1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年六月九日(月曜日)
午後二時開議
出席委員
委員長 前田 正男君
理事 志田 義信君 理事 多田 勇君
理事 永井 英修君
有田 二郎君 岩川 與助君
小野瀬忠兵衞君 圖司 安正君
福井 勇君 福田 喜東君
渕 通義君 村上 清治君
風早八十二君
出席政府委員
公正取引委員会
委員長 横田 正俊君
総理府事務官
(公正取引委員
会事務局総務部
長) 古内 広雄君
委員外の出席者
專 門 員 円地與四松君
專 門 員 菅田清治郎君
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本日の会議に付した事件
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
律の一部を改正する法律案(内閣提出第一八五
号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/0
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001・前田正男
○前田委員長 これより会議を開きます。
前会に引続き私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし質疑を継続いたします。福田喜東君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/1
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002・福田喜東
○福田(喜)委員 それでは前会に引続きまして質疑を行います。
前会におきましては第十條の事業会社の株式または社債所有の制限條項において重なる会社間の競争を減殺する場合にも他会社の株式、社債の所有を禁止しているが、これは一定の取引分野における競争に影響のない場合を禁止することになり、行き過ぎておると思いますが、その点に関する経過はどうかということを御質問申し上げましたところ、政府御当局より同感というふうな御意見でございまして、縦の連絡の点につきましてもいろいろ御意見があつたようであります。さらに御質問申し上げたいのは、同じ條項の第二項、第三項は削除すべきものと思いまするが、この点についての御意見をまず第一にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/2
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003・横田正俊
○横田(正)政府委員 第二項、それからそれに関連しました第三項は、御承知の競争会社間の株式の所有を絶対的に禁止するという非常に強い禁止規定でございます。これにつきましては、前からやや行き過ぎではないかということでいろいろ検討いたしております。もつとも、この條項につきまして、司令部のありますごろは非常にやかましく、この條項に手をつけることを非常にいやがつておるようでございましたが、しかしわれわれといたしましては、この規定についてはなお十分検討いたしまして、あるいは場合によりましては削除するというようなことも考えておるわけでございます。これは他の條項等ともにらみ合せまして、もう少し検討いたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/3
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004・福田喜東
○福田(喜)委員 この点を削除するにつきまして、対外関係について御考慮を拂つておる点がございまするならば、この際御意見を承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/4
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005・横田正俊
○横田(正)政府委員 対外関係と申しましても、この條項自体が、必ずしも削除しましたことによつて非常に向うに悪影響を與えるというような、例の輸出組合の問題なんかとは違つた問題を実はわれわれは考えておるのでございまして、この規定がありますために、たとえば外資導入なんかの関係で、むしろこの規定がある意味で妨げになつているような面もあるくらいでございます。この点はなおよく検討いたしまして、日本の経済に役立つような形に、第十條全体を持つて行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/5
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006・福田喜東
○福田(喜)委員 次に第十一條に移ります。第十一條の金融会社の株式所有の制限條項は、これは制限率は百分の五となつておりまするが、少くとも百分の十まで持つて来ていいものと思いまするし、私はこれが常識と思いまするが、この点に関する御見解はいかがですか。次に、十三條の役員兼任の制限條項につきましても、実質的な競争の減殺を問題にすべきものだと思いますが、この点から独禁法改正に対する政府御当局の御見解を承りたい。少くとも兼業禁止の規定は、実質的な影響のない者はいいじやないか。つまり、非常任重役の問題という点ももう少し考慮を拂われてもいいのじやないか。かつまた、従業員まで行くのは少し行き過ぎじやないか。監査役等は——商法の改正規定に従いまして少し監査役の地位が従前とは違いますが、監査役についてはどういうふうにお考えになるか。それから、競争関係にある者でも、支配的な影響がなくばいいのではないか。こういう点について御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/6
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007・横田正俊
○横田(正)政府委員 第十一條の第二項の株式所有率の制限につきましては、おつしやいます通りこれは少しきつ過ぎますので、すでに保険会社につきましては、特別法をもちましてこの制限を百分の十に改めておりまして、その他の金融会社につきましても、これを百分の十程度にすることは適当ではないかというふうに考えております。司令部当局におきましても、この百分の五を十にすることは、むしろさしつかえないというくらいに言つておつたのでございます。
それから十三條の役員兼任も、問題は十條の問題とほぼ同一に考えていいかと思いまするが、この点は、十條の二項、三項を考え直さなければならぬということになりますと、勢い十三條についても同じような考慮を拂わわれるというふうになろうと思います。なお、監査役、従業員まで入れるということはどうかという点も検討に値すると思います。ただ、監査役につきましては、御承知のように役員という定義を第二條であげておりまするので、この役員の中に、監査役というような、今度の商法で大分職務のかわつた者を含めておくのがいいかどうかという一般問題でありますが、これらもあわせて検討いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/7
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008・福田喜東
○福田(喜)委員 現在の規定は従業員まで行くようになつておりますが、実質的に従業員まで含むということについて、本法の適用上、従業員までこれを含めておつたために、非常に都合がよかつたというような例が何かございましようか。その点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/8
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009・横田正俊
○横田(正)政府委員 実際問題として、従業員まで入れておつたがために、独占禁止法の精神の上から非常にぐあいがよかつたというような積極的な事例は、ちよつと私今思いつかないのでございますが、この従業員の中にも、相当実質的な力を持つ者もおりますような関係で、この規定ができます際には、おそらくそういう考慮が入つたのだと思います。そういう点も今後大いに検討をする必要があることと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/9
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010・福田喜東
○福田(喜)委員 次に、第十四條の、会社以外の者の株式または社債の所有の制限の問題でございますが、第十四條の、会社以外の者の株式または社債所有の制限の事項についても、一定の取引分野における競争が実質的に減殺されたり、不公正な競争が行われたりする場合に制限すべきものだと思いますが、その点どうお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/10
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011・横田正俊
○横田(正)政府委員 十四條につきましては、十條について本日補足いたしましたこととほぼ歩調を一にしているのではないかと思います。従つて、十條と十四條は別個の條文にする必要すらあるいはなくなるのではないかと思いまして、この点も、十條の改正とあわせまして、行き過ぎた点がもしございますれば是正いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/11
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012・福田喜東
○福田(喜)委員 十五條につきましても、いわゆる合併の制限條項につきましても、同時に御答弁がございましたが、十四條、十五條につきましては、実際法規が働いた適用の実例というものは今までにございましようか。その点を承つておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/12
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013・横田正俊
○横田(正)政府委員 十四條自体につきましては、特に会社以外の大きな個人の株主とか、その他のものを取上げて云々しましたことはなかつたと記憶いたしております。ただこれは、むしろ事業者団体法の規定がございまして、今後は事業者団体でもこの十四條の問題は起り得るわけでございまして、むしろそういうような観点で、事業者団体が株を持つこと自体は、今度は違法ではございませんが、それがもし持つことによつて競争を阻害するというような結果になりますと、第十四條の問題に今後もなるわけであります。
それから十五條の合併の問題につきましては、これはいろいろ問題がございますが、但しこの規定によつて今まで、大きな合併がわれわれの活動のために阻害せられたというようなことは実はほとんどないのでありまして、これはむしろ一般には何となく独占禁止法が合併を全然禁じておるかのごとき誤解すらあるようでございますが、現在まで、だんだんふえて参りまする合併とか、十六條の営業譲り受け等につきましては、われわれの観点から、特にこれを取上げて阻止しなければならぬほどの大きなものは実はほとんど出て来ておりません。しかし御承知のようにいろいろな関係からいたしまして、企業の合同ということが行われている傾向がだんだんに見えて参りますので、今後は、場合によりましては、ある種の合併はこれを阻止しなければならぬというような事態が出て来るのではないかと思いますが、今のところでは、この十五條自体で特に取上げて問題になつたものは非常に少いのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/13
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014・福田喜東
○福田(喜)委員 この十五條の問題でございますが、御承知のように三井とか三菱とか、その他住友とかの旧社名の復活につきまして、この十五條の條項についていろいろ問題をはらむ余地があろうかと思いますが、この点に対する御見解いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/14
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015・横田正俊
○横田(正)政府委員 その点はわれわれが非常に注意をいたしておるところでございまして、御承知の通りとうとうとしてそういう合同の方向に向いつつあるやに見えまするので、十五條に合併を阻止しまする事由が三つ揚げてございまするが、この一つ一つに照しまして、今後大いに監督をいたして参りたいと思つております。この十五條につきましてはその意味におきまして要件を緩和することは私どもといたしましては、これがぎりぎりの線でありまして、これ以下にこの要件を緩和するということは全然考えておりません。ただ届出の方式等につきましては、あまり不必要な迷惑を当事者にかけない程度にこれを簡素化することは考えております。この要件はこのまま維持したいと考えております。
〔委員長退席、永井委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/15
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016・福田喜東
○福田(喜)委員 そうすると、十四條と十五條とは根本的に扱いの方針が公取としては違う、こういうふうに解釈してよろしゆうございましようか。十五條の合併の制限條項というものは今後の情勢とにらみ合せて——この制限はもちろんゆるめるところはゆるめます。けれども将来にわたりまして、この條項は存置する強い理由があるということになると思いますが、この点いかがでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/16
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017・横田正俊
○横田(正)政府委員 仰せの通りでございまして、この十五條の條項はこのまま存置いたしたいつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/17
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018・福田喜東
○福田(喜)委員 最後に、二十五條の賠償責任の問題でございまするが、この点については当局の御意向はどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/18
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019・横田正俊
○横田(正)政府委員 この規定は実は特別な、いわゆる無過失賠償責任を認めたものでございまして、独禁法を強く施行しますためには、この規定があることがある意味において非常に役に立つというふうにも考えておりまするので、できればこれはこのままに置きたいとも考えております。但しこれにつきましては、政令諮問委員会なりあるいは政府が一度立てました案におきましては、たしか無過失責任は少しきつかろうということで、一応損害賠償責任は認めるが、しかし故意または過失がなかつた場合に、それを被審人側で証明しました場合には、責任を免れるというような、少し緩和的な形にしたいという意向も一般にあつたわけでございまして、この点は実際の扱いといたしましては、無過失責任といたしましても、あるいはそういうような立証責任の転換のような形にいたしましても、実際の働きとしてはあまり違いはなかろうと思いまするので、そういうような考え方もあわせてもう一度検討してみる価値があるかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/19
