1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月十二日(月曜日)
午後二時八分開議
出席委員
委員長 前田 正男君
理事 志田 義信君 理事 多田 勇君
理事 永井 英修君
岩川 與助君 小野瀬忠兵衞君
圖司 安正君 奈良 治二君
福井 勇君 福田 喜東君
渕 通義君 細田 榮藏君
村上 清治君
出席政府委員
経済調査政務次
官 上原 正吉君
委員外の出席者
経済安定事務官
(経済調査庁査
察部長) 吉田 龍雄君
専 門 員 圓地與四松君
専 門 員 菅田清治郎君
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本日の会議に付した事件
参考人招致に関する件
地方経済の調整状況に関する件
修正意見の申入れに関する件
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001・前田正男
○前田委員長 これより会議を開きます。
この際お諮りいたします。事業者団体法の一部を改正する法律案につきまして、参考人より意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/1
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002・前田正男
○前田委員長 御異議なければさよう決します。なお参考人の選定につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/2
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003・前田正男
○前田委員長 次に地方経済の調整状況に関する件を議題とし、質疑を継続いたします。志田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/3
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004・志田義信
○志田委員 この前の当委員会におきまして、われわれは経済調整庁が今日までとり来りました監察の機構において、どれだけ日本政府の財政的な立場を有利にしたか、こういうことにつきましては、さきに行政機関の監査がやつた結果、国費を節約し得たものが約二百三十億円に上る巨額のものであるということが明らかにされておつたのであります。しかし私たちは、この監査の方法が昭和二十五年七月法律改正によりまして、監査範囲が擴張されて以来、行政施策の面において不備欠陥をよく査察した結果、これだけの国費を節約することができたというお話を承つたのでありましたが、その業務概況につきましては、詳細なる報告に基いてさらに検討するということを留保して、前回の委員会におきましては発言をそのままに留保いたしたような次第であります。しかるに今日の委員会に、昭和二十五年三月から昭和二十七年五月までの経済調査庁の業務実績概要が届けられました。これを今拜見いたしながら二、三の点についてさらに御質問申し上げたいと思うのであります。
第一番目に御質問申し上げたいのは、主食の配給中間経費の調査の問題であります。これは御承知の通り麦の統制撤廃はすでに行われるようになりましたが、近く政府並びにその與党としての自由党といたしましても、主食の統制撤廃をすることは、生産者の面におきましても消費者の面におきましても、いかなる利害得失があるかという点を十分検討し、さらに調査してなさなければならぬという問題がありまして、特に主食の配給中間経費が消費者に対してどれだけのマイナスになつておつたか、これが自由経済にすることによつて、どれだけのプラスになるかという点を詳しく承知いたしたいと思つていたやさきでありまして、はからずも今日、業務実績概要を拜見し、その冒頭に主食配給中間経費の調査の結果が載つておるのでありますが、なおこれを拝見いたしたときにおきましては、業務実績の主要なものだけ書かれておるようでありまして、その内容を十分つまびらかにすることができないのではないかという気がするのであります。たとえばこの監査におきまして、引続きなされなければならなかつた卸マージンの問題、あるいはロス等の点については、食管の段階で、実に四十四億七千万円、配給業者の段階で二十四億八千万円の節減可能という推定結論を経済調査庁は出しております。この結論の基礎になるものについてまず御説明を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/4
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005・上原正吉
○上原(正)政府委員 ただいま担当の部長を呼んでおりますから、いましばらくお待ちを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/5
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006・志田義信
○志田委員 それはそれといたしまして、いずれ説明員がおいでのようでありますから、説明員の到着を待つて御説明をいただいてけつこうであります。
その次には配電行政の調査のことも列記されておるようであります。電力の総合損失が送配電のロス、あるいはその濫用にあることは今後われわれが電力開発をやる上におきましても、きわめて必要であることは論ずるまでもございません。われわれは過去におきまして九配電会社に分割して、そうして電力の合理的な送配電を行うことを計画、立案いたしました趣旨も、またここに存するのでありますが、二十六年度以後において、そのロスの統計が、はたして実態を正しく表現しておるかどうかということにつきましては、われわれもまだその結論を得ておらないのであります。これにつきましては、経済調査庁は何らかの角度から、これらの調査をいたしておるように拜聴いたしておるのでありますが、それがこの概要にはつまびらかになつていないように思うのであります。その点はいかがでございましようか。——まだ承ると説明でき得る説明員が来ていない先に、資料だけが届けられておるという状態でありまして、これは今後ともひとつ委員長に注意していただかなければならぬことではないかと思います。大体当委員会が招集されることはすでにそれぞれ事務局によつて通達されておるはずであります。しかるにきようは午後一時から開会されることになつているにかかわらず、二時十分過ぎても、まだ経済調査庁の当該係官がここに見えていないということは、私は国会の審議の遂行にあたつてまことに不満足であります。こういうことは再びなさらないように、定刻前にはきちんとみんなそろつて、われわれ委員の質問に答えられるように準備をすることが、行政官庁としての当然な誠意であろうと思いますが、特にその点について政務次官にひとつ御心境を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/6
