1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年四月十六日(水曜日)
午後一時四十六分開議
出席委員
委員長 松本 一郎君
理事 鈴木 仙八君 理事 村瀬 宣親君
理事 前田榮之助君
逢澤 寛君 宇田 恒君
小平 久雄君 高田 弥市君
篠田 弘作君 西村 英一君
増田 連也君 池田 峯雄君
佐々木更三君
出席国務大臣
国 務 大 臣 岡野 清豪君
出席政府委員
特別調達庁長官 根道 廣吉君
総理府事務官
(特別調達庁財
務部長) 川田 三郎君
総理府事務官
(特別調達庁
管理部長) 長岡 伊八君
委員外の出席者
総理府事務官
(特別調達庁長
官官房企画課
長) 沼尻 元一君
総理府事務官
(特別調達庁管
理部不動産管理
部不動産補償課
長) 鈴木 昇君
專 門 員 西畑 正倫君
專 門 員 田中 義一君
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四月十五日
土肥、沼津間道路改修工事施行の請願(畠山鶴
吉君紹介)(第二一八五号)
熱海、泉間道路改修工事施行の請願(畠山鶴吉
君紹介)(第二一八六号)
伊東、吉田間を観光道路等として改修工事施行
の請願(畠山鶴吉君紹介)(第二一八七号)
伊豆、大仁間道路幅員拡張等の請願(畠山鶴吉
君紹介)(第二一八八号)
道路法改正案中特別負担金の條項削除の請願(
坪内八郎君紹介)(第二一九〇号)
国際観光温泉文化都市として伊東市に国庫補助
金交付の請願(畠山鶴吉君紹介)(第二一九一
号)
国際観光温泉文化都市として熱海市に国庫補助
金交付の請願(畠山鶴吉君紹介)(第二一九二
号)
新丹那トンネルを有料観光産業道路として開設
促進の請願(畠山鶴吉君紹介)(第二一九三
号)
県道三成三次線幅員拡張工事促進の請願(船越
弘君紹介)(第二一九四号)
行政協定による駐留軍の物資及び役務等調達に
関する請願(松岡駒吉君紹介)(第二二〇五
号)
同(加藤充君紹介)(第二二二四号)
同(黒田寿男君外三名紹介)(第二二二五号)
国東半島海岸堤防の災害復旧工事促進に関する
請願(西村英一君紹介)(第二二一一号)
三島、修善寺間道路幅員拡張の請願(畠山鶴吉
君紹介)(第二二一二号)
熱海、大場間を観光道路として改修工事施行の
請願(畠山鶴吉君紹介)(第二二一三号)
伊豆天城山、上大見間を有料観光道路として開
設の請願(畠山鶴吉君紹介)(第二二一四号)
伊豆松崎、子浦間道路改修工事施行の請願(畠
山鶴吉君紹介)(第二二一六号)
伊東市、修善寺間を観光道路として改修工事施
行の請願(畠山鶴吉君紹介)(第二二一七号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
連合審査会開会要求に関する件
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約
第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等の使
用等に関する特別措置法案(内閣提出第一六四
号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/0
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001・松本一郎
○松本委員長 ただいまより建設委員会を開きます。
本日の日程に入ります前にお諮りいたしたいと存じます。すなわち国土総合開発法の一部を改正する法律案が経済安定委員会の付託となり、審議をいたしておるのでありますが、本法案は当委員会の所管国政調査事務と緊密なる関係がありますので、経済安定委員会に連合審査会開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/1
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002・松本一郎
○松本委員長 御異議なきものと認めさようとりはからうことにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/2
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003・松本一郎
○松本委員長 昨日に引続きまして、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法案、内閣提出第一六四号を議題といたします。前会に引続き質疑を続行いたします。篠田弘作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/3
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004・篠田弘作
○篠田委員 ただいま上程の日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法案、この問題に関連いたしまして、この問題に入る前に私から特別調達庁長官に二、三御質問したいと思います。
それは連合軍により接收されました土地建物で、すでに解除されあるいは近く解除される段取りになつておるものがたくさんありますが、その土地建物の使用権の復帰についてであります。これは先般の委員会におきまして、私からこの使用権がどういうふうにしてだれに返されるのかという質問をしましたときに、契約者に返す、こういうお答えであつたのであります。ところがこの契約者というのが、御承知の通り戰災をこうむりまして地上の使用権を持つております。あるいは借家権を持つておるにもかかわらず戰災を受けて地方に疎開しておるといつたようなことで住所がわからない。わかつておつても手続に手間がかかるというような事情から、直接土地所有者と契約されたところが非常に多くて、土地の場合には東京都内で百六十三件、建物の場合が千八十六件あるということが東京都知事から報告されております。そのうちビルディングが百九件、住宅が七百六件、その他が二百七十一件です。ところがこれは今東京都ばかりでなく、全国的な非常に大きな問題になつておりまして、契約者が大体において地主あるいは建物の所有者ということになつておりますために、その使用権を持つておつた人がそれを使用しようとしても、地主あるいは家主においてこれを使用させないという事件が非常に多い。そこで都知事からも、この問題につきましてはすでに政府に対して陳情が来ております。また個々の、いわゆる借地借家権を持つておる人々からも、それぞれの筋に陳情が行つておるけれども、この問題は依然として解決しておらない。一体こういう大きな全国的な問題が今日までどういうわけで解決しないのか。また解決するのにはどういう方法で解決されるのか、それをまず第一にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/4
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005・根道廣吉
○根道政府委員 ただいま御質問のような事例が多々ございまして、そのために土地に関する地上権等の権利を持つておる人たちが、いろいろな迷惑をこうむつておるという実情にあることは、私どももよく承知いたしておるのであります。しかしながら過去のいきさつといたしましては、土地の所有者と、土地の担当の——東京におきますれば東京都との間に契約が結ばれまして、返すときには、その関係上、土地の所有者に返つて来るわけであります。その返つて行くときになりまして、そこに持つておりました地上権等がどうなるかという問題があらためて起るかと存じます。しかしながら私どもの考え方といたしましては、その地上権に関して、将来地主なり、地上権者との間に争いが起りましたならば、地主権、地上権は消滅したものだという説をなす場合があるかと存じます。そういうような場合におきまして、私どもとしては、それが接收を受けた結果、その権利に影響を来したのだということに相なりまするならば、これは何としても相済まぬことでありますので、これに対してはしかるべき方法を立てなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/5
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006・篠田弘作
○篠田委員 これは、農地解放の例をとつてみてもおわかりの通り、長年その土地を耕作しておつた小作人は、今日すでに土地の所有権者になつておる。問題は非常に似通つておるのであります。先租代々、たとえば三代も四代にもわたつて、銀座なら銀座の土地を借り受けて商売をしておる人がたくさんおる。あるいはそんなに長くなくても、数十年にわたつて東京都内においてあるいはまた全国において、土地というものを基盤として商売をしておる人がたくさんおる。それが、国が敗戰の結果、進駐軍によつて使用されたということは、これは個人の問題じやなくて、国家の一つの問題であると思います。そこで国家としてもそれを守るために——戰時中いわゆる臨時処理法というものがございましたが、それが戰時中の法律であつたために、戰後において罹災都市借地借家臨時処理法というものを新しくつくつて、借地人あるいは借家人の権利を守つておる。この罹災都市借地借家臨時処理法の第二條によりますと、直接地主がその土地なら土地というものを自分が使う場合、あるいはまた住宅が燒かれて家主がそのうちに住む、あるいはそこで商売をするという直接の場合以外は、借地借家人の申出に対して拒否することができないということが條文の上にはつきりうたわれておる。そういう法律が片方につくつてありながら、たまたま借地人がわからなかつたということは、言いかえれば、当時の特別調達庁という一つの中間機関がそれを調べなかつた、あるいは調べるにしてもひまがなかつたということになると私は思いますが、いずれにしても、権利者の、使用権を持つている者の責任ではない。そういう国家あるいは政府機関の一つの手落ちあるいは怠慢というようなものによつて起つた被害が、直接そういう権利を持つた者に行つたが、それに対して国家が何ら補償も仲介の労もとらないで、ただ裁判所の判定にまかせるような行き方は、きわめて不親切であり、また民主的ではないと考えるが、その点あなたはどういうふうに考えられるか。あなたは調達庁の長官だから直接の責任者だ。従つて議会におけるただ筋が通つておればそれでよいというような答弁ではなしに、今後どういうふうにそれを処理して行くつもりであるか、それをひとつ答弁願いたい。あなたの腹構えあるいは決心というものもひとつここで言つてもらいたい。法律の上では、今言つたように明らかに罹災都市借地借家臨時処理法によつて権利を守られている。ただ個人々々に分散しておるから、また労働組合のように団結権がないから、政府に対する一つの大きな圧力となつたり、あるいはまた運動となつて出て来ないだけであつて、そういうものが来ないからといつて、政府はただ裁判所だけにまかせてしまつて処分をしたならばよいというものではないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/6
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007・根道廣吉
○根道政府委員 ただいまの説のごとく、裁判所にまかせておくという考え方は毛頭持つておりません。ことに接收に関連して一般国民が損害を生じたという事実があれば、これは何とかして補償の責に任じなければならぬと考えております。今日までいろいろ各方面の陳情等を受け、何とかしてこの救済処置を講じたいとも考えております。場合によりましては、法令等を設けてそういう権利を保護するという方向にまで行こうと思つて、現在でもいろいろ研究中でありまして、まだ的確な御答弁をする案を立てるまでに至つておらぬのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/7
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008・篠田弘作
○篠田委員 何か法令を設けてとあなたはおつしやるが、法令はちやんとできておるのではないのですか。罹災した者の関係については、当然この法令に準拠してやればよい。罹災しなければそんなに土地をあけて行くわけはない。そういう関係については法律はできている。ただこの法律をどういうふうに適用するかということが問題であるから、あらためて法律をつくる必要はごうもないと思う。罹災都市借地借家臨時処理法を適用することによつてこの問題を解決すると思う。それから何とかしてというような考え方は、一体何とかというようなこんなあやふやな答弁では、私は満足して引下りません。何とかしてなんていうことは実に無責任な考え方で、何とかなるものなら今日までにすでに何とかなつていなければならぬ。そこで何とかしてという意味はどういう意味か。また具体的に言えば、この問題について都知事から政府に対して陳情が出ているはずだが、この陳情の取扱いをどういうふうにやつておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/8
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009・長岡伊八
○長岡政府委員 率直にお答え申し上げます。この問題については、先ほど長官からも申しました通り、非常な御迷惑をこうむつている方のあることも承知いたしております。なお関係の方々からもいろいろお話も伺つております。東京都とも相談をいたしたのであります。この問題は、ただいま法律はできておるから法律はいらぬというお話もございましたが、この法律によつて救済されるものでございますならば、ただちにこれによつて手続をいたしますならば救済されるということは想像できますけれども、この問題につきましては、実は問題の考え方が二点ある。この接收という措置によりまして、借地権なり地上権のようなものが損害を受けた、あるいは消えた。これによつての損害の賠償をする方法、接收中はそういう借地権の実行ができませんので、いわば眠つておつたとも見ることができますが、それを生かす方法として、関係者の方々の御希望は、元の通りに住めるように、そこに店舗が開けるように措置をしろ、こういう御要求が強いのであります。ごもつともな御要求だとわれわれも考えたのでございます。もちろんただいま申し上げた損害賠償の問題になりますならば、かりにこれが訴訟に相なりますならば、政府はその結果に基いて補償をいたさなければならぬのであります。今この権利を元通りに生かすという御要求がありますので、われわれも実はいろいろ研究いたしました。でき得ることならただいま提出して御審議をいただいておるこの措置法の中にも、そういつた規定を入れたらどうかということも考えたのでございます。立案もいたしてみました。ところが御承知の通りに、接收されてから相当な年数がたつております。従いましてその後の法律の秩序というものもございますために、この立法をいたしますためには各関係庁とも十分協議をして、話のまとまつたところで法律案を提出することになるのであります。ただいま申し上げましたようなことも一つの原因でございますし、戰争によつてほかのことで非常な迷惑をこうむつておられるところもある。これもあわせて考えなければ行くまいというようないろいろ議論が出まして、われわれとしては、先ほど長官から申し上げました通り、でき得ることならこの権利を生かす方法を講じたいということで、関係者の方ともずいぶんお話をし相談をいたしたのでありますが、ただいま申し上げますような事情もございまして、いまだ別な法律を提出するというところまで取運んでおらぬのが実情でございます。この問題について何らわれわれは等閑視しておる次第ではないのであります。この上ともでき得る限りの力は盡したいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/9