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020・福田喜東
○福田(喜)委員 そうすると当局は、無過失賠償責任の原則を維持して行きたい、こういうお考えでございますか、立証責任の転換だけでこれを片づけたいお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/20
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021・横田正俊
○横田(正)政府委員 できればこのままにしておいていただきたい気がするのでございますが、しかし今申しました程度の修正は考慮の余地があると考えます。なお故意、過失を立証すれば、普通民法の七百九條で、この規定をまたずに、当然に一種の不法行為としまして損害賠償責任がございますので、何か意味を持たせるとしますと、立証責任を転換した程度のものが中間に考えられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/21
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022・福田喜東
○福田(喜)委員 つまり無過失賠償の責任というのは、これは法規がなければできぬことでありますが、無過失賠償責任の原則だけは維持されたいお気持なんでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/22
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023・横田正俊
○横田(正)政府委員 どうしてもなければならぬとは考えておりませんが、まあできましたらこのままにしていただいても、実際の結果において、そう事業者が思わぬ責任を負わせられるということはないではないかというふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/23
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024・福田喜東
○福田(喜)委員 これは実際、現在のままであつても、この二項の規定は、故意や過失なしに、私的独占や、不当な取引制限や不公正な競争ということは考えられないのですから、これはむしろ削除すべきではないかと思いまするが、御意見どうでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/24
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025・横田正俊
○横田(正)政府委員 削除いたしますと、まつたく民法の七百九條あたりの一般原則で行くということになるわけでございますが、その点についてはいささか、もう少し何かここに意味を持たせたいというような気持がするのでございます。損害賠償をそんなに重く見る必要はないという立場に立てば、あるいは民法でも間に合う——民法の規定も、故意過失の立証というものは一定の事実から推定ができるのでございまして、民法の規定を適当に運用すれば、あるいはそういう損害賠償制度の目的を達成するのかもしれませんが、しかしできますれば、先ほど申しました程度の規定があつてもよくはないかというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/25
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026・福田喜東
○福田(喜)委員 講和條約発効後におきましては、こういうふうな無過失賠償の責任まで負わすということがはたして必要かということが、疑問の第一点、それからこれを厳密に適用するというのであるならば、これは非常にひつかかるものが多いと思いますが、その点に対する御見解をひとつ。そういうことであるならば、民法の七百九條の一般原則に立ち返つて行つても、現在の講和條約発効後の状況においてもさしつかえないじやないかという御意見ですか、どうでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/26
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027・横田正俊
○横田(正)政府委員 それは確かに一つの御見解として十分に成り立つことと思いますが、なおこの点は先ほどから申し上げておりますように、私は今そういう気持でおりますが、私自身だけでは問題がきまるわけでもございませんので、委員会としてその点は今後十分に検討いたして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/27
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028・福田喜東
○福田(喜)委員 要するにこの独占禁止法の問題は、独立日本の経済を正道に乗せて行く大きな問題を今後はらんでいると私は考えます。そこでわれわれもこれをどう取扱うかという問題について十分検討を続けて行くつもりでありますが、政府当局におかれましても、日本経済の発展に資するように、真剣にこの問題を御検討いただきたいのであります。
私はさらに全般を通じまして一つ御意見を承りたいのでございますが、この前の委員会でございましたけれども、公取の委員長は、本法の適用は私企業だけに限られておるんだという御見解でございました。この第三條は「事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。」とあります。なるほど事業者とは書いてありますけれども、政府当局、行政官庁当局を含めてこの精神は生かされて行くべきものである。従いまして公社というものもどういうふうな扱いをされて行くつもりでございますか、その点についての本法適用上における明確なる御意見をひとつ承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/28
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029・横田正俊
○横田(正)政府委員 この点につきましては前会もお答えいたしたと思いますが、この法律のできました直後から、この法律の対象になる事業者の中に、そういう国または公共企業体が入るかどうかにつきましては、すでに説が相当わかれておりまして、現在までにおきまして、むしろそういう公の機関は、いわゆる私的の独占ということにならないのではないかということで、そういう考え方が通読と申しますか、割合に通うて来ておつたのでございます。しかし前会も申し上げました通り、公共企業体がやはり普通の私の企業と同じ立場に立つて事業をやつておりますような場合はある程度においてこの独占禁止法の対象としてよいのではないかということが実は反省せられるのでございまして、この点は今ここで明確なことを申し上げることはできませんが、今後その点に研究を大いに集中いたしまして、その問題をどう取扱うかについての、公正取引委員会の態度をきめたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/29
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030・福田喜東
○福田(喜)委員 この点については、前回の委員会におきまして、多田委員から大きな問題を投げかけたわけでございまするが、私は一つ実例を申し上げたいと思います。というのはこれは日通等の問題でございますが、この規定が非常に大きな働きをなしておるのでありまして、現実におきまして、たとえば地方の交通業を営む私企業が、一つの営業所を設ける、路線の認可をとるといつたような場合に公聴会を開く、あるいは陸運局の関係で、地方においてそういうパブリック・ヒヤリングに類することをやるといつたときに、日通の代弁者がやつて来て、たつた一つの営業所を設けるにつきましても、あらゆる妨害が出て、日通が、暴威を振つておる。これは偽らざる事実でございます。今日におきまして交通関係には、こういうものは軍に私の県だけではなく、各委員の方にこういう問題があると思います。認可、許可を持つている交通業のこういう管轄はおそらく鉄道公社でありあるいは運輸省であろうと思いますが、そういう具体的の問題については、現在の状況では、この独禁法の規定は適用ならないという御見解でお進みになるのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/30
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031・横田正俊
○横田(正)政府委員 これも先ほどの公共企業体の問題とはまた別の問題といたしまして、やはりわれわれの方の一つの重要な研究題目になつております。つまり路線の免許であるとかこれの架設であるとかいうことは、国なりあるいはその機関が決定するのでございまして、それに働きかけることによつて、間接にいろんな他の事業者の活動を制限する行為が、日通というような独禁法の対象になる事業者によつてなされました場合に、これをすぐにいずれかの條項にあてはめまして、これを違法として論議することができるかという点が、実は非常に問題なのでございまして、認可というような行政行為によつて、その間一種の中断というようなことが行われると見るべきか、あるいは違法な行為の結果、形はなるほど認可とか何とかいう形になつても、それはまつたく一つの国のそういう機関を利用することによつて、自己の独占なり何なりを維持して行くというふうに見るか、そこが非常に問題のわかれ目になるかと思うのであります。この点も大いに検討いたしまして、なるたけ独占禁止法の精神が、広い範囲に行きわたりますように善処いたしたいと考えております。
〔永井委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/31
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032・福田喜東
○福田(喜)委員 この点は私は非常に重要な問題だろうと思います。今公取の委員長が言われましたように、認可、許可とかあるいは公聴会というふうな手続によつて、独禁法の規定が行政官庁のそういう行為にかかわらせられるということになつて、これによつて因果関係の中断といいまするか、この法律の適用を免れるという御解釈か、それとも独禁法の規定上、これはどの條文を適用することによつてこれを阻止することができるか、こういうことは解釈上の大きな問題でありまして、この改正をまたずして私は研究していただきたいと思うのであります。というのは、この問題は至るところに起きているのでありまして、認可、許可だけの問題ではないのであります。たとえば鉄道で申しますると、弘済会というものは全国的の一種の独占企業体でありまして、こういう問題もただちにこれにからんで来る。これは認可、許可を含まないものであります。さらにまた私たちの地方に現実にある問題でございまするが、昔の地方の郵便局あたりのお役人さんが辞めまして、一種の逓送会社をつくり、郵政省のマークをつけたメール・カーを動かして、ほかの会社、たとえばバス等に郵便物を委託することを阻止し、郵便局あたりと連絡して郵便物、小包等の逓送を一手に引受けております。従つて地方におきましては、バスが運行してメール・カ一が動いていないところは、郵便物の配達が一日二回あるにかかわらず、メール・カーが動いているところでは、かえつて一回しか配達がないというところがある。一体こういう場合におきましては、この法規にひつかかるかひつかからないか御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/32
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033・横田正俊
○横田(正)政府委員 ただいまの問題もわれわれ非常に重要な問題としておるところでございまして、御承知のように国とかあるいは公共企業体が自分でやります場合は、それは独占が許されることでも、これを他の事業者に独占的に請負わせるとか、あるいはそれに特殊な権限を與えて、それに一切をやらせるということによつて、そこに特殊の独占体ができて来る。これがまたいろいろ他の事業者との関係においておもしろくないというような結果を招いておりまする事態が、実にいろいろあるわけでございます。これはそれらの権限のある国なり、役所なりが、独占せしめているということによつて、これが適法化されるか、あるいは事業者側からそういうものに働きかけることによつて、その事業を独占するというようなふうに見て、やはりそこに独占禁止法上あるいは事業者団体法上取上げる余地があるのではないかというふうに、二通り問題が考えられるわけでございます。これは場合によつていろいろ違うかとも思いますが、われわれとしましては、できますならば、もし事業者の方の不当な働きかけというようなものが認められます場合には、あるいはこれを独占禁止法上の問題として取上げ得るのではないか。ちようど認可の場合と似たような問題がここにありますので、この日通の問題も実は検討中と申し上げると、まことにわれわれが不勉強で申訳ないと思いますが、実際非常に重要な日通の点でございまして、この日通の点につきまして、もう少し愼重にわれわれの方としましては理論的に検討しました上に、実際問題をその線で今後処理して行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/33
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034・福田喜東
○福田(喜)委員 この点は、私はたとえば協同組合法とかその他の法律で、この法律の適用を排除しておる場合を除きましたら、この独占禁止法とは日本経済全体に通ずる今後の根本方針を定めたものとして、私はそういう場合をひつくるめてお考えをいただいても実はいいと思うわけでございますが、現実におきましては、地方に参りますると、地方の自治体あるいは官庁の出店等が、こういうふうないわゆる一つの仕事を、特定の法律の規定で、その権限がないようなところに、特定の会社にそういうものを請負わして、あたかもそれが官庁の出店機関のように地方民に思わせまして、この建前をまつ正面からくぐつておるのが幾らでもあるわけです。この点については、私は研究の段階ではない。もう少し目を光らしていただかなければ、そういうふうなことをやられると、これはほとんど日本経済というものが、そういうふうな抜け穴によつて、全部独占企業体の助長、育成ということに傾いて、健全な自由競争というものがちつとも行われなくなるというのが現在の状況ではなかろうかと思います。この適例は至るところにあるわけでありまして、私はこの点につきまして提案を申し上げますが、早急に御調査いただきまして、私は資料の御提供をいただきたいと思うのでございます。われわれの方でもその実例はあらゆる官庁の分野に、ことに一番多いのは交通関係の仕事でございます。それから郵政関係の仕事でも、電気通信関係の仕事でも、この分野は非常に多いのでございますが、これは私は地方においては非常に大きな問題を包蔵しておる点にかんがみまして、ぜひとも早急なる手段を発動していただくと同時に、御調査を進めていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/34
