1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年六月四日(水曜日)
午後一時四十六分開議
出席委員
委員長 前田 正男君
理事 志田 義信君 理事 多田 勇君
理事 有田 喜一君
有田 二郎君 岩川 與助君
小野瀬忠兵衞君 圖司 安正君
奈良 治二君 福井 勇君
福田 喜東君 渕 通義君
笹山茂太郎君
出席政府委員
公正取引委員会
委員長 横田 正俊君
総理府事務官
(公正取引委員
会事務局総務部
長) 古内 廣雄君
委員外の出席者
専 門 員 圓地與四松君
専 門 員 菅田清治郎君
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五月二十七日
委員高間松吉君及び奈良治二君辞任につき、そ
の補欠として川野芳滿君及び中馬辰猪君が議長
の指名で委員に選任された。
同月二十八日
委員中馬辰猪君荒木萬壽夫君及び西村榮一君辞
任につき、その補欠として奈良治二君、北村徳
太郎君及び中崎敏君が議長の指名で委員に選任
された。
同月二十九日
委員多田勇君及び土井直作君辞任につき、その
補欠として玉置實君及び受田新吉君が議長の指
名で委員に選任された。
同月三十日
委員玉置實君辞任につき、その補欠として多田
勇君が議長の指名で委員に選任された。
同月三十一日
委員川野芳滿君辞任につき、その補欠として奥
村又十郎君が議長の指名で委員に選任された。
六月三日
委員奧村又十郎君辞任につき、その補欠として
高間松吉君が議長の指名で委員に選任された。
同月四日
委員高間松吉君辞任につき、その補欠として有
田二郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
多田勇君及び中崎敏君が理事に補欠当選した。
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六月三日
独立後の経済基本政策に関する陳情書
(第二一八六号)
繊維製品の価格安定に関する陳情書
(第二一八七号)
労務加配制度の存続に関する陳情書
(第二一八八号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
理事の互選
小委員及び小委員長の補欠選任
事業者団体法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一六七号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/0
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001・前田正男
○前田委員長 これより会議を開きます。
議事に入ります前に、理事の補欠任並びに小委員及び小委員長の補欠選任を行います。理事中崎敏君が去る五月二十四日、また理事多田勇君が去る五月二十九日、それぞれ委員を辞任されましたので、理事二名が欠員となつております。これより理事の補欠選任を行いたいと存じますが、これは先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/1
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002・前田正男
○前田委員長 御異議なしと認めます。それでは中崎敏君及び多田勇君を、それぞれ理事に指名いたします。
次に、小委員及び小委員長の補欠選任を行います。去る五月二十四日、事業者団体法等経済法令に関する小委員であられました中崎敏君が、また同月二十七日に奈良治二君が、また同月二十九日には、小委員長であられました多田勇君が、それぞれ委員を辞任されましたので、小委員三名及び小委員長が欠員となつております。ただいまよりこの小委員及び小委員長の補欠選任を行います。これは先例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/2
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003・前田正男
○前田委員長 御異議なしと認めます。それでは中崎敏君、奈良治二君及び多田勇君を、それぞれ事業者団体法等経済法令に関する小委員に指名し、小委員長には、多田勇君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/3
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004・前田正男
○前田委員長 それでは前会に引続き、事業者団体法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/4
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005・多田勇
○多田委員 最近百貨店の事業内容について、公正取引委員会が、独占禁止法に違反する疑いをもつていろいろ調査され、あるいはまた警告をされたように聞いておりますが、その内容について御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/5