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010・篠田弘作
○篠田委員 私はただいま議題になつておりますところの日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法案というものと、今私が申し上げておる問題との間に不可分なる関係があると思つておる。今こういう法律を新しくつくつて、また地主なり借地人なりの権利をこの行政協定によつて一応取上げられるかつこうになる。しかるに過去においてその善後処置というものが、今調達庁長官並びに政府委員から言われたように、何も講ぜられておらない。ただ関係方面と十分の協議をした、あるいはほかにも迷惑をしておるものがあるのだから、そのくらいな迷惑はにらみ合してあたりまえではないかといつたような解釈をしておられる。ほかに迷惑というのはどういう意味であるか。なるほど戰争によつて死んだ人もあるだろうし、親を失つた人もあるだろう。しかし戰争の直後といえども日本には法律がなかつたわけではない。戰争に負けたからといつても、法治国であるから法律によつてあなた方は仕事をしておられたと思う。それならば接收されたのは当時の法律によつて接收され、あるいは契約された。これをまた当然法律によつて変更するなりあるいはその権利を保護してやるべきものである。関係方面と協議したといいましても、関係方面とはどういう方面であるか。單なる役人の間で協議しても、国民の基本的な権利がそれによつて守られない。協議したから責任は解除されるというものではない。もしそういうことが解決されないで次の法律をつくるということになれば、何ぼ政府がそういうことを要請しても、前にこういう事例がたくさんあつて、とてもこんなことは実行されないのだ、だから私の土地は遺憾ながら政府の要求に応ずることはできないといつた場合に、政府はただ法律に基く権限によつて、それを国民から取上げたり、あるいは無理にそれを使用したりということができるのかできないのか。これはすべて過去の問題が解決しておらないというところに今後の新しい法律をつくる上に重大な影響があると思う。あなた方怠慢でないというが、私から見ればあなた方ははつきりと怠慢である。関係方面と協議したというが、関係方面というのはどういう方面と協議したか、それをはつきりしてもらいたい。またそれをはつきりしない限り、今後国民が政府に対してそういう要求に応ずることができないといつた場合に、あなた方はそれに対してどういう処置をとるおつもりであるか、それをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/10
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011・長岡伊八
○長岡政府委員 関係方面と協議したと申しますのは、実はこういう問題になりまして法律的措置をとるということになりますと、もちろん法務府とも相談いたしております。そこで私も法律の専門家ではありませんが、今日の法律秩序をどういうふうに維持することが一番妥当であるかといつたような法律解釈の問題になりますれば、しろうとの私が申し上げますよりも、法務府の見解をおただしくださるのも一方法と存ずるのであります。われわれは決して責任を回避するとかどうとかいう態度ではおらぬつもりであります。この問題は、実は接收の当初は、皆さん御承知の通り進駐軍が上陸して参りまして、一体どういうことになるのかわからぬ状態の当時で、もちろん当時特調というものはできておりません。東京で申しますれば東京都、地方では各府県が進駐軍と同道したしまして、この家を貸せ、こういつたことから起りましたのが実情でございます。これは今日から見まするならば、あるいは強制的に取上げた、脅迫したといつたことも起るのでありますが、当時といたしましては、実は皆手をあげておつた状態であります。進駐軍といたしましては、その権力に基きまして、家なり土地を接收する権力を持つてりおました。その跡始末を日本政府に契約の形でまとめろ、こういうことに相なりましたので、当時東京都なり特調が引継ぎまして、わかつております権利者と契約をいたしまして、地代なり家賃を支払つてくれという措置をとつて来たのであります。そのときに、ただいま御質問の通りの権利者なるものがそのままになつておる、こういう関係に相なつておりますので、新しくただいま提出いたしております法律におきましても、場合によりますと、同じような関係が起るのであります。折衝しようといたします土地にやはり賃借権その他がついておりまするので、同じ関係が起るのであります。これにつきましてはいろいろな場合を想像できますので、今後といたしましては、この條約発効という時期を画しまして、この法律適用をいたします上におきましては、そういう権利者の権利侵害ということのないように、万全の措置をとるつもりでございますが、何分にも先ほど申し上げました通り、過去の分につきましては終戰直後、いわばどさくさに軍が入つて来まして、どかされた。これを特調が引継ぎました関係上、そのままになつておつた次第でございまして、救済の方法としてはただいま申し上げました通り、新しい立法をいたしまして、旧権利を生かす、あるいはできなければ、その措置によつて権利者に損害を與えるものなら、損害を賠償するということの二方法よるほかにないのであります。ただ関係方と協議しただけだというおしかりをこうむりますけれども、これはわれわれといたしましては、率直に申し上げますが、非常にお気の毒に存じますので、できる限りの措置をとりたいというので、実はわれわれといたしましては案も書いてみたのであります。これが先ほど申し上げます通りに、いろいろ意見が出て参りまして、まだその法律を別に提出いたしますとか、この法律の一部に加えるとかいうことができなかつたことを、非常に私としては遺憾に存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/11
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012・篠田弘作
○篠田委員 政府委員の説明によりまして、新しくできる法律にはそういう間違いが起らぬようにやるという御説明はよくわかりました。ただ借りた当時の実情が、ただいま政府委員の御説明の通り、われわれも当時の状況というものはいやというほど知つております。従つて借りた当時の実情というものは、非常に困難な実情であつたということも了承できますし、進駐軍が軍の権力によつてほとんど、威嚇的という言葉は適当でないかもしれないけれども、強行して、ここをこれだけモーター・プールにするとか、この建物はおれが借りるとかいう実情を、われわれはそばにはいないが、想像にかたくありません。あなた方の御苦心も私にはよくわかります。しかし今後、できるものは補償せられて、過去のものは終戰のどさくさであつたから、政府の責任がどさくさによつて回避せられるというものでは私はないと思う。少くとも日本の本土において戰争が行われておつたということであるならば、これは了承できるけれども、條約によつて進駐した軍隊との契約であつて、戰争の直後、もちろん戰争の延長ではあるけれども、同じどさくさでもどさくさが違うと思う。従つて今剥奪されておるところの借地人あるいは借家人の権利というものは、やはり国法によつて守つてやらなければ、国民は安心して次の法律を守らなくなる。そういう意味合いにおいてあなた方の御苦心もよくわかります。ただいま政府委員の御説明の通り、政府が中間に立つて、その被害者の救済をする。それができなければ、損害賠償を国家によつてやつてやるという措置を、でき得る限り早く、あるいは今国会中にでも、そういう法律の原案をつくつて提出されるように、希望申し上げておきます。私の質問はこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/12
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013・松本一郎
○松本委員長 それでは前田榮之助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/13
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014・前田榮之助
○前田(榮)委員 私はただいま議題になつておりまする法案について一、二質疑を申し上げたいのであります。昨日同僚委員からいろいろ御質疑があつたのでありますが、その中でごく簡單な点で繰返してお尋ねを申し上げたいことは、昨日上林山委員から、この法律の名前について特別措置法とあるが、これはほんとうの臨時措置であるから、臨時を加えたらどうかという質問があつたのであります。それに対して、各省にありまするこうした類似の法律の名前の関係等もあつて特別措置法といたしたのであつて、そこにこだわるようなそう大した意味も持つておらない、こういう意味の御答弁があつたのであります。ところがいろいろ調べてみますると、これに類似した法律には臨時特例に関する法律というような名前が随所につけられておるのであります。従つてこうした日米安全保障條約に基く問題は、日本といたしましては恒久的な問題でないことはもちろんなのでありまして、従つてこれは上林山君が言つたような特別臨時措置法ということで、ほんとうに臨時的な措置であるから、そういう法律の体裁をとることが、他の法律との均衡を保つ上からいつてもむしろ妥当ではないかと思うのでありますが、もう一度この点をもう少し明確に御答弁を願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/14
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015・根道廣吉
○根道政府委員 この名称につきましては、御承知のごとく、いろいろ法案をつくります時分には、法制意見局に配付いたしまして、一々直すわけでございます。その結果ここに特別措置法案という名前になつたわけであります。性質はもちろん私どもの考えといたしましても臨時的のものでございます。今お尋ねの、ほかの法律についても臨時措置法というものが幾つも出ておるではないかということは私も承知いたしておりますが、法制意見局におきましては、それらのことを承知の上で特別措置法と、しいて臨時という字を入れなかつたにすぎないと私は考えております。できることなら、内容は同じであるからということで、このままで御承知が願えるならば、けつこうであると思います。平仄が合わぬから、臨時という言葉は絶対必要であると仰せられることに対しては、私どもといたしまして、どうしてもそうでなければならぬというような議論を申し上げることはちよつとできないと思います。それで御了承願えればけつこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/15
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016・前田榮之助
○前田(榮)委員 ただいまの点は名前のことでありまして、内容のことでないので、あまり私も固執しようとは思いませんので、このくらいにいたしておきます。
次にお尋ねを申し上げたいのは、この安全保障條約第三條に基いて行われますところの土地その他建物等の物件についての收用、使用等に関する問題でありますが、今までの接收されたものについては、今もいろいろお話がございましたが、日本が戰争に負けて連合軍側の上陸となり、無條件降服ということになつて、日本の主権の上に一つの大きい力が加わりまして、その主権をとられて行われましたので、接收等の言葉も使われ、いざこざなしに、一時的にしても土地、建物等もとられるのだという感じでおつたわけであります。ところが平和條約が成立いたしまして、日米安全保障條約等についても、吉田総理大臣みずから、たびたび今議会においても、これは戰争に負けたということでなしに、お互いの信頼の上に立つた独立国としての條約だということを繰返されておるのであります。そういうことになりますと、接收という言葉では日本の国民の自尊心を傷つけ、こういうことであつてはならぬとわれわれは考える。日本国とアメリカとが対等の立場で條約を結んだ以上は、日本の国民に対しても、国内法で保護されるものについては対等な立場で取扱うということになりますと、接收などというようなことがあるべきものではないと思う。もちろん本法律案にはそういう言葉はございませんけれども、そういう気持で本法律を適用され、あるいは行政措置が行われることになりますと、非常に日本の国民の自尊心を傷つけ、これは吉田内閣が国民に約束をし、表明したように、お互いの信頼の立場で日本の安全保障なり東洋の平和のために行うのだということとは違つたもののようにとられるのであります。従つて私がここで御質問申し上げたいのは、この法律によつて土地の使用、收用等が行われる場合においても、その所有権者に対して大体民法上の借上げ等のいわゆる使用條件、收用條件というものを十分認めてやつて、納得さした上で行われなければならぬと思うのであります。従つてこういうような場合においては、一例を申しますと、この家を米軍の使用のために借り上げたい、一時使用したい、だからそれを提供せいというようなことになつた場合においても、所有権者がそれを承知するとか、あるいはいろいろな條件つける場合があると思うのであります。たとえば建物の中に仏間がある、この仏間は先祖の位牌を存置いたした所である。こういう所ヘ米軍が土足で上つたりいろいろなことをされては困る、ここだけは特別の扱いをしろとか、いろいろな條件を付すような場合が私はあるのじやないかと思う。かつて占領軍がやつた場合には、どさくさがありまして、そういう條件もへちまもない、遠くへ逃げて行つて、恐ろしいものには近寄らない方がよかろうというので何も言わなかつたが、平和條約が成立した後の問題についてはそういうことはあり得べきものではないと思う。そういう場合の取扱いは、依然として接收という言葉を使い、あるいはそういう態度でやられるのかどうか。この点をもう少し明確にしてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/16