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035・横田正俊
○横田(正)政府委員 ただいまおつしやいましたことはまことに御同感でございまして、今後大いに検討いたしたいと思いますが、法律問題としましてわれわれが何をそんなに躊躇しておるかということを、ちよつと弁解がましくなりますがつけ加えさしていただきます。要するに独占とか不当なる取引制限というものは、結局事業者が他の事業者の事業活動を排除するという事実がないと、そこに成立しないわけです。この場合に排除しているのは事業者であるか、あるいは国とか、そういう公共企業体自体であるかということになりますると、そこに先ほど申しました例の中断の問題がちよつと出て参りまして、この点の踏み切りがつかないと、法律的には、もしこれを取上げましても、裁判所で負けてしまうというようなことになりまするので、この点をわれわれ実は慎重考えておるわけでございます。なおこの点はそういう法律上の形において検討はいたしておりますが、しかしもしこの條項に、定義に当てはまるような、事業者が他の事業者の事業活動を排除するということがはつきり認定できまする場合につきましては、大いに職権を発動いたしまして、事態の是正に盡力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/35
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036・福田喜東
○福田(喜)委員 これは刑法で言うならば、私は一種の間接正犯みたいなやり方だろうと思います。つまり発動の行為の主体は行政官庁を使い、地方の自治体を使う。働きかけ自身は法律の適用を正面から受けるところの私企業が働きかける。そうして結果のうまいしるだけはその認可を受けた許可を受けた会社が吸つて、行為自身は行政官庁ということになつている。そうすると、あなたの御見解によると、行政官庁なりあるいは公社なり、あるいは地方の自治体なりは、この法律の適用を受けないということになると、完全な脱法行為になる。これが地方においていかに多いかということは、私がここで述べるまでもなく数限りなく実例があるわけですが、この点について早急なる対策を立てていただきたい。これは委員長に提案いたしますが、これは公取委員会当局に早く対策を講じていただくように、御調査をいただくように、お願い申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/36
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037・前田正男
○前田委員長 御希望に沿うようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/37
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038・渕通義
○渕委員 福田委員の質問に関連して一言申し上げます。福田委員がきわめて適切に、専門的分野から掘り下げて質問されたので、私は主として現在の日本の経済社会をながめた場合における概括的な問題を質問いたしたいと思います。と申しますのはこの独禁法ができまして以来、なるほどある面におきましては相当成功した面もありましようけれども、今福田委員が指摘いたしましたように、法律の中をくぐりまして、いわゆる脱法行為によつて現在相当な独占的な事業が行われておることは、国民ひとしく認めておるところでございます。しかるにいまだにその問題に対しての的確なる手段が講じられないということは、法律はつくつてみたが、実際はどうでもいいじやないかというようなことであつて、きわめて私たちは不満足に考えます。特に兼職禁止のごときは、あつてもなくてもいいものである。こういう兼職禁止のごときものは、思い切つてこれを廃止してもらつて、堂々たる自己の企業意識によつて闘つて行くことはさしつかえない。こういつた末梢的なものだけに力を入れられまして、実態にうといところがあるのではないか。たとえば今も日通の問題が出ましたが、当面鉄道関係のことを申しますならば、御承知のように鉄道弘済会のごときは、鉄道の路線一本に流れておるものであります。これくらい大きな独占の姿はない。この一本のレールの上に弘済会が乗つかりまして、ほかの人は何らの支配権もない。これがこの法律に抵触しないということは、しない法律が悪いのであつて、これを改正することはすでに二年前からの問題である。それが今日まで放置されておるということは、何かの圧力が加えられておると思われてもしかたがない。また日通の問題についてしかり。日通は御承知の通りこの前の解体命令が出ました場合、思い切つてやればよかつた。ただ解体命令に即しまして、出て参りました趣旨を深く検討もせず、そのままでつち上げて今日の日通ができ上つた。従いましてうまいところだけとりまして、相かわらず独占的な姿を持つて来ておる。ここに日本の政治の一番悪い点があると思う。私たちは自由党ですから、保守主義でありましよう、資本主義でありましようけれども、こういつた一般社会の人に害悪のあるものに対しては徹底的に闘う。これが新しい社会の資本主義政策である。決してわれわれは資本家の奴隷ではない。しかるに今日、アメリカの情勢をながめてみますと、アメリカはもつと進歩しておるのであります。アメリカは例のカルテルの問題につきまして、相当深刻な判決を下しておるのであります。こういうことは日本にたくさんある。ところが日本の裁判所に提訴いたしましても、今福田君の申したような、ややこしい公共企業体というようなものでかぶせて来まして、認可はしたが実態は違うということで、裁判所で負けるから裁判しないということが行われておる。この点は少くとも調査中にあらず、現実に目の前にりつぱに資料ができておると私は思います。その点についてひとつ御見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/38
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039・横田正俊
○横田(正)政府委員 共済会の問題につきましては、まことにいろいろおもしろくないうわさもございますし、われわれの方としましてもいろいろ検討しておりますが、実は先ほど申し上げました第三の問題と申しますか、公社自体が、共済会にある意味の独占的な地位を與えておるということが問題になるわけでございまして、この点は先ほど申しました、われわれの法律論の検討並びにそれに連なる関係において、今後善処いたしたいと考えております。日通につきましてはこれは御承知のように、持株会社整理委員会におきまして、解体、再編成の手続が行われたわけでございますが、遂に分割ということなしに決定指令ができまして、それがきまりましてから、問題が公取の方へ移管されて来たわけでございます。こちらに移管される前に、その計画についてわれわれの意見を聞かれましたので、われわれはこれに対しましていろいろな意見を出しましたが、遂にそれは持株会社整理委員会によつていれられずに、あのように日通の集中排除が中途半端な形で済んでしまつたわけでございます。従いまして、われわれといたしましては、その後引続き日通の実態を調べておるわけでございまして、これは他の同じような事業者が新たに起りつつある時期でもございますので、ただちにこの際手をつけることはどうかと考えまして、その後の動きをずつとにらみながら、実は現在に及んでおるわけでございます。新しい動きもどうやらこの辺で一応目安もついたようにも思いますので、これにつきましてはできるだけ早い機会に十分な検討を加えまして、独占禁止法上、もしこれがおもしろくないものであるということになりますれば日通につきましては何か措置をしなければならぬかと考えております。その検討の時期も、そう遠くはないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/39
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040・渕通義
○渕委員 問題は、福田さんが最後に強く指摘した、政府関係にあると思つております。たとえば公共企業体にいたしましても、従つて公正取引委員会といたしましては正当な申請に対してはこれをすみやかに自由企業にまかすべしという、大乗的な立場から法律を運用して行くということが必要ではないか。たとえばある県においてバス会社を経営しようと思う場合、一県一社の実績主義と申しますか、主義はないのだけれども、力をもつて一社でやつておる。その場合に最も有利な路線だけを、かりに甲なら甲という男が申請した場合、これを自由に許すということをやらなかつたならば、経済の自由原則は全然破壊される。しかるに今日の状態におきましては、それが許されていないという実態です。この点、公正取引委員会委員長の、独占禁止法の立場からの見解はどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/40
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041・横田正俊
○横田(正)政府委員 これは先ほどから申し上げております、いわゆるその独占体をだれがつくり出したものかということによつて、独占禁止法の発動がなされるわけであります。これはもちろん法律をすつかり改正いたしまして、公正取引委員会にいかなる場合においても発動し得るような権限が與えられますれば、これはまた問題は別でございますが、いろいろおもしろくない状態ができましても、それは一体だれがそういう状態をつくつているか、国がつくつているのか、公共企業体がつくつているのか、あるいは事業者がそれをつくつているのかというような問題に結局なるわけでございまして、この点は先ほど申しました。なおわれわれといたしましても、現在の独占禁止法のもとにおいても、なおいろいろ検討する余地があると思いますので、その点は先ほどもお約束いたしましたように、今後大いに検討をいたしたいと考えております。ただ独占禁止法も万能ではございませんので、残念ながら、そこに一定の制約があるというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/41
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042・福田喜東
○福田(喜)委員 いずれこのことについては、委員長に実例を引きまして御注意申し上げたいと思います。私の郷里ですが、こういう実例がある。中津から耶馬渓鉄道というのが守実まで行つております。ところがその鉄道を経営しておる県内の某交通会社が、日田を通過して、ずつと森を通過しまして、守実から中津までの路線の許可を持つておつたわけです。ところが路線の許可をとるやいなや、守実から中津までのバスの路線、約二十キロのバスの路線を休止路線にしてしまつて、運行をやらない。守実から日田までしかやつていない。路線の許可は持つておる。従つて、中津を経由しまして日田に行く、久留米に行くという場合におきましては、いやでも応でもキセル乗りをやらなければならない。つまり耶鉄を利用しまして、守実まで行く。それから耶鉄に乗つて行く。耶鉄という私鉄を必ず利用しなければならない。そこに行つたならばそれ以外にはハスがないですから、従つてその会社の経営するハスに乗る。しかも路線の許可は日田から中津まで持つておるのでありまして、持つておるから守実から中津までは休止路線にしておるわけです。こういうことでございますから、たとえば日田なり久留米なりから中津に来る場合におきましては初めからバスを利用しようと思つても、バスが最終まで路線の運行の許可を持つておりながら、運行していない。どうしても汽車に乗りかえ、バスに乗りかえることが必要になつて来る。これは土地の交通ということを無視したことであり、土地の住民を無規したことであるので、この地方における自治体、つまり日田市、中津市が中心になりまして、こういう不都合な交通会社の独占と申しますか、交通会社の懇意と申しますか、わがままかつてを許しておつたならば、県下の交通はいつまでたつても百年河清を待つにひとしいというので、競争路線の申請をしたところが、初めてそこに至つて、守実から中津までの休止路線というものは、われわれのところが路線の許可を持つておるのだから、それではやりましようといつて、路線の運転を始めたような状況でございます。それに対して競争路線をやつたところが、しかも自治体がハスの経営の主体になると言つて行つたけれども、運輸省当局はこれを許さない。それであなたの方は、人員も少うございましようし、予算の面でもお困りの点もございましようが、地方にはこういう実情が多いのでございますから、こういう実情になぜ目を光らしていただけないのか。しかも独占をつくり出すのは、官庁の行為である。つくり上げて、そうして、独占の暴威を振うものは、認可許可を受けたその交通会社である。そのときはすでに独占企業体として第三條の適用を受けるのでございますが、そこに行くまでに、そういう状態をつくり上げるときは、役所がやつておる。官庁がやつておる。つくり上げた後においては、それをおれは知らぬ、この法律の適用の範囲外みたいな顔をしておつて、官庁の方に働きかけて、官庁がそういう状態をつくり上げておつて、あとはその独占企業体の得た権利によつてそういう状態をつくり上げておるのが幾らでもあるわけです。これは私はこの法の精神から言つても、あるいはまたその事後の状態からいつても、この法律の適用される分野が非常に多いのではないか、私たちはそう思います。今申し上げたような実例というのはこれはその事後の状態を考えますると、完全独禁法に触れるものだと思いますが、いかがでござごいましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/42
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043・横田正俊
○横田(正)政府委員 問題は非常に具体的でありますので、よく検討しないとはつきりしたお答えはできないと用いますが、しかし問題の根本は、先任どのようなところにございますし、なお実は独占禁止法上明らかにこれは取上げられるかどうかわからぬような問題につきましても、いわば独占禁止法の趣旨というような点からいたしまして、実はわれわれも目に余るような事態につきましては、役所なりあるいは事業者側なりに、いろいろな注意をいたすような場合もございますので、何分われわれの陣容は非常に独占禁止法につきましての一般の御理解が少ないためか、予算も少く、人員も今度の行政整理ではなはだしく削減せられるというような事態でございまして、そういう一々全国に目を配るというようなことはもちろんできませんので、そういう点につきましてはむしろ一般からどんどん、それが独占禁止法違反になるかならぬかはともかくといたしまして、いやしくも問題になり得るというようなお考えのものがございましたら、どんどんわれわれの方へ言つて来ていただきまし、はなはだ貧弱な陣容ではございますが、できる限りの調査をいたしまして、違反になるものはなるというように処理いたしますし、かりにならぬものにつきましても、はなはだ禁止法の精神というようなところから見ておもしろくないものにつきましては、いろいろな勧告をいたしたり、官庁の方へ連絡をいたす。これは実際問題としていろいろな効果があることと存じますので、今後今お話の問題にとどまらず、一般の問題について、ぜひともそういう意味においてわれわれを大いに御利用願いたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/43
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044・渕通義