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006・横田正俊
○横田(正)政府委員 百貨店の取引方法等に関しましては、公正取引委員会におきましても、かねがね、その中に、公正かつ自由な競争を促進する、いわゆる独占禁止法の精神の上から考えまして、好ましくないようなものがあるや見受けられますので、いろいろ調査をいたしておりましたところが、百貨店に品物を納めまする問屋あるいは中小の小売業者の間から、やはり同様な、おもしろくない取引が行われておるということの陳情等もございましたので、引続き相当の期間にわたりまして調べて参りました。その結果といたしましては、いろいろなことがわかつたわけでございます。たとえば問屋から納めましたものを返品をする、これが普通の返品でございますれば問題がないのでございますが、やや苛酷にわたるような返品をいたしましたり、あるいは御承知のように百貨店に勤めております人間は、デパートによりまして差はありまするが、その中に非常に多数のいわゆるデパートの正規の雇い人でない者が入つております。手伝い店員と申しておりまするが、この手伝い店員を半ば強制的に問屋から出させまして、これにデパートの仕事をやらしておるような事情、あるいは皆様御承知の化繊、紡績会社等と結託いたしまして、いわゆる展示即売会なるものを開きまして、ごく限られた数量のものを、また度はずれた安い値段で売る。これによりまして、デパートの品は非常に安いというような一般の印象を与えまして、いわゆるおとり戦術にこれを用いるというようなやり方でありますとか、あるいは内覧会と申しますか、これもきわめて少数の人に案内を出しまして、その人たちだけにきわめて廉価に特殊の製品を販売するというようなことをやつておることがわかりました。これらの事柄は、独占禁止法で取上げまして、ただちに違反といえないようなものもございます。また、たとえば先ほど申しました内覧会あるいは展示即売会なども、やり方によりましては、独禁法の不公正競争方法いわゆる差別価格というようなことにただちに該当するおそれがあるのでありまするが、その他の問題としましても、度はずれたこれらの取引方法は、独占禁止法で申しますいわゆる公共の利益に反する競争手段とも考えられますので、あるいは場合によりましては、これを独禁法の手続によりまして、不公正競争方法ということに指定をいたしまして、取締つて参ることも考えられるわけであります。しかし今これをただちに取上げ、あるいはただちにこれらの競争方法の指定をすることはいかがかと考えられましたので、デパートの自粛を強く要望するという意味におきまして、先般五月二十一日でございますか、日本デパートメント・ストア協会会長にあてまして、公正取引委員会から、右のような行き過ぎた取引方法について十分自粛をせられたいということを申し送つたわけでございます。その反応といたしまして、デパートの方も、ややこの問題については自粛的な傾向に向いておるように見えますが、今後私どもとしましては、なおよく実情の監視を続けまして、もしさらに自粛の実がなく、おもしろくない取引が続くようでありましたら、先ほど申しました正規の法律に基く手続に出ざるを得ないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/6
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007・多田勇
○多田委員 この事実は特定な百貨店だけに起つた現象か、あるいは日本デパートメント・ストア協会に加盟しておる百貨店全体に起つた問題か、あるいはまたこの協会で、ただいま言われましたような内容について、一つのデパートとしての方針をきめられたというような事実がなかつたかどうか、この点について御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/7
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008・横田正俊
○横田(正)政府委員 取調べをいたしましたのは十数社に及んでおりまして、これはただいま申しましたデパートメント・ストア協会の会員ばかりでございまして、その他のものに対しましては実際上の取調べはいたしておりません。そして先ほどの警告は、協会あてでございまするから、デパートメント・ストア協会の会員にその趣旨をよく伝えるようにというふうになつております。但しその他のいわゆるアウトサイダーの百貨店につきましても、やはり同様な事例があるらしく思われますので、これにつきましては新聞に同じような趣旨——会員であるといなとを問わず、百貨店業者があげて本委員会の企図するところを了とせられ、真剣に自粛の実を上げられることを望んでやまないという趣旨を新聞に掲載した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/8
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009・多田勇