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017・根道廣吉
○根道政府委員 ただいまの御質問のように、今後の土地、家屋等の提供につきましては、従来の占領軍が接收するという観念に基いては全然いたしたくはないと思います。また原則的にこれは所有者との間の話合いで、納得づくで契約を結んで行きたいと考えております。従つてその際に今仰せられたような諸條件を尊重する旨契約の中に書き入れるということも、十分考慮さるべきものだろうと私は考えております。ことに今後は従来の関係と違つて、日本政府が條約に基いてこれを借り入れて提供するという形になりますので、従来の関係とはずいぶん離れた自由さがある、また所有者の権利保護の道もあると考えております。またできるだけそういたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/17
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018・前田榮之助
○前田(榮)委員 次にお尋ね申し上げたいのは、この法律の適用は、もちろんアメリカ合衆国との関連において法律をつくられるのでありますから、その関連における米軍の駐留についての適用でなければならぬと思います。ただ現下の事情は、連合軍として英濠軍その他アメリカ軍以外の軍が日本に駐在いたし、なお朝鮮問題が片づかない関係においては、私の聞いている範囲におきましては、英濠軍は一個師団が当分駐留するといつているようであります。これはまだ表面的には明確にはなつておらぬようでありますが、事実上はそうなるものと推定するにかたくないと思うのであります。従つてこれはアメリカ軍との日米安全保障條約に基く法律でありますから、英濠軍に対するこれと類似な問題につきましては、この法律は適用できないと思う。これらに対してはいかなる処置をおとりになる予定でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/18
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019・長岡伊八
○長岡政府委員 この法律はただいま御指摘に相なりました通り、日本に駐留するアメリカ合衆国の軍隊の関係を規律いたしたものでございまして、濠州軍に対しましては、この法律を適用することはないとわれわれも聞いております。濠州軍につきましては、御承知の通りに、講和條約が発効いたしまして九十日間は、前の進駐軍としての権能が残つております。この間の土地、建物の提供につきましては、従来の契約をこの四月一日から講和條約発効後九十日までということで、一応契約の條項に基きまして延ばしております。その後の問題につきましては、これはいずれ日本国政府と濠州側で何らかの話合いがつくであろう、あるいは外務省側において相当考慮されているものだと思うのでありますが、現状におきましては、まだこの状態がはつきりいたしておりませんので、これに対する措置はまだ考慮いたしていない次第でございまして、今後の條約関係と申しますか、話合いがまとまりました上で、この措置を考究いたしたいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/19
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020・前田榮之助
○前田(榮)委員 そういたしますと、この英濠軍に対する問題は、外務省関係でお尋ねしなければならぬと思うのでありますが、今、特別調達庁といたしましては、この英濠軍関係について、そういう方面で何か見通しだとか、いろいろな調査だとかいうようなものについての資料になるようなものは、全然タッチしないからわからないという情勢なのでございましようか。まあ多少この程度まではこういう話があるのだというようなものがあるならば、この際お聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/20
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021・根道廣吉
○根道政府委員 私どもといたしましても、現実に英濠軍が将来ある期間おるというようなことになれば、何か処置を講じなければならぬと思つて、いろいろ調べて来たのであります。しかしながら責任ある筋、これは日本政府部内でももちろんでありますが、いまだ何ら具体的の話合いは進んでおらぬのであります。従いまして特別調達庁といたしましては、英濠軍に関する限り何も仕事をしない建前をもつて現在は進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/21
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022・松本一郎
○松本委員長 池田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/22
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023・池田峯雄
○池田(峯)委員 昨日村瀬委員からの質問に対しましてこういう答弁があつたように聞いております。大体この土地收用法を準用するという場合はごくまれな場合である。百のうち九十九まではお互いの折衝で何とか解決ができそうである。従つてまず百のうちの一つが強権をもつて收用するというようなことになるのであろう。こういうような答弁をされているように私聞いたのでありますが、実際にどういうことになりますか。全部強権で土地收用法を適用しなければならないことになりますか、その点をひとつお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/23
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024・根道廣吉
○根道政府委員 昨日村瀬委員の御質問に対して申し上げたのでありますが、私はたとえ話を申し上げたのです。百件の收用借上げ問題があるときに、九十九件までは話合いがうまく行つても、残りの一件というものがぜひ必要であつて、米軍側において、どうしても駐留の目的のために絶対必要だと言い、日本政府もそれをもつともだというような事態になりましたときには、やはりその一件を処理するためにも法律は必要であるというふうに申し上げたのであります。またただいまの御質問におきまして、見込みはどうか、みんなが言うことを聞くか聞かぬかというような問題がございます。実際私どもが非公式にいろいろな方面から、あるいは現在の被接收者等からの話も聞きまして、何割とはつきり申し上げかねますが、相当数は、場合によつては現在のように続いて政府に貸し上げておいてもよろしいというような意見を言うておる者もあります、中には貸しておいてもよろしいが、家賃を少し上げてもらわなければ困るというような意見を表明しておる者もあります。これは現実に具体的に折衝に入りませんでは、一々明らかにすることができないわけであります。この法律ができましてこれを運用いたします場合に、いろいろなケースがあると思うのであります。貸してもよろしいけれども、値段において不満足である。あるいは法外なる要求をするものがないとも限らぬのであります。その場合にやはり貸すという意思があつても、そういうような法令を発動しなければならぬというような場合も、相当起つて来ることがあるかとは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/24
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025・池田峯雄
○池田(峯)委員 大体日本の国民が貸してもよろしいという意思があるとするならば、こんな法律をつくる必要はない。そんならばあとは家賃の問題とか地代の問題が問題であるならば、何もそう苦労してこんな法律をつくる必要はないじやないですか。あなたたちの手腕でもつてやつたらいいんじやないですか。そのくらいのことができないという手はないじやないですか。できないということがはつきりしておるからこういう法律が出て来たのではありませんか。この点どちらなんですか。たとえば前田委員の質問に対しましては、強制的な收用、接收というようなことはやられては困る。こういうことに対しましてはできるだけそういうことはしたくない。したくないならばこんな法律はよしたらいい。ところがこういう法律を出して来るからには、日本国民は猛烈にそれに反対する。反対するから強権をもつて收用する、何が何でも收用する。こういう考えでこの法律を出して来たのじやないかと考えられますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/25
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026・根道廣吉
○根道政府委員 私の申し上げましたのはそういうようなことでございませんので、ぜひ必要である、提供しなければならぬものがある場合に、こういう法令を使用しなければできぬ場合がある。それが全体じやなくて、全体のある部分にしましても、それがあればやはりこういう法令が必要である、こういうことを申し上げたのであります。これが話合いで全部できるということが明確でありますならば、もちろん御説のごとく法令は必要ありません。しかしいろいろ人の考えというものは、その場その場においてかわつて参りますので、この法令が全然必要でないということは、私は申し上げることはできぬだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/26
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027・池田峯雄
○池田(峯)委員 ともかく必要だからこういう法律を出して来たのでしようから、それはけつこうです。あと別に追究いたしません。
法文について質問したいと思います。第三條の「その土地等を駐留軍の用に供することが適正且つ合理的であるときは、この法律の定めるところにより、これを使用し、又は收用することができる。」この「適正且つ合理的」というのはどういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/27
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028・長岡伊八
○長岡政府委員 実はこの「適正且つ合理的」という言葉は、すでに公布になつております土地收用法にある言葉なのであります。率直に申し上げますならば、それをそのままここへ持つて来たのでありますが、適正かつ合理的ということが適当な言葉として法律にも規定してあるのであります。一口に申しますならば、これを出すことが無理からぬことである、出さなければなるまいということが判断されるときに、この法律によつて提供する、こういう考え方でおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/28
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029・池田峯雄
○池田(峯)委員 私がお聞きしたがつたのは、適正かつ合理的という価値判断といいますか、それは日本人の立場に立つのか、アメリカの兵隊の立場に立つのかということなのです。日本人の立場に立てば、たとえば百のうち一つの反対があつても、反対があるということは、日本人の立場からいうと適正かつ合理的でないと判断しておるのです。アメリカの方から言うと飛行場として、あるいは軍港として適正であるとか、そういう立場でこれを接收してもらいたいと日本の政府に要求する。そういつた場合どつちの立場に立つて解釈すべきものか、こういうことを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/29
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030・根道廣吉
○根道政府委員 この場合は、この法案の表題にもありますように行政協定の関係であります。安全保障條約に基く日本の安全保障のための駐留軍であります。その駐留の目的のために米軍、あるいは米国政府においてぜひ必要であるから提供してくれぬかという相談が出て来るわけであります。その場合に日本側といたしましては、行政協定に基く合同委員会におきましてまずこれが議せられるわけであります。この場合はもちろん日米双方対等の立場においてその事案を検討するわけであろうと思います。米軍の要求に対して、日本側委員として、その場合には日本側の諸般の事情を考慮して、向うの要求を拒否する場合がないとは限らない。あるいは向うの要求の変更を求める場合もあるかもしれないのであります。しかしながら日本の防衛のために駐留軍が特に必要だと考え、また日本政府を代表する委員においてこれはもつともだ、やむを得ない、代替するものがないということがはつきりわかつておるような場合には、これはおそらく同調せざるを得ない。その場合には日本政府としても適正かつ合理的の場合と考えざるを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/30
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031・池田峯雄
○池田(峯)委員 この行政協定できまつたことについて、合同委員会のようなものが、一つの飛行場なりその他の軍事基地建設の計画をやるとしても、この法律を実行するのは調達局である。調達局が適正かつ合理的であるというふうな判断をするのが、この法律にうたつてあるところでなかろうかと思うのであります。合同委員会が適正かつ合理的であると判断するというふうにこの三條を解してよいのですか。それとも調達局が判断するというふうに理解すべきか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/31
