1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年二月十九日(火曜日)
午後二時五分開議
出席委員
委員長 松本 一郎君
理事 鈴木 仙八君 理事 田中 角榮君
理事 村瀬 宣親君 理事 前田榮之助君
逢澤 寛君 淺利 三朗君
宇田 恒君 小平 久雄君
高田 弥市君 内藤 隆君
西村 英一君 増田 連也君
池田 峯雄君 田中織之進君
出席国務大臣
建 設 大 臣 野田 卯一君
出席政府委員
総理府事務官
(特別調達庁長
官官房長) 辻村 義知君
総理府事務官
(特別調達庁財
務部長) 川田 三郎君
総理府事務官
(特別調達庁管
理部長) 長岡 伊八君
総理府技官
(特別調達庁次
長) 堀井 啓治君
委員外の出席者
專 門 員 西畑 正倫君
專 門 員 田中 義一君
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二月十六日
住宅緊急措置令等の廃止に関する法律案(内閣
提出第三四号)(予)
同月十八日
国連軍火薬庫用地の接収に伴う補償措置に関す
る請願(西村久之君紹介)(第七六〇号)
月島第三小学校々舎接収解除に関する請願(若
林義孝君外五名紹介)(第七六一号)
京橋商業高等学校々舎接収解除に関する請願(
若林義孝君外五名紹介)(第七六二号)
国分川沿岸堤防道路を県道に編入等の請願(長
野長廣君紹介)(第七九六号)
山口県日本海岸重要府県道を国道に編入の請願
(坂本實君紹介)(第七九七号)
鞍谷川改修工事促進の請願(奧村又十郎君紹
介)(第七九八号)
高知県地盤変動対策事業費の予算措置に関する
請願(長野長廣君紹介)(第七九九号)
琵琶湖総合開発に関する請願(井上良二君外三
名紹介)(第八〇〇号)
公共事業推進上のあい路打開に関する請願(志
田義信君紹介)(第八〇一号)
湯沢、柏崎間観光道路開設の請願(田中角榮君
紹介)(第八一〇号)
県道岐阜富山線を国道に編入の請願(武藤嘉一
君紹介)(第八一七号)
国道九号線中宮内、北長岡駅間改修工事促進の
請願(田中角榮君紹介)(第八一八号)
府県道出雲崎長岡線改修工事促進の請願(田中
角榮君紹介)(第八一九号)
大日川にダム建設等の請願(塩田賀四郎君紹
介)(第八二〇号)
大善寺、南茂安間筑後川架橋計画の幅員拡張に
関する請願(三池信君紹介)(第八二一号)
宇都宮市区画整理に伴う道路拡張反対の請願外
一件(船田享二君紹介)(第八二二号)
射水郡海岸護岸工事促進等の請願(橘直治君紹
介)(第八四三号)
芝根、澁川間の利根川に国直轄改修工事施行の
請願(藤枝泉介君外一名紹介)(第八五〇号)
府県道仙台、石巻間を国道に編入の請願(内海
安吉君紹介)(第八五一号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
府県道新潟、富山線改良工事促進に関する陳情
書外四件
(第五五六号)
山口県下の日本海沿岸重要府県道の国道編入に
関する陳情書
(第五五七号)
災害復旧工事の促進に関する陳情書
(第五五八号)
熱海市の甲種防火地区建設者に対し助成金交付
の陳情書
(第五五九号)
砂防事業費国庫負担増額に関する陳情書
(第五六〇号)
住宅復興に関する陳情書
(第五六一号)
昭和二十七年度の公共事業費増額に関する陳情
書(第五六二号)
琵琶湖総合開発促進に関する陳情書
(第五六三号)
地盤変動対策事業費二十七年度予算更正に関す
る陳情書
(第五六四号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する
件に基く特別調達庁関係諸命令の廃止に関する
法律案(内閣提出第九号)
ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する
件に基く建設省関係命令の措置に関する法律案
(内閣提出第二六号)
住宅緊急措置令等の廃止に関する法律案(内閣
提出第三四号)(予)
建設行政に関する件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/0
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001・松本一郎
○松本委員長 それではこれより建設委員会を開会いたします。
予備審査のため去る十六日付託にたりました住宅緊急措置令等の廃止に関する法律案、内閣提出第三四号を議題といたします。提案理由の説明を求めます。野田建設大臣。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/1
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002・野田卯一
○野田国務大臣 住宅緊急措置令等の廃止に関する法律案の提案の趣旨と内容の概要を御説明申し上げます。
