1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年三月三日(月曜日)
午前十一時十八分開議
出席委員
委員長 田中 不破三君
理事 藤枝 泉介君 理事 淵上房太郎君
理事 平川 篤雄君
伊藤 郷一君 今村 忠助君
塩田賀四郎君 渡邊 良夫君
本間 俊一君 小澤佐重喜君
大野 伴睦君 西村 久之君
今井 耕君 井之口政雄君
出席政府委員
内閣官房副長官 菅野 義丸君
総理府事務官
(大臣官房審議
室長事務代理) 増子 正宏君
総理府技官
(特別調達庁業
務部長) 池口 凌君
人事院事務官
(事務総局給与
局長) 瀧本 忠男君
大蔵事務官
(主計局次長) 東條 猛猪君
大蔵事務官
(主計局給与課
長) 岸本 晋君
労働基準監督官
(労働基準局
長) 龜井 光君
委員外の出席者
労働基準監督官
(労働基準局給
与課長) 宮島 久義君
日本国有鉄道参
与
(職員局長) 吾孫子 豊君
日本国有鉄道参
事
(職員局給与課
長) 八木 利眞君
専 門 員 安倍 三郎君
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三月三日
委員井之口政雄君辞任につき、その補欠として
木村榮君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員木村榮君辞任につき、その補欠として井之
口政雄君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した事件
一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第四一号)
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001・田中不破三
○田中委員長 これより人事委員会を開会いたします。
ただいまより一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、内閣提出第四一号を議題として質疑を継続いたします。平川篤雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/1
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002・平川篤雄
○平川委員 前回の委員会で地域給の問題に関連して、国鉄関係の地域給の問題について、少し大蔵当局から御意見を聞いたのでありますが、私きようもそれに引続いて、ちようど国鉄関係から菅野副長官もお見えになつておりますので、問題を明らかにして、この解決をいたしたいと思います。いろいろ政治的にむずかしい問題があるようでありますが、私もしろうとであつて、この国鉄の給与予算のことについてよくわかりませんので、最初にひとつ今回の国鉄の給与予算ができ上るまで、どういうふうな径路をとつて積み上げておいでになつたのか、その事情をまず聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/2
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003・吾孫子豊
○吾孫子説明員 それでは私からただいまの御質問のありました点について、考え方の大体のアウト・ラインを申し上げたいと思います。国鉄職員の給与の関係は、公共企業体労働関係法の建前から、その決定は国鉄当局と労働組合との団体交渉によつて、結論を出すようなことになつているわけでございます。それで二十七年度の給与の体系につきましても、二十六年度において国鉄、労働組合との間において交渉の行われた結果、国鉄中央調停委員会から提示されました一万八百二十四円というベースで、これをどういうふうに本俸なり家族手当なり、あるいはまた地域給なりに分配するかというようなことにつきまして、労働組合との間で交渉を行いまして、その結果それぞれの基準を定めまして、この一万八百二十四円という水準一ぱいに二十七年度の予算は組んであるというようなかつこうになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/3
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004・平川篤雄
○平川委員 この国鉄の団体協約という問題でありますが、この許された給与体系というものは、国家公務員の給与体系をどの程度逸脱するといいますか、あるいは離れて考えることができるか、その辺の自由の限度、これをちよつとお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/4
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005・吾孫子豊
○吾孫子説明員 国有鉄道職員の給与ということにつきましては、日本国有鉄道法の方で生計費、国家公務員の給与、それから民間事業の給与というようなものを参酌して、決定せられるべきであるという趣旨のことが書いてございますが、国家公務員の給与についてどの程度拘束されなければならないかという限度というようなことは、別段はつきりはいたしておりませんです。しかしながら大体国鉄職員の給与ペースというものも、国家公務員の給与ベースとそれほど違つているものではございませんので、やはり大体同じようなきめ方に自然なるわけでございますが、国鉄職員にはまた国鉄職員の特殊の事情というものがございますので、どの辺まで国家公務員に近づけるかということにつきましては、当局と組合がその都度団体交渉を行いまして、きめているというような実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/5
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006・平川篤雄
○平川委員 重ねてお伺いしますが、大蔵省の査定は、その場合にはどの程度強く実際として響いているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/6
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007・吾孫子豊
○吾孫子説明員 ただいま一万八百二十四円というペースの分配の仕方をどうするかということについて、組合と協議をするということを申し上げましたが、大蔵省からは別にその一万八百二十四円というベースのうちどれだけを本俸に割当て、どれだけを家族手当にまわし、どれだけを地域給にまわすかというような、こまかい点までは制限はされておりませんので、結局一万八百二十四円というベースがきまりますと、そのぺースに対して予算上認められた定員に相当するだけの給与の総額を、大蔵省から押えられると申しますか、そういう形になつているわけでありまして、中身の分配につきましてまでは、別に拘束を受けてはおらないようなことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/7
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008・平川篤雄
○平川委員 大蔵省当局にお伺いしたいのですが、今吾孫子職員局長のお話のように総額を押えていると言われる、現在勤めております職員数に応じたものというのでありますが、その総額の決定にはどういう数字をお持ちになつて押えられているか、これをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/8
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009・東條猛猪
○東條政府委員 お答え申し上げます。国鉄の給与の積算の基礎、あるいは政府と国有鉄道との給与に関しまする話合いの筋道につきましては、ただいま職員局長からお答えを申し上げました通りであります。二十七年度の国有鉄道予算につきましては、今参議院で御審議を願つておりまして、昭和二十七年度政府関係機関予算という中に国有鉄道の予算がもちろん計上されているのでありますが、給与の問題については特に法律の命ずるところに従いまして、予算の総則に日本国有鉄道の第四十四條の規定によりますところの日本国有鉄道の役職員に対する給与の総額は七百八億円——端数ははしよりて申し上げてありますが、七百八億円とするということで、予算案の形で御審議をお願いしているわけであります。どういうことでこの予算が積算せられたのかという点でございますが、今吾孫子局長から御答弁がございましたごとく、国鉄の給与につきましては、一万八百二十四円という調停の金額を基礎にいしたまして、これに若干の昇給がございますから、その昇給を織り込む。そうして一面昭和二十七年度における日本国有鉄道の業務量から、どの程度の定員が必要であろうかということを、日本国有鉄道と大蔵省との間で相談をいたしまして、この程度の定員は必要であろうということに意見の一致を見ますと、その人員を今の単価に乗じまして、右に申し上げました七百八億円という給与総額の金額が出る。それを御審議願う、こういう筋道に相なつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/9
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010・平川篤雄
○平川委員 ただいまのお答えによつて、大体概略はわかつたのでありますが、そこで人事院の今回の地域給の新指定でありますが、これは新たな事態であると私は考えるのでありますが、その点については大蔵省当局ではどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/10
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011・東條猛猪
○東條政府委員 この人事院の地域給の指定につきまして、日本国有鉄道の給与総額の関係の問題でありますが、御承知のように国鉄の給与体系の中で、勤務地手当の制度につきましては、一般公務員と同じ給与体系、勤務地手当の体系はとつておらないことは御承知の通りであります。それから一面今局長からも御答弁ありましたように、種々の給与の体系は、国鉄の総裁が、その内容につきましては御決定に相なるということで、人事院の地域給に関する勧告が出、これが一般職の公務員につきまして、政府としてそれの趣旨にのつとりました改正をいたすことでお願いいたしたのでありますが、すぐそれが日本国有鉄道の職員について法規的に適用があるかということに相なつて参りますと、そういう次第ではないのであります。ただ時期的あるいは予算の積算の基礎におきまして、この予算の中に今回の人事院の地域給の勧告の要素を織り込んでやるといろ点につきましては、ただいまお話の通りに大蔵省といたしましては、地域給の勧告の趣旨を、給与の総額の計算の中には、ただちには織り込んでないということをお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/11