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007・上原正吉
○上原(正)政府委員 仰せの通りでありまして、非常に遺憾に存じております。今後はこういうことのないようにということを注意いたすつもりであります。御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/7
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008・志田義信
○志田委員 この中にありまする工業用アルコールの調査につきまして、何か載つているようでありまするが、御承知の通り工業用アルコールあるいは無水アルコールにつきましては、今非常に大きな問題も惹起いたしておるようであります。たとえばこのアルコール専売法の今後の運営につきましては、各種の不備が認められて、主務機関の施策の改善を要するものが多々あるというふうに私たちは承知いたしております。それについての御調査、経済活動の抑制について、特に外国人の不当な経済活動の抑制についての問題もこれには入つて来る段階にあろうかと思うのでありますが、いかがでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/8
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009・吉田龍雄
○吉田説明員 ただいま御質問の工業用アルコール調査のことについて私から御説明申し上げます。
この業務実績の概要の中にも書いてございますが、現在市販に出ておりますところの工業用アルコールというものは、特殊の工業用の目的あるいは輸出用のものにつきましては、特殊価格というものが認められておりまして、一般価格より非常に安い、約五分の一の価格でもつてこれが売られておるのであります。この目的とするところは、工業用の原料になるところのアルコールを、ほとんど実費でもつてその生産者に渡してやろうという政府の配慮から出ておるのでございますが、この工業用アルコールというものが、実際に政府が意図しているように、工業用にまわされてそれが有効に使用されておるならば非常にけつこうなんでありますが、ときによりますと、価格が非常に安い、使途も一般用アルコールとほとんど内容的には同じであるというような関係がありまして、ややともいたしますと政府の意図の裏をかきまして、名目は工業用アルコールというような形でもつて政府から拂下げを受けますけれども、これが工業用以外の目的に使用されるというようなことになりますと、全然所期の目的を達成することができないわけでございます。御承知の通り専売法によつてアルコールの専売をしておる目的というものが、一面においてはアルコールが工業用の原料になりあるいは酒の原料になるというような見地からいたしまして、これを全然放任してしまうことはおもしろくないという関係もあります。またこれを専売することによつて、今申しましたような工業用アルコールを安価に生産者に渡すというような目的もございますが、はたしてこれらの目的通りに使用されているかどうかということを調査庁は一応調査いたしまして、もしその間において節約する余地がある、あるいは専売利潤を当然上げるべきものがその利潤を上げ得ないでいるような状況がありはしないかという点を取上て調査したような次第であります。この工業用アルコールの名目でもつてそれ以外の、あるいはやみ酒の原料となるとか、あるいは工業用以外の目的に使われるというようなものも相当あるのでありますが、それと同時にまた政府の専売制度自体にも、かなり矛盾したようなところも出て来ているのであります。たとえば専売というものが一面において利潤を上げるようなことになりますれば、この工業用アルコールの生産にあたりまして、その原料となるところのいもその他の買入れにあたりましてもつと節約する余地がある、あるいは拂下げの場合にも、もつと有利な——厳格にこれを行えば、そう損をしないところでもつて売渡しすることもできるような問題もありますので、これらの詳細につきましては、もし御必要がありますれば、すでにその結果もまとまつておりますので、あとで説明いたしたいと思います。
次に外国人の不当活動の問題につきまして御質問がございましたけれども、御承知の通り占領下におきましては、日本に在住する外国人には特殊の取扱いをいたしまして、これらの外国人が日用使うところの各種の食料品あるいはその他の生活必需品というものは、特殊の販売店でこれを売らしていたのであります。すなわちここに書いてありますスペシヤリテイ・シヨツプ、それからOSSという二箇所でこれらのものを取扱つていたのであります。ことにそのうちのスペシヤリテイ・シヨツプに入りますものは、外国人が使うのだというので、現在は法規が改正されておりますが、従来は無為替、無税でもつて全部品物が入つていたわけでありまして、これらの商社は無税で品物を入れる、そしてこれが正当に外国人だけに売られているのならば、国内の日本経済には全然さしさわりはないわけでありますけれども、その入つて来ております品物の量は非常に莫大な量になるのであります。たとえて申しますと、砂糖等におきましても、外国人のこれらの対象となるところの人口に比例いたしますと、そのものが十年間も食えるだけの砂糖が一年のうちに入つているというような事実もありますし、また時計等に例をとりますれば、ここに在留する外国人が全部一個以上買えるような数量の時計が入つているというような始末でありまして、これはとりもなおさず單に外国人だけでなくて、これで国内で日本人の手にも渡つていることを物語るものであります。