○多田委員 協会では、ただいま言われましたような内容について、お互いに相談し合つた上でそういつた方法をとつたのかどうか。これは百貨店の今までの慣例として、そういつた方法が長い間とられた結果、各百貨店がまねをして同じような性質になつたような場合もあると思いますが、一応協会加盟の百貨店は、大体同じように不公正な競争に該当するような行動をしておる点から考えまして、この協会自体がある程度そういつた面について指導された事実がなかつたかどうか、その点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/9
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010・横田正俊
○横田(正)政府委員 その事実はないようでございます。百貨店間の競争はかなり激烈なものでありまして、結局ある百貨店がある新しい方法を考え出すと、それに対抗する意味におきまして、他の百貨店が新しいくふうをこらすというふうで、百貨店の間で話合いがあつて、あるいは協会がその音頭をとつて、そういうようなことをしたということは、われわれの調査では出て参つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/10
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011・多田勇
○多田委員 委員長の話で百貨店は自粛しておる傾向にあるということでございますので、これ以上質問はいたしません。
次に、きのう本会議で問題になりました東京電力の株主権の行使の問題でありますが、公益事業委員会の委員長は、株主権を日発が行使しておることは不当だとはつきり言われておりますし、公正取引委員長は合法的だという御見解のようでございます。日発が株主権を行使するような時期にあつたというその事情につきましては、きのうの本会議でよくわかつておるのでありますが、一部伝えられるところによりますと、日発の株主権を行使する問題、さらにまた新しい重役の人事について、あたかも公正取引委員会が認可をしたような印象を与えておるのでありますが、その間の事情について御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/11
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012・横田正俊
○横田(正)政府委員 東電の問題につきましては、昨日の本会議で、きわめて簡単ではございましたが、一応公正取引委員会の立場を申し上げたのでございますが、ただいまお示しのように、議決権の行使が公正取引委員会の承認にかかつておりまする結果、なるほど結果的に申しますと、委員会はやや東電の人事に関与するという形をとるわけでございますが、しかしこれはあくまでも日発の出して参りました案を、諸般の事情を検討いたしまして、いわゆる再編成の趣旨に反しないものであるということを認めまして、その行使を認めるという線で、今でも行つておるのでございまして、そこに公取として積極的に東電の人事に関与するという意思はもちろんないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/12
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013・多田勇
○多田委員 その間の事情はよくわかるのでありますが、現実の問題としますと、日発が株主権を行使したために、東京電力があのような状態になつてしまつたという問題が起つて来るわけであります。委員長は参議院の通産委員会で、日発の株主権の行使につきまして、その行使が不当であるというような場合には、その行使を制限するというようなことを言われておるようでありますが、あの当時の情勢として、当然新しい株主に配分すべきところの株式を、単に手続上の問題から旧日発が持つておつたということだけで、株主権の行使を旧日発に許すことが至当であるという見解に基いて、株主権の行使を認めたのかどうか。参議院で言われましたような、不当な行使の場合には制限するという、その不当な場合という状態をどういうふうに考えられたか、その点について御見解をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/13
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014・横田正俊