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012・平川篤雄
○平川委員 問題が簡単になつたような気がいたしますが、このたびの予算の中に織り込んでいないということになれば、国鉄当局からそれを織り込んで要求になれば、わくを広げられる気持はあるというふうに了解してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/12
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013・東條猛猪
○東條政府委員 御説のように、給与総額をきめますときの単価の問題は、先ほど申し上げました通りでありますが、定員の問題、それから単価と申しましても、平均給与は今申し上げましたように一万八百二十四円の調停案を基礎にいたしましたものに諸給を織り込んだものが単価になりますが、現実に支給いたしますときには、比較的年齢の高いあるいは経験年数の多い方、これらの方の給与の単価金額が多いことは、これはあたりまえなことであります。そこで今実は地域給の勧告が出ましたので、国有鉄道側といろいろ御相談をいたしておるのでありますが、御承知のように日本国有鉄道につきましても、今回相当数の退職が行われます。人員におきましても、当初予定いたしておりましたものよりは、相当大勢の方が、八割の退職手当のつくという年度内におやめになりたい、その年齢構成を見てみますと、比較的高齢な方がこの際勇退をされる、しかもその人数が相当多数に上るように承知しておるのであります。そこで昭和二十七年度になりまして、一体三月末までに退職をせられる方々の実績はどうだろうか。私どもの見方は、今申し上げます通り予算に当初考えておりましたものよりは相当多数の方が、しかも比較的高齢なあるいは勤続年数の多い方が退職されるようなことになりますが、もしそろなりますと、昭和二十七年度の予算の当初、おそらくこういう経験年数の方、あるいはこの程度の人数の方が勤務せられるであろうと考えておりました前提よりは、多少狂つて参りました。そこで何と申しますか、予算としては給与総額でお願いをしておるわけでありますから、実際の支給のときに若干の余裕が出て来はしないか。これは三月末までの結果を見てみなければわからないが、大蔵省の見通しでは多少余裕が出そうでありますが、今回の地域給の勧告をそのままに実施いたしますとすれば、今お話のようにわくを拡げる、拡げないという問題が出て来るわけでありますが、計数の問題でありますから、それらの関係をよく勘案をいたしまして、今後研究問題として、この地域給をいかに国鉄の方で実施せられて行くか、よく検討してみたいと思います。私どもといたしましては、地域給の勧告が出たから、すぐ機械的にその金額のわくを拡張しなければならないという結果には、必ずしも相なるまいというふうに、今日のところ考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/13
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014・平川篤雄
○平川委員 ただいまの御答弁の中に、二つ種類の違つたことがあると思います。一つは国鉄の方で人件費の余裕が出るだろうから、それからおやりになる方はさしつかえないというふうなお考え、もう一つは、地域給の給与体系が全然別個であるから、その点については関知しないというような御言葉があつたようでありますが、こちら大蔵省当局の見解としては、どちらがおもなんでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/14
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015・東條猛猪
○東條政府委員 関知しないと申し上げたつもりはありませんで、給与体系が、地域給の体系が違うので、一般公務員の地域給の制度がかわつたからといつて、すぐに機械的に国鉄の場合にも、それが適用せられるという結果には相なるまいという趣旨のことを申し上げたつもりであります。しかしながら地域給の改訂がありますれば、そういう要素はもちろん考慮いたさなければなりません。そこでその場合は、今申し上げましたように、給与予算の総額において、今後の実行上多少余裕の点が出て来ないか、二つの事柄を申し上げたわけでありますので、さよう御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/15
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016・平川篤雄
○平川委員 国家公務員の地域給の問題については、この前のときに岸本課長から、もし足りなくなれば流用等をやりたいというふうなお答えがあつたのであります。今回の予算案には七百八億円という総わくが審議せられておるのですけれども、将来御研究になつて、国鉄の総わくの中ではとうてい主かなうことができないという結果が出た場合には、大蔵省としてはどういうふうにお考えになるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/16
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017・東條猛猪
○東條政府委員 前回給与課長から、給与の金額で足りなくなれば、何とか流用等の措置を講じてみたいということをお答え申し上げたと思うのでありますが、私どもといたしましては、今回の地域給の勧告に伴います人件費の金額は、できるだけ給与の予算の中でまかなつて行くことを考えて行きたい。どうやつてまかなえるか、こういうお話になつて参ると思いますが、これは今申し上げましたように、結局退職人員の見方の問題であります。一般会計の予算におきましては、御承知の通り、行政機関の簡素化に伴います定員法に基きまして、相当数の人員の減少を予算上織り込んでおるのでありますが、ごく大ざつぱに申し上げまして、私どもは、その半数は年度内三月末までにやめていただくか、あるいは自然退職せられる者、残る半数は四月以降に相なるだろう、こういう実は予算上一応の前提をおいておつたのであります。ところが実際、ただいままでの実績をいろいろながめてみますと、各省各庁の人員の減少といいますか、あるいは退職せられる方々は、どうせやめるならやはり三月までにやめたいという退職希望の方が実は多いようであります。従いまして、その結果は、昭和二十七年度の予算に及ぼす影響は——実は四月以降やめられる方々の給与予算額は二箇月分くらい計上いたしてありますが、それらが相当実は不要になつて、浮いて参りはしないかということで、今回の地域給の勧告に伴いますところの給与予算額は、相当程度これでまかなえるのではなかろうかという見通しを持つております。法律案の御審議を願うのでございますから、万一足らなかつたらばどうするんだ、こういうお話に対しましては、政府といたしましては、何とか各省各庁と相談をいたしまして、それでも足りぬ場合は流用等の措置を講じて参るということを申し上げたのが、実は前回給与課長から御答弁申し上げた趣旨でありますか、さように御承知をいただきたいと思うのであります。
それからただいまお尋ねの給与総額の問題でありますが、これはただいま申し上げましたように、三月末までの実際退職せられる方々の実績がどうなるか、またそれに伴いますところの給与予算額はどうなるか、これらの見定めをよくつけまして、昭和二十七年度の給与予算の実行の成果等をよく見まして、今後の問題といたしまして善処したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/17
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018・平川篤雄
○平川委員 吾孫子さんにお尋ねしますが、ただいまの東條さんのお話のように見通しがやはりございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/18
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019・吾孫子豊
○吾孫子説明員 ただいま東條主計局次長からお話があつた点につきましては、大体やはり同じようなことでなかろうかと思いますが、主計局次長は、相当勤続年数が長い功労者がたくさんやめるのであるから、従つて賃金の平均単価も下り、そういう面からも財源に余裕が出て来るのではないかというお言葉もございましたが、実は国鉄の部内の給与体系を決定いたします際に、今まで国鉄の労働組合側としましては、どちらかと申しますと、とにかく本俸を上げるということに重点を置いて考えて来ておりますために、いろいろ本俸以外の諸手当というような点におきまして、若干無理をして押えて来ておるような点もありますので、かりにある程度財源が浮いて参りましても、今後の昇給財源のこともございますし、諸手当の問題もございまして、それのみでもし人事院の勧告通りに地域給を定めるということにいたしますと、なかなかそれだけではきゆうくつではなかろうかと思います。ただ現在、二十七年度の実際の給与水準等がどれくらいになるであろうかということつきましては、作業中でございますので、はつきりしたたことはまだわかりませんが、事情によつてはやはり給与総額のわくを拡げるというようなことについて、大蔵御当局に御協議を申し上げなければならないことになるかとも思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/19
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020・平川篤雄