それは外国人の間におきましては、交換円制度がありまして、これは日本円をもつて表示されている通貨でありますが、この交換円でなければこういうような品物は売ることができないようになつていたのでありますけれども、実際は無税で入つて来た品物が、どんどん円をもつて日本人に売られていたのであります。そしてそれで得ました円は、軍票を媒介といたしまして再びドルにかえ、これを海外に送金するというようなことが相当広範囲に行われていたのであります。そこで調査庁といたしましては、これらの不正を防止することが肝要と思いまして、ことにこれは制度それ自体に非常な欠陥があるということがあらかじめわかつておりましたので、これの実態を調査いたしまして、主務官庁である通産省等にその結果を持ち込みまして、通産省のこれらの当該規則の改正を行いましたし、またこれら不正商社というものを全部取消しをする、あるいは規則を改めて、一応廃止してしまつて、新たに登録させるというような処置をとりまして、一応正常なものに直したわけであります。規在はこのSPSの制度、あるいは交換円というものの制度は廃止になつておりますけれども、しかしなお引続いてこれらの問社は貿易商社の形で残つておりまして、しかもあるいは外国のミツシヨンあるいは慈善団体に寄贈するというようないろいろな名目で、無為替で品物を入れ、これがやはり国内で日本人に販売して、不正使途を聾断しているというような事実もありますので、引続いてこれらの実態を調査するとともに、不正活動の防止措置をとつておるようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/9
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010・志田義信
○志田委員 こういう外国人の外国為替あるいは外国貿易管理法等を励行しない不法、不当な経済活動の結果、これを調査抑制して、経済調査庁としはやみルートで出た大量の軍票をつかんで得た額が、この調べによりますと約三十七万一千ドルの軍票で、それが不正取引になつて現われておるのでありますが、こういう場合に、私は單にこれは国家としての財を守るというだけにとどまらず、ややともすれば占領中に日本人が蔑視されておりました結果、国内法に対する外国人の遵法の精神も蹂躙せられておる傾きがあつたのでありますけれども、平和が回復し、講和が成立した今日におきましては、これらの法律を、外国人といえども遵法してもらはなければならぬことは論ずるまでもありません。さようなときでありますから、われわれはこうして横流しによる円貨の海外送金手段としての大量の軍票のやみ取引等に対しましては、今後とも駐留軍の存在する以上におきましては軍票というものはあるのでありますから、われわれといたしましても、これに対しては大きな関心を持たざるを得ない。そこで従来あなた方経済調査庁の方として、そういう不正な経済活動を抑制する立場をとりました場合におきまして、その事実を知つて後どういうような方法によつて——たとえば通産省に対する勧告であるとか、あるいは大蔵省その他に対する勧告であるとかいうような方法によつたのか、どういう方法によつてこれらの不正な経済活動を阻止することに努めたか、それをひとつお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/10
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011・吉田龍雄
○吉田説明員 外国人の不当活動の問題は、いろいろな点で制度上の欠陥があつたのでありますが、従来は調査庁が調査いたしまして、通産省に改善させたというような点一つを申し上げますと、従来これらのSPS等において無為替輸入の申請を通産省に行います。その場合にはほとんど無條件でもつてその申請された額の無為替輸入が許可になつていたわけであります。少しこの数量を調べますると、先ほど私が説明いたしました通り、厖大な数量で、国内に居住しておるところの外国人が消費するのには多過ぎるということはすぐわかるのでありますが、それをほとんど無條件で輸入を許可していたというような問題があるのであります。これらにつきましては、輸入の一許可の段階においてこれを厳重に取扱うというような改善の措置をとらせました。またこのSPSの開業ということにつきましても、外国人が申請をいたしますると、これまた無條件で許可していたのであります。はなはだしいのは、国内に来ているところの中国の学生がSPSの開業を申請して、それが許可になつておるというような実例があるのであります。全然資力もなし、またこういうような業務を実際に自分の経営においてやるという意思がなくて、ただその資格をとつておいて、それによつて外国物資を自由に取扱つて、横流しをして利ざやをかせぐというようなことをしていたところの業者が非常に多いのであります。そこで私どもの調査の結果によりまして、通産省と相談をいたしまして、許可の段階においてその資力等も調べ、また店舗等の設備を実際に持つておるかどうかというような点、また交換円の口座を大蔵省から受けているかどうかというような点をよく審査した上で、実際に経営能力があるという者だけに許可をするように改めさせたというようなことがあるのであります。一、二の例をとつて御説明したのでありますが、さらに御質問がありますればお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/11
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012・志田義信
○志田委員 政務次官にお尋ね申し上げます。いろいろと業務実績概要に見ましても、これだけの大きな国費の節減が行われておるのでありまするし、あるいは国内法を遵法させるような諸種の方法も講じておる。こういう場合に、経済調査庁の今までやつて来たところは、実に実証的に各所でとらえておるのである。これは明らかに考えられる。單に投書や密告や、そういうことでのみ活動する検察当局とは異つて、しかもそれを今までわれわれの手元にも何ら知らされないということは、きわめて秘密裡にそういうことをやつておられた。一体業務実績概要は、現在でもこうしてマル秘がついて来ておるのでありますが、経済調査庁として国会にはこういうものは出さないで、それぞれ行政機関の相手方の長に調査結果として勧告あるいは注意を促している理由はどこにあるのでありますか。国会その他においては今までこういうことは報告を受けないのでありますが、その事実のよつて来る理由をひとつ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/12