○横田(正)政府委員 この議決権の行使を日発にやらせますということは、これは株式の配分が遅れました事情がいかにあるにもせよ、先日の総会はこれを行使せしめなければならぬような状態にむしろなつているわけでございます。この点は東電の関係ばかりでなく、その他の八つの新電力会社につきましても、まつたく同じ事態があつたのでございまして、いずれも日発をして議決権の行使をせしめ、しかもこの方は多少役員の変更等もございましたけれども、円満に話もつきました結果、特に対立して議決権を争うということなしに、全会一致で済んでおります。東電につきましても、右のような関係からいたしまして、日発に議決権を行使せしめることはどうしても認めなければならぬのでございますが、ただこれが普通の株主と違いまする点は、普通の株主でございますれば、十分にその議決権を行使して、あるいは役員を全部解任してしまう、新しい自分の思つた人間をそこに入れる、あるいは国会の御意向を無視し、あるいは輿論の趨勢に反して、役員を定款の定足数いつぱいに持つて行つてしまうというような、思いのままのことができるわけでございますが、これは先ほど多田さんからも申されましたように、そういうほしいままのことはやはり認めてはならぬというのが、私が参議院の通産委員会で申しました趣旨でございます。しからばどの程度になりましたらこれが不当であるか、この線は非常にむずかしい困難なことであるというふうに、通産委員会でもお答えをいたしたのでありますが、その後具体的に行使の申請、承認の申請が出て参りまして、私どもいろいろ検討いたしました結果、あの候補者の三名を追加するということは、その人柄から考えましても、また人数から申しましても、かなり控え目なことであつて、昨日の本会議でも申しましたように、一年後には重役の再検討をするということが、一つの決定指令の線でもございますし、決定指令の趣旨にも反しないのではないかというように考えましてあれを認めたわけでございます。ただ員数につきましては、十七名の定款いつぱいに持つて行くことは不適当であると思いまして、東電側から出しました役員、日発側の推薦したもの三人、合計十七人のうち、十五名について議決権を行使する、そういう條件をつけまして、承認をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/14
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015・多田勇
○多田委員 ただいまの不当な場合に議決権の行使の制限をするという公取側の御意見が、何か今度の東京電力の問題ですつきりしないような印象を一般に与えておるのじやないか。これはきのうの公益事業委員会の委員長の見解、当然新しい株主に交付さるべき株式を、たまたま日発がいろいろ整理の関係で持つておつたというだけの理由であるにもかかわらず、株主権を行使することは不法だという公益事業委員会の見解が、相当強く一般に影響を与えるような結果になるおそれがあつたのであります。こういうように考えておるのでございますが、この点について、旧日発がその当時持つておつた株式の株主権の行使をすることが、当然の権利であるというはつきりした見解を示すだけでなしに、不当な場合にある程度制限するというような印象を一般に与えることが、公取側の見解を弱めるような結果になつた。これが今度の紛争の一つの原因になつておるような印象を一般に与えておるようであります。
それと、いま一つは人事の問題であります。日発側が推薦しました三名については、これは適当な人物である——人物個々の問題については私は知りませんけれども、適当な人材であるということであれば、現在の東京電力の重役である十四名、これに三名を加えますと十七名になりますので、どうしても現在の東京電力の重役が二名はみ出すというような結果になるわけであります。そのような双方の意見が一致しないような状態で、公取側が株主権の行使をはつきりと認めた。むしろこれは株主権の行使の時期を、いま少しずらせることができれば、この問題も今日のような状態にならなかつただろうと思うのであります。そういつた点についていま一度公取側として、今度の措置が妥当であつたかどうかという点についての見解、これはもうもちろん妥当であるというような御見解かもしれませんけれども、今日の紛争を招いた直接といいますか、間接といいますか、少くともある程度の原因になつておるのが、公取側の見解ではないかと考えておりますが、その点についての御見解をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/15
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016・横田正俊
○横田(正)政府委員 不当の行使である場合に、これを制限するというふうに申し上げることもできますし、あるいは日発の行使が正当な範囲を越えなければ、これを承認するというふうに申し上げてもいいかと思うのでございます。つまり東電側の重役が出しました原案に賛成する範囲だけで、日発の議決権を認める。日発の議決権にいささかの積極性も認めない。ということは、むしろ先ほど申しました、重役を一年後に再検討するという線に沿わないのではないかと考えたのでございます。