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032・長岡伊八
○長岡政府委員 まことに適切な質問をいただきました。実はただいま長官が申し上げました通り、合同委員会でこの土地を使おう、この家はやむを得ないということをいろいろ相談するのでございますが、この法律の建前といたしましては、合同委員会が決定したらすぐそのまま使用なり收用するという建前はとつておりません。合同委員会でそういう話がきまりましても、それはその土地が必要だという判断をすることに相なりますだけで、これを日本政府として実行いたします場合には、昨日も申し上げました通り、またきようも先ほど長官が申し上げました通り、なるべく無理をせずに、強制力を用いずして相互の話合いで、納得づくて借りるようにする、最善の努力をいたしたいとわれわれは考えております。これによりまして土地なら土地が提供できますならば、もはや問題はございませんが、この措置は調達局長が実際に当るのであります。やつてみました結果どうしても話合いがつかぬ。しかもこれは出さなければなるまいということに相なりましたときには、この法律に規定いたしております通り、内閣総理大臣に申し出まして、さらに強制力を用いるところまで行かなければならぬかどうか、これが適正合理的なものであるかどうかということを確認いたしまして、総理大臣の認定によりまして提供することにいたしたい、こういう考えで規定いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/32
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033・西村英一
○西村(英)委員 関連して……。元来土地收用法、つまり他人の土地建物の私権を公共の目的その他で制限しようという場合は、やむを得ないものということが原則なんです。ここでなくてはいかぬ、これでなければいかぬということが原則なんです。私はこの第三條の、今池田さんの指摘したことはもつともだと思う。こういうハイカラな言葉を使うからわからぬので、必要やむを得ぬというような書き方にすればよくわかる。適正かつ合理的などと書くからわれわれが疑問を起し、百万言を費してこの條文について議論しなければならぬ。收用法は絶対にそれが必要だということについて成立つておる。甲の土地を乙にかえられ、乙の土地が丙にかえられるということなら、私権の制限をするわけには行かない。それで意味はわかるのでありますが、この條文に限つてこれはあまり適当ではない、そういうふうに私は考える。直す意思はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/33
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034・長岡伊八
○長岡政府委員 ハイカラな言葉を使つたというおしかりでございますが、実は国内措置といたしまして、従来の土地收用法によります場合でも、やはりただいま御指摘のような関係があるものと存ずるのであります。その際の規定も適正かつ合理的である場合に收用するということになつておりますので、これと平仄をあわせておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/34
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035・池田峯雄
○池田(峯)委員 そこで私はさらにお聞きしたいのですが、適正かつ合理的であるという判断は、この法律に関する限りはあくまでも日本政府の立場としての考え方である、こういうふうに考えてよろしいと思うのです。とするならば今後土地を收用する場合に、日本の農民なりあるいは家屋の所有者なりがそれに対して、これを收用されることは生活上からいつても、農業生産上からいつても困ると言えば、この立場を十分尊重すべきであると私は考える。それが適正かつ合理的であるゆえんだと思う。この点一体どういうことになりますか、はつきりお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/35
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036・長岡伊八
○長岡政府委員 強制力を用います場合には、所有者の意思に反してやる場合のあることは当然でございますが、しかしただいま御指摘に相なりました通りに、事情によりましてこの土地は困る、この家はこういう関係で困るといつたような立場があります場合、これをいよいよ借り上げますときには、従来のごとく進駐軍がそれをきめて、それをすぐ出せという形とは違いますので、所有者の立場というものは十分尊重して交渉もし、收用もいたしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/36
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037・池田峯雄
○池田(峯)委員 政府がそう言つても実際はどうなるか。これはもう今までのやり方がよく証明しておるので、ちよつと安心はできないと思うのです。第四條ですが、第四條では、いきなり今度は、調達局長はこの法律によつて土地を使用しまたは收用しようとするときは書類をつくつて、そうして内閣総理大臣の認定を受ける、こういうことになつておるのです。これは先ほど御答弁のあつた通りです。しからば調達局長はだれから命令を受けて土地を使用したり收用したりしようとする計画をするのですか。独自の判断でやるのですか。内閣総理大臣の命令でやるのじやないのですか。内閣総理大臣の命令でやるのだとするならば、何も内閣総理大臣の認定を受ける必要はないじやないですか。ここのところが法案の構成上非常に疑義があるわけです。これは一種のごまかしじやないかと思います。いかにも民主的な御体裁をつくつておるものではなかろうか。実際内閣総理大臣がこの行政協定に署名し、合同委員会で計画をつくり、この合同委員会の計画を実行して、内閣総理大臣が義務を負うのです。内閣総理大臣が義務を負つておるものに対して、内閣総理大臣の認定を受けるなんてこれはおかしな話です。これはどういう関係になるのですか、この点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/37
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038・長岡伊八
○長岡政府委員 調達局長と書きましたのは、この使用、收用の事務を担当いたしますのは調達局長でございます関係上、調達局長と書いたのでございますが、しからば調達局長はかつてにやれるのか、こういう御質問でございますが、御承知の通り、従来は軍からただいま申し上げました通りに要求が参りまして、これを出せということなのでございますが、今度は合同委員会で話がきまりまして、一応この土地を提供するということになりますので、この法案には書いてございませんが、当然合同委員会の話合いによりましたものを実行する機関が調達局でございますので、調達局長がかような手続をとることにいたしましたのであります。いきなり合同委員会の決定ならばすぐ收用すると書けませんので、かような規定を設けた次第でございますが、先ほども申し上げました通り、局長は随契に努力いたしまして、それがどうしてもできない、強制力を用いざるを得ないが、それはさしつかえないかどうかということを総理大臣に申し出まして、御認定を得ることにいたした次第でございます。決して調達局長がかつてに、これは必要であろう、これは不必要であろうという決定をいたすつもりではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/38
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039・池田峯雄
○池田(峯)委員 ただいまの御答弁ではどうしても納得行かないのです。やはり今までと同じように、調達局というものは米軍と緊密な連絡をとつて、この調達局が一つの作業をやる、そして内閣総理大臣の認定を受ける、こういう考え方がこの法案の中に現われている。在来と同じようなやり方を調達局がやる。調達局の性格はまつたく今までのものと同じものなのだという考え方がこの法案に現われているように思うのです。何といつても内閣総理大臣が義務を負うはずなんです。内閣総理大臣が合同委員会の計画を実行する義務者であるはずなんです。従つ内閣総理大臣の命令で調達局長は動かなければならないものを、この法案に関する限りでは、調達局長が動いて内閣総理大臣の認定を受ける、こういうふうに逆な立場に書いてあるところに、あくまでも調達局というものはアメリカの手先だということに考えられるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/39
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040・根道廣吉
○根道政府委員 ただいまのお話でございますが、調達局長はあくまで日本国の独立の機関でございます。もちろん調達庁長官の指揮監督下にある地方の局長でございますが、直接その地域における事務として扱うものが調達局長という意味において、ここに先に書き出してあります。仕事の現実は、総理大臣より調達庁長官に伝わり、それがさらに調達局長に伝わつて、調達局長がこの法令に基く行動をするわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/40
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041・池田峯雄
○池田(峯)委員 とするならば、第八條などは必要ないと思うのです。たとえば第八條は「土地等を使用し、又は收用する必要がなくなつたときは、調達局長は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に報告しなければならない。」こんな必要がありましようか。あの飛行場の接收を解除するというようなことは合同委員会できまるのですから、内閣総理大臣が一番早く知つているはずなんです。それを調達局長から報告を受けて内閣総理大臣がこれを知るという、そんなばかな話がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/41
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042・長岡伊八
○長岡政府委員 第八條は、初め契約による措置をとりまして、それによつていよいよどうしてもこの土地はとれない、出してもらえない、強制力を用いなければならぬという見込みが立ちましたときにこの措置をとるのでございますが、さりとてその後におきましてこの強制收用または使用の措置の手続を進めておりましても、その後の情勢の変化と申しますか、所有者との間において話がつきまして、強制力を用いる必要がなくなる、こういう場合に、前に総理大臣の認定を得ておりますから、この法律に基いて強制使用なり收用をする必要がなくなつた。この場合に報告をさせなければなりませんのでこの規定を設けた次第でございます。決してアメリカ軍と調達局長が話合いでやめようとかどうとかいうことを予想しておる規定ではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/42
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043・池田峯雄
○池田(峯)委員 第八條をそういうふうに限定すればそういうことにもなるでしようけれども、しかしながら必ずしもそういうふうに限定できないと思います。でありますからこの法律の構成全体が、私が内閣総理大臣の肩を持つようですけれども、はなはだ主客顛倒の法律なのです。その点はあとでまたもつと詳しく質問してみたいと思つております。ところで、この法律でどの程度の規模の土地、家屋が接收される見込みでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/43
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044・長岡伊八
○長岡政府委員 條約発効後使用する土地なり建物の個々のケースにつきましては、ただいま予備作業班でせつかく鋭意交渉中でございます。この話合いの結果を見ませんと、まだどれだけの土地の面積、どれだけの家を使用なり收用する必要があるか見当が立ちかねておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/44
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045・池田峯雄
○池田(峯)委員 たとえて申しますと、この法律は税法で言えば税率の書いてない法律なんです。日本の政府は日本国民より税金をとることができるという税法と同じなんです。どの程度の税金がとられるかわからないのです。どの程度の土地や建物を接收されなければならないのか皆目わからない法律なのです。たとえば税法においては、税率が書いてあれば、その程度の税金ならまあいいだろうといつて承諾する手もありますけれども、この法律によりますと、どの程度の土地がとられてしまうのかわからないのです。これは賛成しようにも賛成しまいにも方法がないのです、基準がないのです。あなたたちだつてそうでしよう、たとえば就職する場合に月給はやるといつても、何ぼくれるかわからない辞令では安心できない。ですからこの法律については、これだけの土地、これだけの家屋が今後接收されるのだという、大体のところでも国会に報告されない限り、これを審議することは、私は国会議員として少しおかしいと思う。ですからそういう具体的な計画を急遂に示してもらいたい。これはできるのですかできないのですか、それだけでも伺つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/45
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046・長岡伊八
