1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年四月二十四日(木曜日)
午後二時三十九分開議
出席委員
委員長 前田 正男君
理事 志田 義信君 理事 多田 勇君
理事 永井 英修君 理事 有田 喜一君
岩川 與助君 小野瀬忠兵衞君
圖司 安正君 奈良 治二君
福田 喜東君 渕 通義君
細田 榮藏君 村上 清治君
出席政府委員
公正取引委員会
委員長 横田 正俊君
委員外の出席者
専 門 員 圓地與四松君
専 門 員 菅田清治郎君
四月二十四日
委員風早八十二君辞任につき、その補欠として
横田甚太郎君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した事件
事業者団体法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一六七号)
小委員長より報告聴取
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02119520424/0
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001・前田正男
○前田委員長 これより会議を開きます。
まず事業者団体法等経済法令に関する小委員長より、小委員会の経過の報告をいたしたいとの申出がありますので、この際これを許します。多田勇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02119520424/1
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002・多田勇
○多田委員 事業者団体法等経済法令に関する小委員会の経過を御報告申し上げます。
さきに第十二国会の終わりに、政府が独禁法並びに事業者団体法の改正案を作成し、司令部と折衝を重ねた結果いれられなかつたことは、すでに御承知の通りであります。小委員会におきましては、第十国会において、本委員会で取上げました事業者団体法の改正案を土台に検討を重ねながら、諸般の情勢の推移を見守つて参りました。この間公正取引委員会において、司令部と交渉を重ねました結果、最近ようやく改正の機運も熟し、成案を作成し、国会に提出する段取りになつて参りました。小委員会におきましては、それらの結果をも参酌しながら、さきに第十国会において本委員会に報告されました改正案を骨子といたしまして、さらにこれに改正を加え、大体別紙の通りの小委員会案を作成いたしましたので、御報告申し上げたいと思います。
今回小委員会で検討を加えました事業者団体法改正の基本方針については、第十国会において取り上げました場合と同様であります。第一には、さきの改正では、第二條について一案を取り上げておきましたが、今回の改正案では、第二條の定義から、会社等の共同企業を本濃の適用から除外する第二案を取入れ、本法の適用範囲を本来の事業者団体である同業組合、産業団体等に限定することといたしたのであります。
第二には、第四條の許容活動の條項を例示條項に改めて、許容活動と禁止行為との両建による法的制約を改めるとともに、要認可制を廃止することにいたしました。
第三には、第五條の禁止行為の條項を緩和いたしまして、必要以上に厳格に、しかも形式的に規制されている点を改め、独禁法をさらに強めている前半の部分の緩和と、その保護法益と直接関係のない経済行為に対する形式的、画一的な規制をやめるごとにいたしました。この改正により、株式及び社債の所有、自然科学研究施設の所有または経営、融資、集金、紛争の仲裁等に関する規定は、これを削除いたしました。その他の條項につきましては、以上三点の改正に伴う整備をいたした次第であります。細目については、ここに省略させていただくこととし、別紙お手元にお届けいたしておきました小委員会案並びに本改正によつて得られる効果に関する資料をごらん願いたいと存じます。
以上をもちまして小委員会の経過報告を終わります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02119520424/2
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003・前田正男
○前田委員長 次に、去る十七日本委員会に付託になりました事業者団体法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず政府の説明を求めます。横田政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02119520424/3
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004・横田正俊
○横田政府委員 ただいま上程されました事業者団体法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を説明いたします。
昭和二十三年七月に事業者団体法が公布、施行されまして早くも約四年を経過いたしました。公正取引委員会は、この間、本法の施行に当たつて参つたのでありますが、その施行の経験に徴しまして、本法中の若干の規定で、日本経済の実態に沿わないものがあることが認められたのであります。ことに、中小企業の協同化または組織化及び事業者団体の正常な活動の促進等の問題に関連いたしまして、現行法第二條の事業者団体の定義の規定並びに現行法第四條及び第五條の規定による事業者団体の活動の規制の方式が問題となつたのであります。従いまして、今回これらの点を検討しました結果、この法律の窮極の目的でありますところの公正かつ自由な競争を阻害しない限り、これらの規定を緩和して、中小企業の協同化、団体活動の促進等の障害を除去することとなつたのであります。なおこのほか今回り改正を機会に、昭和二十四年六月に改正されました私的独占禁止法の規定と、本法施行四箇年の経験に照しまして、第八條の排除措置の規定と第九條以下の手続規定に検討を加えました結果、これらの諸規定を適当に調整することとなつたのであります。
