係の重要事項については、通産大臣の意見を徴する」ということにしてあります。これは共管にするとか協議するとか、そういう要望が強かつたのでありますが、共管にしますと、意見が対立した場合にものが動かなくなるということがありますので、これは運輸大臣の所管で、意見を聞くだけだということで、資格の関係をはつきりいたしまして、運輸大臣が証明の仕事をなさる上において支障を来さないようにするとか、第四項におきましても、一つの工場に二つの役所から役人が入つて来ていろいろやるということになりますと、役人同士もぐあいが悪いけれども、同時に民間の受けた業者側も迷惑しごくでありますから、この点も単一化して、運輸省の人は入らない。しかし通産省にやらせるけれども、人間は把握するというような、あつちこつちにお話のように簡素化だとか、重複を避けるとか、相手方に迷惑をかけないというような点も十分織り込んで、検討してできた案であるということを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/154
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155・坪内八郎
○坪内委員 ただいまの大臣の答弁、まことに恐縮でありますけれども、私はまつたく納得がいかないのであります。従つて大臣の日ごろの行政機構の簡素化という点からいたしまして、こういつた結果になつたということにつきまして、これは簡素化されたかあるいは複雑化されたか、そのいずれかということをもう一回お尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/155
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156・野田卯一
○野田国務大臣 ただいま申し上げましたように、両方とも尊重しなければならない二つの大きな原則のもとにおきまして、最も単純化し、かつまた責任関係がややこしくならないような線で選んだ、こういうように御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/156
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157・坪内八郎
○坪内委員 その点納得がいかないのであります。この閣議決定は、しろうとである私どもが一見しても、行政が複雑化しているということは申すまでもないのであります。従つて通産あるいは運輸両省共同して省令をつくるとか、運輸大臣あるいは通産大臣の意見を徴するとか、そういつた検査、技術間の交互の試験というようなことはまつたく複雑化して、今大臣の御答弁のようなことにはならないと思うのであります。その点くどいようでありますけれども、先ほど来申し上げております通り、日ごろ大臣は行政の簡素化ということを建前とせられ、わが党におきまして税関の昇格の問題、あるいは出先機関の関係につきまして、いろいろ長官にもお願いをし要望をしておいたにもかかわらず、ことごとく行政機構の簡素化という建前から整理をされた今日において、この問題だけについてそういつた御答弁をなさることは、まつたくわれわれふに落ちないのであります。こういつた閣議決定の内容から見ても、私には複雑化しているというふうに思われるのでございますが、この閣議決定の内容においても、大臣のお考えは、ただいま御説明の通り簡素化してあるのだということになるのでありましようかどうか、この点をもう一回お尋ねしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/157
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158・野田卯一
○野田国務大臣 繰返して申し上げるようになりますが、先ほど申しましたように二つの原則の上に立つてできるだけ簡素化し、責任関係を明確にするという線を選んだという点御了承を願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/158
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159・岡村利右衞門
○岡村委員長 この際お諮りいたします。現在内閣委員会において審議中の運輸省設置法の一部を改正する法律案は、当委員会の所管問題でありますので、連合審査会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/159
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160・岡村利右衞門
○岡村委員長 御異議なければさよう決定いたします。
また航空法案に対し、通商産業委員会より連合審査を申し入れて参りましたので、この申し入れを受けるに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/160
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161・岡村利右衞門
○岡村委員長 御異議なければさよう決定いたします。なお連合審査会開会の日時は、各委員長と協議の上公報をもつてお知らせいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X03019520513/161
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