○渕委員 今の問題につきまして、全国的に相当運輸業を中心とした公企業体をバツクにして問題がかなり輻湊いたしておると思いますから、この経済安定委員会として委員長から、正式にこれを政府の方に調査方を命じて、すみやかなる調査をしてもらいたいということをお願いしたいのでございますが、委員長においてしかるべくおとりはからい願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/44
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045・前田正男
○前田委員長 ただいまの渕君の御発言でありますが、一応われわれ委員会といたしまして、まず理事会に諮つてよく相談してみたいと思います。この機会にひとつ私からもちよつとお聞きしたいと思いますけれども、今問題になつておりますそういう公益事業的なものに対しては、法律の適用除外というのがここにあるわけですが、この法律の適用を除外されている項目に、自動車交通事業法だとか、陸上交通事業調整法とかいうようなことがあるように見えまするけれども、その適用除外以外としても、この独占禁止法の精神とかその他の條文によつて、公益事業的なものが不公正な行為をしておるというのが認められた場合には、何らかの措置をとることはできるのですかできないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/45
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046・横田正俊
○横田(正)政府委員 この二十一條は、これはまさにおつしやいましたような、性質上当然独占となる事業について、その事業の本来の固有の活動についてはもちろん独占禁止法は適用はないのでございます。たとえばある路線が、国のどういう見解のもとか知りませんが、ある会社だけに許しておつて、そこをまつたく独占しておるという、そこを独占して事業しておるということについては、これは独禁法は、われわれの委員会としてもタッチできないわけでございます。ところがそのほかに、やはりそこに競争し得る他の事業会社があるというふうな場合に、たとえばその会社同士が協定をして、いろいろ競争を制限するというようなことをやりますると、事そこに至りますと、やはり二十一條の固有の事業、固有の行為というところから少し逸脱しているわけでございまして、そんな観点から、あるいは不公平な競争というようなものにつきましては鉄道、バスといつたようなものにつきましても、やはりある範囲において独占禁止法の対象になる。そこに問題が出て来るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/46
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047・前田正男
○前田委員長 ちよつとわからぬところがあるのですが、道路運送法は適用除外になつておるものかどうか、私にもはつきりわからないのですが、道路運送法によりまして、道路運送委員会が、さつきからの問題の路線の認可をするとかしないとか、あるいは貨物自動車何台以上でなければ認可しないとかするとかいうようなことは、ある程度認定してやつておるのですが、そういつた行為は、この法律からは道路運送事業法に基く行為だからというので、適用除外になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/47
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048・横田正俊
○横田(正)政府委員 結局委員会できめました條件に従つて、その認可の條件に当てはまつて事業をしております限りは、独占禁止法の対象にならないというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/48
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049・前田正男
○前田委員長 それは適用除外の規定がどこかにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/49
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050・横田正俊
○横田(正)政府委員 道路運送法の二十五條にございます。大体運輸関係のはこちらへ入つておると思います。それから独占禁止法の適用除外法律というのがございます。その中にも若干鉄道関係、軌道関係の適用除外の規定が入つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/50
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051・前田正男
○前田委員長 これは重ねてお尋ねするようですが、日本以外の諸外国においては、特にアメリカ等は独占禁止法でやかましくやつておるようですけれどもこういう公益事業的なものに対して、日本の法律では適用除外になつております諸外国ではどういうふうに取扱つておりますか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/51
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052・横田正俊
○横田(正)政府委員 これはアメリカの例を申し上げますと、アメリカにつきましては、大体道路とか鉄道とかそういうものにつきましては、非常に内容の充実した強力な委員会がございまして、たとえば公益事業委員会とかいつた式の委員会があるのでございまして、その委員会でいろいろなその向き向きのことが決定せられる、しかも独占禁止法的な考慮もその委員会によつてなされる、そうして違反の場合のいわゆる審判と申しますか、独占禁止法違反として取上げるというようなことも、やはりその特殊の委員会においてやられるということになります。その他の一般のものは、ちようど日本の公正取引委員会に相当する向うのフェデラル・トレード・コミッシヨンというものが、その他一般を扱いまして、その向き向きの委員会が相当たくさんございます。それでもつていわば一元的にそういう独禁法的な観点からする監督もやつておるというふうになつておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/52
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053・福田喜東
○福田(喜)委員 これは委員長にお尋ねいたしますが、問題は二つあると思います。今委員長の御質問の要点は、一つはたとえば運輸省の自動車局なり、あるいは国鉄の自動車局なりが路線の認可をする場合に、内規として会社の資産内容はかくかくだ、自動車を何台持つておる、こういう設備をしておつてかくかくの條件がそろつていなければ認可をしないとか、いろいろな運輸省内あるいは鉄道公社内の條件があるのであります。これは一体有効なのか無効なのかというのが一つ、結局昭和二十二年法律第五十四号、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外等に関する法律、こういうふうに書かれておる一連のどれかにひつかかるものであろうか、この規定の中にないものであるがどうか、そういう点が一つと、さらにまた今日は公社でありますが、国鉄それ自身が昔のいわゆる省営バスと申しますか、バスの運行をしてやろうといつて、好意ある申出をしてくれる場合に、それすらも運輸省当局は押えておるわけでございます。つまり地方の一交通会社のために国鉄当局が出て、その路線の運行をしてやる、こういうような場合におきましても、地方の交通会社のために国鉄当局が出て来ることすらも押える、こういう二つの場合がありますが、こういう場合におきましては、国鉄当局が出て、省営バスの運行をしてやろうということを押えるということはどういうものでございましようか、その点についての御意見を承りたいと思います。運輸省内部でそういう内規をつくつておる、そういう内規というものはこの法律のどこかに除外されているものだろうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/53
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054・横田正俊
○横田(正)政府委員 運輸省は大体独占禁止法の対象にならぬわけでございます。そういう行政のやり方につきまして一定の基準をつくる。これはある意味において、独占禁止法の観点からおもしろくないものであつても、これはどうも独禁法の対象にはなりかねるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/54
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055・福田喜東
○福田(喜)委員 それから第二点は既存私営の交通会社の独占を放任する結果、国営ハス乗入れによる地方の交通緩和をはからんとする国鉄当局の好意ある意図も、現在の運輸省関係当局は排除して、国営ハスの介入を許さず、民業圧迫反対という美名のもとに交通会社を許しておるやり方ですが、これはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/55
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056・横田正俊
○横田(正)政府委員 これも国鉄自体を事業者として取上げることのできない限りは、先ほど申しました問題にまたもどつて参りますが、そういう制限をしているのは運輸省であつて、これは現在の独禁法でただちに取上げることはできないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/56
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057・渕通義
○渕委員 どうも今までの質疑応答を聞いておりますと、結局独占禁止法というものは雲をつかむようでさつぱりわけがわからぬ。結論的に申しますと最後は政府の下に独占禁止法という法律があるのですから、これはむしろ今福田君が言われたような問題からもつとさかのぼつて、ひとつ認可、許可の問題までこの公正取引委員会で決定するというところまでこの法律を拡大解釈して行かなければ、こういうものは必要ない。今日独立という名のもとにわれわれが非常にきらつておる、特に風早さんは一番きらつておると思うが、三井、三菱というものが頭をもたげて大きな顔をしておる。これはどうしても国際的にあまりいいものではない。私はこういつた点から一歩進めて、もう少しこの法律を強化して、強く押えて行く、そして健全な産業の発達を助成するというのが、むしろ独立日本の行くベき道でなければならぬと考えております。特に三井、三菱、安田等の名前の使用というものは、名前がその実体を表わすのであります。名前だけじやありません。名前がついたときすでにもうその三井銀行の貸付というものは、いわゆる俗に言う三井トラストの中に入らなければ金が入らないというような結果を生じておる。これが実際なんです。こういうことを政府が放擲しておいて、名前はどうでもいい、名前は三井、三菱でよかろうということになりますと、おそらく十年たたず、三年後におきまして、日本の経済はいわゆる巨大資本家に再び利用されてしまうことは火を見るよりも明らかであるが、このまま独占禁止法はこれを放擲しておるのかどうかということを強く聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/57
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058・横田正俊
○横田(正)政府委員 商社の名前がその事業活動の上に非常に重要な関係を持つことは私どももよく了解いたします。先ほどお話の出ました日通の解体の場合におきましても、われわれは持株会社整理委員会に対しまして、日通という称号の使用を禁止すべきであるということを強く申し出たのでございますが、残念ならがらその意見は不問に付されてしまつたわけでありまして、われわれもその点はまつたく御同感でございます。その意味におきまして、今回ああいうふうにとうとうとして旧称号が復活しつつありますことについても、非常な関心を持つておるわけでございますが、しかし独占禁止法は、御承知のように称号自体をどうするかということは次の問題でございまして、問題はいわゆる独占禁止法にいうところの私的独占、あるいは不当な取引制限というような実態が起るかどうかにかかつておるわけでございまして、ああいう称号の復活とともに、現に先ほど来申し上げておりますように、実質上の企業合同が次々に起つております。今のところはきわめて程度の低いもので、これは独占禁止法上問題にするほどのものは出て来ませんが、しかしこれは事態が進みますと、今お話のように、これが何年先に来るかわかりませんが、どうしても許しがたい段階が出て参ると思いますので、この点は委員会といたしまして愼重に事態をながめながら、そういう合同は必ずわれわれの委員会届出があるわけでございますから、その面において十分に監督して行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/58
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059・渕通義
○渕委員 名は実体を表わすごとく、それが現実的に現われてからやつたんでは遅いということですが、これは何とか称号の禁止くらいは、特例か何かつくつてやるというふうにしなければならぬと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/59
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060・前田正男
○前田委員長 ちよつと関連してお聞きしたいのですが、今のお話で、外国には公平な公益をはかる委員会があるというお話ですが、日本の場合は公益事業委員会は、今度行政改革で廃止するというような政府の方針であるわけです。それに伴つて、公取としては一般公共事業に対する公正な取引を保つて行く機関を別に設けるとか、あるいはこの独禁法を拡大して行くべきであるとか、何かそういう成案を考えて政府に申し出られたことがあるか、あるいはまたそういう成案を御研究になつたことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/60
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061・横田正俊
○横田(正)政府委員 これは実はおはずかしいことでありますが、まだ外国のそれらの法制について若干の研究をした程度でございまして、日本の場合に公取を拡大いたしまして、それらの面にまで及ぼさせるか、あるいは特殊の権威のある委員会をつくりまして、むしろそちらの方へ、この独占禁止法的な観点からする監督までも持つて行くかということについては、十分な検討をいたしておりませんが、これは将来もし反トラストの政策というものが、日本にある程度どうしても必要であるというはつきりした見解のもとに立ちますれば、その点は政府としましても、あるいは国会方面においても十分に御検討いただいていいものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/61
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062・前田正男