○平川委員 そういう内部の分割の問題はまたあとまわしにしまして、少くとも四月から国家公務員の方は新しい指定を受けた所がある、約七億円というものが、それで増額せられるということになる。もし一ばい一ぱいの案を組んでおられて、それが七百八億円の中で計上せられておるとすれば、少くとも新事態として、新しい分だけは足りないことは明らかである。それをどういうふうに御配分になろうと、それはあなたの方のかつてでありましようが、少くともそれだけは足りないということは明らかである。その分が、退職者等が非常にふえるということで、余りが出るか出ないかという問題、これは別個に一応考えられて少しもさしつかえない問題ではないかと私は思うのですが、それはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/20
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021・吾孫子豊
○吾孫子説明員 今の御質問に対するお答えは、なかなかむずかしいのでありますが、国鉄といたしましては、結局国鉄の財源というのは一本でございますので、国家公務員について先ほど流用ということを、主計局次長が申されましたが、国鉄といたしましても、あるいは流用というようなことで、所要の財源をまかなう場合もございましようし、また財源の状況によりまして、給与総額のわくを拡げるということをお願いいたさなければならないことになるかもしれませんが、その辺につきましては、目下まだ作業中でございますので、はつきりしたことは申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/21
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022・平川篤雄
○平川委員 作業中なら数字はわかりませんでしようが、大体今のお話を通じて、それからあなたのお顔色を通じて、大体今回の新指定については、とにかく考慮せざるを得ないという、そういう御心境であるということに了解してさしつかえないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/22
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023・吾孫子豊
○吾孫子説明員 そういうふうにお考えくださいまして、さしつかえございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/23
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024・平川篤雄
○平川委員 国鉄の地域給の問題ですが、私は、労働組合と話合いをせられて、一律に全部に与えたという形で、本俸に組み入れられたという措置につきましては、非常に敬意を表するのです。これは当然こういうふうな経過をとつて行かなければならないものですが、なかなかできないのであから、英断をもつておやりになつたということについては、敬意を表するものであります。但し、あなた方にはつきりしておいてもらわなければならぬと思いますことは、先ほど主計局次長の東條さんもおつしやいましたが、別個のものだ、別個のものだと言われる。しかし私はそういうふうに了解していない。この地域給の、人事院の勧告しております制度は、御承知のように、国家公務員のおる所というものは大都市がおもであつて、あとはわずかに郵便局の人が各地に散在しておるというような程度です。それで他の多くの地方公務員というものは、それぞれの独立した経済でやつておるのでありますから、割合に矛盾が露呈しないのでありますが、国鉄なんかはそうでない。だから結局国鉄が今回こういう措置をとられたのは、人事院の勧告を実施する上において非常に不便があるから、これを何とか是正をしたいという腹からやつておられるのであつて、地域給の体系自身を否定せられておるのでも何でもないのであります。ことにそれぞれの個人の持つております地域給の総額というものは、国家公務員の場合と比較いたしまして、むしろ低くなつておる。ということは、大体国家公務員並の地域給の予算を組んで、それを配分しておられる。あなたの所では、内部事情として配分しておられるのでありますが、こういう見解についてあなた方違うのであるかどうかということを、この際大蔵省当局、国鉄当局の両方から確めておきたいと思います。これは非常に根本的な問題になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/24
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025・吾孫子豊
○吾孫子説明員 ただいまたいへん御理解深いお言葉をいただきまして、感謝いたしております。ただ国鉄の業務機関は、御承知のように線でつながつております。分布状況等の関係もございまして、一般の国家の行政機関の所在の関係は、いわば点のような形で分布しておるのに対して、国鉄は線でつながつておるというような特殊事情もございまして、人事院の勧告通りに地域給を定めますと、すぐ隣接したような業務機関数個の間で、おかしなでこぼこができるというような関係もございまして、地域給というものの根本的な考え方につきましては、もちろん国家公務員についてと同じように考えておるのでございますが、業務機関の分希状況というような点、さらに国鉄職員自身も地域給をよけいとるよりも、むしろ本俸の方をふやすようにして行きたいという私どもの考え方に同調していてくれますので、ただいまのように国家公務員とはやや違つた体系をとつておるわけでございますが、地域給というものに対する根本の考え方におきましては、別段かわつた点はない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/25
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026・東條猛猪
○東條政府委員 吾孫子局長からお答えになりましたのと大体同様でございますが、私は日本国有鉄道は一般の官庁でなく、公社でありまして、公社にふさわしい権限を総裁がお持ちになつておるということから、給与の問題につきましても、一般公務員と違いました独自の性格をお持ちになつてもさしつかえないものであろう、こう考えております。ただ、ただいま局長からも御答弁つがありましたように、そうは申しながら、人事院の勧告は科学性に富んだ、非常に根拠のあるものでございますから、そういうものを参考と申しますか、その趣旨を十分くみ込んで給与体系をお立てになることは、もちろんけつこうでありますが、権限としては、法律に示しておりますように、公社総裁の権限でありまして、必ずしも一般の公務員と同じでなければならぬということはない。さればこそ現在におきましても、地域給について大よその骨組みは同じでありましようけれども、ある程度違つた地域給の体系が行われておる、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/26
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027・平川篤雄
○平川委員 吾孫子さんにお尋ねいたしまが、人事院いろいろ資料を集めまして、級地指定をやつておりますが、国鉄の一級地とか二級地とかいうものは、ただいまここに表をいただいておりますからわかりますが、相当人事院の指定とは違う。これはよくれかるのでありますけれども、何と申しますか、人事院の資料以上のものをお持ちになつて、そして独自の地域給というものを決定せられておるのではないのであろうと私は思う。大体人事院の資料を尊重せられて、先ほど申しましたように、そこへ実施上の困難を何とか緩和するための御措置をとつておられる、私はこう了解する。従つて今回かりに申しますと、二級なり三級なり引上げられたものについて、それを弁駁してくずすだけの御資料を単独にお持ちになつておられるわけではないでありましようね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/27
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028・吾孫子豊
○吾孫子説明員 ただいまのお言葉の通りでございまして、国鉄は国鉄の立場でいろいろ生計費の調査等撃つておりますのですが、人事院の指定に対してこれを弁駁するというほどの資料は、別に持つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/28
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029・平川篤雄
○平川委員 大体話がこれできまつたようであります。国鉄当局では何とかしなければならぬというふうにお考えであるし、それから大蔵省も、配分等については公社の総裁におまかせしてあるのだから、自由にやればよかろう、いよいよ足らないとには何とか措置もするという御意見のようであります。官房副長官もお見えになつております。これは政治問題になりましては非常に困りますので、そこらのところをひとつあつせんせられまして、うまく早く解決いたしまして、できれば四月には一般の公務員と同じように支給せられるように御促進をお願いしたいのでありますが、菅野さんの方からちよつと御意見をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/29
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030・菅野義丸
○菅野政府委員 内閣といたしましても、公務員の給与は、政府機関及び民間給与等の標準といいますか、一つのモデルになるので、その間の調整につきましては、十分御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/30
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031・田中不破三
○田中委員長 井之口君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/31
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032・井之口政雄
○井之口委員 時間もありませんので、簡単にひとつお尋ねしたいと思います。今まで占領軍が雇用しておつた日本の労働者、これの雇用主は日本の政府ということになつておりますが、実質上はなかなかこれに対していろいろな労働法規が適用もされず、馘首されるような場合でも、これの人事の決定というものは、みな日本の政府自身がやるのではなくして、実質上雇用しておるところの外国軍隊の指揮官によつてその名簿もつくられる、馘首もされていたような状態であります。そこで占領軍のこれらの労務者はこの点を非常に不満に思つて、これに対して労働組合の力によつてどうすることもできぬし、非常に困つていたようであります。ところでいよいよ今度は行政協定が結ばれて、建前は日本が独立するという建前になるわけでありますが、その建前が実際上においてそうなつて来るか、この点特別調達庁では、どんなふうに将来なつて行くとお考えになりますか。ちよつとその点を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/32