住宅緊急措置令は、昭和二十年勅令第五百四十二号「ポツダム宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件」に基いて、昭和二十年十一月二十一日に制定されたものでありまして、当時終戦直後の混乱期にあたり、海外引揚者、戦災者等の住宅困窮者の数がきわめて多く、住生活の不安著しいものがありましたので、これらの住宅困窮者のために緊急に住宅を確保する目的で制定されたものであります。
その要点を申し上げますと、第一に、これらの住宅困窮者を収容するために、都道府県知事は、罹災建物その他寄宿舎等で現に使用されていないもの、または使用上余裕があると認めるものをその指定する地方公共団体その他の公益的団体をして、一年ないし三年の期間を限つて、強制的に使用させることができるものとしたことであります。この使用によつて生ずる損失は、使用権の設定を受けたものが建物の所有者に補償するものとし、その金額は都道府県知事が住宅緊急措置損失補償委員会の議を経て定めることになつております。なお使用権の存続期間は必要によりましては知事において更新することができます。
第二に、右に述べた遊休建物を一時住宅として転用するほかに、都道府県知事は必要があると認めるときは、使用上著しく余裕のある一般住宅の所有者または占有者に対して、その一部を引揚者等に貸し付けるよう勧奨または命令することができることであります。
以上申し上げましたところからもおわかり願えるように、住宅緊急措置令は住宅建設が軌道に乗るまでの暫定的な緊急住宅対策であり、経済の安定と社会秩序の回復に従い、当然廃止すべき性質のものであります。今回平和條約の締結に伴い、いわゆるポ政令を整理するにあたりまして、政府は次に述べる理由からこれを廃止することが当然であると認め、この住宅緊急措置令及びこれに基く住宅緊急措置損失補償委員会官制を廃止することとし、現に入居しておる居住者に対する措置、建物の所有者に対する補償その他所要の経過措置を講ずるため本法律案を提出したのであります。
第一に、すでに終戦後六年以上経過して、最近のわが国の住宅事情も終戦直後に比べると、かなり好転し、特に公営住宅の供給と住宅金融公庫の利用による融資住宅の建設が、おおむね順調に行われておりますので、今日では私人の所有にかかわる建物を強制的に住宅に転用することは当を得た処置とは考えられません。いわゆる余裕住宅の強制的開放につきましても同様でありまして、元来日本の住宅は家屋の構造上共同生活に適せず、住宅の所有者または占有者と賃借人の生活程度や生活感情の相違等から同居生活がうまく行かず、とかく問題を起しがちで、あまり芳ばしい成績を上げていない実情であります。
第二に、建物使用の対価として建物の所有者に対して支拂われる損失補償金額はきわめて低額であり、しかも起業者によつては、その低い損失補償金額すら満足に支拂つていない者があり、建物所有者に少からぬ損害を與えているのであります。特に使用権が設定された工場施設については、現在大部分の工場が事業を再開し、この返還を強く要望しているにかかわらず、これを本来の用途に供することができないので、建物所有者がこうむる事実上の損失は少くないのでありますが、これについては何らの補償も支拂われておらず、建物所有者に不当に犠牲を強いている実情であります。
なおこれらの建物は、元来住宅として不適当であるため、すでに不良住宅化しており、またこの管理も適切を欠くうらみが多く、これを放置することは国民保健上も、国民経済上も適当とは認められません。
第三に、現在においては新たに転用できるような遊休建物はほとんどなく、また現に本令の適用により、既存建物の入居者及び余裕住宅の賃借人は、昭和二十四年以降減少の一途をたどり、その数は当初に比して激減しておるのでありまして、今後かくのごとき異常な強制的住宅確保措置を必要とするような事態はまず起らないものと考えられます。しかしながら現在残つているこれらの利用者に対しては、適当な立退先を考える必要があることは言うまでもないのでありまして、これについて遺憾のない措置を講ずるならば、この際本令を廃止しても何ら問題が存しないと考えられるのであります。
本法律案は、この住宅緊急措置令の廃止に関し、経過的措置をそのおもなる内容とするものでありまして、その要旨を申し上げますと、第一に、住宅緊急措置令に基いて、使用権が設定された建物等は、その使用権の設定を受けた者において、昭和二十八年三月三十一日までに居住者を立退かせて、その所有者に返還すべきものとしたのであります。
第二に、建物等の返還を促進するため、必要な場合には都道府県知事は居住者に対して建物等の明渡しを命ずることができるものとしました。
第三に、適当な立退先のない転用住宅の居住者、または余裕住宅の賃借人に対しては、公営住宅への優先入居を認めることにしました。
第四に、返還すべき建物等については、その所有者の請求により、使用権の設定を受けた者、または特に必要な場合は、都道府県がこれを原状に回復し、またはその費用の補償を行わなければならないものとし、国はその費用の一部を補助するものといたしました。
以上が本法律案の提案の趣旨と内容の概要でございます。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/2