○前田委員長 そうしますと、現在の政府としては、公益事業委員会を廃止する法案を提出されたときには、そういう公共事業に対しての公正な取引を保つということに対しては、具体的な案を立てないで提出された、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/62
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063・横田正俊
○横田(正)政府委員 結局現在の独占禁止法で、公正取引委員会ができるだけの監督をするという建前というふうに解釈するよりしかたがないと思います。そして鉄道事業、電気事業、あるいはガス事業自体につきましては、普通の行政庁にまた問題を還元し、独禁法的な観点は、独占禁止法の範囲内で問題をやつて行く、結論的に申しますと、そういうような形になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/63
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064・前田正男
○前田委員長 しかしそれは法律から見ると、公共事業は独占禁止法から適用除外になつているわけですから、普通の行政官庁で、こういう鉄道事業、電気事業、ガス事業を行政的に監督する。そういう場合には、独禁法の精神を生かして監督する、そういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/64
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065・横田正俊
○横田(正)政府委員 その点が結局はつきりいたしておりませんです。独占禁止法的な観点からする監督ということはおそらくあまり行政庁の方では考慮せられておらないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/65
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066・福田喜東
○福田(喜)委員 関連して……。委員長の今までの御答弁を承わますと、この法律というものは、私的企業しか適用しない。官庁の認可、許可等を通じてやる、つまり間接的な行為については、これは何ともしようがない、それは独占ができ上るのはいたし方がないと、はなはだわれわれから見るとはだえにあわを生ずるような御答弁なんですが、この点については、私は委員会当局の猛省を促したい。つまり国家がこの法律を定めておきながら、国家の行政官庁がやる行為はおれは知らぬのだ、こういう結論に簡単に言えばなるわけでございますが、これは法律の精神、建前からいつて、私はどこか心棒の抜けたようなところがあるような気がいたしますので、もう一ぺんお考え直しいただくわけには行きませんか。一体法律とはそんなものだろうか、国家が国民に対して法律というものを命じておきながら、国家自身のつくるものはおれは知らぬ。一方ではマツチを持ち、一方ではポンプで水をかける、それが法律なんでしようか。国家の意思というものが二つにわかれて、こういうふうな結果が派生するということに対して委員長自身は、少しも矛盾をお感じにならないのでしようか。これは非常に重要な問題であつて、第一に大きな問題が派生するのは、交通業だと思います。これは今日全国至るところで暴威を振つておりますが、これに対して、私は国鉄当局と話合つていただきまして、そして必要なる措置を早急にとつていただきたいと思います。他の同僚委員も、今同じようか意見でありますし、これは單に交通業だけじやない。休止鉱区の開発に関しても、同じような問題が起つて来ておりまして、これに関する問題は非常に多いのでございますが、これは法律の趣旨からいつて、国家自身は束縛されないのだというのであつたら、まるでこれは法律の非常なる矛盾であつて、こういう建前で行つたならば、一方で独占を阻止しながら、国家はどんどん独占を自己の行為によつてつくり出しつつあるが、一体これはどういうものだろうか。これについて私は早急に具体策を考えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/66
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067・横田正俊
○横田(正)政府委員 その問題は、実は公正取引委員会だけの問題でなく、政府全体の問題として大いに検討しなければならぬと思いますが、現行法のもとにおきましてこのわれわれの見解は、先ほどるる申し上げた通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/67
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068・前田正男
○前田委員長 そうしますと、公正取引委員会の仕事は、どつちかというと、公益事業委員会というものがなくなつて来れば、場合によればふえるというような事態もできて来ると考えられるのですが、それに対して今提案になつておるこの法案によりますと、委員の数も減らし、その他事務局も減少して行かれるように、法案としては見るのですが、これに対して委員長としてはこの法案でもつて前よりか仕事がふえて来るかもわからないというような態勢を、処理して行けるというお考えで御提案になつたのか、その点をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/68
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069・横田正俊
○横田(正)政府委員 これは実はわれわれといたしましては、みずからを小さくするというようなことについては、非常に残念にも思つておりますし、今後大体統制もはずれ、だんだん自由な取引ということに移つて参ります際に、公取の機構がだんだん小さくなることについては、非常な反対をして来たわけでございますが、これがいわゆる政府の行政整理の一環として、きわめて簡單に片づけられまして、委員も実は五人どころか、三人というような案がございましたが、この点は危うく五人に食いとめた。整理の人員も、たしか最初の政令諮問委員会では、五割減というようなほとんど公取を抹殺ぜんばかりの勢いで最初の案が立つたと思いますが、それをいろいろ折衝しまして、やつと二割くらいの減少にとどまつたというようなわけでございまして、われわれといたしましては何も、心から縮小を喜んでおるわけではないわけでありまして、ことに今度輸出取引法その他きわめて複雑なる事務が、公取にもふえて参りますようか二とから申して、ぜひ相当な陣容をほしいということは念願いたしております。ただ行政整理は必要なことと思いますので、われわれの真意を申しますと、一応ここで後退いたしまして、陣容を整えて、そして国会方面あるいはその他一般の方のほんとうの御理解のもとに、再びこの陣容を建て直して、仕事のできる委員会にしたいというのが、私たちのほんとうの気持でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/69
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070・多田勇
○多田委員 関連して……。今公企業の問題が出ておりますが、公企業に独占を認めるということは、これは公企業の性質としてやむを得ないことだと思うのでありますが、公企業の独占を認めるということでなしに、今お話がありましたような、バスの問題とか、あるいは営業乗用車とか、あるいはトラックの営業権の問題、そういつた問題については、許可事項でありますけれども、これはあくまでも独占することのないような、いわゆる独禁法の精神に反することのないような線で、法律が運営されて行かなければならないと思うのでありますが、現実に、今お話がありましたように、ハスにしましても、せつかく営業の許可を受けながら休業している。あるいは鉱区にしましても、相当厖大な鉱区の権利をとりながら、ほとんど眠らしておるというような場合、あるいはまた東京都内等における営業乗用車の場合でも、個人個人の持つている自動車が集まつて、さも一つの企業体の中にあるかのごとくごまかしながら、営業権を與えておるというように、相当不当な行為が、行政官庁の目をくらましてといいますが、あるいは行政官庁がある程度認めておるのかもしれませんけれども、とにかく行政官庁の目をくらまして、そういつた不正行為、あるいは実態に沿わないような行為、さらにまた公共の利益に反するような行為が、相当程度行われておりるのであります。これは現在の独禁法でも当然制限を加えることができると思うのでありますが、こういつた問題について、今まで問題として取扱われているのがほとんどないように聞いております。独禁法、団体法の違反として取上げられました今までの実績を見ましても、小さな業者が相当制約を加えられておりながら、大きな部分についてはほとんど放任されておる。ことに認許可事項に関連のある企業体については、ほとんど手を加えられてないために、相当大きな不当行為が行われて来ている現状のようでありますが、これらの問題について公取として早急に対策を講じていただきたい。これは公企業でなしに私企業の問題でございますから、現在の独禁法でも、当然それに対する排除措置なり、あるいはいろいろな措置が講ぜられておりますので、具体的な方針をひとつ早急におきめ願いまして、当委員会に御報告をいただきたいと思います。なお今私が申しましたような事例が、独占禁止法なりあるいは団体法なりの適用除外になるかどうか、その点について御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/70
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071・横田正俊
○横田(正)政府委員 今例にお引きになりましたようなことは、実はわれわれもよく耳にもしておりますし、ことに最近のタクシーの問題などにつきましては、われわれに対して何とかしてくれという切なる希望のお申し出もございまして、われわれといたしましては、なるたけそういう人たちのためにできるだけのことをしてあげたいというふうに考えております。問題は先ほどからもたびたび申し上げましたように、その場合に排除すべき対象は何かといいますと、役所のそういう妙な行為が実に多いのでありまして、そこから直して行かないと解決しないというところに、問題の非常にむずかしい点があるように思いますので、先ほども申しました線に沿いまして、その点をよく検討いたしまして、御報告のできますものにつきましてはいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/71
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072・多田勇
○多田委員 行政官庁のいろいろな欠陥等については、公取としてどうにもならぬ問題だろうと思うのであります。これは行政官庁の法的な欠陥だけでなしに、行政官庁の監督不十分といいますか、あるいは行政官庁とのいろいろな関係で、そういつた不当な認可、許可を與えておるというようなことになりますか、いずれかわかりませんけれども、これは行政官庁の問題として取上げるのでなしに、現われている現象をとらえまして、その問題を取上げていただくということが、公正な行政事務の運営になると考えられますので、これらの認許可事項に関係のある問題に対して、どう処理するかという点をひとつ早急におきめ願いたいと思います。いま一つ、これはこの席で申し上げていいかどうかわかりませんけれども、この委員会でいろいろ問題になりました事項について、公最側が積極的に調査をするというような気持になれるかどうか、正式に訴願なりあるいは文書で申し出のあつたような事案については、当然調査されるというようなお考えであるかどうか。今まで福田委員との質疑応答をいろいろ聞いてみましても、どうもその点はつきりしない点があるように考えられるのです。これは前にもたしか自転車振興会の問題で、自転車振興会が事業者団体法の違反に該当するのではないかというような問題を提起しました際にも、正式に訴願があれば調査をするというような態度をとつておられたように聞いておりますが、少くともこの委員会で問題になりました点については、ひとつ誠意をもつて御調査をお願いしたい。その点は特に、申し上げにくいことかもわかりませんけれども、ひとつ申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/72
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073・永井英修
○永井(英)委員 昨日も多田委員から質問がありましたが、最近非常に新聞紙上をにぎわせました紡績業の操短の問題、これは通産省の勧告あるいは日銀の要望というようなことで操短というものが行われた、こういうことでありますが、しかし操短をするついては、業者がやはり協議をして、どの程度の操短をやるべきかということを、一応業者自体が協議をするだろうと私は思うのです。そうすると、それ自体が公取の独禁法の違反ではないかと思われるわけです。こういう問題、経済が非常に進んで行く場合には問題はないけれども、一つ恐慌が来るというような場合には、あらゆる産業部門にそれが現われて来るのではないか。この前もちよつと質問申し上げたのでありますが、私は長い間石炭事業に従事しておりました。従つて販売の協定あるいは出炭の制限ということも相当長くやつたことがあるのです。まあ紡績業なんかは、一応スイッチを切ればすぐ操短ができる。ところが石炭のようなものは、なかなか操短をやろうとしても非常にむずかしい。そこでこれを政府の一つの勧告でやるという事態が相当出て来ると私は思うのです。そうすると独禁法とそれらの問題をどう調整して行くか。政府の勧告でやれば、独禁法を無視してどんどんやれるのかどうか、こういう疑問を私は持つておるのです。この点について公取としてはどういう考えを持つておられるかという一点。
それから先ほど来官庁関係のいろいろな事業について、独禁法違反の疑いが非常にある、こう言われました。これは各委員からも非常にその話が出ましたが、今後たとえば電通省が公社になると、そこにまたいろいろこれに付随したものができて来て、これがほとんど独占的なことを必ずやるに違いない。それから今私どもが資料としてもらつておりますが、教科書の販売競争というような点、これはあながち教科書ばかりでなく、最近においては小学校及び中学校の子供のいろいろな文房具だとか、資料というようなものの部面まで現われておりますが、そういうようなものはどういう根拠でやつておられるか知らないが、生活協同組合という一つの組合の延長という形でやつておられるのか、あるいはただ單に便宜上やつておるということであるか、そういう点を御調査になつたならば、ひとつお聞きしたい。それから今新聞紙上等で非常に問題になつております教科書の問題を、ひとつ実情を御説明願いたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/73
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074・横田正俊
