1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十七年六月十二日(木曜日)
午前十一時十五分開議
出席委員
委員長代理 理事 青柳 一郎君
理事 丸山 直友君 理事 亘 四郎君
新井 京太君 高橋 等君
寺島隆太郎君 堀川 恭平君
松井 豊吉君 松永 佛骨君
堤 ツルヨ君 苅田アサノ君
福田 昌子君 寺崎 覺君
出席政府委員
厚生事務官
(兒童局長) 高田 正巳君
委員外の出席者
参議院議員 中山 壽彦君
衆議院法制局参
事
(第二部長) 鮫島 眞男君
参議院法制局参
事
(第一部第一課
長) 中原 武夫君
專 門 員 川井 章知君
專 門 員 引地亮太郎君
專 門 員 山本 正世君
—————————————
六月十日
栄養改善法案(中山壽彦君外五名提出、参法第
一一号)(予)
同月十一日
栄養改善法案(参議院提出、参法第一一号)
の審査を本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した事件
兒童福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出
第八二号)(参議院送付)
栄養改善法案(参議院提出、参法第一一号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304237X04019520612/0
-
001・青柳一郎
○青柳委員長代理 これより会議を開ます。
都合により委員長が不在でございますので、私が委員長の職を勤めます。
まず栄養改善法案を議題とし、調査に入ります提案者より趣旨の説明を聽取いたしたいと存じます。提案者参議院議員中山壽彦君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304237X04019520612/1
-
002・中山壽彦
○中山参議院議員 ただいま提案になりました栄養改善漁案の提案理由を御説明いたします。
昭和二十一年以降、緊急食糧対策の基本資料として、また国民栄養の確保改善等を目的として、全国的に国民栄養調査を実施して来た結果によりますと、日本国民の栄養状況は、蛋白質及びカルシウムの極度の不足が顯著な特色として現われているのであります。わが国に結核が非常に多いこと、またトラポーム、消化器系伝染性疾患に対する抵抗力が弱いこと、さらに国民の気質として、熱しやすくさめやすいこと、神経質であることの原因の大半は、この栄養上の欠陷に由来するといわれているのであります。この栄養的欠陷は、国民が必ずしも量において食べ足らざるがゆえではなく、腹一ぱい食べながらも、米、麦、いも等の含水炭素に偏した食事を反省もなく攝取していることに起因するのでありまして、量においては、むしろ過食であるにかかわらず、質においては食べ足らさる矛盾を繰返しているからにほかならないのであります。今日、日本の食糧事情は、外国からの補給を合せれば辛うじてつじつまを合せ得る状態になつて参りましたことから、食に対する関心はようやく薄れつつあるのでありますが、このような質の面における重大な欠陷に目を注ぐとき、今後は量の確保もさることながら、質の向上へ一般の注意を向ける必要が痛感されるのであります。
栄養食を美食と同義に誤解し、栄養を論ずることは、もつと生活水準が向上した後でいいという誤解はまず一掃されなければなりません、われわれに必要な栄養素は、経済的に安価な食品の中に、十分に含まれておるのでありまして、これを合理的に配合することによつて、新たに経済的な負担を課することなくして、国民栄養上の欠陷を補填することが可能であります。それは進歩した栄養学の研究の成果を国民の日常生活の中に取入れることであります。すなわち高価な食品の追加ではなくわれわれの周囲に存在する安価な食品の選択及び調理を合理的に改善すればいいのであります。
今日までの幾多の指導実績の例から見まして、この栄養改善の成果は、量の面においては、かえつて攝取量を減少して食糧事情の解決の一助ともなり、また経済の面においては、出費を節約し得て、国民生活安定の役割を果して参つております。国民栄養の改善に関する指導行政は、従来から保健所の任務となつておりましたが、部分的にはともかく、全般的にはいまだ見るべき成果をあげるに至つておりません。これは国民全般が栄養欠陷がもたらす損失、弊害を十分に認識していないこと、従つてそれに対する指導を積極的に行うことが困難であつたこと、さらに栄養改善の問題は、生活全般に関連を有するため、技術的な一局部の指導のみでは足らず、関係行政機関の総合体制による施策が必要であるにかかわらず、その体制ができていなかつたことに原因があるかと考えられます。この法案は、従来生命維持の一線を健康の最低線として、もつぽら疾病そのものへの対策に全力を注いでいた体制から一歩を進めて、健康とは作業に耐え得る体力の保持である認識の上に立つて、これら栄養改善行政の障害となつていた原因に対してそれぞれの手当を加えんとするものであります。
法案は四つの部分から構成されております。すなわち、第一に、国民栄養調査の実施によつて国民栄養の実態を常に把握すること。国民栄養調査は、国が実施の責任を負い、これに要する費用の全額を負担いたしますが、執行には都道府県知事が当ることにいたしております。この條項は昭和二十一年以降司令部の指示のもとに実施されており、また本年度においても予算に計上されておりますものを、法律に基礎づけたものであります。