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003・松本一郎
○松本委員長 次に公報に掲載いたしました議題に基きまして御審議をお願いいたします。ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く特別調達庁関係諸命令の廃止に関する法律案、内閣提出、第九号を議題といたします。本案につきましては前会に質疑が終了いたしております。よつてこれより討論に入ります。討論は通告順にこれを許します。池田峯雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/3
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004・池田峯雄
○池田(峯)委員 ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く特別調達庁関係諸命令の廃止に関する法律案に共産党は賛成いたします。
昭和二十年勅令第六百二十五号同じく昭和二十年勅令第六百三十六号、これは政府の説明によりますと、実際に適用したことはなかつたと言われておりますけれども、しかしながら実際に土地を接収する場合に、自由契約を承諾しない場合には、この二つの勅令を発動することによつて、強制的に収用するぞという恐喝によつて土地、建物を接収していたのでありまして、この二つの勅令は明らかに土地、建物の接收に有効に働いていたのであります。その結果、日本の人民は非常な苦悩をなめざるを得なかつたのでありますが、これが廃止されるということはけつこうなことでございますから賛成いたします。
しかしながらこれにかわる法律を政府が準備しているように新聞紙上などにも出ております。すなわち土地収用法を改正いたしまして、土地收用法の中に、米軍の基地のために使用する土地その他を強権をもつて収用することができるというような條項を入れて、そうしてこの二つの勅令にかわらせるというようなことが新聞紙上に出ているのであります。この前の委員会において、私がその点を質問いたしましたところ、そういうことは考えておらないと言われておりましたが、今日の新聞によりますと、そういうことが出ておるのであります。国会における答弁よりも、新聞社に対する発表の方が政府は早いのであります。こういつたように、国会を瞞着するようなことをやつておりますけれども、これに対しては、私どもはあくまで反対するつもりであります。この二つの勅令を廃止する精神は、日本が独立して外国の支配から脱するという精神に基いて廃止するとするならば、これにかわるべき土地収用法の改悪というようなことは、当然あるべきものではない。こういうふうに考えるのであります。従いましてそういうことのないように嚴重に政府に要求いたしまして、本法案に賛成するものであります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/4
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005・松本一郎
○松本委員長 これにて討論は終局いたしました。これより採決いたします。本案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/5
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006・松本一郎
○松本委員長 起立総員。よつて本案は、原案の通り可決いたしました。
この際お諮りいたします。本案に関します委員会の報告書の作成等に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/6
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007・松本一郎
○松本委員長 御異議なしと認めて、さようとりはからいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/7
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008・松本一郎
○松本委員長 次にポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く建設省関係命令の措置に関する法律案、内閣提出第二六号を議題といたします。本案も前会において質疑は終了いたしております。
これより討論に入ります。通告順によつてこれを許します。村瀬宣親君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/8
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009・村瀬宣親