○横田(正)政府委員 操短問題につきましては、先般この委員会でも申し上げたと思いますが、われわれもこれが独占禁止法上、形式的に見ますと、はなはだおもしろくないものであることはもちろんでございます。と言いましても、またきわめて緊急なる場合には、ある程度の操短が行われるということもまた認めなければならぬ。それを法制上、独禁法上、違法とならない形において操短がきわめて限定せられた範囲内でできるということにつきましては、ここに何かちよつとした法制が必要である。單に行政官庁の勧告というようなあいまいなものでなく、ちやんとした法制がいるのではないかということで、この点につきましては軍に中小企業の操短問題のみならず、操短全体としてこれを取上げて、この必要が認められました場合には、それを制度化することもわれわれとして検討いたしたいという態度で来ておるわけでございます。但し現段階におきましては、やはり独禁法がございます以上は、事件としてこれを取上げて調査する、審査をするということも必要でございます。われわれとしましては、そちらの活動と相並んで、法制上の問題も実は検討いたしておるわけでございます。できますならば、なるたけ近い機会にそういう問題を調べまして、皆さんの御検討をいただきたいと考えておるのでございます。なお次の教科書問題につきましては、つい最近に当委員会で調査をいたしました結果を、昨六月七日に教科書懇話会にあてまして自粛の要望をいたしますと同時に、文部大臣にあてまして、やはり監督を十分にしてもらいたいということを申し送つたわけでございます。この点は実はすでに前からわれわれの方で注意をいたしておつたところへ持つて参りまして、一部業者、教員、父兄などから、どうも発行会社のやり方におもしろくない点があるということのいろいろ申し出もございましたので、その批判に基きまして大体独占禁止法上の不公正な競争方法という観点から、これを一応取上げて調査をいたしました。その結果は、もし非常にくわしいことが必要でございましたら、いずれ調査いたしました結果を文書に、間もなくできることになつておりますから、それでごらんいただきたいと思つております。大体われわれの観点でおもしろくないと思いましたところは、この教科書の採択に関しまして各種の度を越しました招待とか饗応をやるとか、あるいは各地にいわゆる駐在員とか嘱託、参與というようなものを置いておきまして、そうしてそれがかなり強圧的な態度をもちまして、教科書の選択を勧誘しておるような事実などがわかりました。これは大体現行法のもとにおいては、すでに違反としてあるいは取上げられる部面もあり、あるいはただちに取上げられなくても、前回申しました百貨店の場合と同様に、これを不公正な競争方法として公取で指定をいたしました上で、その指定に違反した場合に、これを問題にするという手段もあるわけでございますが、ただちに取上げますことはどうかと考えましたので、一方は文部省に対して監督権の発動を要求いたしますとともに、教科書の出版の団体でございます懇話会、これは大体自粛をすべく一応できておるものでございますが、なかなかこの懇話会の活動だけでは、その自粛の実があがらぬように見えましたので、一応この懇話会を鞭撻いたします意味におきまして、これを通じまして、教科書出版の業者に向いまして、強く自粛を要望したわけでございます。なお今後の経過を見まして、百貨店の場合と同様に、もしこの自粛の実があがりません場合には、進んで独禁法に基く手続をとりたいと考えております。なお教科書以外の学用品につきまして、今お示しのような事態がございますかどうか。この点は全然調査をいたしておりませんので、これはいずれ調査をいたしましてもし独禁法に照して不当な事実がございますれば、それを問題にいたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/74
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075・永井英修
○永井(英)委員 数年前ですけれども、アメリカにおいて小麦が非常にたくさんできたので、暴落を防ぐために麦を焼いてしまつたというようなことを聞いておりますが、そういうようなものは、やはり向うでもおそらく反トラブト法というようなものがあると思いますが、そういうような場合には、どういうようなことでやつたのでしようか。どういうような扱いをやつたか、御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/75
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076・横田正俊
○横田(正)政府委員 私はあまり詳しくは存じておりませんが、そのときの対策としましては、結局政府が麦を買い上げるというような方法がとられたように聞いておりますが、あまり詳しくは存じません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/76
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077・福田喜東
○福田(喜)委員 私は今の委員長の説明はよくわからぬのでございます。はなはだ政治的含みを持つて、いいような悪いような答弁で、前の多田委員の操短に関する御質問は、どんなものであつたかよく存じませんが、今の委員長の操短に関する御説明は、はなはだ法律に触れるような、触れぬような、政府の行為だから、いいような悪いような御説明で、耳を澄まして聞いておつたのですが、実は私はよくわかりません。だからはつきりお願いしたいのですが、操短に関する事柄は、勧告ならばいい、命令ならいかぬということであるか。勧告も命令もいかぬ、しかし政府の措置だからいいというのか。あるいは本法の適用があるというのか、ないというのか、私は今までの私の質問に対する委員長の御答弁から言いますと、行政官庁、政府の行為というものは、認可、許可を中心として私的独占に関する法律は適用がない。これはやむを得ないところである。こういうふうな御答弁を承つておりましたが、もしそれが真だとするならば、たといその行為が勧告であろうと命令であろうとも、これは独占禁止法としては、法律的に言つたら適用の範囲外だ、こういうことになると思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/77
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078・横田正俊
○横田(正)政府委員 一概に操短といいましても、具体的な場合によつていろいろな場合があるようでございまして、この点は先般当審査部の者が行きまして、綿紡、化繊その他につきまして、いろいろ調査して参りまして、その結果の報告がいずれあることと思いますが、結局政府の勧告という形をとりましても、業者が話合いまして、政府のそういう非公式な、正当な権限に基かない勧告を利用して、なおその線に沿つて、初めから考えておつたことを実現をするということになりますれば、やはり独占禁止法の第四條の共同行為、共同して生産数量の決定をするというものに当てはまるわけでございます。今般の操短がはたしてそういう実態を持つておるかどうかという点が問題になるわけでございます。この点は、先日しようちゆうの庫出制限につきまして、大蔵省の勧告の線に沿つたのにかかわらず、われわれはそれ違反として取上げた先例があることは、今まで申し上げた通りでございます。要は政府の強い要請にいやいやながら従つて、その線が一致したということになるのか、あるいはそうでないのかという微妙な点に問題がかかつていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/78
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079・福田喜東
○福田(喜)委員 私の申し上げているのはそういうことではありません。操短の内容ということを私は問題としているわけではないのでありまして、実際問題として操短というものについて、これは通産省においては繊維局が中心としてやつているのは事実でございまするが、これをかりに行政措置の、形式的に勧告なりあるいは命令なり——命令を出す権限があるかどうか知りませんが、そういう勧告なり命令を発した場合においては、そういう行為に対しては本法は適用がない。ただ事実行為として、通産省当局があそこを参謀本部としていろいろ相談して、その間の業者に対する措置というものは因果関係を遮断してしまつて、お役所はただあつせん役になつて、操短を業者相互の申合せでやつたような場合には、その行為を本法に照して、違反であるか違反でないかという、本法を適用するということはできるだろうと私は思いますが、その前のものは、勧告するとか命令するとか、そういう形式的な行為が現われた場合においては、これは適用しようとしても、あなたの私に対する答弁の趣旨からいつてできないのではないか、私はこう解釈するのですが、どうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/79
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080・横田正俊
○横田(正)政府委員 政府が正当な権限に基きまして勧告し……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/80
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081・福田喜東
○福田(喜)委員 今の具体的な場合について説明していただきたい。そんな抽象的なことでは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/81
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082・横田正俊
○横田(正)政府委員 具体的と申しましても、これは事実がはつきりしませんと、御答弁できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/82
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083・福田喜東
○福田(喜)委員 事実は出ているじやないか。私はあなたからそんな抽象論や法律論を聞いているわけではない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/83
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084・横田正俊
○横田(正)政府委員 これは調査の結果に基かないと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/84
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085・福田喜東
○福田(喜)委員 今出した事実はどうなんですかということを聞いている。つまり操短の勧告をする、あるいは命令を出す、そういうことを行政官庁がやつた場合については、これはこの法律の適用があるかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/85
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086・横田正俊
○横田(正)政府委員 政府が正当な権限に基きまして出したものに業者が従つた場合には、第四條の適用はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/86
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087・福田喜東
○福田(喜)委員 正当な権限というが、勧告をした、あるいは命令を下したということが正当かどうかということの判断はどこでやるのですか。そういう勧告、命令をかりにやつたとしたならば、一体そういう場合には本法の適用はあるか、ないか。あなたが私に対する答弁においては、私はないと考えておりますが、どうなんですか。行政官庁の行為に対しては、これは適用がない。本法の精神上、いろいろ私の質問したことに対して困るところが出て来るのだという御答弁をあなたから承つたのですが、今の場合におきましては、適用があるがごとく、なきがごとくおつしやいますし、私としてははなはだ去就に迷うわけです。かつまた操短は、そういう事実的の行為に基いて、業者達が形の上では役所とは切り離して自分達がやつたのだという場合は、本法に関する措置ができるように今御答弁ですが、本法が私的企業に限るとすれば、あるいはそういうこともできるでしようが、その裏において、そういうことに対するさしずをすることに対しては法律の適用がないといつてあなたは法律の適用を眠らせるのですか、また事実眠つているのですが、そういうことをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/87
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088・横田正俊
○横田(正)政府委員 その操短の勧告が正当な権限に基くものか、第四條の規定に照してわれわれが判定するよりほかないと思います。第四條の適用はわれわれの解釈によつてやるよりほかしかたがないと思います。その他のことは、具体的の事情がはつきりいたしましてからでないと、お答えできないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/88
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089・前田正男
○前田委員長 そうすると、今の審査をされた結果はいつごろおわかりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/89
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090・横田正俊
○横田(正)政府委員 もうじき報告があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/90
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091・前田正男
○前田委員長 もうじきと言つても、われわれの国会は二十日までということになつておりますが、その間にありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/91
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092・横田正俊
○横田(正)政府委員 その間に何か申し上げられるような段階に達するかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/92
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093・前田正男
○前田委員長 次に風早八十二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/93
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094・風早八十二
○風早委員 独占禁止法並びに事業者団体法の改正が問題になつており、その改正は一応問題の中心点に触れておらない改正ということでありますが、しかし少し先を見ますと、間もなく事業者団体法を廃止せられる、これは大体既定の事実として考えられており、その際に独占禁止法の相当根本的な修正がなされる、こういうことであります。その方向は、言うまでもなく独占禁止の緩和の方向である、こういうことが一般に信ぜられておるわけです。そこでこの際、この独占ということについて、政府の根本的な方針をまず承つておきたいと思うのです。一体政府は独占ということをどういうふうに考えておられるか。今日独占という事実を一体認められるのかどうか。それが今日の日本の経済発展に対してどういう役割を持つているのであるか。次には独占禁止といいましても、それは私的独占の禁止といいますが、いろいろ條項を見ましても、また実際やつて来たことを見ましても、はたして私的独占一般を、厳密に公平に禁止しているのか。それとも、大きな私的独占はこれを見のがしておく、あるいは助長させるということであるのか。つまり大きな独占に対して、今やそれにいじめられているものが相寄つて、当然対抗策として一つの独占ということを考えるわけです。そういうものだけが事実上対象になつているのか。これは今までどういうものが独占禁止法の違反としてあげられたかという実際の資料を見まして、すぐ感ずることです。それからさらに私的独占といつても、政府の声のかかつた私的独占はさしつかえないのか、これは適用を除外されるのか。さらにアメリカ政府なり出先機関なり、あるいはアメリカの会社の關與した場合においては、これまた独占禁止法の違反ということにならないのか。そういう点についてまず根本的な政府の方針を明確に示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/94