○長岡政府委員 どれだけの土地が收用されるかということは、ただいま申し上げました通り、わかりましたときにはもちろんお知らせするのであります。土地收用法の御審議の際におきましても、どれだけの土地が收用されるのか見当がついて初めて御決定になつたものではあるまいと思うのであります。この法律におきましても、收用する場合にはこういう手続をするのだときめましたので、ただいま御指摘の、月俸をきめずに云々ということとは違うと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/46
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047・池田峯雄
○池田(峯)委員 土地收用法の場合は、川とか道路とか、まさか日本国中全部道路にしてしまうとか、川にしてしまうとか無鉄砲な計画はないのですから、これはごく限定されたものです。国会議員である以上は、特に建設委員である以上は、どの程度の川、どの程度の道路をつくるかということはちやんと頭の中に入つております。しかしこの場合にはわからないのです。相手はアメリカのことですからね。行政協定の内容すらもわれわれに提示されて審議されなかつたのですから、どの程度の飛行場がいるのか、あるいはどの程度の港をつくるのか。たとえば漁業権の問題もありますが、こういつたような問題は一体どうなるのですか。こういうことの大体の輪郭が私たちにはわかりません。たとえば建設委員会でも、飛行場のことは今まで関係しません。ですからそういう点をひとつ知らしてもらいたい、こういつておるわけですか、これは向うの軍機というものからわれわれには知らせることはできないことになつておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/47
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048・長岡伊八
○長岡政府委員 現在提供いたしております土地、建物とさほど差異は生じないのではないかと考えております。しかしただいま申し上げました通りに、建物等につきましても、アメリカにおいてはでき得る限り返すという方針で進んでおります。土地につきましても返つたものもございます。あるいは軍の駐留の関係から、また日本側の事情を考えまして、こういうところにおるよりも、たとえば都心におるよりも郊外に出るべきだ、こういうような関係から多少入れかえも行われるかと思うのでありますが、こういう点につきましては、ただいま申し上げます通り、個々の土地、建物につきまして、作業班が各分科会にわかれて作業中でございます。これが判明いたしましたらお知らせいたすことにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/48
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049・佐々木更三
○佐々木(更)委員 関連して……。当局はこの期に及んでもなおどれだけの土地を提供しなければならないのか、あるいは建物を提供しなければならぬかということについて、五里霧中だというお答えですが、非常に無責任だと思う。知らぬは亭主ばかりなりという言葉がありますが、たとえば接收を予定されているものとして伝えられるものは、農地八百六十一町歩、関係農家二十八戸と開拓地八千一百町歩、関係農家一千二百九十戸、合せて八千九百六十一町歩の農耕地と一千三百十八戸の農家が直接調達の対象とされているとのことをすでに新聞紙が報道しておるのであります。もしそういうことがないといたしますならば、かくのごとき流言飛語に属するところの報道を政府は何らかの方法で取締るなり、これを否定するなりしなければならないと思いますが、これを政府は現在やつておらない。これらのものはおそらく何らかの根拠があつて発表したものと思われるのでございますが、政府はこれ以上隠すことは、むしろ国民に対して非常にふまじめな態度であると言わなければならないと思うのであります。すでに相当土地が接收されて使用されておる。この面積についてはまさか知らないということは当局も言わないでございましよう。それならば現在接收されておる土地の面積あるいは建築物の数量、これらのことをまず第一にお伺いすると同時に、今回この法律を出すに及んだのは、おそらくこれらのものでは不足を感ずるから、新しいこういう法律によつて接收、使用をやろうというお考えであると思うのでございます。従つてむろん何百何十町歩あるいは何百何十戸という正確な数がわからなくても、ある程度の数量に対する見込みがなくして、少くとも国民の憲法に保障されたる財産権に対して相当の制限をするようなこういう法律を出すべきはずはない。これは私から言わせれば憲法に定められた財産権に対し不当の制限をすることによる憲法違反の疑いがあるのでございまして、これはあとで私の持ち時間で質問いたしますが、あまり隠さずに、現在接されている土地の総面積、建築物の種類、総戸数並びに今後接すべく予想されている数字をやはりここで発表されることがほんとうだろうと思います。この点を承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/49
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050・根道廣吉
○根道政府委員 現在進駐軍に提供しております土地等の面積あるいは建物等の数というものは秘密でも何でもございません。後刻申し上げます。しかしただいまの御質問の、今後この法例によつて用されるものはどうかということになりますと、これはちよつとわからぬのであります。中には大部分自由契約の現状を継承してそのまま行くものも、おそらくあるであろうと思います。また多少の移動を生ずる所もあるかもわかりません。従つてそういう数字については、現実の米軍側の近き将来における大都会、都心等よりの移動に伴つて起る移動が一番大きいと思いますが、そういうようなものはまだ決定しておりませんので、その際に起るべき接地というようなものについてわかつておらぬと申し上げたわけであります。建物につきましては現在全体で一万五千戸ほど出ております。その一万五千戸のうち、住宅といたしまして約一万二千戸くらいは全部政府の所有であります。そのうち一万戸が御承知のごとく終戰処理費で建てたものでありまして、あとの二千戸はこれまた御承知の住宅復興債のあの建物でございます。私有家屋といたしましては約三千、現在は多分その数字が下まわつていると思います。その他のいろいろなビルとか倉庫とかいうようなもので、全国的にやはり千近くもあろうかと考えております。なお土地の問題につきましては、現在接されている土地の面積が相当多いのでありますが、これは政府所有のものが非常に多くあります。もちろん民間の所有のものもあることはあるわけでありますが、今後そういうものがさらにどの程度に広がるかということに対しましては、私どもの一応の目途としてそうふえないのじやないかというふうに考えてはおります。いまだその点はどの程度の出入りがあるかわかつておりません。ただ割合にはつきりしておりますことは、米軍側といたしましても、将来の駐留にあたつては、できるだけ私有不動産を返すという建前をとつており、またその点は日本政府においてもすでに要求しておりまして、原則的に一致しているはずなのであります。一般の迷惑の度合いは非常に少くなるというように予想しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/50
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051・佐々木更三
○佐々木(更)委員 当局の御答弁は一応一歩前進と思います。新しく用されるなり、あるいは使用されるなりする土地は、大体において軍の移動に基くものが多いという御答弁はその通りだろうと思う。そこで問題は、新しく所有権を收用されもしくは使用権を收用されるものがどれくらいに上るかということが、今日国民の不安の的であろうと思います。たとえば現在おほりばたにある総司令部がどこかの地点に移動する、そういうことによつてまた軍の演習地等もその付近に求めなければならない。なるほど従来使用している接地に比べれば、総面積における拡大の部分はそう大したものではないということはうかがわれるけれども、そういうことになればこれによつて新しく耕地を失い、居住権を失う国民の数は相当厖大になるだろうと思う。ことに軍が接する場合には、ややもすれば開拓農民の土地が多いのではなかろうか。特に開拓農民諸君あるいは入植者は、まだその経済的基礎はきわめて薄弱であります。従つてこういう人たちの広大なる土地を收用し、あるいは使用権を用するということは、これらの人々の死活問題に及ぶものと私は思う。これに対して政府は今なおどのくらいの数量に及ぶかということを発表しないことは、私はいけないことだと思う。むろん何町何反何歩というようなことについては御発表できなくても、少くとも近いうちに米軍司令部が移動するということはすでに発表済みであるこの段階において、これらの概数について政府がなおわからない、わからないでこういう法律を出すということでは、本委員会のみでなく、国民全体が納得が行かないだろうと思う。政府はおそらくわかつていると思いますから、概数の上でこれらの耕地はどれだけつぶれるものか、家屋はどれだけ收用されねばならないのかということを、本委員会を通じて国民に発表することが国民の納得を得、かつ国民に協力を求めるゆえんであろうと思いますので、もう一度概数だけでも御発表願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/51
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052・長岡伊八
○長岡政府委員 現在接收しております土地が、契約件数にいたしまして約一万件、その坪数は一億四千五百万坪に及んでおります。それから建物が契約件数にいたしまして約三千件、延坪数にいたしまして百三十六万坪でございます。そのうち開拓地関係が三千町歩、既耕の農地が千三百町歩ほどございます。それでただいま長官の申し上げました通り、大体の数といたしましては、この見当のものがいるのではないかと思つておりますが、現に向うは返すことに努力しております。新しい接につきましては、すでに申し上げたことがあるかもしれませんが、現在アメリカといたしましては、たとい現地軍から地方の局に対しましてそういう要求が参りましても、これは手続を進めるに及ばず、その要求はさしもどせ、合同委員会によつてきめるのだ、こういうことに相なつておりますので、先ほども申し上げました通り、決して隠すとか秘密にするとかいう意味ではございません。この作業が進んでみませんと、どの程度に減りますか、見当といたしましては、おそらくそうふえることはあるまいと思つておるのでございます。ただいま申し上げますような事情で、秘密にして申し上げぬわけではございませんので、御了承願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/52
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053・佐々木更三
○佐々木(更)委員 もう一つだけ続いて御質問申し上げたいのでございます。ただいま発表されましたように、すでに接済みのこれらの土地の面積並びに家屋の件数等もかわらない、こういうお話でございますから、多少出入りがありましても、その通りかと思うのであります。そこで私の聞きたいこと及び国民の関心は、軍の移動によつてむろん解除あるいは返還される所もあるでございましようが、総面積では違わないとしても、新しくどれだけ用しなければならないのか、されるのか、たとえば四千五百万坪の土地にいたしましても、二千万坪は従来の所を使う、二千五百万坪は新しい土地を用しなければならない、こういうような内容を国民は知りたいだろうと思うのであります。従つてここまでわかれば、大体軍の移動は開始される寸前にありますので、政府としても、すでに接済みのものの中でどれだけ使い、新しくどれだけ用しなければならないのかということの、大体の御見当がついておるはずだと思うのであります。つかないということはない。新しく用を予想される土地並びに建物の数字について、御発表願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/53
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054・根道廣吉
○根道政府委員 現在接されておりますもの、特に私有不動産である住宅等につきましては、今後返されるものの方が多いのであります。相当数が返つて来て、新たに接されるものは、ほとんどないのじやないかと、実は予想しておるわけであります。それから都心から移つて参りますいろいろな機関がございます。これは普通の部隊とは違いまして、事務的なことを処理しておるところのいろいろな中心でございますので、たといこれが新しい土地に建物を建てて移るにその土地が必要だという場合がかりに起きましても、これは大した地積ではなかろうかと考えておるわけであります。またそういう場合に、政府においては、できるだけ国有財産を提供する、こういうふうに考えておる次第であります。なおまた部隊移動云々その他によつて演習地等が拡大するのではないか、そのために開拓農地等に影響を及ぼすというような御懸念でございますが、大体部隊のおります所は、いろいろな地理的諸條件等によりましてすでにきまつております。私、こういうことを申し上げてどうかと思うのでありますが、そういう部隊そのものの移動というものは、日本のような狭い土地の中において行われ得べきものではなくて、そのままに存在するであろう。こう考えます。演習地等においても、やはりそれに備わつた関連がみんなあるのでありまして、特にこれが拡大して行くというようなことは予想いたしておらぬのであります。大体におきまして、現在まで仕事を扱つておりました経験から考えまして、軍の計画等があるかもわかりませんか、それを離れまして考えますると、日本国民に迷惑を及ぼすような接收というものは非常に減つて来る、返つて来る方がむしろ多い。半面に多少はみ出すものがないとは申し上げられませんが、そういう事例は、現在まで耳に入つておるところによりますれば非常に少うございます。その意味で、できるだけ御安心が願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/54
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055・佐々木更三