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013・上原正吉
○上原(正)政府委員 この調査の方法やその結果の処置につきましては、私が次官に就任する以前からの慣行でございまして、その慣行のよつて来るところを研究してみますと、いたずらに罪人を——いたずらでもございますまいが、出すという結果になりますると、かえつて調査に困難が加わつて参りまして、国費の節減に資するという究極の目的がかえつて阻害されるのではないか、かように考えて、庁内でいろいろ研究いたしました結果、かような方法をとりましたところが、これが案外な効果を上げた、こういうことからこれでいいのではないかというふうに考えまして、その慣行に従つて参つたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/13
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014・志田義信
○志田委員 つまり予防的に綱紀の維持をはかることに努力なさつたということはわかるのでありますが、それは経済調査庁が二十五年七月法律改正をやりまして、監査範囲の擴張をやつたときに、その法律の内容にその処置についての規定があるのかどうか、それを承りたい。あるいは法律によらずにやつておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/14
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015・上原正吉
○上原(正)政府委員 監査をなし得る、調査をなし得るという法律はちやんとございますのですが、その結果どう処置をするかという規定は法律にないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/15
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016・志田義信
○志田委員 そうしますと、今まで経済調査庁は監査の結果に基いて、別に法律に基くのではなくて、経済調査庁が独自の立場で、是と信ずる方法で、それぞれ相手方の行政機関に通知あるいは忠告をしたということだと思いますが、それによつてそれぞれ相手方の行政機関はまことにありがとうございました、今後はこれを改めますという意思表示は公文書をもつてやつたのか、あるいは意思表示しないで、経済調査庁の監査の結果はそのままいただいておくという態度をとつておるのか、その点ひとつお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/16
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017・上原正吉
○上原(正)政府委員 その実例があると思いますから説明員に説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/17
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018・吉田龍雄
○吉田説明員 私どもの調査いたしました結果につきましては、場合によりますれば法規に基いての勧告もなし得ることになつております。また勧告以外の方法もあるわけでありまして、要はこの調査しましたところの結果を、主管官庁にほんとうに腹の底から、こちらの考えに同調してその制度なり運営を改めてもらう、あるいは国費の節約をはかつてもらうということでなければ意味はないのでありまして、そうなつて参りますと、これをあからさまに世間に発表してしまうというようなことは、かえつて相手方の反発を引起すというような危険が非常に多いのであります。むしろ内々に忠告してやつてこれを改めさせるという方が、かえつて相手方は喜んでこちらの要求を受入れてくれる。そうしてその非を改めるというようなことはこれは人情の機微でありまして、役所の事務の運営についても同じようなことがいえると思います。そういうような関係もありまして、一概に結果を全部世間に公表するというようなことはいたしてないのであります。また相手方に申し入れる場合におきましても、場合によりますれば調査結果の結果報告書を送付してやつて、そしてこちらの要望事項がその結論として出ておりますから、それを自発的に、自主的に改めてもらうというようなこともありますし、また正式にそれに対してこの点点を改めてもらいたいというところの文書をもつてこれを申し入れるようなこともございます。それはその事の軽重あるいは性質等によりまして、取扱いがいろいろと違うわけでございますが、先ほどお話ありましたところの外国人の不正活動の防止につきましても、私どもの調査結果等が正式に文書をもつてこの規則の改善方、各條項にわたつてこういうふうに改善してもらいたいというところの改善方を申し入れまして、向うでもただちにそれの改善をして文書をもつて結果を報告してくれたというような事例もございます。またそうでなくて、結果報告書を送付することによつて口頭でもつていろいろと説明をし、それによつて改善をさしたというような事例もあるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/18
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019・志田義信