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033・田中不破三
○田中委員長 ちよつと井之口さんに申し上げますが、特別調達庁からは見えていないようです。労働省からは労働基準局長が見えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/33
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034・井之口政雄
○井之口委員 それならば労働省でもよろしゆうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/34
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035・龜井光
○龜井政府委員 行政協定によりまする従来のいわゆる進駐軍労働者の問題につきましては、一応行政協定におきましては、これを直用にするか、あるいは現在のような間接雇用にするか、どちらにでもできるような抽象的な表現でございます。従いましてこれを今後どういうふうな雇用の形式に持つて行くかということは、検討を加えるべき余地があるわけでございます。本筋から申しますと、日本が独立国になりました以上、米駐留軍が直接にこれを雇用する、すなわち雇用主としての責任、あるいは使用主としての責任、すべてその権利義務を米駐留軍が持つということが、法律の適用の上におきましては一番すつきりした形であると考えられます。但しこれにつきましては、現在の労働組合等の強い要望もございまして、調達庁を通じまする間接雇用の形態が望ましいという組合からの要望もございまして、われわれとしましては、そういう方向で今事務的な案を練つておるのでございますが、その際におきまして、ただ従来のような占領下におきまするそういう間接雇用と、独立国になりました後の間接雇用と、おのずからそこに違いがなければ意味がないわけでございます。この点でわれわれ事務当局としましては、雇用主としての責任、これは中間の調達庁のような機関がその責任を負うとしましても、直接の使用者としての責任につきましては、あくまでも米駐留軍がその責任を負うべきであるという建前から、検討を加えておるのでございまして、この点は従来の占領地下におきまする間接雇用の結果とは違う結果が必ず現われて来るようにわれわれ努力しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/35
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036・井之口政雄
○井之口委員 日本は国際間の紛争を解決する手段として、戦争に訴えない、軍隊を置かないというのが、憲法の建前になつておる。でありますから、当然国内においていろいろな軍務に服するというふうなことも、これは日本国民としてあり得べからざることであると思うのであります。それで国会において、現に存在している警察予備隊が軍隊であるとかないとかいうことを、いろいろ騒いでおりまが、これを軍隊とすれば憲法違反であつて、国民はもうすでにこれは軍隊だと認識して、これに反対しておるような状態でありますが、しかし外国の軍隊が日本に駐屯し、力をもつてこれが駐屯される場合に、依然として占領は継続されるわけです。そうすると、ここに外国の軍隊が存在する。それに対して日本国民としてこれに雇用されるという直接的な形は、ただ単に法文の上から見ればすつきりするというふうに仰せられましたが、しかし実際上日本国民の全体の利益並びに憲法上の建前から、それが直接雇用されるということは、一体これは憲法にも違反し、かつ日本の国民の全般的利益にも反するというふうなものではないか。この点を労働省ではどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/36
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037・龜井光
○龜井政府委員 私どもには非常に大きな政治的な御質問でございまして、事務当局の私から御答弁するのはいかがかと思いますが、一応国内法で認められておりまするいろいろな労働関係の條項に合致しまして、そこに雇用が成立する場合におきましては、われわれといたしましてその雇用そのものについての法律的な性質と申しますか、そういうものについては問わない、いやしくも日本の国内法を遵守されました雇用関係でありますれば、それは雇用関係として認めて行くという一応の事務的な立場をとつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/37
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038・井之口政雄
○井之口委員 もし間接的に日本政府が雇う、そうしてこれらの軍務の下請に服せしめるというふうなこと自体であつても、これは将来もしそれが行政協定等によつて合理化され、合法化されて、依然として存続するということでは、やはり同じように日本の憲法にもそむくし、日本の民族の利益にも相反する。しかもこれは法律上の建前で、あなた方はただ法制上取扱つてこれはそうしなければならぬというふうに、今お答えでありますが、そういう法律の建前を追求して行きおつたならば、日本国民はまたまた、大きな軍国主義的な方面へ引込まれて行つて、結局戦争を強化するところの資料を、こつちから供給しているような結果に立ち至るのではないですか。労働省でありますから、労働者全体が日本の新しい憲法の趣旨に従つて、おのおのその生活が安穏になるということが望ましい、そういう方向へ官庁としては考慮を払わなければならぬ性質のものじやなかろうかと思うのですが、それはどうでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/38
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039・龜井光
○龜井政府委員 駐留軍に雇用されます、あるいは使用されまする労働者は、軍務に服するというふうに、われわれとしては考えていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/39
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040・井之口政雄
○井之口委員 労務には服しないで何に服するというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/40
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041・龜井光
○龜井政府委員 軍務には服さない……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/41
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042・井之口政雄
○井之口委員 占領軍の占領を続けるために雇用するのであるからして、当然軍務の下請になるのではなかろうか、どうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/42
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043・龜井光
○龜井政府委員 軍務の範囲によりますが、われわれが一応常識的に考えておりまする範囲では、軍務ではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/43
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044・井之口政雄
○井之口委員 今度の行政協定には、アメリカの軍隊並びに軍属及び家族が治外法権に属することになつて来る。その軍属でさえもやはり軍隊並に取扱おうとしておるわけです。日本人でありながらこうした方に雇用されて、向うの軍務を援助するということになれば、やはりこれは向うの軍隊としての職務を遂行するためのものになつて来るのではなかろうか、そうでないというならば、一体何をするために向うに雇われるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/44
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045・龜井光
○龜井政府委員 治外法権というお話もございましたが、現在の行政協定におきましても、日本の国内労働立法は、全面的に適用になるということが明らかになつておりまして、この点は、日本のその他の一般の労働者と何らかわかるところのない保護が与えられるものと私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/45
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046・井之口政雄
○井之口委員 現在は日本政府が雇用するという形態になつています。それであつても実質上、日本の労働法規というものは、これらの人たちに適用されておらない。首切る場合だつて日本政府が首切るわけでもなし、あるいは給料の引上げ、いろいろそういうふうなものに対して、実質上向うの監督になつております。それからいろいろな干渉が、普通の日本の労働者の官庁並びに組合における場合よりも、非常にきつくなつていることは事実であります。将来においてもこうした事実は、やはり継続されるのじやないかと思いますが、形式上よしそれが日本の組合法が適用されるようになつたとしても、実質上はまだそうした圧迫が来るのではなかろうか、こう思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/46
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047・龜井光