○佐々木(更)委員 すでに接收された土地のうちで、返される部分よりも新しく收用する土地の方が少いであろう。言いかえるならば、差引幾ばくかの土地や建物が返還されることになるという、非常にけつこうな答弁で、私も非常によろしいと思うのでありますが、そういたしますと、現在使用しておる、たとえば宮城県の王城寺ヶ原等におきましては、相当部分の土地が現在接收、收用されておるのであります。これはひとり宮城県の王城寺ヶ原に限定しなくてもよろしいのでありますが、すでにこういうふうにたくさん接收されておる土地のうちで、相当返還される部分があるという印象を、私受けたのでございますが、そう解釈してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/55
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056・長岡伊八
○長岡政府委員 先ほども繰返し申し上げますように、どの土地を続けて使うか、返すか、あるいは新しくどこかを使うかということは、予備作業班で個々に当つておりますので、ただいま申し上げました答弁で、どこが返されるだろうという予想を申し上げますことは、非常に困難でございます。せつかく返されるでありましようと申しましたのが、返されませんと、うそを申し上げたことになりますので、この点は現在ではまだはつきりいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/56
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057・松本一郎
○松本委員長 池田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/57
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058・池田峯雄
○池田(峯)委員 いろいろ御答弁があつたのですが、そうすると、今まで接收された土地を解除し、あるいは新たに接收する、こういつた場合に、損失補償の規定が、この法案の中に入つておりますが、どの程度の補償額を見積もつていられるか。それは予算のどの項目から支出することになつているのか、これをひとつ明確に御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/58
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059・川田三郎
○川田政府委員 新たに駐留軍のために借上げをいたします部分についての補償については、現在九十二億の防衛支出金の中にそれを含めて予算されておりますので、その補償の内訳になりますものは、現在のところ判明はいたしませんが、いわゆる従来の接收土地、家屋の借上料に相当いたしますものが、九十二億の予算によつて補償されるわけであります。それからその借上料に相当する以外の特別の補償を必要といたします場合は、平和回復善後処理費百十億のうちから、これが補償されると存じますが、大体この土地家屋等の借上げによります、ないしは買入れによります予算は、九十二億で処弁されると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/59
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060・池田峯雄
○池田(峯)委員 九十二億というのは、ただ漠然と九十二億というふうに組んだのですか。それとも大体何町歩ということを予想されて、九十二億円というものが組まれたのじやないですか。その内訳ははつきりしないと申しますけれども、基礎数字というものはあつたのだろうと思いますが、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/60
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061・川田三郎
○川田政府委員 詳細な基礎の数字はございませんのですが、現在昭和二十六年度の接收不動産に要しました予算額が、六十億でございます。二十七年度におきましては、相当の不動産の接收解除に当ります減があると見ております。それからまた單価的に考えます場合は、不動産のいわゆる賃貸料の値上りがあるのではないか。大体において従来の接收のべースによつていたしました借入れより、今度いわゆる自由な立場において借入れをいたします場合は、自然賃料においてもより有利な立場に所有者側が立つと、こういうことも、予算において見積つておるものと私は想像いたします。また従来は、借入れ一方でございました。今度は買上げという面もございますし、買上げの協議がととのわない場合は、收用という実質は買上げになります手続をいたしますので、もとでありますといわゆる借賃でありますが、今度はその不動産そのものの元本の値段を払わなければならないケースが出て参りますので、六十億のものが九十二億になる、自然内訳は、買上げになるものがどのくらいの割合になるかがはつきりいたしませんために、現在はつきりと申し上げられないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/61
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062・池田峯雄
○池田(峯)委員 借上料だけだといたしますと、六十億円が九十二億円になつたのだから、大体これは五割以上新たに接收することになる、こういうふうにも考えられるわけです。ところが借上料が上るのだ、上るから九十二億円になるのだ、そうすると、借上料が今までよりも五割増しになるのか、こういうことにもなるわけですが、しかしながら、その中にとにかく「損失の補償は、使用の時期の価格によつて算定しなければならない。」と法律にある以上は、補償額を、土地收用法では、たとえば農地の場合は一反歩五万円とか六万円というような計算をして、その補償額というものが大体計算されていると思うのですが、その総額は幾らになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/62
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063・長岡伊八
○長岡政府委員 ただいま財務部長から申し上げました通り、九十二億というものを予定しておるのでございます。これははなはだ御満足の行かぬ回答になると思うのでありますが、特調の仕事は、従来もそうでございますが、他官庁の仕事と違いまして、自分で計画を立てまして、本年はこれだけの收用をする、本年はこれだけを返すという計画を立てるわけでございません。従来は御承知の通り、向うから言われましたものを調達して出すという形なんであります。今後の問題は、先ほどから申し上げます通り、一応家屋等につきましては、相当のものが返るであろうということは想像いたしておりますが、アメリカ側と話をいたしまして、今年度はこれだけ返るということは、まだはつきりいたしておりませんので、そういう数字に基きました予算は組みかねるのでございます。借賃等につきましては、われわれといたしましては、今後この法律によつて收用いたしますときには、委員会で、その近傍の類似の土地の値段、地代が標準に相なりますので、これにマッチいたしまするような処置をとつて行ごう、なるべく所有者に満足行くようにとりはからいたいと考えております。もし理論的にこれを考えまするならば、この法律によつて非常に收用をするものが多くなる、金が足らなくなるということになりますならば、これはその際にしかるべき措置をとらなければならぬこととなるだろうと考えております。現在ではただいま申し上げます通りに、はつきりした数字に立脚してどうということを申し上げかねるのを、非常に遺憾に存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/63
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064・池田峯雄
○池田(峯)委員 そうすると政府委員の答弁は、一番大事な、どの程度の土地を收用するのか、その收用する土地に対してはどの程度の補償をするのか、こういう国民として一番聞きたい点は、全然曖昧模糊の状態にしておいて、そうして收用するという法律、無理やり收用するというところに力こぶを入れて、これを国会の絶対多数で押し切つてもらう、こういう考え方なんですね。どういうわけで——この法律をつくるときに国民が一番知りたいと思う補償額は、一反歩何ぼくれるのか、この予算的な措置としてはどうなのか、現在の予算では足りるのか足りないのか、こういうことを第一番に考えなければならないはずだと考える。公務員である限り、公僕である限りは、一番その点はぴんとして考えなければならない、研究すべき問題だと思う。そういう点が研究がなつておらぬ。これははなはだけしからぬ問題だと思う。国会としても当然そのことを質問するだろうということは、あなたたちもこの法律の説明に来られた以上、一応も二応も考えて来なければならなかつた問題だろうと思う、そういう点が全然説明がないとなりますと、これは一体何を基準にしてこの法律を審議していいかわからなくなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/64
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065・川田三郎
○川田政府委員 基準につきましては、收用法に規定いたしております通り、近傍類似の取引価格等を考慮して、相当の価格をもつて補償する。それから土地の使用の損失補償につきましては、七十三條に使用する土地に対しては云々という規定をしております。それでこれが本法を適用いたしますときに、こういうことが行われるのでございますから、契約によります場合も、これに相当する措置をとりたいと思つておる次第でございます。基準につきましては、今後関係庁とも、契約によります場合の基準は相当協議いたしまして、所有者の納得の行くような措置をとりたいと思うのであります。いずれにいたしましてもこの法律によります收用が、土地收用法の七十二條、七十三条の基準でありますから、これと相応する措置をとりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/65
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066・松本一郎
○松本委員長 岡野国務大臣が御出席になつておりますが、佐々木君、おやりになりますか。——
では佐々木君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/66
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067・佐々木更三
○佐々木(更)委員 私は第一に、政府がこの法律を提出する根拠に対して疑いを持つておるのでございます。行政協定は国の主権に対して著しく制限する條項を含んでおり、あるいは治外法権その他当然これは條約で締結すべき内容を持つておるのであります。従つてこれは憲法七十三條の三項に基いて国会の承認を得べきことが当然でございまするけれども、政府は常にこの挙に出ないで、行政協定を無理押しに通したのでございます。私は従つて国会議員として、こういう明白なる憲法違反の上に立つておる行政協定というものを、認めることはできないのでございます。しかしきようは総理大臣もいないようでございますから、そういう建前をとつておりまするけれども、若干の質問を国務大臣にしたいと思うのであります。
第一に、私が国務大臣に御質問申し上げたいことは、先ほど前田委員からも御質問があつたのでございますが、せんだつての新聞に、英濠軍が約一箇師団、日本に対してある期間中駐留をするという報道が載つておるのであります。新聞の報道だけだと、こう言えばそれまででございますけれども、私は何かの根拠はあるのではなかろうかと思うのであります。むろんただいま提出されて議案になつておりまするこの法律は、日米安全保障條約に基くものでございまするから、この法律の適用は当然駐留する米軍に対してのみ適用されることを疑うのではございませんけれども、しかしやがて、日本の政府がイギリス及び濠州と何らかの條約を結ぶ事態になつておるのではなかろうか、従つてそのあかつきにおいて、再びイギリス及び濠州とのこういう條約に基いてこういうような法律をもう一回出して来るような事態になるではなかろうか、こう私は実は想像しておるものであります。この疑いはひとり私の疑いのみにあらずして、これは日本国民全体の疑いであるだろうと思う。そうでなくして、政府はあの新聞記事について何らの釈明もしておらない。これは單に新聞の無責任な報道だと片づけるには、日本国民に対する刺激はあまりにも大きいかろう。従つてこれには相当の根拠があるものと思うのであります。岡野国務大臣は、この点に対して知つておられると思いますので、ひとつ御答弁を願いたい、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/67
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068・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。国連軍との関係については、今政府は何か考えておるのでございますが、これは当面の所管大臣がやつていることでございまして、私一向存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/68
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069・佐々木更三
○佐々木(更)委員 主管大臣でない岡野国務大臣が知らないという答弁で、これ以上追究するのもどうかと思うのでございますが、そうすると政府の内部においては、主管大臣がこれらのイギリス及び濠州に対して、こういうような意味の何かの折衝をしておる、こういうふうに考えてよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/69
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070・岡野清豪
○岡野国務大臣 私の想像でございますが、駐留軍としては、御承知の通りにアメリカの軍人が残られ、そうして英軍とか濠州軍とかいうものは、むろん米軍でございませんから、あとへ残らぬことになるはずでございます。それに対して国連軍として今までおつたのがおりたいというような希望があるらしいように聞いておりますが、その点におきまして、これをどう取扱うかの問題は、今いろいろ所管大臣が、それについて折衝をしておるはずと思います。しかしそれは私は全然存じませんから、ただいま御答弁申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/70