なおこの総会をもう少し遅らせまして、全部ほんとうの株主に株式が渡つてから、総会を開き、役員を選任するということも、一つのりつぱな考え方であつたわけでございます。多少そういうこともあつちこつちで研究をいたしておつたようでございますが、いかんせん商法の建前から申しますと、総会、決算期に、役員を改めるということが同時に行われなければならないように一応見られますし、なお東電側ではどうしてもその際に役員を改選してしまおうというような強い意思で、現在の役員をそのまま認めるという線で強く出て参つてしまつたものでございますから、今多田委員の言われますような線にはとうとう参らなかつたわけでございます。なお公取としましては、新会社自体に総会を延期させるとかなんとかいう権限は、もちろん全然ないわけでございます。この点はただ傍観をいたしておつた次第でございます。しかもこの総会においてきまつてしまいますれば、これは任期があともう二年そのまま続くわけでございまして、これはなるほど後にほんとうの株主が出た場合に、その役員を解任し、あるいは新しい人を入れるという道もないわけではないのでございますが、解任は特別決議というような非常に重いことにもなりますし、事実上、一番先にきまりました役員が一年ではなく、三年間そのままおるという実際上の結果になるのでございまして、この点なども私どもいろいろ考えた結果、ああいう決定をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/16
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017・多田勇
○多田委員 新会社の創立当時の役員の再検討の時期を、一応一年という線で区切つた点は、この会社が旧日発の持つておりました株式を公開して、新しい株主ができた後に、新しい株主の意思において役員を選任するという考え方で、一年という期間をつくつたのかどうか、あるいは旧日発の意思を、一年後、新しい会社に反映させるというような考え方のもとに、一年という期限を切つたのか、そこに問題の重点があるのじやないかと思つておりますが、その点についてはどうお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/17
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018・横田正俊
○横田(正)政府委員 最初に決定指令ができましたときは、一年たてばほんとうの株主に株式が渡るであろう、そこで総会で決定する、こういうことで発足をしておつたと思いますが、まつたくその予期に反しました、決定指令当時に全然予想もしなかつたような事態が出て参りましたので、この新しい事態については、やはり新しい構想で臨まなければならないのではないかというのが、私たちの気持でございまして、むしろ一年後のその切りかえの際にもう一度再検討するという線の方に、私たちは重点を置いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/18
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019・多田勇
○多田委員 決定指令が、これは当時どこから出たかわかりませんけれども、とにかく日発の問題については、所管が公取になつておるということは、これは厳然たる事実でございます。しかもただいまお話のように、新しい株主によつて重役の陣容というものが構成されるという建前で、一応最初の重役は一年間という決定指令を出されたというような趣旨から考えますと、きのう本会議でお話がありましたように、日発の株式を一般に公開することが技術的に非常に時間がかかりました関係で、予定通り一年以内にできなかつたというその事情はよくわかるのでありますが、そういつた事情は、日発の株式を開放する過程において、大体どの程度の期間が必要かということの見通しはついたであろうと思いますので、最初の決定指令の、一年間という字句を変更するような指令を出す必要があつたのではないかと思うのでありますが、そういつた変更する指令を出す権限がなかつたのかどうか、その点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/19
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020・横田正俊
○横田(正)政府委員 一年の期間を延ばす変更の決定指令をする余地はなかつたかというお尋ねでございますが、これはよくまだ考えてみておりませんけれども、あるいは決定指令の変更という方法でできなかつたことはないかと存じます。しかし私どもは先ほど申しましたような線でずつと考えて参つたものでございますから、その変更をせず、そのままにして来たわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/20
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021・多田勇
○多田委員 問題の起らなかつた他の電力会社につきましては、話合いで大体重役の陣容をきめられたということで、これは問題外としまして、東京電力にしましても、あるいは九州電力にしましても、こういつた問題が起りました。起つてしまつたことはしかたがない事実でありますが、今後公正取引委員会として、何らかこの問題について措置をするようなことを考えておるか、あるいは措置をするような権限があるのかどうか、その点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/21
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022・横田正俊