○村瀬委員 この法律案は、ポツダム、宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く建設省関係命令の措置に関するものでありますが、講和の発効後においても、政令第三百二号として提出されました空中写真の利用等に関する政令を、そのまま法律として残しておこうというのであります。この政令第三百二号の中を見ますと、第十七條に、「第三條又は第四條の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。」とあります。この第三條、第四條はどういうものかといいますると、「空中写真は、地理調査所において複製する場合の外、何人も複製してはならない。」という事項と、「空中写真は、この政令により地理調査所の長が交付する場合の外、何人も他人に交付し、貸與し、又は讓渡してはならない。」という條項があるわけであります。すなわちこの第三條、第四條に違反いたしますと、一年以下の懲役に処するというような條項が法律になつて今度現われるのでありまするが、自分の住んでおる町や村を空中から写真をとつて、それを複製したり他人に貸したりすれば懲役に処するというようなことは、もし国民が独立後の自分たちの立場を考えましたときに、かような法律があるということは、はたして日本は独立したのであろうかどうかという非常に悲しい思いをいたすに違いないと思うのであります。しかしながらこれはもともとGHQから借りたものでありまして、これをもし日本がみずから空中写真を許されてとつたという場合におきましても、全国五万枚、一枚が七十ドルを要するというのでありますから三百五十万ドルを要し、十二億数千万円の金がかかるということに相なるのであります。空中写真は鉄道の建設、ダムの築造、大規模の土地改良等にはなくてはならない重要な基礎資料でありまして、国土の開発を一日も早く念願しておりまする日本の現状よりいたしまして、この空中写真を利用するという点は、あらゆる犠牲を忍んでも方法を講じておかねばならない喫緊の問題であると存じまするので、私はこの條項の中に遺憾の部分があることを銘記いたしました上で、本法案に賛成をいたすものであります。ただここで特に條件的に申し上げておかねばならないことは、この政令の中には、当然日本の独立後名称をかえねばならないところもあるのでありまして、できるだけ早い期間におきまして、この単なる一枚の紙を他人に見せたからといつて懲役に処せられるというような、独立国として疑いを持たれるような苛酷な條項は、一日も早くこれを日本独自の立場において改正せぬばならないと信ずるものであります。以上の観点よりいたしまして、私は改進党を代表いたしまして本法案に賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/9
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010・松本一郎
○松本委員長 前田榮之助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/10
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011・前田榮之助
○前田(榮)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となつておりまするポ政令廃止に伴う建設省関係の法律案につきまして、條件を付して賛成するものであります。ただいま村瀬委員から申されました通りに、このポ政令に伴う政令が継続して実施されることになりますると、いわゆる第十七條の罰則が生きて行くことは日本国民として、非常に遺憾の意を表さなければならないと思うのであります。従つて政府は近き将来において独自の法案を提出され、そうしてその空中写真を厳重に保存する方法は、罰則によらないで行政機関の責任においてこれを保存し、有効適切に使用するようにすべきものであるという観点から、この一年以下の懲役または三万円以下の罰金などというような罰則を付さない法律になることを希望して、本案に賛成するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/11
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012・松本一郎
○松本委員長 池田峯雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/12
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013・池田峯雄