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071・佐々木更三
○佐々木(更)委員 次には、駐留軍が日本にいつまでどれだけの期間駐留するかということが、非常に重要である。本法の規定に対して、またそのことが根拠になるものと思うのでございますが、説明書で見ますと、駐留軍の存在が一時的である、そういう一つの根拠の上に、この法律をつくつておるということが言われておるのでございますが、御承知のように日米安全保障條約は、駐留する期間に対しては何ら明記しておりません。見様によつてはごく短時間だけ駐留する、また見様によつては無制限に駐留する、こういう解釈ができまするので、国民一般の間では、おそらくは無制限駐留をされるであろう、こういう考え方が多いと思います。ところがこの説明書を見ますと、駐留軍の存在が一時的であるということが御説明になつておつたのでございますが、これはどういう根拠に基いて一時的であるということをおつしやいまするのか、一時的であるとするならば、大体においてどれくらいの期間が予想されるので一時的だとこう御説明なさるのか、この点について御答弁願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/71
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072・岡野清豪
○岡野国務大臣 これも総理大臣からお答え申し上げるのがほんとうだと思いますが、たまたま私がここへ引出されましたものですから、私の感じを申し上げます。と申し上げますことは、アメリカはできるだけ早く引揚げたい、こういうことを希望しておるわけでございます。これはりつぱな事実でございます。同時に国際情勢がどうなるかということが一つの問題、それから日本の国力というものがどういうふうに培養されて行くかということもございます。こう三つ重なつた調整をできるだけ早くして、そうしてアメリカ軍に、国民感情としては早く帰つてもらいたいということは、われわれも存じておる次第でございます。われわれの方で早く帰つてもらいたいという希望と、アメリカの軍隊が早く帰りたいという希望と、これは一致するわけでございます。でございますから、この一致を、調整をいつ実現するかということは、一つは日本の力の充実ということと、同時にそれにもう一つアルフアがつきますことは、国際情勢の今後の進展いかんということになるだろうと思います。ただいまそういう点ではつきりとした時期が申し上げられないというのが、ほんとうの形だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/72
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073・佐々木更三
○佐々木(更)委員 ただいま岡野国務大臣が答弁されるように、要するに米軍がいつ日本から引揚げるかということは、具体的には日本国内の充実した内容と、国際的には客観的具体的な情勢に基くものであろう、そのためにこそ今日国民は、おそらく駐留軍は相当長期間日本国にとどまる情勢にあるのではないだろうか、こういうような非常な懸念を持つておるのであります。ところがこの説明書でいいますと、この法律の上では駐留軍の存在が臨時的と特にいつております。臨時的一時的なものであるとの前提のもとに使用を主として收用を従とする建前をとつております、こう説明されておるのであります。これだけ確信を持つて臨時的並びに一時的だ、こうおつしやつて、使用を主として收用の方は従として、臨時的でございますから、やがて短時間で引揚げて参りますれば、すぐ所有者に返る、こういうお見込みがあつてこの法律は出しておるのだということを、はつきりと明記しておるのであります。それを建前にしてこの法律を出しておるというのであります。従つて米軍がいつまで駐留するかという考え方が、この使用を主とするか、あるいは收用を主とするかということの大きなわかれ目になる法の根本的基礎の問題だろうと、こう思うのであります。その法の根本的基礎になるべきところの駐留の期間を、臨時的、一時的なものだ、こういう前提でこの法律を出したという以上は、岡崎国務相がただいまかつてな抽象的なお答えではなくて、かくかくの事情で臨時的である、かくかくの事情で一時的であるから、これは使用を主として收用を従とするのだ、こういうふうにこれは出したんだろう思うのであります。われわれ、釈迦に説法で皆さんに御説明するまでもないのでございまするが、これは收用に対するところの補償金額と使用に対する補償金額では、相当の差異があるということは申すまでもありません。従つてこれは長期にわたるということならば、單なる使用の補償では、使用される者はとうてい経済的に成り立つはずはありません。長期であるならば、この法律の当否は別として、当然私は收用を主とするというような法案になつて出て来なければならぬと思う。それをこういうふうに臨時的、一時的であるこの法律が、使用を主として收用を従とすることは、これは一種のごまかしか、そうでなければ、政府が收用であれば多額の金額を要するから、そこで使用補償にしてできるだけ国家予算をわずかで済まそう。しかし使用の期間だけは無制限にやつて行こう、いわゆる国民の犠牲にしてこの法律を執行して行こう、こういうふうに疑われてもしかたがないだろうと思う。従つてこれは法律の内容に関係いたしますので、私はおそらくは臨時的だ一時的だという以上は、相当根拠あるものと思いますので、抽象的でなく、どういう事情に基いてこういうものを前提として法律を作成され、提出されたかということを、岡野国務大臣にもつと親切で責任のある答弁をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/73
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074・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。日本は独立国家になりまして、そうして米軍すなわち外国の軍隊が駐留するということは、われわれとして国民感情としてあまり好ましいことじやない。でございますからこれは永久的の駐留をしてもらうんじやない、これが第一点。そしてその駐留するということはすなわち臨時的である。臨時的であるために今度の法律もこれは臨時的の考えで出したものでございます。しかしこれがいつまで続くとか、臨時的にならぬのじやないかというような御議論もいろいろ出ましようけれども、しかしこれは先ほど申し上げましたように、日本の国力とそれから世界情勢というものが、なるべく早く駐留がなくなつてくれるようなことを念願して、その臨時を早く切り上げて、そうしてこの法律もいらないようになつて行きたい、こういう考えでございます。でございますから国際情勢の見通しがつかないとか、日本の国力がさて早くと申しましても、まあ一両年はかかるかもしれぬというような考えがございますので、とりあえず臨時の措置としてこういう法律を出したわけであります。恒久的でないことも確か、また臨時であることも確か、同時にその臨時がどうしてその期限がわからぬかということは、先ほど申し上げたような理由でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/74
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075・佐々木更三
○佐々木(更)委員 私は岡野さんに議論を吹つかけているのじやない、あなたに聞いているのであります。あなたの方で臨時的であつて、一時的なものであるというから、私はその内容について御質問を申し上げているのであります。この法律は岡野国務大臣の御説明に基けば、臨時的、一時的だというのは、国民感情としては一日も早くアメリカの軍隊に帰つてもらいたい、こういうような一つの希望を持つているから、この法律は一時的、臨時的に出したのだとこうおつしやるのでございますが、少くともこういう国民の私有財産権に対して大きな制限を加えるような法律が、單に希望だけで出すべきものでないことは言うまでもありません。当然現実の必要によつて出すべきものだ。その現実の必要によつて出すべきものを、この法律の適用期間が臨時的、一時的のものであるのか、相当恒久性を持つておるものが、こういうことが一体現実的に政府において認識されないでこの法律が出されるはずはない。当然政府は、この認識の上に立つて出せばこそ臨時的、一時的だということを私は用いたのだろうと思います。だから岡野国務大臣のそういう希望意見ではなく政府は、一体米軍はどれくらい駐留しておるかということを認識しておられるか、その認識について私は岡野国務大臣の御答弁を願いたと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/75
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076・岡野清豪
○岡野国務大臣 どうも私、御質問の趣旨がよくわからないのでございます。駐留軍がいると、その駐留軍がいるためにいろいろ必要があつてこの法律を出して行かねばならぬ。そうしてその時期の見通しはわからぬからというお話でございますが、どうもあなたに端的に御質問していただかぬと、何か議論になるような感じがございまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/76
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077・佐々木更三
○佐々木(更)委員 私の方で端的に質問をしているのであります。あなたの方では臨時的、一時的だとこう言うのだから、臨時的、一時的だというのなら、どれくらいの期間を想定して出したのか、私はこう質問している。ところがあなたは、国民は米軍が早く撤退することを希望しているのだから、だから臨時的、一時的なのだ、こういうあなたの方こそ実に曖昧模糊の答弁をされている。端的に質問いたしますが、この法律の適用期間を何年くらいあなたの方では予定して出しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/77
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078・岡野清豪
○岡野国務大臣 端的に申し上げますれば、その予定はできないのでございます。先ほども申し上げましたように、日本はこの国際情勢下において、今の情勢においてはアメリカの駐留軍におつてもらわなければならぬ。そのアメリカの駐留軍がおつてもらうのだが、向うさんも早く帰りたい、こつちも早く帰つてもらいたいのでありますから、早いに越したことはありません。そうすればいつかということになれば、それは国際情勢がとにかく牧まり、同時に日本の国力が国際情勢に対応して、もう駐留軍がいなくてもよろしいという時期に至らなければ、駐留軍は引揚げられないことになりますから、先ほど臨時的と言つた。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/78
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079・松本一郎
○松本委員長 佐々木君の御観点の相違に基く御意見は討論のときおつしやつていただくことにして、大体質疑は要点だけお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/79
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080・佐々木更三
○佐々木(更)委員 観点の相違ではなく、政府は臨時的、一時的だと言つているのです。だからこの法律が臨時的、一時的か、それとも長期にわたつて適用されるかということは、補償金などにも影響する。その点はいずれまた岡野国務大臣にもう一度出てもらつて、質問することにいたしまして、きようはもう一つだけ具体的な問題について御質問して、あとは次の委員会に譲りたいと思います。
これは具体的に申しますと、宮城県の王城寺ヶ原のできごとでございますが、米軍の射撃する砲弾が接收地の境を越えて民家に飛んで来るのであります。従つて村民は戰々きようきようとして仕事ができないというような状態に置かれておるのであります。私の解釈によりますと、米軍の接收地の使用ということは、その砲弾の着弾距離が接收の区域内でなければならないと解釈するのでございますが、その接收地内で砲弾を撃ちさえすれば、その砲弾が一里向うに行こうと、三里向うに行こうと、さしつかえないものかどうか。もしそういうことになりますと、付近の住民は非常な不安に襲われると思うのであります。この点につきましては、現地から特調あるいは岡崎国務大臣等に対して、非常な陳情が参つていると思いますが、一体政府はこの解釈をどうなさつて、またこういうものに対してどういうふうに教えてくださるのか。岡崎国務大臣がおいでになりますから、ひとつ御方針を示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/80
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081・長岡伊八
○長岡政府委員 従来特調で地代を払いましたり補償しておりますのは、接收地域として指定された中のことでありますが、その外へそれだまが出るとかいう問題につきましては、従来は厚生省が主管しております見舞金の問題であつたのであります。今度は行政協定十八條に基きまして、駐留軍の公務上與えました損害については、政府がこれを補償することになつておりますので、別な法律が提出されて、これによりまして今後は措置されるようになるものと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/81
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082・佐々木更三
○佐々木(更)委員 私は補償の方法について質問しておるのではないのでございます。むろん付随して補償の問題も出て参りますけれども、住民諸君の要求は、補償額を多くしてくれとか、十分な補償の道を開いてくれとかいうことではなしに、これではあぶなくてしようがないから、とにかく接收地域以外にたまが飛んで来ないようにしてもらいたいというのでありまして、私はそれを聞いておる。そこで米軍の使用権というものは、砲弾の着弾が接收地域内にとどまるような権利ではないだろうか。とにかく接收地域の境界線のところで砲弾を撃たれたのでは、何里も向うまで飛んで行くということになります。それはときによつてはそれだまもあるでありましようが、政府において、そのたまが接收地域以外に飛んで行かないような使用方法を、向うと折衝して、安全を保障してもらえないか、こういうことを私は質問しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/82