○龜井政府委員 その点は占領治下におきますものと、性質は異つて来るものと考えております。と申しますのは占領治下におきましては、占領軍そのものは、日本の国内法による刑事上の責任を負わないのであります。ところが講和條約が発効いたしますると、たとえば具体的に申しますと、労働基準法違反という問題が起つた場合には、その法律違反の刑事上の責任は、米駐留軍といえども使用者として、責任を負うということになつて参りますので、その点は占領下と全然違う建前になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/47
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048・田中不破三
○田中委員長 井之口君にちよつと申し上げますが、特別調達庁から池口業務部長がおいでになりましたから御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/48
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049・井之口政雄
○井之口委員 それでは特別調達庁にお尋ねいたしますが、今までこうした進駐軍に雇用されていた労務者に対する費用の支払いは、特別調達庁から出ていたが、将来特別調達庁は解散してしまうということになつて、この辺の支払いやらの関係は、日本政府が直接やるというただいまの話でしたが、どんなふうになるのですか、ちよつとお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/49
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050・池口凌
○池口政府委員 今の御質問の、米軍が直接使いますところの労務者の給料のことにつきましては、私は担当ではございませんけれども、現在までのところでは、調達庁というものは、講和條約の発効と同時に、連合国軍というものがなくなる以上は、その調達事務をしておりますものについては、一応解散する、その先のことは、現在まで何ら調達庁といたしましても、定まつたものはございません。ただこれは単なる実務をいたしておる者といたしましての推測でありますけれども、講和発効と同時にすぐこれを切りかえるということは、相当困難なことだと思われますので、いかなる機構なり、官庁なり、また米軍が直接にやるといたしましても、何らかの具体的なことがきまりますまでは、円滑に引継げるような態勢を整えることだけはいたしておるのでございます。一般の労務者に直接ではありませんで、一般の調達業務といいますか、役務のようなものの仕事の関係といたしましては、間接に日本人がこの業務に当つておるのがあります。いわゆるPD労務者と私どもは呼んでおるわけですが、この関係におきましても、なおどういうような形態で、これを処理して行くかということは、まだ全然きまつておりません。現在ではすでに今年度の年度末も来ておりますので、あらゆる契約が今年三月末日をもつて切れることになつております。四月一日から新しく講和條約が発効するといなとにかかわらず、どうしても継続をしなければならぬだろうと考えられますところの基礎的な役務、また需品というような仕事がございます。これは四月一日からいきなり電燈、水道を消すことは、事実上できないと思いますので、これに対する入札契約の準備的な行為は、事実上行つておるようであります。これをいかなる形で実行するかということについては、まだ何らとりきめなりきめたものはございませんので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/50
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051・井之口政雄
○井之口委員 これらの労務者に対して、たとえば直接間接のPD工場なりなんなり、みな含めてでありまするが、これに対する支払いというものは、これは今度は二十七年度の予算では防衛分担金の方から出て行くのですか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/51
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052・池口凌
○池口政府委員 さきに申し上げましたPD関係の労務者というようなものは、契約の対象上におきましては仕事そのものを契約いたしておるのでありまして、いわゆる役務と申しますか、PD関係の労務者に関係いたします分につきましては、どの項目が防衛分担金で負担するかいなかは一応きまつておりませんが、大ざつぱに申し上げますと、需品、役務、工事等に要しましたところのものは、全体の半分を日本側で負担をする。それからどの仕事は——電気代はどちらで持つとか持たないとかいうことは具体的にはまだ私ども伺つておりませんけれども、そういう全体ひつくるめまして、半分のものは日本側で負担するということに伺つております。ただ先ほどからお話が出ておると思います労務者の提供に関する関係の分は、これは全額米軍で負担をいたしまして、講和発効後におきましても、やはりそのことはかわりませんで、労務の費用は全部米軍側で負担する。現在のところは米軍から調達回転基金というものがありまして、これに繰入れて日本側でこれをやる。払つたものは必ず一箇月ぐらいは遅れますけれども、ドルをもつて日本政府にこれを償還する、こういう建前になつております。そのことは講和発効後においてもかわらない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/52
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053・井之口政雄
○井之口委員 そうすると直接占領軍が将来雇う分に対しては向うが払うのですから、これの給与の引上げとか何とかいうものに対しては、まつたく向う相手の交渉になるので、今と同じような困難性がますます持続されて行くのじやないでしようかどうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/53
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054・池口凌
○池口政府委員 形の上におきましては、今のように一応費用は米軍が全部出す。しかし日本政府に一応寄託いたしまして、日本政府がこれを雇用する。そして実際使用するのは向うに使用させる、こういう建前でありまして、形の上では現在とほとんどかわらないかと思います。しかし従来とても雇用のいろいろな条件につきましては、大体におきまして軍の方も当方の労働関係の給与規定その他を大体守つてくれて、折衝の過程におきましてはずいぶん困難な問題もあるのでありますけれども、少くとも日本政府がその間に介在し雇用の責任を負つておりますから、その法律を遵法するようには努めております。この程度は占領下よりは、少くとももつと十分な交渉はできる、こう確信をいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/54
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055・井之口政雄
○井之口委員 その交渉がなかなか困難性があると言われましたが、もしかりにその困難性がどうしても克服できないというような場合においては、いかなる基準によつて日本政府はこれを処理されますか。全部そういう場合には泣寝入りするより道がないものでしようか。向うの言う通りにならなければならないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/55
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056・池口凌
○池口政府委員 必ずしもそういうふうには考えておりません。費用を向うからもらうことにつきまして、非常に困難があるということを申し上げたのであります。従来とてもそう泣寝入りは、——時期的には多少遅れることがございまして非常に申訳ないという感じがいたすのでありますが、必ずしも泣寝入りということじやございません。講和発効後におきましても、少くとも従来以上にもつと強硬に話はする。またそれが成功の見通しは今までよりは楽になる、十分であろうということは想像し、確信をいたしておるわけであります。直接雇用するところの雇用主というものは、日本政府であります。何らかの万一間違いがありましたならば、これは予算上のことになつて参るのでありますけれども、雇用主としての責任は日本政府がどこまでも払わなければならいのでありますが、事によりますと、日本政府が米軍からはドルで償還を受けられなくても、自分の方の費用を支出してでも、これに何らかの法律的その他のことでやむを得ない場合には、支払いをしなければならぬということが起り得るということも、覚悟をしなければならぬと思います。私どもは今まででもそういうことはないのでありますが、十分今まで以上にそれはできる、こう確信しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/56
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057・井之口政雄
○井之口委員 非常に実情がよくわかつて参りましたが、そういう場合には、当然日本政府が負担をしなければならぬ。そうすると予算の増額、これはまた国会の承認を得なければならぬというふうな事態も起つて来る。しかるに占領軍は半々持ちで六百五十億からの予算しか、政府に組んでないといふうなことになつて来ると、そこに、向うに負担を負わすか、日本政府がこれを負担するかというような非常に緊迫した状態が起つて来ると思うのでありますが、そういう状態を予想されますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/57
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058・池口凌
○池口政府委員 今の分担金のことにつきましては、六百五十億というのは大体さき申しました半分のものになると思いますけれども、これをどういうようにやつて行くかということは、私ども直接任に当つておるところにも、まだ全然示していただいておりませんので、まだ全部きまつていないかと思います。ですから、現在その点の詳細なやり方については検討中ではないか、こう存じますので、これに対してはお答えできないと思います。御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/58