○池田(峯)委員 共産党はこの法案に反対であります。第一に、占領軍命令は、これは当然独立国になるならば廃止さるべきものであるという原則に立つからであります。そもそも空中写真の原本を先方から借りましてこれを複製するという場合においては、その紙も、薬剤も、機械もみな日本のものであります。日本の金でつくりたものであります。従いましてこれが借りているものであるというりくつは、どこをついても普通の常識では了解できないのであります。まつたく無形なものを借りていることになるのであります。印画紙に焼きつけられたその映像が借りたものである。こういう無形なものを借りたということによりまして、そして国民がそのために非常な束縛を受けるのであります。何でもこの空中写真を保管する場合には、これまで非常に嚴重な監督が外国人によつてなされていたそうでありまして、保管がおろそかであつたという理由によつていろいろ迷惑をこうむつたので、もうあぶなくてしようがないから金庫の奥底深くしまつておこう、こういつたような例もあるやに聞いておるのであります。そういつたような空中写真を利用するというような法律を存続し、そのためにこれをみだりに複製し、あるいは亡失したというような場合には一年以下の懲役または三万円以下の罰金に処せられるというような、こういつた法律は当然廃止さるべきものである、こういう考えでこの法案に反対するものであります。
それで第三條に「何人も複製してはならない。」とあります。これに対しまして地理調査所長が答弁したところによりますと、第一に金がかかるから、あるいは狂いができるからである。だから一年以下の懲役または三万円以下の罰金に処するのだ、こういう御答弁でありましたけれども、まつたくこれはなつていない答弁だと思う。全然これはなつておりません。金がかかるから、だから複製すると一年以下の懲役、三万円以下の罰金だなんて、こんなことはまつたく子供だましの答弁といわねばなりません。また狂いができると言われますけれども、日本の写真技術は相当進歩しておりまして、地理調査所で焼いたものと、ほかの写真屋さんで焼いたものとが、それほど重大な誤差を生ずるというようなことも考えられません。よしんば狂いがありましても、地理調査所にいたしましてもどこの建設工事所でも、三角点測量をやつております。この三角点測量が基本なのでありまして、空中写真による地図作成が基本ではないはずであります。でありますから多少の狂いが生じましても、地図を作成する場合には何ら支障がないものというふうに考えられるわけであります。ではなぜこういうふうに罰則を設けるかと申しますと、明らかにこれは軍事的な意味を持つているからだと考えられるのであります。すなわち本法は、軍機保護法の一つの遺物であると考えざるを得ないのである。新たなる軍機保護法が講和後も日本に存続するということに対しまして、私どもは日本の自由と独立を守る立場から、絶対に反対をするものであります。
以上反対討論を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/13
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014・松本一郎
○松本委員長 田中織之進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/14
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015・田中織之進
○田中(織)委員 日本社会党第二十三控室といたしましては、本案に対し反対の意思を表明いたします。
と申しますのは、これは御承知のように占領中の法令でございまして、占領中の法令がそのまま講和後も国内法として存続するということについては、われわれ納得することができないのであります。この点については先般の委員会においても建設省関係の政府委員にただしました通り、たとい日本政府が占領中に連合軍最高司令官から貸與を受けたものといたしましても、講和後になりますればその貸與を受けたものを日本の自主的な管理にまかすように、これは当然今日までに何らかの交渉もされておらなければならない。講和條約のいろいろの規定を推し進めて参りますならば、占領中の占領軍の軍事的な必要から見たこういう強力な統制、ことに第十七條にありますような一年以下の懲役というような体刑まで科する罰則を設けることは、室中写真の模写あるいは複製保存等の問題については、私はその必要はないと考えるのであります。今日日本の地図の作成その他に関する技術の問題も相当進んでおるわけでございますから、また平和文化国家としてある程度の模写も進んでおることでもあるしいたしますから、そういうものによつて連合軍からひもをつけられた形において今後の日本の産業あるいは文化その他の関係に必要な地図を作成する上において、こういう罰則まである強力な統制をする必要は断じてない、かようにわが党は考えますがゆえに、本法律案に対しましては反対の意思を表明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/15
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016・松本一郎
○松本委員長 これにて討論は終局いたしました。
これより採決いたします。本案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/16
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017・松本一郎
○松本委員長 起立多数、よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