○横田(正)政府委員 その点につきましては、私どもは最初から実は円満なる解決がなされることを希望いたしまして、双方、日発側にも東電側にもその趣旨はよく申しております。承認の決定も、実は総会の前日に初めていたしたというような形でございます。ああいう形で総会が選任なしに終つてしまいまして、今後ある時期にまた必ず総会が開かれ、また日発の議決権の行使という問題が出るわけであります。もつとも日発の株式は、もう五月三十日から本来の株主に配当する手続が始まつておりまして、六月の三十日までに、株主から申出のありましたものについては、すべて分配を終ることになつておりますので、今後特殊なものにつきまして、まだ日発の手元に株式の残るということもあろうかと思いますが、その点は大分事情がかわつて参ると思います。しかしながら議決権行使の承認という面は多少残ると思いますので、この点はぜひこの次の総会までには、日発側も東電側も、誠心誠意よく話合つていただきまして、他の八つの電力会社と同じような円満なる解決に至ることを望んでおります。ただ私どもといたしましては、議決権の関係のみで自発を監督しているような立場にありますので、どの程度解決に積極的に乗り出してよろしいかどうかという点につきましては、なおよく委員会でも検討して善処いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/22
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023・多田勇
○多田委員 きのう公益事業委員会の委員長の話では、公益事業委員会としては、公正取引委員会に対して、再三申入れをしたというような発言があつたのでございますが、この問題はいろいろお話をお伺いしますと、五月の三十日から六月の三十日の間において、旧株主、本来の株主に株式を分配するというような、どたんばの時期になつて総会が開かれたというところに、何らか政治的な含みがあつたような印象を一般に与えておるようでありますが、公益事業委員会との話合いの過程といいますか、この問題について、もつと掘り下げて話合いを進めたような事実があつたのか、あるいは公益事業委員会と意見が一致しないままに、それは同じ政府機関である二つの委員会が意見が一致せずに、二つの委員会の対立が旧日発及び東京電力の対立のような形になつてしまつたのでありますか、その間の事情をお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/23
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024・横田正俊
○横田(正)政府委員 公益事業委員会からは、先日松本委員長からも本会議でお話がございましたように、この役員の選任にあたりましては、二つの注文が正式の文書によつて公正取引委員会に参つております、日付は五月十六日でございます。その趣旨は、第一点は、役員の数をふやすことは、今までの衆参両院における委員会、あるいは電気料金改訂を前提としての各社の聴聞会等におきまして、企業合理化の線に沿つて、役員などをやたらにふやさぬようにという強硬な反対意見もあることにかんがみて、この際は特別の事由のない限り、役員を増加することは不適当な措置であると考えるというのが第一点であります。それから第二点は、各社ともその発足以来一年を経過したにすぎないが、各電力会社役員とも、和衷協同、電源の開発その他に関し、熱意をもつて対処している実情にかんがみて、この際役員にいささかの変更を加えることすら不適当と考えている、こういう御申出がございまして、この前の点につきましては、私どもはまことに同感でございますが、このあとの役員にいささかの変更も加えることは不適当である、こういう点につきましては、この考え方はまつたく東電当局の考え方と一致するものでありまして、ここにはもはや役員の選任について、公益事業委員会にいろいろ間に入つてもらつて解決を見るということは、ほとんど不可能な、きわめてきつい線が出て来ておりますので、実はその点が最初から食い違つて来てしまつたわけでございます。なお最後の、二十八日に承認の決定をいたしまする最後の段階におきまして、私どもはなおこういうお申出がございますにかかわらず、さらに重ねて公益事業委員会に対しまして、先ほどの新しい三人を入れる問題等につきまして、公益事業委員会の意見をお聞きし、なお東電側と日発側との話合いについて、何らかの援助をしていただきたいように申し入れたのでございますが、それに対しては、新会社の人事についてはノータッチである。公益事業委員会としては全然関与をしないというはつきりした御返事がございましたので、遂に公益事業委員会との意見の調節をはかることなくして、この総会に日発が臨まなければならぬようなことになつたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/24
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025・多田勇