次に本改正法律案の内容について御説明申し上げます。まず今回の改正の要点を申し上げますと、それは次の三点に要約することができます。まず第一は、現行法第二條の事業者団体の定義の規定があまりに広汎に失し、そのために会社等の共同企業体の存立を不可能にいたしておりました点を是正いたしまして、事業者団体法の適用を受ける団体の範囲を、原則として、本来の事業者団体である産業団体や同業組合に限定し、事業者の共同企業体である会社などを本法の適用から除外することにいたしたことであります。
第二は、現行法が事業者団体の活動を、第四條の許容活動及び公正取引委員会の認可を必要とする行為並びに第五條の禁止行為の三つの面から厳格に規制し団体の活動を狭いわくの中に封じ込めておりましたのを改めまして、第五條に規定する禁止行為以外の行為は、すべて自由にいたしたことであります。
第三は、現行法第五條の禁止行為の規定が、公正かつ自由な競争の秩序を直接侵害するおそれのない行為までも規制しておりまして、そのために、団体の正常な活動をも阻害する結果を招来しております点を是正いたしまして、それらの行き過ぎの規定を削除いたしたことであります。
次に、本改正法律案の内容につきまして、少しく詳細に御説明申し上げます。
まず第一に、第二條第一項を改めるとともに、同項の次に新た一項を設けまして、二以上の事業者の結合体または連合体であつても、資本または構成事業者の出資を有し、営利のために商業、工業、金融業その他の事業を営むことを主たる目的とし、かつ現にその事業を行つているものを事業者団体に含まないことといたしました。従いまして、二以上の事業者が株主または出資者となりまして、共同の事業を営むことを自的とし、かつそれを現に行う会社、商法上の匿名組合、営業目的の民法上の組合などは、いづれもそれが構成事業者の共通の利益を増進することを目的とするものでありましても、本法の適用を受けないことになるのであります。
次に、第四條につきましては、現行法が若干の項目を限定的に列挙しておりまして、事業者団体はここに掲げられている行為以外は行つてはならないこととなつておりますのを改めまして、事業者団体の模範的な活動を例示する趣旨の規定にいたしました。従いまして、今後、事業者団体は、第五條第一項に揚げる禁止行為の規定と私的独占禁止法の規定に該当しない限り、いかなる活動でも自由に行うことができるようになるのであります。
次に、第五條につきましては、現行法が、十八項員にわたつて事業者団体の活動を禁止しておりますのを改めまして、それらの規定の中から自由競争秩序を直接侵害するおそれのない行為を削除いたすとともに、條文の整理をいたしまして、これを十二項目に縮少いたしました。すなわち現行法では、第五條第一損の第一号から第八号号までの規定は、事業者団体の統制的な行為やカルテル的な活動を禁止しておりますので、これらの規定は、原則として現行のまま存置いたしまして、第九号以下の株式または社債の所有、自然科学の研究施設の所有または経営、事業者その他の者のための融資、営業に至らない單なる取引の代理、集金及び構成事業者その他の者の間の紛争の仲裁または解決などの規定を削除いたしました。従いまして現行の第九号以下の規定で今後も存置されますのは、特許権の所有または支配、営業用の施設の所有と営業行為、不当な対政府活動及び入札を規制する行為の四項目でありますが、これらの行為は、営業行為を除いていづれも、事業者団体が自由競争秩序を侵害する手段として往々用いているところでありますので、依然として規制する必要があるのであり、また営業行為につきましては、営利を主たる目的とする団体が本法の適用から除外されますと、本法の対象は、社団法人、財団法人、人格たき社団、非営利目的の組合など社会通念上から見まして本来営業を行うべきでたいもののみとなりますので、これに対しては営業行為を認める必要はないという理由から存置することといたしました。なおこの存置される四項目のうちで、特許権の所有またに支配及び入札の規制に関する規定につきましては、不明確な点を是正するため若干の修正を加えました
以上申し上げましたほか、第六條及び第七條に関しましては、適用除外団体あるいは適用除外行為の根拠法令の改廃などに基きまして條文を整理いたし、第一八條に関しましては、従来の本法運用の経験にかんがみまして、本法違反事件について、必要に応じて事業者団体だけではなく、その役員や構成事業者にも適当な排除措置を命ずることができる旨の規定を新たに設け、本法の運用を適正ならしめることといたし、また第九條以下におきましては、以上の改正及び昭和二十四年六月の私的独占禁止法の手続規定の改正に伴いまして各條文の整理をいたしました。
終りに 第十四條の罰則につきましては、私的独占禁止法の罰則に照し新たに偽証の罰を加えましたほか、條文の整理に基く改正をいたしました
以上、本改正法律案の目的及び要旨につきまして、御説明いたしました。何とぞ御審議の上、すみやかに御協賛あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02119520424/4
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005・前田正男
○前田委員長 本日の会議はこの程度にとどめ次会は公報をもつてお知らせすることといたします。本日はこれにて散会いたします。
午後二時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02119520424/5
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