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083・岡野清豪
○岡野国務大臣 私も宮城県のことは、あなたから今日初めて伺つたので、実は事実知りません。しかしただいまあなたから伺つたお話によつて判断しますと、これは日本国民として耐え得られぬことですから、お説の通りです。ですからそれだまが飛び出すような鉄砲を撃つことはよしてもらいたいと思います。これは十分向うと話合いまして、もしそれだけのことがあれば、届いてもかまわない所に撃つてもらう。それでなければ撃つてはもらわぬことにする。これは日本国民として当然言うべきことであるし、お説しごくごもつともだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/83
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084・佐々木更三
○佐々木(更)委員 最後にたいへん私の満足するような答弁をいただきましたので、国務大臣に対してもとにお聞きしたいこともありまするけれども、いずれまた国務大臣に来ていただいて御質問申し上げることにして、残余の質問は保留いたしまして、今日は一応これで打切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/84
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085・小平久雄
○小平(久)委員 私はごく簡單に二、三点だけ伺います。
先ほど第四條の規定が問題になりましたが、先ほどの質問のうちにもありました通り、法の建前が逆に書いてあるような気がいたすのであります。そこで実際問題としては、合同会議によつて、どういう土地を收用するとか使用するとか、あるいはどういう家屋を收用、使用するということが大体はきまつて、それから具体的に調達局長の方に流れて行くというお話でしたが、しからば合同委員会で大体のことが決定するまでに、大体どういつた土地とか家屋を使用、收用するということについて、関係人や内外の意見を徴するということがあつてしかるべきだとわれわれは考えるのですが、そういう点はどういうふうに運ばれることになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/85
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086・根道廣吉
○根道政府委員 今後そういうことにつきまして、具体的にどういうように運んで行くか、現在検討中でありますが、もちろん收用に移すようなことが起ります場合には、いろいろな方面から研究を積んだ上でやらなければならぬと思います。いきなり合同委員会なるものにそれを持ち出して、高いところでちよつときめてしまつて、それで日本の特調に流して、言うことを聞かなければ收用するというかつこうに行くのはほんとうではないと考えます。具体問題といたしまして、正式な話合い以前に、おそらくこの次にどこでどういうところを必要とするというような話合いが出て来ることかと思います。その場合には日本政府側といたしましても、できるだけ事前に取調べた上で合同委に正式のものを持つて行くという運びにいたしてみたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/86
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087・小平久雄
○小平(久)委員 その点はなるべく長官の御説明のようなことに処置していただきたいと思います。そこでこの法案を見ますと、たとえば第四條において、調達局長は、使用あるいは收用の認定申請にあたりまして、関係人の意見書を付するとか、あるいは第六條において、内閣総理大臣が認定に関する処分を行う場合には、関係行政機関の長及び学識経験を有する者の意見を求めることができるとか、同じく第六條の第二項においては、関係行政機関の長は内閣総理大臣に対して意見を述べることができるとか、こういうことが所々に見受けられるのでありますが、特に土地を使うという場合においては、目的にもよりますが、たとえば演習地を求めるというような場合には、相当広範囲にわたる場合があると思うのです。そういう際には、例の国土開発等の関係で地方の公共団体等にも関係する面が非常に多いと思う。しかるに今申す通り、地方公共団体との関係などあまり具体的にうたつてないようでありますが、この公共団体の長、町村長であるとか知事であるとか、そういう者の意見を徴するという方法はしないのですか。実際にはするのですか。どういうふうになつておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/87
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088・長岡伊八
○長岡政府委員 この四條の規定を見ますと、まことに御指摘の通りでありまして、ただいま長官からお答えいたしました通りに、合同委員会がいろいろ研究いたしまして処置はきめるのでありますから、おそらく合同委員会のきめますことと、実際に收用、使用いたしますことは一致するかもしれません。合同委員会ではこれを強制力を用いて使用なり收用するかどうかということまではきめませんので、それを主管いたしております局長に流しまして、先ほど申し上げました通り所有者とよく打合せまして、話がつかぬときにはさらにもう一度この手続を踏みまして、強制力を用いてこれを收用することがしかるべきかどうかという再検討をいたします。場合によりますと、いろいろここに規定いたしております通りに、各方面——ただいまお話の公共団体の意見その他ももちろん事実上聞かなければならない、これを聞きました上で、あるいは合同委員会の再考を促すといつたようなことも行われるかと思います。従いましてこの四條以下、局長は強制力を用いてやるという場合には、これだけの手続を踏んで、さらに適正合理的であるかということを再確認する、かように規定をいたしました次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/88
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089・小平久雄
○小平(久)委員 御説明のように、なるほど合同委員会は、その決定前に地方自治体の長の意見等も聞くかもしれませんが、それはあくまでも内々のことで、正式のことではないことじやないかと思う。従いまして、法の建前からいえば、あくまでもこの法にのつとつてやることでしよう。少くともこの四條には関係人と漠然とうたつてありますから、こういう面については、本法の施行上特に御留意をお願いして、この点はそれだけにいたします。
それから第九條で、建物を使用する場合に、建物の使用が三年以上にわたるとき、及び今度は建物の使用に建物の形状を変更し従来用いた目的に供することを著しく困難にするとき、このときは今度は收用を請求することができるということになつておりますが、実はわれわれも多少経験があるのですが、今までの接收の場合ですと、大体国が独立をしたならば接收も解除になるのじやないかということで、そこに大よそのひとつの目安があつたわけです。ところが実際問題としましては、独立が非常に延びましたから、たいへん延び延びになつて今日にまで及んでおるわけです。今度の場合は——大体先ほどから臨時的、一時的と大分論議が闘わされましたが、見ようによつてはいつまで駐留するのかわからぬ。従つていつまで使用されるのかもわからぬというように実際問題としてはなるのじやないかと思う。そこで建物の使用等については、第九條には特に「三年以上にわたるとき」ということがうたつてありますが、大体期限を付してやるということを原則となさるのかどうかという点が第一点。それから長期にわたる場合は、当局としては一体何年ぐらいまで使用の契約をするのでしようか。それからなお收用を請求する場合でありますが、最初に短い期間で契約をしましても、次々に更改されて行つて長くなつてしまうというようなときには、そういう場合がおそらく予想されますので、使用されて、その使用の仕方によりて従来用いた目的に供することがはたして著しく困難になるかどうかということが、所有者に初めからなかなか見通しがつかないのではないか。従つて、期限が切れてから政府に買い上げてもらうというような道はこの規定によつてはないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/89
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090・長岡伊八
○長岡政府委員 この点は、率直に申し上げますと、われわれも非常に議論いたしました。実はここの第九條にはこう出してありますが、收用法には土地の問題について同じ規定がございます。同じ規定でございますが、土地につきまして、これまでの経験から申し上げますと、中には、先祖からのものだから何年にわたつても絶対に売りたくないという地方もございます。しかし開拓者とかそのほかの関係で、ほかの土地に移らなければならぬということで買取り請求を要求されている向きが多分にございます。それでここに書きましたのは、收用委員会にかけましたときにいずれこれは期限がきまるわけでございますが、ただいま御指摘になりました通りに、一年ずつ延ばしまして、それで一年だからいつまでも買取り請求が起らないということでは所有者が非常に迷惑いたしますので、この括弧内にありますように、更新をいたしまして三年にわたつているときは買い取る。これはいつ買い取るかという問題と、それからどれだけの買取り請求が出て来るかということが予算面にも非常に大きな響きを與えますので、かように規定いたしまして、更新して三年にわたりますときは買取り請求ができるということにいたしました。契約いたしますときも、契約は大体一年を期限にいたしておりますので、この規定の趣旨によつて契約をいたしましても、三年になるというときにはやはり買取り請求を認めます。それから形状の変更ということは、ただいま御指摘の通りに初めからわかりません。途中であるいは飛行場の滑走路になるとか、こういうときにはそのときに買取り請求権を認めるつもりで規定いたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/90
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091・小平久雄
○小平(久)委員 最後の点ですが、最初からわかつているときはなるほど買取りの請求をするでしようが、幾ばくかの期間を使われた後になつて、従来用いた目的に供することが著しく困難になつたと、つまり過去の事実としてわかつたときは、要するに買取り請求ができるかどうかということが問題である。それを伺つたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/91
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092・長岡伊八
○長岡政府委員 ただいま私が御回答申し上げましたのもそのときには請求権を認めるというつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/92
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093・小平久雄
○小平(久)委員 最後にもう一点伺います。第十一條の第三項に、建物の使用中に有益費が費された場合のことが規定されております。その中に建物の所有者に利得を生じたときには、その限度において国に納付させる、こういう規定があるのであります。一応これはごもつともの規定のように私も見るのですが、われわれの知つている例によつても、ある住宅が接收された、ところが生活程度が違いますから、やれボイラーをつくるとかなんとか、日本人の普通の生活からいえば程度の高い施設に改造するわけです。こじきが赤裏ということをいいますが、ただ返してもらつたのでは元の生活程度ではとてもやつて行けない、こういう例が非常に多いと聞いておる。従つてたとい有益費が出されて、建物としては客観的に見て値打は上つたかもしれませんが、しかし、実際とられた人から見れば、これはむしろいい迷惑であつて、そういう際に利益の限度で国に納付させるといつても、実際問題としてはなかなかむずかしいのではないかと思う。一体当局としては、利益の限度とかなんとかいうことは、どういう観点から算定をなさるおつもりなのか、この点を最後に承つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/93
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094・長岡伊八
○長岡政府委員 この点は昨日も話が出たのでありますが、解除になりまして補償いたしますときは、取扱いといたしましては、実は損害が起きておつた方がやりいいのであります。有益費をかけておりますと、非常にめんどうになります。しかし、これまでの例を見ましても、なるほど今のお話の通りに値打が上つておると見ましても、事実は価値増と見られない価値増がございます。こういうものは価値増と見ておりません。場合によりましたらまた元の通りに直さなければならない。この点は従来とても十分心いたしまして、オーナーの納得の行くような措置をとつております。今後といえどもそれと同じつもりで措置いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/94
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095・松本一郎
○松本委員長 本日はこの程度で散会いたします。
次会は追つて公報で御案内いたします。
午後四時二十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02019520416/95
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