○多田委員 松本委員長からの申入れの、現在の役員をいささかも変更させないようにという点については、これはもちろん公取としまして容認する性質のものではないということは私にもわかりますが、これらのことが一般に示されてないために、公取は単に日発の株主権の行使を認めたというような事実だけが大きくクローズ・アップされ、そうして松本委員長も日発の株主権の行使は不当だということを、声を大にして言われておるようでありますが、公取側が非常に公正な立場で進まれて来たことは、ただいまの説明でよくわかりましたので、この問題はひとつ公益事業委員会の出席を求めて、さらに質問をしたいと思います。委員長においておとりはからいを願います。
その次にお尋ねいたしたいのは、操短の問題でありますが、昨年度来各産業の操短が実施されておるようであります。この操短が政府側から出たのか、あるいは業者側の意向によつて政府側が勧告をしたのか、その間の事情はわかりませんけれども、いずれにしましても、政府から勧告されたという事実に基いて、操短が実施されたというように聞いておりますが、この操短の問題について、はたして妥当な措置であつたかどうか、この点についての公取側の御見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/25
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026・横田正俊
○横田(正)政府委員 この操短問題は、御承知のように、綿紡、化繊、ゴムその他種々の産業について行われておるようでございまして、中には役所がそれに介入しておるものもございまするし、いろいろでございますが、われわれといたしましては、昨年も同様な事態を発見いたしました関係もございまして、この問題については、引続き非常に注意を払つて参つたのでございます。ところが事態がだんだん悪化いたしまして、綿紡、化繊等につきまして操短が行われ、しかも綿紡につきましては、明らかに通産省からその勧告がございまして、その勧告に基いてなされておる。あるいは化繊につきましても、それほどの公式なあれはなかつたようでございますが、やはり役所の方で大わくを示すというようなことになつたようでございます。ゴムについても同様、やはり多少の役所の介入というようなことが考えられるのでございます。この問題につきましては、私どもとしましては独占禁止法に照しまして、いわゆる協定第四條の共同行為ということに認定いたされますれば、いろいろなやむを得ない事情があるにいたしましても、やはり一応は事件といたしまして取上げて、その事実の真相を明らかにするということ、もつともその結果、審判開始をして、これに対して法的な措置をとるかどうかということは、第二段に考えなければならぬことでございますが、いずれにしましても、いわゆる審査活動を開始する必要があるのではないかということが考えられるのであります。と同時にこの種の問題は、何も今回に限らず、あるいは考え方によりましては、日本の今日の産業には宿命的なものを含んでおるやにも考えられますので、この点は事業の実態を調査いたしますわれわれの方の調査部におきまして、そういう操短問題全般に関しまして、広く官庁方面、その他各界の意見を徴してその実態を明らかにする。同時に、もし必要がございますれば、その操短を適法化する。今まで通産省が関与いたしておるものにつきましては、どうもりつぱな法律的な根拠は認められないように思うのでございまして、もし必要があれば、これを何らかの立法措置によつて適法化する。つまり団体法や独禁法の線に触れないように持つて行く必要があるのではないか。この点につきましては、もちろん関係官庁とも連絡をいたしまして立案をしなければなりませんが、それらの問題をいろいろ検討いたしまして、四月十一日に、委員会といたしましては、まず今やつておりますいろいろな操短問題につきましては、一応審査活動をして事実を明らかにするということ、それからこの問題全般についての実態を明らかにして意見をきめる、なお必要があれば立法措置を考える、こういう大体三段構えの考え方を四月十一日に決定いたしまして、第一段の審査活動につきましては、先般綿紡、化繊等につきましては一応の調べを終りまして、まだ結論を申し上げる時期ではないのでございますが、第二段の活動につきましても、すでに各官庁の意見を広く徴しまして、さらに進んでいろいろなその他のものの意見を徴する段階に至つておるのでございます。今回の操短がやむを得ないものであるかどうかということについては、一応諸種の事情もだんだんわかつては参りましたが、しかし御承知のように、たとえば綿紡について操短をいたしますと、ただちにそれが中小の気の毒な機業家の方へはね返つて来るというような関係もございまして、この操短の限度とか方法とかいうものにつきましては、非常に慎重な検討を要するのではないか。現に行われておりますものは、はたしてその線に沿つた間違いのないものであつたかどうかというようなことにつきましては、今ただちに私の考えを申し上げるわけに行かないと思うのでございます。大体委員会の今までとつて参りました措置あるいは考え方は、以上のごとくであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/26