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059・井之口政雄
○井之口委員 日本の国民を——外国の軍事的な施設並びにその軍隊のいろいろな行動のために、日本の労務者をこれに提供するというふうな事態は、日本の独立にとつて非常に重大な問題であります。そういう場合に、政府が全然日本国民の立場に立つか、あるいは相手方の立場に立つかというふうなことは、日本国民がひとしく注意して見ておるところでありまして、政府が国民を捨てて、相手方との単なる協調というふうなことだけで、そうして軍国主義を援助するかのような行動に出たならば、日本の将来は非常に恐るべきものになると思う。同じ日本人でありながら、やがてこの日本人が日本人にピストルを向けなければならぬというふうなことも生じて来ることは明らかであります。われわれはその意味において、政府はこれらの労務者に対して、あくまでも同じ日本人の立場に立たれんことを希望して、私の質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/59
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060・今井耕
○今井委員 時間も大分過ぎましたので、できるだけ簡単にお伺いしたいと思います。
人事院が去る二月十三日の勧告の説明におきまして、今回の地域給の指定によつて格上げが約九万、新規につけるものが約二万、合計約十一万になるというような説明があつたのでありますが、今回の地域給の改訂をやりますと、五級地、四級地、三級地、二級地、一級地、無級地の公務員の数が約どれくらいの数になるか、ごく概数でよろしいからわかつておつたら、お知らせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/60
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061・瀧本忠男
○瀧本政府委員 公務員の数が現実にどういうことになるか、あるいは定員上それがどういうふうになつておるかという問題、これはなかなか把握しにくいのであります。これは時間をいただきまして推計を申し上げるのが適当かと思つております。ただ大ざつぱに申し上げまするならば、従来国家公務員として地域給を受けておりました者は、おそらくは全体の七九%くらいに当つておつたであろうと考えます。今回新たに編入されましたものがございまするので、——もちろん格上げになつた地域もございまするが、これは前からもらつておつたわけでございますから、問題になりますところは、非支給地から新たに一級地に上つたところにおりまする公務員の数を、ほぼ推計いたしてみますと八二%程度に当るのではないかと思います。その程度の概算はいたしております。それから先のことになりますると、お時間をいただきまして資料を提出いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/61
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062・今井耕
○今井委員 大体各級地における公務員が約何万くらいかというようなごく概数がわからぬと、予算も何も出ないと思うのだが、その概数もわからぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/62
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063・瀧本忠男
○瀧本政府委員 概数をというお話でありますが、人事院といたしましては予算の詳しいことはわからないのであります。従いましてこういう問題につきましては、ほぼ推計をいたしまして、そして大蔵省の方にお願いするよりしようがないと思います。しかしわれわれといたしましても、概算に使いました数字はもちろんございますが、今手持がございませんので、あとで調べた上で申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/63
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064・今井耕
○今井委員 人事院の方でおわかりにならぬ場合は、内閣あるいは大蔵省として大体そういうものがあるはずだと思いますが、どういうことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/64
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065・東條猛猪
○東條政府委員 人事院から勧告がありまして、それに伴いまして勧告の結果によればどの程度の勤務地率になるであろうか、こういう勤務地率の変更の数字によりまして、人事院と大蔵省との間で、いろいろ相談の結果、いわゆる勤務地率というものを推定いたします。それに伴いまして、本俸、扶養手当の金額に勤務地率の推定額をかけまして、今回の改訂に伴うところの給与の所要額は、この程度になるであろうという推算を申し上げるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/65
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066・今井耕
○今井委員 そうするとその勤務地率というのはどういう率になつておりますか、この点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/66
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067・東條猛猪
○東條政府委員 私どもの推算では、人事院の勧告によりますところの所要額を推定いたします場合の勤務地率は、大体一二・九%見当ではなかろうか、かような推算で、ただいまこの法律案に必要な金額の推算を申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/67
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068・今井耕
○今井委員 言葉をかえてお尋ねしますが、そうすると今回の地域の改訂によつて約七億ほどふえておる。それを加えまして今地域給を全廃してこの経費を均等にしたならば、現在の無級地に比べて平均何パーセントぐらい上りますか、これをひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/68
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069・瀧本忠男
○瀧本政府委員 御質問の趣旨にそのままお答えすることにならぬで、ちよつと違つた角度からお答えすることになろうかと思うのでありますが、たとえば現在の非支給地をかりに全部一級地にいたしますならば、国家公務員につきまして年間十億円の増額を必要とするであろうという大体の概算を持つております。また非支給地並びに一級地を全部二級地にいたしますれば、国家公務員につきまして年間約三十億円の金額が必要であろう、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/69
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070・今井耕
○今井委員 ただいまの御答弁たいへん参考になつたのですが、この地域給をなくして平均何ぼになるかということは、予算を定員数で割つたらすぐ出て来る問題だと思いますが、そういうふうな計算はなすつたことはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/70
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071・東條猛猪
○東條政府委員 どうも給与の専門家でございませんので、私からお答え申し上げるのはいかがかと思いますが、今回の人事院の勧告を織り込みました結果の地域給の総額というものは、お話の通りあるわけです。それを地域給という観念を払拭して、みんなに平等に頭割で割つて計算したらどうかというお話でございますが、今回七億くらいふえまして所要額が約百三十億見当、それを公務員の総数で割れば、一人当りの割当が出るというお話であれば、お話の通りだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/71
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072・今井耕
○今井委員 そうするとどういう勘定になりますか。御研究になつておると思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/72
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073・東條猛猪
○東條政府委員 実は大蔵省といたしましては、地域給を全部なくしてしまつて、一人当りでどうなるということまで思い至らなかつたものですから、その計算はいたしておりませんが、百三十億を今すぐの即算で、非常に危険性が伴う数字でありますが、一応千百七十円見当だということを申し上げておきますが、責任のある数字ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/73
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074・今井耕
○今井委員 そうするとただいまの答弁は、一人当り千百七十円くらい上る、こういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/74
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075・東條猛猪
○東條政府委員 今申し上げましたのは、ほぼ月額の数字であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/75
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076・今井耕
○今井委員 次に今回の地域給の新しき指定及び格上げというものが、地方公務員に直接影響するということは申すまでもないことであります。従いまして地方職員として国から助成をしておる職員及び学校の教員というようなものについて、大体格上げとか、あるいは新しく地域給をつけるとか、そういうものが何名くらいになるか、これを御計算になつておつたら、どなたからでもよろしいから御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/76