この際お諮りいたします。本案に関します委員会の報告書の作成等に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/17
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018・松本一郎
○松本委員長 御異議なきものと認めてさようとりはからいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/18
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019・松本一郎
○松本委員長 続きまして建設行政一般に関し質疑をいたしたいということでございますので、これを許します。田中織之進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/19
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020・田中織之進
○田中(織)委員 実は今朝の新聞で承知したのでありますが、建設省においては今回の行政協定の進行に関連をいたしまして、土地收用法の改正をいたすということが本日の新聞紙上に伝えられておるのであります。この点について建設省はどういう準備を進めておるのかということを伺いたいのであります。
本日私がこれをお伺いいたしますのは、本日の委員会の冒頭におきまして、やはりポ勅に基いて発せられた特別調達庁関係諸命令の廃止に関する法律案が可決せられておるのであります。わが党といたしましてもこの案には賛成の態度をとつておるのでありますが、この法案の審議に関連いたしまして当該の岡野国務大臣からは、行政協定に基き今後土地あるいは工作物等の使用、收用というような問題が起る場合におきましては、あくまで自主的な契約に基いて行うということが言明せられおるのであります。われわれはその意味において特別調達庁関係の要求物資の調達令及び土地工作物の収用令を廃止することに賛成をいたしたのでありますが、そういう法律が議会に出されておるこの会期中に——本日の新聞によりますと、土地収用令の、特に駐留軍からの要求に基く土地その他の収用を迅速にやるために、現行の収用令をさらに強力なものにすることがきめられているのでありまして、この点は岡野国務大臣の答弁と、建設省の関係で計画を進めておることとの間に大きな食い違いが出て参つておるのであります。行政協定を政府が秘密裡に進めておる、その内容において、たとえば駐留軍の演習地その他の関係において厖大な農地が買収されたりすることについては、われわれ反対の立場において、占領中にありましたこういう強力なる収用法規は廃止することに決定をしたのでありますが、それが決定されるかされないかの瞬間に、土地収用令の改正において同様な目的を達する強力なる措置を講じようということについては、われわれ納得ができませんので、建設大臣が幸いお見えになつておりますから、土地収用令については政府はどういうような構想でこれを改正するのか、われわれの立場から言えば改悪になるかもしれませんが、この点について建設大臣の所信を伺つておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/20
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021・野田卯一
○野田国務大臣 ただいまお尋ねの件につきましては、私はまだどちらの方からもそういう問題について相談を受けておらないのであります。ここで承るのが初耳でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/21
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022・田中織之進
○田中(織)委員 建設大臣がまだお聞きになつておらないということでありますれば、これ以上御質問申し上げることは差控えたいと思うのでありますが、これは特別調達庁関係の法律案の審議のときにも相当問題になつておる点でございますので、もしも土地収用令のその他の目的による改正案が出て参りますならば、われわれも十分審議をして態度を決定したいと思うのであります。かりそめにも本国会において特に委員会において廃止を決定したと同じ内容のものが、別な法律の改正で出されることのないように、建設大臣においても努力せられんことを要請いたしまして、私の質疑はこれで打切つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/22
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023・村瀬宣親