第二に、栄養審議会を設置すること。これは国民栄養調査の結果を、栄養改善に関する国の施策の中に取入れるために、関係行政機関の協力体制及び学識経験者の動員体制をはかる措置であります。審議会の新設は、今日の情勢から避くべきでありますので、従来からあります栄養士試験審査会を改組いたしまして、この任務を附与することといたしました。
第三に、栄養相談所と栄養指導員を設置すること。国民の日常生活と栄養学とを連結し、かつ、栄養審議会においてつくられた栄養改善の施策を浸透させるための措置として、末端機構の整備をはかる必要がありきす。栄養相談所は、現在東京に一箇所ございます国立栄養研究所に附置された国立の栄養相談所の機能を、各保健所と結びつけて、国民の利用に便ならしめんとするものであり、栄養指導員は、現在各保健所に配置されております職員のうち医師または栄養士の資格を有する者をして、実地について積極的な栄養改善の指導を行うべき任務を課したものであります。
第四は、集団給食施設における栄養確保と特殊栄養食品の品質保持の措置を講ずること。特定多数の他人に対して、継続的に食事を供給する場合及び他人に対して栄養食品を販売する場合は、国民の各自が自己の食事を攝取する場合と趣を異にいたしますので、この二つの場合に限り、この法案は義務づけの規定をおいております。すなわち、一回百食以上、一日二百五十食以上の給食能力を持つ集団給食施設であつて、医師または栄養士が管理しないものにあつては、栄養指導員の指導を定期に受けさせることによつて、栄養的給食の確保をはかることにいたしました。また販売する食品に栄養補給ができる旨の標示、または乳幼児用、病人用等の特別用途の標示をする場合には、許可を必要とすることにしまして、粗悪な栄養食品の販売を防止することにいたしました。
以上がこの法案の提案理由とその内容でございます。何とぞ御審議の上御賛同を賜わりますようお願いをいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304237X04019520612/2
-
003・青柳一郎
○青柳委員長代理 次に、兒童福祉法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
本日は、参議院において修正された箇所についての細部の説明を、参議院法制局の中原第一課長より聽取したいと存じます。中原第一課長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304237X04019520612/3
-
004・中原武夫
○中原参議院法制局参事 昨日参議院の厚生委員長から御説明がございました参議院の修正の部分につきまして、逐條的に御説明を申し上げます。
その第一点は、第十一條に関する改正規定を新たに追加することでございます。現在の十一條には「兒童福祉司の職務」という表題のもとに「都道府県に、兒童福祉司を置く。」そうして二項で、兒童福祉司の任務を書き、三項で、担当区域と市町村長に対して協力を求める義務が書かれ、四項で、職務に関しては兒童相談所長の指揮監督を受けるという條項になつております。現在の條文によりますと、兒童福祉司はどこに所属するのかが、必ずしも明確でございません。兒童福祉司はケース・ワーカーでございますから、これは必ず兒童相談所に置くべきだ、兒童相談所に配置されて、兒童相談所長の指揮監督下に動くのだということを、もつとはつきりと表わす必要があるのではないかということで「都道府県は、兒童相談所に兒童福祉司を置かなければならない。」ということにかえたのでございます。これは実態的には、現行の條文とそうかわりはございませんが、その配置関係、身分関係が明確になるように書きかえたのでございます。
次に、施行期日を修正いたしております。政府から提出されました原案によりますと、今回の兒童福祉法の一部改正の法律は、すべて「公布の日から施行する。」ということになつております。ところが、政府提出の改正案の中には、罰則に関連をする條項がございます。それは、深夜における兒童の街頭業務の禁止、それから、カフエーやバーのような風俗営業施設に立ち入ることの禁止の二つでございます。この三十四條の第一項の改正規定は、罰則を伴いますので、周知期間を置く必要があるという理由から、九月一日までは、周知期間として施行を延ばすことにいたしたのでございます。
第三点は、兒童福祉法関係の経費で、ひもつき補助になつておりますのは、現在の地方財政法の十條七号によりますと、妊産婦及び乳幼兒の保健指導、母子手帳、兒童相談所、兒童一時保護所、身体障害兒の保護に要する経費だけが、ひもつきの補助になつております。兒童福祉施設に要する経費と里親に要する経費まで含めて、ひもつき補助の経費負担を広げて行くという改正をしようというのが、第三点でございます。第三点の改正は、これは予算の措置が必要になりますので、この修正規定は来年の四月一日から施行するというように、施行期日のところを関連していじくつてあるのでございます。
以上が、参議院で修正いたしました内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304237X04019520612/4
-
005・青柳一郎
○青柳委員長代理 本日はこれにて散会いたします。
午前十一時三十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304237X04019520612/5
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。