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077・東條猛猪
○東條政府委員 ただいま手元に人員の数字を持つて参りませんでしたが、人事院の勧告通りを採用いたしました場合の地方公共団体の給与費のふえまする金額は、約七億円見当であろうというふうに推算をいたしております。ただこれはあくまでも私どもの推算でありまして、今後の実際の地方公共団体の計数と突き合せてみませんと、正確度は問題でありますが、一応そういう推算をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/77
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078・今井耕
○今井委員 なおその他の県の職員及び市町村の公務員あたりにも、これが関係を持つことは当然であります。そうするとそれによつて標準財政需要というものが増加して来る結果、やはりこれが平衡交付金に影響を持つて来ると思います。従いまして、これらの府県、市町村の職員が格上げまたは新しく指定されることによつて、平衡交付金の方がどのくらい影響を受けて来るか。そういう概算があつたら御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/78
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079・東條猛猪
○東條政府委員 先ほどちよつと申し落しまして、はなはだ恐縮でございましたが、ただいま申しました七億円というのは、地方公共団体全職員についての計算であります。これが地方財政、ひいては平衡交付金にどういう影響を及ぼすかというお尋ねでありますが、今回政府が提案をしておりますところの五十億の増額によります千二百五十億の平衡交付金を織り込み、今回の税制改正を織り込み、そういうことで基準財政収入を計算いたしまして、片一方におきまして基準財政需要を計算いたしまして、地方財政の私どもの見込み、あるいは収支計画と申しますか、そういうものによりますれば、この地域給に伴いますところの七億見当の計数は、十分のみ込み得る数字でありまして、ただいま政府が提案をいたしております五十億円の平衡交付金の増額で、十分足りるという見通しを持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/79
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080・今井耕
○今井委員 そうするとただいまの御答弁は、今回の政府の予算の中には、大体こういうものが平衡交付金として織り込み済みだというふうに考えてよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/80
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081・東條猛猪
○東條政府委員 今井委員は、私どもが平衡交付金の積算の基礎を、地方財政委員会その他で御説明申し上げる趣旨は、内容として御承知いただいておると思うのでありますが、政府の平衡交付金の計算、あるいはそれを基礎といたしました地方財政収支においては、政府の計算では地方財政全体として、相当額の黒字が出るという見通しであると申し上げておるわけであります。従いまして、ただいま申し上げましたような七億見当の数字であるならば、十分まかなつて余りありという趣旨のことを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/81
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082・今井耕
○今井委員 地方財政の方は相当これで黒字になるというような政府の御答弁を常にいただいておるのでありますけれども、地方からは、これでは何としてもやつて行けぬのだというような声が、非常に高いことは御承知のことです。それでただいまの御答弁のように、スムースに行くのであるならば、何も私はこんな愚な質問はしないのです。そこに非常な食い違いがある。従つてこれがまた一つの平衡交付金の不足という文句の大きな種になるということは当然のことであります。従つて私はこれをつつ込んでお考えを伺つておるのでありまして、これは相当問題になると思いますが、今これをここで議論しましても、切りがないと思いますから、私は打切つておきます。
次に今回の地域給の改訂につきまして、最も問題になるのは、すでに地域給がつけられておる地域の格上げということにつきましてもいろいろ問題がありますが、一応今日まで内閣や人事院において目を通して、ある程度検討されておるということが言えるのでありまして、問題は新しく地域給をつけたところに非常に大きな問題がある。私は今度新しく地域給がつけられるその地区について、別に文句を申し上げるわけではありません。ところがその周囲から非常な不満が巻き起つて来ておる。今私の手元へも非常にたくさん来ております。これが今回の改訂の一番大きな問題であると私は思うのです。そこで新しく無級地を一級地にする場合においては、その従来の無級地のうちで、この新しくつける地域が、どの方面からながめても最も必要だというはつきりした根拠がなければならぬのです。どこかの府県で、一つの無級地を一級地にする場合においては、それと同等またはそれ以上につけなければならぬような地域がないかどうかということを相当数多く調べて、絶対間違いがないという線に沿うて、その地域を選定するということがなされなければなりません。今回の新しく地域給をつけるその地域以上に必要な場所が残つておつたら、これはたいへんなことです。従つて人事院の方では、この新しく地域給をつけられる際に、それとよく似た、あるいはそれ以上のようなところをどの程度お調べになつたか、この点をひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/82
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083・瀧本忠男
○瀧本政府委員 御指摘の点まことにごもつともあると、われわれ思つておる次第であります。この無級地を新しく一級地として支給するにつきましては、できる限り努力を払つたつもりでありまして、どの程度調べたかということでございまするが、これはここで何回も繰返して御説明申し上げておりますように、われわれはCPSあるいは特別CPSというものを基礎にいたしまして、これに府県からいただいております順位表というものを当てはめましてきめて行く。これが根本の資料であります。しかしながらそのほかに各方面から、いろいろの御意見をいただいておるということもありますし、また国会方面で実地調査されて、その調査の結果につきまして、われわれ個別に伺つておるという事情もございまするし、また人事院独自で調査したもの——人事院の地方事務所というのがございまするが、人事院がそういう機関を動員して調べたもの等、できる限り正鵠を期してバランスはとつたつもりでありまして、御趣旨の点はまつたく懸念して作業いたしたつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/83
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084・今井耕
○今井委員 ただいま御答弁がありましたが、この点ははなはだ疑わしいものがたくさんあるということを私は申し上げておきます。もしCPSとかその他の材料があつたら、この地域給の新しい指定または格上げそのものが、人事院あたりの御説明の今日までのCPSの変化、あるいは地理的、経済的な條件の変化、こういうものによつてやつたということになれば、その資料としても私はこれのほんとうの資料となるものを提供してもらいたいのです。本日いただきましたこの資料は、今回の改訂とはほとんど無関係で、全国の三十八のもの、あるものによつては二十八というようなものであつて、今回のこの改訂には何ら関係のないような地方ばかりの資料でありまして、今回の地域給の改訂には何ら資料になつておらない。そこでこういう問題をわれわれが実際審議して検討していいのかどうか。宙で、おおよそでこんなことを審議していいのであるか、私は自分の責任から考えて非常に疑問に思うのです。だからこれはずいぶん研究された、そう言うならば、今回の地域給改訂の基礎になる資料というものが与えられる必要があると思う。政府の方もいろいろ調査した結果、これを適当と認め、そして法律を出したのでしようが、何をもつて適当と認められたか。またこれを検討せられるについて、内閣としては相当な材料があると思う。そこでひとつ内閣の方からこの点をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/84
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085・菅野義丸
○菅野政府委員 公務員の給与に関する人事院の意見あるいは勧告につきましては、内閣といたしましてこういうふうに考えておるのでございます。大体原則論といたしましては、人事院がすべての法律に基きまして調査をし、そして両院の議長及び内閣に勧告をしあるいは意見を提出する、それに従うのが当然でございまして、この点は今までの一般職の給与に関する法律の審議のときに、何回となく国会の方面から御注意を受けておるところであります。衆議院もその点については御同意になると思うのでありますが、ただ予算に非常に関係するものにつきましては、かりに勧告がございましても、これは根本的に検討をしまして、たとえばべースの改正等につきましては、内閣といたしましても独自の資料によつて検討する場合もございます。しかしながら今度の地域給の地域の区分の変更につきましては、大蔵省の方と相談いたしましたところ、予算のことについても何とか人事院の意見通りになるというような確言を得ましたので、この点は調査の確実を信用いたしまして、一切人事院の意見通りにいたしたのであります。これは従来から注意され、二箇所でもつて同じことをする国費の濫費等の点について、しばしば御注意を承つておりますので、それを避ける点におきましても、人事院の意見をそのままのむのが一番妥当であるというふうに考えまして、そのまま法律案として提出した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/85