○村瀬委員 建設大臣がお見えでありますから伺いたいのでありますが、かねてから当建設委員会が国土計画常任委員会時代からの要望であり、熱願でありました大国土省、総合開発を意味するすべての陣容を一所に集めました能率的な国土開発のできる機構をつくりたいという念願を、当委員会は五年以来主張して参つたのでありますが、野田建設大臣は行政機構の改革について今重要な責任を持たれて、すでに成案も得られ、着々進行しておると伺つておるのでありますが、同時にまた一部にはいろいろとそれに対するセクシヨナリズム的な観点から反対を唱えられておる向きもあるやに聞いておるのでありますが、行政機構改革、いわゆる各省の統合という点について、どの程度まで成案を得ておるのでありますか。またこういう大問題になるといろいろな意見が各省から出ると思うのでありますが、それらに対しどこまで腹をきめて行政機構の改革を進められておるか、御決心のほどを一緒に伺つておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/23
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024・野田卯一
○野田国務大臣 行政機構の根本的改革については、御承知のように自由党内閣の根本施策の一つでありまして、先般の総理大臣の施政方針演説の中にもそれをはつきり申し上げておるのであります。この行政機構改革の案は、行政管理庁長官を兼務しておられる木村法務総裁がおやりになるのでありますが、私もそのお仕事のお手伝いをしておるというような実情であります。案の内容等については、まだ政府部内において検討中でございまして、この席でその統廃合をはつきり申し上げる段階にまだ至つておりませんことを御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/24
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025・村瀬宣親
○村瀬委員 それでは野田大臣としての御意見を承りたいのであります。政府できまつたということはまだ発表の時期でないということでありますが、一体港湾関係あるいは山林砂防、渓流砂防等の砂防工事を一貫するという意味においての林野の問題、あるいは水道等の問題もあるはずであり、また建築、営繕等の統合の問題も多年論ぜられて来ておるのであります。こういう部面に対して、名称も国土省というようにかわつて行くならば、少くともどの程度のものを最小限度統合すべきであるというお考えを持つておるのでありますか伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/25
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026・野田卯一
○野田国務大臣 私の個人の意見を言えということでありますが、行政機構改革の立案に当つておる私として、個人的な意見を申し上げることもいかがかと存じますので控えたいと思います。なお村瀬委員から御希望がありましたならば、御意見の開陳を得れば仕合せだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/26
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027・村瀬宣親
○村瀬委員 せつかく意見の開陳を求めるというのでありますから黙つておる手もないと思うのでありますが、当委員会におきましても速記録に残つておりますように、国土の開発には資材、人員、技術その他の点を考えても、むだな費用を使わないでやることを申し上げておるのであります。京都の平和池で流されて大勢の人が死んだ事件がありましたが、そういう点を防ぐ意味におきましても、川の源から海へ達するまでの工事をすべて一箇所において行うというのが、最も能率的であり国費のむだを省くゆえんであることは、当委員会が一致して多年主張して来ておるのであります。野田建設大臣はその線に沿うていろいろ新聞にも御発表になつておるのだと私は考えておるのでありまするが、きようは非常に遠慶なさつて、何もおつしやらぬようであります。なわ張り根性を離れて考えまするときには、国土の再建にはどういう機構が一番よいかという結論を得ることはたやすいものであると思うのであります。もう少しはつきりした建設大臣の意向をこの際御発表になることが、国土省を生み出す一つの原動力になるのでありまして、当面の関係者である野田建設大臣があまりに遠慮なさると、せつかくできかかつておるものもできないというようなことにならぬとも限らないのであります。この際ひとつ大胆率直な御意見を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/27
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028・田中角榮
○田中(角)委員 関連して……。野田建設大臣は直接関係者でありますので意見を述べられないということは当然と思います。これは與党から応援をやるわけじやありませんから、村瀬君にはひとつ御承知いただきたいと思いますが、今行政機構の改革、特に建設行政の一元化ということに対しまして、閣内においてその担当の一員としておられる野田建設大臣に対しまして、所信を伺うというよりも、かえつて本委員会過去の事情を御説明して大臣の奮起を促し、応援を申し上げたい、こういう意味で私の意見を簡単に申し上げておきます。