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095・横田正俊
○横田(正)政府委員 政府とおつしやいますが、実は私といたしましては、この独占禁止法の執行を委託されております公正取引委員会としてのお答えを申し上げたいと存じます。
独占の役割ということでございますが、これは独占禁止法にございます通り、われわれといたしましては、公正自由な競争の促進という点がわれわれの使命でございますので、その妨げとなる独占につきましては、この法律の規定いたすところに従いまして、これを排除して行くということにわれわれの使命があると考え、またそのつもりでやつて来ておるわけであります。なお大きな私的独占は、これを認めて、小さなものばかりをいじめているのではないかという御疑念でございます。なるほどわれわれが今まで違反として取上げましたものの中には、大して問題にする必要のないようなものもあつたかと存じますが、この点は、今まで司令部のあります間のことを申し上げますれば、大体大きな事業につきましては、御承知のように集中排除法の規定を一応かぶりまして、そちらでいろいろな措置がとられておりました結果、独占禁止法の観点からする検討ということは一応差控えられて来ておりました。しかしその方も大体一応片がつきまして、現在ああいう形においていろいろな比較的大きな企業が残つたわけでございます。これにつきましては集排指定会社の監督権がわれわれの方に逐次移されましてその一つ一つについて、私どもの方の調査部の中の第三課というのが、そちらの集排指定会社の検討をやつておるわけでございまして、その一つ一つの報告が次々に委員会へ来ておりまして、大体比較的大規模と認められまするものにつきましても、ただいまのところでは、独占禁止法でただちに取上げなければならぬほどのものは割合にないように思われますので、これらにつきましては今後の動向を見て行くということになつておるわけでございます。先ほど風早さんおいでになりませんでございましたが、日通につきましても大いに検討を現在続けておるということを申し上げたのであります。その他の問題につきましては、いろいろ関係からいたしまして、今までのわれわれの活動は必ずしもわれわれの意思だけやつて、来たわけでもないのでございまして、この点は、今後われわれがどういう態度をとりますかについて、大いにごらんをいただきまして御批判を賜わりたいと考えております。決して大きな企業を見のがし、小さなものだけを取上げるというようなことはいたさないつもりでございます。
なお政府の声のかかつた企業については、何か特別な考慮をしておるのではないかというお疑いでございます。二の点は実は先般から、きようまたいろいろほかの委員の方からも御指摘があつたわけでございますが、政府の声がかかつたと申しますか、息のかかつたものには、理論的に申しまして、いわゆる私的独占の対象になり得ないようなものがあるのではないかという点が一つあるわけでございます。これはこの独占禁止法のいわゆるとらえ得る範囲というものが一定の限度があるように思われまして、そんな点から、どうも公取委が非常に大きなものについての、ことに政府との関係のあるものについての活動が不満足ではないかというお疑いがあると思います。これはまつたく理論上の問題でございまして、決してそこに手かげんをしておるわけではない。この理論上の問題につきましても、先ほどから申し上げておりますように、なお再検討の余地のあるものにつきましては、もう一度法律解釈の問題といたしまて、われわれの最終的な態度をはつきりきめまして、大いにその線に沿つて行きたいというふうに考えております。
それから外国、アメリカの会社の関係については、独占禁止法の適用が緩和されているのではないかというような御質疑のように思いますが、この点につきましてはわれわれもアメリカだからどう、日本の会社だからどうということは全然ございませんので、現行法に照しまして、もし違法なものでございますれば、それがたといアメリカの会社でございましても、あるいは外資導入のために実際に必要はありましても、われわれがそれに対して独禁法の適用を考慮しなければならぬというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/95
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096・風早八十二
○風早委員 どうも今の御答弁一々問題があると思います。まず第一、独占禁止法の対象として、あまり大きな独占についてまだそう大して問題になつていないというような御答弁でありますが、一体今日の実情においてどの産業部門をとつてみましても、これは実質上カルテルというようなものがもう形づくられているわけです。ほとんどその政策の大部分がきわめて少数の、ほとんど何社というくらいのものによつて完全に牛耳られている。中にはわずかの数社で一〇〇%完全に持つているというようなものもたくさんあるわけでございます。自由競争をさせるとか言いましても、事実全然そういう余地はない。こういつたような根本の大きな独占というものに対しまして、一体政府はこれをどうされるのか。これはたとえばアルミニウムにつきましてはわずか三社で一〇〇%だ、また石油精製については八社で一〇〇%だ、銑鉄につきましても三社で一〇〇%だ、製紙については三社で七〇%である、こういうことだ、スフについては十一社で一〇〇%、人絹も六社で一〇〇%、紡績でも綿紡についてはやはり十社で九〇%、こういうふうに、これは一々あげれば各部門について言うことができるわけであります。硫安のごときも十四社で一〇〇%で、新しく企業を興し、そうして競争しようにも全然競争の余地がない。こういうことは申し上げるまでもない厳然たる事実である。これがつまり独占である。これが基本的な独占なのです。こういう独占に対してこういうカルテルは事実上できているわけです。何々カルテルとしてある。そこで今具体的に組織を持ち、定款を持つ——相談をしようというのでなくとも、事実これはできているわけであります。こういうものに対して政府はどういうお考えであるか、一つ一つ聞いて行きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/96
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097・横田正俊
○横田(正)政府委員 ただいまのような関係が、ただいまお示しの業についてあることは私も承知いたしております。それはいわゆるカルテルということになりますかどうかは別といたしまして、比較的少数の商社が、かなり重要な産業を支配しているということは私も認めるものでございます。但し独占禁止法は私から申し上げるまでもなく、事業が大きいということ自体を、大わくとして必ずしもとられておりませんので、そういうモノポリーあるいはオリゴポリという状態は、そのこと自体は、ある意味においてはあまり好ましくないという考え方もできるわけでありますが、しかし独占禁止法はそれらのものが、たとえばカルテルをつくつて協定をして市場を支配する、あるいは他の事業者を不当に圧迫し、他の事業者の活動を積極的に排除するというようなことをいたしまして、その独占を維持しているような事態がありまする場合に発動するという建前になつておるわけでございまして、われわれの見るところにおきましては、そういう不当な事業者間の活動というものが、はつきりと認め得ない現段階におきましては、なお独占禁止法を発動することができないのではないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/97
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098・風早八十二
○風早委員 これは問題になりませんね。こういう事実をあなたは事実として承知しておる。そう言われて、そしてあとのことはまつたく矛盾しているのです。そのこういう事実ということは何を意味するかといえば、これは価格をみずからきめて、そして他の同種の営業をやろうにもやれない條件をつくり出しておるわけです。これは具体的な例も幾らでもあるわけでありますが、これから出て来ようとする新しい企業自身をやらせることができないわけです。また消費者、購買者の側からしても、これはどうすることもできません。これらのものが全生産か支配している限り、これに対して値段のつけようがないのです。これは取引のしようがないのです。一方できめられたものをわれわれがのむ以外はないのであつて、そういう点はこの事実そのものの中に全部含まれておる。ですから、この独禁法の條文の違反事項は全部含まれておるわけです。この根本の事実をあなたは認める以上、当然それは含まれておるのです。ですからカルテル禁止だとかいうけれども、一体カルテルを禁止する意思があるのかどうか、一体この大きな根本的なカルテルを禁止する方針を持つているのかどうかという二とを、根本的に疑わざるを得ない。だからわけがわからないと先ほどから同僚委員諸君もみな言つておるわけです。わけがわからない、そういう点を明確にしてもらいたいということを言つておるのです。ひとつ御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/98
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099・横田正俊
○横田(正)政府委員 カルテルというふうにきわめておしまいになつて御議論ですが発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/99
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100・風早八十二
○風早委員 じや、あなたの方でどういうのをカルテルと言うのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/100
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101・横田正俊
○横田(正)政府委員 われわれの方ではそういう状態はまだないというふうに認めておるのでありまして、これはどうも見解の相違と申し上げるほかないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/101
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102・風早八十二
○風早委員 とんでもない話だ。それじや今カルテル論をしてもあなたはその点は逃げられると思いますから、時間もありませんから次に行きますが、政府の声のかかつた問題、というよりもむしろ政府自身が直接その独占を助成している、既成の独占事業を助成している、加勢している、こういうことは、今もいろいろな具体的な事実があげられて、同僚議員からすでにこれは明らかにされておりますから、その点は省きます。私はアメリカの私的資本が日本でやつている場合の問題が、独占禁止法にひつかかるんじやないかということをひとつお聞きしたいのです。たとえば石油でありますが、これはもうだれも知つている事実をあげたいと思いますが、日石は、これはカルテックスが五〇%の株を独占している。スタンダードは東亜燃料の株を五一%も独占している。タイドウオーターは三菱石油の株を五〇%も独占している。こういうふうなことは独禁法には全然触れないものなのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/102
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103・横田正俊
○横田(正)政府委員 いわゆる外資導入関係の、外国の会社の株式の保有につきましては、その都度われわれの方で検討いたしましたが、問題は、株式だけを取上げてみますと、独禁法の第十條の問題になるわけでございます。結局第十條第一項の違反の條件にあるいは当るかどうかという点で問題は検討されたわけでございますが、しかしわれわれはただいまの状態においては、なおまだああいう会社の株式保有というのは、第十條違反とは認めがたいということで、なおその後も事態の推移を見ておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/103
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104・風早八十二
○風早委員 だから私は言うんです。大きな独占というものは政府は見のがそうとしている。公正取引委員会はそういうのが公正だとされているわけです。大きいやつはこうやつて全部取締らないわけです。だから大きいやつは大手を振つて、ますます独占を強化して行く。これは明瞭に出ております。根本にさかのぼつて、銀行資本については全然手をつけられなかつたという、そういう妙ちきりんな独占禁止、集中力排除ということでありますから、これは一々あげていればきりがないのでありますが、今の私どもが捨ておかれないのは、外国資本が日本の産業を直接独占的に支配する、ただ公正な自由競争でお互いにやるということでなく、独占的にこうやつて支配しておるのですから、先般も指摘いたしました通り、社長が日本人であろうが、副社長は向うの人間であつて、そうして実際に経営そのものはロンドンやニューヨークできまる、こういうことに知らない間になつて来ておる。これが独占禁止法に触れるとは考えない、これからこういうことも検討する、こういうのんきなことを言つておられるから、知らない間に外資にすつかり荒されてしまつておる。これは根本に政府が一体独占というものをどう考えているか、これを日本の経済の発展の上で、どういう役割のものだと認識しておられるか、またそれに対して政府は、どのような根本の方針を持つておるか、こういう点について私が最初からその点にしぼつて質疑をし答弁をお願いしたいと考えておつたゆえんなんです。政府の方針というものが一体わからない。この條文は條文です。しかしその根本を貫く精神については政府は一体どういうものを持つておるのか、これがわからないのです。一つ伺いますが、ここに仮定の問題として一つの私的会社があります。それがある特定の物資に対して、他の同じ需要者を排除して、まつ先にその物資を売つてくれる、またその値段につきましても、これは他の需要者よりも最低に、あるいはそれ以下に、最も有利にそれを売つてくれる、こういつた契約をした場合に、これは当然私的独占禁止法にひつかかると思いますがどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/104
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105・横田正俊