○志田委員 今、場合によつては勧告するというお話がありましたが、勧告というのは法律に基いて行うものと私たちは思います。従つて事の軽重を考えて勧告すべきであるか、あるいは單に調査結果の報告だけを出して自主的に改めさせるかということは、その主務官庁にまかしておく、こういうお話でありますが、その自主的に改めたかどうか。あるいは勧告に従つたかどうか。そういうことに対しては、回答を求めたのか、それとも回答を求めないで、そのままにしたのか。あるいはそれがどうなつておるかを調べたことがあるかどうか。その点をひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/19
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020・吉田龍雄
○吉田説明員 もちろんその結果報告あるいは改善の申入れ等につきましては、書面でもつて回答をとつております。また調査庁といたしましても、調査庁の調査結果の励行ということにつきましては、相手方にまかせきりにしてしまつて、調査庁は一ぺん調査すれば、それでもつて打切つてしまうということは、決してしていないのでありまして、どのいかなる調査におきましても、その改善意見というようなものが出ますれば、それを必ず励行させるようにしているのであります。この申入れた事項は、必ずこれを管区さらに地方局に、こういうような改善の申入れをして改善することになつているから、その結果はどうなつているか、ひとつ調べて報告するようにというので、各管区、地方局等に、それぞれ仕事を分担させまして、その励行状況を見て行つているのであります。このことが非常に大切なことなんであります。私どもが地方機関を、今非常に必要だということの一つの大きな理由というものがここにあるのでございまして、実際に政府の行政施策というものが、どういうふうに末端において行われ、また改善の実がいかに上つているかということを実証的にとらえて、はたしてその成果があがつているかどうかということを調べなければ、勧告のいいぱなつし、あるいは申入れのしつぱなつしというようなことになつてしまうのでありまして、これでは意味がないのであります。私どもは、幸いに従来は地方機関を持つていましたので、この機関を活用いたしまして、必ずこれのトレースをするということを怠つていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/20
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021・志田義信
○志田委員 励行されているかどうかの状況を見ておる。そのため地方機関が必要である。そういうことも私たちはよくわかるのであります。しかしあなたの方から勧告されて、それは自主的に改めるといたしましても、勧告されて、その勧告された結果改めようが非常に悪くて、事態としては改めたのであるけれども、その取扱いの方法において、また法を犯すような改め方をしておる。こういう実例はあつたかどうか、それをひとつお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/21
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022・吉田龍雄
○吉田説明員 私どもの方で勧告をして、その改めたことが、かえつて結果がよくなかつたというようなことがありはしないかというような御質問のようであつたのでありますが、今までにはそういうような実例を私どもは聞いておりません。また多少こちらの申出というものが、強過ぎるというような場合には、さらにその改善したところの実績は徴しまして、相手方とも相談をして、あるいはこれを若干はゆるめる、改めるというようなこともして、これの是正方をはかつております。全然私どもの方の結果が逆効果であつた、マイナスになつたというようなことは、私まだ聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/22
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023・志田義信
○志田委員 それでは私は実例を一つ申し上げてみたいと思います。この業務実績概況は、二十五年の三月から始まつておりますが、当然二十五年の十二月の業務概況もこれに入つているものと想像されるのでありますが、私まだただいまもらつたばかりでこれを読んでおりません。ただ最後のページにある、経済調査庁の活動によつて、直接間接に国費の節減に寄與した金額の推計一覧表の中に、第五として鉄鋼及びソーダの過拂補給金回収についての四億八千五百万円というものが記入されております。約五億円近い金であります。これは過般の委員会におきまして私が取上げて、こうした過拂金が政府の補給金の中に入つて、不当に業者をして利得せしめておるということについては、当時質問した通りであります。その内容と軌を一にするものであろうと思います。しかるにこの四億八千五百万円の過拂金を、これらの業者からさらに取立てるにあたつて、現実には第二次の補給金の中から、補給すべきものと相殺している事実がございます。かような場合におきましては、われわれは自由裁量をなし得る余地が、これらの当該主務官庁の行政を執行なさる方にあるかどうかということにつきましては、法律的にも大いに疑いを持つばかりでなく、法を犯しておるという結論を出さざるを得ない。なぜかならば、過拂金の回収にあたりましては、当然過拂金を回収されたものは、大蔵省の国庫の金に帰すべきものであつて、第二次の補給金の中からそれを差引いて残余を、あるいはそれの超過額をとるということは、財政法の違反であると私たちは思つておりますが、こういう法的な違反を繰返しているときに、経済調査庁は、それでも励行状況を見て、そして十分査察、監督をしたと言い得るかどうか、その点をひとつお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/23
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024・吉田龍雄
○吉田説明員 鉄鋼並びにソーダの補給金の過拂いを、国庫に回収する方法につきましては、私どもはその回収方法等につきましては、どういうような方法でもつて回収しろというようなことは、勧告もいたしませんし、またその主務官庁の方に意見も申出ていないのであります。ただその過拂いになつている額と、それから回収すべきことを通達いたしまして、これの回収方の善処を要望したような次第であります。その取扱いの方法が、あるいは妥当を欠いていたというような点があつたかもしれませんけれども、この問題につきましては、私ども深く相談等も受けておりませんが、主務官庁がやつておるような次第でありまして、その点は御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/24