行政機構の改革が、多年歴代内閣によつて叫ばれて参つたわけでありますが、これは結論酌には全部うまく行かなかつたわけであります。その原因は官庁間のセクシヨナリズムによつてできなかつた。やろうとするとこれが全部内閣の命取りになるということでありました。終戦後は第一次吉田内閣、片山内閣、芦田内閣、吉田内閣というふうに、行政整理は與野党ともずつとこの問題を取上げておつたのでありますが、第二次吉田内閣から本格的に行政機構の整理が始められて参りました。多年の懸案であつたこの大事業も、二百八十数名の與党になつた現在、やつとその改革ができ得るということが見込まれるような状態になつたのでありまして、これは衆参両院議員ばかりでなく、国民注視の的であります。この問題におきまして当委員会は、行政整理の実効をあげる第一の段階としては、ともかく建設行政の一元化をはかることができなかつたならば、行政機構の一元化はできない。これはいろいろの過去の例を調べてみますと、建設行政が各部門に全部存置せられておりますために、これを統合することに対して大きな反対があつたわけであります。特に建設の問題に関しましては、終戦後の行政機構の再編にあたりまして、実際上あるところはこの機構が非常に大きくなり、ある場合には農林省に建設局が設けられ、開発庁までつくろうとしたことがありましたが、当委員会の反対によつてこれが未然に阻止できたというような事情もあります。申し上げればまだたくさんあるのでありまして、教育委員会法の一部改正法律案によつて、教育委員会においても建設関係の事務を担当しようというような法律案がたくさんつくられたのでありますが、本委員会一致の結果、建設行政に対する逆行論は全部封殺せられて今日まで参つたのであります。建設行政の一元化すなわち国土省をつくるという問題に対しては、本委員会は五、六年間蒸し返し押し返しやつたのであつて、今もお話がありました通り、最後に国土省ができるというときに、農林省の林野庁関係及び当然建設省の部門に含まれるべきところの運輸省の港湾局関係の逆行するような案も流布せられております。建設省の住宅局が厚生省に移る、こういうような案でありますとか、まつたく自由党が手をつけておる、また内閣が非常に大きな仕事としてやつておられるものが、中途半端でもつて終るというようなことがあつたならば、これこそまつたく千載一遇の好機会を逃がすおそれがあるのでありまして、当委員会としては非常に大きな関心を持つておるわけであります。この委員会ほど建設行政の一元化を初め行政機構の改革に熱心であつた委員会はないと思います。あらゆるものに対して與野党はともに一致協力して、本委員会から合同審議を申し込んだ法律案であつても、しかも行政機構の簡素化に逆行するような法律案は全部たたきつぶして来たのであります。これはオーケーをとつて、自由党の党議が決した内閣提案の法律案まで審議未了に終らしたというほどの強い立場をとつて来たのであります。私どもは、明敏な建設大臣でありますので、これが万全を期せられますことについては、危惧の念は全然持つておらないのであります。当委員会としては委員会所管の事項をふやしたいというような考えではなく、とにかくあらゆる意味において行政機構の改革というものは、第一番目に官庁営繕の統一、第二には建設行政の一元化である。これを一つのものにまとめ上げたならば、自然的に建設行政の複雑多岐なるものは単一化されるという持論を持つておるのでありまして、御自分が建設大臣であり、特に国土省関係のものに対しては御主張なりかねるような場合もあるでありましようが、一建設大臣ではなく、国務大臣として行政機構の改編の重任に当つておられるという決然たる御自信をもつて強くお進みあらんことを希望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/28
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029・松本一郎
○松本委員長 この際委員長より一言建設大臣にお願いをしておきたいと思います。行政機構の改革、国土省設置案については、当委員会としてはその職責上非常に重大な関心を持つておることは、先ほど来の質疑によつて表われております。ことにこの行政機構の改革については、政府部内でも建設大臣は幸いにも重要なる職につかれておるようにも承つておりますので、今後建設委員会の機会のあるごとに、委員から御質問がありました場合には、許されるだけその内容等について大臣からの御答弁を煩わし、委員会とともども協力して大国土省建設の理想に進むことを委員長からもお願いいたしたいと思います。
本日はこの程度で散会いたしまして、次会は追つて公報で御案内いたします。
午後二時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X00719520219/29
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