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027・多田勇
○多田委員 操短問題について、必要とあれば何か立法的な措置を講じたいという御意見でございますが、お話のように底の浅い日本経済で、これらの問題は宿命的な問題で、これらに対する処置がすでに当然講じられておらなければならなかつた問題だと私ども考えております。たとえば化繊につきましては、昨年の七月九日に、通産省の繊維局長並びに安本の産業局長の連名をもつて操短の勧告が行われた。化繊についての操短の勧告が行われてすでに一年になんなんとする。その後において、ことしの三月十日に綿紡あるいはゴム工業についての操短の勧告が政府から行われておるわけであります。同じ政府機関である通産省あるいは安本が操短の勧告をする。しかも操短の勧告をした場合に、現実に起つて参ります問題は、民間の企業体相互の間である程度話合いをつけなければ、操短を実現することが不可能だということは、これははつきりした現実だと思います。そういたしますと、やはり独占禁止法なり、あるいは事業者団体法に抵触するということは、これもはつきりした事実だと考えるわけでありますが、昨年の七月九日にすでに化繊に対する操短の勧告が出ておるにもかかわらず、これに対する措置を今まで積極的に考えられなかつたということは、現在の日本経済からしましてまことに不幸なことであつたというふうに考えておるのでありますが、これはひとつこの問題を調査されまして、操短に対する何らかの措置を講じていただきたいということを特に希望申し上げまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/27
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028・前田正男
○前田委員長 他に関連しての御質問はございませんか。——事業者団体法の一部を改正する法律案に対する質疑がなければ、一応この程度にとどめたいと思います。
なおただいま自由党の多田勇君より、事業者団体法の一部を改正する法律案に対する修正案が委員長の手元に提出されております。
この修正案は印刷物として委員各位に配付いたしました通りであります。この際、ただいま提出されました多田勇君提出の修正案を議題とし、その趣旨の説明を求めます。多田勇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/28
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029・多田勇
○多田委員 事業者団体法の一部を改正する法律案が内閣から提出されておりますが、私ども団体法につきましては、団体法が立法されました当時から、日本経済の実態に沿わないという見地から、何とか日本経済の実態に沿うような形で改正をして行きたいという希望を持ちまして努力いたしておつたのでありますが、なかなかその実現ができなかつたのであります。今回政府がこの法律の改正案を出されましたその御努力に対しまして敬意を表する次第でありますが、なお私どもとしましては、さらに政府の改正案から一歩進みまして、いま少し団体法の対象を緩和して行きたいという考え方で、小委員会をつくりまして、小委員会によつてこれらを検討して参つたのでありますが、その委員会の意向に基いて、政府の原案に対する修正案を提出いたしたいと考えるのであります。
概要を申し上げますと、第二條の定義の條項中「目的に含む」とありますのを「主たる目的とする」というように改めまして、純粋の意味の産業団体に限定された事業者団体のうち、共通の利益を増進することを主たる目的とするもののみを本法の対象とするよう、事業者団体の定義に限定を加えて行きたい。
第二点は、第五條の禁止行為の條項でございますが、これは相当広範囲にわたりまして禁止されておりまして、日本の事業者団体の運営を麻痺させるような程度にまでなつたように考えられますので、これをさらに緩和の措置を講じまして、独禁法の保護法益と一致させるためにも、同法の保護法益以上に拡大している條項を緩和して行きたい。
第三に、第六條の適用除外団体の届出義務を廃止して行きたい。
大体以上のような考え方から、政府の原案に対して修正をいたしたい、かように考えて修正案を提出いたした次第でございます。
修正案の内容につきましては、お手元に印刷して配付してございますので、その印刷物によつて御了承いただきたいと思いますが、何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/29
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030・前田正男
○前田委員長 以上をもつて修正案の説明は終了いたしました。
本日はこの程度にとどめ、次会は来る六日午後一時より開会いたすこととし、これにて散会いたします。
午後二時四十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X02819520604/30
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