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025・志田義信
○志田委員 いや別に了承するも了承しないもない。こういう事実がある。そしてこれは、あなたの方では直接間接に国費の節減に寄與した金額だといつてここに載せておる。直接間接に国費の節約に寄與したことは私も認めますが、その四億八千五百万円を回収するにあたつて、それを成規の手続によつて国の金として回収しないで、第二次に出て来る補給金の中から差引いてやるというようなことが、あなたたちの監査の対象にならないのかどうか。そういうことが監査の対象にならないとなれば、間接に国費の節減という言葉は使えないと思います。直接的には、なるほどあなた方の監査の対象になつて、国費の節減に寄與したと認めるが、そういう点までも見届けて、主務官庁がどういうふうにこれを改めておるか。またその改める方法の途中において、誤りを繰返しておらないか。こういう点まで監察しなければ、あなた方がせつかく今まで励行状況を見ておるという今の査察部長のお話でありましたが、それに欠くるところがあつたのではないか。どうもあなた方から勧告され、あるいは自主的に改めるように調査結果報告を出されても、それを受けた主務官庁は、これをありがたくちようだいして、そしておのれの非をあらためるという方向に必ずしも行つておりません。むしろいらざる口を入れて、いらざる結果を招来しておるのじやないか。あるいは先ほど査察部長のお言葉にもありましたように少し行き過ぎておるのじやないか。あまりに厳重ではないか、かような考え方を持つて、経済調査庁に対する協力の仕方におきましても、やはり従来はそういう態度が見えたのであります。この励行の状況がどうであつたかということに対しては、今査察部長は十分これを見届けておつたという発言をなされておるが、その点においては、少し励行の状況を見届けない点もあつたのじやないかどうか、もう一度重ねて御質問申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/25
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026・吉田龍雄
○吉田説明員 くどいようで、はなはだ恐縮なんでありますが、私ども目的とするところは、国損の防止という見地から取上げましたので、その過拂金の回収方法につきましては、大体これらにつきましてあまり深い関心を寄せてなかつたという点に、あるいは手落ちがあつたかとも思うのであります。もちろんこの回収の方法というようなものも、調査庁の監察の対象になることはお説の通りであります。もしそのやる方法が、あるいは過察にわたる、あるいは違法であるという場合には、これを改めさせなければならないかと考えるのでありますが、鉄鋼並びにソーダの補給金に関しましては、実質的には、今後政府から渡すところの補給金と相殺するという方が、業者の方といたしましても、手数が省けて事を簡単に処理できるというような観点から、主務官庁はやつておることと思うのであります。この問題につきましては、私どもといたしましても、深く主務官庁等を追究しておりません。しなかつたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/26
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027・志田義信
○志田委員 私はなぜこういうことを申し上げるかと申しますと、今日経済調査庁の行政機構の改革案がわれわれの手元におきまして論議されておる場合に、地方局が全廃になるかもしれぬということが、われわれのきわめて懸念するところであります。しかるに、先ほど査察部長のお話がありましたように、励行状況を見ておるということが、地方機関が必要なるゆえんである。これをやることが地方局の存続の理由であるということを明らかにあなたは申しておる。こういう重大な、励行状況を見るということが、地方局の機構としての存在を必要化する理由であるということを申しておりながら、そういう励行の状況では、私は必ずしも万人をして納得せしめるような励行の状況とは言えないのではないか。また、もう一つ申し上げておかなければならぬことは、従来こういうような励行状況を見る場合におきまして、これを内談にし、あるいは公にするということは、事の軽量、あるいは国に與える影響、国民に與える影響等から考えて、これはわれわれも十分わかるのでありますけれども、少くともこの励行状況を正式な文書をもつて回答要求をしないということは、どういうところにあるか、主務官庁に対して、あなたの方の官庁として査察した結果、監査した結果、あるいは物資調査部あたりが調査した結果、これを公文書をもつて、その結果についての回答を求めなかつた理由はどこにあるか。そんなことは決して遠慮する必要はないのであつて、公表するしないは、時と所とそのときの国内情勢によつて考えてもけつこうでありますが、主務官庁がこれを励行しているかいないかということを、公文書をもつて回答を求めることは、きわめて必要ではないか。それはどういう立場で、そういうふうなただ自主的に改めるだろうという臆測だけにとどめて、これを終つておつたか、それをひとつお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/27
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028・吉田龍雄