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086・今井耕
○今井委員 内閣の方が人事院の意見を尊重せられるということは、非常にけつこうな建前であると思いますが、それが守られておらぬことが従来から非常にたくさんある。同時にこの間の政府の提案理由の説明によりますと、右の意見を検討いたしました結果、その内容を適当と認めると、ちやんと書いてあるので、私は慎重な検討が行われているというふうに了解しているのであつて、検討しないでまるのみにされたとは私は考えておらぬのです。ただいまの答弁には私は少し物足らない点があるが、しかし検討されておらぬものを、今ここで追究してみたところでこれはしかたがないが、そうすると人事院の方もわれわれが納得するような資料がありませんし、政府の方もない。ただ常識で、おおよそできめた、こういうようなふうに言われてもこれはしかたがないし、またわれわれが地方へ帰つて聞かれたときに私は答弁できません。事実非常に矛盾があるのです。この点をいかに解決するかということは、これは大きな問題であります。私はこういうことは人事院の事務当局は、よほど慎重に検討しなければいかぬということを、相当何回も申しておいた。ところがこんな資料でわかると思うか。われわれ国会議員が日本史を歩いて調べるわけに行かぬ。これを一体どう解決したらいいか。私は特に人事委員としてこの点を良心的に非常に心配しておる。人事院がこれをきめられるときにいろいろ研究されて、そして最後に決められたものをわれわれが検討するのに、やはり検討するところのものがなければ、何もなしで検討せいといつても検討できますか。われわれが資料を集めるといつたつてできません。私はこの点について、非常に遺憾なものがある、こう申さざるを得ないと思うのです。
この問題はこのくらいにしておきまして、次に今回の地域給の改訂につきまして検討しなければならぬ問題は、この地域給の問題は勤務地主義によるべきか、あるいは現住地主義によるべきか、こういうことは今まで非常に議論せられたところでありまして、いまさら私はこれについて議論をむし返そうとは考えません。ところが今回新しく指定されたところの、無級地から一級地になつた所は、ほんとのいなか町みたいな所までそうなつておるのです。町でいうならば一丁町か二丁町ほどが町の形態をなして、あとは全部普通農村とかわりがない、こういう所まで範囲が拡められておるのです。そこで、そこにおられるところの国家公務員だけであるとこれはよろしいが、これが地方公務員であるところの学校の教員とかというようなものになつて来ますと、こういうも所に勤めておる教員は、ほとんどそこの町の人ではないのです。全部付近の農村から通つております。従つて家を出て右へ行くか左へ行くかの違い、西へ行くか東へ行くかの違いでありますが、それによつて差ができて来る。実際その地方の現場へ行つてごらんになれば、そんなことははつきりわかります。私は地方を三十年間まわつておつたもので、そんなことは知り抜いておるわけです。そうすると非常にここに矛盾ができて来る。大きな町であるならば、現住地であり、その土地に勤務する、こういうように一致する場合が多いのであるが、こういう小さいところまでやつて来ると、これはまるつきり離反してしまう。そうして学校の教員というようなことになつて来ると、やはり農村よりは少し町がかつたところの学校に行きたい。そうすると子供の服装も少しはいい服装をしておつて、教育もしやすいというような点があつて、どうしてもそりういうところへ行きたがるのです。しかるに家を出て西へ行くか、東に行くかの違いによつて、そこに五%の地域給がつく、そんなことになりましたら、純朴な農村なんかにおる先生は、悪い人ばかり残ります。これは非常に大きな弊害が伴う。私は今回のこのくらいの地域給がふえたことよりは、その弊害の方が何倍か多いということを確信をもつて考えておるのであります。従つてこういうことはよほどよく考えてもらわぬと困る。そこでこの新しい地域給をつけられる場合に、勤務地主義か、あるいは現住地主義か、もし現住地主義であつたら、そういう人は地域給なんかつける必要は絶対ありません。こういう点についてどういうようなお考えを持つておられるか、この点ひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/86
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087・瀧本忠男
○瀧本政府委員 勤務地主義と居住地主義と申しまするか、この問題につきましては、前回の国会におきましても、いろいろ御検討願つた点でございます。われわれといたしまては、勤務地手当はこれは勤務地主義によらざるを得ないという結論に達しておるわけであります。しかし勤務地主義でやりますると、どうもふぐあいの点もあるということは、確かにこれは認めざるを得ないのであります。そういう問題につきましては、官署指定の特例といたしまして、勤務地主義と居住地主義の妥協をはかるというようなことをやつておるわけであります。今回の指定におきましても、各県から要望が出ております。ほんとうに生計費の高い地域というものを主眼として、新しく追加指定をいたしたのであります。やはりこの線におきまして、勤務地主義と居住地主義をとりかえるということも、なかなかこれは全体の体形としてむずかしいことでありますので、従いましてあくまで全体を貫く方針は、勤務地主義ということでいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/87
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088・今井耕
○今井委員 こういう地域の指定についての県からの内申というような御答弁もあつたのですか、実際人事院が今までにおやりなつておつた内容について、私もよく知つております。県の事情もよく知つております。またどの程度お調べになつたということも、私の方がよく知つておるのです。従つて私ここで申し上げるならば何ぼでもある。私は責任がありますから、十分研究しておるのですが、言いたいことはたくさんあります。しかし、この前にも私がお尋ねしたのですが、県からの報告というようなものは、県の職員というものを本体にして考える。従つて地方事務所の職員を中心としてやつているということは、これは間違いである。労働組合についても、労働組合の勢力の強い方が強くなつて、その方面がたくさん出る。まじめな、おとなしくして黙つている所がみんな落ちておるのです。そうして今回地域給が発表されたのでは、あんなところがつくなら、うちもつけてもらわなくてはならないというような、寝ている子を起すようなことが今回たくさん出ております。これは間違いのないことであります。そんなことならこれから陳情に行かなければ損だ。これは陳情を奨励しているようなものだ。この前の御答弁にも、方々からの陳情も請願も考慮してというような御答弁があつたのですが、この地域給のために、各地で地域給の対策委員会なるものをつくつて、どんどん東京へ出て来る。これがためにどれだけ莫大な経費を使つているかわからぬ。これは実につまらぬことだ。そんなことをさせなくてもいいような、ちやんとりつぱな公平なものが出て来ることが必要です。それを今日の人事院がちやんとやる必要がある。実にばかげたことと思う。そうして、できた結果はろくなものができていない。何にもなりはしない。私はこういう点はよほど考え直してもらわなければいかぬと考えております。
そこでこの前の国会でしたか、地域給は生活給の上から考えたものであつて、漸次この地域給の範囲を狭める考えであるというふうに、浅井人事院総裁が説明されたと聞いておりますが、その点から考えて、今回の地域給は範囲を狭めるよりは、むしろそれが広くなつて来ていて、反対の方向を向いておると思うのです。従つてこの次には一体どういう手を打たれる考えであるか、範囲をうんと広めておいて、そうしてそこでこれをさあつと整理するお考えを持つておられるのか、またもつと範囲を拡めて行くというお考えを持つておいでになるのか、その考え方をここで伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/88
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089・瀧本忠男
○瀧本政府委員 地域給を考えまする際には、これは各地の実質賃金をひとしくするという生活給的なものの考え方が根本になつております。従いまして統計等に現れて参りまするところによりまして、相当地域差があるという現実の状況があるならば、これを無視して、これをうんと縮めて行くということは、むずかしいだろうというふうに考えております。しかし最近われわれが見ておりまする統計によりますると、やはり方向としては漸次地域差というものは——あまり極端ではございませんが、漸減する方向に参つておるように、統計を見ております。従いましてわれわれは、そういう事実の基礎に従いまして、今後はこの地域給の範囲を漸次狭めて行くという方向をやる必要がある。目下そういう観点から、さらに将来の地域給のありかたというようなものにつきまして、研究を進めておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/89
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090・今井耕
○今井委員 私はいろいろ質疑をしたい点は切りがないほどあるわけですが、しかしただいまのところこれだけの資料では、何も根拠がない。従つてここで一応常識論を申し上げるよりほかにしかたがない。そこで私は、もう少し詳しいところの、われわれの審議するに足るところの資料が提出されることを希望いたします。もし出されぬ場合においては、もう少しつつ込んで、私が知つている範囲でお伺いしてみたいと思いますが、きようはもう時間も一時になりましたから、本日のところはこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/90
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091・田中不破三
○田中委員長 本日の会議はこの程度にとどめまして、次会は公報をもつてお知らせいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00519520303/91
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