○横田(正)政府委員 それは必ずしもただちに私的独占にはなりませんが、例の不公正競争方法の、他と取引をしないとか、他の競争者との間にいろいろな拘束條件をつけて、自分とだけ取引をするというような問題になりますれば、これは不公正競争方法に該当して、独占禁止に準用できると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/105
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106・風早八十二
○風早委員 ところが今度の行政協定を見ますと、十分皆様方御承知の通り、米軍は日本の公益事業、電気やガスや水道、これをやはり最優先的にかつ最有利に供給させるという権利を持つことになつたわけです。こういうものは、もちろん相手が何分にも米軍であるから、言うまでもなくこれは禁止法にひつかからない、こういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/106
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107・横田正俊
○横田(正)政府委員 まつたくその点で独占禁止法の対象外だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/107
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108・風早八十二
○風早委員 そこでそのこと自身に重大な問題がある。われわれはだからこそ行政協定というようなものに対しては、根本的に日本の経済の立場から反対するわけでありますが、さらに米軍が使うのだという名において、実際アメリカ側が、あるいはアメリカの御用商人が、日本で今やりつつあるところの仕事、これは明らかに日本の中でいくらお互いに公正にやろう、公平にやろうといいましても、大きな不公平なやつが現われて来て、こいつがひつかきまわすということになりますと、ここでいくらやつてもやる者が損なんです。とんでもないことになつてしまう。それで今は税金などの問題でも、向うから入れて来る品物は、関税もなければ日本の国税も地方税もかけられない。こういうことで日本のそれをつくつておつたメーカーや商人が上つたりなんです。今バターでも自動車でも、奢侈品と言われるいろいろな化粧品でありますとか、いろいろなものがさんたんたる状況になつて来ている。こういうふうなことが許されているわけです。一方ではいずれもこれは米軍が使うのだという名前を上にかぶせることは、いとやさしいことなんでありまして、行政協定で米軍がこのような不公正な取引ができるという契約、というよりも公の條約でこれがきめられてしまう。こういうことに一方ではしておいて、そうしてあと一体何をしようというのか。こういう点を政府は一体どう考えるか。これから独禁法をどう持つて行こうとするのか。そういう点が私どもは根本的に問題だと思うのです。これからこの独禁法を持つて行く方向の問題といたしまして、今のような外国資本あるいは米軍という名前をかぶせた結局外国資本、こういうものが日本に進出する場合において、今私的資本同士の間では、少くとも禁止せられている條項に違反するようなものがある場合において、これに対しては一体どういう態度を政府としてはとられるか。この点をひとつ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/108
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109・横田正俊
○横田(正)政府委員 その根本問題は、どうも私から申し上げるのは不適当のように思いますが、アメリカの政府なり軍自体が、そういうような拘束的な取引をするという問題につきましては、先ほど申しましたようにこれは独占禁止法の問題にひつかからぬわけでございます。しかしたとえばその名において、独占禁止法上問題にし得る外国の会社が何かやりますれば、これは独占禁止法の観点から処理いたすことができると思います。なお国自体、軍自体がそういうことをやることについて何とかしなければならぬという問題につきましては、日本政府全体の問題国全体の問題としまして、十分に検討を要することかと思いますが、しかし私としてはちよつとここで何ともお答えできないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/109
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110・風早八十二
○風早委員 しかし国内の私的企業者に対して、たとえば第二條の第六項の二でありますが、不当な差別待遇や、それから同じく三の不当に低い対価であるとか、こういうものは明らかに禁止される條項になつているわけです。こういうことを米軍であるがゆえに——米軍だつてこれは商売です。結局商売をやつているわけです。それをただ軍の名前をかぶせただけで、そういうものは適用できないということになりますと、もう根本から独禁法というのはむしろ有害である。こういうものをどれにも一切はずしてしまうというならこれはまた別問題であります。しかしこういうものをつくつた上に、なおそういう重大な穴をつくつておくということは、これはますますひどい混乱、というよりも日本の破滅を促進する。そういう法律としてそういう役割を持つことになると思いますが、そういう点をあなたは今どういうふうに判断されるか。これは何も政府の権限のある代表として言われるとか何とかいう問題ではなしに、公正取引委員長としてこれは十分にあなたの御見識があると思う。その点はどうでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/110
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111・横田正俊
○横田(正)政府委員 独占禁止法があるために、非常な不都合が生ずるというようには私には考えられません。ただ独占禁止法を、そういう外国の関係のものに適用し得ないということについては、いろいろな感想もございますけれども、独占禁止法があるという二と自体が、何か非常に悪い結果をもたらすようなあれでございますが、私はそうは決して考えません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/111
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112・風早八十二
○風早委員 ぜひともその御感想をお聞かせいただきたいのです。そうしてなお独占禁止法をこれから改正されるという場合に、その点はどういうふうに一体織り込まれて行くのか。その点のお考えをひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/112
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113・横田正俊
○横田(正)政府委員 一企業にしましても、一つの公の機関にしましても、先ほど言われましたような不公正なやり方は、私自身としてはあまりおもしろいことではないと考えます。なお独占禁止法を單なる私企業のみならず、公共企業体等が、まつたく私的な私企業と同じような立場で事業をいたします場合に、これを適用するという問題につきましては、きようほかの委員の御質疑に対しまして、現行法上認め得る範囲がもし若干でもあるならば、そういう解釈上で何とか処理をいたしたい、もしできなければ、それは立法問題として考慮いたさなければならぬということを申し上げました。その一般的な線に滑つてその問題を私としては考えたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/113
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114・風早八十二
○風早委員 福田さんなんか非常に詳しいわけですが戦前から戦後にかけてまつたく違つた一つの方式で進んでいたものが、戦後に独占禁止法というものをつくる、集中排除法をつくる、また事業者団体法までもつくる、こういうふうにして相当方式がかわつたわけですが、この新しい方式というものの根本は、一体どういう点をねらいにしているのか。これは最初の問題にいささか関係しますが、この点を一体どういうふうに考えておられるか、ひとつこれを御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/114
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115・横田正俊
○横田(正)政府委員 これは私から今さら申す必要もないように思いますが、要するに自由私企業態勢をとります以上は、そこに必然的に独占ということが形成せられ、またそういう関係からいたしまして、その独占を防止する意味において、独占をもたらすところのいろいろな事業活動の拘束というものを排除するというのが、一つの独占禁止法の目的だろうと思います。なお一方におきまして、競争々々と申しましても、その競争が不公正にわたつてはならぬという点で、競争の純化と申しますか、競争を正しいものにするために、不公正な競争方法を取締るというのが、独占禁止法の一つの目的であると存じます。その観点からいたしまして大体アメリカに発達いたしました反トラストの政策を、日本に移し植えたものが、確かにこの法律の骨子になつていると思うわけでございます。いかにもアメリカ製のものではございますが、しかし同じく自由私企業態勢をとります以上は、何らかこういう方策がひとつ、いわば自由私企業態勢に対する良心的作用と申しますか、あるいは安全弁と申しますか、こういう制度があつてもよいのではないか。これがはたして日本の経済のために非常にプラスをするものか、あるいはそれほどなくてもいいものか、あるいはかえつてじやまになるかということは、今後の実際の運用の結果を見なければ、わずかに五年の経験からしましてはわからぬことと思います。私たちといたしましては、これはアメリカに軍に押しつけられたものとして、今後これを持つて行くという気持はもちろんございません。日本に何らか役に立つ制度とするために、もう少し時をかしていただいて、この制度のほんとうのいいところを発見して、ほんとうに日本に根のはえた制度となれば非常にけつこうだというふうに考えているわけで、そのやり方がもしいかぬということになりますれば、結局昔のカルテルを公認するような、きわめて逆行的なところへ行くか、あるいは自由私企業体制の根本を改めて、全然別個な制度にかわつて行くかというよりほかにないように考えております。繰返して申すようでございますが、この反トラストの線にもう少し日をかしていただいて、日本のために役立てるということにいたしたいと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/115
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116・前田正男
○前田委員長 風早君、独禁法の質問はまたあとでやりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/116
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117・風早八十二
○風早委員 私も安本長官を呼んでいただきたい。それでなければ政府委員として、やはり政府の見解を責任を持つて答弁してくれる人を呼んでもらわぬと困るのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/117
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118・前田正男
○前田委員長 事業者団体法だけあした採決いたしますから、独禁法の質問は延ばしていただきたい。きようはあまりおそいから次の機会にしたら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/118
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119・風早八十二
○風早委員 委員長がせつかくそういうふうな申入れでありますから保留したいと思いますが、公正取引委員長ともあろう人が、この問題を非常に表面的に、浅薄に理解しておられるのではないと私は信じますが、そういうふうに出して来られ、アメリカがアンチ・トラスト法を持つている、日本もぜひ同じ方式でやれ、これで独禁法ができたというのでありますが、はたしてアメリカでアンチ・トラスト法なるものがどういう役割を持つておるかを、どの程度まで一体追究してお考えになつておるのか、私は今の御答弁ははなはだ疑問だと思うのです。ここにもデュポンの経営の実体を調べた本がありますが、デュポンあたりはもうわずかの年代の間に、二十回にわたつて独禁法の侵害で告訴されている。裁判所はこれに対して、確かにアンチ・トラスト法の條文に照して有罪をやつておるわけです。しかしそれは問題にならない。実際においてはデュポンはさらに隆々として独占の巨歩をますます進めているわけです。これは何もデュポンだけではない。デュポンはその代表的のものでありますが、他のあらゆる財閥に対してもそうです。たとえばゼネラルモータースといつたような最大の会社、その株式の二三%はデュポンが独占しており、もうそのゼネラルモータースは、完全にデュポシで牛耳られていることはわかりきつた話なのです。そういうことが平気で現実にされている。そういうところを見ましても、アメリカではたしてアンチ・トラスト法というものが、実際問題としてどれだけ役に立つておるかは、疑問というよりも、こういうものは明らかに意味のないものになつているわけです。つまり形の上だけでこういうものが民主主義でござい、自由主義だといわれておるけれども、実際にはアメリカではわずか何十家族で支配されていることとかわりがない。そしてますますそうなつて行く。日本ではまだわずか六年の経験しかないし、まだその成果を云々するのは早いと言われますが、六年の間を見ましても、同じことが日本にも現われておることは先ほど申した通りです。なぜこういうことをやるか、特にアメリカがなぜやらせるかということを、どの程度まで考えておられるかを私は聞きたい。私の考えでは、とにかくアメリカの資本に対抗するような独占であつては困る。しかしそうではなくて、アメリカに従うものであればこれはけつこうだ。ですからそのためにまずばらばらにして弱めて、そうしてどんどんアメリカの資本を入れておいて、今度は独占おかまいなし、この地ならしをやるためにやつているとしか考えられない。われわれはこの問題は十分そういう観点でつかんでおるつもりでおりますが、そういう点は御異議があり、事実において間違つておるなら間違つておる。自分たちはどう考えておるということを、この次にはひとつ明確に御答弁願いたいと思います。私はきようはあとの質問を留保しまして、これで打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/119
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120・前田正男
○前田委員長 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめ、次会は明十日午前十時より開会いたし、事業者団体法の一部を改正する法律案を討論採決いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時二十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304073X03019520609/120
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