○吉田説明員 先ほどもお話いたしました通り、決して監査の結果を調査庁と主務官庁とが内々でもつて話をつけてしまうというようなことだけをしているわけではないのでありまして、先ほど話しました通り、重要なものにつきましては、もちろん正式に文書でもつて、この改善点を示して申入れをしているのでございます。またこれに対しての回答も、もちろんとつているのであります。ただ軽微なものにつきましては、そういうようなことをしなくても、その報告書を送付する、そういうような調査した結果がこういうふうになつているから、ひとつしかるべく処置してもらいたいというところの書面だけでもつて見ましても、その報告書の中に、もちろん結論として、示唆として、こういうふうに改めるべきであるというようなことが書いてありますので、実質的には書面をもつて申入れをしたと同じような結果になつているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/28
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029・志田義信
○志田委員 私は決して同じような結果じやないと思うのです。あなたはさつき手数を省けるようにした方がいいじやないかという話でありましたが、今日日本の官庁において、手数を省いてもいいようなことを省かないで、かんじんなことで手数を省くような慣例のあることは往々にして見るところであります。あなたは財政法に違反しておるというような事実を、手数を省けるからやつたということでは、少くともこの国会において、これを記録にとどめるということは、私はできないことと思う。この点については、もう一度あなたの所信を伺わなければならぬ。こうした回収の方法において、手数が省けるというようなことで、財政法に背反するということが明かになるものに対してまで、そういうことが言えるかどうか、さような立場をとるから、過去において物事に対しましてはきわめて主務官庁が経済調査庁を重視しない傾向を馴致した。経済調査庁の功績をたたえることはだれもしないで、しかも経済調査庁のやることに対してとかくの批評を加えたのは、あなた方のこの手心が影響しておつたのである、手数を省けさせるというようなことによつてあなた方が好意をもつてやつたことが、主務官庁をして、あなた方をくみしやすしとする考え方を持たしたのではないか。それが今度の行政機構の改革にあたつて、経済調査庁のごときものは必要としない、あるいは出先機関のようなものは必要としない、もし監査の必要があるなら、部内監査をもつて事足れりというような言葉で応酬されておるのではないか。この点はもう一度重ねてあなたの御意見を承らなければならないと私は思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/29
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030・吉田龍雄
○吉田説明員 私の言葉が足りなかつたかと思うのでありますが、この手数を省くといつたのは、私が、主務官庁がこの過拂金の回収をするにあたつて、おそらくそういうような目的でもつて手数が省けるから、こういうような方法をとつたのだろうという私の推測であります。私の方でもつて決してそういうような方法がいいとか悪いとかいつたということはありません。それ自体が、それでもつていいというようなことも考えておらぬのであります。もちろん財政法からいいますれば、過拂金の回収措置といたしましては、そういうようなことは違法かと思うのであります。調査庁といたしましては、その回収の方法まで厳重に励行させる、適法にさせるというようなところにまで配慮が足りなかつたことは、遺憾だつたと存ずるのでありますが、当時の状況は先ほど来説明したような状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/30
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031・志田義信
○志田委員 私はこの行政参機構の改革にあたりまして、励行状況を始終見ておるということが、地方機関を必要とする理由だということは、私もきわめて賛同せざるを得ないところで、これはその通りであろうと思いますから、皆さんといたしましても、そういう地方機関の存続されることを希望せられると思うのであります。そこでひとつ政務次官にお尋ねしたいのですが、経済調査庁が事務の一部を吸収されてこういう重要な監察機構が弱体化するであろうということが予想せられるこのたびのいろいろな行政機構の改革にあたつて、今日において、これらの地方機関を全部必要でないとする閣議の決定、あるいは次官会議の申合せ等に対して、あなたの御所信をひとつ承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/31
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032・上原正吉
○上原(正)政府委員 政府案として固まりましたものは、政府部内にいろいろと論議がございましたり、また検討せられました結果として生れたものでございますので、政府の一員といたしましては、この結論に忠実であるよりほかはない、かように考えるのでございます。なおまたこの結論に対してどういう信念を持つているかというお話でございますけれども、これはここでお答えするのは困難だと思いますので、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/32
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033・志田義信
○志田委員 あなたの立場で信念をお述べになることは、非常にお苦しいだろうと私も想像申し上げますし、御推察も申し上げます。しかし屡次にわたつて、いろいろあなたの下僚である監察部長から、励行状況を見るためにも、地方機関の必要であるということを、ここで明らかにされておる、それを政務次官としてあなたが聞かれておつて、今後監察の事務がなくなるならいざ知らず、少くとも行政管理庁の監察部の中に、従来の経済調査庁の事務の一部を吸収するという案がある以上、この吸収された後の処置において、今回の行政機構の改革が改悪であつたということであるとすれば、政府の一員としても、また経済調査庁の政務次官としても、あなたには責任があるということになるが、そういう行政的な責任はかりでなく、政治責任をあなたはどうとられるつもりであるか、それをひとつお聞きしておかなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/33
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034・上原正吉
○上原(正)政府委員 私は、今回の行政機構の改革が、国家のためにならないというふうな結果を招来いたしましたならば、私にもその責任が分担されておるということをよく考えております。それ以上私の立場として、私個人の考えを申し上げる機会でないと思いますので、その点はお許しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/34
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035・前田正男
○前田委員長 ほかに御質問ありませんか。——ほかに御質問なければ、質問を打切ります。
次に行政管理庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、志田義信君より発言を求められておりますので、この際これを許します。志田義信君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/35
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036・志田義信
○志田委員 行政管理庁設置法の一部を改正する法律案に関しまして、経済安定委員会と申入れをいたしたいと思うのであります。これを委員長においておとりはからい願いたいのでございます。
われわれ行政管理庁設置法の一部を改正いたしまして、その監察部に経済調査庁の事務の一部を吸収するという処置は、今回の行政機構改革の重要事項である監察機構の整備強化をねらつたものであると、かたく信じておるのであります。しかるにかかわらず、経済調査庁の府県の出先機関たる地方経済安定局を全廃して、かつ人員をさらに四割も削減しようとするのが監察機構の強化になるか、どうか、われわれはむしろこれは弱体化を招来するものであると断せざるを得ないことは、まことに與党議員として心外でございますけれども、かく断定ざるを得ません。よつて経済安定委員会におきましては、本行政機構の改革に対しましては、左のごとき申入れをいたしていただきたいと思うのであります。それを箇條書きに申し上げます。
その一つは、地方監察局の所在地以外の府県にこの地方安定局を、たとい少くするとするも、これをブロック的に残す、すなわち支局を設置するということをこの際申入れをしていただきたいのであります。
さらに第二の点といたしましては、行政管理庁に合体すべき経済調査庁の人員の整理の問題でございまするが、すでに経済調査庁は、去る年度におきまして三割五分の人員整理をいたしております。これ以上の人員整理を要求するということは、弱体化に対するさらに弱体化を意味する以外の何ものでもございません。われわれは、経済復興を目ざさんとする今日の日本の現状において、かくのごとき行政整理は、行政整理のためにする行政整理であると断ぜざるを得ないのであります。ゆえにこの四割案に対しましては反対し、二割程度にとどめるようにしていただきたいと存ずるのであります。
第三の問題は、中央機構は監察第一部のみになるという案のようでありまするが、これとても、経済調査庁が昭和二十五年七月法律改正によつて、その監査の範囲擴張をして、これだけの業績をあげておるという事実に徴してみましても、決して監察第一部をもつて事足れりとは考えられません。よつて全知全能の神ならばいざ知らず、人間のやることに対してでありますから、十分なる人員を配置して、今後日本の経済復興にあたつて、遵法の精神を徹底せしめるという点から行きましても、内外の信用を博する上から行きましても、私は監察第一部のほかに監察第二部、監察第三部及び監察第四部の四部とすることを申入れいたしていただきたいのでございます。
第四は、各行政機関の委嘱によつて、行政施策の企画立案に必要な実態調査を行い得るように所管事務を改正することがきわめて必要ではないか。
これを申入れいたしていただきたいと思うのでありまして、以上申し述べました四項につきまして、委員長により、これが修正に対する申入れとして採択せられんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/36
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037・前田正男
○前田委員長 ただいまの志田君の御意見に基きまして、この際次のような申入れをいたしたいと思いますが、案文を朗読いたします。
行政管理庁設置法の一部を改正す
る法律案に関する経済安定委員会
の修正申入行政管理庁設置法の一部を改正して、その監察部に経済調査庁の事務の一部を吸収するという措置は、今回の行政機構改面の重要事項たる監察機構の整備強化を狙つたものであるにも拘らず、経済調査庁の府県の出先機関たる地方調査局を全廃し、且つ人員を更に四割も削減しようとするのは、監察機構の強化ではなく、反つて弱体化を招来する虞れあるものといはざるを得ない。
よつて経済安定委員会は左の如く修正を申し入れる。一、地方監察局の所在地以外の府県に支局を置くこと。二、行政管理庁に合体すべき経済調査庁の人員の整理は、二割程度に止める
こと。三、中央機構は監察第一部、監察第二部、監察第三部及び監察第四部の四部とすること。四、各行政機構の委嘱により、行政施策の企画立案に必要な実態調査を行いうるよう所掌事務を改正すること。
以上の案文の通り修正の申入れを内閣委員会にいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/37
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038・前田正男
○前田委員長 御異議ないものと認めます。
本日の委員会はこの程度にとどめまして、本日はこれで散会いたします。
午後三時九分散会、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02419520512/38
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